JP2019006851A - 反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム - Google Patents

反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2019006851A
JP2019006851A JP2017121337A JP2017121337A JP2019006851A JP 2019006851 A JP2019006851 A JP 2019006851A JP 2017121337 A JP2017121337 A JP 2017121337A JP 2017121337 A JP2017121337 A JP 2017121337A JP 2019006851 A JP2019006851 A JP 2019006851A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
substituent
meth
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017121337A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6863123B2 (ja
Inventor
実希 太田
Miki Ota
実希 太田
展行 小池
Nobuyuki Koike
展行 小池
正紀 宮本
Masanori Miyamoto
正紀 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp, Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical DIC Corp
Priority to JP2017121337A priority Critical patent/JP6863123B2/ja
Publication of JP2019006851A publication Critical patent/JP2019006851A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6863123B2 publication Critical patent/JP6863123B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】硬化塗膜表面に優れた耐擦傷性を付与することができる反射防止塗料組成物、及びその硬化塗膜を有する反射防止フィルムの提供。【解決手段】低屈折率剤と、活性エネルギー線硬化性化合物と、(メタ)アクリロイル基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と、光分裂によりラジカル種を発生可能なα−アミノアセトフェノン系化合物とのマイケル付加物である、式(1),(2)に表される含フッ素アセトフェノン誘導体を含有する反射防止塗料組成物とその硬化塗膜。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた耐擦傷性を有する塗膜が得られる反射防止塗料組成物及び該反射防止塗料組成物を用いた反射防止フィルムに関する。
液晶ディスプレィの画面最表面となる偏光板の表層には、AG、AG/LR、クリア/LRといった防眩性や反射防止性を有する塗膜が施されており、最表層のため耐擦傷性と共に耐指紋性などの防汚性が必要とされている。ここで、耐指紋性とは、指紋が物品に付着しにくいこと、あるいは指紋が物品に付着しても容易に拭き取れることをいう。そして、防眩性や反射防止性を有する塗膜の中でも、塗膜の透明性の点からクリア/LRが優れている。
現在、特に液晶表示装置用に量産実用化されている偏光板の多くは、ポリビニルアルコールフィルムからなる基材フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性材料を、染色・吸着させ、延伸配向させてなる偏光フィルムの両面あるいは片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせたものが用いられている。そして、上記保護膜としては、通常トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが使用される。そして、前記防眩性や反射防止性を有する塗膜は、例えば、クリア/LR層は、TACフィルム上に形成された厚さ10μm程度の塗膜層(ベース層)の上に数十〜数百nm程度の厚さの塗膜として形成される。
防眩性や反射防止性を有する塗膜には、反射防止性能、防汚性能と共に、ハードコート性能、即ち、表面の耐擦傷性が要求されている。特に、上記反射防止層は膜厚が数十〜数百nm程度しかなく、より強い耐擦傷性が要求されている。反射防止層の耐擦傷性を向上させる方法としては、多官能(メタ)アクリレート等の多官能単量体を含有するハードコート材を用いる方法が知られている。しかしながら、このハードコート材を用いるとある程度硬化塗膜の表面硬度が向上した反射防止層が得られるが、耐擦傷性が不十分であった。
この課題に対し、反射防止膜用の塗料組成物にパーフルオロアルキレンエーテル鎖、シリコーン基及び重合性不飽和基を有する含フッ素重合性樹脂を添加して、反射防止層表面に滑り性を付与し、耐擦傷性を向上することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−181039号公報
前記特許文献1で提供されている含フッ素重合性樹脂を添加した反射防止塗料組成物は、その耐擦傷性に一定の効果はあるものの、非フッ素系の活性エネルギー線硬化性化合物との相溶性の維持のため、及び分子デザインとして、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の近傍に極性基を有することから、当該ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の塗膜表面における形状に影響を与え、パーフルオロアルキレンエーテル鎖が本来有する性能を十分に発揮させうることができにくく、さらには他の単量体由来構造を介して重合性不飽和基を配置する構造上の問題から、化合物中の非フッ素部分の割合が高く、硬化塗膜の最表面のおけるフッ素原子の存在を高密度にすることに限界があり、このため、より一層の耐擦傷性の観点からは近年の高度な要求に答えることができにくくなっている。
上記実情を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、硬化塗膜表面に優れた耐擦傷性を付与することができる反射防止塗料組成物、及びその硬化塗膜を有する反射防止フィルムを提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリロイル基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖に、マイケル付加反応を応用して、α−アミノアセトフェノン系の光分裂によりラジカル種を発生可能な構造単位を導入して得られる含フッ素アセトフェノン誘導体を用いることで、硬化物の最表面にフッ素原子を高密度に配置することが可能であり、耐擦傷性を著しく向上させうること、さらに分裂前の化合物には非フッ素部分が十分に含まれていることから非フッ素系の重合性化合物との相溶性に優れ、得られる硬化塗膜の透明性にも優れること等を見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、低屈折率剤(I)と、活性エネルギー線硬化性化合物(II)と、(メタ)アクリロイル基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と、光分裂によりラジカル種を発生可能なα−アミノアセトフェノン系化合物とのマイケル付加物である含フッ素アセトフェノン誘導体(III)と、を含有することを特徴とする反射防止塗料組成物とこれを硬化させてなる反射防止フィルムを提供するものである。
本発明の、含フッ素アセトフェノン誘導体を添加した組成物は、基材に塗布した際に、フッ素原子特有の表面自由エネルギーを最小にさせようとする作用が働き、該誘導体が表面に偏析することによって、硬化物の最表面に顕著な耐擦傷性を付与することが可能である。また当該誘導体中には、非フッ素系の化合物と相溶するための十分な構造単位を有することから、硬化塗膜の透明性を損なうことがない。さらに、本発明で用いる含フッ素アセトフェノン誘導体は、活性エネルギー線により分裂しラジカルを発生することによって、組成物中の他の硬化性を有する成分と結合することができるため、硬化塗膜の最表面に当該含フッ素アセトフェノン誘導体中のパーフルオロアルキレンエーテル鎖がより強固に固定され、長期保存による耐擦傷性等の劣化を抑制することができ、さらには、当該パーフルオロアルキレンエーテル鎖の近傍に極性基を有さないことから、このパーフルオロアルキレンエーテル鎖が本来有する性能を阻害するようなポリマー鎖の構造変化を抑制することができ、液晶ディスプレィの最表面に設ける反射防止フィルム等として極めて有用である。
合成例14で得た化合物(M1)のH−NMRチャートである。 合成例15で得た化合物(M2)のH−NMRチャートである。 合成例16で得た化合物(M9)のH−NMRチャートである。 合成例19で得た化合物(M18)のH−NMRチャートである。 合成例20で得た化合物(M20)のH−NMRチャートである。
本発明で用いる低屈折率剤(I)としては、屈折率が1.44以下のものが好ましく、1.40以下のものがより好ましい。また、低屈折率剤は、無機系又は有機系のいずれのものであってもよい。
無機系の低屈折率剤(I)としては、空隙を有する微粒子、金属フッ化物微粒子等が挙げられる。前記空隙を有する微粒子としては、微粒子の内部に気体が充填されたもの、気体を内部に含む多孔質構造のもの等が挙げられる。具体的には、中空シリカ微粒子、ナノポーラス構造を有するシリカ微粒子等が挙げられる。また、前記金属フッ化物微粒子としては、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム等が挙げられる。
これらの無機系の低屈折率剤(I)の中でも中空シリカ微粒子が好ましい。さらに、これらの無機系の低屈折率剤(I)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。これらの無機系の低屈折率剤(I)は、結晶性のもの、ゾル状のもの、ゲル状のもののいずれのものも用いることができる。
前記シリカ微粒子の形状は、球状、鎖状、針状、板状、鱗片状、棒状、繊維状、不定形状のいずれであってもよいが、これらの中でも球状又は針状のものが好ましい。また、シリカ微粒子の平均粒子径は、形状が球状の場合、5〜100nmが好ましく、20〜80nmがより好ましく、40〜70nmがさらに好ましい。球状の微粒子の平均粒子径がこの範囲にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することができる。
一方、有機系の低屈折率剤(I)としては、空隙を有する微粒子、含フッ素共重合体等が挙げられる。前記空隙を有する微粒子としては、中空高分子微粒子が好ましい。中空高分子微粒子は、分散安定剤の水溶液中で、(1)少なくとも1種の架橋性モノマー、(2)重合開始剤、(3)少なくとも1種の架橋性モノマーから得られる重合体又は少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体、並びに、前記(1)〜(3)に対して相溶性の低い水難溶性の溶媒からなる混合物を分散させ、懸濁重合を行うことにより製造することができる。なおここで、架橋性モノマーとは重合性基を2つ以上有するものであり、単官能性モノマーとは重合性基を1つ有するものである。
有機系の低屈折率剤(I)として用いる含フッ素共重合体は、樹脂中にフッ素原子を多く含有していることで低屈折率となっている樹脂である。この含フッ素共重合体としては、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとをモノマー原料とした共重合体が挙げられる。
前記含フッ素共重合体の原料である各モノマーの比率は、フッ化ビニリデンの比率が30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましく、ヘキサフルオロプロピレンの比率が5〜50質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45%がさらに好ましい。この他のモノマーとして、テトラフルオロエチレンを0〜40質量%の範囲で使用してもよい。
前記含フッ素共重合体には、その他の原料のモノマー成分として、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有する重合性モノマーを用いることができる。これらのその他の原料のモノマー成分は、含フッ素共重合体の原料モノマー中に20質量%以下の範囲で用いるのが好ましい。
前記含フッ素共重合体中のフッ素含有率は、60〜70質量%であることが好ましく、62〜70質量%であることがより好ましく、64〜68質量%であることがさらに好ましい。含フッ素共重合体のフッ素含有率がこの範囲であると、溶剤に対する溶解性が良好となり、種々の基材に対して優れた密着性を発揮し、高い透明性、低い屈折率、優れた機械的強度を有する薄膜が形成できる。
前記含フッ素共重合体の分子量は、ポリスチレン換算数平均分子量で5,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜100,000であることがより好ましい。含フッ素共重合体の分子量がこの範囲であると、得られる樹脂の粘度が優れた塗布性を有する範囲となる。また、含フッ素共重合体自体の屈折率が、1.45以下のものが好ましく、1.42以下のものがより好ましく、1.40以下であるものがさらに好ましい。
本発明に用いる活性エネルギー線硬化性化合物(II)としては、紫外線等の活性エネルギー線照射により重合又は架橋反応可能な光重合性官能基を有する化合物であれば特に限定されることなく用いることができる。
前記活性エネルギー線硬化性化合物(II)として、まず、活性エネルギー線硬化性単量体(II−1)が挙げられる。前記単量体(II−1)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
これらのなかでも特に硬化塗膜の硬度に優れる点からトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。これらの活性エネルギー線硬化性単量体(II−1)は、これらは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基とアクリロイル基の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいう。
