JP2019119116A - セラミックスコアの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な内部形状を有するセラミックスコアを得ることができる、セラミックスコアの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明により、所定の内部形状を有するセラミックスコアの製造方法が提供される。この製造方法は、造形用粉体を用いてセラミックスコアの内部形状に対応する形状を有する造形物を造形すること;金型内に造形物を配置して、該金型と該造形物とにより形成される空洞にセラミックスコア形成用材料を流し込んで固化すること;および、固化した固化物に内包された造形物を消失させることにより、所定の内部形状を有するセラミックスコアを得ること;を包含する。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックスコアの製造方法に関する。
産業用ガスタービン動静翼(タービンブレード)や、ジェットエンジン、ターボチャージャーなど高温環境(例えば、1100℃以上)で使用される耐熱構造用部品には、Ti基合金,Ni基合金あるいはCo基合金等の超耐熱合金が広く使用されている。これらの耐熱構造用部材のうち、例えば、タービンブレードには、その強度を維持しつつ冷却効果を高めるために、複雑かつ高精度に設計された空気流路である中空孔を備えることが知られている。かかる中空孔を有する耐熱構造用部品は、形成したい中空孔に対応する形状のセラミックスコア(中子)を用いて成形されている。セラミックスコアは、耐熱構造用部品の成形後、薬品等を用いて溶出除去される。この種のセラミックスコアに関する従来技術として、特許文献1が挙げられる。なお、特許文献2は、3D積層造形に関する技術文献である。
特開2015−226935号公報 特開2005−144870号公報
近年、タービンブレード等の耐熱構造用部品について、更なる高効率化を実現するために、より複雑に設計された中空孔等の製品形状を有する耐熱構造用部品が要求されるようになってきている。このため、より複雑に設計された中空孔等の製品形状を形成可能なように、複雑な内部形状を有するセラミックスコアが求められている。しかし、セラミックスコアは、一般に、高温流動化したセラミックスコア形成用スラリーを金型に射出する射出成形法あるいは金型に該スラリーを流し込む鋳込み成形法により成形した後、金型から取り出す必要があるため、内部形状を複雑化することができない。つまり、内部形状に制限があり、複雑形状のセラミックスコアを製造することが難しいという欠点がある。この点について、特許文献1には、3D積層造形技術を用いて、所望形状のセラミックスコアを製造することが提案されている。しかし、かかる技術では、積層段差によりセラミックスコアの外面が段々になり、良好な鋳肌面を有する耐熱構造用部品を成形できない場合がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、複雑な内部形状を有するセラミックスコアを得ることができる、セラミックスコアの製造方法を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により、所定の内部形状を有するセラミックスコアの製造方法が提供される。この製造方法は、無機材料と水溶性有機材料とを含む造形用粉体を用いて、前記内部形状に対応する形状を有する造形物を造形することを包含する(造形工程)。また、前記セラミックスコアの外形に対応する空洞を備えた金型内に前記造形物を配置して、該金型と該造形物とにより形成される空洞にセラミックスコア形成用材料を流し込んで固化することを包含する(固化工程)。さらに、前記固化した固化物に内包された前記造形物を消失させることにより、前記内部形状を有するセラミックスコアを得ることを包含する(消失工程)。かかる態様の製造方法によれば、複雑な内部形状を有するセラミックスコアを製造することができる。
ここで開示されるセラミックスコアの製造方法の好ましい一態様では、前記造形物を消失させる工程は、前記造形物を水に浸漬して除去する処理を含む。かかる構成によれば、固化物に内包された造形物を簡便かつ効率よく消失させることができる。
ここで開示されるセラミックスコアの製造方法の好ましい一態様では、前記造形物を消失させる工程は、前記造形物に対して超音波振動を付与する処理を含む。このようにすれば、より複雑な形状の造形物を効率よく消失させることができる。
ここで開示されるセラミックスコアの製造方法の好ましい一態様では、前記超音波振動の周波数は、20kHz以上50kHz以下である。このような超音波振動の周波数の範囲内であると、固化物に内包された造形物を除去しやすくなる。
ここで開示されるセラミックスコアの製造方法の好ましい一態様では、前記造形物を造形する工程は、層状に充填した前記造形用粉体の層の少なくとも一部に水を含む造形液を混合して固化させ、該固化した層を繰り返し積層する処理を含む。かかる構成によれば、複雑な形状の積層造形物を効率よく造形することができる。
ここで開示されるセラミックスコアの製造方法の好ましい一態様では、前記無機材料は、Al、Zr,Ti、Zn、Ni、FeおよびSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を主体として構成されている。これらの金属元素または半金属元素を含む酸化物を用いれば、造形工程で得られた造形物の機械的強度が向上し、固化工程前における造形物の型崩れ等を抑制し得る。
