JP2019001604A - パッケージ、パッケージ製造方法、及び糸巻取装置 - Google Patents

パッケージ、パッケージ製造方法、及び糸巻取装置 Download PDF

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一喜 市原
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雄帆 寺尾
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Abstract

【課題】パッケージにおいて解舒性を良くしかつラッチング抑制を可能にする。
【解決手段】パッケージ7は、両端フランジレスの巻取チューブ6と、それに巻かれた糸4とを備えている。糸4は、巻取チューブ6の長手方向に並んだ第1段7Aと、第1段7Aより大径の第2段7Bとを有している。糸4は、基準端Pから幅Aで第1段7Aと第2段7Bに巻かれた第1糸層51と、第1糸層51と交互に積層され、基準端Pから幅Aより短い幅Bで第2段7Bのみに巻かれた第2糸層53とを有している。
【選択図】図3

Description

本発明は、パッケージ、パッケージ製造方法、及び糸巻取装置に関する。
従来、精紡機等で生産された給糸ボビンの糸を解舒して、スラブ等の糸欠陥を除去しつつ、複数の給糸ボビンの糸を糸継ぎして1つのパッケージを形成する自動ワインダが知られている。
また、ガラス繊維、炭素繊維などの特殊な糸条の巻取体も知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
特許文献1に記載の糸の巻取体A2は、紡績糸を用いたパッケージでないが、図2及び図7に示すように、外径が段階的に変化している。
特許文献2に記載の巻取体では、焼鈍された低炭素鋼線や金属ワイヤーであり、巻き取られた糸層が、底部フランジに到達するか、上部フランジに到達かを考慮した巻になっている。また、第1の一連の層は、細長い材料が底部フランジに上部フランジよりも多い量で存在するように巻かれ、コア上に細長い材料の円錐状基部を形成している。第2の一連の層は、円錐状の基部の上に巻かれ、底部フランジから頂部フランジまで延在し、それによって、細長い材料の円錐形を維持している。
特許第2780336号公報 米国特許出願公開第2017/81143号明細書
特許文献2における巻き方は、低炭素鋼線や金属ワイヤーには適しているかもしれないが、綿などの天然繊維のパッケージとしては好ましくない。
一方、紡績糸を用いたパッケージにおいて、解舒性の向上が求められている。その理由は、パッケージの解舒速度は昔に比べ高速化しているからである。解舒性を低下させる要因は、毛羽がらみで糸がテンション切れを起こすラッチングやくず糸混入などである。そして、解舒テンションが高ければ、こういった明らかな不具合現象がなくとも、弱糸部分で糸切れが発生してしまう。
さらに、精紡機等で生産された給糸ボビンの糸を用いたパッケージでは、ラッチングを抑えることも求められている。
本発明の目的は、パッケージにおいて解舒性を良くしかつラッチング抑制を可能にすることにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係るパッケージは、両端フランジレスの巻取体と、巻取体に巻かれた糸と、を備えている。両端フランジレスとは、巻取体の本体両端にフランジが形成されていないことをいう。糸は、第1部分と、第1部分に対して巻取体の長手方向に並んで第1部分より糸層が大径の第2部分とを有している。
糸は、基準端から第1の幅で第1部分と第2部分に巻かれた第1糸層と、第1糸層と交互に積層され、基準端から第1の幅より短い第2の幅で第2部分のみに巻かれた第2糸層とを有している。
このパッケージでは、糸は、フランジの無い巻取管に巻き取られる。本発明とは異なって巻取管にフランジが存在する例では、天然繊維が解舒される際に、解舒される糸とフランジが擦れて、天然繊維が毛羽立ってしまう。
綿などの天然繊維は糸が細くかつ直径の大きなパッケージとして巻き取られる。それゆえ、本発明と異なって第一糸層と第二糸層とを交互に巻き続けない例では、段差が均されて消えてしまう。それに対して、本発明では、第一糸層と第二糸層とを交互に巻続けることにより、天然繊維パッケージであっても段差付きのパッケージを形成できる。
このパッケージでは、外径が異なる糸の第1部分と第2部分とを有する段付き構造が実現されている。そのため、解舒時に糸が糸層に接触しにくくなる。具体的には、大径部分の解除がなされているときに、糸はそれより小径の部分に接触しない。その結果、解舒テンションが減少する。
さらに、糸の第1部分及び第2部分を構成する第1糸層及び第2糸層は交互に積層されている。そのため、ラッチングの危険ゾーンを回避する糸巻を実現できる。
第1糸層は、第2糸層の段差部を第1部分から第2部分にかけて連続的に覆っていてもよい。これにより、段差部分における糸層高さの変化が緩やかになり、その結果、糸層の数を増やすことができ、パッケージの重量を大きくできる。
糸は、第2部分に対して巻取体の長手方向に並んで第2部分より糸層が大径の第3部分を有しており、
糸は、第1糸層及び第2糸層と交互に積層され、基準端から第2の幅より短い第3の幅で第3部分のみに巻かれた第3糸層を有していてもよい。
第1糸層、第2糸層、第3糸層のトラバース回数が、2:3:4の割合であってもよい。
第1糸層、第2糸層、第3糸層を形成するためのドラムワインド数が、2.5W:2.0W:1.5Wであり、
第1糸層、第2糸層、第3糸層の幅が、6インチ:4インチ:3インチであってもよい。
第1糸層、第2糸層、第3糸層のトラバース回数が、1:2:2の割合であってもよい。
第1糸層、第2糸層、第3糸層を形成するためのドラムワインド数が、2.0W:1.5W:1.5Wであり、
第1糸層、第2糸層、第3糸層の幅が、4インチ:3.8インチ:3インチであってもよい。
