JP2018121400A - モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 正弦波状に変化する駆動電流の電流値の変化度に基づいてノイズの有無を判定すると、誤った判定結果に基づいて電流値を補正してしまう可能性がある。【解決手段】 回転座標系における電流値の変化量に基づいて、回転座標系において表される電流値の電流成分及び回転子の回転位相を補正する。具体的には、変化量が閾値より大きい場合は、電流値及び回転位相を補正する。また、変化量が閾値より小さい場合は、電流値及び回転位相を補正しない。【選択図】 図8

Description

本発明は、モータの巻線に流れる電流を検出するモータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
従来、モータの駆動制御において、モータの巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出された電流値に基づいて、巻線に流れる駆動電流を制御する制御方法が知られている。
検出される駆動電流の電流値には、ノイズが含まれていることがある。ノイズを含む電流値に基づいてモータを制御すると、モータの制御が不安定になってしまう。
そこで、検出した電流値に含まれるノイズを検知し、ノイズが含まれる場合には、当該電流値を補正する構成が知られている。具体的には、例えば、検出した電流値の所定期間における変化量が所定値以上である場合に、当該電流値を補正する構成が知られている。なお、以下の説明においては、所定期間における変化量を変化度と称する。
また、特許文献1では、検出された駆動電流が正弦波状に変化することが記載されている。
特開2008−167553号公報
前記特許文献1で述べられているようにモータの巻線に流れる駆動電流が正弦波状に変化する場合、電流値は、モータの回転子の回転速度及び回転子に与えるトルクに応じた変化量で変化している。具体的には、回転子の回転速度が速ければ速いほど正弦波の周期は短くなり、その結果、電流値の変化度は大きくなる。また、回転子に与えるトルクが大きければ大きいほど正弦波の振幅は増大し、その結果、電流値の変化度は大きくなる。
このように、モータの巻線に流れる駆動電流が正弦波状に変化する場合、電流値の変化度は、電流値にノイズが含まれていない場合であっても、モータの回転子の回転状況によって変化する。
したがって、モータの回転子の回転が加速したり回転子に与えるトルクが大きくなったりすることによって電流値の変化度が増大すると、電流値にノイズが含まれていないにも拘らず、電流値の変化度が所定値よりも大きくなる可能性がある。この場合、電流値にノイズが含まれていないにも拘らず、電流値にノイズが含まれていると誤判定してしまう可能性がある。仮に、電流値の変化度が増大することを考慮して、所定値をモータ制御中における電流値の最大の変化度よりも大きい値に設定すると、ノイズが小さい場合には、電流値にノイズが含まれているにもかかわらず、ノイズを見逃してしまう可能性がある。
また、モータの回転子の回転が減速したり回転子に与えるトルクが小さくなったりすることによって電流値の変化度が減少すると、電流値にノイズが含まれている場合であっても、ノイズを含む電流値の変化度が所定値よりも小さくなる可能性がある。この場合、電流値にノイズが含まれているにも拘らず、電流値にノイズが含まれていないと誤判定してしまう可能性がある。仮に、電流値の変化度が減少することを考慮して、所定値をモータ制御中における電流値の最小の変化度よりも小さい値に設定すると、電流値にノイズが含まれていないにもかかわらず、電流値にノイズが含まれていると誤判定してしまう可能性がある。
以上のように、正弦波状に変化する駆動電流の電流値の変化度に基づいてノイズの有無を判定すると、誤った判定結果に基づいて電流値を補正してしまう可能性がある。
上記課題に鑑み、本発明は、モータの回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される電流値の電流成分に基づいて、回転座標系において表される電流値の電流成分及び回転子の回転位相を補正することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、
モータの回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される電流値の電流成分である第1の電流成分と前記第1の電流成分と異なる第2の電流成分とに基づいて前記モータを制御するモータ制御装置において、
前記モータの巻線に流れる駆動電流の電流値を所定の周期で検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記所定の周期で検出された電流値に基づいて前記回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
前記検出手段によって前記所定の周期で検出された電流値を前記回転座標系における電流値に変換する変換手段と、
前記変換手段から取得した電流値の前記第1の電流成分の値と前記第2の電流成分の値とを補正する第1の補正手段と、
前記位相決定手段から取得した回転位相を補正する第2の補正手段と、
前記第2の補正手段が適用された回転位相と前記回転子の目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記第1の補正手段が適用された前記第1の電流成分の値と前記第2の電流成分の値とに基づいて前記モータを制御する制御手段と、
を有し、
第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第1の電流成分の値である第1の値と前記第1のタイミングよりも前の第2のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第1の電流成分の値である第2の値との差分値が所定値以上である場合は、前記第1の補正手段は前記第1の値と前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第2の電流成分の値とを補正し、前記第2の補正手段は前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した回転位相を補正することを特徴とする。
本発明によれば、ノイズの有無を誤って判定してしまうことを抑制することができる。この結果、誤った判定結果に基づいて電流値を補正してしまうことを抑制することができる。
第1実施形態に係る画像形成装置を説明する断面図である。 前記画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。 A相及びB相から成る2相のモータと回転座標系のd軸及びq軸との関係を示す図である。 第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 モータ駆動回路の構成の例を示す図である。 PWM+、PWM−及び巻線L1に流れる駆動電流の電流値Iの関係を示すタイムチャートである。 第1実施形態における、検出された電流値及び該電流値に基づいて決定された回転位相の様子を示すタイムチャートである。 第1実施形態におけるモータ制御装置がモータを制御する方法を示すフローチャートである。 第2実施形態における、検出された電流値及び該電流値に基づいて決定された回転位相の様子を示すタイムチャートである。 速度フィードバック制御を行うモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、モータ制御装置は記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿給送装置201、読取装置202及び画像形成装置本体301を有する。
