本明細書では、複数の実施形態が図面に基づいて説明されている。なお、図面は、各実施形態について、共通する箇所には共通の符号が付されており、本明細書では、重複する説明が省略されている。また、一の実施形態で記述されていることは、適宜、他の実施形態についても適用することができる。さらに、図面は、概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
<第一実施形態>
(回転電機10の概略構成)
図1に示すように、本実施形態の回転電機10は、固定子20と、可動子30とを具備している。固定子20は、固定子鉄心21と、固定子巻線22とを備えている。固定子鉄心21には、複数(本実施形態では、60個)のスロット21cが形成されており、複数(60個)のスロット21cには、固定子巻線22が巻装されている。固定子巻線22は、互いに位相が異なる複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22cを備えている。つまり、本実施形態の回転電機10は、三相機である。
可動子30は、固定子20に対して移動可能に支持されており、可動子鉄心31と、可動子鉄心31に設けられている複数(本実施形態では、8極)の可動子磁極32(4組の一対の可動子磁極32a,32b)とを備えている。このように、本実施形態の回転電機10は、8極60スロット構成の回転電機(可動子30の磁極数が2極、固定子20のスロット数が15スロットを基本構成とする回転電機)であり、毎極毎相スロット数は2.5である。つまり、本実施形態の回転電機10は、毎極毎相スロット数が整数でない分数スロット構成の回転電機である。
ここで、毎極毎相スロット数を帯分数で表したときの整数部分を整数部aとする。また、帯分数の真分数部分を既約分数で表したときの分子部分を分子部b、分母部分を分母部cとする。なお、整数部aは、0(ゼロ)または正の整数とし、分子部bおよび分母部cは、いずれも正の整数とする。また、三相の回転電機10では、分母部cは、2以上、かつ、3の倍数でない整数とする。本実施形態では、毎極毎相スロット数が2.5であり、整数部aは2、分子部bは1、分母部cは2である。また、本明細書では、毎極毎相スロット数の分子部bおよび分母部cを用いて、b/c系列の回転電機10と表記する。つまり、本実施形態の回転電機10は、1/2系列の回転電機10である。
さらに、固定子20に対する可動子30の移動方向を第一方向(矢印X方向)とする。また、固定子20と可動子30の対向方向を第二方向(矢印Y方向)とする。さらに、第二方向(矢印Y方向)のうちの固定子20側から可動子30側に向かう方向を第二方向可動子側(矢印Y1方向)とする。また、第二方向(矢印Y方向)のうちの可動子30側から固定子20側に向かう方向を第二方向固定子側(矢印Y2方向)とする。さらに、第一方向(矢印X方向)および第二方向(矢印Y方向)のいずれの方向に対しても直交する方向を第三方向(矢印Z方向)とする。
図1に示すように、本実施形態の回転電機10は、固定子20および可動子30が同軸に配されるラジアル空隙型の円筒状回転電機である。よって、第一方向(矢印X方向)は、回転電機10の周方向に相当し、固定子20に対する可動子30の回転方向に相当する。また、第二方向(矢印Y方向)は、回転電機10の径方向に相当し、スロット21cの深さ方向に相当する。さらに、第三方向(矢印Z方向)は、回転電機10の軸線方向に相当する。
固定子鉄心21は、例えば、電磁鋼板21xが第三方向(矢印Z方向)に複数積層されて形成されている。複数の電磁鋼板21xは、例えば、ケイ素鋼板を用いることができ、複数の電磁鋼板21xの各々は、薄板状に形成されている。固定子鉄心21は、ヨーク部21aと、ヨーク部21aと一体に形成されている複数(本実施形態では、60個)のティース部21bとを備えている。
ヨーク部21aは、第一方向(矢印X方向)に沿って形成されている。複数(60個)のティース部21bは、ヨーク部21aから第二方向可動子側(矢印Y1方向)に突出するように形成されている。また、第一方向(矢印X方向)に隣接するティース部21b,21bによって、スロット21cが形成されており、複数(60個)のスロット21cには、固定子巻線22が挿通されている。さらに、複数(60個)のティース部21bの各々は、ティース先端部21dを備えている。ティース先端部21dは、ティース部21bの第二方向可動子側(矢印Y1方向)の先端部をいい、第一方向(矢印X方向)に幅広に形成されている。
固定子巻線22は、例えば、銅などの導体表面がエナメルなどの絶縁層で被覆されている。固定子巻線22の断面形状は、特に限定されるものではなく、任意の断面形状とすることができる。例えば、断面円形状の丸線、断面多角形状の角線などの種々の断面形状の巻線を用いることができる。また、複数のより細い巻線素線を組み合わせた並列細線を用いることもできる。並列細線を用いる場合、単線の場合と比べて固定子巻線22に発生する渦電流損を低減することができ、回転電機10の効率が向上する。また、巻線成形に要する力を低減することができるので、成形性が向上して製作が容易になる。
固定子巻線22は、複数のコイルサイド22aと、複数のコイルエンド22bと、を有している。複数のコイルサイド22aは、複数(60個)のスロット21cに収容されている部位をいう。複数のコイルエンド22bは、複数のコイルサイド22aの同一側端部をそれぞれ接続している部位をいう。また、固定子巻線22は、複数(3つ)の相コイル22cの各々において、複数(本実施形態では、複数(8極)の可動子磁極32の一磁極対あたり、4つ)の単位コイル22dを備えている。
図2に示すように、各単位コイル22dは、複数(60個)のスロット21cのうちの一対のスロット21c,21c間で同心状に巻装され、一対のコイルサイド22a,22aと、一対のコイルエンド22b,22bと、を備えている。一対のコイルサイド22a,22aと、一対のコイルエンド22b,22bとは、一体に形成されている。後述するように、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、複数(8極)の可動子磁極32の一磁極対あたり、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数種類(本実施形態では、4種類)の単位コイル22dを備えており、極対コイル60が構成されている。
本実施形態の固定子巻線22は、分布巻で巻装されている。分布巻では、固定子巻線22の巻ピッチが、1スロットピッチより大きく設定され、複数(8極)の可動子磁極32の概ね1磁極幅で巻装される。分布巻では、既述した毎極毎相スロット数の整数部aは、1以上の正の整数(本実施形態では、2)になる。
可動子鉄心31は、例えば、電磁鋼板31xが第三方向(矢印Z方向)に複数積層されて形成されている。複数の電磁鋼板31xは、例えば、ケイ素鋼板を用いることができ、複数の電磁鋼板31xの各々は、薄板状に形成されている。本実施形態の回転電機10は、円筒状回転電機であり、可動子鉄心31は、円柱状に形成されている。また、可動子鉄心31には、第一方向(矢印X方向)に沿って複数の磁石収容部(図示略)が設けられている。
複数の磁石収容部には、所定磁極数分(本実施形態では、8極)の永久磁石(可動子磁極32であり、4組の一対の可動子磁極32a,32b)が埋設されており、永久磁石と固定子20に発生する回転磁界とによって、可動子30が移動可能(回転可能)になっている。本明細書では、一対の可動子磁極32a,32bのうちの一方の極性(例えば、N極)を備える可動子磁極32は、可動子磁極32aで示されている。一対の可動子磁極32a,32bのうちの他方の極性(例えば、S極)を備える可動子磁極32は、可動子磁極32bで示されている。
永久磁石は、例えば、公知のフェライト系磁石や希土類系磁石を用いることができる。また、永久磁石の製法は、限定されない。永久磁石は、例えば、樹脂ボンド磁石や焼結磁石を用いることができる。樹脂ボンド磁石は、例えば、フェライト系の原料磁石粉末と樹脂などを混合して、射出成形などによって可動子鉄心31に鋳込み形成される。焼結磁石は、例えば、希土類系の原料磁石粉末を磁界中で加圧成形して、高温で焼き固めて形成される。なお、可動子30は、表面磁石形にすることもできる。表面磁石形の可動子30は、固定子鉄心21の各ティース先端部21dと対向する可動子鉄心31の表面(外側表面)に永久磁石が設けられる。
本実施形態では、可動子30は、固定子20の内方(回転電機10の軸心側)に設けられており、固定子20に対して移動可能(回転可能)に支持されている。具体的には、可動子鉄心31には、シャフト(図示略)が設けられており、シャフトは、可動子鉄心31の軸心を第三方向(矢印Z方向)に沿って貫通している。シャフトの第三方向(矢印Z方向)の両端部は、軸受部材(図示略)によって、回転可能に支持されている。これにより、可動子30は、固定子20に対して、移動可能(回転可能)になっている。
(固定子巻線22の相配置に起因する回転電機10の騒音および振動)
図3は、参考形態の固定子巻線22の相配置の一例を示している。参考形態の回転電機10は、本実施形態の回転電機10と同様に、8極60スロット構成の回転電機(可動子30の磁極数が2極、固定子20のスロット数が15スロットを基本構成とする回転電機)である。また、参考形態の回転電機10は、本実施形態の回転電機10と同様に三相機であり、固定子巻線22は、複数(3つ)の相コイル22cを備えている。複数(3つ)の相コイル22cを、U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cwとする。U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwは、電気角で120°ずつ、位相がずれており、U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cwの順に位相が遅れているものとする。
同図は、複数(25個)のスロット21cに収容されている複数(一層あたり25個、合計50個)のコイルサイド22aの相(U相、V相またはW相)を示している。なお、コイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、相(U相、V相またはW相)毎のコイルサイド22aの分布を説明するために、便宜上、規定したものであり、実際のコイルサイド22aの数(実際の巻線の数)を示すものではない。また、同図では、コイルサイド22aの通電方向は、アスタリスクの有無で表されている。具体的には、アスタリスクが付されている相(例えば、U*)は、アスタリスクが付されていない相(例えば、U)に対して、コイルサイド22aの通電方向が逆方向に設定されている。本参考形態の回転電機10は、本実施形態の回転電機10と同様に、毎極毎相スロット数が2.5である。そのため、第一方向(矢印X方向)に隣接する同相の数は、第一層L1および第二層L2の各層で、2と3とが交互に繰り返されている。
また、同図に示す位置座標PPは、複数(25個)のスロット21cの第一方向(矢印X方向)の位置を示している。位置座標PPは、説明の便宜上、設定されたものであり、複数(一層あたり25個、合計50個)のコイルサイド22aの第一方向(矢印X方向)の位置が特定可能になっている。さらに、同図では、複数(3つ)の可動子磁極32(可動子磁極32a,32b,32a)が併記されている。
ここで、第一方向(矢印X方向)に連続して隣り合う複数(本参考形態では、3つ)のスロット21cに収容されている同相の電流方向が同じ複数(本参考形態では、5つ)のコイルサイド22aの集合を一相帯41とする。例えば、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22a(同図では、U*で示す)の集合は、一相帯41である。同図では、U相の一相帯41を構成する複数(5つ)のコイルサイド22aが囲まれて明示されているが、V相およびW相についても、同様に一相帯41が構成されている。
さらに、一相帯41を構成する複数(本参考形態では、5つ)のコイルサイド22aの配置および当該複数(5つ)のコイルサイド22aの第一方向(矢印X方向)における位置の両方を加味して算出される一相帯41の中心を一相帯41のコイルサイド中心CCとする。例えば、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのU*で示す)が収容されている。また、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのU*で示す)が収容されている。さらに、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのU*で示す)が収容されている。よって、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41のコイルサイド中心CC11は、例えば、下記数1から算出することができ、コイルサイド中心CC11は、0.8になる。
(数1)
CC11=(0×2+1×2+2×1)/(2+2+1)=0.8
位置座標PPが7のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのUで示す)が収容されている。また、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのUで示す)が収容されている。さらに、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのUで示す)が収容されている。よって、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41のコイルサイド中心CC12は、例えば、下記数2から算出することができ、コイルサイド中心CC12は、8.2になる。
(数2)
CC12=(7×1+8×2+9×2)/(1+2+2)=8.2
位置座標PPが15のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのU*で示す)が収容されている。また、位置座標PPが16のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのU*で示す)が収容されている。さらに、位置座標PPが17のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのU*で示す)が収容されている。よって、位置座標PPが15、16および17の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41のコイルサイド中心CC13は、例えば、下記数3から算出することができ、コイルサイド中心CC13は、15.8になる。
(数3)
CC13=(15×2+16×2+17×1)/(2+2+1)=15.8
位置座標PPが22のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのUで示す)が収容されている。また、位置座標PPが23のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのUで示す)が収容されている。さらに、位置座標PPが24のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのUで示す)が収容されている。よって、位置座標PPが22、23および24の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41のコイルサイド中心CC14は、例えば、下記数4から算出することができ、コイルサイド中心CC14は、23.2になる。
(数4)
CC14=(22×1+23×2+24×2)/(1+2+2)=23.2
上述した算出結果から、U相の一相帯41のコイルサイド中心CC11とコイルサイド中心CC12との間の距離は、7.4(=8.2−0.8)になる。また、U相の一相帯41のコイルサイド中心CC12とコイルサイド中心CC13との間の距離は、7.6(=15.8−8.2)になる。さらに、U相の一相帯41のコイルサイド中心CC13とコイルサイド中心CC14との間の距離は、7.4(=23.2−15.8)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の一相帯41のコイルサイド中心CC間の距離は、7.4および7.6が交互に繰り返される。そのため、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の一相帯41のコイルサイド中心CC間の距離は、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等にはならず、一磁極対毎に均等になる。
一方、U相の一相帯41を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも5つであり、一相帯41を構成する複数のコイルサイド22aによって発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。このように、本明細書では、一相帯41を構成する複数のコイルサイド22aによって発生する起磁力の大きさが、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等であるコイルを基本コイル50という。図3に示すように、本参考形態の固定子巻線22は、一つの基本コイル50を備えている。
また、本明細書では、一相帯41を構成する複数(本参考形態では、5つ)のコイルサイド22aの第一方向(矢印X方向)の分布幅をコイルサイド分布幅とする。図3から明らかなように、本参考形態のコイルサイド分布幅は、毎極において3スロット分である。さらに、本明細書では、複数(8極)の可動子磁極32を基準にした実質のコイルサイド分布幅を実効コイルサイド分布幅とする。例えば、位置座標PPが0のスロット21cに収容されているU相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのU*で示す)の複数(8極)の可動子磁極32を基準にした等価位置は、位置座標PPが7.5の位置になる。また、位置座標PPが1のスロット21cに収容されているU相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのU*で示す)の複数(8極)の可動子磁極32を基準にした等価位置は、位置座標PPが8.5の位置になる。さらに、位置座標PPが2のスロット21cに収容されているU相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのU*で示す)の複数(8極)の可動子磁極32を基準にした等価位置は、位置座標PPが9.5の位置になる。つまり、実効コイルサイド分布幅は、位置座標PPが7から9.5までの3.5スロット分である。
逆に、例えば、位置座標PPが7のスロット21cに収容されているU相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのUで示す)の複数(8極)の可動子磁極32を基準にした等価位置は、位置座標PPが−0.5の位置になる。また、位置座標PPが8のスロット21cに収容されているU相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのUで示す)の複数(8極)の可動子磁極32を基準にした等価位置は、位置座標PPが0.5の位置になる。さらに、位置座標PPが9のスロット21cに収容されているU相の複数(2つ)のコイルサイド22a(同図では、2つのUで示す)の複数(8極)の可動子磁極32を基準にした等価位置は、位置座標PPが1.5の位置になる。つまり、実効コイルサイド分布幅は、位置座標PPが−0.5から2までの3.5スロット分である。このように、1/2系列の回転電機10では、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の一相帯41は、複数(8極)の可動子磁極32を基準にした等価位置が、1/2スロット分、ずれている。同図に示すU相の一相帯41の近傍の数字は、U相の一相帯41を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)を上述した等価位置で示している。
U相の一相帯41を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等であるので、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。しかしながら、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の一相帯41のコイルサイド中心CC間の距離は、7.4および7.6が交互に繰り返されるので、起磁力分布は、複数(8極)の可動子磁極32の一磁極毎には等価にならず、一磁極対毎に隔極で等価になる。つまり、1/2系列の回転電機10は、二種類の起磁力分布を備えている。
二種類の起磁力分布は、固定子鉄心21に対して、可動子30の磁極数(本参考形態では、8極)に依拠する次数(本参考形態では、8次(空間8次))と比べて、低次(本参考形態では、4次(空間4次))の起振力を発生させる。そのため、駆動回転数が広範囲に亘る回転電機10では、固定子鉄心21の固有振動数と一致する回転数が、駆動回転数範囲内に生じ易くなる。その結果、固定子20の共振が発生し、回転電機10の騒音および振動が増大する可能性がある。そこで、本実施形態では、起磁力の大きさが均等であっても、起磁力分布が均等でない状態(回転対称性をもたない状態)を改善することによって、固定子巻線22の相配置に起因する回転電機10の騒音および振動を低減する。なお、図3の図示の方法について既述したことは、固定子巻線22の相配置を示す後述する図面についても同様に言える。また、本明細書では、固定子巻線22の相配置がU相を例に説明されているが、V相およびW相についても同様に言える。
(本実施形態の固定子巻線22の構成と起磁力分布)
図4Aに示すように、固定子巻線22は、複数(本実施形態では、4つ)の基本コイル50を備えている。複数(4つ)の基本コイル50の各々は、参考形態で既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(4つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、少なくとも一つの第二基本コイル52(本実施形態では、3つの第二基本コイル52)とを備えている。第一基本コイル51は、第一方向(矢印X方向)における毎極の一相帯41の配置に関して基準になるコイルをいう。第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)における毎極の一相帯41の配置が異なるコイルをいう。
さらに、少なくとも一つの第二基本コイル52(本実施形態では、3つの第二基本コイル52)は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されていると好適である。また、所定スロットピッチは、移動単位量のn倍(但し、nは1以上の自然数)で表されると好適である。さらに、移動単位量は、NIスロットピッチであり、NIは、毎極スロット数(本実施形態では、7.5)の直近の整数または1であると好適である。また、少なくとも一つの第二基本コイル52(本実施形態では、3つの第二基本コイル)の各々の所定スロットピッチを列挙した数列である第一数列は、移動単位量の1倍からn倍までのすべての自然数倍を含むと好適である。
本実施形態では、複数(3つ)の第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(後述する第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。また、移動単位量は、毎極スロット数(本実施形態では、7.5)より小さい直近の整数である7スロットピッチに設定されている。さらに、複数(3つ)の第二基本コイル52のうちの一の第二基本コイル52(例えば、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))に設定されている。複数(3つ)の第二基本コイル52のうちの他の一の第二基本コイル52(例えば、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))に設定されている。複数(3つ)の第二基本コイル52のうちの他の一の第二基本コイル52(例えば、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの2倍(14スロットピッチ(14sp))に設定されている。このように、本実施形態では、所定スロットピッチを規定するnは、1および2である。また、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))から2倍(14スロットピッチ(14sp))までのすべての自然数倍を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。また、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。
さらに、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他のU相の一相帯41についても同様に言える。
ここで、第一基本コイル51の一の一相帯41を構成する複数(本実施形態では、5つ)のコイルサイド22aと、少なくとも一つの第二基本コイル52(本実施形態では、3つの第二基本コイル52)の各々の一の一相帯41を構成する複数(本実施形態では、5つ)のコイルサイド22aと、が混成されて新しく形成される一相帯41を混成一相帯42とする。例えば、第一基本コイル51のU相の一相帯41は、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが−1、0および1の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが−1、0および1の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。
第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが−1、0および1の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。この場合、U相の混成一相帯42は、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。また、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。
固定子巻線22は、混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aによって発生する起磁力の大きさが複数(本実施形態では、8極)の可動子磁極32の毎極において均等になるように、複数(本実施形態では、4つ)の基本コイル50が混成されている。具体的には、複数(3つ)の第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ(7スロットピッチ(7sp)または14スロットピッチ(14sp))分、移動されて、複数(4つ)の基本コイル50が積層されている。これにより、本実施形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第八層L8の八層に形成されている。
また、混成一相帯42を構成する複数(本実施形態では、20個)のコイルサイド22aの配置および当該複数(20個)のコイルサイド22aの第一方向(矢印X方向)における位置の両方を加味して算出される混成一相帯42の中心を混成一相帯42のコイルサイド中心CCとする。例えば、位置座標PPが−1のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されている。また、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(8つ)のコイルサイド22aが収容されている。さらに、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22aが収容されている。また、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されている。よって、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC21は、例えば、下記数5から算出することができ、コイルサイド中心CC21は、0.25になる。
(数5)
CC21=(−1×4+0×8+1×7+2×1)/(4+8+7+1)=0.25
同様に、例えば、第一基本コイル51のU相の一相帯41は、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。
第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが6、7および8の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。この場合、U相の混成一相帯42は、位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。また、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。
位置座標PPが6のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されている。また、位置座標PPが7のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22aが収容されている。さらに、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(8つ)のコイルサイド22aが収容されている。また、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されている。よって、位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC22は、例えば、下記数6から算出することができ、コイルサイド中心CC22は、7.75になる。
(数6)
CC22=(6×1+7×7+8×8+9×4)/(1+7+8+4)=7.75
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが14、15、16および17の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC23は、例えば、下記数7から算出することができ、コイルサイド中心CC23は、15.25になる。
(数7)
CC23=(14×4+15×8+16×7+17×1)/(4+8+7+1)
=15.25
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが21、22、23および24の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC24は、例えば、下記数8から算出することができ、コイルサイド中心CC24は、22.75になる。
(数8)
CC24=(21×1+22×7+23×8+24×4)/(1+7+8+4)
=22.75
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC21とコイルサイド中心CC22との間の距離は、7.5(=7.75−0.25)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC22とコイルサイド中心CC23との間の距離は、7.5(=15.25−7.75)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC23とコイルサイド中心CC24との間の距離は、7.5(=22.75−15.25)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.5であり、均等である。そのため、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。
ここで、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離の比を隣接コイルサイド比とする。既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)では、隣接コイルサイド比は、0.974(=7.4/7.6)である。一方、本実施形態(固定子巻線22が複数(4つ)の基本コイル50を備える形態)では、隣接コイルサイド比は、1(=7.5/7.5)である。このように、隣接コイルサイド比が1に近づく程、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、均等化されていると言える。
U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも20個であり、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。そのため、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。さらに、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。よって、起磁力分布は、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において等価になり、本実施形態の回転電機10は、一種類の起磁力分布を備えている。
このように、本実施形態では、起磁力分布の回転対称性が改善されている。その結果、本実施形態の回転電機10は、可動子30の磁極数(本実施形態では、8極)に依拠する次数(本実施形態では、8次(空間8次))と比べて、低次(本実施形態では、4次(空間4次))の起振力が低減される。よって、本実施形態の回転電機10は、固定子鉄心21の固有振動数と一致する回転数が高まり、例えば、駆動回転数範囲外に設定することができる。つまり、本実施形態の回転電機10は、固定子20の共振機会を回避して、回転電機10の騒音および振動を低減することができる。
なお、本実施形態の回転電機10によれば、回転電機10の騒音および振動の低減に付随して、トルクリップルも低減することもできる。トルクリップルは、回転電機10の出力トルクに生じる脈動であり、可動子30の移動に伴う固定子20と可動子30との間の磁束変化の脈動に起因して発生する。通電に伴うトルクリップルの一例として、スロットリップル、ポールリップルなどが挙げられる。
また、回転電機10の騒音および振動を低減する方法として、固定子鉄心21の各ティース先端部21d、または、各ティース先端部21dと対向する可動子鉄心31の表面(外側表面)に、切り欠きを設ける手法が挙げられる。しかしながら、この手法は、実質的に空隙の拡大となり、トルク目減りが増大する。本実施形態の回転電機10は、トルク目減りを抑制しつつ、回転電機10の騒音および振動を低減することができる。
なお、図4Aに示す相配置は、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、通電方向が異なるコイルサイド22aが混在している。そのため、図4Bに示すように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要がある。例えば、図4Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図4Aに示す通電方向に対して反転されている。
また、図4Bに示す第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図4Aに示す通電方向に対して反転されている。上述したことは、図4Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。また、上述したことは、同図に示す第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。なお、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52では、コイルサイド22aの通電方向は、正しいので、コイルサイド22aの通電方向を反転する必要はない。
