JP2019038725A - 針状無水炭酸マグネシウム及びその製造方法、並びに樹脂組成物 - Google Patents

針状無水炭酸マグネシウム及びその製造方法、並びに樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】補強性及び耐水性に優れる針状無水炭酸マグネシウム及びその製造方法、並びに樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明は、一実施形態において、平均長径の平均短径に対する比が5以上である針状無水炭酸マグネシウムに関する。平均長径は10μm以上であることが好ましい。針状無水炭酸マグネシウムのレーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)は5μm以上200μm以下であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、針状無水炭酸マグネシウム及びその製造方法、並びに樹脂組成物に関する。
中性炭酸マグネシウム(MgCO・3HO)の水熱処理により得られる無水炭酸マグネシウム(マグネサイト、MgCO)は、熱伝導率が高く、耐水性、耐熱性にも優れているため、エンジニアリングプラスチックに配合する熱伝導フィラーとして用いられている(特許文献1)。このような樹脂組成物は、自動車等のエンジン周り部材や携帯電話の電池周り部材等、熱のこもりやすい場所に用いられている。また、無水炭酸マグネシウムのモース硬度は低く、金型の磨耗が少なく加工性に優れるという特長もある。
特開2005−272752号公報
水熱処理により得られる無水炭酸マグネシウムは上記のような利点を有するものの、粒子の形状が概ね立方体形状であることから、さらなる用途展開が困難となっている。例えば、樹脂の補強性フィラーとして用いても十分な補強性が得られないことがある。
曲げやせん断に対する補強性を向上させるには、粒子形状を針状、棒状、繊維状等とすることが有効である。そのような粒子として針状の塩基性硫酸マグネシウムが、車のダッシュボードやバンパー等に用いられるポリプロピレン樹脂の補強用フィラーとして添加されている。しかし、塩基性硫酸マグネシウムは耐候性が低く、分解して水ぶくれが発生するため自動車外装材用途への応用が制限されている。塩基性硫酸マグネシウム等の針状粒子を焼成して得られる酸化マグネシウムは針状の粒子形状を維持しており、熱伝導性は高いものの耐水性が低い。従って、熱伝導性、低金型磨耗性、耐熱性に加え、さらに耐水性、補強性を併せ持つフィラーが求められている。
本発明の目的は、補強性及び耐水性に優れる針状無水炭酸マグネシウム及びその製造方法、並びに樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、下記構成を採用することにより、前記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一実施形態において、平均長径の平均短径に対する比(以下、「アスペクト比」ともいう。)が5以上である針状無水炭酸マグネシウムに関する。
当該針状無水炭酸マグネシウムでは、アスペクト比を5以上としているので、樹脂に配合した際に配向して異方性を示し、優れた補強性を発揮することができる。また、補強性を示しつつ、無水炭酸マグネシウムが有する優れた耐水性を発揮することができる。なお、本明細書において、「針状」には、文字どおり針状のほか、棒状、柱状、繊維状を含むものとする。
当該針状無水炭酸マグネシウムにおいて、前記平均長径が10μm以上であることが好ましい。これにより樹脂中での配向の連続性が高まり、補強性をさらに向上させることができる。
当該針状無水炭酸マグネシウムにおいて、レーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)が5μm以上200μm以下であることが好ましい。当該針状無水炭酸マグネシウムの累積50%径(d50)を上記範囲とすることで、補強性の向上とともに、分散性やハンドリング性を発揮することができる。
当該針状無水炭酸マグネシウムを、温度40℃、湿度75%の雰囲気下にて30時間保持した後の下記式で表される吸水率が5%以下であることが好ましい。
吸水率(%)={(保持後の質量−初期質量)/初期質量}×100
当該針状無水炭酸マグネシウムにおいて吸水率を上記範囲とすることで、さらなる耐水性の向上を図ることができる。
本発明は、別の実施形態において、平均長径の平均短径に対する比が5以上である針状中性炭酸マグネシウムを準備する工程、及び
