JP2019018393A - 表面保護シート及び該シートを備えた構造物 - Google Patents

表面保護シート及び該シートを備えた構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】屋内外で使用される各種構造物の表面補修や保護に適した表面保護シートであって、耐候性、耐汚染性及び飛散防止性の改善に資することのできる表面保護シートを提供する。【解決手段】紫外線吸収剤を含有するフッ素系樹脂層と、飛散防止機能を有する樹脂層とを備えた表面保護シートであって、飛散防止機能を有する樹脂層の厚みが10μm以上であり、飛散防止機能を有する樹脂層に使用される樹脂は、100μmの厚みのシートとしたときにJIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験により測定される突き刺し強さが6N以上である表面保護シート。【選択図】図1

Description

本発明は、屋内外で使用される各種構造物の表面補修や保護に適した表面保護シートに関する。また、本発明は表面保護シートを備える構造物に関する。
屋内外で使用される各種構造物の表面保護シートとして、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル及びフッ素系樹脂などを材料とする各種シートが、価格や要求特性に応じて使い分けられている。表面保護シートはその優れた耐候性を活かして、壁紙、エレベーター、車輛等の内装用の他、屋根材、壁材、雨樋、ガレージの屋根、サンルーム、農業用資材、看板、標識、遮音板等多岐にわたる用途に使用されている。高い耐候性の要求される用途については、表面保護シートとしてフッ素系樹脂シートを使用することが一般的である。
特開平8−267675号公報(特許文献1)では、耐候性、耐汚染性及び耐溶剤性に優れ、被接着基材との接着性も良好なフッ化ビニリデン樹脂系複合フィルムを提供することを課題として、フッ化ビニリデン樹脂を主成分とする層とメタクリル酸エステル系樹脂を主成分とする層を積層したフィルムが提案されている。
国際公開第2016/010013号(特許文献2)では、耐汚染性・耐候性・粘着性に優れ、特に表面が傷付いた透明基材の補修に適した、ポリフッ化ビニリデン系樹脂粘着フィルムを提供する事を課題とした発明が記載されている。当該文献では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂100〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂0〜50質量%(両者の合計を100%とする)を含有する樹脂組成物で構成されたA層と、A層の一方の面に積層された、ポリフッ化ビニリデン系樹脂0〜50質量%とポリメタクリル酸エステル系樹脂100〜50質量%(両者の合計を100%とする)を含有し更に紫外線吸収剤をB層の樹脂成分に対し0.1〜15質量%含有する樹脂組成物で構成されたB層を備えるポリフッ化ビニリデン系樹脂粘着フィルムが提案されている。
特開平9−268523号公報(特許文献3)では、アクリル樹脂からなる透明板の少なくとも一方の面に、フィルムを貼り合わせることによって、飛散防止性能が高く、製作も非常に容易な透明遮音板が得られることが記載されている。当該文献によれば、フィルムの3mm/minの試験速度における引張強度が1200kgf/cm2以上およびエレメンドルフ引き裂き強度が50kgf/cm以上であり、アクリル樹脂板とフィルムとの剥離強度が試験速度30mm/minにおいて1000g/25mm以上であることが好ましいとされている。フィルムの材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂を主成分とし、延伸処理や積層化されたものが提案されている。
実用新案登録第3187135号公報(特許文献4)では、透明な基材の表面に貼り付けることによって、該基材の飛散を防止し、かつ該基材に耐汚染性を付与するようになっている粘着シートであって、少なくとも、保管時に接着剤層を保護する剥離シート、基材の表面に粘着シートを貼り付けるための接着剤層、基材が飛散することを防止するポリエチレンテレフタレートフィルム、及び、酸化チタン粒子を含有する光触媒層を、この順に積層してなることを特徴とする粘着シートが記載されている。特開平9−11309号公報(特許文献5)のようにメタクリレート系樹脂を主成分とし、これに飛散防止機能を持った柔軟な樹脂条を埋め込んだり、特許第3661263号公報(特許文献6)のようにアクリル系軟化層を積層したりする例も報告されている。
特開平8−267675号公報 国際公開第2016/010013号 特開平9−268523号公報 実用新案登録第3187135号公報 特開平9−11309号公報 特許第3661263号公報
このように、表面保護シートは、耐候性、耐汚染性及び飛散防止性などの種々の観点から改良がなされているものの、従来の表面保護シートは、メタクリレート系樹脂を主成分とし、これに飛散防止機能を持った柔軟な樹脂条を埋め込んだり、アクリル系軟化層を積層したりするものが殆どで、その効果は限定的なものであった。また、柔軟な樹脂条をメタクリレート系樹脂に埋め込むには複雑な生産工程を伴うため、生産性やコスト、品質面にも課題があった。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムは伸びが少なく、優れた飛散防止性を得ることは困難である。
一方で、中間膜としてガラス板や樹脂ガラスの2枚の間に飛散防止性能を持つ樹脂層を配する技術も一般的だが、ガラス板だと重く簡単にヒビが入ってしまう欠点を有しており、樹脂ガラス板だと表面が傷つき易く透明性低下や耐汚性不足、紫外線による劣化などの欠点を有していた。つまり、ガラス板や樹脂ガラスの2枚の間に飛散防止性能を持つ樹脂層を配する方法では、表面保護機能は得られない。
本発明は、上記事情に鑑み、屋内外で使用される各種構造物の表面補修や保護に適した表面保護シートであって、耐候性、耐汚染性及び飛散防止性の改善に資することのできる表面保護シートを提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような表面保護シートを備えた構造物を提供することを別の課題の一つとする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、紫外線吸収剤を含有するフッ素系樹脂層と、飛散防止機能を有する樹脂層とを備えた表面保護シートが、耐候性、耐汚染性及び飛散防止性の改善に有意に寄与することを見出した。
本発明は上記知見に基づき創作されたものであり、以下のように例示される。
本発明は一側面において、紫外線吸収剤を含有するフッ素系樹脂層と、飛散防止機能を有する樹脂層とを備えた表面保護シートであって、飛散防止機能を有する樹脂層の厚みが10μm以上であり、飛散防止機能を有する樹脂層に使用される樹脂は、100μmの厚みのシートとしたときにJIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験により測定される突き刺し強さが6N以上である表面保護シートである。