ここで開示されるセラミックスコアの製造方法の好ましい一態様では、前記水溶性有機材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類からなる群から選択される少なくとも1種を主体として構成されている。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類のうちのいずれかを用いることで、上述した効果がより良く発揮され得る。
一実施形態に係るセラミックスコアの製造フローを示す図である。 一実施形態に係るセラミックスコアの製造工程を示す図である。 一実施形態に係るセラミックスコアの製造工程を示す図である。 実施例に係る積層造形物およびセラミックスコアの写像である。 実施例に係るセラミックスコアの製造工程を示す写像である。 PVAの体積割合と積層造形物の強度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示されるセラミックスコアは、産業用ガスタービン動静翼(タービンブレード)や、ジェットエンジン、ターボチャージャーなど高温環境で使用される耐熱構造用部品の製造に用いられる精密鋳造用中子であって、所定の内部形状を有している。以下、図1を参照しながら、セラミックスコアを製造する手順につき説明する。図1は、その製造工程を示すフロー図である。本実施形態の製造方法は、造形工程(ステップS10)、固化工程(ステップS20)および消失工程(ステップS30)を有している。
ここで、ステップS10の造形工程には、無機材料と水溶性有機材料とを含む造形用粉体を用いて、上記内部形状に対応する形状を有する造形物を造形することが含まれる。ステップS20の固化工程には、上記セラミックスコアの外形に対応する空洞を備えた金型内に上記造形物を配置して、該金型と該造形物とにより形成される空洞にセラミックスコア形成用材料を流し込んで固化(典型的には凝固)させることが含まれる。ステップS30の消失工程には、上記固化させた固化物に内包された上記造形物を消失させることにより、上記内部形状を有するセラミックスコアを得ることが含まれる。このように、造形工程、固化工程および消失工程の各ステップを経ることにより、表面平滑性に優れ、なおかつ、複雑な内部形状を有するセラミックスコアを製造することができる。以下、各工程をより詳細に説明する。
<造形工程>
ステップS10の造形工程では、無機材料と水溶性有機材料とを含む造形用粉体を用いて、セラミックスコアの内部形状に対応する形状を有する造形物を造形する。この実施形態では、無機材料と水溶性有機材料とを含む積層造形用粉体を調製し、この積層造形用粉体を用いて粉末固着式積層法により積層造形物を造形する。
無機材料は、該無機材料からなる粒子(無機粒子)に水が接触したときに水和反応(典型的には水和物の生成や水酸化物の生成)が起こらない、あるいは起こったとしても該粒子の表面の微視的な範囲のみに限定され、該粒子の大部分は実質的に水と反応しない非水和性の無機物であれば特に制限はない。例えば、周期表の第4族〜第14族に属するいずれかの元素を含む酸化物、窒化物、炭化物;等を主体として構成される無機粒子を好適に用いることができる。なかでもAl、Zr,Ti、Zn、Ni、FeおよびSiのうちのいずれかの金属元素または半金属元素を含む酸化物(セラミックス)、窒化物、炭化物;等を主体として構成される無機粒子が好ましい。あるいは、周期表の第4族〜第13族に属するいずれかの元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成された無機粒子を採用してもよい。なかでもAl、Zr,Ti、Zn、NiおよびFeのうちのいずれかの金属元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成された無機粒子が好ましい。
具体的には、酸化アルミニウム(例えばアルミナ)粒子、酸化ジルコニウム(例えばジルコニア)粒子、酸化チタン(例えばチタニア)粒子、酸化ケイ素(例えばシリカ)粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子、酸化ニッケル粒子、酸化セリウム(例えばセリア)粒子、酸化マグネシウム(例えばマグネシア)粒子、酸化クロム粒子、二酸化マンガン粒子、チタン酸バリウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸バリウム粒子等の酸化物粒子;アルミニウム粒子、ニッケル粒子、鉄粒子等の金属粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;等のいずれかを主体として構成される無機粒子が挙げられる。無機粒子は1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、シリカ粒子、酸化亜鉛粒子、チタン酸バリウム粒子、アルミニウム粒子、ニッケル粒子、鉄粒子は、高強度の造形物を形成し得る点で好ましい。そのなかでも、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、シリカ粒子がさらに好ましく、アルミナ粒子が特に好ましい。
なお、本明細書において、無機粒子の組成について「Aを主体として構成される」とは、当該無機粒子に占めるAの割合(Aの純度)が、質量基準で90%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、例えば99%以上)であることをいう。
