しかしながら、前記構成の従来の自動保管装置は、車両の下に潜り込ませたフォークの全体を持ち上げることにより車両を支持して床面から持ち上げ、また、床面に降ろすものであるから、車両の全幅以上の長さのフォークを必要としており、それだけフォーク自身の重量が加わって、フォーク基端部に大きな回転方向の荷重がかかることは避けられなかった。さらに、これらのフォークに加えて車両を一度に昇降させるためには、大がかりなリフト装置を必要としており、装置構成の大型化を招いていた。
加えて、車両を持ち上げるリフト構造に加えて車両を持ち上げた状態で移動させる車輪や駆動部などを備えた搬送台車は、重量が増すと共に大型化し、それだけ車両の移動に大きな動力を必要とするだけなく、大きな搬送装置が入るスペースを必要としており、それだけ車両を駐車できる間隔を開けざるを得なかった。
とりわけ、車幅と同程度あるいはそれ以上の長さを有するフォーク対を車両とフロアの間に挿入するためには、少なくともフォーク対の長さ以上離れた位置からフォーク対を車両側に移動させて差し込む必要が生じ、それだけ広い作業空間を必要としていた。
また、搬送装置による車両の搬送を効率的に行なうために、多数の搬送装置を用いることも考えられるが、大がかりなフォーク対を備えた搬送装置を複数設ける場合には、それだけコストがかかることは避けられなかった。このため、一台の搬送台車が車両を搬送しているときには、別の搬送装置が次の搬送対象となる車両を待機するように配置させることにより、車両の搬送を待ち時間無しに行なわせることが考えられるが、多くの搬送装置を用いるためには多大の設備費が必要となるという問題があった。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、装置構成を可能な限り簡素に形成して、小容量のアクチュエータを用いて車両を昇降させることを可能とする車両のリフト装置、縦列無人走行台車、搬送台車、車両縦列駐車システムおよび車両縦列駐車方法を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、第1発明は、タイヤの幅程度の長さを有する棒体からなり支持状態においてはタイヤの接地部の前後両側に各々当接してタイヤを支持する一対のアーム部と、このアーム部を基端部において縦軸中心に回動自在に支持する一対の回動支持部と、一方の回動支持部に先端部が連結されたロッドの進退駆動によってアーム部を前記支持状態から90度(尚、この明細書ではほぼ90度の場合を含む)回動させてタイヤから離間させた解放状態まで回動させる回動シリンダと、一方の回動支持部の回動を逆回転に変換して他方の回動支持部に伝達する回動伝達ギアと、前記アーム部を上下方向に昇降移動させる昇降シリンダとを備えることを特徴とする車両のリフト装置を提供する(請求項1)。
前記回動シリンダのロッドを進退駆動すると、これに伴って回動支持部を90度回転させることができ、一方のアーム部をタイヤの接地部の側面に当接させた支持状態からタイヤから完全に離間しリフト装置に沿う方向に収納させた解放状態に変位させることができると同時に、回動伝達ギアによって連動する多方の回転支持部を逆方向に回転させることができるので、多方のアーム部も支持状態から解放状態に変位させることができる。
上述のように、アーム部をタイヤから離間させた状態において、前記アーム部はリフト装置が配置される車両に沿う方向に直線状に収容できるので、車両のタイヤの位置に合せてリフト装置を配置するように、車両の側近の僅かな隙間にリフト装置を挿入することができる。次いで、タイヤの側近において必要最小限の力でタイヤを挟み込んで車両を支持し、車両を昇降させることが可能となる。リフト装置によって車両を持ち上げた状態では、リフト装置の位置を変えることにより、タイヤの方向を変えることも回転させることもなく車両の位置を変えることができる。
前記アーム部はタイヤの接地部の前後両側に各々当接することによりタイヤを挟み込んで支持するものであるから、タイヤの幅程度の長さを有し、タイヤを前後両側から挟み込んで支持することができる程度の強度を有する棒体であることにより、このアーム部の基端部にかかる回転力を必要最小限に抑えることができる。したがって、アーム部によるタイヤの挟み込みを可及的に省電力にて行なうことができる。
アーム部はそれ自体の重量を抑えるためにステンレスなど高い剛性を備える金属からなるパイプを用いることができる。アーム部を基端部において縦軸中心に回動自在に支持する一対の回動支持部は例えば回動自在に支持された縦軸を備えるものであることが好ましい。
前記回動シリンダは水平面において縦軸と離れた位置において回動支持部にロッド先端部が連結されたものであることが好ましく、少なくとも、ロッドの進退移動によって前記アーム部を前記支持状態から90°回動させてアーム部をタイヤから離間させた解放状態まで移動可能とするものであることが好ましい。回動シリンダの進退方向の力の強さは、前後一対のアーム部によってタイヤを挟み込んで車両の支持を行なうことができる程度以上の力を供給できるものである。また、回動シリンダは電気的に制御可能であると共に堅牢性に優れた電動シリンダであることが好ましい。