原稿給送装置201の原稿積載部203に積載された原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206に沿って読取装置202の原稿ガラス台214上に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送されて、排紙ローラ205によって不図示の排紙トレイへ排紙される。読取装置202の読取位置において照明209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部101に導かれ、画像読取部101によって画像信号に変換される。画像読取部101は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部101から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって各種補正処理が行われた後、画像形成装置本体301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
また、原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、一定速度で搬送される原稿の画像を、所定の位置に固定された照明系209及び光学系によって読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する照明系209及び光学系によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
画像形成装置本体301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、給紙ローラ303によって給送されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、給紙ローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムの帯電には、例えば、コロナ帯電器や帯電ローラを用いた帯電方法が用いられる。
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この際、レジストレーションローラ308は、トナー像にタイミングを合わせて、記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置157、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに記憶された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置157に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、各種装置からの信号(センサ類159からの信号)を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。なお、センサ類159には、搬送ローラによって搬送される記録媒体を検知するセンサ等が含まれる。
モータ制御装置157は、CPU151aから出力された指令に応じてモータ509を制御する。なお、図2においては、負荷を駆動するモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には複数個のモータが設けられているものとする。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図2においては、画像形成装置にモータ制御装置が1個しか設けられていないが、実際には、複数個のモータ制御装置が画像形成装置に設けられているものとする。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成中か否か、ジャム発生及びその発生箇所等の情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
[ベクトル制御]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。なお、本実施形態におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないものとする。
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置157がベクトル制御を行う方法について説明する。
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509とd軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)の値と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)の値とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する手法もある。
図4は、モータ509を制御するモータ制御装置157の構成の例を示すブロック図である。
図4に示すように、モータ制御装置157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、モータ509のA相及びB相の巻線に供給する駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当し、回転子402のトルクの発生には寄与しない。モータ制御装置157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。即ち、モータ制御装置157は、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。
モータ制御装置157は、モータ509の回転子402の回転位相を後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、所定の時間周期で指令位相θ_refをモータ制御装置157へ出力する。
減算器101は、位相補正器514から出力されたモータ509の回転子402の回転位相θ´と指令位相θ_refとの偏差を演算し、該偏差を位相制御器502に出力する。なお、位相補正器514については後述する。
位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力された偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力された偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、例えば、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流は、抵抗器200aにかかる電圧Vsnsに基づいて検出(決定)される。具体的には、抵抗器200aにかかる電圧Vsnsの信号がA/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換され、検出電流生成器541に入力される。検出電流生成器541は、A/D変換器510から入力される電圧Vsnsの値に基づいて、後述する方法により電流値を生成する。なお、モータ509のB相の巻線に流れる駆動電流も、A相の場合と同様の方法で検出される。
検出電流生成器541によって生成された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図3に示す電流ベクトルの位相θeによって次式のように表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512に入力される。
座標変換器511は、次式によって、電流値iα及びiβを回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに座標変換する。
id=cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
座標変換器511によって座標変換された電流値iq及び電流値idは、電流値補正器540に出力される。なお、電流値補正器540については後述する。
