JP2014019784A - 表面処理重質炭酸カルシウム、その製造方法、及び該炭酸カルシウムを含有した樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】乾式で生産できるためにコスト的に有利で、優れた分散性と低水分性のため、細孔径を精密に制御するフィルムや、加水分解しやすいポリエステル系の樹脂、ガラス転移点が高く高温で混練する必要があるナイロン、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックに有用な表面処理重質炭酸カルシウムを提供する。
【解決手段】式13,000≦A≦25,000、0.8 ≦B≦3.0 、C≧0.55、0≦D1 ≦1000を満足することを特徴とする表面処理重質炭酸カルシウムである。
但し、A:空気透過法による比表面積(cm2/g )、B:平均粒子径(μm)で、マイクロトラックMT3300により測定した50%粒子径(d50)、C:マイクロトラックMT3300により測定した粒度分布の10%粒子径(μm)、D1 :カールフィッシャー法(加熱気化法)により25〜300℃の間で測定される水分(ppm )。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理重質炭酸カルシウム、その製造方法、及び該表面処理重質炭酸カルシウムを含有してなる組成物に関する。
従来、ポリオレフィン樹脂等のフィルム製造用樹脂に炭酸カルシウム等の無機充填材を配合してなるフィルムを一軸方向あるいは二軸方向に延伸し、フィルムに連通したボイドを発生させた多孔性フィルムの製造方法が多数提案されている。このような多孔性フィルムについては、衛生材料、医療用材料、建築用材料、農業用シート、電池セパレーター等の多種多様な用途への使用が提案されている。
炭酸カルシウムは不活性で、製造装置の摩耗を引き起こしにくいフィラーであるが、表面が親水性で、吸湿しやすく、樹脂との親和性に劣るので、表面処理によりこれらの欠点を改善されて使用されているが、高度な用途には樹脂中への分散不良が原因で十分な性能が得られないことがある。
このような分散不良の問題を改善するため、各種の検討がおこなわれてきた。例えば、生石灰を添加して炭酸カルシウムフィラーを除湿するなど試みられてきたが、生石灰は微粒子化が困難で、さらには炭酸カルシウムよりも混練装置や成形装置の摩耗を引き起こしやすいという問題がある。また、ビニルシラン等の脱水剤の添加も検討されているが、コストアップ要因になるという問題がある。
ところで、分散不良の原因は、樹脂とフィラーとの親和性の過不足、不均一なフィラーの表面処理など、フィラーに起因するものが種々あげられるが、炭酸カルシウム粒子の表面にあらかじめ水が存在すると、凝集しやすく、また、疎水性の有機物を使用した表面処理が十分には行えない。
このため、樹脂との混練時に樹脂組成物中の水や低分子量(低沸点)の有機物が加熱により揮発し、シルバーストリークやガスマークが形成され、フィルム化を阻害したり、たとえフィルム化に成功しても得られる多孔性フィルムに形成されるボイドに異常に大きなボイドが混じったりする原因となる。
また、バイオプラスチック、PET、PEN等のポリエステル系樹脂は水分により加水分解を起こしやすい。一般的には樹脂組成物(コンパウンド)の水分は100ppm以下でないとガスマーク等の欠陥が問題となるとされている。
これらの問題は、水分が少なく、吸湿性が少ない、あるいは、容易に乾燥できる炭酸カルシウムが提供できれば解決できる可能性がある。例えば、湿式粉砕してから表面処理すると水分が少なくなることは一般的に知られている。しかし、脱水、乾燥工程が必須であり、コスト的には不利である。また、比表面積が大きくなると水分は高くなるので使用は制限される。また例えば、脱水剤として生石灰を添加することで発生した水分を吸着させる方法があるが、樹脂組成物のpHを上昇させるのでその使用には限界がある。また、その反応性ゆえに微粉化が困難であり、特にフィルム分野で使用するには粗粒子が問題になる。
これまでに、周速20m/秒以上の高速撹拌で粉体温度を200〜350℃に加熱して脱水し水分を0.02重量%以下にまで低減して、脂肪酸金属セッケンまたは非イオン性界面活性剤を添加し、その融点以上180℃までの温度で混合した軽質炭酸カルシウムフィラーをプラスチックに配合して射出成型して厚さ4mmの成形体にすると、水分に起因するシルバーマークが発生せず、耐衝撃性、表面光沢度、耐熱性が大きく改善された成形体が得られることが報告されている(特許文献1)。
特開昭61−97363号公報
上記特許文献1では、平均粒径3μmで水分0.1重量%の重質炭酸カルシウムをヘンシェルミキサーを用い、周速40m/秒でかきまぜながら、粉体温度280〜300℃で25分間乾燥し、その後ステアリン酸カルシウムを2%添加して160℃で混合し、水分0.009重量%の表面処理重質炭酸カルシウムを得ている。
しかしながら、装置的にヘンシェルミキサーの撹拌熱で280〜300℃にするのは困難であり、また、ジャケットにオイル媒体を通しても、シール部分が損傷しやすく装置の保守が困難であり、長期連続運転ができない。更に、この重質炭酸カルシウムをポリプロピレンに配合した応用物性ではシルバーマークは発生しないが、表面光沢及び耐衝撃性に劣り、満足しうる効果が得られていない。また、ピンホール抑制のため極度な低水分を要求される薄膜フィルムへの使用には十分とは云い難い。
