JP2016023114A - 酸化マグネシウム粒子、その製造方法、熱伝導性フィラー、これを用いる熱伝導性樹脂組成物、その成形体及び高熱伝導材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱伝導性と耐湿熱性とに優れた高熱伝導材料を与えうる樹脂組成物、成形体、さらに当該高熱伝導材料における熱伝導性フィラーとして好適に用いることができる酸化マグネシウム粒子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 酸化マグネシウム粒子と、炭酸水素アンモニウムなどの水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)とを水に分散してなるスラリーを水熱処理する、平均粒子径が0.01〜2μmの炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子の製造方法、得られた酸化マグネシウム粒子と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物、前記熱伝導性樹脂組成物を成形してなる高熱伝導性樹脂成形体。
【選択図】 図1
【解決手段】 酸化マグネシウム粒子と、炭酸水素アンモニウムなどの水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)とを水に分散してなるスラリーを水熱処理する、平均粒子径が0.01〜2μmの炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子の製造方法、得られた酸化マグネシウム粒子と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物、前記熱伝導性樹脂組成物を成形してなる高熱伝導性樹脂成形体。
【選択図】 図1
Description
本発明は、熱伝導性と耐湿熱性とを兼ね備えた酸化マグネシウム粒子、熱伝導性フィラー、該酸化マグネシウム粒子の製造方法、該酸化マグネシウム粒子を含有する熱伝導性樹脂組成物およびその成形体、そしてそれを利用した高熱伝導材料に関する。
プラスチック材料は、高耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックの普及に伴い、加えて生産性及び形状の自由度から、金属材料に代わる材料として電気、電子機器や自動車用等の部材として幅広く使用されている。近年、機器の高性能化・小型軽量化が一層求められ、半導体デバイスの高集積化・大容量化が進み、それに伴い部材より発生する発熱量も増大したことから、実装部品・周囲部品の熱伝導性向上は重要な課題となっている。又、電気自動車の電費向上として、リチウムイオン電池、モーター、インバータに使用される絶縁部材の熱伝導性向上が強く求められている。
プラスチック材料の絶縁性を保持し、熱伝導性を付与する方法としては、無機フィラーを添加する技術が知られており、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。窒化ホウ素は高熱伝導性をもつフィラーであるが、コスト面で実用性が低く、又、六方晶の薄片状結晶構造であることより、樹脂組成物中で窒化ホウ素からなるフィラーが配向し、成形体の熱伝導性に異方性が生じてしまう問題がある。窒化アルミは、熱伝導性に異方性はないが、窒化ホウ素と同様にコスト面での実用性が低く、更に容易に加水分解してアンモニアを発生するという問題がある。アルミナはモース硬度が9と高く、押出工程時のスクリュウやペレット化工程時のカッターの刃、及び、射出成形機のスクリュウや金型を摩耗させる問題がある。
酸化マグネシウムは、熱伝導性が比較的高く、異方性も生じないフィラーであり、かつ低コストいう利点もあり、熱可塑性樹脂へ熱伝導性を付与するフィラーとして有望である。しかしながら、酸化マグネシウムは耐湿熱性に劣る。即ち、酸化マグネシウムをフィラーとして含む成形品を高温高湿下に曝露した際、酸化マグネシウムのフィラーの表面から加水分解を起こし、水酸化マグネシウムと変化することで膨張し、成形品の寸法が増大するという問題が起こる。
耐湿熱性を改善する手法として、酸化マグネシウムをアルキルアルコキシシランで乾式表面処理被覆する手法(例えば、特許文献1参照)や、リン酸マグネシウム系化合物で被覆する手法が挙げられている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これら他の化合物で表面処理された酸化マグネシウムからなるフィラーを熱可塑性樹脂に配合し成形品としたものにおいても耐湿熱性の改善効果は不十分であり、例えば、温度121℃/湿度100%/圧力2atmのプレッシャークッカーテストでの結果は、前述の用途等における要求レベルには達していない。
一方、炭酸マグネシウムは熱伝導率が良好な上、熱伝導率の異方性も少なく、モース高度は3.5と低く、かつ低コストで耐湿性も良好であることより、熱伝導フィラーとして有用と考えられる。
一般的に炭酸マグネシウムは天然品と合成品があり、天然品はマグネサイト鉱を粉砕することで得られるが、可溶性塩、酸不溶物、カルシウム塩等の不純物が合成品と比較し多く含まれ、結晶性も低い為、熱伝導性に劣るという問題がある。一方、合成品としては、水酸化マグネシウムを出発原料とし、水酸化マグネシウムスラリーに二酸化炭素ガスを供給し炭酸化させ塩基性炭酸マグネシウム(mMgCO3・Mg(OH)2・nH2O)を得る方法や、可溶性マグネシウム塩を可溶性炭酸塩と混合することで炭酸化させ、正炭酸マグネシウム(MgCO3・3H2O)を得る方法等が知られている。正炭酸マグネシウムは、温水中で長時間保持する熟成工程等を経ることで塩基性炭酸マグネシウムへと転化する。塩基性炭酸マグネシウムや正炭酸マグネシウムは酸化マグネシウムやアルミナと比較し熱伝導率が低い上、エンジニアリングプラスチック中に高充填した場合、250℃以上の高温での加工域において含有する結晶水が放たれ、発泡や吐出不安定等の加工性に悪影響を及ぼす懸念がある。そこで、エンジニアリングプラスチック用熱伝導性フィラーとして、塩基性炭酸マグネシウム、中性炭酸マグネシウムを出発原料とし、オートクレーブ中で水熱処理した後に乾燥して得られる、無水炭酸マグネシウムが提供されている(例えば、特許文献3参照)が、依然として熱伝導性フィラーとしての実用レベルには到達しておらず、さらなる改良が求められている。
上記実情に鑑み、本発明の課題は、熱伝導性と耐湿熱性とに優れた高熱伝導材料を与えうる樹脂組成物、成形体、さらに当該高熱伝導材料における熱伝導性フィラーとして好適に用いることができる酸化マグネシウム粒子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸化マグネシウム粒子と水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物とを水に分散してなるスラリーを水熱処理して得られる、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子が、高い熱伝導性を保ちつつ、樹脂へ配合し加工する場合での加工性が良好で、得られる成形体の耐湿熱性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、酸化マグネシウム粒子と水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物とを水に分散してなるスラリーを水熱処理することを特徴とする酸化マグネシウム粒子の製造方法、に関する。
また、本発明は、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子、に関する。
