JP2019005261A - 皮膜形成性外用製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、炭素数1〜4の1価アルコール及び/又はベンジルアルコール、炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル、及びニトロセルロースを含む皮膜形成性外用製剤が容器に収容されている外用製品において、当該容器の構成素材として含まれる樹脂の変色を抑制する技術を提供することである。【解決手段】炭素数1〜4の1価アルコール、炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル、及びニトロセルロースと共に、パンテノール類を含む皮膜形成性外用製剤は、容器の構成素材として含まれる樹脂の変色を抑制できる。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膜形成性外用製剤が容器に収容されている外用製品に関する。より具体的には、本発明は、皮膜形成性外用製剤が、樹脂を構成素材として含む容器に収容されている外用製品であって、当該樹脂の変色を抑制できる外用製品に関する。
ひび、あかぎれ、さかむけ、切り傷等の皮膚損傷部を細菌の侵入や感染から予防する衛生材料として、絆創膏が知られている。絆創膏は、粘着剤を積層させたテープ基材の中央部にガーゼや吸収パッドが取り付けられたテープ状絆創膏タイプと、使用前は液状を呈するが、皮膚に適用すると皮膜を形成する液体絆創膏に大別される。テープ状絆創膏では、粘着剤が皮膚を刺激したり、剥離時に皮膚に物理的刺激を与えたりするため、皮膚に発赤、かぶれ、痒み等を生じさせることがある。更に、皮膚損傷部位の大きさや形状は、損傷部位や損傷原因等によって種々異なるため、大きさや形状が予め決められているテープ状絆創膏では、皮膚損傷部位を選択的に被覆することができないという欠点もある。これに対して、液体絆創膏とも称されている皮膜形成性外用製剤は、粘着剤を使用しておらず、剥離時の物理的刺激も緩和されており、更に、損傷部位に選択的に塗布することにより損傷部位の大きさや形状に応じた皮膜を形成できるため、テープ状絆創膏の前記欠点を補うものとして注目を浴びている。
従来、皮膜形成性外用製剤では、皮膜形成成分としてニトロセルロースが使用されており、ニトロセルロースを利用した皮膜形成性外用製剤の製剤処方も種々報告されている。例えば、特許文献1には、炭素数1〜4の1価アルコール及び/又はベンジルアルコールと、炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステルと、ニトロセルロースとを所定量含む皮膜形成性外用製剤は、水と接触しても白濁化やゲル化を抑制でき、安定に皮膜を皮膚上で形成可能になることが開示されている。また、特許文献2には、ニトロセルロースと溶剤を含む油性剤と、水溶性高分子を含む水溶液とが油中水型に乳化された皮膚外用剤が、皮膚に対する軟化作用や付着性に優れ、洗浄・除去が容易であることが開示されている。また、特許文献3には、所定量のニトロセルロースとポリビニルピロリドンがアセトン及び低級アルコールの混合溶媒に溶解されている皮膚外用剤が、取り扱いが容易で速乾性に優れていることが開示されている。
また、従来、皮膜形成性外用製剤を収容する容器として、使用簡便性の観点から、皮膜形成性外用製剤を皮膚に塗布するための塗布部材を備え、当該塗布部材と皮膜形成性外用製剤が接触した状態で容器内に収められているものが知られている。このような容器を構成する塗布部材は通常は樹脂製であるが、容器に収容する皮膜形成性外用製剤が当該樹脂に及ぼす影響については、従来検討されていない。
特開2013−79200号公報 特開平2−311414号公報 特開平5−58914号公報
本発明者は、皮膜形成性外用製剤の組成が、容器の構成素材として含まれる樹脂(塗布部材等の素材)に及ぼす影響を検討したところ、炭素数1〜4の1価アルコール及び/又はベンジルアルコール、炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル、及びニトロセルロースを含む皮膜形成性外用製剤は、樹脂素材の変色(黄変)を生じさせ、その外観を悪化させるという課題を新たに見出した。
そこで、本発明の目的は、炭素数1〜4の1価アルコール及び/又はベンジルアルコール、炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル、及びニトロセルロースを含む皮膜形成性外用製剤が容器に収容されている外用製品において、当該容器の構成素材として含まれる樹脂の変色を抑制する技術を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、炭素数1〜4の1価アルコール、炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル、及びニトロセルロースと共に、パンテノール類を含む皮膜形成性外用製剤は、容器の構成素材として含まれる樹脂の変色を抑制でき、当該樹脂の外観を安定に維持できることを見出した。
更に、本発明者は、前記組成の皮膜形成性外用製剤は、使用中の皮膜の接着性と使用後の皮膜の剥離性が共に良好になることをも見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 皮膜形成性外用製剤が容器に収容されている外用製品であって、
前記皮膜形成性外用製剤が、(A)炭素数1〜4の1価アルコール、(B)炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル、(C)ニトロセルロース、及び(D)パンテノール類を含み、
前記容器において、内部に収容した前記皮膜形成性外用製剤と接する領域の少なくとも一部が樹脂で形成されている、外用製品。
項2. 前記容器が、
開口部を有する容器本体と、
