JP2017077157A - モータ制御装置及び画像形成装置 - Google Patents

モータ制御装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ベクトル制御によりモータの駆動制御を行うモータ制御装置において、モータの回転位置の検出用の位置検出センサからの出力信号に異常が生じた場合にもベクトル制御を継続するための技術を提供する。【解決手段】モータ制御部157(モータ制御装置)は、ベクトル制御によってステッピングモータ509の駆動制御を行うとともに、ベクトル制御に必要となるステッピングモータの回転子の回転位置θを、エンコーダ520から出力されるパルス信号に基づいて、位置検出部540で検出する。モータ制御部157は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があるか否かを、異常判定部530で判定する。モータ制御部157は、パルス信号に異常があると判定すると、当該パルス信号の異常によって生じる誤差を補償するように、ステッピングモータ509の回転子の位置θの検出値を、位置検出部540で補正する。【選択図】図3

Description

本発明は、モータの駆動制御に関するものであり、特に、複写機、プリンタ等の画像形成装置において負荷の駆動源として使用可能なステッピングモータ等のモータの駆動制御に関するものである。
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置において、画像が形成される用紙等の記録材を搬送する搬送系の駆動源として、ステッピングモータが広く用いられている。ステッピングモータは、モータの回転速度を検出する機構を備えていなくとも、モータに与えるパルス周期を制御することによって速度制御を行うことができる。また、ステッピングモータは、モータの回転子の回転位置を検出する機構を備えていなくとも、モータに与えるパルス数を制御することによって位置制御を行うことができる。(これらの制御方式を、一般に同期制御という。)ところが、ステッピングモータを同期制御する際、モータの回転子にかかる負荷トルクが、前記モータの巻線に供給した駆動電流に対応した出力トルクを超えた場合、入力パルスに同期せずに制御不能の状態である脱調状態となる。モータが脱調状態になると、記録材を正しく搬送できず、紙詰まりが発生する。その結果、画像形成装置内に詰まった紙をユーザに取り除いてもらう必要が生じる。これを避けるためには、モータが脱調しないように、装置で必要となる負荷トルクに対応する駆動電流に所定のマージンを加算した電流をモータの巻線へ供給する必要がある。その結果、消費電力の増大や、余剰トルクに起因したモータ音の増大が生じる問題があった。
このような問題に対処するための技術として、特許文献1及び2に記載のように、ベクトル制御(またはFOC:Field Oriented Control)と称される方式が提案されている。ベクトル制御は、回転子の磁束方向をd軸、これに直交する方向をq軸と定義した回転座標系を用いて、モータの回転子に適切なトルクが発生するように駆動電流の振幅及び位相を制御する方式である。回転座標系では、駆動電流のq軸成分(q軸電流)は、モータの回転子にトルクを発生させるトルク電流成分であり、駆動電流のd軸成分(d軸電流)は、モータの回転子の磁束強度に影響する励磁電流成分である。モータ制御装置は、モータの回転子にかかる負荷トルクが変化しても、負荷トルクの変化に応じてq軸電流を制御することによって、前記回転子が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。この結果、モータが脱調状態になることを防止することができる。また、消費電力の増大や、余剰トルクに起因したモータ音の増大を抑制することができる。ベクトル制御においては、ロータリエンコーダ等の位置検出センサを用いて回転子の回転位置を検出する必要がある。
特許第3661864号公報 特開平6−225595号公報
上述のベクトル制御では、エンコーダによる回転子の回転位置の検出結果は、モータの速度制御及び位置制御のみならず、回転座標系における駆動電流(d軸電流及びq軸電流)の制御を行うためにも用いられる。しかし、例えば画像形成装置で使用されるトナーや用紙の紙粉等によってエンコーダに汚れが生じると、エンコーダから出力されるパルス信号に、パルスの欠落等の何らかの異常が生じる場合がある。パルス信号に異常が生じると、該パルス信号に基づいて決定された回転子の回転位置に誤差が生じる。決定された回転子の回転位置に誤差が生じると、モータの回転速度の安定性が悪化し、モータが制御不能の状態に至る可能性がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、ベクトル制御によりモータの駆動制御を行うモータ制御装置において、モータの回転位置の検出用の位置検出センサからの出力信号に異常が生じた場合にもベクトル制御を継続するための技術を提供することを目的とする。
本発明は、例えば、モータ制御装置として実現できる。本発明の一態様に係るモータ制御装置は、モータの回転子の目標位置を表す指令位置に基づいて前記モータの駆動制御を行うモータ制御装置であって、前記モータの巻線に供給する駆動電流を前記モータの回転子の回転位置を基準とした回転座標系の電流値に基づいて制御することによって、前記モータを駆動するモータ駆動手段と、前記モータに設けられた位置検出センサから、前記回転子の回転位置の変化に対応して出力されるパルス信号に基づいて、前記回転位置を決定する位置決定手段と、前記位置検出センサから出力された前記パルス信号に異常があるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記位置決定手段は、前記パルス信号に異常がある場合は前記パルス信号に基づく回転位置を補正することによって前記回転子の回転位置を決定し、前記モータ駆動手段は、前記位置決定手段によって決定された前記回転子の回転位置と前記指令位置との偏差が0に近づくように、前記モータの巻線に供給する駆動電流を制御することによって、前記モータを駆動することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、前記記録材を搬送するローラを駆動するモータと、前記モータの巻線へ供給する駆動電流を前記モータの回転子の回転位置を基準とした回転座標系の電流値に基づいて制御することによって、前記モータを駆動するモータ駆動手段と、前記モータに設けられた位置検出センサから、前記回転子の回転位置の変化に対応して出力されるパルス信号に基づいて前記回転位置を決定する位置決定手段と、前記位置検出センサから出力された前記パルス信号に異常があるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記位置決定手段は、前記パルス信号に異常がある場合は前記パルス信号に基づく回転位置を補正することによって前記回転子の回転位置を決定し、前記モータ駆動手段は、前記位置決定手段によって決定された前記回転子の回転位置とマスターコントローラから与えられる前記回転子の目標位置を表す指令位置との偏差が0に近づくように、前記モータの巻線に供給する駆動電流を制御することによって、前記モータを駆動することを特徴とする。
本発明によれば、ベクトル制御によりモータの駆動制御を行うモータ制御装置において、モータの回転位置の検出用の位置検出センサからの出力信号に異常が生じた場合にもベクトル制御を継続することが可能になる。それにより、モータを制御不能の状態に至らせることなくベクトル制御による効率の良いモータ駆動制御を実現できる。
画像形成装置の全体の構成例を示す図。 画像形成装置の制御構成例を示すブロック図。 モータ制御部の構成例を示すブロック図。 モータと回転座標系のdq軸との関係を示す図。 モータ制御部の構成の変形例を示すブロック図。 位置検出部の構成例を示すブロック図。 エンコーダから出力されるパルス信号と、当該パルス信号に基づいて検出されるステッピングモータの電気角との関係の例を示す図。 エンコーダからのパルス信号に異常が生じた例を示す図。 エンコーダから出力されるパルス信号と、当該パルス信号に基づいて検出されるステッピングモータの電気角との関係の例を示す図。 モータ制御部による制御フローを示すフローチャート。 エンコーダから出力されるパルス信号の例を示す図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
