JP2019030038A - モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 モータの駆動方式が切り替わる際にモータの駆動が不安定になってしまう。
【解決手段】 時刻tc1で回転速度ω_ref´が閾値ωthより小さい値から閾値ωthより大きい値へと変化しても、モータの制御方法及び駆動方式は切り替えない。そして、時刻tc1より後の最初に励磁相の切り替えが行われるタイミングで、モータの制御方法及び駆動方式を定電流制御かつフルステップ駆動からベクトル制御且つマイクロステップ駆動に切り替える。
【選択図】 図11
【解決手段】 時刻tc1で回転速度ω_ref´が閾値ωthより小さい値から閾値ωthより大きい値へと変化しても、モータの制御方法及び駆動方式は切り替えない。そして、時刻tc1より後の最初に励磁相の切り替えが行われるタイミングで、モータの制御方法及び駆動方式を定電流制御かつフルステップ駆動からベクトル制御且つマイクロステップ駆動に切り替える。
【選択図】 図11
Description
本発明は、モータを制御するモータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
ステッピングモータを駆動する駆動方法として、フルステップ駆動及びマイクロステップ駆動が知られている(特許文献1)。
フルステップ駆動とは、例えば、巻線に流れる電流に起因して発生する磁界の位相が90°(基本ステップ角)ずつ進むように巻線に流れる電流を制御する駆動方式である。また、マイクロステップ駆動とは、巻線に流れる電流に起因して発生する磁界の位相が、基本ステップ角を更に細かく分割した量ずつ進むように巻線に流れる電流を制御する駆動方式である。
フルステップ駆動において、励磁される巻線の相が切り替わることで巻線に流れる電流が変動し、当該変動の幅は励磁される巻線の相が切り替わったタイミングから時間が経過するほど小さくなる。したがって、例えば、モータの駆動方式がフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替わる場合、以下のような問題が生じる可能性がある。具体的には、フルステップ駆動が行われている期間において励磁される巻線の相が切り替わった直後に、駆動方式がフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替わると、巻線に流れる電流の変動幅が比較的大きい状態において駆動方式が切り替わってしまう。この結果、モータの駆動が不安定になってしまう可能性がある。
上記課題に鑑み、本発明は、モータの駆動方式が切り替わる際にモータの駆動が不安定になってしまうことを抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかるモータ制御装置は、
予め決められたパルス列に基づいて、第1の変化量で変化する第1の指令位相と前記第1の変化量よりも小さい第2の変化量で変化する第2の指令位相とを生成する生成手段と、
前記第1の指令位相に基づいて決定される前記巻線に供給すべき電流に基づいて前記モータを駆動する第1モードと、前記第2の指令位相に基づいて決定される前記巻線に供給すべき電流に基づいて前記モータを駆動する第2モードと、を駆動モードとして備える制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記駆動モードが前記第1モードから前記第2モードに切り替えることが決定されている状態において、前記第1モード中に前記巻線に供給すべき電流が変化するタイミングで、前記駆動モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする。
予め決められたパルス列に基づいて、第1の変化量で変化する第1の指令位相と前記第1の変化量よりも小さい第2の変化量で変化する第2の指令位相とを生成する生成手段と、
前記第1の指令位相に基づいて決定される前記巻線に供給すべき電流に基づいて前記モータを駆動する第1モードと、前記第2の指令位相に基づいて決定される前記巻線に供給すべき電流に基づいて前記モータを駆動する第2モードと、を駆動モードとして備える制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記駆動モードが前記第1モードから前記第2モードに切り替えることが決定されている状態において、前記第1モード中に前記巻線に供給すべき電流が変化するタイミングで、前記駆動モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする。
本発明によれば、モータの駆動方式が切り替わる際にモータの駆動が不安定になってしまうことを抑制することができる。
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿給送装置201、読取装置202及び画像印刷装置301を有する。
原稿給送装置201の原稿積載部203に積載された原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206に沿って読取装置202の原稿ガラス台214上に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送されて、排紙ローラ205によって不図示の排紙トレイへ排紙される。読取装置202の読取位置において照明209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部111に導かれ、画像読取部111によって画像信号に変換される。画像読取部111は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部111から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって各種補正処理が行われた後、画像印刷装置301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
また、原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、一定速度で搬送される原稿の画像を、所定の位置に固定された照明系209及び光学系によって読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する照明系209及び光学系によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、給紙ローラ303によって給送されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、給紙ローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムの帯電には、例えば、コロナ帯電器や帯電ローラを用いた帯電方法が用いられる。
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この転写タイミングに合わせて、レジストレーションローラ308は記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本発明における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給紙ローラ204、303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)や感光ドラム309、搬送ベルト208、317、照明系209及び光学系等は本発明における負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置157、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置157に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。なお、センサ類159には、搬送ローラによって搬送される記録媒体を検知するセンサ等が含まれる。