前記開口部を着脱自在に閉じるキャップと、
前記キャップに連結され、前記を前記開口に取付けられたとき前記容器の内部空間へ延びるように配置されている、前記皮膜形成性外用製剤を皮膚に塗布するための塗布部材と、
を有する、項1に記載の外用製品。
項3. 前記塗布部材の少なくとも一部が、樹脂で形成されている、項2に記載の外用製品。
項4. 前記樹脂が、ポリオレフィンである、項1〜3のいずれかに記載の外用製品。
項5. 前記樹脂が、ポリプロピレン又はポリエチレンである、項1〜4のいずれかに記載の外用製品。
項6. 前記皮膜形成性外用製剤が、更に(E)可塑剤を含む、項1〜5のいずれかに記載の外用製品。
項7. 前記(E)成分として植物油を0.05〜1.5重量%含む、項6に記載の外用製品。
項8. 前記植物油がヒマシ油である、項7に記載の外用製品。
本発明の外用製品では、皮膜形成性外用製剤を収容している容器の構成素材として含まれる樹脂の変色を抑制できるので、優れた外観を維持することができる。
また、本発明の外用製品で使用される皮膜形成性外用製剤は、皮膚への皮膜の接着性が良好であり、しかも使用後に皮膚から皮膜を剥がし易くなっているので、使用者の利便性を向上させることができる。更に、本発明の外用製品で使用される皮膜形成性外用製剤における好適な一態様では、皮膚上に形成した皮膜からパンテノール類の放出を促進することができるので、パンテノール類の薬理作用(創傷修復作用等)を効果的に発揮させることもできる。
本発明の外用製品で使用される容器の好適な例の断面図である。 試験例1において、実施例2及び比較例1の外用製品を保管した後に塗布部材の軸部の外観を撮影した写真である。 試験例2において、参考例1、2及び比較参考例1の皮膜形成性外用製剤を用いて皮膚に皮膜を形成させた後に、皮膚から皮膜を剥離して、剥離後の皮膜の形状を観察した結果である。
本発明の外用製品は、皮膜形成性外用製剤が容器に収容されている外用製品であって、当該皮膜形成性外用製剤が、炭素数1〜4の1価アルコール(以下、(A)成分と表記することもある)、炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル(以下、(B)成分と表記することもある)、ニトロセルロース(以下、(C)成分と表記することもある)、及びパンテノール類(以下、(D)成分と表記することもある)を含み、且つ、当該容器において、内部に収容した前記皮膜形成性外用製剤と接する領域の少なくとも一部が樹脂で形成されていることを特徴とする。以下、本発明の外用製品について詳述する。
皮膜形成性外用製剤
[(A)炭素数1〜4の1価アルコール]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、溶剤として炭素数1〜4の1価アルコールを含有する。
炭素数1〜4の1価アルコールの種類については、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。
これらの1価アルコールの中でも、好ましくは炭素数2〜4の1価アルコール、更に好ましくはエタノール、イソプロパノール、及びn−ブタノール、特に好ましくはエタノール、及びイソプロパノールが挙げられる。とりわけ、イソプロパノールは、容器の構成素材として含まれる樹脂の変色を顕著にする傾向があるが、本発明では、皮膜形成性外用製剤にイソプロパノールが含まれていても、当該樹脂の変色を効果的に抑制することができる。
これらの1価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
皮膜形成性外用製剤における(A)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば、(A)成分の総量で10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%、更に好ましくは18〜60重量%、特に好ましくは25〜60重量%が挙げられる。
[(B)炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、溶剤として、更に炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステルを含有する。「炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル」とは、炭素数2〜4のモノカルボン酸1分子と炭素数1〜5の1価アルコール1分子がエステル結合した化合物である。
前記エステルを構成する炭素数2〜4のモノカルボン酸の種類については、特に制限されないが、例えば、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられる。これらのモノカルボン酸の中でも、好ましくは、炭素数2又は3のモノカルボン酸、更に好ましくは、酢酸、乳酸が挙げられる。
また、前記エステルを構成する炭素数1〜5の1価アルコールの種類については、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ベンジルアルコール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2ジメチル−1−プロパノール、2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールが挙げられる。これらのアルコールの中でも、好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、1−ペンタノール、ベンジルアルコール、更に好ましくはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、1−ペンタノールが挙げられる。