<画像形成装置>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るモータ制御装置が実装される画像形成装置の構成例について説明する。図1に示す画像形成装置100は、原稿自動送り装置201、読取装置202、及び画像形成装置本体301を備えている。
原稿自動送り装置201の原稿載置部203に置かれた原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206を経由して読取装置202の原稿ガラス台214に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送された後、排紙ローラ205によって装置外部へ排紙される。この間、読取装置202の読取位置において照明系209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210,211,212から成る光学系によって画像読取部101に導かれ、画像読取部101によって画像信号に変換される。画像読取部101は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部101から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって、各種補正処理が行われた後、画像形成装置本体301へ出力される。
読取装置202における原稿の読取モードとして、流し読みモード及び固定モードがある。流し読みモードは、照明系209及び光学系を停止した状態で、原稿を一定速度で搬送しながら当該原稿の画像を読み取るモードである。固定モードは、読取装置202の原稿ガラス台214上に原稿を載置し、照明系209及び光学系を一定速度で移動させながら、原稿ガラス台214上に載置された原稿の画像を読み取るモードである。通常、シート状の原稿は流し読みモードにより読み取られ、綴じられた原稿は固定モードで読み取られる。
画像形成装置100は、読取装置202から出力される画像信号に基づいて、画像形成装置本体301においてページ単位で記録紙(記録材)に画像を形成するコピー機能を有する。なお、画像形成装置100は、ネットワークを介して外部装置から受信したデータに基づいて記録紙に画像を形成する印刷機能も有している。
読取装置202から出力された画像信号は、光走査装置311に入力される。光走査装置311は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含み、入力された画像信号で変調されたレーザ光(光信号)を、半導体レーザから出力する。半導体レーザから出力されたレーザ光が、ポリゴンミラー、及びミラー312,313を経由して感光ドラム309の表面に照射されることで、感光ドラム309が露光される。帯電器310によって表面が一様に帯電した感光ドラム309がレーザ光によって露光されることで、感光ドラム309上に静電潜像が形成される。感光ドラム309上に形成された静電潜像が、現像器314から供給されるトナーによって現像されることで、感光ドラム309上にトナー像が形成される。感光ドラム309上のトナー像は、感光ドラム309の回転に伴って転写分離器315と対向する位置(転写位置)まで移動すると、転写分離器315によって記録紙に転写される。
記録紙は、紙カセット302及び304に収納されており、それぞれ異なる種類の記録紙を収納可能である。例えば、紙カセット302には標準の記録紙が収納され、紙カセット304にはタブ紙が収納される。紙カセット302に収納された記録紙は、給紙ローラ303によって搬送路上に給紙され、搬送ローラ306によってレジストローラ308の位置まで搬送され、そこで一時的に停止する。一方、紙カセット304に収納された記録紙は、給紙ローラ305によって搬送路上に給紙され、搬送ローラ307,306によってレジストローラ308の位置まで搬送され、そこで一時的に停止する。
レジストローラ308の位置まで搬送された記録紙は、感光ドラム309上のトナー像が転写位置に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ308によって転写位置へ搬送される。転写位置において感光ドラム309からトナー像が転写された記録紙は、搬送ベルト317によって定着器318へ搬送される。定着器318は、熱及び圧力により、記録紙上のトナー像を当該記録紙に定着させる。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合には、定着器318を通過した記録紙は、排紙ローラ319,324によって装置外部へ排紙される。両面印刷モードで画像形成が行われる場合には、定着器318を通過後、表面(第1面)に画像が形成された記録紙は、排紙ローラ319、搬送ローラ320及び反転ローラ321によって、反転パス325へ搬送される。更に、記録紙の後端が、反転パス325と両面パス326との合流ポイントを通過した直後に、反転ローラ321の回転を反転させることで、記録紙が逆方向に搬送され始め、両面パス326へ搬送される。その後、記録紙は、搬送ローラ322,323によって両面パス326を搬送され、再び搬送ローラ306によってレジストローラ308の位置まで搬送され、そこで一時的に停止する。更に、記録紙の表面(第1面)への画像形成と同様に、転写位置において記録紙の裏面(第2面)へのトナー像の転写処理が行われ、更に定着器318によって定着処理が行われた後、記録紙は、装置外部へ排紙される。
また、表面へ画像形成された記録紙の表裏を反転させて(第1面が下向きになるように反転させて)記録紙を装置外部へ排紙する場合には、定着器318を通過した記録紙を、排紙ローラ324へ向かう方向でははく、搬送ローラ320へ向かう方向へ一時的に搬送する。その後、記録紙の後端が搬送ローラ320の位置を通過する直前に、搬送ローラ320の回転を反転させることで、記録紙が逆方向に搬送され始め、排紙ローラ324へ向かう方向へ搬送される。その結果、記録紙は、表裏が反転した状態で排紙ローラ324によって装置外部へ排紙される。
このように、画像形成装置本体301は、画像が形成される記録紙の搬送用のローラとして、搬送ローラ306,307、排紙ローラ319、反転ローラ321、搬送ローラ322,323、及び排紙ローラ324を備えている。更に、給紙ローラ303、レジストローラ308等のローラも、記録紙の搬送用のローラである。これらのローラを駆動するモータの駆動制御は、後述するように、システムコントローラ151(図2)からの指示により、モータ制御部157(図2)によって行われる。
(画像形成装置の制御構成)
図2は、画像形成装置100の制御構成例を示すブロック図である。図2に示すシステムコントローラ151は、CPU151a、ROM151b、及びRAM151cを備え、画像形成装置100全体を制御する。システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御部157、センサ類159、及びACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータの交換が可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。RAM151cは、記憶デバイスであり、各種プログラムを実行するためのワークエリアとして、または各種データが一時的に格納される一時記憶領域として使用される。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御部157に対する指令値、操作部152から受信される情報等のデータが格納される。
システムコントローラ151は、ユーザが各種の設定を行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するよう、操作部152を制御することで、操作部152を介してユーザによる設定を受け付ける。システムコントローラ151は、操作部152を介したユーザによる設定の内容(複写倍率の設定値、濃度設定値等)を示す情報を、操作部152から受信する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態をユーザに知らせるためのデータを操作部152に送信する。操作部152は、システムコントローラ151から受信したデータに基づいて、画像形成装置の状態を示す情報(例えば、画像形成枚数、画像形成中か否かを示す情報、ジャムの発生及び発生個所を示す情報)を表示部に表示する。
