JP2017195761A - モータ制御装置、シート搬送装置、原稿給送装置、原稿読取装置及び画像形成装置 - Google Patents

モータ制御装置、シート搬送装置、原稿給送装置、原稿読取装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モータの巻線に流れる駆動電流がPWM信号のデューティ比によって決まるタイミングにおいて検出されることに起因して、駆動電流が一定の時間間隔で検出されなくなる。【解決手段】PWM信号生成部は、駆動電圧に基づいて、各PWM周期におけるHレベルの期間及びLレベルの期間のうちの長い方の期間の中心タイミングが各PWM周期の中心タイミングと一致するようにPWM信号を生成する。PWM信号に従ってフルブリッジ回路(駆動回路)のFETが駆動されてステッピングモータへA相の駆動電流が供給される。電流検出器は、各PWM周期内で一定のタイミングであって、かつ、各PWM周期の中心部に配置されたHレベルまたはLレベルの期間内のタイミングに、シャント抵抗に生じる電圧に基づいて、モータのA相の巻線に流れる駆動電流を検出する。【選択図】図10

Description

本発明は、モータの駆動制御に関するものであり、特に、複写機、プリンタ等の画像形成装置において負荷の駆動源として使用可能なステッピングモータ等のモータの駆動制御に関するものである。
記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置を有する画像形成装置において、シートを搬送する搬送系の駆動源として、ステッピングモータ(以下、モータと称する)が広く用いられている。モータの回転子の回転速度及び回転位相は、モータに与えられるパルス周期及びパルス数が制御されることによって制御される。モータの回転子にかかる負荷トルクがモータの巻線に供給された駆動電流に対応した出力トルクを超えてしまうと、モータが入力信号に同期しない制御不能な状態(脱調状態)となる可能性がある。モータが脱調状態となることを避けるためには、モータの回転子が回転するために必要となる負荷トルクに所定のマージンが加算されたトルクに対応する駆動電流がモータの巻線へ供給される必要がある。しかし、所定のマージンが加算されることにより、必要以上に電力を消費するとともに、余剰トルクに起因して装置に振動及び騒音が生じる問題がある。
このような問題に対処するための技術として、ベクトル制御(またはFOC:Field Oriented Control)と称される制御方法が提案されている。ベクトル制御は、回転子の磁束方向に沿ったd軸と、これに直交する方向に沿ったq軸とによって表される回転座標系に基づいて、モータに適切なトルクが発生するように駆動電流の振幅及び位相を制御する制御方法である。ベクトル制御において、モータの巻線に供給される駆動電流は、回転子が回転するためのトルクを発生させる電流成分であるq軸成分(トルク電流成分)と、巻線を貫く磁束の強度に影響する電流成分であるd軸成分(励磁電流成分)とによって表される。回転子にかかる負荷トルクの変化に応じてトルク電流成分の値が制御されることによって、回転に必要なトルクが効率的に発生する。この結果、余剰トルクに起因したモータ音の増大や消費電力の増大が抑制される。また、モータが脱調状態になることが抑制される。
上述のようなベクトル制御には、モータの回転子(ロータ)の回転位相を検出する構成が必要となる。特許文献1には、モータの各相の巻線に流れる駆動電流に基づいて、モータの各相の巻線に発生する誘起電圧が決定(演算)される。そして、決定された誘起電圧に基づいて回転子の回転位相が決定される、という構成が述べられている。
特許第5537565号公報
ステッピングモータ等のモータを駆動する駆動回路には、例えば、モータの駆動電圧に対応するPWM信号によって駆動されるスイッチング素子(FET)で構成されたフルブリッジ回路が使用される。フルブリッジ回路は、PWM信号によって駆動されるFETのスイッチングに応じた駆動電流をモータの巻線へ供給する。
上述のベクトル制御によるモータの駆動制御を実現するためには、駆動回路からモータの巻線へ供給される駆動電流を検出し、ロータの回転位相を推定(決定)する構成が必要である。
駆動電流の検出は、PWM信号のレベルの変化に対するFETの追従性に起因した誤差が生じるのを防ぐために、PWM信号のレベルが変化するタイミングから時間的に離れたタイミングに行われる必要がある。しかし、PWM信号のハイレベル及びローレベルの期間の長さは駆動電圧に応じて変化するため、駆動電流を一定の時間間隔で検出できないことが起こりうる。駆動電流の検出時間間隔が一定ではなく不規則になると、駆動電流の検出結果に歪みが生じる。この結果、歪みが生じた駆動電流に基づいてモータの制御が行われると、モータの制御が不安定になってしまう。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、モータの巻線に流れる駆動電流がPWM信号のデューティ比によって決まるタイミングにおいて検出されることに起因して、駆動電流が一定の時間間隔で検出されなくなることを抑制する。
本発明の一態様に係るモータ制御装置は、Hブリッジ回路を構成する複数のスイッチング素子を備え、モータの巻線が接続される駆動回路と、前記複数のスイッチング素子のオン動作及びオフ動作を制御するPWM信号であって、搬送波としての第1の三角波に基づいて生成され、ハイレベルとローレベルの一方である第1レベルの信号とハイレベルとローレベルの他方である第2レベルの信号とで構成される第1のPWM信号と、前記第1の三角波の位相とは逆位相である第2の三角波に基づいて生成され、前記第1レベルの信号と前記第2レベルの信号とで構成される第2のPWM信号と、を生成する生成手段と、前記モータの巻線に流れる駆動電流を、前記第1のPWM信号の1周期における、前記第1のPWM信号が前記第1レベルである第1期間の割合を表すデューティ比によって決定されるタイミングにおいて検出する検出手段と、を有し、前記検出手段は、前記デューティ比が所定値未満の場合は、前記生成手段が生成した前記第1のPWM信号が前記第2レベルである第2期間に前記駆動電流を検出し、前記デューティ比が前記所定値以上の場合は、前記生成手段が生成した前記第2のPWM信号が前記第1レベルである第3期間に前記駆動電流を検出し、前記生成手段は、前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記第1のPWM信号及び前記第2のPWM信号を生成することを特徴とする。
本発明の他の一態様に係るモータ制御装置は、Hブリッジ回路を構成する複数のスイッチング素子を備え、モータの巻線が接続される駆動回路と、前記複数のスイッチング素子のオン動作、オフ動作を制御するPWM信号であって、前記駆動回路を駆動する第1の駆動電圧と搬送波としての三角波とに基づいて生成され、ハイレベルの信号とローレベルの信号とで構成される第1のPWM信号と、前記第1の駆動電圧の極性とは逆極性である第2の駆動電圧と前記三角波とに基づいて生成された第3のPWM信号の位相とは逆位相であるPWM信号であり、前記ハイレベルの信号と前記ローレベルの信号とで構成される第2のPWM信号と、を生成する生成手段と、 前記第1の駆動電圧が所定値以上である場合は、前記生成手段が生成した前記第2のPWM信号が前記ハイレベルであるハイ期間に前記巻線に流れる駆動電流を検出し、前記第1の駆動電圧が前記所定値未満の場合は、前記生成手段が生成した前記第1のPWM信号が前記ローレベルであるロー期間に前記駆動電流を検出する検出手段と、を備え、前記生成手段は、前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記第1のPWM信号及び前記第2のPWM信号を生成することを特徴とする。
本発明によれば、モータの巻線に流れる駆動電流がPWM信号のデューティ比によって決まるタイミングにおいて検出されることに起因して、駆動電流が一定の時間間隔で検出されなくなることを抑制することができる。この結果、モータの制御が不安定になることを抑制することができる。
画像形成装置の全体の構成例を示す図 画像形成装置の制御構成例を示すブロック図 モータと回転座標系のdq軸との関係を示す図 モータ制御装置の構成例を示すブロック図 PWMインバータの構成例を示す図 三角波比較方式の概念を示す図 フルブリッジ回路における入力PWM信号と駆動電流との関係の例を示す図 A相及びB相の駆動電流の検出タイミングの例を示す図 PWM信号生成部の構成例を示すブロック図 PWM信号の生成方法及び駆動電流の検出タイミングの例を示す図 モータ制御装置による駆動電流の検出フローを示すフローチャート PWM信号の生成方法及び駆動電流の検出タイミングの例を示す図 モータ制御装置の構成例を示すブロック図
以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、モータ制御装置は記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置にも用いられる。
