JP2019001686A - 積層造形物コーティング用スラリーおよび立体形状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】質感が良好で、かつ、焼成後の寸法精度のよい立体形状物を実現し得る、積層造形物コーティング用スラリーを提供すること。【解決手段】本発明により、積層造形物に多孔質のコーティング層を形成するためのスラリーが提供される。この積層造形物コーティング用スラリーは、平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体と、該第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体とを含む。第1セラミックス粉体の平均粒径D1は、3μm以上30μm以下である。また、スラリーは、粘度η1が1mPa・s以上であり、粘度η10が100mPa・s以下であり、粘度比η1/η10が0.8以上1.5以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、積層造形物コーティング用スラリーおよび立体形状物に関する。
従来から、粉体材料をバインダで結合させて所定の断面形状の粉体固化層を形成し、この粉体固化層を順次積層しながら形成することにより、所望の立体形状の造形物を造形する付加造形(Additive manufacturing;3次元造形ともいう。)が知られている。この付加造形においては、その扱いやすさから樹脂材料を使用した樹脂製品の造形が広く行われている。しかしながら、粉体材料の付加造形(粉体積層造形)においては、造形後の精密加工が困難なセラミックス材料からなる粉体材料も広く用いられている。また、積層造形物の機械的強度を高めるために、セラミックス粉末を含む積層造形用粉体を用いて積層造形物を造形した後、該積層造形物を焼成することが提案されている。この種の積層造形に関する技術文献として特許文献1〜3が挙げられる。特許文献1には、強度を有しながら外観の良い造形物を短時間で作成するために、3D造形物の表面に樹脂接着材料を含むコーティング剤を塗布する技術が開示されている。
国際公開第2015/046217号 特開2015−226935号公報 特開2017−52138号公報
ところで、セラミックス材料からなる粉体材料を用いた積層造形物は、型を利用したセラミックス成形体に比べて、粒子間の空隙が大きく、気孔率が高くなる傾向がある。そのため、触ったときの質感が悪く、美麗な外観が損なわれがちである。セラミックス本来の質感を損なうことなく、美麗な外観の立体形状物を得る技術が求められている。また、積層造形物を焼成する場合において、焼成時に熱収縮することなく、焼成後の寸法精度のよい立体形状物が求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、質感が良好で、かつ、焼成後の寸法精度のよい立体形状物を実現し得る、積層造形物コーティング用スラリーを提供することである。関連する他の目的は、そのような積層造形物コーティング用スラリーを用いて構築された立体形状物を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により積層造形物に多孔質のコーティング層を形成するためのペーストまたはスラリー状組成物(以下、「積層造形物コーティング用スラリー」と略称する場合がある。)が提供される。この積層造形物コーティング用スラリーは、セラミックスからなる粉体材料と、溶剤とを含む。前記粉体材料は、平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体と、該第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体とを含む。前記第1セラミックス粉体の平均粒径D1は、3μm以上30μm以下である。ここで、前記スラリーは、回転数:1rpmのときの粘度ηが1mPa・s以上であり、回転数:10rpmのときの粘度η10が100mPa・s以下であり、前記粘度η1と前記粘度η10との粘度比:η1/η10が0.8以上1.5以下である。ここで上記粘度η1、η10は、市販の粘度計により測定され得る粘度である。例えば、当該分野で標準的なレオメータを使用することにより、上記のような回転数の条件で容易に粘度を測定することができる。かかるコーティング用スラリーによると、質感が良好で、かつ、焼成後の寸法精度のよい立体形状物を実現することができる。
ここで開示されるコーティング用スラリーの好ましい一態様では、前記粉体材料および前記溶剤の含有量の比(粉体材料:溶剤)が質量基準で1:1〜3:1の範囲である。このような含有量比の範囲内であると、上述した効果がより高いレベルで実現され得る。
ここで開示されるコーティング用スラリーの好ましい一態様では、前記第1セラミックス粉体の平均粒径D1と前記第2セラミックス粉体の平均粒径D2との関係が次式:0.05≦(D1/D2)≦0.2;を満たす。上記平均粒径の比の値(D1/D2)を特定の範囲内にすることにより、焼成時における緻密化を抑制しつつ、質感の良い立体形状物を得ることができる。
ここで開示されるコーティング用スラリーの好ましい一態様では、前記第2セラミックス粉体の平均粒径D2が0.1μm以上3μm未満である。このような第2セラミックス粉体の平均粒径の範囲内であると、上述した効果がより良く発揮され得る。
