JP2022155407A - セラミックコア - Google Patents

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彰広 川原
Akihiro Kawahara
浩之 犬飼
Hiroyuki Inukai
裕和 渡邉
Hirokazu Watanabe
真示 加藤
Shinji Kato
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Abstract

【課題】一方向凝固法に用いるコアであって、崩壊性と溶解性に優れ、再結晶不良の発生を抑制できるセラミックコアを提供する。【解決手段】本発明のセラミックコア7は、鋳型1とコアから形成される空間へ溶融金属を流し入れ、溶融金属を冷却しつつ一方向に引き出しながら凝固させて単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得る一方向凝固法に用いるコアとなるセラミックコア7であって、合金の凝固方向Dbと一致しない積層方向Daの層状構造を有するセラミック製の多孔質体である。【選択図】図5

Description

本発明は、崩壊性に優れるセラミックコアに関する。
高温環境(例えば、1100℃以上)で使用されるタービンブレード、ジェットエンジン、ターボチャージャーなどの耐熱構造用部材には、Ti基合金、Ni基合金、Co基合金などの超耐熱合金が使用されている。これらの耐熱構造用部材のうち、例えば、タービンブレードには、強度確保と冷却機能の両立のために、複雑かつ高精度に設計された空気流路である中空冷却孔が設けられている。
中空冷却孔を有する耐熱構造用部材は、一般的には、ロストワックス法などの精密鋳造法により作製される金属鋳物である(特許文献1)。具体的には、耐熱構造用部材は、該部材の外部構造に対応する内部空間を備えた鋳型と、所望の中空冷却孔に対応する形状の中子を用い、かかる鋳型と中子とにより形成される空洞に、溶融させた上記超耐熱合金(溶湯)を流し入れて凝固させた後、中子をアルカリ溶液などで溶出させて中空冷却孔を形成することにより作製される。
耐熱構造用部材は、高温環境下での高い強度が要求されるため、精密鋳造法により金属鋳物を作製する際、特に溶融金属の冷却時に、合金の結晶性を制御する必要がある。具体的には、鋳型と中子から形成される空間へ溶融金属を流し入れた後、溶融金属を冷却しつつ一方向に引き出しながら凝固させる。これにより、単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得ることができ、一方向凝固法と呼ばれる。単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物は、高温環境下での使用に耐えうる高い強度を有する。
図1に一方向凝固法により金属鋳物を作製する方法の概略図を示す。また、図2に内部に中子を備えた鋳型の内部構造の模式図を示す。Ni基合金などの溶融金属が流し入れられた鋳型1は、金属が溶融される温度に保たれる加熱窯2より、冷却プレート3で冷却されながら下方向に引き出され、金属鋳物4が作製される(図1参照)。特に、単結晶合金からなる金属鋳物を作製する際には、セレクタ5と呼ばれる結晶を選定する部分や種結晶6を鋳型内部に入れて作製される(図2参照)。中子は上述の通り、鋳物内部の冷却構造を作製する場合に使用され、より複雑で効率的な冷却構造を作るため、中子の構造は年々複雑化している。
鋳造時、中子は1500℃前後の溶融金属に長時間さらされることになるため、熱膨張や溶融金属の流し込みによって破損したり変形したりすることがある。このため中子には、高温域の機械的強度や寸法変形を生じない安定性が要求される。一般的に、鋳型および中子は溶融金属に対する耐熱性が要求されるため、セラミックからなる耐火物が使用されている。そのため、本用途の中子はセラミックコアとも呼ばれる(以下、セラミックコアを単にコアともいう)。