本発明者等は、かかる実情に鑑み、炭酸カルシウムの内、粉砕や分級等の物理的手段で製造される重質炭酸カルシウムが比較的初期水分が小さいので低水分化には有利と考え、鋭意研究の結果、重質炭酸カルシウムを目的とするフィルムに必要な粒度特性を示すように調整し、適切な加熱方法や加熱条件で乾燥して水分を低減し、さらに疎水化の表面処理を行って製造したフィラーが上記問題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の目的は、乾式で生産できるためにコスト的に有利で、フィルム製造用樹脂に配合されると、優れた分散性とフィラーとしての低水分性のため、例えば、フィルムの細孔径を精密に制御した多孔性フィルムの製造に好適な表面処理重質炭酸カルシウム、その製造方法、及び該炭酸カルシウムを含有した樹脂組成物を提供することにある。
すなわち、本発明の特徴は、下記式(1)〜(4)を満足する表面処理重質炭酸カルシウムである。
13,000≦A≦25,000 (1)
0.8 ≦B≦3.0 (2)
C≧0.55 (3)
0≦D1 ≦1000 (4)
但し、
A:空気透過法による比表面積(cm2/g )、
B:平均粒子径(μm)で、マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒子の50%粒子径(d50)、
C:マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒度分布の10%粒子径(μm)、
D1 :カールフィッシャー法(加熱気化法)により25〜300℃の間で測定される水分(ppm )。
本発明の他の特徴は、更に、下記式(5)と式(6)とを更に満足する表面処理重質炭酸カルシウムである。。
E≦8 (5)
0≦D2 ≦150 (6)
但し、
E:マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒度分布の90%粒子径(μm)、
D2 :カールフィッシャー法(加熱気化法)により200〜300℃の間で測定される水分(ppm )。
本発明の更に他の特徴は、更に、式(7)を満足する表面処理炭酸カルシウムである。
8.0 ≦F≦9.8 (7)
但し、
F:10重量%水懸濁液にしたときのpH
本発明の更に他の特徴は、重質炭酸カルシウムを分級した後、キルン、電気炉、マイクロ波炉から選ばれる加熱装置を用いて200℃以上800℃以下で加熱処理し、次いで、表面処理剤で表面処理することを特徴とする上記表面処理重質炭酸カルシウムの製造方法である。
本発明の更に他の特徴は、重質炭酸カルシウムを、キルン、電気炉、マイクロ波炉から選ばれる加熱装置を用いて200℃以上800℃以下で加熱処理した後分級し、次いで、表面処理剤で表面処理することを特徴とする請求項1記載の表面処理重質炭酸カルシウムの製造方法である。
本発明の更に他の特徴は、上記表面処理炭酸カルシウムを含有してなる樹脂組成物である。
本発明の更に他の特徴は、樹脂が熱可塑性樹脂である。
本発明の更に他の特徴は、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂である。
本発明の更に他の特徴は、フィルム用の樹脂組成物である。
本発明の表面処理重質炭酸カルシウムは、乾式で生産できるためにコスト的に有利で、例えば、フィルム製造用樹脂に配合されると、フィラーとしての優れた分散性と低水分性のため、フィルムの細孔径を精密に制御した多孔性フィルムの製造に好適である。
更に、本発明の表面処理重質炭酸カルシウムは、低水分性であるため、バイオプラスチック、PETやPENのような加水分解しやすいポリエステル系の樹脂や、ガラス転移点が高く高温で混練する必要があるナイロン、ポリカーボネート等にエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂にも好適である。
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、下記の(1)、(2)および(3)の粒度特性と、(4)で示される水分値とを満足することを特徴とする。
13,000≦A≦25,000 (1)
0.8 ≦B≦3.0 (2)
C≧0.55 (3)
0≦D1 ≦1000 (4)
但し、
A:空気透過法による比表面積(cm2/g )、
B:平均粒子径(μm)で、マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒子の50%粒子径(d50)、
C:マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒度分布の10%粒子径(μm)、
D1 :カールフィッシャー法(加熱気化法)により25〜300℃の間で測定される水分(ppm )。
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、空気透過法による比表面積Aが13,000〜25,000cm2 /gであることが必要で、14,000〜20,000cm2 /gが好ましく、更に好ましくは15,000〜18,000cm2 /gである。
比表面積Aが25,000cm2 /gを越えると分散性の点で好ましくなく、また、表面積が大きいので吸着水分も多くなる。13,000cm2 /g未満では、一次粒子が大き過ぎ、例えば電池用セパレータフィルムに配合された場合に目的以上の大きな空孔を作成するので、リチウム二次電池に使用される粒子としては適当ではない。また例えば、紙おむつ用通気性フィルムはコストダウン、環境保護、装着時の快適性の観点から年々フィルム厚が薄くなっているので、大きな一次粒子の存在により、フィッシュアイが発生する可能性があり、フィルムの耐水圧が低下するので好ましくない。
空気透過法による比表面積Aは、下記の方法で測定した。
恒圧粉体比表面積測定装置(島津製作所製:SS−100)を使用して、下記の測定条件で測定した。
重質炭酸カルシウムの比重:2.7g/ml
試料:2.7g
通気させる水の量:5ml
試料層の厚み:比表面積10000cm2 /g未満の場合は、8mm〜9mmに調整