減算器102には、位相制御器502から出力されたq軸電流指令値iq_refと電流値補正器540から出力された電流値iqとが入力される。減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103には、位相制御器502から出力されたd軸電流指令値id_refと電流値補正器540から出力された電流値idとが入力される。減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、前記偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、前記偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。即ち、電流制御器503は、電圧生成手段として機能する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、例えば、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに座標逆変換する。
Vα=cosθ´*Vd−sinθ´*Vq (5)
Vβ=sinθ´*Vd+cosθ´*Vq (6)
座標逆変換器505は、回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに座標逆変換した後、Vα及びVβを誘起電圧決定器512及びPWMインバータ506に出力する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有している。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。即ち、PWMインバータ506は、モータ509の各相の巻線に電流を供給する電流供給手段として機能する。なお、フルブリッジ回路の具体的な構成については後述する。また、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、ハーフブリッジ回路等を有していても良い。
次に、回転位相θの決定方法について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。R及びLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置157に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータ509の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは位相補正器514及び座標変換器511に入力される。
位相補正器514は、位相決定器513から出力された回転位相θを後述する方法により補正し、補正した回転位相θ´を減算器101及び座標逆変換器505に出力する。
その後、モータ制御装置157はこの制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。また、位相フィードバック制御を行うことによって、回転子の回転位相が所望の位相になるように回転子の回転位相を制御することができる。したがって、画像形成装置において、回転子の回転位相を精度よく制御する必要がある負荷(例えば、レジストレーションローラ等)を駆動するモータに位相フィードバック制御を用いたベクトル制御が適用されることによって、記録媒体への画像形成を適切に行うことができる。
[モータ駆動回路]
以上のように、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値に基づいて巻線に供給する駆動電流を制御する。即ち、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する構成、及び、駆動電流を巻線に供給する構成が必要となる。
以下に、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する方法、及び、駆動電流を巻線に供給する方法について説明する。
図5は、PWMインバータ506内部に設けられたモータ駆動回路(フルブリッジ回路)50の構成の例を示す図である。なお、モータ駆動回路は、モータ509のA相とB相それぞれに対応して設けられている。また、図5における巻線L1は、実際には、モータ509に設けられている巻線である。即ち、巻線L1はモータ制御装置157の外部に設けられている。
図5に示すように、モータ駆動回路50には、スイッチング素子としてのFET Q1〜Q4及びモータの巻線等が設けられている。具体的には、FET Q1〜Q4はブリッジ接続され、巻線L1は、FET Q1とQ3との接続点とFET Q2とQ4との接続点とを橋絡するように接続されている。
また、FET Q1及びQ2のドレイン端子は24Vの電源端子に接続され、FET Q3及びQ4のソース端子は、抵抗器200の一端に接続される。更に、抵抗器200の他端はグラウンド(GND)に接続される。
FET Q1及びQ4は、駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM信号であるPWM+によって駆動される。また、FET Q2及びQ3は、PWM+と逆位相のPWM信号であるによって駆動される。PWM+が‘H(ハイレベル)’である場合は、PWM−は‘L(ローレベル)’である。また、PWM−が‘H’である場合は、PWM+は‘L’である。なお、PWM信号が‘H’である場合はFETの動作はオン状態となり、PWM信号が‘L’である場合はFETの動作はオフ状態となる。
次に、図6を用いて、モータ駆動回路50の動作を説明する。
図6は、PWM+、PWM−及び巻線L1に流れる駆動電流の電流値Iの関係を示すタイムチャートである。
図6において、期間T1は、巻線L1に流れる駆動電流Iが正、即ち、図5に示す矢印の方向に駆動電流Iが流れる期間である。また、期間T2は、巻線L1に流れる駆動電流Iが負、即ち、図5に示す矢印と逆方向に駆動電流Iが流れる期間である。
期間T1において、PWM+が‘H(ハイレベル)’である場合は、電源1、FET Q1、巻線L1、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘L(ローレベル)’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q3、巻線L1、FET Q2、電源1の順に駆動電流が流れる。また、期間T2において、PWM+が‘L’である場合は、電源1、FET Q2、巻線L1、FET Q3、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘H’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q4、巻線L1、FET Q1、電源1の順に駆動電流が流れる。
電流値Iは、抵抗器200にかかる電圧Vsnsに基づいて検出される。しかしながら、前述したように、期間T1において、PWM+が‘H’である場合は、電源1、FET Q1、巻線L1、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。また、期間T1において、PWM+が‘L’である場合は、GND、FET Q3、巻線L1、FET Q2、電源1の順に駆動電流が流れる。即ち、期間T1において、駆動電流が電源側からGNDへ向かう方向に流れる場合と、駆動電流がGNDから電源側へ向かう方向に流れる場合とがある。なお、期間T2についても同様である。したがって、図1に示す位置に抵抗器を設け、該抵抗器の両端の電圧Vsnsに基づいて駆動電流Iを検出すると、駆動電流Iが正であるか負であるかを正確に判定できない。即ち、駆動電流が流れる方向を正確に判定できない。
[検出電流生成器]
そこで、本実施形態におけるモータ制御装置157には、電圧Vsnsの極性を制御する構成が設けられている。具体的には、検出電流生成器541が設けられている。
