JP2022067172A - モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 PWM信号を生成する際に必要な演算をPWM信号の1周期の半分の時間で行わなければならず、演算処理性能が比較的高い演算処理装置を用いなければならない。【解決手段】 電流値I(n-2)に基づいて生成される駆動電圧0Vは、(n)番目の周期の開始タイミング(時刻t4)における駆動電圧VL(n)として用いられる。また、電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧12Vは、(n)番目の周期における中心タイミング(時刻t5)における駆動電圧VR(n)として用いられる。【選択図】 図11
Description
本発明は、モータを制御するモータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
従来、モータを制御する方法として、モータの回転子の回転位相を基準とした回転座標系における電流値を制御することによってモータを制御するベクトル制御と称される制御方法が知られている。具体的には、回転子の指令位相と回転位相との偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法が知られている。なお、回転子の指令速度と回転速度との偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法も知られている。
ベクトル制御では、回転子の回転位相を決定する構成が必要となる。特許文献1では、回転子が回転することによってモータの各相の巻線に発生する誘起電圧を、検出された駆動電流に基づいて決定し、決定された誘起電圧に基づいて回転子の回転位相を決定する構成が述べられている。前記特許文献1では、モータの巻線に流れる駆動電流を一定の時間間隔で検出するために、PWM信号のデューティ比に基づいて三角搬送波を反転させる構成が述べられている。このような構成により、回転子の回転位相を高精度に決定することができ、モータをより効率的に駆動することができる。
前記特許文献1では、駆動電流のサンプリングがPWM信号の1周期における中心のタイミングで行われる。そして、当該サンプリングによって得られた電流値が、次の周期のPWM信号の生成に用いられる。即ち、前記特許文献1では、PWM信号を生成する際に必要な演算をPWM信号の1周期の半分の時間で行わなければならず、演算処理性能が比較的高い演算処理装置を用いなければならない。そのため、演算処理性能が比較的低い(より安価な)演算処理装置を用いてモータをより効率的に駆動することができる構成が求められていた。
上記課題に鑑み、本発明は、より安価な構成でモータを効率的に駆動することができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るモータ制御装置は、
ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を含み、モータの巻線に電流を供給する駆動回路と、
前記駆動回路とグランドとの間を流れる電流を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された電流の値をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段がサンプリングした値と前記モータに供給すべき駆動電流の目標値との差に基づいて、前記駆動回路を駆動する駆動電圧を生成する電圧生成手段と、
前記複数のスイッチング素子をオン・オフするためのPWM信号であって、ハイレベル及びローレベルの一方である第1レベルの信号と前記ハイレベル及び前記ローレベルの他方である第2レベルの信号とを含む前記PWM信号を、前記電圧生成手段によって生成された駆動電圧に基づいて生成するパルス生成手段と、
を有し、
前記電圧生成手段は、n番目(nは3以上の整数)の前記PWM信号の周期の開始タイミングと当該開始タイミングから第1所定時間後の中間タイミングとの間の第1期間における駆動電圧を、(n-2)番目の前記PWM信号の周期において前記サンプリング手段によってサンプリングされた値と当該(n-2)番目の前記PWM信号の周期における前記駆動電流の目標値との差に基づいて生成し、前記中間タイミングと前記n番目の前記PWM信号の周期の終了タイミングとの間の第2期間における駆動電圧を、(n-1)番目の前記PWM信号の周期において前記サンプリング手段によってサンプリングされた値と当該前記(n-1)番目の前記PWM信号の周期における前記駆動電流の目標値との差に基づいて生成することを特徴とする。
ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を含み、モータの巻線に電流を供給する駆動回路と、
前記駆動回路とグランドとの間を流れる電流を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された電流の値をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段がサンプリングした値と前記モータに供給すべき駆動電流の目標値との差に基づいて、前記駆動回路を駆動する駆動電圧を生成する電圧生成手段と、
前記複数のスイッチング素子をオン・オフするためのPWM信号であって、ハイレベル及びローレベルの一方である第1レベルの信号と前記ハイレベル及び前記ローレベルの他方である第2レベルの信号とを含む前記PWM信号を、前記電圧生成手段によって生成された駆動電圧に基づいて生成するパルス生成手段と、
を有し、
前記電圧生成手段は、n番目(nは3以上の整数)の前記PWM信号の周期の開始タイミングと当該開始タイミングから第1所定時間後の中間タイミングとの間の第1期間における駆動電圧を、(n-2)番目の前記PWM信号の周期において前記サンプリング手段によってサンプリングされた値と当該(n-2)番目の前記PWM信号の周期における前記駆動電流の目標値との差に基づいて生成し、前記中間タイミングと前記n番目の前記PWM信号の周期の終了タイミングとの間の第2期間における駆動電圧を、(n-1)番目の前記PWM信号の周期において前記サンプリング手段によってサンプリングされた値と当該前記(n-1)番目の前記PWM信号の周期における前記駆動電流の目標値との差に基づいて生成することを特徴とする。
本発明によれば、より安価な構成でモータを効率的に駆動することができるモータ制御装置を提供することができる。
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿給送装置201、読取装置202及び画像印刷装置301を有する。