前記回動伝達ギアは一方のアーム部の回動に合せて多方のアーム部を逆方向に回動させるように連動させるように嵌合させたギアであって、偶数個の回動伝達ギアを直列に配置して噛合わせることにより、両端の回動伝達ギアの回転方向を逆方向に連動させることができるので、一対のアーム部を一つの回動シリンダによって回動させることができ、それだけ、小型化と簡素化を達成できる。直列に配置させた回動伝達ギアは回転力の確実な伝達を行なうだけでなく、リンク棒などによる伝達に比べて省スペースにて大きな回転力を伝達できる利点がある。
昇降シリンダはアーム部に連結されたロッドの伸縮によって、アーム部を昇降させるものであり、タイヤを支持するアーム部、回動支持部、回動シリンダ、回動伝達ギアなどの重量に加えて車両を昇降できる十分な力を得ることができるものである。とりわけ、本発明の場合、一つのタイヤの側近においてこのタイヤを持ち上げ支持するものであるから、車両全体の重量ではなく、各タイヤに分割してかかる車両の重量を支持し、これを昇降移動できる程度の力を供給すればよく、それだけアーム部の構成を簡素かつ小型に構成できる利点がある。
この昇降シリンダは、例えば、車両を床面に載置した状態から、完全に持ち上げた状態まで昇降移動可能であり、また、車両を台車などに乗せることができる中間位置まで高さ方向の位置が容易に制御できる電動シリンダであることが好ましい。加えて、電動シリンダは電力によって制御されるものであるから、油圧シリンダやエアシリンダを用いる場合のように圧力漏れの心配が無いため、粉塵の多い環境においても高い信頼性を得られるとともに軽量かつコンパクトに形成できる利点がある。
第2発明は、タイヤの幅程度の長さを有する棒体からなり支持状態においてはタイヤの接地部の前後両側に各々当接してタイヤを支持する一対のアーム部と、このアーム部を基端部において縦軸中心に回動自在に支持する一対の回動支持部と、一方の回動支持部に先端部が連結されたロッドの進退駆動によってアーム部を前記支持状態から90度(尚、この明細書ではほぼ90度の場合を含む)回動させてタイヤから離間させた解放状態まで回動させる回動シリンダと、一方の回動支持部の回動を逆回転に変換して他方の回動支持部に伝達する回動伝達ギアと、前記アーム部に連結するカムローラと、このカムローラが嵌合する斜め方向のカム溝が形成された摺動体と、この摺動体を摺動させることによりアーム部を上下方向に昇降移動させる昇降シリンダとを備えることを特徴とする車両のリフト装置を提供する(請求項2)。
前記車両のリフト装置は、一つの回動シリンダのロッドを進退駆動させることによって、回動伝達ギアおよび回動支持部を介して連動する二つのアーム部をタイヤの支持状態からから解放状態まで変位させことができる。前記解放状態においては、前記アーム部をリフト装置が配置される車両に沿う方向に直線状に収容し、車両の側近の僅かな隙間にリフト装置を挿入可能とし、前記支持状態においては、タイヤの側近において必要最小限の力でタイヤを挟み込んで車両を支持できる。
前記アーム部はタイヤの幅程度の長さを有し、タイヤを前後両側から挟み込んで支持することができる程度の強度を有する棒体であることにより、このアーム部の基端部にかかる回転力を必要最小限に抑え、タイヤの挟み込みを可及的に省電力に形成することができる。回動支持部は例えば回動自在に支持された縦軸を備えるものであることが好ましい。
前記回動シリンダは水平面において縦軸と離れた位置において回動支持部にロッド先端部が連結されたものであり、ロッドの進退移動によって前記アーム部を前記支持状態から解放状態まで移動可能とするものであることが好ましい。回動シリンダの進退方向の力の強さは、前後一対のアーム部によってタイヤを挟み込んで車両の支持を行なうことができる程度以上の力を供給できるものであることが好ましい。
前記回動伝達ギアは偶数個直列に配列して噛合わせることにより、両端の回動伝達ギアの回転方向を逆方向に連動させることができるので、確実な回転力の伝達を行なうだけでなく、リンク棒などによる伝達に比べて省スペースにて大きな回転力を伝達できる。
前記昇降シリンダによって摺動体を移動させると、この摺動体に設けたカム溝に連結するカムローラを介して車両を昇降させることが可能である。加えて、カム溝を形成する角度によって、シリンダにかかる力を容易に調整することができるので、それだけ、小さな昇降シリンダによって、重量のある車両を持ち上げることが可能となる。そして、リフト装置によって車両を持ち上げた状態では、リフト装置を介して車両の位置を変えることができる。さらには、カム溝の角度を任意に変えることにより、昇降シリンダのロッドの進退移動量に対する車両の昇降移動量を非線形に調整することも可能となり、必要な力で車両を昇降できると共に、迅速な移動を可能とする。
第3発明は、前記リフト装置を車両の各タイヤの側近部にそれぞれ配置させるフレームと、このフレームを少なくとも車両の前後方向に移動可能とする駆動輪ユニットとを備えることを特徴とする縦列無人走行台車を提供する(請求項3)。