また、本発明は、前記酸化マグネシウム粒子と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物、に関する。
また、本発明は、前記酸化マグネシウム粒子と樹脂とを含有する熱伝導性樹脂組成物、に関する。
また、本発明は、前記熱伝導性樹脂組成物を成形してなる高熱伝導性樹脂成形体、に関する。
本発明により、高熱伝導性と熱伝導の低異方性を併せ持ち、かつ硬度も低く、耐湿熱性も良好な成形体を与える酸化マグネシウム粒子を得ることができる。また、該酸化マグネシウム粒子を熱伝導フィラーとして含有する樹脂組成物は、流動性を損なうことなく容易に成形加工が可能であり、高い熱伝導性と耐湿熱性を併せ持ち、高温高湿下に長期曝露した場合おいても、良好な外観の維持が可能な成形体を得ることができる。従って、本発明の樹脂組成物及びその成形体は、より薄肉化、複雑形状化が望まれている高熱伝導材料に適しており、例えば、電気電子部品、自動車部品、給湯機部品、繊維、フィルム用途などに好適に用いることができる。
[酸化マグネシウム粒子]
本発明は、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子(以下、「被覆酸化マグネシウム粒子」と略すことがある)である。
本発明は、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子(以下、「被覆酸化マグネシウム粒子」と略すことがある)である。
酸化マグネシウムは一般的に常温・常圧下、大気中の水蒸気に接する事で序々に加水分解し、水酸化マグネシウムMg(OH)2へ変化することが知られている。また、この最表層のMg(OH)2は、大気中の二酸化炭素と反応し、炭酸マグネシウムへと変化する。これらの反応は常温常圧下においては、極めて長い期間をかけての変化である。また、水酸化マグネシウムあるいは炭酸マグネシウムを出発原料として、600℃程度の低温で焼成して得た酸化マグネシウムは比較的これらの反応が容易に起こり得るのに対し、1000℃以上の高温で加熱されたものはより密度が高く、安定となりこれらの反応が進行しにくい。即ち、酸化マグネシウムの焼成条件によっても反応性が異なり、かつ酸化マグネシウムが容器に充填されている場合、外気に接触している箇所と、最内部の粒子同士が接触した箇所を比較した場合においても反応性が異なってくる。従って、酸化マグネシウムからの水酸化マグネシウム、更には炭酸マグネシウムへの変化量の調整は極めて難しい。一方で、本発明では、工業的に短時間で酸化マグネシウムの形状を維持しながら、定量的に炭酸マグネシウムへと改質するものである。
即ち、本発明は、酸化マグネシウムの表面を、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子で被覆することにより、酸化マグネシウム粒子自体の保存安定性の向上や、これを含有する成形体に対し、耐湿熱性や熱伝導性の向上を目的としてなされたものである。
本発明被覆酸化マグネシウム粒子の粒子径としては、特に限定されるものではないが、例えば、フィラーとしての取り扱いが良好である点、これを含有する成形体が熱伝導性と耐湿熱性に優れる観点より、平均粒子径が、1〜200μmの範囲であることが好ましい。なお、本発明における粒子径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし前処理として超音波分散を5分実施後測定した値である。
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子を熱伝導性フィラーとして使用する場合、一般的にフィラーの平均粒子径が大きい程、樹脂と混合した場合の樹脂/フィラー界面の面積が低減することによる高熱伝導化が期待できる。また、本発明のような、熱伝導率の異方性が低く球状の形態をしたフィラーは、熱伝導率の高い繊維状の高結晶性フィラーとの併用の際、球状フィラーと繊維状の高結晶フィラーが接することによる熱伝導パスを形成し得るが、この際に球状フィラーの粒子径が大きい程、効率的な熱伝導パス形成が期待できる。この様な観点より、球状の熱伝導性フィラーを高充填した際に発現する熱伝導率より、より高い熱伝導率を有する成形体を得ようとする場合には、大粒子径のフィラーであることが求められる。
このような観点から、本発明の被覆酸化マグネシウム粒子においても、その平均粒子径が20μm以上の範囲のものであることがより好ましく、特に30μm以上の範囲のものであることがさらに好ましい。
また、平均粒子径が大きいと、樹脂に混合して成形体を得ようとする場合、熱伝導性は良好となるが、その配合割合によっては、耐衝撃性や曲げ強度等の機械的な物性が十分で発揮されなくなったり、特に薄膜の成形体における表面で突起状として外観を不良とすることがあったりすることがある。これらの観点から、その平均粒子径が100μm以下の範囲のものであることがより好ましく、特に90μm以下の範囲のものであることがさらに好ましい。
なお、後述するように酸化マグネシウムの水熱処理によって本発明の被覆酸化マグネシウム粒子を製造する場合においては、原料として用いる酸化マグネシウム粒子の粒径が得られる被覆酸化マグネシウム粒子の粒径に維持される。従って、用途に応じて熱伝導性フィラーとして粒子径を選択する場合、同様の粒子径を有する酸化マグネシウム粒子を原料として用いれば容易である。
熱伝導性フィラーとしての低異方性の観点や、得られる成形体の物性の均質性の観点から、本発明の被覆酸化マグネシウム粒子の粒子径分布幅は、変動係数が0.5以下であることが好ましい。なお、粒子径分布幅の評価として用いた変動係数は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし測定した粒度分布において、(d84%−d16%)/2で求めた標準偏差を平均粒子径で割ることで求められる値である。なお、得られた粒子の粒度分布を累積で表した時、全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが、体積基準で84%、16%となる点の粒子径をそれぞれ「d84%」径、「d16%」径(μm)として算出し、上記変動係数の式に代入するものとする。
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子を上記範囲のものとする方法としては、後述する水熱処理において原料として用いる酸化マグネシウム粒子の粒径分布幅を調節することや、水熱処理後の乾燥・粉砕工程において、分級工程を組み入れる方法等が挙げられる。また、原料として用いる酸化マグネシウム粒子は、粒度分布幅の変動係数が0.5以下のものを用いることが好ましい。
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子は、被覆している炭酸マグネシウムの割合を、目的に応じて設定することが可能であり、具体的には、粒子中の炭酸マグネシウムの含有率を1〜50質量%でコントロールすることができる。特に熱伝導性と耐湿熱性とをバランスよく兼備させた成形体を容易に得ることができる観点より、前記炭酸マグネシウムの含有率としては、5〜50質量%の範囲のものを用いることが好ましく、さらに、高い耐湿熱性と熱伝導率を両立できることから、5〜30質量%の範囲のものがより好ましい。
後述する、酸化マグネシウム粒子の水熱処理で本発明の被覆酸化マグネシウム粒子を製造する場合、最初、酸化マグネシウム粒子の表層が加水分解し水酸化マグネシウムとなる。水酸化マグネシウムは水中でマグネシウムイオンと水酸化物イオンへと分解するが、系内に水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)に由来する二酸化炭素、炭酸水素イオン、炭酸イオンが存在することから、瞬時に反応し、酸化マグネシウムの粒子の表面に炭酸マグネシウムが微粒子状に析出する。その結果として酸化マグネシウムが炭酸マグネシウム微粒子で被覆されることになる。なお、析出する炭酸マグネシウム粒子の大きさは、0.01〜2μmの範囲のものであることが好ましい。このようにして得られる炭酸マグネシウムからなる被覆層を有する酸化マグネシウム粒子は、完全な球形でないものも含み、表面に凹凸をもつ場合もある。