原稿給送装置201の原稿積載部203に積載された原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206に沿って読取装置202の原稿ガラス台214上に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送されて、排紙ローラ205によって不図示の排紙トレイへ排紙される。読取装置202の読取位置において照明209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部111に導かれ、画像読取部111によって画像信号に変換される。画像読取部111は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部111から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって各種補正処理が行われた後、画像印刷装置301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
また、原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、一定速度で搬送される原稿の画像を、所定の位置に固定された照明系209及び光学系によって読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する照明系209及び光学系によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、給紙ローラ303によって給送されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、給紙ローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムの帯電には、例えば、コロナ帯電器や帯電ローラを用いた帯電方法が用いられる。
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この転写タイミングに合わせて、レジストレーションローラ308は記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本発明における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給紙ローラ204、303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)や感光ドラム309、搬送ベルト208、317、照明系209及び光学系等は本発明における負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置600、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置600に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。なお、センサ類159には、搬送ローラによって搬送される記録媒体を検知するセンサ等が含まれる。
モータ制御装置600は、CPU151aから出力された指令に応じて、負荷を駆動するモータ509を制御する。なお、図2においては、画像形成装置のモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には複数個のモータが設けられているものとする。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。また、図2においては、モータ制御装置が1個しか設けられていないが、実際には、複数個のモータ制御装置が画像形成装置に設けられているものとする。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシート材のジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
[モータ制御部]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。
次に、本実施形態におけるモータ制御装置について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。
<ベクトル制御>
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置600がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていない。
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置600がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていない。
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
図4は、モータ509を制御するモータ制御装置600の構成の例を示すブロック図である。本実施形態におけるモータ制御装置600は、ベクトル制御を用いてモータを制御するモータ制御部157及びモータの巻線に駆動電流を供給してモータを駆動させるモータ駆動部158によって構成されている。なお、モータ制御装置157は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
図4に示すように、モータ制御部157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当し、回転子402のトルクの発生には寄与しない。モータ制御部157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御部157は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。
モータ制御部157は、モータ509の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、所定の時間周期で指令位相θ_refをモータ制御部157へ出力する。
減算器101は、モータ509の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差を演算し、該偏差を位相制御器502に出力する。
位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力された偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力された偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、モータ駆動部158によって後述する方法により検出される。モータ駆動部158によって検出された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図3に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512に入力される。
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512に入力される。