前記フレームは車両のタイヤの数および配置に合せて複数のリフト装置を各タイヤの側近部にそれぞれ配置させることができ、駆動輪ユニットによって少なくとも車両の前後方向に移動可能に構成されているから、リフト装置のアーム部を解放状態に位置させた状態では、車両の側近部の僅かな隙間に入り込むように、車両の前または後ろから車両に接近して、車両の各タイヤの側近部の対応する位置に各リフト装置を配置させることができる。
次いで、リフト装置のアーム部を解放状態から支持状態に変位させ、昇降シリンダによって車両を持ち上げることができる。車両を持ち上げた状態で駆動輪ユニットを用いてフレームを移動させることにより、縦列無人走行台車を用いて、車両を移動させることができる。
また、車両を移動させた後に、リフト装置の昇降シリンダによって車両を降ろし、アーム部を支持状態から解放状態に変位させることにより、縦列無人走行台車から車両を離脱させることができ、縦列無人走行台車は次の搬送対象車両の待機位置まで移動させることができる。
前記駆動輪ユニットの外周にその回転軸が駆動輪ユニットの進行方向に対して斜め方向に配置された複数のローラを配置し、各駆動輪ユニットの回転速度を変えることにより移動方向を調節可能とする方向制御部を備える場合(請求項4)は、駆動輪ユニットによる移動方向を任意に制御でき、車両をあらゆる方向に移動可能として、自由度が増すことになる。
第4発明は、前記縦列無人走行台車のフレームの内側より小さい幅でかつ搭載する車両より長い平面部と、この平面部の少なくとも前後両端の左右両側下端に設けられ搬送方向を操舵可能に構成された駆動輪ユニットと、前記駆動輪ユニットの操舵方向および回転速度の制御を行なうことにより車両を任意の位置に搬送させる搬送制御部とを備えることを特徴とする搬送台車を提供する(請求項5)。
平面部に車両を搭載することにより、この平面部に搭載した車両を搬送台車の駆動輪ユニットによって移動させることができる。搬送制御部によって駆動輪ユニットの操舵方向および回転速度を制御することにより、車両の搬送方向を任意に制御することができる。
前記平面部の前後方向中央部の左右両側下端に中央駆動輪ユニットを備える場合(請求項6)には、車両の重量を各駆動輪ユニットに分散してかけることができ、凹凸面のある床面を搬送するときにも床面に当接できる駆動輪ユニットの数を増やすことができるので、より確実で安定した搬送を行なうことができる。
第5発明は、車両搬入部に位置させる前記搬送台車と、前記車両搬入部に待機する搬送台車に並べて配置されて、その平面部に車両を搭載可能とするスロープと、車両待機部に位置する前記縦列無人走行台車と、車両搬入部において車両を搭載した状態の搬送台車を縦列無人走行台車内に搬送させる搬送工程と、搬送台車が縦列無人走行台車内に停止した状態で縦列無地走行台車のリフト装置によって車両を持ち上げさせる車両リフト工程と、車両を持ち上げた状態で搬送台車を車両搬入部に移動させる帰還工程と、リフト装置に車両を下ろさせる配置工程と、車両を下ろした縦列無人走行台車を次の車両待機部に移動させる待機位置変更工程とを実行させるシステム制御部とを備えることを特徴とする車両縦列駐車システムを提供する(請求項7)。
前記スロープを用いることにより、車両搬入部に配置されている搬送台車の上に車両を容易に搭載することができる。また、車両搬入部において車両が搭載された搬送台車を車両待機部まで移動させ、この車両待機部において待機する縦列無人走行台車内に搬送させることにより、車両を縦列無人走行台車内まで移動させる(搬送工程)ことができる。次いで、搬送台車が縦列無人走行台車内に停止した状態で縦列無地走行台車のリフト装置によって車両を持ち上げ(車両リフト工程)させ、車両を持ち上げた状態で搬送台車を車両搬入部に移動(帰還工程)させ、リフト装置に車両を下ろさせる(配置工程)ことができる。さらに、車両を下ろした縦列無人走行台車を次の車両待機部に移動(待機位置変更工程)させることができる。
これらの工程はシステム制御部によって制御されているので、搬送台車および縦列無人走行台車を適正に制御して、車両を車両搬入部から車両待機部に移動させることができる。搬送台車はこれに搭載される車両を移動させるだけのものであるから、その構成を可及的に簡略化して、その製造コストを削減できるとともに、小型化を達成することにより、必要最小限の領域を用いて車両を搬送することができる。なお、車両縦列駐車システムはより効率的な車両の搬送を行なうためには複数の搬送台車を備えることが好ましい。