前記エステルとして、具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル(酢酸n−プロピル)、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル(酢酸n−ブチル)、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル(酢酸1−ペンチル)、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸イソアミル(酢酸3−メチルブチル)、酪酸エチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル;更に好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
これらのエステルは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。例えば、沸点が異なる2種以上のエステルを組み合わせて使用することにより、本発明の皮膜形成性外用製剤の皮膜形成速度を適宜調節することもできる。例えば、沸点が100℃未満の上記エステル(例えば、酢酸エチル)と、沸点が100℃以上の上記エステル(例えば、酢酸ブチル)を併用し、沸点が100℃未満の上記エステルの比率を高く設定すると、皮膜形成速度を早くすることができ、沸点が100℃未満の上記エステルの比率を低く設定すると、皮膜形成速度を遅くすることができる。
前記エステルの好適な例として、酢酸エチルと酢酸ブチルを組み合わせて使用し、酢酸エチル100重量部当たり、酢酸ブチルを5〜50重量部、好ましくは7〜40重量部、更に好ましくは1〜30重量部となる比率を充足させることが挙げられる。このような比率で酢酸エチルと酢酸ブチルを併用することにより、皮膚に塗布した際に適度な皮膜形成速度で、皮膜を形成させることが可能になる。
皮膜形成性外用製剤における(B)成分の含有量については、特に制限されず、(B)成分の種類や備えさせるべき皮膜形成速度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、該製剤の総量当たり、25〜65重量%、好ましくは25〜60重量%、更に好ましくは35〜55重量%が挙げられる。
皮膜形成性外用製剤において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、前述する両成分の各含有量を充足する範囲で適宜設定すればよいが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が20〜1000重量部、好ましくは40〜600重量部、更に好ましくは40〜500重量部、特に好ましくは40〜35重量部、より一層好ましくは60〜18重量部が挙げられる。
[(C)ニトロセルロース]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、ニトロセルロースを含有する。ニトロセルロースは、皮膚上で形成される皮膜の基剤としての役割を果たす。
本発明に使用されるニトロセルロースは、皮膚上で皮膜を形成できる限り、その分子量、窒素含有量等については、特に制限されない。
また、本発明で使用される皮膜形成性外用製剤では、ニトロセルロースとして、ピロキシリンを使用することもできる。ピロキシリンとは、ニトロセルロースが溶媒に潤されているものであり、具体的には、ニトロセルロース70重量%程度とイソプロパノール30重量%程度の混合物が挙げられる。本発明において、(C)成分として、市販されているピロキシリンを使用することもできる。市販されているピロキシリンとしては、具体的には、T.N.C.Industrial Co.,Ltd製のRS 1/32 sec、RS 1/16 sec、RS 1/8 sec、RS 1/8 L sec、RS 1/8 H sec、RS 1/4 sec、RS 1/4 H sec、RS 1/2 sec、RS 1 sec、RS 5〜6 sec、RS 10〜15 sec、RS 15〜20 sec、RS 30〜40 sec、RS 60〜80 sec、RS 120 sec、RS 150 sec、RS 300 sec、RS 500 sec、RS 800 sec、RS 1200 sec、RS 2000 sec;Korea CNC Ltd製のRS 1/16、RS 1/8、RS1/4、RS 1/2、RS 1、RS 2、RS 5、RS 7、RS 20、RS 60、RS 120、RS 500、RS 1000、RS 2000等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本発明において、ニトロセルロースとしてピロキシリンを使用する場合には、ピロキシリンに内在する炭素数1〜4の1価アルコールは、前記(A)成分の一部を構成することになる。
皮皮膜形成性外用製剤における(C)成分の含有量は、皮膚上で皮膜を形成可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、3.5〜14重量%、好ましくは5.6〜11.2重量%(ニトロセルロース70重量%とイソプロパノール30重量%の混合物であるピロキシリンを使用する場合、当該ピロキシリン含有量として、5〜20重量%、好ましくは8〜16重量%)が挙げられる。
[(D)パンテノール類]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、パンテノール類を含有する。前記(A)〜(C)成分を含有する皮膜形成性外用製剤は、容器の構成素材として含まれる樹脂の変色を引き起こすが、本発明では、皮膜形成性外用製剤にパンテノール類が含まれることによって当該樹脂の変色を抑制することができる。また、本発明で使用される皮膜形成性外用製剤が、前記(A)〜(C)成分と共に、パンテノール類を含むことにより、使用中の皮膜の皮膚への接着性を良好にしつつ、使用後に皮膜を皮膚から剥離し易くすることも可能になる。