座標変換器511は、静止座標系における電流値iα及びiβを、次式によって、回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=-sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
減算器102には、位相制御器502から出力された目標値としてのq軸電流指令値iq_refと座標変換器511から出力された電流値iqとが入力される。減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
iq=-sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
減算器102には、位相制御器502から出力された目標値としてのq軸電流指令値iq_refと座標変換器511から出力された電流値iqとが入力される。減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103には、位相制御器502から出力された目標値としてのd軸電流指令値id_refと座標変換器511から出力された電流値idとが入力される。減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、前記偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、前記偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。即ち、電流制御器503は、電圧生成手段として機能する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd-sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換された駆動電圧Vα及びVβを誘起電圧決定器512、PWMインバータ506及び電流値生成器530に出力する。電流値生成器530については後述する。
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換された駆動電圧Vα及びVβを誘起電圧決定器512、PWMインバータ506及び電流値生成器530に出力する。電流値生成器530については後述する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。なお、フルブリッジ回路(モータ駆動回路)は、図15において説明したモータ駆動回路50と同様の構成である。なお、図15においては、巻線L1は、実際には、モータ509に設けられている巻線である。即ち、巻線L1はモータ制御装置157の外部に設けられている。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。即ち、PWMインバータ506は、パルス生成手段として機能する。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路(ブリッジ接続)を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
次に、回転位相θを決定する構成について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα-R*iα-L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ-R*iβ-L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。R及びLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置600に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
Eβ=Vβ-R*iβ-L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。R及びLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置600に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータ509の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^-1(-Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルをROM151b等に記憶しておき、前記テーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルをROM151b等に記憶しておき、前記テーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505及び座標変換器511に入力される。
モータ制御装置157は、上述の制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。
[モータ駆動部]
以上のように、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値に基づいて巻線に流れる駆動電流を制御する。即ち、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する構成、及び、駆動電流を巻線に供給する構成が必要となる。
以上のように、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値に基づいて巻線に流れる駆動電流を制御する。即ち、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する構成、及び、駆動電流を巻線に供給する構成が必要となる。
図5は、本実施形態におけるモータ駆動部158の構成の例を示す図である。図5に示すように、モータ駆動部158は、A相におけるPWMインバータ506a、A/D変換器510a、電流値生成器530aを有する。また、モータ駆動部158は、B相におけるPWMインバータ506b、A/D変換器510b、電流値生成器530bを有する。なお、図4に示すPWMインバータ506にはPWMインバータ506aとPWMインバータ506bとが含まれる。また、図4に示すA/D変換器510にはA/D変換器510aとA/D変換器510bとが含まれる。更に、図4に示す電流値生成器530には電流値生成器530aと電流値生成器530bとが含まれる。このように、PWMインバータ、A/D変換器及び電流値生成器はモータ509のA相とB相それぞれに対応して設けられており、相毎に独立に駆動される。なお、PWMインバータ506aの構成とPWMインバータ506bの構成は同じ構成であるため、図5においては、PWMインバータ506aの具体的構成を示している。PWMインバータ506aは、モータ駆動回路50a、モータ駆動回路50aに設けられた複数のFETのオン動作/オフ動作を制御するPWM信号を生成するPWM生成器203、抵抗器200の両端の電圧信号を増幅する増幅器300を有する。
