JP2019014776A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂で構成されるポリマーアロイであって、水蒸気バリア性を含む諸特性に優れた樹脂組成物を提供する。【解決手段】(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、(b)クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.16〜0.36dL/gであるポリフェニレンエーテル系樹脂と、(c)平均繊維長0.01〜0.10mmの繊維状無機充填剤と、(d)平均粒子径が5〜25μmであるタルクとを含有することを特徴とする、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は、耐熱性の高い結晶性樹脂の一つとしてガラス繊維等のフィラーを配合し、耐熱性、耐薬品性、剛性および難燃性に優れた樹脂成型材料として、電気・電子・OA部品、自動車電装系部品として利用されている。これら用途の部品は、近年、軽量化、性能向上の観点により小型化、細密化が進んでおり、樹脂の寸法精度を上げる改良が進められている。
これらの技術としては、熱可塑性樹脂に特定の平均繊維径およびアスペクト比を有する無機充填剤を添加し、ソリを改良した組成物(例えば、特許文献1参照)や、リニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂と架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂に充填材を添加し機械的特性、バリの低減、流動性を向上させた組成物(例えば、特許文献2参照)、が提案されている。
しかしながら、近年の光学機器機構部品、プリンター部品、光源ランプ周り部品、コピー機部品、自動車エンジンルーム内部品等の精密成型品においては、更なる小型軽量薄肉化が計られたことから、流動性、低ソリ性、低バリ性、離型性といった成形加工性の向上に加え、より高いレベルでの水蒸気バリア性が要求されるようになってきている。
この精密な成形加工性と、水蒸気バリア性の両立に関し、上記の文献を含め多くのポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関し、解決策が見当たらないのが実状である。
特開昭62-115060号公報 特開平09-087518号公報
本発明の課題は、ポリフェニレンスルフィド樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂で構成されるポリマーアロイであって、水蒸気バリア性を含む諸特性に優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決すべく、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリフェニレンエーテル系樹脂からなる樹脂組成物に関して鋭意検討した結果、特定の粘度範囲のポリフェニレンエーテル系樹脂と特定の繊維長の繊維状無機充填剤と、特定の粒子径のタルクを用いることにより、水蒸気バリア性を含む諸特性に優れる樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1](a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、
(b)クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.16〜0.36dL/gであるポリフェニレンエーテル系樹脂と、
(c)平均繊維長0.01〜0.10mmの繊維状無機充填剤と、
(d)平均粒子径が5〜25μmであるタルクとを含有することを特徴とする、樹脂組成物。
[2]前記(a)成分と前記(b)成分の合計を100質量部としたときに、前記(c)成分の含有量が25〜150質量部である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記(a)成分と前記(b)成分の合計を100質量部としたときに、前記(d)成分の含有量が25〜150質量部である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記(c)成分と前記(d)成分の含有質量比(c)/(d)が1/5〜5/1である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[5]前記(c)成分が平均繊維長0.01〜0.10mmのガラス繊維である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[6](e)リン系化合物および(f)相容化剤のうち少なくとも1つを更に含有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
本発明によれば、水蒸気バリア性を含む諸特性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
図1は、バリ発生量の評価に用いるヒンジ試験片を示す(a)概略図(平面図)および(b)側面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、(b)クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.16〜0.36dL/gであるポリフェニレンエーテル系樹脂と、(c)平均繊維長0.01〜0.10mmの繊維状無機充填剤と、(d)平均粒子径が5〜25μmであるタルクとを含有する。