上述した精密鋳造法に用いられる代表的なセラミックコアは、いわゆるニアネットシェイプ(後工程が不要なほど完成品に近い状態)とするため、セラミック坏土やセラミックスラリー(以下、それぞれ、坏土、スラリーともいう)を金型内に流し込み成形したのち焼成して製造される。従来のセラミックスコアは、例えば、金型を使用する射出成形法(CIM法とも呼ばれる)にて製造される。
特開平7-214234号公報
小熊英隆、他5名、「三菱重工技報」、三菱重工株式会社、Vol.52、No.4、(2015)、新製品・新技術特集、p.5~14
セラミックコアは、射出成形法以外に、積層造形法などにより製造することもできる。積層造形法によれば、複雑な形状の部材などを、従来の加工方法に比べて少ない工程で容易に得ることができる。
セラミックコアを積層造形法で製造する場合、従来の製造方法に比べ、複雑な形状のコアを製造可能となったり、より効率的な製造が可能となったりする。しかし、積層造形法は、従来の射出成形法などで製造されたコアに対し、層状構造に起因して強度が低くなるおそれがある。また、積層造形されたコアの外周部が凹凸になりやすく(表面粗さが粗くなりやすく)、後工程での追加作業が必要となるおそれがある。そのため、積層造形法で製造されるセラミックコアには、対向する鋳物面が平滑になる低い表面粗さ(平滑さ)および高温鋳造に耐えうる強度が求められる。
また、単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を鋳造する場合、溶融金属は冷却固化する過程で熱収縮する。その際、セラミックコアの強度が過度に高く、十分に崩壊しない場合、固化中の金属にストレスがかかることで、再結晶不良(多結晶化)が発生するおそれがある。また、セラミックコアは、冷却完了後、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液を用いて溶出除去もしくは物理的に崩壊させて除去されるため、アルカリ溶液に対する溶解性も求められる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、一方向凝固法に用いるコアであって、崩壊性と溶解性に優れ、再結晶不良の発生を抑制できるセラミックコアを提供することを目的とする。
本発明のセラミックコアは、鋳型とコアから形成される空間へ溶融金属を流し入れ、上記溶融金属を冷却しつつ一方向に引き出しながら凝固させて単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得る一方向凝固法に用いる上記コアとなるセラミックコアであって、上記合金の凝固方向と一致しない積層方向の層状構造を有するセラミック製の多孔質体であることを特徴とする。
上記セラミックコアは、上記凝固方向に対して直交する上記セラミックコアと上記合金の断面のうち、上記凝固方向の前後の断面をみて上記セラミックコアと上記合金の面積比が変化する断面に相当する部位に上記層状構造を有することを特徴とする。
上記セラミックコアは、シリカ、アルミナ、ジルコン、マグネシア、カルシア、イットリア、およびジルコニアから選ばれるいずれか2種以上の無機粒子の混合物からなる、上記層状構造を有する成形体を基材とし、上記基材の気孔の一部が封孔されるとともに、上記基材の最外周面に被覆層を有するコアであることを特徴とする。
上記被覆層はシリカを含むことを特徴とする。
上記最外周面の算術平均粗さが10μm以下であることを特徴とする。
上記セラミックコアのアルキメデス法に基づき測定される気孔率が20%~40%であることを特徴とする。
上記セラミックコアは、上記凝固方向前後の断面での上記セラミックコアと上記合金の面積比が上記凝固方向前後1mm当たり2%以上変化する断面に相当する部位に上記層状構造を有することを特徴とする。
