JP6341950B2 - シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シートの斜行補正を行うシート搬送装置及び画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置において、感光ドラムの表面に形成されたトナー像が記録媒体の所定の位置に転写されるように、記録媒体の先端側の辺の斜行を補正する手法が知られている。特許文献1で述べられている斜行補正においては、レジストレーションローラと、記録媒体が搬送される方向においてレジストレーションローラよりも上流側に設けられたプレレジストレーションローラとが用いられている。具体的には、レジストレーションローラよりも上流側で且つプレレジストレーションローラよりも下流側に、記録媒体の先端を検知するシートセンサが設けられている。前記シートセンサが記録媒体の先端を検知してから所定時間プレレジストレーショローラを回転させ、記録媒体の先端を停止したレジストレーションローラのニップ部に当接させる。前述の如くして、レジストレーションローラ及びプレレジストレーションローラを制御することによって記録媒体をループ状にたわませ、記録媒体の斜行補正を行う、という構成が述べられている。
特開2003−252485号公報
しかしながら、画像形成装置の使用年数が経過するにつれて、プレレジストレーション
ローラが摩耗、汚れ等によって劣化してしまう可能性がある。この結果、プレレジストレーションローラが記録媒体量がプレレジストレーションローラの劣化前に比べて減少する可能性がある。この場合、シートセンサが記録媒体の先端を検知してからプレレジストレーションローラ所定時間回転することによって記録媒体が撓んだとしても、記録媒体の撓み量が記録媒体の斜行補正が適切に行われるために必要な撓み量に比べて不十分となる可能性がある。この結果、記録媒体の斜行補正適切に行われない可能性がある。
上記課題に鑑み、本発明は、搬送ローラの状態に拘わらずシートを高精度に搬送することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明におけるシート搬送装置は、
シートを搬送する搬送ローラと、
前記シートを搬送する搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側に設けられ、前記搬送ローラによって搬送される前記シートの先端が当接する当接部材と、
前記搬送ローラを駆動するモータと、
前記モータの回転子の回転位置を決定する位置決定手段と、
前記回転子の目標位置を表す指令位置と前記位置決定手段によって決定された回転位置との偏差が小さくなるように、前記位置決定手段によって決定された回転位置を基準とした回転座標系において表される、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分の値と前記モータの回転子の磁束強度に影響する励磁電流成分の値とに基づいて前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記当接部材に前記シートの先端が当接して前記シートが撓んだ状態において前記搬送ローラが前記シートを搬送方向に搬送する際に、前記モータの巻線に流れる駆動電流のトルク電流成分の値が所定の値より小さい場合は前記モータの駆動を継続し、前記トルク電流成分の値が前記所定の値以上になると前記モータの駆動を停止することを特徴とする。
本発明によれば、搬送ローラの状態に拘わらずシートを高精度に搬送することができる。
第1実施形態に係る画像形成装置を説明する断面図である。 前記画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。 A相及びB相から成る2相のモータと回転座標系のd軸及びq軸との関係を示す図である。 第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 レジストレーションローラ及びプレレジストレーションローラを用いて記録媒体の先端側の辺の斜行を補正する方法を説明する図である。 ループ形成時にプレレジストレーションローラを駆動するモータにかかる負荷トルク値とループの大きさとの関係を紙種ごとに示した図である。 前記モータ制御装置を用いてプレレジストレーションローラを駆動するモータの駆動を制御し、記録媒体のループを形成する方法を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る、記録媒体のループを形成する方法を示すフローチャートである。
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形
態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される
装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実
施の形態に限定する趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、モータ制御装置は記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置にも用いられる。
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。画像
形成装置100には、原稿給送装置201、読取装置202及び画像形成装置本体301が設けられている。
原稿給送装置201の原稿積載部203に積載された原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206に沿って読取装置202の原稿ガラス台214上に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送され、排紙ローラ205によって不図示の排紙トレイへ排紙される。読取装置202の読取位置において照明209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部101に導かれ、画像読取部101によって画像信号に変換される。画像読取部101は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部101から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって、各種補正処理が行われた後、画像形成装置本体301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
