JP6227422B2 - ホットメルト接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、糸曳きやフックの発生が高く低減されており、塗工温度が低温であっても塗工が可能なホットメルト接着剤に関する。
ホットメルト接着剤は、溶剤を含有せず且つ高速接着が可能であることから、包装、製本、合板、及び木工などの広い分野において使用されている。ホットメルト接着剤は、加熱溶融させて塗工ノズルから吐出させることにより被着体に塗工した後に、冷却硬化させることによって優れた接着性を発現する。
しかしながら、ホットメルト接着剤の塗工時に、吐出されたホットメルト接着剤が塗工ノズルから被着体までの間で糸状に伸びて、いわゆる「糸曳き」を発生し易い。発生した糸曳きは、周辺機器を汚したり、製品に付着して外観を低下させたりするなどの問題を招く。
そこで、従来から、ホットメルト接着剤の糸曳きの発生を低減させるために種々の検討が行われている。例えば、特許文献1〜3では、エチレン−α−オレフィン共重合体を含むベース樹脂、及びこのベース樹脂に非相溶な樹脂を含むホットメルト接着剤が開示されている。ベース樹脂に非相溶な樹脂としては、特許文献1及び2ではエチレン−酢酸ビニル共重合体が開示されており、特許文献3では不飽和ポリカルボン酸などで変性されたポリオレフィンが開示されている。
一方、優れた接着性を有するホットメルト接着剤を得るためには、分子量が大きい、すなわちメルトインデックスが小さいエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる必要がある。分子量が小さく、メルトインデックスが大きいエチレン−α−オレフィン共重合体は、高温時に凝集力が不足して十分な接着性を確保することが困難となるからである。したがって、特許文献1〜3では、エチレン−α−オレフィン共重合体について広範囲なメルトインデックスが開示されているものの、実際にはメルトインデックスが小さいエチレン−α−オレフィン共重合体しか使用することができない。事実、いずれの特許文献においても、実施例で使用されているエチレン−1−オクテン共重合体は、メルトインデックスが500g/10分と小さいもののみが使用されている。
そして、特許文献1〜3のホットメルト接着剤ではベース樹脂に対して非相溶な樹脂が用いられており、この非相溶樹脂は溶融状態のホットメルト接着剤中においてコロイド粒子として存在する。これにより、塗工時のホットメルト接着剤の糸状物を切れ易くして、糸曳きの発生を抑制している。
特開2006−188580号公報 特開2007−51235号公報 特開2008−214539号公報
しかしながら、従来のホットメルト接着剤では、糸曳きの発生が十分に低減することができていなかった。そのため、塗工温度を130〜150℃の低温に設定した場合には、ホットメルト接着剤が糸曳きを発生したり、糸状に伸びたホットメルト接着剤がその途中で切れてノズル側に吸収されて「フック」と呼ばれる凝集物を発生したりする問題が生じる。発生したフックは、次のホットメルト接着剤の吐出の妨げとなったり、製品中に異物として混入して製品の品質を低下させたりする。
したがって、従来のホットメルト接着剤を塗工する際には、塗工温度を160〜185℃と高温に設定しなければならなかった。しかしながら、ホットメルト接着剤の塗工温度が高温であると、電気使用量が増大する他、タンク内でホットメルト接着剤の熱劣化が促進されて炭化物や接着不良が発生したりするため、溶融させたホットメルト接着剤をタンク内で長時間に亘って保存することができない。
ゆえに、本発明は、糸曳きやフックの発生が高く低減されており、塗工温度が130〜150℃の低温であっても塗工が可能なホットメルト接着剤を提供することを目的とする。
本発明のホットメルト接着剤は、メルトインデックスが950g/10分以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部、粘着付与樹脂90〜150重量部、及び融点が70〜90℃であるワックス50〜100重量部を含むことを特徴とする。
ホットメルト接着剤の糸曳きやフックの発生は、ベース樹脂であるエチレン−α−オレフィン共重合体や粘着付与樹脂などの高分子鎖の絡み合いが一因であると考えられる。すなわち、高分子鎖の絡み合いが生じることで、ノズルからの吐出時に溶融させたホットメルト接着剤が糸状に伸長するようになり、糸曳きやフックを発生すると考えられる。
一方、優れた接着性を有するホットメルト接着剤を得るためには、上述した通り、分子量が大きく、メルトインデックスが小さいエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる必要がある。しかしながら、本発明のホットメルト接着剤では、このような知見に反して、メルトインデックスが高いエチレン−α−オレフィン共重合体を使用することで、エチレン−α−オレフィン共重合体や粘着付与樹脂の高分子鎖の絡み合いを抑制して、糸曳きやフックの発生を高く低減させることを可能とした。