前記縦列無人走行台車はリフト装置を備えることにより、搬送台車に搭載された車両をアーム部によって支持し、搬送台車に搭載された車両を搬送台車から浮かせることができる程度に持ち上げたり、床面に載置することができる。縦列無人走行台車は車両の載置を完了するとアーム部をタイヤから離間させて、縦列無人走行台車のフレーム内に収め、この縦列無人台車を次の車両待機部に移動させることにより、次の車両を待機するのみであるから、車両一台分程度のわずかな移動であって、その消費電力を必要最小限に抑えることができ、縦列無人走行台車の構成を簡略化することができる。可及的に簡略化した縦列無人台車は車両側近の僅かな隙間に入ることが可能であるから、大きな作業空間を不要とし、車両待機部の領域を有効活用することができる。また、車両縦列駐車システムはより効率的な車両の搬送を行なうために複数の縦列無人走行台車を備えることが好ましい。
システム制御部は車両縦列駐車システムを構成する全ての搬送台車および縦列無人走行台車を制御するものであるから、搬送台車および縦列無人走行台車に対して通信可能な通信部を備えるものであることが好ましく、車両縦列駐車システムを構成するシステム制御部は中央監視装置の演算処理部によって形成されるものであってもよい。
第6発明は、前記搬送台車を車両搬入部に待機させて車両をこれに搭載させ、車両搭載済みの搬送台車を、車両待機部に待機させている前記縦列無人走行台車内に移動させて車両を搬送させ、搬送台車を収容した縦列無人走行台車のリフト装置を用いて車両を持ち上げさせ、車両を持ち上げた状態で搬送台車を車両搬入部に移動させ、搬送台車が縦列無人走行台車から離れた後に前記リフト装置を用いて車両を下ろさせ、縦列無人走行台車を次の車両待機部に移動させることを特徴とする車両縦列駐車方法を提供する(請求項8)。
前記車両縦列駐車方法によれば、車両搬入部に搬送された車両を所定の車両待機部に順次搬送することができる。このとき、搬送台車は車両搬入部から車両待機部までの車両の搬送を行なうことに特化することができ、それだけ、搬送台車の構成を簡素に形成することができる。
同様に、縦列無人走行台車はそのリフト装置を用いて車両待機部に搬送された車両を搬送台車から持ち上げて床面に降ろす車両の積み卸しを行い、次の車両待機部に移動するものであるから、長距離を移動する必要は無く、それだけ、縦列無人走行台車の構成を簡略化することができるので、車両の側近における僅かな隙間において車両を縦列搬送することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する、図1に示すように、本発明の第1実施形態にかかる車両縦列駐車システム1は、車両搬入部2に位置させて車両3が搭載されるのを待機する搬送台車4と、前記車両搬入部2に待機する搬送台車4に並べて配置されて、その平面部に車両3を搭載可能とするスロープ5と、車両待機部6に位置し車両3のタイヤ3Aに当接して車両3を持ち上げるリフト装置8を備えた縦列無人走行台車7と、これらの搬送台車4および縦列無人走行台車7に通信可能に接続されてこれらを制御するシステム制御部9とを備える。
前記システム制御部9は、車両搬入部2において車両3を搭載した状態の搬送台車4を車両待機部6の縦列無人走行台車7内に搬送させる搬送工程と、車両3と搬送台車4が縦列無人走行台車7内に停止した状態で縦列無人走行台車7のリフト装置8によって車両3を持ち上げさせる車両リフト工程と、車両3を持ち上げた状態で搬送台車4を車両搬入部2に移動させる帰還工程と、リフト装置8に車両3を下ろさせる配置工程と、車両3を下ろした縦列無人走行台車7を次の車両待機部6に移動させる待機位置変更工程とを実行させるものである。
このシステム制御部9は例えば演算処理部9Aと、この演算処理部9Aによって実行可能なプログラムが記録される記録部9Bと、各搬送台車4の位置情報および車両待機部6の状態情報などの時々刻々と変化する情報を記録する記憶部9Cと、搬送台車4および縦列無人走行台車7との通信を行なう通信部9Dとを備える。
上述のように構成された車両縦列駐車システム1において、縦列無人走行台車7に設けた車両3のリフト装置8は、本発明の重要な構成要素であり、車両3のタイヤ3Aに当接して車両3を支持した状態で、車両3を上下方向に移動させるものである。
図2〜図3に示すように、前記リフト装置8は矩形のリフトフレーム10を介して縦列無人台車7の各タイヤ3Aに対応する位置に取り付けられており、本実施形態では縦列無人台車7に対して4つのタイヤ3Aの側近に位置する4カ所にそれぞれぞれ配置されている。
前記リフト装置8はタイヤ3Aの幅程度の長さを有する棒体からなり支持状態においてはタイヤ3Aの接地部の前後両側に各々当接してタイヤ3Aを支持する一対のアーム部11と、このアーム部11を基端部において縦軸12中心に回動自在に支持する一対の回動支持部13と、一方の回動支持部13に先端部が連結されたロッド14の進退駆動によってアーム部11を前記支持状態から90度(又はほぼ90度)回動させてタイヤから離間させた解放状態まで回動させる回動シリンダ15と、一方の回動支持部13の回動を逆回転に変換して他方の回動支持部13に伝達する回動伝達ギア16と、前記アーム部11を上下方向に昇降移動させる昇降シリンダ17とを備える。