本発明に係る表面保護シートの一実施形態においては、飛散防止機能を有する樹脂層に使用される樹脂は、100μmの厚みのシートとしたときにJIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験と同じ試験手順により測定される突き刺し深度が10mm以上である。
本発明に係る表面保護シートの別の一実施形態においては、飛散防止機能を有する樹脂層は、熱可塑性ポリウレタン樹脂、クロス共重合体樹脂、アイオノマー樹脂よりなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含有する。
本発明に係る表面保護シートの更に別の一実施形態においては、飛散防止機能を有する樹脂層は、スチレン系単量体単位、エチレン単量体単位、及び芳香族ポリエン単量体単位を有するスチレン−エチレン系共重合体の主鎖と、スチレン系単量体単位を有する重合体のクロス鎖とを備えるクロス共重合体を含有する。
本発明に係る表面保護シートの更に別の一実施形態においては、紫外線吸収剤がトリアジン系化合物を含有する。
本発明に係る表面保護シートの更に別の一実施形態においては、飛散防止機能を有する樹脂層側に積層された粘着剤層を備える。
本発明に係る表面保護シートの更に別の一実施形態においては、粘着剤層の厚みが10〜100μmである。
本発明に係る表面保護シートの更に別の一実施形態においては、飛散防止機能を有する樹脂層の厚みが10〜500μmである。
本発明に係る表面保護シートの更に別の一実施形態においては、フッ素系樹脂層の厚みが5〜200μmである。
本発明は別の一側面において、本発明に係る表面保護シートが、フッ素系樹脂層が外側に、飛散防止機能を有する樹脂層が内側に位置するように、表面に貼付された構造物である。
本発明に係る構造物の一実施形態においては、構造物が板状であり、その一方又は両方の主表面に本発明に係る表面保護シートが貼付される。
本発明に係る構造物の別の一実施形態においては、構造物が透明である。
本発明に係る構造物の更に別の一実施形態においては、構造物がポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び、ガラスよりなる群から選択される一種又は二種以上の材料で構成されている。
本発明に係る表面保護シートを、屋内外で使用される各種構造物の表面保護に用いることで、当該構造物の耐候性、耐汚染性及び飛散防止性を有意に改善することができる。つまり、本発明に係る表面保護シートが表面に貼付された構造物は長期間にわたって使用可能となり、また、衝撃を受けた際にも構造物の破片が飛散し難いため、構造物の安全性を高めることが可能となる。
更に、本発明の好ましい実施形態に係る表面保護シートによれば、透明性が低下した透明部材に貼り付けることで透明性を回復する機能を同時に発現することも可能である。これにより、例えば、本発明に係る表面保護シートを用いることで、高速道路や幹線道路等に設置される遮音板の補修作業を簡便に実施することが可能となるという顕著な効果を奏する。
本発明の表面保護シートの一実施形態に係る積層構造を示す概略図である。 本発明の表面保護シートを備えた構造物の一実施形態に係る積層構造を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態を例示的に示したものであり、これにより本発明の技術的範囲が狭く解釈されることを意図するものではない。
<<1.表面保護シート>>
図1は本発明の表面保護シート(10)の一実施形態に係る積層構造を示す概略図である。本発明に係る表面保護シート(10)は一実施形態において、紫外線吸収剤を含有するフッ素系樹脂層(11)と、当該フッ素系樹脂層の内側の面に直接又は間接的に積層された飛散防止機能を有する樹脂層(12)とを備える。本発明に係る表面保護シート(10)は好ましい一実施形態において、飛散防止機能を有する樹脂(12)層の内側の面に積層された粘着剤層(13)を更に備える。粘着剤層(13)を保護するため、表面保護シート(10)を構造物へ適用する前は、粘着剤層(13)の内側の面にセパレータ(14)を貼り付けておくことができる。なお、各層における「内側の面」とは表面保護シートを構造物に貼付したときの、構造物の表面に近い側の面を指し、各層における「外側の面」とは表面保護シートを構造物に貼付したときの、構造物の表面から遠い側の面を指す。
各層の積層は、共押出成形、熱融着及び押出ラミネート等のように直接積層する方法、又はドライラミネート等のように接着剤を利用して間接的に積層する方法を適宜使用することで行うことができる。
<1−1 フッ素系樹脂層>
フッ素系樹脂層は耐候性及び耐汚染性を付与することに寄与することができる。本発明において用いることができるフッ素系樹脂は、シートの押出成形が可能なフッ素系樹脂であれば特に限定されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3フッ化塩化エチレン(PCTFE)、エチレン−ポリ3フッ化塩化エチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素系樹脂シートが好適である。これらの樹脂はホモポリマーとして提供されてもよいし、これらの樹脂の原料モノマー単位同士の共重合体として提供されてもよい。また、フッ素系樹脂層は複数の樹脂を混合したポリマーアロイとして提供されてもよい。更に、フッ素系樹脂層は単層で形成してもよいし、複数層で形成してもよい。
フッ素系樹脂層が紫外線吸収剤を含有することで、紫外線が遮断され、耐候性を効果的に高めることができる。紫外線吸収剤としては、限定的ではないが、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸誘導体等が挙げられる。中でも紫外線遮断効果の持続性からトリアジン系化合物が好ましい。
紫外線吸収剤は、耐候性の向上効果を高める観点から、フッ素系樹脂層全体の質量に対して0.05質量%以上含有することが好ましく、0.1質量%以上含有することがより好ましく、0.5質量%以上含有することが更により好ましい。また、紫外線吸収剤は、フッ素系樹脂層全体の質量に対して3質量%以下含有することが好ましく、2質量%以下含有することがより好ましい。これにより、紫外線吸収剤がシート表面にブリードアウトすることを防止し、内層となる飛散防止機能を有する樹脂層との密着性低下を防止でき、また、コスト削減を実現することができる。
フッ素系樹脂層全体の厚さは保護層としての機能の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、フッ素系樹脂層全体の厚さはコストの観点から、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更により好ましい。
フッ素系樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有することが耐候性や耐汚染性の観点から好ましい。ポリフッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデンのホモポリマー、及びフッ化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体をいう。フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、六フッ化イソブチレン、三フッ化塩化エチレン、各種のフッ化アルキルビニルエーテル、さらにはスチレン、エチレン、ブタジエン、及びプロピレン等の公知のビニル単量体などがあり、これらを単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