二酸化炭素含有雰囲気下にて前記針状中性炭酸マグネシウムを加熱処理する工程
を含む針状無水炭酸マグネシウムの製造方法に関する。
当該製造方法では、所定のアスペクト比を有する針状中性炭酸マグネシウムを二酸化炭素含有雰囲気下にて加熱処理するだけで、上述の針状無水炭酸マグネシウムを効率的に製造することができる。この理由は定かではないが、以下のように推察される。従来の製法では、中性炭酸マグネシウムを強熱すると二酸化炭素を放出して酸化マグネシウムに転化してしまう。当該製造方法では、反応系内の二酸化炭素濃度を高めた雰囲気下で加熱処理を行うことで、中性炭酸マグネシウムから二酸化炭素を放出した後に再度二酸化炭素が取り込まれ、針状無水炭酸マグネシウムを効率的に製造することができる。
前記加熱処理を大気圧下、450℃以上600℃以下の範囲内の温度で行うことが好ましい。これにより中性炭酸マグネシウムの針状無水炭酸マグネシウムへの相転化を促進しつつ、中性炭酸マグネシウムの分解による二酸化炭素の放出を好適に抑制し、より効率良く針状無水炭酸マグネシウムを製造することができる。
前記加熱処理を、昇温速度0.1〜50℃/minで前記温度範囲内の温度まで加熱し、前記温度範囲内の温度に達した後0〜24時間保持することで行うことが好ましい。これにより、中性炭酸マグネシウムの分解、及びそれに伴う二酸化炭素の放出を高いレベルで抑制することができる。
当該製造方法では、下記式で表される前記加熱処理前後での平均長径減少率が20%以下であることが好ましい。
平均長径減少率(%)={(加熱前の平均長径−加熱後の平均長径)/加熱前の平均長径}×100
針状中性炭酸マグネシウムの針状無水炭酸マグネシウムへの相転化の際に水が消失することから、ある程度の体積減少は避けられない。しかしながら、当該製造方法では二酸化炭素含有雰囲気下で針状中性炭酸マグネシウムの加熱処理を行うので、二酸化炭素放出による体積減少を抑制することができ、針状中性炭酸マグネシウムの体積の大部分を維持したまま針状無水炭酸マグネシウムに相転化することができる。
本発明は、さらなる実施形態において、樹脂100質量部に対し、当該針状無水炭酸マグネシウムを5〜600質量部配合した樹脂組成物に関する。
当該樹脂組成物では、高アスペクト比の針状無水炭酸マグネシウムを配合しているので優れた強度及び耐水性を発揮することができる。
前記樹脂は、ABS系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
本発明は、なお別の実施形態において、当該樹脂組成物を含む成形体に関する。
上段は、XRD測定により得られた実施例1の針状無水炭酸マグネシウムについてのX線回折パターンのチャートであり、下段は、粉末X線回折強度データベースに収載された合成マグネサイトのX線回折パターンのチャートである。 実施例1の針状無水炭酸マグネシウムのSEM写真である。
《針状無水炭酸マグネシウム》
本実施形態の針状無水炭酸マグネシウム(以下、「針状マグネサイト」ともいう。)では、平均長径の平均短径に対する比(アスペクト比)が5以上であればよく、好ましくは8以上、より好ましくは10以上である。なお、平均長径は、SEM写真を用いて得られる一次粒子の平均長径(μm)であり、平均短径は、SEM写真を用いて得られる一次粒子の平均短径(μm)である。上記アスペクト比は、分散性の観点から、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。針状マグネサイトのアスペクト比を上記範囲とすることで、樹脂における補強性と分散性とを向上させることができる。
針状マグネサイトの平均長径は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、40μm以上であることが特に好ましい。また、上記平均長径は、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。針状マグネサイトの平均長径を上記範囲とすることで、樹脂中での配向の連続性が高まり、補強性をさらに向上させることができるとともに、分散性やハンドリング性等をより向上させることができる。
針状マグネサイトの平均短径は、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることがさらに好ましく、2μm以上であることが特に好ましい。また、上記平均短径は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましい。針状マグネサイトの平均短径を上記範囲とすることで、粒子自体の強度を高めて補強性を向上させることができるとともに、分散性やハンドリング性等をより向上させることができる。