[実施例1]
<画像形成装置>
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
まず、図1を参照して、本実施形態に係るモータ制御装置が実装される画像形成装置の構成例について説明する。図1に示す画像形成装置100は、原稿給送装置201、読取装置202、及び画像形成装置本体301を備えている。
原稿給送装置201の原稿載置部(原稿トレイ)203に積載された原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206を経由して読取装置202の原稿ガラス台214に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送され、排紙ローラ205によって装置外部へ排紙される。読取装置202の読取位置において照明系209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210,211,212から成る光学系によって画像読取部101に導かれ、画像読取部101によって画像信号に変換される。画像読取部101は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部101から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって、各種補正処理が行われた後、画像形成装置本体301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
原稿の読取モードとして、第1読取モード及び第2読取モードがある。第1読取モードは、一定速度で搬送される原稿の画像を、所定の位置に固定された照明系209及び光学系によって読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス台214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する照明系209及び光学系によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードにより読み取られ、綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
画像形成装置100は、読取装置202から出力される画像信号に基づいて、画像形成装置本体301においてページ単位で記録紙(記録材)に画像を形成するコピー機能を有する。なお、画像形成装置100は、ネットワークを介して外部装置から受信したデータに基づいて記録紙に画像を形成する印刷機能も有する。
画像形成装置本体301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、給紙ローラ303によって給送されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、給紙ローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー、及びミラー312,313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
その後、感光ドラム309上に形成された静電潜像が、現像器314から供給されるトナーによって現像されることで、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この転写のタイミングに合わせて、レジストレーションローラ308は、記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くしてトナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ搬送され、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319,324によって装置外部へ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320及び反転ローラ321によって、反転パス325へ搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322,323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に、搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本発明における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給紙ローラ204、303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)や感光ドラム309、搬送ベルト208、317、照明系209及び光学系等は本発明における負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
(画像形成装置の制御構成)
図2は、画像形成装置100の制御構成例を示すブロック図である。図2に示すシステムコントローラ151は、CPU151a、ROM151b、及びRAM151cを備え、画像形成装置100全体を制御する。システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置157、センサ類159、及びACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータの交換が可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。RAM151cは、記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置157に対する指令値、操作部152から受信される情報等のデータが格納される。
システムコントローラ151は、ユーザが各種の設定を行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を、操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態をユーザに知らせるためのデータを操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成中か否かを示す情報、ジャムの発生及び発生個所を示す情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
システムコントローラ151(CPU151a)は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100内の各デバイスの設定値データを画像処理部112に送信する。また、システムコントローラ151は、各デバイスからの信号(センサ類159からの信号)を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155を制御する。高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に基づいて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、及び転写帯電器315)に必要な電圧を供給する。なお、センサ類159には、搬送ローラによって搬送される記録媒体を検知するセンサ等が含まれる。
モータ制御装置157は、CPU151aから出力された指令に応じてモータ509を制御する。なお、図2においては、負荷を駆動するモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には複数個のモータが設けられているものとする。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図2においては、画像形成装置にモータ制御装置が1個しか設けられていないが、実際には、複数個のモータ制御装置が画像形成装置に設けられているものとする。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、当該検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160を制御する。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
<ベクトル制御>