より好ましいフッ素系樹脂層は、
ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計100質量部に対して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を100〜50質量部とポリメタクリル酸エステル系樹脂を0〜50質量部含有する樹脂組成物で構成された外側のA層と、
A層の内側の面に積層され、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計100質量部に対して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を0〜50質量部とポリメタクリル酸エステル系樹脂を100〜50質量部含有し、更にポリフッ化ビニリデン系樹脂及びポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計100質量部に対して紫外線吸収剤を0.1〜15質量部含有する樹脂組成物で構成されたB層と、
を備える。
ポリメタクリル酸エステル系樹脂とは、メタクリル酸メチルのホモポリマー、及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体との共重合体をいう。メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類の他、アクリル酸エステル類等がある。
A層のポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の混合比は、両者の合計100質量部に対して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂:ポリメタクリル酸エステル系樹脂=100〜50質量部:0〜50質量部であり、好ましくは95〜52質量部:5〜48質量部であり、より好ましくは85〜55質量部:15〜45質量部である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計100質量部に対して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が50質量部以上であると耐候性や耐汚染性などポリフッ化ビニリデン系樹脂の持つ特性を向上させることができる。また、A層中にポリメタクリル酸エステル系樹脂が少量含有することで、B層との接着性、密着性を向上させることができる。
B層のポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の混合比は、両者の合計100質量部に対して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂:ポリメタクリル酸エステル系樹脂=0〜50質量部:100〜50質量部であり、好ましくは5〜48質量部:95〜52質量部であり、より好ましくは15〜45質量部:85〜55質量%部ある。ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計100質量部に対して、ポリメタクリル酸メチルが50質量%以上であると粘着剤層との密着性を向上させることができる。また、B層中にポリフッ化ビニリデン系樹脂が少量含有することで、耐光性やA層との接着性、密着性を向上させることができる。
A層及びB層の厚さについては、A層は5〜100μm、B層は5〜100μmであることが好ましく、A層は5〜80μm、B層は10〜100μmであることがより好ましく、A層は10〜60μm、B層は13〜80μmであることが更により好ましい。A層が5μm以上であると保護層としての機能を向上させることができ、100μm以下とすることにより、コスト削減を実現することができる。B層が5μm以上であると粘着剤との密着性を向上させることができ、100μm以下とすることにより、コスト削減を実現することができる。
また透明シートの状態で基材の耐候性をさらに向上(特に紫外線の遮断が目的)させる方法としては、B層に紫外線吸収剤をB層のポリフッ化ビニリデン系樹脂とポリメタクリル酸エステル系樹脂の合計100質量部に対して0.1〜15質量部添加する方法がある。中でも紫外線遮断効果の持続性からトリアジン系の紫外線吸収剤が好ましい。当該添加量を0.1質量部以上とすることにより、好ましくは1質量部以上とすることにより、より好ましくは2質量部以上とすることにより、耐候性の更なる向上効果が期待でき、また、当該添加量を15質量部以下とすることにより、好ましくは10質量部以下とすることにより、より好ましくは5質量部以下とすることにより、紫外線吸収剤がシート表面にブリードアウトすることを防止し、飛散防止機能を有する樹脂層との密着性低下を防止でき、また、コスト削減を実現することができる。A層に紫外線吸収剤を含有させてもよいが、コストやブリードアウトの観点からは、含有させないことが好ましい。
フッ素系樹脂層は、本発明の目的を損なわれない範囲において、他の樹脂、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤、着色剤、顔料、発泡剤、難燃剤などを適宜含有することができる。本発明に用いるフッ素系樹脂層が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む場合、その詳細は国際公開第2016/010013号パンフレットに記載してある。
<1−2 飛散防止機能を有する樹脂層>
飛散防止機能を有する樹脂層は、フッ素系樹脂層に積層されて、破壊時に構造物の破片が飛散を防止する機能を発揮する。フッ素系樹脂層は、一般に飛散防止機能に乏しいため、飛散防止機能を有する樹脂層と組み合わせることで、耐候性、耐汚染性及び飛散防止性が改善された表面保護シートを提供することが可能となる。飛散防止機能を有する樹脂層は複数の樹脂を混合したポリマーアロイとして提供されてもよい。更に、飛散防止機能を有する樹脂層は、単層で形成してもよいし、複数層で形成してもよい。
飛散防止機能を有する樹脂層全体の厚さは突き刺し強度や衝撃強度を高めるという観点から、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、50μm以上が更により好ましく、70μm以上が更により好ましく、80μm以上が更により好ましく、100μm以上が更により好ましい。また、飛散防止機能を有する樹脂層層全体の厚さはシートのハンドリングやコストの観点から、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。
