JP2021192589A - モータ制御装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ステッピングモータでは、モータに与えるパルス周期が制御されることで速度制御が行われる。また、ステッピングモータでは、モータに与えるパルス数が制御されることで位置制御も行われる。
例えば、脱調を回避するためには、装置で必要となる負荷トルクに対して、各種バラツキによる負荷側のトルク変化に対応可能なトルクが出力できるように、モータに供給する電流に所定マージンを設けることが必要になる。その結果、必要以上に電力を消費してしまったり余剰トルクに起因して振動・騒音が引き起こったりしてしまう。
これらの問題の解決には、例えばモータの駆動電流を検出し、電圧方程式に基づいて推定されたA相とB相における誘起電圧比の逆正接をとることでロータ位置を推定する方法がある。なお、ロータ回転速度は、推定した位置結果を時間微分することにより求めることができる。
また、モータに位置指令を与えるフルステップパルス発生手段は、メインホストCPUおよびタイマー回路とCPU割込とをリアルタイムに動作するシステムとして構成される。また、フルステップパルス発生手段は、機内の紙搬送機構や用紙や機器の状態を検知する複数のセンサ情報を加味して画像形成動作をするように構成されている。
例えば、誘起電圧による電気角検知を用いる場合では、ADコンバータは電流電圧の1[%]以上の高分解能な高精度のアナログ回路を複数実装することが必要であり、複数モータの部品バラツキや、AD変換のリニアリティ特性も十分な精度が必要になる。
そのため、複数のモータ駆動回路の電流検知回路に高精度部品が複数必要になり、初期部品コストや、ユニットが故障した場合の交換コストがかさんでしまう、という課題があった。
なお、本実施形態では画像形成装置の一例である電子写真方式のレーザビームプリンタに本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。また、その他の画像形成装置、例えばインクジェットプリンタ、昇華型プリンタなどについても本発明を適用することができる。また、シートを搬送するシート搬送装置に本発明を適用することができる。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの構成の一例を示す図である。
図1に示す画像形成システム10は、原稿給送装置(ADF:Auto Document Feeder)201、読取装置202、画像形成装置301を含んで構成される。
読取装置202の読取位置で照明系209によって照射された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部101で画像信号に変換される。画像読取部101は、レンズ、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device)、CCDの駆動回路等によって構成される。
また、第2読取モードでは、照明系209及び光学系を一定速度で移動させながら、原稿ガラス台214上に載置された原稿を読み取る。なお、通常はシート状の原稿は第1読取モードで読み取りを行い、綴じられた原稿は第2読取モードで原稿の読み取りを行う。
画像信号は、半導体レーザー(図示せず)等によってレーザ光の信号に変調される。変調されたレーザ光は、ポリゴンミラーを含む光走査装置311、ミラー312,313を経由して、帯電器310によって表面が一様に帯電された感光ドラム309上に露光され、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
静電潜像は、現像器314のトナーによって現像され、転写帯電器315によってトナー像が記録材に転写される。
紙カセット302の記録材は、給紙ローラ303、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308まで搬送される。
レジストレーションローラ308は、記録材にトナー像が転写される転写タイミングに合わせて、記録材を記録材にトナー像が転写される位置(転写位置)に搬送する。
トナー像が転写された記録材は、搬送ベルト317で定着器318に搬送され、定着器318による加熱、加圧により記録材上にトナー像が定着される。