前記リフトフレーム10は、縦列無人走行台車7側に取り付けられる第1フレーム10Aと、この第1フレーム10Aに取り付けられて前記各部材12〜17を支持する第2フレーム10Bとを備える。また、第2フレーム10Bは前記縦軸12を上下方向に摺動自在かつ回転自在に支持する軸受け18と、前記各部材12〜16を上下方向に移動可能に支持する一対のガイドレール19とを備える。
図4〜図5はリフト装置8のさらに詳細な構成を説明する斜視図である。20は一列に並べた4個の回動伝達ギア16を回動自在に支持すると共に、前記回動シリンダ15を支持するアームフレームであり、このアームフレーム20には前記ガイドレール19の内側に摺動可能に当接する一対のLアングル21を形成しており、前記ガイドレール19にはLアングル21を上下方向にのみ摺動自在に支持する溝が形成されている。
前記アーム部11はタイヤ3Aの幅方向の長さと同程度の長さに形成することにより、その自重を必要最小限に抑えると共に、アーム部11の基端部および回動支持部13に大きな回転トルクがかかることを防止できる。また、各アーム部11は車両3の各タイヤ3Aの側近に配置されて、車両3の重量のうち各タイヤ3Aに分散してかかる重量を支えるものであるから、より小さな力で車両3を持ち上げることができる。
前記縦軸12は並べて配置された各回動伝達ギア16の回転軸となるようにアームフレーム20に横一列に並べて支持されており、また、両端の縦軸12はアームフレーム20を突き通って前記軸受け18に支持されている。さらにアームフレーム20は、前記ガイドレール19とLアングル21による摺動によってガイドされるので、各部材11〜16、20,21上下方向に昇降自在であると共に左右方向には高い剛性をもって支持される。
前記回動支持部13は前記縦軸12に対して回転自在に取り付けられると共に、同じ縦軸12を中心に回転自在に支持される回動伝達ギア16に接続されることにより、回動伝達ギア16によって回転を伝達可能に構成されている。また、一方の回動支持部13には縦軸12から離れた位置に配置されたロッド取り付け部13Aが形成されている。
前記ロッド14は前記ロッド取り付け部13Aに角度変更自在に取り付けられており、回動シリンダ15によって進退駆動されることにより、前記回動支持部13を約90°回転駆動することができるように構成している。
なお、回動シリンダ15は最適には電動シリンダであり、これによって電気的な制御によって前記回動支持部13の回転を制御することができると共に、油圧式シリンダやエアシリンダに比べて粉塵の多い環境における堅牢性を高めることができる。また、電気的な配線以外に配管を不要としているので、それだけ構成の簡略化にも貢献できる。
前記回動伝達ギア16は直列に4個(偶数個)配列された状態で隣接するギアが噛み合うように配置されているので、一端側の回動伝達ギア16と他端側の回動伝達ギア16は反対方向に同じ角度だけ回転する。従って、これらの回動支持部13にそれぞれ支持されたアーム部11はタイヤ3Aの接地部の前後両側に当接する支持状態から解放状態まで90度の回転を可能としている。また、この解放状態ではアーム部11が第1フレーム10Aの長手方向に沿うように一文字状に配置されて、フレーム10内に収容されるように構成している。
前記昇降シリンダ17は最適には電動シリンダであり、そのロッド17Aの先端部が前記アームフレーム20の前記二つの縦軸12の間に連結されている。したがって、電気的な制御によってロッド17Aを伸縮駆動させることにより、アームフレーム20を介して各部材11〜16を上下方向に昇降させることができると共に、油圧式シリンダやエアシリンダに比べて粉塵の多い環境における堅牢性を高めることができる。また、電気的な配線以外に配管を不要としているので、それだけ構成の簡略化にも貢献できる。さらに、電気的に制御される昇降シリンダ17はそのロッド17Aを任意の中間位置に停止させることも可能である。
図2,図3に仮想線で示すように、前記構成のリフト装置8は前記回動シリンダ15の動作によってアーム部11をフレーム10の長手方向に沿う方向に配置させた解放状態では、フレーム10内に納めて、突出部を無くすことができる。ゆえに、この解放状態ではリフト装置8は車両3間の僅かな隙間に挿入してタイヤ3Aの側近に配置させることができる。
次いで、タイヤ3Aの側近に配置させた状態で回動シリンダ15の動作によってアーム部11を90度回転させることにより、タイヤ3Aの接地部の前後両側に当接するように、その回転軸に並行する方向に揃えてタイヤ3Aを支持できる支持状態となる。アーム部11を支持状態にした後に、前記昇降シリンダ17を用いてアームフレーム20ごとアーム部11を引き上げることにより、タイヤ3Aを挟み込んで持ち上げることができる。
このとき、アーム部11の基端部には車両3の重量に加えてアーム部11の長さに比例する回転トルクがかかることになるが、アーム部11がタイヤ3Aの幅程度の長さに形成されているので、この回転トルクを可能な限り抑えることができる。なお、昇降シリンダ17による昇降動作はタイヤ3Aが載置される高さに合わせて行われる。すなわち、タイヤ3Aが床に接している場合はアーム部11を再下端部に位置させてからアーム部11を支持状態にすることにより、車両3を支持して持ち上げることが可能になるが、車両3を搬送台車4に搭載している状態ではアーム部11が搬送台車4に干渉しない程度にタイヤ3Aに当接する中間部に位置させてから、アーム部11を支持状態にすることにより、車両3を支持して搬送台車4から浮かせることも可能となる。