被覆している炭酸マグネシウムとしては、熱伝導性フィラーとして好適に用いられる観点より、無水炭酸マグネシウムを30質量%以上の割合で含むものであることが好ましい。後述する水熱処理で製造する場合、当初加水分解されたマグネシウムイオンと水酸化物イオンは、二酸化炭素の存在によって、4水和物の塩基性炭酸マグネシウム(4MgCO3・Mg(OH)2・4H2O)として析出する。この塩基性炭酸マグネシウムは、250℃付近で結晶水を放出する。即ち、例えば、10℃/minの昇温速度条件にてTG分析を行った場合、250℃付近より減量開始のピークが認められる。この結晶水を放出する温度は、主要なエンジニアリングプラスチックの加工温度(300℃以上)よりも低い為、押出加工する際に水が脱離し、発泡やサージング等、加工性に悪影響を及ぼす可能性があり得る為、より少ないことが望ましい。
水熱処理をさらに継続すると、この塩基性炭酸マグネシウムは、無水炭酸マグネシウムに変化させることができる。
上記のように、塩基性炭酸マグネシウムは、特にエンジニアリングプラスチックに用いる熱伝導性フィラーとしてはあまりふさわしくない観点より、本発明の酸化マグネシウム粒子を被覆している炭酸マグネシウム中、無水炭酸マグネシウムの含有率は30質量%以上であることが好ましく、特に50質量%以上であることが好ましい。
本発明において、酸化マグネシウムを被覆している炭酸マグネシウムが、塩基性炭酸マグネシウムであるか、または無水炭酸マグネシウムであるかの判別方法としては、X線回折分析による回折角2θのピークを読み取る方法が挙げられる。被覆物が4水和物の塩基性炭酸マグネシウムである場合、2θが15°の位置にピークを読み取ることができる。一方、被覆物が無水炭酸マグネシウムである場合、2θが33°の位置にピークを読み取る事ができる。
被覆物が4水和物の塩基性炭酸マグネシウムである場合、100℃から300℃にかけて結晶水を放出し、無水炭酸マグネシウムと水酸化マグネシウムへと分解する(4MgCO3・Mg(OH)2・4H2O→4MgCO3+Mg(OH)2+4H2O)。また、350℃から500℃にかけて水酸化マグネシウムが酸化マグネシウムと水へ分解する(Mg(OH)2→MgO+H2O)反応と、無水炭酸マグネシウムが熱分解し酸化マグネシウム、及び二酸化炭素となる(MgCO3→MgO+CO2)反応が起こる。10℃/minの昇温速度条件にてTG分析を行うと、250℃付近、450℃付近で減量のピークが認められる。
被覆物が塩基性炭酸マグネシウムである場合、粒子中の炭酸マグネシウム量(wt%)は、以下の式で求めることとする。
(TG分析により得られるX(℃)の減量値−150℃の減量値)×(466/72)
(TG分析により得られるX(℃)の減量値−150℃の減量値)×(466/72)
上記式中、Xは300℃から350℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度とする。また、上記式中、466はMgの原子量を24、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Oの原子量を16とした場合の、4水和物塩基性炭酸マグネシウム4MgCO3・Mg(OH)2・4H2Oの分子量、72は4H2Oの分子量である。
被覆物が無水炭酸マグネシウムである場合、被覆酸化マグネシウム粒子の炭酸マグネシウム量(wt%)は、以下の式で求めることとする。
(TG分析により得られる800℃の減量値−Y(℃)の減量値)×(84/44)
上記式中、Yは400℃から500℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度とする。
(TG分析により得られる800℃の減量値−Y(℃)の減量値)×(84/44)
上記式中、Yは400℃から500℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度とする。
また、上記式中、84はMgの原子量を24、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Oの原子量を16とした場合の、無水炭酸マグネシウムMgCO3の分子量、44は二酸化炭素の分子量である。
[水熱処理]
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子を製造する方法としては、酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)とを水に分散してなるスラリーを水熱処理する方法が挙げられる。以下、詳述する。
まず始めに、原料として酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)を水中にて撹拌して、該酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)が水中に分散してなるスラリーを調製する。
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子を製造する方法としては、酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)とを水に分散してなるスラリーを水熱処理する方法が挙げられる。以下、詳述する。
まず始めに、原料として酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)を水中にて撹拌して、該酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)が水中に分散してなるスラリーを調製する。
本発明で原料として用いる酸化マグネシウム粒子は、水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムを焼成して得たもの等が挙げられるが、いかなる製法で得られたものを使用しても構わない。又、平均粒子径、最大粒子径、アルミナ・酸化鉄等の不純物量に特に制限は無いが、好ましくは20〜100μm、より好ましくは30〜70μmの平均粒子径である酸化マグネシウムを用いることで、高熱伝導率のみならず、高流動性を与える樹脂組成物及び良機械物性を有する成形体を得る事ができる。即ち、原料として用いる酸化マグネシウム粒子の平均粒子径、及びその分布幅は、水熱処理中に維持されることになる。
後述する水熱処理工程では、酸化マグネシウム粒子に対する水の仕込み量が少ない程、炭酸マグネシウムへの変化速度が小さくなる。これは酸化マグネシウムが加水分解し、水酸化マグネシウムとなり、水中へマグネシウムイオンと水酸化物イオンへと分解し水へ溶出する際、水の量によりマグネシウムが溶出する量が異なる為である。炭酸マグネシウムへの変化量が増すにつれ、酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムで被覆され、酸化マグネシウムが露出する面積が減少することで、マグネシウムイオンの溶出速度は徐々に減少し、その結果炭酸マグネシウムへの変化速度が小さくなる。
また、酸化マグネシウム粒子に対する水の量が少ない程、スラリーの粘度が上昇し、水熱処理後の濾過や洗浄工程の生産性が低下する。酸化マグネシウム粒子が水により加水分解する工程において、等モル量より過剰に水を加える事で、水熱反応時のスラリー流動性が向上し、作業性が大幅に向上する。ただし、水の量が多すぎると、取れ高が小さくなり生産性が低下する。