本発明のセラミックコアは、鋳型とコアから形成される空間へ溶融金属を流し入れ、溶融金属を冷却しつつ一方向に引き出しながら凝固させて単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得る一方向凝固法に用いるコアとなるセラミックコアであって、合金の凝固方向と一致しない積層方向の層状構造を有するセラミック製の多孔質体であるので、層状構造の層間を起点に鋳造時の熱収縮に合わせてセラミックコアが微小破壊され、崩壊しやすい。このようにコアの崩壊性に優れるので、溶融金属が凝固し熱収縮する際に再結晶(多結晶化)を起こしにくく、一方向凝固法での鋳造により単結晶合金もしくは一方向凝固合金を高い歩留まりで生産できる。また、本発明のセラミックコアは、鋳造後にアルカリ溶液で溶出除去する際にアルカリ溶液が層状構造の層間に染み込みやすく、溶解性にも優れる。
セラミックコアは、凝固方向に対して直交するセラミックコアと合金の断面のうち、凝固方向の前後の断面をみてセラミックコアと合金の面積比が変化する断面に相当する部位に層状構造を有するので、鋳造時の熱収縮によるコアの崩壊がより起こりやすい(崩壊性により優れる)。
セラミックコアは、シリカ、アルミナ、ジルコン、マグネシア、カルシア、イットリア、およびジルコニアから選ばれるいずれか2種以上の無機粒子の混合物からなる、層状構造を有する成形体を基材とし、基材の気孔の一部が封孔されるとともに、基材の最外周面に被覆層を有するコアであるので、高温鋳造に耐えうる強度を有する。
被覆層はシリカを含むので、アルカリ溶液に対する溶解性により優れる。
最外周面の算術平均粗さが10μm以下であるので、コアの表面が平滑で表面粗さが小さく、対向する鋳物面(金属鋳物の内周面)が平滑になり、後工程での追加作業が不要となる。
セラミックコアのアルキメデス法に基づき測定される気孔率が20%~40%であるので、高温鋳造に耐えうる強度を有しつつ、崩壊性により優れる。
セラミックコアは、凝固方向前後の断面でのセラミックコアと合金の面積比が凝固方向前後1mm当たり2%以上変化する断面に相当する部位に層状構造を有するので、一方向凝固法での鋳造により単結晶合金もしくは一方向凝固合金を一層高い歩留まりで生産できる。
一方向凝固法により金属鋳物を製造する方法の概略図である。 鋳型の内部構造の模式図である。 層状構造の積層方向と凝固方向との関係を示す図である。 層状構造の積層方向と凝固方向との関係を示す図である。 鋳型内でのセラミックコアの配置の例の模式図である。 本発明のセラミックコアの製造方法のフローチャートである。 2種の成形体の層状構造(積層方向)を示す斜視図である。 コーティング前の試験片表面の電子顕微鏡写真である。 コーティング後の試験片表面の電子顕微鏡写真である。 コーティング後の試験片断面の電子顕微鏡写真である。
単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を作製する場合、コアそれぞれに特有の形状に起因して再結晶が発生する場合がある。例えば、図2において、セラミックコアのA-A、B-B、C-C断面は、合金の凝固方向Dbに対して直交するセラミックコアと合金の断面のうち、凝固方向前後の断面をみてセラミックコアと合金の面積比が大きく変化する断面であるため、金属鋳物の作製の過程で再結晶により異結晶が発生しやすい。異結晶の発生は多結晶化に繋がり好ましくないため、従来、このコアと金属のそれぞれの断面の面積比が大きく変わらないように、鋳物とコアの姿勢(配置)を変更して対処していた。しかし、コアの構造の複雑化が進行するに従い配置の変更のみでは対処が難しくなりつつある。これに対し本発明者らは、単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得る一方向凝固法に用いるセラミックコアを層状構造を有するセラミック製の多孔質体とすることで、崩壊性および溶解性に優れることを見出した。
本発明のセラミックコアを図3~図5に基づいて説明する。図3および図4は後述する積層造形法で作製されたセラミックコアを用いた一方向凝固法での鋳造の模式図であり、セラミックコアが有する層状構造の積層方向と凝固方向との関係を示す図である。セラミックコアは、セラミック粉末を原料として積層造形法によって成形後、焼成することにより製造されるセラミック製の多孔質体のコアである。セラミックコアは、鋳型とコアから形成される空間へ溶融金属を流し入れ、溶融金属を冷却しつつ一方向に引き出しながら凝固させて単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得る一方向凝固法用の中子として利用される。