また、読取装置202における原稿の読取モードとして、流し読みモードと固定読みモードがある。流し読みモードは、照明系209及び光学系を所定の位置に固定した状態で、原稿を一定速度で搬送しながら原稿の画像を読み取るモードである。固定読みモードは、読取装置202の原稿ガラス214上に原稿を載置し、照明系209及び光学系を一定速度で移動させながら、原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を読み取るモードである。通常、シート状の原稿は流し読みモードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿は固定読みモードで読み取られる。
画像形成装置本体301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4の普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4の厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等が含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、給紙ローラ303によって給送され
て、搬送ローラ306及びプレレジストレーションローラ(以下、プレレジローラと称す
る)327によってレジストレーションローラ(以下、レジローラと称する)308へ送
り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、給紙ローラ305
によって給送されて、搬送ローラ307、306及びプレレジローラ327によってレジ
ローラ308へ送り出される。図1に示すように、プレレジストレーションローラ327とレジストレーションローラ308との間には、記録媒体の先端を検知するシートセンサ328が設けられている。画像形成装置100は、プレレジストレーションローラ327、レジストレーションローラ308及びシートセンサ328を用いて、後述する方法により記録媒体の斜行を補正する。なお、本実施形態におけるプレレジローラ327は、本発
明における搬送ローラに対応する。また、本実施形態におけるレジローラ308は、本発明における当接部材及び第2の搬送ローラに対応する。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含んでいる光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由して、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムの帯電方法は、例えば、コロナ帯電器や帯電ローラを用いた帯電方法を用いる。
続いて、その静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写分離器315によって記録媒体に転写される。この際、レジローラ308は、トナー像にタイミングを合わせて、記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体を、第1面が下向きになるように反転させて画像形成装置100の外部へ排紙する場合は、定着器318を通過した記録媒体を、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送する。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に、搬送ローラ320の回転を反転させる。この結果、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体を排紙ローラ324へ向かう方向へ搬送し、画像形成装置100の外部へ排紙することができる。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコント
ローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151c
を備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部12、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置600、シートセンサ328、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置600に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが格納される。
システムコントローラ151は、画像処理部12における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部12に送する。更に、システムコントローラ151は、各種装置からの信号(センサ類159からの信号)を受信し、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写分離器315等)に必要な電圧を供給する。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいて、ACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類等のユーザが設定した情報を操作部152から受信し、前記ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成中か否か、ジャム発生及びその発生箇所等の情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は、画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
次に、図3及び図4を用いて、ベクトル制御を用いてステッピングモータ(以下、モータと称する)の駆動を制御する方法について説明する。なお、以下の説明においては、ステッピングモータが用いられているが、これに限定されるものではない。また、モータは2相モータであるとは限らない。