従って、十分な炭酸マグネシウムへの改質量が得られ、かつ作業性、生産性が良好である条件としては、酸化マグネシウム粒子100質量部に対し、水の量が50〜2000質量部の範囲が好ましく、さらに100〜1500質量部がより好ましく、150〜1000質量部が最も好ましい。
また、酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)とを分散させて、スラリーを調製する際の水温としては、当該化合物(B)が分解しない温度であることが好ましく、具体的には50℃以下であることが好ましい。原料の酸化マグネシウム粒子と当該化合物(B)を分散させる順序は特に限定はなく、酸化マグネシウム粒子と当該化合物(B)とを水に分散させてスラリーを調製しても、また、酸化マグネシウム粒子を水に分散させた後、当該化合物(B)を加えてスラリーを調製しても、さらに、当該化合物(B)を水に分散させた後、酸化マグネシウム粒子を加えてスラリーを調製しても良い。
本発明に用いる、水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)としては、低温(例えば、50℃以下、より好ましくは30℃以下)で水に可溶で、その後、水溶液を加熱することで分解し、二酸化炭素を生成する化合物であればいずれのものであってもよく、例えば、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、尿素等が挙げられる。該スラリーに添加する当該化合物(B)の割合は、前記酸化マグネシウム粒子100モルに対し、1〜60モルの範囲であることが好ましく、さらに5〜30モルの範囲であることがさらに好ましい。
前記化合物(B)は、前記化合物(B)の分解によりアンモニアまたはアンモニウム塩が生成するが、分子サイズが大きいため、生成したアンモニアまたはアンモニウム塩は、炭酸マグネシウム表面を被覆する炭酸マグネシウム微粒子中に固溶体を形成しない。このため、アルカリ金属の存在が好ましくない用途に用いる場合に後処理として必須であった水洗処理を、本発明では必須工程とする必要がなく、したがって表面に被覆した炭酸マグネシウム微粒子の脱離も防止でき、耐湿性の低下を抑制することができる。
さらに、上記のようにして得られたスラリーに対して水熱処理を行う。ここで、水熱処理とは、酸化マグネシウム粒子と前記化合物(B)を水中にて分散してなるスラリーを、前記化合物(B)の分解により生成した二酸化炭素が酸化マグネシウム粒子と反応する温度以上の温度範囲で改質処理を行うことをいうものである。当該温度範囲として具体的には、100℃以上、好ましくは100℃以上かつ270℃以下の範囲が好ましい。
水熱処理することで、前述のように酸化マグネシウム粒子の表層が加水分解し水酸化マグネシウムとなる。水酸化マグネシウムは水の存在によって、水中にマグネシウムイオンと水酸化物イオンとになるが、水中には前記化合物(B)を添加していることから、生成した二酸化炭素と酸化マグネシウムが反応して酸化マグネシウム粒子の表面で炭酸マグネシウムとして析出する。したがって、炭酸マグネシウムへの変化量は水熱処理時間と、酸化マグネシウムに対する水の仕込み量、前記化合物(B)の量で調整する事ができる。
水熱処理時間を長くする事、前記化合物(B)の添加量を増やす事で、炭酸マグネシウムへの変化量は増大する。炭酸マグネシウムの熱伝導率が酸化マグネシウムに比較し小さい為、粒子中の、炭酸マグネシウム体積量が酸化マグネシウム体積量に占める割合が大きくなる程、熱伝導率はやや低下する傾向を示すが、一方でこれを熱伝導性フィラーとして用いて得られる成形体の耐湿熱性は良好となる。
例えば、酸化マグネシウムの耐湿性改善のために、質量換算で20%以上を炭酸マグネシウムとする方法としては、水熱処理する時間を1時間以上とすることが好ましい。処理温度も炭酸マグネシウムへの変化量に影響を与えるものであり、同じく20%以上を変化させるには、100〜220℃の範囲で処理を行うことが好ましい。
また、前記水熱処理において、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種熱伝導フィラー、充填剤を加えることができる。熱伝導フィラーとしては、例えば、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ベーマイト、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、結晶性酸化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、炭素繊維などが挙げられる。また、充填剤としては、例えば、タルク、酸化ケイ素、珪藻土、ドロマイト、クレー、マイカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。このような他の粒子を併用して水熱処理することで、得られる熱伝導性フィラーがあらかじめ混合されたものとして得ることができ、後の樹脂組成物を調製する際の煩雑性を軽減することが可能となる。
また、前記水熱処理において、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、分散性、疎水性の更なる向上等を目的として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤、水溶性樹脂、及び従来公知の各種添加剤を加えることができる。これらは水熱処理時においては水溶性であることが望ましく、例えば信越シリコーン製のKBM−903、KBE−903、味の素ファインテクノ製のプレンアクトKR ETなどが好ましく用いられる。
以上説明した本発明の製造方法は、該化合物(B)が水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成するという性質を利用するものである。すなわち、当該化合物(B)の分解反応の活性化エネルギー(活性化障壁)を超える直前まで、水中で酸化マグネシウム粒子(A)と当該化合物(B)とを撹拌し、互いに近傍に配置しておき、その後、当該活性化エネルギーを超える熱エネルギーを付与して、いわば、二酸化炭素の発生と、発生した二酸化炭素による酸化マグネシウムとの反応を反応系内で同時かつ一律に進行させることができ、その結果、酸化マグネシウム粒子表面を薄くかつ均一に炭酸マグネシウムで被覆することができる。このようにして得られた炭酸マグネシウム被覆酸化マグネシウム粒子は、高熱伝導率と耐湿性を両立することができ、熱伝導性フィラーとして以下のように用いることができる。
[樹脂組成物]