また、図4Cに示すように、本実施形態では、同一のスロット21cに収容されている複数のコイルサイド22aは、当該スロット21c内において、同相のコイルサイド22aが集約されている。例えば、図4Bに示す第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが−1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図4Cでは、第五層L5から第六層L6に移動されている。図4Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが−1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図4Cでは、第三層L3から第五層L5に移動されている。このようにして、図4Cでは、位置座標PPが−1のスロット21cにおいて、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが集約され、V相の複数(4つ)のコイルサイド22aが集約されている。
また、図4Bに示す第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図4Cでは、第八層L8から第七層L7に移動されている。このようにして、図4Cでは、位置座標PPが1のスロット21cにおいて、U相の複数(7つ)のコイルサイド22aが集約されている。さらに、図4Bに示す第一基本コイル51において、位置座標PPが2のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図4Cでは、第二層L2から第一層L1に移動されている。このようにして、図4Cでは、位置座標PPが2のスロット21cにおいて、W相の複数(7つ)のコイルサイド22aが集約されている。上述したことは、他の混成一相帯42についても同様に言える。
本実施形態では、相間(U相、V相およびW相のうちの任意の相の間)の境界が単純化(相間の境界の凹凸が最小化)されており、相間の絶縁が容易になっている。例えば、相間を絶縁する絶縁紙の形状が単純化され、絶縁紙の配置が容易になる。このように、複数(本実施形態では、4つ)の基本コイル50の混成には、同一のスロット21cに収容される少なくとも一つのコイルサイド22aの当該スロット21c内の配置を変更した形態が含まれる。
さらに、例えば、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。また、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4.5スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4.5スロット分である。
このように、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(4.5スロット分)は、既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。そのため、本実施形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。なお、起磁力分布は、コイルサイド分布に基づいて形成されるので、上述したことは、コイルサイド分布からも言える。
図5Aは、参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)のコイルサイド分布の一例を示している。コイルサイド分布は、位置座標PP毎の同相(U相)の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)を示しており、同図では、コイルサイド分布は、棒グラフによって示されている。横軸は、位置座標PPを示しており、縦軸は、U相の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)を示している。
なお、スロットサイズ(スロット21cの深さ)は変わらないので、コイルサイド分布を示す後述する図面(例えば、図5Bなど)を含めて、縦軸の上限は、一定になる必要がある。しかしながら、コイルサイド分布を示す図では、説明の便宜上、縦軸は、コイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)を示しており、縦軸の上限は、必ずしも一定になっていない。コイルサイド分布を示す図では、棒グラフの相対的な高さの比率と棒グラフの分布が意味をもつ。例えば、図5Aに示す位置座標PPが0、1および2の棒グラフの相対的な高さの比率は、2:2:1であり、図5Bに示す位置座標PPが−1、0、1および2の棒グラフの相対的な高さの比率は、4:8:7:1である。
また、説明の便宜上、棒グラフの横軸方向の幅を1スロット分とし、隣接する棒グラフの間には、ティース部21bの第一方向(矢印X方向)の幅に相当する空白が設けられている。但し、同図は、ティース部21bの第一方向(矢印X方向)の幅を規定するものではない。さらに、同図では、複数(8極)の可動子磁極32の一磁極対分のコイルサイド分布が図示されている。同図に示すコイルサイド分布は、複数(8極)の可動子磁極32の一磁極対毎に繰り返される。図5Aの図示の方法について既述したことは、コイルサイド分布を示す後述する図面についても同様に言える。但し、後述する図面では、縦軸は、混成一相帯42を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)を示している。
図3に示すように、例えば、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されている。そのため、図5Aに示すように、位置座標PPが0におけるU相の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。同様に、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。また、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
位置座標PPが7のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。また、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。さらに、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相の一相帯41を構成するコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。
図5Bは、本実施形態(固定子巻線22が複数(4つ)の基本コイル50を備える形態)のコイルサイド分布の一例を示している。図4Cに示すように、例えば、位置座標PPが−1のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されている。そのため、図5Bに示すように、位置座標PPが−1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。同様に、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(8つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、8とする。また、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、7とする。さらに、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
位置座標PPが6のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが6におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。また、位置座標PPが7のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、7とする。さらに、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(8つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、8とする。また、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。
図5Bに示す本実施形態のコイルサイド分布は、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布と比べて、第一方向(矢印X方向)に広がり、なだらかになっている。本実施形態では、混成一相帯42を構成する複数(20個)のコイルサイド22aは、参考形態の一相帯41を構成する複数(5つ)のコイルサイド22aと比べて、広範囲の隣接する複数のスロット21cに配置されている。その結果、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力分布は、第一方向(矢印X方向)に分散される。よって、固定子20と可動子30との間の吸引力分布も、なだらかになり、吸引力のピーク値(吸引力分布における基本波成分の振幅)および吸引力の変化量は、参考形態と比べて低減する。また、吸引力のピーク値が最大になる位置の第一方向(矢印X方向)におけるピッチも等ピッチ化される。よって、本実施形態の回転電機10は、参考形態の回転電機10と比べて、回転電機10の騒音および振動を低減することができる。また、固定子20と可動子30との間の空隙に発生する磁束波形は、参考形態と比べて、正弦波に近づくので、本実施形態の回転電機10は、参考形態と比べて、起磁力の高調波成分(例えば、五次および七次の成分)を低減することもできる。
なお、一相帯41を構成する複数のコイルサイド22aによって発生する起磁力の大きさは、複数のコイルサイド22aを形成する複数の巻線に流れる電流の電流値と、複数のコイルサイド22aを形成する複数の巻線の巻数(ターン数であり、導体数)とを乗じた値になる。複数のコイルサイド22aを形成する複数の巻線は、直列接続および並列接続のうちの少なくとも一方によって電気的に接続することができる。但し、複数の巻線に並列接続される部位が存在すると、当該部位では、直列接続される場合と比べて、電流値が小さくなるので、起磁力の大きさも小さくなる。よって、複数の巻線の巻数(ターン数であり、導体数)を考える場合、並列接続される部位の導体数を直列接続の導体数に換算した直列換算導体数を用いる必要がある。例えば、複数(2つ)の巻線が直列接続される部位の各々の導体数を1とする。このとき、複数(2つ)の巻線が並列接続(二並列)される部位では、直列換算導体数は、2とする。
ここで、第一基本コイル51の一の一相帯41を構成する複数(本実施形態では、5つ)のコイルサイド22aの直列換算導体数を第一コイルサイド導体数とする。また、第一基本コイル51の一の一相帯41に対して第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ(本実施形態では、7スロットピッチまたは14スロットピッチ)分、移動した位置に配置されている少なくとも一つの第二基本コイル52(本実施形態では、3つの第二基本コイル52)の各々の一の一相帯41を構成する複数(本実施形態では、5つ)のコイルサイド22aの直列換算導体数を第二コイルサイド導体数とする。
例えば、図4Bに示すように、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に7スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、5(=2.5×2)スロット分を占有している。また、第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に14スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。
このように、本実施形態では、複数(2つ)の第二コイルサイド導体数のうちの一方の第二コイルサイド導体数(この場合、2.5×t0で表される)は、第一コイルサイド導体数と均等である。これに対して、複数(2つ)の第二コイルサイド導体数のうちの他方の第二コイルサイド導体数(この場合、5×t0で表される)は、第一コイルサイド導体数と異なり、第一コイルサイド導体数の二倍になっている。上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
ここで、第一コイルサイド導体数と、所定スロットピッチが小さいものから順に所定スロットピッチ毎に列挙された少なくとも一つの第二コイルサイド導体数(本実施形態では、複数(2つ)の第二コイルサイド導体数)と、からなるコイルサイド導体数を列挙した要素数がm個(但し、mは3以上の自然数)の数列を第二数列とする。本実施形態では、mが3であり、第二数列の要素数は3個である。また、第二数列の要素を列挙すると、2.5×t0、5×t0、2.5×t0となり、第二数列の各要素の比は、1:2:1になる。
本実施形態では、第二数列は、k番目(但し、kはm/2以下の自然数)の要素のコイルサイド導体数と、(m−k+1)番目の要素のコイルサイド導体数と、が同一である。具体的には、本実施形態では、mが3であるので、kは、1になる。1番目の要素のコイルサイド導体数は、2.5×t0である。3(=3−1+1)番目の要素のコイルサイド導体数は、2.5×t0である。よって、1番目の要素のコイルサイド導体数と、3番目の要素のコイルサイド導体数とは、同一である。また、第二数列は、2番目の要素のコイルサイド導体数(5×t0)が、1番目の要素のコイルサイド導体数および3番目の要素のコイルサイド導体数(2.5×t0)と比べて、二倍に設定されている。
本実施形態では、第二数列は、1番目の要素からj番目(但し、jはm/2であり、m/2が自然数でないときには小数点以下を切り上げた自然数)の要素にかけて、コイルサイド導体数が増加しており、j番目の要素からm番目の要素にかけて、コイルサイド導体数が減少している。具体的には、本実施形態では、mが3であるので、jは、2になる。また、1番目の要素のコイルサイド導体数は、2.5×t0であり、2番目の要素のコイルサイド導体数は、5×t0である。よって、第二数列は、1番目の要素から2番目の要素にかけて、コイルサイド導体数が増加している。一方、2番目の要素のコイルサイド導体数は、5×t0であり、3番目の要素のコイルサイド導体数は、2.5×t0である。よって、第二数列は、2番目の要素から3番目の要素にかけて、コイルサイド導体数が減少している。
上述したことは、mが4以上の自然数においても同様に言える。例えば、mが6の場合を想定する。第二数列の1番目の要素から6番目の要素を、順に、要素EL1、要素EL2、要素EL3、要素EL4、要素EL5、要素EL6とする。但し、要素EL1と要素EL6は、コイルサイド導体数が同一であり、要素EL2と要素EL5は、コイルサイド導体数が同一であり、要素EL3と要素EL4は、コイルサイド導体数が同一であるものとする。また、1番目の要素EL1から3番目の要素EL3にかけて、コイルサイド導体数が増加しており、4番目の要素EL4から6番目の要素EL6にかけて、コイルサイド導体数が減少しているものとする。
mが6であるので、kは3(=6/2)以下の自然数になる。上記仮定したように、1番目の要素EL1と、6(=6−1+1)番目の要素EL6は、コイルサイド導体数が同一である。2番目の要素EL2と、5(=6−2+1)番目の要素EL5は、コイルサイド導体数が同一である。3番目の要素EL3と、4(=6−3+1)番目の要素EL4は、コイルサイド導体数が同一である。また、mが6であるので、jは、3になる。上記仮定したように、1番目の要素EL1から3番目の要素EL3にかけて、コイルサイド導体数が増加している。一方、4番目の要素EL4から6番目の要素EL6にかけて、コイルサイド導体数が減少している。
このように、第二数列は、k番目(但し、kはm/2以下の自然数)の要素のコイルサイド導体数と、(m−k+1)番目の要素のコイルサイド導体数と、が同一であると好適である。また、第二数列は、1番目の要素からj番目(但し、jはm/2であり、m/2が自然数でないときには小数点以下を切り上げた自然数)の要素にかけて、コイルサイド導体数が増加しており、j番目の要素からm番目の要素にかけて、コイルサイド導体数が減少していると好適である。さらに、本実施形態では、mは3である。この場合、第二数列は、2番目の要素のコイルサイド導体数が、1番目の要素のコイルサイド導体数および3番目の要素のコイルサイド導体数と比べて、二倍に設定されていると好適である。
(固定子巻線22の構成例)
図4Cに示すように、複数(本実施形態では、4つ)の基本コイル50が混成されている固定子巻線22は、複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cw)を含んでいる。複数(3つ)の相コイル22cは、少なくとも一つ(本実施形態では、三相の各相4個、合計12個)の極対コイル60を具備しており、各極対コイル60は、同心状に巻装されている複数(本実施形態では、4つ)の単位コイル22dを備えている。なお、同図では、図示の便宜上、U相コイル22cuの一つの極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dが明示されている。
図6に示すように、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、第一極コイル61fと第二極コイル61sとを備え、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sが電気的に直列接続されていると好適である。本実施形態では、第一極コイル61fは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22dを備えており、当該複数(2つ)の単位コイル22dを第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2とする。第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されており、第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。第一単位コイル22d1および第二単位コイル22d2は、同心状に巻装され、単位コイル間接続部62によって直列接続されており、第一極コイル61fが形成されている。
本実施形態では、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22dを備えており、当該複数(2つ)の単位コイル22dを第三単位コイル22d3、第四単位コイル22d4とする。第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されており、第四単位コイル22d4の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、4スロットピッチ(4sp)に設定されている。第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4は、同心状に巻装され、単位コイル間接続部62によって直列接続されており、第二極コイル61sが形成されている。第二極コイル61sは、第一極コイル61fが複数(8極)の可動子磁極32のうちの一の可動子磁極32(同図では、可動子磁極32a)と対向するときに当該可動子磁極32(可動子磁極32a)に隣接する一の可動子磁極32(同図では、可動子磁極32b)と対向する。
このように、各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4)は、一対のスロット21c,21cに収容されている一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチがそれぞれ異なる。また、各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4)は、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが、いずれも毎極スロット数(本実施形態では、7.5)より短く設定されている。一方、二層重巻によって固定子巻線を構成する場合、単位コイルの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、いずれも7スロットピッチ(7sp)に設定される。よって、本実施形態の回転電機10は、二層重巻構成の固定子巻線と比べて、固定子巻線22の導体長を短くすることができ、固定子巻線22に使用する導体量を少なくすることができる。
図4Bに示すように、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52と、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52とは、固定子20上の配置が同じである。よって、これらの二つの第二基本コイル52は、1種類の基本コイル50と考える。これらの二つの第二基本コイル52と、第一層L1および第二層L2を形成する第一基本コイル51と、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52とは、固定子20上の配置がそれぞれ異なる。よって、本実施形態の固定子巻線22は、固定子20上の配置が異なる奇数種類(本実施形態では、3種類)の複数(本実施形態では、4つ)の基本コイル50を備えている。
また、図4Cに示すように、複数(4つ)の基本コイル50は、同一のスロット21cに収容されている同相のコイルサイド22aの当該スロット21c内の配置が相毎(U相、V相およびW相毎)に集約されている。さらに、複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22cの各々は、複数(4つ)の基本コイル50の全体において、複数(本実施形態では、8極)の可動子磁極32の磁極対数分(本実施形態では、4つ)の極対コイル60を備えている。よって、例えば、複数(4つ)の基本コイル50の各々において4つの極対コイル60を備える場合と比べて、本実施形態の回転電機10は、極対コイル60の数を低減することができ、固定子巻線22の簡素化を図ることができる。その結果、本実施形態の回転電機10は、極対コイル60間の配策の簡素化およびこれに伴う固定子巻線22の小型化を図ることができ、固定子巻線22の装着作業における作業性の向上を図ることができる。
さらに、図6に示すように、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、巻始め側の第一極コイル61fから巻終り側の第二極コイル61sへ引き回す極コイル間接続部63を介して連続して巻進められていると好適である。本実施形態では、巻始め部60aから巻終り部60bまで巻線が連続して巻進められて、極対コイル60が形成されている。これにより、第一極コイル61fを構成する複数(2つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1および第二単位コイル22d2)と、第二極コイル61sを構成する複数(2つ)の単位コイル22d(第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4)とが直列接続されている。本実施形態では、第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4は、この順に直列接続されている。なお、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sの各々について、個別に巻装し、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sを直列接続することによって、極対コイル60を形成することもできる。また、複数の極対コイル60の巻線を連続して巻進めて、直列接続された複数の極対コイル60を形成することもできる。
また、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、第一コイル引出部60fと第二コイル引出部60sとからなる一対のコイル引出部60f,60sを備えていると好適である。第一コイル引出部60fは、第一極コイル61fを構成する一の単位コイル22dであって巻始めの単位コイル22d(本実施形態では、第一単位コイル22d1)の一のコイルサイド22aから引き出される。当該コイルサイド22aを第一コイルサイド22a1とする。第二コイル引出部60sは、第二極コイル61sを構成する一の単位コイル22dであって巻終りの単位コイル22d(本実施形態では、第四単位コイル22d4)の一のコイルサイド22aから引き出される。当該コイルサイド22aを第二コイルサイド22a2とする。なお、図6では、極コイル間接続部63によって接続される第一極コイル61f側のコイルサイド22aを第三コイルサイド22a3とする。また、極コイル間接続部63によって接続される第二極コイル61s側のコイルサイド22aを第四コイルサイド22a4とする。
さらに、図7Aに示すように、U相コイル22cuは、一対のコイル引出部60f,60sを介して、U相の複数(4つ)の極対コイル60が電気的に接続されていると好適である。具体的には、各極対コイル60の巻始め部60a同士が電気的に接続され、U相端子6TUに接続されている。また、各極対コイル60の巻終り部60b同士が電気的に接続され、中性点6Nに接続されている。これにより、U相コイル22cuを構成する複数(4つ)の極対コイル60は、電気的に並列接続されている。
なお、U相コイル22cuは、直列接続されている複数(4つ)の極対コイル60によって構成することもできる。また、図7Bに示すように、U相コイル22cuは、複数(4つ)の極対コイル60のうちの第一方向(矢印X方向)に隣接または一磁極対分おきに存在する複数(2つ)の極対コイル60を直列接続し、残りの第一方向(矢印X方向)に隣接または一磁極対分おきに存在する複数(2つ)の極対コイル60を直列接続して、これらを並列接続することもできる。U相コイル22cuについて上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。このように、複数(3つ)の相コイル22cの各々が具備する複数(4つ)の極対コイル60は、直列接続および並列接続のうちの少なくとも一方により電気的に接続することができる。また、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、一対のコイル引出部60f,60sを介して、同相の複数(4つ)の極対コイル60が電気的に接続されていると好適である。
図6に示すように、第一方向(矢印X方向)のうちの第一極コイル61f側から第二極コイル61s側に向かう方向を第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)とする。また、第一方向(矢印X方向)のうちの第二極コイル61s側から第一極コイル61f側に向かう方向を第一方向第一極コイル側(矢印X2方向)とする。既述したように、本実施形態の複数(3つ)の相コイル22cは、U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwの順に120°ずつ、位相が遅れており、相順方向は、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)である。
図8に示すように、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、Y結線で電気的に接続されている。U相端子6TUは、U相コイル22cuの相端子を示し、V相端子6TVは、V相コイル22cvの相端子を示し、W相端子6TWは、W相コイル22cwの相端子を示している。中性点6Nは、中性点を示している。なお、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、Δ結線で電気的に接続することもできる。
ここで、各極対コイル60を構成する複数(本実施形態では、4つ)の単位コイル22dのうちの一の単位コイル22dであって一対のスロット21c,21cに収容されている同相の一対のコイルサイド22a,22aのスロット占有率が、当該複数(4つ)の単位コイル22dの中で最小の単位コイル22dをスロット占有率最小コイルとする。上述したように、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル22cは、中性点6Nを備える。この場合、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、スロット占有率最小コイルが中性点6Nと接続されていると好適である。
また、各極対コイル60を構成する複数(本実施形態では、4つ)の単位コイル22dのうちの一の単位コイル22dであって一対のスロット21c,21cに収容されている同相の一対のコイルサイド22a,22aのスロット占有率が、当該複数(4つ)の単位コイル22dの中で最大の単位コイル22dをスロット占有率最大コイルとする。本実施形態では、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、第一極コイル61fにスロット占有率最大コイルを備え、第二極コイル61sにスロット占有率最小コイルを備える。この場合、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、スロット占有率最大コイルがX相端子6TXと接続されていると好適である。但し、Xは、U、VまたはWである。
図4Cに示すように、例えば、U相コイル22cuの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dを想定する。位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(8つ)のコイルサイド22a(同図では、8つのUで示す)が収容されており、位置座標PPが15のスロット21cには、U相の複数(8つ)のコイルサイド22a(同図では、8つのU*で示す)が収容されている。よって、位置座標PPが8および15の一対のスロット21c,21cに収容されるU相の第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=8/8)である。また、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22a(同図では、4つのUで示す)が収容されており、位置座標PPが14のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22a(同図では、4つのU*で示す)が収容されている。よって、位置座標PPが9および14の一対のスロット21c,21cに収容されるU相の第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=4/8)である。
さらに、位置座標PPが16のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22a(同図では、7つのU*で示す)が収容されており、位置座標PPが22のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22a(同図では、7つのUで示す)が収容されている。よって、位置座標PPが16および22の一対のスロット21c,21cに収容されるU相の第三単位コイル22d3のスロット占有率は、87.5%(=7/8)である。また、位置座標PPが17のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのU*で示す)が収容されており、位置座標PPが21のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22a(同図では、一つのUで示す)が収容されている。よって、位置座標PPが17および21の一対のスロット21c,21cに収容されるU相の第四単位コイル22d4のスロット占有率は、12.5%(=1/8)である。
このように、本実施形態では、スロット占有率最小コイルは、第四単位コイル22d4であり、スロット占有率最大コイルは、第一単位コイル22d1である。また、図7Aに示すように、本実施形態では、U相コイル22cuの各極対コイル60は、スロット占有率最小コイルである第四単位コイル22d4が、中性点6Nと接続されている。さらに、U相コイル22cuの各極対コイル60は、第一極コイル61fにスロット占有率最大コイルである第一単位コイル22d1を備え、第二極コイル61sにスロット占有率最小コイルである第四単位コイル22d4を備える。このとき、U相コイル22cuの各極対コイル60は、スロット占有率最大コイルである第一単位コイル22d1が、U相端子6TUと接続されている。上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。なお、図6では、スロット占有率(巻線の巻数比)が、分数表記されている。このことは、後述する図面においても同様である。
図9Aに示すように、U相の相電圧をU相電圧Vuで示し、V相の相電圧をV相電圧Vvで示し、W相の相電圧をW相電圧Vwで示す。また、U相コイル22cuの各極対コイル60は、スロット占有率が100%(=8/8)の第一単位コイル22d1、スロット占有率が50%(=4/8)の第二単位コイル22d2、スロット占有率が87.5%(=7/8)の第三単位コイル22d3、スロット占有率が12.5%(=1/8)の第四単位コイル22d4の順に、U相端子6TU側から中性点6N側に、4つの単位コイル22dが直列接続されている。上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。
また、U相電圧VuおよびV相電圧Vvに付されている矢印は、第一単位コイル22d1〜第四単位コイル22d4の各々が分担する分担電圧の大きさを模式的に示している。既述したように、第一単位コイル22d1は、スロット占有率が100%(=8/8)であり、第一単位コイル22d1が収容されるスロット21cは、同相の単位コイル22dが収容される。よって、当該スロット21cにおいては、相間を絶縁する必要がない。一方、第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4は、スロット占有率が100%(=8/8)ではないので、同一のスロット21c内に、相(U相、V相、W相)が異なる単位コイル22dが収容される。よって、当該スロット21cにおいては、相間を絶縁する必要がある。
図9A〜図9Hに示すように、一例として、U相とV相の単位コイル22d間の電位差を考える。例えば、図4Cに示すように、位置座標PPが22のスロット21cには、スロット占有率が87.5%(=7/8)のU相の第三単位コイル22d3と、スロット占有率が12.5%(=1/8)のV相の第四単位コイル22d4とが収容されている。図9Aに示すように、U相の第三単位コイル22d3のU相端子6TU側の端部と、V相の第四単位コイル22d4のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、これらの単位コイル22d間の電位差の最大値になり、同図では、当該電位差は、電位差ΔUV11で示されている。
同様に、例えば、図4Cに示すように、位置座標PPが21のスロット21cには、スロット占有率が12.5%(=1/8)のU相の第四単位コイル22d4と、スロット占有率が87.5%(=7/8)のV相の第三単位コイル22d3とが収容されている。図9Aに示すように、U相の第四単位コイル22d4のU相端子6TU側の端部と、V相の第三単位コイル22d3のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、これらの単位コイル22d間の電位差の最大値になり、同図では、当該電位差は、電位差ΔUV12で示されている。
また、例えば、図4Cに示すように、位置座標PPが14のスロット21cには、スロット占有率が50%(=4/8)のU相の第二単位コイル22d2と、スロット占有率が50%(=4/8)のV相の第二単位コイル22d2とが収容されている。図9Bに示すように、U相の第二単位コイル22d2のU相端子6TU側の端部と、V相の第二単位コイル22d2のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、これらの単位コイル22d間の電位差の最大値になり、同図では、当該電位差は、電位差ΔUV13で示されている。なお、同図では、U相の第二単位コイル22d2のU相端子6TU側の端部と、V相の第二単位コイル22d2の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV14で示されている。また、U相の第二単位コイル22d2の中性点6N側の端部と、V相の第二単位コイル22d2の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV15で示されている。