さらに、本発明では、融点が70〜90℃であるワックスを用いることにより、メルトインデックスが高いエチレン−α−オレフィン共重合体による糸曳きやフックの発生の低減効果を阻害することなく、ホットメルト接着剤に優れた接着性を付与している。
したがって、本発明によれば、糸曳きやフックの発生が高く低減されており、130〜150℃と低い塗工温度であっても塗工が可能なホットメルト接着剤を提供することが可能となる。さらに、本発明のホットメルト接着剤は、ベース樹脂としてメルトインデックスが高いエチレン−α−オレフィン共重合体を用いているにも関わらず、接着性の低下が抑制されており、優れた接着性を呈することができる。
また、本発明のホットメルト接着剤は、130〜150℃と低温な塗工温度であっても、溶融粘度が低く、塗工後の温度の低下に伴って急激に硬化せずに緩やかに硬化することができる。したがって、本発明のホットメルト接着剤を塗工してからケーサー内で被接着体同士を貼り合わせるまでの設定時間が長くなったとしても、十分な接着強度で被接着体同士を接着一体化することができる。
以下に、本発明のホットメルト接着剤について順を追って説明する。
(エチレン−α−オレフィン共重合体)
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンなどが挙げられる。α−オレフィンの炭素数は、3〜20が好ましく、6〜8がより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン−1−オクテン共重合体が特に好ましい。エチレン−1−オクテン共重合体によれば、凝集力が高く、接着性に優れるホットメルト接着剤を提供することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトインデックス(MI)は、950g/10分以上に限定され、950〜1500g/10分が好ましく、1000〜1400g/10分がより好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体のMIが低過ぎると、ホットメルト接着剤の糸曳きやフックの発生を十分に低減できない虞れがある。また、エチレン−α−オレフィン共重合体のMIが高過ぎると、ホットメルト接着剤の凝集力が低下して高温時の接着性が低下したり、耐クリープ性が低下したりする虞れがある。
なお、本発明において、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトインデックスとは、JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重21.18Nの条件にて測定された値を意味する。
(粘着付与樹脂)
粘着付与樹脂としては、石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
粘着付与樹脂としては、石油樹脂が好ましい。石油樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族成分と芳香族成分との共重合石油樹脂、脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂、脂環族系成分と脂肪族成分との共重合石油樹脂、及び、これらの水添石油樹脂などが挙げられる。なかでも、石油樹脂としては、水添石油樹脂が好ましく、脂肪族系石油樹脂の水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂の水添石油樹脂、脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の水添石油樹脂がより好ましい。これらの石油樹脂は、ベース樹脂であるエチレン−α−オレフィン共重合体との相溶性が良く、ケーサー内で被接着体同士を貼り合わせるまでの設定時間が長くなったとしても、十分な接着強度で被接着体同士を接着一体化することができるホットメルト接着剤を提供することができる。
脂肪族系石油樹脂とはC5系石油樹脂をいう。C5系石油樹脂とは、ナフサの熱分解によって副生されたC5留分を重合して得られる樹脂をいう。C5留分としては、例えば、イソプレン、トランス−1,3−ペンタジエン、シス−1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンなどの炭素数4〜6の共役ジエン類;ブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、シクロペンテンなどの炭素数4〜6のオレフィンなどが挙げられる。又、脂肪族系石油樹脂は、マレイン酸などのカルボン酸、無水マレイン酸などの酸無水物で変性されていてもよい。