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子は、各種樹脂に配合して樹脂組成物とすることができる。配合する樹脂としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のどちらでもよく、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂及びその変性物、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレートやポリエチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレンゴム−スチレン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリルニトリル、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6T−PA、9T−PA、MXD6−ナイロンなどのポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル酸樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンなどの塩素樹脂、ポリフッ化ビニルやポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、メチルペンテン樹脂、セルロース樹脂等、ならびにオレフィン系エラストマー、グリシジル変性オレフィン系エラストマー、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。この中でも特に電気電子部材に用いられる、いわゆるエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂にも好適に配合することが可能である。エンジニアリングプラスチックとしては、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン9T、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子は、各種樹脂に配合して樹脂組成物とすることができる。配合する樹脂としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のどちらでもよく、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂及びその変性物、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレートやポリエチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレンゴム−スチレン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリルニトリル、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6T−PA、9T−PA、MXD6−ナイロンなどのポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル酸樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンなどの塩素樹脂、ポリフッ化ビニルやポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、メチルペンテン樹脂、セルロース樹脂等、ならびにオレフィン系エラストマー、グリシジル変性オレフィン系エラストマー、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。この中でも特に電気電子部材に用いられる、いわゆるエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂にも好適に配合することが可能である。エンジニアリングプラスチックとしては、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン9T、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物の主成分が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱硬化性樹脂を添加することや、逆に主成分が熱硬化性樹脂の場合に熱硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。
前記被覆酸化マグネシウム粒子の配合量としては、樹脂の種類、樹脂組成物中の他の成分、所望の熱伝導率の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、熱可塑性樹脂に配合する場合、熱可塑性樹脂100質量部中、30〜500質量部の範囲で配合することが好ましく、50〜450質量部の範囲で配合することがより好ましく、100〜400質量部の範囲で配合することがより好ましい。
[その他の熱伝導フィラー]
前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種熱伝導フィラーを含有しても良く、例えば、窒化ホウ素、窒化アルニウム、酸化マグネシウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ベーマイト、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、結晶性酸化ケイ素、炭化ケイ素及びこれらの複合した化合物、金属シリコーン、黒鉛、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、金属繊維(ステンレス繊維等)、窒化ケイ素ウイスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカ-、ボロン繊維、テトラポット状酸化亜鉛ウイスカー、カーボンナノチューブ、オイルファーネスカーボンブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。
前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種熱伝導フィラーを含有しても良く、例えば、窒化ホウ素、窒化アルニウム、酸化マグネシウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ベーマイト、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、結晶性酸化ケイ素、炭化ケイ素及びこれらの複合した化合物、金属シリコーン、黒鉛、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、金属繊維(ステンレス繊維等)、窒化ケイ素ウイスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカ-、ボロン繊維、テトラポット状酸化亜鉛ウイスカー、カーボンナノチューブ、オイルファーネスカーボンブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。
[その他の充填剤]
また、前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種充填剤を含有しても良く、例えば、タルク、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、クレー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、無水炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄、アスベスト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ワラストナイト、ムライト、コージェライト、ホルステナイト、石英粉、アルミ粉、ジルコニア粉、セルロース繊維、麻等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の合成繊維、鉱物繊維(ロックウール等)などが挙げられる。