無機粒子の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。機械的強度、製造容易性等の観点から、略球形の無機粒子を好ましく使用し得る。無機粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば5μm以上であって、かつ、60μm以下であり得る。無機粒子の平均粒子径が小さすぎると、積層造形用粉体が流動しにくくなるため、造形時に該粉体を薄層状に充填する際の成形性が低下する場合があり得る。上記無機粒子の平均粒子径は、成形性等の観点からは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上(例えば40μm以上)である。また、無機粒子の平均粒子径は、概ね60μm以下である。無機粒子の平均粒子径が大きすぎると、造形時に該粉体を薄層状に充填した後、該粉体が流動しやすくなるため、積層造形物の各層が積層ずれを起こす場合があり得る。上記無機粒子の平均粒子径は、積層ずれを抑制する等の観点からは、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下、特に好ましくは45μm以下である。例えば平均粒子径が10μm≦X≦50μm(典型的には30μm≦X≦50μm)である無機粒子が、成形性と積層ずれ抑制とを両立させる観点から好適である。
なお、本明細書中において「平均粒子径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒子径、すなわち50%体積平均粒子径(D50径)を意味するものとする。より具体的には、レーザ回析・散乱式粒度分布測定装置を用い、圧縮空気による粒子の分散は行わず、乾式測定した50%体積平均粒子径である。
積層造形用粉体における無機粒子(無機材料)の含有量は、特に制限はない。無機粒子の含有量は、積層造形用粉体の全量を100質量部とした場合に、通常は50質量部以上であり、機械的強度向上等の観点から、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上である。ある一態様において、無機粒子の含有量は、例えば75質量部以上、典型的には80質量部以上であってもよい。無機粒子の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは95質量部以下であり、より好ましくは92質量部以下であり、例えば88質量部以下であってもよい。
ここで開示される積層造形用粉体は、上述した無機材料に加えて、水溶性有機材料(典型的には粒子状)を含有する。水溶性有機材料からなる粒子(水溶性有機粒子)は、水を含む造形液と混合した際、水に溶解して無機粒子同士を接着する成分であり得る。
水溶性有機粒子の材質や性状は特に制限はない。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、多糖類および水溶性ワックスのいずれかを主体として構成された水溶性有機粒子が好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂の好適例として、例えばビニルアルコール系樹脂、イソブチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が例示される。ビニルアルコール系樹脂は、典型的には、主たる繰返し単位としてビニルアルコール単位を含む樹脂(PVA)である。当該樹脂において、全繰返し単位のモル数に占めるビニルアルコール単位のモル数の割合は、通常は50%以上(例えば50%〜90%)であり、好ましくは65%以上、より好ましくは75%以上、例えば85%以上である。全繰返し単位が実質的にビニルアルコール単位から構成されていてもよい。PVAにおいて、ビニルアルコール単位以外の繰返し単位の種類は特に限定されず、例えば酢酸ビニル単位等であり得る。カルボキシル基変性PVA、スルホン酸基変性PVA、リン酸基変性PVAなどのアニオン変性PVA、カチオン変性PVA、あるいはエチレン、長鎖アルキル基を有するビニルエーテル、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、アルファオレフィンなどを共重合した変性PVA;等を使用してもよい。PVAの重合度については特に制限されないが、例えば100〜5000(好ましくは500〜3000)であり得る。イソブチレン系樹脂は、イソブチレンの単独重合体であってもよいし、イソブチレンと他の単量体との共重合体(イソブチレン共重合体)であってもよい。イソブチレン共重合体において、イソブチレンと共重合する他の単量体としては特に限定されない。例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーが挙げられる。エチレン性二重結合を有するモノマーとしては、例えば、(無水)マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン等が挙げられる。化学変性したイソブチレン共重合体を用いてもよい。イソブチレン共重合体の分子量については特に制限されないが、例えば3×10〜2×10(好ましくは5×10〜1.7×10)であり得る。ポリアミド系樹脂としては、例えばポリカプロアミド(ナイロン−6)などのナイロンを化学変性した水溶性ナイロンが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば親水性基を有する成分がポリエステル中に共重合成分として導入された水溶性ポリエステルが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ビニルアルコール系樹脂およびイソブチレン系樹脂は強接着力を有する点で好ましく用いることができる。