モータ制御装置157は、CPU151aから出力された指令に応じて、負荷を駆動するモータ509を制御する。なお、図2においては、画像形成装置のモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には複数個のモータが設けられているものとする。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図2においては、モータ制御装置が1個しか設けられていないが、実際には、複数個のモータ制御装置が画像形成装置に設けられているものとする。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシート材のジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
[モータ制御装置]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置157について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置157は、第1制御モードとしてのベクトル制御と第2制御モードとしての定電流制御とのいずれの制御方法でもモータを制御することができる。なお、以下の説明においては、電気角としての回転位相θ、指令位相θ_ref及び電流の位相等に基づいて以下の制御が行われるが、例えば、電気角が機械角に変換され、当該機械角に基づいて以下の制御が行われてもよい。
次に、本実施形態におけるモータ制御装置157について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置157は、第1制御モードとしてのベクトル制御と第2制御モードとしての定電流制御とのいずれの制御方法でもモータを制御することができる。なお、以下の説明においては、電気角としての回転位相θ、指令位相θ_ref及び電流の位相等に基づいて以下の制御が行われるが、例えば、電気角が機械角に変換され、当該機械角に基づいて以下の制御が行われてもよい。
<ベクトル制御>
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置157がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないものとする。
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置157がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないものとする。
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
図4は、モータ509を制御するモータ制御装置157の構成の例を示すブロック図である。なお、モータ制御装置157は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
図4に示すように、モータ制御装置157は、定電流制御を行う定電流制御器517、ベクトル制御を行うベクトル制御器518を有する。
モータ制御装置157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当し、回転子402のトルクの発生には寄与しない。モータ制御装置157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御装置157は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。即ち、ベクトル制御においては、図3に示す電流ベクトルの大きさは、回転子402にかかる負荷トルクに応じて変化する。
モータ制御装置157は、モータ509の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の動作シーケンスに基づいて、指令生成器500にモータを駆動する指令を出力する。
指令生成器500は、後述する方法により回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成して出力する。
減算器101は、モータ509の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差を演算し、該偏差を所定の時間周期T(例えば、200μs)で位相制御器502に出力する。
位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力される偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力される偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器507によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。また、モータ509のB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。なお、A/D変換器510がデジタル値を出力する周期は、例えば、減算器101が偏差を位相制御器502に出力する周期Tより短い周期(例えば25μs)であるが、これに限定されるわけではない。
A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図3に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512とに入力される。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512とに入力される。
座標変換器511は、静止座標系における電流値iα及びiβを、次式によって、回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
減算器102には、位相制御器502から出力されたq軸電流指令値iq_refと座標変換器511から出力された電流値iqとが入力される。減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
減算器102には、位相制御器502から出力されたq軸電流指令値iq_refと座標変換器511から出力された電流値iqとが入力される。減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103には、位相制御器502から出力されたd軸電流指令値id_refと座標変換器511から出力された電流値idとが入力される。減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、減算器102から出力される偏差が小さくなるように駆動電圧Vqを生成する。具体的には、電流制御器503は、減算器102から出力される偏差が0になるように駆動電圧Vqを生成して座標逆変換器505に出力する。
また、電流制御器503は、PID制御に基づいて、減算器103から出力される偏差が小さくなるように駆動電圧Vdを生成する。具体的には、電流制御器503は、減算器103から出力される偏差が0になるように駆動電圧Vdを生成して座標逆変換器505に出力する。
このように、電流制御器503は、駆動電圧を生成する生成手段として機能する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換された駆動電圧Vα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換された駆動電圧Vα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。即ち、PWMインバータ506は、モータ509の各相の巻線に電流を供給する供給手段として機能する。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