脂環族系石油樹脂とは、C5留分からシクロペンタジエン留分を抽出し、得られたシクロペンタジエン留分から得られるジシクロペンタジエン類を含む留分を重合して得られる樹脂をいう。ジシクロペンタジエン類としては、特に限定されず、例えば、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン及びこれらの誘導体などが挙げられる。なお、脂環族系石油樹脂は、マレイン酸などのカルボン酸、無水マレイン酸などの酸無水物で変性されていてもよい。
芳香族系石油樹脂とはC9系石油樹脂をいう。C9系石油樹脂とは、ナフサの熱分解によって副生されたC9留分を重合して得られる樹脂をいう。なお、芳香族石油樹脂の物性を損なわない範囲内において、C9留分にフェノール類が含有されていてもよい。芳香族系石油樹脂は、マレイン酸などのカルボン酸、無水マレイン酸などの酸無水物で変性されていてもよい。
C9留分としては、例えば、スチレン、そのアルキル誘導体であるα−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン及びそのアルキル誘導体等に代表される炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素類;ジシクロペンタジエン及びその誘導体等に代表される環状不飽和炭化水素類;その他炭素数10以上のオレフィン類、炭素数9以上の飽和芳香族類等が挙げられる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール,p−オクチルフェノール,ノニルフェノールなどのアルキル置換フェノール類などの分子中にフェノール性水酸基を有する、炭素数が6〜20のフェノール類などが挙げられる。
脂肪族成分と芳香族成分との共重合石油樹脂、脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂、及び、脂環族系成分と脂肪族成分との共重合石油樹脂において、脂肪族成分とは上記C5留分をいい、芳香族成分とは上記C9留分をいい、脂環族系成分とは、C5留分からシクロペンタジエン留分を抽出し、得られたシクロペンタジエン留分から得られるジシクロペンタジエン類を含む留分をいう。なお、脂肪族成分と芳香族成分との共重合石油樹脂、脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂、及び、脂環族系成分と脂肪族成分との共重合石油樹脂は、マレイン酸などのカルボン酸、無水マレイン酸などの酸無水物で変性されていてもよい。
石油樹脂の臭素価は、10g/100g以下が好ましく、7g/100g以下がより好ましく、5g/100g以下が特に好ましい。臭素価が高過ぎる石油樹脂は、ベース樹脂であるエチレン−α−オレフィン共重合体との相溶性が悪く、ホットメルト接着剤の加熱安定性や接着性を低下させる虞れがある。なお、本発明において、石油樹脂の臭素価は、JIS K2605に準拠して測定された値とする。
石油樹脂の軟化点は、80〜150℃が好ましく、90〜130℃がより好ましく、105〜130℃が特に好ましい。石油樹脂の軟化点が低過ぎると、ホットメルト接着剤の凝集力が不足して接着性や耐クリープ性が低下する虞れがある。また、石油樹脂の軟化点が高過ぎると、硬化後にホットメルト接着剤が硬くて脆い硬化物となって接着力が低下する虞れがある。
なお、本発明において石油樹脂の軟化点とは、JIS K2207に準拠して測定された値とする。
水添石油樹脂としては、市販品を用いることもできる。例えば、脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の部分水添石油樹脂としては、出光興産社製 商品名「アイマーブ(imarv)S−100(軟化点:100℃)」、及び「アイマーブ(imarv)S−110(軟化点:110℃)」などが挙げられる。また、脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油樹脂としては、出光興産社製 商品名「アイマーブ(imarv)P−90(軟化点:90℃)」、「アイマーブ(imarv)P−100(軟化点:100℃)」、「アイマーブ(imarv)P−125(軟化点:125℃)」、及び「アイマーブ(imarv)P−140(軟化点:140℃)」などが挙げられる。脂肪族系石油樹脂の完全水添石油樹脂としては、イーストマンケミカル社製 商品名「イーストタックH−130W(軟化点:130℃)」などが挙げられる。芳香族系石油樹脂の部分水添石油樹脂としては、荒川化学社製 商品名「アルコンM−100(軟化点:100℃)」などが挙げられる。芳香族系石油樹脂の完全水添石油樹脂としては、荒川化学社製 商品名「アルコンP−100(軟化点:100℃)」、「アルコンP−125(軟化点:125℃)」などが挙げられる。