図3に示すように、検出電流生成器541には、PWMインバータ506からPWM+及びPWM−に関する情報が入力される。検出電流生成器541は、PWM+が‘L’(PWM−が‘H’)の場合に、A/D変換器510から入力される電圧Vsnsの極性を反転させ、極性を反転した値に基づいて電流値を生成する。また、検出電流生成器541は、PWM+が‘H’(PWM−が‘L’)の場合に、A/D変換器510から入力される電圧Vsnsの極性を反転させず、A/D変換器510から入力された値に基づいて電流値を生成する。この結果、駆動電流が正であるか負であるかを正確に判定することができる。即ち、駆動電流が流れる方向を正確に判定することができる。なお、A/D変換器510から入力された値に基づいて電流値を生成した後に、該電流値の極性を反転させる構成であっても良い。
[検出信号に含まれるノイズを低減する方法]
図7は、本実施形態における、検出された電流値及び該電流値に基づいて決定された回転位相の様子を示すタイムチャートである。図7に示すように、本実施形態における検出電流生成器541は、所定の周期(例えば、25μs)で電流値を生成(検出)して出力するものとする。図7(a)には、検出電流生成器541によって生成された電流値iαが示されており、図7(b)には、検出電流生成器541によって生成された電流値iβが示されている。本実施形態においては、電流値iα及び電流値iβは、図7(a)及び(b)に示すように正弦波状に変化している。また、図7(c)には、座標変換器511から出力された電流値iqが示されている。図7(c)に示すように、電流値iqは電流値iα及び電流値iβに比べて電流値の変化が小さい(ほぼ直流電流である)。更に、図7(e)には、位相決定器513によって決定された回転位相θが示されている。なお、図7に示すタイムチャートは本実施形態における一例であり、これに限定されるものではない。
図7に示すように、検出された電流値には、FET Q1〜Q4のオン動作、オフ動作を切り替える際に発生するスイッチングノイズや静電気等のノイズが含まれることがある。
図7に示すように、例えば、時刻t8において検出された電流値iβにノイズが含まれている場合、当該電流値を座標変換した後の電流値iqにもノイズが含まれる。また、時刻t8において検出された電流値iβにノイズが含まれている場合、当該電流値に基づいて位相決定器513が決定した回転位相θにもノイズが含まれる。このような電流値及び回転位相θに基づいてモータの制御を行うと、モータの制御が不安定になってしまう。
そこで、検出した電流値に含まれるノイズを検知し、ノイズが含まれる場合には、当該電流値を補正する構成が知られている。具体的には、例えば、検出した電流値の所定期間における変化量が所定値以上である場合に、当該電流値を補正する構成が知られている。なお、以下の説明においては、所定期間における変化量を変化度と称する。
図7に示すように、電流値が正弦波状に変化する場合は、電流値は、モータの回転子の回転速度及び回転子に与えるトルクに応じた変化量で変化している。具体的には、回転子の回転速度が速ければ速いほど正弦波の周期は短くなり、その結果、電流値の変化度は大きくなる。また、回転子に与えるトルクが大きければ大きいほど、正弦波の振幅は増大する。正弦波の振幅が増大すると変化量も増大し、その結果、電流値の変化度は大きくなる。このように、モータの巻線に流れる駆動電流が正弦波状に変化する場合、電流値の変化度は、電流値にノイズが含まれていない場合であっても、モータの回転子の回転状況によって変化する。
したがって、モータの回転子の回転が加速したり回転子に与えるトルクが大きくなったりすることによって電流値の変化度が増大すると、電流値にノイズが含まれていないにも拘らず、電流値の変化度が所定値よりも大きくなる可能性がある。この場合、電流値にノイズが含まれていないにも拘らず、電流値にノイズが含まれていると誤判定してしまう可能性がある。仮に、電流値の変化度が増大することを考慮して、所定値をモータ制御中における電流値の最大の変化度よりも大きい値に設定すると、ノイズが小さい場合には、電流値にノイズが含まれているにもかかわらず、ノイズを見逃してしまう可能性がある。
また、モータの回転子の回転が減速したり回転子に与えるトルクが小さくなったりすることによって電流値の変化度が減少すると、電流値にノイズが含まれている場合であっても、ノイズを含む電流値の変化度が所定値よりも小さくなる可能性がある。この場合、電流値にノイズが含まれているにも拘らず、電流値にノイズが含まれていないと誤判定してしまう可能性がある。仮に、電流値の変化量が減少することを考慮して、所定値をモータ制御中における電流値の最小の変化量よりも小さい値に設定すると、電流値にノイズが含まれていないにもかかわらず、電流値にノイズが含まれていると誤判定してしまう可能性がある。
以上のように、正弦波状に変化する駆動電流の電流値の変化度に基づいてノイズを検知しようとすると、ノイズを誤検知してしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、以下の構成をモータ制御装置に適用することによって、モータの制御が不安定になることを抑制する。
<ノイズを検知する方法>
以下に、本実施形態における、検出した電流値に含まれるノイズを検知する方法について説明する。
前述したように、電流値iqは電流値iα及び電流値iβに比べて電流値の変化が小さい。即ち、回転座標系における電流値は静止座標系における電流値に比べてノイズがない場合の電流値の変化が小さい。したがって、電流値の変化量に基づいてノイズを検知する際には、回転座標系における電流値を用いるほうが静止座標系における電流値を用いるよりも精度良くノイズを検知できる。したがって、本実施形態では、座標変換器511から出力された回転座標系における電流値に基づいて、検出した電流値に含まれるノイズを検知する。
図3に示すように、本実施形態におけるモータ制御装置157には、検出された電流値に含まれるノイズを検知する電流値補正器540が設けられている。電流値補正器540には、座標変換器511から取得した電流値iq及び電流値idとその電流値iq及び電流値idに対応する静止座標系の電流値が検出された時刻とを対応させて記憶するメモリ540aが設けられている。また、本実施形態におけるモータ制御装置157には、位相決定器513によって決定された回転位相θを補正する位相補正器514が設けられている。位相補正器514には、位相決定器513から取得した回転位相θとその回転位相θが決定される際に用いられた電流値が検出された時刻とを対応させて記憶するメモリ514aが設けられている。
以下に、図3及び図7を用いて、検出された電流値に含まれるノイズを電流値補正器540が検知する方法について説明する。なお、前述したように、検出電流生成器541は所定の周期で電流値を生成して出力する。したがって、電流値補正器540は前記所定の周期で座標変換器511から電流値を取得する。即ち、電流値補正器540は図7に示す各時刻の間(例えば時刻t6とt7の間)で電流値を取得しない。
電流値補正器540は、検出された電流値に含まれるノイズを、座標変換器511から取得した電流値iqと当該電流値iqを取得する直前に取得した電流値iqとの差分値に基づいて検知する。具体的には、例えば、電流値補正器540は、次式(10)を用いて、時刻t7における電流値iq(t7)と時刻t8における電流値iq(t8)との変化量(差分値)Δiqを演算する。なお、iq(t)は、時刻tにおいて検出された電流値の回転座標系におけるトルク電流成分の値である。
Δiq=|iq(t8)―iq(t7)| (10)
そして、電流値補正器540は、変化量Δiqが所定値(電流閾値)以上であるか否かを判定する。なお、電流閾値は、抵抗器の抵抗値、巻線のインダクタンス、電源1の供給電圧、検出電流生成器541が電流値を生成する周期(電流制御周期)等に基づいて決定される。具体的には、例えば、抵抗器の抵抗値が3Ω、巻線のインダクタンスが3mH、電源1の供給電圧が24V、電流制御周期が25μsである場合は、電流制御周期毎の電流値iqの変化量は最大20mAであるため、20mAに所定のマージンを加えた値を電流閾値とする。電流閾値は、電流値補正器540内部に設けられたメモリ540aに記憶されているものとする。
電流値補正器540は、変化量Δiqが電流閾値以上の値である場合は、検出された電流値にノイズが含まれていると判定し、判定結果を位相補正器514に出力する。また、電流値補正器540は、変化量Δiqが電流閾値未満の値である場合は、検出された電流値にノイズが含まれていないと判定し、判定結果を位相補正器514に出力する。