次に、回転位相θを決定する構成について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。巻線レジスタンスR及び巻線インダクタンスLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置157に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。巻線レジスタンスR及び巻線インダクタンスLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置157に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータ509の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505及び座標変換器511に入力される。
モータ制御装置157は、ベクトル制御を行う場合は、上述の制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。また、位相フィードバック制御を行うことによって、回転子の回転位相が所望の位相になるように回転子の回転位相を制御することができる。したがって、画像形成装置において、回転子の回転位相を精度よく制御する必要がある負荷(レジストレーションローラ等)を駆動するモータに位相フィードバック制御によるベクトル制御が適用されることによって、記録媒体への画像形成を適切に行うことができる。
<定電流制御>
次に、本実施形態における定電流制御について説明する。
次に、本実施形態における定電流制御について説明する。
定電流制御においては、予め決められた電流がモータの巻線に供給されることによって、巻線に流れる駆動電流が制御される。具体的には、定電流制御では、回転子にかかる負荷トルクの変動が起こったとしてもモータが脱調しないように、回転子の回転に必要と想定されるトルクに所定のマージンが加算されたトルクに対応する大きさ(振幅)を持った駆動電流が巻線に供給される。これは、定電流制御では、決定(推定)された回転位相や回転速度に基づいて駆動電流の大きさが制御される構成は用いられない(フィードバック制御が行われない)ので、回転子にかかる負荷トルクに応じて駆動電流を調整できないからである。なお、電流の大きさが大きいほど回転子に与えるトルクは大きくなる。また、振幅は電流ベクトルの大きさに対応する。
以下の説明では、定電流制御中は、予め決められた所定の大きさの電流がモータの巻線に供給されることによってモータが制御されるが、この限りではない。例えば、定電流制御中は、モータの加速中及び減速中のそれぞれに応じて予め決められた大きさの電流がモータの巻線に供給されることによってモータが制御されてもよい。
図4において、指令生成器500は、CPU151aから出力された指令に基づいて、定電流制御器517に指令位相θ_refを出力する。定電流制御器517は、指令生成器500から出力された指令位相θ_refに対応した、静止座標系における電流の指令値iα_ref及びiβ_refを生成して出力する。なお、本実施形態においては、静止座標系における電流の指令値iα_ref及びiβ_refに対応する電流ベクトルの大きさは常に一定である。
モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器507、508によって検出される。検出された駆動電流は、前述したように、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。
減算器102には、A/D変換器510から出力された電流値iαと定電流制御器517から出力された電流指令値iα_refとが入力される。減算器102は、電流指令値iα_refと電流値iαとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103には、A/D変換器510から出力された電流値iβと定電流制御器517から出力された電流指令値iβ_refとが入力される。減算器103は、電流指令値iβ_refと電流値iβとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、入力される偏差が小さくなるように、PID制御に基づいて駆動電圧Vα及びVβを出力する。具体的には、電流制御器503は、入力される偏差が0に近づくように駆動電圧Vα及びVβを出力する。
PWMインバータ506は前述した方法で、入力された駆動電圧Vα及びVβに基づいて、モータ509の各相の巻線に駆動電流を供給してモータ509を駆動させる。
このように、本実施形態における定電流制御では、位相フィードバック制御と速度フィードバック制御とのいずれも行われない。即ち、本実施形態における定電流制御では、巻線に供給する駆動電流が回転子の回転状況に応じて調整されない。したがって、定電流制御では、モータが脱調状態にならないように、回転子を回転させるために必要な電流に所定のマージンが加算された電流が巻線に供給される。具体的には、静止座標系における電流の指令値iα_ref及びiβ_refには、回転子を回転させるために必要な電流値と所定のマージンに対応する電流値とが含まれる。
<フルステップ駆動方式とマイクロステップ駆動方式>
次に、本実施形態における、モータの駆動方式について説明する。本実施形態においては、フルステップ駆動方式及びマイクロステップ駆動方式がモータの駆動に用いられる。なお、本実施形態では、定電流制御が行われる期間はフルステップ駆動方式によってモータが駆動され、ベクトル制御が行われる期間はマイクロステップ駆動方式によってモータが駆動される。
次に、本実施形態における、モータの駆動方式について説明する。本実施形態においては、フルステップ駆動方式及びマイクロステップ駆動方式がモータの駆動に用いられる。なお、本実施形態では、定電流制御が行われる期間はフルステップ駆動方式によってモータが駆動され、ベクトル制御が行われる期間はマイクロステップ駆動方式によってモータが駆動される。
図5は、本実施形態における指令生成器500及び制御切替器515の構成を示すブロック図である。図5に示すように、指令生成器500は、指令速度の代わりとなる回転速度ω_ref´を生成する速度生成器500a、回転速度ω_ref´に基づいて矩形波状のパルスを生成するパルス生成器500bを有する。また、指令生成器500は、パルス生成器500bから出力されたパルスに基づいて指令位相θ_refを生成する指令値生成器500cを有する。なお、速度生成器500aは、CPU151aから出力されるモータの動作シーケンスに基づく指令に応じて回転速度ω_ref´を生成し、所定の周期で出力する。また、モータの動作シーケンスは、例えば、ROM151bに格納されており、CPU151aはROM151bに格納された動作シーケンスを読みだして指令生成器500に指令を出力する。なお、制御切替器515については後に説明する。
指令値生成器500cは、パルス生成器500bから出力されるパルスに基づいて、以下の式(10)のようにして指令位相θ_refを生成して出力する。
θ_ref=θini+θstep*n (10)
なお、θiniはモータの駆動が開始されるときの回転子の位相(初期位相)である。また、θstepは、パルス生成器500bから出力されるパルス1個当たりのθ_refの増加量である。また、nは指令値生成器500cに入力されるパルスの個数である。
θ_ref=θini+θstep*n (10)
なお、θiniはモータの駆動が開始されるときの回転子の位相(初期位相)である。また、θstepは、パルス生成器500bから出力されるパルス1個当たりのθ_refの増加量である。また、nは指令値生成器500cに入力されるパルスの個数である。
以下に、フルステップ駆動方式及びマイクロステップ駆動方式について説明する。
{フルステップ駆動方式}
図6は、本実施形態におけるフルステップ駆動方式における回転子の動作を説明する図である。また、図7は、フルステップ駆動方式を行う方法の例を示す図である。図7には、パルス生成器500bによって生成されるパルス、指令値生成器500cによって生成される指令位相θ_ref、定電流制御器517によって生成される電流指令値iα_ref及びiβ_refが示されている。なお、図6(A)に示す状態は図7における期間(A)に対応する。同様に、図6(B)乃至(D)に示す状態は図7における期間(B)乃至(D)に対応する。なお、図7には、回転子が一定速度で回転している状態におけるパルス、電流指令値及び指令位相が示されている。
