JP6392264B2 - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物及びその製造方法に関する。
従来、フェニレンエーテル系樹脂は、電気絶縁性に優れていることに加え、耐熱性、耐加水分解性及び難燃性が良好であることから、家電、OA機器、自動車部品等に使用されている。
近年、樹脂部品の大型化、精密化のため成形加工性(特に流動性)の向上、及び樹脂部品に含まれる揮発成分の低減が強く要求されている。このような要求に応じて、ポリスチレン、スチレン系エラストマー、難燃剤等を添加し、フェニレンエーテル系樹脂の高い耐熱性に加え、成形加工性、耐衝撃性、難燃性等を付与させる試みがなされている。
例えば、成形加工性を向上させるため、分子量の低いポリスチレンやミネラルオイルを添加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、成形加工性、難燃性を向上させるため、リン酸エステル系難燃剤を添加することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、耐熱性、加工性、耐衝撃性及び難燃性について検討がなされた例がある(例えば、特許文献3参照)。さらに、成形収縮率と反りを改善した発明が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2000−154289号公報 特開平9−31321号公報 特開2002−37973号公報 特開2014−55242号公報
特許文献1に記載の、分子量の低いスチレン樹脂やミネラルオイルを添加した難燃性樹脂組成物は、成形加工性等に優れた難燃性樹脂組成物である。また、特許文献2に記載の、リン酸エステル系難燃剤を添加した熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性、難燃性等に優れた発明である。しかしながら、成形加工性等の物性に加え、樹脂組成物中に含まれる揮発成分を低減させることの検討はされていない。
また、特許文献3に記載の技術のように、耐衝撃性ポリスチレンにリン含有化合物を添加することで、難燃性を向上させることができるが、耐衝撃強度が低下するという問題を有している。
また、特許文献4に記載の技術のように、ゴム変性スチレン系樹脂、フェニレンエーテル系樹脂、縮合リン酸エステル、タルクを配合する樹脂組成物は、難燃性、強度、耐熱性に加え、成形収縮率と反りを抑えることができるが、成形時における流動性が低下するという問題を有している。
このように、フェニレンエーテル系樹脂を含む樹脂組成物には、近年の高くなる市場の要求レベルを満足するべく、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、及び難燃性を高いレベルで満たし、且つ樹脂組成物に含まれる揮発成分を少なくすることも強く要求されているのが現状である。
従って、本発明は、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性において優れた物性バランスを発揮し、且つ揮発成分の含有量が少ない樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、フェニレンエーテル系樹脂、特定範囲のMFRを有するスチレン樹脂、及びリン酸エステル系化合物を特定の割合で含み、分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を配合した、難燃性を有する樹脂組成物が、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性において優れた物性バランスを発揮でき、揮発成分が少ないことを見出した。さらに、特定の製造方法を用いることで、当該樹脂組成物の生産性をも向上できることを見出した。そして、これらの2つの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおり、樹脂組成物の製造方法に関する。
[1](a)フェニレンエーテル系樹脂10〜29質量%、
(b)MFR(ISO 1133に準拠して測定)が5〜20g/10分であるスチレン樹脂48〜84質量%、
(c)リン酸エステル系化合物6〜24質量%、
を含有し、
前記(a)成分、前記(b)成分、及び前記(c)成分の合計量100質量部に対して、(d)分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を0.01〜0.30質量部含有し、
前記(a)成分と前記(c)成分との質量比((a)/(c))が1.2〜2.2であり、
前記(d)成分が、飽和トリカルボン酸、α、β−不飽和ジカルボン酸、及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種である樹脂組成物の製造方法であって、
(a)フェニレンエーテル系樹脂と、(b)MFR(ISO 1133に準拠して測定)が5〜20g/10分であるスチレン樹脂の一部と、(d)分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物とを溶融混練させて混練物を得る第一混練工程と、
当該第一混練工程によって得られた混練物に対し、(c)リン酸エステル系化合物、前記(b)成分の残量の順に供給し、溶融混練させて樹脂組成物を得る第二混練工程と、を含むことを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
[2]さらに、前記(a)成分、前記(b)成分、及び前記(c)成分の合計量100質量部に対して、(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーを0.5〜3.0質量部含有する、[1]に記載の樹脂組成物の製造方法
[3]前記(b)成分のMFR(ISO 1133に準拠して測定)が、7〜15g/10分である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物の製造方法
[4]前記(a)成分と前記(c)成分との質量比((a)/(c))が1.4〜2.2である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法
[5]前記樹脂組成物が、厚み0.8mmの試験片とした時のUL94 VB試験による難燃性が、クラスV−2である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法
