JP2019034999A - ホットメルト接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】糸曳き性の問題が改善された上で、塗布硬化前の熱安定性に優れ、さらには、塗布硬化後においても広い温度域において、特に高温域において接着性が劣化しにくいホットメルト接着剤を提供すること。【解決手段】(A)共重合体成分、(B)ワックス成分及び(C)粘着付与樹脂成分を含むホットメルト接着剤であって、前記(A)は、(A1)官能化エチレン−α−オレフィン共重合体及び(A2)エチレン−カルボン酸エステル共重合体を少なくとも有し、前記(A)100質量%中に、前記(A1)を23〜95質量%、前記(A2)を5〜20質量%含み、前記(A)100質量部に対して、前記(B)を10〜62質量部、及び前記(C)を118〜165質量部含み、前記(C)の環球式軟化点は120℃以上であることを特徴とする、ホットメルト接着剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ホットメルト接着剤に関する。
ホットメルト接着剤は、溶剤が不要であり、また、瞬間接着や高速接着が可能であるという長所があることから、包装・製本・木工など広い分野で使用されている。
ホットメルト接着剤を用いた被着体の接着は、ホットメルト接着剤を加熱溶融させ、溶融状態のホットメルト接着剤を被着体に塗工した後、冷却固化させることにより行われる。そして、従来より、上記ホットメルト接着剤のベース樹脂(主成分)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという。)を主成分としたホットメルト接着剤が使用されている。
しかしながら、EVAには熱劣化しやすいという欠点があり、近年ではこれに替わるものとして、熱劣化しにくいエチレン−α−オレフィン共重合体を主成分として使用したホットメルト接着剤が主流となってきている。
例えば特許文献1には、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−カルボン酸エステル共重合体とを使用したホットメルト接着剤が記載されている。特許文献1に記載されるホットメルト接着剤は、広範な温度範囲での接着作業が可能であると記載されている。
ところで、ホットメルト接着剤は高温で塗布する必要があるため、塗布時にはホットメルトアプリケーターと呼ばれる専用の塗布装置が用いられる。このホットメルトアプリケーターは、ホットメルト接着剤を加熱溶融し、圧縮空気やギヤポンプを用いる事により、ノズルの先端から溶融したホットメルト接着剤を間欠的に吐出し、被着体に塗布するためのものである。
その際、ホットメルト接着剤が吐出するノズルの先端から被着体の間で吐出毎にホットメルト接着剤が有する曳糸性に起因する糸状物が発生する。この糸状物が発生すると、様々な使用過程において、周辺装置や被着体を汚染したり、センサー誤作動や印字ミス等を引き起こしたりするという問題が発生する。特に、冬場など使用環境温度が低い場合、ノズルの先端から吐出されたホットメルト接着剤の溶融粘度が高くなるため糸状物の発生は顕著であり、大きな問題となる。
そこで特許文献2では、エチレン−α−オレフィン共重合体とエチレン−カルボン酸エステル共重合体を使用したホットメルト接着剤が記載されている。特許文献2に記載されるホットメルト接着剤は、糸曳きが少なくなり、耐熱性及び熱安定性に優れ、広い温度領域で優れた接着強度を維持することができるとされている(段落[0013])。
特表2015−534593号公報 特許第5789382号公報
しかしながら、内容物として酒や栄養ドリンク、65℃以上の高温物等を封緘等する場合には、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体を主成分としたホットメルト接着剤では、上記内容物の影響によりホットメルト接着剤の硬化物が軟化し、剥離等の現象が生じることにより、接着性の低下が発生することがある。
特許文献1には、ホットメルト接着剤を塗布硬化した後、65℃以上の高温環境下での耐熱性を有するか否かについては言及がなく、65℃以上の高温内容物を封緘する場合、上記した剥離等の問題が発生する可能性がある。また、非相溶性成分による糸曳き性の改善がなされていないため、糸状物発生によるトラブルが発生するという問題がある。
一方、引用文献2においては、糸曳き性の問題に関しては改善が認められるものの、ホットメルト接着剤を塗布硬化した後、65℃以上の高温環境下において接着性が維持できるか否かについては言及がなく、耐熱性が十分ではないという問題がある。
また、ホットメルト接着剤は、一般的に130〜190℃程度まで加熱した状態でタンク内に貯蔵され、タンクから必要量だけノズルに送り吐出される様になっており、貯蔵時における熱安定性が悪いと、タンク内で長時間加熱された保存状況下では、ゲル化/炭化してホットメルトアプリケーターの詰まりを起こしたり、塗布不良を招いたりするという問題がある。特許文献2には、こうした貯蔵時の熱安定性についても1週間しか検討されておらず、長期熱安定性については十分ではないという問題がある。
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、糸曳き性の問題が改善された上で、塗布硬化前の熱安定性に優れ、さらには、塗布硬化後においても広い温度域において、特に高温域において接着性が低下しにくく、高いクリープ性を維持できるホットメルト接着剤を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、共重合体成分、ワックス成分、及び粘着付与樹脂成分の組成を所定の範囲内とすることで、上記課題を解決できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のホットメルト接着剤を提供する。
項1.