図9Cおよび図9Dに示す比較形態では、U相コイル22cuの各極対コイル60は、スロット占有率が87.5%(=7/8)の第一単位コイル22d1、スロット占有率が12.5%(=1/8)の第二単位コイル22d2、スロット占有率が100%(=8/8)の第三単位コイル22d3、スロット占有率が50%(=4/8)の第四単位コイル22d4の順に、U相端子6TU側から中性点6N側に、4つの単位コイル22dが直列接続されている。上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。
図9Cでは、U相の第一単位コイル22d1のU相端子6TU側の端部と、V相の第二単位コイル22d2のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV21で示され、U相の第一単位コイル22d1のU相端子6TU側の端部と、V相の第二単位コイル22d2の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV22で示されている。また、U相の第二単位コイル22d2のU相端子6TU側の端部と、V相の第一単位コイル22d1のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV23で示され、U相の第二単位コイル22d2の中性点6N側の端部と、V相の第一単位コイル22d1のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV24で示されている。さらに、図9Dでは、U相の第四単位コイル22d4のU相端子6TU側の端部と、V相の第四単位コイル22d4のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV25で示されている。
図9Aに示す本実施形態の電位差ΔUV11および電位差ΔUV12は、図9Dに示す比較形態の電位差ΔUV25と比べて、若干、大きくなっている。しかしながら、図9Bに示す本実施形態の電位差ΔUV13〜電位差ΔUV15は、図9Cに示す比較形態の電位差ΔUV21〜電位差ΔUV24と比べて、十分、低減され、同一のスロット21cに収容される相が異なる単位コイル22d間の電位差が低減されている。よって、本実施形態の回転電機10は、相間の絶縁部材(例えば、相間紙など)を削減または簡素化することができ、部品点数の低減、巻装の自動化が容易になる。また、本実施形態の回転電機10は、相間の絶縁部材の削減または簡素化によって占積率が向上し、固定子鉄心21の小型化等を図ることができる。
図9Eおよび図9Fに示す比較形態では、U相コイル22cuの各極対コイル60は、スロット占有率が50%(=4/8)の第一単位コイル22d1、スロット占有率が100%(=8/8)の第二単位コイル22d2、スロット占有率が12.5%(=1/8)の第三単位コイル22d3、スロット占有率が87.5%(=7/8)の第四単位コイル22d4の順に、U相端子6TU側から中性点6N側に、4つの単位コイル22dが直列接続されている。上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。
図9Eでは、U相の第三単位コイル22d3のU相端子6TU側の端部と、V相の第四単位コイル22d4のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV31で示され、U相の第四単位コイル22d4のU相端子6TU側の端部と、V相の第三単位コイル22d3のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV32で示されている。また、図9Fでは、U相の第一単位コイル22d1のU相端子6TU側の端部と、V相の第一単位コイル22d1のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV33で示され、U相の第一単位コイル22d1のU相端子6TU側の端部と、V相の第一単位コイル22d1の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV34で示されている。さらに、U相の第一単位コイル22d1の中性点6N側の端部と、V相の第一単位コイル22d1の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV35で示されている。
図9Aに示す本実施形態の電位差ΔUV11および電位差ΔUV12は、図9Eに示す比較形態の電位差ΔUV31および電位差ΔUV32と比べて、十分、低減されている。また、図9Bに示す本実施形態の電位差ΔUV13〜電位差ΔUV15は、図9Fに示す比較形態の電位差ΔUV33〜電位差ΔUV35と比べて、十分、低減されている。よって、いずれの場合も、同一のスロット21cに収容される相が異なる単位コイル22d間の電位差が十分、低減されており、既述した効果は、さらに顕著になる。
図9Gおよび図9Hに示す比較形態では、U相コイル22cuの各極対コイル60は、スロット占有率が12.5%(=1/8)の第一単位コイル22d1、スロット占有率が87.5%(=7/8)の第二単位コイル22d2、スロット占有率が50%(=4/8)の第三単位コイル22d3、スロット占有率が100%(=8/8)の第四単位コイル22d4の順に、U相端子6TU側から中性点6N側に、4つの単位コイル22dが直列接続されている。上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。
図9Gでは、U相の第一単位コイル22d1のU相端子6TU側の端部と、V相の第二単位コイル22d2のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV41で示され、U相の第一単位コイル22d1のU相端子6TU側の端部と、V相の第二単位コイル22d2の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV42で示されている。また、U相の第二単位コイル22d2のU相端子6TU側の端部と、V相の第一単位コイル22d1のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV43で示され、U相の第二単位コイル22d2の中性点6N側の端部と、V相の第一単位コイル22d1のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV44で示されている。さらに、図9Hでは、U相の第三単位コイル22d3のU相端子6TU側の端部と、V相の第三単位コイル22d3のV相端子6TV側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV45で示され、U相の第三単位コイル22d3のU相端子6TU側の端部と、V相の第三単位コイル22d3の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV46で示されている。また、U相の第三単位コイル22d3の中性点6N側の端部と、V相の第三単位コイル22d3の中性点6N側の端部との間の電位差は、電位差ΔUV47で示されている。
図9Aに示す本実施形態の電位差ΔUV11および電位差ΔUV12は、図9Hに示す比較形態の電位差ΔUV45〜電位差ΔUV47と比べて、十分、低減されている。また、図9Bに示す本実施形態の電位差ΔUV13〜電位差ΔUV15は、図9Gに示す比較形態の電位差ΔUV41〜電位差ΔUV44と比べて、十分、低減されている。よって、いずれの場合も、同一のスロット21cに収容される相が異なる単位コイル22d間の電位差が十分、低減されており、既述した効果は、さらに顕著になる。
なお、本実施形態では、スロット占有率最小コイル(第四単位コイル22d4)のスロット占有率は、12.5%(=1/8)であり、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=8/8)である。よって、スロット占有率最小コイル(第四単位コイル22d4)の巻数を巻数Nとすると、第一単位コイル22d1の巻数は、巻数Nの八倍で表すことができる。同様に、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=4/8)であるので、第二単位コイル22d2の巻数は、巻数Nの四倍で表すことができる。また、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、87.5%(=7/8)であるので、第三単位コイル22d3の巻数は、巻数Nの七倍で表すことができる。
以上より、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの巻数は、20×N(=(8+4+7+1)×N)で表すことができる。また、中性点6Nと任意の単位コイル22dとの間の電圧は、中性点6Nから当該単位コイル22dまでの巻数の合計と、全体の巻数(20×N)との比を用いて、相電圧の分圧として表すことができる。さらに、例えば、U相電圧VuとV相電圧Vvとの間の位相差は、120°であり、U相電圧Vuの大きさとV相電圧Vvの大きさは等しい。よって、例えば、図9Aに示す本実施形態の電位差ΔUV11は、U相電圧Vuの大きさ|Vu|を用いて、余弦定理から下記数9で表すことができる。また、図9Bに示す本実施形態の電位差ΔUV13は、U相電圧Vuの大きさ|Vu|を用いて、余弦定理から下記数10で表すことができる。
(数9)
ΔUV11=|Vu|×√{(8/20)2+(1/20)2−2×(8/20)×(1/20)×cos120°}=|Vu|/20×√73
(数10)
ΔUV13=|Vu|×√{(12/20)2+(12/20)2−2×(12/20)×(12/20)×cos120°}=|Vu|×3/5×√3
なお、U相とV相の単位コイル22d間の電位差について既述したことは、V相とW相の単位コイル22d間の電位差、および、W相とU相の単位コイル22d間の電位差についても、同様に言える。また、例えば、後述する8極36スロット構成の回転電機(可動子30の磁極数が2極、固定子20のスロット数が9スロットを基本構成とする回転電機)では、図38A〜図38Cおよび図38Fに示すように、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、スロット占有率最大コイルおよびスロット占有率最小コイルの両方を第二極コイル61sに備える形態が含まれる。この形態において複数(3つ)の相コイル22cが中性点6Nを備える場合、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60は、スロット占有率最小コイルが中性点6Nと接続されていると好適である。
図10Aは、U相コイル22cuの各極対コイル60の結線の一例を示している。同図は、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部21c2側から視た模式図である。同図では、U相コイル22cuの四磁極分(二磁極対分)の複数(2つ)の極対コイル60が図示されており、複数(2つ)の極対コイル60は、電気的に並列接続されている。なお、複数のスロット21cには、説明の便宜上、スロット番号SNとして60および1から30までの数字が付されている。また、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sには、説明の便宜上、U1〜U4の下線付きの符号が付されている。
同様に、図10Bは、V相コイル22cvの各極対コイル60の結線の一例を示しており、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sには、説明の便宜上、V8、V1〜V3の下線付きの符号が付されている。図10Cは、W相コイル22cwの各極対コイル60の結線の一例を示しており、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sには、説明の便宜上、W8、W1〜W3の下線付きの符号が付されている。また、図10Dは、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60の結線の一例を示している。図10Dでは、図示の便宜上、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwの各極対コイル60は、第三方向(矢印Z方向)に引き伸ばされて図示されている。
図11は、図10Aに示す二磁極分(一磁極対分)の極対コイル60が複数(8つ)のスロット21cに装着されている状態を示している。図11は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部60f,60s側から視た模式図である。また、同図では、各単位コイル22dの巻方向が「丸印にクロス」および「丸印にドット」で示されている。「丸印にクロス」は、巻線(コイルサイド22a)が第三方向(矢印Z方向)のうちの紙面手前側から紙面奥側に向かって巻き回されていることを示している。「丸印にドット」は、巻線(コイルサイド22a)が第三方向(矢印Z方向)のうちの紙面奥側から紙面手前側に向かって巻き回されていることを示している。上述したことは、後述する図面についても同様に言える。
図10Aおよび図11に示すように、図10Aに示す下線が付されたU1(図11に示す紙面左側)の第一単位コイル22d1は、第一コイル引出部60fが引き出されるスロット番号SNが1のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)から巻始められる。第一単位コイル22d1は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが1および8)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが8のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第一単位コイル22d1の巻進行方向W1は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第一単位コイル22d1の巻方向は、反時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが8のスロット底部21c1側からスロット番号SNが2のスロット中央部21c3(スロット底部21c1から1/2スロット分、離間した位置)に引き回されている。
図10Aに示す下線が付されたU1(図11に示す紙面左側)の第二単位コイル22d2は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが2のスロット中央部21c3から巻始められる。第二単位コイル22d2は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが2および7)間で巻き回され、極コイル間接続部63の一端側のスロット番号SNが7のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第二単位コイル22d2の巻進行方向W2は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第二単位コイル22d2の巻方向は、反時計回りになる。極コイル間接続部63は、スロット番号SNが7のスロット底部21c1側からスロット番号SNが15のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)に引き回されている。
図10Aに示す下線が付されたU2(図11に示す紙面右側)の第三単位コイル22d3は、極コイル間接続部63の他端側のスロット番号SNが15のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)から巻始められる。第三単位コイル22d3は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが9および15)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが9のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第三単位コイル22d3の巻進行方向W3は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第三単位コイル22d3の巻方向は、時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが9のスロット底部21c1側からスロット番号SNが14のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)に引き回されている。
図10Aに示す下線が付されたU2(図11に示す紙面右側)の第四単位コイル22d4は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが14のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)から巻始められる。第四単位コイル22d4は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが10および14)間で巻き回され、第二コイル引出部60sが引き出されるスロット番号SNが10のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第四単位コイル22d4の巻進行方向W4は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第四単位コイル22d4の巻方向は、時計回りになる。
このように、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの巻進行方向は、いずれも第二方向固定子側(矢印Y2方向)であると好適である。これにより、本実施形態の回転電機10は、インサータ治具(図示略)を用いて、相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)単位で、複数(4つ)の極対コイル60を複数(32個)のスロット21cに装着することができる。例えば、U相コイル22cuを構成する複数(4つ)の極対コイル60を、インサータブレードの支持部(いずれも図示略)に落とし込んで、当該複数(4つ)の極対コイル60を把持して、当該複数(4つ)の極対コイル60を一度に複数(32個)のスロット21c内に挿入し、装着することができる。このように、本実施形態の回転電機10は、分数スロット構成の回転電機で一般的に実施されている二層重巻(上述した相コイル22c単位での装着が難しい)と比べて、回転電機10の性能を略同等に維持しつつ、固定子巻線22の装着に要する作業工数を短縮することができる。
なお、既述したように、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=8/8)である。また、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=4/8)である。さらに、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、87.5%(=7/8)である。また、第四単位コイル22d4のスロット占有率は、12.5%(=1/8)である。図11では、既述したスロット占有率に応じて、スロット21cを示す長方形の大きさが変更されている。上述したことは、後述する図面についても同様に言える。
また、上述したことは、図10Aに示す下線が付されたU3の第一単位コイル22d1および第二単位コイル22d2についても同様に言え、図10Aに示す下線が付されたU4の第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4についても同様に言える。さらに、上述したことは、図10Bに示すV相コイル22cvの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dについても同様に言える。また、上述したことは、図10Cに示すW相コイル22cwの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dについても同様に言える。
(一対のコイル引出部60f,60sの配置と単位コイル22dの巻進行方向)
図6および図11に示すように、本実施形態では、第一コイル引出部60fは、第一極コイル61fを構成する複数(2つ)の単位コイル22dのうちの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが最大の単位コイル22d(第一単位コイル22d1)の第一方向第一極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド22aから引き出されていると好適である。第二コイル引出部60sは、第二極コイル61sを構成する複数(2つ)の単位コイル22dのうちの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが最小の単位コイル22d(第四単位コイル22d4)の第一方向第一極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド22aから引き出されていると好適である。また、既述したように、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60を構成する複数(本実施形態では、4つ)の単位コイル22dの巻進行方向は、いずれも第二方向固定子側(矢印Y2方向)であると好適である。
図11に示すように、本実施形態では、単位コイル間接続部62および極コイル間接続部63は、いずれも一対のコイル引出部60f,60sと交差していない。従って、近接部位の干渉回避が容易である。具体的には、これらの部位は、所定距離を確保して引き回せばよい。所定距離は、例えば、近接部位間の印加電圧から導出することができ、近接部位間の電気的な絶縁を確保できるように設定される。上述したことは、後述する形態についても同様に言える。なお、第一極コイル61fの単位コイル間接続部62は、第一単位コイル22d1と第二単位コイル22d2の間のコイルエンド22b間に収容することができ、第二極コイル61sの単位コイル間接続部62は、第三単位コイル22d3と第四単位コイル22d4の間のコイルエンド22b間に収容することができる。また、極コイル間接続部63は、第二単位コイル22d2の内側(紙面奥側)から図1に示すヨーク部21a側に迂回し、第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
図12は、比較形態に係り、極対コイル60の各単位コイル22dの巻進行方向が第二方向可動子側(矢印Y1方向)のときに、極対コイル60が複数(8つ)のスロット21cに装着されている状態を示している。同図に示す紙面左側の第一単位コイル22d1は、第一コイル引出部60fが引き出されるスロット番号SNが1のスロット底部21c1から巻始められる。第一単位コイル22d1は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが1および8)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが8のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)で巻終わる。このときの第一単位コイル22d1の巻進行方向W1は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第一単位コイル22d1の巻方向は、時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが8のスロット開口部21c2側からスロット番号SNが2のスロット底部21c1側に引き回されている。
同図に示す紙面左側の第二単位コイル22d2は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが2のスロット底部21c1から巻始められる。第二単位コイル22d2は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが2および7)間で巻き回され、極コイル間接続部63の一端側のスロット番号SNが7のスロット中央部21c3で巻終わる。このときの第二単位コイル22d2の巻進行方向W2は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第二単位コイル22d2の巻方向は、時計回りになる。極コイル間接続部63は、スロット番号SNが7のスロット中央部21c3から第一単位コイル22d1の内側(紙面奥側)を通ってスロット開口部21c2側に迂回し、第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向(矢印Y方向)に沿ってヨーク部21a側に引き出され、ヨーク部21aを第一方向(矢印X方向)に沿って引き回されている。
同図に示す紙面右側の第三単位コイル22d3は、極コイル間接続部63の他端側のスロット番号SNが15のスロット底部21c1から巻始められる。第三単位コイル22d3は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが9および15)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが9のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)で巻終わる。このときの第三単位コイル22d3の巻進行方向W3は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第三単位コイル22d3の巻方向は、反時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが9のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)からスロット番号SNが14のスロット底部21c1側に引き回されている。
同図に示す紙面右側の第四単位コイル22d4は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが14のスロット底部21c1から巻始められる。第四単位コイル22d4は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが10および14)間で巻き回され、第二コイル引出部60sが引き出されるスロット番号SNが10のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)で巻終わる。このときの第四単位コイル22d4の巻進行方向W4は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第四単位コイル22d4の巻方向は、反時計回りになる。第二コイル引出部60sは、スロット番号SNが10のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)から第三単位コイル22d3の内側(紙面奥側)を通ってスロット開口部21c2側に迂回し、第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向(矢印Y方向)に沿って渡って図1に示すヨーク部21a側に引き出されている。
本比較形態では、極コイル間接続部63と第二コイル引出部60sとが接触して交差する。そのため、第二コイル引出部60sは、第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)において配策する必要があり、本実施形態と比べて、固定子巻線22が長大化する。また、極コイル間接続部63は、スロット開口部21c2側に迂回し、第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)において配策する必要があり、本実施形態と比べて、固定子巻線22が長大化する。なお、第一極コイル61fの単位コイル間接続部62は、第一単位コイル22d1と第二単位コイル22d2の間のコイルエンド22b間に収容することができ、第二極コイル61sの単位コイル間接続部62は、第三単位コイル22d3と第四単位コイル22d4の間のコイルエンド22b間に収容することができる。
図13は、変形形態に係り、極対コイル60の構成例を示している。変形形態では、第一コイル引出部60fは、第一極コイル61fを構成する複数(2つ)の単位コイル22dのうちの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが最大の単位コイル22d(第一単位コイル22d1)の第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド22aから引き出されている。また、第二コイル引出部60sは、第二極コイル61sを構成する複数(2つ)の単位コイル22dのうちの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが最小の単位コイル22d(第四単位コイル22d4)の第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド22aから引き出されている。
図14は、変形形態に係り、極対コイル60が複数(8つ)のスロット21cに装着されている状態を示している。同図に示す紙面左側の第一単位コイル22d1は、第一コイル引出部60fが引き出されるスロット番号SNが8のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)から巻始められる。第一単位コイル22d1は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが1および8)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが1のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第一単位コイル22d1の巻進行方向W1は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第一単位コイル22d1の巻方向は、時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが1のスロット底部21c1側からスロット番号SNが7のスロット中央部21c3(スロット底部21c1から1/2スロット分、離間した位置)に引き回されている。
同図に示す紙面左側の第二単位コイル22d2は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが7のスロット中央部21c3から巻始められる。第二単位コイル22d2は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが2および7)間で巻き回され、極コイル間接続部63の一端側のスロット番号SNが2のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第二単位コイル22d2の巻進行方向W2は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第二単位コイル22d2の巻方向は、時計回りになる。極コイル間接続部63は、スロット番号SNが2のスロット底部21c1側からヨーク部21a側に引き出され、ヨーク部21aを第一方向(矢印X方向)に沿って配策され、スロット番号SNが9のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)に引き回されている。
同図に示す紙面右側の第三単位コイル22d3は、極コイル間接続部63の他端側のスロット番号SNが9のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)から巻始められる。第三単位コイル22d3は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが9および15)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが15のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第三単位コイル22d3の巻進行方向W3は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第三単位コイル22d3の巻方向は、反時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが15のスロット底部21c1側からスロット番号SNが10のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)に引き回されている。
同図に示す紙面右側の第四単位コイル22d4は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが10のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)から巻始められる。第四単位コイル22d4は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが10および14)間で巻き回され、第二コイル引出部60sが引き出されるスロット番号SNが14のスロット底部21c1側で巻終わる。このときの第四単位コイル22d4の巻進行方向W4は、第二方向固定子側(矢印Y2方向)であり、スロット開口部21c2側から視た第四単位コイル22d4の巻方向は、反時計回りになる。
本変形形態では、極コイル間接続部63と第一コイル引出部60fとが接触して交差する。そのため、第一コイル引出部60fは、第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)において配策する必要があり、本実施形態と比べて、固定子巻線22が長大化する。なお、第一極コイル61fの単位コイル間接続部62は、第一単位コイル22d1と第二単位コイル22d2の間のコイルエンド22b間に収容することができ、第二極コイル61sの単位コイル間接続部62は、第三単位コイル22d3と第四単位コイル22d4の間のコイルエンド22b間に収容することができる。
図15は、比較形態に係り、極対コイル60の各単位コイル22dの巻進行方向が第二方向可動子側(矢印Y1方向)のときに、極対コイル60が複数(8つ)のスロット21cに装着されている状態を示している。同図に示す紙面左側の第一単位コイル22d1は、第一コイル引出部60fが引き出されるスロット番号SNが8のスロット底部21c1から巻始められる。第一単位コイル22d1は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが1および8)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが1のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)で巻終わる。このときの第一単位コイル22d1の巻進行方向W1は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第一単位コイル22d1の巻方向は、反時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが1のスロット開口部21c2側からスロット番号SNが7のスロット底部21c1側に引き回されている。
同図に示す紙面左側の第二単位コイル22d2は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが7のスロット底部21c1から巻始められる。第二単位コイル22d2は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが2および7)間で巻き回され、極コイル間接続部63の一端側のスロット番号SNが2のスロット中央部21c3で巻終わる。このときの第二単位コイル22d2の巻進行方向W2は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第二単位コイル22d2の巻方向は、反時計回りになる。極コイル間接続部63は、スロット番号SNが2のスロット中央部21c3から第一単位コイル22d1の内側(紙面奥側)を通ってスロット開口部21c2側に迂回し、第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向(矢印Y方向)に沿ってヨーク部21a側に引き出され、ヨーク部21aを第一方向(矢印X方向)に沿って引き回されている。