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)の2相から成るモータ509と回転座標系のd軸及びq軸との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸をα軸、B相の巻線に対応した軸をβ軸と定義している。また、静止座標系におけるα軸と、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向(d軸方向)との成す角度をθと定義している。回転子402の回転位置は、角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の磁束方向に沿ったd軸と、d軸から反時計回りに90度進んだ方向に沿った(d軸と直交する)q軸とで表される、モータ509の回転子402の回転位置θを基準とした回転座標系が用いられる。
図4は本実施形態におけるモータ制御装置600の構成の例を示すブロック図である。モータ制御装置600は、ベクトル制御を用いてモータ509の駆動を制御する。ベクトル制御とは、回転子の目標位置を表す指令位置と実際の回転位置との偏差が小さくなるように、回転子の回転位置を基準とした回転座標系において表される電流値に基づいてモータの駆動を制御する制御方法である。回転座標系において表される電流値とは、モータの回転子にトルクを発生させるq軸電流(トルク電流成分)の値と、モータの回転子の磁束強度に影響するd軸電流(励磁電流成分)の値とに対応する。
図4に示すように、モータ制御装置600の内部には、位置制御器502、電流制御器503(電圧生成手段)、座標変換器505、511、PWMインバータ(電流供給手段)506等が設けられている。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系から、q軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、モータ509のA相及びB相の巻線に供給する駆動電流を、回転座標系において、q軸電流及びd軸電流を用いて表すことができる。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の回転子402の磁束強度に影響する励磁電流に相当し、回転子402のトルクの発生には寄与しない。モータ制御装置600は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。即ち、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。
CPU151aは、モータ制御装置600にenable信号を出力する。enable信号とは、モータ509の稼働/停止を決定する信号であり、enable信号が‘L’の場合はモータ駆動を停止状態にして、enable信号が‘H’の場合はモータ駆動を稼働状態にする。
モータ制御装置600は、モータ509の回転子402の回転位置θを決定(推定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の回転子402の回転位置の目標位置を表す指令位置(指令θ_refを生成し、所定の時間周期で指令位置θ_refをモータ制御装置600へ出力する。
位置制御器502は、モータ509の回転子402の回転位置θと、指令値θ_refとの偏差が0に近づくように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、本実施形態における位置制御器502は、比例(P)、積分(I)補償器から構成されているが、比例(P)、積分(I)、微分(D)補償器から構成されていても良い。また、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は回転子402の磁束強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
次に、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器(電流検出手段)507、508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。
モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換されて、静止座標系における電流値iα及びiβとして、回転子402の回転位置θを用いて次式によって表される。
iα=I*cosθ (1)
iβ=I*sinθ (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定手段としての誘起電圧演算器512に入力される。
座標変換器511において、電流値iα及びiβは、次式によって回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに座標変換される。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
前述のような座標変換によって、座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系から、q軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。
続いて、座標変換器511による座標変換によって得られた電流値iqと位置制御器502から出力されたiq_refとの偏差及び電流値idと位置制御器502から出力されたid_refとの偏差が電流制御器503にそれぞれ出力される。また、電流値iqは、座標変換器511からトルク決定手段としてのトルク推定器519にも出力される。
電流制御器503は、前記偏差がそれぞれ0に近づくように電流値iq´及びid´を生成する。その後、電流制御器503は、それぞれの電流値iq´及びid´に対応した駆動電圧Vq及びVdを生成して座標変換器505に出力する。なお、本実施形態における電流制御器503は、位置制御器502と同様に比例(P)、積分(I)補償器から構成されているが、比例(P)、積分(I)、微分(D)補償器から構成されていても良い。