図3および図4には、セラミックコアの積層方向Daと、金属鋳物を作製する際の合金の凝固方向Dbとの関係が異なる組み合わせを示している。図3(a)において積層方向Daは凝固方向Dbに対して角度α=90°で直交しており、また図3(b)において積層方向Daは凝固方向Dbに対して角度α=45°の傾きであり、各図においてそれぞれの方向は一致していない。これに対し、図4において積層方向Daと、凝固方向Dbとは一致している。
図3(a)、(b)に示したように、一方向凝固法において、凝固方向Dbと層状構造を有するセラミックコア7の積層方向Daとが一致しない場合、層状構造の層間を起点に鋳造時の鋳物金属4の熱収縮に合わせてセラミックコア7が微小破壊され、崩壊しやすい。本発明のセラミックコアは、コアの崩壊性に優れるので、溶融金属が凝固し熱収縮する際に再結晶(多結晶化)を起こしにくく、一方向凝固法での鋳造により単結晶合金もしくは一方向凝固合金を高い歩留まりで生産できる。また、本発明のセラミックコアは、鋳造後にアルカリ溶液で溶出除去する際にアルカリ溶液が層状構造の層間に染み込みやすく、溶解性にも優れる。一方、図4に示したように積層方向Daと凝固方向Dbとが一致している場合、鋳造時の鋳物金属4の熱収縮に合わせてセラミックコア7は微小破壊されにくく、崩壊しにくい。
一方向凝固法によりタービンブレードなどの金属鋳物を作製する場合、セラミックコアは略翼状の形状をしているため、セラミックコアが鋳型の内部に配置される際には、コアの長軸方向が凝固方向と略同方向となるように配置される。そのため、コアの積層方向がコアの短軸方向に沿って設けられている場合、積層方向と凝固方向が一致しにくく、コアの崩壊性に優れるため好ましい。
セラミックコアは、凝固方向に対して直交するセラミックコアと合金の断面のうち、凝固方向前後の断面をみてセラミックコアと合金の面積比が変化する断面に相当する部位に層状構造を有する。セラミックコアは、少なくとも凝固方向に対して直交するセラミックコアと合金の断面のうち、凝固方向前後の断面をみてセラミックコアと合金の面積比が変化する断面に相当する部位に層状構造を有していればよく、凝固方向に対して直交するセラミックコアと合金の断面のうち、凝固方向前後の断面をみてセラミックコアと合金の面積比が変化しない断面に相当する部位には層状構造を有していなくてもよい。上述のセラミックコアと合金の面積比が変化する断面に相当する部位に層状構造を有している場合、鋳造時の熱収縮によるコアの崩壊がより起こりやすい(崩壊性により優れる)。
セラミックコアは、シリカ、アルミナ、ジルコン、マグネシア、カルシア、イットリア、およびジルコニアから選ばれるいずれか2種以上の無機粒子の混合物からなる、層状構造を有する成形体を基材とし、その気孔の一部が封孔されるとともに、最外周面に被覆層を有する。成形体の原料である無機粒子の混合物と、気孔を封孔する材料と、被覆層の材料は、それじれ同一の無機粒子を含んでいてもよいし、異なる無機粒子を含んでいてもよい。
異なる無機粒子を含んでいる場合、例えば、成形体はシリカ(SiO)およびジルコン(ZrSiO)からなるセラミック粉末で成形し、気孔の封孔はシリカゾルで行い、被覆層は成形体と同組成のシリカ(SiO)およびジルコン(ZrSiO)を含むゾルを用いて形成できる。
気孔の封孔と被覆層の形成は、例えば、成形体のゾルへの含浸によって行われる。成形体をゾルに含浸させると、成形体の外周面は被覆層がコーティングされる。気孔の封孔と被覆層の形成により、セラミックコア内部の強度の向上とともに、最外周面に欠陥のない平滑な膜が外周面に形成されることで、セラミックコア全体として機械的強度が向上し、高温鋳造に耐えうる強度を有する。被覆層はシリカを含んでもよいし、含まなくてもよい。被覆層がシリカを含む場合、鋳造後のセラミックコアのアルカリ溶液に対する溶解性に優れるため好ましい。