以上のように、本実施形態においては、電流値補正器540は、座標変換器511から取得した電流値iqと当該電流値iqを取得する直前に取得した電流値iqとの差分値に基づいて、検出された電流値にノイズが含まれているか否かを判定する。回転座標系における電流値は、静止座標系における電流値に比べてノイズが無い場合における電流値の変化が小さいため、回転座標系における電流値を用いることによって精度良くノイズを検知できる。
なお、本実施形態においては、取得した電流値と当該電流値を取得する直前に取得した電流値との差分値に基づいて検出された電流値にノイズが含まれているか否かを判定したが、この限りではない。例えば、電流値iq(t8)と電流値iq(t5)との差分値に基づいて、電流値iq(t8)にノイズが含まれているか否かを判定しても良い。即ち、直前に取得した電流値を用いなくても良い。
<電流値にノイズが含まれる場合の処理>
電流値補正器540は、検出された電流値にノイズが含まれる場合、図7(d)に示すように電流値iq及び電流値idの補正を行う。具体的には、電流値補正器540は、取得した電流値を、当該電流値を取得する直前に取得した電流値に置き換えることによって、電流値の補正を行う。より具体的には、例えば、電流値iq(t8)にノイズが含まれる場合、電流値補正器540は、電流値iq(t8)を電流値iq(t7)に置き換えることによって、電流値iq(t8)の補正を行う。なお、電流値補正器540は、電流値idに関しても同様の補正を行う。また、位相補正器514は、検出された電流値にノイズが含まれる場合、図7(f)に示すように位相決定器513から出力された回転位相θを補正する。具体的には、位相補正器514は、取得した回転位相を、当該回転位相を取得する直前に取得した回転位相に置き換えることによって、回転位相θの補正を行う。より具体的には、例えば、位相補正器514は、回転位相θ(t8)を回転位相θ(t7)に置き換えることによって、回転位相θ(t8)の補正を行う。なお、θ(t)は、時刻tにおいて検出された電流値に基づいて決定される回転位相である。また、位相決定器513は前記所定の周期で回転位相を決定しており、位相補正器514は前記所定の周期で位相決定器513から回転位相を取得するものとする。即ち、位相補正器514は図7に示す各時刻の間では回転位相を取得しない。
また、電流値補正器540は、検出された電流値にノイズが含まれない場合、取得した電流値iqを補正せずにそのまま減算器102に出力する。また、取得した電流値idを補正せずにそのまま減算器103に出力する。また、位相補正器514は、位相決定器513から出力された回転位相θを補正せずにそのまま減算器101及び座標逆変換器505に出力する。
以上のように、本実施形態においては、検出された電流値にノイズが含まれる場合は、電流値補正器540は、取得した電流値を、当該電流値を取得する直前に取得した電流値に置き換えることによって、電流値の補正を行う。更に、位相補正器514は、取得した回転位相を、当該回転位相を取得する直前に取得した回転位相に置き換えることによって、回転位相θの補正を行う。また、検出された電流値にノイズが含まれない場合は、電流値及び回転位相のいずれの補正も行わない。
図8は、本実施形態におけるモータ制御装置157がモータ509を制御する方法を示すフローチャートである。以下、図8を用いて、モータ制御装置157がモータ509を制御する方法について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aからの指示を受けたモータ制御装置157によって実行される。
まず、S1001において、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘H’が出力されると、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の駆動制御を開始する。enable信号とは、モータ制御装置157の稼働を許可又は禁止する信号である。enable信号が‘L(ローレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置157の稼働を禁止する。即ち、モータ制御装置157によるモータ509の制御は終了される。また、enable信号が‘H(ハイレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置157の稼働を許可して、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の駆動制御を行う。
次に、S1002において、モータ制御装置157はベクトル制御を行う。その後、S1003において、CPU151aがモータ制御装置157にenable信号‘L’を出力した場合は、モータ制御装置157はモータ509の駆動を終了する。また、S1003おいて、CPU151aがモータ制御装置157にenable信号‘H’を出力した場合は、モータ制御装置157は処理をS1004に進める。
S1004において、検出電流生成器541が電流値iα及び電流値iβを生成すると、その後、S1005において、位相決定器513は、S1004において生成された電流値iα及び電流値iβに基づいて、前述した方法で回転位相θを決定する。
次に、S1006において、座標変換器511は、S1005において決定された回転位相θに基づいて、S1004において生成された静止座標系における電流値iα及び電流値iβを回転座標系における電流値iq及び電流値idに座標変換する。更に、座標変換器511は、座標変換した電流値iq及び電流値idを電流値補正器540に出力する。その後、モータ制御装置157は処理をS1007に進める。
S1007において、電流値補正器540はq軸電流の変化量Δiqを算出する。
次に、S1008において、変化量Δiqが電流閾値以上の値である場合は、S1009において、電流値補正器540は検出された電流値にノイズが含まれていることを示す信号を位相補正器514に出力する。その後、S1010において、電流値補正器540は電流値iqを補正して減算器102に出力する。また、電流値補正器540は電流値idを補正して減算器103に出力する。更に、位相補正器514は、S1005において位相決定器513によって決定された回転位相θを補正して減算器101及び座標逆変換器505に出力する。
その後、処理はS1002に戻り、モータ制御装置157は、電流値補正器540から出力された電流値iq及び電流値id、位相補正器514から出力された回転位相θ´に基づいてベクトル制御を行う。
また、S1008において、変化量Δiqが電流閾値未満の値である場合は、S1011において、電流値補正器540は検出された電流値にノイズが含まれていないことを示す信号を位相補正器514に出力する。その後、S1012において、電流値補正器540は電流値iqを補正せずにそのまま減算器102に出力する。また、電流値補正器540は電流値idを補正せずにそのまま減算器103に出力する。更に、位相補正器514は、S1005において位相決定器513によって決定された回転位相θを補正せずにそのまま減算器101及び座標逆変換器505に出力する。
その後、処理はS1002に戻り、モータ制御装置157は、電流値補正器540から出力された電流値iq及び電流値id、位相補正器514から出力された回転位相θ´に基づいてベクトル制御を行う。
以降、CPU151aがモータ制御装置157にenable信号‘L’を出力するまで、モータ制御装置157は前述した制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態においては、回転座標系における電流値の変化量に基づいて、検出された電流値にノイズが含まれているか否かを判定する。回転座標系における電流値を用いることによって、静止座標系における電流値を用いる場合よりも精度良くノイズを検知できる。
また、検出された電流値にノイズが含まれている場合は、電流値補正器540は、取得した電流値を、当該電流値を取得する直前に取得した電流値に置き換えることによって、電流値iq及び電流値idを補正する。また、検出された電流値にノイズが含まれていない場合は、電流値補正器540は、電流値iq及び電流値idを補正しない。