また、前記活性エネルギー線硬化性化合物(II)として、活性エネルギー線硬化型樹脂(II−2)も用いることができる。この活性エネルギー線硬化型樹脂(II−2)としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられるが、本発明では、特に透明性や低収縮性等の点からウレタン(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
ここで用いるウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン結合と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ、また、芳香族ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
一方、水酸基を有するアクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記した脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物と水酸基を有するアクリレート化合物との反応は、ウレタン化触媒の存在下、常法により行うことができる。ここで使用し得るウレタン化触媒は、具体的には、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン類、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホフィン類、ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫などの有機錫化合物、オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物が挙げられる。
これらのウレタンアクリレート樹脂の中でも特に脂肪族ポリイソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるものが硬化塗膜の透明性に優れ、かつ、活性エネルギー線に対する感度が良好で硬化性に優れる点から好ましい。
次に、不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物、及び、グリコール類の重縮合によって得られる硬化性樹脂であり、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸、及びこれらのエステル等が挙げられる。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、その他にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に使用できる。
次に、エポキシビニルエステル樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。これらの活性エネルギー線硬化型樹脂(II−2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記活性エネルギー線硬化性単量体(II−1)と活性エネルギー線硬化型樹脂(II−2)はそれぞれ単独で使用しても良いし、組合せて使用しても良い。
前記低屈折率剤(I)と活性エネルギー線硬化性化合物(II)との質量比率は、(I):(II)=30:70〜90:10の範囲が好ましく、40:60〜80:20の範囲がより好ましく、50:50〜70:30の範囲がさらに好ましい。
本発明で用いる含フッ素アセトフェノン誘導体(III)は、(メタ)アクリロイル基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と、光分裂によりラジカル種を発生可能なα−アミノアセトフェノン系化合物とのマイケル付加物である。
前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)としては、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表される構造の化合物が挙げられる。
〔式(1)、(2)中、Aは直接結合、二価又は三価の連結基であり、直接結合又は二価の連結基の場合mは1であり、三価の連結基の場合mは2である。Yは下記一般式(3)又は下記一般式(4)
(X、Xはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、X及びXを構成する炭素原子は互いに直接または置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を介して結合していてもよく、Xは置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、R、Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基である)であり、
Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい脂肪族基であり、nはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、R、R2はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基であり、RとRとはそれぞれ一体となって環を形成してもよく、Rは置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基であり、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖である。〕
前記一般式(1)、(2)で表される化合物は、構成要素としてポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖(以下、PFPE鎖と称することがある)と、活性エネルギー線等により分裂しラジカルを発生することができる部分とを有することを特徴とする。このような分子構造を有することで、例えば活性エネルギー線硬化性組成物に配合した際、硬化反応中にフッ素原子の表面偏析機能によって、当該化合物が気液界面に移動し、最表面に存在しながらもラジカルを発生させることで分裂後の化合物(PFPE鎖含有化合物)が他の硬化性成分と強固な結合をすることができ、硬化塗膜表面へ顕著な耐擦傷性を付与することが可能となる。これらの効果がより好ましく奏される観点からは、前記一般式(1)の化合物であることが好ましい。
また、前記一般式(1)、(2)で表される化合物中には、非フッ素部分が多く含まれることにより、非フッ素系の活性エネルギー線硬化性化合物や有機溶剤への溶解性(相溶性)が良好であることから、組成物あるいは溶液としての保存安定性や得られる硬化塗膜の透明性も良好である。さらには、他のフッ素系界面活性剤とも相溶することから、他のフッ素系界面活性剤と混合してフッ素系添加剤として保存することも可能である。
前記一般式(1)、(2)で表される含フッ素アセトフェノン誘導体は、アクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物の当該アクリロイル基に対してマイケル付加反応を応用して合成することができる。このため、マイケル受容体であるアクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物以外の構成要素については、マイケル供与体としての機能を有し、且つ活性エネルギー線等で分裂可能なアセトフェノン類似構造を有しているものであればよい。
前記一般式(1)、(2)中のYは、前記一般式(3)又は前記一般式(4)で表されるものである。前記一般式(3)中の、X、Xはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、X及びXを構成する炭素原子は互いに直接または置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を介して結合していてもよい。
ここで置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子からなる置換基が挙げられる。具体的には、例えば、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリールオキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))「alkyl=アルキル基、以下同」、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))「aryl=アリール基、以下同」、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、炭素原子数が1から18までの直鎖状、分岐状、及び環状のいずれかのアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、;s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、第2ブチル基、イソブチル基、第3ブチル基、2−エチルブチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、1−メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2,2,4,4−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、イソデシル基、1−メチルウンデシル基または1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、等の直鎖状または分岐上のアルキル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
前記置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等が挙げられる。
前記アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
また、炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基は、具体的には、鎖状若しくは分岐状のメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オキシメチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。
具体的には、前記一般式(3)は以下のような構造が挙げられる。
前記一般式(4)中のR、Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基である。ここで置換基を有してもよい脂肪族基としては、それぞれ置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられ、置換基としては前述の置換基を挙げることができ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基としても前述と同様のものを挙げることができる。
また、置換基を有してもよいアリール基としてのアリール基は、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環とが縮合環を形成したものが挙げられる。具体的には、例えば、フェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、α-メチルベンジル基、αα-ジメチルベンジル基、フェネチル基ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基が挙げられる。これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
前記置換基を有するアリール基としての置換基は、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子からなる基を有するものが挙げられ、前述したものが挙げられる。
前記置換基を有するアリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等が挙げられる。
前記一般式(1)、(2)中の、R、R2はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基であり、RとRとはそれぞれ一体となって環を形成してもよい。R、R2における「置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基」はいずれも前記したものを挙げることができ、炭素原子数が1〜12の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基がより好ましいる。
また、前記一般式(1)、(2)中のRは置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基であり、これについても前述と同様のものが挙げられ、炭素原子数が1〜12の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基がより好ましい。
また、前記一般式(1)、(2)中のRは水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基であり、1価の有機基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又は−X−X−Xで表される有機基〔但し、Xは単結合又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン鎖であり、Xはカルボニル基、チオカルボニル基、−OCONH−、−NHCOO−、又は−NHCONH−であり、Xは−NR(但し、R、Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基である。)、又は下記一般式(5)
(但し、X、Xはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、X及びXを構成する炭素原子は互いに直接または置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を介して結合していてもよく、Xは、単結合、酸素原子、または−NR−〈ただしRは水素原子、または置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である〉である。)〕であることが好ましい。
前記Xの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン鎖の置換基としては前述のものをいずれも挙げることができ、R、Rの置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基も前述と同様である。また前記一般式(5)中のX、Xは、前記一般式X、Xと同様のものである。Rにおける置換基も前述のものをいずれも挙げることができる。