比表面積10000cm2 /g以上20000cm2 /g以下の場合は、9mm〜12mmに調整
比表面積20000cm2 /g超過の場合は、12mm〜13mmの間に調整
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、Leeds & Northrup社製マイクロトラックMT3300で測定した平均粒子径Bが0.8 〜3.0 μmであることが必要で、1.3 〜2.5 μmであることが好ましく、更に好ましくは1.8 〜2.3 μmである。
平均粒子径Bを0.8 μm未満にすることは技術上可能であるが、超微粉が多くなり、水分除去の点で不利であり、また樹脂中でも凝集した二次粒子のままで存在するため好ましくなく、平均粒子径Bが3.0 μmを越えると、例えば、紙おむつなど延伸して製造するフィルムには、フィルム中の開口部の孔径が大きくなりすぎ透湿フィルムとしては好ましくない。
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、マイクロトラックMT3300で測定した粒度分布の10%粒子径Cが0.55μm以上であることが必要で、好ましくは0.60μm以上、更に好ましくは0.65μm以上である。10%粒子径Cが0.55μm未満であると水分の吸着しやすい超微粉の頻度が高くなり低水分化が達成できない。また、超微粉はフィルムを延伸させる多孔性フィルムの場合、粒子が樹脂に追随してボイドが発生しない場合や、ボイドが小さすぎて機能に寄与しない場合がある。更に、昨今はフィルムの押し出しスピードが高速になり、コンパウンドのMFRを上げる必要があるが、微粒子を多く含むと樹脂粘度が上がりMFRが低くなってしまう。10%粒子径Cの上限は特に制限されないが、D50に近い程好ましい。
ところで、超微粉の頻度を適切にするには、少なくとも1回は微粉カット工程を経て、比表面積を低下させた重質炭酸カルシウムを原料として、これを分級して粒度調整し、さらに表面処理して製造する方法が挙げられる。微粉カットにも分級が使用できる。微粉カット工程は、重質炭酸カルシウムの表面処理工程の前に行うほうが、水分除去の面で有利であるが、表面処理工程の後でも行うことができ、また、必要に応じて付け加えることもできる。分級としては、水を利用した湿式分級や空気を利用した乾式分級のいずれでもよいが、作業性や乾燥のためのエネルギーが不要である面で乾式分級が好ましい。分級は加熱処理の前又は後のいずれでもよい。
10%粒子径Cは、例えば市場で入手できる微粒子の無処理の重質炭酸カルシウムで比表面積が25,000 cm2/g を越えるものからでも、分級により微粒子をカットすることによって得ることができる。微粒子をカットすることで、相対的に平均粒子径Bは若干大きい方向にシフトするが、比表面積を低下させることによる水分低下に寄与する度合いは顕著である。
なお、マイクロトラックMT3300での測定に用いる媒体には、メタノールを用いた。また、測定に際しては、測定に用いるメタノールスラリーに前分散として日本精機製作所製超音波分散機 Ultra Sonic Generator US-300Tを使用し、300 μAで60秒間照射した後に測定した。
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、カールフィッシャー法(加熱気化法)による25〜300℃の間で測定される水分D1が1000ppm 以下であることが必要で、好ましくは700ppm以下であり、更に好ましくは500ppm以下である。25〜300℃までは比較的脱着しやすい吸着水分であり、乾燥あるいは混練時の真空ベントである程度除去できるが1000ppm を超えると除去しきれない水分量が多くなる。本発明の表面処理炭酸カルシウムは混練前の予備乾燥をしないで低水分の樹脂組成物(コンパウンド)を得ることができる炭酸カルシウムフィラーを提供することが望ましいので、除去しきれない水分量が多くなると好ましくない。
また、本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、カールフィッシャー法(加熱気化法)による200〜300℃の間で測定される水分D2 が、150ppm 以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm 以下であり、更に好ましくは50ppm 以下である。水分D2が150ppmを上回る値であると、表面処理後に再吸湿しやすくなり、また、予備乾燥や混練時に機械的に除去するのが困難である。
水分D1 及び水分D2 は、重質炭酸カルシウムを加熱処理することにより調整される。加熱条件は温度と時間により変動するので一概には規定できないが、通常、品温200℃以上800℃以下、より好ましくは品温250℃以上700℃以下、更に好ましくは品温300℃以上600℃以下の一定温度で加熱処理するのが好適である。特に水分D2 は、重質炭酸カルシウム中の超微粒子が比較的大きな粒子表面に焼結して、または粉砕により発生したメソポアが焼結により収縮したために、比表面積を低下させた結果水分が少なくなると考えられる。200℃より低い温度では、粉体表面の吸着水分が離脱するだけで化学吸着している水分は離脱しない。また、再吸湿性が高くなるので好ましくない。一方、800℃より高い温度では、滞留時間にもよるが、粒子内部まで生石灰化してpHを上昇させ、焼結により凝集した粗大粒子に成長するので好ましくない。
本発明において加熱処理に使用する加熱装置としては、例えば、トンネルキルン、ローラハウスキルン、プッシャーキルン、シャトルキルン、台車昇降式キルン等のキルン、電気炉等が挙げられる。ロータリーキルンとしては、例えば、外熱式ロータリーキルン、内熱式ロータリーキルン、バッチ式ロータリーキルンが挙げられる。更に、これらの加熱装置にマイクロ波を組み合わせたマイクロ波炉等が挙げられる。好ましくは、コスト、作業性、熱履歴のムラを考慮するとロータリーキルンが好適であり、中でも好ましいのは外熱式ロータリーキルンである。内熱式ロータリーキルンは粉体の白色度を低下させる恐れがあり、バッチ式は後工程の表面処理を考慮すると効率が悪いためである。