[(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂]
本実施形態で用いられる(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂は、その製造方法によりリニア型ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、リニアPPSと略記する。)および架橋型ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、架橋PPSと略記する。)に二分される。
[[リニアPPS]]
前者のリニアPPSは、下記化学式(1)で示されるアリーレンスルフィドの繰返し単位を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上を含む重合体である。
[−Ar−S−] ・・・(1)
(ここで、Arはアリーレン基を示し、アリーレン基として、例えばp−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基が好ましい。)、p,p’−ジフェニレンスルホン基、p,p’−ビフェニレン基、p,p’−ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基等が挙げられる。)
リニアPPSは構成単位であるアリーレン基が1種であるホモポリマーであってもよく、加工性や耐熱性の観点から、2種以上の異なるアリーレン基を混合して用いて得られるコポリマーであってもよい。中でも、主構成要素としてp−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するリニアPPSが、加工性、耐熱性に優れ、かつ、工業的に入手が容易なことから好ましい。
このリニアPPSの製造方法は、通常、ハロゲン置換芳香族化合物、例えばp−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは硫化水素ナトリウムと水酸化ナトリウムの存在下で、または硫化水素と水酸化ナトリウムあるいはナトリウムアミノアルカノエートの存在下で重合させる方法、p−クロルチオフェノールの自己縮合等が挙げられるが、中でもN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が好ましい。
これらの製造方法は公知あり、例えば、米国特許第2513188号明細書、特公昭44−27671号公報、特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報、特開昭61−225217号公報および米国特許第3274165号明細書、さらに特公昭46ー27255号公報、ベルギー特許第29437号明細書、特開平5−222196号公報、等に記載された方法やこれらの文献等に例示された先行技術の方法でリニアPPSを得ることが出来る。
好ましいリニアPPSは、塩化メチレンによる抽出量が0.7質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であり、かつ末端−SX基(Sはイオウ原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)が20μmol/g以上、好ましくは20〜60μmol/gである。
ここで、塩化メチレンによる抽出量の測定は以下の方法により行うことができる。
リニアPPS粉末5gを塩化メチレン80mLに加え、6時間ソックスレー抽出を実施した後、室温まで冷却し、抽出後の塩化メチレン溶液を秤量瓶に移す。更に、上記の抽出に使用した容器を塩化メチレン合計60mLを用いて、3回に分けて洗浄し、該洗浄液を上記秤量瓶中に回収する。次に、約80℃に加熱して、該秤量瓶中の塩化メチレンを蒸発させて除去し、残渣を秤量し、この残渣量より塩化メチレンによる抽出量、すなわちリニアPPS中に存在するオリゴマー量の割合を求めることができる。
また、−SX基の定量は以下の方法によって行うことができる。すなわち、リニアPPS粉末を予め120℃で4時間乾燥した後、乾燥リニアPPS粉末20gをN−メチル−2−ピロリドン150gに加えて粉末凝集塊がなくなるように室温で30分間激しく撹拌混合し、スラリー状態にする。かかるスラリーを濾過した後、毎回約80℃の温水1リットルを用いて7回洗浄を繰り返す。ここで得た濾過ケーキを純水200g中に再度スラリー化し、ついで1Nの塩酸を加えて該スラリーのpHを4.5に調整する。
次に、25℃で30分間撹拌し、濾過した後、毎回約80℃の温水1リットルを用いて6回洗浄を繰り返す。得られた濾過ケーキを純水200g中に再度スラリー化し、次いで、1Nの水酸化ナトリウムにより滴定し、消費した水酸化ナトリウム量よりリニアPPS中に存在する−SX基の量を求めることができる。
ここで、塩化メチレンによる抽出量が0.7質量%以下、末端−SX基が20μmol/g以上を満足するリニアPPSの製造方法の具体例としては、特開平8−253587号公報に記載されている、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させ、かつ、反応中、反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを反応溶液上部の液層に還流させることによりオリゴマー成分を減少させる方法が挙げられる。
[[架橋PPS]]
そして、架橋型(半架橋型も含む)ポリフェニレンスルフィド樹脂は、上記したリニアPPSを重合した後に、さらに酸素の存在下でポリフェニレンスルフィド樹脂の融点以下の温度で加熱処理し、酸化架橋を促進してポリマー分子量、粘度を適度に高めたものである。