本発明のホットメルト接着剤中における粘着付与樹脂の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、90〜150重量部に限定されるが、90〜120重量部が好ましい。石油樹脂の含有量が低過ぎると、溶融状態のホットメルト接着剤の粘度が高くなり過ぎて、糸曳きやフックが発生する虞れがあり、又、高温接着力が低下する虞れがある。また、石油樹脂の含有量が高過ぎると、硬化後のホットメルト接着剤が脆くなって、低温接着力が低下する虞れがある。
(ワックス)
ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックス、及びポリエチレンワックスなどの合成ワックス、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス等が挙げられる。ワックスは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、フィッシャートロプシュワックス、及びパラフィンワックスが好ましい。これらのワックスは、エチレン−α−オレフィン共重合体との相溶性が良く、ホットメルト接着剤の糸曳きやフックの発生を低減することができる。
ワックスの融点は、70〜90℃に限定されるが、70〜85℃が好ましい。ワックスの融点が低過ぎると、ホットメルト接着剤の凝集力が低下して高温時の接着性が低下する虞れがある。また、ワックスの融点が高過ぎると、特に低温での塗工時にノズルから被着体間でホットメルト接着剤に含まれているワックスが早期に分離・固化しやすくなり、フックの発生が増加したり、オープンタイムが短くなったりする虞れがある。
なお、本発明において、ワックスの融点とは、下記測定条件に基づき、示差走査熱量計を用いて、ワックスを30℃から150℃まで加熱速度5℃/分で昇温した時の吸熱ピークの温度とする。
<測定条件>
示差走査熱量計:島津製作所製 示差走査熱量計 DSC−60
セル:アルミニウム
雰囲気ガス:空気
測定温度:30〜150℃
加熱速度:5℃/分
本発明のホットメルト接着剤中におけるワックスの含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、50〜100重量部に限定されるが、70〜90重量部が好ましい。ワックスの含有量が低過ぎると、溶融状態のホットメルト接着剤の粘度が高くなり過ぎて、糸曳きやフックが発生する虞れがある。さらに、ワックスの含有量が低過ぎると、ホットメルト接着剤の硬化速度が遅くなったり耐熱性能が低下したりする場合もある。一方、ワックスの含有量が高過ぎると、硬化後のホットメルト接着剤が脆くなって、接着力が低下する恐れがある。
(酸化防止剤)
本発明のホットメルト接着剤は、酸化防止剤をさらに含んでいることが好ましい。酸化防止剤を用いることにより、加熱溶融させたホットメルト接着剤の保存安定性を向上させることができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びホスファイト系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。ホットメルト接着剤中における酸化防止剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
また、ホットメルト接着剤は、充填剤、増量剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、軟化剤(可塑剤)、プロセスオイル、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、及び帯電防止剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。
ホットメルト接着剤の製造方法としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、粘着付与樹脂、及びワックスなどの各成分を、120〜190℃で加熱溶融させ、均一に撹拌混練する方法などが挙げられる。本発明のホットメルト接着剤は、低温であっても粘度が低く、各成分を十分に溶融混練することができる。したがって、各成分を120〜150℃、特に130〜150℃で加熱溶融させることが好ましい。
ホットメルト接着剤の塗工方法としては、従来公知の方法が好ましく用いられる。例えば、ホットメルト接着剤を溶融タンク内で120〜190℃で加熱溶融させた後、溶融タンクからホースを介してノズルへ送り、ノズルから連続的又は間欠的に吐出させて被接着物の接着面に塗工する方法などが用いられる。本発明のホットメルト接着剤は、上述した通り、糸曳きやフックの発生が高く低減されており、塗工温度が低温であっても塗工することができる。したがって、溶融タンク内のホットメルト接着剤の加熱溶融温度は、120〜150℃が好ましく、130〜150℃がより好ましい。また、ホースやノズルの温度も、120〜190℃が好ましく、120〜150℃がより好ましく、130〜150℃が特に好ましい。