カールフィッシャー法(加熱気化法)による水分D1、D2は、下記の方法により測定した。
水分気化装置(三菱化学社製:VA−100)を使用し、カールフィッシャー法水分計(三菱化学社製:CA−100)により重質炭酸カルシウムの水分量を3回測定し、それらの平均値とした。
尚、重質炭酸カルシウムサンプルは25℃に調整された部屋で2日間以上静置した後に測定される。測定条件は下記のとおりである。
昇温開始温度:25℃
昇温終了温度:300℃
ステップ温度:100℃
終点検出レベル:0.1μg/s
滴定開始延滞時間:2min
導通ガス:N2 ガス
導通ガス量:250ml/min
サンプル量:1g
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、上記マイクロトラックMT3300で測定した粒度分布の90%粒子径Eが8μm以下であることが好ましく、更に好ましくは6μm以下である。Eが8μmを超えると比較的大粒子の頻度が高いことを意味し、紙おむつ用多孔質フィルムに配合された場合に、目的以上の大きな空孔を作成されたる恐れがある。90%粒子径Eは、原理的に平均粒子径Bよりは大きい値となる。
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、10重量%水懸濁液にしたときのpH値Fが8.0 〜9.8 であることが好ましく、より好ましくは8.0 〜9.6 である。pH値Fを8.0 未満にすることは、表面処理剤、表面処理量を選ぶことによって技術的には可能であるが、コストの点で好ましくなく、pH値Fが9.8 を上回るアルカリの強い値にすることは、フィルムの劣化に加えて、例えば紙おむつのような人の皮膚に接触するような用途では、皮膚の過敏な箇所に障害を引き起こす恐れが生じ好ましくない。また、ポリエステル系樹脂のように加水分解しやすい樹脂は特に好ましくない。
なお、上記10重量%水懸濁液にしたときのpH値Fは、試料5gを45gのイオン交換水に投入し、十分に振とうして20分静置し、水懸濁液をpH 計にて測定した。
また、本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、下記の試験方法で測定される目開き38μmのJIS標準篩の篩残分Gが10ppm 以下であることが好ましく、より好ましくは5ppm 以下である。篩残分Gが10ppm を越えるとフィルムを薄膜化した場合、例えば、紙おむつ用通気性フィルムを薄膜化した場合フィッシュアイが発生しやすいので好ましくない。上記EやGに影響する粗大粒子は空気分級に加えて、篩による分級工程で、例えば振動篩等の篩いを通すことによって除去できる。粗大粒子の除去は、表面処理工程の前でも、表面処理後でも必要に応じておこうなうことができる。
(篩試験方法)
試料400gを2Lのステンレスビーカーに量り取り、800gの工業用メタノールを加えてスラリーとする。それを内径200mmの目開き38μmのJIS標準篩上に注ぎながら、刷毛で軽く混ぜ試料を通過させる。刷毛に付いた固形物も水を用いて洗い落し、篩通過液が完全に透明になるまで、刷毛を用いて軽く篩上を掃く。次に、内径75mmの目開き38μmのJIS標準篩に残物を移し、乾燥機(105℃)に30分以上放置する。その後、デシケーターで15分放冷した後、残物を薬包紙に取り篩残分を計算する。
本発明に用いられる表面処理剤は、有機物であれば特に限定されることなく用いることができる。具体的に例示すると、一価アルコールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸エステル、モンタンワックスタイプの非常に長鎖のエステルの部分加水分解物等の脂肪酸エステル系滑剤;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの非イオン界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。尚、上記一価アルコールとしては炭素数が1〜18であるメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられ、多価アルコールとしてはエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられ、高級脂肪酸としては炭素数が8〜18のラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
さらには、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;前記脂肪酸のアマイドおよびビスアマイド;ステアリルアルコール等の高級アルコールまたは分岐高級アルコール;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはその複合体等の金属石鹸系滑剤;C16以上の流動パラフィン、マイクロクリスタンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリオレフィンワックスおよびこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物などの脂肪族炭化水素系滑剤;シリコンオイル、大豆油、ヤシ油、パーム核油、アマニ油、ナタネ油、綿実油、キリ油、ヒマシ油、牛脂、スクワラン、ラノリン、硬化油等の油剤;N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホンコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル塩;トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート等のアルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩;脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド等の非イオン界面活性剤;フッ素系界面活性剤;ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル等の反応系界面活性剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。