針状マグネサイトのレーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)は5μm以上200μm以下であることが好ましい。累積50%径(d50)は、8μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。また、累積50%径(d50)は、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。当該針状無水炭酸マグネシウムの累積50%径(d50)を上記範囲とすることで、補強性の向上とともに、分散性やハンドリング性を発揮することができる。
針状マグネサイトを、温度40℃、湿度75%の雰囲気下にて30時間保持した後の下記式で表される吸水率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、4%以下であることがより好ましい。
吸水率(%)={(保持後の質量−初期質量)/初期質量}×100
針状マグネサイトにおいて吸水率を上記範囲とすることで、さらなる耐水性の向上を図ることができる。
本実施形態において、針状マグネサイトの見掛比重は、1g/mL以下が好ましく、0.8g/mL以下がより好ましく、0.5g/mL以下がさらに好ましい。針状マグネサイトの見掛比重は、0.05g/mL以上が好ましく、0.1g/mL以上がより好ましい。針状マグネサイトの見掛け比重を上記範囲内とすることで、分散性やハンドリング性を向上させることができる。なお、見掛比重の測定方法は、JIS K−6220に準じて測定することができる。
なお、針状無水炭酸マグネシウムは、化学式としてMgCOで表される化合物であり、粒子が上記特有の形状を有している。
本実施形態の針状マグネサイトは、原料や製造方法等に由来する不可避的不純物成分を含む場合がある。不純物成分としては、例えば、Ca、Si、Fe、Al、S等である。これらの不純物の含有量は、各元素換算で、針状マグネサイト粒子中に1質量%以下であることが望ましい。
本実施形態の針状マグネサイトの用途としては特に限定されず、例えば、ゴム製品や樹脂製品の充填剤および補強材、絶縁材料、熱伝導性フィラー、塗料、衣料品、摩擦材、接着剤、難燃剤、ろ過材、増粘材等が挙げられる。
《針状無水炭酸マグネシウムの製造方法》
本実施形態の針状無水炭酸マグネシウムの製造方法は、平均長径の平均短径に対する比が5以上である針状中性炭酸マグネシウムを準備する工程、及び二酸化炭素含有雰囲気下にて前記針状中性炭酸マグネシウムを加熱処理する工程を含む。さらに、加熱処理工程の後、前記処理分散液を濾過し、濾取した粉末を乾燥させる乾燥工程を含むことが好ましい。以下、各工程について説明する。
(準備工程)
本工程では、原料粉末として、平均長径の平均短径に対する比が5以上である針状中性炭酸マグネシウム(MgCO・3HO)を準備する。原料粉末である針状中性炭酸マグネシウムの製造方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、水酸化マグネシウムと炭酸ガスとを反応させて重炭酸マグネシウムの水溶液を生成し、続いて加温して針状結晶を生成させる方法等が挙げられる。
水酸化マグネシウム粉末を水に分散させてスラリーを調製する。スラリー濃度は、次工程の炭酸ガスとの反応効率等を考慮して設定すればよく、MgO濃度で1〜20g/L、好ましくは3〜15g/L程度である。このスラリーを10〜40℃程度、好ましくは15〜30℃程度に設定し、炭酸ガスをスラリーに吹き込んで水酸化マグネシウムと炭酸ガスとの炭酸化反応を行うことで重炭酸マグネシウムを得ることができる。炭酸ガスの流量は反応効率等を考慮して適宜設定すればよく、一般的には0.5〜50L/min、好ましくは1〜30L/min程度である。炭酸化反応は、攪拌翼を備える公知の混合機を用いて行うことができる。
次いで、得られた重炭酸マグネシウム溶液を加温し養生する。この養生の間に粒子が針状となるように結晶成長する。加温の温度は、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。目標温度までの昇温速度は、0.1〜10℃/minが好ましく、0.5〜5℃/minがより好ましい。目標温度に達してからの養生(保持)時間は、0.1〜5時間が好ましく、0.5〜3時間がより好ましい。結晶成長も攪拌翼を備える公知の混合機を用いて行うことができる。目的とする粒子のアスペクト比や粒径は、養生の際の加温温度、昇温速度、養生時間及び攪拌速度によって制御することができる。