更に、検出された電流値にノイズが含まれている場合は、位相決定器513によって決定される回転位相θにもノイズが含まれている。したがって、本実施形態においては、検出された電流値にノイズが含まれている場合は、位相補正器514は、取得した回転位相θを、当該回転位相θを取得する直前に取得した回転位相に置き換えることによって、回転位相を補正する。また、検出された電流値にノイズが含まれていない場合は、位相補正器514は、回転位相θを補正しない。
以上のような構成にすることによって、モータの制御が不安定になることを抑制することができる。
なお、本実施形態においては、取得した電流値を、当該電流値を取得する直前に取得した電流値に置き換えることによって、電流値の補正を行ったが、直前の値ではなく、例えば、2個前の値に置き換えることによって電流値を補正する構成であっても良い。また、例えば、時刻t8において検出された電流値の回転座標系におけるトルク電流成分の値を時刻t1から時刻t7までに検出された複数個の電流値の回転座標系における複数個のトルク電流成分の値の平均値に置き換えることによって電流値を補正する構成であっても良い。但し、図7に示すように、回転位相は刻一刻と変化するため、回転位相を補正する場合は直前の値を用いて補正を行うほうが効果的である。
〔第2実施形態〕
画像形成装置の構成およびモータ制御装置の構成が第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。第1実施形態においては、検出された電流値にノイズが含まれている場合は、位相補正器514は、取得した回転位相θを、当該回転位相θを取得する直前に取得した回転位相に置き換えることによって、回転位相を補正した。本実施形態においては、検出された電流値にノイズが含まれている場合に、過去の回転位相の変化量に基づいて回転位相θの補正を行う。
以下、本実施形態における、回転位相θの補正方法について説明する。なお、ベクトル制御を用いたモータの制御方法については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。また、電流値補正器540が電流値に含まれるノイズを検知する方法及び電流値を補正する方法についても、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
図9は、本実施形態における、検出された電流値及び該電流値に基づいて決定された回転位相の様子を示すタイムチャートである。なお、図9に示すタイムチャートは本実施形態における一例であり、これに限定されるものではない。
図9(a)には、検出電流生成器541によって生成された電流値iαが示されており、図9(b)には、検出電流生成器541によって生成された電流値iβが示されている。本実施形態においては、電流値iα及び電流値iβは、図9(a)及び(b)に示すように正弦波状に変化している。また、図9(c)には、座標変換器511から出力された電流値iqが示されている。図9(c)に示すように、電流値iqは電流値iα及び電流値iβに比べて電流値の変化が小さい(ほぼ直流電流である)。更に、図9(e)には、位相決定器513によって決定された回転位相θが示されている。
図9に示すように、例えば、時刻t8において検出された電流値iβにノイズが含まれている場合、当該電流値を座標変換した後の電流値iqにもノイズが含まれる。また、時刻t8において検出された電流値iβにノイズが含まれている場合、当該電流値に基づいて位相決定器513が決定した回転位相θにもノイズが含まれる。このような電流値及び回転位相θに基づいてモータの制御を行うと、モータの制御が不安定になってしまう。
電流値補正器540は、検出された電流値にノイズが含まれている場合、第1実施形態において説明した方法によって電流値を補正する。また、位相補正器514は、検出された電流値にノイズが含まれている場合、図9(f)に示すように、位相決定器513によって決定された回転位相に基づいて補完演算を行うことによって、回転位相を補正する。具体的には、例えば、位相補正器514は、次式(11)を用いて、過去の回転位相の変化量Δθを演算する。
Δθ=θ(t7)―θ(t6) (11)
そして、位相補正器514は、次式(12)によって、回転位相θ(t8)を置き換えることによって回転位相θ(t8)を補正する。
θ(t8)=θ(t7)+Δθ (12)
このように、位相補正器514は、過去の回転位相の変化量Δθを用いて回転位相θを補完することによって、当該回転位相θを補正する。
また、電流値補正器540は、検出された電流値にノイズが含まれていない場合、取得した電流値iqを補正せずにそのまま減算器102に出力する。また、取得した電流値idを補正せずにそのまま減算器103に出力する。また、位相補正器514は、位相決定器513から出力された回転位相θを補正せずにそのまま減算器101及び座標逆変換器505に出力する。
以上のように、本実施形態においては、電流値補正器540は、第1実施形態と同様にして、電流値に含まれるノイズの検知及び電流値の補正を行う。また、検出された電流値にノイズが含まれる場合は、位相補正器514は、過去の回転位相の変化量Δθを用いて回転位相θを補完することによって、回転位相θを補正する。更に、検出された電流値にノイズが含まれない場合は、位相補正器514は、回転位相の補正を行わない。
以上のような構成にすることによって、モータの制御が不安定になることを抑制することができる。
なお、本実施形態においては、回転位相θの補正を行う際に、直前の回転位相θの変化量に基づいて回転位相θの補正を行ったが、この限りではない。例えば、回転位相θがθ(t5)からθ(t6)へ変化する際の変化量に基づいて回転位相θ(t8)の補正を行っても良い。また、電流値補正器540が電流値の補正を行う際に、本実施形態で説明したような、過去の変化量に基づく補正方法を適用しても良い。
なお、回転位相θのみを補正したとしても、モータの制御が不安定になることを抑制することはできない。これは、電流値iq及び電流値idが補正されていなければ、減算器102及び減算器103において電流値iq及び電流値idが用いられる際に、電流値iq及び電流値idに含まれるノイズによって、本来の偏差とは異なる偏差が演算されてしまうからである。したがって、モータの制御が不安定になることを抑制するためには、第1実施形態や第2実施形態において説明したように、電流値iq及び電流値id、回転位相θの両方を補正する必要がある。
なお、第1実施形態及び第2実施形態においては、式(10)のように電流値の差分値に基づいてノイズを検知したが、例えば、以下の式(13)にように、電流値の差分値に基づいて変化度δiqを算出し、該変化度に基づいてノイズを検知しても良い。
δiq=(iq(t8)―iq(t7))/(t8−t7) (13)
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、検出された電流値に含まれるノイズを電流値iqに基づいて検知したが、電流値idに基づいて検知しても良いし、電流値iqと電流値idとの両方に基づいてノイズを検知しても良い。電流値iqと電流値idとの両方に基づいてノイズを検知する場合は、ΔiqとΔidとの少なくとも一方が電流閾値以上であれば、検出された電流値にノイズが含まれているものとする。
また、第1実施形態及び第2実施形態における時刻t8は、本発明における第1のタイミングに対応する。また、第1実施形態及び第2実施形態における時刻1乃至時刻7は、本発明における第2のタイミングに対応する。
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、回転座標系における電流値に基づいて、検出された電流値にノイズが含まれているか否かを判定したが、これに限定されるものではない。例えば、回転座標系における誘起電圧Eq及びEdを決定し、該回転座標系における誘起電圧の値に基づいて、検出された電流値にノイズが含まれているか否かを前述した方法で判定しても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、図5に示すように、モータ駆動回路とグラウンドとの間に抵抗器を設けた場合における電流検出について説明したが、抵抗器が設けられる場所は、これに限定されるものではない。