本発明の他の見地に係るパッケージ製造方法は、両端フランジレスの巻取体に巻かれた糸を有するパッケージを製造する方法であって、以下の両ステップを交互に繰り返すことで、第1部分と、第1部分に対して巻取体の長手方向に並んで第1部分より大径の第2部分とを有する糸層を形成する。
◎巻取体に第1糸層を巻くステップ
◎巻取体の長手方向に第1糸層より短い範囲で第1糸層に重ねて第2糸層を巻くステップ
このパッケージ製造方法では、外径が異なる糸の第1部分と第2部分とを有する段付きパッケージが形成される。そのため、解舒時に糸が接触する糸層が少なくなる。具体的には、大径部分の解除がなされているときに、糸はそれより小径の部分に接触しない。その結果、解舒テンションが減少する。
さらに、糸の第1部分及び第2部分を構成する第1糸層及び第2糸層は交互に積層されている。そのため、ラッチングの危険ゾーンを回避する糸巻を実現できる。
本発明のさらに他の見地に係る糸巻取装置は、巻取部と、巻取部に上記のパッケージ製造方法を実行させる制御部と、を備えている。
この装置では、前述の効果が得られる。
巻取部には、回転支持部と、糸案内部と、レバー部材とを有していてもよい。
回転支持部は、巻取体が装着される。
糸案内部は、糸を巻取体に案内するものであり、綾振ドラムを有する。
レバー部材は、綾振ドラムの回転軸方向への糸の移動可能位置を規制しないことで綾振ドラムに広い振り幅で糸を供給する非規制位置と、綾振ドラムの回転軸方向への糸の移動可能位置を規制することで綾振ドラムに狭い振り幅で糸を供給する規制位置と、の間で移動可能である。レバー部材は、規制位置と非規制位置とで綾振ドラムの異なる綾振溝に糸を誘導する。「異なる綾振溝」とは、完全同一ではないという意味である。
制御部は、レバー部材を非規制位置に配置することで第1糸層を巻くステップを実行し、レバー部材を規制位置に配置することで第2糸層を巻くステップを実行する。
この装置では、レバー部材を規制位置と非規制位置との間で移動することで、綾振ドラムに案内される糸の振り幅の変更が可能である。具体的には、レバー部材が非規制位置にある場合に糸は綾振ドラムに広い振り幅で案内され、レバー部材が規制位置にある場合に、糸は狭い振り幅で綾振ドラムに案内され、規制されていない場合とは異なるドラム溝を通る。このようにして、広い巻幅の糸層と狭い巻幅の糸層を形成可能である。これにより、1つのパッケージに狭い巻幅の糸層と広い巻幅の糸層を形成できる。
レバー部材は、綾振ドラムの回転軸方向の異なる位置に対応して設けられた複数のレバー部材を有していてもよい。この装置では、レバー部材の数が2であれば、3種類の巻き幅を実現可能である。
以下、第1のレバー部材と第2のレバー部材が設けられた一例を説明する。例えば、第1のレバー部材は、糸の本来の振り幅の間に配置され、規制位置において糸のそれ以上の移動を制限することで糸の振り幅を短くする。第2のレバー部材は、糸の本来の振り幅の間に配置され、規制位置において糸のそれ以上の移動を制限することで糸の振り幅をさらに短くする。つまり、糸の振り幅は、片方の折り返し位置が、本来の位置、第1のレバー部材、第2のレバー部材になるにつれて短くなる。以上より、綾振ドラムから巻取体に供給される糸は、最も広い幅の糸層と、それに一端がそろった状態でドラム幅方向に部分的に重なった中間の幅の糸層と、それに一端が基準端としてそろった状態でドラム幅方向に部分的に重なった最も短い幅の糸層とを形成する。
本発明に係るパッケージ、パッケージ製造方法、及び糸巻取装置では、パッケージにおいて解舒性が良くなりかつラッチング抑制が可能である。
第1実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットを示す模式的正面図。 パッケージの模式図。 パッケージの模式的断面図。 第1糸巻動作を示す模式的正面図。 第2糸巻動作を示す模式的正面図。 第3糸巻動作を示す模式的正面図。 綾振ドラムの溝展開図。 自動ワインダの制御構成を示すブロック図。 糸巻動作を説明するためのフローチャート。 第1糸巻動作を示す模式的断面図。 第2糸巻動作を示す模式的断面図。 第3糸巻動作を示す模式的断面図。 第1糸巻動作を示す模式的断面図。 第2糸巻動作を示す模式的断面図。 第3糸巻動作を示す模式的断面図。 第1糸巻動作を示す模式的断面図。 第1糸巻動作における糸の溝移動を示すための綾振ドラムの溝展開図。 第2糸巻動作における糸の溝移動を示すための綾振ドラムの溝展開図。 第1糸巻動作における糸の溝移動を示すための綾振ドラムの溝展開図。 第2実施形態に係るクレードルの構造を示す模式的正面図。 第3実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットを示す模式的正面図。 トラバース装置の模式的側面図。
1.第1実施形態
(1)自動ワインダの基本構造
図1を用いて、自動ワインダ1を説明する。図1は、第1実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットを示す模式的正面図である。
自動ワインダ1は、糸巻取ユニット2を有している。糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3から解舒された糸4を綾振ドラム5で綾振りながら巻取チューブ6(巻取体の一例)に巻き取って糸層を形成し、コーン形状のパッケージ7を形成する装置である。図1では糸巻取ユニット2を1台しか図示していないが、このような糸巻取ユニット2が図略の機台上に多数列設されることで、自動ワインダ1が構成されている。
なお、巻取チューブ6は、両端にフランジがない巻取体である。巻取チューブ6はコーン形状であるが、円柱形状であってもよい。
給糸ボビン3は、トレイに装着され、コンベア(図示せず)によって糸巻取ユニット2に供給され、糸巻動作後に払い出される。
