JP6899272B2 - タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途 - Google Patents

タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6899272B2
JP6899272B2 JP2017144322A JP2017144322A JP6899272B2 JP 6899272 B2 JP6899272 B2 JP 6899272B2 JP 2017144322 A JP2017144322 A JP 2017144322A JP 2017144322 A JP2017144322 A JP 2017144322A JP 6899272 B2 JP6899272 B2 JP 6899272B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
resin
titite
chite
tie
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017144322A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019026488A (ja
Inventor
将志 中村
将志 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konoshima Chemical Co Ltd
Original Assignee
Konoshima Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konoshima Chemical Co Ltd filed Critical Konoshima Chemical Co Ltd
Priority to JP2017144322A priority Critical patent/JP6899272B2/ja
Priority to PCT/JP2018/014849 priority patent/WO2019021542A1/ja
Publication of JP2019026488A publication Critical patent/JP2019026488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6899272B2 publication Critical patent/JP6899272B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01DCOMPOUNDS OF ALKALI METALS, i.e. LITHIUM, SODIUM, POTASSIUM, RUBIDIUM, CAESIUM, OR FRANCIUM
    • C01D5/00Sulfates or sulfites of sodium, potassium or alkali metals in general
    • C01D5/12Preparation of double sulfates of magnesium with sodium or potassium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01FCOMPOUNDS OF THE METALS BERYLLIUM, MAGNESIUM, ALUMINIUM, CALCIUM, STRONTIUM, BARIUM, RADIUM, THORIUM, OR OF THE RARE-EARTH METALS
    • C01F5/00Compounds of magnesium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/30Sulfur-, selenium- or tellurium-containing compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L101/00Compositions of unspecified macromolecular compounds

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Description

本発明は、タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途に関する。
天然でも希少な鉱物であるタイチャイトは、高熱伝導性、低屈折率、高分散性、低モース硬度、耐水性等の性状を有しており、各種用途展開が期待されている。例えば、タイチャイトを熱伝導性フィラーに応用した技術も提案されている(特許文献1)。
特開2017−7904号公報
近年、製品の高付加価値化のために、製品の高機能化や小型化、薄型化等が進められている。タイチャイトを組み込む製品の高機能化には、タイチャイトが有する特性を十分に発揮させるために小粒径化が望まれている。
しかしながら、天然のタイチャイトでは平均粒径が数百μmから数mm、上記熱伝導性フィラーの技術でも平均粒径は数十μmから数百μm程度であり、さらなる小粒径化の余地が残されている。
本発明の目的は、粒子の微細化により製品の高機能化が可能なタイチャイト粒子、及びその製造方法、並びにタイチャイト粒子を配合した樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、下記構成を採用することにより、前記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、一実施形態において、BET比表面積が0.5m/g以上であるタイチャイト粒子に関する。
当該タイチャイト粒子は、粒子の微細化により所定範囲のBET比表面積を有しているので、小粒径化したタイチャイト粒子を組み込む製品の高機能化が可能となる。
当該タイチャイト粒子のレーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)が15μm以下であることが好ましい。タイチャイト粒子を上記のような粒径まで微小化することにより、さらなる製品の高機能化を図ることができる。
当該タイチャイト粒子のレーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積90%径(d90)が30μm以下であることが好ましい。これによりタイチャイト粒子全体で見ても粒子の微小化が可能となる。
当該タイチャイト粒子では、粒子の形状が八面体であることが好ましい。これにより高分散性を発揮することができる。なお、粒子の微細化のために粒径の大きいタイチャイト粒子を粉砕することも可能である。しかし、粉砕により微細化した場合には、粒子形状に不定形が含まれることになり、所定のBET比表面積を得ることができなかったり分散性が低下したりするおそれがある。