ここで開示されるコーティング用スラリーの好ましい一態様では、前記第1セラミックス粉体および前記第2セラミックス粉体の含有量の比(第1セラミックス粉体:第2セラミックス粉体)が質量基準で5:1〜1:5の範囲である。このような第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体の含有量比の範囲内であると、第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体とを併用することによる性能向上効果がより好適に発揮され得る。
ここで開示されるコーティング用スラリーの好ましい一態様では、第1セラミックス粉体として、シリカ粒子を含み、第2セラミックス粉体として、ジルコン粒子を含む。かかる粒子を含む第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体は、立体形状物の質感および焼成後の寸法精度の向上に効果的に寄与し得る。
また、本発明によると、積層造形物の表面に多孔質のコーティング層を備えた立体形状物が提供される。前記コーティング層は、平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体と、該第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体と、溶剤とを含む積層造形物コーティング用スラリーの焼成体からなる。前記積層造形物の平均細孔径が5μm以上40μm以下である。前記積層造形物の気孔率が30%以上70%以下である。前記コーティング層の算術平均表面粗さRaが50μm以下である。かかる立体形状物は、質感および寸法精度に優れたものであり得る。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において「セラミックス」とは、無機物をいう。
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは、積層造形された積層造形物に多孔質のコーティング層を形成するために用いられる。典型的には、該スラリーを積層造形物の表面に付与した後、該積層造形物とともに焼成することにより、該積層造形物の表面に多孔質のコーティング層を備えた立体形状物を形成する技術に適用され得る。上記スラリーが付与されるコーティング対象の積層造形物としては、粉体を結合して所定の断面形状の粉体固化層を形成し、この粉体固化層を順次積層することにより得られる所望の立体形状の積層造形物であれば特に限定されない。例えば、材料噴射インクジェット積層造形法、バインダ噴射インクジェット積層法、粉末固着式積層法、粉末床レーザ溶融法、粉末床サーマルヘッド溶融法、電子ビーム溶融法等の方法により造形された積層造形物を好ましいコーティング対象とすることができる。上記スラリーが付与されるコーティング対象の積層造形物は、造形後に焼成された焼成物であってもよい。ここに開示されるコーティング用スラリーは、このように造形後に焼成された積層造形焼成物のコーティングに用いられるスラリーとしても好適である。
<積層造形物コーティング用スラリー>
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは、セラミックスからなる粉体材料と、溶剤とを含む。そして、回転数:1rpmのときの粘度(以下、単に「η」と表記することがある。)が1mPa・s以上であり、回転数:10rpmのときの粘度(以下、単に「η10」と表記することがある。)が100mPa・s以下であり、粘度η1と粘度η10との粘度比:η1/η10が0.9以上1.5以下である。以下、スラリーの粘度、粉体材料、溶剤の順で説明する。
<スラリーの粘度>
ここで開示される積層造形物コーティング用スラリーは、回転数:1rpmのときの粘度ηが1mPa・s以上であり、かつ、回転数:10rpmのときの粘度η10が100mPa・s以下である。典型的には、上記粘度η1、η10は、市販のレオメータにより、積層造形用スラリーを上記いずれかの回転数で液温25℃の条件で測定した粘度である。ここで開示される積層造形物コーティング用スラリーは、1mPa・s≦ηかつη10≦100mPa・sであるような粘度を有することにより、該スラリーを積層造形物の表面に付与した際に、該スラリーが積層造形物の内部に染み込みにくく、かつ、積層造形物の表面を均一にコーティングする。
すなわち、回転数:10rpmにおける粘度η10をη10≦100mPa・sとした積層造形物コーティング用スラリーは、該スラリーを積層造形物の表面に付与したときのようなずり速度が上昇している場合における流動性が高く、積層造形物の表面に濡れ広がりやすい。そのため、該スラリーを積層造形物の表面に付与した際に、積層造形物に付着したスラリーの量が場所によって不均一になる(例えば積層造形物の凹凸にスラリーが溜まりやすくなる)といった事象が生じ難い。積層造形物に付着したスラリーの量を均一にする等の観点からは、粘度η10は、概ねη10≦100mPa・sにすることが好ましく、η10≦80mPa・sがより好ましく、η10≦50mPa・sがさらに好ましく、η10≦30mPa・sが特に好ましい。粘度η10は、例えば20mPa・s以下であってもよく、典型的には15mPa・s以下であってもよい。粘度η10の下限は特に限定されないが、例えば0.5mPa・s以上である。粘度η10は、好ましくは0.8mPa・s≦η10、より好ましくは1mPa・s≦η10、さらに好ましくは3mPa・s≦η10、特に好ましくは5mPa・s≦η10である。ここに開示される技術は、積層造形物コーティング用スラリーの粘度η10が、0.5mPa・s≦η10≦100mPa・s(好ましくは5mPa・s≦η10≦15mPa・s)である態様で好ましく実施され得る。