飛散防止機能を効果的に発揮するために、飛散防止機能を有する樹脂層は高い突き刺し強さを有していることが好ましい。本発明の一実施形態において、飛散防止機能を有する樹脂層の突き刺し強さは、6N以上であり、8N以上であることがより好ましく、10N以上であることが更により好ましい。さらに、突き刺し深度は10mm以上であることが好ましく、13mm以上であることがより好ましく、15mm以上であることが特に好ましい。飛散防止機能を有する樹脂層の突き刺し強さ及び突き刺し深度の上限は特にないが、典型的には突き刺し強さは20N以下であり、突き刺し深度は50mm以下である。ここで、突き刺し強さ(針が貫通するまでの最大応力)は、飛散防止機能を有する樹脂層の厚さ100μmのシートに対する、JIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験で測定される。突き刺し深度は、飛散防止機能を有する樹脂層の厚さ100μmのシートに対して、JIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験と同じ試験手順でシートに針を貫通させたときの、針が貫通するまでの最大深度を指す。突き刺し強さ及び突き刺し深度について、試験片の数は5個とし、その平均値を求める。
飛散防止機能を有する樹脂層の成分は、上述した突き刺し強さ及び突き刺し深度を有することができれば特に制限はないが、熱可塑性ポリウレタン樹脂、クロス共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、スチレン−ジエン系ブロック共重合体、及びポリオレフィンエラストマー系樹脂よりなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含有することが好ましい。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、飛散防止機能を有する樹脂層が上述した突き刺し強さ及び突き刺し深度の特性を兼備する上で有利である。
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、限定的ではないが、長鎖ポリオール、ポリイソシアネート及び短鎖ジオール等の鎖延長剤を反応することにより得られる、ポリイソシアネートと鎖延長剤からなるハードセグメントと、長鎖ポリオールを主成分とするソフトセグメントを有するブロックポリマーであるのが一般的である。
ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性条件化で反応させて生産される樹脂であり、ガラス中間膜に用いられるグレードが特に好適に適用できる。
スチレン−ジエン系ブロック共重合体は、ポリスチレン鎖とポリジエン鎖を有するブロック共重合体であり、ジエンとしてはブタジエンやイソプレンが用いられ、SBSやSISと記載される。これらのポリジエン鎖を水素化した、水素化スチレン−ジエン系ブロック共重合体(SEBSやSEPS)を用いても良い。
アイオノマー樹脂は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の分子間を、周期表の1a、2a、又は2b族の少なくとも1種の金属イオン、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム又は亜鉛イオンで分子間結合した構造を有する樹脂である。
ポリオレフィンエラストマー系樹脂としては、ショア−A硬度90以下の直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン系エラストマーやプロピレン系エラストマーが好適に用いられる。なお、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、及びランダムポリプロピレンはポリオレフィンエラストマー系樹脂の範疇には含まれない。また、これらのエラストマーを含む多層のフィルム、シートであってもよい。このような例は特開2001−105553号公報、国際公開第2007/088092号、米国特許出願公開2011/0003129号、米国特許第8225584号に記載してある。本発明においては、このようなフィルム、シートを飛散防止機能を有する樹脂層として用いることが出来る。
飛散防止機能を有する樹脂層は、高い突き刺し強さ、突き刺し深度の観点からは、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂及び、下記クロス共重合体が好ましい。特にスチレン系単量体単位、エチレン単量体単位、及び芳香族ポリエン単量体単位を有するスチレン−エチレン系共重合体の主鎖と、スチレン系単量体単位を有する重合体のクロス鎖とを備えるクロス共重合体樹脂を主に含有することが、本樹脂層の突き刺し強さ及び突き刺し深度の特性を高める観点から好ましい。
[クロス共重合体]
好適なクロス共重合体としては、国際公開第2000/37517号に記載のオレフィン−スチレン−ジエン系クロス共重合体及び国際公開第2007/139116号に記載のオレフィン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体とアニオン重合性ビニル化合物を重合させて得られるクロス共重合体、特開2009−120792号公報に記載のエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体とアニオン重合性ビニル化合物モノマーを重合させて得られるクロス共重合体が挙げられ、とりわけ、スチレン−エチレン系共重合体の主鎖が、スチレン系単量体単位を有する重合体のクロス鎖と結合(交差結合)している構造を有する共重合体が挙げられる。このようなクロス構造は、スター構造と言い換えることができる。
スチレン系単量体単位としては、スチレン及び各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン等の各スチレン系単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレンであり、特に好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体単位は、1種類でもよく、2種類以上の併用であってもよい。
芳香族ポリエン単量体単位としては、10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数又は複数の芳香族基を有した芳香族ポリエンが挙げられ、例えば、o−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルナフタレン、3,4−ジビニルナフタレン、2,6−ジビニルナフタレン、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニル−4,5,8−トリブチルナフタレン等、芳香族ポリエン単量体に由来する単位が挙げられ、好ましくはオルトジビニルベンゼン単位、パラジビニルベンゼン単位及びメタジビニルベンゼン単位のいずれか1種又は2種以上の混合物が好適に用いられる。
本発明で用いるクロス共重合体とは、スチレン−エチレン−ジビニルベンゼン共重合体の主鎖が、ジビニルベンゼン単量体単位を介して、ポリスチレンからなるクロス鎖と結合している構造を有する共重合体である。スチレン−エチレン系共重合体中の各構成単位の含有割合は、突き刺し強さ、引張り弾性率の観点から、スチレン系単量体単位30〜60質量部とエチレン単量体単位40〜70質量部の合計量100質量部に対して、芳香族ポリエン単量体単位0.1〜0.3質量部であることが好ましい。