熱硬化性樹脂の好適例としては、例えばメラミン系樹脂が例示される。メラミン系樹脂は、メラミンとアルデヒドとの重合反応によって得られるメラミン樹脂であってもよいし、メラミン樹脂の形成に用いられる単量体(またはその初期重合体)と他の単量体(またはその初期重合体)との共重合体樹脂であってもよい。メラミン樹脂において、メラミンと重合するアルデヒドとしては特に限定されない。例えばメラミンとホルムアルデヒドとの重合反応によって得られるメラミン樹脂を好ましく用いることができる。
多糖類の好適例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;アラビアゴム、キサンタンゴム、カードラン、澱粉、デキストリン、グルコマンナン、アガロース、カラギナン、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、クインシードガム、プルラン、寒天、コンニャクマンナンなどの天然高分子化合物;スクロース、デキストロース、フルクトース、ラクトース、砂糖、キシリトール、キトサン、シクロデキストラン、変性澱粉;が例示される。なかでも、接着性等の観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、キサンタンゴムを好ましく用いることができる。
水溶性ワックスとしては、動物性ワックスおよび植物性ワックスが挙げられる。ここでいう「ワックス」とは、常温(例えば25℃)で固体であり、水の沸点(100℃)よりも低い融点を有する油脂状の有機物(蝋)をいう。ワックスは、典型的には高級脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステルであり、ここは中性脂肪や高級脂肪酸、炭化水素を包含する概念である。植物性ワックスの好適例としては、ハゼ蝋やウルシ蝋等の木蝋(主成分:パルミチン酸グリセリド);カルナウバ蝋(主成分:セロチン酸ミリシル、ミリシルアルコール);サトウキビロウ(主成分:パルミチン酸ミリシル);パーム蝋(主成分:パルミチン酸ミリシル);カンデリラ蝋;等が例示される。動物系ワックスの好適例としては、蜜蝋(主成分:セロチン酸、パルミチン酸ミリシル);鯨蝋(主成分:パルミチン酸ミリシル);マッコウクジラ油(成分:オレイン酸、セチルアルコール、パルミチン酸等);ツチクジラ油(成分:オレイルアルコール、セチルアルコール等);イボタ蝋;羊毛蝋(成分:セリルアルコール、ミリスチン酸等);等が例示される。
ここに開示される積層造形用粉体に含有させ得る水溶性有機粒子の他の例として、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム部分中和物、スチレン化ポリアクリル酸、スルホン化ポリエステルポリマー、スルホン化ポリスチレン、ソルビトース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンの共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムの共重合体、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ペクチン;等を主体として構成された水溶性有機粒子が挙げられる。上述した水溶性有機粒子は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、水溶性有機粒子の組成について「Aを主体として構成される」とは、当該水溶性有機粒子に占めるAの割合(Aの純度)が、質量基準で90%以上(好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、例えば99%以上)であることをいう。
好ましい一態様では、水溶性有機材料は、20℃における水に対する溶解度が20%以上であり得る。上記溶解度は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上である。上記溶解度の上限は特に限定されないが、概ね99%以下である。水溶性有機粒子の溶解度は、例えば98%以下であってもよく、典型的には95%以下であってもよい。ここで開示される技術は、上記溶解度が30%以上95%以下(さらには50%以上92%以下)の水溶性有機粒子を用いる態様で好ましく実施され得る。ここでいう「溶解度」とは、水溶性有機材料を水に最大量溶かしたときの、飽和水溶液(水+水溶性有機材料)に対する水溶性有機材料の質量割合を百分率で表わしたものをいう。
特に制限されるものではないが、水溶性有機粒子の平均粒子径は、通常は0.1μm以上であり、好ましくは1μm以上である。水溶性有機粒子の平均粒子径の上限は、凡そ250μm以下とすることが適当であり、好ましくは200μm以下である。
積層造形用粉体の総体積(粒子間の隙間部分を除いた体積をいう。)に対する水溶性有機粒子の体積割合Xは特に限定されないが、概ね20体積%以上である。より高強度の造形物を得る等の観点から、水溶性有機粒子の体積割合Xは、好ましくは25体積%以上、より好ましくは30体積%以上、さらに好ましくは35体積%以上である。また、水溶性有機粒子の体積割合Xは、概ね60体積%以下にすることが適当である。より高強度の造形物を得る等の観点から、水溶性有機粒子の体積割合Xは、好ましくは50体積%以下、より好ましくは45体積%以下、さらに好ましくは40体積%以下である。
