JP2019012796A - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的低い圧力で焼結しても、優れた保磁力と残留磁化を得ることができる、Sm−Fe−N系希土類磁石の製造方法を提供する。【解決手段】Sm、Fe、及びNを含有する磁性材原料粉末と、金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを含有する改良材粉末とを混合して、混合粉末を得ること、前記混合粉末を圧縮成型して、圧粉体を得ること、前記圧粉体を、300〜400℃の温度及び0.80〜1.80GPaの圧力で加圧焼結して、焼結体を得ること、及び、前記焼結体を、425〜500℃で熱処理すること、を含む、希土類磁石の製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、希土類磁石、特に、Sm、Fe、及びNを含有する希土類磁石の製造方法に関する。
高性能希土類磁石としては、Sm−Co系希土類磁石及びNd−Fe−B系希土類磁石が実用化されているが、近年、これら以外の希土類磁石が検討されている。
例えば、Sm、Fe、及びNを含有する希土類磁石(以下、「Sm−Fe−N系希土類磁石」ということがある。)が検討されている。Sm−Fe−N系希土類磁石は、Sm−Fe結晶に、Nが侵入型で固溶していると考えられている。Sm−Fe−N系希土類磁石は、キュリー温度が高く、高温磁気特性に優れた希土類磁石として知られている。ここで、高温とは、150〜300℃のことをいう。
Sm−Fe−N系希土類磁石は、Sm、Fe、及びNを含有する磁性材原料粉末(以下、単に、「Sm−Fe−N系磁性材原料粉末」ということがある。)を焼結して製造される。例えば、特許文献1には、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末を圧縮成型して圧粉体を得て、その圧粉体を350〜450℃の温度及び1.2〜1.5GPaの圧力で焼結する、希土類磁石の製造方法が開示されている。
Sm−Fe−N系希土類磁石の改良も、検討されている。例えば、特許文献1には、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末と金属Zn粉末とを混合して圧縮成型し、その圧粉体を熱処理して、保磁力を向上させる試みが開示されている。
特開2013−89813号公報 特開2015−201628号公報
Sm−Fe−N系磁性材原料粉末はNを含有するため、450℃を超える温度に、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末を加熱すると、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末中の磁性相が分解される。したがって、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末を焼結する際には、その焼結温度を、450℃未満にする。
一方、焼結温度が450℃未満であると、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末の焼結が充分に進行しない。そのため、特許文献1に開示された製造方法においては、焼結温度が低いことを補うため、高圧で焼結している。
これらのことから、特許文献1に開示された製造方法においては、磁性相の分解を回避するため、焼結温度を350〜450℃の低温にし、その一方で、焼結性を高めるため、焼結圧力を1.2〜1.5GPaの高圧にしている。
焼結時の圧力が高いと、通常の鉄鋼材料でできている金型を用いることができない。焼結時の圧力が高いときでも、耐圧性を有する金型を造るには、金型用材料として、超硬合金等を用いる必要がある。しかし、超硬合金等は高価であるだけでなく、難削材である。
このようなことから、焼結時の圧力が大きいと、金型製造コストが増大し、その結果、Sm−Fe−N系希土類磁石の製造コストが増大する。
一方、特許文献2に開示された希土類磁石のように、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末と金属Zn粉末とを混合する場合においても、金属Zn粉末を混合しない場合と同様に製造されていたのが現状であった。
そのため、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末と金属Zn粉末とを混合する場合において、比較的低い圧力で焼結しても、優れた保磁力と残留磁化を得ることができる、Sm−Fe−N系希土類磁石の製造方法が望まれていた。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、比較的低い圧力で焼結しても、優れた保磁力と残留磁化を得ることができる、Sm−Fe−N系希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の希土類磁石の製造方法を完成させた。その要旨は、次のとおりである。
〈1〉Sm、Fe、及びNを含有する磁性材原料粉末と、金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを含有する改良材粉末とを混合して、混合粉末を得ること、
前記混合粉末を圧縮成型して、圧粉体を得ること、
前記圧粉体を、300〜400℃の温度及び0.80〜1.80GPaの圧力で加圧焼結して、焼結体を得ること、及び