更に、記録材の後端が両面パス326との合流ポイントを通過した直後に反転ローラ321の回転が反転することで、記録材は反転し両面パス326へと搬送される。
その後、上述した方法で記録材の第2面(裏面)に画像が形成された後、機外に排紙される。
また、定着器318からの記録材を表裏反転して機外に排紙する場合には、記録材は搬送ローラ320へ搬送される。その後、当該記録材の後端が搬送ローラ320を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録材が表裏反転した状態で機外に排紙される。
図3は、システムコントローラ751が有する割込コントローラIRQC780、割込コントローラIRQC180の機能構成を説明するための図である。
図4は、ステッピングモータ167aの構成の一例を示す模式図である。例えば、ステッピングモータ167aは、図4に示すように、A相(巻線401a、401c)、B相(巻線401b、401d)の2つの相巻線を有する2相ステッピングモータである。
CPU751aは、ROM751bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、予め決められた画像形成シーケンスに係わる様々なシーケンスを実行する。CPU751aは、バス751dを介して、システムコントローラ751内の各モジュールと通信可能に構成される。RAM751cには、例えば高圧制御部155への高圧設定値、各種データ、操作部152からの画像形成指令情報等が保存される。
このとき用紙搬送系の各駆動ローラ用の駆動源である5つのモータ167a〜167eも駆動される。モータはいずれも、図4に示すモータ167aのようなA相、B相の2相ステッピングモータである。
システムコントローラ751は、ベクトル制御IC151が有するパルス生成部171a〜171eを介して位置指令パルス171a〜175bを所定の時間周期でモータドライバ157a〜157eに対して出力することで各モータを制御する。
次に、CPU751aが5つのモータの駆動制御をおこなうシーケンスについて説明する。
システムコントローラ751は、割込コントローラIRQC780内の複数のカウンタータイマー機能と、各タイマー割込指示780aの組み合わせで5つのモータの演算とタイミングの制御を行う。
タイマー781〜785は、5つの各モータのフルステップ単位の加減速および停止を制御するための位置指令フルステップパルス(以下、フルステップパルスと称す)発生用のタイマーである。
図5(a)は、タイマー781の割込のタイミングチャートの一例であり、モータの起動から停止までを時間軸に沿って示している。
モータを起動する際、パルス生成部770aは自起動パルス幅でフルステップパルスの出力を開始する。なお、モータを起動するときに、タイマー781による計時が開始される。
タイマー781は、CPU751aに出力する信号の周期を段階的に短くする。この結果、パルス生成部770aから出力されるフルステップパルスの周期が段階的に短くなり、モータが加速する。
出力されるフルステップパルスの周期が目標速度f1に対応する周期になると、タイマー781はCPU751aに出力する信号を一定の周期で出力する。この結果、パルス生成部770aから出力されるフルステップパルスの周期が一定の周期になり、モータが一定速度で回転する。
また、モータを停止させる場合、タイマー781は、CPU751aに出力する信号の周期を段階的に長くする。この結果、パルス生成部770aから出力されるフルステップパルスの周期が段階的に短くなり、モータが減速する。
タイマー781は、モータが停止する自起動パルス幅までの信号を出力してタイマー781を停止する。
続いて、ベクトル変調IC151が有するCPU151a(以下、CPU151aと称す)が、A/D変換器153a、153bを介して5つのモータ(167a〜167e)をベクトル制御するシーケンスについて説明する。ベクトル変調IC151は、ベクトル制御を用いてモータを制御するモータ制御装置として機能する。また、A/D変換器153aを第1A/D変換器、A/D変換器153bを第2A/D変換器とする。また、図3(b)に示す割込コントローラIRQC180は、合計17のタイマー181〜185、191a〜195a、191b〜195b、196、197を有する。
CPU151aは、割込コントローラIRQC180内の各タイマーに割り込みを指示する割込指示180aにより、5つのモータに関する演算のタイミングを制御する。なお、CPU151aは、5つの各モータの割込間隔を各々計測する。