さらに、前記一般式(1)、(2)中のRは水素原子あるいはベンゼン環を形成する炭素原子上の置換基を示し、この置換基としても前述と同様である。ベンゼン環上には4つ置換基を有するものであるが、これらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(1)、(2)で表される本発明の含フッ素アセトフェノン誘導体としては、特に、前記一般式(1)、(2)中のYが、下記式(6)
であり、Rが水素であり、R1およびRがメチル基であり、Rが炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子、メチル基、エチル基、クロロ基、ブロム基、または下記式(7)〜(9)
の何れかであることが、後述する製法に用いる原料の入手容易性、製法上の容易性、及び得られる化合物を用いたときの硬化塗膜の性能に優れる点から好ましいものであり、また下記組み合わせのものがより好ましい。
前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)におけるPFPE鎖は、炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基と酸素原子とが交互に連結した構造を有するものが挙げられる。炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基は、一種類であっても良いし複数種の混合であっても良く、具体的には、下記構造式1で表されるものを挙げることができる。
(上記構造式1中、Xは下記構造式a〜fであり、構造式1中の全てのXが同一構造のものであってもよいし、また、複数の構造がランダムに又はブロック状に存在していてもよい。また、nは繰り返し単位を表す1以上の数である。)
これらの中でも特に得られる硬化塗膜の耐擦傷性がより良好になる観点から前記構造式aで表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造bで表されるパーフルオロエチレン構造とが共存するものがとりわけ好ましい。ここで、前記構造式aで表されるパーフルオロメチレン構造と、前記構造bで表されるパーフルオロエチレン構造との存在比率は、モル比率(構造a/構造b)が1/4〜4/1となる割合であることが耐擦傷性の点からより好ましく、また、前記構造式1中のnの値は3〜40の範囲であること、特に6〜30が好ましい。
また、前記PFPE鎖は、非フッ素系活性エネルギー線硬化性化合物との相溶性を向上させやすい点からPFPE鎖1本に含まれるフッ素原子の合計が18〜200個の範囲であることが好ましく、25〜80個の範囲であることが特に好ましい。またPFPE鎖の重量平均分子量(Mw)は、400〜10,000の範囲であることが好ましく、500〜5,000がより好ましい
なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテック製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
前記一般式(1)中のAは、直接結合、二価又は三価の連結基であり、後述するようなPFPE鎖を有する化合物又はこれにアクリロイル基を導入する際の原料由来構造であって、例えば、下記の連結基が挙げられる。
前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)は、前述のように、アクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物に対して、マイケル供与体としての機能を有し、且つ活性エネルギー線で分裂可能なアセトフェノン類似構造を有しているものをマイケル付加反応させることによって得ることができる。
アクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物は、例えば、以下のものが挙げられる。
前記の末端にアクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物を得るためには、例えば、PFPE鎖の末端に水酸基を有する化合物に対して、アクリル酸クロライドを反応させる方法、アクリル酸を脱水反応させる方法、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させる方法、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートをウレタン化反応させる方法、無水イタコン酸をエステル化反応させて得る方法が挙げられ、さらにPFPE鎖の末端にカルボキシル基を有する化合物に対して、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルをエステル化反応させる方法が挙げられ、PFPE鎖の末端にイソシアネート基を有する化合物に対して、2−ヒドロキシエチルアクリルアミドを反応させる方法が挙げられ、さらにPFPE鎖の末端にエポキシ基を有する化合物に対して、アクリル酸を反応させる方法等が挙げられる。これらのなかでも、PFPE鎖の末端に水酸基を有する化合物に対して、アクリル酸クロライドを反応させて得る方法と、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートをウレタン化反応させて得る方法が、製造上、反応が容易である点で特に好ましい。
前記したポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の末端に水酸基を有する化合物、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の末端にカルボキシル基を有する化合物、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の末端にイソシアネート基を有する化合物及びポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の末端にエポキシ基を有する化合物としては、例えば下記の構造を有する化合物等が挙げられる。
本発明において、マイケル供与体となる化合物は、アクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物に対して、マイケル供与体としての機能を有し、且つ活性エネルギー線で分裂可能なアセトフェノン類似構造を有している化合物であればよく、例えば、以下の式(D1)〜(D36)を挙げることができる。(なお、以下の構造式では、C、CH、CHは省略して記載している場合がある。)
これらのα−アミノアセトフェノン誘導体は、例えば、下記の方法で得ることができる。ハロゲン化ベンゼンと、脂肪酸ハライド化合物とを反応させてアルキルアセトフェノン(a)を合成し、次いで、ケトン部位のα位をハロゲン化し、引き続き、2級モノアミン化合物(HN(R)(R))を反応させてα位をアミノ化された中間生成物(c)を合成する。次いでベンジルブロミド化合物を反応させて、アルカリで処理することによって中間生成物(d)に導き、更に、芳香環状のハロゲン置換基を2価のアミノ基含有化合物(H−Y−H)で置換することにより目的とするα−アミノアセトフェノン骨格含有化合物(f)を製造することができる。
また、前述のベンジルブロミド化合物として、ベンジルブロミドの芳香環上にエステル又はカルボン酸を有するベンジルブロミド化合物(Xがカルボニル基、XがOR10;R10はアルキル基または水素)を使用した場合には、上記アルカリ処理によってベンジル基末端にカルボン酸基を持つ化合物(d)を合成でき、これに対して、アミノ基含有化合物あるいは水酸基含有化合物とアミド化反応あるいはエステル化反応を行い中間生成物(e)に導き、次いで、芳香環状のハロゲン置換基に2価のアミノ基含有化合物(H−Y−H)を置換反応させ、ベンジル基の芳香環上にアミド基あるいはエステル基を含有するα−アミノアセトフェノン骨格含有化合物(f)を製造することができる。
上記製造方法は、更に具体的には、例えば、前記構造式(M18)で表される化合物を例にとると、下記反応式に従いに製造することができる。(なお、以下の構造式では、C、CH、CHは省略して記載している場合がある。)
即ち、フッ化ベンゼンとブチル酸クロリドからフリーデル−クラフトアシル化反応で得られたアシル誘導体(101)に対し、臭素を反応させて臭素化体(102)を合成し、続いて、ジメチルアミンで臭素部を置換させてジメチルアミノ体(103)にし、更に4位にエステル置換基を有する臭化ベンジル誘導体(p−ブロモメチル安息香酸メチル)と反応させて四級アンモニウム塩化物に導き、水酸化ナトリウムによる1.2−転位反応(Stevens転移)によってα−アミノアセトフェノン骨格を有する(104)中間体を合成する。その後、活性エステル化や酸塩化物化によりモルホリンなどのアミンと反応させてアミド化体(105)に導き、更に、60℃〜160℃にてピペラジンと反応させて、目的のマイケル付加供与部位がピペラジノ基である化合物(M18)を製造することができる。
ここで、上記した反応式において、R〜R、X〜X、Yは前記一般式(1)と同義であり、Halはフッ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子を表す。
また、前記製造方法において2級モノアミン化合物(HN(R)(R))としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルドデシルアミン、エチルヘキシルアミン、ジエタノールアミン、2,2‘-ジエトキシジエチルアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペラジン、2,6−ジメチルモルホリン等が挙げられる。置換基(−X−X−OR)を芳香核上に有するベンジルブロミド化合物としては、例えば、ブロモメチル安息香酸メチル、2−[4−(ブロモメチル)フェニル]]プロピオン酸メチル、2−[4−(ブロモメチル)フェニル]]酢酸エチル、ブロモメチルチオ安息香酸メチル、2−[4−(ブロモメチル)フェニル]]チオプロピオン酸メチル等が挙げられる。
前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)をマイケル付加反応によって製造する場合、その反応は、特に限定されることなく、公知慣用の反応条件で行うことができる。一般的な方法としては、前記アセトフェノン誘導体と末端にアクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物とを、反応容器中、0〜150℃で混合すれば良く、触媒や溶媒を使用することもできる。
使用可能な触媒としては、例えば、テトラエチルアンモニウムフロライド、テトラブチルアンモニウム水酸化物、水酸化カリウム、テトラメチルグアニジ、ジアザビシクロウンデセン、ナトリウム t−ブチラート、トリ−n−オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
また、有機溶媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、カルビトール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
前記アセトフェノン誘導体と末端にアクリロイル基を有するPFPE鎖含有化合物の混合比は、特に限定されることはないが、マイケル供与機能を有する基に対するマイケル受容機能を有する基の数(マイケル供与機能基/マイケル受容機能基)が10/1〜1/10であることが好ましい。得られる含フッ素アセトフェノン誘導体の気液表面への偏析機能、活性エネルギー線での分解機能とのバランスの観点から、特に1/2〜2/1であることが好ましい。
前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)は、いわゆるフッ素系の表面改質剤として単独で使用することができ、反射防止塗料組成物に配合することで、得られる硬化物表面に耐擦傷性の顕著な効果を発現させることができる。この時、前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)の配合割合が、組成物中の固形分に対して0.01〜5.0質量%の範囲であると、得られる塗膜の耐擦傷性と透明性とのバランスにより優れたものとなる点から好ましい。
反射防止塗料組成物に配合して用いると組成物を硬化させる際に照射する活性エネルギー線によって、含フッ素アセトフェノン誘導体(III)は一般的な光開始剤と同様の分裂反応が起き、これによって、配合される他の活性エネルギー線硬化性の化合物に強固に固定されることになる。
特に非フッ素系活性エネルギー線硬化性化合物が配合された組成物中に配合すると、含フッ素アセトフェノン誘導体(III)はPFPE鎖中のフッ素原子による表面偏析機能によって硬化物の気液界面(最表面)に移動することにより、硬化物表面に濃縮された状態で活性エネルギー線の照射を受ける。その結果、最表面で他の硬化性成分と結合され、PFPE鎖が高密度に配置され、顕著な防汚性、耐擦傷性、すべり性等が発現される。
このようなPFPE鎖が本来有する機能をより効果的に発現させるためには、他のフッ素系界面活性剤を併用することが好ましい。他のフッ素系界面活性剤は含フッ素アセトフェノン誘導体(III)をさらに表面に移動させる効果を有するとともに、非フッ素系活性エネルギー線硬化性化合物と含フッ素アセトフェノン誘導体(III)との相溶化剤として機能し、その結果、活性エネルギー線の照射による硬化性化合物との結合性を向上させることができると考えられる。これらの相乗効果によって、硬化塗膜の表面の耐擦傷性が飛躍的に向上する。
ここで用いることができるフッ素系界面活性剤としては、フッ素原子が直接結合している炭素数が1〜6のパーフルオロアルキル基を有する化合物や、含フッ素アセトフェノン誘導体(III)中のPFPE鎖と同様のPFPE鎖を有する化合物が挙げられ、合成したものであっても市販のものであってもよい。市販されているものとしては例えば、メガファックF−251、同F−253,同F−477、同F−553、同F−554、同F−556、同F−558、同F−559、同F−560、同F−561、同F−562、同F−568、同F−569,同F−574、同R−40,同RS−75,同RS−56、同RS−76−E,同RS−78,同RS−90〔以上、DIC(株)製〕、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40〔以上、旭硝子(株)製〕等が挙げられる。これらの中でも、含フッ素アセトフェノン誘導体(III)との相溶性の観点から、PFPE鎖を有する界面活性剤であることが好ましく、硬化塗膜表面からの脱落が起こりにくく、硬化塗膜表面の長期での性能が維持される観点から、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV)を用いることが好ましい。
前記ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV)としては、合成したものであっても、市販されているものであってもよく、例えば、国際公開WO2009/133770号等にて提供されているものを用いてもよい。