[6]前記第一混練工程から第二混練工程において、前記混練物が溶融状態である、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
[7]前記第一混練工程で得られる前記混練物における、前記(a)成分と前記(b)成分との質量比((a)/(b))が0.4〜1.5である、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
[8]前記第一混練工程の溶融混練時の温度が、第二混練工程の溶融混練時の温度より20〜60℃高い、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性において優れた物性バランスを発揮し、且つ揮発成分の含有量が少ない樹脂組成物を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、(a)フェニレンエーテル系樹脂と、(b)MFR(ISO 1133に準拠して測定)が5〜20g/10分であるスチレン樹脂と、(c)リン酸エステル系化合物と、(d)分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物とを含む。
さらに、本実施形態の樹脂組成物においては、(a)成分、(b)成分、(c)成分の合計量を100質量%としたときに、(a)成分を10〜29質量%、(b)成分を48〜84質量%、(c)成分を6〜24質量%含む。また、(d)成分の含有量が、前記(a)成分、前記(b)成分、及び前記(c)成分の合計量を100質量部としたときに、0.01〜0.30質量部であり、前記(a)成分と(c)成分の質量比((a)/(c))が1.2〜2.2である。このように構成されているため、本実施形態の樹脂組成物は、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、及び難燃性に優れた物性バランスを発揮することができ、且つ揮発成分の含有量が少ない。
なお、本明細書において、(a)フェニレンエーテル系樹脂を「(a)成分」、(b)MFR(ISO 1133に準拠して測定)が5〜20g/10分であるスチレン樹脂を「(b)成分」、(c)リン酸エステル系化合物を「(c)成分」、(d)分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を「(d)成分」と称する場合がある。
以下、本実施形態の樹脂組成物の構成成分について説明する。
((a)フェニレンエーテル系樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、(a)成分として、フェニレンエーテル系樹脂(以下、単に「PPE」と記載する場合がある。)を含有する。フェニレンエーテル系樹脂を含有するため、本実施形態の樹脂組成物は、優れた難燃性及び耐熱性を有する。
上記PPEとしては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなる単独重合体、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む共重合体等が挙げられる。
Figure 0006392264
[式中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7の第一級アルキル基、炭素数1〜7の第二級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される一価の基である。]
上記フェニレンエーテル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等の単独重合体;2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−ブチルフェノール等)との共重合体等の共重合体;等が挙げられる。特に、樹脂組成物としたときの靭性と剛性のバランスや、入手のし易さの観点から、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
上記フェニレンエーテル系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記PPEは、上記単独重合体、上記共重合体のほかに、該単独重合体又は該共重合体と、スチレン系モノマー若しくはその誘導体及び/又はα,β−不飽和カルボン酸若しくはその誘導体と、を反応させることによって得られる公知の変性PPEであってもよい。ここで、上記スチレン系モノマー若しくはその誘導体及び/又はα,β−不飽和カルボン酸若しくはその誘導体のグラフト量又は付加量としては、フェニレンエーテル系樹脂100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。反応の条件としては、以下に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80〜350℃の温度下で行う条件等が挙げられる。
また、上記PPEは、上記単独重合体及び/又は上記共重合体と上記変性PPEとを、任意の割合で混合した混合物であってもよい。
上記フェニレンエーテル系樹脂の還元粘度は、成形加工時の流動性、靭性及び耐薬品性の観点から、0.15〜2.00dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.20〜1.00dl/gであり、さらに好ましくは0.30〜0.70dl/gである。
なお、還元粘度は、0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液を用いて、30℃の条件下で、ウベローデ粘度計により測定した値をいう。