更には、上記した非イオン界面活性剤と組み合わせて用いられる。
これらの表面処理剤の中では、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸が性能的にもコスト的にも好ましい。また、加水分解しやすいポリエチレンテレフタレートやバイオプラスチックのようなポリエステル系樹脂や混練温度の高い樹脂には、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート等のリン酸エステルが好ましい。
本発明に係る表面処理重質炭酸カルシウムは、粒度特性の調整された重質炭酸カルシウムを加熱処理し、次いで表面処理剤で表面処理することにより製造される。加熱装置としては上記したように、各種のキルン、電気炉、マイクロ波炉等が好適である。加熱条件は、上記したように、加熱温度、加熱時間(滞留時間)等を勘案して適宜決定される。
上記の如くして得られた表面処理炭酸カルシウムは、低水分であるとともに、各種樹脂、ゴム、塗料等における分散性に優れており、特に樹脂との相溶性及び分散性に優れている。
樹脂としては特に制限されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド樹脂、バイオプラスチック、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、フッ素樹脂等で樹脂組成物中に水分が多くなると強度劣化したり、耐久性が問題となる用途に適し、これら樹脂は単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの樹脂の中でフィルム用としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。更に、バイオプラスチック、PETやPENのような加水分解しやすいポリエステル系の樹脂や、ガラス転移点が高く高温で混練する必要があるナイロン、ポリカーボネート等にエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂も好ましい。配合割合は、通常、樹脂100重量部に対して表面処理炭酸カルシウム2〜400重量部が好適である。
本発明の樹脂組成物には、上記の他に一般に樹脂組成物に用いられる添加物、例えば、滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤、着色剤等を配合してもよい。
上記の如き樹脂組成物を用いてフィルムを得るには、ヘンシェルミキサー、タンブラー型ミキサー、リボンブレンダー等の公知の混合機を用いて混合した後、通常は一軸あるいは二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で加熱混練し、ペレット化する。又は、上記混練中に上記樹脂とは特性の異なる樹脂や、上記表面処理炭酸カルシウムをサイドフィード等の手法を用いて配合し連続して次なる混練をおこなってもよい。このペレットを上記樹脂の融点以上且つ分解温度未満の温度において、Tダイ押出、あるいはインフレーション成形等の公知の成形機を用いて、溶融、製膜する。場合によっては、ペレット化せずに直接にTダイ押出等で製膜してもよい。また、ブロー成形しても良い。比較的厚みのあるシートの場合は射出成形しても良い。
製膜されたフィルムは、公知のロール法、テンター法等の方法により、樹脂の軟化点以下の温度で、少なくとも一軸方向に延伸し、樹脂部分と炭酸カルシウムとの界面剥離等を起こさせることにより多孔性フィルムが製造される。
延伸は、一段で行っても、あるいは複数の段階に分けて行ってもよい。延伸倍率は所望の多孔質フィルムの特性に合致するように定めなければならないが、通常は公知の範囲の倍率を用いるとよい。好ましくは、延伸倍率は1.2 倍から3 倍である。二軸延伸の場合は流れ方向及びそれと直角方向に同時に延伸を行ってもよいし、最初に流れ方向、次ぎに流れと直角方向、あるいは反対の順序に分けて行ってもよい。また延伸後に、得られたフィルムの開口形状を安定化させるために熱固定化処理をおこなったり、酸溶液等で洗浄してもよい。
本発明によって製造されるフィルムの厚みには特に制限はなく、用途に応じて調整すればよい。例えば、紙おむつのバックシートでは16〜50gsm (g/m2 )が一般的であるが、本発明による表面処理炭酸カルシウムを配合することによって14gsm (g/m2 )以下の通気性フィルムを得ることができる。また、使い捨てカイロやカーラップ、ハウスラップ等の建築用材料では30〜100μm前後、電池用セパレーターでは数百μmが一般的である。
多孔性フィルムの物性は、炭酸カルシウムの比表面積、充填割合、表面処理剤の種類、フィルム又はシート製造用樹脂の(直鎖状ポリエチレンと分岐状ポリエチレンの割合等の)組成、その他添加剤の種類、延伸条件(延伸方向、延伸倍率、延伸温度、延伸後の熱固定化処理条件)によって自由に変えることができる。