即ち、前記PFPE鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV)としては、PFPE鎖とその末端に重合性不飽和基を有する構造部位を有する化合物(IV−1)と、反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(IV−2)とを必須の原料とする共重合体と、前記反応性官能基(α)に対して反応性を有する反応性官能基(β)と重合性不飽和基とを有する化合物(IV−3)との反応物であることが好ましい。
前記PFPE鎖とその末端に重合性不飽和基を有する構造部位を有する化合物(IV−1)中のPFPE鎖としては、炭素原子数1〜3の2価フッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有するものが挙げられ、前述と同様である。
前記PFPE鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV−1)の原料となる末端に重合性不飽和基を導入する前の化合物としても、前述と同様であり、PFPE鎖の末端に水酸基、カルボキシ基、イソシアネート、あるいはエポキシ基を有するものを用いることができる。
前記PFPE鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV−1)の重合性不飽和基は、例えば、下記構造式U−1〜U−5で示される重合性不飽和基が挙げられる。
これらの重合性不飽和基の中でも原料入手や製造の容易さ、あるいは、後述する反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(IV−2)との共重合の容易さから、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
前記PFPE鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV−1)の製造方法としては、例えば、PFPE鎖の末端に水酸基を有する化合物に対して、(メタ)アクリル酸クロライドを脱塩酸反応させて得る方法、(メタ)アクリル酸を脱水反応させて得る方法、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートをウレタン化反応させて得る方法、無水イタコン酸をエステル化反応させて得る方法、クロロメチル基を有するスチレンと塩基存在下で反応させて得る方法;PFPE鎖の末端にカルボキシル基を有する化合物に対して、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルをエステル化反応させて得る方法、グリシジル(メタ)アクリレートをエステル化反応させて得る方法;PFPE鎖の末端にイソシアネート基を有する化合物に対して、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させて導入する方法、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドを反応させる方法が挙げられる。これらのなかでも、PFPE鎖の両末端に水酸基を1つずつ有する化合物に対して、(メタ)アクリル酸クロライドを脱塩酸反応させて得る方法と、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させて得る方法が合成上得られやすい点で特に好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基とアクリロイル基の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいう。
前記PFPE鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV−1)の具体例としては、下記構造式で表されるものが挙げられる。なお、下記の各構造式中における「−PFPE−」は、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を示す。
これらの中でも化合物(IV)の工業的製造が容易である点から、PFPE鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有するものがより好ましい。
前記反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(IV−2)としては、例えばアクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、ビニルエステル系単量体、マレイミド系単量体等が挙げられ、反応性官能基(α)を有するものを用いる。
前記反応性官能基(α)としては、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、該反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(II−2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端水酸基含有ラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和単量体;グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和二重結合を有する酸無水物が挙げられる。
さらに、化合物(IV)と共重合させることができるその他の重合性不飽和単量体として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類を併用してもよい。
ここで、PFPE鎖とその末端に重合性不飽和基を有する構造部位を有する化合物(IV−1)と、反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(IV−2)とを必須の原料とする共重合体を得る方法としては、前記化合物(IV−1)、及び、反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(IV−2)、更に必要によりその他の重合性不飽和単量体を、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を使用して重合させる方法が挙げられる。ここで用いる有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性、重合性を考慮して適宜選択される。ラジカル重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が例示できる。さらに必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、チオグリセロール、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等の連鎖移動剤を使用することができる。
得られる共重合体の分子量は、重合中に架橋不溶化が起こらない範囲となる必要があり、高分子量化しすぎると架橋不溶化が起こる場合がある。その範囲内において、最終的に得られる化合物(II)の1分子中の重合性不飽和基の個数が多くなる点で、共重合体は数平均分子量(Mn)が800〜3,000、特に1,000〜2,500の範囲であることが好ましく、また、重量平均分子量(Mw)が1,500〜40,000、特に2,000〜30,000の範囲であることが好ましい。
上記のようにして得られる共重合体に、前記反応性官能基(α)に対して反応性を有する反応性官能基(β)と重合性不飽和基とを有する化合物(IV−3)を反応させることにより、目的とする化合物(IV)が得られる。
前記反応性官能基(α)に対して反応性を有する反応性官能基(β)としては、例えば、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。反応性官能基(α)が水酸基である場合には、官能基(β)としてイソシアネート基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、エポキシ基が挙げられ、反応性官能基(α)がイソシアネート基である場合には、官能基(β)として水酸基が挙げられ、反応性官能基(α)がエポキシ基である場合には、官能基(β)としてカルボキシル基、水酸基が挙げられ、反応性官能基(α)がカルボキシル基である場合には、官能基(β)としてエポキシ基、水酸基が挙げられる。
このような化合物(IV−3)としては、具体的には、前記した反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(II−2)として例示したものの他、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
これらの中でも特に紫外線照射での重合硬化性が好ましい点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アクリル酸が好ましい。
前記共重合体に、化合物(IV−3)を反応させる方法は、化合物(IV−3)中の重合性不飽和基が重合しない条件で行えば良く、例えば温度条件を30〜120℃の範囲に調節して反応させることが好ましい。この反応は触媒や重合禁止剤の存在下、必要により有機溶剤の存在下に行うことが好ましい。
例えば、前記官能基(α)が水酸基であって前記官能基(β)がイソシアネート基である場合、又は、前記官能基(α)がイソシアネート基であって前記官能基(β)が水酸基である場合、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、ウレタン化反応触媒としてジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等を使用し、反応温度40〜120℃、特に60〜90℃で反応させる方法が好ましい。また、前記官能基(α)がエポキシ基であって前記官能基(β)がカルボキシル基である場合、又は、前記官能基(α)がカルボキシル基であって前記官能基(β)がエポキシ基である場合は、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、エステル化反応触媒としてトリエチルアミン等の第3級アミン類、塩化テトラメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、トリフェニルホスフィン等の第3級ホスフィン類、塩化テトラブチルホスホニウム等の第4級ホスホニウム類等を使用し、反応温度80〜130℃、特に100〜120℃で反応させることが好ましい。
反応で用いられる有機溶媒はケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性を考慮して適宜選択すればよい。
以上詳述した化合物(IV)は、数平均分子量(Mn)が500〜10,000の範囲であることが好ましく、1,000〜6,000の範囲であることがより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が3,000〜80,000の範囲であることが好ましく、4,000〜60,000の範囲であることが好ましい。前記化合物(IV)のMn及びMwをこれらの範囲にすることで、ゲル化を防止でき、高架橋で防汚性に優れた硬化塗膜を得ることが容易となる。尚、Mn及びMwは前述のGPC測定に基づき測定した値である。
また、前記化合物(IV)中に含有するフッ素原子の含有率は、2〜35質量%の範囲が硬化塗膜の防汚性の点から好ましい。さらに、化合物(IV)中の重合性不飽和基の含有量は、重合性不飽和基当量として200〜5,000g/eq.となる割合であることが、硬化塗膜の防汚性に優れる点から好ましく、とりわけ500〜3,000g/eq.の範囲であることが特に好ましい。
また、PFPE鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV)としては、例えば、特開2012−92308号公報で提供されているアダマンチル基を有するものを用いると、硬化塗膜の表面硬度をより高めることができる。さらに、特開2011−74248号公報で提供される、PFPE鎖とその両末端に重合性不飽和基を有する化合物(IV−1)と、反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(IV−2)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる共重合体に、前記官能基(α)と反応性を有する官能基(β)と2つ以上の重合性不飽和基とを有する化合物(IV−3’)を反応させて得られる化合物であってもよい。
また、含フッ素アセトフェノン誘導体(III)と、フッ素系界面活性剤との配合割合としては、組成物への相溶性の観点から、含フッ素アセトフェノン誘導体(III)/フッ素系界面活性剤で表される質量比で1/1〜1/1000の範囲であることが好ましく、特にフッ素系界面活性剤として、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV)を用いる場合は、(III)/(IV)の質量比が1/5〜1/500の範囲であることが好ましい。
紫外線等の活性エネルギー線を照射して、本発明の反射防止塗料組成物を硬化させる場合には、本発明の反射防止塗料組成物に重合開始剤(V)を配合する。この重合開始剤(V)としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、アゾビスイソブチロニトリル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4’−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4’−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’’−ジエチルイソフタロフェン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられ、単独でも2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じてアミン化合物又はリン化合物等の光増感剤を添加し、光重合を促進することもできる。
重合開始剤(V)の配合量は、前記低屈折率剤(I)、活性エネルギー線硬化性化合物(II)及び含フッ素アセトフェノン誘導体(III)、必要に応じて配合されるその他のフッ素系界面活性剤の合計100質量部に対して、0.01〜15質量部の範囲であることが好ましく、0.3〜7質量部の範囲であることがより好ましい。
さらに、本発明の反射防止塗料組成物は、用途、特性等の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、有機溶剤、重合禁止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤等の添加剤を配合することができる。