第1のステッピングモータ167aの制御にはタイマー181、191a、191bの3つが専用に利用される。
タイマー181は、割込771aを監視計測するカウンタータイマーである。
タイマー191a、191bは、割込771aから1フルステップパルス遅延したマイクロステップタイミングを再現するためのタイマーである。
タイマー181の周期は、自起動が10pps、一定速f1が500ppsである。このときタイマー191aと191bの周期は、自起動が80pps、一定速f2は4000ppsである。
モータ相電流検知信号168aと168bは、図中においてはバスのように略記しているが、5モータ2相ずつの10本の個別の信号である。A/D変換器153a、153bの各5番と6番と7番は、利用されないため入力が接地処理されている。
本実施形態では、N分割(Nは8以上の整数である)されたマイクロステップ周期のうち8分割マイクロステップの割込数がカウントされることによって当該カウント数が位置指令パルス幅情報θ_refに換算され、当該位置指令パルス幅情報θ_refが後段のベクトル演算に用いられる。なお、マイクロステップタイミングの割込発生の詳細については後述する。
図8は、ステッピングモータ167aのA相のPWM信号171a及びB相のPWM信号171bの一例を示すタイミングチャートである。なお、図8のタイミングチャートでは、縦軸を電圧とし、横軸を時間としている。
また、図3(b)に示すタイマー196は、全モータ共通の励磁PWM調整用の共通PWM周期gcnt発生用のタイマーである。
PWMパルスは、共通タイミング(S520)を中心に前後の時間で対称にエッジが発生するように制御される。
同様にして、4つのステッピングモータについて、4つのPWM端子機能によりそれぞれのモータのA相タイミングとB相タイミングのPWMパルスを、172a〜175aと172b〜175bに発生する。
図9は、CPU151aのタイマー196とタイマー197の割込によるA/D変換器153aおよび153bの順次検知タイミングの一例を示すタイミングチャートである。なお、図9のタイミングチャートでは、縦軸をタイマーの種別とし、横軸を時間としている。また、ステップ番号scnt197の数値は、直前にA/D変換器153a、153bの2データを読み取る入力端子番号に対応する。
図10は、割込コントローラIRQC180におけるタイマー196およびタイマー197の割込タスク内の処理手順例であり、割込コントローラIRQC180内の各タイマーの制御は、CPU151aの指示に基づいて行われる。
なお、制御対象のモータをステッピングモータ167aとする場合を例に挙げて説明する。
次に、CPU151aは、AD変換の繰り返し回数に対応するモータに対応する電流値のAD変換を行わせ、ADコンバート値を取得する。さらに、タイマーの繰り返し回数に対応するモータのPWMデータを演算する(S830)。
CPU151aは、タイマー196が所定値までカウントすると、再度、図8に示すタイマー196の割込タスクの処理を開始する。つまり、図8および図9に示すように、タイミングS520を起点にした処理が繰り返される。
そして、PWM機能部は、図8に示すように、PWM周期タイミングS520に同期して、PWM周期(256[μsec])のPWM信号を生成する。
このようにCPU151aは、A/D変換器を共用しながら、5つのモータの駆動制御を行う。割込コントローラIRQC180内のカウンタータイマー181〜185、191a〜195a、191b〜195b、196、197の機能と、各タイマー割込指示180aの組み合わせで、5つのモータの演算とタイミングの制御を行う。
図11を用いてADコンバート値からPWM信号の幅を決定する逐次演算(図10:ステップS550の処理)について説明する。
CPU151aは、AD変換の繰り返し回数に対応するモータに対応する電流値のAD変換を行わせ、ADコンバート値を取得する(S510)。なお、取得したADコンバート値は、例えばRAM751cに格納される。
CPU151aは、導出した指令速度ωが閾値速度ωthよりも大きいか否かを判別する(S515)。このように、ステップS515の処理において安定速度を超過しているか否かが判別される。
このようにして、安定速度を超過しているか否かに応じて、ステッピングモータ167aを制御するためのモータ制御方式が特定される。