システムコントローラ151(CPU151a)は、画像処理部112に対して、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100内の各デバイスの設定値データを送信する。また、システムコントローラ151は、各デバイスからの信号(センサ類159からの信号)を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155を制御する。高圧制御部155は、システムコントローラ151から出力される設定値に基づいて、高圧ユニット156を構成する帯電器310、現像器314、及び転写分離器315に対して、それぞれの動作に必要となる電圧を供給する。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154から検出信号を受信し、当該検出信号をデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160を制御することで、定着ヒータ161の温度を、定着処理のための所望の温度に制御する。なお、定着ヒータ161は、定着器318に含まれる、定着処理に用いられるヒータである。
このように、システムコントローラ151は、画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、モータ制御部157を介して、各モータの駆動シーケンスを制御する。モータ制御部157は、システムコントローラ151からの指示に従って、記録紙の搬送用のローラを駆動する駆動源に相当するモータ(図3に示すステッピングモータ509)を制御する。なお、画像形成装置100は、記録紙の搬送用の各ローラに対応するモータごとに、当該モータを制御するモータ制御部157を備えている。本実施形態では、モータ制御部157は、モータの駆動制御を行うモータ制御装置の一例である。
モータ制御部157のマスターコントローラに相当するシステムコントローラ151(CPU151a)は、制御対象のモータ(ステッピングモータ509)の回転子の目標位置を表す指令値(指令位置)θ_refを生成し、モータ制御部157へ出力する。例えば、指令位置θ_refは、パルス状の矩形波信号であり、1パルスがステッピングモータの回転角度の最小変化量を規定する。なお、モータの回転子の目標速度を表す指令値(指令速度)ω_refは、θ_refに対応する周波数として求められる。CPU151aは、モータの駆動シーケンスを開始すると、生成した指令位置θ_refを、所定の時間周期(制御周期)でモータ制御部157へ出力する。モータ制御部157は、CPU151aから与えられる指令位置に従って、モータ(ステッピングモータ509)の位置制御及び速度制御を実行する。
<ベクトル制御>
次に、図3及び図4を参照して、モータ制御部157によって実行されるベクトル制御の概要について説明する。図3は、本実施形態に係るモータ制御部157の構成例を示すブロック図である。なお、ステッピングモータ509は、少なくとも2相から成るモータであり、本実施形態では、A相及びB相から成る2相のモータである。
モータ制御部157は、ベクトル制御部515から出力される駆動電圧Vα,Vβに応じて、PWMインバータ506がステッピングモータ509の巻線へ駆動電流を供給することによって、ステッピングモータ509を駆動する。なお、図3に示すように、ベクトル制御部515は、速度制御器502、電流制御器503,504、及び座標変換器505,511によって構成されている。
ここで、図4は、A相及びB相から成る2相のモータと回転座標系のd軸及びq軸との関係を示す図である。同図では、静止座標系における、A相及びB相の巻線に対応した軸をそれぞれα軸及びβ軸と定義している。また、静止座標系におけるα軸と、回転子(ロータ)として用いられる永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向(d軸)との成す角度をθと定義している。この場合、ステッピングモータ509の回転子の位置(回転位置)は、角度θによって表される。ベクトル制御では、図4に示すように、回転子の磁束方向に沿ったd軸と、d軸から90度進んだ方向に沿った(d軸と直交する)q軸とで表される、ステッピングモータ509の回転子の位置θを基準とした回転座標系が用いられる。
モータ制御部157は、ステッピングモータ509の回転子の位置θを基準とした回転座標系の電流値を制御することによってステッピングモータ509の巻線へ供給する駆動電流を制御するベクトル制御を行う。ベクトル制御では、ステッピングモータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルが、α軸及びβ軸で表される静止座標系から、d軸及びq軸で表される回転座標系に変換される。このような座標変換の結果、ステッピングモータ509に供給される駆動電流は、回転座標系において、直流のd軸成分(d軸電流)及びq軸成分(q軸電流)によって表される。この場合、q軸電流は、ステッピングモータ509にトルクを発生させるトルク電流成分に相当し、d軸電流は、ステッピングモータ509の回転子の磁束強度に影響する励磁電流成分に相当する。モータ制御部157は、回転座標系におけるq軸電流及びd軸電流を独立して制御することで、ステッピングモータ509のベクトル制御を実現する。
具体的には、モータ制御部157は、ステッピングモータ509の回転子の位置及び回転速度を決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。なお、図3に示すモータ制御部157において、ステッピングモータ509の回転子の位置θの決定は位置決定部540によって行われる。また、回転速度ωの決定は、速度決定部550によって行われる。
本実施形態では、位置検出センサとしてのエンコーダ520が、ステッピングモータ509に設けられている。エンコーダ520は、ステッピングモータ509の回転子の位置の変位に対応したパルス信号を異常判定部530、位置決定部540及び速度決定部550に出力する。
位置決定部540は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に基づいて、ステッピングモータ509の回転子の位置θを決定する。また、異常判定部530は、エンコーダ520から出力されたパルス信号に異常があるか否かを示す判定信号を位置決定部540に出力する。位置決定部540は、決定した位置θを前記判定信号に基づいて補正し、補正した位置θを位置制御器501へ出力する。また、速度決定部550は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に基づいて、ステッピングモータ509の回転子の回転速度ωを決定する。速度決定部550によって決定された回転速度ωは、速度制御器502へ出力される。
位置制御器501を含む、最も外側の制御ループでは、位置決定部540から出力されたステッピングモータ509の回転子の位置θに基づいて、ステッピングモータ509の回転子の位置制御を行う。モータ制御部157には、CPU151aから出力される指令位置θ_refが入力される。位置制御器501は、位置決定部540から出力されるステッピングモータ509の回転子の位置θと指令位置θ_refとの偏差が0に近づくように、指令速度ω_refを生成して出力する。このようにして、位置制御器501によるステッピングモータ509の回転子の位置制御が行われる。
速度制御器502を含む制御ループでは、速度決定部550から出力されたステッピングモータ509の回転子の回転速度ωに基づいて、ステッピングモータ509の回転子の速度制御を行う。速度制御器502は、速度決定部550から出力されるステッピングモータ509の回転子の回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が0に近づくように、電流指令値iq_ref,id_refを生成して出力する。なお、電流指令値iq_ref,id_refは回転座標系における電流指令値である。
ステッピングモータ509の各相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出部507及び508によって検出され、更に、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。
A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、ステッピングモータ509の回転子の位置θを用いて次式(1)によって表すことができる。
iα=I*cosθ
iβ=I*sinθ (1)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511へ入力される。
座標変換器511において、電流値iα及びiβは、次式(2)によって回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに座標変換(クラーク変換)される。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (2)