また、本発明の反射防止塗料組成物に塗布適性を付与するため、有機溶剤を添加して粘度調整を行っても構わない。ここで使用し得る有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤;エトキシプロピオネート等のプロピオネート系溶剤;トルエン、キシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤;ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素化合物系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;カルバミン酸エステル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
ここで有機溶媒の使用量は、用途や目的とする膜厚や粘度によって異なるが、前記低屈折率剤(I)、活性エネルギー線硬化性化合物(II)及び含フッ素アセトフェノン誘導体(III)、必要に応じて配合されるその他のフッ素系界面活性剤の合計に対して、質量基準で、4〜200倍量の範囲であることが好ましい。
本発明の反射防止塗料組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、光、電子線、放射線等の活性エネルギー線が挙げられる。具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。なお、電子線で硬化させる場合には、本発明の反射防止塗料組成物への前記重合開始剤の配合は不要である。
これらの活性エネルギー線の中でも特に紫外線であることが好ましい。また、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射すると塗膜の表面硬化性が向上するため好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、活性エネルギー線にて硬化した後、熱処理を行ってもよい。
本発明の反射防止塗料組成物の塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、カーテンコーター、シャワーコーター、スピンコーター、スリットコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法が挙げられる。
本発明の反射防止フィルムは、本発明の反射防止塗料組成物の硬化塗膜を有するものであるが、具体的には、下記のような方法で作製することができる。
(1)まず基材にハードコート材を塗布・硬化してハードコート層の塗膜を形成する。
(2)上記のハードコート層に本発明の反射防止塗料組成物を塗布・硬化して低屈折率層の塗膜を形成する。この低屈折率層が反射防止フィルムの最表面となる。
なお、上記ハードコート層と低屈折率層との間に、中屈折率層及び/又は高屈折率層を設けても構わない。
前記ハードコート材は、比較的表面硬度が高い硬化塗膜が得られるものであれば、特に制限なく用いることができるが、前記活性エネルギー線硬化性化合物(II)として例示した活性エネルギー線硬化性単量体(II−1)と活性エネルギー線硬化型樹脂(II−2)とを組み合わせたものが好ましい。
上記のハードコート層の厚さは、0.1〜100μmの範囲にあることが好ましく、1〜30μmの範囲にあることがより好ましく、3〜15μmの範囲にあることがさらに好ましい。ハードコート層の厚さがこの範囲にあれば、基材との密着性、反射防止フィルムの表面硬度が高くなる。また、ハードコート層の屈折率は、特に制限はないが、屈折率が高いと、上記の中屈折率層や高屈折率層を設けなくても、良好な反射防止が可能となる。
本発明の反射防止塗料組成物を塗布・硬化して形成する低屈折率層の厚さは、50〜300nmの範囲にあることが好ましく、50〜150nmの範囲にあることがより好ましく、80〜120nmの範囲にあることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さがこの範囲であれば、反射防止効果を向上することができる。また、低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.45の範囲にあることが好ましく、1.23〜1.42の範囲にあることがより好ましい。低屈折率層の屈折率がこの範囲であれば、反射防止効果を向上することができる。
上記の中屈折率層又は高屈折率層の厚さは、10〜300nmの範囲にあることが好ましく、30〜200nmの範囲にあることがより好ましい。また、中屈折率層又は高屈折率層屈折率は、その上下に存在する低屈折率層及びハードコート層の屈折率によって選択されるが、1.40〜2.00の範囲内で任意に設定することができる。
上記の中屈折率層又は高屈折率層を形成するための材料としては、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化できる樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの樹脂に、高屈折率の無機微粒子を配合することがより好ましい。
前記高屈折率の無機微粒子としては、屈折率が1.65〜2.00であるものが好ましく、例えば、1.90である酸化亜鉛、屈折率が2.3〜2.7であるチタニア、屈折率が1.95であるセリア、屈折率が1.95〜2.00である錫ドープ酸化インジウム、屈折率が1.75〜1.85であるアンチモンドープ酸化錫、屈折率が1.87であるイットリア、屈折率が2.10であるジルコニア等が挙げられる。これらの高屈折率の無機微粒子は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、中屈折率層又は高屈折率層を形成する方法としては、本発明の反射防止塗料組成物と同一とすることで、生産性を向上することができるため、本発明の反射防止塗料組成物を紫外線で硬化する場合は、紫外線硬化性組成物が用いて中屈折率層又は高屈折率層を形成することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムに用いる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンー1等のポリオレフィンフィルム;トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系フィルム;ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム(例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」)、変性ノルボルネン系樹脂フィルム(例えば、(JSR株式会社製「アートン」)、環状オレフィン共重合体フィルム(例えば、三井化学株式会社製「アペル」)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリルフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは2種以上貼り合わせて用いても良い。また、これらのフィルムは、シート状であっても良い。フィルム基材の厚さは、20〜500μmが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの反射率は、2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
H−NMR測定条件]
装置 : 日本電子株式会社 FT-NMR
JNM−ECM400S(400MHz)
測定溶媒 : 重クロロホルム(CDCl3-d1)
内部標準物質 : テトラメチルシラン(TMS)
〔マイケル付加供与体の合成〕
以下に、α−アミノアセトフェノン誘導体であるマイケル付加供与体の合成例を記述する。
合成例1:化合物(D1)の合成
撹拌機、温度計、窒素導入管、アルカリトラップ及び滴下ロートを備えた1L四つ口フラスコに塩化アルミニウム(無水)の121.8gと脱水ジクロロメタンの300mLを仕込み、窒素気流下、氷浴を用いて氷冷した。これにブチリルクロリドの92.7gを添加した。フルオロベンゼンの83.6gと脱水ジクロロメタンの100mLの混合溶液を、滴下ロートを用いて先のフラスコ中へ20分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、2時間攪拌して反応を完結させた。反応液を氷水1L中へ投入し、2時間攪拌を続けた。静置後分液し、下層を回収した。2N塩酸で2回洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧留去し、中間生成物(101)を得た。収量:144.5g、収率:100%
撹拌機、温度計、窒素導入管、アルカリトラップ及び滴下ロートを備えた5L四つ口フラスコに中間生成物(101)の989gと脱水ジクロロメタンの1500mLと酢酸の125mLを仕込み、窒素気流下で臭素の1000gを20〜30℃で滴下し、1時間反応させた。反応終了後、8M水酸化ナトリウムで中和した後、水で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄した。硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧留去し、中間生成物(102)を得た。収量:1459g、収率:100%
攪拌機、温度計を備えた3L四つ口フラスコに、50%ジメチルアミン水溶液の402gとメチルエチルケトンの1000mLを仕込み、氷浴を用いて氷冷した。そこに中間生成物(102)の490gを、滴下ロートを用いて30分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、一昼夜攪拌を続けた。攪拌終了後、メチルエチルケトンを減圧留去し、濃縮残渣をトルエン抽出した。水洗を2回、さらに飽和食塩水で1回洗浄し、トルエン層を硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。トルエンを減圧留去して淡黄色液体の中間生成物(103)を得た。収量:402g、収率:96%
攪拌機、温度計、冷却管を備えた3L四つ口フラスコに、中間生成物(103)の209gとメチルエチルケトンの400mLを仕込み、ベンジルブロミドの205gを滴下し、40℃で2時間攪拌した。次に、8M水酸化ナトリウム水溶液の188mLを添加し、50℃で2時間攪拌した。反応溶液に対して水洗を3回、飽和塩化ナトリウム水で1回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。メチルエチルケトンを減圧留去し、得られた濃縮残渣をメタノールから再結晶し、淡黄色結晶の中間生成物(106)を得た。収量:254g、収率:85%
攪拌機、温度計を備えた500mL四つ口フラスコに、中間生成物(106)の30.0gと無水ピペラジンの25.8gを加え、窒素雰囲気下、120℃で15時間加熱した。終了後、蒸留水を添加して反応を停止し、ジクロロメタンで抽出した。水洗を3回、飽和塩化ナトリウム水で1回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、黄色油状のマイケル供与体生成物(D1)を得た。収量:36.5g、収率:100%
合成例2:化合物(D2)の合成
合成例1において、ベンジルブロミドの205gの代わりに222gのα−ブロモ−p−キシレンを使用した以外は合成例1の記載の方法に従って、黄色油状のマイケル供与体生成物(D2)を合成した。
合成例3:化合物(D9)の合成
合成例1において、ベンジルブロミドの205gの代わりに300gの4−ブロモベンジルブロミドを使用した以外は合成例1の記載の方法に従って、黄色油状のマイケル供与体生成物(D9)を合成した。
合成例4:化合物(D16)の合成
合成例1において、無水ピペラジンの25.8gの代わりに26.4gのN,N’−ジメチルエチレンジアミンを使用した以外は合成例1の記載の方法に従って、黄色油状のマイケル供与体生成物(D16)を合成した。
合成例5:化合物(D17)の合成
合成例1において、50%ジメチルアミン水溶液の代わりにメチルドデシルアミンを使用した以外は合成例1の記載の方法に従って、黄色油状のマイケル供与体生成物(D16)を合成した。
合成例6:化合物(D18)の合成
攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mL四つ口フラスコに、α−ブロモメチル安息香酸メチルの27.5gとイソプロピルアルコールの40mLを仕込み、合成例1で合成した中間生成物(103)の20.9gを添加し、40℃で2時間攪拌した。次に、8M水酸化ナトリウム水溶液の31mLを添加し、50℃で2時間攪拌した。イソプロピルアルコールを減圧留去し、残った反応混合物を6N塩酸でpH5に調整した。トルエンで抽出し、2回の水洗と1回の飽和食塩水洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。有機溶剤を減圧留去し、得られた濃縮残渣を酢酸エチルとヘキサンから再結晶し、淡黄色粉末の中間生成物(107)を得た。収量:27.8g、収率:81%
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた200mLフラスコに、中間生成物(107)の3.43gと0.1mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と15mLの塩化メチレンを加えて溶解し、これに1.79gの塩化チオニルを滴下して2時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し、濃縮残渣を30mLのジクロロメタンに溶解して酸クロリドのジクロロメタン溶液を調製した。攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた別の300mLフラスコにモルホリン2mLと30mLの塩化メチレンを加えて溶解し、これに前述の酸クロリドのジクロロメタン溶液を20分かけて滴下した。30分間攪拌して反応を完結させ、1M−水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応を停止させた。反応液を分液ロートに移し、有機層を2回水洗した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色油状の中間生成物(108)を得た。収量:3.22g、収率:78%
攪拌機、温度計を備えた50mL3つ口フラスコに、中間生成物(108)の2.06gと無水ピペラジンの1.29gを加え、窒素雰囲気下、120℃で15時間加熱した。終了後、蒸留水を添加して反応を停止し、ジクロロメタンで抽出した。水洗を3回、飽和塩化ナトリウム水で1回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、黄色油状のマイケル供与体生成物(D18)を得た。収量:2.39g、収率:100%
合成例7:化合物(D20)の合成
合成例6において、モルホリンの代わりにジオクチルアミンを使用した以外は合成例6の記載の方法に従って、黄色油状のマイケル供与体生成物(D20)を合成した。