本発明による多孔性フィルムは、適度の通気性、透湿性、接着性を有し、厚みや硬さにおいて優れた均一性を有する。このため、使い捨て紙おむつ、体液吸収パッド、ベッドシーツ等の衛生材料、手術衣、温湿布用基材等の医療材料、ジャンパー、雨着等の衣料用材料、壁紙、屋根防水材、ハウスラップフィルム等の建築用材料、乾燥剤、防湿剤、脱酸素剤、使い捨てカイロ、鮮度保持包装、食品包装等の包装材、農業用透気性シート、電池用セパレータ等の資材として極めて好適に使用できる。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例、比較例により何ら制限されるものではない。尚、以下の記載において、部は重量部を表わす。
実施例1
市販の重質炭酸カルシウムであるスーパー#2000(丸尾カルシウム社製)を使用し、外熱式ロータリーキルン(高砂工業社製;外形寸法Φ150×2000mm)で、外熱温度580℃、レトルト回転数4rpm、角度60mm、投入量6kg/ hの条件にて加熱処理した。この時、品温は420℃、滞留時間は約10分であった。この産物を放冷してスーパーミキサーSMV−20(カワタ製)を使用して表面処理した。ミキサーにこの産物を5.5kg投入し、加温しながら品温が70℃になってから、70℃に加熱して溶融させたステアリン酸55gを撹拌しながら添加して品温が130℃に達するまで撹拌加熱処理した。その後、ハイボルター300型(東洋ハイテック製;ノンライナー)に目開き46μmのメッシュを装着して、粗粒子や凝集粒子を篩分け除去して表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
実施例2
市販の重質炭酸カルシウムであるスーパー#2000(丸尾カルシウム社製)を、流体分級機ターボクラシファイアTC−15(日清エンジニアリング社製)を用いて、フィード量1.5kg/ h、ローター回転数8000rpm、風量1.5m3 / minの条件で分級し、粗粉側を回収した。これを電気炉中に400℃で1時間加熱処理した。この産物を実施例1と同様に、表面処理、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
実施例3
市販の重質炭酸カルシウムであるナノックス#25A(丸尾カルシウム社製)を使用した以外は実施例2と同様に分級、加熱処理、表面処理して、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。但し、表面処理剤の量は71.5gとした。
実施例4
市販の重質炭酸カルシウムであるカルテックス7(丸尾カルシウム社製)を使用して電気炉中に350℃で2時間加熱処理した。その産物を実施例1と同様に表面処理、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。但し、表面処理剤の量は82.5gとした。
実施例5
市販の重質炭酸カルシウムであるカルテックス5(丸尾カルシウム社製)を、流体分級機ターボクラシファイアTC−15を用いて、フィード量1.0kg/ h、ローター回転数12000rpm、風量1.5m3 / minの条件で分級し、粗粉側を回収した。これを電気炉中に400℃で1時間加熱処理した。その産物を実施例1と同様に表面処理、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。但し、表面処理剤の量は82.5gとした。
実施例6
市販の重質炭酸カルシウムであるスーパー#1500(丸尾カルシウム社製)を使用し、外熱式ロータリーキルン(高砂工業社製;外形寸法Φ150×2000mm)で、外熱温度520℃、レトルト回転数4rpm、角度60mm、投入量6kg/ hの条件にて加熱処理した。この時、品温は380℃、滞留時間は約10分であった。これを実施例1と同様に、表面処理、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。但し、表面処理剤の量は49.5gとした。
実施例7
実施例2の表面処理剤をトリメチルフォスフェートにして表面処理剤を常温で27.5g添加した以外は同様に加熱処理、表面処理、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
実施例8
電気炉の条件を750℃、1時間の加熱処理した以外は実施例1と同様に表面処理工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。ただし篩通しは省略した。
実施例9
市販の重質炭酸カルシウムであるスーパー#2000(丸尾カルシウム社製)を使用し、電気炉中に250 ℃で2時間加熱処理した。この産物を実施例1と同様に表面処理、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
実施例10
実施例4の表面処理剤をトリエチルフォスフェートにした以外は同様に加熱処理、篩工程を経て表1に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
比較例1
実施例1のロータリーキルンによる加熱処理をしなかったこと以外は同様にして表2に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
比較例2
市販の表面処理重質炭酸カルシウムであるMCコートS−14(丸尾カルシウム社製)を準備した。
比較例3
市販の重質炭酸カルシウムであるナノックス#30(丸尾カルシウム社製)を使用した以外は実施例1と同様に、加熱処理、表面処理、篩工程を経て表2に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
比較例4