次に、本実施形態におけるモータ制御装置157について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置157は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。まず、図3及び図4を参照して、モータ制御装置157によって実行される、モータ509のベクトル制御の概要について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないものとする。
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)の値と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)の値とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する手法もある。
図4は、モータ509を制御するモータ制御装置157の構成の例を示すブロック図である。なお、モータ制御装置157は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
モータ制御装置157では、ベクトル制御部515から出力される、モータ509の駆動電圧Vα,Vβに応じて、PWMインバータ506がモータ509の巻線へ駆動電流を供給することによって、モータ509を駆動する。なお、図4に示すように、ベクトル制御部515は、速度制御器502、電流制御器503,504、及び座標変換器505,511を有する。
モータ制御装置157は、モータ509へ供給する駆動電流を、モータ509の回転子の回転位相θを基準とした回転座標系の電流値によって制御するベクトル制御を行う。ベクトル制御では、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルが、α軸及びβ軸で表される静止座標系から、d軸及びq軸で表される回転座標系に変換される。このような変換の結果、モータ509に供給される駆動電流は、回転座標系において、直流のd軸成分(d軸電流)及びq軸成分(q軸電流)によって表される。この場合、q軸電流は、モータ509にトルクを発生させるトルク電流成分に相当し、回転子の回転に寄与する電流である。d軸電流は、モータ509の回転子の磁束の強度に影響する励磁電流成分に相当する。モータ制御装置157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御装置157は、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。
モータ制御装置157は、モータ509の回転子の回転位相及び回転速度を決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。モータ制御装置157は、図4に示すように、位相制御器501、速度制御器502、及び電流制御器503,504を有する。
位相制御器501を含む最も外側の制御ループでは、モータ509の回転子の回転位相θの決定結果に基づいて、モータ509の位相制御が行われる。
CPU151aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、所定の時間周期で指令位相θ_refをモータ制御装置157へ出力する。
減算器101は、モータ509の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差を演算し、該偏差を位相制御器501に出力する。
位相制御器501は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力された偏差が小さくなるように、モータ509の回転子402の目標速度を表す指令速度ω_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器501は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力された偏差が0になるように、指令速度ω_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器501は、PID制御に基づいて指令速度ω_refを生成しているがこれに限定されるものではない。例えば、位相制御器501は、PI制御に基づいて指令速度ω_refを生成しても良い。このようにして、位相制御器501によるモータ509の位相制御が行われる。
速度制御器502を含む制御ループでは、モータ509の回転子の回転速度ωの決定結果に基づいて、モータ509の速度制御が行われる。
減算器102は、モータ509の回転子402の回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差を演算し、該偏差を速度制御器502に出力する。
速度制御器502は、PID制御に基づいて、減算器102から出力された偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、速度制御器502は、PID制御に基づいて減算器102から出力された偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。本実施形態における速度制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているがこれに限定されるものではない。例えば、速度制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石が用いられる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
電流制御器503,504を含む制御ループでは、モータ509の各相の巻線に流れる駆動電流の検出値に基づいて、モータ509の各相の巻線に流れる駆動電流が制御される。ここで、モータ509のA相及びB相の巻線にそれぞれ流れる駆動電流(交流電流)は、電流検出器507、508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、次式のように表される。なお、Iは電流の振幅の大きさを示す。
iα=I*cosθ
iβ=I*sinθ (1)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512に入力される。
座標変換器511は、次式によって、静止座標系における電流値iα及びiβを回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (2)
減算器103には、速度制御器502から出力されたq軸電流指令値iq_refと座標変換器511から出力された電流値iqとが入力される。減算器103は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器104には、速度制御器502から出力されたd軸電流指令値id_refと座標変換器511から出力された電流値idとが入力される。減算器104は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器504に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、前記偏差が小さくなるように駆動電圧Vqを生成する。具体的には、電流制御器503は、前記偏差が0になるように駆動電圧Vqを生成して座標変換器505に出力する。
また、電流制御器504は、PID制御に基づいて、前記偏差が小さくなるように駆動電圧Vdを生成する。具体的には、電流制御器504は、前記偏差が0になるように駆動電圧Vdを生成して座標変換器505に出力する。
なお、本実施形態における電流制御器503、504は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているこれに限定されるものではない。例えば、電流制御器503、504は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標変換器505は、電流制御器503,504から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (3)
座標変換器505は、変換された駆動電圧Vα,Vβを、フルブリッジ回路で構成されたPWMインバータ506、及び誘起電圧決定器512へ出力する。このように、ベクトル制御部515は、電流検出器507,508によって検出された駆動電流と、モータ509の巻線に供給するべき駆動電流との偏差が小さくなるように、PWMインバータ506のフルブリッジ回路530a,530bを駆動する駆動電圧を生成する。したがって、本実施形態のベクトル制御部515は電圧生成手段の一例として機能する。
図5は、PWMインバータ506の構成を示すブロック図である。図5に示すように、PWMインバータ506は、PWM信号生成部520aとフルブリッジ回路530aとを有し、A相の巻線に駆動電流を供給する。また、PWMインバータ506は、PWM信号生成部520bとフルブリッジ回路530bとを有し、B相の巻線に駆動電流を供給する。