セラミックコアの最外周面は、コアの強度向上および鋳物金属をニアシェイプとする観点から、平滑であることが好ましい。具体的には、最外周面の算術平均粗さは10μm以下であることが好ましい。最外周面の算術平均粗さが10μm以下である場合、コアの表面が平滑で表面粗さが小さく、対向する鋳物面(金属鋳物の内周面)が平滑になり、後工程での追加作業が不要となる。より好ましくは、8μm以下である。なお、最外周面の算術平均粗さの下限は特に限定されないが、通常0.5μm以上である。
本発明における算術平均粗さRaは、JIS B 0601に準拠して算出される。測定には、接触式または非接触式の表面粗さ測定器などが使用される。積層造形法で得られたコアであり、表面粗さが上記の10μm以下程度であることから、測定条件としては、カットオフ値2.5mm(測定長さは、この3倍以上)とすることが好ましい。
セラミックコアは上述の通り、セラミック製の多孔質体である。この多孔質体のアルキメデス法に基づき測定される気孔率は20%~40%であることが好ましい。気孔率は、崩壊性の観点からは30%~40%であることがより好ましく、使用上必要な強度の観点からは20%~30%であることがより好ましい。気孔率がこの範囲内にあることで、コアの強度発現に必要なセラミック部位が十分量確保されるとともに、アルカリ溶液が染み込む際の経路となるのに十分な空隙部位を含むため、高温鋳造に耐えうる強度を有しつつ、崩壊性により優れる。
本発明における気孔率は、以下のアルキメデス法により測定される。まず、コアの乾燥重量W1を測定する。次に、コアを水中に浸漬して飽水させ、水中でコアを吊るして水中重量W2を測定する。最後に、コアを水中から取り出して、表面の水分を迅速に拭き取り、飽水重量W3を測定する。これらを用いて、以下の式より、見かけの気孔率(%)を測定する。なお、この方法で測定される細孔量は、コア表面に開口した気孔(表面連通孔)のみであり、閉孔(表面非連通孔)を含まない。

気孔率(%)=100×(飽水重量W3-乾燥重量W1)/(飽水重量W3ー水中重量W2)=100×[開口気孔の容積]/[外形容積]
セラミックコアは、凝固方向前後の断面でのセラミックコアと合金の面積比が凝固方向前後1mm当たり2%以上変化する断面に相当する部位に層状構造を有することが好ましい。これにより、比較的再結晶が起こりやすい部位には必ず層状構造が配置されるため、一方向凝固法での鋳造により単結晶合金もしくは一方向凝固合金を一層高い歩留まりで生産できる。
図5は鋳型内でのセラミックコアの配置の例の模式図である。図5(a)において、鋳型1の長軸方向は凝固方向Dbと一致しているが、積層方向Daは凝固方向Dbに対して傾斜している。図5(b)において、鋳型1の長軸方向と凝固方向Dbが一致しておらず、積層方向Daも凝固方向Dbに対して傾斜している。セラミックコア7は、凝固方向Dbと積層方向Daとが一致していなければ、鋳型を配置する方向や形状は自由に選択できる。
凝固方向Dbと積層方向Daとがなす角度αは、0°以外であれば自由に選択できる。崩壊性の観点から、角度αは、45°~90°であることが好ましい。角度αがこの範囲内にある場合、溶融金属が凝固して収縮する際の応力の方向に対するコアの強度がより低くなるため、崩壊性により優れる。
本発明のセラミックコアの製造方法の一実施形態について図6を用いて以下に説明する。なお、本発明のセラミックコアの製造方法は以下に限定されない。
図6は、該製造方法のフローチャートである。図6に示すように、セラミックコアの製造方法S1は、2種以上の無機粒子を混合する混合工程S10と、混合工程S10で得られた混合物を用いて積層造形法により成形体を成形する積層造形工程S20と、成形体に強化剤を含侵させる含浸工程S30と、強化剤が含浸された成形体を焼結させる焼結工程S40とを含む。セラミックコアの製造方法S1は、さらに、焼結工程S40で得られた成形体に強化剤を含浸させる含浸工程S50を含む。なお、本発明のセラミックコアの製造方法は、含浸工程S50を含まなくてもよい。