合成例8:化合物(D23)の合成
攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mL四つ口フラスコに、2−[4−(ブロモメチル)フェニル]プロピオン酸の29.2gとイソプロピルアルコールの40mLを仕込み氷冷下で8M水酸化ナトリウム水溶液の15mLを添加し、同温度で30分攪拌した。合成例1で合成した中間生成物(103)の20.9gを添加し、20℃で3時間攪拌した。次に、8M水酸化ナトリウム水溶液の22mLを添加し、50℃で2時間攪拌した。イソプロピルアルコールを減圧留去し、残った反応混合物を6N塩酸でpH5に調整した。トルエンで抽出し、2回の水洗と1回の飽和食塩水洗浄を行い、有機層を硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。有機溶剤を減圧留去し、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、黄色油状の中間生成物(109)を得た。収量:24.1g、収率:65%
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた200mLフラスコに、中間生成物(109)の3.71gと0.1mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と15mLの塩化メチレンを加えて溶解し、これに1.79gの塩化チオニルを滴下して2時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し、濃縮残渣を30mLのジクロロメタンに溶解して酸クロリドのジクロロメタン溶液を調製した。攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた別の300mLフラスコにモルホリン2mLと30mLの塩化メチレンを加えて溶解し、これに前述の酸クロリドのジクロロメタン溶液を20分かけて滴下した。30分間攪拌して反応を完結させ、1M−水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応を停止させた。反応液を分液ロートに移し、有機層を2回水洗した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、黄色油状の中間生成物(110)を得た。収量:3.65g、収率:83%
攪拌機、温度計を備えた50mL3つ口フラスコに、中間生成物(108)の2.20gと無水ピペラジンの1.29gを加え、窒素雰囲気下、120℃で15時間加熱した。終了後、蒸留水を添加して反応を停止し、ジクロロメタンで抽出した。水洗を3回、飽和塩化ナトリウム水で1回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、黄色油状のマイケル供与体生成物(D23)を得た。収量:2.53g、収率:100%
合成例9:化合物(D24)の合成
合成例8において、モルホリンの代わりにジオクチルアミンを使用した以外は合成例8の記載の方法に従って、黄色油状のマイケル供与体生成物(D24)を合成した。
〔マイケル付加受容体の合成〕
以下に、パーフルオロポリエーテル(PFPE)基の両末端に、マイケル付加受容部位として機能するアクリレート基を有するマイケル付加受容体の合成を例示する。
合成例10
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、下記構造式(A−1)で表される両末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物20g、溶媒としてジイソプロピルエーテル20g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02g、中和剤としてトリエチルアミン3.1gを仕込み、空気気流下にて攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらアクリル酸クロライド2.7gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてアクリル酸クロライドの消失が確認された。次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル40gを追加した後、イオン交換水80gを混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02gを添加し、脱水剤として硫酸マグネシウム8gを添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別した。
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均7個、パーフルオロエチレン基が平均8個存在するものであり、フッ素原子の数が平均46である。また、GPCによる数平均分子量は1,500である。)
次いで、減圧下で溶媒を留去することによって、下記構造式(A−2)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するマイケル付加受容体を得た。
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均7個、パーフルオロエチレン基が平均8個存在するものであり、フッ素原子の数が平均46である。)
合成例11
攪拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン55.88g下記構造式(A−3)で表される両末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物50g、p−メトキシフェノール0.022g、ジブチルヒドロキシトルエン0.168g、オクチル酸錫0.017gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、75℃を保ちながら1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート5.87gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、75℃で1時間攪拌し、80℃に昇温して10時間攪拌し、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認した。
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均19個、パーフルオロエチレン基が平均19個存在するものであり、フッ素原子の数が平均114である。)
有機溶剤を減圧留去し、下記構造式(A−4)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するマイケル付加受容体を得た。
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均19個、パーフルオロエチレン基が平均19個存在するものであり、フッ素原子の数が平均114である。)
合成例12
攪拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン53.57g、下記構造式(A−5)で表される片末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物50g、p-メトキシフェノール0.021g、ジブチルヒドロキシトルエン0.161g、オクチル酸錫0.016g、中和剤としてトリエチルアミン3.1gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、フラスコ内を10℃に保ちながらアクリル酸クロライド1.40gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10℃で1時間攪拌し、昇温して30℃で1時間攪拌した後、50℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行い、ガスクロマトグラフィー測定にてアクリル酸クロライドの消失が確認された。次いで、溶媒としてジイソプロピルエーテル40gを追加した後、イオン交換水80gを混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.02gを添加し、脱水剤として硫酸マグネシウム8gを添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別した。
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均18個、パーフルオロエチレン基が平均21個存在するものであり、フッ素原子の数が平均120である。)
次いで、減圧下で溶媒を留去することによって、下記構造式(A−6)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するマイケル付加受容体を得た。
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均18個、パーフルオロエチレン基が平均21個存在するものであり、フッ素原子の数が平均120である。)
合成例13
攪拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン53.57g、構造式(A−5)で表される片末端水酸基含有パーフルオロポリエーテル化合物50g、p-メトキシフェノール0.021g、ジブチルヒドロキシトルエン0.161g、オクチル酸錫0.016gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、75℃を保ちながら1.1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート3.57gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、75℃で1時間攪拌し、80℃に昇温して10時間攪拌し、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認した。
次いで、減圧下で溶媒を留去することによって、下記構造式(A−7)で表されるポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するマイケル付加受容体を得た。
(式中、Xはパーフルオロメチレン基及びパーフルオロエチレン基であり、1分子あたり、パーフルオロメチレン基が平均18個、パーフルオロエチレン基が平均21個存在するものであり、フッ素原子の数が平均120である。)
〔マイケル付加体の合成〕
以下に、α−アミノアセトフェノン構造を有するマイケル付加供与体と、パーフルオロポリエーテル(PFPE)基を有するマイケル付加受容体から合成されるマイケル付加体の合成を例示する。
合成例14
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例1で得られたマイケル付加供与体(D1)7.3gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M1)〕22.3gを得た。化合物(M1)のH−NMRチャートを図1に示す。
合成例15
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例2で得られたマイケル付加供与体(D2)7.6gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M2)〕22.6gを得た。化合物(M2)のH−NMRチャートを図2に示す。
合成例16
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例3で得られたマイケル付加供与体(D9)8.9gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M9)〕23.9gを得た。化合物(M9)のH−NMRチャートを図3に示す。
合成例17
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例4で得られたマイケル付加供与体(D16)7.4gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M16)〕22.4gを得た。
合成例18
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例5で得られたマイケル付加供与体(D17)10.4gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M17)〕25.4gを得た。
合成例19
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例6で得られたマイケル付加供与体(D18)9.6gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M18)〕24.6gを得た。化合物(M18)のH−NMRチャートを図4に示す。
合成例20
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例7で得られたマイケル付加供与体(D20)12.6gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M20)〕27.6gを得た。化合物(M20)のH−NMRチャートを図5に示す。
合成例21
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例8で得られたマイケル付加供与体(D23)10.1gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M23)〕25.1gを得た。
合成例22
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例10で合成したマイケル付加受容体(A−2)15.0gと、合成例9で得られたマイケル付加供与体(D24)13.2gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M24)〕28.2gを得た。
合成例23
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた300mLの三口フラスコに合成例11で合成したマイケル付加受容体(A−4)45.0gと、合成例1で得られたマイケル付加供与体(D1)14.6gと、アセトニトリル100mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M37)〕59.6gを得た。
合成例24