したがって、前記昇降シリンダ17には車両3を持ち上げる程度の力を作用させる必要があるが、昇降シリンダによって作用させる力をカムによって増幅して作用させることにより十分な力で車両3を持ち上げられるようにすることも考えられる。
図6,図7は前記リフト装置8の変形例となるリフト装置30の構成を示す図である。図6,図7において、図2〜図5と同じ符号を付した部分は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略して重複説明を避ける。
図6,図7に示すように、リフト装置30では、昇降シリンダ31は第2フレーム10Bの長手方向に沿う方向に進退駆動可能なロッド32を備え、このロッド32には第2フレーム10Bの長手方向に摺動自在に支持された摺動体(カムブロック)33が取り付けられている。また、このカムブロック33はその表裏両側に斜め方向に形成されたカム溝34を備え、このカムブロック33の表裏両側からカム溝34内にカムローラ35を挿入するように配置させた一対の昇降アーム36を形成することにより、この昇降アーム36を介して増幅させた力で車両3を昇降できるように構成している。37は第2フレーム10Bの上下両側でかつ前記カムブロック33の表裏両側に、その摺動方向に沿って4セット取り付けられて、カムブロック33を第2フレーム10B内でその長手方向に摺動自在に支持するガイドローラである。
なお、カム溝34を形成する角度を変えて昇降シリンダ31のロッド32の進退移動距離に対する昇降アーム36の昇降移動距離を短くすることにより、重い車両3を難なく持ち上げるように力を増幅することができる。このように、カム溝34とカムローラ35を介することで、カム溝34の角度によってアーム部11を昇降する速度や力を調節できるので、カム溝34を例えば途中で屈曲または湾曲させるなどしてカム溝34の角度を途中から変更して、大きな負荷がかからない範囲はより短いロッド32の移動距離で昇降アーム36を昇降駆動し、より大きな負荷がかかる範囲は十分な力で車両3を昇降駆動することも可能である。
図8〜図10は前記車両縦列駐車システム1の搬送台車4の構成を示す図であって、図8は搬送台車4の平面図、図9は搬送台車4の側面図、図10は搬送台4の斜視図である。
前記搬送台車4は前記縦列無人走行台車7のフレームの内側より小さい幅でかつ搭載する車両3より長い搬送台車フレーム40の上面を覆うように設けた平面部41と、この平面部41の前後両端および進行方向中間部の左右両側下端に設けられ搬送方向を操舵可能に構成された駆動輪ユニット42と、前記駆動輪ユニット42の操舵方向および回転速度の制御を行なうことにより車両を任意の位置に搬送させる搬送制御部43と、前記駆動輪ユニット42および搬送制御部43に電力を供給する電源部(バッテリ)44とを備える。
本実施形態の平面部41はタイヤ3Aを搭載する部分に合わせて搬送台車フレーム40の左右両端部に分けて形成されており、その上面にはタイヤ3Aの脱輪を防止するためにタイヤ3Aの軌道より内側を案内するように設けた左右一対のガイドレール46と、タイヤ3Aの停止位置の前後の平面部41に配置させた位置決め板47とを備える。また、平面部41の高さは前記スロープ5の端部の高さに合わせて形成されており、かつ、できるだけ低く形成してあることが好ましい。
前記駆動輪ユニット42は前記平面部41の高さを大きく超えない程度にできるだけ低く形成してあることが好ましく、本実施形態では前記左右一対のガイドレール46の内側に沿うように配置させることにより、このガイドレール46の上面と同程度の高さに抑えるように形成してある。なお、この駆動輪ユニット42の高さを平面部41の高さと同程度以下に形成する場合は駆動輪ユニット4を搬送台車4の左右方向両端部にそれぞれ設けるようにすることが好ましい。
前記搬送制御部43は搬送台車フレーム40内のいずれかの位置に取り付けられた演算処理装置からなり、少なくとも前記システム制御部9との通信を行う通信部と、通信部を介してシステム制御部9から受信する搬送指示に従って走行ルートを定め、この走行ルートに沿って搬送台車4を移動させるべく各駆動輪ユニット42の操舵制御および回転速度制御を行う駆動輪ユニット制御部と、搬送台車4の位置、周囲状況、車両3の搭載状況などを確認する各種検出器とを備えるものであるが、本発明はこの詳細な構成を限定するものではなく、既存の情報処理技術を用いて任意の構成を採用可能であるから、その詳細な構成の図示および説明を省略する。