加熱処理をしなかったこと以外は実施例7と同様に表面処理、篩工程を経て表2に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。
比較例5
市販の表面処理重質炭酸カルシウムであるスーパーS(丸尾カルシウム社製)を準備した。
比較例6
加熱処理しなかったこと以外は比較例3と同様に、表面処理、篩工程を経て表2に示す粉体物性を有する表面処理重質炭酸カルシウムを得た。但し、表面処理剤の量は38.5gとした。
Figure 2014019784
Figure 2014019784
実施例11〜18、比較例7〜11
実施例1〜6及び8、9、比較例1〜3及び5、6によって得られた表面処理重質炭酸カルシウムを用いて、ポリエチレン(ユメリット2040F;宇部丸善ポリエチレン株式会社製)50部、表面処理重質炭酸カルシウム50部、安定剤としてイルガノックス1010を1000ppm添加して、ヘンシェルミキサーで混合攪拌して充分に分散せしめた後に、混練押出し機(ラボプラストミル2D25W型;東洋精機製)を用いて220℃で造粒しペレットにした。そのペレットを110℃、3時間乾燥させた後、フィルム押出し機(ラボプラストミルD2025型;東洋精機製)を用いて230℃でTダイから押し出し無延伸フィルムを得た。次いで、テンター延伸機で無延伸フィルムを115℃に加熱してMD方向(押出し方向)に3.3倍に延伸し、更に120℃に加熱してTD方向(横手方向)に3倍に延伸した。このフィルムの目付量は15gsmであった。その評価結果を表3に示す。但し、評価の基準は次の通りである。
<粒子の分散性>
◎:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが無い。
○:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが1個か2個である。
△:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが3個以上10個未満である。
×:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが10個以上である。
<水分によるガスマーク>
◎:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が無い。
○:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が1個か2個である。
△:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が3個以上10個未満である。
×:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が10個以上である。
Figure 2014019784
以上のように、本発明の表面処理重質炭酸カルシウムは低コストで分散性が良く、表面性状の優れたフィルムを提供することができる。尚、実施例17については、PHが高く使い捨て紙おむつ、体液吸収パッド、ベッドシーツ等の衛生材料には不適である。
実施例19〜20、比較例12〜13
実施例7、10、比較例4、5によって得られた表面処理重質炭酸カルシウムを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)(比重1.39;日本ポリペンコ社製)60部、表面処理重質炭酸カルシウム40部をヘンシェルミキサーで混合攪拌して充分に分散せしめた後に、混練押出し機(ラボプラストミル2D25W型;東洋精機製)を用いて280℃で造粒しペレットにした。そのペレットを110℃、1時間乾燥させた後、このペレットをフィルム押出し機(ラボプラストミルD2025型;東洋精機製)を用いて290℃でTダイからシート状に押し出し、30℃の冷却ドラムで冷却固化せしめ無延伸フィルムを得た。次いで、テンター延伸機で無延伸フィルムを95℃に加熱してMD方向(押出し方向)に3.3倍に延伸し、更に120℃に加熱してTD方向(横手方向)に3倍に延伸して厚さ50μmのフィルムを得た。その評価結果を表4に示す。
<ペレットのIV(溶融粘度)>
PET樹脂単体の280℃におけるIV(溶融粘度)を100として、得られたペレットのIVを指数化して分子量の目安とした。数値が小さいほど加水分解していると考えられる。
<粒子の分散性>
◎:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが無い。
○:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが1個か2個である。
△:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが3個以上10個未満である。
×:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが10個以上である。
<水分によるガスマーク>
◎:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が無い。
○:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が1個か2個である。
△:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が3個以上10個未満である。
×:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が10個以上である。
実施例21〜22、比較例14〜15
