JP2019018676A - 自動二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回時における操縦安定性を確保しつつウェットグリップ性を向上した自動二輪車用空気入りタイヤを提供する。【解決手段】踏面部に、タイヤ赤道の近傍から、タイヤ幅方向外側であってタイヤ回転方向と同方向に傾斜して延びる第1の傾斜溝21と、そのタイヤ幅方向外側端の延長線上に配置された短溝22とを有し、第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端が、タイヤ赤道から幅方向外側にトレッド幅TWの1/4の点の近傍に位置し、短溝のタイヤ幅方向内側端が、タイヤ赤道から幅方向外側にトレッド幅TWの1/4〜5/16の範囲に位置し、第1の傾斜溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度が幅方向外側に向かうにつれ増大し、第1の傾斜溝の幅方向外側端の溝壁がタイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θAと、短溝の幅方向内側端の溝壁がタイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θBとが、θA>θBの関係を満足する自動二輪車用空気入りタイヤである。【選択図】図2

Description

本発明は、自動二輪車用空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、トレッド部の改良に係る自動二輪車用空気入りタイヤに関する。
自動二輪車用空気入りタイヤは、乗用車やトラック・バス等の四輪車とは異なり車体を傾けて旋回する二輪車の特性のために、タイヤクラウン部が四輪車用タイヤに比べて小さな曲率半径を有する、断面が丸いタイヤ形状を有している。すなわち、自動二輪車用空気入りタイヤにおいては、車両の直進走行時には主にトレッド中央部が接地し、旋回時にはトレッドショルダー部が接地する。
このような自動二輪車用空気入りタイヤの特性に関連して、自動二輪車用空気入りタイヤのトレッドパターンにおいては、陸部を設計しやすくするために、溝幅は、例えば4〜5mm程度と、他の種類のタイヤに比べて狭くなっている。また、タイヤ周方向に対する溝の傾斜角度は、タイヤセンター部においては、車両直進走行時の剛性のバランスを確保するとともに排水性を向上させるために、小さく設定され、タイヤショルダー部に向かうにつれて、横剛性を確保するために、大きくなる傾向がある。
自動二輪車用空気入りタイヤに関する先行技術としては、例えば、特許文献1に、直進時接地面の範囲内に、赤道面を横切って傾斜する第1の傾斜溝が多数、間隔をおいて周方向に配置され、第1の傾斜溝の各々に対応して、赤道面に対する傾斜の向きを第1の傾斜溝と同じくした第2の傾斜溝が外側接地面の片方の、第1の傾斜溝から離れた位置に配置され、第1の傾斜溝の幅方向中心線の有限長さ部分と第2の傾斜溝の幅方向中心線の有限長さ部分との両方が、曲率の正負の向きが変化しない共通の曲線上にあり、第1の傾斜溝とこれに対応する第2の傾斜溝とのタイヤ軸線を通る平面への投影像は、タイヤ軸方向に距離αだけ互いに離隔し、第1の傾斜溝とこれに対応する第2の傾斜溝との赤道面への投影像は、タイヤ周方向に長さβにわたって重なっている自動二輪車用空気入りタイヤが開示されている。
特開2010−184539号公報(特許請求の範囲等)
自動二輪車用空気入りタイヤの重要性能の一つに、車両旋回時におけるウェットグリップ性がある。これに対し、従来、主としてトレッドパターンにおける溝の比率を高めたり、トレッドゴムの低温ロスを上げることが行われていたが、これらの手法では摩耗性能に対する悪影響が大きいという問題があった。特許文献1では、直進時接地面の範囲内に、赤道面を横切って傾斜する複数の傾斜溝を適切に配置することで、グリップ性能とウェット性能との両立を図っているが、旋回時におけるウェットグリップ性能については検討されていない。また、自動二輪車用空気入りタイヤにおいては、車両旋回時における操縦安定性の確保も重要となる。
そこで本発明の目的は、従来技術におけるような摩耗性能に対する悪影響なしで、旋回時における操縦安定性を確保しつつ、旋回時におけるウェットグリップ性を向上した自動二輪車用空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、タイヤ踏面部に所定の溝を所定条件にて配置することにより、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一対のビード部と、該ビード部に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部間に跨ってトロイド状に延在するトレッド部とを備え、これら各部を前記一対のビード部間にわたり補強する少なくとも1枚のカーカスを有し、車両装着時の回転方向が指定される自動二輪車用空気入りタイヤであって、
タイヤ踏面部に、タイヤ赤道の近傍から、タイヤ幅方向外側であってタイヤ回転方向と同方向に傾斜して延びる第1の傾斜溝と、該第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の延長線上に配置された短溝とを有し、