上述のように構成された搬送台車4はその一端をスロープ5に当接させることにより、床面F上を走行する車両3を容易に搬送台車4に載せることができる。車両を搬送台車4に搭載するときは、例えば、作業者が車両3を運転してスロープ5から搬送台車4に乗せることができるが、このとき台車にガイドレール46が形成されているので、車両3を搬送台車4から落とすことがないように保護され、また、位置決め板47によってタイヤ3Aの停止位置が定められる。なお、走行台車4を搭載する製造ラインの最終工程に、完成した車両3を走行台車4に搭載する工程を含ませることにより、スロープ5を省略してもよい。
図11〜図13は前記駆動輪ユニット42の要部のより詳細な構成を説明する図であって、図11は駆動輪ユニット42の平面図、図12は側面図、図13は斜視図である。
本実施形態の駆動輪ユニット42は前記搬送台車フレーム40に固定されるベース50と、このベース50に対して水平方向に回動自在に取付けられる回転体51と、この回転体51に対してスプリング52を介して取付られて上下方向に変動可能に取付けられた車輪支持フレーム53と、この車輪支持フレーム53に回動可能に支持される車輪54(図12,図13のみ図示)と、車輪54に回転力を提供する駆動モータ55と、車輪54の方向を変える回転力を供給する操舵モータ56と、この操舵モータ56の回転軸に設けた第1ギア57と、この第1ギア57に噛合わされて回転体51に取付けられた第2ギア58とを備える。なお、59はベース50に開設された組み付け用の開口部である。
前記構成の駆動輪ユニット42を搬送台車4の前後端、中間部の左右両側にそれぞれ設けているので、その駆動モータ55と操舵モータ56に供給する電力を搬送制御部43によって制御することにより、搬送台車4を任意の方向に移動させることができる。
前記搬送台車4は平坦な床面Fでは、図9に示すように、全ての駆動輪ユニット42の車輪54が床面Fに当接するので、搬送台車4とこれに搭載する車両3の荷重は6個の車輪54に分散してかかる。また、これら駆動輪ユニット42の車輪54がそれぞれ操舵可能に回動駆動できるので、搬送台車4を任意の方向に十分な力で搬送させることができ、また、この搬送台車4に搭載した車両3を任意の方向に搬送することができる。さらに、床面Fに幾らかの凹凸があったとしても、前記スプリング52によって床面Fの凹凸を吸収することができ、6個の車輪52が全て床面Fに接触して、より安定した搬送を行なうことができる。
多方、凹凸面のある床面Fでは、複数の駆動輪ユニット42の何れかが床面Fに接することにより、車両3の搬送を可能としている。
図14は前記搬送台車4を用いて凹凸のある床面Fを走行する状態を示す側面図である。図14に示すように前記スプリング52では吸収しきれない程度の凹みのある床面Fにおいても、少なくとも前後両端に配置された車輪52が床面Fに接するので、4個の車輪でしっかりと搬送台車4を支えて駆動力を供給することができる。なお、一つの搬送台車4に設ける駆動輪ユニット42の数は6個に限定されるものではなく、多くあればあるほど安定した力強い搬送を可能とする。この駆動輪ユニット42は少なくとも前後両端の左右に設ける必要があり、最低の4個の駆動輪ユニット42を設けるように構成して消費電力の削減を図るようにしてもよい。
上述のように構成された搬送台車4は車両搬入部2から車両待機部6までの車両3の搬送を行なうものであり、前記システム制御部9から通信される制御信号によって、車両搬入部2において車両3を搭載した状態の搬送台車4を車両待機部6の縦列無人走行台車7内に搬送させる搬送工程を実行し、また、車両3を降ろした搬送台車4を両搬入部2に移動させる帰還工程を実行する。
図15、図16は本発明の前記縦列無人走行台車7の構成を示す図であり、図15は縦列無人走行台車7の平面図、図16は斜視図である。
本実施形態の縦列無人走行台車7は、前記リフト装置8を車両3の各タイヤ3Aの側近部にそれぞれ配置させる左右一対の縦列台車フレーム60と、これらの縦列台車フレーム60を車両3よりも十分に高い高さで連結する連結フレーム61と、縦列台車フレーム60の前後両側に配置されたリフト装置8の前後両側にそれぞれ設け、フレーム60,61を少なくとも車両3の前後方向に移動可能とする駆動輪ユニット62a〜62dと、前記リフト装置8および駆動輪ユニット62a〜62dに供給する電力を調節してリフト装置8を用いた車両3の昇降および駆動輪ユニット62a〜62dを用いた縦列無人走行台車7の移動を行なわせる縦列台車制御部63と、各部8,62a〜62dに電力を供給するべく、フレーム60,61内の各部に設置したバッテリ64とを備える。
前記駆動輪ユニット62a〜62dは、接地表面(円周上)が車軸に対して45°傾けた樽状の複数のローラによって覆われたメカナム車輪65と、このメカナム車輪65に連結されて回転力を伝達する車輪連結ギア66と、この車輪連結ギア66に嵌合する駆動ギア67と、駆動ギア67に回転力を供給する駆動モータ68と、これらの部材65〜68を支持する駆動輪アングル69とを備える。