混合工程S10では、例えば、平均粒子径約40μmのシリカ粉末と、平均粒子径約20μmのジルコン粉末とをボールミルを用いて混合し、これら2種の無機粒子が混合された混合物を得ることができる。なお、無機粒子はこれらに限定されるものではなく、他の材料を用いてもよい。例えば、アルミナやジルコニアなどを選択してもよく、シリカとしては非晶質シリカやクリストバライトなどを選択してもよい。平均粒子径は、例えば、レーザ光散乱法を利用した粒子径分布測定装置などを用いて測定できる。
積層造形工程S20では、以下に示す積層造形法やその他の積層造形法から自由に選択した方法で成形体を成形できる。積層造形法としては、例えば、所定の場所にのみ原料粉末を堆積し、レーザ光を照射することにより原料粉末の焼結や溶融を行うパウダーデポジション方式や、積層造形装置のベースプレート上の一面に原料粉末を堆積し、所定の場所にのみレーザ光を照射することにより原料粉末の焼結や溶融を行うパウダーベッド方式がある。さらに、インクジェット・ノズルから粉末原料を固めるための結合材(バインダ)を噴射することにより原料粉末を固形化し、造形していく結合剤噴射方式などがある。いずれの方式も原料粉末の堆積と、原料粉末の凝固や固形化とを繰り返し、層を重ねることで積層造形品(成形体)を成形する。
含浸工程S30は、積層造形工程S20に続いて実施される。本実施形態の含浸工程S30では、積層造形工程S20で得た成形体に強化剤を含浸させる。本工程では、例えば、強化剤としてシランカップリング剤を有機溶剤に溶解させた溶液に成形体を含浸する。
焼結工程S40では、含浸工程S30で強化剤を含侵した成形体を乾燥させた後、例えば、約1250℃で2時間焼成することにより焼結させる。積層造形された成形体が含浸工程S30および焼結工程S40を経ることにより、層状構造の各層が繋がって焼結することで成形体の一体化が促進され、コアの強度の向上に繋がる。
含浸工程S50は、焼結工程S40に続いて実施される。本実施形態の含浸工程S50では、焼結工程S40で得た成形体に強化剤を真空含浸させる。真空含浸は、例えば強化剤としてナノシリカの水分散体(シリカゾル)を使用して減圧容器内で成形体に含浸させ、成形体内部に含まれている空気を抜いて強化剤を圧入する。真空含浸後には、例えば、400℃~600℃での焼成を行う。本工程により、成形体内部の気孔の一部が封孔されるとともに、最外周面には被覆層が形成される。本工程で用いる強化剤には、例えば、上記のシリカゾルの他、シリカとアルミナの混合物、またはシリカとジルコンの混合物のゾルが挙げられる。含浸工程S50は複数回繰り返してもよい。含浸工程S50を複数回繰り返す場合、各含浸工程で使用する強化剤は同じであってもよいし、異なっていてもよい。被覆層の好適な具体例としては、シリカ層と、シリカとジルコンを95質量%以上含有する強化シリカ層とを有する多層構造が挙げられる。
含浸工程S50では、シリカスラリー(シリカゾル)を複数回含浸した後、シリカとジルコンの混合物を含浸(コーティング)することで、コア内部は層状構造で、最外周は平滑になるとともにシリカを含むため、溶解性に優れた理想的なセラミックコアとなる。
含浸工程S50の最後には、成形体を、例えば約1300℃で2時間焼成し、焼結させることによりセラミックコアが得られる。焼結工程S40の後に含浸工程S50でシリカゾルの含浸を行うことにより、コアの気孔率の低減、強度の向上、および表面段差(表面粗さ)の緩和ができる。
本発明の製造方法は、コアの基材を積層造形工程により成形することにより、射出成形法の場合には脱形が問題となり製造不可能であった、表面に凹凸形状を有するコアを製造可能となる。それにより、複雑な形状の金属鋳物の作製に好適に用いられる。また、本発明の製造方法は積層造形工程を含むことで、凝固方向に対して直交するセラミックコアと合金の断面のうち、凝固方向前後の断面をみてセラミックコアと合金の面積比が変化する断面に相当する部位に所望の層状構造を有するように設計したセラミックコアを自在に製造できるので、鋳造時の熱収縮の際、コアが微小破壊することにより再結晶を抑制できる。
本発明の製造方法は、積層造形工程と焼結工程との間に、成形体に強化剤を含侵させる含浸工程を含むので、表面は平滑で、内部は層状構造のセラミックコアを製造できる。これにより、表面粗さが小さく、高温鋳造に耐えうる強度を有するとともに、崩壊性および溶解性に優れるセラミックコアを製造できる。