前記焼結体を、425〜500℃で熱処理すること、
を含む、希土類磁石の製造方法。
〈2〉前記磁性材原料粉末が、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17(ただし、RはSm以外の希土類元素並びにY及びZrから選ばれる1種以上であり、iは0〜0.50、jは0〜0.52、かつ、hは1.5〜4.5)で表される磁性相を含む、〈1〉項に記載の方法。
〈3〉前記磁性材原料粉末と前記改良材粉末の合計に対し、前記改良材粉末中のZn成分が1〜20質量%になるように、前記磁性材原料粉末と前記改良材粉末を混合する、〈1〉又は〈2〉項に記載の方法。
〈4〉前記混合粉末を、磁場中で圧縮成型する、〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈5〉前記金属Zn及び前記Zn合金のうち、最も低い融点をT℃としたとき、(T−30)℃以上、430℃以下で、前記混合を行う、〈1〉〜〈4〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈6〉前記圧粉体を、300〜400℃の温度及び0.80〜1.15GPaの圧力で加圧焼結して、焼結体を得る、〈1〉〜〈5〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈7〉前記Zn合金が、Zn−Sn合金、Zn−Mg合金、及びZn−Al合金から選ばれる1種以上である、〈1〉〜〈6〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈8〉前記圧粉体を、鉄鋼材料でできている金型を用いて加圧焼結する、〈1〉〜〈17〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈9〉前記鉄鋼材料が、炭素鋼、合金鋼、工具鋼、及び高速度鋼から選ばれる1種以上である、〈8〉項に記載の方法。
本開示によれば、磁性材原料粉末と改良材粉末との混合粉末を、低温及び低圧で焼結した後、さらに熱処理することによって、高圧で焼結することなく、保磁力と残留磁化に優れるSm−Fe−N系希土類磁石が得られる製造方法を提供できる。
図1は、本開示の希土類磁石の製造方法に係る工程フローと、従来の希土類磁石の製造方法の工程フローを比較した図である。 図2は、ロータリーキルン炉を用いて、磁性材原料粉末と改良材粉末とを混合する場合の一例を模式的に示す図である。 図3は、アークプラズマデポジション装置を用いて、磁性材原料粉末の粒子の表面に、金属Zn及び/又はZn合金を堆積する一例を模式的に示す図である。 図4は、実施例1〜3及び比較例1の試料についてのM−H曲線を示す図である。 図5は、実施例2の混合粉末について、SEM像とSEM−EDX面分析結果を示す図である。 図6は、実施例9について、SEM像とSEM−EDX面分析結果を示す図である。
以下、本開示の希土類磁石の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の希土類磁石の製造方法を限定するものではない。
本開示の希土類磁石の製造方法においては、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末と、金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを含有する改良材粉末とを混合し、それを圧縮成型して圧粉体とし、その圧粉体を加圧焼結して、焼結体を得る。そして、その焼結体を熱処理する。
加圧焼結中の改良材粉末の挙動について、本発明者らは、次のことを知見した。改良材粉末中の金属Zn及びZn合金は、保磁力の向上に寄与するだけでなく、焼結性の向上にも寄与する。これにより、焼結温度が比較的低温で、かつ、焼結圧力が比較的低圧であっても、焼結が充分に進行する。
理論に拘束されないが、加圧焼結及び熱処理中に、次のことが起こっていると考えられる。加圧焼結中に、改良材粉末中のZn成分が、溶融又は半溶融状態になる。そして、そのZn成分が、磁性材粒子粉末の粒子相互間で、結着剤の働きをする。これにより、焼結性が向上する。そして、焼結体を熱処理することによって、磁性相の表面とZn成分が反応する。これにより、磁性相表面のαFe相が消失して、保磁力が向上する。なお、加圧焼結中においては、焼結温度が、圧粉体中の金属Zn及び/又はZn合金の融点未満であっても、その焼結圧力や、界面反応により、改良材粉末中のZn成分が、溶融又は半溶融状態になることがある。
これまでの説明をまとめると、図1のようになる。図1は、本開示の希土類磁石の製造方法に係る工程フローと、従来の希土類磁石の製造方法の工程フローを比較した図である。図1(a)は、本開示の希土類磁石の製造方法に係る工程フローを示し、図1(b)は、従来の希土類磁石の製造方法の工程フローを示す。
図1(a)及び図1(b)から分かるように、従来の製造方法では、加圧焼結で、混合粉末の焼結(密度向上)と保磁力向上とを同時に行う。一方、本発明の製造方法では、加圧焼結では混合粉末の焼結(密度向上)を行い、その後、焼結体を熱処理して保磁力向上を行う。これらのことから、本開示の製造方法のように、Sm−Fe−N系磁性材原料粉末に、Zn成分を含む改良材粉末を加えた場合には、Zn成分を含む改良材粉末を加えない場合と比べて、異なる工程フローになることを、本発明者らは知見した。