本発明において、パンテノール類とは、パンテノール、その誘導体、及びそれらの塩を指す。パンテノール類として、具体的には、パンテノール、パントテニルエチルエーテル、パントテン酸アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩等)、パントテン酸アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩等)、アセチルパントテニルエチルエーテル等が挙げられる。
これらのパンテノール類の中でも、容器の構成素材として含まれる樹脂の変色をより一層効果的に抑制させるという観点から、好ましくはパンテノールが挙げられる。また、パンテノールは、使用中の皮膜の接着性と使用後の皮膜の剥離性をより一層良好にするという観点からも好適である。
これらのパンテノール類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
皮膜形成性外用製剤における(D)成分の含有量は、使用するパンテノール類の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.05〜10重量%が挙げられる。容器の構成素材として含まれる樹脂の変色をより一層効果的に抑制させるという観点から、(D)成分の含有量として、好ましくは0.05〜8重量%、更に好ましくは0.1〜7.5重量%、より好ましくは1〜5重量%、特に好ましくは3〜7.5重量%が挙げられる。(D)成分の含有量が前記範囲を満たすことによって、使用中の皮膜の接着性と使用後の皮膜の剥離性をより一層良好にすることも可能になる。
本発明の皮膜形成性外用製剤において、(C)成分と(D)成分の比率については、前述する各成分の含有量に基づいて定まるが、例えば、(C)成分100重量部当たり、(D)成分が0.1〜300重量部が挙げられる。容器の構成素材として含まれる樹脂の変色をより一層効果的に抑制させるという観点から、(C)成分100重量部当たり、(D)成分が、好ましくは1〜200重量部、更に好ましくは5〜100重量部が挙げられる。C)成分と(D)成分の比率が前記範囲を満たすことによって、使用中の皮膜の接着性と使用後の皮膜の剥離性をより一層良好にすることも可能になる。
[(E)可塑剤]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、皮膚上に形成させる皮膜に対して、良好な柔軟性を付与するために、必要に応じて、可塑剤(以下、(E)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。
本発明で使用される可塑剤としては、薬学的に許容できるものであれば、特に制限されないが、例えば、植物油、炭素数5〜22のモノ、ジ又はトリカルボン酸と炭素数1〜9の1価アルコールのエステル、テルペノイド、多価アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、鉱物油、ポリエーテル、ポリエステル等が挙げられる。
植物油としては、具体的には、ヒマシ油、綿実油、大豆油、ゴマ油、アルモンド油、ウイキョウ油、トウモロコシ油、オリブ油、オレンジ油、カミツレ油、ケイヒ油、小麦麦芽油、サフラワー油、シソ油、シトロネラー油、ショウキョウ油、スペアミント油、コメ油、チョウジ油、ツバキ油、テレビン油、トウヒ油、ナタネ油、ハッカ油、ヒマラヤスギ油、ヒマワリ油、ベルガモット油、ヤシ油、ユーカリ油、ラッカセイ油、ラベンダー油、卵黄油、レモン油、ローズ油、ロート油、ローマカミツレ油等が挙げられる。これらの植物油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素数5〜22のモノ、ジ又はトリカルボン酸と炭素数1〜9の1価アルコールのエステルとしては、具体的には、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。これらのエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
テルペノイドとしては、具体的には、カンフル、メントール、ボルネオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール、ゲラニオール、ハッカ油等が挙げられる。これらのテルペノイドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
多価アルコールとしては、具体的には、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、具体的には、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、ラウリン酸デカグリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。これらのグリセリン脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
鉱物油としては、具体的には、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられる。これらの鉱物油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリエーテルとしては、具体的には、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、アジピン酸ポリエステル等が挙げられる。
これらの可塑剤の中でも、好ましくは、植物油、及びテルペノイド、更に好ましくは、ヒマシ油、及びカンフルが挙げられる。とりわけ、可塑剤として植物油(特に、ヒマシ油)を0.05〜1.5重量%の含有量を満たす範囲で含有させる場合には、皮膚上で皮膜を形成させた際に、皮膜からのパンテノール類の放出を促進でき、パンテノール類の薬理作用(創傷修復作用等)を効果的に発揮させることが可能になる。特に、このような所定量の植物油(特に、ヒマシ油)と、テルペノイド(特に、カンフル)とを併用することによって、皮膜からのパンテノール類の放出をより一層効果的に促進させることができる。