なお、本発明における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給紙ローラ204、303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)や感光ドラム309、搬送ベルト208、317、照明系209及び光学系等は本発明における負荷に対応する。第1実施形態及び第2実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。また、第1実施形態及び第2実施形態においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであっても第1実施形態及び第2実施形態を適用することができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータ509を制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータ509を制御する構成であっても良い。具体的には、図10に示すように、モータ制御装置内部に速度決定器515を設け、速度決定器515が位相補正器514から出力された回転位相θ´の時間変化に基づいて回転速度ωを決定する。なお、速度の決定には、次式(14)が用いられるものとする。
ω=dθ/dt (14)
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器500を設け、速度制御器500が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータ509を制御する構成であっても良い。このような構成においては回転速度をフィードバックしているため、回転子の回転速度が所定の速度になるように制御することができる。したがって、画像形成装置において、記録媒体への画像形成を適切に行うために回転速度を一定速度に制御する必要がある負荷(例えば、感光ドラム、搬送ベルト等)を駆動するモータに速度フィードバック制御を用いたベクトル制御を適用する。この結果、記録媒体への画像形成を適切に行うことができる。
151a CPU
110 抵抗器
157 モータ制御装置
200a、200b 抵抗器
205 検出電流制御器
505 座標変換器
509 ステッピングモータ
510 A/D変換器
513 位相決定器
540 電流値補正器
541 検出電流生成器

Claims (18)

  1. モータの回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される電流値の電流成分である第1の電流成分と前記第1の電流成分と異なる第2の電流成分とに基づいて前記モータを制御するモータ制御装置において、
    前記モータの巻線に流れる駆動電流の電流値を所定の周期で検出する検出手段と、
    前記検出手段によって前記所定の周期で検出された電流値に基づいて前記回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記検出手段によって前記所定の周期で検出された電流値を前記回転座標系における電流値に変換する変換手段と、
    前記変換手段から取得した電流値の前記第1の電流成分の値と前記第2の電流成分の値とを補正する第1の補正手段と、
    前記位相決定手段から取得した回転位相を補正する第2の補正手段と、
    前記第2の補正手段が適用された回転位相と前記回転子の目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記第1の補正手段が適用された前記第1の電流成分の値と前記第2の電流成分の値とに基づいて前記モータを制御する制御手段と、
    を有し、
    第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第1の電流成分の値である第1の値と前記第1のタイミングよりも前の第2のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第1の電流成分の値である第2の値との差分値が所定値以上である場合は、前記第1の補正手段は前記第1の値と前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第2の電流成分の値とを補正し、前記第2の補正手段は前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した回転位相を補正することを特徴とするモータ制御装置。
  2. モータの回転子の回転位相を基準とした回転座標系において表される電流値の電流成分である第1の電流成分と前記第1の電流成分と異なる第2の電流成分とに基づいて前記モータを制御するモータ制御装置において、
    前記モータの巻線に流れる駆動電流の電流値を所定の周期で検出する検出手段と、
    前記検出手段によって前記所定の周期で検出された電流値に基づいて前記回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記検出手段によって前記所定の周期で検出された電流値を前記回転座標系における電流値に変換する変換手段と、
    前記変換手段から取得した電流値の前記第1の電流成分の値と前記第2の電流成分の値とを補正する第1の補正手段と、
    前記位相決定手段から取得した回転位相を補正する第2の補正手段と、
    前記第2の補正手段が適用された回転位相の時間変化に基づいて、前記回転子の回転速度を決定する速度決定手段と、
    前記速度決定手段によって決定された回転速度と前記回転子の目標速度を表す指令速度との偏差が小さくなるように、前記第1の補正手段が適用された前記第1の電流成分の値と前記第2の電流成分の値とに基づいて前記モータを制御する制御手段と、
    を有し、
    第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第1の電流成分の値である第1の値と前記第1のタイミングよりも前の第2のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第1の電流成分の値である第2の値との差分値が所定値以上である場合は、前記第1の補正手段は前記第1の値と前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第2の電流成分の値とを補正し、前記第2の補正手段は前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した回転位相を補正することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記第1の補正手段は、前記差分値が前記所定値以上である場合は、
    前記第1の値を前記第2の値に置き換えることによって、前記第1の値を補正し、
    前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第2の電流成分の値である第3の値を、前記第2のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第2の電流成分の値である第4の値に置き換えることによって、前記第3の値を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記第1の補正手段は、前記差分値が前記所定値以上である場合は、
    前記第1の値を、前記第1の値を取得するよりも前に取得した複数個の前記第1の電流成分の値の平均値に置き換えることによって、前記第1の値を補正し、