なお、q軸電流は、ステッピングモータ509にトルクを発生させるトルク電流成分(第1の電流成分)である。また、d軸電流は、ステッピングモータ509の回転子の磁束強度に影響する励磁電流成分(第2の電流成分)であり、ステッピングモータ509のトルクの発生には寄与しない。
座標変換器511は、式(2)によって、静止座標系(αβ軸)における電流値iα,iβを回転座標系(dq軸)における電流値iq,idへ変換して出力する。電流制御器503には、座標変換器511から出力される電流値iqと速度制御器502から出力される電流指令値iq_refとの差分値が入力される。また、電流制御器504には、座標変換器511から出力される電流値idと速度制御器502から出力される電流指令値id_refとの差分値が入力される。電流制御器503,504は、入力された差分値が0に近づくように、回転座標系における電流値iq',id'を生成して出力する。なお、位置制御器501、速度制御器502、及び電流制御器503,504はそれぞれ、例えば、比例補償器及び積分補償器で構成され、PI制御によりフィードバック制御を実現する。
座標変換器505は、電流制御器503,504から出力される、回転座標系における電流値iq',id'を、次式によって、静止座標系における電流値iα',iβ'へ逆変換する。
iα'=cosθ*id'−sinθ*iq'
iβ'=sinθ*id'+cosθ*iq' (3)
座標変換器505は、静止座標系への座標変換後の電流値iα',iβ'に応じた駆動電圧Vα,Vβを生成(電圧生成)し、フルブリッジ回路で構成されたPWMインバータ506へ出力する。
このようにして、ベクトル制御部515は、ステッピングモータ509の回転子の位置θを基準とした回転座標系(dq軸)の電流値を制御することによって、ステッピングモータ509の各相の巻線に供給する駆動電流を制御するベクトル制御を行う。なお、ベクトル制御では、通常、ステッピングモータ509のトルクの発生には寄与しない電流成分であるd軸電流は、値が0となるように制御される。即ち、ベクトル制御部515では、電流指令値id_refが0に設定されるが、これに限定されるものではない。
PWMインバータ506では、座標変換器505から入力された駆動電圧Vα,Vβによってフルブリッジ回路が駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα,Vβに応じてステッピングモータ509の各相の巻線に駆動電流を供給することによって、ステッピングモータ509を駆動する。このように本実施形態では、ベクトル制御部515及びPWMインバータ506は、モータ駆動手段の一例として機能する。
なお、本実施形態においては、ステッピングモータ509の回転子の実際の回転位置(機械角)と、決定された回転位置(電気角)とが1対1に対応しているものとしたが、この限りではない。例えば、ステッピングモータ509の回転子の実際の回転位置(機械角)と、決定された回転位置(電気角)とが1対1に対応しない場合には、図5に示すように、電気角θeから機械角θmへの変換を行う変換器560を、位置決定部540と位置制御器501との間に設けてもよい。
<位置検出部>
図6は、図3に示す位置決定部540の構成例を示すブロック図である。位置決定部540は、パルス検出部541、位置生成部542、及び補正制御部543を備える。パルス検出部541には、エンコーダ520から出力されるパルス信号が入力される。また、補正制御部543には、異常判定部530から出力される、当該パルス信号に異常があるか否かを示す判定信号が入力される。
パルス検出部541は、エンコーダ520から出力されるパルス信号からパルスを検出する。パルス検出部541は、パルス信号からパルスを検出すると、パルスを検出したことを示すパルス検出信号を位置生成部542へ出力する。
位置生成部542は、エンコーダ520から出力されるパルス信号のパルスをカウントする。具体的には、位置生成部542は、パルス検出部541からパルス検出信号が出力されるごとに当該カウント値を更新することによって、エンコーダ520から出力されるパルス信号のパルスをカウントする。このカウント値は、後述するように、ステッピングモータ509の回転子の位置θと対応している。位置生成部542は、カウント値に基づいて位置θを生成する。位置生成部542によって生成された位置θは、位置制御器501、速度制御器502、及び座標変換器505,511へフィードバックされ、ベクトル制御に用いられる。
異常判定部530から出力される判定信号が、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があることを示す信号である場合に、補正制御部543は、位置θの補正処理の実行を指示する補正指示信号を位置生成部542へ出力する。
<ステッピングモータの回転子の位置の誤差>
本実施形態では、位置検出センサとしてのエンコーダ520がステッピングモータ509に取り付けられている。エンコーダ520は、所定の分解能を有する光学式のロータリエンコーダであり、ステッピングモータ509の回転子の位置の変化に対応したパルスを出力する。
ここで、図7は、エンコーダ520から出力されるパルス信号と、当該パルス信号に基づいて検出されるステッピングモータ509の電気角(位置θ)との関係の例を示す図である。図7(A)は、パルス信号に異常がない場合におけるパルス信号及び電気角を示している。また、図7(B)は、パルス信号に異常がある場合におけるパルス信号及び電気角を示している。図7は、一例として、ステッピングモータ509の回転軸を1回転させた場合にエンコーダ520から出力されるパルス数(分解能)が10である場合を示している。この場合、エンコーダ520から出力されるパルス一個分に対応する位置θの変化量は36°である。図7には、エンコーダ520から出力されるパルス信号に含まれるパルス数をカウントして得られるカウント値(即ち、図6に示す位置生成部542で保持されるカウント値)も示されている。位置生成部542は、カウント値が10になるとカウント値をリセットする。
位置生成部542は、カウント値に基づいて電気角(位置θ)を生成する。上述のように、エンコーダ520から出力されるパルス一個分に対応する位置θの変化量は36°である。このため、図7(A)に示すように、パルス検出部541からパルス検出信号が出力されるごとに(即ち、カウント値が1増加するごとに)、位置生成部542は電気角を36°増加させる。このように、位置生成部542は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常がない場合には、パルス信号に含まれるパルス数をカウントすることによって、エンコーダの分解能等に依存した精度でステッピングモータ509の回転子の位置θを生成する。
しかし、上述のように、エンコーダ520が汚れたり、または傷ついたりすると、エンコーダ520から出力されるパルス信号にパルスの抜け(欠落)が生じる場合がある。図7(B)は、図7(A)に示すパルス信号の9番目の(円で囲われた)パルスが欠落し、当該パルスをパルス検出部541が検出できない例を示している。このようなパルスの欠落に起因して、図7(B)に示す電気角には、ステッピングモータ509が1回転した状態において、図7(A)に示す電気角に対して1パルス分の誤差(Δd1)が生じている。また、ステッピングモータ509が2回転した状態において、図7(A)に示す電気角に対して2パルス分の誤差(Δd2)が生じている。このように、欠落したパルスを繰り返し検出できないことに起因して、ステッピングモータ509が1回転するごとに、位置θの誤差は累積される。
また、誤差は、エンコーダ520から出力されるパルス信号にノイズが加わることによっても生じる。パルス信号にノイズが加わると、パルス検出部541は、エンコーダ520から出力されたパルスだけでなく、前記ノイズを余分なパルスとして検出する可能性がある。即ち、エンコーダ520から出力されるパルス信号に余分なパルスが付加されることになり、そのような余分なパルスの検出により位置決定部540によって決定された位置θに誤差が生じてしまう。
このようにして、位置決定部540によって決定されるステッピングモータ509の回転子の位置に誤差が生じると、ベクトル制御によって制御されるステッピングモータ509の回転子の回転速度の安定性が悪化する。更に、このような誤差が累積することによって、ステッピングモータ509が制御不能の状態に至ってしまう。したがって、エンコーダ520からの出力信号に異常が生じた場合にも、ステッピングモータ509のベクトル制御を継続できるようにする必要がある。