糸巻取ユニット2は、巻取部の一例として、巻取チューブ6を着脱可能に支持するクレードル8(回転支持部の一例)と、巻取チューブ6の周面に又はパッケージ7の周面に接触しながら所定の回転数で回転する綾振ドラム5と、を有している。
クレードル8は、巻取チューブ6の両端を挟持して回転自在に支持する。また、クレードル8は回動軸10を中心に傾動自在に構成されており、巻取チューブ6又はパッケージ7への糸4の巻き取りに伴う巻太り(糸層の径の増大)を、クレードル8が回動することによって吸収できる。巻取チューブ6又はパッケージ7は、綾振ドラム5に転接することで従動回転する。
綾振ドラム5は、パッケージ7の表面で糸4をトラバースさせると共に、パッケージ7を回転させる。綾振ドラム5は、パッケージ駆動機構41(図8)によって回転駆動される。パッケージ駆動機構41は、モータ、動力伝達機構等を含む。
綾振ドラム5の外周面には、螺旋状の綾振溝9が形成されている。糸4は、綾振溝9によって一定の幅でトラバース(綾振り)されながら巻取チューブ6の表面に巻き取られる。これにより、パッケージ7が形成される。
糸巻取ユニット2の制御を担うユニット制御部50(図8)は、糸巻取ユニット2ごとに備えられている。
糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3と綾振ドラム5との間の糸走行経路中に、給糸ボビン3側から順に、糸継装置14、とヤーンクリアラ15、ワキシング装置24、クリーニングパイプ25を配設した構成となっている。
糸継装置14は、ヤーンクリアラ15が糸欠陥を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン3からの糸4の糸切れ時に、給糸ボビン3側の糸4としての下糸4Lと、パッケージ7側の糸4としての上糸4Uとを糸継ぎするように構成されている。
ヤーンクリアラ15は、糸4の太さ欠陥を検出するためのものであって、ヤーンクリアラ15の検出部の部分を通過する糸4の太さを適宜のセンサで検出し、このセンサからの信号をアナライザ(図示せず)で分析することで、スラブ等の糸欠陥を検出する。ヤーンクリアラ15には、糸欠陥を検出したときに直ちに糸4を切断するためのカッタ16が付設されている。
糸継装置14の下側と上側には、給糸ボビン3側の下糸4Lを吸引捕捉して糸継装置14へ案内する下糸吸引捕捉案内機構17と、パッケージ7側の上糸4Uを吸引捕捉して糸継装置14へ案内する上糸吸引捕捉案内機構20が設けられている。
上糸吸引捕捉案内機構20は、パイプ状に構成されており、先端にサクションマウス22を備える。上糸吸引捕捉案内機構20は、サクションマウス22から延びるパイプ20aとパイプ20aを回動自在に支持する軸21とを有している。パイプ20aは、連結パイプ(図示せず)を介してシャッタ装置(図示せず)に連結されている。すなわち、上糸吸引捕捉案内機構20の基端は、シャッタ装置(図示せず)を介してブロワ(図示せず)に接続されている。
下糸吸引捕捉案内機構17もパイプ状に構成されており、先端に空気取り入れ口19を備える。下糸吸引捕捉案内機構17は、軸18を中心に上下回動可能に設けられる中継パイプ17aと、それとブロワダクト(図示せず)とを連結する連結パイプ(図示せず)とから構成されている。
ワキシング装置24は、走行する糸4に対して適宜のワックスを塗布する装置である。
クリーニングパイプ25は、走行する糸4に付着している異物を吸引して除去する装置である。クリーニングパイプ25の基端はシャッタ装置(図示せず)を介してブロワに接続され、クリーニングパイプ25の先端には吸引口が形成されている。クリーニングパイプ25の吸引口は、ワキシング装置24と綾振ドラム5との間で走行する糸4に対して近接される。
(2)パッケージ
図2及び図3を用いて、パッケージ7を説明する。図2は、パッケージの模式図である。図3は、パッケージの模式的断面図である。
パッケージ7は、段付きのコーン形状であり、この実施形態では3段である。具体的には、最も径が小さい第1段7A(第1部分の一例)と、中くらいの径の第2段7B(第2部分の一例)と、最も径が大きい第3段7Cとを有している。
パッケージ7は、幅方向全体に(第1段7A〜第3段7Cにわたって)形成された第1糸層51と、それより狭い幅でかつ幅方向片側によって(第2段7B〜第3段7Cにわたって)形成された第2糸層53と、それより狭い幅でかつ幅方向片側によって(第3段7Cに)形成された第3糸層55が交互に形成されてなる。つまり、第1段7Aは、複数の第1糸層51により構成されており、第2段7Bは複数の第1糸層51及び第2糸層53によって構成されており、第3段7Cは複数の第1糸層51、第2糸層53及び第3糸層55によって構成されている。
言い換えると、第1糸層51は図右側の基準端Pから幅Aで巻かれており、第2糸層53は図右側の基準端から第1糸層51より短い幅Bで巻かれており、第3糸層55は図右側の基準端から第2糸層53より短い幅Cで巻かれている。
パッケージ7から糸が解舒されるときは、最も外側の第1糸層51の次に、第3糸層55、第2糸層53、第1糸層51がこの順番で繰り返し解舒されていく。
以上に述べたように外径が異なる糸の第1段7Aと第2段7Bとを有する段付き構造が実現されているので、解舒時に糸が糸層に接触しにくくなる。具体的には、第2段7Bの解除がなされているときに、糸は第1段7Aに接触しない。その結果、解舒テンションが減少する。
さらに、糸の第1段7A及び第2段7Bを構成する第1糸層51及び第2糸層53は交互に積層されている。そのため、ラッチングの危険ゾーンを回避する糸巻を実現できる。
各段の境界はなめらかに変化しており、つまり角張った部分が表面に形成されていない。その理由は、第1糸層51が第2糸層53の段差部を第1段7Aから第2段7Bにかけて連続的に覆っており、第1糸層51が第2糸層53の段差部を第2段7Bから第3段7Cにかけて連続的に覆っており、第2糸層53が第3糸層55の段差部を第2段7Bから第3段7Cにかけて連続的に覆っているからである。