養生による結晶成長反応の終了後、脱水、乾燥を経ることで原料粉末である針状中性炭酸マグネシウムを得ることができる。
(加熱処理工程)
本工程では、二酸化炭素含有雰囲気下にて前記針状中性炭酸マグネシウムを加熱処理する。反応系内の二酸化炭素濃度を高めた雰囲気下で加熱処理を行うことで、中性炭酸マグネシウムからの水の放出を促進すると同時に、二酸化炭素の放出後の二酸化炭素の取り込みを促進し、針状マグネサイトを効率的に製造することができる。加熱処理は、大気圧下で行ってもよく加圧下でおこなってもよい。
加熱処理雰囲気は、二酸化炭素含有雰囲気である、二酸化炭素含有雰囲気は、二酸化炭素単独でもよく、二酸化炭素と他のガスとの混合ガスであってもよい。二酸化炭素濃度としては、中性炭酸マグネシウムから二酸化炭素の放出した後に再度二酸化炭素が取り込まれる程度の濃度であれば特に限定されない。本実施形態の二酸化炭素含有雰囲気における二酸化炭素濃度は、15体積%以上が好ましく、20体積%以上がより好ましく、25体積%がさらに好ましい。また、二酸化炭素濃度は100体積%(すなわち二酸化炭素単独)が好ましいものの、90体積%以下であってもよく、80体積%以下であってもよい。他のガスとしては、例えば空気や窒素、アルゴン等が挙げられる。
加熱処理を大気圧下で行う場合、450℃以上600℃以下の範囲内の温度で行うことが好ましく、480℃以上580℃以下の範囲内の温度で行うことが好ましい。このような加熱温度により中性炭酸マグネシウムからの水の放出を促進して針状マグネサイトへの相転化を図りつつ、中性炭酸マグネシウムの分解による二酸化炭素の放出を好適に抑制し、より効率良く針状マグネサイトを製造することができる。
上記温度範囲内の目標温度までの昇温速度は0.1〜50℃/minが好ましく、0.5〜20℃/minがより好ましい。さらに、上記温度範囲内の目標温度に達した後、0〜24時間保持することで行うことが好ましく、0.5〜10時間保持することがより好ましい。このような加熱プロセスにより、中性炭酸マグネシウムの分解、及びそれに伴う二酸化炭素の放出を高いレベルで抑制することができる。
本実施形態において、下記式で表される上記加熱処理前後での平均長径減少率は、20%以下であることが好ましく、16%以下であることがより好ましい。
平均長径減少率(%)={(加熱前の平均長径−加熱後の平均長径)/加熱前の平均長径}×100
針状中性炭酸マグネシウムの針状無水炭酸マグネシウムへの相転化の際に水が消失することから、ある程度の体積減少は避けられない。しかしながら、本実施形態の製造方法では二酸化炭素含有雰囲気下で針状中性炭酸マグネシウムの加熱処理を行うので、二酸化炭素放出による体積減少を抑制することができ、針状中性炭酸マグネシウムの体積の大部分を維持したまま針状無水炭酸マグネシウムに相転化することができる。
本実施形態の針状無水炭酸マグネシウムの製造方法は、上記した工程以外の工程を含んでいても良い。例えば、加熱処理工程後、必要に応じて表面処理剤を公知の方法で表面処理する工程を含んでいてもよい。
表面処理剤としては当該用途に用いられる公知の化合物を用いることができる。前記表面処理は、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ土類金属塩、シランカップリング剤、脂肪酸と多価アルコールとからなる高級脂肪酸エステル類、高級脂肪酸アマイド、及びリン酸と高級アルコールとからなるアルコールリン酸エステル類からなる群より選択される少なくとも1種を用いて行われることが好ましい。無機材料は一般的に表面が親水性であるためコンパウンドとなる樹脂等との親和性は低いが、この構成によれば、針状マグネサイトが所定の表面処理剤により処理されているので樹脂等への分散性の向上、樹脂成分との接着性の向上並びにこれによる樹脂組成物及び成形体の物性の維持ないし向上を図ることができる。その他、表面処理剤として界面活性剤も用いることができる。