PWM信号生成部520aは、後述する方法により、座標変換器505から入力された駆動電圧Vαに応じてPWM信号を生成し、フルブリッジ回路530aに出力する。フルブリッジ回路530aはPWM信号生成部520aから出力されたPWM信号によって駆動される。その結果、A相の巻線には、駆動電圧Vαに応じた駆動電流iαが供給される。
また、PWM信号生成部520bは、後述する方法により、座標変換器505から入力された駆動電圧Vβに応じてPWM信号を生成し、フルブリッジ回路530bに出力する。フルブリッジ回路530bはPWM信号生成部520bから出力されたPWM信号によって駆動される。その結果、B相の巻線には、駆動電圧Vβに応じた駆動電流iβが供給される。
なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等を有していても良い。
<センサレス制御>
次に、回転位相θの決定方法について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (4)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。R及びLの値は、使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b、またはモータ制御装置157に設けられた不図示のメモリに予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα,Eβは位相決定器513へ入力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比から、次式によってモータ509の回転子の回転位相θを決定する。
θ=tan-1(−Eβ/Eα) (5)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(5)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、速度決定器514、座標変換器505、511に入力される。
速度決定器514は、入力された回転位相θの時間変化に基づいて、次式によってモータ509の回転子の回転速度ωを決定する。
ω=dθ/dt (6)
速度決定器514は、回転速度ωを減算器102に出力する。
モータ制御装置157は、上述の制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。
<PWMインバータ及び電流検出器>
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値に基づいて巻線に流れる駆動電流を制御する。即ち、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する構成、及び、駆動電流を巻線に供給する構成が必要となる。
図5は、PWMインバータ506及び電流検出器507,508の構成を示すブロック図である。図5に示すように、PWMインバータ506は、駆動対象のモータ509の相数(本実施形態では2相)に等しい数のフルブリッジ回路を、モータ509の駆動回路として備えている。具体的には、PWMインバータ506は、モータ509のA相及びB相それぞれに対応するフルブリッジ回路530a,530bを備えている。PWMインバータ506は、更に、A相に対応するPWM信号生成部520a、反転器531a、及びシャント抵抗(抵抗器)532aと、B相に対応するPWM信号生成部520b、反転器531b、及びシャント抵抗532bとを有する。
以下に、モータ509のA相の巻線に駆動電流が供給される構成について説明する。なお、B相についてはA相と同様の構成であるため説明を省略する
図5に示すように、フルブリッジ回路530aは、スイッチング素子としてのFET Q1〜Q4を有し、モータの巻線に接続されている。FET Q1〜Q4はHブリッジ回路を構成し、巻線は、FET Q1とQ3との接続点とFET Q2とQ4との接続点とを繋ぐように接続されている。このように、モータの巻線は、一端がFET Q1とFET Q3とを繋ぐ導線に接続され、他端がFET Q2とFET Q4とを繋ぐ導線に接続される。また、FET Q1及びQ2のドレイン端子は電源に接続され、FET Q3及びQ4のソース端子は、シャント抵抗532aの一端に接続される。このように、Q1の一端及びQ2の一端が電源に接続され、Q1の他端にQ3の一端が直列に接続され、Q2の他端にQ4の一端が直列に接続され、Q3の他端とQ4の他端とにシャント抵抗532aが接続されている。更に、シャント抵抗532aの他端は接地(グラウンド(GND)に接続)される。
PWM信号生成部520aは、ベクトル制御部515から入力される駆動電圧Vαに対応するデューティ比に応じたPWM信号を、三角波比較方式によって生成して出力する。なお、本実施例においては、PWM信号の1周期におけるHレベルの期間の占める割合をPWM信号のデューティ比とするが、この限りではない。例えば、PWM信号の1周期におけるLレベルの期間の占める割合をPWM信号のデューティ比としても良い。
図6は、PWM信号生成部520aがPWM信号を生成する構成を説明する図である。図6に示すように、PWM信号生成部520aは、変調波と搬送波とを比較する比較器600を有する。PWM信号生成部520aは、比較器600を用いて、変調波としての駆動電圧Vαと搬送波としての三角波とを比較することによって、PWM信号を生成する。具体的には、比較器600は、変調波の値(Vα)が三角波の値以上である場合にはハイレベル(Hレベル)としてPWM信号を生成し、FETQ1及びQ4と反転器531aに出力する。また、比較器600は、変調波の値(Vα)が三角波の値未満である場合にはローレベル(Lレベル)としてPWM信号を生成し、FETQ1及びQ4と反転器531aに出力する。なお、本実施形態においては、PWM信号生成部520aが所定の周波数の三角波搬送波を生成しているものとする。また、該三角波搬送波の値が極小値となるタイミングから次に極小値となるタイミングまでの期間を一周期とした場合に、該三角波搬送波の1周期の波形(極小値から次の極小値までの波形)は、該三角波搬送波の値が極大値となるタイミングを基準として線対称となるような波形とする。また、A相における三角波搬送波はB相における三角波搬送波に同期している。PWM信号生成部520aは、生成されたPWM信号のデューティ比と三角波搬送波についての情報として周波数及び位相の情報を電流検出器507に出力する。
反転器531aは、入力されたPWM信号の位相を反転させ、位相を反転させたPWM信号(反転PWM信号)をFETQ2及びQ3に出力する。FETQ1及びQ4は入力されるPWM信号によって駆動される。また、FETQ2及びQ3は入力される反転PWM信号によって駆動される。
具体的には、FETQ1〜Q4は、入力されるPWM信号がHレベルである場合にはオン状態となり、ドレイン‐ソース間に電流が流れる。一方、FETQ1〜Q4は、入力されるPWM信号がLレベルである場合にはオフ状態となり、ドレイン‐ソース間に電流が流れない。なお、FETQ1及びQ4に入力されるPWM信号の位相とFETQ2及びQ3に入力されるPWM信号の位相は逆位相である。したがって、FETQ1及びQ4がオン状態の場合はFETQ2及びQ3はオフ状態となり、FETQ1及びQ4がオフ状態の場合はFETQ2及びQ3はオン状態となる。
このように、FETQ1〜Q4のオン動作、オフ動作が制御されることによって、巻線に供給する駆動電流の大きさ及び向きが制御される。
次に、A相の巻線に流れる駆動電流を検出する構成について説明する。
図7は、フルブリッジ回路530aに入力されるPWM信号とモータ509の巻線に流れる駆動電流との関係の一例を示す図である。図7Aは、PWM信号がHレベル(反転PWM信号がLレベル)である場合における駆動電流の様子を示す図である。また、図7Bは、PWM信号がHレベルからLレベルに切り替わった場合における駆動電流の様子を示す図である。なお、図7(A)及び図7(B)はいずれも、モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流が、FETQ1とQ3との接続点からFETQ2とQ4との接続点の方向に流れる例を示している。
図7Aに示すように、PWM信号がHレベルの場合は、電源、FET Q1、モータの巻線、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM信号がHレベルからLレベルになると、モータの巻線には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q3、モータの巻線、FET Q2、電源の順に駆動電流が流れる。