これらの可塑剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用される可塑剤の好適な例として、植物油とテルペノイドの組み合わせ、特にヒマシ油とカンフルの組み合わせが挙げられる。植物油とテルペノイドを組み合わせて使用する場合、これらの比率については、特に制限されないが、例えば、植物油100重量部当たり、テルペノイドが0.1〜100000重量部、好ましくは10〜3000重量部、更に好ましくは50〜2000重量部、特に好ましくは100〜1000重量部が挙げられる。
本発明の皮膜形成性外用製剤において、(E)成分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、総量で0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%が挙げられる。
より具体的には、植物油を使用する場合であれば、本発明の皮膜形成性外用製剤における植物油の含有量として、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜10重量%が挙げられる。
特に、植物油の含有量が0.05〜1.5重量%を満たしている場合には、皮膚上で皮膜を形成させた際に、皮膜からのパンテノール類の放出を促進でき、パンテノール類の薬理作用(創傷修復作用等)を効果的に発揮させることが可能になる。皮膜からのパンテノール類の放出をより一層効果的に促進させるという観点から、発明の皮膜形成性外用製剤における植物油の含有量として、更に好ましくは0.1〜1.5重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%が挙げられる。
また、テルペノイドを使用する場合であれば、本発明の皮膜形成性外用製剤におけるテルペノイドの含有量として、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜8重量%、特に好ましくは1〜8重量%が挙げられる。
皮膜形成性外用製剤において、(E)成分を含有させる場合、(C)成分と(E)成分の比率については、特に制限されず、前述する両成分の各含有量を充足する範囲で適宜設定すればよいが、例えば、(C)成分100重量部当たり、(E)成分が0.001〜500重量部が挙げられる。
より具体的には、植物油を使用する場合であれば、(C)成分100重量部当たり、植物油が0.003〜500重量部が挙げられる。特に、皮膜からのパンテノール類の放出をより一層効果的に促進させるという観点から、(C)成分100重量部当たり、植物油が、好ましくは0.7〜40重量部、更に好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは1〜13重量部が挙げられる。
また、テルペノイドを使用する場合であれば、(C)成分100重量部当たり、テルペノイドが、0.003〜500重量部、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは5〜20重量部が挙げられる。
[(F)ベンジルアルコール]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、溶剤として、更にベンジルアルコール(以下、(F)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。
皮膜形成性外用製剤において、(F)成分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.01〜70重量%、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%が挙げられる。
本発明の皮膜形成性外用製剤において、(F)成分を含有させる場合、(A)成分と(F)成分の比率については、特に制限されず、前述する両成分の各含有量を充足する範囲で適宜設定すればよいが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(F)成分が5〜200重量部、好ましくは5〜125重量部、より好ましくは5〜77重量部、更に好ましくは6〜56重量部が挙げられる。
[その他の成分]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、水、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルエーテル等の溶剤を更に含んでいてもよい。但し、(A)成分、(B)成分、及び(F)成分以外の溶剤は、皮膜の外観等に悪影響を及ぼすことがあるため、(A)及び(B)成分以外の溶剤を配合する場合には、かかる特性を考慮する必要がある。更に、ジエチルエーテルは、揮発性の高さに起因する発火性から製造上の取り扱いに注意が必要であり、また、保存中の乾燥による固化、特有の匂い等の原因にもなり得るので、ジエチルエーテルを配合する場合には、このような特性に配慮することが求められる。皮膜形成性外用製剤における(A)及び(B)成分以外の溶剤の含有量としては、例えば、4重量%以下程度、特に2重量%以下程度であることが望ましい。
更に、本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、(D)成分以外の薬効成分を含んでいてもよい。このような薬効成分としては、例えば、抗炎症剤、局所麻酔剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、殺菌剤、抗真菌剤、ビタミン類、保湿剤、美白剤、組織修復剤、皮膚保護剤、角質軟化剤、局所刺激剤、鎮痒剤、収斂剤、紫外防御剤、シリコンゲル、生薬エキス、アミノ酸類、ミネラル類等が挙げられる。