高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、カプリル酸、ベヘニン酸、モンタン酸等が挙げられる。高級脂肪酸金属塩としては、例えばステアリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、リノール酸塩、ラウリン酸塩、カプリル酸塩、ベヘニン酸塩、モンタン酸塩等が挙げられ、金属の種類には、Na、K、Al、Ca、Mg、Zn、Ba等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニル系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとして、例えばラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、特殊牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリン酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸べへニル、ミリスチン酸セチル等のモノエステルがあり、また例えばネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステルの部分エステル化物、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール中鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオールC9鎖脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステル、コンプレックス中鎖脂肪酸エステル等の耐熱性特殊高級脂肪酸エステルが挙げられる。
アルコールリン酸エステルとしては、モノおよびジ−飽和アルコールのリン酸エステル、例えば、モノ−ステアリルアシッドホスフェイト、ジ−ステアリルアシッドホスフェイト、モノ−ラウリルアシッドホスフェイト、ジ−ラウリルアシッドホスフェイト、モノ−ミリスチルアシッドホスフェイト、ジ−ミリスチルアシッドホスフェイト、モノ−パルミチルアシッドホスフェイト、ジ−パルミチルアシッドホスフェイト、モノ−アラキルアシッドホスフェイト、ジ−アラキルアシッドホスフェイト、モノ−ベヘルアシッドホスフェイト、ジ−ベヘルアシッドホスフェイト、モノ−リグノセリルアシッドホスフェイト、ジ−リグノセリルアシッドホスフェイト等が挙げられ、モノおよびジ−飽和アルコールのリン酸エステルの1種類もしくはそれらの混合物を使用してもよい。
高級脂肪酸アマイドとしては、例えばステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、リノール酸アマイド、ラウリン酸アマイド、カプリル酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、モンタン酸アマイド等が挙げられる。高級アルコールとしては、例えばオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。硬化油としては、例えば牛脂硬化油、ヒマシ硬化油等が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤が好適に使用可能である。非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン誘導体;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル:ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
このような表面処理剤を用いて、針状マグネサイトの表面処理を行うには、公知の乾式法ないし湿式法を適用することができる。乾式法としては、針状マグネサイトの粉末をヘンシェルミキサー等の混合機により、攪拌下で表面処理剤を液状、エマルジョン状、あるいは固体状で加え、加熱又は非加熱下に充分に混合すればよい。湿式法としては、針状マグネサイトの粉末を非水系溶媒スラリーに表面処理剤を溶液状態又はエマルジョン状態で加え、例えば1〜100℃程度の温度で機械的に混合し、その後、乾燥等によって非水系溶媒を除去すればよい。非水系溶媒としては、例えばイソプロピルアルコールやメチルエチルケトン等が挙げられる。表面処理剤の添加量は適宜選択することができるが、乾式法を採用する場合、湿式法に比べて不均一な表面処理レベルとなりやすいため、湿式法よりは若干多めの添加量とした方がよい。具体的には、針状マグネサイト100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲がより好ましい。湿式法を採用する場合、充分な表面処理及び表面処理剤の凝集防止の点から、針状マグネサイト100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲がより好ましい。
表面処理を行った針状マグネサイトは、必要に応じて、水洗、脱水、造粒、乾燥、粉砕、及び分級等供することができる。