同図に示す紙面右側の第三単位コイル22d3は、極コイル間接続部63の他端側のスロット番号SNが9のスロット底部21c1から巻始められる。第三単位コイル22d3は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが9および15)間で巻き回され、単位コイル間接続部62の一端側のスロット番号SNが15のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)で巻終わる。このときの第三単位コイル22d3の巻進行方向W3は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第三単位コイル22d3の巻方向は、時計回りになる。単位コイル間接続部62は、スロット番号SNが15のスロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)からスロット番号SNが10のスロット底部21c1側に引き回されている。
同図に示す紙面右側の第四単位コイル22d4は、単位コイル間接続部62の他端側のスロット番号SNが10のスロット底部21c1から巻始められる。第四単位コイル22d4は、一対のスロット21c,21c(スロット番号SNが10および14)間で巻き回され、第二コイル引出部60sが引き出されるスロット番号SNが14のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)で巻終わる。このときの第四単位コイル22d4の巻進行方向W4は、第二方向可動子側(矢印Y1方向)であり、スロット底部21c1側から視た第四単位コイル22d4の巻方向は、時計回りになる。第二コイル引出部60sは、スロット番号SNが14のスロット底部21c1側(スロット底部21c1から1/8スロット分、離間した位置)から第三単位コイル22d3の内側(紙面奥側)を通ってスロット開口部21c2側に迂回し、第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向(矢印Y方向)に沿って渡って図1に示すヨーク部21a側に引き出されている。
本比較形態では、極コイル間接続部63と第一コイル引出部60fとが接触して交差する。そのため、第一コイル引出部60fは、第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)において配策する必要があり、本実施形態と比べて、固定子巻線22が長大化する。また、第二コイル引出部60sは、スロット開口部21c2側に迂回し、第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)において配策する必要があり、本実施形態および既述した変形形態と比べて、固定子巻線22が長大化する。さらに、極コイル間接続部63は、スロット開口部21c2側に迂回し、第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)において配策する必要があり、本実施形態および既述した変形形態と比べて、固定子巻線22が長大化する。なお、第一極コイル61fの単位コイル間接続部62は、第一単位コイル22d1と第二単位コイル22d2の間のコイルエンド22b間に収容することができ、第二極コイル61sの単位コイル間接続部62は、第三単位コイル22d3と第四単位コイル22d4の間のコイルエンド22b間に収容することができる。
本実施形態および既述した変形形態は、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの巻進行方向は、いずれも第二方向固定子側(矢印Y2方向)である。一方、比較形態は、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの巻進行方向は、いずれも第二方向可動子側(矢印Y1方向)である。つまり、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの巻進行方向は、いずれも第二方向固定子側(矢印Y2方向)であると好適である。これにより、本実施形態および既述した変形形態は、比較形態と比べて、極対コイル60における配策の干渉交差を回避若しくは軽減することができ、固定子巻線22を短小化することができる。また、本実施形態および既述した変形形態は、例えば、インサータ治具を用いて、相コイル22c単位で複数の極対コイル60を装着することが可能であり、固定子巻線22の装着作業における作業性が向上する。なお、本実施形態は、極対コイル60における配策の干渉交差を回避することができ、既述した変形形態と比べて、さらに好適である。そのため、本明細書では、一対のコイル引出部60f,60sは、本実施形態の配置で説明されているが、一対のコイル引出部60f,60sは、既述した変形形態の配置に変更することもできる。また、例えば、可動子30が固定子20の外方に設けられるアウターロータ型の回転電機では、複数(3つ)の相コイル22cの各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの巻進行方向は、いずれも第二方向可動子側(矢印Y1方向)であると好適である。
(相コイル22cの配置)
複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機10の製造方法によって、複数(60個)のスロット21cに装着されると好適である。これにより、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル22cは、U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cwの順に装着される。なお、既述したように、複数(3つ)の相コイル22cは、U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cwの順に位相が遅れているものとする。また、複数(3つ)の相コイル22cは、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)に、U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cwの相順に配設するものとする。
図16Aは、U相コイル22cuが複数のスロット21cに装着された状態を示している。図16Bは、U相コイル22cuが装着された後に、V相コイル22cvが複数のスロット21cに装着された状態を示しており、V相コイル22cvのみが図示されている。図16Cは、U相コイル22cuおよびV相コイル22cvが装着された後に、W相コイル22cwが複数のスロット21cに装着された状態を示しており、W相コイル22cwのみが図示されている。図16Dは、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)が複数のスロット21cに装着された状態を示している。図16A〜図16Dは、いずれも、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部60f,60s側視の模式図であり、概ね二磁極対分の極対コイル60が図示され、残りの概ね二磁極対分の極対コイル60の図示が省略されている。
第一装着工程は、複数(3つ)の相コイル22cのうちの一の相コイル22c(本実施形態では、U相コイル22cu)を複数(32個)のスロット21cに装着する工程である。図16Aに示すように、U相コイル22cuの第一コイル引出部60fは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。U相コイル22cuの第一コイル引出部60fは、U相コイル22cuの第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。U相コイル22cuの第二コイル引出部60sは、スロット底部21c1側から引き出されている。なお、極コイル間接続部63は、他の相コイル22c(本実施形態では、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)の装着の際に干渉しないように、ヨーク部21a側に引き出され、ヨーク部21aを第一方向(矢印X方向)に沿って配策され、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)に引き回されている。
第二遅相装着工程は、複数(3つ)の相コイル22cのうちの残りの一の相コイル22cを、第一装着工程で装着された相コイル22c(U相コイル22cu)に対して、相間最小位相差分、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数(32個)のスロット21cに装着する工程である。ここで、相間最小位相差とは、電気角360°を相数(本実施形態では、3)で除した相間の最小位相差(電気角120°)をいう。また、残りの一の相コイル22cは、第一装着工程で装着された相コイル22c(U相コイル22cu)と比べて、相間最小位相差(電気角120°)分、位相が遅れる相コイル22c(本実施形態では、V相コイル22cv)をいう。なお、本実施形態の回転電機10は、8極60スロット構成の回転電機であり、相間最小位相差(電気角120°)は、5スロットピッチ分に相当する。
図16Bに示すように、V相コイル22cvの第一コイル引出部60fは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。V相コイル22cvの第一コイル引出部60fは、V相コイル22cvの第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。V相コイル22cvの第二コイル引出部60sは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。V相コイル22cvの第二コイル引出部60sは、U相コイル22cuの第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
V相コイル22cvの極コイル間接続部63は、U相コイル22cuが既に装着されているので、V相コイル22cvの第一単位コイル22d1の内側(紙面奥側)を通ってスロット開口部21c2側に迂回し、V相コイル22cvの第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向(矢印Y方向)に沿ってヨーク部21a側に引き出されている。V相コイル22cvの極コイル間接続部63は、他の相コイル22c(本実施形態では、W相コイル22cw)の装着の際に干渉しないように、ヨーク部21aを第一方向(矢印X方向)に沿って配策され、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)に引き回されている。
第三遅相装着工程は、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)がすべて複数(60個)のスロット21cに装着されるまで、直近で装着した相コイル22cと比べて相間最小位相差(電気角120°)分、位相が遅れる相コイル22cを、直近で装着した相コイル22cに対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数(32個)のスロット21cに装着する工程である。本実施形態では、第二遅相装着工程の終了時に、W相コイル22cwが装着されていない。そのため、第三遅相装着工程では、W相コイル22cwを直近で装着した相コイル22c(V相コイル22cv)に対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数(32個)のスロット21cに装着する。これにより、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)がすべて複数(60個)のスロット21cに装着されるので、第三遅相装着工程は、終了する。
図16Cに示すように、W相コイル22cwの第一コイル引出部60fは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。W相コイル22cwの第一コイル引出部60fは、W相コイル22cwの第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。W相コイル22cwの第二コイル引出部60sは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。W相コイル22cwの第二コイル引出部60sは、V相コイル22cvの第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
W相コイル22cwの極コイル間接続部63は、スロット中央部21c3(スロット底部21c1から1/2スロット分、離間した位置)から引き出され、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されており、ヨーク部21a側に迂回している。W相コイル22cwの極コイル間接続部63は、W相コイル22cwの第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
このようにして、本実施形態の複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機10の製造方法によって、複数のスロット21cに装着される。図16Dは、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)が複数のスロット21cに装着された状態を示しており、図16A〜図16Cが重ねて図示されている。
図17A〜図17Dに示すように、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、第一装着工程と、第二進相装着工程と、第三進相装着工程とを備える回転電機10の製造方法によって、複数(60個)のスロット21cに装着することもできる。これにより、本比較形態では、複数(3つ)の相コイル22cは、U相コイル22cu、W相コイル22cw、V相コイル22cvの順に装着される。
図17Aは、U相コイル22cuが複数のスロット21cに装着された状態を示している。図17Bは、U相コイル22cuが装着された後に、W相コイル22cwが複数のスロット21cに装着された状態を示しており、W相コイル22cwのみが図示されている。図17Cは、U相コイル22cuおよびW相コイル22cwが装着された後に、V相コイル22cvが複数のスロット21cに装着された状態を示しており、V相コイル22cvのみが図示されている。図17Dは、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)が複数のスロット21cに装着された状態を示している。図17A〜図17Dは、いずれも、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部60f,60s側視の模式図であり、概ね二磁極対分の極対コイル60が図示され、残りの概ね二磁極対分の極対コイル60の図示が省略されている。
第一装着工程は、複数(3つ)の相コイル22cのうちの一の相コイル22c(本比較形態においても、U相コイル22cu)を複数(32個)のスロット21cに装着する工程である。図17Aに示すように、U相コイル22cuが複数のスロット21cに装着された状態は、図16Aと同じである。
第二進相装着工程は、複数(3つ)の相コイル22cのうちの残りの一の相コイル22cを、第一装着工程で装着された相コイル22c(U相コイル22cu)に対して、相間最小位相差分、第一方向第一極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(32個)のスロット21cに装着する工程である。既述したように、相間最小位相差は、電気角360°を相数で除した相間の最小位相差(電気角120°)であり、本比較形態においても、相間最小位相差(電気角120°)は、5スロットピッチ分に相当する。また、残りの一の相コイル22cは、第一装着工程で装着された相コイル22c(U相コイル22cu)と比べて、相間最小位相差(電気角120°)分、位相が進む相コイル22c(本比較形態では、W相コイル22cw)をいう。
図17Bに示すように、W相コイル22cwの第一コイル引出部60fは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。W相コイル22cwの第一コイル引出部60fは、W相コイル22cwの第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。W相コイル22cwの第二コイル引出部60sは、U相コイル22cuが既に装着されているので、W相コイル22cwの第三単位コイル22d3の内側(紙面奥側)を通ってスロット開口部21c2側に迂回し、W相コイル22cwの第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向(矢印Y方向)に沿ってヨーク部21a側に引き出されている。
W相コイル22cwの極コイル間接続部63は、スロット中央部21c3(スロット底部21c1から1/2スロット分、離間した位置)から第二方向(矢印Y方向)に沿ってヨーク部21a側に引き出されている。W相コイル22cwの極コイル間接続部63は、他の相コイル22c(V相コイル22cv)の装着の際に干渉しないように、ヨーク部21aを第一方向(矢印X方向)に沿って配策され、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)に引き回されている。
第三進相装着工程は、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)がすべて複数(60個)のスロット21cに装着されるまで、直近で装着した相コイル22cと比べて相間最小位相差(電気角120°)分、位相が進む相コイル22cを、直近で装着した相コイル22cに対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第一極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(32個)のスロット21cに装着する工程である。本比較形態では、第二進相装着工程の終了時に、V相コイル22cvが装着されていない。そのため、第三進相装着工程では、V相コイル22cvを直近で装着した相コイル22c(W相コイル22cw)に対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第一極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(32個)のスロット21cに装着する。これにより、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)がすべて複数(60個)のスロット21cに装着されるので、第三遅相装着工程は、終了する。
図17Cに示すように、V相コイル22cvの第一コイル引出部60fは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から1スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。V相コイル22cvの第一コイル引出部60fは、V相コイル22cvの第一単位コイル22d1のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。V相コイル22cvの第二コイル引出部60sは、スロット開口部21c2側(スロット底部21c1から7/8スロット分、離間した位置)から引き出されて、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されている。V相コイル22cvの第二コイル引出部60sは、V相コイル22cvの第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
V相コイル22cvの極コイル間接続部63は、スロット中央部21c3(スロット底部21c1から1/2スロット分、離間した位置)から引き出され、第二方向固定子側(矢印Y2方向)に引き回されており、ヨーク部21a側に迂回している。V相コイル22cvの極コイル間接続部63は、V相コイル22cvの第三単位コイル22d3のコイルエンド22bの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
このようにして、本比較形態の複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、第一装着工程と、第二進相装着工程と、第三進相装着工程とを備える回転電機10の製造方法によって、複数のスロット21cに装着される。図17Dは、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)が複数のスロット21cに装着された状態を示しており、図17A〜図17Cが重ねて図示されている。
ここで、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sの各コイル引き出し位置を極コイル端引き出し位置とする。第一極コイル61fは、極コイル端引き出し位置として、第一コイル引出部60fが引き出される第一位置SX1と、極コイル間接続部63が引き出される第二位置SX2とを備えている。第二極コイル61sは、極コイル端引き出し位置として、極コイル間接続部63が引き出される第三位置SX3と、第二コイル引出部60sが引き出される第四位置SX4とを備えている。但し、Xは、相(本実施形態では、U相、V相およびW相)に対応し、本実施形態では、U、VおよびWのうちのいずれかである。例えば、V相コイル22cvの各極対コイル60は、極コイル端引き出し位置として、第一位置SV1と、第二位置SV2と、第三位置SV3と、第四位置SV4とを備えている。
また、複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22cのうちの二番目以降に装着される相コイル22c(本実施形態では、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)について、各極コイル端引き出し位置のスロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離を合計した合計値を指標SLとする。指標SLが大きくなる程、極コイル端引き出し位置は、スロット開口部21c2側から引き出され易くなる。その結果、既に装着されている相コイル22cのコイルエンド22bおよび配策(一対のコイル引出部60f,60sおよび極コイル間接続部63)との干渉部位が減少し、干渉部位を迂回する迂回長が減少する。逆に、指標SLが小さくなる程、極コイル端引き出し位置は、スロット底部21c1側から引き出され易くなる。その結果、既に装着されている相コイル22cのコイルエンド22bおよび配策(一対のコイル引出部60f,60sおよび極コイル間接続部63)との干渉部位が増加し、干渉部位を迂回する迂回長が増加する。また、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)の装着順によって、各極コイル端引き出し位置が変動し、それに伴って、指標SLが変動する。よって、指標SLは、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)の装着順による優劣を判断する際の指標になる。
具体的には、図16Bに示すように、本実施形態では、V相コイル22cvの第一位置SV1は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1スロット深さ分(同図では、1SDで示す)である。第二位置SV2は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が0スロット深さ分(同図では、0SDで示す)である。第三位置SV3は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が7/8スロット深さ分(同図では、7/8SDで示す)である。第四位置SV4は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が7/8スロット深さ分(同図では、7/8SDで示す)である。
また、図16Cに示すように、W相コイル22cwの第一位置SW1は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1スロット深さ分(同図では、1SDで示す)である。第二位置SW2は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1/2スロット深さ分(同図では、1/2SDで示す)である。第三位置SW3は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1スロット深さ分(同図では、1SDで示す)である。第四位置SW4は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が7/8スロット深さ分(同図では、7/8SDで示す)である。よって、本実施形態では、指標SLは、49/8(=1+0+7/8+7/8+1+1/2+1+7/8)になる。
一方、図17Bに示すように、比較形態では、W相コイル22cwの第一位置SW1は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1スロット深さ分(同図では、1SDで示す)である。第二位置SW2は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1/2スロット深さ分(同図では、1/2SDで示す)である。第三位置SW3は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1スロット深さ分(同図では、1SDで示す)である。第四位置SW4は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が0スロット深さ分(同図では、0SDで示す)である。
また、図17Cに示すように、V相コイル22cvの第一位置SV1は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1スロット深さ分(同図では、1SDで示す)である。第二位置SV2は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1/2スロット深さ分(同図では、1/2SDで示す)である。第三位置SV3は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が1スロット深さ分(同図では、1SDで示す)である。第四位置SV4は、スロット底部21c1からの第二方向(矢印Y方向)の距離が7/8スロット深さ分(同図では、7/8SDで示す)である。よって、比較形態では、指標SLは、47/8(=1+1/2+1+0+1+1/2+1+7/8)になる。
このように、本実施形態の指標SLは、49/8であり、比較形態(指標SLが47/8)と比べて、大きい。そのため、本実施形態の極コイル端引き出し位置は、比較形態と比べて、スロット開口部21c2側から引き出され易くなる。その結果、本実施形態の固定子巻線22は、比較形態と比べて、既に装着されている相コイル22cのコイルエンド22bおよび配策(一対のコイル引出部60f,60sおよび極コイル間接続部63)との干渉部位が減少し、干渉部位を迂回する迂回長が減少する。よって、複数(3つ)の相コイル22cの好適な装着順は、U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cwの順である。つまり、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機10の製造方法によって、複数(60個)のスロット21cに装着されると好適である。
<第二実施形態>
本実施形態は、固定子巻線22が複数(3つ)の基本コイル50を備える点で、第一実施形態と異なる。本実施形態では、第一実施形態と異なる点が中心に説明されている。
図18Aに示すように、固定子巻線22は、複数(3つ)の基本コイル50を備えている。複数(3つ)の基本コイル50の各々は、既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(3つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、複数(2つ)の第二基本コイル52とを備えている。本実施形態においても、複数(2つ)の第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。また、複数(2つ)の第二基本コイル52の各々は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。これらにより、本実施形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第六層L6の六層に形成されている。
本実施形態においても、移動単位量は、7スロットピッチに設定されている。但し、複数(2つ)の第二基本コイル52のうちの一方の第二基本コイル52(例えば、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))に設定されている。複数(2つ)の第二基本コイル52のうちの他方の第二基本コイル52(例えば、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの2倍(14スロットピッチ(14sp))に設定されている。よって、本実施形態においても、所定スロットピッチを規定するnは、1および2である。また、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))から2倍(14スロットピッチ(14sp))までのすべての自然数倍を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。また、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、15個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC31は、例えば、下記数11から算出することができ、コイルサイド中心CC31は、0.27になる。
(数11)
CC31=(−1×3+0×6+1×5+2×1)/(3+6+5+1)=0.27
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、15個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC32は、例えば、下記数12から算出することができ、コイルサイド中心CC32は、7.74になる。
(数12)
CC32=(6×1+7×5+8×6+9×3)/(1+5+6+3)=7.74
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが14、15、16および17の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、15個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC33は、例えば、下記数13から算出することができ、コイルサイド中心CC33は、15.27になる。
(数13)
CC33=(14×3+15×6+16×5+17×1)/(3+6+5+1)
=15.27
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが21、22、23および24の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、15個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC34は、例えば、下記数14から算出することができ、コイルサイド中心CC34は、22.73になる。
(数14)
CC34=(21×1+22×5+23×6+24×3)/(1+5+6+3)
=22.73
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC31とコイルサイド中心CC32との間の距離は、7.47(=7.74−0.27)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC32とコイルサイド中心CC33との間の距離は、7.53(=15.27−7.74)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC33とコイルサイド中心CC34との間の距離は、7.47(=22.73−15.27)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.47および7.53が交互に繰り返される。
本実施形態(固定子巻線22が複数(3つ)の基本コイル50を備える形態)では、隣接コイルサイド比は、0.992(=7.47/7.53)であり、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の隣接コイルサイド比である0.974(=7.4/7.6)と比べて、十分に1に近づいている。よって、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、参考形態と比べて、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等化されていると言える。
本実施形態では、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも15個であり、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。そのため、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。さらに、起磁力分布の回転対称性が改善されている。よって、本実施形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、図18Aに示す相配置は、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、通電方向が異なるコイルサイド22aが混在している。そのため、図18Bに示すように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要がある。例えば、図18Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図18Aに示す通電方向に対して反転されている。上述したことは、図18Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。なお、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52では、コイルサイド22aの通電方向は、正しいので、コイルサイド22aの通電方向を反転する必要はない。
また、図18Cに示すように、本実施形態においても、同一のスロット21cに収容されている複数のコイルサイド22aは、当該スロット21c内において、同相のコイルサイド22aが集約されている。例えば、図18Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが−1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図18Cでは、第三層L3から第四層L4に移動されている。また、図18Bに示す第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図18Cでは、第六層L6から第五層L5に移動されている。さらに、図18Bに示す第一基本コイル51において、位置座標PPが2のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図18Cでは、第二層L2から第一層L1に移動されている。上述したことは、他の混成一相帯42についても同様に言える。