前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端が、タイヤ赤道からタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4の点の近傍に位置するとともに、前記短溝のタイヤ幅方向内側端が、タイヤ赤道からタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4〜5/16の範囲に位置し、
前記第1の傾斜溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度が、タイヤ幅方向外側に向かうにつれ増大しており、かつ、前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θと、前記短溝のタイヤ幅方向内側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θとが、θ>θの関係を満足することを特徴とするものである。
本発明のタイヤにおいては、前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θが40°〜50°の範囲であり、かつ、前記短溝のタイヤ幅方向内側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θが15°〜25°の範囲であることが好ましい。また、本発明のタイヤにおいては、前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端と、前記短溝のタイヤ幅方向内側端との間のタイヤ幅方向距離が、トレッド半幅TW/2の7〜13%の範囲であることが好ましい。
本発明によれば、旋回時における操縦安定性を確保しつつ、旋回時におけるウェットグリップ性を向上した自動二輪車用空気入りタイヤを提供することが可能となった。
本発明の自動二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 本発明の自動二輪車用空気入りタイヤのトレッドパターンの一例を示す部分展開図である。 第1の傾斜溝およびその延長線上に配置された短溝の近傍を拡大して示す説明図である。 第1の傾斜溝およびその延長線上に配置された短溝の、溝の延在方向に沿う概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の自動二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。図示する自動二輪車用空気入りタイヤは、一対のビード部11と、ビード部11に連なる一対のサイドウォール部12と、サイドウォール部12間に跨ってトロイド状に延在するトレッド部13とを備えており、これら各部を一対のビード部11間にわたり補強する少なくとも1枚、例えば、1〜2枚のカーカス1と、そのタイヤ半径方向外側に配置され、補強コードが周方向に螺旋状に巻回されてなる少なくとも1枚、例えば、1〜2枚のベルト層2とを有している。
図2に、本発明の自動二輪車用空気入りタイヤのトレッドパターンの一例を示す部分展開図を示す。図示するトレッドパターンは、車両装着時の回転方向が指定される、いわゆる方向性パターンである。図中の矢印は、タイヤの回転方向を示す。
図示するように、本発明のタイヤにおいては、タイヤ踏面部に、タイヤ赤道CLの近傍から、タイヤ幅方向外側であってタイヤ回転方向と同方向に傾斜して延びる第1の傾斜溝21と、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端の延長線上に配置された短溝22と、が設けられている。図3に、第1の傾斜溝21およびその延長線上に配置された短溝22の近傍を拡大して示す説明図を示す。第1の傾斜溝21の延長線上に短溝22を設けることで、ショルダー部の排水性を向上する効果を得ることができる。短溝22を第1の傾斜溝21の延長線上に設けるのは、例えば、短溝22がタイヤ周方向のいずれか一方にずれていて第1の傾斜溝21の延長上にないと、剛性変動やクラッキングが発生し、また、走行時における振動発生の原因ともなるためである。
また、本発明においては、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21Aが、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4の点の近傍に位置するとともに、短溝22のタイヤ幅方向内側端22Bが、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4〜5/16の範囲に位置している。ここで、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21Aが、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4の点の近傍に位置するとは、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21Aが、上記1/4の点を中心としてトレッド幅TWの±5%の範囲に存在することを意味する。