本発明のホットメルト接着剤は、包装、製本、繊維加工、金属工業、電気、電子工業など広い範囲の用途に使用することができ、種々の被着体を接着することができる。被着体を構成する材料としては、例えば、鉄、アルミニウムなどの金属及びその合金;ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリメタクリレート、及びポリカーボネートなどの合成樹脂;セルロース系材料;皮革などが挙げられる。セルロース系材料からなる被着体としては、例えば、紙、ボード、段ボール、及びセロハンなどが挙げられる。
本発明のホットメルト接着剤は、糸曳きやフックの発生が高く低減されていることから、低温の塗工温度であっても塗工することができ、電気使用量の低減や、溶融タンク内でのホットメルト接着剤の熱劣化を高く抑制することが可能となる。さらに、低温の塗工温度であっても、塗工後に溶融状態のホットメルト接着剤が急激に硬化せずに緩やかに硬化するため、ケーサー内で被接着体同士を貼り合わせるまでの設定時間が長くなっても、被接着物同士を優れた接着強度で接着一体化することも可能となる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1〜及び比較例1〜
エチレン−1−オクテン共重合体A1(メルトインデックス:1250g/10分、ダウケミカル社製 商品名「アフィニティ GA1875」)、エチレン−1−オクテン共重合体A2(メルトインデックス:1000g/10分、ダウケミカル社製 商品名「アフィニティ GA1900」)、エチレン−1−オクテン共重合体A3(メルトインデックス:500g/10分、ダウケミカル社製 商品名「アフィニティ GA1950」)、これらのエチレン−1−オクテン共重合体に対して非相溶樹脂としてエチレン−メタクリル酸共重合体(住友化学社製 商品名「アクリフト CM5021」)、粘着付与樹脂B1(脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油樹脂、臭素価2.5g/100g、軟化点125℃、出光興産社製 商品名「imarvP−125」)、粘着付与樹脂B2(脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の完全水添石油樹脂、臭素価2.5g/100g、軟化点100℃、出光興産社製 商品名「imarvP−100」)、粘着付与樹脂B3(芳香族系石油樹脂の完全水添石油樹脂、臭素価2.0g/100g、軟化点125℃、荒川化学社製 商品名「アルコンP−125」)、粘着付与樹脂B4(脂肪族系石油樹脂の完全水添石油樹脂、臭素価1.0g/100g、軟化点130℃、イーストマンケミカル社製 商品名「イーストタックH−130W」)、粘着付与樹脂B5(脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の部分水添石油樹脂、臭素価5.0g/100g、軟化点100℃、出光興産社製 商品名「imarvS−100」)、ワックスC1(融点71℃、パラフィンワックス、日本精蝋社製 商品名「SP0160」)、ワックスC2(融点80℃、フィッシャートロプシュワックス、サゾール社製 商品名「サゾールワックス C80」)、ワックスC3(融点57℃、パラフィンワックス、日本精蝋社製 商品名「Paraffin 135F」)、ワックスC4(融点98℃、フィッシャートロプシュワックス、サゾール社製 商品名「サゾールワックス H1」)、ワックスC5(融点102℃、フィッシャートロプシュワックス、日本精蝋社製 商品名「FT105」)、及び酸化防止剤(ヒンダードフェノール型、日本スペシャリティケミカルズ社製 EVERNOX 10)を、それぞれ表1に示した配合量で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入した後、130℃で1時間に亘って加熱しながら混練することにより、ホットメルト接着剤組成物を得た。
ホットメルト接着剤について、溶融粘度、糸曳き及びフックの発生、オープンタイム、セットタイム、及び接着性を、それぞれ以下の手順に従って評価した。結果を表1に示す。
(溶融粘度)
日本接着剤工業会規格 JAI−7に準拠して、ブルックフィールドRVF型粘度計及びサーモセルを用いて、No.21スピンドルにて、130℃及び150℃におけるホットメルト接着剤の溶融粘度(mPa・s)をそれぞれ測定した。
(糸曳き及びフックの発生)
ホットメルトガンと黒画用紙との距離を15mmとして、ホットメルトガンが黒画用紙に対して斜め上方となるように固定した後、以下の条件にて、ホットメルト接着剤を間欠塗工し、目視により糸曳き及びフックの発生状態を確認した。糸曳きの発生がなかったものを「○」とし、糸曳きの発生があったものを「×」として、表1の「糸曳きの発生」の欄に示した。また、フックの発生がなかったものを「○」とし、フックの発生があったものを「×」として、表1の「フックの発生」の欄に示した。
雰囲気温度:20℃
塗工装置 :ノードソン社製 商品名「Problue10」
溶融タンク温度:125℃
ホース温度 :130℃