図6は、本実施形態におけるフルステップ駆動方式における回転子の動作を説明する図である。また、図7は、フルステップ駆動方式を行う方法の例を示す図である。図7には、パルス生成器500bによって生成されるパルス、指令値生成器500cによって生成される指令位相θ_ref、定電流制御器517によって生成される電流指令値iα_ref及びiβ_refが示されている。なお、図6(A)に示す状態は図7における期間(A)に対応する。同様に、図6(B)乃至(D)に示す状態は図7における期間(B)乃至(D)に対応する。なお、図7には、回転子が一定速度で回転している状態におけるパルス、電流指令値及び指令位相が示されている。
以下に、図5乃至図7を用いて、本実施形態におけるフルステップ駆動方式の例を説明する。なお、本実施形態におけるフルステップ駆動では、図6に示すように、式(10)に示す初期位相θiniは45°であるが、これに限定されるわけではない。また、パルス1個当たりのθ_refの増加量θstepは90°である。
本実施形態におけるフルステップ駆動では、二相励磁方式が用いられる。二相励磁方式とは、A相及びB相の両方の巻線に電流を供給することによって励磁を行う方式である。具体的には、例えば、図7の期間(A)に示すように、指令位相θ_refが45°である場合、当該指令位相θ_refに基づいて決定される電流(電流指令値iα_ref及びiβ_ref)がA相及びB相の巻線に供給される。この結果、図6(A)に示すように、iの方向(45°)に磁界が発生し、回転子が当該磁界に引き付けられて回転する。その後、図7の期間(B)に示すように、指令位相θ_refが135°になると、当該指令位相θ_refに基づいて決定される電流がA相及びB相の巻線に供給される。この結果、図6(B)に示すように、iiの方向(135°)に磁界が発生し、回転子が当該磁界に引き付けられて回転する。その後、図7の期間(C)に示すように、指令位相θ_refが225°になると、当該指令位相θ_refに基づいて決定される電流がA相及びB相の巻線に供給される。この結果、図6(C)に示すように、iiiの方向(225°)に磁界が発生し、回転子が当該磁界に引き付けられて回転する。その後、図7の期間(D)に示すように、指令位相θ_refが315°になると、当該指令位相θ_refに基づいて決定される電流がA相及びB相の巻線に供給される。この結果、図6(D)に示すように、ivの方向(315°)に磁界が発生し、回転子が当該磁界に引き付けられて回転する。以降、上述の制御が繰り返し行われることによって、回転子が回転する。
上述のように、本実施形態におけるフルステップ駆動では、指令値生成器500cは、以下の式(11)にようにして指令位相θ_refを生成して出力する。
θ_ref=45°+90°*n (11)
なお、パルス生成器500bから出力されるパルスの個数nは、指令位相に対応する。また、パルス生成器500bから出力されるパルスの周期(周波数)は、指令速度に対応する。
θ_ref=45°+90°*n (11)
なお、パルス生成器500bから出力されるパルスの個数nは、指令位相に対応する。また、パルス生成器500bから出力されるパルスの周期(周波数)は、指令速度に対応する。
生成された指令位相θ_refは定電流制御器517に入力され、定電流制御器517は指令位相θ_ref及び予め決められた電流ベクトルの大きさに基づいて電流指令値iα_ref及びiβ_refを生成し、フルステップ駆動方式による定電流制御を行う。
以上のように、上述のフルステップ駆動方式ではA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は図7に示すように変化する。具体的には、A相及びB相の巻線に流れる駆動電流はパルスに応じて向きが変わる。(即ち、電流波形は矩形波状になる)。
また、本実施形態におけるフルステップ駆動方式では、パルスに応じて指令位相θ_refが90°ずつ加算される。指令位相θ_refが90°ずつ進むことによって、例えば、指令位相θ_refが90°未満進む場合よりも回転子に発生させるトルクを大きくすることができる。
{マイクロステップ駆動方式}
次に、マイクロステップ駆動方式について説明する。なお、前述したように、本実施形態では、マイクロステップ駆動方式はベクトル制御中に行われる駆動方式である。
次に、マイクロステップ駆動方式について説明する。なお、前述したように、本実施形態では、マイクロステップ駆動方式はベクトル制御中に行われる駆動方式である。
図8は、マイクロステップ駆動方式を行う方法の例を示す図である。図8には、パルス生成器500bによって生成されるパルス、指令値生成器500cによって生成される指令位相θ_ref、A相及びB相の巻線に流れる電流が示されている。
以下に、図5及び図8を用いて、本実施形態におけるマイクロステップ駆動を行う方法について説明する。なお、図8に示すパルス及び指令位相は、回転子が一定速度で回転している状態を示す。
マイクロステップ駆動方式とは、指令位相θ_refの進み量をフルステップ駆動方式よりも小さくすることによってモータを駆動する駆動方式である。具体的には、マイクロステップ駆動方式における指令位相θ_refの進み量は、フルステップ駆動方式における指令位相θ_refの進み量である90°が1/N(Nは正の整数)に分割された量(90°/N)である。この結果、電流波形は図8に示すように正弦波状に滑らかに変化し、その結果、回転子の回転位相θをより細かく制御することができる。
マイクロステップ駆動が行われる場合、パルス生成器500bは、回転速度ω_ref´に基づいて図8に示すようなパルスを生成して出力する。そして、指令値生成器500cは、パルス生成器500bから出力されたパルスに基づいて、以下の式(12)にようにして指令位相θ_refを生成して出力する。
θ_ref=45°+90/N°*n (12)
このように、指令値生成器500cは、パルス生成器500bからパルスが1個入力されると、指令位相θ_refに90/N°を加算することによって指令位相θ_refを更新する。即ち、パルス生成器500bから出力されるパルスの個数は、指令位相に対応する。なお、パルス生成器500bから出力されるパルスの周期(周波数)は、指令速度に対応する。
θ_ref=45°+90/N°*n (12)
このように、指令値生成器500cは、パルス生成器500bからパルスが1個入力されると、指令位相θ_refに90/N°を加算することによって指令位相θ_refを更新する。即ち、パルス生成器500bから出力されるパルスの個数は、指令位相に対応する。なお、パルス生成器500bから出力されるパルスの周期(周波数)は、指令速度に対応する。
生成された指令位相θ_refはベクトル制御器518に入力され、ベクトル制御器518は前述したマイクロステップ駆動方式によるベクトル制御を行う。
以上のように、本実施形態では、定電流制御が行われている期間はフルステップ駆動方式が用いられる。この結果、マイクロステップ駆動で定電流制御を行う場合よりも大きなトルクを回転子に発生させることができ、モータが脱調することを抑制することができる。
また、回転子の回転位相θに基づいて駆動電流の制御が行われるベクトル制御ではマイクロステップ駆動方式が用いられる。この結果、回転子の回転位相θをより細かく制御することができる。
<制御方法及び駆動方式の切り替え>
前述したように、本実施形態における定電流制御ではフルステップ駆動方式が用いられる。また、本実施形態におけるベクトル制御ではマイクロステップ駆動方式が用いられる。したがって、制御方法が定電流制御からベクトル制御に切り替わることに伴い、駆動方式をフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える必要がある。
前述したように、本実施形態における定電流制御ではフルステップ駆動方式が用いられる。また、本実施形態におけるベクトル制御ではマイクロステップ駆動方式が用いられる。したがって、制御方法が定電流制御からベクトル制御に切り替わることに伴い、駆動方式をフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える必要がある。