さらに、例えば、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。また、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4.5スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4.5スロット分である。
このように、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(4.5スロット分)は、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。そのため、本実施形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。
また、図19は、本実施形態(固定子巻線22が複数(3つ)の基本コイル50を備える形態)のコイルサイド分布の一例を示している。図18Cに示すように、例えば、位置座標PPが−1のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されている。そのため、図19に示すように、位置座標PPが−1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。同様に、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(6つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、6とする。また、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(5つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、5とする。さらに、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
位置座標PPが6のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが6におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。また、位置座標PPが7のスロット21cには、U相の複数(5つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、5とする。さらに、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(6つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、6とする。また、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。
図19に示す本実施形態のコイルサイド分布は、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布と比べて、第一方向(矢印X方向)に広がり、なだらかになっている。また、本実施形態のコイルサイド分布は、参考形態のコイルサイド分布と比べて、正弦波に近づいている。よって、本実施形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。第一実施形態と同様に、一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。
第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に7スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。また、第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に14スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。よって、第二コイルサイド導体数は、いずれも2.5×t0で表すことができる。つまり、本実施形態では、第一コイルサイド導体数および第二コイルサイド導体数は、均等である。なお、上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
図18Cに示すように、複数(本実施形態では、3つ)の基本コイル50が混成されている固定子巻線22は、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cw)を含んでいる。複数(3つ)の相コイル22cは、複数(三相の各相4個、合計12個)の極対コイル60を具備しており、各極対コイル60は、同心状に巻装されている複数(4つ)の単位コイル22dを備えている。なお、同図では、図示の便宜上、U相コイル22cuの一つの極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dが明示されている。
図18Cおよび図20に示すように、本実施形態においても、第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されており、第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。また、第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されており、第四単位コイル22d4の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、4スロットピッチ(4sp)に設定されている。このように、各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、第一実施形態と同じである。つまり、図20は、後述するスロット占有率を除いて、図6と一致している。
また、図18Bに示すように、本実施形態の固定子巻線22は、固定子20上の配置が異なる奇数種類(本実施形態では、3種類)の複数(本実施形態では、3つ)の基本コイル50を備えている。さらに、図18Cに示すように、複数(3つ)の基本コイル50は、同一のスロット21cに収容されている同相のコイルサイド22aの当該スロット21c内の配置が相毎(U相、V相およびW相毎)に集約されている。また、複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22cの各々は、複数(3つ)の基本コイル50の全体において、複数(本実施形態では、8極)の可動子磁極32の磁極対数分(本実施形態では、4つ)の極対コイル60を備えている。よって、第一実施形態において既述したことは、本実施形態においても同様に言える。
なお、本実施形態の固定子巻線22は、第一実施形態と比べて、基本コイル50の数が異なる。そのため、スロット占有率が第一実施形態と異なる単位コイル22dが存在する。具体的には、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、83.3%(=5/6)である。また、第四単位コイル22d4のスロット占有率は、16.7%(=1/6)である。なお、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=6/6)であり、第一実施形態と同じである。また、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=3/6)であり、第一実施形態と同じである。
<第三実施形態>
本実施形態は、固定子巻線22が複数(2つ)の基本コイル50を備える点で、第一実施形態と異なる。また、本実施形態は、移動単位量が1スロットピッチである点で第一実施形態と異なる。本実施形態では、第一実施形態と異なる点が中心に説明されている。
図21Aに示すように、固定子巻線22は、複数(2つ)の基本コイル50を備えている。複数(2つ)の基本コイル50の各々は、既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。本実施形態においても、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。また、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。これらにより、本実施形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第四層L4の四層に形成されている。
本実施形態では、移動単位量は、1スロットピッチに設定されている。また、所定スロットピッチは、移動単位量である1スロットピッチの1倍(1スロットピッチ(1sp))に設定されている。このように、本実施形態では、所定スロットピッチを規定するnは、1である。また、第一数列は、移動単位量である1スロットピッチの1倍(1スロットピッチ(1sp))を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、一つの第二基本コイル52では、位置座標PPが1、2および3の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他のU相の一相帯41についても同様に言える。また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが0、1、2および3の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。よって、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC41は、例えば、下記数15から算出することができ、コイルサイド中心CC41は、1.3になる。
(数15)
CC41=(0×2+1×4+2×3+3×1)/(2+4+3+1)=1.3
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが7、8、9および10の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC42は、例えば、下記数16から算出することができ、コイルサイド中心CC42は、8.7になる。
(数16)
CC42=(7×1+8×3+9×4+10×2)/(1+3+4+2)=8.7
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが15、16、17および18の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC43は、例えば、下記数17から算出することができ、コイルサイド中心CC43は、16.3になる。
(数17)
CC43=(15×2+16×4+17×3+18×1)/(2+4+3+1)
=16.3
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが22、23、24および25の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC44は、例えば、下記数18から算出することができ、コイルサイド中心CC44は、23.7になる。
(数18)
CC44=(22×1+23×3+24×4+25×2)/(1+3+4+2)
=23.7
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC41とコイルサイド中心CC42との間の距離は、7.4(=8.7−1.3)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC42とコイルサイド中心CC43との間の距離は、7.6(=16.3−8.7)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC43とコイルサイド中心CC44との間の距離は、7.4(=23.7−16.3)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.4および7.6が交互に繰り返される。そのため、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等にはならず、一磁極対毎に均等になる。なお、本実施形態の隣接コイルサイド比は、0.974(=7.4/7.6)である。
図22は、本実施形態のコイルサイド分布の一例を示している。図21Aに示すように、例えば、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されている。そのため、図22に示すように、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。同様に、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。また、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。さらに、位置座標PPが3のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが3におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
位置座標PPが7のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。また、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。さらに、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。また、位置座標PPが10のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが10におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。
本実施形態では、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも10個であり、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。そのため、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。しかしながら、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.4および7.6が交互に繰り返されるので、起磁力分布は、複数(8極)の可動子磁極32の一磁極毎には等価にならず、一磁極対毎に隔極で等価になる。つまり、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)と同様に、本実施形態の回転電機10は、二種類の起磁力分布を備えている。そのため、本実施形態の回転電機10は、固定子巻線22の相配置に起因する回転電機10の騒音および振動を低減できないとも思われる。
しかしながら、本実施形態では、例えば、位置座標PPが0、1、2および3の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。位置座標PPが7、8、9および10の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。また、位置座標PPが0、1、2および3の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4.5スロット分である。位置座標PPが7、8、9および10の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4.5スロット分である。
このように、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(4.5スロット分)は、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。その結果、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力分布は、第一方向(矢印X方向)に分散され、本実施形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。よって、固定子20と可動子30との間の吸引力分布も、なだらかになり、吸引力のピーク値(吸引力分布における基本波成分の振幅)および吸引力の変化量は、参考形態と比べて低減する。また、吸引力のピーク値が最大になる位置の第一方向(矢印X方向)におけるピッチも等ピッチ化される。つまり、本実施形態の回転電機10は、参考形態と比べて、回転電機10の騒音および振動を低減することができる。
また、固定子20と可動子30との間の空隙に発生する磁束波形は、参考形態と比べて、正弦波に近づくので、本実施形態の回転電機10は、参考形態と比べて、起磁力の高調波成分(例えば、五次および七次の成分)を低減することもできる。上述したことは、図22に示す本実施形態のコイルサイド分布と、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布とからも言える。また、第二実施形態および後述する第五実施形態においても、移動単位量は、1スロットピッチに設定することができる。
なお、本実施形態では、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、既に通電方向が揃っている。そのため、本実施形態は、既述した形態のように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要はない。また、本実施形態は、相間の境界について単純化(境界の凹凸の最小化)が実現しているので、同一のスロット21cに収容されている同相のコイルサイド22aの当該スロット21c内の配置をさらに変更する必要もない。
また、例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。第一実施形態と同様に、一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。
第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に1スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが1、2および3の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。よって、第二コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。つまり、本実施形態では、第一コイルサイド導体数および第二コイルサイド導体数は、均等である。なお、上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
図21Aに示すように、複数(本実施形態では、2つ)の基本コイル50が混成されている固定子巻線22は、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cw)を含んでいる。複数(3つ)の相コイル22cは、複数(三相の各相4個、合計12個)の極対コイル60を具備しており、各極対コイル60は、同心状に巻装されている複数(4つ)の単位コイル22dを備えている。なお、同図では、図示の便宜上、U相コイル22cuの一つの極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dが明示されている。
図21Aおよび図23に示すように、本実施形態においても、第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されており、第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。また、第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されており、第四単位コイル22d4の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、4スロットピッチ(4sp)に設定されている。このように、各極対コイル60を構成する複数(4つ)の単位コイル22dの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、第一実施形態および第二実施形態と同じである。つまり、図23は、後述するスロット占有率を除いて、図6および図20と一致している。
また、図21Aに示すように、複数(2つ)の基本コイル50は、同一のスロット21cに収容されている同相のコイルサイド22aの当該スロット21c内の配置が相毎(U相、V相およびW相毎)に集約されている。さらに、複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22cの各々は、複数(3つ)の基本コイル50の全体において、複数(本実施形態では、8極)の可動子磁極32の磁極対数分(本実施形態では、4つ)の極対コイル60を備えている。よって、第一実施形態において既述したことは、本実施形態においても同様に言える。なお、本実施形態の固定子巻線22は、固定子20上の配置が異なる2種類の複数(2つ)の基本コイル50を備えている。
また、本実施形態の固定子巻線22は、第一実施形態と比べて、基本コイル50の数が異なる。そのため、スロット占有率が第一実施形態と異なる単位コイル22dが存在する。具体的には、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、75%(=3/4)である。また、第四単位コイル22d4のスロット占有率は、25%(=1/4)である。なお、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=4/4)であり、第一実施形態と同じである。また、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=2/4)であり、第一実施形態と同じである。
<第四実施形態>
本実施形態は、固定子巻線22が複数(2つ)の基本コイル50を備える点で、第一実施形態と異なる。本実施形態では、第一実施形態と異なる点が中心に説明されている。
図24Aに示すように、固定子巻線22は、複数(2つ)の基本コイル50を備えている。複数(2つ)の基本コイル50の各々は、既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。本実施形態においても、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。また、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。これらにより、本実施形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第四層L4の四層に形成されている。
本実施形態においても、移動単位量は、7スロットピッチに設定されている。また、所定スロットピッチは、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))に設定されている。このように、本実施形態では、所定スロットピッチを規定するnは、1である。また、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、一つの第二基本コイル52では、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他のU相の一相帯41についても同様に言える。また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。よって、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC51は、例えば、下記数19から算出することができ、コイルサイド中心CC51は、0.5になる。
(数19)
CC51=(−1×1+0×4+1×4+2×1)/(1+4+4+1)=0.5
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC52は、例えば、下記数20から算出することができ、コイルサイド中心CC52は、8になる。
(数20)
CC52=(7×3+8×4+9×3)/(3+4+3)=8
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが14、15、16および17の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC53は、例えば、下記数21から算出することができ、コイルサイド中心CC53は、15.5になる。
(数21)
CC53=(14×1+15×4+16×4+17×1)/(1+4+4+1)
=15.5
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが22、23および24の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC54は、例えば、下記数22から算出することができ、コイルサイド中心CC54は、23になる。
(数22)
CC54=(22×3+23×4+24×3)/(3+4+3)=23
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC51とコイルサイド中心CC52との間の距離は、7.5(=8−0.5)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC52とコイルサイド中心CC53との間の距離は、7.5(=15.5−8)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC53とコイルサイド中心CC54との間の距離は、7.5(=23−15.5)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、いずれも7.5であり、均等である。そのため、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。また、本実施形態の隣接コイルサイド比は、1(=7.5/7.5)である。
なお、図24Aに示す相配置は、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、通電方向が異なるコイルサイド22aが混在している。そのため、図24Bに示すように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要がある。例えば、図24Bに示す第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図24Aに示す通電方向に対して反転されている。上述したことは、第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。
また、図24Cに示すように、本実施形態においても、同一のスロット21cに収容されている複数のコイルサイド22aは、当該スロット21c内において、同相のコイルサイド22aが集約されている。例えば、図24Bに示す第二基本コイル52において、位置座標PPが−1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図24Cでは、第三層L3から第四層L4に移動されている。また、図24Bに示す第一基本コイル51において、位置座標PPが2のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図24Cでは、第二層L2から第一層L1に移動されている。上述したことは、他の混成一相帯42についても同様に言える。
さらに、例えば、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、3スロット分である。また、位置座標PPが−1、0、1および2の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4スロット分である。位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4スロット分である。
このように、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(4スロット分)は、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。そのため、本実施形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。
また、図25は、本実施形態(固定子巻線22が複数(2つ)の基本コイル50を備える形態)のコイルサイド分布の一例を示している。図24Cに示すように、例えば、位置座標PPが−1のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されている。そのため、図25に示すように、位置座標PPが−1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。同様に、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。また、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。さらに、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
位置座標PPが7のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。また、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。さらに、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。
図25に示す本実施形態のコイルサイド分布は、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布と比べて、第一方向(矢印X方向)に広がり、なだらかになっている。また、本実施形態のコイルサイド分布は、参考形態のコイルサイド分布と比べて、正弦波に近づいている。よって、本実施形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。第一実施形態と同様に、一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。
第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に7スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。よって、第二コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。つまり、本実施形態では、第一コイルサイド導体数および第二コイルサイド導体数は、均等である。なお、上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
図24Bおよび図24Cに示すように、複数(本実施形態では、2つ)の基本コイル50が混成されている固定子巻線22は、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cw)を含んでいる。複数(3つ)の相コイル22cは、複数(三相の各相8個、合計24個)の極対コイル60を具備しており、各極対コイル60は、同心状に巻装されている複数(3つ)の単位コイル22dを備えている。なお、これらの図では、図示の便宜上、一磁極対分のU相コイル22cuの二つの極対コイル60を構成する複数(6つ)の単位コイル22dが明示されている。
図24Bおよび図24C並びに図26に示すように、本実施形態の第一極コイル61fは、一つの単位コイル22dを備えており、当該単位コイル22dを第一単位コイル22d1とする。第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されている。第一単位コイル22d1は、同心状に巻装され、第一極コイル61fが形成されている。
第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22dを備えており、当該複数(2つ)の単位コイル22dを第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3とする。第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されており、第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。第二単位コイル22d2および第三単位コイル22d3は、同心状に巻装され、単位コイル間接続部62によって直列接続されており、第二極コイル61sが形成されている。
このように、本実施形態においても、各極対コイル60を構成する複数(3つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2および第三単位コイル22d3)は、一対のスロット21c,21cに収容されている一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチがそれぞれ異なる。また、各極対コイル60を構成する複数(3つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2および第三単位コイル22d3)は、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが、いずれも毎極スロット数(本実施形態では、7.5)より短く設定されている。よって、第一実施形態において既述したことは、本実施形態においても同様に言える。
図24Bおよび図24Cに示すように、本実施形態の固定子巻線22は、固定子20上の配置が異なる偶数種類(本実施形態では、2種類)の複数(本実施形態では、2つ)の基本コイル50を備えている。また、複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22cの各々は、複数(2つ)の基本コイル50の各々において、複数(本実施形態では、8極)の可動子磁極32の磁極対数分(本実施形態では、4つ)の極対コイル60を備えている。具体的には、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第一基本コイル51において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備え、第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えている。
複数(3つ)の相コイル22cの各々が具備する複数(8つ)の極対コイル60は、直列接続および並列接続のうちの少なくとも直列接続により電気的に接続することができる。また、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、一対のコイル引出部60f,60sを介して、同相の複数(8つ)の極対コイル60が電気的に接続されていると好適である。
図27Aは、U相コイル22cuの各極対コイル60の結線の一例を示している。同図は、図示の便宜上、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの二つの極対コイル60と、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの二つの極対コイル60とが図示されている。第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの二つの極対コイル60は、一の極対コイル60の第一コイル引出部60fの巻始め部60aがU相端子6TUと接続されている。当該極対コイル60の第二コイル引出部60sの巻終り部60bは、第一方向(矢印X方向)に隣接する一の極対コイル60の第一コイル引出部60fの巻始め部60aと接続されている。このようにして、二つの極対コイル60が直列接続されている。なお、実際は、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの四つの極対コイル60が直列接続されている。