本発明は、一実施形態において、マグネシウム原料とナトリウム原料とを混合させる混合工程を含むタイチャイト粒子の製造方法であって、
前記マグネシウム原料が塩基性炭酸マグネシウムを含み、
前記混合物における硫酸イオンのモル数のマグネシウムイオンのモル数に対する比が1以上であるタイチャイト粒子の製造方法に関する。
当該製造方法によれば、マグネシウム原料として塩基性炭酸マグネシウムを用いているので、タイチャイト粒子の微小化を促進することができる。また、硫酸イオンをマグネシウムイオンに対して化学量論量以上とすることで、原料である塩基性炭酸マグネシウムが未反応のまま残存したり、アイテライト等の副生成物が生じたりすることを抑制して、粒子の大部分をタイチャイトの単一相として効率的に形成することができる。なお、塩基性炭酸マグネシウムの利用によるタイチャイト粒子の微小化のメカニズムは定かではないものの、以下のように推察される。従来のタイチャイトの生成過程では、マグネシウム原料はタイチャイトの前駆体として塩基性炭酸マグネシウム相を一旦経由していると考えられる。当該製造方法では、マグネシウム原料に塩基性炭酸マグネシウムを使用することで、タイチャイトへの相変化の速度を高めることができるため、小さい結晶が多く発生し、微細化することができる。
当該製造方法では、前記混合工程を加熱下で行うことが好ましい。当該タイチャイト粒子は、上記の特定のマグネシウム原料とナトリウム原料とを混合して反応させるだけで生成することができる。ただし、条件によっては粒子表面に炭酸マグネシウムの相が形成されることがある。混合工程を加熱下で行うことにより、粒子表面に形成された炭酸マグネシウムの相をタイチャイトの相に効率的に転化させることができる。
前記混合工程において、前記加熱の温度が70℃以上であることが好ましい。これにより、粒子表面における炭酸マグネシウムの相のタイチャイトの相への転化をより促進させることができる。
前記ナトリウム原料が、硫酸ナトリウムを含むことが好ましい。これにより、塩基性炭酸マグネシウムへのナトリウムイオン及び硫酸イオンの固溶が促進され、炭酸マグネシウムの相からタイチャイトの相への転化を効率的に促進することができる。
前記混合物におけるナトリウムイオンのモル数のマグネシウムイオンのモル数に対する比が5以上20以下であることが好ましい。これにより炭酸マグネシウムの相からタイチャイトの相への転化をより効率的に促進することができる。
本発明は、他の実施形態において、樹脂100質量部に対し、当該タイチャイト粒子を0.1質量部以上600質量部以下で配合した樹脂組成物に関する。
前記樹脂が、アクリル系樹脂、ABS系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
本発明は、さらなる実施形態において、当該樹脂組成物を含む成形体に関する。
本発明の実施例1のタイチャイト粒子のSEM写真である。 本発明の実施例1、比較例1及びEVA樹脂単独のIRスペクトルを示す。
<タイチャイト粒子>
タイチャイト粒子は、タイチャイトを主成分とする粒子である。タイチャイト(Tychite)は、典型的には、NaMg(SO)(COで示され、Na/Mgの組成式中のモル比はNa/Mg=3である。タイチャイト単位格子は、立方晶の結晶構造を有する。
タイチャイト粒子では、粒子の形状が八面体であることが好ましい。これにより一次粒子レベルでの高分散性を発揮することができる。また、高分散性を発揮できるので、樹脂とタイチャイト粒子とを混合した際にも空気の層の混入を排除することができ、樹脂混合物の透明性を向上させることができる。なお、タイチャイト粒子の一部には、不定形、球形、四面体、六面体等の形状の粒子を含んでいてもよい。八面体の粒子の量は、タイチャイト粒子全体の50質量%以上であることが好ましい。
タイチャイト粒子のBET比表面積は0.5m/g以上であればよい。BET比表面積は1m/g以上が好ましく、1.5m/g以上がより好ましい。タイチャイト粒子は、粒子の微細化により上記範囲のBET比表面積を有しているので、タイチャイト粒子を組み込む製品の高機能化が可能となる。なお、上記BET比表面積は、分散性や特性発揮等の観点から、20m/g以下が好ましく、10m/g以下がより好ましい。
当該タイチャイト粒子のレーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)は15μm以下であることが好ましく、12μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、8μm以下が特に好ましい。上記累積50%径(d50)は、分散性確保の点から、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。タイチャイト粒子を上記のような粒径まで微小化することにより、さらなる製品の高機能化を図ることができる。
当該タイチャイト粒子のレーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積90%径(d90)は30μm以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。上記累積90%径(d90)は、分散性確保の点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。これによりタイチャイト粒子全体で見ても粒子の微小化が可能となる。
タイチャイト粒子は透明〜半透明であり、光学的な応用も可能である。タイチャイト粒子の屈折率は、1.50以上1.52以下が好ましい。一般的な樹脂も同程度の屈折率を有するので、そのような樹脂との混合により透明性を維持することができ、製品の高機能化を促進することができる。
タイチャイト粒子の真密度は、特に制限はないが、3.5g/cm以下であることが好ましく、3g/cm以下であることがより好ましく、2.8g/cm以下であることがさらに好ましい。真密度は、2g/cm以上が好ましく、2.5g/cm以上がより好ましい。これにより、樹脂等にタイチャイト粒子を高い充填率で配合したとしても、真密度が比較的小さいことから、最終製品の軽量化が可能となる。
タイチャイト粒子は、その製法等に応じて不純物を含有する場合がある。例えば、鉄、銅、マンガン、クロム、コバルト、ニッケル、バナジウムなどの金属の化合物である。これらの不純物の含有量は、金属換算で、0.5質量%以下であることが望ましい。
本実施形態のタイチャイト粒子は、高熱伝導性、透明性、低屈折率、高分散性、易加工性、耐熱性、耐水性等の性状を有しているので、こうした性状が要求される用途に好適に適用することができる。用途としては特に限定されず、例えば、人工大理石用フィラー、アンチブロッキング剤、赤外線吸収剤、研磨剤、樹脂硬度付与剤(補強材)、光拡散剤、アルカリ触媒等が好適に挙げられる。