また、本発明において、トレッド幅TWとは、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填した無負荷状態において、トレッド表面に沿って測った両トレッド端TE間のタイヤ幅方向距離を意味する。なお、本発明において「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域において有効な産業規格で規定されたリムを意味し、「規定内圧」とは、この産業規格に記載された適用サイズにおける最大負荷能力に対応する空気圧を意味する。また、産業規格とは、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等である。
上述のように、第1の傾斜溝21の延長線上に短溝22を設けることで、ショルダー部の排水性を向上することができるが、第1の傾斜溝21と短溝22との間に存在する陸部41がショルダー側に寄り過ぎていると、車両旋回時における横剛性が十分に得られない。そこで、本発明においては、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21A、および、短溝22のタイヤ幅方向内側端22Bの位置を上記の通り規定することで、陸部41を、車両旋回時における接地頻度が高い、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4〜5/16の範囲に位置させている。これにより、車両旋回時における横剛性を高く確保することができる。
また、本発明において、第1の傾斜溝21は、図示するように、タイヤ周方向に対する傾斜角度がタイヤ幅方向外側に向かうにつれ増大するように設けられている。これにより、タイヤ赤道CL近傍における剛性および排水性と、タイヤショルダー部における横剛性とを確保する効果を得ることができる。
図4に、第1の傾斜溝21およびその延長線上に配置された短溝22の、溝の延在方向に沿う概略断面図を示す。図示するように、本発明においては、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21Aの溝壁21Awが、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θと、短溝22のタイヤ幅方向内側端22Bの溝壁22Bwが、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θとが、θ>θの関係を満足している。これにより、車両旋回時における横剛性の確保と排水性の向上とを、より高度に両立することができる。
よって、本発明によれば、上記のような構成の第1の傾斜溝21および短溝22をトレッド踏面部に配置したことで、横剛性の確保により車両旋回時における操縦安定性を確保しつつ、排水性の向上により車両旋回時におけるウェットグリップ性を向上した自動二輪車用空気入りタイヤを実現できたものである。
ここで、横剛性と排水性とのバランスの観点からは、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21Aの溝壁21Awが、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θは、好適には40°〜50°、より好適には42°〜48°の範囲であり、短溝22のタイヤ幅方向内側端22Bの溝壁22Bwが、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θは、好適には15°〜25°、より好適には17°〜23°の範囲である。
また、本発明において、第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21Aと、短溝22のタイヤ幅方向内側端22Bとの間のタイヤ幅方向距離wは、トレッド半幅TW/2の7〜13%、特には8〜12%の範囲であることが好ましい。第1の傾斜溝21のタイヤ幅方向外側端21Aと短溝22のタイヤ幅方向内側端22Bとの間のタイヤ幅方向距離wを上記範囲とすることで、車両旋回時におけるウェットグリップ性をより確実に確保することができる。なお、距離wは、トレッド幅TWと同様に測定した値である。
さらに、本発明においては、トレッド幅TWを8等分したとき、8等分した各領域のうち、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/8〜1/4の領域、および、1/4〜3/8の領域において、トレッド踏面部に配置されている溝の本数が最大となることが好ましい。この領域において溝の本数を最大とすることで、車両旋回時において、接地内側のパターン剛性が、接地外側のパターン剛性と比較して低下するので、滑りやすい領域のせん断力が分散して、ウェットグリップの向上効果を得ることができる。