ここに開示される技術において、水溶性有機粒子と無機粒子とは、相互に接着しておらず、それぞれ独立した粒子として存在していてもよい。このように水溶性有機粒子と無機粒子とがそれぞれ独立した粒子として存在することで、所望の積層造形用粉体を簡易に実現できる。あるいは、無機粒子の表面に水溶性有機粒子を付着させてもよい。すなわち、無機粒子の一部または全部を水溶性有機粒子で被覆(コーティング)してもよい。このことによって、無機粒子間に所要量の水溶性有機粒子が確実に存在するため、水溶性有機粒子を溶解した水が無機粒子間に効率よく行き渡る。そのため、造形物の強度向上効果をより効果的に発揮させることができる。
ここに開示される積層造形用粉体は、本構成の効果を損なわない範囲で、分散剤、増粘剤、印刷助剤等の、積層造形用粉体に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
積層造形用粉体の調製方法は特に限定されない。例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、タンブラーミキサー等の周知の混合方法を用いて、積層造形用粉体に含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
以上の積層造形用粉体に、典型的には水を含む造形液を混合して造形物を造形する。
上記造形液に用いられる溶媒は、水を含むものであればよい。溶媒としては、純水、超純水、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水等を好ましく用いることができる。ここに開示される造形液は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。通常は、造形液に含まれる溶媒の40体積%以上が水であることが好ましく、50体積%以上(典型的には50〜100体積%)が水であることがより好ましい。かかる造形液は、造形時に積層造形用粉体100質量部に対して例えば20質量部〜80質量部(典型的には40質量部〜60質量部)の比率で混合され得る。
ここに開示される造形液は、本構成の効果を損なわない範囲で、染料、有機顔料、無機顔料、湿潤剤、流量増加剤等の、造形液に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよく、本発明を特徴づけるものではないため、詳しい説明は省略する。
積層造形用粉体を用いて造形物を造形する方法としては、特に限定されない。例えば、積層造形用粉体を用いて該粉体の層を形成した後、該層における所定領域に水を含む造形液を供給することにより、造形物が造形され得る。この造形は、例えば、造形対象となる積層造形物に対応する三次元データ等に基づいて立体を造形する3Dプリンタを用いて行われ得る。かかる3Dプリンタは、水を含む造形液を滴下するインクジェットと、積層造形用粉体が配置される裁置台とを有し得る。
そして、下記の操作1〜3を繰り返すことで、層状固形物を順次積層して積層造形物を造形する。
操作1:上記積層造形用粉体を、造形対象となる積層造形物の各層に対応する厚さ(例えば0.01mm〜0.3mm)となるように、裁置台上に層状に充填(堆積)する。
操作2:層状に充填された積層造形用粉体(堆積物)のうち硬化すべき部分(すなわち造形対象となる積層造形物の一部に相当する部分)に対してインクジェットヘッドから水を含む造形液を滴下する。そして当該滴下部分に含まれる水溶性接着粒子を溶解して非水和反応母材粒子間を接着することで、硬化層(層状固形物)を形成する。
操作3:裁置台を鉛直下方に上記積層造形物の各層に対応する厚さの分だけ下降させる。
その後、硬化されなかった積層造形用粉体を最終的に取り除くことで、積層造形物の造形が完了する。かかる積層造形物は、溶解した水溶性接着粒子により多数の非水和反応母材粒子が接着されて形成されたものであり、多孔質構造を有し得る。造形後、得られた積層造形物を自然乾燥してもよい。乾燥時間としては特に限定されないが、概ね1.5時間〜24時間程度、好ましくは2時間〜10時間である。
<固化工程>
ステップS20の固化工程では、セラミックスコアの外形に対応する空洞を備えた金型を用意し、該金型内に上記造形工程で得られた造形物を配置する。そして、該金型と該造形物とにより形成される空洞にセラミックスコア形成用材料を流し込んで凝固させる。
セラミックスコア形成用材料は、セラミックスコアの主たる骨格を構成するセラミック粒子と、バインダ成分とを含み得る。
セラミック粒子を構成するセラミックの組成については、特に制限されない。かかるセラミックは、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO)、セリア(CeO)、イットリア(Y)、ハフニア(HfO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、二酸化マンガン(MnO)、石灰(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、ベンガラ(Fe)、ジルコン(ZrSiO)、ムライト(Al13Si)、ケイ酸アルミニウム等の酸化物系セラミックであってもよいし、窒化ケイ素(Si)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、炭窒化ホウ素等の非酸化物系セラミックであってもよいし、もしくはこれらのようなセラミックを少なくとも1種以上含む複合材料などであってもよい。これらのセラミックは、セラミックスコアの用途や求められる特性等に応じて、いずれか1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、難燃性に優れる点で、シリカ、アルミナ、ジルコン、ハフニア、イットリア、ジルコニア等の使用が好ましい。なお、上記物質名の後の括弧内に示された化学式は、当該物質の代表組成を示すものであり、実際のセラミックの組成がかかる化学式のものに限定されることを意図したものではない。