電流検出器507は、シャント抵抗532aにかかる電圧に基づいてA相の巻線に流れる駆動電流を検出する。前述したように、PWM信号がHレベルである場合は、電源、FET Q1、モータの巻線、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。また、PWM信号がHレベルからLレベルに切り替わると、GND、FET Q3、モータの巻線、FET Q2、電源の順に駆動電流が流れる。即ち、モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流が、FETQ1とQ3との接続点からFETQ2とQ4との接続点の方向に流れる場合であっても、
駆動電流が電源からGNDへ向かう方向に流れる場合と、駆動電流がGNDから電源へ向かう方向に流れる場合とがある。したがって、シャント抵抗532aの両端の電圧に基づいて駆動電流が検出される場合、検出された駆動電流の向きと実際に巻線に流れている駆動電流の向きとが異なっている可能性がある。この場合、検出された駆動電流の電流値に基づいてモータが制御されると、モータの制御が不安定になってしまう可能性がある。なお、モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流が、FETQ2とQ4との接続点からFETQ1とQ3との接続点の方向に流れる場合についても同様の現象が起こる。
そこで、本実施形態においては、電流検出器507は、駆動電流が検出されるタイミングにおけるPWM信号のレベルに応じて、検出した電流値(電圧値)の極性を反転させる。
具体的には、例えば、電流検出器507は、駆動電流が検出されるタイミングにおけるPWM信号がHレベルである場合は、検出した電流値(電圧値)の極性を反転させない。また、電流検出器507は、駆動電流が検出されるタイミングにおけるPWM信号がLレベルである場合は、検出した電流値(電圧値)の極性を反転させる。
<駆動電流の検出タイミング>
PWM信号のレベルが切り替わってから、更にPWM信号のレベルが切り替わるまでの時間間隔(HレベルまたはLレベルの継続時間)が短いと、FETQ1〜Q4がPWM信号のレベルの切り替わりに応答出来ない可能性がある。この場合、電流値(電圧値)の極性を切り替える必要が無いにもかかわらず電流値(電圧値)の極性が切り替わってしまい、検出された駆動電流の向きと実際に巻線に流れている駆動電流の向きとが異なってしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、電流検出器507は、PWM信号がHレベルである期間(以下、「H期間(ハイ期間)」と称する。)とLレベルである期間(以下、「L期間(ロー期間)」と称する。)とのうちで長い方の期間に、駆動電流の検出を行う。このような構成が用いられることによって、検出された駆動電流の向きと実際に巻線に流れている駆動電流の向きとが異なってしまうことを防止することができる。
前述したように、電流検出器507には、PWM信号生成部520aから出力されたPWM信号のデューティ比と三角波搬送波の情報とが入力される。電流検出器507は、入力されたデューティ比が50%以上の場合はH期間に電流値を検出する。具体的には、電流検出器507は、PWM信号生成部520aによって生成されたPWM信号が立ち上がった(LレベルからHレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。また、電流検出器507は、入力されたデューティ比が50%未満の場合はL期間に電流値を検出する。具体的には、電流検出器507は、PWM信号生成部520aによって生成されたPWM信号が立ち下がった(HレベルからLレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。このように、三角波搬送波が極値となるタイミングで電流値が検出されることによって、PWM信号が立ち上がる又は立ち下がるタイミングにおいて電流値が検出されることを防止することが出来る。この結果、PWM信号が立ち上がる又は立ち下がる際にスイッチング素子がスイッチングすることに起因して発生するノイズが、検出された値に含まれることを抑制することができる。
図8は、駆動電流が検出されるタイミングを示す図である。図8に示す例では、駆動電圧が24Vである場合はデューティ比が100%、駆動電圧が0Vである場合はデューティ比が50%、駆動電圧が−24Vである場合はデューティ比が0%に対応する。
図8に示すように、駆動電圧が0V以上である場合は、三角波搬送波の値が極小値となるタイミングで電流値が検出される。また、駆動電圧が負である場合は、三角波搬送波の値が極大値となるタイミングで電流値が検出される。また、駆動電圧が正の値から負の値へと変化する場合、電流値が検出されるタイミングが、三角波搬送波の値が極小値となるタイミングから三角波搬送波の値が極大値となるタイミングに変わる。また、駆動電圧が負の値から正の値へと変化する場合、電流値が検出されるタイミングが、三角波搬送波の値が極大値となるタイミングから三角波搬送波の値が極小値となるタイミングに変わる。
このように、駆動電圧の値に応じて電流値が検出されるタイミングが変わると、一定の周期で電流値が検出されなくなってしまう。
A相のフルブリッジ回路530aとB相のフルブリッジ回路530bは、それぞれ独立に駆動される。したがって、駆動電圧の値に応じて電流値が検出されるタイミングが変わると、図8に示すように、A相における検出時刻とB相における検出時刻とが一致しない場合がある。この場合、異なるタイミングで得られたA相の電流値とB相の電流値とに基づいてモータが制御されてしまう。
そこで、本実施形態では、以下の構成を用いることによって、電流検出器507,508による各相の駆動電流の検出を各PWM周期におけるH期間及びL期間のうちの長い方の期間内に実行し、且つ一定の時間間隔で実行できるようにする。この結果、異なるタイミングで得られたA相の値とB相の値とに基づいてモータが制御されてしまうことを抑制することができる。
<PWM信号生成部>
図9Aは、本実施例のPWM信号生成部520aの構成を示すブロック図である。なお、以下の説明においては、PWM信号生成部520aについて説明するが、PWM信号生成部520bの構成はPWM信号生成部520aと同様である。
図9Aに示すように、PWM信号生成部520aは、反転制御部521、キャリア生成部522、キャリア反転部523、及び比較器600を有する。
キャリア生成部522は、所定の周波数及び所定の振幅の三角波搬送波をキャリアとして生成し、生成したキャリアをキャリア反転部523へ出力する。本実施例では、キャリア(三角波)の1つの極小値と次の極小値との間の期間をPWM信号の1周期とする。また、A相における三角波搬送波はB相における三角波搬送波に同期している。
ベクトル制御部515から出力された駆動電圧Vα(変調波)は、比較器600及び反転制御部521に入力される。
反転制御部521は、駆動電圧Vαに基づいて、キャリア生成部522によって生成されたキャリア(三角波)の正負の極性を反転させる(位相を反転させる)反転処理を行うか否かを決定し、決定した結果に従ってキャリア反転部523を制御する。具体的には、反転制御部521は、PWM周期(例えば図8のt0〜t2の期間)の開始タイミング(例えば図8のt0)における駆動電圧Vαが0以上であれば(Vα≧0)、キャリア反転部523が当該PWM周期における三角波搬送波の極性を反転させるように、キャリア反転部523を制御する。この結果、キャリア反転部523は、キャリア生成部522から出力された三角波搬送波の極性を反転させ、極性が反転した三角波搬送波を比較器600に出力する。一方、反転制御部521は、PWM周期の開始タイミングにおける駆動電圧Vαが負であれば(Vα<0)、キャリア反転部523が当該PWM周期における三角波搬送波の極性を反転させないように、キャリア反転部523を制御する。この結果、キャリア反転部523は、キャリア生成部522から出力された三角波搬送波の極性を反転させず、三角波搬送波を比較器600に出力する。
図10は、キャリア反転部523が適用された場合(本実施例)における三角波搬送波及びPWM信号を示す図である。図10に示すように、キャリア反転部523が適用されることによって、PWM信号910が生成される。
前述のように、電流検出器507は、入力されたデューティ比が50%以上(駆動電圧Vαが0以上)の場合はH期間に電流値を検出する。具体的には、電流検出器507は、PWM信号生成部520aによって生成されたPWM信号が立ち上がった(LレベルからHレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。また、電流検出器507は、入力されたデューティ比が50%未満(駆動電圧Vαが0未満)の場合はL期間に電流値を検出する。具体的には、電流検出器507は、PWM信号生成部520aによって生成されたPWM信号が立ち下がった(HレベルからLレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。