これまで説明してきた知見等によって完成された、本開示の希土類磁石の製造方法の構成要件を、次に説明する。
〈混合〉
先ず、Sm、Fe、及びNを含有する磁性材原料粉末と、金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを含有する改良材粉末とを混合して、混合粉末を得る。
磁性材原料粉末中には、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17で表される磁性相を含有してもよい。Rは、Sm以外の希土類元素並びにY及びZrから選ばれる1種以上である。なお、上式は、(Sm,R)、(Fe,Co)、及びNが、2:17:hのモル比で存在していることを表す。また、上式は、SmとRが(1−i):iの割合(モル比)で、FeとCoが(1−j):jの割合(モル比)で存在していることを表す。
hは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上がより一層好ましい。一方、hは、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.5以下がより一層好ましい。また、iは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.50以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。そして、jは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.52以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。
(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17については、典型的には、Sm(Fe(1−j)Co17のSmの位置にRが置換しているが、これに限られない。例えば、(Sm(1−i)i’(Fe(1−j)Co17に、侵入型でRの一部が配置されていてもよい。
また、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17については、典型的には、(Sm(1−i)Fe17のFeの位置にCoが置換しているが、これに限られない。例えば、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Coj’17に、侵入型でCoの一部が配置されていてもよい。
さらに、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17については、hは1.5〜4.5をとり得るが、典型的には、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17である。(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17全体に対する(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%がより一層好ましい。
一方、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17のすべてが(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17でなくてもよい。(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17全体に対する(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17の含有量は、98質量%以下、95質量%以下、又は92質量%以下であってよい。
磁性材原料粉末は、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17で表される磁性相の他に、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の磁気特性を阻害しない範囲で、酸素及びMを含有してもよい。Mは、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の磁気特性を阻害しない範囲で、特定の特性、例えば、耐熱性及び耐食性等を向上させるために添加される元素と、不可避的不純物元素である。特定の特性を向上させる元素としては、Ga、Ti、Cr、Zn、Mn、V、Mo、W、Si、Re、Cu、Al、Ca、B、Ni、及びCから選ばれる1種以上である。不可避的不純物元素とは、希土類磁石の原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物のことをいう。
本開示の製造方法で得られる希土類磁石の磁気特性を確保する観点からは、磁性材原料粉末全体に対する、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17で表される磁性相の含有量は、80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上であってよい。