そこで、本実施形態では、エンコーダ520からの出力信号に異常が生じた場合にもステッピングモータ509のベクトル制御を継続するために、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常がある場合は、位置決定部540が位置θを補正する。具体的には、異常判定部530が、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があるか否かを判定する。エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常がある場合は、位置決定部540は、ステッピングモータ509の回転子の位置θを補正する。以下では、異常判定部530及び位置決定部540でそれぞれ実行される処理の、より具体的な実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1の異常判定部530は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に含まれるパルスの時間間隔に基づいて、当該パルス信号に異常があるか否かを判定する。具体的には、異常判定部530は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に含まれるパルスの時間間隔が、所定量以上増加又は所定量以上減少すると、当該パルス信号に異常があると判定する。一方、異常判定部530は、パルス信号に含まれるパルスの時間間隔が所定量以上増加又は所定量以上減少していなければ、当該パルス信号に異常がないと判定する。異常判定部530は、パルス信号に異常があるか否かを示す判定信号を、補正制御部543へ出力する。なお、この判定信号には、パルス信号の異常がパルスの欠落であるか、余分なパルスの付加であるかを示す情報が含まれる。
前記判定信号が、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があることを示す信号である場合、補正制御部543は補正指示信号を位置生成部542へ出力する。位置生成部542は、前記補正指示信号に基づいてステッピングモータ509の回転子の位置θを補正する。具体的には、位置生成部542は、パルス信号の異常がパルスの欠落である場合には、パルス一個分に対応する位置の変位量を位置θに加算することによって、位置θを補正する。また、位置生成部542は、パルス信号の異常が余分なパルスの付加である場合には、パルス一個分に対応する位置の変位量を無視する(加算しない)。
<異常判定処理>
まず、図8を参照して、異常判定部530によって実行される異常判定処理の例について説明する。図8(A)は、エンコーダ520から出力されたパルス信号にパルスの欠落が生じた例を示す図であり、「err1」と示される部分にパルスの欠落が生じている。この場合、パルス検出部541は欠落したパルスを検出できない。また、図8(B)は、エンコーダ520から出力されたパルス信号にノイズの付加が生じた例を示す図であり、「err2」と示される部分にノイズの付加が生じている。この場合、パルス検出部541は前記ノイズをパルス信号として検出してしまう。
図8(A)に示すように、異常判定部530は、エンコーダ520から出力されたパルス信号に含まれるパルスの時間間隔(即ち、パルスの立ち上がりエッジの間隔)T(n),T(n+1),T(n+2),T(n+3),T(n+4),... を測定する。前記時間間隔の測定は、図8(A)の拡大図に示すように、CPU151aから出力される、エンコーダ520からのパルス信号よりも十分に短い周期(T_clk)を有するクロック(CLK)信号を用いて行うことが可能である。異常判定部530は、エンコーダ520から出力されたパルス信号における、隣り合う2つのパルスの立ち上がりエッジ(EDGE_1,EDGE_2)間の、クロック信号のパルス数をカウントすることによって、パルスの時間間隔を測定する。なお、時間間隔の測定は正常なパルスを基準として行われる。
異常判定部530は、最新の測定で得られた時間間隔が、前記最新の測定の一回前の(前回の)測定で得られた正常なパルス同士の時間間隔よりも第1の所定量以上の変化量で増加したことを検出すると、パルス信号に異常があると判定する。また、異常判定部530は、最新の測定で得られた時間間隔が、前回の測定で得られた正常なパルス同士の時間間隔よりも第2の所定量以上の変化量で減少したことを検出すると、パルス信号に異常があると判定する。このような判定の基準として用いられる第1の所定量及び第2の所定量は、制御対象のステッピングモータ509の駆動シーケンスにおける加速度及び減速度、並びにエンコーダ520が有する上述の分解能等を考慮して予め設定される。
より具体的には、異常判定部530は、最新の測定で得られたパルスの時間間隔が、前回の測定で得られた正常なパルス同士の時間間隔に対して、例えば150%以上の値に増加(第1の所定量以上の変化量で増加)した場合には、エンコーダ520からのパルス信号からパルスが欠落していると判定する。図8(A)に示す例では、時間間隔T(n+3)(=2Ta)は、「err1」と示される部分のパルスの欠落に起因して、正常なパルス同士の時間間隔T(n+2)(=Ta)に対して150%以上の値に増加している。この場合、異常判定部530は、パルス信号に異常がある(パルス信号からパルスが欠落している)と判定する。
一方、異常判定部530は、最新の測定で得られたパルスの時間間隔が、前回の測定で得られた正常なパルス同士の時間間隔に対して、例えば90%以下の値に減少(第2の所定量以上の変化量で減少)した場合には、エンコーダ520からのパルス信号に余分なパルスが付加されていると判定する。以下に、図8(B)を用いて、パルス信号に異常がある(パルス信号に余分なパルスが付加されている)ことを判定する方法について説明する。
図8(B)に示す例では、時間間隔T(n+3)(=Tb)は、前回の測定で得られた正常なパルス同士の時間間隔T(n+2)(=3/2*Tb)に対して90%以下の値に減少している。したがって、異常判定部530は、パルス信号に異常がある(パルス信号に余分なパルスが付加されている)と判定する。前述したように、時間間隔の測定は正常なパルスを基準として行われる。したがって異常判定部530は、前記判定を行った後、時間間隔T(n+3)(=Tb)と時間間隔T(n+4)(=Tb/2)とを加算した値を、前回の測定で得られた正常なパルス同士の時間間隔T(n+2)(=3/2*Tb)と比較する。時間間隔T(n+3)(=Tb)と時間間隔T(n+4)(=Tb/2)とを加算した値は時間間隔T(n+2)(=3/2*Tb)に対して90%以下の値に減少していない。したがって、異常判定部530は、パルス信号が正常であると判定する。なお、異常判定部530は、最新の測定結果に対して、1回前の測定結果及び2回前の測定結果を記憶するメモリ531を有しているものとする。
<位置補正処理>
次に、図9を参照して、補正制御部543から出力される補正指示信号に基づいて位置生成部542が実行する位置補正処理の例について説明する。図9は、エンコーダ520から出力されるパルス信号と、当該パルス信号に基づいて位置生成部542によって生成されるステッピングモータ509の電気角(位置θ)との関係の例を示す図である。図9(A)は、パルス信号に異常がない場合を示し、図9(B)及び(C)は、パルス信号に異常がある場合を示している。なお、図9では、図7と同様、ステッピングモータ509の回転軸を1回転させた場合にエンコーダ520から出力されるパルス数(分解能)を10とし、パルス信号に基づいて得られるカウント値も示している。位置生成部542は、パルス検出部541がパルスを検出することによって出力するパルス検出信号に基づいてカウント値を更新する。
(パルス信号に異常がない場合)
異常判定部530から出力される判定信号が、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常がないことを示す信号である場合、補正制御部543は、補正指示信号を位置生成部542へ出力しない。この場合、位置生成部542は、図9(A)に示すように、カウント値に対応する電気角を、位置θとして生成し、位置θの補正は行わない。
(パルス信号に異常がある場合)
異常判定部530から出力される判定信号が、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があることを示す信号である場合、補正制御部543は、補正指示信号を位置生成部542へ出力する。図9(B)は、パルス信号の異常がパルスの欠落である場合に、補正指示信号に基づいて位置生成部542によって実行される位置補正処理の例を示している。また、図9(C)は、パルス信号の異常が余分なパルスの付加である場合に、補正指示信号に基づいて位置生成部542によって実行される位置補正処理の例を示している。