第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの二つの極対コイル60は、一の極対コイル60の第一コイル引出部60fの巻始め部60aが中性点6Nと接続されている。当該極対コイル60の第二コイル引出部60sの巻終り部60bは、第一方向(矢印X方向)に隣接する一の極対コイル60の第一コイル引出部60fの巻始め部60aと接続されている。このようにして、二つの極対コイル60が直列接続されている。なお、実際は、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの四つの極対コイル60が直列接続されている。
ここで、第一基本コイル51において直列接続されているU相コイル22cuの極対コイル60の端部のうち、U相端子6TUに接続されている端部と反対側の端部(第二コイル引出部60sの巻終り部60b)を第一端部60e1とする。また、第二基本コイル52において直列接続されているU相コイル22cuの極対コイル60の端部のうち、中性点6Nに接続されている端部と反対側の端部(第二コイル引出部60sの巻終り部60b)を第二端部60e2とする。本形態では、第一端部60e1と第二端部60e2との間は、電気的に接続されている。これにより、U相コイル22cuの複数(8つ)の極対コイル60は、すべて直列接続される。本形態では、U相コイル22cuが具備する極対コイル60の種類は、一種類であり、極対コイル60の種類数を最小化することができる。上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。
図27Bは、U相コイル22cuの各極対コイル60の他の結線の一例を示している。同図は、図示の便宜上、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの一つの極対コイル60と、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの一つの極対コイル60とが図示されている。本形態では、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの極対コイル60は、既述した極対コイル60と同じであるが、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの極対コイル60は、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの極対コイル60に対して、巻方向が逆方向に設定されている。具体的には、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの極対コイル60は、第三方向(矢印Z方向)に沿って延びる仮想の直線の周りに、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの極対コイル60を180°回転させた形態と一致する。
また、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第一極コイル61fは、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第二極コイル61sと対向している。第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第二極コイル61sは、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第一極コイル61fと対向している。
第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第一コイル引出部60fの巻始め部60aは、U相端子6TUと接続されている。また、第一基本コイル51が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第二コイル引出部60sの巻終り部60bと、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第一コイル引出部60fの巻始め部60aとが接続されている。さらに、第二基本コイル52が備えるU相コイル22cuの極対コイル60の第二コイル引出部60sの巻終り部60bは、中性点6Nと接続されている。これにより、一磁極対分のU相コイル22cuの複数(2つ)の極対コイル60が直列接続される。
残りの三磁極対分の複数(6つ)の極対コイル60についても、同様にして、一磁極対分の複数(2つ)の極対コイル60がそれぞれ直列接続される。ここで、一磁極対分の直列接続される複数(2つ)の極対コイル60を直列極対コイルとする。合計四組の直列極対コイルは、すべて直列接続することができる。また、合計四組の直列極対コイルは、すべて並列接続することもできる。さらに、合計四組の直列極対コイルのうちの二組の直列極対コイルを直列接続し、残りの二組の直列極対コイルを直列接続し、直列接続された二組の直列極対コイルと、直列接続された二組の直列極対コイルとを並列接続することもできる。本形態では、U相コイル22cuが具備する極対コイル60の種類は、二種類であり、図27Aに示す形態と比べて、極対コイル60の種類数が増加している。しかしながら、本形態では、第二基本コイル52の数が増加した場合に、極対コイル60間を接続する配策を均等化し易い。上述したことは、V相コイル22cvおよびW相コイル22cwについても同様に言える。
なお、本実施形態の極対コイル60は、第一実施形態と比べて、第一極コイル61fを構成する単位コイル22dの数が一つ少ない。また、本実施形態の極対コイル60は、第二極コイル61sの構成が第一実施形態と同じである。よって、本実施形態の極対コイル60は、第一実施形態と比べて、極対コイル60の構成としては簡素化される。従って、第一実施形態において、一対のコイル引出部60f,60sの配置と単位コイル22dの巻進行方向について既述したことは、本実施形態においても同様に言える。
また、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第一基本コイル51において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備え、第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備える。よって、本実施形態では、第一実施形態で既述した回転電機の製造方法によって、基本コイル50毎に、複数(3つ)の相コイル22cを装着することができる。具体的には、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、基本コイル50毎に、第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機10の製造方法によって、複数(60個)のスロット21cに装着することができる。また、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cvおよびW相コイル22cw)は、基本コイル50毎に、第一装着工程と、第二進相装着工程と、第三進相装着工程とを備える回転電機10の製造方法によって、複数(60個)のスロット21cに装着することもできる。
さらに、図4Dに示すように、第一実施形態についても、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、複数(4つ)の基本コイル50の各々において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えることができる。具体的には、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第一層L1および第二層L2を形成する第一基本コイル51において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備え、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えることができる。複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備え、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えることができる。
なお、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52と、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52とは、固定子20上の配置が同じである。よって、例えば、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52が備える各極対コイル60の各単位コイル22dの巻数を二倍にして、固定子20上の配置が同じ単位コイル22dを集約(一コイル化)しても良い。
同様に、図18Dに示すように、第二実施形態についても、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、複数(3つ)の基本コイル50の各々において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えることができる。具体的には、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第一層L1および第二層L2を形成する第一基本コイル51において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備え、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備え、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えることができる。
また、図21Bに示すように、第三実施形態についても、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、複数(2つ)の基本コイル50の各々において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えることができる。具体的には、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第一層L1および第二層L2を形成する第一基本コイル51において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備え、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えることができる。
上述したいずれの変形形態においても、各極対コイル60の第一極コイル61fは、一つの単位コイル22dを備えており、当該単位コイル22d(第一単位コイル22d1)の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されている。また、各極対コイル60の第二極コイル61sは、複数(2つ)の単位コイル22dを備えており、当該複数(2つ)の単位コイル22dのうちの一方(第二単位コイル22d2)の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されている。当該複数(2つ)の単位コイル22dのうちの他方(第三単位コイル22d3)の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。また、上述したいずれの変形形態においても、例えば、図27Aまたは図27Bに示す方法によって各極対コイル60を結線し、各相コイル22cを構成することができる。図27Bに示す方法によって各極対コイル60を結線する場合、合計四組の直列極対コイルは、すべて直列接続することができる。また、合計四組の直列極対コイルは、すべて並列接続することもできる。さらに、合計四組の直列極対コイルのうちの二組の直列極対コイルを直列接続し、残りの二組の直列極対コイルを直列接続し、直列接続された二組の直列極対コイルと、直列接続された二組の直列極対コイルとを並列接続することもできる。
<第五実施形態>
本実施形態は、固定子巻線22が複数(4つ)の基本コイル50を備える点で、第四実施形態と異なる。本実施形態では、第四実施形態と異なる点が中心に説明されている。
図28Aに示すように、固定子巻線22は、複数(4つ)の基本コイル50を備えている。複数(4つ)の基本コイル50の各々は、既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(4つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、複数(3つ)の第二基本コイル52とを備えている。本実施形態においても、複数(3つ)の第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。また、複数(3つ)の第二基本コイル52の各々は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。これらにより、本実施形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第八層L8の八層に形成されている。
本実施形態においても、移動単位量は、7スロットピッチに設定されている。但し、複数(3つ)の第二基本コイル52のうちの一の第二基本コイル52(例えば、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))に設定されている。複数(3つ)の第二基本コイル52のうちの他の一の第二基本コイル52(例えば、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの2倍(14スロットピッチ(14sp))に設定されている。複数(3つ)の第二基本コイル52のうちの他の一の第二基本コイル52(例えば、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52)は、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの3倍(21スロットピッチ(21sp))に設定されている。このように、本実施形態では、所定スロットピッチを規定するnは、1、2および3である。また、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))から3倍(21スロットピッチ(21sp))までのすべての自然数倍を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。また、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。
さらに、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52では、位置座標PPが21、22および23の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他のU相の一相帯41についても同様に言える。
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが−2、−1、0、1および2の複数(5つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。よって、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC61は、例えば、下記数23から算出することができ、コイルサイド中心CC61は、0になる。
(数23)
CC61=(−2×1+−1×5+0×8+1×5+2×1)/(1+5+8+5+1)=0
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC62は、例えば、下記数24から算出することができ、コイルサイド中心CC62は、7.5になる。
(数24)
CC62=(6×3+7×7+8×7+9×3)/(3+7+7+3)=7.5
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが13、14、15、16および17の複数(5つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC63は、例えば、下記数25から算出することができ、コイルサイド中心CC63は、15になる。
(数25)
CC63=(13×1+14×5+15×8+16×5+17×1)/(1+5+8+5+1)=15
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが21、22、23および24の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、20個である。上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC64は、例えば、下記数26から算出することができ、コイルサイド中心CC64は、22.5になる。
(数26)
CC64=(21×3+22×7+23×7+24×3)/(3+7+7+3)
=22.5
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC61とコイルサイド中心CC62との間の距離は、7.5(=7.5−0)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC62とコイルサイド中心CC63との間の距離は、7.5(=15−7.5)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC63とコイルサイド中心CC64との間の距離は、7.5(=22.5−15)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.5であり、均等である。なお、本実施形態の隣接コイルサイド比は、1(=7.5/7.5)である。
本実施形態では、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも20個であり、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。そのため、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。さらに、起磁力分布の回転対称性が改善されている。よって、本実施形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、図28Aに示す相配置は、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、通電方向が異なるコイルサイド22aが混在している。そのため、図28Bに示すように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要がある。例えば、図28Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図28Aに示す通電方向に対して反転されている。
また、図28Bに示す第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが21、22および23の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図28Aに示す通電方向に対して反転されている。上述したことは、図28Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。また、同図に示す第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。なお、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52では、コイルサイド22aの通電方向は、正しいので、コイルサイド22aの通電方向を反転する必要はない。
また、図28Cに示すように、本実施形態においても、同一のスロット21cに収容されている複数のコイルサイド22aは、当該スロット21c内において、同相のコイルサイド22aが集約されている。例えば、図28Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが−1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図28Cでは、第三層L3から第四層L4に移動されている。また、図28Bに示す第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが−2のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図28Cでは、第七層L7から第八層L8に移動されている。
さらに、図28Bに示す第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが1のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図28Cでは、第六層L6から第五層L5に移動されている。また、図28Bに示す第一基本コイル51において、位置座標PPが2のスロット21cに収容されているU相のコイルサイド22aは、図28Cでは、第二層L2から第一層L1に移動されている。上述したことは、他の混成一相帯42についても同様に言える。
さらに、例えば、位置座標PPが−2、−1、0、1および2の複数(5つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、5スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。また、位置座標PPが−2、−1、0、1および2の複数(5つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、5スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、5スロット分である。
このように、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(5スロット分)は、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。そのため、本実施形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。
また、図29は、本実施形態(固定子巻線22が複数(4つ)の基本コイル50を備える形態)のコイルサイド分布の一例を示している。図28Cに示すように、例えば、位置座標PPが−2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されている。そのため、図29に示すように、位置座標PPが−2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。同様に、位置座標PPが−1のスロット21cには、U相の複数(5つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが−1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、5とする。
位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(8つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、8とする。さらに、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(5つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、5とする。また、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
位置座標PPが6のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが6におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。また、位置座標PPが7のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、7とする。さらに、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(7つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、7とする。また、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。
図29に示す本実施形態のコイルサイド分布は、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布と比べて、第一方向(矢印X方向)に広がり、なだらかになっている。また、本実施形態のコイルサイド分布は、参考形態のコイルサイド分布と比べて、正弦波に近づいている。よって、本実施形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。第一実施形態と同様に、一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。
第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に7スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。また、第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に14スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。
さらに、第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に21スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが21、22および23の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。よって、第二コイルサイド導体数は、いずれも2.5×t0で表すことができる。つまり、本実施形態においても、第一コイルサイド導体数および第二コイルサイド導体数は、均等である。なお、上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
図28Bおよび図28Cに示すように、複数(本実施形態では、4つ)の基本コイル50が混成されている固定子巻線22は、複数(3つ)の相コイル22c(U相コイル22cu、V相コイル22cv、W相コイル22cw)を含んでいる。複数(3つ)の相コイル22cは、複数(三相の各相16個、合計48個)の極対コイル60を具備しており、各極対コイル60は、同心状に巻装されている複数(3つ)の単位コイル22dを備えている。なお、これらの図では、図示の便宜上、一磁極対分のU相コイル22cuの四つの極対コイル60を構成する複数(12個)の単位コイル22dが明示されている。
図28Bおよび図28C並びに図30Aに示すように、本実施形態の第一極コイル61fは、一つの単位コイル22dを備えており、当該単位コイル22d(第一単位コイル22d1)の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されている。本実施形態の第二極コイル61sは、複数(2つ)の単位コイル22dを備えており、当該複数(2つ)の単位コイル22dのうちの一方(第二単位コイル22d2)の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されている。当該複数(2つ)の単位コイル22dのうちの他方(第三単位コイル22d3)の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。このように、各極対コイル60を構成する複数(3つ)の単位コイル22dの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、第四実施形態と同じである。つまり、図30Aは、図26と一致している。
また、図28Bおよび図28Cに示すように、本実施形態の固定子巻線22は、固定子20上の配置が異なる偶数種類(本実施形態では、4種類)の複数(本実施形態では、4つ)の基本コイル50を備えている。さらに、複数(本実施形態では、3つ)の相コイル22cの各々は、複数(4つ)の基本コイル50の各々において、複数(本実施形態では、8極)の可動子磁極32の磁極対数分(本実施形態では、4つ)の極対コイル60を備えている。よって、第四実施形態において既述したことは、本実施形態においても同様に言える。
なお、図28Cに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52と、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52とを入れ替えると、図28Dに示す変形形態の固定子巻線22の相配置になる。図28Dに示す変形形態の第一層L1〜第四層L4を形成する第一基本コイル51および第二基本コイル52の相配置は、図21Aに示す第三実施形態で既述した第一基本コイル51および第二基本コイル52の相配置と類似している。具体的には、第三実施形態では、第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に、1スロットピッチ(1sp)分、移動した位置に配置されている。一方、図28Dに示す変形形態では、第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に、1スロットピッチ(1sp)分、移動した位置に配置されている。上述したことは、図28Dに示す第五層L5〜第八層L8を形成する複数(2つ)の第二基本コイル52の相配置についても同様に言える。
よって、第三実施形態において既述した極対コイル60と同様にして、変形形態の極対コイル60は、図28Dに示す配置にすることができる。つまり、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第一層L1〜第四層L4を形成する複数(2つ)の基本コイル50の全体において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えている。また、複数(3つ)の相コイル22cの各々は、第五層L5〜第八層L8を形成する複数(2つ)の基本コイル50の全体において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えている。これにより、本変形形態の固定子巻線22は、複数(8つ)の基本コイル50の各々において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を備えている本実施形態と比べて、極対コイル60の数を半減することができる。
なお、図30Bに示すように、本変形形態の各極対コイル60の構成は、第三実施形態において既述した極対コイル60の構成と同じである。また、図28Dに示すように、第五層L5〜第八層L8を形成する複数(2つ)の基本コイル50は、第一層L1〜第四層L4を形成する複数(2つ)の基本コイル50に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に、7スロットピッチ(7sp)分、移動した位置に配置されている。
<第六実施形態>
本実施形態は、移動単位量が8スロットピッチである点で第四実施形態と異なる。本実施形態では、第四実施形態と異なる点が中心に説明されている。
図31Aに示すように、固定子巻線22は、複数(2つ)の基本コイル50を備えている。複数(2つ)の基本コイル50の各々は、既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。本実施形態においても、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。また、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。これらにより、本実施形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第四層L4の四層に形成されている。
本実施形態では、移動単位量は、毎極スロット数(本実施形態では、7.5)より大きい直近の整数である8スロットピッチに設定されている。また、所定スロットピッチは、移動単位量である8スロットピッチの1倍(8スロットピッチ(8sp))に設定されている。このように、本実施形態では、所定スロットピッチを規定するnは、1である。また、第一数列は、移動単位量である8スロットピッチの1倍(8スロットピッチ(8sp))を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、一つの第二基本コイル52では、位置座標PPが8、9および10の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他のU相の一相帯41についても同様に言える。また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC71は、例えば、下記数27から算出することができ、コイルサイド中心CC71は、1になる。
(数27)
CC71=(0×3+1×4+2×3)/(3+4+3)=1
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが7、8、9および10の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC72は、例えば、下記数28から算出することができ、コイルサイド中心CC72は、8.5になる。
(数28)
CC72=(7×1+8×4+9×4+10×1)/(1+4+4+1)=8.5
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが15、16および17の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC73は、例えば、下記数29から算出することができ、コイルサイド中心CC73は、16になる。
(数29)
CC73=(15×3+16×4+17×3)/(3+4+3)=16
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが22、23、24および25の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC74は、例えば、下記数30から算出することができ、コイルサイド中心CC74は、23.5になる。
(数30)
CC74=(22×1+23×4+24×4+25×1)/(1+4+4+1)
=23.5
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC71とコイルサイド中心CC72との間の距離は、7.5(=8.5−1)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC72とコイルサイド中心CC73との間の距離は、7.5(=16−8.5)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC73とコイルサイド中心CC74との間の距離は、7.5(=23.5−16)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.5であり、均等である。なお、本実施形態の隣接コイルサイド比は、1(=7.5/7.5)である。