この架橋PPSの中で最も好ましいのは、本発明で得られる樹脂組成物を成形する際のガス・ヤニ発生の観点および離型性の観点より、320℃溶融状態で捕集される揮発分が1000質量ppm以下の架橋PPSである。ここで言う320℃溶融状態で捕集される揮発分の定量は以下の方法により行うことができる。
すなわち、架橋PPS粉末0.5gを気流入り口と出口を有する密栓付き試験管に秤量し、320℃に加熱したハンダ浴に30分間浸漬しながら、試験管の気流入り口より窒素ガスを100cc/minの流速で注入し、試験管内に発生した架橋型PPSに由来する揮発分を含むガスを試験管の気流出口よりパージし、パージされたガスはアセトンを入れた気流入り口と出口を有する密栓付き試験管の気流入り口より試験管内のアセトン中でバブリングさせ、揮発成分をアセトン中に溶解させる。アセトン中に溶解した架橋PPSの揮発分は、ガスクロマトグラフ質量分析器(GC−MS)を用いて、50℃〜290℃の昇温分析して検出される全成分をモノクロロベンゼンと同一感度と仮定して定量し、架橋PPS中の揮発分を求めることができる。
この320℃溶融状態で捕集される揮発分が1000質量ppm以下の架橋PPSを得るには、通常、リニアPPSを重合する段階のポリマー濃度、溶媒組成を工夫したり、重合した段階でポリマーを回収する洗浄方法を工夫したり、その後の架橋段階での高温処理の温度、時間などを変化させる。このようにして所望の揮発分を有する架橋PPSを得ることができる。
[[酸変性されたPPS]]
更にこれらのPPS(リニアPPS、架橋PPS)は酸変性されたPPSでも構わない。ここで酸変性したPPSとは、上記PPSを酸化合物で変性する事によって得られるものであり、該酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物や、飽和型の脂肪族カルボン酸や芳香族置換カルボン酸等が挙げられる。さらに、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、ケイ酸、炭酸等の無機化合物系の酸化合物も該酸化合物として挙げることができる。
[[PPSの溶融粘度]]
上記したリニアPPS、架橋PPSのそれぞれの300℃における溶融粘度は、1〜10000Pa・s、好ましくは50〜8000Pa・s、より好ましくは100〜5000Pa・sのものが使用できる。
明細書中、溶融粘度とは、JIS K−7210を参考試験法とし、フローテスター((株)島津製作所製CFT−500型)を用いて、PPSを300℃、6分間予熱した後、荷重196N、ダイ長さ(L)/ダイ径(D)=10mm/1mmで測定した値を指す。
[(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂]
本実施形態に用いられる(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂は、下記の化学式(2)で示される繰返し単位(構造ユニット)を有し、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.16〜0.36dL/gであるホモ重合体および/または共重合体のポリフェニレンエーテル樹脂、またはこのポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂が任意の割合で混合された物である。(以下、PPEと略記する。)
Figure 2019014776
(ここで、R1,R2,R3およびR4はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、nは1以上の整数である。)
PPEの極限粘度を0.16dL/g以上とすることで、機械物性と流動性、離型性のバランスがよく、0.36dL/g以下とすることで、特に高シェア領域の流動性(例えば0.5mmのSFD特性)と難燃性を高めることができる。明細書中、「極限粘度」とは、0.5g/dLクロロホルム溶液を使用し、30℃で、ウベローデ型粘度管により測定した粘度の値を指す。機械物性、流動性、低ソリ性、低バリ性、離型性、および難燃性のバランスの観点から、好ましくは、0.20〜0.34dL/gとする。より好ましくは、0.25〜0.34dL/gとする。
このPPEの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。ポリフェニレンエーテル共重合体とは、上記化学式(2)で表される繰り返し単位を主たる繰返し単位とする共重合体である。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
上記PPEの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易にPPEを製造でき、そのほかにも米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、および特開昭63−152628号公報等に記載された方法で、極限粘度を調整することにより容易にPPEを製造できる。
上記したPPE成分のみからなる100質量%とすることが好ましいが、PPE/スチレン系樹脂=50〜100質量%/0〜50質量%の割合で構成されたものも用いることができる。好ましくは、65〜100質量%/0〜35質量%とする。より好ましくは、80〜100質量%/0〜20質量%とする。
[[スチレン系樹脂]]
上記スチレン系樹脂とは、スチレン系化合物の単独重合体、2種以上のスチレン系化合物の共重合体およびスチレン系化合物の重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなるゴム変性スチレン樹脂(ハイインパクトポリスチレン)等があげられる。これら重合体をもたらすスチレン系化合物としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等が挙げられる。