《樹脂組成物》
本実施形態における樹脂組成物は、針状マグネサイトを樹脂に配合した樹脂組成物である。樹脂としては、用途などに応じて公知のものを適宜設定することができる。例えば、アクリル系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)系樹脂、ポリエチレン系樹脂(直鎖状ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のαオレフィンとの共重合体)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂、エチレンープロピレン系ゴム、エチレン−プロピレン系ゴム等のポリオレフィン、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレン系樹脂(ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド)、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂がある。無機材料との親和性の観点から、ポリオレフィンが好ましい。なお、これらの樹脂は単独又は複数で用いることも可能である。中でも、樹脂が、ABS系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
上記樹脂組成物では、樹脂100質量部に対し、針状マグネサイトを5質量部以上600質量部以下で配合しており、好ましくは10質量部以上600重量部以下、より好ましくは15質量部以上500重量部以下、さらに好ましくは20質量部以上400重量部以下配合する。本実施形態の針状マグネサイトは、高いアスペクト比を有していることから、樹脂の補強性を向上できる。
上記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に他の添加剤を配合してもよい。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤、可塑剤、立方体形状のマグネサイト等の他の充填剤や補強剤、熱伝導性フィラー、難燃剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、滑剤、老化防止剤、耐候剤、着色剤、硬化促進剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種及び2種以上配合しても良い。上記他の添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわなければ良いとの観点から特に限定されないものの、上記樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部配合するのが好ましい。
針状マグネサイトと樹脂等との混合や充填は、公知の混練方法や充填方法により得ることができ、例えばロール混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸混練機、2軸混練機、遠心式混練機、公転自転式混練機などによって均一に混合される。脱泡効果を付加した装置を用いて樹脂組成物中の気泡を除去しながら混練することもできる。得られた樹脂組成物は、加熱処理又は電子線、紫外線処理等の種々の方法で架橋反応を施してもよい。架橋方法としては化学架橋法、電子線架橋、シラン架橋法などがあげられる。
《成形体》
成形体は、前記樹脂組成物を含む。このような成形体は、樹脂等に所定量の針状マグネサイト等を配合して樹脂組成物とした後、公知の成形方法により得ることができる。このような成形方法としては、押出成形機、射出成形機、ブロー成形機、プレス成形機、カレンダー成形機等、積層成形、ドクターブレード法等で成形される。また得られた成形体は、加熱処理又は電子線、紫外線処理等の種々の方法で架橋反応を施してもよい。架橋方法としては化学架橋法、電子線架橋、シラン架橋法などがあげられる。
本実施形態の成形体は、各種用途に応じて、フィルム状、シート状、板状、塊状、特殊形状等の種々の形態で用いることができる。
成形体は、前記針状マグネサイトを配合した樹脂組成物により形成されているので、高熱伝導性、易加工性、耐熱性、耐水性、高強度等が要求される用途に好適に適用することができる。成形体の用途としては特に限定されず、例えば、自動車用部材(エンジン周り部材、バンパー、ダッシュボード等)、携帯電話用部材(電池周り部材等)等が挙げられる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(原料粉末(中性炭酸マグネシウム:MgCO・3HO)の調製)