本実施形態では、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも10個であり、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。そのため、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。さらに、起磁力分布の回転対称性が改善されている。よって、本実施形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、図31Aに示す相配置は、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、通電方向が異なるコイルサイド22aが混在している。そのため、図31Bに示すように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要がある。例えば、図31Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが8、9および10の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図31Aに示す通電方向に対して反転されている。上述したことは、図31Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。また、本実施形態では、同一のスロット21cに収容されている複数のコイルサイド22aは、当該スロット21c内において、同相のコイルサイド22aが既に集約されている。
さらに、例えば、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、3スロット分である。位置座標PPが7、8、9および10の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。また、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4スロット分である。位置座標PPが7、8、9および10の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、4スロット分である。
このように、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(4スロット分)は、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。そのため、本実施形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。
図32は、本実施形態のコイルサイド分布の一例を示している。図31Bに示すように、例えば、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されている。そのため、図32に示すように、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。同様に、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。また、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。
位置座標PPが7のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。また、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。さらに、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。また、位置座標PPが10のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが10におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
図32に示す本実施形態のコイルサイド分布は、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布と比べて、第一方向(矢印X方向)に広がり、なだらかになっている。また、本実施形態のコイルサイド分布は、参考形態のコイルサイド分布と比べて、正弦波に近づいている。よって、本実施形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。第一実施形態と同様に、一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。
第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に8スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが8、9および10の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。よって、第二コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。つまり、本実施形態においても、第一コイルサイド導体数および第二コイルサイド導体数は、均等である。なお、上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
図33Aに示すように、比較形態の固定子巻線22は、複数(2つ)の基本コイル50を備えている。複数(2つ)の基本コイル50の各々は、既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。本比較形態においても、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。また、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。これらにより、本比較形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第四層L4の四層に形成されている。
本比較形態では、移動単位量は、毎極スロット数(本比較形態では、7.5)の直近の整数より大きい整数である9スロットピッチに設定されている。また、所定スロットピッチは、移動単位量である9スロットピッチの1倍(9スロットピッチ(9sp))に設定されている。このように、本比較形態では、所定スロットピッチを規定するnは、1である。また、第一数列は、移動単位量である9スロットピッチの1倍(9スロットピッチ(9sp))を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、一つの第二基本コイル52では、位置座標PPが9、10および11の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他のU相の一相帯41についても同様に言える。また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが0、1、2および3の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC81は、例えば、下記数31から算出することができ、コイルサイド中心CC81は、1.5になる。
(数31)
CC81=(0×2+1×3+2×3+3×2)/(2+3+3+2)=1.5
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが7、8、9、10および11の複数(5つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC82は、例えば、下記数32から算出することができ、コイルサイド中心CC82は、9になる。
(数32)
CC82=(7×1+8×2+9×4+10×2+11×1)/(1+2+4+2+1)
=9
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが15、16、17および18の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC83は、例えば、下記数33から算出することができ、コイルサイド中心CC83は、16.5になる。
(数33)
CC83=(15×2+16×3+17×3+18×2)/(2+3+3+2)
=16.5
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが22、23、24、25および26の複数(5つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC84は、例えば、下記数34から算出することができ、コイルサイド中心CC84は、24になる。
(数34)
CC84=(22×1+23×2+24×4+25×2+26×1)/(1+2+4+2+1)=24
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC81とコイルサイド中心CC82との間の距離は、7.5(=9−1.5)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC82とコイルサイド中心CC83との間の距離は、7.5(=16.5−9)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC83とコイルサイド中心CC84との間の距離は、7.5(=24−16.5)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.5であり、均等である。なお、本比較形態の隣接コイルサイド比は、1(=7.5/7.5)である。
本比較形態では、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも10個であり、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。そのため、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。さらに、起磁力分布の回転対称性が改善されている。よって、本比較形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、図33Aに示す相配置は、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、通電方向が異なるコイルサイド22aが混在している。そのため、図33Bに示すように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要がある。例えば、図33Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが9、10および11の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図33Aに示す通電方向に対して反転されている。上述したことは、図33Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。
さらに、例えば、位置座標PPが0、1、2および3の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。位置座標PPが7、8、9、10および11の複数(5つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、5スロット分である。また、位置座標PPが0、1、2および3の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、5スロット分である。位置座標PPが7、8、9、10および11の複数(5つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、5スロット分である。
このように、本比較形態の実効コイルサイド分布幅(5スロット分)は、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。そのため、本比較形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。
図34は、本比較形態のコイルサイド分布の一例を示している。図33Bに示すように、例えば、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されている。そのため、図34に示すように、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。同様に、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。また、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。さらに、位置座標PPが3のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが3におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。
位置座標PPが7のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。また、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。さらに、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。また、位置座標PPが10のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが10におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。さらに、位置座標PPが11のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが11におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
図34に示す本比較形態のコイルサイド分布は、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布と比べて、第一方向(矢印X方向)に広がり、なだらかになっている。また、本比較形態のコイルサイド分布は、参考形態のコイルサイド分布と比べて、正弦波に近づいている。よって、本比較形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
しかしながら、実効コイルサイド分布幅が増加し、コイルサイド分布が第一方向(矢印X方向)に広範化されると、回転電機10の出力トルクは、目減りする。本比較形態の実効コイルサイド分布幅(5スロット分)は、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(4スロット分)と比べて、増加している。そのため、本比較形態の回転電機10は、本実施形態と比べて、出力トルクが目減りする。
なお、例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。第一実施形態と同様に、一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。
第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に9スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが9、10および11の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。よって、第二コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。つまり、本比較形態においても、第一コイルサイド導体数および第二コイルサイド導体数は、均等である。なお、上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
図35Aに示すように、他の比較形態の固定子巻線22は、複数(2つ)の基本コイル50を備えている。複数(2つ)の基本コイル50の各々は、既述した基本コイル50と同一構成である。また、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。本比較形態においても、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。また、一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に移動した位置に配置されている。これらにより、本比較形態の固定子巻線22は、第一層L1〜第四層L4の四層に形成されている。
本比較形態では、移動単位量は、毎極スロット数(本比較形態では、7.5)の直近の整数より小さい整数である6スロットピッチに設定されている。また、所定スロットピッチは、移動単位量である6スロットピッチの1倍(6スロットピッチ(6sp))に設定されている。このように、本比較形態では、所定スロットピッチを規定するnは、1である。また、第一数列は、移動単位量である6スロットピッチの1倍(6スロットピッチ(6sp))を含んでいる。
例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、一つの第二基本コイル52では、位置座標PPが6、7および8の複数(3つ)のスロット21cに形成されている。上述したことは、他のU相の一相帯41についても同様に言える。また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが−2、−1、0、1および2の複数(5つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC91は、例えば、下記数35から算出することができ、コイルサイド中心CC91は、0になる。
(数35)
CC91=(−2×1−1×2+0×4+1×2+2×1)/(1+2+4+2+1)
=0
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC92は、例えば、下記数36から算出することができ、コイルサイド中心CC92は、7.5になる。
(数36)
CC92=(6×2+7×3+8×3+9×2)/(2+3+3+2)=7.5
また、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが13、14、15、16および17の複数(5つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC93は、例えば、下記数37から算出することができ、コイルサイド中心CC93は、15になる。
(数37)
CC93=(13×1+14×2+15×4+16×2+17×1)/(1+2+4+2+1)=15
さらに、U相の混成一相帯42は、例えば、位置座標PPが21、22、23および24の複数(4つ)のスロット21cに形成されている。上記の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、10個である。さらに、上記の混成一相帯42のコイルサイド中心CC94は、例えば、下記数38から算出することができ、コイルサイド中心CC94は、22.5になる。
(数38)
CC94=(21×2+22×3+23×3+24×2)/(2+3+3+2)
=22.5
上述した算出結果から、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC91とコイルサイド中心CC92との間の距離は、7.5(=7.5−0)になる。また、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC92とコイルサイド中心CC93との間の距離は、7.5(=15−7.5)になる。さらに、U相の混成一相帯42のコイルサイド中心CC93とコイルサイド中心CC94との間の距離は、7.5(=22.5−15)になる。このように、第一方向(矢印X方向)において隣接する同相(U相)の混成一相帯42のコイルサイド中心CC間の距離は、7.5であり、均等である。なお、本比較形態の隣接コイルサイド比は、1(=7.5/7.5)である。
本比較形態では、U相の混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、いずれも10個であり、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等である。そのため、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさは、複数(8極)の可動子磁極32の毎極において均等になる。さらに、起磁力分布の回転対称性が改善されている。よって、本比較形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、図35Aに示す相配置は、同一のスロット21cに収容されている同相の複数のコイルサイド22aにおいて、通電方向が異なるコイルサイド22aが混在している。そのため、図35Bに示すように、複数のコイルサイド22aの通電方向を修正する必要がある。例えば、図35Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが6、7および8の複数(3つ)のスロット21cに収容されているU相の複数(5つ)のコイルサイド22aの通電方向は、図35Aに示す通電方向に対して反転されている。上述したことは、図35Bに示す第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52の他の一相帯41についても同様に言える。
また、例えば、位置座標PPが−2、−1、0、1および2の複数(5つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、5スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42のコイルサイド分布幅は、4スロット分である。また、位置座標PPが−2、−1、0、1および2の複数(5つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、5スロット分である。位置座標PPが6、7、8および9の複数(4つ)のスロット21cに形成されているU相の混成一相帯42の実効コイルサイド分布幅は、5スロット分である。
このように、本比較形態の実効コイルサイド分布幅(5スロット分)は、第一実施形態で既述した参考形態(固定子巻線22が一つの基本コイル50を備える形態)の実効コイルサイド分布幅(3.5スロット分)と比べて、増加している。そのため、本比較形態の起磁力分布は、参考形態の起磁力分布と比べて、なだらかになる。
図36は、本比較形態のコイルサイド分布の一例を示している。図35Bに示すように、例えば、位置座標PPが−2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されている。そのため、図36に示すように、位置座標PPが−2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。同様に、位置座標PPが−1のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが−1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。また、位置座標PPが0のスロット21cには、U相の複数(4つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが0におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、4とする。さらに、位置座標PPが1のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが1におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。また、位置座標PPが2のスロット21cには、U相の一つのコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが2におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、1とする。
位置座標PPが6のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが6におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。また、位置座標PPが7のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが7におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。さらに、位置座標PPが8のスロット21cには、U相の複数(3つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが8におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、3とする。また、位置座標PPが9のスロット21cには、U相の複数(2つ)のコイルサイド22aが収容されており、位置座標PPが9におけるU相のコイルサイド22aの数(コイルサイド数CN)は、2とする。
図36に示す本比較形態のコイルサイド分布は、図5Aに示す参考形態のコイルサイド分布と比べて、第一方向(矢印X方向)に広がり、なだらかになっている。また、本比較形態のコイルサイド分布は、参考形態のコイルサイド分布と比べて、正弦波に近づいている。よって、本比較形態の回転電機10は、第一実施形態で既述した効果と同様の効果を得ることができる。
既述したように、実効コイルサイド分布幅が増加し、コイルサイド分布が第一方向(矢印X方向)に広範化されると、回転電機10の出力トルクは、目減りする。本比較形態の実効コイルサイド分布幅(5スロット分)は、本実施形態の実効コイルサイド分布幅(4スロット分)と比べて、増加している。そのため、本比較形態の回転電機10は、本実施形態と比べて、出力トルクが目減りする。
なお、例えば、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41は、2.5スロット分を占有している。第一実施形態と同様に、一つのスロット21cを占有するコイルサイド22aの直列換算導体数を基準導体数t0とすると、第一コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。
第一基本コイル51の当該一相帯41に対して、第一方向(矢印X方向)に6スロットピッチ分、移動した位置に配置されている第二基本コイル52のU相の一相帯41は、位置座標PPが6、7および8の複数(3つ)のスロット21cに形成されており、2.5スロット分を占有している。よって、第二コイルサイド導体数は、2.5×t0で表すことができる。つまり、本比較形態においても、第一コイルサイド導体数および第二コイルサイド導体数は、均等である。なお、上述したことは、他の一相帯41についても同様に言える。
上述した二つの比較形態が示すように、移動単位量が毎極スロット数(この場合、7.5)の直近の整数(この場合、7または8)から増加若しくは減少すると、実効コイルサイド分布幅がさらに増加し、コイルサイド分布が第一方向(矢印X方向)にさらに広範化される。その結果、回転電機10の出力トルクは、目減りする。そのため、移動単位量は、毎極スロット数(この場合、7.5)の直近の整数(この場合、7または8)であると好適である。
また、図34および図36に示すように、コイルサイド分布は、相互に電気角で180°位相がずれた関係になっている。これは、通電の基準点を電気角で180°ずらせば、等価な状態が実現することを示している。すなわち、両比較形態は、移動単位量が異なるが、回転電機10の騒音および振動の低減に関しては、同等の効果が得られる。具体的には、図34に示す比較形態の移動単位量は、毎極スロット数(7.5)の直近の整数である8スロットピッチから1スロットピッチ異なる9スロットピッチに設定されている。図36に示す比較形態の移動単位量は、毎極スロット数(7.5)の直近の整数である7スロットピッチから1スロットピッチ異なる6スロットピッチに設定されている。このように、移動単位量の候補として、毎極スロット数(7.5)との差が同じ二つの整数(この場合、9スロットピッチまたは6スロットピッチ)がある場合、移動単位量は、二つの整数のいずれであっても良く、回転電機10の騒音および振動の低減に関しては、同等の効果が得られる。但し、移動単位量と毎極スロット数(7.5)との差が大きくなる程、回転電機10の出力トルクは、目減りする。
なお、本実施形態および上述した比較形態の各極対コイル60の構成は、第四実施形態において既述した極対コイル60の構成と同じである。また、第一実施形態、第二実施形態および第五実施形態のいずれの形態においても、移動単位量は、8スロットピッチに設定することができる。
<各実施形態の関係>
(基本コイル50の移動量)
図37Aは、第二基本コイル52の第一方向(矢印X方向)の移動量の関係の一例を示している。同図に示す位置P10は、第一基本コイル51において、位置座標PPが0、1および2の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。位置P11は、位置P10から、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に7スロットピッチ(7sp)分、移動した位置を示している。位置P12は、位置P10から、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に14スロットピッチ(14sp)分、移動した位置を示している。位置P13は、位置P10から、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に21スロットピッチ(21sp)分、移動した位置を示している。
位置P11〜位置P13は、移動単位量を7スロットピッチとするときの所定スロットピッチを示しているとも言える。位置P11の場合、所定スロットピッチを規定するnは、1である。位置P12の場合、所定スロットピッチを規定するnは、2である。位置P13の場合、所定スロットピッチを規定するnは、3である。
既述したように、第四実施形態では、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。構成EB1は、第四実施形態の複数(2つ)の基本コイル50の構成を模式的に示している。この場合、位置P11は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。
第二実施形態では、複数(3つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、複数(2つ)の第二基本コイル52とを備えている。構成EB2は、第二実施形態の複数(3つ)の基本コイル50の構成を模式的に示している。この場合、位置P11は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。また、位置P12は、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。
第五実施形態では、複数(4つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、複数(3つ)の第二基本コイル52とを備えている。構成EB3は、第五実施形態の複数(4つ)の基本コイル50の構成を模式的に示している。この場合、位置P11は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。また、位置P12は、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。さらに、位置P13は、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが21、22および23の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。
第一実施形態では、複数(4つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、複数(3つ)の第二基本コイル52とを備えている。構成EB4は、第一実施形態の複数(4つ)の基本コイル50の構成を模式的に示している。この場合、2つの位置P11のうちの一方は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。また、2つの位置P11のうちの他方は、第五層L5および第六層L6を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが7、8および9の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。さらに、位置P12は、第七層L7および第八層L8を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。
構成EB1では、少なくとも一つの第二基本コイル52の各々の所定スロットピッチを列挙した数列である第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))を含んでいる。また、構成EB2では、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))から2倍(14スロットピッチ(14sp))までのすべての自然数倍を含んでいる。さらに、構成EB3では、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))から3倍(21スロットピッチ(21sp))までのすべての自然数倍を含んでいる。また、構成EB4では、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))から2倍(14スロットピッチ(14sp))までのすべての自然数倍を含んでいる。
このように、構成EB1〜構成EB4のいずれにおいても、第一数列は、移動単位量である7スロットピッチの1倍(7スロットピッチ(7sp))からn倍(7×nスロットピッチ(7×nsp))までのすべての自然数倍を含んでいる。以上のように、構成EB1〜構成EB4は、複数の基本コイル50の組み合わせによって容易に構成でき、起磁力の毎極の均等化が実現する。
図37Bは、第二基本コイル52の第一方向(矢印X方向)の移動量の関係の他の一例を示している。位置P10および位置P11、並びに、構成EB1は、既述したとおりである。位置P21は、位置P10から、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に8スロットピッチ(8sp)分、移動した位置を示している。位置P22は、位置P10から、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に1スロットピッチ(1sp)分、移動した位置を示している。位置P23は、位置P10から、第一方向(矢印X方向)のうちの一の方向(第一方向第二極コイル側(矢印X1方向))に14スロットピッチ(14sp)分、移動した位置を示している。
既述した実施形態は、1/2系列の回転電機10であり、固定子巻線22の相配置は、複数(8極)の可動子磁極32の一磁極対毎に繰り返されている。そのため、位置座標PPが0の位置は、位置座標PPが15の位置と等価になる。よって、位置P11は、位置座標PPが15の位置(等価位置)から、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に8スロットピッチ(8sp)分、移動した位置を示しているとも言える。位置P21は、位置座標PPが15の位置(等価位置)から、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に7スロットピッチ(7sp)分、移動した位置を示しているとも言える。位置P22は、位置座標PPが15の位置(等価位置)から、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に14スロットピッチ(14sp)分、移動した位置を示しているとも言える。位置P23は、位置座標PPが15の位置(等価位置)から、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に1スロットピッチ(1sp)分、移動した位置を示しているとも言える。
既述したように、第六実施形態では、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。構成EB5は、第六実施形態の複数(2つ)の基本コイル50の構成を模式的に示している。この場合、位置P21は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが8、9および10の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。つまり、位置P21は、移動単位量を8スロットピッチとするときの所定スロットピッチを示しており、所定スロットピッチを規定するnは、1である。