上記PPEは、公知の方法により製造することができる。PPEの製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、米国特許第3306874号記載のHayによる、第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法、米国特許第3306875号、同第3257357号、同第3257358号、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、又は同63−152628号公報等に記載されている方法等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物における(a)成分の含有量は、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性の観点から、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計量100質量%に対して、10〜29質量%であり、好ましくは10〜25質量%であり、より好ましくは15〜25質量%である。(a)成分の含有量を10〜29質量%とすることにより、本実施形態の樹脂組成物の成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性のバランスを十分に良好なものとすることができる。
((b)MFR(ISO 1133に準拠して測定)が、5〜20g/10分であるスチレン樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、(b)成分として、MFRが、5〜20g/10分であるスチレン樹脂を含有する。MFRが、5〜20g/10分であるスチレン樹脂を含有することにより、本実施形態の樹脂組成物は、優れた加工性と難燃性とを有する。
本実施形態に用いられるスチレン樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン系化合物の単独重合体(ホモスチレン樹脂);2種以上のスチレン系化合物の共重合体、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物との共重合体等の共重合体;これらの重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体を粒子状に分散させたゴム変性スチレン樹脂(ハイインパクトポリスチレン、HIPS);等が挙げられる。中でも、耐衝撃性の観点からホモスチレン樹脂、ゴム変性スチレン樹脂が好ましい。上記スチレン樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記スチレン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。中でも、スチレンが好ましい。
上記スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。上記共重合可能な化合物の使用量は、物性バランスの観点から、上記スチレン系化合物100質量%に対して、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
上記ゴム変性スチレン樹脂は、例えば、ゴム状重合体の存在下に、スチレン系化合物等を含む単量体混合物を加えて、公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合又は乳化重合することにより得ることができる。
上記ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)等のジエン型ゴム;上記ジエン型ゴムに水素添加した飽和ゴム;イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリルゴム;エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM);等を挙げることができ、中でもジエン型ゴムが好ましい。
上記ゴム状重合体の存在下に重合させるグラフト共重合可能な単量体混合物中のスチレン系化合物としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、スチレンが特に好ましい。
上記ゴム変性スチレン樹脂(100質量%)中のゴム状重合体成分の含有量は、1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%であり、さらに好ましくは7〜15質量%である。また、上記ゴム変性スチレン樹脂(100質量%)中のスチレン系化合物に由来する繰り返し単位の含有量は、85〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは85〜95質量%であり、さらに好ましくは85〜93質量%である。
上記の範囲内では、得られる樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性及び剛性のバランスがより向上する傾向にあるため好ましい。
上記スチレン樹脂の、流動性の尺度であるMFR(ISO 1133に準拠して測定)は、5〜20g/10分であり、好ましくは5〜18g/10分であり、より好ましくは7〜15g/10分である。MFRが5g/10分以上になると、樹脂組成物の加工性及び難燃性が顕著に向上する。また、MFRを20g/10分以下にすることで、耐熱性及び耐衝撃性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
上記スチレン樹脂のMFRは、例えば、重合時での開始剤、重合温度、連鎖移動剤の調整、ペレタイズ時ではオイルの添加等により調整することができる。なお、(b)成分が、2種以上のスチレン樹脂の混合物である場合、スチレン樹脂のMFRとは、スチレン樹脂の混合物のMFRをいう。
本実施形態の樹脂組成物における(b)成分の含有量は、成形加工性、耐衝撃性及び難燃性の観点から、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計量100質量%に対して、48〜84質量%であり、好ましくは54〜84質量%であり、より好ましくは54〜79質量%である。(b)成分の含有量を48〜84質量%とすることにより、本実施形態の樹脂組成物の成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性のバランスを十分に良好なものとすることができる。
((c)リン酸エステル系化合物)
本実施形態の樹脂組成物は、(c)成分として、リン酸エステル系化合物を含有する。本実施形態の樹脂組成物では、(a)成分の上記フェニレンエーテル系樹脂による難燃性向上効果と、(c)成分のリン酸エステル系化合物による難燃性付与効果とが相まって、難燃性が顕著に向上する。
上記リン酸エステル系化合物は、特に限定されないが、難燃剤としての効果を有するものが好ましい。また、上記リン酸エステル系化合物は、縮合リン酸エステル系化合物が好ましく、縮合リン酸エステル系難燃剤がより好ましい。上記縮合リン酸エステル系化合物としては、以下に限定されないが、例えば、下記一般式(2)により表される化合物リン酸エステル、その縮合物等が挙げられる。