(A)共重合体成分、(B)ワックス成分及び(C)粘着付与樹脂成分を含むホットメルト接着剤であって、
前記(A)は、(A1)官能化エチレン−α−オレフィン共重合体及び(A2)エチレン−カルボン酸エステル共重合体を少なくとも有し、
前記(A)100質量%中に、前記(A1)を23〜95質量%、前記(A2)を5〜20質量%含み、
前記(A)100質量部に対して、前記(B)を10〜62質量部、及び前記(C)を118〜165質量部含み、
前記(C)の環球式軟化点は120℃以上であることを特徴とする、ホットメルト接着剤。
項2.
前記(A)は、さらに(A3)エチレン−α−オレフィン共重合体を含む、項1に記載のホットメルト接着剤。
項3.
前記(A1)は、無水マレイン酸官能化エチレン−α−オレフィン共重合体を含む、項1又は2に記載のホットメルト接着剤。
項4.
前記(A)100質量部に対して、前記(B)を25〜50質量部含むことを特徴とする、項1〜3いずれかに記載のホットメルト接着剤。
項5.
紙製包装用資材の接着に使用する、項1〜4の何れかに記載のホットメルト接着剤。
本発明に係るホットメルト接着剤によれば、糸曳き性の問題が改善された上で、塗布硬化前の熱安定性に優れ、さらには、塗布硬化後においても広い温度域において、特に高温域において接着性が劣化しにくいホットメルト接着剤を提供することができる。
本発明に係るホットメルト接着剤は、(A)共重合体成分、(B)ワックス成分、及び(C)粘着付与樹脂成分を含む。
(A)共重合体成分
(A)共重合体成分は、少なくとも、(A1)官能化エチレン−α−オレフィン共重合体、及び(A2)エチレン−カルボン酸エステル共重合体を含む。
(A1)官能化エチレン−α−オレフィン共重合体
本発明のホットメルト接着剤に使用される官能化エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレン−α−オレフィン共重合体に官能基をグラフト重合させることにより得ることができる。
官能基を付与する化合物としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンなどが挙げられる。
官能化エチレン−α−オレフィン共重合体としては、無水マレイン酸官能化エチレン−1−オクテン共重合体が特に好ましい。無水マレイン酸官能化エチレン−1−オクテン共重合体を使用することにより、得られるホットメルト接着剤の塗布硬化後の耐熱接着性及び耐クリープ性が、良好となる。
本発明のホットメルト接着剤における官能化エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量は、(A)共重合体成分100質量%中に、23〜95質量%である。官能化エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量が23質量%よりも少ないと、ホットメルト接着剤の塗布硬化後の耐熱接着性及び耐熱クリープ性が十分に得られない。一方、官能化エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量が95質量%よりも多くなると、糸曳き性が低下するという問題がある。
また、高温での接着性及び高温でのクリープ性を維持できるようにするために、官能化エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量は、(A)共重合体成分100質量%中に、30〜95質量%とするのが好ましく、40〜95質量%とするのがより好ましく、50〜95質量%とすることがさらに好ましい。
官能化エチレン−α−オレフィン共重合体としては市販されている製品を用いる事ができる。かかる製品として、例えば、ダウケミカル社から販売されている以下の製品などが挙げられる。
商品名「アフィニティ GA1000R」
(A2)エチレン−カルボン酸エステル共重合体
エチレン−カルボン酸エステル共重合体としては、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2エチルヘキシル、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。これらの中でも、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体が好ましい。