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた200mLの三口フラスコに合成例11で合成したマイケル付加受容体(A−4)15.0gと、合成例2で得られたマイケル付加供与体(D2)5.1gと、アセトニトリル50mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M38)〕20.1gを得た。
合成例25
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコに合成例12で合成したマイケル付加受容体(A−6)13.1gと、合成例1で得られたマイケル付加供与体(D1)1.5gと、アセトニトリル15mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M60)〕14.6gを得た。
合成例26
撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた300mLの三口フラスコに合成例13で合成したマイケル付加受容体(A−7)50.0gと、合成例1で得られたマイケル付加供与体(D1)10.1gと、アセトニトリル100mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、含フッ素アセトフェノン誘導体〔前記の化合物(M96)〕60.1gを得た。
合成例27:フッ素系界面活性剤(1)の合成
撹拌装置、温度計、冷却管を備えたガラスフラスコに、溶媒としてイソプロピルエーテル26.4gと、下記式で表される片末端に水酸基を有するシリコーン化合物を25.2gと、触媒としてトリエチルアミン0.66gを仕込み、フラスコ内温度を5℃に保ったまま、30分間攪拌した。
次いで、2−ブロモイソ酪酸ブロミド1.50gを仕込んで3時間攪拌し、40℃に昇温して8時間攪拌した。反応終了後、イオン交換水80gを混合して攪拌してから静置し水層を分離させて取り除く方法による洗浄を3回繰り返した。次いで、脱水剤として硫酸マグネシウム8gを添加して1日間静置することで完全に脱水した後、脱水剤を濾別した。その後、減圧下で溶媒を留去することで、下記式に示されるラジカル生成能を有する官能基と分子量2,000以上のシリコーン鎖を1本含む化合物を得た。
窒素導入管、撹拌装置、温度計、冷却管を備え、窒素置換したガラスフラスコに、イソプロピルアルコール30.70g、メチルエチルケトン30.70g、トリデカフルオロヘキシルエチルメタクリレート10.93g、メトキシベンゼン0.5470gを窒素気流下にて攪拌しながら25℃で1時間攪拌した。次いで、塩化第一銅0.4510g、臭化第二銅0.1130g、2,2−ビピリジル1.581gを仕込み、30分攪拌した。60℃に昇温した後に、前記ラジカル生成能を有する官能基と分子量2,000以上のシリコーン鎖を1本含む化合物30gを加え、フラスコ内温度を60℃に保ったまま4時間攪拌した。その後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6.585gを仕込み、1時間攪拌した。その後75℃に昇温して31時間攪拌した。空気下にて85%りん酸水溶液1.167gを加えて2時間攪拌し、析出した固形分を濾別した。イオン交換樹脂による触媒の除去を行い、イオン交換樹脂を濾別してブロック共重合体を得た。次いで、窒素導入管、撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、得られた共重合体32.54g、メチルイソブチルケトン36.70g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.0149質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.1116g及びウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.0111gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート4.67gを加えた。その後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温し4時間攪拌することにより、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認し、メチルイソブチルケトン50.46gを加えることで活性エネルギー線硬化性基を有するフッ素系界面活性剤を30質量%含有するメチルイソブチルケトン溶液を得た。得られたフッ素系界面活性剤の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量10,500、重量平均分子量12,000であった。
合成例28:フッ素系界面活性剤(2)の合成
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、メチルイソブチルケトン63gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、合成例10で合成した、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖を有するジアクリレート体(A−2)21.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート41.3g、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート9.4gとメチルイソブチルケトン126gを混合した開始剤溶液135.4gの3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去することによって、重合体(P−1)67.5gを得た。次いで、溶媒としてメチルエチルケトン74.7g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1g、ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレート0.06gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート44.8gを1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌することにより反応を行った結果、IRスペクトル測定によりイソシアネート基の消失が確認された。次いで、メチルエチルケトン37.4gを添加し、PFPE鎖と重合性不飽和基とを有するフッ素系界面活性剤(2)50%含有のメチルエチルケトン溶液224.6gを得た。分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,400、重量平均分子量7,100、最大分子量20万であった。
合成例29:フッ素系界面活性剤(3)の合成
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン74.2質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら90℃に昇温した。次いで、トリデカフルオロヘキシルエチルメタクリレート9質量部と、下記で表される単量体36質量部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート26.4質量部をメチルイソブチルケトン128.9質量部に溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート10.7質量部をメチルイソブチルケトン11.6質量部に溶解した重合開始剤溶液との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を90℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で13時間攪拌して、重合体(P−2)の溶液を得た。
上記の重合体(P−2)の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.04質量部、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.03質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート27.7質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌することにより、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認された。次いで、メチルイソブチルケトンを加え、フッ素系界面活性剤(3)を20質量%含有するメチルイソブチルケトン溶液を得た。得られたフッ素系界面活性剤(3)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,400、重量平均分子量6,400であり、重合性不飽和基当量は493g/eq.であった。
合成例30:フッ素系界面活性剤(4)の合成
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン96.7gを仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら105℃に昇温した。次いで、合成例10で得られた化合物(A−2)74gと、化71で表されるシリコーン基を有する重合性不飽和単量体37g及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート45.4gをメチルイソブチルケトン126gに溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート23.5gをメチルイソブチルケトン67.8gに溶解した重合開始剤溶液との3種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を105℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃で10時間攪拌して、重合体(P−3)の溶液を得た。上記の重合体(P−3)の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.2g、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.06gを仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート49.1gを1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌し、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認した。次いで、メチルイソブチルケトンを加え、フッ素系界面活性剤(4)を40%含有するメチルイソブチルケトン溶液を得た。得られたフッ素系界面活性剤(4)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,700、重量平均分子量8,000であり、重合性不飽和基当量は588g/eq.であった。
<反射防止塗料組成物の調整>
中空シリカ微粒子(平均粒子径60nm)を20質量%含有するメチルイソブチルケトン分散液15質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.6質量部、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア127」)0.1質量部、溶剤としてメチルイソブチルケトン100質量部を混合し溶解させて、反射防止塗料組成物のベース組成物を得た。上記で得られた反射防止塗料組成物のベース組成物98.5質量部に対しフッ素系界面活性剤を1.6質量部、表に示す量の含フッ素アセトフェノン誘導体を添加し、均一に混合して本発明の反射防止塗料組成物を調整した。
<ハードコート層用塗料組成物の配合>
ウレタンアクリレート(日本合成化学工業株式会社の「UV1700B」)30質量部、酢酸ブチル25質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュア184」)1.2質量部、溶剤としてトルエン11.78質量部、2−プロパノール5.892質量部、酢酸エチル5.892質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル5.892質量部を混合し溶解させて、ハードコート層用塗料組成物を得た。
<反射防止フィルムの調整>
得られたハードコート層用塗料組成物をバーコーターNo.13を使用して、厚さ188μmのPETフィルムに塗布した後、70℃の乾燥機に1分間入れて溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置(窒素雰囲気下、高圧水銀灯使用、紫外線照射量0.5kJ/m)にて硬化させ、膜厚8μmのハードコート層を片面に有するハードコートフィルムを作製した。反射防止塗料組成物を上記で得られたハードコートフィルムのハードコート層上にバーコーターNo.2で塗布した後、50℃の乾燥機に1分30秒間入れて溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置(窒素雰囲気下、高圧水銀灯使用、紫外線照射量2kJ/m)にて硬化させ、ハードコート層上に膜厚0.1μmの反射防止層を有するフィルム(反射防止フィルム)を作製した。得られた反射防止フィルムの硬化塗膜表面について、耐擦傷性の評価を行った。
<耐擦傷性評価>
新東科学製トライボギア表面性測定機TYPE:38を用いて、2cm×2cmの圧子にスチールウール#0000を取り付け、400gの荷重をかけ、10回往復させた。試験後の塗膜表面に付いた傷の本数を数えて、下記の基準によって耐擦傷性を評価した。
○:傷の本数が3本未満である。
△:傷の本数が4本以上10本未満である。
×:傷の本数が10本以上である。

Claims (11)

  1. 低屈折率剤(I)と、
    活性エネルギー線硬化性化合物(II)と、
    (メタ)アクリロイル基を有するポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と、光分裂によりラジカル種を発生可能なα−アミノアセトフェノン系化合物とのマイケル付加物である含フッ素アセトフェノン誘導体(III)と、
    を含有することを特徴とする反射防止塗料組成物。
  2. 前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)が、
    下記一般式(1)又は(2)
    〔式(1)、(2)中、Aは直接結合、二価又は三価の連結基であり、直接結合又は二価の連結基の場合mは1であり、三価の連結基の場合mは2である。Yは下記一般式(3)又は下記一般式(4)