本発明のセラミックコアを用いた耐熱構造用部材の製造方法について説明する。本発明の耐熱構造用部材の製造方法は、鋳型とコアから形成される空間へ溶融金属を流し入れ、溶融金属を冷却しつつ一方向に引き出しながら凝固させて単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得る一方向凝固法を含み、コアは層状構造を有しており、該層状構造の積層方向が合金の凝固方向と一致しないように鋳型内部に配置されることを特徴とする。
積層造形されたセラミックコアの積層方向がコアの各種物性に与える影響を評価するため、評価サンプルを以下の手順で作製し、種々の試験を行った。
評価サンプルの基材の原料粉末として、シリカ(SiO)およびジルコン(ZrSiO)からなるノリタケカンパニーリミテド製のセラミック粉末N700を用いた。
セラミック粉末N700をprojet460plus(3Dシステムズ社製)により積層造形することにより、層状構造の積層方向が異なる2種の成形体を得た。該成形体は、具体的には、造形領域全体に敷き詰められた原料粉末に対して、上からバインダを吹き付けることで断面を硬化させ、1層分が硬化したら、その上に次の層の原料粉末を供給して、同じ工程を繰り返すことにより成形した。その後、成形体を1250℃で2時間焼成し試験片(実施例1)を得た。該試験片は後述するコーティング(含浸)を行う前のものであり、含浸の被対象物である基材となる。実施例1の試験片の層状構造(積層方向)を図7に示す。試験片8の長軸方向Dcと積層方向Daが直交しているものをタイプA(図7(a))とし、試験片8の長軸方向Dcと積層方向Daが一致しているものをタイプB(図7(b))とする。
上記焼成後の試験片2種(タイプAおよびB)について、これらを基材とし、強化剤であるシリカゾルへの含浸を行い、基材内部の気孔の封孔と、試験片の最外周面の被覆を行った。基材へのシリカゾル(シリカスラリー)の含浸工程では、真空含浸、乾燥、450℃での熱処理を行いシリカゾルを硬化させた。この含浸工程を繰り返し、1回含浸後(実施例2)、2回含浸後(実施例3)、3回含浸後(実施例4)、4回含浸後(実施例5)、5回含浸後(実施例6)の各試験片を得た。後述する各種評価では、上記実施例1~実施例6とともに、射出成形により成形された試験片(比較例1)も併せて評価した。
上記手順により作製した試験片について、以下の各種評価を行った。
気孔率は、アルキメデス法に基づき上述の方法で測定される細孔量から算出した。
3点曲げ強度は、3×4×120mmの試験片を長軸方向に3分割したサンプル(長辺の長さが約40mm)を用いて、スパン30mmで、EZ-test CE(島津製作所)により測定した。
高温変形は、3×20×120mmの試験片の中央に15gの荷重を載せ、1530℃2時間前後での変形量を測定した。
溶解率は、25質量%のNaOH水溶液に試験片を250℃30分間浸漬し、浸漬前後での重量変化より算出した。
バーコル強度は、バーコル硬度計GYZJ934-1により測定した。
算術平均表面粗さは、JIS B 0601に準拠し、東京精密社製サーフコムにより、上述の方法でカットオフ2.5mmおよび測定長さ10mmにて測定した。
実施例1~6および比較例1の気孔率および三点曲げ強度についての評価結果を以下の表1に示す。
Figure 2022155407000002
積層造形法によって製造されたセラミックコア(実施例1~6)は、タイプAとタイプBで異なった三点曲げ強度を示し、積層方向により強度が違うことが分かる。また、気孔率は、含浸を行わない実施例1では気孔率が約60%と高い値を示したが、含浸を繰り返すことで既存の射出成形で成形される試験片と同程度の気孔率まで低下し、強度も向上した(実施例6)。
実施例1、4、および比較例1の溶解率、高温変形量、バーコル硬度、および表面粗さ(算術平均粗さRa)についての評価結果を以下の表2に示す。
Figure 2022155407000003