スチレン−エチレン系共重合体の主鎖と、スチレン系単量体単位を有する重合体のクロス鎖との含有割合は、突き刺し強さ及び突き刺し深度の観点から、スチレン−エチレン系共重合体の主鎖と、スチレン系単量体単位を有する重合体のクロス鎖の合計100質量部に対して、好ましくはスチレン−エチレン系共重合体の主鎖65〜95質量部、芳香族ビニル単量体単位を有する重合体のクロス鎖5〜35質量部であり、特に好ましくはスチレン−エチレン系共重合体の主鎖80〜90質量部、芳香族ビニル単量体単位を有する重合体のクロス鎖10〜20質量部である。
[クロス共重合体の製造方法]
上記のクロス共重合体の製造方法について説明する。重合様式においては、特に制限はなく、溶液重合、塊状重合等公知の方法で製造できるが、溶液重合が所望のクロス共重合体を得る上での重合制御の自由度が高いので、より好適である。
重合方法は、所望のクロス共重合体が得られれば特に限定されないが、配位重合触媒を用いてスチレン−エチレン系共重合体を重合する配位重合工程と、配位重合工程で得られたスチレン−エチレン系共重合体とスチレン系単量体の共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することにより主鎖の芳香族ポリエン単量体単位に残存するビニル基にスチレン系単量体単位を有する重合体をクロス鎖とするクロス共重合体を製造するアニオン重合工程とからなる二段階の重合工程を経る製造方法により製造することが可能である。
(配位重合工程)
配位重合工程について具体的に説明する。配位重合触媒については、遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることができる。シングルサイト配位重合触媒としては、例えば特開2009−120792号公報に記載のものを使用可能である。シングルサイト配位重合触媒の活性を助ける助触媒としてメチルアルミノキサンを好適に用いることができる。また、溶剤や各単量体原料に含まれる水分を除去し、シングルサイト配位重合触媒の被毒を抑制するためアルキルアルミニウムを好適に用いることができる。使用する溶剤は、極性官能基をもつとシングルサイト配位重合触媒を被毒するためシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼンなどの炭化水素系、及び芳香族炭化水素系が好適である。溶剤の添加量は、最終的に得られる共重合体量100質量部に対して200〜900質量部が好ましい。200質量部以上であれば、重合液粘度及び反応速度を制御する上で好適であり、900質量部以下であれば、生産性の観点で好ましい。
(アニオン重合工程)
アニオン重合工程について具体的に説明する。アニオン重合工程では、配位重合工程で得られたスチレン−エチレン系共重合体とスチレン系単量体との共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することにより、主鎖の芳香族ポリエン単量体単位に残存するビニル基にスチレン系単量体単位を有する重合体をクロス鎖とする構造のクロス共重合体を合成する。配位重合工程で得られたスチレン−エチレン系共重合体は、メタノール等の貧溶媒により析出させる方法、加熱ロール等により溶媒を蒸発させて析出させる方法(ドラムドライヤー法)、濃縮器により溶液を濃縮した後にベント式押出機で溶媒を除去する方法、溶液を水に分散させ、水蒸気を吹き込んで溶媒を加熱除去して共重合体を回収する方法(スチームストリッピング法)、クラムフォーミング法等、任意の方法を用いて配位重合後の重合液から分離、精製してアニオン重合工程に用いることができる。また、スチレン−エチレン系共重合体を重合液から分離、精製せずに、スチレン−エチレン系共重合体を含んだ重合液をアニオン重合工程に用いても良く、この方法が生産性の観点から好適である。アニオン重合開始剤は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等公知のアニオン重合開始剤を用いることができる。スチレン系単量体は、配位重合後の重合液に残留するスチレン系単量体をそのまま用いることもできる。また、アニオン重合の開始前に必要量添加したり、アニオン重合の途中で追添、もしくは分添したりすることで、目的のクロス共重合体を得ることができる。
(回収工程)
クロス共重合体を回収する方法については、特に限定はなく、メタノール等の貧溶媒により析出させる方法、加熱ロール等により溶媒を蒸発させて析出させる方法(ドラムドライヤー法)、溶液を水に分散させ、水蒸気を吹き込んで溶媒を加熱除去して共重合体を回収する方法(スチームストリッピング法)、クラムフォーミング法等、公知の方法を用いることができる。また、重合液を二軸脱揮押出機にギヤポンプを用いて連続的にフィードし、重合溶剤を脱揮処理する方法がある。この方法は、重合溶剤を含む脱揮成分を、コンデンサー等を用いて凝縮させて回収し、凝縮液を蒸留塔にて精製することで、重合溶剤を再利用することができるので、経済的な観点で好適である。
[クロス共重合体樹脂シートの製造方法]
クロス共重合体樹脂シートを製造する方法としては、クロス共重合体を押出機により溶融混練してダイ(特にTダイ)から押出し、シート状に製膜する方法が挙げられる。
クロス共重合体樹脂シートを製造する際、金属ロールへの貼り付きを低減させる、又は表面を加飾するため、エンボスロールによる表面加工が可能である。
クロス共重合体樹脂シートを製造する際、金属ロールへの貼りつきを低減させる、及び製膜を安定に行うため、剥離処理されたポリエチレンテレフタラートシートや紙などを使用して製膜することが可能である。
飛散防止機能を有する樹脂層は、本発明の目的を損なわれない範囲において、他の樹脂、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤、着色剤、顔料、発泡剤、難燃剤などを適宜含有することができる。本表面保護シートは、フッ素系樹脂層側を外側表面に、飛散防止機能を有する樹脂層側に接着剤や粘着剤を配置し、構造物に貼り付ける。
<1−3 粘着剤層>
粘着剤層は、構造物と表面保護シートの間の剥離強度を高めるために好ましく、飛散防止機能を有する樹脂層側に積層される。また、構造物が透明部材のとき、厚みのある透明な粘着剤層を使用することで、表面が傷ついて透明性が低下した透明部材の透明性を回復する機能を発揮することができる。
粘着剤層の厚さは、構造物表面の凹凸への追従性を向上し、透明性の回復機能を高めるために、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更により好ましい。また、粘着剤の厚さは、粘着剤の乾燥工程で乾燥不良の発生を防止し、粘着性能を十分に発揮するために、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更により好ましい。