図9(B)に示すパルス信号では、カウント値=5に対応するパルスが欠落している。この場合、パルス検出部541は、欠落したパルスを検出できない。したがって、パルス検出信号は位置生成部542に出力されない。即ち、位置生成部542によってカウント値が4から5に更新されないため、ステッピングモータ509の回転子の位置θも更新されない。(即ち、カウント値=4、検出値=144°が維持される。)
一方、異常判定部530は、カウント値=4に対応するパルスの次のパルスを検出した際に、パルスの時間間隔に基づく上述の判定処理により、パルス信号に異常がある(パルスが欠落している)と判定し、その判定結果を示す判定信号を出力する。補正制御部543は前記判定信号に基づいて位置生成部542へ補正指示信号を出力する。位置生成部542は、前記補正指示信号に基づいて位置補正処理を実行する。
位置生成部542は、補正指示信号に基づいて、エンコーダ520から出力されるパルス一個分に対応する位置の変化量(本例では36°)を加算することによって、位置θを補正する。本実施例では、位置生成部542において保持されているカウント値を1増加させることによって、このような検出値の補正を実現できる。
図9(B)に示す例では、位置生成部542は、パルス検出部541がカウント値=4に対応するパルスの次のパルスを検出したことを示すパルス検出信号に基づいて、カウント値を2増加させる。なお、位置生成部542が増加させたカウント値のうちの1は位置θの補正による増加である。(即ち、カウント値が4から6に更新される。)その結果、位置生成部542によって生成される位置θは、144°から180°(+36°)ではなく216°(+72°)となる。これは、パルス一個分に対応する位置の変化量が位置θに加算されることによって補正されたことを意味する。
図9(B)を図9(A)と比較すると、パルス信号におけるパルスの欠落に起因して、パルス信号に異常が無い場合における位置θとパルス信号に異常がある場合における位置θとに一時的に誤差が生じている。しかしながら、異常判定部530による判定結果に基づいた上述の位置補正処理により、前記誤差が補償されている。このように、位置生成部542は、パルス信号に含まれるパルスの検出に基づいて得られる位置θにパルス一個分に対応する位置の変化量を加算することで、パルスの欠落に起因して位置θに生じる誤差を補償する。このため、位置生成部542によって生成される位置θに、ステッピングモータ509の回転子の回転に伴う誤差が累積することはない。
また、図9(C)に示すパルス信号では、カウント値=5に対応するパルスの後にノイズが加わっており、余分なパルスが付加された状態となっている。この場合、パルス検出部541は余分なパルスを検出し、パルス検出信号を位置生成部542に出力する。一方、異常判定部530は、前記余分なパルスを検出した際に、パルスの時間間隔に基づく上述の判定処理により、パルス信号に異常がある(余分なパルスが付加されている)と判定し、その判定結果を示す判定信号を補正制御部543に出力する。補正制御部543は、前記判定信号に基づいて、カウント値を更新しないようにする補正指示信号を位置生成部542へ出力する。この結果、位置生成部542はカウント値を更新しない。即ち、ステッピングモータ509の回転子の位置θも更新されない。この結果、パルス検出部541が余分なパルスを検出してパルス検出信号を位置生成部542に出力してしまい、位置生成部542がステッピングモータ509の回転子の位置θを更新してしまうことを抑制することができる。即ち、余分なパルスに起因して、位置決定部540が決定した回転子の位置θに誤差が生じることを抑制することができる。このため、図9(B)に示す例と同様、位置生成部542によって生成される位置θに、ステッピングモータ509の回転子の回転に伴う誤差が累積することはない。
<モータ制御部による制御フロー>
図10は、モータ制御部157によって実行される制御フローを示すフローチャートである。以下に、図10を用いて、本実施例におけるモータ制御部157がステッピングモータ509を制御する方法を説明する。
S101において、モータ制御部157は、CPU151aからの指示に従って、上述のように、ベクトル制御によるステッピングモータ509の駆動制御を開始する。例えば、画像形成装置100においてプリントジョブの実行を開始する際に、CPU151aは、モータ制御部157に、ステッピングモータ509の駆動制御を開始させる。
次にS102において、異常判定部530は、図8を参照して説明したように、エンコーダ520から出力されるパルス信号の異常判定処理を実行する。
S103においてパルス信号に異常が無い場合は、S104において、位置生成部542は、パルス検出信号に基づいて位置θを生成する。その後、モータ制御部157は処理をS108に進める。
また、S103において、パルス信号に異常がある場合は、モータ制御部157は処理をS105に進める。
S105においてパルス信号の異常がパルスの欠落である場合は、モータ制御部157は処理をS106に進める。S106において、位置生成部542は、上述のように、位置θにパルス2個分に対応する位置の変化量を加算することによって、補正された位置θを生成する。その後、モータ制御部157は処理をS108に進める。
また、S105においてパルス信号の異常がパルスの欠落ではなく余分なパルスの付加である場合は、モータ制御部157は処理をS107に進める。S107において、位置生成部542は、上述のように、パルス一個分に対応する位置の変化量を加算しない。その後、モータ制御部157は処理をS108に進める。
その後、S108において、モータ制御部157は、CPU151aからの指示に基づいて、ステッピングモータ509のベクトル制御を終了又は維持する。モータ制御部157は、ベクトル制御を終了しない限り、処理をS102へ戻し、S102〜S107の処理を繰り返す。なお、位置生成部542によって生成された位置θは、上述したように、位置制御器501、速度制御器502、及び座標変換器505,511へフィードバックされることで、ステッピングモータ509のベクトル制御に用いられる。
以上説明したように、本実施例においては、異常判定部530は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があるか否かを判定する。エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があると判定すると、位置生成部542は、当該パルス信号の異常によって生じる誤差を補償するように、位置θを生成(補正)する。具体的には、位置生成部542は、パルス信号の異常がパルスの欠落であるか余分なパルスの付加であるかに応じて、パルス信号に含まれるパルスの検出に基づいて得られる位置θを生成する。
本実施例によれば、パルスの欠落が生じたとしても、パルスの欠落に起因して誤差が生じた位置θを正しい値に補正することが可能になる。このため、位置θに、ステッピングモータ509の回転子の回転に伴う誤差が累積することを防止できる。また、余分なパルスの付加が生じたとしても、余分なパルスに起因して位置決定部540が決定した回転子の位置θに誤差が生じることを抑制することができる。このため、位置θに、ステッピングモータ509の回転子の回転に伴う誤差が累積することを防止できる。したがって、本実施形態によれば、モータ制御部157によるベクトル制御を継続することが可能になる。その結果、ステッピングモータ509を制御不能の状態に至らせることなくベクトル制御による効率の良いモータ駆動制御を実現できる。
なお、本実施例では、エンコーダ520の分解能が10パルスである場合について説明しているが、エンコーダ520の分解能は、任意の分解能(例えば、1000パルス)とすることができる。
[実施例2]
実施例2では、異常判定部530が、実施例1とは異なる異常判定処理を(図10のS102において)実行する例について説明する。実施例2では、実施例1と異なり、エンコーダ520から複数のパルス信号が出力される場合を想定する。実施例2の異常判定部530は、第1のパルス信号に含まれるパルスと第1のパルス信号に対して所定の位相差を有する第2のパルス信号に含まれるパルスとに基づいて異常判定処理を行う。以下では、説明の簡略化のため実施例1と共通する説明を省略している。