また、本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、増粘剤、緩衝剤、キレート剤、抗酸化剤、安定化剤、乳化剤、防腐剤、香料、清涼化剤、着色剤、分散剤、流動化剤、粘稠化剤、増粘剤、吸着剤、保湿剤、湿潤剤、防湿剤、帯電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
[皮膜形成性外用製剤の製造方法]
本発明で使用される皮膜形成性外用製剤は、前記(A)〜(D)成分、及び必要に応じて、前記(E)成分、(F)成分、他の溶剤、薬効成分、添加剤等を所望量混合することにより調製される。
容器
本発明の外用製品では、前記皮膜形成性外用製剤を収容する容器として、内部に収容している前記皮膜形成性外用製剤と接する領域の少なくとも一部が樹脂で形成されている容器を使用する。樹脂は、前記(A)〜(C)を含む皮膜形成性外用製剤と接触した状態になると変色(黄変)が、本発明の製品では、皮膜形成性外用製剤が更に前記(D)成分を含むことにより、当該樹脂の変色を抑制することが可能になっている。
[容器の構成部材]
本発明で使用される容器の構造については、特に制限されないが、少なくとも、開口部を有する容器本体と、当該開口部を着脱自在に閉じるキャップとを有していればよい。
前記容器本体は、開口部と内部空間を有し、当該内部空間が前記皮膜形成性外用製剤を収容する機能を果たす。
また、前記キャップは、前記容器本体の開口部を着脱自在に閉じるように構成され、使用時には取り外され、保管時には前記容器本体の開口部に取り付けられた状態になる。
前記キャップには、塗布部材が取り付けられていることが望ましい。このように塗布部材が取り付けられていると、前記皮膜形成性外用製剤の皮膚への塗布を簡便に行うことが可能になる。前記塗布部材は、前記キャップを前記開口に取付けられたとき、前記容器の内部空間へ延びるように配置されていればよい。前記塗布部材の構成については、特に制限されないが、前記皮膜形成性外用製剤を皮膚に塗布する塗布部と、当該塗布部と前記キャップとを連結する軸部とによって構成されていればよい。前記塗布部の形状については、前記皮膜形成性外用製剤を皮膚に塗布し得る形状である限り、特に制限されないが、前記軸部の軸方向に伸びる複数の毛で形成された刷毛部であることが好ましい。
また、本発明で使用される容器は、前記容器本体と、必要に応じて塗布部材が取り付けられているキャップに加えて、前記容器の開口に取付けられ、前記容器の内部空間に連通するように形成された中栓を有していてもよい。当該中栓を設けることによって、前記塗布部材の塗布部に付着した前記皮膜形成性外用製剤を扱くことができ、皮膚に塗布する皮膜形成性外用製剤の量を調節し易くなる。
図1に本発明で使用される容器の好適な例の断面図を示す。図1では、キャップ2が容器本体1の開口部から取り外された状態が図示されている。図1に示す容器では、容器本体1の開口部に中栓3が取り付けられている。また、図1に示す容器では、キャップ2に塗布部材4が取り付けられ、塗布部材4は、キャップ2を容器本体1の開口に取付けられたとき、容器本体1の内部空間へ延びるように配置されている。また、図1に示す容器において、塗布部材4は、塗布部(刷毛部)41と、塗布部41保持してキャップに連結している軸部42によって構成されている。
[容器の構成素材]
本発明で使用される容器は、内部に収容した前記皮膜形成性外用製剤と接する領域の少なくとも一部が樹脂で形成されていればよい。具体的には、前記容器本体、前記キャップ、必要に応じて設けられる前記塗布部材、及び必要に応じて設けられる前記中栓の内、少なくとも1つの構成部材において、前記皮膜形成性外用製剤と接する領域の少なくとも一部が樹脂で形成されていればよい。ここで、「皮膜形成性外用製剤と接する領域」とは、容器に前記皮膜形成性外用製剤を収容した状態で、容器に正立させた際に容器内で前記皮膜形成性外用製剤が接触する領域だけでなく、容器を横向き及び逆立にした際に容器内で前記皮膜形成性外用製剤が接触する領域を包含する。即ち、前記皮膜形成性外用製剤と接する領域は、前記容器本体の場合は内部空間を形成する内壁表面、前記キャップの場合は容器本体の開口部と対向する壁面、前記塗布部材の場合はその表面、及び、前記中栓の場合は前記容器本体に取り付けられた際に内部空間で露出している部分の表面が、該当する。
本発明で使用される容器において、皮膜形成性外用製剤と接する領域を樹脂で形成するには、容器の所定構成部材を樹脂で形成することが望ましいが、樹脂以外の素材を基材として成形し、所定の領域に樹脂をコートしたものであってもよい。例えば、容器本体の場合であれば、金属製の容器本体の内壁面に樹脂をコートしたものであってもよく、またキャップの場合であれば、金属製のキャップにおいて容器本体の開口部と対向する壁面部分に樹脂をコートしたものであってもよい。
本発明で使用される容器において、収容した前記皮膜形成性外用製剤と接する領域は、一部又は全部が樹脂で形成されていればよい。収容した前記皮膜形成性外用製剤と接する領域の一部を樹脂で形成する場合には、当該領域の他の部分は、金属、ガラス等の素材で形成されていればよい。即ち、容器の構成部材の内、一部の構成部材が樹脂製であり、他の構成部材が他の素材(金属、ガラス等)製のものであってもよく、一つ構成部材において、樹脂製と他の素材(金属、ガラス等)製のものが組み合わされていてもよい。例えば、キャップ及び塗布部材が樹脂で形成され、容器本体が炭素材(金属、ガラス等)で形成されたものであってもよい。また、例えば、塗布部材において、塗布部を樹脂製且つ軸部を他の素材(金属、ガラス等)製にして、塗布部材の一部を樹脂製にしたものであってもよい。
本発明で使用される容器の好適な一態様として、容器本体と、塗布部材が取り付けられているキャップとを有し、当該塗布部材の少なくとも一部が樹脂製であるもの(以下、態様Aと表記する)が挙げられる。