一方、磁性材原料粉末全体に対して、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17で表される磁性相の含有量を過度に高くしなくとも、実用上問題はない。したがって、その含有量は、97質量%以下、95質量%以下、又は93質量%以下であってよい。なお、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17で表される磁性相の残部は、酸素及びMである。
磁性材原料粉末の粒径は、特に制限されない。磁性材原料粉末の粒径は、例えば、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよく、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってよい。本明細書で、特に断りがない限り、粒径は、投影面積円相当径を意味し、粒径が数値範囲で記載されている場合には、全粒子の80%以上がその範囲内に分布しているものとする。また、粒径が数値で表されている場合には、平均粒径である。
改良材粉末は、金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを含有する。改良材粉末は、例えば、Zn(1−s) で表される金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを含有する。Mは、Znと合金化して、Zn−M合金の溶融開始温度を、金属Znの融点よりも降下させる元素及び不可避的不純物元素である。なお、本明細書において、金属Znとは、合金化されていないZnのことを意味する。
Zn−M合金の溶融開始温度を、金属Znの融点よりも降下させる元素Mとしては、ZnとMとで共晶合金を形成する元素が挙げられる。Mとしては、典型的には、Sn、Mg、及びAl並びにこれらの組み合せ等が挙げられる。このような元素による融点降下作用を阻害せず、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の特定の特性、例えば、耐熱性、及び耐食性等を向上させるために添加される元素についても、Mとすることができる。また、不可避的不純物元素とは、改良材粉末の原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。
改良材粉末における、Zn及びMの含有量は、後述する焼結温度が適正になるように適宜決定すればよい。Znに対するMの含有量sは、例えば、0原子以上、5原子以上、又は10原子以上であってよく、90原子以下、80原子以下、又は70原子以下であってよい。
改良材粉末は金属Zn粉末でもよく、このとき、Mの含有量は0原子%である。なお、金属Zn粉末は、Znの含有量が100質量%ではなく、上述した不可避的不純物の含有を許容する。不可避的不純物の許容量は、金属Zn粉末全体に対して、1質量%以下、2質量%以下、又は4質量%以下であってよい。これらのことから、金属Zn粉末のZn含有量は、96質量%以上、98質量%、又は99質量%以上であってよい。
改良材粉末は、Zn(1−s) で表される金属Zn及びZn合金以外に、酸素を含有してもよい。改良材粉末の酸素含有量が、改良材粉末全体に対し、1.0質量%以下であれば、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の保磁力を向上させることができる。保磁力向上の観点からは、改良材粉末の酸素含有量は、改良材粉末全体に対し、0.8質量%以下、0.6質量%以下、0.4質量%以下、又は0.2質量%以下であってよい。
一方、改良材粉末の酸素含有量を、改良材粉末全体に対し、過剰に低くすることは、製造コストの増大を招く。この観点から、改良材粉末の酸素含有量は、改良材粉末全体に対し、0.01質量%以上、0.05質量%以上、又は0.09質量%以上であってよい。
Zn(1−s) で表される式は、Zn(1−s) で表されるZn合金を示す場合と、金属ZnとZn合金との混合物の平均組成がZn(1−s) で表される場合の両方を含む。
Zn合金としては、例えば、Zn−Sn合金(共晶温度:200℃)、Zn−Mg合金(共晶温度:341℃及び364℃)、及びZn−Al合金(共晶温度:380℃)等が挙げられる。Zn−Sn合金のSn含有量は、例えば、2〜98原子%であってよい。Zn−Mg合金のMgの含有量は、例えば、60〜80原子%及び2〜20原子%であってよい。Zn−Al合金のAl含有量は、例えば、5〜25原子%であってよい。なお、Zn−Mg合金については、341℃の共晶温度は、Mgの含有量が多い側であり、364℃の共晶温度は、Znの含有量が多い側である。
改良材粉末の粒径は、特に制限されない。改良材粉末の粒径は、例えば、10nm以上、100nm以上、又は1μm以上であってよく、100μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってよい。
改良材粉末に、少量の石油類を加えてもよい。石油類を加えることによって、酸化を抑制し、磁性材原料粉末との潤滑性がよくなり、均一に混合することができる。混合に使用できる石油類としては、ヘプタン、オクタン、及びヘキサン並びにそれらの組み合せ等が挙げられる。
磁性材原料粉末と改良材粉末の合計に対して、改良材粉末中のZn成分が1〜20質量%になるように、磁性材原料粉末と改良材粉末を秤量し、そして、混合する。なお、本明細書において、Zn成分とは、改良材粉末が、Zn(1−s) 表される合金を含有する場合に、M及び酸素を含まないZnだけの含有量を意味する。