粘着剤は、25℃、1.0Hzにおける貯蔵弾性率が1.0×104〜1.0×106Pa、かつ100℃、1.0Hzにおけるtanδが0.6以下が好ましい。より好ましくは25℃、1.0Hzにおける貯蔵弾性率が5.0×104〜5.0×105Pa、かつ100℃、1.0Hzにおけるtanδが0.4以下である。25℃、1.0Hzにおける貯蔵弾性率が1.0×104Pa以上であると、粘着剤の凝集力が向上し、粘着シートを被着体に貼り付けた後、粘着シートの被着体からのずれや剥がれを防止することができる。また、25℃、1.0Hzにおける貯蔵弾性率が1.0×106Pa以下であると、粘着剤に適度な柔軟性があり、被着体の凹凸への追従性を向上させることができる。100℃、1.0Hzにおけるtanδが0.6以下であると、耐熱性が向上し、表面保護シートを構造物の表面に貼り付けた後、太陽光等の熱で表面保護シートが構造物からずれたり、剥がれたりすることを防止することができる。
貯蔵弾性率及びtanδはRheometric Scientific社製の粘弾性測定装置等を用いて測定することができる。本発明における貯蔵弾性率は、せん断モード、周波数1.0Hzにおいて、25℃における貯蔵弾性率G’とし、tanδは、せん断モード、周波数1.0Hzにおいて、100℃における貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の比(G’’/G’)から求めた値とした。
粘着剤の曇り度は、5cm角、厚み1.5mmの粘着剤をASTM D1003に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP型)を用いて測定した測定値で、0〜30%であることが好ましく、0〜20%であることがより好ましい。粘着剤の曇り度が30%以下であると、粘着剤層を有する表面保護シート全体の曇り度も低くでき、例えば30%以下とすることができ、透明基材に貼り合せたときの透明性を向上させることができる。
粘着剤は透明であること及び優れた粘着性を有していることが好ましい。この観点で(メタ)アクリル系粘着剤を好適に使用することができる。(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの両者を意味する。
(メタ)アクリル系粘着剤の具体例としては、たとえば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のC2からC12アルキルエステルの少なくとも1種(モノマーA)と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の官能基含有アクリル系モノマーの少なくとも1種(モノマーB)との共重合体を使用することができる。上記モノマーAとモノマーBの共重合比は、モノマーAとモノマーBの合計100質量部中、質量比で表して、モノマーA/モノマーB=99.9/0.1〜70/30であり、好ましくは99/1〜75/25の範囲である。
特に好適なアクリル系共重合体としては、ブチルアクリレート(BA)とアクリル酸(AA)の共重合体が挙げられる。この場合、ブチルアクリレート(BA)とアクリル酸(AA)の共重合比は、BAとAA合計100質量部中、質量比で表して、BA/AA=99.9/0.1〜70/30であり、好ましくは99.5/0.5〜80/20の範囲である。BAとAAの合計100質量部中、AAが0.1質量部以上であると、架橋剤併用での粘着物性コントロールが容易になる。また、BAとAAの合計100質量部中、AAが30質量部以下であると、ガラス転移点(Tg)が下がり、低温での被着体への貼り付きが良くなり、施工性も向上する。
上記アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万〜100万、より好ましくは40万〜80万であり、かかる分子量は、重合開始剤の量によって、また、連鎖移動剤を添加することによって調整することができる。重量平均分子量(Mw)が20万以上であると、アクリル系共重合体の凝集力が向上し、被着体への糊残りや粘着シートの剥がれを防止することができる。また、100万以下であると、アクリル系共重合体に適度な柔軟性があり、被着体の凹凸への追従性が向上する。
粘着剤には、必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加物を添加することができる。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。特に好適な架橋剤はイソシアネート系架橋剤であり、粘着剤を構成するポリマーの構成単位となるモノマー(例えば、BAとAAの合計)100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤0.3〜4質量部であり、好ましくは0.5〜3質量部である。イソシアネート系架橋剤が0.3質量部以上であると、粘着剤の凝集力が向上し、被着体から粘着シートを剥がす際、被着体への糊残りを防止でき、再剥離性を向上させることができる。また、イソシアネート系架橋剤が4質量部以下であると、粘着剤に適度な柔軟性があり、被着体表面の凹凸への追従性を向上し、粘着シートを貼る際、気泡を巻き込むことを防止することができる。
イソシアネート系架橋剤の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等の多価イソシアネート化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
粘着付与剤は、軟化点、各成分との相溶性等を考慮して選択することができる。例えば、テルペン樹脂、ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、テルペン−フェノール樹脂、キシレン系樹脂、その他脂肪族炭化水素樹脂又は芳香族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
紫外線吸収剤は、紫外線吸収能や使用するアクリル系粘着剤との相溶性等を考慮して選択することができる。例えば、ハイドロキノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
光安定剤としては、使用するアクリル系粘着剤との相溶性や厚み等を考慮して選択することができる。例えば、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾエート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。
粘着剤層は、一般的な方法で形成することができる。例えば、飛散防止機能を有する樹脂層の内側の面に粘着剤を直接塗布し乾燥させる方法(ダイレクト塗工法)、後述するセパレータ上に粘着剤を塗布し、乾燥後、飛散防止機能を有する樹脂層の内側の面にセパレータ上の粘着剤を転写する方法(転写塗工法)等がある。本発明に好適に用いるアクリル系粘着剤の詳細は国際公開第2016/010013号パンフレットに記載してある。
<1−4 セパレータ>
セパレータとしては、公知の一般的なセパレータを使用することができる。例えば、PETシート表面にシリコーン系剥離剤が塗布されているもの、紙とポリエチレンのラミネートシートのポリエチレン側にシリコーン系剥離剤が塗布されたもの等が挙げられる。
飛散防止機能を有する樹脂層と粘着剤層の密着性を向上させるため、公知の一般的なプライマーを適宜使用することもできる。
<<2.表面保護シートを備えた構造物>>