エチレン−カルボン酸エステル共重合体のメルトインデックス(Melt Index;以下、単にMIともいう。)は180g/10分以下が好ましく、100g/10分以下がより好ましい。エチレン−カルボン酸エステル共重合体のMIが上記範囲内であることにより、糸曳き性の問題がより解消されたホットメルト接着剤を提供できる。
尚、本明細書において、各共重合体のメルトインデックスとは、JIS K7120に準拠して、温度190℃、荷重21.18Nの条件にて測定された値と定義される。
本発明のホットメルト接着剤において、(A)共重合体成分100質量%中におけるエチレン−カルボン酸エステルの含有量は、5〜20質量%である。エチレン−カルボン酸エステル共重合体の含有量が5質量%よりも少ない場合、得られるホットメルト接着剤の糸曳き性に関する問題が解決できない。一方で、エチレン−カルボン酸エステル共重合体の含有量が20質量%よりも多くなると、得られるホットメルト接着剤の溶融粘度が上昇し、熱安定性が低下する。
但し、長期的に加熱安定性を維持させ、かつ低糸曳き性を発現させるために、(A)共重合体成分100質量%中の、エチレン−カルボン酸エステルの含有量は、6〜19質量%とすることが好ましく、7〜17質量%とすることがより好ましい。
エチレン−カルボン酸エステル共重合体としては市販されている製品を用いる事ができる。かかる製品として、例えば、以下の製品などが挙げられる。
アルケマ社製 商品名「ロトリル 35BA40」(アクリル酸ブチル含有量35重量%)
アルケマ社製 商品名「ロトリル 28BA175」(アクリル酸ブチル含有量28重量%)
住友化学社製 商品名「アクリフトCM5023」(メタクリル酸メチル含有量28重量%)
(A3)エチレン−α−オレフィン共重合体
本発明のホットメルト接着剤は、(A)共重合体成分として、さらに、エチレン−α−オレフィン共重合体を含んでもよい。
かかるエチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンなどが挙げられる。α−オレフィンの炭素数は3〜20が好ましく、6〜8がより好ましい。
中でも、エチレン−α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン−1−オクテン共重合体が特に好ましい。エチレン−1−オクテン共重合体を使用することにより、凝集力が高く、接着性に優れたホットメルト接着剤を提供する事ができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量は、(A)共重合体成分100質量%中に、0〜70質量%とするのが好ましく、20〜65質量%とするのがより好ましく、40〜60質量%とするのがさらにより好ましい。
エチレン−1−オクテン共重合体としては市販されている製品を用いる事ができる。かかる製品として、例えば、ダウケミカル社から販売されている以下の製品などが挙げられる。
商品名「アフィニティ GA1950」
商品名「アフィニティ GA1900」
商品名「アフィニティ GA1875」
(B)ワックス成分
ワックス成分としては、ホットメルト接着剤の製造に使用される公知のワックス成分を、広く使用することが可能である。具体的には、フィッシャートロプシュワックス、及びポリエチレンワックスなどの合成ワックス、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックスが挙げられる。ワックスは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、フィッシャートロプシュワックスが好ましい。
フィッシャートロプシュワックスを始めとして、上記例示したワックスは、エチレン−α−オレフィン共重合体との相溶性が良く、耐寒接着性低下を低減する事ができる。
ワックスの融点は、100〜120℃が好ましい。融点が100℃以上のワックスを採用することにより、ホットメルト接着剤の塗布硬化後の、高温環境下での接着性を向上させることができる。一方、融点が120℃以下のワックスを採用することにより、溶融速度が早くなり塗工までの時間を短縮させるという効果を得ることができる。
本発明のホットメルト接着剤における(B)ワックス成分の含有量は、(A)共重合体成分100質量部に対して、(B)ワックス成分が10〜62質量部である。ワックス成分が10質量部に満たない場合、接着剤の硬化速度が遅くなり塗工性が低下し、高速ラインに適さなくなる。一方、ワックス成分が62質量部よりも多くなると、硬化後のホットメルト接着剤の耐熱性が不十分となる。また、低温での接着性能を発現させために、(A)共重合体成分100質量部に対する(B)ワックス成分の含有量は、25〜50質量部とすることが好ましく、28〜45質量部とすることがより好ましい。