(3)糸巻幅調整装置
糸巻取ユニット2は、糸巻幅調整装置61を有している。糸巻幅調整装置61は、トラバースしている糸4のトラバースを規制することで、糸4を従来と異なる綾振溝9を通らせ、それにより、非規制の場合に比べて狭い幅の糸層を巻取チューブ6の上に形成するための装置である。
糸巻幅調整装置61は、図2に示すように、第1ガイドレバー63と、第2ガイドレバー65とを有している。第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65は、綾振ドラム5に近接して糸案内側に設けられている。具体的には、第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65は、綾振ドラム5の回転軸方向の異なる位置に対応して、具体的には、図左側から右側に上記の順番で並んで配置されている。
第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65は、それぞれ、規制位置と非規制位置との間で移動可能である。規制位置では、第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65は、糸振り通過領域において糸4の綾振ドラムの回転軸方向の移動可能位置を規制することで、綾振ドラム5に狭い振り幅で糸4を案内する。非規制位置では、第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65は、糸振り通過領域から外れることで糸4の綾振ドラムの回転軸方向の移動可能位置を規制しないことで、綾振ドラム5に広い振り幅で糸4を案内する。第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65は、規制位置と非規制位置とで、綾振ドラム5の異なる綾振溝9に糸4を誘導する(後述)。
なお、この実施形態では、ガイドレバーの数が2であるので、パッケージ7において3種類の巻き幅を実現可能である(後述)。
糸巻幅調整装置61は、第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65の動作を制御するためのトラバース形成機構43(図8)を有している(後述)。
図4〜図6を用いて、第1〜第3糸巻動作の概略を説明する。図4は、第1糸巻動作を示す模式的正面図である。図5は、第2糸巻動作を示す模式的正面図である。図6は、第3糸巻動作を示す模式的正面図である。
第1糸巻動作では、図4に示すように第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65が非規制位置にあり、そのため、糸4は規制されずに綾振ドラム5に対して最も広い振り幅で案内される。そのため第1糸層51が形成される。
第2糸巻動作では、図5に示すように第1ガイドレバー63のみが規制位置にあり、そのため、糸4は規制されて綾振ドラム5に対して中くらいの振り幅で案内される。具体的には、糸4は、第1ガイドレバー63によってそれ以上図左側に振られることがない。以上の結果、第2糸層53が形成される。
第3糸巻動作では、図6に示すように、第2ガイドレバー65のみが規制位置にあり、そのため、糸4は規制されて綾振ドラム5に対して最も狭い振り幅で案内される。具体的には、糸4は、第2ガイドレバー65によってそれ以上図左側に振られることがない。以上の結果、第3糸層55が形成される。
図7を用いて、綾振ドラム5の溝形状を説明する。図7は、綾振ドラムの溝展開図である。綾振ドラム5の回転方向は矢印Rで示されている。
綾振ドラム5の綾振溝9は、螺旋状に形成されており、主に、トラバース往路71と、トラバース復路73とを有している。トラバース往路71は、図斜め左下に延びており、図では3本の溝として表示されている。言い換えると、トラバース往路71は、糸4が溝にガイドされるときに綾振ドラム5の図左側(幅方向第1側)に向かって糸4の軌道を広げるように延びている。具体的には、図7において、トラバース往路71は、点a→点b→点c→点dの順番で延びている。
トラバース復路73は、図斜め右下に延びており、図では2本の溝として表示されている。言い換えると、トラバース復路73は、糸4が溝にガイドされるときに綾振ドラム5の図右側(幅方向第2側)に向かって糸4の軌道を狭めるように延びている。具体的には、図7において、トラバース復路73は、点d→点e→点aの順番で延びている。
トラバース往路71とトラバース復路73は、第1交差点75と第2交差点77を有している。第1交差点75は、図7においてドラム幅の右端から2/3程度の位置に設けられている。第2交差点77は、図7においてドラム幅の右端から1/3程度の位置に設けられている。
以上の構成によって、トラバース往路71において図左側に綾振りされた糸4が、続いてトラバース復路73によって図右側に綾振りされて元の位置に戻る。このようにして、綾振溝9で綾振りされた糸4が巻取チューブ6に巻き取られる。
前述の第1糸巻動作では、糸4が綾振ドラム5上で綾振溝9内を移動する幅範囲は、幅Aで示すドラム幅全体(例えば、6インチ)である。
前述の第2糸巻動作では、糸4が綾振ドラム5上で綾振溝9内を移動する幅範囲は、幅Bで示す綾振ドラム5の図右端と第1交差点75との間(例えば、4インチ)である。
前述の第3糸巻動作では、糸4が綾振ドラム5上で綾振溝9内を移動する幅範囲は、幅Cで示す綾振ドラム5の図右端と第2交差点77との間(例えば、3インチ)である。
(4)糸巻取ユニットの制御構成
図8及び図9を用いて、糸巻取ユニット2の制御構成を説明する。図8は、自動ワインダの制御構成を示すブロック図である。図9は、糸巻動作を説明するためのフローチャートである。
糸巻取ユニット2は、ユニット制御部50を有している。