また、回転数:1rpmにおける粘度η1を1mPa・s≦η1とした積層造形物コーティング用スラリーは、静置時(攪拌等の操作を行わずに常温で静置した際)の経時安定性に優れるため、該スラリーを積層造形物の表面に付与した後、該スラリーが積層造形物の内部に染み込みにくい。そのため、該スラリーが積層造形物の内部に染み込むことにより起こり得る種々の不具合を抑制することができる。例えば、内部に染み込んだスラリーによって積層造形物の緻密化(密度向上)が進行し、それに伴って焼成時に積層造形物が熱収縮する(焼成後に得られた立体造形物の寸法精度が低下する)といった不具合を抑制することができる。そのため、より高品質な立体造形物を安定して製造することができる。スラリーの染み込みを抑制する等の観点からは、粘度η1は、1mPa・s≦η1とすることが好ましく、1.5mPa・s≦η1がより好ましく、2mPa・s≦η1がさらに好ましく、2.5mPa・s≦η1が特に好ましい。粘度η1は、例えば3mPa・s以上であってもよく、典型的には5mPa・s以上であってもよい。粘度η1の上限は特に限定されないが、例えば50mPa・s以下である。粘度η1は、好ましくはη1≦40mPa・s、より好ましくはη1≦30mPa・s、さらに好ましくはη1≦25mPa・s、特に好ましくはη1≦20mPa・sである。ここに開示される技術は、積層造形物コーティング用スラリーの粘度η1が、1mPa・s≦η1≦50mPa・s(好ましくは5mPa・s≦η1≦18mPa・s)である態様で好ましく実施され得る。
上述した粘度特性を有するスラリーを用いることによる効果をより良く発揮させる観点から、粘度η1と粘度η10との粘度比:η1/η10が0.8以上1.5以下であることが好ましい。上記特定の粘度比となるようにスラリーを調製することにより、静置安定性と流動性との両立がより高いレベルで実現され得る。すなわち、該スラリーを積層造形物の表面に付与した際に、該スラリーが積層造形物の表面に均一に広がりやすく、かつ、いったん濡れ広がった後は流動しがたい(積層造形物の内部に染み込みにくい)スラリーとすることができる。ここに開示される技術は、η1とη10との関係が、例えば0.82≦(η1/η10)≦1.48、好ましくは0.85≦(η1/η10)≦1.45、より好ましくは0.88≦(η1/η10)≦1.42、さらに好ましくは0.9≦(η1/η10)≦1.4である態様で好ましく実施され得る。
例えば、η10は、η1より0.3mPa・s以上大きいことが好ましく、0.5mPa・s以上大きいことがより好ましい。また、η10からη1を減じた値(すなわち、η10−η1)は、好ましくは15mPa・s以下であり、より好ましくは10mPa・s以下であり、さらに好ましくは5mPa・s以下である。例えば、η10−η1が4mPa・s以下(例えば3mPa・s以下)であってもよい。
<粉体材料>
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは、セラミックスからなる粉体材料を含有する。粉体材料は、平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体と、該第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体とを含む。
粉体材料を構成する第1セラミックス粉体の形状(外形)は特に制限はない。球形であってもよく、非球形であってもよい。機械的強度、製造容易性等の観点から、略球形の第1セラミックス粉体を好ましく使用し得る。第1セラミックス粉体の平均粒径D1は、第2セラミックス粉体の平均粒径D2よりも大きく、かつ、3μm以上である。上記の平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体によると、スラリーを積層造形物の表面に付与して焼成する際に、適度に多孔質化したコーティング層を得ることができる。第1セラミックス粉体の平均粒径D1は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは6μm以上であり、特に好ましくは8μm以上である。第1セラミックス粉体の平均粒径D1の上限は特に限定されないが、凡そ30μm以下とすることが適当である。質感の良い積層造形物の表面を得る等の観点からは、上記D1は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは18μm以下、特に好ましくは15μm以下である。ここに開示される技術は、第1セラミックス粉体の平均粒径D1が、3μm以上20μm以下(さらには5μm以上15μm以下、特には8μm以上12μm以下)である態様で好ましく実施され得る。