また、図5に示すように、モータ制御部157は、A相の巻線に発生する誘起電圧の値を決定する誘起電圧決定器512aとB相の巻線に発生する誘起電圧の値を決定する誘起電圧決定器512bとを有する。なお、図4に示す誘起電圧決定器512には誘起電圧決定器512aと誘起電圧決定器512bとが含まれる。
以下に、モータ駆動部158がA相の巻線に駆動電流を供給する方法、及び、モータ駆動部158がA相の巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する方法について説明する。なお、B相については、A相と同様の構成であるため説明を省略する。
<駆動電流を供給する方法>
まず、モータ駆動部158が巻線に駆動電流を供給する方法について説明する。
まず、モータ駆動部158が巻線に駆動電流を供給する方法について説明する。
モータ駆動回路50aは、スイッチング素子としてのFET Q1~Q4及びモータの巻線L1等を有する。具体的には、FET Q1~Q4はHブリッジ回路を構成し、巻線L1は、FET Q1とQ3との接続点とFET Q2とQ4との接続点とを繋ぐように接続されている。また、FET Q1及びQ2のドレイン端子は24Vの電源端子に接続され、FET Q3及びQ4のソース端子は、抵抗器200の一端に接続される。更に、抵抗器200の他端はグランド(GND)に接続される。即ち、抵抗器200は接地されている。
FET Q1及びQ4はPWM生成器203から出力されるPWM信号であるPWM+によって駆動され、FET Q2及びQ3はPWM生成器203から出力されるPWM信号であるPWM-によって駆動される。なお、PWM+とPWM-は互いに逆位相の関係にある。即ち、PWM+が‘H(ハイレベル)’である場合は、PWM-は‘L(ローレベル)’である。また、PWM-が‘H’である場合は、PWM+は‘L’である。なお、PWM信号が‘H’である場合はFETの動作はオン状態となり、PWM信号が‘L’である場合はFETの動作はオフ状態となる。
PWM+が‘H’である場合は、電源1、FET Q1、巻線L1、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘L’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q3、巻線L1、FET Q2、電源の順に駆動電流が流れる。
また、PWM+が‘L’である場合は、電源、FET Q2、巻線L1、FET Q3、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘H’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q4、巻線L1、FET Q1、電源の順に駆動電流が流れる。
PWM生成器203は、入力される駆動電圧Vαに対応するデューティ比に応じたPWM信号を、三角波比較方式によって生成して出力する。
図6は、本実施形態におけるPWM生成器203の構成を示すブロック図である。また、図7は、PWM信号が生成される構成を説明する図である。図6に示すように、PWM生成器203は、所定の周波数の三角波搬送波を生成する搬送波生成部522、変調波と搬送波とを比較してPWM信号を生成する比較器203a、比較器203aからのPWM信号の位相を反転させる位相反転器524を有する。更に、PWM生成器203は、搬送波生成部522から出力された三角波搬送波の位相を反転させる搬送波反転部523、比較器203aに出力される搬送波を切り替える切替スイッチ525、切替スイッチ525を制御する反転制御部521を有する。なお、本実施形態においては、三角波搬送波の周波数(所定の周波数)は、CPU151aがモータ制御装置600を制御する周波数、即ち、CPU151aがモータ制御装置600に指令位相θ_refを出力する周波数に同期しているものとする。
以下では、比較器203aには搬送波生成部522から出力された三角波搬送波が入力される場合について説明する。
図7に示すように、比較器203aは、モータ制御部157から出力された変調波としての駆動電圧Vαと搬送波生成部522によって生成された搬送波としての三角波とを比較することによってPWM信号であるPWM+を生成して出力する。
位相反転器524は、比較器203aから出力されたPWM+の位相を反転させ、位相が反転したPWM信号であるPWM-を出力する。なお、三角波の値が極小値となるタイミングから次に極小値となるタイミングまでの期間を一周期とした場合に、該三角波の1周期の波形(極小値から次の極小値までの波形)は、該三角波の値が極大値となるタイミングを基準として線対称となるような波形とする。また、A相における三角波搬送波はB相における三角波搬送波に同期している。なお、切替スイッチ525、反転制御部521及び搬送波反転部523については後述する。
図8は、PWM信号が生成される方法を説明する図である。以下に、図8を用いて、PWM信号が生成される方法を説明する。
前述したように、比較器203aは変調波としての駆動電圧Vαと三角波搬送波とを比較してPWM信号を生成する。具体的には、比較器203aは、駆動電圧Vαが三角波搬送波よりも大きい期間(ハイ期間)は‘H’、駆動電圧Vαが三角波搬送波よりも小さい期間(ロー期間)は‘L’としてPWM+を生成する。また、PWM生成器203は、PWM+の位相を反転させたPWM-を生成する。
図5に示すように、PWM生成器203は、PWM+をFET Q1及びQ4に出力し、PWM-をFET Q2及びQ3に出力する。FET Q1乃至Q4は、PWM+とPWM-によって、オン・オフ動作が制御される。この結果、A相の巻線L1に供給する駆動電流の大きさ及び向きを制御することができる。
本実施形態においては、駆動電圧が24Vである場合はデューティ比が100%、駆動電圧が0Vである場合はデューティ比が50%、駆動電圧が-24Vである場合はデューティ比が0%に対応する。即ち、本実施形態においては、駆動電圧VαはPWM+のデューティ比に対応する値である。なお、本実施形態においては、PWM+の周期に対するハイ期間の割合をデューティ比と定義するが、PWM+の周期に対するロー期間の割合をデューティ比と定義しても良い。
<駆動電流を検出する方法>
次に、モータ駆動部158が巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する方法について説明する。
次に、モータ駆動部158が巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する方法について説明する。
巻線に流れる駆動電流は抵抗器200にかかる電圧Vsnsに基づいて検出される。増幅器300は、電圧Vsnsの信号を増幅してA/D変換器510aに出力する。A/D変換器510aは、電圧Vsnsをアナログ値からデジタル値へと変換して、電流値生成器530aに出力する。電流値生成器530aは、A/D変換器510aから出力されたデジタル値を所定の周期(PWM信号の周期)でサンプリングする。