座標変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに座標逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標変換器505は、回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに座標逆変換した後、Vα及びVβをPWMインバータ506と誘起電圧演算器512に出力する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有している。フルブリッジ回路は座標変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβによって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、ハーフブリッジ回路等であっても良い。
次に、回転子402の回転位置θの推定方法について説明する。回転子402の回転位置θの推定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧演算器512によって算出される。具体的には、A/D変換器510から誘起電圧演算器512に入力された電流値iα及びiβと、座標変換器505から誘起電圧演算器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって、誘起電圧Eα及びEβを演算する。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。R及びLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置600に設けられたメモリ(不図示)に予め格納されている。
誘起電圧演算器512によって演算(決定)された誘起電圧Eα及びEβは、位置決定手段としての位置演算器513に入力される。位置演算器513は、A相の誘起電圧EαとB相の誘起電圧Eβとの比から、次式によってモータ509の回転子402の回転位置θを演算(決定)する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
前述の如くして得られた回転子402の回転位置θは、位置制御器502と座標変換器505、511に入力される。その後は、前述の制御を繰り返し行う。
前述の如くして、モータ制御装置600はモータ509の駆動を制御する。以上が、ベクトル制御を用いたモータ駆動の制御方法である。なお、本実施形態では、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧EαとEβとの比から回転子402の回転位置θを推定したが、この限りではない。即ち、モータにロータリエンコーダ等を設けて、回転位置θを推定する方法であっても良い。また、本実施形態におけるベクトル制御では、回転子402の回転位置θの推定値を基準とした回転座標系が用いられているが、これに限定されるものではない。即ち、回転位置の指令値θ_refを基準とした回転座標系が用いられても良い。また、本実施形態におけるベクトル制御では、回転子402の回転位置θをフィードバックしてモータ509の駆動を制御しているが、これに限定されるものではない。即ち、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータ509の駆動を制御する構成であっても良い。具体的には、例えば、回転子402の回転位置θの時間変化に基づいて、次式を用いて回転子402の回転速度ωを演算する。
ω=dθ/dt (10)
更に、CPU151aは、モータ制御装置600に回転子402の回転指令速度ω_refを出力する。前記回転子402の回転速度ωと回転子402の回転指令速度ω_refの偏差に基づいてモータの各相の巻線に供給する駆動電流を決定する。以上のようにして、モータ509の駆動を制御する構成であっても良い。
次に、本実施形態における記録媒体の先端側の辺の斜行を補正する(記録媒体の斜行を補正する)方法について説明する。まず、従来の記録媒体の斜行補正の方法について説明する。
図5は、レジローラ308及びプレレジローラ327を用いて記録媒体の斜行を補正する方法を説明する図である。プレレジローラ327は、記録媒体Pが搬送される方向においてレジローラ308よりも上流側に設けられている。更に、記録媒体Pが搬送される方向において、レジローラ308よりも上流側で且つプレレジローラ327よりも下流側に記録媒体Pの先端を検知するシートセンサ328が設けられている。
記録媒体Pの斜行補正は、レジローラ308及びプレレジローラ327によって行われる。具体的には、プレレジローラ327を回転させて記録媒体Pを搬送方向へと搬送し、停止したレジローラ308のニップ部に記録媒体Pの先端を当接させる。更にプレレジローラ327を回転させ、記録媒体Pを搬送方向へと搬送する。この結果、記録媒体Pをループ状にたわませる(ループを形成する)ことができる。なお、前述した過程においては、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知してから所定時間プレレジローラ327を回転させるものとする。前述のように、記録媒体Pの先端をシートセンサ328が検知してから所定時間プレレジローラ327を回転させてループを形成する。この結果、記録媒体Pに弾性力が働く。記録媒体Pに弾性力を働かせることによって、記録媒体Pの先端をレジローラのニップ部に沿って当接させることができる。この結果、記録媒体Pの斜行を補正することができる。
従来は、前述のように、記録媒体Pの先端をシートセンサ328が検知してから所定時間プレレジローラ327を回転させることによって、ループを形成していた。しかしながら、画像形成装置の使用年数が経過するにつれて、プレレジローラ327が摩耗、汚れ等によって劣化し、プレレジローラ327が記録媒体Pを送る量がプレレジローラ327の劣化前に比べて減少する可能性がある。この場合、前述のようなループ形成方法においては、適切なループを形成できない可能性がある。即ち、記録媒体Pの斜行補正を適切に行うことが出来ない可能性がある。
次に、本実施形態における記録媒体Pの斜行補正の方法について説明する。本実施形態では、プレレジローラ327を駆動するモータの駆動制御にモータ制御装置600を適用する。なお、モータ制御装置600が適用されるのは、プレレジローラを駆動するモータに限らない。即ち、記録媒体を搬送する、給紙ローラ204、303、305、レジローラ308、プレレジローラ327及び排紙ローラ319等の搬送ローラや、感光ドラム309、搬送ベルト208、317、照明系209及び光学系等を駆動するモータに適用されても良い。