なお本明細書において、ワックスの融点は、下記測定条件に基づき、示差走査熱量測定(DSC)を用いて、ワックスを30〜150℃まで加熱速度5℃/分で昇温した時の吸熱ピークの温度とする。
<測定条件>
示差走査熱量計:島津製作所製 「DSC−60」
セル:アルミニウム
雰囲気ガス:空気
測定温度:30〜150℃
加熱速度:5℃/分
フィッシャートロプシュワックスとしては市販されている製品を用いる事ができる。かかる製品として、例えば、以下の製品などが挙げられる。
Shell MDS (M) Sdn Bhd社製 商品名「GTL SARAWAX SX−105」(融点=102℃)
サゾール社製 商品名「 サゾールワックスH1」(融点=108℃)
(C)粘着付与樹脂成分
(C)粘着付与樹脂の具体例としては、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、1種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
中でも、石油樹脂及びその水素添加物が好ましく、石油樹脂の水素添加物が特に好ましい。石油樹脂としては、脂肪族系石油炭化水素樹脂、芳香族石油炭化水素樹脂、及び環状脂肪族系石油炭化水素などが挙げられる。石油樹脂及びその水素添加物は、エチレン−α−オレフィン共重合体との相溶性に優れ、これによりホットメルト接着剤の接着性及び加熱安定性を向上させる事ができる。
本発明のホットメルト接着剤に含まれる(C)粘着付与樹脂成分の環球式軟化点は、120℃以上である。環球式軟化点がこれよりも低いと、ホットメルト接着剤を塗布硬化した後、高温環境下における接着性や耐クリープ性が不十分となる。一方、環球式軟化点の上限値は、塗工時の溶融速度が遅くならないようにするために、150℃以下とすることが好ましく、130℃以下とすることがより好ましい。
粘着付与樹脂成分の含有量は、(A)共重合体成分100質量部に対して、118〜165質量部である。上記粘着付与樹脂成分の含有量は、125〜155質量部が好ましい。粘着付与樹脂成分が118質量部よりも少ないと、ホットメルト接着剤の耐熱性が低下してしまう。逆に165質量部よりも多いと、ホットメルト接着剤の耐寒性の低下や加熱安定性の低下をきたす。
本明細書において、粘着付与樹脂成分の環球式軟化点は、JIS K6863(又はJIS K2207)に準拠して測定された値と定義する。(測定法としてグリセリン浴中に試料を充てんした環を水平に支え、試料中央に置いた球が底板に触れたときの温度を測定する。)ここで、粘着付与樹脂成分としての石油樹脂としては市販されている製品を用いる事ができる。かかる製品として、例えば、以下の製品などが挙げられる。
・脂肪族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の部分水添石油炭化水素樹脂
出光興産製 商品名「アイマーブS−125」(軟化点=125℃)
・脂肪族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油炭化水素樹脂
出光興産製 商品名「アイマーブP−125」(軟化点=125℃)
東燃ゼネラル石油製 商品名「T−REZ HB125」(軟化点=125℃)
・脂肪族系石油炭化水素樹脂の完全水添石油炭化水素樹脂
イーストマンケミカル社製 商品名「イーストタックH−130W」(軟化点=130℃)
・芳香族石油炭化水素樹脂の完全水添石油炭化水素樹脂
荒川化学製 「アルコンP−125」(軟化点=125℃)
酸化防止剤
本発明のホットメルト接着剤は、さらに酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤を用いる事により、加熱溶融させたホットメルトの保存安定性を向上させる事ができる。
かかる酸化防止剤としては、ホットメルト接着剤に使用される公知の酸化防止剤を広く使用することができ、特に限定はない。具体的には、ヒンダートフェノール系酸化防止剤、及びホスファイト系酸化防止剤などを挙げることができる。酸化防止剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
その他