以下に、制御方法及び駆動方式を切り替える方法を説明する。
図4に示すように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、制御方法及び駆動方式を切り替える構成を有する。具体的には、モータ制御装置157は、指令生成器500、制御切替器515、切替スイッチ516a、516b、517cを有する。なお、定電流制御が行われている期間中、ベクトル制御を行う回路は稼働していても良いし、停止していてもよい。また、ベクトル制御が行われている期間中、定電流制御を行う回路は稼働していても良いし、停止していてもよい。
図5に示すように、制御切替器515は、定電流制御とベクトル制御との切り替えを行うか否かを速度生成器500aから出力された回転速度ω_ref´に基づいて判定する制御切替判定器515aを有する。また、制御切替器515は、制御切替判定器515aの判定結果とパルス生成器500bから出力されるパルス情報とに基づいて制御方法及び駆動方式を切り替える切替器515bを有する。なお、パルス情報には、パルス生成器500bによって生成されるパルスの周期、フルステップ駆動における励磁相を切り替えるタイミング等が含まれる。
{ベクトル制御と定電流制御との切り替えを判定する構成}
まず、図5及び図9を用いて、制御切替判定器515aが定電流制御とベクトル制御との切り替えを行うか否かを判定する構成について説明する。
まず、図5及び図9を用いて、制御切替判定器515aが定電流制御とベクトル制御との切り替えを行うか否かを判定する構成について説明する。
図9は、回転速度ω_ref´と閾値ωthとの関係を示す図である。なお、図9に示す時刻tc1は、回転速度ω_ref´が閾値ωthより小さい値から閾値ωthより大きい値へと変化するタイミングを示す。また、図9に示す時刻tc2は、回転速度ω_ref´が閾値ωthより大きい値から閾値ωthより小さい値へと変化するタイミングを示す。
制御切替判定器515aは、回転速度ω_ref´と閾値ωthとを比較することによって、定電流制御とベクトル制御との切り替えを行うか否かを判定し、判定結果を示す指示信号Aを切替器515bに出力する。具体的には、制御切替判定器515aは、入力された回転速度ω_ref´が閾値ωthより小さい場合は定電流制御を行うことを示す指示信号Aとして‘0’を出力する。また、制御切替判定器515aは、入力された回転速度ω_ref´が閾値ωth以上である場合はベクトル制御を行うことを示す指示信号Aとして‘1’を出力する。なお、制御切替判定器515aは、速度生成器500aが回転速度ω_ref´を出力する周期に対応する周期で当該指示信号Aを出力する。また、本実施形態における閾値ωthは、回転位相θが精度よく決定される回転速度のうち最も小さい回転速度に設定されるが、この限りではない。例えば、閾値ωthは、回転位相θが精度よく決定される回転速度のうち最も小さい回転速度以上の値に設定されてもよい。また、閾値ωthは、例えば、制御切替器515に設けられたメモリ515dに予め保存されている。
{切替器515bが制御方法及び駆動方式を切り替える構成}
次に、切替器515bが制御切替判定器515aから出力される指示信号Aとパルス生成器500bから出力されるパルス情報とに基づいて制御方法及び駆動方式を切り替える構成を説明する。
次に、切替器515bが制御切替判定器515aから出力される指示信号Aとパルス生成器500bから出力されるパルス情報とに基づいて制御方法及び駆動方式を切り替える構成を説明する。
図5に示すように、切替器515bは、フルステップ駆動を行うかマイクロステップ駆動を行うかを指示する指示信号Bを指令生成器500に出力する。なお、切替器515bは、例えば、制御切替判定器515aが指示信号Aを出力する周期と同じ周期で指示信号Bを出力する。なお、指示信号B‘0’はフルステップ駆動を行うことを示し、指示信号B‘1’はマイクロステップ駆動を行うことを示す。
図10は、図9に示す時刻tc1において制御方法が定電流制御からベクトル制御に切り替わる(即ち、時刻tc1において駆動方式がフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替わる)場合のタイミングチャートである。図10には、フルステップ駆動を行うパルス(フルステップ駆動パルス)とマイクロステップ駆動を行うパルス(マイクロステップ駆動パルス)とが示されている。また、図10には、フルステップ駆動パルス及びマイクロステップ駆動パルスに応じて変化する指令位相が示されている。なお、図10では、時刻tc1は、フルステップ駆動において励磁される巻線の相が切り替わる時刻ta1より後であり且つ次に励磁される巻線の相が切り替わる時刻ta2より前の時刻として示されている。
前述したように、フルステップ駆動方式においては、励磁される巻線の相が切り替わる毎に、巻線に供給される電流の向きが逆方向に切り替わる。巻線に供給される電流の向きが逆方向に切り替わると、当該電流は変動する。つまり、図10に示す時刻ta1の直後に、巻線に流れる電流は大きく変動する。なお、当該変動の幅は時刻ta1から時間が経過するほど小さくなる。
したがって、図10に示すように、時刻tc1において制御方法が定電流制御からベクトル制御に切り替わると(駆動方式がフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替わると)、電流の変動幅が比較的大きい状態において駆動方式が切り替わってしまう。この結果、モータの駆動(制御)が不安定になってしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、以下の構成がモータ制御装置157に適用されることによって、モータの駆動方式が切り替わる際にモータの駆動が不安定になってしまうことを抑制する。
本実施形態では、切替器515bは、制御切替判定器515aから出力される指示信号Aが‘0’から‘1’又は‘1’から‘0’に切り替わったら、パルス情報に基づいて制御方式及び駆動方式を切り替える。
図11は、本実施形態における、制御方法及び駆動方式を切り替える方法を説明する図である。図11(a)は、定電流制御且つフルステップ駆動からベクトル制御且つマイクロステップ駆動に制御方法及び駆動方式を切り替える方法を示すタイムチャートである。また、図11(b)は、回転速度ω_ref´と閾値ωthとの関係を示す図である。なお、図11(a)においては、説明の便宜上、回転子が一定速度で回転している場合のパルス及び指令位相が示されているが、実際には制御方法及び駆動方式の切り替えは回転子の加速中に行われる。
切替器515bは、図11(a)に示すように、制御切替判定器515aから出力される指示信号Aが‘0’から‘1’に切り替わった後の最初に励磁相の切り替えが行われるタイミング(時刻ta2)において、モータの制御方法及び駆動方式を切り替える。
具体的には、切替器515bは、時刻ta2において、指示信号Bを‘0’から‘1’に切り替える。この結果、指令生成器500は当該指示信号Bの切り替えに応じて駆動方式をフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える。より具体的には、パルス生成器500bは当該指示信号Bの切り替えに応じて、生成するパルスをフルステップ駆動パルスからマイクロステップ駆動パルスに切り替える。また、指令値生成器500cは、パルス生成器500bから出力されるパルスに基づいて指令位相θ_refを生成する方法を式(11)から式(12)に切り替える。この結果、駆動方式がフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替わる。
また、切替器515bは、時刻ta2において、切替スイッチ516a、516b、516cの状態を切り替える。具体的には、切替器515bは、時刻ta2において、モータ509がベクトル制御器518によって制御されるように切替スイッチ516a、516b、516cの状態を制御する。その結果、ベクトル制御器518によるベクトル制御が行われる。