実施例7、10、比較例4、6によって得られた表面処理重質炭酸カルシウムを用いて、バイオプラスチック(比重1.25;ユニチカ社製テラマックTP−4000)70部、表面処理重質炭酸カルシウム30部をヘンシェルミキサーで混合攪拌して充分に分散せしめた後に、混練押出し機(ラボプラストミル2D25W型;東洋精機製)を用いて180℃で造粒しペレットにした。そのペレットを110℃、1時間乾燥させた後、このペレットをフィルム押出し機(ラボプラストミルD2025型;東洋精機製)を用いて190℃でTダイからシート状に押し出し、厚さ100μmの無延伸フィルムを得た。その評価結果を表4に示す。
<ペレットのIV(溶融粘度)>
バイオプラスチック樹脂単体の190℃におけるIV(溶融粘度)を100として、得られたペレットのIVを指数化して分子量の目安とした。数値が小さいほど加水分解していると考えられる。
<粒子の分散性>
◎:フィルム100mm×200m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが無い。
○:フィルム100mm×200m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが1個か2個である。
△:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが3個以上10個未満である。
×:フィルム100mm×200m中に目視で確認できる凝集物、粗大粒子によるフィッシュアイが10個以上である。
<水分によるガスマーク>
◎:フィルム100mm×200m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による穴(ガスマーク)が無い。
○:フィルム100mm×200m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による穴(ガスマーク)が1個か2個である。
△:フィルム300mm×300m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による気泡(ガスマーク)が3個以上10個未満である。
×:フィルム100mm×200m中に目視で確認できる水分等の揮発成分による穴(ガスマーク)が10個以上である。
Figure 2014019784
以上のように、本発明の表面処理重質炭酸カルシウムは、加水分解して分子量低下を起こしやすいポリエステル系樹脂であっても、本発明の表面処理重質炭酸カルシウムは低水分故に安定的に、且つフィッシュアイやガスマークの少ないフィルムやシートを提供することができる。
以上のとおり、本発明の表面処理重質炭酸カルシウムは、乾式で生産できるためにコスト的に有利で、例えば、フィルム製造用樹脂に配合されると、フィラーとしての優れた分散性と低水分性のため、フィルムの細孔径を精密に制御した多孔性フィルムの製造に好適であり、予備乾燥することなく、あるいは簡単な予備乾燥で十分な脱水処理を可能とする表面処理重質炭酸カルシウムが提供される。
また、本発明の表面処理重質炭酸カルシウムは、低水分性であるため、バイオプラスチック、PETやPENのような加水分解しやすいポリエステル系の樹脂や、ガラス転移点が高く高温で混練する必要があるナイロン、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂にも好適で、その有用性は極めて大である。

Claims (9)

  1. 下記式(1)〜(4)を満足することを特徴とする表面処理重質炭酸カルシウム。
    13,000≦A≦25,000 (1)
    0.8 ≦B≦3.0 (2)
    C≧0.55 (3)
    0≦D1 ≦1000 (4)
    但し、
    A:空気透過法による比表面積(cm2/g )、
    B:平均粒子径(μm)で、マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒子の50%粒子径(d50)、
    C:マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒度分布の10%粒子径(μm)、
    D1 :カールフィッシャー法(加熱気化法)により25〜300℃の間で測定される水分(ppm )。
  2. 更に、下記式(5)と式(6)とを更に満足することを特徴とする請求項1記載の表面処理重質炭酸カルシウム。
    E≦8 (5)
    0≦D2 ≦150 (6)
    但し、
    E:マイクロトラックMT3300レーザー式粒度分布計により測定した粒度分布の90%粒子径(μm)、
    D2 :カールフィッシャー法(加熱気化法)により200〜300℃の間で測定される水分(ppm )。
  3. 更に、式(7)を満足する請求項1又は2記載の表面処理炭酸カルシウム。
    8.0 ≦F≦9.8 (7)
    但し、
    F:10重量%水懸濁液にしたときのpH。
  4. 重質炭酸カルシウムを分級した後、キルン、電気炉、マイクロ波炉から選ばれる加熱装置を用いて200℃以上800℃以下で加熱処理し、次いで、表面処理剤で表面処理することを特徴とする請求項1記載の表面処理重質炭酸カルシウムの製造方法。
  5. 重質炭酸カルシウムを、キルン、電気炉、マイクロ波炉から選ばれる加熱装置を用いて200℃以上800℃以下で加熱処理した後分級し、次いで、表面処理剤で表面処理することを特徴とする請求項1記載の表面処理重質炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理炭酸カルシウムを含有してなる樹脂組成物。
  7. 樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
  9. フィルム用であることを特徴とする請求項8記載の樹脂組成物。
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