したがって、図10に示すように、PWM信号910に基づいて電流値が検出される場合、電流検出器507はPWM周期の中心のタイミングで電流値を検出する。即ち、一定の周期で電流値が検出される。この結果、異なるタイミングで得られたA相の電流値とB相の電流値とに基づいてモータが制御されてしまうことを抑制することができる。
<駆動電流の検出フロー>
図11Aは、実施例1におけるモータ制御装置157によって実行される、駆動電流の検出フローを示すフローチャートである。モータ制御装置157は、PWM信号生成部520a,520bによって生成されるPWM信号の1周期ごとに、図11Aに示す制御フローを実行する。なお、以下ではA相における駆動電流の検出について説明するが、B相における駆動電流の検出についても同様である。
まず、S101において、モータ制御装置157(反転制御部521)は、PWM周期の開始タイミング(t0)において、駆動電圧Vαが0以上(Vα≧0)であるか否かを判定する。
駆動電圧Vαが0以上である場合には、S102において、モータ制御装置157(キャリア反転部523)は、上述のように、PWM周期におけるキャリアの極性を反転させる。
一方、駆動電圧Vαが0以上ではない場合には、モータ制御装置157(キャリア反転部523)は、S102の処理を実行しない。即ち、モータ制御装置157(キャリア反転部523)は、キャリアの極性を反転させない。
その後、S103において、モータ制御装置157(電流検出器507)は、PWM周期の中心タイミング(t1)において、上述のように駆動電流の検出を行い、当該PWM周期についての処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態のモータ制御装置157において、フルブリッジ回路530aは、Hブリッジ回路を構成する複数のスイッチング素子であるFET Q1〜Q4を備え、モータ509の巻線が接続される。PWM信号生成部520aは、FET Q1〜Q4のオン動作及びオフ動作を制御する第1のPWM信号と第2のPWM信号とを生成する。第1のPWM信号は、搬送波としての第1の三角波に基づいて生成され、HレベルとLレベルの一方である第1レベルの信号と、HレベルとLレベルの他方である第2レベルの信号とで構成される。第2のPWM信号は、第1の三角波の位相とは逆位相である第2の三角波に基づいて生成され、第1レベルの信号と第2レベルの信号とで構成される。電流検出部507は、第1のPWM信号のデューティ比が所定値未満の場合は、PWM信号生成部520aが生成した第1のPWM信号が第2レベルである第2期間に駆動電流を検出する。また、電流検出部507は、第1のPWM信号のデューティ比が所定値以上の場合は、PWM信号生成部520aが生成した第2のPWM信号が第1レベルである第3期間に駆動電流を検出する。このデューティ比は、第1のPWM信号の1周期における、第1のPWM信号が第1レベルである第1期間の割合を表す。PWM信号生成部520aは、電流検出部507によって検出された駆動電流に基づいて、第1のPWM信号及び第2のPWM信号を生成する。
本実施例によれば、電流検出器507,508は、各相の駆動電流の検出を、各PWM周期におけるH期間及びL期間のうちの長い方の期間内に実行し、且つ一定の時間間隔で実行することが可能である。このため、異なるタイミングで得られたA相の電流値とB相の電流値とに基づいてモータが制御されてしまうことを抑制することができる。この結果、各PWM周期においてA相とB相との間で(複数相間で)駆動電流の検出タイミングを揃えることが可能である。このため、複数相間で駆動電流の検出タイミングがずれることに起因した、モータ509の回転子の回転位相θの決定精度の低下を抑制できる。
本実施例では、キャリア生成部522によって生成されるキャリアの1つの極小値と次の極小値との間の期間をPWM周期と定めているが、キャリアの1つの極大値と次の極大値との間の期間をPWM周期と定めてもよい。その場合、反転制御部521は、PWM周期の開始タイミングにおける駆動電圧Vα,Vβが正であれば、当該1PWM周期において、キャリア反転部523に反転処理を行わず、駆動電圧Vα,Vβが負であれば、キャリア反転部523に反転処理を行わせる。これにより、上述の実施例と同様、各PWM周期においてH期間及びL期間のうちの長い方の期間が常に中心部に配置されたPWM信号を生成できる。
また、本実施例では、反転制御部521は、駆動電圧の極性に基づいて、即ち、デューティ比が50%以上か否かに基づいて、キャリア反転部523に三角波の位相を反転させる指令を行ったが、これに限定されるものではない。例えば、反転制御部521は、デューティ比が70%以上か否かに基づいて、キャリア反転部523に三角波の位相を反転させる指令を行っても良い。
[実施例2]
画像形成装置の構成は実施例1と同様の構成である。以下の説明においては、モータ制御装置157の構成が実施例1におけるモータ制御装置157の構成と異なる部分について説明する。
実施例1では、キャリア反転部523によってキャリア(三角波搬送波)の正負の極性が制御され、正負の極性が制御されたキャリアに基づいてPWM信号が生成される。実施例2では、変調波としてPWM信号生成部に入力される駆動電圧Vα,Vβの正負の極性を反転させる処理と、比較器600から出力されたPWM信号のレベルを反転させる処理とに基づいて、PWM信号が生成される。
<PWM信号生成部>
図9Bは、本実施例のPWM信号生成部520aの構成を示すブロック図である。なお、以下の説明においては、PWM信号生成部520aについて説明するが、PWM信号生成部520bの構成はPWM信号生成部520aと同様である。
図9Bに示すように、PWM信号生成部520aは、反転制御部521、キャリア生成部522、駆動電圧反転部524、PWM信号反転部525、及び比較器600を有する。
キャリア生成部522は、所定の周波数及び所定の振幅の三角波搬送波をキャリアとして生成し、生成したキャリアを比較器600へ出力する。本実施例でも、実施例1と同様、キャリア(三角波)の1つの極小値と次の極小値との間の期間を1PWM周期とする。また、A相における三角波搬送波とB相における三角波搬送波は同期されているものとする。
ベクトル制御部515から出力された駆動電圧Vα(変調波)は、反転制御部521及び駆動電圧反転部524に入力される。
反転制御部521は、駆動電圧Vαに基づいて、駆動電圧反転部524による駆動電圧Vαの反転処理(第1反転処理)及びPWM信号反転部525によるPWM信号の反転処理(第2反転処理)を行うか否かを決定する。反転制御部521は、決定した結果に従って駆動電圧反転部524及びPWM信号反転部525を制御する。具体的には、反転制御部521は、PWM周期の開始タイミングにおける駆動電圧Vαが0以上であれば(Vα≧0)、当該PWM周期において駆動電圧反転部524及びPWM信号反転部525が反転処理を行うように、駆動電圧反転部524及びPWM信号反転部525を制御する。この結果、駆動電圧反転部524は駆動電圧Vαの極性を反転させ、極性が反転した(即ち、逆極性の)駆動電圧Vαを比較器600に出力する。また、PWM信号反転部525はPWM信号のレベルを反転させ、レベルが反転したPWM信号を出力する。一方、反転制御部521は、PWM周期の開始タイミングにおける駆動電圧Vαが0以上でなければ(Vα<0)、当該PWM周期において駆動電圧反転部524及びPWM信号反転部525が反転処理を行わないように、駆動電圧反転部524及びPWM信号反転部525を制御する。この結果、駆動電圧反転部524は駆動電圧Vαの極性を反転させずに駆動電圧Vαを比較器600に出力する。また、PWM信号反転部525はPWM信号のレベルを反転させずにPWM信号を出力する。
図12は、本実施例に係る、PWM信号の生成方法及び駆動電流の検出タイミングの例を示す図である。図12に示すPWM信号1210は、駆動電圧反転部524による処理が適用された駆動電圧Vαに基づいて、比較器600が生成したPWM信号である。また、図12に示すPWM信号1220は、PWM信号反転部525による処理が適用されたPWM信号である。
前述のように、電流検出器507は、入力されたデューティ比が50%以上(駆動電圧Vαが0以上)の場合はH期間に電流値を検出する。具体的には、電流検出器507は、PWM信号生成部520aによって生成されたPWM信号が立ち上がった(LレベルからHレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。また、電流検出器507は、入力されたデューティ比が50%未満(駆動電圧Vαが0未満)の場合はL期間に電流値を検出する。具体的には、電流検出器507は、PWM信号生成部520aによって生成されたPWM信号が立ち下がった(HレベルからLレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。