ここで、本発明において、各領域内に含まれる溝の本数とは、各領域内における各溝のタイヤ幅方向両端点間のタイヤ幅方向距離を計測して、各領域のうちタイヤ幅方向の70%以上にわたり含まれる溝の本数をカウントするものとする。また、本発明において溝とは、最大溝幅が2mm以上、または、溝の最大深さが2mm以上の溝をいい、最大溝幅および最大溝深さのいずれかが上記範囲を満足しないような浅溝などを含まない。なお、本発明において溝幅とは、溝の延在方向に対して垂直な断面における開口部の幅をいう。
図示するように、本発明のタイヤにおいては、タイヤ踏面部に、第1の傾斜溝21および短溝22に加えて、さらに、タイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に向かい、タイヤ回転方向と同方向に傾斜して延びる、第2の傾斜溝23および第3の傾斜溝24を設けることができる。第2の傾斜溝23および第3の傾斜溝24は、図示するように、第1の傾斜溝21および短溝22とともに、タイヤ周方向に略等間隔で配置することができ、第1の傾斜溝と同様に、そのタイヤ周方向に対する傾斜角度が、タイヤ幅方向外側に向かうにつれ増大している。
また、本発明のタイヤにおいては、図示するように、第1〜第3の傾斜溝に加えて、さらに、飾り溝31,32を設けることができる。ここで、本発明において飾り溝とは、最大溝幅が0.1〜2.0mm、好適には0.5〜1.5mmであって、最大溝深さが0.1〜2.0mm、好適には0.2〜0.5mmであるような、溝幅が狭く溝深さの浅い溝をいう。タイヤ踏面部に上記範囲の溝幅および溝深さを有する飾り溝を設けることで、タイヤの使用初期における排水性を向上することができる。
本発明における傾斜溝および飾り溝の配置ピッチは、特に制限されるものではないが、例えば、タイヤの全周長の1/15〜1/22程度とすることができる。また、本発明における傾斜溝および飾り溝のタイヤ周方向位置は、タイヤ赤道面CLを挟むトレッド踏面部の一方側と他方側とで交互に、例えば、配置ピッチの1/2〜1/3だけずらして配置することができる。
本発明のタイヤにおいては、タイヤ踏面部に設ける溝の配置条件を上記の通り規定した点が重要であり、これにより所期の効果を得ることができる。それ以外のタイヤ構造や使用材料の詳細などについては特に制限されるものではないが、例えば、以下のように構成することができる。
ベルト層2としては、1本の補強コードをゴムで被覆した長尺状のゴム被覆コードまたは複数本の補強コードをゴムで被覆した帯状プライを螺旋状に巻き回して形成され、コード方向が実質的にタイヤ周方向とされた、いわゆるスパイラルベルトを用いることができる。また、コード方向が層間で互いに交錯するように配置された2層以上の傾斜ベルト層からなるものであってもよい。補強コードとしては、スチールコードの他、芳香族ポリアミド(アラミド、例えば、デュポン社製 商品名ケブラー)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、レーヨン、ザイロン(登録商標)(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維)、脂肪族ポリアミド(ナイロン)等の有機繊維、さらにはグラスファイバーやカーボンファイバー等の材質のものを適宜選択して用いることができ、摩耗ライフおよび高速耐久性を高いレベルに確保する観点からは、スチールコードを用いることが好ましい。
また、例えば、図示するように、本発明のタイヤの一対のビード部11には夫々ビードコア3が埋設され、カーカス1はこのビードコア3の周りにタイヤ内側から外側に折り返して係止されている。図示はしないが、カーカス1の端部は、両側からビードワイヤで挟み込んで係止してもよい。さらに、本発明のタイヤの最内層には、インナーライナー(図示せず)が形成されている。
本発明のタイヤは、自動二輪車のフロントタイヤおよびリアタイヤのいずれとしても適用可能であるが、特に、フロントタイヤとして好適であり、ラジアル構造およびバイアス構造のいずれのタイヤにも適用することができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1)
下記の表中に示す条件に従い、タイヤサイズMCR120/70ZR17M/Cにて、図1,2に示すような断面構造およびトレッドパターンを有する実施例1の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを作製した。カーカス1は2層とし、補強コードにはレーヨンを用いた。また、ベルト層2には、ゴム被覆スチールコードを螺旋状に巻回してなるモノスパイラルベルトを用いた。
実施例1のタイヤにおいて、タイヤ踏面部には、タイヤ赤道の近傍から、タイヤ幅方向外側であってタイヤ回転方向と同方向に傾斜して延びる第1の傾斜溝と、そのタイヤ幅方向外側端の延長線上に配置された短溝とが設けられていた。また、第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端は、タイヤ赤道からタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4の点の近傍に位置し、短溝のタイヤ幅方向内側端は、タイヤ赤道からタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4〜5/16の範囲に位置していた。