<タイチャイト粒子の製造方法>
本実施形態に係るタイチャイト粒子の製造方法は、マグネシウム原料とナトリウム原料とを混合させる混合工程を含み、前記マグネシウム原料が塩基性炭酸マグネシウムを含み、前記混合物における硫酸イオンのモル数のマグネシウムイオンのモル数に対する比が1以上である。
混合工程では、マグネシウム原料とナトリウム原料とを混合させる。ナトリウム原料としては、水溶性のナトリウム化合物であれば特に限定されず、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。上記ナトリウム原料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。一般的な原料であり入手のしやすさ、反応を十分に進行させる観点から、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
ナトリウム原料は、硫酸ナトリウムを含むことが好ましい。これにより、塩基性炭酸マグネシウムへのナトリウムイオン及び硫酸イオンの固溶が促進され、炭酸マグネシウムの相からタイチャイトの相への転化を効率的に促進することができる。
本実施形態の製造方法では、マグネシウム原料として塩基性炭酸マグネシウムを用いる。これによりタイチャイト粒子の微小化を促進することができる。また、その他のマグネシウム化合物も併用可能であり、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、中性炭酸マグネシウム、無水炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等が挙げられる。マグネシウム原料として海水、潅水等を用いてもよい。
ナトリウム原料及びマグネシウム原料として、上述の化合物を制限なく用いることができるが、炭酸イオン(CO 2−)源及び硫酸イオン(SO 2−)源として、それぞれ炭酸塩化合物及び硫酸塩化合物を含むように選択されることが好ましい。
本実施形態では、マグネシウム原料とナトリウム原料とを混合して得られる混合物における硫酸イオンのモル数のマグネシウムイオンのモル数に対する比(SO 2−/Mg2+比)が1以上である。SO 2−/Mg2+比は、1.2以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。硫酸イオンをマグネシウムイオンに対して化学量論量以上とすることで、原料である塩基性炭酸マグネシウムが未反応のまま残存したり、アイテライト等の副生成物が生じたりすることを抑制して、粒子の大部分をタイチャイトの単一相として効率的に形成することができる。SO 2−/Mg2+比が高過ぎると未反応の硫酸イオン(SO 2−)が過剰に残留してしまい、水洗しても不純物として残留しやすくなるので、SO 2−/Mg2+比は10以下が好ましく、5以下がより好ましい。
前記混合物におけるナトリウムイオンのモル数のマグネシウムイオンのモル数に対する比(Na/Mg2+比)が5以上20以下であることが好ましく、6以上10以下がより好ましい。これにより炭酸マグネシウムの相からタイチャイトの相への転化をより効率的に促進することができる。Na/Mg2+比が小さ過ぎると結晶成長が進行しにくくなり、Na/Mg2+比が大き過ぎると粒子径が大きくなる傾向にある。
混合工程での仕込み時の溶媒に対する固体の質量比は、反応が行える比率であれば特に限定されないが、反応促進の観点から、溶媒100質量部に対し、固体が50〜500質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。前記範囲内であると、結晶成長を効率的に促進することができる。各原料を過剰に投入すると、反応が不均一となり粒子径にばらつきが生じることがある。
溶媒としては、原料の溶解性の観点から水が好ましい。反応が進行する限り、水以外にも、アルコール、アセトン等の有機溶媒を用いることができる。溶媒として、水単独又は水と有機溶媒との混合物のいずれも好適に用いることができる。
各原料を添加する際、均一性確保のため、ナトリウム原料とマグネシウム原料とを撹拌しながら混合する。攪拌速度は目的とする粒子径や生産効率の観点から設定すればよく、200〜800rpmが好ましく、300〜700rpmがより好ましい。さらに、タイチャイト粒子を微小化するために、攪拌混合時にガラスビーズ等の粉砕メディアを併せて投入してもよい。粉砕メディアの投入量やサイズは、目的とするタイチャイト粒子の粒径や生産効率を考慮して適宜設定することができる。
混合の際の温度は、室温及び加熱下のいずれでもよい。室温で攪拌混合しても結晶成長を進行させることができる。室温で反応させる場合、混合時間は、0.01〜24時間が好ましく、0.02〜12時間がより好ましく、0.03〜6時間がさらに好ましい。
本実施形態では、前記混合工程を加熱下で行うことが好ましい。タイチャイト粒子は、上述のように特定のマグネシウム原料とナトリウム原料とを混合して反応させるだけで生成することができる。ただし、条件によっては粒子表面に炭酸マグネシウムの相が形成されることがある。混合工程を加熱下で行うことにより、粒子表面に形成された炭酸マグネシウムの相をタイチャイトの相に効率的に転化させることができる。
前記混合工程において、前記加熱の温度が70℃以上であることが好ましく、80以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましく、100℃以上が特に好ましい。これにより、粒子表面における炭酸マグネシウムの相のタイチャイトの相への転化をより促進させることができる。前記加熱の温度は、省エネルギーの点から、200℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。
加熱下で混合工程を行う場合、加熱のタイミングは特に限定されない。原料を混合してから加熱してもよく、加熱した溶媒中に原料を投入してもよい。原料を混合してから加熱する場合、室温で1〜10分間程度攪拌して原料を溶解させてから加熱することが好ましい。加熱下で混合工程を行う場合、混合時間(加熱開始又は原料投入から反応終了までの時間)は、0.01〜24時間が好ましく、0.02〜12時間がより好ましく、0.03〜6時間がさらに好ましい。
加熱下で混合工程を行う場合、常圧下で行ってもよく加圧下で行ってもよい。タイチャイトの単一相を効率良く形成する点から、加熱加圧下で混合する水熱処理を行うことが好ましい。水熱処理方法は、特に限定されないが、通常、オートクレーブ等の耐熱容器中において行う。水熱処理時の容器内圧力は、特に限定されないが、0.1〜10MPaが好ましく、0.1〜5MPaがより好ましい。水熱処理圧力がこの範囲であると、結晶成長及び平均粒子径を適切な範囲に制御することができる。