したがって、電流検出器507、508がPWM信号1220に基づいて電流値を検出すると、電流検出器507、508はPWM周期の中心のタイミングで電流値を検出することができる。即ち、一定の周期で電流値が検出される。この結果、異なるタイミングで得られたA相の電流値とB相の電流値とに基づいてモータが制御されてしまうことを抑制することができる。
<駆動電流の検出フロー>
図11Bは、実施例2におけるモータ制御装置157によって実行される、駆動電流の検出フローを示すフローチャートである。実施例1と同様、モータ制御装置157は、PWM信号生成部520a,520bによって生成されるPWM信号の1周期ごとに、図11Bに示す制御フローを実行する。なお、以下ではA相における駆動電流の検出について説明するが、B相における駆動電流の検出についても同様である。
まず、S201において、モータ制御装置157(反転制御部521)は、PWM周期の開始タイミング(t0)において、駆動電圧Vαが0以上(Vα≧0)であるか否かを判定する。
駆動電圧Vαが0以上である場合には、S202において、モータ制御装置157(駆動電圧反転部524)は、上述のように、PWM周期において駆動電圧Vαの極性を反転させる。
更に、S203で、モータ制御装置157(PWM信号反転部525)は、比較器600から出力されたPWM信号のレベルをHレベルとLレベルとの間で反転させる。
一方、S202において、駆動電圧Vαが0以上ではない場合には、モータ制御装置157は、S202及びS203の処理を実行しない。即ち、モータ制御装置157は、駆動電圧Vαの極性及びPWM信号のレベルを反転させない
その後、S204において、モータ制御装置157(電流検出器507)は、PWM周期の中心タイミング(t1)において、上述のように駆動電流の検出を行い、当該PWM周期についての処理を終了する。
以上説明したように、本実施例によれば、電流検出器507,508は、各相の駆動電流の検出を、各PWM周期におけるH期間及びL期間のうちの長い方の期間内に実行し、且つ一定の時間間隔で実行することが可能である。このため、異なるタイミングで得られたA相の電流値とB相の電流値とに基づいてモータが制御されてしまうことを抑制することができる。この結果、各PWM周期においてA相とB相との間で(複数相間で)駆動電流の検出タイミングを揃えることが可能である。このため、複数相間で駆動電流の検出タイミングがずれることに起因した、モータ509の回転子の回転位相θの決定精度の低下を抑制できる。
なお、実施例1及び実施例2において、モータ509の回転子の実際の回転位相θm(機械角)と、位相決定器513によって決定された回転位相θe(電気角)とが1対1に対応しない場合には、図13に示すように、電気角から機械角への変換を行う変換器700が、位相決定器513と位相制御器501との間に設けられてもよい。この場合、モータ509の回転子の回転位相θは、このような変換器によって実際の回転位相(機械角)に変換された後に、位相制御器501へ出力される。
また、実施例1及び実施例2においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであっても良い。
100:画像形成装置、151a:CPU、157:モータ制御装置、501:位置制御器、506:PWMインバータ、507,508:電流検出器、509:モータ、510:A/D変換器、512:誘起電圧決定器、513:位置決定器、514:速度決定器、515:ベクトル制御部、530a,530b:フルブリッジ回路、520a,520b:PWM信号生成部

Claims (22)

  1. Hブリッジ回路を構成する複数のスイッチング素子を備え、モータの巻線が接続される駆動回路と、
    前記複数のスイッチング素子のオン動作及びオフ動作を制御するPWM信号であって、搬送波としての第1の三角波に基づいて生成され、ハイレベルとローレベルの一方である第1レベルの信号とハイレベルとローレベルの他方である第2レベルの信号とで構成される第1のPWM信号と、前記第1の三角波の位相とは逆位相である第2の三角波に基づいて生成され、前記第1レベルの信号と前記第2レベルの信号とで構成される第2のPWM信号と、を生成する生成手段と、
    前記モータの巻線に流れる駆動電流を、前記第1のPWM信号の1周期における、前記第1のPWM信号が前記第1レベルである第1期間の割合を表すデューティ比によって決定されるタイミングにおいて検出する検出手段と、
    を有し、前記検出手段は、前記デューティ比が所定値未満の場合は、前記生成手段が生成した前記第1のPWM信号が前記第2レベルである第2期間に前記駆動電流を検出し、前記デューティ比が前記所定値以上の場合は、前記生成手段が生成した前記第2のPWM信号が前記第1レベルである第3期間に前記駆動電流を検出し、
    前記生成手段は、前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記第1のPWM信号及び前記第2のPWM信号を生成する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記モータ制御装置は、前記検出手段によって検出された駆動電流と前記巻線に供給するべき駆動電流との偏差が小さくなるように、前記駆動回路を駆動する駆動電圧を生成する電圧生成手段を更に有し、
    前記生成手段は、前記電圧生成手段によって生成された前記駆動電圧と前記第1の三角波とに基づいて前記第1のPWM信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記検出手段は、前記第1の三角波の1周期ごとに、前記駆動電流を検出する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記検出手段は、前記第1期間に前記駆動電流を検出する場合は、前記第1のPWM信号のレベルが前記第2レベルから前記第1レベルへと切り替わった後に前記第1の三角波が最初に極値となるタイミングにおいて前記駆動電流を検出し、
    前記第2期間に前記駆動電流を検出する場合は、前記第1のPWM信号のレベルが前記第1レベルから前記第2レベルへと切り替わった後に前記第1の三角波が最初に極値となるタイミングにおいて前記駆動電流を検出し、
    前記第3期間に前記駆動電流を検出する場合は、前記第2のPWM信号のレベルが前記第2レベルから前記第1レベルへと切り替わった後に前記第2の三角波が最初に極値となるタイミングにおいて前記駆動電流を検出する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記生成手段は、
    前記第1の三角波を生成するキャリア生成手段と、
    前記電圧生成手段によって生成された駆動電圧の正負の極性に応じて、前記第1の三角波の位相を反転させることによって前記第2の三角波を生成する反転手段と、
    前記駆動電圧が0以上である場合は、前記駆動電圧と前記第2の三角波とを比較することによって前記第2のPWM信号を生成し、前記駆動電圧が負である場合は、前記駆動電圧と前記第1の三角波とを比較することによって前記第1のPWM信号を生成する比較手段と、
    を有することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  6. 前記第1のPWM信号が前記第1レベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオンとなり、
    前記第1のPWM信号が前記第2レベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオフとなり、
    前記第2のPWM信号が前記第1レベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオンとなり、
    前記第2のPWM信号が前記第2レベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオフとなり、
    前記検出手段は、前記第1のPWM信号が前記第1レベルである期間又は前記第2のPWM信号が前記第1レベルである期間に前記駆動電流を検出する場合は検出した前記駆動電流の極性を反転させず、前記第1のPWM信号が前記第2レベルである期間又は前記第2のPWM信号が前記第2レベルである期間に前記駆動電流を検出する場合は検出した前記駆動電流の極性を反転させる
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記モータ制御装置は、前記モータの第1相及び第2相のそれぞれに対応した、前記生成手段、前記駆動回路及び前記検出手段を有し、
    前記第1相に対応する三角波は前記第2相に対応する三角波に同期しており、
    前記第1相に対応する前記検出手段は、前記第1相の巻線に流れる駆動電流を検出し、
    前記第2相に対応する前記検出手段は、前記第2相の巻線に流れる駆動電流を検出し、