なお、本明細書中において「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒子径、すなわち50%体積平均粒子径(D50径)を意味するものとする。より具体的には、レーザ回析・散乱式粒度分布測定装置を用い、圧縮空気による粒子の分散は行わず、湿式測定した50%体積平均粒子径である。
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは、上記第1セラミックス粉体に加えて、上記第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体を含有する。このように平均粒径が異なるセラミックス粉体材料を組み合わせて用いることにより、上述した粘度特性を有する積層造形物コーティング用スラリーが好適に実現され得る。また、該スラリーを積層造形物の表面に付与した後、焼成する際に、第2セラミックス粉体の粒子が第1セラミックス粉体の粒子の周りに配置され、第1セラミックス粉体同士の焼結がより良く抑制される。このことにより、焼成後に得られたコーティング層の多孔質状態が好適に維持され得る。
粉体材料を構成する第2セラミックス粉体の形状(外形)は特に制限はない。球形であってもよく、非球形であってもよい。機械的強度、製造容易性等の観点から、略球形の第1セラミックス粉体を好ましく使用し得る。第2セラミックス粉体の平均粒径D2は、第1セラミックス粉体よりも小さければよく(すなわち、D2<D1であればよく)、スラリーが前記粘度η1、η10および粘度比の関係を満たす限りにおいて特に限定されない。D2は、例えば3μm未満にすることが適当であり、通常は2μm以下、典型的には1μm以下、好ましくは0.8μm以下である。D2の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。例えば、D2が0.05μm以上3μm未満の第2セラミックス粉体が好ましく、0.1μm以上1μm以下のものがさらに好ましく、0.5μm以上0.8μm以下のものが特に好ましい。かかる平均粒径D2は、質感のよい立体形状物の表面を得る等の観点からも好適である。
第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体とを併用することによる効果をよりよく発揮させる観点から、D1とD2との関係が0.01≦(D1/D2)≦0.3を満たすことが好ましい。第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体とを特定の平均粒径比となるように組み合わせて用いることにより、上述した効果がより高いレベルで実現され得る。ここに開示される技術は、例えば、D1とD2との関係が、0.03≦(D1/D2)≦0.25、より好ましくは0.05≦(D1/D2)≦0.2、さらに好ましくは0.052≦(D1/D2)≦0.15、特に好ましくは0.055≦(D1/D2)≦0.1である態様で好ましく実施され得る。
第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体の含有量の比は特に限定されない。第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体とを併用することによる効果をよりよく発揮させる観点から、第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体との質量比(第1セラミックス粉体:第2セラミックス粉体)が10:1〜1:10であることが適当であり、5:1〜1:5であることが好ましく、2:1〜1:2であることがより好ましい。ここに開示される技術は、例えば、第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体との質量比が、3:2〜2:3である態様で好ましく実施され得る。
第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体の各々の材質や性状は、特に制限はない。例えば、第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体の各々は、無機粒子および有機無機複合粒子のいずれかであり得る。第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体を構成するセラミックス粒子としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の化合物からなる粒子が好ましい。例えば、周期表の第1族〜第14族(例えば第4族〜第14族)に属するいずれかの元素の酸化物からなる酸化物系セラミックスのほか、各種の金属元素の窒化物、炭化物、硼化物、珪化物、リン酸化合物等からなる非酸化物系セラミックス、およびこれらの複合セラミックス等を主体として構成されるセラミックス粒子を好適に用いることができる。なかでもSi、B、Al、Ba、Ca、Mg、Li、Na、K、Zn、Sr、Sn、Sb、Bi、Te、Pb、W、Ti、Y、Zr、Ni、FeおよびAgのうちのいずれかの金属元素または半金属元素を含む酸化物、窒化物、炭化物;を主体として構成されるセラミックス粒子が好ましい。あるいは、周期表の第1族〜第13族(例えば第4族〜第13族)に属するいずれかの元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成されたセラミックス粒子を採用してもよい。