混合工程後に得られたスラリーは真空ろ過して、タイチャイト粒子を含む固形物(ケーキ)とろ液に分離して、固形分に対し20倍以上の水で十分洗浄することが好ましい。水洗の回数には特に制限はない。これにより、スラリー中に含まれる水溶性不純物を取り除くことができる。水洗後の固形物は、オーブン等で100〜150℃で、1〜24時間乾燥させ、必要に応じて乾燥後の固形分を乾式粉砕することにより、所望のタイチャイト粒子を得ることができる。
本実施形態のタイチャイト粒子の製造方法は、上記した工程以外の工程を含んでいても良い。例えば、混合工程後、必要に応じて表面処理剤を公知の方法で表面処理する工程を含んでいてもよい。
表面処理剤としては当該用途に用いられる公知の化合物を用いることができる。前記表面処理は、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ土類金属塩、シランカップリング剤、脂肪酸と多価アルコールとからなる高級脂肪酸エステル類、高級脂肪酸アマイド、及びリン酸と高級アルコールとからなるアルコールリン酸エステル類からなる群より選択される少なくとも1種を用いて行われることが好ましい。無機材料は一般的に表面が親水性であるためコンパウンドとなる樹脂等との親和性は低いが、この構成によれば、タイチャイト粒子が所定の表面処理剤により処理されているので樹脂等への分散性の向上、樹脂成分との接着性の向上並びにこれによる樹脂組成物及び成形体の物性の維持ないし向上を図ることができる。その他、表面処理剤として界面活性剤も用いることができる。
高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、カプリル酸、ベヘニン酸、モンタン酸等が挙げられる。高級脂肪酸金属塩としては、例えばステアリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、リノール酸塩、ラウリン酸塩、カプリル酸塩、ベヘニン酸塩、モンタン酸塩等が挙げられ、金属の種類には、Na、K、Al、Ca、Mg、Zn、Ba等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニル系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとして、例えばラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、特殊牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリン酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸べへニル、ミリスチン酸セチル等のモノエステルがあり、また例えばネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステルの部分エステル化物、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール中鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオールC9鎖脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステル、コンプレックス中鎖脂肪酸エステル等の耐熱性特殊高級脂肪酸エステルが挙げられる。
アルコールリン酸エステルとしては、モノおよびジ−飽和アルコールのリン酸エステル、例えば、モノ−ステアリルアシッドホスフェイト、ジ−ステアリルアシッドホスフェイト、モノ−ラウリルアシッドホスフェイト、ジ−ラウリルアシッドホスフェイト、モノ−ミリスチルアシッドホスフェイト、ジ−ミリスチルアシッドホスフェイト、モノ−パルミチルアシッドホスフェイト、ジ−パルミチルアシッドホスフェイト、モノ−アラキルアシッドホスフェイト、ジ−アラキルアシッドホスフェイト、モノ−ベヘルアシッドホスフェイト、ジ−ベヘルアシッドホスフェイト、モノ−リグノセリルアシッドホスフェイト、ジ−リグノセリルアシッドホスフェイト等が挙げられ、モノおよびジ−飽和アルコールのリン酸エステルの1種類もしくはそれらの混合物を使用してもよい。
高級脂肪酸アマイドとしては、例えばステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、リノール酸アマイド、ラウリン酸アマイド、カプリル酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、モンタン酸アマイド等が挙げられる。高級アルコールとしては、例えばオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。硬化油としては、例えば牛脂硬化油、ヒマシ硬化油等が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤が好適に使用可能である。非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン誘導体;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル:ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
このような表面処理剤を用いて、タイチャイト粒子の表面処理を行うには、公知の乾式法ないし湿式法を適用することができる。乾式法としては、タイチャイト粒子の粉末をヘンシェルミキサー等の混合機により、攪拌下で表面処理剤を液状、エマルジョン状、あるいは固体状で加え、加熱又は非加熱下に充分に混合すればよい。湿式法としては、タイチャイト粒子の粉末を非水系溶媒スラリーに表面処理剤を溶液状態又はエマルジョン状態で加え、例えば1〜100℃程度の温度で機械的に混合し、その後、乾燥等によって非水系溶媒を除去すればよい。非水系溶媒としては、例えばイソプロピルアルコールやメチルエチルケトン等が挙げられる。表面処理剤の添加量は適宜選択することができるが、乾式法を採用する場合、湿式法に比べて不均一な表面処理レベルとなりやすいため、湿式法よりは若干多めの添加量とした方がよい。具体的には、タイチャイト粒子100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲がより好ましい。湿式法を採用する場合、充分な表面処理及び表面処理剤の凝集防止の点から、タイチャイト粒子100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲がより好ましい。
表面処理を行ったタイチャイト粒子は、必要に応じて、水洗、脱水、造粒、乾燥、粉砕、及び分級等供することができる。
<樹脂組成物>
本実施形態における樹脂組成物は、タイチャイト粒子を樹脂に配合した樹脂組成物である。樹脂としては、用途などに応じて公知のものを適宜設定することができる。例えば、アクリル系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)系樹脂、ポリエチレン系樹脂(直鎖状ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のαオレフィンとの共重合体)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂、エチレンープロピレン系ゴム、エチレン−プロピレン系ゴム等のポリオレフィン、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレン系樹脂(ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド)、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂がある。無機材料との親和性の観点から、ポリオレフィンが好ましい。なお、これらの樹脂は単独又は複数で用いることも可能である。中でも、樹脂が、アクリル系樹脂、ABS系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
上記樹脂組成物では、樹脂100質量部に対し、タイチャイト粒子を0.1以上600質量部以下で配合しており、好ましくは0.2質量部以上500重量部以下、より好ましくは0.2質量部以上400重量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以上300重量部以下配合する。本実施形態のタイチャイト粒子は、平均粒子径を比較的小さくするよう制御されていることから、樹脂の機能性を向上できる。
上記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に他の添加剤を配合してもよい。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤、可塑剤、充填剤、補強剤、難燃剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、滑剤、老化防止剤、耐候剤、着色剤、硬化促進剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種及び2種以上配合しても良い。上記他の添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわなければ良いとの観点から特に限定されないものの、上記樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部配合するのが好ましい。
タイチャイト粒子と樹脂等との混合や充填は、公知の混練方法や充填方法により得ることができ、例えばロール混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸混練機、2軸混練機、遠心式混練機、公転自転式混練機などによって均一に混合される。脱泡効果を付加した装置を用いて樹脂組成物中の気泡を除去しながら混練することもできる。得られた樹脂組成物は、加熱処理又は電子線、紫外線処理等の種々の方法で架橋反応を施してもよい。架橋方法としては化学架橋法、電子線架橋、シラン架橋法などがあげられる。
<成形体>
成形体は、前記樹脂組成物を含む。このような成形体は、樹脂等に所定量のタイチャイト粒子等を配合して樹脂組成物とした後、公知の成形方法により得ることができる。このような成形方法としては、押出成形機、射出成形機、ブロー成形機、プレス成形機、カレンダー成形機等、積層成形、ドクターブレード法等で成形される。また得られた成形体は、加熱処理又は電子線、紫外線処理等の種々の方法で架橋反応を施してもよい。架橋方法としては化学架橋法、電子線架橋、シラン架橋法などがあげられる。
本実施形態の成形体は、各種用途に応じて、フィルム状、シート状、板状、塊状、特殊形状等の種々の形態で用いることができる。
成形体は、前記タイチャイト粒子を配合した樹脂組成物により形成されているので、高熱伝導性、透明性、低屈折率、高分散性、易加工性、耐熱性、耐水性等が要求される用途に好適に適用することができる。成形体の用途としては特に限定されず、例えば、人工大理石、光学フィルム(光拡散シート、防眩性フィルム、アンチブロッキングフィルム等)、ビニルシート、塗料(例えば、艶消し剤等)等が挙げられる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
容積2LのSUS容器に、原料仕込みのモル比がMg2+:Na:CO 2−:SO 2−=1.0:7.9:3.1:2.0となるように(SO 2−/Mg2+比=2.0)、水200gに塩基性炭酸マグネシウム粉末(神島化学工業株式会社製炭酸マグネシウム金星)58.4g、無水炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)101.6g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)40.4g及び硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)179gを加え、室温で3分間、攪拌速度500rpmで攪拌して均一になるよう混合した。攪拌子を入れた容積50mlのテフロン(登録商標)製オートクレーブ装置に混合後のスラリー30mlを入れて、密閉状態で120℃、12時間保持して、水熱条件下で反応させた。この時の昇温速度は約1℃/分であった。その後、容器内が室温になるまで放冷し、反応後に得られた半固体のスラリーを取り出して、ヌッチェで真空ろ過後、固形分に対し20倍容量以上の水で十分洗浄し、120℃で10時間、乾燥機で乾燥させ、タイチャイト粒子を得た。
<実施例2>