態様Aにおける塗布部材としては、塗布部又は軸部のいずれか少なくとも一方が樹脂製であればよいが、好ましくは塗布部及び軸部の双方が樹脂製のものが挙げられる。態様Aにおける容器本体は、樹脂製又は他の素材のいずれであってもよいが、容器に堅牢性を備えさせるために、金属製であることが好ましい。態様Aにおけるキャップは、樹脂製又は他の素材のいずれであってもよいが、樹脂製であることが好ましい。また、中栓は通常は樹脂製であるので、態様Aに前記中栓を取り付ける場合には、当該中栓も樹脂で形成される。
本発明で使用される容器において、皮膜形成性外用製剤と接触する領域の少なくとも一部の構成素材となる樹脂の種類については、特に制限されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン等のポリアミド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、ポリオレフィン(特にポリプロピレン)は、前記(A)〜(C)を含む皮膜形成性外用製剤と接触した状態になると顕著な変色(黄変)を生じさせ易い特性があるが、本発明では、ポリオレフィン(特にポリプロピレン)を皮膜形成性外用製剤と接触する領域に使用しても、変色(黄変)を効果的に抑制することができる。このような本発明の効果を鑑みれば、前記樹脂として、好ましくはポリオレフィン、更に好ましくはポリプロピレンが挙げられる。
本発明で使用される容器において、皮膜形成性外用製剤と接触する領域に設けられる樹脂部分は、1種の樹脂で形成されていてもよく、2種以上の樹脂で形成されていてもよい。例えば、容器本体とキャップの双方を樹脂製にする場合であれば、容器本体とキャップがそれぞれ異なる樹脂で形成されていてもよい。また、塗布部材を樹脂製にする場合であれば、塗布部と軸部が、同一の樹脂で形成されていてもよく、またそれぞれ異なる樹脂で形成されていてもよい。塗布部材の好適な一例として、塗布部がポリアミド系樹脂で形成され、軸部がオレフィン樹脂で形成されているものが挙げられる。
外用製品の使用方法
本発明の外用製品に収容されている皮膜形成性外用製剤は、粘性のある液状を呈するが、皮膚に塗布すると、前記(A)成分及び(B)成分が揮散して、(C)成分による皮膜が形成される。本発明の外用製品に収容されている皮膜形成性外用製剤は、外用医薬製剤(即ち、液体絆創膏)として使用することができる。具体的には、本発明の外用製品は、ひび、あかぎれ、さかむけ、小さな切り傷等の皮膚損傷部に塗布することにより、当該皮膚損傷部位に皮膜を形成させて、細菌、汚れ、水等から当該皮膚損傷部位を保護するための医薬製品として使用できる。
本発明の外用製品を使用して、皮膜形成性外用製剤を皮膚に塗布する方法については、特に制限されないが、例えば、本発明の外用製品の容器に前記塗布部材が取り付けられている場合には、当該塗布部材を使用して皮膜形成性外用製剤を皮膚に塗布すればよい。
以下に、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、ニトロセルロース源として、ピロキシリン(ニトロセルロース:イソプロピルアルコールの重量比が7:3)を使用した。
試験例1
表1及び2に示す組成の皮膜形成性外用製剤を調製した。具体的には(A)成分、(D)成分、及び(E)成分を攪拌混合し、これに(C)成分を添加して分散させた後、(B)成分を加えて均一に攪拌溶解して目的の皮膜形成性外用製剤を得た。各皮膜形成性外用製剤10mlを下記容器1及び2に収容し、キャップを取り付けて、50℃、75%RHの雰囲気で20日間保管した。なお、保管は容器を正立させた状態で行ったため、保管中は、キャップ及び中栓は皮膜形成性外用製剤と接触していない状態になっている。
(容器1)
図1に示す構造の容器。
容器本体:内径15mm、容積15mlの金属製の容器本体。
キャップ:ポリプロピレン製のキャップ
塗布部材:ナイロン製の塗布部及びポリプロピレン製の軸部からなる塗布部材。
中栓:ポリプロピレン製の中栓
(容器2)
図1に示す構造の容器。
容器本体:内径15mm、容積15mlの金属製の容器本体。
キャップ:ポリプロピレン製のキャップ
塗布部材:ナイロン製の塗布部及びポリエチレン製の軸部からなる塗布部材。
中栓:ポリプロピレン製の中栓
20日間保管後に、キャップを取り外して、塗布部材に付加している皮膜形成性外用製剤を拭き取った後に、塗布部材の外観を目視にて確認した。皮膜形成性外用製剤を容器に収容せずに20日間保管した後の塗布部材の色を「1点」とし、容器1を使用した場合には、変色(黄変)が認められた比較例1の20日間保管した後の塗布部材の色を「10点」、容器2を使用した場合には、変色(黄変)が認められた比較例3の20日間保管した後の塗布部材の色を「10点」として、変色の程度を評点化した。なお、それぞれの条件で10回の試験を行い、各条件での評点の平均値を求めた。
得られた結果を表1及び2に示す。イソプロパノール、酢酸エチル、及びニトロセルロースを含み、パンテノールを含まない皮膜形成性外用製剤を容器1及び2に収容して保管すると、ポリプロピレン製及びポリエチレン製の塗布部材の黄変が認められた(比較例1及び3)。特に、ポリプロピレン製の塗布部材の場合には、ポリエチレン製に比べて黄変が著しくなっていた。また、このような黄変は、皮膜形成性外用製剤にヒマシ油を配合しても、改善できなかった(比較例2及び4)。これに対して、イソプロパノール、酢酸エチル、及びニトロセルロースと共に、パンテノールを配合した皮膜形成性外用製剤を使用した場合には、ポリプロピレン製及びポリエチレン製の塗布部材の黄変を効果的に抑制できていた(実施例1〜10)。特にパンテノールが3〜5重量%である場合には、黄変を抑制する効果がより一層顕著に奏されていた(実施例2〜5及び7〜10)。参考のために、実施例2及び比較例1において、保管後の塗布部材の軸部の外観を撮影した写真を図2に示す。
試験例2