    前記モータ制御装置は、更に、前記第1相に対応する前記検出手段によって検出された前記第1相の巻線に流れる駆動電流と前記第2相に対応する前記検出手段によって検出された前記第2相の巻線に流れる駆動電流とに基づいて前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段を有し、
    前記モータ制御装置は、前記モータの回転子の目標位相を表す指令位相と前記位相決定手段によって決定された回転位相との偏差が小さくなるように、前記第1相の巻線及び前記第2相の巻線に流れる駆動電流を制御することによって前記モータを制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記所定値は50%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  9. 前記駆動回路は、
    第1のスイッチング素子の一端及び第2のスイッチング素子の一端が電源に接続されており、
    前記第1のスイッチング素子の他端に第3のスイッチング素子の一端が直列に接続されており、
    前記第2のスイッチング素子の他端に第4のスイッチング素子の一端が直列に接続されており、
    前記第3のスイッチング素子の他端と前記第4のスイッチング素子の他端とに抵抗器が接続されており、
    前記抵抗器は接地されており、
    前記モータの巻線は、一端が前記第1のスイッチング素子と第3のスイッチング素子とを繋ぐ導線に接続され、他端が前記第2のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを繋ぐ導線に接続された回路である
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  10. 前記生成手段によって生成されたPWM信号は、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子へ供給され、
    前記生成手段によって生成されたPWM信号とは逆位相であるPWM信号が、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子へ供給される
    ことを特徴とする請求項9に記載のモータ制御装置。
  11. 前記モータ制御装置は、前記モータの回転子の回転によって前記第1相の巻線に誘起される誘起電圧の値と前記第2相の巻線に誘起される誘起電圧の値とを、前記検出手段によって検出された前記駆動電流に基づいて決定する誘起電圧決定手段を更に有し、
    前記位相決定手段は、前記誘起電圧決定手段によって決定された前記第1相における誘起電圧の値と前記第2相における誘起電圧の値とに基づいて前記回転位相を決定する
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
  12. 前記モータ制御装置は、前記指令位相と前記位相決定手段によって決定された回転位相との偏差が小さくなるように、前記回転位相を基準とした回転座標系において表される電流値の電流成分であって、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分の値と前記モータの巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分の値とに基づいて前記モータを制御することを特徴とする請求項11に記載のモータ制御装置。
  13. Hブリッジ回路を構成する複数のスイッチング素子を備え、モータの巻線が接続される駆動回路と、
    前記複数のスイッチング素子のオン動作、オフ動作を制御するPWM信号であって、前記駆動回路を駆動する第1の駆動電圧と搬送波としての三角波とに基づいて生成され、ハイレベルの信号とローレベルの信号とで構成される第1のPWM信号と、前記第1の駆動電圧の極性とは逆極性である第2の駆動電圧と前記三角波とに基づいて生成された第3のPWM信号の位相とは逆位相であるPWM信号であり、前記ハイレベルの信号と前記ローレベルの信号とで構成される第2のPWM信号と、を生成する生成手段と、
    前記第1の駆動電圧が所定値以上である場合は、前記生成手段が生成した前記第2のPWM信号が前記ハイレベルであるハイ期間に前記巻線に流れる駆動電流を検出し、前記第1の駆動電圧が前記所定値未満の場合は、前記生成手段が生成した前記第1のPWM信号が前記ローレベルであるロー期間に前記駆動電流を検出する検出手段と、を備え、
    前記生成手段は、前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記第1のPWM信号及び前記第2のPWM信号を生成する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  14. 前記検出手段は、前記三角波の1周期ごとに、前記駆動電流を検出する
    ことを特徴とする請求項13に記載のモータ制御装置。
  15. 前記モータ制御装置は、前記検出手段によって検出された駆動電流と前記巻線に供給するべき駆動電流との偏差が小さくなるように、前記第1の駆動電圧を生成する電圧生成手段を更に有し、
    前記生成手段は、
    前記三角波を生成するキャリア生成手段と、
    前記電圧生成手段によって生成された前記第1の駆動電圧の正負の極性に応じて、当該第1の駆動電圧の極性を反転させることによって前記第2の駆動電圧を生成する第1反転手段と、
    前記第1の駆動電圧が0以上である場合は、前記第2の駆動電圧と前記三角波とを比較することによって前記第3のPWM信号を生成し、前記第1の駆動電圧が負である場合は、当該第1の駆動電圧と前記三角波とを比較することによって前記第1のPWM信号を生成する比較手段と、
    前記第1の駆動電圧が0以上である場合は、前記比較手段によって生成された前記第3のPWM信号の位相を反転させることによって前記第2のPWM信号を生成して出力し、前記第1の駆動電圧が負である場合は、前記比較手段によって生成された前記第1のPWM信号の位相を反転させずに当該第1のPWM信号を出力する第2反転手段と、
    を有することを特徴とする請求項13又は14に記載のモータ制御装置。
  16. 前記所定値は0であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  17. シートを搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記モータを制御する、請求項1から16のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
    を備えることを特徴とするシート搬送装置。
  18. 原稿が積載される原稿トレイと、
    前記原稿トレイに積載された前記原稿を搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記モータを制御する、請求項1から16のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
    を備えることを特徴とする原稿給送装置。
  19. 原稿が積載される原稿トレイと、
    前記原稿トレイに積載された前記原稿を搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラによって搬送された前記原稿を読み取る読取手段と、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記モータを制御する、請求項1から16のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
    を備えることを特徴とする原稿読取装置。
  20. 記録媒体を搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラによって搬送された前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記モータを制御する、請求項1から16のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  21. 記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
    負荷を駆動するモータと、
    前記モータを制御する、請求項1から16のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  22. 前記負荷は、前記記録媒体を搬送する搬送ローラである
    ことを特徴とする請求項21に記載の画像形成装置。
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