容積2LのSUS容器に、水200gとφ2mmのガラスビーズ300ml分を入れ、原料仕込みのモル比がMg2+:Na:CO 2−:SO 2−=1.0:7.9:3.1:2.0となるように(SO 2−/Mg2+比=2.0)、攪拌しながら塩基性炭酸マグネシウム粉末(神島化学工業株式会社製炭酸マグネシウム金星)粉末58.4g、無水炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)101.6g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株製)及び硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)179gを添加し、室温で3分間、攪拌速度500rpmで攪拌して粉砕処理と混合を同時に行った。その後、篩を用いてガラスビーズを分離除去した。オートクレーブ装置にガラスビーズ除去後のスラリー30mlを入れて、密閉状態で120℃、12時間保持して、水熱条件下で反応させた。この時の昇温速度は約1℃/分であった。その後、容器内が室温になるまで放冷し、反応後に得られた半固体のスラリーを取り出して、ヌッチェで真空ろ過後、固形分に対し20倍容量以上の水で十分洗浄し、120℃で10時間、乾燥機で乾燥させ、タイチャイト粒子を得た。
<実施例3>
容積2LのSUS容器に、原料仕込みのモル比がMg2+:Na:CO 2−:SO 2−=1:8.4:4.0:1.0となるように(SO 2−/Mg2+比=1.0)、塩基性炭酸マグネシウム粉末(神島化学工業株式会社製炭酸マグネシウム金星)70.1g及び硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)106.5gを水に分散(一部溶解)させた最終容量250mlの水溶液と、無水炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)254.4gを水に分散(一部溶解)させた最終容量250mlの水溶液とを加え、室温で3分間攪拌して均一になるよう混合した。攪拌子を入れた容積50mlのテフロン(登録商標)製オートクレーブ装置に混合後のスラリー30mlを入れて、密閉状態で120℃、12時間保持して、水熱条件下で反応させた。この時の昇温速度は約1℃/分であった。その後、容器内が室温になるまで放冷し、反応後に得られた半固体のスラリーを取り出して、ヌッチェで真空ろ過後、固形分に対し20倍容量以上の水で十分洗浄し、120℃で10時間、乾燥機で乾燥させ、タイチャイト粒子を得た。
<比較例1>
3L容量のTi製オートクレーブ容器に、原料仕込みのモル比がMg2+:Na:CO 2−:SO 2−=1:8.0:2.5:2.5となるように(SO 2−/Mg2+比=2.5)、硫酸マグネシウム7水和物(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)131.5g、無水炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)141.3g、及び硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)113.6gを加え、水を用いて最終液量が1600mLとなるようメスアップした。室温で1分間攪拌して均一になるよう混合した後、オートクレーブ装置に入れて、250rpmで撹拌しながら、密閉状態で120℃、12時間保持して、水熱条件下で反応させた。この時の昇温速度は1℃/分であった。その後、容器内が室温になるまで放冷し、反応後に得られたスラリーを取り出して、ヌッチェで真空ろ過後、固形分に対し20倍容量以上の水で十分洗浄し、120℃で10時間、乾燥機で乾燥させ、タイチャイト粒子を得た。
<比較例2>
容量100Lの攪拌機付きオートクレーブに0.3mol/Lの濃度に調製した中性炭酸マグネシウム(MgCO・3HO)懸濁液50Lを入れ、攪拌しながら140℃で10時間の水熱処理を行った。この時の昇温速度は1℃/分であった。得られた懸濁液を脱水後、120℃で10時間乾燥して無水炭酸マグネシウム粒子を得た。
<比較例3>
300mL容量のガラス製容器に、原料仕込みのモル比がMg2+:Na:CO 2−:SO 2−=1:4.9:3.1:0.6となるように(SO 2−/Mg2+比=0.6)、塩基性炭酸マグネシウム(神島化学工業株式会社製炭酸マグネシウム金星)29.2g、無水炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)50.8g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)20.2g、及び硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)22.4gを添加して、水100gを加えた。室温で1分間攪拌して均一になるよう混合した後、撹拌をせずに80℃で12時間反応を行った。反応後に得られたスラリーをヌッチェで真空ろ過後、固形分に対し20倍容量以上の水で十分洗浄し、120℃で10時間、乾燥機で乾燥させ、タイチャイト粒子とアイテライト(MgCO・NaCO)粒子との混合物を得た。
<比較例4>
80℃に設定したウォーターバスに、容積500mLのSUS容器を設置し、原料仕込みのモル比がMg2+:Na:CO 2−:SO 2−=1.0:3.8:3.1:0となるように(SO 2−/Mg2+比=0)、水200g、塩基性炭酸マグネシウム粉末(神島化学工業株式会社製炭酸マグネシウム金星)58.4g、無水炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)101.6g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)40.4gを加え、攪拌速度500rpmにて攪拌しながら12時間反応を行った。その後、容器内が室温になるまで放冷し、反応後に得られたスラリーを取り出して、ヌッチェで真空ろ過後、固形分に対し20倍容量以上の水で十分洗浄し、120℃で10時間、乾燥機で乾燥させ、アイテライト(MgCO・NaCO)粒子を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各粒子について、以下のような評価を行った。各評価結果を表1に示す。
(1)結晶構造測定(XRD測定)
粒子の結晶構造について、X線回折装置(株式会社リガク製、RINT−2500)、統合粉末X線解析ソフトウェア「PDXL2」を用いて測定及び評価を行った。測定条件は、Cu線源(40kV、30mA)であった。
(2)BET比表面積
8連式プリヒートユニット(MOUNTECH社製)を用いて窒素ガス雰囲気下、約130℃、約30分間で前処理した試料を、BET比表面積測定装置としてMacsorb HM Model−1208(MOUNTECH社製)を用いて、窒素ガス吸着法で、BET比表面積(m/g)を測定した。
(3)累積50%径及び累積90%径
エタノール50mLを100mL容量のビーカーに採り、約0.2gの試料を入れ、3分間の超音波処理(トミー精工社製 UD−201)を施して分散液を調製した。この分散液についてレーザー回折法−粒度分布計(日機装株式会社製 Microtrac HRA Model 9320−X100)を用いて測定を行い、得られた粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)(μm)及び累積90%径(d90)(μm)を求めた。