酸化物系セラミックスとしては、例えば、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)、タルク(MgSi10)、ヘマタイト(Fe)、クロミア(Cr)、チタニア(TiO)、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO)、カルシア(CaO)、セリア(CeO)、酸化スズ(TO;SnO)、ステアタイト(MgO・SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、フェライト(MnFe)、スピネル(MgAl)、ジルコン(ZrSiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、フオルステライト(MgSiO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。なかでも、ジルコン、アルミナ、シリカ、ムライトおよびジルコニアが好ましく、さらにはジルコン、ムライトおよびシリカが好ましい。
また、非酸化物系セラミックスとしては、例えば、窒化ホウ素(BN)、窒化チタン(TiN)、窒化ケイ素(Si)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化炭素(CN)、サイアロン(Si−AlN−Al固溶体;Sialon)等の窒化物セラミックス、タングステンカーバイド(WC)、クロムカーバイド(CrC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)等の炭化物系セラミックス、ホウ化モリブデン(MoB)、ホウ化クロム(CrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化チタン(TiB)などの硼化物計セラミックス、酸化ジルコニウムシリケート、酸化ハフニウムシリケート、酸化チタンシリケート、酸化ランタンシリケート、酸化イットリウムシリケート、酸化チタンシリケート、酸化タンタルシリケート、酸窒化タンタルシリケート等の珪化物系セラミックス、ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム等のリン酸化合物等が挙げられる。好ましい一態様において、第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体は、第1セラミックス粉体の融点よりも第2セラミックス粉体の融点が高くなるように選択することができる。
第1セラミックス粉体として好ましく採用し得る粒子の具体例として、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、酸化亜鉛粒子等が挙げられる。これらの粒子は質感のよい焼成体を形成し得る点で好ましい。これらの粒子のうち1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子が好ましい。第2セラミックス粉体として好ましく採用し得る粒子の具体例として、ジルコン粒子、アルミナ粒子、ムライト粒子、カルシア粒子、マグネシア粒子等が挙げられる。これらの粒子のうち1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ジルコン粒子が好ましい。
ここで、上記積層造形物コーティング用スラリーを付与した後の積層造形物を焼成する場合には、1000℃以上(好ましくは1200℃以上)の高温域で積層造形物を焼成する必要がある。このため、積層造形物を焼成するときに用いられる焼成治具(例えば目砂)としては、アルミナ、ムライト、コージュライト、炭化ケイ素等の耐熱性の高い金属化合物製のものを使用することが望ましい。しかし、これらの金属化合物製焼成治具は、1000℃以上の焼成温度域において、コーティング用スラリーに含まれるセラミックス粉体と反応する場合があり得る。セラミックス粉体と焼成治具とが反応すると、セラミックス粉体と焼成治具とが接着して、焼成体を焼成治具から取り出したときに質感のよい立体形状物が得られない可能性がある。そのため、焼成工程においてコーティング用スラリーに含まれるセラミックス粉体と焼成治具との反応を適切に抑制することが望ましい。
好ましい一態様において、第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体は、上記焼成治具(例えば目砂)との反応性が第1セラミックス粉体よりも第2セラミックス粉体の方が低くなるように選択する。このようにすれば、焼成治具との反応性が低い第2セラミックス粉体粒子が第1セラミックス粉体粒子の周りに配置され、焼成治具との反応性が高い第1セラミックス粉体と焼成治具との直接的な接触が妨げられる。このことにより、焼成時におけるセラミックス粉体と焼成治具との反応が効果的に抑制され、質感の良い焼成物(立体形状物)を得ることができる。例えば、第1セラミックス粉体としてシリカ粒子を使用する場合、第2セラミックス粉体としては、ジルコン粒子を好ましく採用することができる。
<溶剤>