また、前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種充填剤を含有しても良く、例えば、タルク、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、クレー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、無水炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄、アスベスト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ワラストナイト、ムライト、コージェライト、ホルステナイト、石英粉、アルミ粉、ジルコニア粉、セルロース繊維、麻等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の合成繊維、鉱物繊維(ロックウール等)などが挙げられる。
[その他の添加剤]
また、前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、金属石鹸、スチレン系オリゴマー、ポリアミド系オリゴマー、重合開始剤、重合禁止剤、チタン系架橋剤、ジルコニア系架橋剤、その他の架橋剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン等)、結晶核剤、キレート剤、イオン交換剤、分散剤、酸化防止剤、無機顔料、有機顔料等をあげることができる。
また、前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、その用途に応じて従来公知の各種添加剤を含有しても良く、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、金属石鹸、スチレン系オリゴマー、ポリアミド系オリゴマー、重合開始剤、重合禁止剤、チタン系架橋剤、ジルコニア系架橋剤、その他の架橋剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン等)、結晶核剤、キレート剤、イオン交換剤、分散剤、酸化防止剤、無機顔料、有機顔料等をあげることができる。
また、前記樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、疎水性を更に向上させる目的で、シランカップリング剤、またはチタネートカップリング剤などにより、表面処理を施してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロプルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N,N−ジアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルフォスフェート)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルフォスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)フォスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチレンチタネートなどが挙げられる。
本発明の被覆酸化マグネシウム粒子を樹脂に配合するには、公知慣用の方法を用いればよく、例えば、プラネタリミキサー、ディスパー、遊星型ミキサー、三本ロール、リボンブレンダー、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、加圧ニーダー、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法により行うことができる。被覆酸化マグネシウム粒子、樹脂およびその他の添加剤の混練機への供給方法は特に制限されない。ドライブレンドによる一括供給でもよく、また個別の供給機を用い各添加剤を個別に供給しても良い。また、予め被覆酸化マグネシウム粒子と樹脂のマスターバッチを作製した後、混練機で樹脂と混合希釈しても良いし、マスターバッチを用いず、全量を一括混合し混練してもよい。
[成形体]
本発明の樹脂組成物を成形することで、成形体を得ることができる。成形体を成形する方法については、特に限定されない。樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、種々の重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、重合禁止剤などを樹脂組成物に配合することができる。板状の製品を製造するのであれば、押出成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、異形押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて成形体を製造する事ができる。
本発明の樹脂組成物を成形することで、成形体を得ることができる。成形体を成形する方法については、特に限定されない。樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、種々の重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、重合禁止剤などを樹脂組成物に配合することができる。板状の製品を製造するのであれば、押出成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、異形押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて成形体を製造する事ができる。
樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、射出成型(射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成型)はもとより、各種押出(コールドランナー方式、ホットランナー方式)、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、及び超高速射出成形などの射出成形法)による各種異形押出成形品、また種々の押出成形によるシート、フィルム、繊維などの形で用いることもできる。また、シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども用いることができる。さらに、特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また、回転成形やブロー成形などにより中空成形品とすることも可能である。
本発明の成形体は、用途によってどのような形状であってもよく、三次元の立体形状でも、シート・フィルム・繊維状でも構わない。また、成形体の一部、又は数箇所を加熱処理する事により溶融させ、樹脂や金属基板に接着して用いても構わない。樹脂や金属基板に塗布する塗膜であってもよく、積層体を形成してもよい。また、シート・フィルム・繊維状の成形体につき、アニール処理、エッチング処理、コロナ処理、プラズマ処理、シボ転写、切削、表面研磨などの二次加工を行っても構わない。
[高熱伝導材料]
上記樹脂組成物を高熱伝導材料とする場合、例えば、接着剤、封止材、塗料、インキ等に用いることができる。また、成形体を高熱伝導材料とする場合、目的とする用途、たとえば電子電機部材等の形状に合わせて加工を行えばよい。
上記樹脂組成物を高熱伝導材料とする場合、例えば、接着剤、封止材、塗料、インキ等に用いることができる。また、成形体を高熱伝導材料とする場合、目的とする用途、たとえば電子電機部材等の形状に合わせて加工を行えばよい。
本発明の高熱伝導材料は、熱伝導性と耐湿熱性に優れることから、様々な用途に好適に使用することが可能である。例えば、電気・電子部品、自動車部品、照明用部品、給湯機部品、航空機部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明はこの記述に限定されるものではないことは言うまでもない。
実施例1〜2