図11は、本実施例のエンコーダ520から出力されるパルス信号の例を示す図である。エンコーダ520は、図11に示すように、3種類のパルス信号(ENC_A,ENC_B,ENC_Z)を出力する。エンコーダ520は、パルス信号A(ENC_A)及びパルス信号B(ENC_B)としてそれぞれ、ステッピングモータ509が1回転する間に1000パルスを出力するものとする。なお、図11では、ステッピングモータ509が正回転する場合にエンコーダ520から出力されるパルス信号を示しており、パルス信号A(ENC_A)は、パルス信号(ENC_B)に対して90°位相が進んでいる。ステッピングモータ509が逆回転する場合には、この位相関係が逆になり、パルス信号A(ENC_A)は、パルス信号B(ENC_B)に対して90°位相が遅れることになる。エンコーダ520は、更に、パルス信号Z(ENC_Z)として、ステッピングモータ509が1回転する間に1パルスのみを出力する。したがって、パルス信号Z(ENC_Z)の1周期は、ステッピングモータ509の回転子の1回転周期に対応している。
実施例1における異常判定部530は、例えばパルス信号A(ENC_A)を使用して異常判定処理を実現できる。これに対して、本実施例では、異常判定部530は、パルス信号A(ENC_A)及びパルス信号B(ENC_B)を使用して、異常判定処理を実行する。具体的には、パルス信号A(ENC_A)及びパルス信号B(ENC_B)には、同一の周期のパルスが含まれている一方で、パルス信号A(ENC_A)のパルスは、パルス信号B(ENC_B)のパルスに対して常に90°の位相差を有した状態でエンコーダ520から出力される。即ち、パルス信号A(ENC_A)のパルスとパルス信号B(ENC_B)のパルスとは、各パルス信号に異常がない限り、常に交互に(規則的な順序で)エンコーダ520から出力される。したがって、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常がない場合には、異常判定部530は、パルス信号A(ENC_A)のパルスの立ち上がりエッジとパルス信号B(ENC_B)のパルスの立ち上がりエッジとを交互に検出する。
異常判定部530は、パルス信号A(ENC_A)のパルスとパルス信号B(ENC_B)のパルスとがエンコーダ520から出力される順序に基づいて、異常判定処理を行う。異常判定部530は、パルス信号A(ENC_A)におけるパルスの立ち上がりエッジと、パルス信号B(ENC_B)におけるパルスの立ち上がりエッジとの検出順序が変化した場合に、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があると判定する。
図11に示す例では、パルス信号B(ENC_B)の「err3」と示される部分に、パルスの欠落が生じている。この場合、異常判定部530は、パルス信号A(ENC_A)から、2つのパルスの立ち上がりエッジ(A_R1,A_R2)を連続して検出する。その結果、異常判定部530は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があると判定する。
また、図11に示す例では、パルス信号B(ENC_B)の「err4」と示される部分に、ノイズが加わることによって余分なパルスの付加が生じている。この場合、異常判定部530は、パルス信号B(ENC_B)から、2つのパルスの立ち上がりエッジ(B_R1,B_R2)を連続して検出する。その結果、異常判定部530は、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があると判定する。
なお、異常判定部530は、パルス信号に異常があると判定した場合に、検出した2つの立ち上がりエッジ間の時間間隔が、第1の閾値以上であるか否かによって、パルス信号の異常がパルスの欠落であるか余分なパルスの付加であるかを判別できる。例えば、立ち上がりエッジ間の時間間隔が第1の閾値以上であれば、パルス信号の異常はパルスの欠落であると判定する。一方、立ち上がりエッジ間の時間間隔が第2の閾値未満であれば、パルス信号の異常は余分なパルスの付加であると判定する。この閾値は、制御対象のステッピングモータ509の駆動シーケンスにおける加速度及び減速度、並びにエンコーダ520が有する上述の分解能等を考慮して予め設定される。
本実施例によれば、エンコーダ520から複数のパルス信号が出力される場合に、前記複数のパルス信号に基づいて異常判定処理を実現できる。なお、ENC_Zを用いる異常判定方法については実施例3において説明する。
異常判定部530は、前述した異常判定処理に基づいて判定信号を位置決定部540に出力する。位置決定部540における位置θの決定方法は、実施例1において説明した方法と同様であるため、説明を省略する。
[実施例3]
実施例3では、異常判定部530が、実施例1及び2とは異なる異常判定処理を(図10のS102で)実行する例について説明する。実施例3では、実施例2と同様、エンコーダ520から複数のパルス信号が出力される場合を想定する。実施例3の異常判定部530は、ステッピングモータ509の回転子の位置の変化に対応したパルスを含む第1のパルス信号と、ステッピングモータ509の回転子の回転周期に対応したパルスを含む第2のパルス信号とを使用して、異常判定処理を行う。具体的には、第2のパルス信号が示す回転周期における、第1のパルス信号のパルス数に基づいて、異常判定処理を行う。以下では、説明の簡略化のため実施例1及び2と共通する説明を省略している。
図11に示すように、異常判定部530は、パルス信号A(ENC_A)またはパルス信号B(ENC_B)と、パルス信号Z(ENC_Z)とを、異常判定処理に使用する。異常判定部530は、エンコーダ520から出力されるパルス信号Zに含まれるパルスを検出することで、ステッピングモータ509の回転子の回転周期を検出する。更に、異常判定部530は、パルス信号Zの隣り合う2つのパルス間(即ち、ステッピングモータ509の回転子の1回転周期内)の、パルス信号Aまたはパルス信号Bのいずれか一方のパルスの数をカウントする。ステッピングモータ509の回転子の1回転周期におけるパルスのカウントが完了すると、パルス数が所定値であるか否かを判定し、パルス数が所定値(本例では1000)でなければ、エンコーダ520から出力されるパルス信号に異常があると判定する。
なお、異常判定部530は、パルス数が所定値を下回る場合には、パルス信号の異常がパルスの欠落であると判定し、パルス数が所定値を上回る場合には、パルス信号の異常は余分なパルスの付加であると判定することが可能である。
異常判定部530は、前述した異常判定処理に基づいて判定信号を位置決定部540に出力する。位置決定部540における位置θの決定方法は、実施例1において説明した方法と同様であるため、説明を省略する。
以上のような異常判定処理及び該異常判定処理に基づく位置θの決定を行うことによって、ステッピングモータ509の回転子の回転に伴う誤差が位置θに累積することを防止できる。
[その他の実施形態]
上述の実施形態では、図3に示すように、異常判定部530、位置決定部540及び速度決定部550を、モータ制御部157内に配置する例について説明している。しかし、異常判定部530、位置決定部540及び速度決定部550は、モータ制御部157外に配置されてもよい。例えば、異常判定部530、位置決定部540及び速度決定部550によって実行される処理を、CPU151aによって実行される処理として実現してもよい。その場合、CPU151aによって生成される位置θ及び回転速度ωを、モータ制御部157に入力することで、モータ制御部157におけるベクトル制御を実現でき、上述の実施形態と同様の効果を期待できる。
なお、上述の実施形態では、ステッピングモータがモータ制御部157の制御対象である例について説明している。しかし、上述の実施形態は、ステッピングモータ以外のタイプのモータ(例えば、感光ドラム309を駆動するブラシレスDCモータ)の駆動制御にベクトル制御を用いる場合にも適用可能であり、その場合、上述の実施形態と同様の効果を期待できる。
100:画像形成装置、151a:CPU、157:モータ制御部、501:位置制御器、506:PWMインバータ、507,508:電流検出部、509:ステッピングモータ、510:A/D変換器、515:ベクトル制御部、520:エンコーダ、530:異常判定部、540:位置決定部、541:パルス検出部、542:位置生成部、543:補正制御部、550:速度決定部

Claims (17)

  1. モータの回転子の目標位置を表す指令位置に基づいて前記モータの駆動制御を行うモータ制御装置であって、
    前記モータの巻線に供給する駆動電流を前記モータの回転子の回転位置を基準とした回転座標系の電流値に基づいて制御することによって、前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