積層造形物コーティング用スラリーに用いられる溶剤は、上述した粉体材料を分散させることができるものであればよく、特に制限されない。例えば、水系溶剤を使用することができる。水系溶剤としては、水または水を主体とする混合溶剤が好ましく用いられる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶剤の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶剤が挙げられる。積層造形物コーティング用スラリーに用いられる溶剤は水系溶剤に限定されず、非水系溶剤(有機溶剤)であってもよい。非水系溶剤としては、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;等を用いることができる。
積層造形物コーティング用スラリーにおける粉体材料および溶剤の含有量の比(粉体材料:溶剤)は、前述のスラリーの粘度η1、η10が前記範囲内および前記粘度比を満たす限りにおいて特に制限はないが、質量基準で1:5〜5:1の範囲である。上記含有量の比は、好ましくは1:4〜4:1、より好ましくは1:3〜3:1である。粉体材料および溶剤の含有量の比は、例えば、1:1〜3:1であってもよく、1:1〜5:2であってもよい。このような粉体材料および溶剤の含有量の比の範囲内であると、前述した性能向上効果がより良く発揮され得る。
<分散剤>
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは分散剤を含んでもよい。分散剤は、上記スラリー中で安定に粉体材料を分散させる目的で加える成分であり、典型的には界面活性剤が用いられる。分散剤としては、高分子ポリカルボン酸等が挙げられる。積層造形物コーティング用スラリーにおける分散剤の含有量は特に制限されないが、通常は0.1質量%〜3質量%とすることが適当である。
<その他の成分>
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは、本構成の効果を損なわない範囲で、増粘剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤等の公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
<積層造形物コーティング用スラリーの調製>
積層造形物コーティング用スラリーの調製方法は特に限定されない。例えば、周知の混合方法を用いて、積層造形物コーティング用スラリーに含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは、積層造形物の表面をコーティングして該積層造形物の表面粗さを高度に低減し得ることから、良好な質感の表面が要求される積層造形物のコーティング剤として好ましく適用され得る。したがって、この明細書により、上記スラリーを用いたコーティング工程を含む立体形状物(積層造形物の表面に多孔質のコーティング層を備えた立体形状物)の製造方法および該方法により製造された立体形状物が提供される。積層造形物コーティング用スラリーでコーティングされる積層造形物は、造形、焼成等の工程を経て得られた積層造形物であり得る。
ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーは、例えば以下の操作を含む態様で、立体形状物の製造方法に好適に使用することができる。以下、ここに開示される積層造形物コーティング用スラリーを用いて立体形状物を製造する方法の好適な一態様につき説明する。好ましい一態様に係る立体形状物の製造方法は、積層造形物を用意する工程(積層造形物用意工程)と、積層造形物の表面に積層造形物コーティング用スラリーを付与する工程(コーティング工程)と、該スラリーが付与された積層造形物を焼成する工程(焼成工程)と、を含んでいる。
<積層造形物用意工程>
積層造形物用意工程では、積層造形物を用意する。上記積層造形物を用意することには、積層造形物を造形することが含まれ得る。例えば、積層造形用セラミックス粒子を含む積層造形用粉体を調製し、この積層造形用粉体を用いて従来公知の方法で積層造形物を造形するとよい。積層造形用セラミックス粒子としては、前述した第1セラミックス粉体および第1セラミックス粉体の材料として例示した材料の中から、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、ジルコン粒子、チタニア粒子、シリカ粒子、酸化亜鉛粒子、チタン酸バリウム粒子、アルミニウム粒子、ニッケル粒子、鉄粒子等を使用し得る。積層造形用セラミックス粒子の平均粒径は特に限定されないが、例えば5μm〜100μm、典型的には10μm〜80μm、例えば15μm〜70μmであり得る。積層造形用セラミックス粒子の平均粒径は、20μm〜50μmであってもよい。積層造形用粉体は、必要に応じて、積層造形用セラミックス粒子以外の成分を含み得る。そのような成分として、バインダや界面活性剤等が挙げられる。バインダとしては、例えば、イソブチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂等の熱可塑性樹脂、メラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂、セルロース誘導体等の多糖類が例示される。