Figure 0006392264
[式中、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール置換アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アリール基、及びアルキル置換アリール基からなる群から選択される一価の基である。Xはアリーレン基を表す。nは0〜5の整数である。]
なお、リン酸エステル系化合物が、上記nが異なるリン酸エステル及び/又はその縮合物の混合物である場合、nはそれらの平均値を表す。n=0である場合は、一般式(2)の化合物は、リン酸エステル単量体を示す。
代表的なリン酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等が挙げられる。
上記リン酸エステルの縮合物としては、通常nは平均値で1〜5の値を取り得るが、好ましくは平均値で1〜3である。
上記R11、上記R12、上記R13及び上記R14は、他の樹脂に混練した際に発現される難燃性及び耐熱性の観点から、少なくとも一つがアリール基であることが好ましく、全てがアリール基であることがより好ましい。また、同様の観点から、好ましいアリール基としては、フェニル基、キシレニル基、クレジル基又はこれらの基のハロゲン化誘導体が挙げられる。
上記Xのアリーレン基としては、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビフェノール、又はこれらのハロゲン化誘導体から2個の水酸基が脱離した残基が好ましい。
上記リン酸エステル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、レゾルシノール−ビスフェニルホスフェート化合物、ビスフェノールA−ポリフェニルホスフェート化合物、ビスフェノールA−ポリクレジルホスフェート化合物等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物における(c)成分の含有量は、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性の観点から、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計量100質量%に対して、6〜24質量%であり、好ましくは7〜21質量%であり、より好ましくは9〜21質量%である。(c)成分の含有量を6〜24質量%とすることにより、本実施形態の樹脂組成物の成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性のバランスを十分に良好なものとすることができる。
本実施形態に樹脂組成物おいては、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性の観点から、(a)成分と(c)成分の質量比((a)成分の含有量/(c)成分の含有量)は、1.2〜2.2であり、好ましくは1.4〜2.2、より好ましくは1.5〜2.2である。(a)成分と(c)成分の質量比を1.2〜2.2とすることにより、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性のバランスを十分に良好なものとすることができる。
((d)分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物)
本実施形態の樹脂組成物は、(d)成分として、分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有する。分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を含有するため、本実施形態の樹脂組成物は、揮発成分の含有量を少なくすることができる。
分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物としては、分子内にカルボキシル基、及び酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物が好ましく、例えば、飽和トリカルボン酸、α、β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体等が挙げられ、具体的には、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アコニット酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。中でも、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、クエン酸、アコニット酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸が好ましく、より好ましくはマレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸である。
なお、カルボキシル基から誘導される基としては、酸無水物基、エステル基等が挙げられる。エステル基を有する化合物としては、上記カルボキシル基を有する化合物と、エタノール等のアルコール類との反応化合物等が挙げられる。エステル基を有する化合物は、樹脂組成物の加工温度において、エステル基が分解してカルボキシル基に変化するため、実質的にカルボキシル基を有する化合物として使用可能である。
上記分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物は、単独で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。
本実施形態の樹脂組成物における(d)成分の含有量は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との合計量100質量部に対して、0.01〜0.30質量部であり、好ましくは0.01〜0.25質量部であり、より好ましくは0.02〜0.20質量部である。(d)成分の含有量が0.01〜0.30質量部であることにより、成形加工性、低揮発成分、耐熱性及び耐衝撃性のバランスを十分に良好なものとすることができる。