    前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値を前記変換手段が変換した前記第2の電流成分の値である第3の値を、前記第3の値を取得するよりも前に取得した複数個の前記第2の電流成分の値の平均値に置き換えることによって、前記第3の値を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  5. 前記第2の補正手段は、前記差分値が前記所定値以上である場合は、前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した第1の回転位相を、前記第1のタイミングから1回前の第3のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した第2の回転位相に置き換えることによって、前記第1の回転位相を補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記第2の補正手段は、前記差分値が前記所定値以上である場合は、前記第1のタイミングから1回前の第3のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した前記第2の回転位相と前記第3のタイミングから1回前の第4のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した第3の回転位相との差分値に基づいて、前記第1のタイミングで前記検出手段が検出した電流値に基づいて前記位相決定手段が決定した前記第1の回転位相を補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記第2のタイミングは、前記検出手段が前記第1のタイミングの1回前に検出するタイミングであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記差分値が前記所定値未満である場合は、
    前記第1の補正手段及び前記第2の補正手段は補正を行わないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  9. 前記制御手段は、
    前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに駆動電流を供給する供給手段と、
    前記供給手段を駆動する駆動電圧を生成する生成手段と、
    前記生成手段によって生成された駆動電圧と、前記検出手段によって検出された電流値とに基づいて、前記モータの回転子の回転によって前記第1相の巻線及び第2相の巻線に誘起される誘起電圧の大きさを決定する誘起電圧決定手段と、
    を有し、
    前記位相決定手段は、前記誘起電圧決定手段によって決定された前記第1相の誘起電圧の大きさと前記第2相の誘起電圧の大きさとに基づいて前記回転子の回転位相を決定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  10. 前記第1の電流成分は前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分であり、前記第2の電流成分は前記モータの巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分であり、
    前記制御手段は、前記指令位相と前記第2の補正手段が適用された回転位相との偏差が小さくなるように、前記トルク電流成分の値と前記励磁電流成分の値とを生成して出力する位相制御手段を有し、
    第1の補正手段は、前記変換手段から取得した電流値の前記トルク電流成分の値と前記励磁電流成分の値とを補正し、
    更に、前記制御手段は、前記位相制御手段から出力された前記トルク電流成分の値と前記補正手段が適用された前記トルク電流成分の値との偏差、及び、前記位相制御手段から出力された前記励磁電流成分の値と前記補正手段が適用された前記励磁電流成分の値との偏差が小さくなるように、前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに流れる駆動電流の電流値を制御することによって前記モータを制御することを特徴とする請求項1又は請求項1を引用する請求項3乃至9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記生成手段は、前記偏差が小さくなるように前記回転座標系における駆動電圧を生成し、
    前記制御手段は、前記生成手段によって生成された前記回転座標系における駆動電圧を静止座標系の駆動電圧に逆変換する逆変換手段を有し、
    前記供給手段は、前記逆変換手段によって逆変換された駆動電圧によって駆動されることを特徴とする請求項10に記載のモータ制御装置。
  12. 前記第1の電流成分は前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分であり、前記第2の電流成分は前記モータの巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分であり、
    前記制御手段は、前記指令速度と前記速度決定手段によって決定された回転速度との偏差が小さくなるように、前記トルク電流成分の値と前記励磁電流成分の値とを生成して出力する速度制御手段を有し、
    第1の補正手段は、前記変換手段から取得した電流値の前記トルク電流成分の値と前記励磁電流成分の値とを補正し、
    更に、前記制御手段は、前記速度制御手段から出力された前記トルク電流成分の値と前記補正手段が適用された前記トルク電流成分の値との偏差、及び、前記位相制御手段から出力された前記励磁電流成分の値と前記補正手段が適用された前記励磁電流成分の値との偏差が小さくなるように、前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに流れる駆動電流の電流値を制御することによって前記モータを制御することを特徴とする請求項2又は請求項2を引用する請求項3乃至9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  13. 前記生成手段は、前記偏差が小さくなるように前記回転座標系における駆動電圧を生成し、
    前記制御手段は、前記生成手段によって生成された前記回転座標系における駆動電圧を前記静止座標系の駆動電圧に逆変換する逆変換手段を有し、
    前記供給手段は、前記逆変換手段によって逆変換された駆動電圧によって駆動されることを特徴とする請求項12に記載のモータ制御装置。
  14. シートを搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    請求項1乃至13のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    を有し、
    前記モータ制御装置は、前記搬送ローラを駆動するモータの駆動を制御することを特徴とするシート搬送装置。
  15. 請求項14に記載のシート搬送装置と、
    原稿を積載する原稿積載部と、
    を有し、
    前記原稿積載部に積載された前記原稿を前記シート搬送装置が給送することを特徴とする原稿給送装置。
  16. 請求項15に記載の原稿給送装置と、
    前記原稿給送装置によって給送された前記原稿を読み取る読取手段と、
    を有することを特徴とする原稿読取装置。
  17. 請求項14に記載のシート搬送装置と、
    前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
    を有し、
    前記画像形成手段は、前記シート搬送装置によって搬送された前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  18. 記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
    負荷を駆動するモータと、
    請求項1乃至13のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    を有し、
    前記モータ制御装置は、前記負荷を駆動するモータの駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。
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