    (X、Xはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、X及びXを構成する炭素原子は互いに直接または置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を介して結合していてもよく、Xは置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、R、Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基である)であり、
    Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい脂肪族基であり、nはそれぞれ独立して0〜4の整数であり、R、R2はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基であり、RとRとはそれぞれ一体となって環を形成してもよく、Rは置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基であり、PFPEはポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖である。〕
    で表されるものである請求項1記載の反射防止塗料組成物。
  3. 前記一般式(1)、(2)中のRが、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、又は−X−X−Xで表される有機基〔但し、Xは単結合又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン鎖であり、Xはカルボニル基、チオカルボニル基、−OCONH−、−NHCOO−、又は−NHCONH−であり、Xは−NR(但し、R、Rはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有してもよいアリール基である。)、又は下記一般式(5)
    (但し、X、Xはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、X及びXを構成する炭素原子は互いに直接または置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を介して結合していてもよく、Xは、単結合、酸素原子、または−NR−〈ただしRは置換基を有していてもよい炭素原子数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である〉である。)〕
    である請求項2記載の反射防止塗料組成物。
  4. 前記一般式(1)、(2)中のYが、下記式(6)
    であり、Rが水素であり、R1およびRがメチル基であり、Rが炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子、メチル基、エチル基、クロロ基、ブロム基、または下記式(7)〜(9)
    の何れかである請求項2又は3記載の反射防止塗料組成物。
  5. 更に、前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)以外のフッ素系界面活性剤を含有する請求項1〜4の何れか1項記載の反射防止塗料組成物。
  6. 前記フッ素系界面活性剤が、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV)である請求項5記載の反射防止塗料組成物。
  7. 前記ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖と重合性不飽和基とを有する化合物(IV)が、ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖とその両末端に重合性不飽和基を有する構造部位を有する化合物(IV−1)と、反応性官能基(α)を有する重合性不飽和単量体(IV−2)とを必須の原料とする共重合体と、前記反応性官能基(α)に対して反応性を有する反応性官能基(β)と重合性不飽和基とを有する化合物(IV−3)との反応物である請求項6記載の反射防止塗料組成物。
  8. 前記低屈折率剤(I)が中空シリカ微粒子である請求項1〜7の何れか1項記載の反射防止塗料組成物。
  9. 前記含フッ素アセトフェノン誘導体(III)の配合割合が、組成物中の固形分に対して0.01〜5.0質量%の範囲である請求項1〜8の何れか1項記載の反射防止塗料組成物。
  10. 請求項1〜8の何れか1項記載の反射防止塗料組成物の硬化塗膜を有することを特徴とする反射防止フィルム。
  11. 前記硬化塗膜の膜厚が50〜300nmである請求項10記載の反射防止フィルム。
JP2017121337A 2017-06-21 2017-06-21 反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム Active JP6863123B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017121337A JP6863123B2 (ja) 2017-06-21 2017-06-21 反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017121337A JP6863123B2 (ja) 2017-06-21 2017-06-21 反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019006851A true JP2019006851A (ja) 2019-01-17
JP6863123B2 JP6863123B2 (ja) 2021-04-21

Family

ID=65028352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017121337A Active JP6863123B2 (ja) 2017-06-21 2017-06-21 反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6863123B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021024179A (ja) * 2019-08-02 2021-02-22 三菱ケミカル株式会社 積層体
JP2021024936A (ja) * 2019-08-02 2021-02-22 三菱ケミカル株式会社 硬化物、積層体

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054336A1 (ja) * 2003-12-03 2005-06-16 Asahi Glass Company, Limited ペリクルおよび新規な含フッ素重合体
JP2008519760A (ja) * 2004-11-10 2008-06-12 サン ケミカル リミテッド ピペラジノ系の光開始剤
JP2009540390A (ja) * 2006-06-13 2009-11-19 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 反射防止フィルムの低屈折率層に好適なフルオロ(メタ)アクリレートポリマー組成物
WO2011001928A1 (ja) * 2009-06-29 2011-01-06 Dic株式会社 マイケル付加反応物及び活性エネルギー線硬化性組成物
JP2015151495A (ja) * 2014-02-17 2015-08-24 太陽インキ製造株式会社 光硬化性組成物および成形品
WO2015174402A1 (ja) * 2014-05-15 2015-11-19 Dic株式会社 化合物、活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物、印刷インキ及びインクジェット記録用インキ
WO2017014145A1 (ja) * 2015-07-23 2017-01-26 Dic株式会社 含フッ素化合物、リビング重合開始剤、含フッ素重合体、含フッ素重合体の製造方法及びレジスト組成物
JP2017019979A (ja) * 2015-07-15 2017-01-26 Dic株式会社 活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及びその印刷物
WO2018163442A1 (ja) * 2017-03-10 2018-09-13 Dic株式会社 含フッ素アセトフェノン誘導体、フッ素系添加剤及びこれを含有する硬化性組成物とその硬化物

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054336A1 (ja) * 2003-12-03 2005-06-16 Asahi Glass Company, Limited ペリクルおよび新規な含フッ素重合体
JP2008519760A (ja) * 2004-11-10 2008-06-12 サン ケミカル リミテッド ピペラジノ系の光開始剤
JP2009540390A (ja) * 2006-06-13 2009-11-19 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 反射防止フィルムの低屈折率層に好適なフルオロ(メタ)アクリレートポリマー組成物
WO2011001928A1 (ja) * 2009-06-29 2011-01-06 Dic株式会社 マイケル付加反応物及び活性エネルギー線硬化性組成物
JP2015151495A (ja) * 2014-02-17 2015-08-24 太陽インキ製造株式会社 光硬化性組成物および成形品
WO2015174402A1 (ja) * 2014-05-15 2015-11-19 Dic株式会社 化合物、活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物、印刷インキ及びインクジェット記録用インキ
JP2017019979A (ja) * 2015-07-15 2017-01-26 Dic株式会社 活性エネルギー線硬化性印刷インキ、及びその印刷物
WO2017014145A1 (ja) * 2015-07-23 2017-01-26 Dic株式会社 含フッ素化合物、リビング重合開始剤、含フッ素重合体、含フッ素重合体の製造方法及びレジスト組成物
WO2018163442A1 (ja) * 2017-03-10 2018-09-13 Dic株式会社 含フッ素アセトフェノン誘導体、フッ素系添加剤及びこれを含有する硬化性組成物とその硬化物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021024179A (ja) * 2019-08-02 2021-02-22 三菱ケミカル株式会社 積層体
JP2021024936A (ja) * 2019-08-02 2021-02-22 三菱ケミカル株式会社 硬化物、積層体
JP7099414B2 (ja) 2019-08-02 2022-07-12 三菱ケミカル株式会社 積層体
JP7167877B2 (ja) 2019-08-02 2022-11-09 三菱ケミカル株式会社 硬化物、積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP6863123B2 (ja) 2021-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4873107B2 (ja) 含フッ素硬化性樹脂及びそれを用いた活性エネルギー線硬化性組成物
US11084891B2 (en) Photocurable resin composition, ink and coating material
US10961405B2 (en) Fluorine-containing acetophenone derivative, fluroine based additive, curable composition including same, and cured product thereof
CN109689624B (zh) 过氧化肉桂酸酯衍生物、含有该化合物的聚合性组合物
TWI582229B (zh) 消泡劑、界面活性劑組成物、塗料組成物及光阻組成物
JP6404557B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
CN112236420A (zh) 具有噻吨酮骨架的二烷基过氧化物、含有该化合物的聚合性组合物
JP6863123B2 (ja) 反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム
JP5884988B2 (ja) ウレタン化合物を含む高耐擦傷性インプリント材料
JPH10330317A (ja) ヒドロキシアルキルフェノン誘導体及びその用途
JP2013095833A (ja) 高屈折率インプリント材料
JP5981750B2 (ja) ハードコート性樹脂組成物及びその硬化物並びに硬化物の製造方法
JP5571968B2 (ja) 硬化性組成物及びその硬化物
JP7070002B2 (ja) 多分岐ウレタン化合物含有重合性組成物
WO2015025836A1 (ja) 含フッ素ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性組成物及び反射防止フィルム
JP2009096857A (ja) 硬化性組成物およびその成形体
WO2019107026A1 (ja) 含フッ素活性エネルギー線硬化性樹脂、撥液剤、これを含む樹脂組成物及び硬化膜
JP2005298665A (ja) 高屈折率材料
JP6011855B2 (ja) カラーフィルター画素形成用組成物、カラーフィルター、液晶表示装置及び有機el表示装置。
JP2009114374A (ja) 組成物および硬化物
JP2018131588A (ja) フォトスペーサー用樹脂、フォトスペーサー用樹脂組成物、フォトスペーサー及びカラーフィルタ
WO2023027010A1 (ja) 感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置
WO2019111798A1 (ja) 固体樹脂を含有するモールド用離型剤
JP2022112753A (ja) アルカリ可溶性樹脂、感光性樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置
JP2019172960A (ja) 硬化性樹脂組成物及びその用途

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20180220

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190624

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210315

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6863123

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250