ここで、ベクトル演算モードについて説明する。本方式は、基本的な構成はブラシレスDCモータ、ACサーボモータ等で利用されている座標変換を用いたインバータ制御である。
具体的には、ステッピングモータ167aのA相、B相に流れる通常の電流ベクトルを表す静止座標系が、図4に示すような、回転子の磁極方向をd軸、さらに90度進んだ方向をq軸と定義される回転座標系に変換される。なお、このインバータ制御は大きく分けて、位置PID制御と電流PID制御の二つの制御演算ループとして構成される。
通常、これらの情報を検出するために、ステッピングモータにロータリーエンコーダを取り付けて、ロータリーエンコーの出力パルス数に基づいて位置情報を取得する。そして、取得した位置情報における出力パルス周期に基づいて速度情報を取得する。
ところが、本来ステッピングモータの駆動に不要であるロータリーエンコーダを付加することにより、機器製造コストの上昇、配置スペースが必要になるなど問題が生じる。そこで、エンコーダを用いずにステッピングモータ167aの位置、及び速度情報を推定するセンサレス制御が提案されている。
そのため、ステッピングモータの起動や停止時の速度が極めて遅い限られた制御状態においては、前述したオープン演算モード(オープン制御:各相の電流検知にもとづいて、各相の励磁PWM周期を決定する)に切り替えるように構成する。このようにして、ステッピングモータを駆動制御するように構成しても良い。
ここでステップS560の処理(ベクトル演算モード)におけるPWMデータ演算処理の詳細について説明する。
CPU151aは、誘起電圧演算を行う。
具体的には、CPU151aは、交流電流iα、iβ、及び、ステッピングモータ167aの駆動電圧vα、vβを導出する。交流電流iαはA/D変換器153aから取得したADコンバート値に対応し、交流電流iβはA/D変換器153bから取得したADコンバート値に対応する。
そして、CPU151aは、入力された電流値と出力する電圧値に基づいて、モータ等価回路における以下の電圧方程式に基づいてステッピングモータ167aの誘起電圧Eα、Eβを推定する。なお、誘起電圧Eα、Eβは、下記式(1)、(2)を用いて導出することができる。
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt・・・式(2)
モータの各相に流れる電流値は、電流検知信号168a、168bとしてA/D変換器153a、153bにより検知され、電流検知の処理(図9:ステップS510)においてCPU516aが取得した状態になる。
CPU151aは、位置PID制御を行う。具体的には、CPU151aは、位置指令パルス(θ_ref)に基づいて電流指令値iq_ref、id_refを導出する。電流指令値iq_ref、id_refは、αβ軸からdq軸へと変換演算された後の電流指令値である。
iβ=sinθ*iq+cosθ*id・・・式(4)
CPU151aは、変換後の電流値iα、iβに基づいて駆動電圧vα、vβを導出する。
CPU151aは、PWM信号の反転タイミングの予約設定を行う。具体的には、CPU151aは、駆動電圧vα、vβに基づいて、PWM信号171a、171bが機能するようにレジスタに予約設定する。このようにして、1モータ当りのタイマー197による割込タスクを終了する。なお、PWM信号の発生パターンは、図8に示すタイミングチャートのようになる。
このようなフィードバック系を構築することで、ベクトル制御では、負荷に応じた必要最低限の駆動電流を常時モータに印加することになり、省電力かつ低騒音のモータ駆動を実現することができる。
CPU151aは、誘起電圧演算を行う。具体的には、CPU151aは、A/D変換器153a、153bによってデジタル値に変換された交流電流iα、iβ、及び、ステッピングモータ167aの駆動電圧vα、vβを導出する。
そして、CPU151aは、入力された電流値と出力する電圧値に基づいて、上述したモータ等価回路における電圧方程式に基づいてステッピングモータ167aの誘起電圧Eα、Eβを推定する。
CPU151aは、電流PID制御を行う。具体的には、CPU151aは、位置PID制御と同様に比例、積分補償器を介して電流偏差量を増幅した後に座標変換処理を行う。
CPU151aは、PWM信号の反転タイミングの予約設定を行う。
このようなフィードバック系を構築することで、ベクトル制御では、負荷に応じた必要最低限の駆動電流を常時モータに印加することになり、省電力かつ低騒音のモータ駆動を実現することが可能となり、このとき正弦波のような周期特性となる。