ここで、第四実施形態において、一つの第二基本コイル52を、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に移動した形態を想定する。この場合、位置P21は、移動単位量を7スロットピッチとするときの所定スロットピッチを示しており、所定スロットピッチを規定するnは、1である。
逆に、第六実施形態において、一つの第二基本コイル52を、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に移動した形態を想定する。この場合、位置P11は、移動単位量を8スロットピッチとするときの所定スロットピッチを示しており、所定スロットピッチを規定するnは、1である。このように、構成EB1および構成EB5のうちの一方の構成から、構成EB1および構成EB5のうちの他方の構成を規定することができ、構成EB1および構成EB5は、実質等価である。
また、第三実施形態では、複数(2つ)の基本コイル50は、第一基本コイル51と、一つの第二基本コイル52とを備えている。構成EB6は、第三実施形態の複数(2つ)の基本コイル50の構成を模式的に示している。この場合、位置P22は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが1、2および3の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。つまり、位置P22は、移動単位量を1スロットピッチとするときの所定スロットピッチを示しており、所定スロットピッチを規定するnは、1である。
ここで、第四実施形態において、所定スロットピッチが、移動単位量である7スロットピッチの2倍(14スロットピッチ(14sp))に設定されている形態を想定する。構成EB7は、想定した上記形態の構成を模式的に示している。この場合、位置P23は、第三層L3および第四層L4を形成する第二基本コイル52において、位置座標PPが14、15および16の複数(3つ)のスロット21cに形成されているU相の一相帯41の第一方向(矢印X方向)の位置を代表している。つまり、位置P23は、移動単位量を7スロットピッチとするときの所定スロットピッチを示しており、所定スロットピッチを規定するnは、2である。
逆に、第三実施形態において、一つの第二基本コイル52を、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)のうちの他の一の方向(第一方向第一極コイル側(矢印X2方向))に移動した形態を想定する。この場合、位置P23は、移動単位量を1スロットピッチとするときの所定スロットピッチを示しており、所定スロットピッチを規定するnは、1である。このように、構成EB6および構成EB7のうちの一方の構成から、構成EB6および構成EB7のうちの他方の構成を規定することができ、構成EB6および構成EB7は、実質等価である。
なお、1/2系列の回転電機10では、毎極スロット数(既述した形態では、7.5)と、毎極スロット数の直近の整数(既述した形態では、7スロットピッチまたは8スロットピッチ)との差は、0.5である。すなわち、毎極スロット数の直近の整数(7スロットピッチまたは8スロットピッチ)を移動単位量とすると、当該移動単位量は、電磁気的に実質等価な位置(電気角で180°移動した位置)から0.5スロットピッチ分、離間する位置に、第二基本コイル52を移動させる移動単位量に相当する。毎極スロット数の直近の整数の二倍(14スロットピッチまたは16スロットピッチ)を移動単位量とすると、当該移動単位量は、電磁気的に実質等価な位置(電気角で180°移動した位置)から1スロットピッチ分、離間する位置に、第二基本コイル52を移動させる移動単位量に相当する。これらのことからも、構成EB6および構成EB7が実質等価であることが言える。
(極対コイル60の構成)
図6に示すように、第一実施形態では、第一極コイル61fは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2)を備えている。第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されており、第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。また、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第三単位コイル22d3、第四単位コイル22d4)を備えている。第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されており、第四単位コイル22d4の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、4スロットピッチ(4sp)に設定されている。なお、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=8/8)であり、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=4/8)である。第三単位コイル22d3のスロット占有率は、87.5%(=7/8)であり、第四単位コイル22d4のスロット占有率は、12.5%(=1/8)である。
図20に示すように、第二実施形態においても、第一極コイル61fは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第三単位コイル22d3、第四単位コイル22d4)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、第一実施形態と同じである。なお、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=6/6)であり、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=3/6)であり、第一実施形態と同じである。しかしながら、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、83.3%(=5/6)であり、第四単位コイル22d4のスロット占有率は、16.7%(=1/6)である。
図23に示すように、第三実施形態においても、第一極コイル61fは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第三単位コイル22d3、第四単位コイル22d4)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、第一実施形態と同じである。なお、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=4/4)であり、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=2/4)であり、第一実施形態と同じである。しかしながら、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、75%(=3/4)であり、第四単位コイル22d4のスロット占有率は、25%(=1/4)である。
図26に示すように、第四実施形態では、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3)を備えている。第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されている。第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されており、第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。なお、第一単位コイル22d1および第二単位コイル22d2のスロット占有率は、100%(=2/2)であり、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、50%(=1/2)である。
図30Aに示すように、第五実施形態においても、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、第四実施形態と同じである。また、第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2および第三単位コイル22d3のスロット占有率は、第四実施形態と同じである。
図30Bに示すように、第五実施形態の変形形態では、第一極コイル61fは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第三単位コイル22d3、第四単位コイル22d4)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、第三実施形態と同じである。また、第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3および第四単位コイル22d4のスロット占有率は、第三実施形態と同じである。
このように、図6、図20、図23および図30Bに示す形態では、第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、同じであり、第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、同じである。また、第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、これらの形態間において同じであり、第四単位コイル22d4の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、これらの形態間において同じである。つまり、各単位コイル22dの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、これらの形態間において同じである。また、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、これらの形態間において同じであり、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、これらの形態間において同じである。
一方、第三単位コイル22d3と第四単位コイル22d4のスロット占有率の比(巻数比)は、図23に示す第三実施形態(図30Bに示す変形形態)では、3:1であり、図20に示す第二実施形態では、5:1であり、図6に示す第一実施形態では、7:1である。つまり、図23に示す第三実施形態(図30Bに示す変形形態)、図20に示す第二実施形態、図6に示す第一実施形態の順に、第三単位コイル22d3と第四単位コイル22d4のスロット占有率の比(巻数比)は、増加している。
(極対コイル60の配置)
第四実施形態の固定子巻線22は、固定子20上の配置が異なる偶数種類(2種類)の複数(2つ)の基本コイル50を備えている。また、移動単位量は、毎極スロット数(7.5)より小さい直近の整数である7スロットピッチに設定されている。この場合、図24Cに示すように、第一極コイル61fの対象になるコイルサイド22aの配置は、第一極コイル61fの中心に対して非対称であり、第二極コイル61sの対象になるコイルサイド22aの配置は、第二極コイル61sの中心に対して非対称である。よって、複数(3つ)の相コイル22cの各々について、複数(2つ)の基本コイル50の全体において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を配置することは、困難である。このことは、固定子20上の配置が異なる偶数種類(4種類)の複数(4つ)の基本コイル50を備える第五実施形態の固定子巻線22についても、同様に言える。
一方、第一実施形態の固定子巻線22は、固定子20上の配置が異なる奇数種類(3種類)の複数(4つ)の基本コイル50を備えている。また、移動単位量は、毎極スロット数(7.5)より小さい直近の整数である7スロットピッチに設定されている。この場合、図4Cに示すように、第一極コイル61fの対象になるコイルサイド22aの配置は、第一極コイル61fの中心に対して対称であり、第二極コイル61sの対象になるコイルサイド22aの配置は、第二極コイル61sの中心に対して対称である。よって、複数(3つ)の相コイル22cの各々について、複数(4つ)の基本コイル50の全体において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を配置することは、容易である。このことは、固定子20上の配置が異なる奇数種類(3種類)の複数(3つ)の基本コイル50を備える第二実施形態の固定子巻線22についても、同様に言える。また、このことは、移動単位量が毎極スロット数(7.5)より大きい直近の整数である8スロットピッチに設定される形態についても、同様に言える。
なお、第三実施形態では、移動単位量が1スロットピッチに設定されている。図21Aに示すように、移動単位量が1スロットピッチの場合は、基本コイル50の種類数に関係なく、第一極コイル61fの対象になるコイルサイド22aの配置は、第一極コイル61fの中心に対して対称になり、第二極コイル61sの対象になるコイルサイド22aの配置は、第二極コイル61sの中心に対して対称になる。よって、移動単位量が1スロットピッチである第三実施形態では、基本コイル50の種類数に関係なく、複数(3つ)の相コイル22cの各々について、複数(2つ)の基本コイル50の全体において、複数(8極)の可動子磁極32の磁極対数分(4つ)の極対コイル60を配置することができる。
<その他>
本実施形態は、上記した形態および図面に示した形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、固定子巻線22は、5つ以上の基本コイル50を備えることもでき、基本コイル50の数は、限定されない。また、固定子巻線22は、複数の第一基本コイル51を備えることもできる。さらに、可動子30の磁極数が2極のときには、複数の相コイル22cの各々は、一つの極対コイル60を具備する。
また、分数スロット構成の回転電機10であれば、固定子20のスロット数および可動子30の磁極数は、限定されない。本実施形態は、例えば、8極36スロット構成の回転電機(可動子30の磁極数が2極、固定子20のスロット数が9スロットを基本構成とする回転電機)に適用することができる。この場合、毎極毎相スロット数は、1.5であり、移動単位量は、毎極スロット数(本形態では、4.5)の直近の整数(4スロットピッチ若しくは5スロットピッチ)または1スロットピッチであると好適である。図38A〜図38Fに示す形態では、移動単位量は、4スロットピッチまたは1スロットピッチに設定されている。
図38Aに示すように、第一実施形態に対応する形態では、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備えており、第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、3スロットピッチ(3sp)に設定されている。第一単位コイル22d1は、同心状に巻装され、第一極コイル61fが形成されている。また、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3)を備えている。第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、4スロットピッチ(4sp)に設定されており、第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、2スロットピッチ(2sp)に設定されている。第二単位コイル22d2および第三単位コイル22d3は、同心状に巻装され、単位コイル間接続部62によって直列接続されており、第二極コイル61sが形成されている。なお、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、50%(=4/8)である。第二単位コイル22d2のスロット占有率は、87.5%(=7/8)であり、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、12.5%(=1/8)である。
図38Bに示すように、第二実施形態に対応する形態においても、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、図38Aに示す形態と同じである。また、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、50%(=3/6)であり、図38Aに示す形態と同じである。しかしながら、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、83.3%(=5/6)であり、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、16.7%(=1/6)である。
図38Cに示すように、第三実施形態に対応する形態においても、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、図38Aに示す形態と同じである。また、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、50%(=2/4)であり、図38Aに示す形態と同じである。しかしながら、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、75%(=3/4)であり、第三単位コイル22d3のスロット占有率は、25%(=1/4)である。
図38Dに示すように、第四実施形態に対応する形態では、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備え、第二極コイル61sは、一つの単位コイル22d(第二単位コイル22d2)を備えている。第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、4スロットピッチ(4sp)に設定されており、第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、3スロットピッチ(3sp)に設定されている。また、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、100%(=2/2)であり、第二単位コイル22d2のスロット占有率は、50%(=1/2)である。
図38Eに示すように、第五実施形態に対応する形態においても、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備え、第二極コイル61sは、一つの単位コイル22d(第二単位コイル22d2)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、図38Dに示す形態と同じである。また、第一単位コイル22d1および第二単位コイル22d2のスロット占有率は、図38Dに示す形態と同じである。
図38Fに示すように、第五実施形態の変形形態に対応する形態では、第一極コイル61fは、一つの単位コイル22d(第一単位コイル22d1)を備え、第二極コイル61sは、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数(2つ)の単位コイル22d(第二単位コイル22d2、第三単位コイル22d3)を備えている。一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、図38Cに示す形態と同じである。また、第一単位コイル22d1、第二単位コイル22d2および第三単位コイル22d3のスロット占有率は、図38Cに示す形態と同じである。
このように、図38A〜図38Cおよび図38Fに示す形態では、第一単位コイル22d1の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、同じである。また、第二単位コイル22d2の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、これらの形態間において同じであり、第三単位コイル22d3の一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、これらの形態間において同じである。つまり、各単位コイル22dの一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチは、これらの形態間において同じである。また、第一単位コイル22d1のスロット占有率は、これらの形態間において同じである。
一方、第二単位コイル22d2と第三単位コイル22d3のスロット占有率の比(巻数比)は、図38Cに示す形態(図38Fに示す形態)では、3:1であり、図38Bに示す形態では、5:1であり、図38Aに示す形態では、7:1である。つまり、図38Cに示す形態(図38Fに示す形態)、図38Bに示す形態、図38Aに示す形態の順に、第二単位コイル22d2と第三単位コイル22d3のスロット占有率の比(巻数比)は、増加している。このように、各実施形態の関係で既述したことは、毎極毎相スロット数が1.5の場合についても、同様に言える。
なお、既述の実施形態では、可動子30は、固定子20の内方に設けられている(インナーロータ型の回転電機)。しかしながら、可動子30は、固定子20の外方に設けることもできる(アウターロータ型の回転電機)。また、回転電機10は、固定子20および可動子30が同軸に配されるラジアル空隙型またはアキシャル空隙型の回転電機に限定されるものではない。回転電機10は、固定子20および可動子30が直線上に配され、可動子30が固定子20に対して直線上に移動するリニア電動機またはリニア発電機に適用することもできる。さらに、回転電機10は、分数スロット構成の種々の回転電機に用いることができ、例えば、車両の駆動用電動機、発電機、産業用または家庭用の電動機、発電機などに用いることができる。
<効果の一例>
様相1に係る回転電機10によれば、固定子巻線22は、混成一相帯42を構成する複数のコイルサイド22aによって発生する起磁力の大きさが複数の可動子磁極32の毎極において均等になるように、複数の基本コイル50が混成されている。これにより、固定子巻線22が通電されたときに発生する起磁力の大きさ及び起磁力分布の毎極の均等性が増す。その結果、可動子30の磁極数と比べて低次の空間変形モードの起振力が低減され、様相1に係る回転電機10は、可動子30の磁極数と比べて低次の空間変形モードの騒音および振動を抑制することができる。
また、様相1に係る回転電機10によれば、複数の基本コイル50が混成されている固定子巻線22は、少なくとも一つの極対コイル60を具備する複数の相コイル22cを含み、各極対コイル60は、同心状に巻装されている複数の単位コイル22dを備えている。よって、様相1に係る回転電機10は、固定子巻線22の相配置に起因する騒音および振動を低減することができる。さらに、様相1に係る回転電機10は、固定子巻線22の同心巻化によって、固定子巻線22の組み付け作業の簡素化および機械化を図ることができる。
さらに、様相1に係る回転電機10によれば、各極対コイル60を構成する複数の単位コイル22dは、一対のスロット21c,21cに収容されている一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチがそれぞれ異なり、一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが、いずれも毎極スロット数より短く設定されている。よって、様相1に係る回転電機10は、二層重巻構成の固定子巻線と比べて、固定子巻線22の導体長を短くすることができ、固定子巻線22に使用する導体量を少なくすることができる。
様相2に係る回転電機10によれば、様相1に係る回転電機10において、各極対コイル60は、第一極コイル61fと第二極コイル61sとを備え、第一極コイル61fおよび第二極コイル61sが電気的に直列接続されている。第一極コイル61fは、一つの単位コイル22dまたは一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数の単位コイル22dを備え、少なくとも一つの単位コイル22dが同心状に巻装され電気的に直列接続されている。第二極コイル61sは、一つの単位コイル22dまたは一対のコイルサイド22a,22a間のコイルピッチが異なる複数の単位コイル22dを備え、少なくとも一つの単位コイル22dが同心状に巻装され電気的に直列接続されており、第一極コイル61fが複数の可動子磁極32のうちの一の可動子磁極32と対向するときに当該可動子磁極32に隣接する一の可動子磁極32と対向する。
様相2に係る回転電機10は、上記構成によって各極対コイル60を構成することができ、同心巻構成の固定子巻線22を形成することができる。
様相3に係る回転電機10によれば、様相1または様相2に係る回転電機10において、複数の相コイル22cは、中性点6Nを備え、各極対コイル60は、スロット占有率最小コイルが中性点6Nと接続されている。但し、各極対コイル60を構成する複数の単位コイル22dのうちの一の単位コイル22dであって一対のスロット21c,21cに収容されている同相の一対のコイルサイド22a,22aのスロット占有率が、当該複数の単位コイル22dの中で最小の単位コイル22dをスロット占有率最小コイルとする。
様相3に係る回転電機10は、同一のスロット21cに収容される相が異なる単位コイル22d間の電位差を低減することができる。よって、様相3に係る回転電機10は、相間の絶縁部材(例えば、相間紙など)を削減または簡素化することができ、部品点数の低減、巻装の自動化が容易になる。また、様相3に係る回転電機10は、相間の絶縁部材の削減または簡素化によって占積率が向上し、固定子鉄心21の小型化等を図ることができる。
様相4に係る回転電機10によれば、様相2に従属する様相3に係る回転電機10において、各極対コイル60は、第一極コイル61fにスロット占有率最大コイルを備え、第二極コイル61sにスロット占有率最小コイルを備え、スロット占有率最大コイルが相端子と接続されている。但し、各極対コイル60を構成する複数の単位コイル22dのうちの一の単位コイル22dであって一対のスロット21c,21cに収容されている同相の一対のコイルサイド22a,22aのスロット占有率が、当該複数の単位コイル22dの中で最大の単位コイル22dをスロット占有率最大コイルとする。
様相4に係る回転電機10は、第一極コイル61fにスロット占有率最大コイルを備え、第二極コイル61sにスロット占有率最小コイルを備える極対コイル60において、様相3に係る回転電機10について既述した効果を得ることができる。
様相5に係る回転電機10によれば、様相1〜様相4のいずれか一つの様相に係る回転電機10において、少なくとも一つの第二基本コイル52は、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている。
様相5に係る回転電機10は、少なくとも一つの第二基本コイル52が、第一基本コイル51に対して、第一方向(矢印X方向)に所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されているので、複数の基本コイル50の混成が容易である。
様相6に係る回転電機10によれば、様相5に係る回転電機10において、所定スロットピッチは、移動単位量のn倍(但し、nは1以上の自然数)で表される。但し、NIスロットピッチ(但し、NIは、毎極スロット数の直近の整数または1)を移動単位量とする。
様相6に係る回転電機10は、実効コイルサイド分布幅の過大な増加(コイルサイド分布の過大な広範化)を抑制することができる。そのため、様相6に係る回転電機10は、出力トルクの目減りを抑制することができる。特に、NIが毎極スロット数の直近の整数であるとき、上述した効果は、顕著である。
様相7に係る回転電機10によれば、様相1〜様相6のいずれか一つの様相に係る回転電機10において、複数の相コイル22cの各々は、複数の基本コイル50の各々において、複数の可動子磁極32の磁極対数分の極対コイル60を備える。
様相7に係る回転電機10は、様相8および様相9に係る回転電機10と比べて、極対コイル60を構成する単位コイル22dの種類数を低減することができ、極対コイル60の簡素化を図ることができる。また、単位コイル22dの種類数が少ないので、極対コイル60の製作が簡便である。
様相8に係る回転電機10によれば、様相1〜様相6のいずれか一つの様相に係る回転電機10において、固定子巻線22は、4つの基本コイル50を備える。4つの基本コイル50は、同一のスロット21cに収容されている同相のコイルサイド22aの当該スロット21c内の配置が相毎に集約されている。複数の相コイル22cの各々は、4つの基本コイル50のうちの2つの基本コイル50の全体において、複数の可動子磁極32の磁極対数分の極対コイル60を備え、4つの基本コイル50のうちの残りの2つの基本コイル50の全体において、複数の可動子磁極32の磁極対数分の極対コイル60を備える。
様相8に係る回転電機10は、固定子巻線22が4つの基本コイル50を備える様相7に係る回転電機10と比べて、極対コイル60の数を半減することができ、固定子巻線22の簡素化を図ることができる。その結果、様相8に係る回転電機10は、極対コイル60間の配策の簡素化およびこれに伴う固定子巻線22の小型化を図ることができ、固定子巻線22の装着作業における作業性が向上する。
様相9に係る回転電機10によれば、様相1〜様相6のいずれか一つの様相に係る回転電機10において、複数の基本コイル50は、同一のスロット21cに収容されている同相のコイルサイド22aの当該スロット21c内の配置が相毎に集約されている。複数の相コイル22cの各々は、複数の基本コイル50の全体において、複数の可動子磁極32の磁極対数分の極対コイル60を備える。
様相9に係る回転電機10は、様相7および様相8に係る回転電機10と比べて、極対コイル60の数を低減することができ、固定子巻線22の簡素化を図ることができる。その結果、様相9に係る回転電機10は、極対コイル60間の配策の簡素化およびこれに伴う固定子巻線22の小型化をさらに図ることができ、固定子巻線22の装着作業における作業性がさらに向上する。
様相10に係る回転電機10によれば、少なくとも様相2に従属する様相9に係る回転電機10において、各極対コイル60は、巻始め側の第一極コイル61fから巻終り側の第二極コイル61sへ引き回す極コイル間接続部63を介して連続して巻進められて、第一極コイル61fを構成する少なくとも一つの単位コイル22dおよび第二極コイル61sを構成する少なくとも一つの単位コイル22dが直列接続されている。各極対コイル60を構成する複数の単位コイル22dの巻進行方向は、いずれも第二方向固定子側(矢印Y2方向)である。但し、固定子20と可動子30の対向方向を第二方向(矢印Y方向)とし、第二方向(矢印Y方向)のうちの可動子30側から固定子20側に向かう方向を第二方向固定子側(矢印Y2方向)とする。
様相10に係る回転電機10は、各極対コイル60を構成する複数の単位コイル22dの巻進行方向が第二方向可動子側(矢印Y1方向)の場合と比べて、極対コイル60における配策の干渉交差を回避若しくは軽減することができ、固定子巻線22を短小化することができる。また、様相10に係る回転電機10は、例えば、インサータ治具を用いて、相コイル22c単位で複数の極対コイル60を装着することが可能であり、固定子巻線22の装着作業における作業性が向上する。
様相11に係る回転電機10の製造方法によれば、様相10に係る回転電機10を製造する回転電機10の製造方法であって、第一装着工程と第二遅相装着工程と第三遅相装着工程とを備える。第一装着工程は、複数の相コイル22cのうちの一の相コイル22cを複数のスロット21cに装着する工程である。第二遅相装着工程は、複数の相コイル22cのうちの残りの一の相コイル22cを、第一装着工程で装着された相コイル22cに対して、相間最小位相差分、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数のスロット21cに装着する工程である。ここで、相間最小位相差とは、電気角360°を相数で除した相間の最小位相差をいう。また、残りの一の相コイル22cは、第一装着工程で装着された相コイル22cと比べて、相間最小位相差分、位相が遅れる相コイル22cをいう。第三遅相装着工程は、複数の相コイル22cがすべて複数のスロット21cに装着されるまで、直近で装着した相コイル22cと比べて相間最小位相差分、位相が遅れる相コイル22cを、直近で装着した相コイル22cに対して、相間最小位相差分、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数のスロット21cに装着する工程である。なお、第一方向(矢印X方向)のうちの第一極コイル61f側から第二極コイル61s側に向かう方向を第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)とする。また、複数の相コイル22cは、第一方向第二極コイル側(矢印X1方向)に順に位相が遅れるように相順に配設するものとする。
様相11に係る回転電機10の製造方法は、既に装着されている相コイル22cのコイルエンド22bおよび配策(一対のコイル引出部60f,60sおよび極コイル間接続部63)との干渉部位が減少し、干渉部位を迂回する迂回長を減少させることができる。よって、様相11に係る回転電機10の製造方法によって製造された回転電機10は、極対コイル60における配策の簡素化およびこれに伴う固定子巻線22の小型化を図ることができる。
<付記項>
(付記項1)
前記少なくとも一つの第二基本コイルの各々の前記所定スロットピッチを列挙した数列である第一数列は、前記移動単位量の1倍から前記n倍までのすべての自然数倍を含む請求項6に記載の回転電機。
(付記項2)
前記NIは、前記毎極スロット数の直近の整数であり、
前記混成一相帯を構成する前記複数のコイルサイドの配置および当該複数のコイルサイドの前記第一方向における位置の両方を加味して算出される前記混成一相帯の中心をコイルサイド中心とするとき、
前記第一方向において隣接する前記コイルサイド中心間の距離は、前記複数の可動子磁極の毎極において均等である付記項1に記載の回転電機。
(付記項3)
前記第一基本コイルの一の前記一相帯を構成する前記複数のコイルサイドの直列換算導体数を第一コイルサイド導体数とし、前記第一基本コイルの一の前記一相帯に対して前記可動子の移動方向に前記所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている前記少なくとも一つの第二基本コイルの各々の一の前記一相帯を構成する前記複数のコイルサイドの直列換算導体数を第二コイルサイド導体数とするとき、
前記第一コイルサイド導体数、および、少なくとも一つの前記第二コイルサイド導体数の各々は、いずれも均等である請求項5、請求項6、付記項1および付記項2のいずれか一項に記載の回転電機。
(付記項4)
前記第一基本コイルの一の前記一相帯を構成する前記複数のコイルサイドの直列換算導体数を第一コイルサイド導体数とし、前記第一基本コイルの一の前記一相帯に対して前記可動子の移動方向に前記所定スロットピッチ分、移動した位置に配置されている前記少なくとも一つの第二基本コイルの各々の一の前記一相帯を構成する前記複数のコイルサイドの直列換算導体数を第二コイルサイド導体数とし、
前記第一コイルサイド導体数と、前記所定スロットピッチが小さいものから順に前記所定スロットピッチ毎に列挙された少なくとも一つの前記第二コイルサイド導体数と、からなるコイルサイド導体数を列挙した要素数がm個(但し、mは3以上の自然数)の数列を第二数列とするとき、
前記第二数列は、k番目(但し、kはm/2以下の自然数)の要素の前記コイルサイド導体数と、(m−k+1)番目の要素の前記コイルサイド導体数と、が同一である請求項5、請求項6、付記項1および付記項2のいずれか一項に記載の回転電機。
(付記項5)
前記第二数列は、1番目の要素からj番目(但し、jはm/2であり、m/2が自然数でないときには小数点以下を切り上げた自然数)の要素にかけて、前記コイルサイド導体数が増加しており、j番目の要素からm番目の要素にかけて、前記コイルサイド導体数が減少している付記項4に記載の回転電機。
(付記項6)
前記mは3であり、
前記第二数列は、2番目の要素の前記コイルサイド導体数が、1番目の要素の前記コイルサイド導体数および3番目の要素の前記コイルサイド導体数と比べて、二倍に設定されている付記項5に記載の回転電機。