表3に示す各皮膜形成性外用製剤について、皮膚への皮膜の接着性、及び皮膚から皮膜の剥離性について評価した。なお、表3に示す参考例1〜5、比較参考例1及び2の皮膜形成性外用製剤は、それぞれ、実施例1〜5(実施例6〜10)、比較例1及び2(比較例3及び4)で使用した皮膜形成性外用製剤と同一である。
各皮膜形成性外用製剤の約0.05gを手の甲のMP関節部(約1cm2)に塗布して皮膜を形成させた。塗布してから2時間、通常の生活を送った後に、皮膜と皮膚の接着状態を観察し、皮膜を皮膚から剥離させた。その際に、下記判定基準に従って、皮膜の接着性と剥離性について評点化した。本試験は6名の被験者によって行い、各被験者が判定した評点の平均値を算出した。
<皮膜の接着性の判定基準>
5:皮膜が端部までしっかりと接着している。
4:皮膜の端部が少し剥がれている。
3:皮膜の端部が剥がれている。
2:皮膜の半分位の領域が剥がれている。
1:皮膜の殆どの領域が剥がれている。
<皮膜の剥離性の判定基準>
5:剥がし易い。
4:やや剥がし易い。
3:どちらともいえない。
2:やや剥がし難い。
1:剥がし難い。
結果を表3に示す。ニトロセルロースを含む皮膜形成性外用製剤は、いずれも、塗布から2時間後には、しっかりとした皮膜が形成された。但し、パンテノール及び可塑剤(ヒマシ油)を含まない場合には、皮膜の剥離性が悪かった(比較参考例1)。また、可塑剤(ヒマシ油)を含む場合であっても、皮膜の剥離性は改善できていなかった(比較参考例2)。これに対して、パンテノールを含む場合には、皮膜の接着性を良好に維持しつつ、優れた剥離性を有していた(参考例1〜5)。
なお、比較参考例1及び2の皮膜形成性外用製剤では、皮膜を剥離し難く、強い力で剥離することを要したため、剥離後の皮膚は赤みを帯びた状態になっていたが、参考例1〜5の皮膜形成性外用製剤では、皮膜を剥離し易く、剥離後の皮膚状態は正常であった。また、比較参考例1及び2の皮膜形成性外用製剤では、皮膜を剥離し難かったために、剥離中に皮膜が破断されたが、参考例1〜5の皮膜形成性外用製剤では、皮膜を剥離し易く、剥離後の皮膜は、殆ど破断されることなく、形状を維持できていた。参考のため、参考例1、2及び比較参考例1の皮膜形成性外用製剤について、皮膚から剥離した後の皮膜の形状を観察した結果を図3に示す。
試験例4
表4に示す組成の皮膜形成性外用製剤を調製した。具体的には(A)成分、(D)成分、(E)成分、及び(F)成分を攪拌混合し、これに(C)成分を添加して分散させた後、(B)成分を加えて均一に攪拌溶解して目的の皮膜形成性外用製剤を得た。
各皮膜形成性外用製剤について、パドルオーバーディスク法で、パンテノールの放出性について評価した。具体的には、先ず、パドルオーバーディスク(富山産業株式会社製、網125μm、SUS316製、D2414)に、皮膜形成性外用製剤約0.1gを素早くドーナツ状に塗布し、約2時間風乾した。試験液は32℃±0.5℃に加温したpH6.0のリン酸塩緩衝液900mlを用い、毎分50回転で試験を行った。皮膜形成性外用製剤を塗布したディスク1個をとり、試験を開始し、2分後にベッセル内の試験液を採取し、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し試料溶液とした。パンテノール標準溶液及び試料溶液20μlにつき、高速液体クロマトグラフを用いてパンテノール濃度を測定した。パンテノール標準溶液(0.1、0.2、0.5、1、2及び5μg/ml)のパンテノール濃度とピーク面積から検量線を作成し、以下の式に従ってパンテノール放出率を算出した。
C:検量線から求めた試料溶液中のパンテノール濃度(μg/mL)
WS:標準品採取量(g)
RFs: パンテノール標準溶液に使用したパンテノール標準品の純度(%)
n:サンプリング回
WT:試料採取量(g)[初期重量及び初期重量換算値]
P:パンテノール濃度(%)
得られた結果を表4に示す。この結果、パンテノールと共に、0.1〜1.5重量%のヒマシ油を含む皮膜形成性外用製剤では、パンテノールの放出率が向上していた(参考例6〜9)。特に、0.1重量%及び1重量%のヒマシ油を含む場合には、パンテノールの放出率が格段に高まっていた(参考例6及び7)。
1 容器本体
2 キャップ
3 中栓
4 塗布部材
41 塗布部
42 軸部

Claims (8)

  1. 皮膜形成性外用製剤が容器に収容されている外用製品であって、
    前記皮膜形成性外用製剤が、(A)炭素数1〜4の1価アルコール、(B)炭素数2〜4のモノカルボン酸と炭素数1〜5の1価アルコールとのエステル、(C)ニトロセルロース、及び(D)パンテノール類を含み、
    前記容器において、内部に収容した前記皮膜形成性外用製剤と接する領域の少なくとも一部が樹脂で形成されている、外用製品。
  2. 前記容器が、
    開口部を有する容器本体と、
    前記開口部を着脱自在に閉じるキャップと、
    前記キャップに連結され、前記を前記開口に取付けられたとき前記容器の内部空間へ延びるように配置されている、前記皮膜形成性外用製剤を皮膚に塗布するための塗布部材を有する、請求項1に記載の外用製品。
  3. 前記塗布部材の少なくとも一部が、樹脂で形成されている、請求項2に記載の外用製品。
  4. 前記樹脂が、ポリオレフィンである、請求項1〜3のいずれかに記載の外用製品。
  5. 前記樹脂が、ポリプロピレン又はポリエチレンである、請求項1〜4のいずれかに記載の外用製品。
  6. 前記皮膜形成性外用製剤が、更に(E)可塑剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の外用製品。
  7. 前記(E)成分として植物油を0.05〜1.5重量%含む、請求項6に記載の外用製品。
  8. 前記植物油がヒマシ油である、請求項7に記載の外用製品。
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