これらスチレン系化合物は2種以上を併用して得られる共重合体でもよいが、中でもスチレンを単独で用いて重合して得られるポリスチレンが好ましい。例えば、アタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン等の立体規則構造を有するポリスチレンが有効に利用できる。
[[(a)成分と(b)成分の配合比率]]
本実施形態の樹脂組成物は、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と(b)ポリフェニレンエーテル樹脂の配合比率が、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂:50〜95質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂:50〜5質量部で構成されることが好ましい。(b)成分のポリフェニレンエーテル樹脂を5質量部以上とすることで、樹脂組成物の成形時のバリを抑制するとともに、離型性が向上し、50質量部以下とすることで、流動性、難燃性、水蒸気バリア性のバランスに優れた樹脂組成物を与える。より好ましくは、上記配合比率が(a)/(b):65〜85/15〜35である。さらに好ましくは、上記配合比率が(a)/(b):70〜80/20〜30である。
[(c)平均繊維長0.01〜0.10mmの繊維状無機充填剤]
本実施形態に用いられる繊維状無機充填剤は、(c)平均繊維長0.01〜0.10mmの範囲であり、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、セルロース繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、石膏繊維、金属繊維、チタン酸カルシウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラストナイトからなる群から選ばれる、少なくとも一種を用いることができる。これらの繊維状無機充填剤は、さらにシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪族金属塩等の表面処理剤で処理したものや、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂をバインダーとして処理したもので構わない。中でも、耐熱性と樹脂との密着性の観点から、ガラス繊維が好ましい。
本実施形態では、(c)繊維状無機充填剤の平均繊維長が0.01〜0.10mmの範囲であることが重要である。平均繊維長が0.01mm以上であることで、機械的強度、低ソリ性が向上し、0.10mm以下であることで、特に低シェア領域の流動性(例300℃、10.0kgでのMVR)、低ソリ性、低バリ性、水蒸気バリア性、外観のバランスに優れる。離型性、水蒸気バリア性および、外観が向上する理由としては、繊維長の短い繊維状無機充填剤を用いることにより、成形時の流動性が向上するとともに、成形品表面への充填剤の突出が抑制されることが挙げられる。機械的強度、低ソリ性、流動性、低バリ性、水蒸気バリア性、外観、離型性のバランスの観点から、平均繊維長は、好ましくは0.02〜0.10mmである。より好ましくは、0.03〜0.06mmである。
本実施形態の樹脂組成物は、後述する溶融混練の工程を経て得られるが、溶融混練工程後の(c)繊維状無機充填剤の平均繊維長が、上記範囲内であることとする。溶融混練後の平均繊維長の測定方法としては、樹脂組成物ペレット2〜3gを、650℃の電気炉で2時間熱して残った灰分を水中に界面活性剤で分散させ、粒子形状画像解析装置(PITA−3)を用いて測定する方法が挙げられる。より具体的には、実施例に記載の方法に準拠して求めることができる。
[[(a)成分+(b)成分に対する(c)成分の配合比率]]
本実施形態では、(a)成分と(b)成分の合計を100質量部としたときに、(c)成分の含有量が25〜150質量部であることが好ましい。(c)成分の含有量が25質量部以上であることで、低ソリ性、低バリ性、水蒸気バリア性が向上し、150質量部以下であることで、外観と離型性が良好な樹脂組成物が得られる。低水蒸気透過性が要求される小型かつ薄肉の精密成型の観点から、(c)成分の含有量は、より好ましくは30〜100質量部である。さらに好ましくは、30〜70質量部である。
[(d)平均粒子径が5〜25μmであるタルク]
本実施形態で用いられる(d)平均粒子径が5〜25μmであるタルクは、一般的に、含水ケイ酸マグネシウム(SiO:58〜64%、MgO:28〜32%、Al:0.5〜5%、Fe:0.3〜5%)を主成分とする板状結晶である。
本実施形態では、平均粒子径が5〜25μmであることが重要である。平均粒径がこの範囲であることにより、流動性、低バリ性、低ソリ性のバランスが向上する。小型かつ薄肉の精密成型の観点から、好ましくは10〜22μmである。より好ましくは、15〜22μmであることとする。
なお、タルクの平均粒子径は、レーザー回折法によって測定でき、例えば(株)島津製作所製の島津粒度分布測定器SALD−2000A型を用いたレーザー回折法により測定できる。
また、(d)成分であるタルクは、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪族金属塩等を用いて表面処理を施してもよく、インターカレーション法によりアンモニウム塩等を用いて有機化処理を施してもよく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂を用いてバインダー処理を施してもよい。