MgO濃度7g/Lの水酸化マグネシウムスラリー20Lを20℃で攪拌しながらガス流速15L/minで炭酸ガスを吹き込んだ。水酸化マグネシウムが完全に溶解し、スラリーが透明になったことを確認した後、炭酸ガスの吹き込みを停止し、重炭酸マグネシウム溶液を得た。得られた重炭酸マグネシウム溶液20Lを容積40LのSUS製容器に入れ、攪拌しながら昇温速度1℃/minで60℃まで昇温し、1時間養生した。養生後、懸濁液をろ過し、アルコール洗浄後、半日風乾した後、真空乾燥機を用いて50Pa以下の圧力で24時間乾燥した。得られた粉体は、XRDによる同定及びSEM写真評価の結果、針状のMgCO・3HOであることを確認した。
(針状マグネサイトの調製)
上記の原料粉末350gを角型るつぼ(200mm×200mm×100mm)に充填し、雰囲気炉を使用して二酸化炭素100体積%の雰囲気下で加熱焼成した(大気圧、二酸化炭素流速10L/min)。昇温速度1℃/minで540℃まで昇温し、1時間保持することで焼成を行った。得られた粉体は、XRDによる同定及びSEM写真評価の結果、針状マグネサイト(MgCO)であることを確認した。図1にXRD測定により得られるX線回折パターンのチャートを示す。上段は、XRD測定により得られた実施例1の針状無水炭酸マグネシウムについてのX線回折パターンのチャートであり、下段は、粉末X線回折強度データベースに収載された合成マグネサイトのX線回折パターンのチャートである。上段の実測チャートと下段のデータベースのチャートとがよく対応しており、実施例の結果物がマグネサイトであることが分かる。図2に、実施例1の針状無水炭酸マグネシウムのSEM写真を示す。
<比較例1>
容量100Lの撹拌機付きオートクレーブにMgO濃度4.0%に調整した中性炭酸マグネシウム懸濁液70Lを入れ、撹拌しながら180℃で5時間の水熱処理を行なった。水熱処理後、120℃で8時間乾燥した。得られた粉体は、XRDによる同定及びSEM写真評価の結果、立方体形状の炭酸マグネシウム(MgCO)であることを確認した。
<比較例2>
(原料粉末(中性炭酸マグネシウム:MgCO・3HO)の調製)
実施例1と同じ手順で原料粉末として針状の中性炭酸マグネシウムを調製した。
(針状酸化マグネシウムの調製)
上記の原料粉末350gを角型るつぼ(200mm×200mm×100mm)に充填し、電気炉にて焼成した(大気雰囲気)。昇温速度1℃/minで800℃まで昇温し、3時間保持して焼成を行った。得られた粉体は、XRDによる同定及びSEM写真評価の結果、針状の酸化マグネシウム(MgO)であることを確認した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた粉末について、以下のような分析を行った。各評価結果を表1に示す。
(1)組成評価(XRD測定)
粒子の組成について、X線回折装置(株式会社リガク製、RINT−2500)、統合粉末X線解析ソフトウェア「PDXL2」を用いて測定及び評価を行った。測定条件は、Cu線源(40kV、30mA)であった。
(2)走査電子顕微鏡(SEM写真);一次粒子の平均長径及び平均短径、アスペクト比)
アルミ試料台上に両面テープを貼り付け、その上から試料粉末をスパチュラのヘラでなぞるように塗布した。金蒸着を行った後、試料粉末の粒子像を走査電子顕微鏡(FE−SEM:日立ハイテクノロジーズ社製S−4700)を用いて500倍の倍率で写真を撮影した。
画像解析ソフト(Image J)を用いて、写真中の粒子50個を無作為に選択し、一次粒子の平均長径(μm)及び平均短径(μm)を求めた。ここで、一次粒子の長径は、測定対象粒子の寸法を各方向から測定して、粒子の寸法が最も大きくなる方向の粒子の寸法(すなわち、最長径)とした。一次粒子の短径は、測定対象粒子の寸法を各方向から測定して、粒子の寸法が最も小さくなる方向の粒子の寸法(すなわち、最短径)とした。
得られた平均長径及び平均短径から下記式に基づきアスペクト比を求めた。
アスペクト比=平均長径/平均短径
上記と同様の手順で原料粉末である針状の中性炭酸マグネシウムの平均長径及び平均短径を測定した。得られた値を用い、下記式に基づき平均長径減少率を求めた。
平均長径減少率(%)={(加熱前(原料粉末)の平均長径−加熱後(針状マグネサイト)の平均長径)/加熱前の平均長径}×100
(3)累積50%径