下記の表中に示すように条件を変えて、他の実施例および比較例の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを作製した。なお、第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端と、短溝のタイヤ幅方向内側端との間のタイヤ幅方向距離wの、トレッド半幅TW/2に対する比率は、すべて10%とした。
得られた各供試タイヤをリムサイズMT5.5×17のリムに取り付けて、1000ccのバイクのフロントタイヤに装着し、内圧250kPaを充填した。リアタイヤには、タイヤサイズMCR180/55ZR17M/Cの市販タイヤを用いた。
(旋回時における操縦安定性)
各供試タイヤにつき、プロのライダーによる実車走行をドライ路面のテストコースで行い、旋回時における操縦安定性をフィーリングにより評価した。結果は、比較例1を100とする指数にて示した。数値が大きいほど操縦安定性に優れ、良好である。
(旋回時におけるウェットグリップ性)
各供試タイヤにつき、プロのライダーによる実車走行をウェット路面のテストコースで行い、旋回時におけるグリップ性をフィーリングにより評価した。結果は、比較例1を100とする指数にて示した。数値が大きいほど操縦安定性に優れ、良好である。
これらの結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 2019018676
*1)第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度である。
*2)短溝のタイヤ幅方向内側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度である。
Figure 2019018676
上記表中に示すように、各実施例では、旋回時における操縦安定性を確保しつつ、旋回時におけるウェットグリップ性が向上していることが確かめられた。
1 カーカス
2 ベルト層
3 ビードコア
11 ビード部
12 サイドウォール部
13 トレッド部
21 第1の傾斜溝
21A 第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端
21Aw 第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の溝壁
22 短溝
22B 短溝のタイヤ幅方向内側端
22Bw 短溝のタイヤ幅方向内側端の溝壁
23 第2の傾斜溝
24 第3の傾斜溝
31,32 飾り溝
41 陸部
TE トレッド端

Claims (3)

  1. 一対のビード部と、該ビード部に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部間に跨ってトロイド状に延在するトレッド部とを備え、これら各部を前記一対のビード部間にわたり補強する少なくとも1枚のカーカスを有し、車両装着時の回転方向が指定される自動二輪車用空気入りタイヤであって、
    タイヤ踏面部に、タイヤ赤道の近傍から、タイヤ幅方向外側であってタイヤ回転方向と同方向に傾斜して延びる第1の傾斜溝と、該第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の延長線上に配置された短溝とを有し、
    前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端が、タイヤ赤道からタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4の点の近傍に位置するとともに、前記短溝のタイヤ幅方向内側端が、タイヤ赤道からタイヤ幅方向外側にトレッド幅TWの1/4〜5/16の範囲に位置し、
    前記第1の傾斜溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度が、タイヤ幅方向外側に向かうにつれ増大しており、かつ、前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θと、前記短溝のタイヤ幅方向内側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θとが、θ>θの関係を満足することを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θが40°〜50°の範囲であり、かつ、前記短溝のタイヤ幅方向内側端の溝壁が、タイヤ表面に垂直な方向に対してなす角度θが15°〜25°の範囲である請求項1記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 前記第1の傾斜溝のタイヤ幅方向外側端と、前記短溝のタイヤ幅方向内側端との間のタイヤ幅方向距離が、トレッド半幅TW/2の7〜13%の範囲である請求項1または2記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
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