[[(a)成分+(b)成分に対する(d)成分の配合比率]]
本実施形態では、(a)成分と(b)成分の合計を100質量部としたときに、(d)成分の含有量が25〜150質量部であることが好ましい。(d)成分の含有量が25質量部以上であることで、低ソリ性、離型性が向上し、150質量部以下であることで、流動性、低バリ性、低ソリ性のバランスが向上する。低水蒸気透過性が要求される小型かつ薄肉の精密成型の観点から、30〜100質量部であることがより好ましい。さらに好ましくは、30〜70質量部とする。
[[(c)成分と(d)成分の配合比率]]
更に、本実施形態では、(c)成分と(d)成分の含有質量比が、(c)/(d)=1/5〜5/1であることが好ましく、1/3〜3/1であることがより好ましい。(c)成分と(d)成分の含有量比が前述の範囲内にあることで、流動性、低ソリ性、低バリ性、水蒸気バリア性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
[(e)リン系化合物]
本実施形態に用いられる、(e)リン系化合物は、流動改質剤および難燃剤として用いられるものであり、代表的な化合物の例としては、有機リン酸エステル化合物が挙げられる。
有機リン酸エステル化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5’−トリ−メチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ−(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル−(3−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2−ナフチルジフェニルフォスフェート、1−ナフチルジフェニルフォスフェート、ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェートが挙げられる。
[[(a)成分+(b)成分に対する(e)成分の配合比率]]
(e)リン系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本実施形態の樹脂組成物において、(e)リン系化合物の含有量は、(a)成分と(b)成分の合計を100質量部としたときに、30質量部以下が好ましい。(e)成分の含有を30質量部以下とすることで、機械的強度と流動性、離型性、低バリ性のバランスに優れた組成物を得ることができる。25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
更に、本実施形態では、(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂と(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂を混合する際に(f)相容化剤を添加することが好ましい。
(f)成分として用いる相容化剤は、(1)エポキシ樹脂、(2)シランカップリング剤、(3)エポキシ基を含有する化合物および/またはオキサゾリル基を含有する共重合体が挙げられ、中でも、エポキシ基および/またはオキサゾリル基含有不飽和モノマーとスチレンを主たる成分とするモノマーとの共重合体がより好ましく利用できる。
[[スチレンを主たる成分とするモノマー]]
スチレンを主たる成分とするモノマーとは、スチレン成分が100質量%である場合は何ら問題ないが、スチレンと共重合可能な他のモノマーが存在する場合は、その共重合体鎖が(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂との混和性を保持する上で、少なくともスチレンモノマーを65質量%以上、より好ましくは75〜95質量%含むこととする。これらの例として具体的には、エポキシ基および/またはオキサゾリル基含有不飽和モノマーとスチレンモノマーの共重合体、エポキシ基および/またはオキサゾリル基含有不飽和モノマーとスチレン/アクリロニトリル=90〜75質量%/10〜25質量%の共重合体等が挙げられる。
[[エポキシ基含有不飽和モノマー]]
エポキシ基含有不飽和モノマーとしては、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、グリシジルイタコネート等が挙げられ、中でもグリシジルメタアクリレートが好ましい。
[[オキサゾリル基含有不飽和モノマー]]
オキサゾリル基含有不飽和モノマーとしては、例えば、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手でき、好ましく使用できる。
[[その他の不飽和モノマー]]
これら、エポキシ基および/またはオキサゾリル基含有不飽和モノマーと共重合する他の不飽和モノマーとしては、スチレン等のビニル芳香族化合物の他に、共重合成分としてアクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
本実施形態では、エポキシ基および/またはオキサゾリル基含有不飽和モノマーを除外した成分中にスチレンモノマーを少なくとも65質量%以上含むことが好ましい。また、エポキシ基および/またはオキサゾリル基を有する不飽和モノマーは(f)成分の共重合体中に0.3〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%含有される。