図2は、本発明の表面保護シートを備えた構造物の一実施形態に係る積層構造を示す概略図である。本発明に係る表面保護シート(10)を備えた構造物(20)は一実施形態において、表面保護シート(10)が、前記フッ素系樹脂層(11)を外側表面に、飛散防止機能を有する樹脂層(12)を構造物側にして、構造物(20)の表面に貼付されている。粘着剤層(13)を有する表面保護シートの場合、粘着剤層(13)を構造物側に貼り付ける。
表面保護シートが貼付される構造物の材質には特に制約はないが、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び、ガラスよりなる群から選択される一種又は二種以上の材料で構成されることが可能である。その他にも、構造物の材質はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、FRP等のプラスチック基材、アルミニウム箔及び鋼板等の金属、合板、ガラス等幅広く選択することができる。
表面保護シートが貼付される構造物の形状には特に制約はないが、例えば板状とすることができる。その場合は、板状構造物の一方又は両方の主表面に表面保護シートを貼付することができ、両方の主表面に貼付することが好ましい。
とりわけ、本発明に係る表面保護シートは構造物が透明部材であるときに好適に使用することができる。透明部材としては、限定的ではないが、高速道路や幹線道路等に設置される遮音板、エクテリア、カーポート、自動販売機の窓、鉄道の駅に設置されるホームドア、看板等が挙げられる。
例えば、高速道路や幹線道路等に設置される遮音板等は透明板(典型的にはポリカーボネート板)であることが多いが、透明板は経年劣化によって、透明性や強靱性が低下するという問題がある。本発明に係る表面保護シートを劣化した透明板の一方又は両方の主表面、好ましくは両方の主表面に貼付することで、透明板の透明性が回復し、また、透明板が破損した時の飛散防止性能を高めることが可能となる。つまり、本発明に係る表面保護シートを使用することで透明板の補修工事を簡単な施工で行うことができるという顕著な効果が得られる。また、本発明に係る表面保護シートを新品の透明板の一方又は両方の主表面、好ましくは両方の主表面に貼付することで、透明板自体の不透明化や経時劣化を抑制し、透明板が破損した時の飛散防止性能を高めることが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいて、比較例と対比しつつ詳細に説明する。
(1.紫外線吸収剤を含有するフッ素系樹脂シートの作製)
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、アルケマ社製、商品名カイナ−720(以下PVDFと略称する)を使用した。ポリ3フッ化塩化エチレン系樹脂として、デンカ社製、商品名TEFKA(以下ECTFEと略称する)を使用した。紫外線吸収剤はトリアジン系を使用した。なお、PVDF及び紫外線吸収剤の混合品、並びに、ECTFE及び紫外線吸収剤の混合品を、フッ素系樹脂層全体の質量に対する紫外線吸収剤の含有率が表1に記載の値となるようにブレンドし、30mmφ異方向回転2軸押出機を用いて表1に記載の厚みのシートに押出成形した。
(2.飛散防止機能を有する樹脂シートの用意)
以下の樹脂製シートを用意した。各シートの厚みは表1に記載の通りである。
クロス共重合体は、配位重合触媒を用いてスチレン−エチレン系共重合体を重合する配位重合工程と、ポリスチレン鎖(クロス鎖)を重合するアニオン重合工程との二段階重合を経て溶液重合により製造した。配位重合工程ではモノマーとしてスチレン、エチレン及びジビニルベンゼンを使用した。配位重合触媒としてはrac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、助触媒としてメチルアルモキサンを使用した。アニオン重合工程では配位重合後の重合液に残留するスチレンをモノマーとして利用した。アニオン重合開始剤としては、sec−ブチルリチウムを使用した。重合手順は国際公開第2007/139116号の実施例1に記載の手順に準じた。得られたクロス共重合体を押出機により溶融混練してダイから押出し、シート状に製膜した。クロス共重合体中の各構成単位の含有割合については、1H−NMR及び補完的に13C−NMRで求めた。
<クロス共重合体>
・クロス共重合体(A) (スチレン−エチレン系共重合体中の各構成単位の含有割合が、スチレン単量体単位40質量部とエチレン単量体単位60質量部の合計100質量部に対して、ジビニルベンゼン単量体単位0.2質量部で構成されたスチレン−エチレン系共重合体の主鎖と、スチレン単量体単位で構成されたポリスチレン鎖との質量比率=87/13)
・クロス共重合体(B) (スチレン−エチレン系共重合体中の各構成単位の含有割合が、スチレン単量体単位55質量部とエチレン単量体単位45質量部の合計100質量部に対して、ジビニルベンゼン単量体単位0.2質量部で構成されたスチレン−エチレン系共重合体の主鎖と、スチレン単量体単位で構成されたポリスチレン鎖との質量比率=82/18)
<アイオノマー>
・ハイミラン1855 (三井・デュポン(株)社製、エチレン−メタクリル酸の共重合体の金属イオン架橋体、押出成形によりシート化した。)
<ポリウレタン系樹脂>
・U−1940 (日本マタイ(株)社製、熱可塑性ポリウレタンシート)
<低密度ポリエチレン(LDPE)>
・FC−D (三井化学東セロ(株)社製、低密度ポリエチレンシート)
<JIS Z1707:1997による突き刺し試験>
上記の飛散防止機能を有する樹脂シートについては、それぞれ100μmの厚みのシートを別途用意し、23℃、湿度50%の条件下、JIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験を行い、突き刺し強さ及び突き刺し深度を測定した。これら3種類の特性について、突き刺し強さが8N以上かつ突き刺し深度が13mm以上の場合ときを◎、突き刺し強さが6N未満かつ突き刺し深度が10mm未満の時が×、それ以外の場合を〇と評価した。
(3.粘着剤の調製)
アクリル系粘着剤はブチルアクリレート(BA)とアクリル酸(AA)の共重合体(BA/AA=90/10(質量比)、固形分35%)100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤(固形分45%)を2質量部でブレンドして調製した。
得られた粘着剤の貯蔵弾性率及びtanδを先述した方法により求めたところ、それぞれ8.0×104Pa、0.30であった。
(4.表面保護シートの作製)
上記で用意したフッ素系樹脂シート(表層)と、飛散防止機能を有する樹脂シート(内層)を、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法により貼り合わせて、表1に記載の実施例及び比較例の各積層シートを得た。接着剤の使用量は、フッ素系樹脂シートの質量を基準にして6質量%とした。但し、比較例1では飛散防止機能を有する樹脂シートは貼り合わせなかった。