秤量及び混合する際の雰囲気については、磁性材原料粉末及び改良材粉末の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気に、窒素ガス雰囲気も含まれる。
Zn成分が1質量%以上であれば、焼結性を高めることができ、かつ、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の保磁力を向上させることができる。焼結性及び保磁力向上の観点からは、Zn成分は3質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、9質量%以上がより一層好ましい。
一方、Zn成分が20質量%以下であれば、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の磁化の低下を抑制できる。磁化の低下を抑制する観点からは、Zn成分は18質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がより一層好ましい。
磁性材原料粉末は、磁性相を含有する。磁性相は金属間化合物であるため、磁性材原料粉末の粒子は硬い。改良材粉末は、金属Zn及び/又はZn合金を含有する。金属Zn及びZn合金は金属材料であるため、改良材粉末の粒子は軟らかい。そのため、磁性材原料粉末と改良材粉末を混合すると、改良材粉末の粒子が変形して、磁性材原料粉末の粒子の外周が、改良材粉末中の金属Zn及び/又はZn合金で被覆される。
磁性材原料粉末と改良材粉末との混合に用いる混合機は、特に制限されない。混合機としては、マラーホイール式ミキサー、アジテータ式ミキサー、メカノフュージョン、及びボールミル等が挙げられる。磁性材原料粉末の粒子の外周を、改良材粉末中の金属Zn又はZn合金で被覆する観点からは、ボールミルを用いることが好ましい。
磁性材原料粉末と改良材粉末を混合する際、硬質ボールを用いてもよい。硬質ボールを用いることによって、磁性材原料粉末の粒子と被膜の密着性を向上させることができる。これによって、被膜が剥がれ難くなる。また、被膜が均一になるため、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の保磁力が向上する。
また、硬質ボールを用いることによって、磁性材原料粉末と改良材粉末をより均一に混合することができる。また、混合条件によっては、磁性材原料粉末と改良材粉末の粒子を粉砕しながら混合することができる。
磁性材原料粉末の粒子を粉砕することによって、磁性相の粒径が小さくなり、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の磁化及び保磁力を向上させることができる。磁性相の粒径が小さくなると、磁化を発現する相を細かく磁気分断することができるため、磁性材原料粉末の粒子の粉砕は、保磁力向上に特に寄与する。
改良材粉末の粒子を粉砕することによって、改良材粉末の粒子の粒径が小さくなり、磁性材原料粉末の粒子の外周に、金属Zn及び/又はZn合金が被覆され易くなる。
硬質ボールの材質及び粒径は、特に制限されない。硬質ボールの材質としては、鋼、ステンレス、セラミック、及びナイロン等が挙げられる。硬質ボールの粒径は、例えば、0.5mm以上、1.0mm以上、2.5mm以上、又は4.0mmであってよく、20.00mm以下、10.0mm以下、8.0mm以下、又は6.0mm以下であってよい。
混合時間及び混合機の回転速度は、混合機の種類、混合機の回転速度、及び粉末の量等を考慮して適宜決定すればよい。混合時間は、例えば、10分以上、30分以上、又は50分以上であってよく、120分以下、90分以下、又は70分以下であってよい。混合機の回転速度は、例えば、70rpm以上、90rpm以上、又は110rpm以上であってよく、300rpm以下、250rpm以下、又は200rpm以下であってよい。
〈高温混合〉
磁性材原料粉末と改良材粉末とを、(T−30)℃以上、430℃以下の温度で混合してもよい。なお、改良材粉末中の金属Zn及びZn合金の融点のうち、最も低い融点をT℃とする。Zn合金の融点は、溶融開始温度とする。Zn合金が共晶合金である場合には、溶融開始温度は、共晶温度とする。
「改良材粉末中の金属Zn及びZn合金の融点のうち、最も低い融点をT℃とする。」とは次のことを意味する。
改良材粉末が、金属Znを含有し、かつ、Zn合金を含有しない場合には、Tは、金属Znの融点である。金属Znの融点は419.5℃であるため、磁性材原料粉末と改良材粉末とは、389.5(419.5−30)℃以上、430℃以下で混合される。
改良材粉末が、金属Znを含有せず、かつ、Zn合金を含有する場合には、Tは、Zn合金の融点である。Zn合金が複数種類のZn合金である場合には、それらのZn合金の融点のうち、最も低い融点をTとする。例えば、Zn合金として、Zn−Sn合金(共晶温度:200℃)とZn−Mg合金(共晶温度:341℃及び364℃)を含有する場合には、Tは、200℃である。したがって、磁性材原料粉末と改良材粉末とは、170(200−30)℃以上、430℃以下で混合される。
改良材粉末が、金属ZnとZn合金の両方を含有する場合には、Tは、Zn合金の融点である。例えば、改良材粉末が、金属Znと、Zn−Mg合金(共晶温度:341℃)とを含有する場合、磁性材原料粉末と改良材粉末は、311(341−30)℃以上、430℃以下で混合される。