また、上記積層造形物を用意することには、上記造形された積層造形物を焼成することが含まれ得る。例えば、上記造形された積層造形物を所定の焼成温度(例えば1300℃〜1600℃)にて焼成するとよい。上記造形方法および上記焼成方法は本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
好ましい一態様では、上記スラリーが付与される積層造形物の平均細孔径は、概ね5μm以上40μm以下である。積層造形物の平均細孔径は、例えば15μm以上であってもよく、典型的には25μm以上(例えば35μm以上)であってもよい。また、積層造形物の気孔率は、概ね30%以上70%以下である。積層造形物の気孔率は、例えば50%以上であってもよく、典型的には60%以上(例えば65%以上)であってもよい。また、積層造形物の算術平均表面粗さRaが15μm以上(例えば20μm以上、典型的には40μm以上)を満たすものであり得る。このような大きい平均細孔径、気孔率および表面粗さを有する積層造形物は、触ったときの質感が悪く、美麗な外観が損なわれがちである。そのため、本構成のスラリーを適用することによる効果(例えば質感向上効果)がより好適に発揮され得る。なお、本明細書中において「平均細孔径」および「気孔率」は、特記しない限り、水銀圧入法を用いて測定され多値が採用される。
<コーティング工程>
コーティング工程では、上記積層造形物を用意した後、積層造形物の表面に積層造形物コーティング用スラリーを付与(典型的には塗布)する。コーティング方法としては、該スラリーを積層造形物の表面に均一にコートできれば特に限定されない。例えば、積層造形物をスラリー中に浸漬する方法(例えばディップコート法)、積層造形物にスラリーを吹き付ける方法等が採用され得る。積層造形物をスラリー中に浸漬する場合、浸漬時間としては、積層造形物の表面にスラリーが十分に濡れ広がる程度の時間であればよく、通常は10秒〜120秒である。積層造形物をスラリーから取り出した後、焼成前に自然乾燥してもよい。乾燥時間としては特に限定されないが、概ね0.5時間〜2時間程度である。
<焼成工程>
焼成工程では、上記コーティング工程の後、積層造形物を焼成することにより立体形状物を得る。好ましくは、酸素雰囲気中において、1000℃以上1300℃未満の範囲内に最高焼成温度を決定する。これにより、積層造形物の表面に付与された積層造形物コーティング用スラリー中の溶剤が除去され、第1セラミックス粉体および第2セラミックス粉体の焼結が行われる。このことにより、積層造形物の表面に多孔質のコーティング層が形成された立体造形物を製造することができる。上記焼成工程は、最高焼成温度が1100℃以上(好ましくは1100℃〜1250℃、例えば1150℃〜1250℃)となるように行われることが好ましい。また、焼成時間(最高焼成温度での焼成時間)は、概ね1時間〜5時間とするとよい。このようにして本実施形態に係る立体形状物の製造が完了する。
<立体形状物>
ここに開示される立体形状物は、平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体と、該第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体と、溶剤とを含む積層造形物コーティング用スラリーを積層造形物の表面に付与した後、焼成することにより製造されたものである。そのため、得られた立体形状物は、従来に比して表面粗さが小さい多孔質のコーティング層を有するものとなり得る。典型的には、該コーティング層の算術平均表面粗さRaが50μm以下、例えば45μm以下(例えば0.5μm〜45μm)であり、好ましくは38μm以下、より好ましくは30μm以下であり得る。このようなコーティング層を備えた立体形状物は、触ったときの質感が良好で、かつ、外観に優れたものであり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において、「%」は特に断りがない限り質量基準(質量%)である。
<積層造形物>
セラミックス粒子(材質アルミナ、平均粒径20μmのものを使用した。)を含む積層造形用粉体を3D造形機に投入し、縦4mm×横40mm×厚さ0.1mmの層を5枚積み重ねた3種類の積層造形物A〜Cを造形した。その後、各積層造形物A〜Cをアルミナ製の目砂中で1400℃にて焼成することにより、積層造形物A〜Cの焼成体を得た。得られた積層造形物(焼成体)A〜Cの平均細孔径、気孔率および表面粗さRaを表1に纏めて示す。
なお、積層造形物A〜Cの平均細孔径および気孔率は、Micromeritics Instrument Corporation製の細孔分布測定装置 「AutoPoreIV9500」を用いて前記方法により測定された体積基準メディアン径である。また、表面粗さRaは、株式会社キーエンス製の形状測定マイクロスコープ「VK-9700」により測定した積層造形物A〜Cの積層面(5枚)における算術平均粗さRaの値である。
Figure 2019001686
<積層造形物コーティング用スラリー>