以上のように、本実施形態では、時刻tc1で回転速度ω_ref´が閾値ωthより小さい値から閾値ωthより大きい値へと変化しても、モータの制御方法及び駆動方式は切り替えない。そして、時刻tc1より後の最初に励磁相の切り替えが行われるタイミング(時刻ta2)において、モータの制御方法及び駆動方式を定電流制御かつフルステップ駆動からベクトル制御且つマイクロステップ駆動に切り替える。
このような構成が制御方法及び駆動方式の切り替えに適用されることによって、巻線に流れる電流の変動幅が比較的大きい状態において駆動方式が切り替わってしまうことを抑制することができる。この結果、モータの駆動が不安定になることを抑制することができる。
なお、制御方法及び駆動方式をベクトル制御且つマイクロステップ駆動から定電流制御かつフルステップ駆動に切り替える際には、以下の方法が用いられる。
具体的には、切替器515bは、制御切替判定器515aから出力される指示信号Aが‘1’から‘0’に切り替わると、指示信号Aが切り替わった後の最初のフルステップ駆動における励磁相切り替えタイミングにおいて指示信号Bを‘1’から‘0’に切り替える。即ち、切替器515bは、制御切替判定器515aから出力される指示信号Aが‘1’から‘0’に切り替わっても、フルステップ駆動における励磁相切り替えタイミングまで指示信号Bを‘1’から‘0’に切り替えない。
指令生成器500は当該指示信号Bの切り替えに応じて駆動方式をマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替える。より具体的には、パルス生成器500bは当該指示信号Bの切り替えに応じて、生成するパルスをマイクロステップ駆動パルスからフルステップ駆動パルスに切り替える。また、指令値生成器500cは、パルス生成器500bから出力されるパルスに基づいて指令位相θ_refを生成する方法を式(12)から式(11)に切り替える。この結果、駆動方式がマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替わる。
また、切替器515bは、フルステップ駆動における励磁相切り替えタイミングで、切替スイッチ516a、516b、516cの状態を切り替える。具体的には、切替器515bは、フルステップ駆動における励磁相切り替えタイミングで、モータ509が定電流制御器517によって制御されるように切替スイッチ516a、516b、516cの状態を制御する。その結果、定電流制御器517による定電流制御が行われる。
図12は、モータ制御装置157によるモータの制御方法を示すフローチャートである。以下に、図12を用いて、本実施形態におけるモータ509の制御について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aからの指示を受けたモータ制御装置157によって実行される。
まず、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘H’が出力されると、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の駆動を開始する。enable信号とは、モータ制御装置157の稼働を許可又は禁止する信号である。enable信号が‘L(ローレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置157の稼働を禁止する。即ち、モータ制御装置157によるモータ509の制御は終了される。また、enable信号が‘H(ハイレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置157の稼働を許可して、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の制御を行う。
次に、S1001において、制御切替判定器515aは、指示信号Aを‘0’にして切替器515bに出力する。切替器515bは、当該指示信号Aに応じて、指示信号Bを‘0’にして指令生成器500に出力する。また、切替器515bは、モータ509が定電流制御器517によって制御されるように切替スイッチ516a、516b、516cの状態を制御する。その結果、定電流制御器517によるフルステップ駆動の定電流制御が行われる。
その後、S1002において、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘L’が出力された場合は、モータ制御装置157はモータ509の駆動を終了する。
また、S1002おいて、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘H’が出力されている場合は、モータ制御装置157は処理をS1003に進める。
次に、S1003において、回転速度ω_ref´が閾値ωth未満である場合は、処理は再びS1001に戻る。即ち、定電流制御器517による定電流制御が維持される。
また、S1003において、回転速度ω_ref´が閾値ωth以上である場合は、処理はS1004に進む。
S1004において、励磁相の切り替えタイミング(時刻ta2)になると、S1005において、制御切替判定器515aは、指示信号Aを‘0’から‘1’に切り替えて切替器515bに出力する。切替器515bは、当該指示信号Aに応じて、指示信号Bを‘0’から‘1’に切り替えて指令生成器500に出力する。また、切替器515bは、モータ509がベクトル制御器518によって制御されるように切替スイッチ516a、516b、516cの状態を制御する。その結果、ベクトル制御器518によるマイクロステップ駆動のベクトル制御が行われる。
その後、S1006において、回転速度ω_ref´が閾値ωth以上である場合は、処理は再びS1005に戻り、ベクトル制御器518によるマイクロステップ駆動のベクトル制御が続行される。
また、S1006において、回転速度ω_ref´が閾値ωthより小さい場合は、処理は再びS1001に戻り、制御切替判定器515aは、指示信号Aを‘1’から‘0’に切り替えて切替器515bに出力する。切替器515bは、当該指示信号Aに応じて、指示信号Bを‘1’から‘0’に切り替えて指令生成器500に出力する。また、切替器515bは、モータ509が定電流制御器517によって制御されるように切替スイッチ516a、516b、516cの状態を制御する。その結果、定電流制御器517によるフルステップ駆動の定電流制御が行われる。
以降、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘L’が出力されるまで、モータ制御装置157は上述の制御を繰り返し行う。なお、ベクトル制御中であっても、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘L’が出力された場合は、モータ制御装置157はモータの制御を中止する。
以上のように、本実施形態では、時刻tc1で回転速度ω_ref´が閾値ωthより小さい値から閾値ωthより大きい値へと変化しても、モータの制御方法及び駆動方式は切り替えない。そして、時刻tc1より後の最初に励磁相の切り替えが行われるタイミング(時刻ta2)において、モータの制御方法及び駆動方式を定電流制御かつフルステップ駆動からベクトル制御且つマイクロステップ駆動に切り替える。
このような構成が制御方法及び駆動方式の切り替えに適用されることによって、巻線に流れる電流の変動幅が比較的大きい状態において駆動方式が切り替わってしまうことを抑制することができる。この結果、モータの駆動が不安定になることを抑制することができる。
なお、マイクロステップ駆動方式においては、巻線に供給される電流の位相がフルステップ駆動方式に比べて滑らかに切り替わる。したがって、巻線に供給される駆動電流が変化した後の当該電流の変動幅は、フルステップ駆動方式における変動幅に比べて非常に小さい。そのため、切替器515bは、制御切替判定器515aから出力される指示信号Aに基づいて制御方法及び駆動方式をベクトル制御且つマイクロステップ駆動から定電流制御かつフルステップ駆動に切り替える。