混合時の温度が(T−30)℃以上であると、改良材粉末が軟化又は液化して、磁性材原料粉末の外周に、改良材粉末の金属Zn及び/又はZn合金が被覆され易い。この観点からは、混合時の温度は、(T−20)℃以上が好ましく、(T−10)℃以上がより好ましく、T℃以上がより一層好ましい。
一方、混合時の温度が430℃以下であれば、磁性材原料粉末中の磁性相の窒素が乖離したり、酸化により磁性相が分解したりすることが起こり難い。この観点からは、混合時の温度は、420℃以下であることがより好ましい。
混合時間は、磁性材原料粉末と改良材粉末の量などによって、適宜決定すればよい。熱処理時間には、混合温度に達するまでの昇温時間は含まない。混合時間は、例えば、10分以上、30分以上、又は50分以上であってよく、600分以下、240分以下、又は120分以下であってよい。
高温混合時の雰囲気については、磁性材原料粉末と改良材粉末の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。
高温混合時には、ロータリーキルン炉等を用いることができるが、これに限られない。図2は、ロータリーキルン炉を用いて、磁性材原料粉末と改良材粉末とを混合する場合の一例を模式的に示す図である。
ロータリーキルン炉(図示しない)は、撹拌ドラム110を備える。撹拌ドラム110は、材料格納部120及び回転軸130を有する。回転軸130には、電動機等の回転手段(図示しない)が連結されている。
材料格納部120に、磁性材原料粉末150と改良材粉末160を装入する。その後、材料格納部120を加熱して、改良材粉末160の溶融液170を得て、磁性材原料粉末150を溶融液170に接触させる。改良材粉末160が溶融しない場合には、磁性材原料粉末150の粒子と、軟化した改良材粉末160の粒子とが、相互に接触する。
材料格納部120の回転速度については、回転速度が速すぎると、溶融液170中の磁性材原料粉末150が材料格納部120の内壁に押し付けられることにより、撹拌効果が低下する。改良材粉末160が溶融しない場合には、回転速度が速すぎると、磁性材原料粉末150の粒子と、軟化した改良材粉末160の粒子の両方が材料格納部120の内壁に押し付けられることにより、撹拌効果が低下する。
一方、材料格納部120の回転速度が遅すぎると、溶融液170中で磁性材原料粉末150が沈降して、撹拌効果が低下する。改良材粉末160が溶融しない場合には、回転速度が遅すぎると、磁性材原料粉末150の粒子と、軟化した改良材粉末160の粒子とが、充分に混合されない。
材料格納部120の回転速度を適切に設定することによって、磁性材原料粉末150と改良材粉末160とを均一に混合することができる。そのためには、材料格納部120の回転速度は、例えば、5rpm以上、10rpm以上、又は20rpm以上であってよく、200rpm以下、100rpm以下、又は50rpm以下であってよい。
〈堆積混合〉
磁性材原料粉末の表面に、改良材粉末中の金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを堆積させることによって、磁性材原料粉末と改良材粉末とを混合してもよい。堆積混合には、アークプラズマデポジション装置を用いることができる。図3は、アークプラズマデポジション装置を用いて、磁性材原料粉末の粒子の表面に、金属Zn及び/又はZn合金を堆積する一例を模式的に示す図である。
アークプラズマデポジション装置200は、アークプラズマガン210と、ステージ230を備える。アークプラズマガン210とステージ230は対向している。ステージ230には、磁性材原料粉末150が載置されている。アークプラズマガン210には、改良材粉末(図示しない)が装填される。アークプラズマガン210からは、ステージ230に向かって、改良材粉末中の金属Zn及び/又はZn合金の粒子220が放出される。粒子220は、蒸気及び/又は液滴である。粒子220が磁性材原料粉末150の粒子に衝突することによって、磁性材原料粉末150の粒子の表面に、金属Zn及び/又はZn合金が堆積して、混合粉末を得ることができる。
〈圧縮成型〉
上述の混合粉末を圧縮成型して、圧粉体を得る。圧縮成型方法は、金型を用いたプレス等の常法でよい。プレス圧力は、例えば、50MPa以上、100MPa以上、又は150MPa以上であってよく、1500MPa以下、1000MPa以下、又は500MPa以下であってよい。
混合粉末の圧縮成型は、磁場中で行ってもよい。これにより、圧粉体に配向性をもたせることができ、磁化を向上させることができる。磁場中で圧縮成型する方法としては、磁石製造時に一般的に行われている方法でよい。印加する磁場は、例えば、0.3T以上、0.5T以上、又は0.8T以上であってよく、5.0T以下、3.0T以下、又は2.0T以下であってよい。
〈加圧焼結〉
上述の圧粉体を、300〜400℃の温度及び0.80〜1.80GPaの圧力で加圧焼結して、焼結体を得る。
加圧焼結方法は、常法でよく、例えば、放電プラズマ焼結法(SPS:Spark Plasma Sintering)、高周波加熱によるホットプレス、及び集光加熱によるホットプレス等が挙げられる。放電プラズマ焼結法、高周波加熱によるホットプレス、及び集光加熱によるホットプレスは、所望の温度まで急速に圧粉体を昇温でき、圧粉体が所望の温度に達するまでに、結晶粒が粗大化することを防止できる点で好ましい。
焼結温度が300℃以上であれば、圧粉体を焼結することができる。理論に拘束されないが、圧粉体中に含まれるZn成分が結着剤の働きをするため、改良材粉末を用いない場合よりも、低温で焼結することができる。焼結性の観点からは、焼結温度は、315℃以上が好ましく、325℃以上がより好ましく、340℃以上がより一層好ましい。