これらの駆動輪ユニット62a〜62dは縦列台車フレーム60の長手方向に沿ってその下面に取り付けられ、前後両端の駆動輪ユニット62a,62dはモータ68を上向きに配置することにより、縦列無人走行台車7の全長を短くするように構成している。他方、縦列無人走行台車7の中間部に配置される駆動輪ユニット62b,62cはモータ68を水平方向に形成することにより、縦列台車フレーム60の下部空間に納められるように構成している。
前記メカナム車輪65は例えば、駆動輪ユニット62a,62cの樽状のローラの角度を、駆動輪ユニット62b,62dの樽状のローラの角度と90度異ならせることにより、駆動輪ユニット62a,62cの回転数と駆動輪ユニット62b,62dの回転数を僅かに異ならせて、縦列無人走行台車7を斜め方向に移動させることができる。同様に、左右のメカナム車輪65の回転方向を逆にすることにより、縦列無人走行台車7の方向変換も行うことができる。つまり、メカナム車輪65を用いることにより、縦列無人走行台車7の搬送方向や移動方向の調整を容易に行なうことが可能である。
前記縦列台車制御部63は例えば前記システム制御部9と通信可能に構成された通信部と、縦列無人走行台車7の位置、搬送台車4の収容状況などを検知するセンサとを備えることが好ましく、これによって、縦列無人走行台車7内に搬送台車4が収容された後に、前記リフト装置8を用いて搬送台車4に搭載された中間高さの車両3を持ち上げるべくアーム部11を解放状態にさせた状態で昇降シリンダ17によってアーム部11を中間位置まで上昇させた後に、回動シリンダ15によってアーム部11を支持状態にし、さらに昇降シリンダ17によってアーム部11を上昇させて、車両3を搬送台車4から浮き上がらせる車両リフト工程を実行し、搬送台車4を帰還させた後に前記リフト装置8の昇降シリンダ17を用いて再び車両3を下ろさせて回動シリンダ15によってアーム部11を解放状態に移動させることにより配置工程を実行し、さらに、車両3を下ろした縦列無人走行台車7を次の車両待機部に移動させる待機位置変更工程を実行することができる。
図17は車両縦列駐車システム1の全体的な動作を説明する図である。図17に示すように、車両搬入部2において車両3を搭載した状態の搬送台車4を車両待機部6の縦列無人走行台車7内に搬送させる。(搬送工程Ph1)
次に、搬送台車4が縦列無人走行台車7内に停止した状態で縦列無人走行台車7のリフト装置8によって車両3を持ち上げさせる。(車両リフト工程Ph2)
ここで、車両3を持ち上げた状態で搬送台車4を車両搬入部2に移動させる。(帰還工程Ph3)
次に、リフト装置8に車両3を下ろさせる。(配置工程Ph4)
そして、前記車両3を下ろした縦列無人走行台車7を次の車両待機部2に移動させる。(待機位置変更工程Ph5)この待機位置変更工程Ph5の次に再び前記搬送工程Ph1に戻って順次生産される車両3を車両搬入部6に並べて配置することができる。
上述の5つの工程Ph1〜Ph5は図1に示すシステム制御部9によって統括的に管理されて、順次実行されることにより、車両搬入部2に搬送された完成車両3を順次車両待機部6に搬送することができる。システム制御部9において統括管理されることにより、複数の搬送台車4を用いて、前記搬送工程Ph1を実行中の搬送台車4と帰還工程Ph3を実行中の搬送台車4を別々に設けることもでき、車両3の搬送を途切れることなく行うことも可能である。
なお、図1〜図17を用いて説明した上記構成の車両縦列駐車システム1は本願発明の実施形態の一つにすぎず、様々な変形が考えられる。
図18、図19は図2〜図7を用いて説明したリフト装置8およびその変形例を用いた第2実施形態のリフト台車70の構成を説明する図であって、図18は平面図であり、図19は側面図である。これらの図においても、図1〜図17と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のリフト台車70は車両3の車幅より広く、かつ、その4本のタイヤ3Aの位置に合わせてその側近にリフト装置8を配置するように取り付けた平面視略コ字型の台車フレーム71と、この台車フレーム71の四隅の下面に取り付けられたキャスタ72F,72Rと、台車フレーム71の長さを調整するホイルベース調整シリンダ73と、前記台車リフト装置8に動力となる電力を供給するバッテリ74とを備える。なお、前方のキャスタ72Fの牽引方向を自在に変更できる自在操舵キャスタとしてあることにより、あらゆる方向の牽引を可能としている。
このリフト台車70を用いることにより、車両3のタイヤ3Aの側近にリフト装置8を配置させた状態で、リフト装置8のアーム部11を仮想線で示す解放状態から実線で示す支持状態に回動させた状態で、アーム11を上昇させてタイヤ3Aを持ち上げることにより、車両3を床面から持ち上げて、これらをキャスタ72F,72Rによって牽引することができる。
車両3はタイヤ3Aの側近に配置されたリフト装置8によって無理なく持ち上げることができ、必要最小限の力で車両3を移動させることができる。なお、本例の台車フレーム71にはホイルベース調整シリンダ73を備えているので、ホイルベースの異なる車両3を搬送するときには台車フレーム71の長さを変えて対応することができる。