〈被覆酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)50g、水150g(水/酸化マグネシウム粒子比=3.0)、実施例1では炭酸水素アンモニウム9.875(10mol%)を、実施例2では、19.75g(20mol%)を、0.5Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら30分かけ220℃まで昇温させた。220℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子(1)〜(2)を得た。
〈被覆酸化マグネシウム粒子の製造〉
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)50g、水150g(水/酸化マグネシウム粒子比=3.0)、実施例1では炭酸水素アンモニウム9.875(10mol%)を、実施例2では、19.75g(20mol%)を、0.5Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら30分かけ220℃まで昇温させた。220℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子(1)〜(2)を得た。
実施例3
実施例2と同様に0.5Lオートクレーブに原料を仕込んだ後、攪拌しながら30分かけ160℃まで昇温させた。160℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子(3)を得た。
実施例2と同様に0.5Lオートクレーブに原料を仕込んだ後、攪拌しながら30分かけ160℃まで昇温させた。160℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子(3)を得た。
実施例4
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)50g、水150g(水/酸化マグネシウム粒子比=3.0)、尿素7.5g(10mol%)を0.5Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら30分かけ220℃まで昇温させた。220℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子(4)を得た。
酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアル製「RF−98」、レーザー回折による平均粒子径 56μm)50g、水150g(水/酸化マグネシウム粒子比=3.0)、尿素7.5g(10mol%)を0.5Lオートクレーブに仕込み、攪拌しながら30分かけ220℃まで昇温させた。220℃まで到達後、攪拌しながら1時間保持し、酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成させた。1時間保持が終了後、30℃まで冷却し、被覆層を形成した酸化マグネシウムを含有するスラリーをオートクレーブより取り出した。これを濾過後120℃で4時間乾燥させ、白色粉状の被覆酸化マグネシウム粒子(4)を得た。
実施例5〜8
〈PPSコンパウンドの製造〉
実施例1〜4で得られた被覆酸化マグネシウム粒子(1)〜(4)40体積%をそれぞれ、ポリフェニレンサルファイド樹脂(DIC株式会社製LR−110G、300℃の溶融粘度10Pa・s)60体積%と配合し、スクリュウ径30mm、L/D52の二軸混練押出機を用い、設定温度330℃、スクリュウ回転数200rpm、吐出量20kg/hの条件で溶融混練して、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物(1)〜(4)(以下、PPSコンパウンド(1)〜(4)と言う)を製造した。
〈PPSコンパウンドの製造〉
実施例1〜4で得られた被覆酸化マグネシウム粒子(1)〜(4)40体積%をそれぞれ、ポリフェニレンサルファイド樹脂(DIC株式会社製LR−110G、300℃の溶融粘度10Pa・s)60体積%と配合し、スクリュウ径30mm、L/D52の二軸混練押出機を用い、設定温度330℃、スクリュウ回転数200rpm、吐出量20kg/hの条件で溶融混練して、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物(1)〜(4)(以下、PPSコンパウンド(1)〜(4)と言う)を製造した。
比較例1、2
〈比較試験用のPPSコンパウンドの製造〉
「実施例1で得られた被覆酸化マグネシウム粒子」の代わりに、無水炭酸マグネシウム(神島化学工業株式会社製「MSPS」)または酸化マグネシウム「RF−98」を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、比較試験用のPPSコンパウンド(5)、(6)を製造した。
〈比較試験用のPPSコンパウンドの製造〉
「実施例1で得られた被覆酸化マグネシウム粒子」の代わりに、無水炭酸マグネシウム(神島化学工業株式会社製「MSPS」)または酸化マグネシウム「RF−98」を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、比較試験用のPPSコンパウンド(5)、(6)を製造した。
各種評価は以下の方法で行った。
〔被覆酸化Mg粒子の平均粒子径とその分布幅〕
レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし前処理として超音波分散を5分実施後、粒度分布を測定した。また粒子径分布幅の評価として、変動係数は(d84%−d16%)/2で求めた標準偏差を平均粒子径で割ること得られた変動係数を用いた。
〔被覆酸化Mg粒子の平均粒子径とその分布幅〕
レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、水を溶媒とし前処理として超音波分散を5分実施後、粒度分布を測定した。また粒子径分布幅の評価として、変動係数は(d84%−d16%)/2で求めた標準偏差を平均粒子径で割ること得られた変動係数を用いた。
〔被覆酸化Mg粒子の質量測定/TG−DTA分析〕
被覆酸化マグネシウム粒子中の被覆層(炭酸マグネシウム)の質量分率を以下の方法で測定した。
TG分析による減量値、分解温度等の値は全て、エスアイアイ・ナノテクノロジー製EXSTAR−6300を用い、空気中下(200ml/min)、試料量5mg、昇温条件を10℃/minにて測定した。
被覆酸化マグネシウム粒子中の被覆層(炭酸マグネシウム)の質量分率を以下の方法で測定した。
TG分析による減量値、分解温度等の値は全て、エスアイアイ・ナノテクノロジー製EXSTAR−6300を用い、空気中下(200ml/min)、試料量5mg、昇温条件を10℃/minにて測定した。
塩基性炭酸マグネシウム量A=(TG分析により得られるX(℃)の減量値−150℃の減量値)×(466/72)
無水炭酸マグネシウム量B=(TG分析により得られる800℃の減量値−Y(℃)の減量値)×(84/44))
無水炭酸マグネシウム含有率(%)=(B/(A+B))×100
X:300℃から350℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
Y:400℃から500℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
無水炭酸マグネシウム量B=(TG分析により得られる800℃の減量値−Y(℃)の減量値)×(84/44))
無水炭酸マグネシウム含有率(%)=(B/(A+B))×100
X:300℃から350℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
Y:400℃から500℃の間で、250℃付近より始まる減量ピークの終点以降の温度