図12は、PWM機能部のフルブリッジ回路の一例を説明するための図である。
図13は、PWM信号に応じてモータ巻線に流れる駆動電流の向きを説明するための図である。具体的には、図13(a)は、PWM信号がHiのときのモータ巻線に流れる駆動電流の向きを表し、図13(b)は、PWM信号がLowのときのモータ巻線に流れる駆動電流の向きを表している。
図14は、三角波比較方式の概念図である。
図12を用いて、モータドライバ157aを例に挙げてPWMインバータの駆動方法、電流検出方法について説明する。PWM端子機能は、FETを用いたフルブリッジ回路で構成され、2相ステッピングモータの場合はA相とB相分の2つのフルブリッジ回路を有する。
これにより、PWM制御周期におけるPWM信号のHi幅の比率(以下、PWM信号正デューティ)を調整して、所望の駆動電圧をモータ巻線両端に与えモータ巻線に駆動電流を流すことができる。
このように、三角波をキャリアとしてモータ駆動電圧を変調波とする三角波比較方式のデジタル演算を行う場合において、変調波の変化時刻を三角波の山と谷のどちらかの時刻に同期させることになる(図14参照)。
検出電流の向きをそろえるためにCPU151aは、PWM信号がHiかLowのどちらの時刻で検出するかに応じて検出電流値の符号を反転する。なお、駆動電圧データの正負に応じてPWM信号のHi幅とLow幅のどちらが相対的に長いかが決定される。
図16は、モータ167a、モータ167bの電流検出回路とA/D変換器153a、153bそれぞれの接続構成の一例を示す詳細図である。
第1のモータであるモータ167aのA相電流は、モータドライバ157aと接続されたシャント抵抗507の両端の電圧として検出される。そして、VCC/2において零点オフセットしてオペアンプ158a(図正面から見て上側)によって増幅されて、信号168aとしてベクトル制御IC151へ送られる。
CPU151aは、CPUバス151dを介してA/D変換器153aの入力セレクタをレジスタ設定して、信号168aを選択してAD変換結果を読み取る。
CPU151aは、CPUバス151dを介してA/D変換器153bの入力セレクタをレジスタ設定して、信号168bを選択してAD変換結果を読み取る。
図17(a)に示すグラフは、第1のモータ167aの実際のA相電流と、A/D変換器153aによる検出結果の値との関係の一例を示している。なお、縦軸は3.3V電源を0〜1023の1024段階に10bitAD変換したデジタル値を示している。
図17(a)に示すグラフのように、実際にシャント抵抗を流れる正負の電流に対して所定の特性(以下、この特性値をバラツキ成分と称す)を有していることが見て取れる。なお、グラフ上では説明のためにグラフ上に現れるバラツキ成分を誇張表現している。
図17(a)、(b)の比較から実際にシャント抵抗を流れる正負の電流に対して主に3つのバラツキ成分a、b、c(図中においてはa1、2、b1、2、c)を有していることが見て取れる。
1つ目のバラツキ成分のbは、増幅回路のオフセット特性であり、オペアンプ内部の半導体トランジスタの入力電流分と内部抵抗値、および周辺の抵抗部品の抵抗値の精度と、ADコンバータ入力前のアナログセレクタ回路のON抵抗値である。これは設計中心よりずれた電圧値に変換されてしまう成分が主因となる。
なお、オフセット量は回路に依存するため、第1のモータ167a側はb1であり、第2のモータ167b側はb2である。ここでは一例として、b1=50[mV]相当、b2=40[mV]相当程度であるとする。
また、図16において説明したように、VCC/2を中心に増幅および電圧変換する回路であるためバラツキ成分aは電流の正負を中心に両側に傾斜する。
なお、傾斜は回路に依存するため、第1のモータ167a側はa1であり、第2のモータ167b側はa2である。ここでは一例として、a1=10[mV]/A、a2=8[mV]/A程度にバラツキ傾斜するものとする。
以上のことから、予め測定工具などを用いて各モータ各相毎にバラツキa、b、cを測定しておき、ベクトル制御中においてこれら測定値を補正する。具体的には、例えばPWMパルス毎の電気角速度で変動するモータの相電流を逐次AD変換して誤差1[%]未満で求める。