バインダ成分としては、水に不溶または難溶で、かつ、この種の成形法において使用し得る各種の材料を用いることができる。バインダ成分としては、例えば、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレングリコール、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルクロリド、ポリビニルブチラール、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリラクチド、メチルセルロース、尿素-ホルムアルデヒドの重縮合物、石油系ワックス等が例示される。
バインダ成分の一例として、常温領域(例えば45℃未満、典型的には25±5℃)において固体であって、45℃未満の所定の温度にまで加熱されることにより溶融(軟化)し、45℃以上の溶融状態において高い流動性を示し得るものが挙げられる。かかるバインダ成分として、例えば、石油系ワックスが例示される。石油系ワックスとしては、JIS K 2235(1991)にて規定される各種のワックスを利用することができる。具体的には、石油系ワックスとしては、減圧蒸留留出油から分離精製したパラフィンワックスと、減圧蒸留の残査油または重質留出油から分離精製したマイクロワックス(マイクロクリスタリンワックス)が好適な例として挙げられる。かかる石油系ワックスは、特に制限されるものではないが、パラフィンワックスで重量平均分子量が500以下、マイクロワックスで重量平均分子量が1000以下程度のものが、比較的低温での加熱により容易に溶融させることができるために好ましい。
上記の石油系ワックスは、比較的融点が低いものであり得るが、例えば、100℃以下で上記のセラミック粉末を良好に分散させつつ成形するに十分な流動性を発現するためには融点がまだ高いといえる。また、上記の石油系ワックスは、一般的な水や有機溶媒等の溶媒等と比較して、分子構造が極めて単純なために相溶性に乏しい物質であり得る。そこで、上記バインダ成分は、石油系ワックスと共に、非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤を含んでもよい。かかる非水溶性のポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤を石油系ワックスに加えることで、該石油系ワックスと均一に混合しつつ、該石油系ワックスの融点を低下させて、十分な流動性を付与することができる。
かかる非水溶性ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤は、石油系ワックスと均一に混ざり合い、石油系ワックスの融点を十分に低下させ得るものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル,ポリオキシエチレンオレイルエーテル,ポリオキシエチレンステアリルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルエーテル,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル,ポリオキシエチレンベヘニルエーテル,ポリオキシエチレンコレステリルエーテル,ポリオキシエチレンイソセチルエーテル,ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル,ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル,ポリオキシエチレン水添ダイマージリノレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体等のエーテル型のPOE型非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル,イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル,ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル,ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のエステル型(エーテルエステル型)のPOE型非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型のPOE型非イオン性界面活性剤が挙げられる。
また、セラミックスコア形成用材料には、必須ではないものの、セラミック粉末やバインダ成分の他に、任意添加物を添加することができる。かかる任意添加物としては、カップリング剤、滑剤、可塑剤、離型剤、カーボン等が代表的なものとして挙げられる。かかる任意添加物は、上記の本発明の特徴を損ねない範囲において、例えば、セラミックスコア形成用材料の10質量%以下の割合で添加することができる。
以上のセラミックスコア形成用材料を(例えばバインダ成分が溶融する温度域、典型的には50℃以上、例えば50℃〜150℃、好ましくは50℃〜100℃まで)加熱して溶融状態にする。かかるバインダを溶融させるための加熱温度は、混合材料に含まれるバインダの種類に応じて適宜変更することができる。混合材料を溶融状態にするための加熱処理は、ロールミル、ミキサーなどを用い、混練しながら行ってもよい。これによって、セラミック粉末が好適に分散した状態の複合材料を得ることができる。