〔被覆層(炭酸Mg)の粒子径・成分分析/蛍光X線分析〕
実施例1〜4で得られた被覆酸化マグネシウム粒子(1)〜(4)を、SEM装置(日本電子株式会社製「JSM−6360A」)により測定した。得られた画像のうち、酸化マグネシウム粒子表面の被覆層を構成する微粒子を無作為に30点ほど選択して、当該微粒子の数平均粒子径を算出した。
そのうち、実施例1のSEM写真を図1、図2に示す。
実施例1〜4で得られた被覆酸化マグネシウム粒子(1)〜(4)を、SEM装置(日本電子株式会社製「JSM−6360A」)により測定した。得られた画像のうち、酸化マグネシウム粒子表面の被覆層を構成する微粒子を無作為に30点ほど選択して、当該微粒子の数平均粒子径を算出した。
そのうち、実施例1のSEM写真を図1、図2に示す。
〔熱伝導率〕
実施例5〜8、比較例1、2で得られたPPSコンパウンド(1)〜(6)を140℃ギアオーブンで2時間乾燥後、金型に試料を載せ、加熱プレス機にて2MPaの圧力をかけ300℃で5分間余熱後、30MPaの圧力をかけ300℃で2分間プレスを行い、その後冷却プレスにかけ、室温まで冷却した後、試験片を取り出し、厚み1mm×長辺110mm×短辺70mmの平板状のプレートを製造した。その後、該プレートの中心部を10mm×10mm角に切り取り、熱伝導性評価用試験片を作成した。熱伝導性の評価は、測定開始温度25℃で、キセノンフラッシュ熱伝導率計(Bruker AXS社製 LFA447)を用い、ISO22007−4に基づき、熱伝導率(W/m・K)を求めた。
実施例5〜8、比較例1、2で得られたPPSコンパウンド(1)〜(6)を140℃ギアオーブンで2時間乾燥後、金型に試料を載せ、加熱プレス機にて2MPaの圧力をかけ300℃で5分間余熱後、30MPaの圧力をかけ300℃で2分間プレスを行い、その後冷却プレスにかけ、室温まで冷却した後、試験片を取り出し、厚み1mm×長辺110mm×短辺70mmの平板状のプレートを製造した。その後、該プレートの中心部を10mm×10mm角に切り取り、熱伝導性評価用試験片を作成した。熱伝導性の評価は、測定開始温度25℃で、キセノンフラッシュ熱伝導率計(Bruker AXS社製 LFA447)を用い、ISO22007−4に基づき、熱伝導率(W/m・K)を求めた。
〔耐湿熱性評価/プレッシャークッカーテスト(PCT)〕
熱伝導率評価試験で作成した厚み1mm×長辺110mm×短辺70mmのプレートを、エスペック製加速寿命測地装置(プレシャークッカー)を用いて、設定温度121℃、湿度100RH%、圧力2atmの条件にて500時間曝露した。暴露前と暴露後の表面粗さ(Ra)をレーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−8710」)で測定し、以下の式で表面粗さ変化を求めた。表面粗さ変化は低いほど好ましく、2未満が合格品と判断される。
(表面粗さ変化)=(暴露後の表面粗さ)−(暴露前の表面粗さ)
熱伝導率評価試験で作成した厚み1mm×長辺110mm×短辺70mmのプレートを、エスペック製加速寿命測地装置(プレシャークッカー)を用いて、設定温度121℃、湿度100RH%、圧力2atmの条件にて500時間曝露した。暴露前と暴露後の表面粗さ(Ra)をレーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−8710」)で測定し、以下の式で表面粗さ変化を求めた。表面粗さ変化は低いほど好ましく、2未満が合格品と判断される。
(表面粗さ変化)=(暴露後の表面粗さ)−(暴露前の表面粗さ)
〔樹脂加工性評価/プレート表面外観性〕
PPSコンパウンドを製造する際の発泡、サージング、フラッシング等の不具合が発生具合と、プレートを製造する際の表面外観を観察し、異物、凹凸、亀裂、フラッシュ等の発生具合を評価した。いずれの不具合も発生しない場合を「良好」とした。いずれかの不具合が発生した場合は「不良」とし、その内容を記載した。
以上の評価結果を表1、2に示す。
PPSコンパウンドを製造する際の発泡、サージング、フラッシング等の不具合が発生具合と、プレートを製造する際の表面外観を観察し、異物、凹凸、亀裂、フラッシュ等の発生具合を評価した。いずれの不具合も発生しない場合を「良好」とした。いずれかの不具合が発生した場合は「不良」とし、その内容を記載した。
以上の評価結果を表1、2に示す。
Claims (16)
- 酸化マグネシウム粒子(A)と、水に可溶でかつ分解して二酸化炭素を生成する化合物(B)とを水に分散してなるスラリーを水熱処理することを特徴とする、平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子の製造方法。
- 前記化合物(B)が、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、シュウ酸アンモニウムおよび尿素から成る群からなる少なくとも一つである請求項1記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
- 前記スラリーにおける酸化マグネシウム粒子(A)と水との使用割合が、酸化マグネシウム粒子100質量部に対し、水が50〜2000質量部の範囲である請求項1又は2記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
- 前記化合物(B)の割合が前記酸化マグネシウム粒子100モル部に対し、1〜60モル部の範囲である請求項1〜3の何れか一項記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
- 前記水熱処理が、100℃以上270℃以下の温度下で保持する工程である請求項1〜4のいずれか一項記載の酸化マグネシウム粒子の製造方法。
- 平均粒子径が0.01〜2μmの範囲の炭酸マグネシウム微粒子によって被覆されてなる酸化マグネシウム粒子。
- 前記炭酸マグネシウム微粒子は、無水炭酸マグネシウムを30質量%以上の割合で含有するものである請求項6記載の酸化マグネシウム粒子。
- 前記酸化マグネシウム粒子の平均粒子径が1〜200μmの範囲である請求項6又は7記載の酸化マグネシウム粒子。
- 〔(d84%−d16%/2)/平均粒子径〕で得られる変動係数が0.5以下である請求項6〜8の何れか一項記載の酸化マグネシウム粒子。
- 前記酸化マグネシウム粒子中の炭酸マグネシウムの含有率が1〜50質量%である請求項6〜9の何れか一項記載の酸化マグネシウム粒子。
- 熱伝導性フィラーである、請求項6〜10の何れか一項記載の酸化マグネシウム粒子。
- 請求項1〜5の何れか一項記載の製造方法により得られた酸化マグネシウム粒子、又は請求項6〜11の何れか一項記載の酸化マグネシウム粒子と、樹脂とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 前記樹脂が熱可塑性樹脂である請求項12記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物が高熱伝導性樹脂組成物である請求項12または13記載の樹脂組成物。
- 請求項12〜14の何れか一項記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする樹脂成形体。
- 高熱伝導材料である請求項15記載の樹脂成形体。
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2014
- 2014-07-23 JP JP2014149729A patent/JP2016023114A/ja active Pending
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