前述のように、座標変換器511による座標変換によって得られた電流値iqはトルク推定器519に出力される。トルク推定器519は、座標変換器511から出力された電流値iqに基づいて、モータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tmを推定する。具体的には、次式に基づいて負荷トルク値Tmを推定する。
Tm=iq*kt (11)
ここで、ktは負荷トルク値Tmと電流値iqとの関係を示す比例係数で、モータに固有の値である。なお、本実施形態においては、式(11)を用いて負荷トルク値Tmを演算して推定したが、この限りではない。例えば、回転子402の推定位置θとCPU151aから出力された位置指令値θ_refとの偏差から負荷トルク値Tmを推定しても良い。また、負荷トルク値Tmと電流値iqとの関係を示すテーブルを予めCPU151aに保存しておいて、前記テーブルに基づいて電流値iqに対応する負荷トルク値TmをCPU151aから読み出しても良い。
また、本実施形態においては、モータ制御装置600に設けられているトルク推定器519がモータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tmを推定しているが、これに限定されるものではない。即ち、CPU151aが負荷トルク値Tmを推定する等の構成であっても良い。なお、本実施形態におけるモータ制御装置600、CPU151aはモータ制御手段に対応する。
また、図6は、ループ形成時にプレレジローラを駆動するモータにかかる負荷トルク値Tとループの大きさ(ループ量)Lとの関係を紙種(記録媒体の種類)ごとに示した図である。図6に示す負荷トルク値Tとループ量Lとの関係は、ROM151b等に保存されている。なお、図6に示す負荷トルク値Tとループ量Lとの関係は本実施形態における一例であり、これに限定されるものではない。
トルク推定器519によって推定された負荷トルク値Tmは、CPU151aに出力さ
れる。CPU151aは、ユーザによって設定された紙種と負荷トルク値Tとループ量L
との関係とに基づいて記録媒体Pの斜行補正を適切に行うためのループ量(適切なループ
量)lに対応するトルク閾値(所定トルク)TthとしてT1又はT2を設定する。な
お、本実施形態においては、2種類の紙種に対する負荷トルク値Tとループ量Lとの関係
を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、薄紙、普通紙、厚紙に対して
、トルク閾値T1、T2、T3を設定しても良いし、4種類以上の紙種に対して、トルク
閾値を設定しても良い。
更に、CPU151aは、トルク閾値Tthとトルク推定器519によって推定された負荷トルク値Tmとを比較する。以下、ユーザによって設定された紙種が普通紙P1である場合、即ち、トルク閾値TthがT1である場合について説明する。
トルク推定器519によって推定された負荷トルク値Tmがトルク閾値T1より小さい(T<T1)場合は、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘H’を出力し、モータ制御装置600はモータ509の駆動を継続する。
また、トルク推定器519によって推定された負荷トルク値Tmがトルク閾値T1以上(T≧T1)の場合は、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はモータ509の駆動を停止する。この結果、適切なループ量lよりも過剰な量のループを形成することを抑制することができる。即ち、過剰な量のループを形成することによって記録媒体に働く弾性力が増大し、記録媒体の先端がレジローラ308のニップ部から突出したり、回転子402にかかる負荷が増大してモータ509が脱調状態になったりすることを抑制することができる。また、過剰な量のループを形成することによって記録媒体が折れ曲がることを抑制することができる。
ユーザによって設定された紙種が厚紙P2である場合、即ち、トルク閾値TthがT2である場合も、CPU151aは同様の制御を行う。
前述のように、プレレジローラ327を駆動するモータの駆動制御にベクトル制御を採用し、モータ509の回転子402の回転位置θを基準とした回転座標系の電流値Iqに基づいて回転子402にかかる負荷トルク値Tmを推定する。更に、ユーザによって設定された紙種と、負荷トルク値Tとループ量Lとの関係と、に基づいて適切なループ量lに対応するトルク閾値Tthを設定する。負荷トルク値Tmがトルク閾値Tthよりも小さい場合は、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘H’を出力し、モータ制御装置600はモータ509の駆動を継続する。また、負荷トルク値Tmがトルク閾値Tth以上の場合は、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はモータ509の駆動を停止する。即ち、回転子402にかかる負荷トルク値Tmが適切なループ量lに対応する負荷トルク値になるまでプレレジローラ327を回転させ、ループを形成する。この結果、プレレジローラ327が劣化し、プレレジローラ327が記録媒体を送る量がプレレジローラ327の劣化前に比べて減少したとしても、記録媒体の斜行補正を適切に行うためのループを形成することができる。即ち、適切に記録媒体の斜行補正を行うことができる。また、負荷トルク値Tmが適切なループ量lに対応する負荷トルク値以上になった場合にプレレジローラ327を停止することによって、記録媒体の斜行補正を適切に行うために必要な量よりも過剰な量のループを形成することを抑制することができる。即ち、過剰な量のループを形成することによって記録媒体に働く弾性力が増大し、記録媒体の先端がレジローラ308のニップ部から突出したり、回転子402にかかる負荷が増大してモータ509が脱調状態になったりすることを抑制することができる。また、過剰な量のループを形成することによって記録媒体が折れ曲がることを抑制することができる。更に、ベクトル制御を用いてモータの駆動を制御することによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。
図7は、モータ制御装置600を用いてモータ509の駆動を制御し、記録媒体のループを形成する方法を示すフローチャートである。以下、図7を用いて、本実施形態における記録媒体のループを形成する方法について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。なお、CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