前述のように、PWM+が‘H’である場合は、電源1、FET Q1、巻線L1、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘L’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q3、巻線L1、FET Q2、電源の順に駆動電流が流れる。即ち、モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流が、FET Q1とFET Q3との接続点からFET Q2とFET Q4との接続点の方向に流れる場合であっても、駆動電流が電源からGNDへ向かう方向に流れる場合と、駆動電流がGNDから電源へ向かう方向に流れる場合とがある。したがって、抵抗器200の両端の電圧に基づいて駆動電流が検出される場合、検出された駆動電流の向きと実際に巻線に流れている駆動電流の向きとが異なっている可能性がある。この場合、検出された駆動電流の電流値に基づいてモータが制御されると、モータの制御が不安定になってしまう可能性がある。なお、モータ509のA相の巻線に流れる駆動電流が、FET Q2とFET Q4との接続点からFET Q1とFET Q3との接続点の方向に流れる場合についても同様の現象が起こる。
そこで、本実施形態においては、電流値生成器530aは、駆動電流(デジタル値)がサンプリングされるタイミングにおけるPWM信号のレベルに応じて、検出した電流値(電圧値)の極性を反転させる。
具体的には、例えば、電流値生成器530aは、駆動電流がサンプリングされるタイミングにおけるPWM信号がHレベルである場合は、検出した電流値(電圧値)の極性を反転させない。また、電流値生成器530aは、駆動電流がサンプリングされるタイミングにおけるPWM信号がLレベルである場合は、検出した電流値(電圧値)の極性を反転させる。
PWM信号のレベルが切り替わってから、更にPWM信号のレベルが切り替わるまでの時間間隔(HレベルまたはLレベルの継続時間)が短いと、FET Q1~Q4がPWM信号のレベルの切り替わりに応答出来ない可能性がある。この場合、電流値(電圧値)の極性を切り替える必要が無いにもかかわらず電流値(電圧値)の極性が切り替わってしまい、検出された駆動電流の向きと実際に巻線に流れている駆動電流の向きとが異なってしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、電流値生成器530aは、PWM信号がHレベルである期間(以下、「H期間(ハイ期間)」と称する。)とLレベルである期間(以下、「L期間(ロー期間)」と称する。)とのうちで長い方の期間に、駆動電流の検出を行う。このような構成が用いられることによって、検出された駆動電流の向きと実際に巻線に流れている駆動電流の向きとが異なってしまうことを防止することができる。
電流値生成器530aには、PWM信号のデューティ比に対応する駆動電圧VαとPWM生成器203から出力される三角波搬送波の情報としての周波数及び位相の情報が入力される。
電流値生成器530aは、デューティ比が50%以上の場合はH期間に電流値をサンプリングする。具体的には、電流値生成器530aは、PWM生成器203によって生成されたPWM信号が立ち上がった(LレベルからHレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値をサンプリングする。また、電流値生成器530aは、デューティ比が50%未満の場合はL期間に電流値をサンプリングする。具体的には、電流値生成器530aは、PWM生成器203によって生成されたPWM信号が立ち下がった(HレベルからLレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値をサンプリングする。このように、三角波搬送波が極値となるタイミングで電流値がサンプリングされることによって、PWM信号が立ち上がる又は立ち下がるタイミングにおいて電流値がサンプリングされることを防止することが出来る。この結果、PWM信号が立ち上がる又は立ち下がる際にスイッチング素子がスイッチングすることに起因して発生するノイズが、検出された値に含まれることを抑制することができる。
{三角搬送波の反転}
図9は、駆動電流が検出されるタイミングを示す図である。図9に示すように、駆動電圧が0V以上である場合は、三角波搬送波の値が極小値となるタイミングで電流値が検出される。また、駆動電圧が負である場合は、三角波搬送波の値が極大値となるタイミングで電流値が検出される。また、駆動電圧が正の値から負の値へと変化する場合、電流値が検出されるタイミングが、三角波搬送波の値が極小値となるタイミングから三角波搬送波の値が極大値となるタイミングに変わる。また、駆動電圧が負の値から正の値へと変化する場合、電流値が検出されるタイミングが、三角波搬送波の値が極大値となるタイミングから三角波搬送波の値が極小値となるタイミングに変わる。
図9は、駆動電流が検出されるタイミングを示す図である。図9に示すように、駆動電圧が0V以上である場合は、三角波搬送波の値が極小値となるタイミングで電流値が検出される。また、駆動電圧が負である場合は、三角波搬送波の値が極大値となるタイミングで電流値が検出される。また、駆動電圧が正の値から負の値へと変化する場合、電流値が検出されるタイミングが、三角波搬送波の値が極小値となるタイミングから三角波搬送波の値が極大値となるタイミングに変わる。また、駆動電圧が負の値から正の値へと変化する場合、電流値が検出されるタイミングが、三角波搬送波の値が極大値となるタイミングから三角波搬送波の値が極小値となるタイミングに変わる。
このように、駆動電圧の値に応じて電流値が検出されるタイミングが変わると、一定の周期で電流値が検出されなくなってしまう。
A相の駆動回路50aとB相の駆動回路50bは、それぞれ独立に駆動される。したがって、駆動電圧の値に応じて電流値が検出されるタイミングが変わると、図9に示すように、A相における検出時刻とB相における検出時刻とが一致しない場合がある。この場合、異なるタイミングで得られたA相の電流値とB相の電流値とに基づいてモータが制御されてしまう。
そこで、本実施形態では、以下の構成を用いることによって、各相の駆動電流の検出を各PWM周期におけるH期間及びL期間のうちの長い方の期間内に実行し、且つ一定の時間間隔で実行できるようにする。この結果、異なるタイミングで得られたA相の値とB相の値とに基づいてモータが制御されてしまうことを抑制することができる。
反転制御部521は、駆動電圧Vαに基づいて、キャリア生成部522によって生成されたキャリア(三角波)の正負の極性を反転させる(位相を反転させる)反転処理を行うか否かを決定し、決定した結果に従って切替スイッチ525を制御する。具体的には、反転制御部521は、PWM周期(例えば図9のt0~t2の期間)の開始タイミング(例えば図9のt0)における駆動電圧Vαが0以上であれば(Vα≧0)、搬送波反転部523から出力された三角波搬送波が比較器203aに入力されるように切替スイッチ525を制御する。一方、反転制御部521は、PWM周期の開始タイミングにおける駆動電圧Vαが負であれば(Vα<0)、搬送は生成部522から出力された三角波搬送波が比較器203aに入力されるように切替スイッチ525を制御する。