ノズル温度 :135℃、
吐出エアー圧力:2.4bar
塗布サイクル:オフタイム3sec、オンタイム20msecのサイクルで20分間間欠塗布(400回吐出)
(オープンタイム)
日本接着剤工業会規格 JAI−7に準拠して、50mm×100mmに裁断したダンボール(Kライナー)2枚を被着体として用意した。塗工装置(メック社製 製品名「ホットメルトオープンタイムテスター ASM−15N」)を用いて、溶融タンク温度130℃、ノズル温度130℃、塗布速度7.5m/分、塗布面積50mm×100mm、塗布量0.02g/cmの条件で、一方の被着体の片面にホットメルト接着剤組成物を塗布し、オープンタイムとして所定時間経過した後、一方の被着体のホットメルト接着剤組成物を塗布した面上に他方の被着体を積層し、これらに2kgのプレス荷重を2秒間加えて接着させた後、20℃で30分間養生することにより、試験片を作製した。その後、試験片から一方の被着体をその長さ方向における一端部から他端部に向かって剥離して、材料破壊率が80%以上となる最長のオープンタイム(秒)を表1に記載した。なお、オープンタイムとは、一方の被着体の片面にホットメルト接着剤組成物を塗布した後、一方の被着体のホットメルト接着剤組成物を塗布した面上に他方の被着体を積層するまでの時間を示す。また、材料破壊率は、被着体同士の接着面全体の面積に対する、被着体が破壊した部分の面積の比率(百分率)とした。
(セットタイム)
日本接着剤工業会規格 JAI−7に準拠して、50mm×100mmに裁断したダンボール(Kライナー)2枚を被着体として用意した。塗工装置(メック社製 製品名「ホットメルトオープンタイムテスター ASM−15N」)を用いて、溶融タンク温度130℃、ノズル温度130℃、塗布速度7.5m/分、塗布面積50mm×100mm、塗布量0.02g/cmの条件で、一方の被着体の片面にホットメルト接着剤組成物を塗布し、2秒経過した後、一方の被着体のホットメルト接着剤組成物を塗布した面上に他方の被着体を積層し、これらに2kgのプレス荷重をセットタイムとして所定時間加えて接着させ、その直後に、試験片から一方の被着体をその長さ方向における一端部から他端部に向かって剥離して、材料破壊率が80%以上となる最短のセットタイム(秒)を表1に記載した。なお、セットタイムとは、貼り合わせた被着体にプレス荷重を加えている間の時間を示す。また、材料破壊率は、被着体同士の接着面全体の面積に対する、被着体が破壊した部分の面積の比率(百分率)とした。
(接着性[高温])
日本接着剤工業会規格 JAI−7に準拠して、50mm×100mmに裁断したダンボール(Kライナー)2枚を被着体として用意した。塗工装置(メック社製 製品名「ホットメルトオープンタイムテスター ASM−15N」)を用いて、溶融タンク温度130℃、ノズル温度130℃、塗布速度7.5m/分、塗布面積50mm×100mm、塗布量0.03g/cmの条件で、一方の被着体の片面にホットメルト接着剤組成物を塗布して、オープンタイムとして2秒経過した後、一方の被着体のホットメルト接着剤組成物を塗布した面上に他方の被着体を積層し、これらに2kgのプレス荷重を2秒間かけ接着させた後、20℃で12時間養生することにより、試験片を作製した。試験片を50℃の環境下に24時間放置した後、試験片から一方の被着体をその長さ方向における一端部から他端部に向かって剥離して、接着部の材料破壊率を上記オープンタイムの評価と同様の方法により測定した。
(接着性[低温])
上述した「接着性[高温]」において記載した手順と同様にして試験片を作製し、この試験片を−10℃の環境下に24時間放置した後、試験片から一方の被着体をその長さ方向における一端部から他端部に向かって剥離して、接着部の材料破壊率を上記オープンタイムの評価と同様の方法により測定した。
Figure 0006227422

Claims (3)

  1. メルトインデックスが950g/10分以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部、粘着付与樹脂90〜120重量部、及び融点が70〜90℃であるワックス50〜100重量部を含み、上記粘着付与樹脂は、脂環族系成分と芳香族成分との共重合石油樹脂の水添石油樹脂、又は、脂肪族系石油樹脂の水添石油樹脂を含み、上記石油樹脂の臭素価が2.5g/100g以下であることを特徴とするホットメルト接着剤。
  2. エチレン−α−オレフィン共重合体が、エチレン−1−オクテン共重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載のホットメルト接着剤。
  3. ワックスが、フィッシャートロプシュワックス及び/又はパラフィンワックスを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のホットメルト接着剤。
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