まず、S101において、ユーザは操作部152を用いて画像形成枚数、使用する記録媒体の種類等の画像形成条件を設定する。システムコントローラ151はユーザによって設定された画像形成条件を操作部152から受信する。次に、S102において、CPU151aは操作部152から受信した情報に基づいてトルク閾値Tthを設定し、処理をS103に進める。
S103において、システムコントローラ151は記録媒体の給紙等の画像形成装置100の動作シーケンスを開始し、CPU151aは、処理をS104に進める。S104において、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘H’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509の駆動制御を行う。
次に、S105において、シートセンサ328が記録媒体の先端を検知していない場合は、CPU151aはS105の処理を繰り返す。また、シートセンサ328が記録媒体の先端を検知した場合は、CPU151aは処理をS106に進める。S106において、モータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tmがトルク閾値Tthより小さい場合は、CPU151aはS106の処理を繰り返す。また、モータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tmがトルク閾値Tth以上の場合は、CPU151aは処理をS107に進める。
S107において、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509の回転を停止させる。その後、CPU151aは処理をS108に進める。なお、本実施形態においては、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509を停止させたが、この限りではない。例えば、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’ではなく‘H’を出力し、更にCPU151aはモータ制御装置600に回転位置の指令値θ_refとして、前回出力した指令値と同じ指令値を出力する。以降、モータ制御装置600に同じ指令値を出力し続ける。この結果、回転子402の位置を固定することができる。即ち、プレレジローラ327の回転を停止させることが出来る。
S108において、CPU151aは、レジローラ308がトナー像にタイミングを合わせて記録媒体を転写位置へ送り込むように、画像形成装置100の動作シーケンスを制御し、画像形成装置100は記録媒体に画像を形成する。
前述の如く、ユーザによって設定された紙種に応じてトルク閾値Tthを設定する。モータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tmがトルク閾値Tthより小さい場合は、レジローラ327の回転を維持する。また、また、モータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tmがトルク閾値Tth以上の場合は、プレレジローラ327の回転を停止させる。即ち、回転子402にかかる負荷トルク値Tmが適切なループ量lに対応する負荷トルク値になるまでプレレジローラ327を回転させ、ループを形成する。この結果、もしプレレジローラ327が劣化し、プレレジローラ327が記録媒体を送る量がプレレジローラ327の劣化前に比べて減少したとしても、記録媒体の斜行補正を適切に行うためのループを形成することができる。即ち、適切に記録媒体の斜行補正を行うことができる。また、負荷トルク値Tmが適切なループ量lに対応する負荷トルク値以上になった場合にプレレジローラ327を停止することによって、記録媒体の斜行補正を適切に行うために必要な量よりも過剰な量のループを形成することを抑制することができる。即ち、過剰な量のループを形成することによって記録媒体に働く弾性力が増大し、記録媒体の先端がレジローラ308のニップ部から突出したり、回転子402にかかる負荷が増大してモータ509が脱調状態になったりすることを抑制することができる。また、過剰な量のループを形成することによって記録媒体が折れ曲がることを抑制することができる。更に、ベクトル制御を用いてモータの駆動を制御することによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。
なお、本実施形態においては、記録媒体の先端をレジローラ308のニップ部に当接させることによって記録媒体の斜行補正を行ったが、これに限定されるものではない。例えば、記録媒体の搬送方向に対して、レジローラ308よりも上流側で且つシートセンサ328よりも下流側に、又は転写位置よりも上流側で且つレジローラ308よりも下流側に、記録媒体の先端を当接させる当接部材としてのシャッタ等を設ける。前記シャッタ等に記録媒体の先端を当接させ、前述した方法で記録媒体の斜行補正を行う。その後、プレレジローラ308がトナー像にタイミングを合わせて記録媒体を転写位置へ搬送する際に、前記シャッタ等を退避させるような構成であっても良い。
また、本実施形態においては、回転子402にかかる負荷トルク値を用いて説明を行ってきたが、負荷トルク値は電流値iqの定数倍であるため、電流値iqを用いても実質的には同じである。即ち、負荷トルク値を用いることと電流値iqを用いることは、実質的に同じである。電流値iqを用いる場合は、例えば、座標変換器511は電流値iqをCPU151aに出力する。CPU151aは、ユーザによって設定された紙種と、予めROM151b等に保存された電流値iqとループ量Lとの関係と、に基づいて適切なループ量lに対応する電流閾値(所定電流値)iqを設定する。座標変換器511から出力された電流値iqが電流閾値iqthより小さい場合は、プレレジローラ327の回転を維持する。また、座標変換器511から出力された電流値iqが電流閾値iqth以上の場合は、プレレジローラ327の回転を停止させる。以上のように、電流値iqを用いる構成であっても、負荷トルク値を用いる構成と実質的に同じである。
〔第2実施形態〕
画像形成装置の構成は第1実施形態と同様である。