次いで、上記で調製したアクリル系粘着剤を表1に記載の厚みとなるように紙セパレータ(住化加工紙社製、SLB−50BD)に塗布して、乾燥した。その後、作製した積層シートの飛散防止機能を有する樹脂シート側の面に、セパレータの粘着剤面を貼り合せ、セパレータ付きの表面保護シートを得た。但し、比較例1ではフッ素系樹脂シートにセパレータの粘着剤面を貼り合せ、セパレータ付きの表面保護シートを得た。このようにして作製した実施例及び比較例の各表面保護シートに対して各種特性評価を行った。結果は表1に示した。
<耐汚染性(実施例1〜8、比較例1〜3)>
上記の各表面保護シートのフッ素系樹脂シート側の面を、油性インキ(マジックインキ、寺西化学工業(株)製)にて1cm角の範囲で塗りつぶし、乾燥後、ガーゼで30回擦り、残ったインキの状態を目視で観察し以下の様に評価した。
◎:完全に落ちる
〇:落ちるがこすったあとが薄く残る
△:一部落ちるが残るところもある(落ちたところもあとが残る)
×:ほとんど落ちない
<凹凸追従性(実施例1〜8、比較例1〜3)>
微細な凹凸が生じた、7cm角の劣化ポリカーボネート板(高速道路の透光板として十数年使用し、劣化し透明性や耐衝撃性が低下したポリカーボネート板、表面粗さ(Ra)10μm、JIS B0601:2001に準拠)を用意した。上記の各表面保護シートからセパレータを剥がした上で、当該板の両主表面に対して、5cm角の上記表面保護シートの粘着剤面を貼り合せ、気泡の有無を目視にて以下の様に評価した。
○:良好(凹凸に追従できているため、気泡なし。)
×:不良(凹凸に追従できていないため、気泡あり。)
<落錘試験用サンプル>
劣化透明板を想定して破壊・飛散し易い板としてポリスチレン(PS)板(縦横127mm×127mm、厚さ3mm)、及び、劣化ポリカーボネート板(高速道路の透光板として十数年使用し、劣化し透明性が低下したポリカーボネート板)を用意した。上記の各表面保護シートからセパレータを剥がした上で、それぞれの両主表面全体に対して、上記表面保護シートの粘着剤面側を貼り合わせ、試験体を作製した。
<落錘試験による飛散率測定(実施例1〜9、比較例1〜4)>
落錘試験は、株式会社東洋精機製作所の計装化落錘試験器GRAPHIC IMPACT TESTERを使用し、23℃、湿度50%、ASTM D3763の条件下、錘重量:6.5kg、落下高さ:100cm、試験片のホルダー直径:76mm、衝突部分となる錘の先端の半球の直径(ストライカー径):12.7mmで、n=5回実施した。試験後、破片(ここでは大きさ1mm以上の破片を示す)の飛散の程度と飛散した破片の質量の総量を観測、測定し、n=5の平均を取り、以下の基準で評価した。評価Aを合格とした。
A:ポリスチレン、または劣化ポリカーボネート板が割れるものの、破片の飛散は見られなかった。
B:ポリスチレン、または劣化ポリカーボネート板が割れ、破片が飛散し、飛散量は直径76mmのホルダー内に配置された試験片部分の質量の50%未満であった。
C:ポリスチレン、または劣化ポリカーボネート板が割れ、破片が飛散し、飛散量は直径76mmのホルダー内に配置された試験片部分の質量の50%以上であった。
<透明性(実施例9、比較例4)>
劣化ポリカーボネート板(高速道路の透光板として十数年使用し、劣化し透明性や耐衝撃性が低下したポリカーボネート板)を用いた試験では、本発明のシートを両面に貼り付けた際に透明性が回復するかを、貼り付ける前のポリカーボネート板と貼り付けた後の光線透過率を測定することで評価した。光線透過率は、光明理化学工業株式会社製可視光線透過率測定機PT−50を使用し求めた。
<考察>
比較例1では表面保護シートにおいて飛散防止機能を有する樹脂層を使用しなかったことから、落錘試験による破片の飛散量が多かった。
比較例2では飛散防止機能を有する樹脂層を積層したが厚みが薄かったために、所望の飛散防止機能を達成することができなかった。
比較例3では飛散防止機能を有する樹脂層の突き刺し強さが不足していたため、所望の飛散防止機能を達成することができなかった。
比較例4は表面保護シートを用いず、劣化ポリカーボネート板に直接落錘試験を行った。このため、破片の飛散量が多かった。
一方、実施例1〜9では、飛散防止機能を有する樹脂層が適切な厚み、突き刺し強さを有していたことから、落錘試験による破片の飛散を顕著に抑制することができた。
また、実施例1〜8の凹凸追従性の評価、及び実施例9の透明性評価から、本発明により、劣化した透明板の透明性回復効果が有意に得られることが理解できる。
10 表面保護シート
11 フッ素系樹脂層
12 飛散防止機能を有する樹脂層
13 粘着剤層
14 セパレータ
20 構造物

Claims (13)

  1. 紫外線吸収剤を含有するフッ素系樹脂層と、飛散防止機能を有する樹脂層とを備えた表面保護シートであって、飛散防止機能を有する樹脂層の厚みが10μm以上であり、飛散防止機能を有する樹脂層に使用される樹脂は、100μmの厚みのシートとしたときにJIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験により測定される突き刺し強さが6N以上である表面保護シート。
  2. 飛散防止機能を有する樹脂層に使用される樹脂は、100μmの厚みのシートとしたときにJIS Z1707:1997の突き刺し強さ試験と同じ試験手順により測定される突き刺し深度が10mm以上である請求項1に記載の表面保護シート。
  3. 飛散防止機能を有する樹脂層は、熱可塑性ポリウレタン樹脂、クロス共重合体樹脂、アイオノマー樹脂よりなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂を含有する請求項1又は2に記載の表面保護シート。
  4. 飛散防止機能を有する樹脂層は、スチレン系単量体単位、エチレン単量体単位、及び芳香族ポリエン単量体単位を有するスチレン−エチレン系共重合体の主鎖と、スチレン系単量体単位を有する重合体のクロス鎖とを備えるクロス共重合体を含有する請求項1〜3の何れか一項に記載の表面保護シート。
  5. 紫外線吸収剤がトリアジン系化合物を含有する請求項1〜4の何れか一項に記載の表面保護シート。
  6. 飛散防止機能を有する樹脂層側に積層された粘着剤層を備えた請求項1〜5の何れか一項に記載の表面保護シート。
  7. 粘着剤層の厚みが10〜100μmである請求項6に記載の表面保護シート。
  8. 飛散防止機能を有する樹脂層の厚みが10〜500μmである請求項1〜7の何れか一項に記載の表面保護シート。
  9. フッ素系樹脂層の厚みが5〜200μmである請求項1〜8の何れか一項に記載の表面保護シート。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の表面保護シートが、フッ素系樹脂層が外側に、飛散防止機能を有する樹脂層が内側に位置するように、表面に貼付された構造物。
  11. 構造物が板状であり、その一方又は両方の主表面に請求項1〜9の何れか一項に記載の表面保護シートが貼付された請求項10に記載の構造物。
  12. 構造物が透明である請求項10又は11に記載の構造物。
  13. 構造物がポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び、ガラスよりなる群から選択される一種又は二種以上の材料で構成されている請求項10〜12の何れか一項に記載の構造物。
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