実施例1および4は、比較例1と同等以上の溶解性を示した。また、3回含浸した実施例4のタイプAは、比較例1と同等程度の溶解性と高温変形性を示した。これより、溶融金属が流れる方向や金属の熱収縮の方向を制御することで、鋳造時に高温変形することなく、冷却時の金属の再結晶を抑制できると考えられる。実施例1および4は、タイプA、Bともに、比較例1と比べ、バーコル硬度が低い。実施例の試験片は、表面近傍内部に層状構造を有することで、破壊起点を生み出し、金属収縮時の応力が掛かった際に微小破壊して金属の再結晶化を抑制できると考えられる。実施例1および4は、比較例1と比べ、算術平均粗さが大きい値を示したが、含浸回数が多いほど表面粗さの値は小さくなり、平滑化する傾向を示した。
図8~図10には、各試験片の電子顕微鏡写真を示す。図8はコーティング前の試験片である実施例1の表面の電子顕微鏡写真である。また、図9はコーティング後(3回含浸)の試験片である実施例4の表面の電子顕微鏡写真で、図10は実施例4の断面の電子顕微鏡写真である。図8より、積層造形法を用いて製造された試験片が層状構造を有していることが認められる。図9では、図8と比較して表面が平滑であり、3回の含浸により最外周の層状構造が平滑化されたことが分かる。図10では、断面内部に大きな空隙は認められず、気孔の一部が封孔されていることが推察される。
本発明のセラミックコアは、一方向凝固法に用いるコアであって、崩壊性と溶解性に優れ、再結晶不良の発生を抑制できるため、一方向凝固法での鋳造により単結晶合金もしくは一方向凝固合金を一層高い歩留まりで生産でき、複雑な構造の耐熱構造用部材の製造に好適に利用できる。
1 鋳型
2 加熱窯
3 冷却プレート
4 鋳物金属
5 セレクタ
6 種結晶
7 セラミックコア
8 試験片
Da 積層方向
Db 凝固方向
Dc 長軸方向

Claims (7)

  1. 鋳型とコアから形成される空間へ溶融金属を流し入れ、前記溶融金属を冷却しつつ一方向に引き出しながら凝固させて単結晶合金もしくは一方向凝固合金からなる金属鋳物を得る一方向凝固法に用いる前記コアとなるセラミックコアであって、
    前記セラミックコアは、前記合金の凝固方向と一致しない積層方向の層状構造を有するセラミック製の多孔質体であることを特徴とするセラミックコア。
  2. 前記セラミックコアは、前記凝固方向に対して直交する前記セラミックコアと前記合金の断面のうち、前記凝固方向の前後の断面をみて前記セラミックコアと前記合金の面積比が変化する断面に相当する部位に前記層状構造を有することを特徴とする請求項1記載のセラミックコア。
  3. 前記セラミックコアは、シリカ、アルミナ、ジルコン、マグネシア、カルシア、イットリア、およびジルコニアから選ばれるいずれか2種以上の無機粒子の混合物からなる、前記層状構造を有する成形体を基材とし、前記基材の気孔の一部が封孔されるとともに、前記基材の最外周面に被覆層を有するコアであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミックコア。
  4. 前記被覆層はシリカを含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のセラミックコア。
  5. 前記最外周面の算術平均粗さが10μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のセラミックコア。
  6. 前記セラミックコアのアルキメデス法に基づき測定される気孔率が20%~40%であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載のセラミックコア。
  7. 前記セラミックコアは、前記凝固方向前後の断面での前記セラミックコアと前記合金の面積比が前記凝固方向前後1mm当たり2%以上変化する断面に相当する部位に前記層状構造を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載のセラミックコア。
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