ユニット制御部50は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。ユニット制御部50は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
ユニット制御部50は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
ユニット制御部50の各要素の機能は、一部又は全てが、ユニット制御部50を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、制御部の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
ユニット制御部50には、前述したパッケージ駆動機構41が接続されている。
ユニット制御部50には、前述したトラバース形成機構43が接続されている。トラバース形成機構43は、段付きのパッケージ7を形成するための機構である。トラバース形成機構43は、第1駆動機構45(駆動部の一例)と、第2駆動機構47(駆動部の一例)と、回転センサ59とを有している。
第1駆動機構45は、第1ガイドレバー63を規制位置と非規制位置との間で移動させるアクチュエータであり、例えば、ソレノイドである。第1駆動機構45は、モータ、動力伝達機構であってもよい。
第2駆動機構47は、第2ガイドレバー65を規制位置と非規制位置との間で移動させるアクチュエータであり、例えば、ソレノイドである。第2駆動機構47は、モータ、動力伝達機構等であってもよい。
回転センサ59は、綾振ドラム5が1/60回転するごとに信号を出力するセンサである。
ユニット制御部50には、図示しないが、糸4の位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
(5)糸巻動作
図9を用いて、パッケージ7の糸巻動作を説明する。図9は、糸巻動作を説明するためのフローチャートである。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、制御部から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
最初に、ガイドレバーの切換タイミングの決定方式を説明する。前提として、ドラムワインド数によって、1回トラバース(ドラムを一往復)するために必要なドラムの回転数が異なる。そのため回転センサ59からの信号入力回数も異なる。
ドラムワインド数、ドラム回転数/TRV、ドラム回転信号入力回数/TRVの関係は、例えば、下記のようになる。
Figure 2019001604
以上より、ガイドレバーの状態(規制位置又は非規制位置)によって、ドラムワインド数(何ワインドで巻いているか)が判断され、さらにそれにより、ドラムが何回転したら1トラバースするかが判断される。以上より、各ワインド数において適切なタイミングでガイドレバーを規制位置と非規制位置との間で移動させることができる。
以下、図9を用いて、2.5W(6インチ):2.0W(4インチ):1.5W(3インチ)=2:3:4(トラバース回数(層数))となるパッケージ7の形成を説明する。
ステップS1では、第1糸巻動作が行われる。具体的には、ユニット制御部50が、第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65を非規制位置に移動させることで、ドラムワインド数を2.5Wに設定する。そして、その状態で糸層を2層形成する。そして、ドラム回転信号が150×2=300回入力されたら、第1糸層51の形成を終了する。
ステップS2では、パッケージ7が完成したか否かが判断される。完成していなければ、プロセスはステップS3に移行する。完成していれば、プロセスは終了する。
ステップS3では、第2糸巻動作が行われる。具体的には、ユニット制御部50が、第1ガイドレバー63を規制位置に移動させることで、ドラムワインド数2.0Wに切り替える。そして、その状態で糸層を3層形成する。そして、ドラム回転信号が120×3=360回入力されたら、第2糸層53の形成を終了する。
ステップS4では、第3糸巻動作が行われる。具体的には、ユニット制御部50が、第1ガイドレバー63を非規制位置に移動させ、かつ、第2ガイドレバー65を規制位置に移動させることで、ドラムワインド数を1.5Wに切り替える。そして、その状態で糸層を4層形成する。そして、ドラム回転信号が90×4=360回入力されたら、第3糸層55の形成を終了する。
以上より、第1糸層51、第2糸層53、第3糸層55が繰り返し形成され、最後に第1糸層51が形成されることでパッケージ7が完成する。
なお、ユニット制御部50は、予め設定された複数の巻きパターン情報のうちの1つに従って、上述のステップを実行する。具体的には、ユニット制御部50は、自動的に又は作業者からの操作にしたがって、記憶部に保存された巻きパターン情報を読み出して、それに基づいて制御を実行する。これにより、パッケージ製造動作が簡単になる。または、作業者が毎回ユニット制御部50に巻きパターンを入力してもよい。
上記のパッケージ製造方法では、巻取チューブ6に第1糸層51を巻くステップ、巻取チューブ6の長手方向に第1糸層51より短い範囲で第1糸層51に重ねて第2糸層53を巻くステップ、巻取チューブ6の長手方向に第2糸層53より短い範囲で第2糸層53に重ねて第3糸層55を巻くステップを交互に繰り返している。その結果、第1段7Aと、第1段7Aに対して巻取チューブ6の長手方向に並んで第1段7Aより大径の第2段7Bと、第2段7Bより大径の第3段7Cとを有する糸層が形成される。