かかる(f)成分の共重合体のエポキシ基および/またはオキサゾリル基含有不飽和モノマー量は、0.3質量%以上であることが好ましく、20質量%以下であれば、(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂と(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂との混和性が良好となり、これにより、得られた樹脂組成物を用いて成型した成型品のバリ発生を大きく抑制することができ、さらに、靱性(衝撃強度)と剛性のバランスに優れるという効果をもたらす。
共重合可能な不飽和モノマーを共重合して得られる(f)成分の共重合体の例として、例えば、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルオキサゾリン共重合体、スチレン−ビニルオキサゾリン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
[[(a)成分+(b)成分に対する(f)成分の配合比率]]]
この(f)成分の混和剤の配合量は、上記した(a)成分および(b)成分の合計100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、更に好ましくは3〜10質量部とする。かかる(f)成分の配合量が1質量部以上であれば、(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂と(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂との混和性が良くなり、20質量部以下であれば、得られた樹脂組成物を用いて成型した成型品のバリ発生を大きく抑制することができ、さらに、靱性(衝撃強度)と剛性のバランスに優れた効果をもたらす。
[(a)成分および(b)成分の含有量]
樹脂組成物全体を100質量%としたときの(a)成分は20〜75質量%、(b)成分は2〜40質量%あることが好ましく、(a)成分は38〜65質量%、(b)成分は9〜27質量%であることがより好ましい。
[その他の添加剤]
また、上記成分の他に必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、結晶核剤、導電性付与剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料や染料等の着色剤、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸塩ワックス、ステアリン酸塩ワックス等の公知の離形剤も適宜添加することができる。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の樹脂組成物の製造方法では、種々の溶融混練機や混練押出機等を用いることができる。溶融混練機や混練押出機としては、公知の混練機を用いることができ、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の多軸押出機等の押出機;ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等の加熱溶融混練機;等が挙げられる。中でも、二軸押出機が好ましい。
上記した各成分を用いて、少なくとも2個のベント口および少なくとも1個のサイド供給口を有する280℃以上に設定した二軸押出機を用いて溶融混練する方法が好ましい。
より好ましい二軸押出機による本実施形態の樹脂組成物の具体的な製法態様の一つは、(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂と(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂および(f)成分の混和剤を、二軸押出機の第一供給口に同時に供給して溶融混練し、これら(a)、(b)および(f)成分で構成される基礎的樹脂組成物が溶融混練した状態で二軸押出機の第一ベント口を絶対真空圧95kPa以下で吸引脱気し、続いて、例えば液状の(e)成分を液体添加ポンプにより供給し、その下流に設けた二軸押出機のサイド1供給口より(d)成分のタルクを、さらに下流のサイド2供給口より(c)成分の繊維状無機充填剤を供給し、(a)〜(f)成分を溶融混練し、最後に二軸押出機の第二ベント口を絶対真空圧95kPa以下で吸引脱気する方法である。
このようにして得られる樹脂組成物を用いて精密成型品を製造することができる。成形方法としては、例えば、射出成形、金属インモールド成形、アウトサート成形、中空成形、押出成形、シート成形、フィルム成形、熱プレス成形、回転成形、積層成形等が適用できる。
そしてこれらの成形方法により、光学機器機構部品、光源ランプ周り部品、光ファイバー用コネクタフェルール、プリンター部品、コピー機部品、自動車ラジエタータンク部品等の自動車エンジンルーム内部品や自動車ランプ部品、水周りパイプおよびケーシング等の成形品として広く使用できる。
以下、上記実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。実施例および比較例に用いた物性の測定方法および原材料を以下に示す。
[物性の測定方法]
(1)成形品中の繊維状無機充填剤の平均繊維長(mm)
樹脂組成物ペレット2〜3gを、650℃の電気炉で2時間熱して残った灰分を、水中に界面活性剤で分散させた。この溶液を、粒子形状画像解析装置(PITA−3)に通し、無機物の長径をスキャンして、粒径分布を測定した。この測定結果のアスペクト比1.5以上の範囲の平均粒子径(mm)を求めた。同じ樹脂ペレットの灰分から、同様の測定を3回行い、3回の平均粒子径(mm)の平均値を「成形品中の繊維状無機充填剤の平均繊維長(mm)」とした。
(2)高シェア流動性(0.5mm−SFD)