((e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラー)
上記(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーにおけるクロライトは、緑泥石群と呼ばれる鉱石の一種である。
上記緑泥石群としては、少なくとも1種のMg、Fe、Mn、Ni等の酸化物、少なくとも1種のAl、Fe、Cr、Ti等の酸化物、及び少なくとも1種のSi、Al等の酸化物の各酸化物を含有する鉱石であり、例えば、クロライト、クリノクロア、シャモサイト、クックアイト、ペナンタイト、スドーアイト、オルソシャモスサイト、ニマイト、クッケアイト等を挙げることができる。本発明では、入手の容易さの観点から、クロライトを使用する。
クロライトの市販品としては、特に限定されることなく、例えば、富士タルク工業(株)製のRGE−250等が挙げられる。
クロライトの結晶構造としては、単斜晶系又は斜方晶系の構造が挙げられる。
なお、クロライトは、タルクの不純物としてタルクに混入している場合がある。本実施形態の樹脂組成物に用いるクロライトとは、クロライトを50質量%以上含有しているものである。
クロライトは、XRD(X線回折)分析法により、容易に検出することができる。例えば、X線回折装置を用い、励起電圧/電流:40kV/40mA、スリット:DS=1度、SS=解放、RS=解放、縦スリット:10mm、スキャン範囲:2θ=5〜60度(0.02度/ステップ)、スキャンスピード:10度/分の条件で分析した場合、タルクにはない、約6度、約12度、約25度のピークからクロライトを検出することができる。また、ピーク比の検量線を作成することでクロライトとタルクとの含有量を測定することもできる。
上記(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーにおけるマイカは、鱗片状のケイ酸アルミニウム系鉱物である。マイカは、化学組成や外見上の色の違いにより、白マイカ(KAlAlSi10(OH))、黒マイカ(K(Mg,Fe)AlSi10(OH))、金マイカ(KMgAlSi10(OH))、KLiAl(Si10)(OH)(鱗マイカ)、NaAl(AlSi10)(OH)(ソーダマイカ)、KMg(AlSi10)F(フッ素金マイカ)等がある。これらのマイカは、いずれも壁開性を有している。
マイカの市販品としては、特に限定されることなく、例えば、西日本貿易(株)製のBHTマイカ、Suzorite mining Inc.製のスゾライトマイカ、レプコ社製マイカ等が挙げられる。
上記(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーにおけるワラスナイトは、化学名が珪酸カルシウム(CaSiO)である物質であり、一般的に、主成分としてSiOとCaOとをほぼ等量含有し、微量成分としてAl、Fe等を含有する物質である。
ワラストナイトの市販品としては、特に限定されることなく、例えば、NYCO社製のNYGLOS、NYCO社製のNYAD、竹原化学工業社製のVM−8N等が挙げられる。
上記(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーとしては、クロライト、マイカ、ワラストナイトのいずれか一種であることが好ましく、クロライト又はマイカであることがより好ましく、クロライトであることがさらに好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーを、単に「(e)成分」と称する場合がある。
クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーは、表面処理されていてもよいし、されていなくてもよい。中でも、表面処理されていない無機フィラーが好ましい。
上記表面処理としては、特に限定されるものではないが、例えば、シラン系やチタネート系等の種々のカップリング剤を用いた表面処理が挙げられる。
本実施形態における(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーの含有量としては、上記(a)成分、上記(b)成分、及び上記(c)成分の合計量100質量部に対して、0.5〜3.0質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜2.5質量部であり、さらに好ましくは0.5〜2.0質量部である。(e)成分の含有量を0.5〜3.0質量部とすることにより、本実施形態の樹脂組成物の成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、成形品の表面外観及び成形品の比重のバランスをより良好なものとすることができる。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物は、上述した成分の他に、本実施形態の樹脂組成物の成形加工性、低揮発成分、耐熱性、耐衝撃性及び難燃性を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
上記その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(上記(b)成分に該当しない有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、シリコーン系難燃剤等)、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、耐候(光)性改良剤、スリップ剤、無機又は有機の充填剤や強化剤(タルク、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アラミド繊維等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物における揮発成分は、主にトルエンである。
一般的にトルエンはPPEの重合溶媒であり、重合後にPPEを有機溶剤で洗浄する際に、粒子状になり樹脂組成物内部に取り込まれるため、後の乾燥工程でも除去が困難となる。本実施形態の樹脂組成物においては、上記(d)成分を添加することにより、樹脂組成物中の揮発成分の含有量を低減させることができる。