一方、焼結温度が400℃以下であれば、磁性相が分解しにくい。磁性相の分解を抑制する観点からは、焼結温度は、390℃以下が好ましく、375℃以下がより好ましい。
焼結中は、圧粉体を装入した金型に圧力を加えることによって、焼結性を向上させる。圧粉体は改良材粉末を含有するため、焼結圧力が0.80GPa以上であれば、焼結温度が上述した範囲のような低温域でも、圧粉体を焼結することができる。その結果、焼結体の密度を向上させることができる。焼結体の密度の向上は、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の磁気特性の向上に繋がる。焼結性の観点からは、焼結圧力は、0.90GPa以上が好ましく、0.95GPa以上がより好ましく、1.00GPa以上がより一層好ましい。
一方、焼結圧力が1.80GPa以下であれば、焼結体が割れることによって、焼結体に「欠け」が生じ難い。焼結体の欠けを抑制する観点からは、焼結圧力は1.60GPa以下が好ましく、1.50GPa以下がより好ましく、1.40GPa以下がより一層好ましい。
加圧焼結に用いる金型には、耐久性が要求される。金型の耐久性の観点からは、焼結圧力は低いほどよい。金型が超硬合金でできている場合には、焼結圧力は、1.80GPa以下、1.75GPa以下、又は1.50GPa以下であってよい。なお、超硬合金とは、炭化タングステンと結合剤であるコバルトとを焼結して得られる合金である。
金型が鉄鋼材料でできている場合には、焼結圧力は、さらに低い方が好ましく、例えば、1.45GPa以下、1.30GPa以下、又は1.15GPa以下であってよい。
金型に用いる鉄鋼材料としては、例えば、炭素鋼、合金鋼、工具鋼、及び高速度鋼等が挙げられる。炭素鋼としては、例えば、日本工業規格のSS540、S45C、及びS15CK等が挙げられる。合金鋼としては、例えば、日本工業規格のSCr445、SCM445、又はSNCM447等が挙げられる。工具鋼としては、例えば、日本工業規格のSKD5、SKD61、又はSKT4等が挙げれれる。高速度鋼としては、例えば、日本工業規格のSKH40、SKH55、又はSKH59等が挙げられる。
焼結時間は、圧粉体の質量等に応じて適宜決定すればよい。焼結時間としては、例えば、1分以上、5分以上、30分以上、又は60分以上であってよく、180分以下、120分以下、又は90分以下であってよい。
焼結雰囲気は、焼結中の圧粉体及び焼結体の酸化を防止するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気が含まれる。
〈熱処理〉
焼結体を、425〜500℃で熱処理する。この熱処理によって、磁性相中の酸素と、金属Zn又はZn合金とが結合して、磁性相中の酸素含有量が低下する。これによって、本開示の製造方法で得られる希土類磁石の保磁力が向上する。
熱処理温度が425℃以上であれば、磁性相中の酸素と、金属Zn又はZn合金が結合し易い。この観点からは、熱処理温度は435℃以上が好ましく、445℃以上がより好ましい。熱処理温度は、保持温度を意味する。
一方、熱処理温度が500℃以下であれば、保磁力が低下し難い。これは、熱処理温度が500℃以下であれば、磁性相の窒素が乖離し難く、その結果、磁性相が分解し難いためである。磁性相の窒素の解離を抑制する観点からは、熱処理温度は、475℃以下が好ましく、465℃以下がより好ましく、455℃以下がより一層好ましい。理論に拘束されないが、磁性材原料粉末中の磁性相より、焼結体中の磁性相の方が安定であるため、混合粉末の焼結温度よりも、焼結体の熱処理温度が高くても、焼結体中の磁性相は分解し難い。なお、磁性材原料粉末中の磁性相と比べて、焼結体中の磁性相については、その表層の酸化が抑制され易い。
熱処理雰囲気は、熱処理中の焼結体の酸化を防止するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気が含まれる。
熱処理時間は、焼結体の質量等により、適宜決定すればよい。熱処理時間としては、例えば、10分以上、30分以上、又は60分以上であってよく、240分以下、120分以下、又は90分以下であってよい。
以下、本開示の製造方法を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示の製造方法は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
《試料の準備》
希土類磁石の試料を次の要領で準備した。
〈実施例1〜8及び比較例1〜9〉
磁性材原料粉末と改良材粉末とを、ボールミルを用いて混合した。磁性材原料粉末については、磁性材原料粉末全体に対して、SmFe17の含有量が、99質量%以上である粉末を用いた。改良材粉末については、金属Zn粉末を用いた。磁性材原料粉末の粒径は、4μmであった。改良材粉末の粒径は、7μmであった。磁性材原料粉末と改良材粉末の合計質量は、20gとした。ボールミルの回転速度は300rpmとした。回転時間は30分とした。混合の際には、磁性材原料粉末と改良材粉末に、ヘキサンを30cm加えた。
得られた混合粉末を1Tの磁場中で、100MPaの圧力で圧縮成型し、圧粉体を得た。圧粉体を金型に装入し、高周波加熱によって焼結して、焼結体を得た。この焼結体を集光加熱によって15分にわたり熱処理して、実施例1〜8及び比較例1〜12の試料を作製した。