なお、モータの制御方法及び駆動方式を切り替えるタイミングは、回転速度ω_ref´が閾値ωthより大きくなった後の最初に励磁相が切り替わるタイミングに限らない。例えば、回転速度ω_ref´が閾値ωthより大きくなった後、二回目(複数回目)に励磁相が切り替わるタイミングでモータの制御方法及び駆動方式を切り替える構成であってもよい。
なお、本実施形態においては、パルス生成器500bは、フルステップ駆動が行われる場合はフルステップ駆動パルスを生成し、マイクロステップ駆動が行われる場合はマイクロステップ駆動パルスを生成したが、この限りではない。例えば、図13に示すように、パルス生成器500bは、フルステップ駆動中であってもマイクロステップ駆動パルスを生成する構成であってもよい。この場合、指令値生成器500cは、フルステップ駆動中はパルス生成器500bから出力されたパルスの立ちあがりエッジをN個検出すると、指令位相θ_refに90°を加算することによって指令位相θ_refを更新する。また、指令値生成器500cは、マイクロステップ駆動中はパルス生成器500bから出力されたパルスの立ちあがりエッジを1個検出するごとに、指令位相θ_refに90/N°を加算することによって指令位相θ_refを更新する。なお、駆動方式及び制御方法の切り替え方法は、本実施形態において説明した方法が適用される。
また、本実施形態におけるフルステップ駆動方式では、二相励磁方式が用いられたが、一相励磁方式やハーフステップ励磁方式(1−2相励磁方式)が用いられてもよい。
また、本実施形態では、定電流制御且つフルステップ駆動方式からベクトル制御且つマイクロステップ駆動方式に制御方法及び駆動方式を同時に切り替えたが、この限りではない。例えば、定電流制御且つフルステップ駆動でモータを制御している状態から駆動方式をフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替え、その後、制御方法を定電流制御からベクトル制御に切り替える構成であってもよい。この場合、指示信号Aが‘0’であって、フルステップ駆動による励磁相の切り替えが行われるタイミングにおいて、切替器515bが指示信号Bを‘0’から‘1’に切り替える。この結果、駆動方式がフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替わる。その後、指示信号Aが‘0’から‘1’に切り替わると、切替器515bは切替スイッチを制御することによって制御方法を定電流制御からベクトル制御に切り替える。
また、例えば、定電流制御且つフルステップ駆動でモータを制御している状態から制御方法を定電流制御からベクトル制御に切り替え、その後、駆動方式をフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える構成であってもよい。この場合、指示信号Aが‘0’から‘1’に切り替わると、切替器515bは切替スイッチを制御することによって制御方法を定電流制御からベクトル制御に切り替える。その後、フルステップ駆動による励磁相の切り替えが行われるタイミングにおいて、切替器515bが指示信号Bを‘0’から‘1’に切り替える。この結果、駆動方式がフルステップ駆動からマイクロステップ駆動に切り替わる。
また、本実施形態における定電流制御では、静止座標系における電流値に基づいて巻線に流れる駆動電流が制御されたが、この限りではない。例えば、指令位相θ_refを基準とする回転座標系における電流値に基づいて巻線に流れる駆動電流が制御されてもよい。
また、本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を行う回路と定電流制御を行う回路とにおいて、一部共有している部分(電流制御器503、504、PWMインバータ506等)があるが、この限りではない。例えば、ベクトル制御を行う回路と定電流制御を行う回路とがそれぞれ独立に設けられている構成であっても良い。
また、本実施形態において、ベクトル制御器518を用いてモータ509の駆動を制御する回路は本発明における第1制御回路に相当する。更に、本実施形態において、定電流制御器517を用いてモータ509の駆動を制御する回路は本発明における第2制御回路に相当する。
また、本実施形態においては、モータは2相モータであったが、3相モータ等の他のモータであっても本実施形態を適用することができる。
また、本実施形態においては、回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
157 モータ制御装置
402 回転子
500 指令生成器
502 位相制御器
509 モータ
515 制御切替器
402 回転子
500 指令生成器
502 位相制御器
509 モータ
515 制御切替器
Claims (18)
- 予め決められたパルス列に基づいて、第1の変化量で変化する第1の指令位相と前記第1の変化量よりも小さい第2の変化量で変化する第2の指令位相とを生成する生成手段と、
前記第1の指令位相に基づいて決定される前記巻線に供給すべき電流に基づいて前記モータを駆動する第1モードと、前記第2の指令位相に基づいて決定される前記巻線に供給すべき電流に基づいて前記モータを駆動する第2モードと、を駆動モードとして備える制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記駆動モードが前記第1モードから前記第2モードに切り替えることが決定されている状態において、前記第1モード中に前記巻線に供給すべき電流が変化するタイミングで、前記駆動モードを前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記生成手段は、
上位装置から前記モータ制御装置に入力される指令に基づいて前記回転子の目標速度に対応する回転速度を決定する速度決定手段と、
前記速度決定手段によって決定される回転速度に基づいて前記パルス列を生成するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段によって生成された前記パルス列に基づいて前記第1の指令位相又は前記第2の指令位相を生成する指令生成手段と、
を有し、
前記パルス生成手段は、前記第1モードが実行される期間は前記第1の変化量に対応するパルスを生成して出力し、前記第2モードが実行される期間は前記第2の変化量に対応するパルスを生成して出力し、
前記指令生成手段は、前記第1の変化量に対応するパルスが1個入力されると前記第1の指令位相に前記第1の変化量を加算することによって前記第1の指令位相を更新し、前記第2の変化量に対応するパルスが1個入力されると前記第2の指令位相に前記第2の変化量を加算することによって前記第2の指令位相を更新することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記生成手段は、
上位装置から前記モータ制御装置に入力される指令に基づいて前記回転子の目標速度に対応する回転速度を決定する速度決定手段と、
前記速度決定手段によって決定される回転速度に基づいて前記パルス列を生成するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段によって生成された前記パルス列に基づいて前記第1の指令位相又は前記第2の指令位相を生成する指令生成手段と、
を有し、
前記第2の変化量は、前記第1の変化量が所定値で除算された量であり、
前記指令生成手段は、前記第1モードが実行される期間は、前記パルス生成手段によって生成されるパルスが前記所定値に対応する個数入力されると前記第1の指令位相に前記第1の変化量を加算することによって前記第1の指令位相を更新し、前記第2モードが実行される期間は、前記パルス生成手段によって生成されるパルスが1個入力されると前記第2の指令位相に前記第2の変化量を加算することによって前記第2の指令位相を更新することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記モータ制御装置は、