次いで、図2に示すように、セラミックスコアの外形に対応する空洞10を備えた金型20を用意し、該金型20内に造形工程で得られた造形物30を配置する。そして、図3に示すように、金型20と造形物30とにより形成される空洞(キャビティ)10に、溶融状態のセラミックスコア形成用材料40を流し込む。かかる処理では、セラミックスコア形成用材料40を溶融状態にした後に、任意の射出成形機を用いて該溶融状態のセラミックスコア形成用材料40を上記空洞10内に圧力をかけて射出してもよい。あるいは溶融状態のセラミックスコア形成用材料40を上記空洞10内に流し込んでもよい。
次いで、金型20は、バインダ成分が硬化するような温度に維持される。これにより、流し込まれた溶融状態のセラミックスコア形成用材料40が放熱固化(もしくは冷却固化)される。その結果、上記金型20の空洞10に対応する形状を有した固化物(典型的には凝固物)が得られる。
<消失工程>
ステップS30の消失工程では、上記固化した固化物を金型20から取り出し、該固化物に内包された造形物30を消失させる。消失工程は、例えば、固化物に内包された積層造形物を水に溶解して除去する処理を含み得る。具体的には、固化物を積層造形物とともに水に浸漬するとよい。これにより、固化物に内包された積層造形物中の水溶性有機材料が水に溶け出して造形物が崩壊する。
好ましい一態様では、消失工程は、水に浸漬した積層造形物に対して超音波振動を付与する処理を含む。積層造形物の形状が複雑なほど取り除きにくくなりがちであるが、上記のように水中で超音波振動を与えることで、積層造形物を効率よく除去することができる。積層造形物に対して超音波振動を付与する手段としては特に限定されない。例えば、適当な超音波装置を用いて、水に浸漬した積層造形物に対して超音波振動を付与するとよい。超音波の諸条件は特に限定されないが、超音波の好ましい周波数は10kHz〜100kHzとすることができ、好ましくは15kHz〜80kHz、より好ましくは20kHz〜50kHzである。超音波の好ましい出力は50W〜600Wとすることができ、好ましくは100W〜500Wである。
このように、固化物に内包された積層造形物を水に浸漬して消失させることにより、所望の内部形状を有するセラミックスコアを得ることができる。セラミックスコアは、必要に応じて、成形後にセラミックスコアからバインダ成分を除去する脱脂処理を行ってもよい。具体的には、バインダ成分を構成する材料が熱分解される程度の温度でセラミックスコアを加熱する。この脱脂処理における加熱条件(温度、時間)は、バインダ成分の種類や含有割合に応じて適宜変更することができる。また、セラミックスコアは、脱脂後に焼成してもよい。当該焼成処理における加熱条件(温度、時間、雰囲気)については、セラミック粉末の種類や粒径、目的とするセラミックスコアの密度等に応じて適宜変更することができる。例えば、焼成温度は1000℃〜1500℃(好ましくは1100℃〜1300℃)に設定するとよい。また、焼成中の雰囲気は酸化雰囲気若しくは不活性雰囲気に設定するとよい。これにより、より高強度なセラミックスコアが形成され得る。
ここに開示されるセラミックスコアは、無機材料と水溶性有機材料とを含む造形用粉体を用いてセラミックスコアの内部形状に対応する形状を有する造形物を造形する造形工程と、セラミックスコアの外形に対応する空洞を備えた金型内に上記造形物を配置して、該金型と該造形物とにより形成される空洞にセラミックスコア形成用材料を流し込んで固化する固化工程と、固化物に内包された造形物を消失させることにより、上記内部形状を有するセラミックスコアを得る消失工程と、を経て製造されたものである。そのため、得られたセラミックスコアは、外面の平滑性に優れ、なおかつ、複雑な内部形状を有するものであり得る。かかるセラミックスコアは、複雑かつ高精度に設計された中空孔等の製品形状を有する種々の耐熱構造用部品の製造に用いられるセラミックス中子として好ましく用いることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例1>
本例では、複雑な内部形状を有するセラミックスコアを作製した。具体的には、無機材料としてのアルミナ粒子と、水溶性有機材料としてのポリビニルアルコール(PVA)とを混合して積層造形用粉体を調製し、3Dプリンタを用いて上記内部形状に対応する形状を有する積層造形物を造形した(図4(A)参照)。PVAとしては、20℃における水に対する溶解度が90%のものを使用した。また、積層造形用粉体におけるPVAの体積割合Xは50体積%とした。
次いで、セラミックスコアの外形に対応する空洞を備えた金型を用意し、該金型内に積層造形物を配置した(図5参照)。そして、金型を温めながら、金型と積層造形物とにより形成される空洞にセラミックスコア形成用材料を射出して冷却固化した。セラミックスコア形成用材料としては、セラミック粒子としてのシリカ粒子およびジルコン粒子に対して、バインダ成分としてのワックスを射出成形に適した流動性となるよう加熱・混合したものを用いた。得られた固化物を金型から取り出し、該固化物を積層造形物とともに水に浸漬して超音波振動を付与した。超音波の周波数は20kHz〜50kHzに設定した。これにより固化物に内包された積層造形物を除去した。このようにして、図4(B)に示すセラミックスコアを得た。
<試験例2>
本例では、超音波振動における周波数が造形物の溶解性に与える影響を確認するため、以下の試験を行った。無機材料としてのアルミナ粒子と、水溶性有機材料としてのPVA粒子とを混合して積層造形用粉体を調製し、3Dプリンタを用いて、縦4mm×横40mm×高さ3mmの積層造形物(試験片)を造形した。PVAとしては、20℃における水に対する溶解度が90%のもの(以下、「PVA1」と表記する。)と、20℃における水に対する溶解度が30%のもの(以下、「PVA2」と表記する。)を使用した。また、各例の積層造形用粉体におけるPVAの体積割合Xは50体積%とした。