エタノール50mLを100mL容量のビーカーに採り、約0.2gの試料粉末を入れ、3分間の超音波処理(トミー精工社製 UD−201)を施して分散液を調製した。この分散液についてレーザー回折法−粒度分布計(日機装株式会社製 Microtrac HRA Model 9320−X100)を用いて測定を行い、得られた粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)(μm)を求めた。
(4)耐水性(吸水率)
まず、試料粉末1gをペトリ皿に入れ、温度40℃、湿度75%の恒温恒湿槽に試料粉末入りのペトリ皿を入れて30時間保持した。恒温恒湿槽からペトリ皿を取り出し、試料粉末の吸水率を下記式に基づき測定した。目標値は、吸水率が5%以下であれば耐水性が良好であると判断した。
吸水率(%)={(保持後の質量−初期質量)/初期質量}×100
(5)補強性(曲げ弾性率測定)
a.曲げ弾性率測定用成型体の作製
ポリプロピレン樹脂(PP、日本ポリプロ社製、BC6D)100質量部に対して試料粉末15質量部を配合した後に、ラボプラストミル(東洋精機株式会社)を用いて、180℃で5分間、回転数50rpmで溶融混練した後、溶融混練物をシュレッダーで径が約5mm以下にカットしてペレットを作製した。ペレットを射出成型機(株式会社日本製鋼所製、J−50E2)を用いて、出口温度210℃で射出成型し、80mm×10mm×4mmの試験片を得た。
b.曲げ弾性率の測定
得られた試験片についての曲げ弾性率をJIS.K.7171に基づいて測定した。具体的には、インストロン社製3382型を用い、試験法としてひずみ速度を変更しないA法を採用し、試験片は長さ80mm×幅10mm×厚み4mm、支点間距離64mm、試験速度2mm/min、圧子の半径R1=5mm、支持台の半径R2=5mmの条件で行った。目標値は、曲げ弾性率が1.6GPa以上であれば補強性が良好であると判断した。
表1より、実施例で得られた針状マグネサイトでは、補強性及び耐水性のいずれも優れていた。一方、比較例1の炭酸マグネシウムでは、立方体形状であったため、補強性が劣る結果となった。比較例2では、補強性は比較例1より優れていたものの、耐水性が劣る結果となった。以上より、本発明の針状マグネサイトは、各種用途への展開を好適に図ることができる。

Claims (11)

  1. 平均長径の平均短径に対する比が5以上である針状無水炭酸マグネシウム。
  2. 前記平均長径が10μm以上である請求項1に記載の針状無水炭酸マグネシウム。
  3. レーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)が5μm以上200μm以下である請求項1又は2に記載の針状無水炭酸マグネシウム。
  4. 温度40℃、湿度75%の雰囲気下にて30時間保持した後の下記式で表される吸水率が5%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の針状無水炭酸マグネシウム。
    吸水率(%)={(保持後の質量−初期質量)/初期質量}×100
  5. 平均長径の平均短径に対する比が5以上である針状中性炭酸マグネシウムを準備する工程、及び
    二酸化炭素含有雰囲気下にて前記針状中性炭酸マグネシウムを加熱処理する工程
    を含む針状無水炭酸マグネシウムの製造方法。
  6. 前記加熱処理を大気圧下、450℃以上600℃以下の範囲内の温度で行う請求項5に記載の針状無水炭酸マグネシウムの製造方法。
  7. 前記加熱処理を、昇温速度0.1〜50℃/minで前記温度範囲内の温度まで加熱し、前記温度範囲内の温度に達した後0〜24時間保持することで行う請求項6に記載の針状無水炭酸マグネシウムの製造方法。
  8. 下記式で表される前記加熱処理前後での平均長径減少率が20%以下である請求項5〜7のいずれか1項に記載の針状無水炭酸マグネシウムの製造方法。
    平均長径減少率(%)={(加熱前の平均長径−加熱後の平均長径)/加熱前の平均長径}×100
  9. 樹脂100質量部に対し、請求項1〜4のいずれか1項に記載の針状無水炭酸マグネシウムを5〜600質量部配合した樹脂組成物。
  10. 前記樹脂は、ABS系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂のうちの少なくとも1種である請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 請求項9又は10に記載の樹脂組成物を含む成形体。

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