次に、モータ停止中の複数の定電流励時状態で、シャント抵抗507(509)とシャント抵抗508(510)の両端の電位差を測定工具により計測しつつ平行して各々ADコンバータ値を記録する。複数の定電流とは、例えば−5[A]〜5[A]まで0.1[A]単位で100点測定する。
例えば図16に示すような2つのモータでればバラツキaが4点計測され、バラツキbが4点計測され、バラツキcが2セット各100点が計測値から算出される。
また、図3(a)に示すような5つのモータであれば、バラツキaが10点計測され、バラツキbが10点計測され、バラツキcが2セット各100点が計測値から算出される。
バラツキ成分に係る情報は、測定後に例えばベクトル変調IC151内の不揮発メモリEEPROMに記録される。1点のデータを2Byteとすると、計120点で240Byteとなる。
さらに読出時のデータ通信量も比例して増加するためシステムが緩慢な動作になったり、CPUの性能アップが必要となったりして変更コストが増加してしまうことになる。
また、このような補正をしない場合にも、オペアンプ増幅回路やA/D変換器に高精度な部品が多く必要となりコストアップすることになる。このため既存のシステムにベクトル制御型に変更する場合の大きな障害となり好ましくない。
例えば、市販のモータドライバ、シャント抵抗とAD検知回路、サブCPUとAD変換回路と不揮発メモリを備えた複数モータ共通ICによって、ホストCPUの大きな変更を伴わないで複数モータの制御をベクトル制御対応に変更することが可能になる。
具体的には、不揮発メモリ内で共通に記録されたバラツキ特性パターンで共用AD変換経路のバラツキが補正される。そのため、交換可能なユニットで不揮発メモリ量が少なく、通信制御量も少ない安価な構成とすることも可能になる。
Claims (8)
- 2つの相巻線を有する複数のモータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路のグラウンド側の電流値を検出するA/D変換器と、
前記検出した電流値に基づいて、前記モータの相巻線に発生する誘起電圧をそれぞれ推定する推定手段と、
前記推定された誘起電圧に基づいて電気角を検出し、検出した電気角と前記駆動回路に入力されるマイクロステップパルスとに基づいてベクトル制御を行う制御手段と、
前記駆動回路のスイッチング素子を制御するためのPWM信号を生成する生成手段と、
前記A/D変換器による検出結果の特性値を記憶する記憶手段と、を有し、
前記制御手段は、前記A/D変換器による検出結果を前記記憶手段に記憶した特性値に基づいて補正を行い前記ベクトル制御を実行することを特徴とする、
モータ制御装置。 - 前記A/D変換器は、第1A/D変換器と第2A/D変換器を有し、
前記第1A/D変換器は前記複数のモータの第1相の駆動電流を検出し、
前記第2A/D変換器は前記複数のモータの第2相の駆動電流を検出することを特徴とする、
請求項1記載のモータ制御装置。 - 前記駆動回路は、前記モータを駆動するフルブリッジ回路として構成されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のモータ制御装置。 - 前記モータは、ステッピングモータであることを特徴とする、
請求項1、2又は3に記載のモータ制御装置。 - 前記A/D変換器は、前記モータの複数の相の電流検出を時分割で行うアナログデジタル変換式の電流検出器であることを特徴とする、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のモータ制御装置。 - 前記複数のモータそれぞれは、画像形成装置が有する給紙手段として機能し、
前記制御手段は、前記モータに入力されるフルステップパルスの間隔を測定した結果に応じて、前記ベクトル制御を行うベクトル演算モード、又は、前記誘起電圧の推定を行わずにPWM信号の出力を一定とするオープン演算モードのいずれか一方のモードで前記モータ制御を行うことを特徴とする、
請求項1乃至5いずれか一項に記載のモータ制御装置。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載のモータ制御装置を有することを特徴とする、
シート搬送装置。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載のモータ制御装置を有することを特徴とする、
画像形成装置。
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