第1セラミックス粉体としてのシリカ粒子と、第2セラミックス粉体としてのジルコン粒子と、分散剤としての高分子ポリカルボン酸と、溶剤としてのエチルアルコールとを混合して、実施例1〜9および比較例1〜3の積層造形物コーティング用スラリーを調製した。第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体との質量比は1:1とした。第1セラミックス粉体と第2セラミックス粉体との合計質量200gに対する溶剤の使用量としては、実施例1〜3:200g、実施例4〜6:100g、実施例7〜9:80g、比較例1〜3:60gとした。各例に係る積層造形物コーティング用スラリーの回転数:1rpmのときの粘度η1、回転数:10rpmのときの粘度η10、粘度比(η1/η10)、使用した第1セラミックス粉体の平均粒径D1および第2セラミックス粉体の平均粒径D2を表2に纏めて示す。
なお、各例のスラリーの粘度は、ブルックフィールド社製のプログラマブルレオメータ「DV-III Ultra」を用いて前記方法により測定した。また、平均粒径D1、D2は、Malvern Instruments Ltdの「マスターサイザー3000」を用いて前記方法により測定した。
<立体形状物>
各例のスラリーをディップコート法により前記積層造形物(焼成体)A〜Cの表面に塗布してコーティングした後(コーティング工程)、アルミナ製の目砂中で1200℃にて焼成することにより(焼成工程)、積層造形物の表面に多孔質のコーティング層を備えた立体形状物A〜Cを得た。そして、コーティング工程において、積層造形物の表面にスラリーが均一に付着しているか否かを目視にて確認した。ここでは、積層造形物にスラリーが均一に付着していたものを「○」、積層造形物の寸法比が変わるほどスラリーが不均一に付着していたものを「×」と評価した。また、焼成後における実施例1〜9の立体形状物のコーティング層の表面粗さRaの値を測定した。なお、表面粗さRaは、株式会社キーエンス製の形状測定マイクロスコープ「VK-9700」により測定した立体形状物の積層面(5枚)における算術平均粗さRaの値である。結果を表2の「塗布性」および「コーティング後表面粗さRa」の欄にそれぞれ示す。
Figure 2019001686
表1および表2に示されるように、比較例1〜3に係るスラリーは、粘度が高すぎて積層造形物に不均一に付着しており、塗布性が不良であった。これに対し、実施例1〜9のスラリーは、積層造形物の表面に均一に付着しており、塗布性が良好であった。また、コーティング工程後におけるスラリーの積層造形物への染み込みも抑えられ、焼成後の寸法精度が良好であった。さらに、コーティング後における表面粗さRaも概ね低減されており、コーティング前に比べて質感が改善されていた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (7)

  1. 積層造形物に多孔質のコーティング層を形成するためのスラリーであって、
    セラミックスからなる粉体材料と、溶剤とを含み、
    前記粉体材料は、平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体と、該第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体とを含み、
    前記第1セラミックス粉体の平均粒径D1は、3μm以上30μm以下であり、
    ここで、前記スラリーは、
    回転数:1rpmのときの粘度η1が1mPa・s以上であり、
    回転数:10rpmのときの粘度η10が100mPa・s以下であり、
    前記粘度η1と前記粘度η10との粘度比:η1/η10が0.8以上1.5以下である、積層造形物コーティング用スラリー。
  2. 前記粉体材料および前記溶剤の含有量の比(粉体材料:溶剤)が質量基準で1:1〜3:1の範囲である、請求項1に記載の積層造形物コーティング用スラリー。
  3. 前記第1セラミックス粉体の平均粒径D1と前記第2セラミックス粉体の平均粒径D2との関係が次式:0.05≦(D1/D2)≦0.2;を満たす、請求項1または2に記載の積層造形物コーティング用スラリー。
  4. 前記第2セラミックス粉体の平均粒径D2が0.1μm以上3μm未満である、請求項1〜3の何れか一つに記載の積層造形物コーティング用スラリー。
  5. 前記第1セラミックス粉体および前記第2セラミックス粉体の含有量の比(第1セラミックス粉体:第2セラミックス粉体)が質量基準で5:1〜1:5の範囲である、請求項1〜4の何れか一つに記載の積層造形物コーティング用スラリー。
  6. 前記第1セラミックス粉体として、シリカ粒子を含み、
    前記第2セラミックス粉体として、ジルコン粒子を含む、請求項1〜5の何れか一つに記載の積層造形物コーティング用スラリー。
  7. 積層造形物の表面に多孔質のコーティング層を備えた立体形状物であって、
    前記コーティング層は、平均粒径D1を有する第1セラミックス粉体と、該第1セラミックス粉体よりも小さい平均粒径D2を有する第2セラミックス粉体と、溶剤とを含む積層造形物コーティング用スラリーの焼成体からなり、
    前記積層造形物の平均細孔径が5μm以上40μm以下であり、
    前記積層造形物の気孔率が30%以上70%以下であり、
    前記コーティング層の算術平均表面粗さRaが50μm以下である、立体形状物。
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