各糸層の幅を変更する動作を詳細に説明すれば、下記の通りである。第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65を規制位置と非規制位置との間で移動することで、綾振ドラム5に案内される糸4の振り幅の変更が可能である。具体的には、第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65が非規制位置にある場合に糸4は綾振ドラム5に広い振り幅で案内され、第1ガイドレバー63及び第2ガイドレバー65が規制位置にある場合に、糸4は狭い振り幅で綾振ドラム5に案内され、規制されていない場合とは異なる綾振溝9を通る糸4は狭い巻き幅で巻取チューブ6に巻かれる。このようにして、例えば、広い巻幅の第1糸層と狭い巻幅の第2糸層が形成可能となることで、本実施形態のように、1つのパッケージに狭い巻幅の糸層と広い巻幅の糸層を組み合わせて段付きのパッケージ7を得ることができる。
図10〜図16を用いて、上述の糸巻取り動作の各糸層の形成を詳細に説明する。図10〜図16は、各糸巻動作を示す模式的断面図である。
図10に示すように、第1糸巻動作として、第1糸層51が巻取チューブ6の表面全体に形成される(図9のステップS1)。
図11に示すように、第2糸巻動作として、第2糸層53が第1糸層51の上に形成される(図9のステップS3)。
図12に示すように、第3糸巻動作として、第3糸層55が第2糸層53の上に形成される(図9のステップS4)。
図13に示すように、第1糸巻動作として、第1糸層51が、先の第1糸層51、第2糸層53及び第3糸層55の上に形成される(図9のステップS1)。
図14に示すように、第2糸巻動作として、第2糸層53が第1糸層51の上に形成される(図9のステップS3)。
図15に示すように、第3糸巻動作として、第3糸層55が第2糸層53の上に形成される(図9のステップS4)。
図16に示すように、第1糸巻動作として、第1糸層51が第3糸層55の上に形成される(図9のステップS1)。以上の結果、パッケージ7が完成する。
上記のように、第1糸層51が第2糸層53及び第3糸層の段差部を覆っているので、段差部分の糸層高さの変化が少なくなり、高さの変化がなだらかになる。したがって、糸層の数を増やすことができ、パッケージ7の重量を大きくできる。
なお、上記の実施形態では、第1糸層51、第2糸層53及び第3糸層55のセットの繰り返しは2回であったが、3回以上であってもよい。
さらに、上記の実施形態では繰り返しセットを構成する糸層の種類数3であったが、2であってもよいし、4以上であってもよい。
図17〜図19を用いて、各糸巻動作における糸の溝移動を説明する。図17〜図19は、各糸巻動作における糸の溝移動を示すための綾振ドラムの溝展開図である。
図17に示すように、第1糸巻動作(図9のステップS1)では、糸4は、綾振ドラム5の綾振溝9を下記のように移動する。点a→点b→点c→点d→点e→点aの順番である。より詳細には、第1ガイドレバー63が非規制位置にあるので、トラバース往路71に沿って移動する糸4は、第1交差点75を通過してそのままトラバース往路71に沿って移動する。以上の結果、第1糸層51が形成される。
なお、以上の説明は6インチ2.5Wドラム溝を利用した場合であるが、必要に応じて6インチ2.0Wドラム溝も利用可能である。これにより、トラバース幅のバリエーションを増加できる。6インチ2.0Wドラム溝を利用した糸巻動作では、糸4は、綾振ドラム5の綾振溝9を下記のように移動する。具体的には、図7において、点a→分岐点79→点e→合流点81→点d→点e→点aの順番である。
図18に示すように、第2糸巻動作(図9のステップS3)では、糸4は、綾振ドラム5の綾振溝9を下記のように移動する。点a→点b→点c→第1交差点75→点e→点aの順番である。より詳細には、第1ガイドレバー63が規制位置にあるので、トラバース往路71に沿って移動する糸4は、第1交差点75においてトラバース復路73に移ってその後にトラバース復路73に沿って移動する。以上の結果、第2糸層53が形成される
図19に示すように、第3糸巻動作(図9のステップS4)では、糸4は、綾振ドラム5の綾振溝9を下記のように移動する。点a→点b→第2交差点77→点aの順番である。より詳細には、第2ガイドレバー65が規制位置にあるので、トラバース往路71に沿って移動する糸4は、第2交差点77においてトラバース復路73に移ってその後にトラバース復路73に沿って移動する。以上の結果、第3糸層55が形成される。
前記実施形態では巻幅6インチのパッケージを説明したが、本発明は他のサイズのパッケージにも適用できる。例えば、巻幅4インチのパッケージにも本発明を適用できる。一例として、2.0W(4インチ):1.5W(3.8インチ):1.5W(3インチ)=1:2:2(トラバース回数(層数))となるパッケージでもよい。この場合も、危険ゾーンのラッチングを回避できる。
2.第2実施形態
図20を用いて、クレードルの実施形態を説明する。図20は、第2実施形態に係るクレードルの構造を示す模式的正面図である。
クレードル8の一方の支持部には、アダプタ83が脱着可能に装着されている。アダプタ83は、巻取チューブ6の端部を支持する。これにより、クレードル8に対して長さが異なる巻取チューブ6を装着できる。
アダプタは、変形例として、クレードルの他方の支持端に設けられていてもよいし、クレードルの両側の支持端に設けられていてもよい。
3.第3実施形態
図21及び図22を用いて、アームトラバース方式の糸巻取ユニットを説明する。図21は、第3実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットを示す模式的正面図である。図22は、トラバース装置の模式的側面図である。
糸巻取ユニット100は、給糸ボビン121と接触ローラ129との間の糸走行経路中に、給糸ボビン121側から順に、糸解舒補助装置112と、テンション付与装置113と、スプライサ装置114と、糸監視装置115と、を有している。
糸巻取ユニット100の下部には、給糸部111が設けられている。給糸部111は、図略のボビン搬送システムによって搬送されてきた給糸ボビン121を所定の位置に保持できるように構成されている。