    前記モータに設けられた位置検出センサから、前記回転子の回転位置の変化に対応して出力されるパルス信号に基づいて、前記回転位置を決定する位置決定手段と、
    前記位置検出センサから出力された前記パルス信号に異常があるか否かを判定する判定手段と、を備え、
    前記位置決定手段は、前記パルス信号に異常がある場合は前記パルス信号に基づく回転位置を補正することによって前記回転子の回転位置を決定し、
    前記モータ駆動手段は、前記位置決定手段によって決定された前記回転子の回転位置と前記指令位置との偏差が0に近づくように、前記モータの巻線に供給する駆動電流を制御することによって、前記モータを駆動する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記判定手段は、前記パルス信号に含まれるパルスの時間間隔に基づいて、前記パルス信号に異常があるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記判定手段は、前記パルス信号に含まれるパルスの時間間隔に、所定量以上の変化が生じると、前記パルス信号に異常があると判定する
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記判定手段は、
    前記パルス信号に含まれるパルスの時間間隔を測定し、
    当該測定によって得られた時間間隔が直前の測定で得られた時間間隔よりも第1の所定量以上増加した場合には、前記パルス信号からパルスが欠落していると判定し、
    当該測定によって得られた時間間隔が直前の測定で得られた時間間隔よりも第2の所定量以上減少した場合には、前記パルス信号に余分なパルスが付加されていると判定する
    ことを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記位置決定手段は、前記パルス信号に異常がある場合は、前記位置検出センサから出力されるパルス一個分に対応する前記回転位置の変化量を用いて、前記回転位置の検出値を補正する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記位置決定手段は、
    前記パルス信号の異常がパルスの欠落である場合には、前記パルス一個分に対応する変化量を前記回転位置に加算することによって、前記回転位置を補正し、
    前記パルス信号の異常が余分なパルスの付加である場合には、前記パルス一個分に対応する変化量を前記回転位置に加算しない
    ことを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 前記パルス信号は、第1のパルス信号と、前記第1のパルス信号に対して所定の位相差を有する第2のパルス信号とを含み、
    前記判定手段は、前記位置検出センサから出力される前記第1のパルス信号に含まれるパルスと前記第2のパルス信号に含まれるパルスとの順序に基づいて、前記パルス信号に異常があるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  8. 前記判定手段が前記第1のパルス信号に含まれるパルスを検出した後に前記第2のパルス信号に含まれるパルスを検出した場合、又は、前記第2のパルス信号に含まれるパルスを検出した後に前記第1のパルス信号に含まれるパルスを検出した場合は、前記判定手段は前記パルス信号が正常であると判定し、
    前記判定手段が前記第1のパルス信号に含まれるパルスを検出した後に更に前記第1のパルス信号に含まれる別のパルスを検出した場合、又は、前記第2のパルス信号に含まれるパルスを検出した後に更に前記第2のパルス信号に含まれる別のパルスを検出した場合は、前記判定手段は前記パルス信号に異常があると判定する
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
  9. 前記判定手段は、前記判定手段が前記パルス信号に異常があると判定した場合において、前記検出した2つのパルスの時間間隔が第1の閾値以上である場合は前記パルス信号の異常がパルスの欠落であると判定し、前記検出した2つのパルスの時間間隔が第2の閾値未満である場合は前記パルス信号の異常が余分なパルスの付加であると判定する
    ことを特徴とする請求項8に記載のモータ制御装置。
  10. 前記パルス信号は、前記回転子の回転位置の変化に対応したパルスを含む第1のパルス信号と、前記回転子の回転周期に対応したパルスを含む第2のパルス信号とを含み、
    前記判定手段は、前記第2のパルス信号が示す前記回転周期における前記第1のパルス信号のパルス数に基づいて、前記パルス信号に異常があるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  11. 前記判定手段は、前記第2のパルス信号の1周期における前記第1のパルス信号に含まれるパルスの数が所定値より少ない場合は前記パルス信号の異常がパルスの欠落であると判定し、前記第2のパルス信号の1周期における前記第1のパルス信号に含まれるパルスの数が所定値より多い場合は前記パルス信号の異常が余分なパルスの付加であると判定する
    ことを特徴とする請求項10に記載のモータ制御装置。
  12. 前記駆動電流は、前記回転位置を基準とした回転座標系において、前記回転子にトルクを発生させる第1の電流成分と、前記回転子の磁束強度に影響する第2の電流成分とによって表され、
    前記モータ駆動手段は、前記第2の電流成分の値を0になるように制御し、前記第1の電流成分の値を制御することによって、前記モータを制御する
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  13. 前記モータ駆動手段は、
    前記モータへ供給する駆動電流に対応する駆動電圧を生成する電圧生成手段と、
    前記電圧生成手段によって生成された駆動電圧に応じて駆動電流を前記モータの巻線へ供給することによって前記モータを駆動する駆動手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  14. 前記位置検出センサは、ロータリエンコーダである
    ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  15. 前記指令位置は、前記モータ制御装置にモータ駆動の指令を行うマスターコントローラから前記モータ制御装置に与えられる
    ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  16. 記録材に画像を形成する画像形成手段と、
    前記記録材を搬送するローラを駆動するモータと、
    前記モータの駆動制御を行う、請求項1から15のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  17. 記録材に画像を形成する画像形成手段と、
    前記記録材を搬送するローラを駆動するモータと、
    前記モータの巻線へ供給する駆動電流を前記モータの回転子の回転位置を基準とした回転座標系の電流値に基づいて制御することによって、前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
    前記モータに設けられた位置検出センサから、前記回転子の回転位置の変化に対応して出力されるパルス信号に基づいて前記回転位置を決定する位置決定手段と、
    前記位置検出センサから出力された前記パルス信号に異常があるか否かを判定する判定手段と、を備え、
    前記位置決定手段は、前記パルス信号に異常がある場合は前記パルス信号に基づく回転位置を補正することによって前記回転子の回転位置を決定し、
    前記モータ駆動手段は、前記位置決定手段によって決定された前記回転子の回転位置とマスターコントローラから与えられる前記回転子の目標位置を表す指令位置との偏差が0に近づくように、前記モータの巻線に供給する駆動電流を制御することによって、前記モータを駆動する
    ことを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019023712A (ja) * 2017-07-25 2019-02-14 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置

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