第1実施形態で述べたように、記録媒体のループを形成する際には、記録媒体に弾性力が働く。即ち、記録媒体には搬送方向の力だけでなく搬送方向とは逆方向の力が働く。この結果、ループを形成させるためにプレレジローラ327を回転させたとしても、記録媒体を搬送方向へ送り出すことができないこと(すべり)が生じる可能性がある。その場合、プレレジローラ327を回転させたとしても適切なループ量lのループを形成することができず、不要にモータ509を駆動させることによって消費電力が増大してしまう可能性がある。
以下に、すべりが生じた場合のモータ509の駆動制御について説明する。本実施形態では、CPU151aは、記録媒体の先端をシートセンサ328が検知してから所定時間が経過したか否かを判断する。ここで、所定時間は、ユーザが操作部152を用いて設定することができる紙種の中で、適切なループを形成するために必要な時間が最も長い紙種において、適切なループを形成するために必要とする時間に比べて十分長い時間に設定される。
記録媒体の先端をシートセンサ328が検知してから所定時間が経過したにもかかわらず、推定トルク値Tがトルク閾値Tthよりも小さい場合は、すべりが生じている可能性がある。この場合、適切なループ量lのループを形成することができない可能性がある。したがって、記録媒体の先端をシートセンサ328が検知してから所定時間が経過しても、推定トルク値Tがトルク閾値Tthよりも小さい場合は、モータ509の駆動を停止する。即ち、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はモータ509の駆動を停止する。更に、CPU151aは、プレレジローラ327に異常が生じたことを示す情報を操作部152に送信する。前記情報を受信した操作部152は、前記情報を表示部に表示する。
前述のように、記録媒体の先端をシートセンサ328が検知してから所定時間が経過したにもかかわらず、推定トルク値Tがトルク閾値Tthより小さい場合は、モータ509の駆動を停止する。この結果、不要にモータ509を駆動させて消費電力が増大することを抑制することができる。更に、操作部152は、プレレジローラ327に異常が生じたことを示す情報を表示部に表示し、プレレジローラ327に異常が生じたことをユーザに知らせる。この結果、プレレジローラ327に異常が生じた状態でループ形成を行い、適切なループ量lのループを形成することができなくなることを抑制することができる。
図8は、本実施形態における、モータ制御装置600を用いてモータ509の駆動を制御し、ループを形成する方法を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。
第1実施形態と同様に、まず初めに、S201において、ユーザは操作部152を用いて画像形成枚数、使用する記録媒体等の画像形成条件を設定し、システムコントローラ151はユーザによって設定された画像形成条件を操作部152から受信する。次に、S202において、CPU151aは受信した情報に基づいてトルク閾値Tthを設定し、処理をS203に進める。
S203において、システムコントローラ151は記録媒体の給紙等の画像形成装置100の動作シーケンスを開始し、CPU151aは、処理をS204に進める。S204において、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘H’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509の駆動制御を行う。
次に、S205において、シートセンサ328が記録媒体の先端を検知していない場合は、CPU151aはS105の処理を繰り返す。また、シートセンサ328が記録媒体の先端を検知した場合は、CPU151aは処理をS206に進める。S206において、モータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tmがトルク閾値Tth以上の場合は、CPU151aは処理をS207に進める。S207において、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509の回転を停止させる。その後、CPU151aは処理をS208に進める。なお、本実施形態においては、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509を停止させたが、この限りではない。例えば、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’ではなく‘H’を出力し、更にCPU151aはモータ制御装置600に回転位置の指令値θ_refとして、前回出力した指令値と同じ指令値を出力する。以降、モータ制御装置600に同じ指令値を出力し続ける。この結果、回転子402の位置を固定することができる。即ち、プレレジローラ327の回転を停止させることが出来る。
S208において、CPU151aは、レジローラ308がトナー像にタイミングを合わせて記録媒体を転写位置へ送り込むように、画像形成装置100の動作シーケンスを制御し、画像形成装置100は記録媒体に画像を形成する。
また、S206において、モータ509の回転子402にかかる負荷トルク値Tがトルク閾値Tthより小さい場合は、CPU151aは処理をS209に進める。
S209において、記録媒体の先端をシートセンサ328が検知してから所定時間が経過していない場合は、処理は再びS206に戻る。また、記録媒体の先端をシートセンサ328が検知してから所定時間が経過した場合は、CPU151aは処理をS210に進める。
S210において、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509の回転を停止させる。その後、CPU151aは処理をS211に進める。なお、本実施形態においては、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置600はプレレジローラ327を駆動するモータ509を停止させたが、この限りではない。例えば、CPU151aはモータ制御装置600にenable信号‘L’ではなく‘H’を出力し、更にCPU151aはモータ制御装置600に回転位置の指令値θ_refとして、前回出力した指令値と同じ指令値を出力する。以降、モータ制御装置600に同じ指令値を出力し続ける。この結果、回転子402の位置を固定することができる。即ち、プレレジローラ327の回転を停止させることが出来る。