また、本発明のホットメルト接着剤は、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、軟化剤(可塑剤)、プロセスオイル、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤が含んでいてもよい。
ホットメルト接着剤の製造方法
本発明のホットメルト接着剤の製造方法としては、例えば、(A)共重合体成分、(B)ワックス成分、(C)粘着付与樹脂成分、及び必要に応じて酸化防止剤や各種の添加剤を所定量ずつ配合して120〜180℃で加熱溶融して均一に攪拌混練する製造方法を挙げることができる。
ホットメルト接着剤の塗工方法
ホットメルト接着剤の塗工方法としては、公知の方法を広く採用することができる。例えば、ホットメルト接着剤を溶融タンク内で130〜190℃で加熱溶融させた後、溶融タンクからホースを介してノズルへ送り、ノズルから連続的又は間欠的に吐出させて被接着物の接着面に塗工する方法などが用いられる。本発明のホットメルト接着剤は、上述した通り、糸曳きが高く低減されており、環境温度が5℃においても良好な低糸曳き性を有する。
ホットメルト接着剤の用途
本発明のホットメルト接着剤は、包装、製本、木工、繊維加工、金属工業、電気、電子工業など広い範囲の用途に使用する事ができ、種々の被着体を接着する事ができる。段ボール箱、紙製箱、段ボール製容器、紙製容器などの紙製包装用資材を形成するために好適に用いる事ができる。被着体を構成する材料としては、例えば、鉄、アルミニウムなどの金属及びその合金;ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリメタクリレート、及びポリカーボネートなどの合成樹脂;セルロース系材料;皮革などが挙げられる。セルロース系材料からなる被着体としては、例えば、紙、ボード、ダンボール、及びセロハンなどが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
(A1):官能化エチレン−α−オレフィン共重合体
・無水マレイン酸官能化エチレン−1−オクテン共重合体B:ダウケミカル社製 商品名「アフィニティ GA1000R」
(A2):エチレン−カルボン酸エステル共重合体
・エチレン−アクリル酸ブチル共重合体C1:アルケマ社製 商品名「ロトリル 35BA40」(アクリル酸ブチル含有量35重量%、MI=40g/10分)
(A3):エチレン−α−オレフィン共重合体
・エチレン−1−オクテン共重合体:ダウケミカル社製 商品名「アフィニティ GA1950」
(B):ワックス
・Shell MDS (M) Sdn Bhd社製 商品名「GTL SARAWAX SX−105」(融点=102℃)
(C):粘着付与樹脂
・脂肪族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油炭化水素樹脂C1:出光興産製 商品名「アイマーブP−125」(軟化点=125℃)
・脂肪族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油炭化水素樹脂C2:出光興産製 商品名「アイマーブP−100」(軟化点=100℃)
(D):酸化防止剤
・ヒンダートフェノール型:EVERSPRING CHEMICAL社製 商品名「EVERNOX−10」
(実施例1〜12、比較例1〜8)
上記した各成分を、後述する表1〜5に示した組成で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入した後、180℃で1時間に亘って加熱しながら混練する事により、ホットメルト接着剤組成物を得た。各実施例及び比較例のホットメルト接着剤について、溶融粘度、塗布硬化後の各温度環境下における接着性、耐熱クリープ性、糸曳き性及び熱安定性を以下の手順に従い評価した。
(溶融粘度評価試験)
日本接着剤工業会規格 JAI−7に準拠して、ブルックフィールドRVF型粘度計及びサーモセルを用いて、No.21スピンドル、回転数20rpmにて、180℃におけるホットメルト接着剤の溶融粘度(mPa・s)をそれぞれ測定した。
(塗布硬化後の各温度環境下における接着性試験)
日本接着剤工業会規格 JAI−7に準拠して、50mm×100mmに裁断したダンボール(Kライナー)2枚を被着体として用意した。塗工装置(メック社製 製品名「ASM−15N」)を用いて、溶融タンク180℃、ノズル温度180℃、塗布量3g/mで一方の被着体の片面にホットメルト接着剤を塗布し、オープンタイムとして2秒経過後、もう一方の被着体を積層し、7.8kPaの荷重で2秒間プレスして積層体を得た。その後、その積層体を温度20℃、相対湿度50%に雰囲気下で1時間養生したもの試験片とした。