(4)粒子形状
粒子の形状は、SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、「界放出形走査電子顕微鏡S−4700」)を用い、倍率5000倍にて観察像を得て粒子形状を評価した。図1に実施例1のタイチャイト粒子のSEM写真を示す。
(5)PMMA樹脂成形体の評価
PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂(商品名:スミペックスMGSS、メーカー:住友化学社)を用いた。PMMA樹脂100質量部に対して、粒子100質量部を添加し、ラボプラストミル(東洋精機製)により220℃で5分間溶融混練して得た混練物を縦125mm×横13mm×厚み3mmの空間のある型枠に入れて220℃でプレス成型し、縦125mm×横13mm×厚み3mmの成形体を作成した。
その後この成形体を用いて、以下の3種類の評価を行った。樹脂単独での評価も併せて行った。
(5−1)透明性
文字(線の太さ0.5mm、大きさ5mm×5mm)が印刷されたA4サイズ用紙上に成形体を置いて透明性を目視確認した。文字が透けて判別可能であった場合を「○」、全く見えない又は判別不可能であった場合を「×」として評価した。
(5−2)曲げ弾性率
成形体の曲げ弾性率(N/mm)をJIS K7171に基づいて測定した。具体的には、島津製作所社製オートグラフAG−5000A型を用い、試験法としてひずみ速度を変更しないA法を採用し、支点間距離40mm、試験速度10mm/min、圧子の半径R1=2mm、支持台の半径R2=2mmの条件で行った。目標値は、曲げ弾性率で13000N/mm以上であれば補強性が良好であると判断した。
(5−3)耐熱性
190℃に加温されたプレス機に成形体を挟み込み、1MPaで1分間プレスを行った。全く変形しなかった場合を「〇」、変形した場合を「×」として評価した。
(6)EVA樹脂成形体の評価
EVA(エチレンビニルアルコール)樹脂(商品名:EV−180、メーカー:三井デュポン社)を用いた。EVA樹脂100質量部に対して、粒子20質量部を添加し、ラボプラストミル(東洋精機製)により180℃で5分間溶融混練して得た混練物を180℃でプレス成型して、厚み1mmのシート成形体を作成した。
その後、この成形体を用いて、以下の3種類の評価を行った。樹脂単独での評価も併せて行った。
(6−1)透明性
文字(線の太さ0.5mm、大きさ5mm×5mm)が印刷されたA4サイズ用紙上に成形体を置いて透明性を目視確認した。文字が透けて判別可能であった場合を「○」、全く見えない又は判別不可能であった場合を「×」として評価した。
(6−2)赤外線吸収能
FT−IR(装置名:Spectrum One、手法:ATR法)を用いて波長5〜12μmまでの赤外線吸収能力を測定した。図2に、実施例1、比較例1及びEVA樹脂単独のIRスペクトルを示す。目標値は、ピーク積分面積で65%T・μm以上とした。ピーク積分面積は、透過率T[%]に対し吸収率を(T−100)[%]として波長5〜12μに渡って積分することにより求めた。
(6−3)アンチブロッキング性
常温のプレス機にシート成形体を2枚重ねて挟み込み、5MPaで1分間プレスを行った。その後2枚を手で引き剥がす作業を行いアンチブロッキング性を確認した。スムーズに剥離した場合を「〇」、剥離できないか、又はシートが破断して一部のみ剥離された場合を「×」として評価した。
(6−4)表面外観
シート成形体表面の肌触りを確認した。指で撫でて滑らかなものは「〇」、ざらざらしているものを「×」として評価した。
Figure 0006899272
表1より、実施例では、BET比表面積が大きく、粒径が小さいタイチャイト粒子が得られた。また、タイチャイト粒子を配合した樹脂組成物により形成したPMMA樹脂成形体では、比較例に対して、透明性や補強性が高く、耐熱性にも優れていた。EVA樹脂成形体でも、比較例に対して、透明性や赤外線吸収能、アンチブロッキング性、外観のいずれにも優れていた。一方、比較例1ではBET比表面積が小さく、粒径が大きいタイチャイト粒子が生成された。これはマグネシウム原料として塩基性炭酸マグネシウムではなく硫酸マグネシウム7水和物を用いたことに起因すると推察される。比較例2では、硫酸イオン源が存在しなかったことからタイチャイト粒子は得られなかった。比較例3では、SO 2−/Mg2+比が1未満であったことから、塩基性炭酸マグネシウムの全量がタイチャイト相に転化せずに、一部がアイテライト相となった。比較例4では、SO 2−/Mg2+比が0(すなわち硫酸イオン源を投入せず)であったことから、塩基性炭酸マグネシウムの全量がアイテライト相に転化した。アイテライト粒子は八面体であり、透明性以外の評価は良好であった。透明性評価が満足しなかった理由は、アイテライト粒子が数値の離れた屈折率を2つ有しており(複屈折率)、またこれらの屈折率が樹脂と近くないため、その結果、透明性が低下したと推察される。なお、実施例2では、原料混合工程においてガラスビーズを添加して粉砕処理を行ったので、実施例1より粒径の小さいタイチャイト粒子が得られた。

Claims (12)

  1. BET比表面積が0.5m/g以上であるタイチャイト粒子。
  2. レーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積50%径(d50)が15μm以下である請求項1に記載のタイチャイト粒子。
  3. レーザー回折式粒度分布計で得られる粒度分布における体積基準での累積90%径(d90)が30μm以下である請求項1又は2に記載のタイチャイト粒子。
  4. 粒子の形状が八面体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイチャイト粒子。
  5. マグネシウム原料とナトリウム原料とを混合させる混合工程を含むタイチャイト粒子の製造方法であって、
    前記マグネシウム原料が塩基性炭酸マグネシウムを含み、
    前記混合物における硫酸イオンのモル数のマグネシウムイオンのモル数に対する比が1以上であるタイチャイト粒子の製造方法。
  6. 前記混合工程を加熱下で行う請求項5に記載のタイチャイト粒子の製造方法。
  7. 前記加熱の温度が70℃以上である請求項6に記載のタイチャイト粒子の製造方法。
  8. 前記ナトリウム原料が、硫酸ナトリウムを含む請求項5〜7のいずれか1項に記載のタイチャイト粒子の製造方法。
  9. 前記混合物におけるナトリウムイオンのモル数のマグネシウムイオンのモル数に対する比が5以上20以下である請求項5〜8のいずれか1項に記載のタイチャイト粒子の製造方法。