S211において、CPU151aは、プレレジローラ327に異常が生じたことを示す情報を操作部152に送信する。前記情報を受信した操作部152は、前記情報を表示部に表示する。
前述のように、記録媒体の先端をシートセンサ328が検知してから所定時間が経過したにもかかわらず、推定トルク値Tがトルク閾値Tthより小さい場合は、モータ509の駆動を停止する。この結果、不要にモータ509を駆動させて消費電力が増大することを抑制することができる。更に、操作部152は、プレレジローラ327に異常が生じたことを示す情報を表示部に表示し、プレレジローラ327に異常が生じたことをユーザに知らせる。この結果、プレレジローラ327に異常が生じた状態でループ形成を行い、適切なループ量lのループを形成することができなくなることを抑制することができる。なお、所定時間は、ユーザが操作部152を用いて設定することができる紙種の中で、適切なループを形成するために必要な時間が最も長い紙種において、適切なループを形成するために必要とする時間に比べて十分長い時間に設定される。
また、本実施形態においては、回転子402にかかる負荷トルク値を用いて説明を行ってきたが、負荷トルク値は電流値iqの定数倍であるため、電流値iqを用いても実質的には同じ効果が得られる。即ち、負荷トルク値を用いることと電流値iqを用いることは、実質的に同じである。電流値iqを用いる場合は、例えば、座標変換器511は電流値iqをCPU151aに出力する。CPU151aは、ユーザによって設定された紙種と、予めROM151b等に保存された電流値iqとループ量Lとの関係と、に基づいて適切なループ量lに対応する電流閾値(所定電流値)iqを設定する。座標変換器511から出力された電流値iqが電流閾値iqthより小さい場合は、プレレジローラ327の回転を維持する。また、座標変換器511から出力された電流値iqが電流閾値iqth以上の場合は、プレレジローラ327の回転を停止させる。以上のような構成であっても負荷トルク値を用いた場合と実質的に同じ効果が得られる。
100 画像形成装置
151 CPU
308 レジストレーションローラ
402 回転子
327 プレレジストレーションローラ
509 ステッピングモータ
513 位置演算器
600 モータ制御装置
507、508 電流検出器
505、511 座標変換器

Claims (8)

  1. シートを搬送する搬送ローラと、
    前記シートを搬送する搬送方向において前記搬送ローラよりも下流側に設けられ、前記搬送ローラによって搬送される前記シートの先端が当接する当接部材と、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記モータの回転子の回転位置を決定する位置決定手段と、
    前記回転子の目標位置を表す指令位置と前記位置決定手段によって決定された回転位置との偏差が小さくなるように、前記位置決定手段によって決定された回転位置を基準とした回転座標系において表される、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分の値と前記モータの回転子の磁束強度に影響する励磁電流成分の値とに基づいて前記モータの巻線に流れる駆動電流を制御する制御手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記当接部材に前記シートの先端が当接して前記シートが撓んだ状態において前記搬送ローラが前記シートを搬送方向に搬送する際に、前記モータの巻線に流れる駆動電流のトルク電流成分の値が所定の値より小さい場合は前記モータの駆動を継続し、前記トルク電流成分の値が前記所定の値以上になると前記モータの駆動を停止することを特徴とするシート搬送装置。
  2. 前記所定の値は、前記シートの種類に応じた値であることを特徴とする請求項に記載のシート搬送装置。
  3. 前記当接部材は、撓んだ状態の前記シートを搬送方向に搬送する第2の搬送ローラであり、
    前記制御手段は、停止状態の前記第2の搬送ローラに前記シートの先端が当接した状態において前記搬送ローラが前記シートを搬送方向に搬送することによって前記シートが撓むように前記モータの駆動を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに電流を供給する供給手段と、
    前記供給手段によって前記モータの第1相の巻線及び第2相の巻線それぞれに供給された電流の電流値を検出する検出手段と、
    前記供給手段を駆動する駆動電圧を生成する生成手段と、
    前記生成手段によって生成された駆動電圧と、前記検出手段によって検出された電流値に基づいて、前記モータの回転子の回転によって前記第1相の巻線及び第2相の巻線に誘起される誘起電圧の大きさを決定する誘起電圧決定手段と、
    を有し、
    前記位置決定手段は、前記誘起電圧決定手段によって決定された前記第1相の誘起電圧の大きさと前記第2相の誘起電圧の大きさとに基づいて前記モータの回転子の回転位置を決定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  5. 前記制御手段は、前記励磁電流成分の値を0になるように制御し、前記トルク電流成分の値を制御することによって、前記モータを制御することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、
    原稿を積載する原稿積載部と、
    を有し、
    前記原稿積載部に積載された前記原稿を前記シート搬送装置が給送することを特徴とする原稿給送装置。
  7. 請求項に記載の原稿給送装置と、
    前記原稿給送装置によって給送された前記原稿を読み取る読取手段と、
    を有することを特徴とする原稿読取装置。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート搬送装置と、
    記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    を有し、
    前記画像形成手段は、前記シート搬送装置によって搬送された前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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