図10は、反転制御部521の制御が適用された場合における三角波搬送波及びPWM信号を示す図である。
前述のように、電流値生成器530aは、入力されたデューティ比が50%以上(駆動電圧Vαが0以上)の場合はH期間に電流値をサンプリングする。具体的には、電流値生成器530aは、PWM生成器203によって生成されたPWM信号が立ち上がった(LレベルからHレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。また、電流値生成器530aは、入力されたデューティ比が50%未満(駆動電圧Vαが0未満)の場合はL期間に電流値を検出する。具体的には、電流値生成器530aは、PWM生成器203によって生成されたPWM信号が立ち下がった(HレベルからLレベルに切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電流値を検出する。
したがって、図10に示すように、電流値生成器530aはPWM周期の中心のタイミングで電流値をサンプリングする。即ち、一定の周期で電流値がサンプリングされる。この結果、異なるタイミングで得られたA相の電流値とB相の電流値とに基づいてモータが制御されてしまうことを抑制することができる。
{駆動電圧の生成方法}
図11は、本実施形態におけるサンプリングされた電流値の制御への反映を説明する図である。図11では、一例として、(n-2)番目の周期(時刻t0~t2)における駆動電圧が-12V(デューティ比が25%)、(n-1)番目の周期(時刻t2~t4)における駆動電圧が0V(デューティ比が50%)、n番目の周期(時刻t4~t6)における駆動電圧が12V(デューティ比が75%)である場合が示されている。即ち、図11では、一例として、(n-2)番目の周期においてサンプリングされた電流値I(n-2)に基づいて生成される駆動電圧は0Vであり、(n-1)番目の周期においてサンプリングされた電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧は12Vである場合が示されている。時刻t2、t4、t6は終了タイミングに対応する。なお、nは整数である。
図11は、本実施形態におけるサンプリングされた電流値の制御への反映を説明する図である。図11では、一例として、(n-2)番目の周期(時刻t0~t2)における駆動電圧が-12V(デューティ比が25%)、(n-1)番目の周期(時刻t2~t4)における駆動電圧が0V(デューティ比が50%)、n番目の周期(時刻t4~t6)における駆動電圧が12V(デューティ比が75%)である場合が示されている。即ち、図11では、一例として、(n-2)番目の周期においてサンプリングされた電流値I(n-2)に基づいて生成される駆動電圧は0Vであり、(n-1)番目の周期においてサンプリングされた電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧は12Vである場合が示されている。時刻t2、t4、t6は終了タイミングに対応する。なお、nは整数である。
上述の構成では、電流値のサンプリングがPWM信号の1周期における中間タイミングとしての中心のタイミングで行われる。そして、当該サンプリングによって得られた電流値が、次の周期のPWM信号の生成に用いられる。具体的には、図11(a)に示すように、電流値I(n-2)に基づいて生成される駆動電圧0Vは、(n-1)番目の周期における駆動電圧V(n-1)として用いられる。また、電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧12Vは、n番目の周期における駆動電圧V(n)として用いられる。即ち、PWM信号を生成する際に必要な演算をPWM信号の1周期の半分の時間で行わなければならず、演算処理性能が比較的高い演算処理装置を用いなければならない。そのため、演算処理性能が比較的低い(より安価な)演算処理装置を用いてモータをより効率的に駆動することができる構成が求められていた。
そこで、本実施形態では、以下の構成が適用されることにより、より安価な構成でモータを効率的に駆動することができる。以下では、図11(b)を用いて、n番目の周期における駆動電圧V(n)の生成について説明する。
本実施形態では、n番目の周期における駆動電圧は、時刻t4~t5までの期間における駆動電圧VL(n)と時刻t5~t6までの期間における駆動電圧VR(n)とによって構成される。駆動電圧VL(n)は、電流値I(n-2)に基づいて生成された駆動電圧0Vに設定される。また、駆動電圧VR(n)は、以下の式(10)に基づいて設定される。
VR(n)=V_cont*2-VL(n) (10)
ここで、V_contは、図11の例においては、電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧12Vに相当する。このようにVL(n)及びVR(n)が設定されると、(n)番目の周期における駆動電圧の平均値は、12Vとなる(図11(a)における(n)番目の周期における駆動電圧と同じ値になる)。
ここで、V_contは、図11の例においては、電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧12Vに相当する。このようにVL(n)及びVR(n)が設定されると、(n)番目の周期における駆動電圧の平均値は、12Vとなる(図11(a)における(n)番目の周期における駆動電圧と同じ値になる)。
図11(b)の構成によれば、電流値I(n-2)に基づいて生成される駆動電圧0Vは、n番目の周期の開始タイミング(時刻t4)における駆動電圧VL(n)として用いられる。また、電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧12Vは、n番目の周期における中心タイミング(時刻t5)における駆動電圧VR(n)として用いられる。即ち、演算処理性能が従来よりも比較的低い(より安価な)演算処理装置を用いてモータをより効率的に駆動することができる。なお、本実施形態では、サンプリングされた電流値は不図示のメモリに格納され、当該電流値はPWM信号の生成に用いられると、メモリから削除される。
ただし、本実施形態ではPWM出力周期間での駆動電圧の変化幅は制限される。例えば、時刻t0~t2で出力する駆動電圧を-12Vとした場合には次のPWM周期であるt2~t4で出力可能な駆動電圧範囲は-18Vから6Vとなる。これは現在の制御演算結果を駆動電圧として反映させる範囲がPWM周期の右側半分のみとすることに起因する。しかし一般的にPWM周波数は数十kHzに設定され、モータの応答周波数は1kHz程度であるため、上述したベクトル制御を行う上では駆動電圧が制限されるような急峻な駆動電圧の変化は少ないと想定するので影響は少ないと考える。