前記巻線に流れる駆動電流を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記生成手段によって生成された前記指令位相と予め決められた大きさの電流とに基づいて前記駆動電流を制御する第1制御モードと、前記生成手段によって生成された前記指令位相と前記位相決定手段によって決定された回転位相との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とした回転座標系において表される、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分と前記巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分とに基づいて前記巻線に流れる駆動電流を制御する第2制御モードと、を制御モードとして備え、
前記制御手段は、前記第1制御モードを行う際は前記第1モードを実行し、前記第2制御モードを行う際は前記第2モードを実行し、
前記制御手段は、前記第1モード及び前記第1制御モードを実行している状態において、前記回転子の目標速度に対応する回転速度が所定速度より小さい値から前記所定速度より大きい値になった後の前記巻線に供給すべき電流が変化するタイミングで、前記駆動モードを前記第2モードに切り替え、前記制御モードを前記第2制御モードに切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。 - 前記制御手段は、前記第1モード及び前記第1制御モードを実行している状態において、前記回転子の目標速度に対応する回転速度が所定速度より小さい値から前記所定速度より大きい値になった後の最初に前記巻線に供給すべき電流が変化するタイミングで、前記駆動モードを前記第2モードに切り替え、前記制御モードを前記第2制御モードに切り替えることを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
- 前記制御手段は、
前記第1制御モードが実行される場合に、前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに駆動電流を供給する第1制御回路と、
前記第2制御モードが実行される場合に、前記第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに駆動電流を供給する第2制御回路と、
前記第1制御回路を用いて前記モータを制御するか、前記第2制御回路を用いて前記モータを制御するかを切り替えることを示す信号を前記生成手段に出力する切替手段と、
を有し、
前記生成手段は、前記第1制御回路を用いて前記モータを制御することを示す信号が前記切替手段から出力された場合は前記第1の指令位相を生成し、前記第2制御回路を用いて前記モータを制御することを示す信号が前記切替手段から出力された場合は前記第2の指令位相を生成することを特徴とする請求項4又は5に記載のモータ制御装置。 - 前記制御手段は、
前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに駆動電流を供給する供給手段と、
前記供給手段を駆動する駆動電圧を生成する電圧生成手段と、
前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記モータの回転子の回転によって前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線に誘起される誘起電圧の大きさを決定する誘起電圧決定手段と、
を有し、
前記位相決定手段は、前記誘起電圧決定手段によって決定された前記第1相の誘起電圧の大きさと前記第2相の誘起電圧の大きさとに基づいて前記モータの回転子の回転位相を決定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。 - 前記所定速度は、前記位相決定手段が前記誘起電圧決定手段によって決定された前記第1相の誘起電圧の大きさと前記第2相の誘起電圧の大きさとに基づいて前記モータの回転子の回転位相を決定することができる回転速度に設定されることを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
- 前記目標速度に対応する回転速度は、所定の時間周期で変化することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 前記第1の変化量は90°であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 前記制御手段は、前記第1駆動モードでは、前記モータの第1相及び第2相を励磁する2相励磁方式に基づいて前記モータを駆動することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 前記制御手段は、前記第2制御モードでは、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記励磁電流成分の値が0になるように制御し、前記検出手段によって検出された前記駆動電流の前記トルク電流成分の値を制御することによって、前記巻線に流れる駆動電流を制御することを特徴とする請求項4乃至11のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 前記制御手段は、
前記指令位相と前記位相決定手段によって決定された回転位相との偏差が小さくなるように前記トルク電流成分の目標値と前記励磁電流成分の目標値とを生成して出力する位相制御手段と、
前記位相決定手段によって決定された回転位相に基づいて、前記検出手段によって検出された静止座標系の電流値を前記回転座標系の電流値へと変換する変換手段と、
を有し、
前記電圧生成手段は、前記位相制御手段から出力された前記トルク電流成分の目標値と前記変換手段によって変換されたトルク電流成分の値との偏差及び前記位相制御手段から出力された前記励磁電流成分の目標値と前記変換手段によって変換された励磁電流成分の値との偏差が小さくなるように前記回転座標系の駆動電圧を生成し、
更に、前記制御手段は、前記位相決定手段によって決定された回転位相に基づいて、前記生成手段によって生成された前記回転座標系の駆動電圧を前記静止座標系の駆動電圧に逆変換する逆変換手段を有し、
前記供給手段は、前記逆変換手段によって逆変換された駆動電圧によって駆動されることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載のモータ制御装置。 - シートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動するモータと、
前記モータを駆動する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
を有し、
前記モータ制御装置は、前記搬送ローラを駆動するモータの駆動を制御することを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項14に記載のシート搬送装置と、
原稿を積載する原稿積載部と、
を有し、
前記原稿積載部に積載された前記原稿を前記シート搬送装置が給送することを特徴とする原稿給送装置。 - 請求項15に記載の原稿給送装置と、
前記原稿給送装置によって給送された前記原稿を読み取る読取手段と、
を有することを特徴とする原稿読取装置。 - 記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
負荷を駆動するモータと、
前記モータを駆動する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記負荷は、前記記録媒体を搬送する搬送ローラであることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017143684A JP2019030038A (ja) | 2017-07-25 | 2017-07-25 | モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 |
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