射出成形機(IS−80EPN、東芝機械社製)を用いて、0.5mm厚みSFD(スパイラルフロー)成形品を以下のとおり作製した。
下記の実施例及び比較例でで得られた樹脂組成物のペレットを、120℃で3時間乾燥させた。乾燥後の樹脂組成物を、上記射出成形機を用い、シリンダー温度310℃、金型温度120℃、ゲージ圧120MPa、射出速度95%、成形サイクル:射出時間/冷却時間=10sec/10secの条件で成形し、上記成形品を得た。得られた成形片のスパイラル長(cm)を測定し、スパイラル長が長いほど、高シェアでの流動性が良く、ソリ・バリの低減に有利と判断した。
(3)低シェア流動性(MVR)
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物ペレットを120℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。乾燥後、セミオートメルトインデクサ(2A、東洋精機社製)を用いて、ISO1133に準じてシリンダー設定温度300℃、10kg荷重にて、MVR(メルトボリュームレート)(cm/10min)を測定した。
評価基準としては、MVRが高い値である程、低シェアの流動性に優れ、ソリ・バリの低減に有利であると判定した。
(4)低ソリ性評価(平面度)
得られた樹脂組成物のペレットを、スクリューインライン型射出成形機(東芝機械(株)社製、製品名「EC75SXII射出成形機」)に供給し、シリンダー温度300℃、金型温度120℃の条件で50cm、1mm厚みの平板を成形した。この平板を平らな台の上に置き、原子間力顕微鏡(VR−3000、キーエンス製)にて3次元解析し、厚み方向の高さの最も高い点、最も低い点の差(mm)を求めた。評価基準として、0.10mm未満であれば、低ソリ性に優れると判断した。
(5)バリ発生量
上記樹脂組成物のペレットを、320℃に設定した射出成形機(TOYOplaster TI50G2)に供給し、ゲート3から樹脂組成物を流し、2つの構造部4とこれらを連結する幅wが7mm、長さlが18mm、厚みtが0.25mmのヒンジ部2とを含む試験片1(図1に示される試験片)を成形した。ここで、各樹脂組成物について、射出速度80%におけるSSP(ショートショットプレッシャー)を求め、SSP+10%の射出圧力で成形を行った。
その際、ヒンジ部2と金型の隙間に生じるバリのうち、最大点のヒンジ部端からの長さを測定し、バリ発生量(mm)と定義した。評価基準として、0.25mm以下であれば、低バリ性に優れると判断した。
(6)離型性
(4)に示した50cm、1mm厚みの平板を成形する際に、10ショット中、スプルーに樹脂が残り離型しない現象が、1回以上あれば×、全く起こらなければ○とした。
(7)水蒸気透過度
(4)で成形した平板を用いて、水蒸気透過性試験機 PERMATRAN W3/31(モコン社製)にて、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下、JIS K7129 B法に準拠し、水蒸気透過度(g/(m・day))を測定した。評価基準として、0.30g/(m・day)以下であれば、水蒸気バリア性がよいと判断した。
なお、使用した原料は下記の通りである。
(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂
(a−1):溶融粘度(フローテスターを用いて、300℃、荷重196N、L/D=10/1で6分間保持した後測定した値。)が30Pa・s、塩化メチレンによる抽出量が0.7質量%、−SX基量が32μmol/gのp−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するリニア型のPPS。
(a−2):溶融粘度(フローテスターを用いて、300℃、荷重196N、L/D=10/1で6分間保持した後測定した値。)が60Pa・s、320℃の溶融状態で捕集される揮発分160質量ppmの架橋型のPPS。
(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂
(b−1)2,6−キシレノールを酸化重合し、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.21dL/gのポリフェニレンエーテル。
(b−2)2,6−キシレノールを酸化重合し、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.33dL/gのポリフェニレンエーテル。
(b−x1)2,6−キシレノールを酸化重合し、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.10dL/gのポリフェニレンエーテル。
(b−x2)2,6−キシレノールを酸化重合し、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.46dL/gのポリフェニレンエーテル。
(c)繊維状無機充填剤
(c−1)平均繊維径6μm、平均繊維長0.05mmのガラス繊維(セントラルグラスファイバー社製)
(c−2)平均繊維径13μm、平均繊維長0.08mmのガラス繊維(日本電気硝子社製)
(c−3)平均繊維径6μm、平均繊維長0.05mmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製)
(c−x1)平均繊維径13μm、平均繊維長3mmのガラス繊維(日本電気硝子社製)
(d)タルク
(d−1)平均粒子径8μmのタルク(富士タルク社製)
(d−2)平均粒子径19μmのタルク(富士タルク社製)
(d−x1)平均粒子径2.3μmのタルク(竹原化学工業社製)