図12は、本実施形態における駆動電圧の設定方法を説明するフローチャートである。以下に、図12を用いて、駆動電圧の設定方法を説明する。このフローチャートの処理は、モータ制御装置600によって実行される。
モータの駆動を開始する指示がCPU151aから出力されると、S1001において、モータ制御装置600はPWM周期のカウント数nを初期化する(n=0にする)。
次に、S1002において、CPU151aは、駆動電圧VL(n)及びVR(n)を所定値V0に設定する。本実施形態では、駆動電圧VL(n)は2周期前においてサンプリングされた電流値に基づいて設定されるため、モータの駆動が開始されてから1周期目、2周期目の駆動電圧VL(n)及びVR(n)は所定値V0に設定される。
その後、S1003において、モータ制御装置600はn=n+1に設定する。
S1004において、nが1以下である場合は、処理はS1002に戻る。
一方、S1004において、nが1より大きい場合は、S1005において、モータ制御装置600は、電流値I(n-2)に基づいて生成される駆動電圧を駆動電圧VL(n)に設定する。
その後、モータ制御装置600は、式(10)に基づいて駆動電圧VR(n)を設定する。
S1007において、モータの制御が終了されない場合は、処理はS1003に戻る。
一方、S1007において、モータの制御が終了される場合は、モータ制御装置600はこのフローチャートの処理を終了する。
以上のように、本実施形態においては、電流値I(n-2)に基づいて生成される駆動電圧0Vは、(n)番目の周期の開始タイミング(時刻t4)における駆動電圧VL(n)として用いられる。また、電流値I(n-1)に基づいて生成される駆動電圧12Vは、(n)番目の周期における中心タイミング(時刻t5)における駆動電圧VR(n)として用いられる。この結果、演算処理性能が従来よりも比較的低い(より安価な)演算処理装置を用いてモータをより効率的に駆動することができる。
なお、本実施形態においては、デューティ比が所定値以上であるか否か、具体的には、50%以上であるか否かに基づいて、三角搬送波の反転制御を行ったが、この限りではない。例えば、デューティ比が70%以上であるか否かに基づいて、三角搬送波の反転制御を行ってもよい。
また、本実施形態においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであっても本実施形態を適用することができる。
〔第2実施形態〕
画像形成装置の構成が第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。
画像形成装置の構成が第1実施形態と同様である部分については説明を省略する。
上述したように、第1実施形態では、PWM出力周期間での駆動電圧の変化幅は制限される。例えば、時刻t0~t2で出力する駆動電圧を-12Vとした場合には次のPWM周期であるt2~t4で出力可能な駆動電圧範囲は-18Vから6Vとなる。即ち、中心電圧0V方向に対しては6V-(-12V)=18Vの出力可能な変化幅があるのに対し、ピーク電圧-24V方向に対しては-12V-(-18V)=6Vと出力可能な変化幅は小さい。本実施形態では、出力可能な変化幅を中心電圧0V方向とピーク電圧方向とで均等にする。
図13は、本実施形態におけるサンプリングされた電流値の制御への反映を説明する図である。駆動電圧(=デューティ比)は一例として、-24V(0%)、-12V(=25%)、-24V(=0%)と順に変化した例を示す。図13(a)に本実施形態の方法を示し、図13(b)に本実施形態の方法を示す。
図13(a)、即ち、第1実施形態では、駆動電圧VL(n)は、電流値I(n-2)に基づいて生成された駆動電圧に設定されていたのに対し、本実施形態では、電流値I(n-2)に基づいて生成された駆動電圧の大きさに応じてVL(n)を設定する。以下、電流値I(n-2)に基づいて生成された駆動電圧をV_cont(n-1)とする。
V_cont(n-1)が-12Vより小さい場合は、VL(n)=-24Vとし、V_cont(n-1)が12Vより大きい場合は、VL(n)=+24Vとし、V_cont(n-1)が-12V以上且つ12V以下の場合はVL(n)=V_cont(n-1)×2とする。図13(b)においては、V_cont(n-1)=-12Vであるため、VL(n)=-12V×2=-24Vとなり、t5時刻でVR(n)=-24Vとなるため、時刻t4からt6区間でV(n)=-24Vを満足することが可能となる。これにより、ピーク電圧付近での電圧変化可能幅が拡がる。
なお、本実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータ509を制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータ509を制御する構成であっても良い。具体的には、図14に示すように、モータ制御装置内部に速度決定器514を設け、速度決定器514が位相決定器513から出力された回転位相θの時間変化に基づいて回転速度ωを決定する。なお、速度の決定には、式(11)が用いられるものとする。
ω=dθ/dt (11)
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器500を設け、速度制御器500が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータ509を制御する構成であっても良い。
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器500を設け、速度制御器500が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータ509を制御する構成であっても良い。
また、本実施形態においては、回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
50 モータ駆動回路
Q1~Q4 FET
203 PWM生成器
509 ステッピングモータ
530 電流値生成器
600 モータ制御装置
Q1~Q4 FET
203 PWM生成器
509 ステッピングモータ
530 電流値生成器
600 モータ制御装置
Claims (11)
- ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を含み、モータの巻線に電流を供給する駆動回路と、
前記駆動回路とグランドとの間を流れる電流を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された電流の値をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段がサンプリングした値と前記モータに供給すべき駆動電流の目標値との差に基づいて、前記駆動回路を駆動する駆動電圧を生成する電圧生成手段と、
前記複数のスイッチング素子をオン・オフするためのPWM信号であって、ハイレベル及びローレベルの一方である第1レベルの信号と前記ハイレベル及び前記ローレベルの他方である第2レベルの信号とを含む前記PWM信号を、前記電圧生成手段によって生成された駆動電圧に基づいて生成するパルス生成手段と、