糸解舒補助装置112は、給糸ボビン121の芯管に被さる規制部材140を給糸ボビン121からの糸120の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン121からの糸120の解舒を補助する。
テンション付与装置113は、走行する糸120に所定のテンションを付与する。
スプライサ装置114は、糸監視装置115が糸欠陥を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン121からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン121からの下糸と、パッケージ130からの上糸とを糸継ぎする。
糸監視装置115は、糸120の太さを検出するための図略のセンサが配置されたヘッド149と、このセンサからの糸太さ信号を処理するアナライザ(図示せず)と、を備えている。糸監視装置115は、上記センサからの糸太さ信号を監視することにより、スラブ等の糸欠陥を検出するように構成されている。ヘッド149の近傍には、糸監視装置115が糸欠陥を検出したときに直ちに糸120を切断するためのカッタ139が設けられている。
スプライサ装置114の下側には、下糸の糸端を捕捉してスプライサ装置114に案内する下糸捕捉部材125が設けられている。スプライサ装置114の上側には、上糸の糸端を捕捉してスプライサ装置114に案内する上糸捕捉部材126が設けられている。下糸捕捉部材125は、下糸パイプアーム133と、この下糸パイプアーム133の先端に形成された下糸吸引口132と、を備えている。上糸捕捉部材126は、上糸パイプアーム136と、この上糸パイプアーム136の先端に形成された上糸吸引口135と、を備えている。
下糸パイプアーム133と上糸パイプアーム136とは、それぞれ軸134及び軸137を中心にして回動可能に構成されている。下糸パイプアーム133及び上糸パイプアーム136には、適宜の負圧源がそれぞれ接続されている。下糸パイプアーム133は、下糸吸引口132に吸引流を発生させて、下糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。上糸パイプアーム136は、上糸吸引口135に吸引流を発生させて、上糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。下糸パイプアーム133及び上糸パイプアーム136には、その基端側にシャッタ(図示せず)がそれぞれ設けられている。各シャッタは、ユニット制御部150からの信号に応じて開閉される。これにより、下糸吸引口132及び上糸吸引口135からの吸引流の停止及び発生が制御される。
糸巻取ユニット100は、巻取ボビン122を着脱可能に支持するクレードル123と、巻取ボビン122の周面又はパッケージ130の周面に接触して回転可能な接触ローラ129と、を備えている。
糸巻取ユニット100は、糸120をトラバースさせるためのアーム式のトラバース装置170をクレードル123の近傍に備えており、このトラバース装置170によって糸120をトラバースしながらパッケージ130に糸120を巻き取ることが可能である。トラバース箇所のやや上流にはガイドプレート128が設けられている。ガイドプレート128は、上流側の糸120をトラバース箇所へと案内する。このガイドプレート128のさらに上流には、セラミック製のトラバース支点部127が設けられている。トラバース装置170は、このトラバース支点部127を支点として、糸120をトラバースさせている。
クレードル123は、回動軸148を中心に回動可能に構成されている。クレードル123は、巻取ボビン122への糸120の巻取に伴うパッケージ130の糸層径の増大を、クレードル123が回動することによって吸収する。クレードル123には、パッケージ130の回転速度を測定する回転速度センサ124が設けられている。
クレードル123には、サーボモータで構成されるパッケージ駆動モータ141が取り付けられている。パッケージ駆動モータ141は、巻取ボビン122を回転駆動して、巻取ボビン122に糸120を巻き取る。パッケージ駆動モータ141は、パッケージ130(巻取ボビン122)を巻取方向に回転させる正転回転で回転駆動可能である。また、パッケージ駆動モータ141は、巻取方向とは反対方向の反巻取方向にパッケージ130を回転させる逆転回転で回転駆動可能である。パッケージ駆動モータ141のモータ軸は、巻取ボビン122をクレードル123に支持させたときに、当該巻取ボビン122と相対回転不能に連結されるようになっている。
パッケージ駆動モータ141の動作は、パッケージ駆動制御部(図示せず)により制御される。パッケージ駆動制御部(図示せず)は、ユニット制御部150からの運転信号を受けてパッケージ駆動モータ141の運転及び停止を制御する。
トラバース装置170は、図22に示すように、トラバース駆動モータ176と、出力軸177と、トラバースアーム174とを備える。
トラバース駆動モータ176は、トラバースアーム174を駆動するモータであって、サーボモータ等により構成されている。トラバース駆動モータ176の動作は、トラバース制御部(図示せず)により制御されている。
トラバース制御部(図示せず)は、専用のマイクロプロセッサによるハードウエア等から構成されており、ユニット制御部(図示せず)からの信号を受けてトラバース駆動モータ176の運転及び停止を制御する。トラバース駆動モータ176の動力は、図22に示すように、出力軸177を介して、トラバースアーム174の基端部に伝達されている。トラバース駆動モータ176のロータが正逆回転することで、トラバースアーム174がパッケージ130の巻幅方向に往復旋回運動を行う。
トラバースアーム174の先端部には、図22に示すように、フック形状の糸ガイド部173が形成されている。トラバースアーム174は、糸ガイド部173によって糸120を案内できる。糸ガイド部173が糸120を案内した状態でトラバースアーム174が往復旋回運動を行うことにより、糸120をトラバースさせることができる。