  10. 樹脂100質量部に対し、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイチャイト粒子を0.1質量部以上600質量部以下で配合した樹脂組成物。
  11. 前記樹脂が、アクリル系樹脂、ABS系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂のうちの少なくとも1種である請求項10に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項10又は11に記載の樹脂組成物を含む成形体。
JP2017144322A 2017-07-26 2017-07-26 タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途 Active JP6899272B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017144322A JP6899272B2 (ja) 2017-07-26 2017-07-26 タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途
PCT/JP2018/014849 WO2019021542A1 (ja) 2017-07-26 2018-04-09 タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017144322A JP6899272B2 (ja) 2017-07-26 2017-07-26 タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019026488A JP2019026488A (ja) 2019-02-21
JP6899272B2 true JP6899272B2 (ja) 2021-07-07

Family

ID=65040110

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017144322A Active JP6899272B2 (ja) 2017-07-26 2017-07-26 タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6899272B2 (ja)
WO (1) WO2019021542A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114192111A (zh) * 2021-12-09 2022-03-18 中国科学技术大学 一种分层多孔氧掺杂碳材料的制备方法及其对高铁酸盐的活化应用

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6410675B2 (ja) * 2015-06-24 2018-10-24 神島化学工業株式会社 熱伝導性フィラー及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019026488A (ja) 2019-02-21
WO2019021542A1 (ja) 2019-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4815337B2 (ja) ハイドロタルサイト粒子の耐熱劣化剤としての使用
AU2009323304B2 (en) Zirconium oxide dispersion, process for production thereof, and resin compositions containing same
RU2560387C2 (ru) Гидроксид магния с высоким соотношением размеров кристаллов
JP5732040B2 (ja) 合成樹脂用充填剤の発泡障害を抑制する剤および方法
KR101757488B1 (ko) 히드로탈사이트형 입자 분말, 농업 필름용 보온제, 농업 필름용 마스터 배치 및 농업용 필름
JPH02141418A (ja) 高分散性酸化マグネシウムおよびその製造方法
JP2013530277A (ja) 表面処理された鉱物フィラー生成物の調製方法およびこの使用
WO2014106369A1 (zh) 一种透明氢氧化镁液相分散体及制备方法与应用
JP6200426B2 (ja) 樹脂用炭酸カルシウム填料及び該填料を含む樹脂組成物
JP7132800B2 (ja) 水酸化マグネシウム粒子及びその製造方法
JP2008266050A (ja) 表面修飾酸化亜鉛超微粒子およびその製造方法
JP5506228B2 (ja) コロイド炭酸カルシウム填剤及びその製造方法、並びに該填剤を配合してなる樹脂組成物
JP6899272B2 (ja) タイチャイト粒子、タイチャイト粒子の製造方法及びタイチャイト粒子の用途
JP4303724B2 (ja) 水酸化マグネシウム、その製造方法及びその水酸化マグネシウムからなる難燃剤並びにその水酸化マグネシウムを含む難燃性樹脂組成物
JP2021006612A (ja) 樹脂組成物、フィルム及び副生炭酸カルシウムの製造方法
JP6982435B2 (ja) 針状無水炭酸マグネシウム及びその製造方法、並びに樹脂組成物
US11078087B2 (en) Plate-shaped hydrotalcite with high aspect ratio, method for manufacturing same and resin composition
JP6709782B2 (ja) ハイドロタルサイト粒子を用いた透明合成樹脂成形品の製造法
JP2007191453A (ja) 非晶質クエン酸カルシウム・炭酸カルシウム複合体及びその製造方法
WO2020158064A1 (ja) Pmma用添加剤、及びpmma樹脂組成物
JP6410675B2 (ja) 熱伝導性フィラー及びその製造方法
JP2011132123A (ja) 保温剤とその利用
JP2006124229A (ja) 保温剤とその利用
EP3196166A1 (en) Colloidal-silica-coated magnesium hydroxide
JP2003342020A (ja) 板状カルシウム系化合物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210525

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210614

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6899272

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150