試験片を−10、60、70℃の恒温槽内に24時間放置後、同恒温槽内にて、試験片中の一方の被着体を手で剥がし、被着体の材破率(%)を算出した。なお、被着体の材破率とは、2枚の被着体同士が接着している面全体の面積に対する、被着体が破壊した部分の面積の比率(百分率)とした。
評価基準
◎…材料破壊率80%以上
○…材料破壊率60%以上80%未満
△…材料破壊率40%以上60%未満
×…材料破壊率40%未満
(耐熱クリープ性評価試験)
耐寒性と同様の要領に従って試験片を作製した。試験片の一方の端部において、2枚の被着体をそれぞれ反対側の方向に折り曲げ、T字状の試験片を得た。T字状の試験片を60、65、70℃の恒温槽中に入れ、一方の折り曲げた被着体の端部を恒温槽天井に固定し、もう一方の折り曲げた被着体の端部に600gfの錘を吊り下げ後、錘を吊り下げてから落下するまでの時間を計測した。
評価基準
◎…保持時間8時間以上保持
○…保持時間5時間以上8時間未満
△…保持時間2時間以上5時間未満
×…保持時間2時間未満
(糸曳き性評価試験)
ホットメルトノズルの先端から距離20cmの所に被着体を垂直に配置し、その間の落下物を捕獲するための板状の受け皿を設置する。20℃の無風雰囲気下、下記条件で交流電源シーケンサーを用いて、ホットメルト接着剤を600ショット/10分の条件で間欠吐出し、受け皿上に溜まった落下物の形状を目視にて観察し、糸曳き性を評価した。なお、5℃無風雰囲気下でも20℃の無風雰囲気下と同様の要領で評価した。
測定条件
ホットメルトアプリケーター:ノードソン社製 製品名「Problue4」
温度設定:溶融タンク180℃、ホース温度180℃、ノズル温度180℃
吐出圧 :3.0bar
ノズル形状:3オリフィス(3穴)、口径18/1000インチ
評価基準
◎…落下物の形状は粒状
○…落下物の形状はほとんど粒状で、糸状がわずかに混在
△…落下物の形状は粒状と糸状が混在
×…落下物の形状は糸状
(熱安定性評価試験)
得られた各ホットメルト接着剤をそれぞれ内容積140ccのガラス瓶に50g計量して入れ、ガラス瓶の開口部をアルミホイルで蓋をした状態で180℃の恒温槽に1、2、3週間の各条件で保管した後、ガラス瓶を恒温槽から取り出して、ガラス瓶の縁に炭化物がリング状に付着していないか、ガラス瓶内のホットメルト接着剤の表面に炭化物の皮が張っていないかを確認した。
評価基準
◎…炭化物なし
○…炭化物わずかにあり
△…炭化物あり
×…炭化物が多量にあり
Figure 2019034999
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(各種評価試験結果)
表1〜5に示したように、各実施例のホットメルト接着剤は、糸曳き性の問題が改善された上で、塗布硬化前の熱安定性に優れ、さらには、塗布硬化後においても広い温度域において良好な接着性を示すことが確認された。

Claims (5)

  1. (A)共重合体成分、(B)ワックス成分及び(C)粘着付与樹脂成分を含むホットメルト接着剤であって、
    前記(A)は、(A1)官能化エチレン−α−オレフィン共重合体及び(A2)エチレン−カルボン酸エステル共重合体を少なくとも有し、
    前記(A)100質量%中に、前記(A1)を23〜95質量%、前記(A2)を5〜20質量%含み、
    前記(A)100質量部に対して、前記(B)を10〜62質量部、及び前記(C)を118〜165質量部含み、
    前記(C)の環球式軟化点は120℃以上であることを特徴とする、ホットメルト接着剤。
  2. 前記(A)は、さらに(A3)エチレン−α−オレフィン共重合体を含む、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
  3. 前記(A1)は、無水マレイン酸官能化エチレン−α−オレフィン共重合体を含む、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤。
  4. 前記(A)100質量部に対して、前記(B)を25〜50質量部含むことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
  5. 紙製包装資材用である、請求項1〜4の何れか1項に記載のホットメルト接着剤。
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