この実施形態では、トラバース制御部(図示せず)がトラバース駆動モータ176を制御することで、トラバースアーム174が糸120をトラバースする。この制御動作によって、第1実施形態と同様に段付きのパッケージ130を形成できる。
4.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
パッケージの形状は、コーン形状(円錐台形状)であってもよいし、チーズ形状(円柱形状)であってもよい。
第1実施形態ではガイドレバーの数は2個であって、3段の段付きパッケージを製造していたが、ガイドレバーの数は限定されない。例えば、ガイドレバーの数が1個であって、2段の段付きパッケージを製造してもよい。または、ガイドレバーの数は3個以上であってもよい。
第1実施形態では1度に規制位置に配置されるガイドレバーの数は1個であったが、この数は限定されない。例えば、1度に規制位置に移動するガイドレバーの数は2個でもよい。その場合は、糸の振り幅は2個のガイドレバーの間に制限される。
本発明は、空気精紡機、オープンエンド精紡機にも適用できる。
本発明は、パッケージ、パッケージ製造方法、及び糸巻取装置に広く適用できる。
1 :自動ワインダ
2 :糸巻取ユニット
3 :給糸ボビン
4 :糸
5 :綾振ドラム
6 :巻取チューブ
7 :パッケージ
7A :第1段
7B :第2段
7C :第3段
8 :クレードル
9 :綾振溝
10 :回動軸
11 :トレイ
14 :糸継装置
15 :ヤーンクリアラ
16 :カッタ
17 :下糸吸引捕捉案内機構
17a :中継パイプ
19 :空気取り入れ口
20 :上糸吸引捕捉案内機構
20a :パイプ
22 :サクションマウス
24 :ワキシング装置
25 :クリーニングパイプ
41 :パッケージ駆動機構
43 :トラバース形成機構
45 :第1駆動機構
47 :第2駆動機構
50 :ユニット制御部
51 :第1糸層
53 :第2糸層
55 :第3糸層
59 :回転センサ
61 :糸巻幅調整装置
63 :第1ガイドレバー
65 :第2ガイドレバー
71 :トラバース往路
73 :トラバース復路
75 :第1交差点
77 :第2交差点

Claims (11)

  1. 両端フランジレスの巻取体と、
    前記巻取体に巻かれた糸と、を備え、
    前記糸は、第1部分と、前記第1部分に対して前記巻取体の長手方向に並んで前記第1部分より糸層が大径の第2部分とを有しており、
    前記糸は、基準端から第1の幅で前記第1部分と前記第2部分に巻かれた第1糸層と、前記第1糸層と交互に積層され、前記基準端から前記第1の幅より短い第2の幅で前記第2部分のみに巻かれた第2糸層とを有している、
    パッケージ。
  2. 前記第1糸層は、前記第2糸層の段差部を前記第1部分から前記第2部分にかけて連続的に覆っている、請求項1に記載のパッケージ。
  3. 前記糸は、前記第2部分に対して前記巻取体の長手方向に並んで前記第2部分より糸層が大径の第3部分を有しており、
    前記糸は、前記第1糸層及び前記第2糸層と交互に積層され、前記基準端から前記第2の幅より短い第3の幅で前記第3部分のみに巻かれた第3糸層を有している、請求項1又は2に記載のパッケージ。
  4. 前記第1糸層、前記第2糸層、第3糸層のトラバース回数が、2:3:4の割合である、請求項3に記載のパッケージ。
  5. 前記第1糸層、前記第2糸層、前記第3糸層を形成するためのドラムワインド数が、2.5W:2.0W:1.5Wであり、
    前記第1糸層、前記第2糸層、前記第3糸層の幅が、6インチ:4インチ:3インチである、請求項4に記載のパッケージ。
  6. 前記第1糸層、前記第2糸層、前記第3糸層のトラバース回数が、1:2:2の割合である、請求項3に記載のパッケージ。
  7. 前記第1糸層、前記第2糸層、前記第3糸層を形成するためのドラムワインド数が、2.0W:1.5W:1.5Wであり、
    前記第1糸層、前記第2糸層、前記第3糸層の幅が、4インチ:3.8インチ:3インチである、請求項6に記載のパッケージ。
  8. 両端フランジレスの巻取体に巻かれた糸を有するパッケージを製造する方法であって、
    前記巻取体に第1糸層を巻くステップと、
    前記巻取体の長手方向に前記第1糸層より短い範囲で第2糸層を巻くステップと、
    を交互に繰り返すことで、前記巻取体の長手方向に並んだ第1部分と、前記第1部分より大径の第2部分とを有する糸層を形成する、
    パッケージ製造方法。
  9. 巻取部と、
    前記巻取部に請求項8に記載の前記パッケージ製造方法を実行させる制御部と、
    を備えた糸巻取装置。
  10. 前記巻取部は、
    前記巻取体が装着される回転支持部と、
    糸を前記巻取体に案内するものであり、綾振ドラムを有する糸案内部と、
    前記綾振ドラムの回転軸方向への前記糸の移動可能位置を規制しないことで前記綾振ドラムに広い振り幅で前記糸を案内する非規制位置と、前記綾振ドラムの回転軸方向への前記糸の移動可能位置を規制することで前記綾振ドラムに狭い幅で前記糸を案内する規制位置と、の間で移動可能であり、前記規制位置と前記非規制位置とで前記綾振ドラムの異なる綾振溝に前記糸を誘導する、レバー部材と、を有し、
    前記制御部は、前記レバー部材を前記非規制位置に配置することで前記第1糸層を巻くステップを実行し、前記レバー部材を前記規制位置に配置することで前記第2糸層を巻くステップを実行する、請求項9に記載の糸巻取装置。
  11. 前記レバー部材は、前記綾振ドラムの回転軸方向の異なる位置に対応して設けられた複数のレバー部材を有する、請求項10に記載の糸巻取装置。
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