を有し、
前記電圧生成手段は、n番目(nは3以上の整数)の前記PWM信号の周期の開始タイミングと当該開始タイミングから第1所定時間後の中間タイミングとの間の第1期間における駆動電圧を、(n-2)番目の前記PWM信号の周期において前記サンプリング手段によってサンプリングされた値と当該(n-2)番目の前記PWM信号の周期における前記駆動電流の目標値との差に基づいて生成し、前記中間タイミングと前記n番目の前記PWM信号の周期の終了タイミングとの間の第2期間における駆動電圧を、(n-1)番目の前記PWM信号の周期において前記サンプリング手段によってサンプリングされた値と当該前記(n-1)番目の前記PWM信号の周期における前記駆動電流の目標値との差に基づいて生成することを特徴とするモータ制御装置。 - 前記サンプリング手段は、前記PWM信号の1周期における中心のタイミングにおいて、前記電流の値をサンプリングすることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記パルス生成手段は、前記電圧生成手段によって生成された駆動電圧と第1の搬送波とに基づいて前記PWM信号としての第1のPWM信号を生成し、前記電圧生成手段によって生成された駆動電圧と前記第1の搬送波の位相とは逆位相である第2の搬送波とに基づいて前記PWM信号としての第2のPWM信号を生成し、
前記第1期間は、前記パルス生成手段によって生成された前記第1のPWM信号が前記第2レベルであって、かつ、前記駆動電圧が所定値より小さい期間であり、
前記第2期間は、前記パルス生成手段によって生成された前記第2のPWM信号が前記第1レベルであって、かつ、前記駆動電圧が前記所定値より大きい期間であることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。 - 前記第1の搬送波は三角波であり、前記第2の搬送波は前記第1の搬送波としての前記三角波の位相とは逆位相である三角波であることを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
- 前記サンプリング手段は、前記第1の搬送波の1周期ごとに、前記電流の値をサンプリングすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 前記第1のPWM信号が前記第1のレベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオンとなり、
前記第1のPWM信号が前記第2のレベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオフとなり、
前記第2のPWM信号が前記第1のレベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオンとなり、
前記第2のPWM信号が前記第2のレベルである場合は前記複数のスイッチング素子はオフとなり、
前記サンプリング手段は、前記第1のPWM信号が前記第1のレベルである期間又は前記第2のPWM信号が前記第1のレベルである期間に前記電流の値をサンプリングする場合はサンプリングした値の極性を反転させず、前記第1のPWM信号が前記第2のレベルである期間又は前記第2のPWM信号が前記第2のレベルである期間に前記電流の値をサンプリングする場合はサンプリングした値の極性を反転させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモータ制御装置。 - 前記駆動回路は、
第1のスイッチング素子の一端及び第2のスイッチング素子の一端が電源に接続されており、
前記第1のスイッチング素子の他端に第3のスイッチング素子の一端が直列に接続されており、
前記第2のスイッチング素子の他端に第4のスイッチング素子の一端が直列に接続されており、
前記第3のスイッチング素子の他端と前記第4のスイッチング素子の他端とに抵抗器が接続されており、
前記抵抗器は接地されており、
前記モータの巻線は、一端が前記第1のスイッチング素子と第3のスイッチング素子とを繋ぐ導線に接続され、他端が前記第2のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを繋ぐ導線に接続された回路である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。 - 前記パルス生成手段によって生成されたPWM信号は、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子へ供給され、
前記パルス生成手段によって生成されたPWM信号とは逆位相であるPWM信号が、前記第2のスイッチング素子及び前記第3のスイッチング素子へ供給される
ことを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。 - 前記モータ制御装置は、
前記モータの回転子の回転によって前記巻線に誘起される誘起電圧の値を、前記サンプリング手段によってサンプリングされた値に基づいて決定する誘起電圧決定手段と、
前記誘起電圧決定手段によって決定された前記誘起電圧の値に基づいて前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
前記位相決定手段によって決定された回転位相と前記回転子の目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記目標値としてのトルク電流成分の目標値を設定する設定手段と、
を有し、
前記電圧生成手段は、前記サンプリング手段がサンプリングした電流の前記トルク電流成分の値と前記設定手段によって設定された前記トルク電流成分の目標値とに基づいて、前記駆動電圧を生成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。 - シートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを駆動するモータと、
前記モータを制御する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
を備えることを特徴とするシート搬送装置。 - 記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
負荷を駆動するモータと、
前記モータを制御する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020175735A JP2022067172A (ja) | 2020-10-20 | 2020-10-20 | モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 |
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