(d−x2)平均粒子径30μmのタルク(富士タルク社製)
(e)リン系化合物
(e−1)トリフェニルホスフェート(大八化学社製)
(e−2)ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)(ADEKA社製)
(f)相容化剤
(f−1):グリシジルメタクリレートを5質量%含有するスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(重量平均分子量110,000)
実施例および比較例において、下記の通り各原料を溶融混練して、樹脂組成物を調製した。
具体的には、(a)成分のポリフェニレンスルフィド樹脂と(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂および(f)成分の混和剤を、二軸押出機の第一供給口に同時に供給して溶融混練し、これら(a)、(b)および(f)成分で構成される基礎的樹脂組成物が溶融混練した状態で二軸押出機の第一ベント口を絶対真空圧95kPa以下で吸引脱気し、続いて、その下流に設けた二軸押出機のサイド1供給口より(d)成分のタルクを、さらに下流のサイド2供給口より(c)成分の繊維状無機充填剤を供給し、これらの成分を溶融混練し、最後に二軸押出機の第二ベント口を絶対真空圧95kPa以下で吸引脱気した。二軸押出機としては、ZSK−70(ウェルナー&フライデラー社製(ドイツ))を用いた。なお、(e)成分を用いる場合には、液状の(e)成分を、第一供給口とサイド1供給口との間に設けた液体添加ポンプにより供給した。
これらの結果を表1に示した。
これらの結果より、樹脂組成物が(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、(b)クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.16〜0.36dL/gであるポリフェニレンエーテル系樹脂と、(c)平均繊維長0.01〜0.10mmの繊維状無機充填剤と、(d)平均粒子径が5〜25μmであるタルクとを含有することで、流動性、低ソリ性、低バリ性、離型性、水蒸気バリア性のバランスに優れた材料を得られることが明らかになった。
Figure 2019014776
本発明によれば、水蒸気バリア性を含む諸特性に優れた樹脂組成物を実現することができ、精密な寸法精度の要求されるコンパクト・ディスク・リードオンリーメモリ(CDROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク・リードオンリーメモリ(DVDROM)、コンパクト・ディスク・レコーダブル(CDR)、デジタル・バーサタイル・ディスク・レコーダブル・−R規格(DVD−R)、デジタル・バーサタイル・ディスク・レコーダブル・+R規格(DVD+R)、コンパクト・ディスク・リライタブル(CDRW)、デジタル・バーサタイル・ディスク・リライタブル・−R規格(DVD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク・リライタブル・+R規格(DVD+RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク・ランダムアクセスメモリ(DVDRAM)等のシャーシーやキャビネット、光ピックアップスライドベース等の光学機器機構部品、光源ランプ周り部品、光ファイバ用コネクタフェルール、レーザービームプリンター内部部品、インクジェットプリンター内部部品、コピー機内部部品、自動車ラジエタータンク部品等の自動車エンジンルーム内部品や自動車ランプ部品、水周りパイプやケーシング等の成形品の少なくとも1つの部品として利用できる。
1 試験片
2 ヒンジ部
3 ゲート
4 構造部
l ヒンジ部の長さ
w ヒンジ部の幅
t ヒンジ部の厚み

Claims (6)

  1. (a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、
    (b)クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.16〜0.36dL/gであるポリフェニレンエーテル系樹脂と、
    (c)平均繊維長0.01〜0.10mmの繊維状無機充填剤と、
    (d)平均粒子径が5〜25μmであるタルクとを含有することを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記(a)成分と前記(b)成分の合計を100質量部としたときに、前記(c)成分の含有量が25〜150質量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(a)成分と前記(b)成分の合計を100質量部としたときに、前記(d)成分の含有量が25〜150質量部である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(c)成分と前記(d)成分の含有質量比(c)/(d)が1/5〜5/1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(c)成分が平均繊維長0.01〜0.10mmのガラス繊維である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. (e)リン系化合物および(f)相容化剤のうち少なくとも1つを更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
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