本実施形態の樹脂組成物中の揮発成分の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して、300ppm以下であることが好ましく、150ppm以下がより好ましく、80ppm以下が更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性に優れる。後述の((5)難燃性(UL−94))に記載のUL94 VB試験において、厚み0.8mmで、クラスV−2であることが好ましい。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、上記(a)〜(d)成分、さらに必要に応じて、上記(e)成分、上記その他の成分を溶融混練することにより製造することができる。
溶融混練を行う溶融混練機としては、以下に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられるが、特に、混練性の観点から、二軸押出機が好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズ等が挙げられる。
以下、多軸押出機を用いた場合の好ましい製造方法について記載する。
多軸押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は、20以上60以下であることが好ましく、より好ましくは30以上50以下である。
多軸押出機の構成については、特に限定されないが、熱劣化防止、無機フィラーの破砕防止、揮発分の除去の観点から、例えば、原料の流れ方向に対し、上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第1真空ベント、該第1真空ベントよりも下流に第2原料供給口を設け(必要に応じて、第2原料供給口の下流にさらに第3、第4原料供給口を設けてもよい)、第2〜第4原料供給口よりも下流に第2真空ベントを備える構成が好ましい。特に、第1原料供給口と第1真空ベントとの間、第1真空ベントと第2原料供給口との間、第2〜第4原料供給口と第2真空ベントの間にニーディングセクションをさらに設けた構成がより好ましい。
上記第2〜第4原料供給口への原材料供給方法は、特に限定されるものではないが、原料を安定して供給できるという観点から、第2〜第4原料供給口の開放口から原料を直接添加供給するよりも、強制サイドフィーダーを用いて押出機サイド開放口から供給する方法が好ましい。
原料に粉体が含まれ、樹脂の熱履歴による架橋物や炭化物の発生を低減したい場合は、強制サイドフィーダーを用いて押出機サイド開放口から供給する方法が好ましく、強制サイドフィーダーを第2〜第4原料供給口にそれぞれ設け、原料の粉体を分割して供給する方法がさらに好ましい。
また、液状の原材料を添加する場合は、プランジャーポンプ、ギアポンプ等を用いて押出機中に添加する方法が好ましい。
上記第2〜第4原料供給口の上部開放口は、同搬する空気を抜くための開放口として使用することもできる。
供給した原料を溶融混練する際の溶融混練温度としては、例えば、220〜320℃が挙げられ、220〜280℃が好ましい。また、供給した原料を溶融混練する際のスクリュー回転数としては、例えば、100〜1200rpmが挙げられる。
また、第1真空ベント及び第2真空ベントにおける減圧度としては、例えば、−0.20〜−0.03MPaが挙げられる。
各原料が多軸押出機に添加されるまでの経路(具体的には、ストックタンク、配管、リフィルタンクを有する重量式フィーダー、配管、供給ホッパー、押出機という経路)における各ライン中の酸素濃度は、酸素存在下における樹脂の熱履歴による架橋物や炭化物の発生が低減する観点から、1.0体積%未満とすることが好ましい。上記経路における各ライン中の酸素濃度を1.0体積%未満とするための方法としては、特に限定されないが、気密性を高めた個々の工程ラインに不活性ガス(好ましくは窒素ガス)を導入する方法等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法において、(a)成分がパウダー状(体積平均粒径が10μm未満)であると、本実施形態の樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造する際に、二軸押出機のスクリューの残留物がより低減し、さらには得られる樹脂組成物において、黒点異物や炭化物等の発生が低減する効果をもたらす。
本実施形態の樹脂組成物の具体的な製造方法としては、下記(1)〜(6)のいずれかの方法を実施することが好ましい。
(1)(a)成分の全量、(b)成分の一部及び(d)成分の全量を溶融混練し(第一混練工程(1))、第一混練工程(1)で得られた混練物に対し、(c)成分の全量、(b)成分の残量の順に供給し溶融混練を行う(第二混練工程(1))、製造方法であって、第一混練工程(1)から第二混練工程(1)において、上記混練物が溶融状態である、製造方法。
(2)(a)成分の全量、(b)成分の全量及び(d)成分の全量を溶融混練し(第一混練工程(2))、第一混練工程(2)で得られた混練物に対し、(c)成分の全量を供給し溶融混練を行う(第二混練工程(2))、製造方法であって、第一混練工程(2)から第二混練工程(2)において、上記混練物が溶融状態である、製造方法。
(3)(a)成分の全量、(b)成分の一部及び(d)成分の全量を溶融混練してペレットを作製し、そのペレットに(c)成分の全量、(b)成分の残量の順に供給し溶融混練を行う、製造方法。
(4)(a)成分の全量、(c)成分の全量、(b)成分の一部及び(d)成分の全量を溶融混練してペレットを作製し、該ペレットに(b)成分の残量を供給し溶融混練を行う、製造方法。
(5)(a)成分の全量、(b)成分の全量及び(d)成分の全量を溶融混練してペレットを作製し、該ペレットに(c)成分の全量を供給し溶融混練を行う、製造方法。
(6)(a)成分の全量、(b)成分の全量、(c)成分の全量及び(d)成分の全量を溶融混練する製造方法。
ここで、「第一混練工程から第二混練工程において、上記混練物が溶融状態である」とは、(a)成分を一度溶融させてペレット化した後に再度溶融させる態様を除外する趣旨である。
特に、上記(1)の製造方法で得られる樹脂組成物は、上記(2)〜(6)の製造方法で得られる樹脂組成物と比較して、(a)成分のフェニレンエーテル系樹脂の混合性に優れ、(c)成分の熱劣化を防ぐことができる。このため、樹脂の時間当たりの生産量を上げることができ、溶融物がなく、熱履歴による架橋物や炭化物の発生を低減させることができ、生産性、品質が優れた樹脂組成物が得られるため、より好ましい。