上記得られた積層造形物を水に浸漬し、超音波振動を付与して積層造形物が崩壊するまでの溶解時間を計測した。超音波装置としては、本多電子株式会社製の「W−113」、「WDX−1200−I」、アズワン株式会社製の「ASU−10D」の何れかを使用した。各例の積層造形用粉体について、使用したPVAの種類、超音波振動の周波数、出力、溶解時間を表1に示す。
表1に示すように、水溶性有機材料としてPVA1を使用した例1〜8を比較すると、積層造形物に対して超音波振動を付与した例2〜8は、超音波振動を付与していない例1に比べて溶解時間が短く、より良好な結果が得られた。また、超音波振動の周波数を20kHz〜50kHzとした例2、3、5〜7は、例4、8に比べて溶解時間がさらに短縮されていた。水溶性有機材料としてPVA2を使用した例9〜16を比較すると、積層造形物に対して超音波振動を付与した例10〜16は、超音波振動を付与していない例9に比べて溶解時間が短く、より良好な結果が得られた。また、超音波振動の周波数を20kHz〜50kHzとした例10、11、13〜15は、例12、16に比べて溶解時間がさらに短縮されていた。これらの結果から、積層造形物の溶解性の観点からは、超音波振動を付与しつつ積層造形物を水中に浸漬することが好ましい。また、超音波振動の周波数は20kHz〜50kHzとすることが好ましい。
<試験例3>
本例では、積層造形用粉体における水溶性有機材料の体積割合が積層造形物の強度に与える影響を確認するため、以下の試験を行った。無機材料としてのアルミナ粒子と、水溶性有機材料としてのPVAとを混合して積層造形用粉体を調製し、3Dプリンタを用いて、縦3mm×横3mm×高さ30mmの積層造形物(試験片)を造形した。各例に係る積層造形物について、使用した積層造形用粉体における無機材料(アルミナ粒子)の含有量、水溶性有機材料(PVA)の含有量および体積割合Xを表2に纏めて示す。
各例の試験片の3点曲げ強度をJIS R 1601に準拠する方法で測定した。結果を表2の「強度」欄および図6に示す。図6は、積層造形用粉体におけるPVAの体積割合Xと強度との関係を示すグラフである。
表2および図6に示されるように、積層造形用粉体におけるPVAの体積割合Xを30体積%〜50体積%とした例19〜22は、例17、18、23に比べて、3点曲げ強度で良好な結果が得られた。高強度を有する積層造形物は、例えば、該造形物を配置した金型内にセラミックスコア形成用材料を流し込んで固化する際に、型崩れしにくい。そのため、ここに開示されるセラミックスコアを安定して形成し得る点で好ましい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施形態では、造形物を消失させる工程において、造形物を水に浸漬して除去する場合を例示したが、消失方法はこれに限定されない。例えば、造形物を加熱して焼失させてもよい。すなわち、造形物を内包した固化物を、造形物が焼失し、かつ、固化物が焼失しない温度域まで加熱することにより、内包された造形物を除去してもよい。この場合でも、所望の内部形状を有するセラミックスコアを得ることができる。ただし、上述した実施形態の如く、造形物を水に浸漬して除去した方が、寸法安定性や製造安定性の観点からは好ましい。
10 空洞
20 金型
30 積層造形物
40 セラミックスコア形成用材料

Claims (7)

  1. 所定の内部形状を有するセラミックスコアの製造方法であって:
    無機材料と水溶性有機材料とを含む造形用粉体を用いて、前記内部形状に対応する形状を有する造形物を造形すること;
    前記セラミックスコアの外形に対応する空洞を備えた金型内に前記造形物を配置して、該金型と該造形物とにより形成される空洞にセラミックスコア形成用材料を流し込んで固化すること;および
    前記固化した固化物に内包された前記造形物を消失させることにより、前記内部形状を有するセラミックスコアを得ること;
    を包含する、セラミックスコアの製造方法。
  2. 前記造形物を消失させる工程は、前記造形物を水に浸漬して除去する処理を含む、請求項1に記載のセラミックスコアの製造方法。
  3. 前記造形物を消失させる工程は、前記造形物に対して超音波振動を付与する処理を含む、請求項1または2に記載のセラミックスコアの製造方法。
  4. 前記超音波振動の周波数は、20kHz以上50kHz以下である、請求項3に記載のセラミックスコアの製造方法。
  5. 前記造形物を造形する工程は、層状に充填した前記造形用粉体の層の少なくとも一部に水を含む造形液を混合して固化させ、該固化した層を繰り返し積層する処理を含む、請求項1〜4の何れか一つに記載のセラミックスコアの製造方法。
  6. 前記無機材料は、Al、Zr,Ti、Zn、Ni、FeおよびSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を主体として構成されている、請求項1〜5の何れか一つに記載のセラミックスコアの製造方法。
  7. 前記水溶性有機材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類からなる群から選択される少なくとも1種を主体として構成されている、請求項1〜6の何れか一つに記載のセラミックスコアの製造方法。

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