各試料における、焼結温度、焼結圧力、改良材粉末添加量(Zn添加量)、熱処理温度、及び、焼結時に使用した金型材料については、表1に示した。
〈実施例9〉
ロータリーキルン炉を用いて、425℃で30分にわたり、磁性材原料粉末と改良材粉末を混合したこと以外、実施例2と同様に試料を作製した。
〈実施例10〉
アークプラズマデポジション装置を用いて混合粉末を得たこと以外、実施例2と同様に試料を作製した。
〈比較例10〉
乳鉢を用いて、磁性材原料粉末と改良材粉末を混合したこと以外、実施例2と同様に試料を作製した。
〈実施例11〜14〉
改良材粉末について、Zn合金粉末を用いたこと以外、実施例3と同様にして試料を作製した。Zn合金の組成及び溶融開始温度は、表3に示した。なお、表3におけるZn合金の組成は、原子%で表した。
《評価》
各試料について、保磁力と磁化を測定した。測定は、東英工業社製のパルス式BHトレーサーを用いて行った。また、各試料について、密度測定を行った。測定は、ピクノメーターを用いて行った。さらに、実施例1及び9については、混合粉末をSTEMを用いて観察し、STEM−EDXを用いて面分析した。
結果を1〜3に示す。また、図4は、実施例1〜3及び比較例1の試料についてのM−H曲線を示す図である。図5は、実施例2の混合粉末について、SEM像とSEM−EDX面分析結果を示す図である。図6は、実施例9について、SEM像とSEM-EDX面分析結果を示す図である。図5及び6のいずれも、(a)はSEM像、(b)はSEM-EDX面分析結果を示す。
表1から分かるように、実施例1〜8の試料においては、焼結圧力が1.0GPaであっても、密度が高いことから焼結が充分であることを確認できた。また、実施例1〜8の試料の保磁力及び残留磁化は良好であることを確認できた。
表2から分かるように、磁性材原料粉末と改良材粉末との混合が充分であれば、本発明の効果が得られることを確認できた。
表3から分かるように、改良材粉末がZn合金粉末であっても、改良材粉末が金属Zn粉末である場合と同等の保磁力及び残留磁化を得られることが確認できた。
図4から分かるように、熱処理温度が400〜450℃の間では、熱処理温度が高いほど、保磁力が向上するのに対し、熱処理温度が450℃から475℃になると、保磁力が低下することを確認できた。
図5(b)及び図6(b)から、下式によって、Znの被覆率を算出すると、実施例2の混合粉末の被覆率が6%であるのに対し、実施例9の被覆率は14%であり、アークプラズマデポジション装置を用いると、良好なZn被膜が得られることを確認できた。
Zn被覆率(%)=(Znのピクセル数)/(画像全体のピクセル数)×100
これらの結果から、本開示の希土類磁石の製造方法の効果を確認できた。
110 撹拌ドラム
120 材料格納部
130 回転軸
150 磁性材原料粉末
160 改良材粉末
170 溶融液
200 アークプラズマデポジション装置
210 アークプラズマガン
220 粒子
230 ステージ

Claims (9)

  1. Sm、Fe、及びNを含有する磁性材原料粉末と、金属Zn及びZn合金の少なくともいずれかを含有する改良材粉末とを混合して、混合粉末を得ること、
    前記混合粉末を圧縮成型して、圧粉体を得ること、
    前記圧粉体を、300〜400℃の温度及び0.80〜1.80GPaの圧力で加圧焼結して、焼結体を得ること、及び
    前記焼結体を、425〜500℃で熱処理すること、
    を含む、希土類磁石の製造方法。
  2. 前記磁性材原料粉末が、(Sm(1−i)(Fe(1−j)Co17(ただし、RはSm以外の希土類元素並びにY及びZrから選ばれる1種以上であり、iは0〜0.50、jは0〜0.52、かつ、hは1.5〜4.5)で表される磁性相を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記磁性材原料粉末と前記改良材粉末の合計に対し、前記改良材粉末中のZn成分が1〜20質量%になるように、前記磁性材原料粉末と前記改良材粉末を混合する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記混合粉末を、磁場中で圧縮成型する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記金属Zn及び前記Zn合金のうち、最も低い融点をT℃としたとき、(T−30)℃以上、430℃以下で、前記混合を行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記圧粉体を、300〜400℃の温度及び0.80〜1.15GPaの圧力で加圧焼結して、焼結体を得る、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記Zn合金が、Zn−Sn合金、Zn−Mg合金、及びZn−Al合金から選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記圧粉体を、鉄鋼材料でできている金型を用いて加圧焼結する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記鉄鋼材料が、炭素鋼、合金鋼、工具鋼、及び高速度鋼から選ばれる1種以上である、請求項8に記載の方法。
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