上記(1)の製造方法において、生産性が更に向上するという観点から、第一混練工程(1)においては、(a)成分/(b)成分の質量比((a)/(b))を0.4〜1.5として(d)成分の全量と共に溶融混練することが好ましい。上記(a)成分/(b)成分の質量比は、樹脂組成物の未溶融物の発生を抑制でき、押出時の吐出量を上げることができるという観点から、より好ましくは0.4〜1.4であり、さらに好ましくは0.5〜1.4である。
上記(1)の製造方法において、生産性が更に向上するという観点から、第一混練工程(1)における溶融混練温度が、第二混練工程(1)における溶融混練温度より、10〜60℃高いことが好ましい。特に、得られる樹脂組成物の未溶融物発生を抑制でき、押出時の吐出量を上げることができるという観点から、第一混練工程(1)における溶融混練温度が、第二混練工程(1)における溶融混練温度より、20〜60℃高いことがより好ましく、20〜50℃高いことがさらに好ましい。
〔成形品〕
本実施形態の樹脂組成物を成形することにより、所望の成形品が得られる。
本実施形態の樹脂組成物を成形した成形品は、例えば、光学機器機構部品;光源ランプ周り部品;金属フィルム積層基板用シート又はフィルム;ハードディスク内部部品;光ファイバー用コネクタフェルール;プリンター部品;コピー機部品;自動車ラジエタータンク部品等の自動車エンジンルーム内部品;自動車ランプ部品;等の成形品として広く使用することができる。
上記樹脂組成物の成形方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、射出成形、金属インモールド成形、アウトサート成形、押出成形、シート成形、フィルム成形、熱プレス成形、回転成形、積層成形等の成形方法が挙げられる。
以下、本実施形態について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
各物性の測定方法を以下に示す。
((1)(b)スチレン樹脂のMFR)
ISO 1133に準拠して、温度200℃、荷重49.03Nの条件で測定を行った。
((2)樹脂組成物中の揮発成分量)
得られた樹脂組成物のペレット中のトルエン含有量を、ガスクロマトグラフにて測定した。
((3)荷重たわみ温度)
JIS K7191−1に準拠し測定した。
((4)ノッチ付シャルピー衝撃強さ)
JIS K7111−1に準拠し測定した。
((5)難燃性(UL−94))
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定
められた規格)の垂直燃焼試験方法に従って、1サンプル当たりそれぞれ5本ずつ試験を
行った。
((6)樹脂組成物中の未溶融物)
厚み0.8mmのUL94試験用試験片を用い、目視にて樹脂組成物中の未溶融物数を測定した。
((7)樹脂組成物のMFR)
JIS K7210に準拠し、温度250℃、荷重21Nの条件でMFRを測定した。
実施例及び比較例に用いた原材料を以下に示す。
<(a)成分>
(a1):2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.42(dl/g)のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)。
<(b)成分>
(b1):ハイインパクトポリスチレン(TOTAL社製 ポリスチレン4440)。上記(1)の方法により測定したMFRは9.2g/10分であった。
(b2):ハイインパクトポリスチレン(PSジャパン社製 ポリスチレンH9405)。上記(1)の方法により測定したMFRは2.8g/10分であった。
(b3):ハイインパクトポリスチレン(PSジャパン社製 ポリスチレン433)
上記(1)の方法により測定したMFRは21.0g/10分であった。
(b4):(b1)成分/(b2)成分=40質量%/60質量%の割合で予め押出しを行い、ペレット化したスチレン樹脂。上記(1)の方法により測定したMFRは5.2g/10分であった。
(b5):(b1)成分/(b3)成分=6質量%/94質量%の割合で予め押出し行い、ペレット化したスチレン樹脂。上記(1)の方法により測定したMFRは19.8g/10分であった。
(b6):(b1)成分/(b2)成分=70質量%/30質量%の割合で予め押出しを行い、ペレット化したスチレン樹脂。上記(1)の方法により測定したMFRは7.3g/10分であった。
(b7):(b1)成分/(b3)成分=50質量%/50質量%の割合で予め押出しを行い、ペレット化したスチレン樹脂。上記(1)の方法により測定したMFRは14.6g/10分であった。
(b8):ホモポリスチレン(PSジャパン社製 ポリスチレン680)。上記(1)の方法により測定したMFRは8.5g/10分であった。
<(c)成分>
(c1)芳香族縮合リン酸エステル(CR−741:大八化学工業(株)社製)
<(a)成分と他の成分との混合物A>
(A2):(a1)成分/(b1)成分=20質量部/30質量部の割合で予め押出しを行い、ペレット化したフェニレンエーテル系樹脂とスチレン樹脂との混合物。
(A3):(a1)成分/(b1)成分/(c1)成分=20質量部/30質量部/12質量部の割合で予め押出しを行い、ペレット化した混合物。
(A4):(a1)成分/(b1)成分=20質量部/68質量部の割合で予め押出しを行い、ペレット化した混合物。
<(d)成分>
(d1)無水マレイン酸(クリスタルMAN:日本油脂(株)社製)
(d2)試薬クエン酸(無水)(和光純薬工業(株)社製)
<(e)成分>
(e1):マイカ(スゾライト(商標)マイカ200HK:Suzorite Mining Inc.社製)
(e2):ワラストナイト(Nyglos(商標) 8:NYCO Minerals社製)
(e3):クロライト(RGE−250:富士タルク工業(株)社製)
〔実施例1〜37〕、〔比較例1〜11〕
二軸押出機ZSK−40(WERNER&PFLEIDERER社製)を用いて樹脂組成物の製造を行った。この二軸押出機において、原料の流れ方向に対して上流側に第1原料供給口を設け、これより下流に第一真空ベント、第2原料供給口、及び第3原料供給口を設け、さらにその下流に第二真空ベントを設けた。
また、第2、第3原料供給口への原材料供給は、固体原料の場合は押出機側部開放口から強制サイドフィーダーを用い、液体原料の場合は押出機上部開放口からギアポンプを用いて行った。
上記のように設定した押出機を用い、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を、下記表1〜表2に示す組成で配合し、混練温度240〜310℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量100〜240kg/時間の条件にて溶融混練し、各例に対応する樹脂組成物のペレットを製造した。
なお、樹脂組成物中の未溶融物が多く、安定してストランドが引けない場合は、樹脂温度の上昇を抑えるため、スクリュー回転数を変えずに、吐出量を下げた。
得られた樹脂組成物のペレットを用いて、樹脂組成物のMFRを(7)に示す方法により測定した。
さらに、樹脂組成物のペレットを用いて、200〜260℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度40℃の条件でJIS K7152−1及びK7313−2に準拠し、JIS K7139試験片を製造し、シャルピー衝撃強度測定用試験片、荷重たわみ温度測定用試験片を得た。これらを用いて、それぞれ(4)ノッチ付シャルピー衝撃強さ、(3)荷重たわみ温度を測定した。
また、難燃性試験片としては、同上の射出成形条件にて長さ127mm、幅12.7mm、厚み0.8mmの試験片を成形した。これを用い、(6)樹脂組成物中の未溶融物を測定した。さらにUL94に準拠した垂直燃焼試験を行い、(5)難燃性(UL94)の評価を行った。
これらの測定結果を下記表1及び表2に示す。表1〜表2に示すように、実施例1〜37の樹脂組成物は、成形加工性、低揮発性、耐熱性に優れ、さらに耐衝撃性及び難燃性とのバランスにも優れていることが分かった。さらに、特定の製造方法を取ることにより、生産性を飛躍的に向上させることができることも分かった。比較例1〜11は、実施例と比較して、少なくとも難燃性及び低揮発性が劣る結果となった。
Figure 0006392264
Figure 0006392264
本発明の樹脂組成物は、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD−ROM)、デジタルバーサタイルディスク・リードオンリーメモリ(DVD−ROM)、コンパクトディスク・レコーダブル(CD−R)、デジタルバーサタイルディスク・レコーダブル・−R規格(DVD−R)、デジタルバーサタイルディスク・レコーダブル・+R規格(DVD+R)、コンパクトディスク・リライタブル(CD−RW)、デジタルバーサタイルディスク・リライタブル・−R規格(DVD−RW)、デジタルバーサタイルディスク・リライタブル・+R規格(DVD+RW)、デジタルバーサタイルディスク・ランダムアクセスメモリ(DVD−RAM)等のシャーシーやキャビネット、光ピックアップスライドベース等の光学機器機構部品、光源ランプ周り部品、金属フィルム積層基板用シート又はフィルム、ハードディスク内部部品、光ファイバー用コネクタフェルール、レーザービームプリンター内部部品(トナーカートリッジなど)、インクジェットプリンター内部部品、コピー機内部部品、自動車ラジエタータンク部品等の自動車エンジンルーム内部品、自動車ランプ部品等として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (8)

  1. (a)フェニレンエーテル系樹脂10〜29質量%、
    (b)MFR(ISO 1133に準拠して測定)が5〜20g/10分であるスチレン樹脂48〜84質量%、
    (c)リン酸エステル系化合物6〜24質量%、
    を含有し、
    前記(a)成分、前記(b)成分、及び前記(c)成分の合計量100質量部に対して、(d)分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を0.01〜0.30質量部含有し、
    前記(a)成分と前記(c)成分との質量比((a)/(c))が1.2〜2.2であり、
    前記(d)成分が、飽和トリカルボン酸、α、β−不飽和ジカルボン酸、及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種である樹脂組成物の製造方法であって、
    (a)フェニレンエーテル系樹脂と、(b)MFR(ISO 1133に準拠して測定)が5〜20g/10分であるスチレン樹脂の一部と、(d)分子内にカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物とを溶融混練させて混練物を得る第一混練工程と、
    当該第一混練工程によって得られた混練物に対し、(c)リン酸エステル系化合物、前記(b)成分の残量の順に供給し、溶融混練させて樹脂組成物を得る第二混練工程と、を含むことを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  2. さらに、前記(a)成分、前記(b)成分、及び前記(c)成分の合計量100質量部に対して、(e)クロライト、マイカ及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーを0.5〜3.0質量部含有する、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記(b)成分のMFR(ISO 1133に準拠して測定)が、7〜15g/10分である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記(a)成分と前記(c)成分との質量比((a)/(c))が1.4〜2.2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記樹脂組成物が、厚み0.8mmの試験片とした時のUL94 VB試験による難燃性が、クラスV−2である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記第一混練工程から第二混練工程において、前記混練物が溶融状態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記第一混練工程で得られる前記混練物における、前記(a)成分と前記(b)成分との質量比((a)/(b))が0.4〜1.5である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記第一混練工程の溶融混練時の温度が、第二混練工程の溶融混練時の温度より20〜60℃高い、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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