JP2018538361A - フラン−2,5−ジカルボン酸を調製する方法 - Google Patents

フラン−2,5−ジカルボン酸を調製する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法であって、該方法は、以下のステップ:(A-1)ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、1種又は2種以上の炭水化物化合物、並びに、前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒として、一定量の1種以上の式(II)のカルボン酸エステルを含む、出発混合物を調製又は用意するステップ、(A-2)前記出発混合物を、前記1種又は2種以上の炭水化物化合物の少なくとも一種が反応し、及び前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の一部分が加水分解されるような反応条件に付して、これにより、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は前記1種以上の式(I)のHMFエステル、1種以上の式(III)のカルボン酸、並びに前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分を含む混合物が生じるステップを含む、方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を調製する方法に関する。本発明は、そのような方法における特定のカルボン酸エステルの対応する使用にも関する。本発明は、添付の特許請求の範囲において定義される。さらにまた、本発明の好ましい形態及び態様は、詳細な説明及び実施例から明らかである。5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)及び1種以上の特定のHMFエステルを含む混合物を調製する方法も記載する。
5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)及びこれらの誘導体、並びにフラン-2,5-ジカルボン酸(以下、FDCA)は、様々な製品、例えば、界面活性剤、ポリマー及び樹脂の製造のための重要な中間体化合物である。
化石原料の枯渇の拡大に伴って、再生可能資源に基づく出発原料が、例えば、テレフタル酸(ポリエチレンテレフタレート、PETの製造において使用される化合物)の代替物として、必要とされている。PETは、通常、石油、天然ガス又は石炭から、すなわち、化石燃料から出発して得られる、エチレン及びp-キシレンに基づく。エチレンへのバイオ経路(例えば、バイオエタノールの脱水)は、商業的なスケールで操業されているが、バイオテレフタル酸の直接の入手は依然として困難である。FDCAは、テレフタル酸の最適なバイオ代替物である(さらなる情報については、Lichtenthaler,F.W.、「Carbohydrates as Organic Raw Materials」 in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA、Weinheim、2010年を参照)。
HMFは、多用途のプラットフォーム化学物質である。アルコキシメチルフルフラール、例えば、2,5-フランジカルボン酸、5-ヒドロキシメチルフロ酸、ビスヒドロキシメチルフラン、2,5-ジメチルフラン及びHMFのジエーテルは、燃料及び/又はポリマーへの適用において、高い将来性を有するフラン誘導体である。いくつかの重要な非フラン化合物、すなわち、レブリン酸、アジピン酸、1,6-ヘキサンジオール、カプロラクタム及びカプロラクトンは、HMFから製造することもできる。
FDCAを、モノエチレングリコールと共重合させて、PETと同様の性質を有するポリエステルである、ポリエチレンフラノエート(PEF)を得ることができる。
Figure 2018538361
FDCAは、通常、フルクトース及び/又は他のヘキソースから出発して、重要中間体である5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)への、触媒による、好ましくは、酸触媒による脱水、続いて、FDCAへの酸化を経て、得られる。文献において、HMFのエステルを、前駆体として使用して、FDCAを調製する方法が開示されている(例えば、米国特許第8,242,293号)。
Figure 2018538361
脱水ステップにおいて、プロセスの特定の設計に応じて、副生成物が形成される。
このプロセスの典型的な副生成物は、HMFの加水分解の際に形成されるレブリン酸及びギ酸(下記のスキームを参照)である。
5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)(及び1種以上の副生成物)を含む混合物を調製する方法において、又は先行技術において公知のFDCAを調製する方法において、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)を含む混合物は、ヘキソース(単量体ヘキソース分子、例えば、フルクトース)、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、1種又は2種以上の化合物を含む原料混合物を、HMF、水及び副生成物(例えば、レブリン酸及びギ酸)を含む混合物が生じるような反応条件に付すことによって、調製される。反応条件下、オリゴ糖及び/又は多糖は、通常、解重合され、続いて、生じた単糖、例えば、単量体ヘキソース分子は、HMFに変換される。ヘキソース、オリゴ糖及び多糖は、典型的には、フルクトース、グルコース及びセルロースからなる群から選択される。
解重合中に、オリゴ糖又は多糖は、通常、オリゴ糖又は多糖分子(例えば、セルロース)中の異なるヘキソース単位を連結するエーテル結合の加水分解によって、単量体ヘキソース分子に変換される。典型的な解重合プロセスの生成物(単量体ヘキソース分子)は、それらのアルデヒド形態で存在する。
典型的には、少なくとも一部分がこれまでに開示されていない所定の方法によれば、解重合は、触媒を使用することによって、好ましくは、ワンポットの手順で実施される。典型的には、例えば、溶解したセルロースの量を増加させ、したがって、実行されるプロセス当たりの収率を増加させるために、親水性溶媒が使用される(特に、水)。合成後の後処理を容易にするために、不均一系触媒によって、セルロースのHMFへの変換を実施することが、典型的には有利である。典型的な解重合プロセスにおいて、水溶液が、時々、使用される解重合混合物の総重量に基づいて、50重量%以上の水を含む溶媒として、使用される。
或いは、HMF、水及び副生成物、例えば、di-HMF(5,5'(オキシ-ビス(メチレン))ビス-2-フルフラール)を含む混合物を調製するための出発物質として、単糖を使用する場合、解重合ステップは必要ではない。
製造又は用意された単糖は、典型的には、脱水プロセスに付され、単量体ヘキソース分子は、典型的には、次にその環形態に変換される、そのケトン形態への異性化によって(例えば、ケトン-エノン互変異性化を経て)、転位する。閉環後、形成された閉環したヘキソース分子は、典型的には、脱水されて(及び、場合により、さらに異性化され)、HMF、副生成物(例えば、di-HMF)及び水を含む混合物が生じる。しかしながら、水は、上記に記載したような、形成されたHMFの加水分解に起因する、望ましくない副生成物(例えば、フミン、レブリン酸及びギ酸)をもたらす。
一般的な有機溶媒への特定の単量体ヘキソース分子(例えば、フルクトース)の不溶性に起因して、先行技術における典型的な脱水プロセスのステップは、HMF及び水を含む水溶液を(粗)混合物として得るような水性環境中で行われる。上述したように、水の存在は、副生成物(例えば、レブリン酸及びギ酸)へのHMFの加水分解をもたらし、したがって、反応の全収率を減少させる。
そのような水性混合物からのHMFの単離は、HMFが、しばしば、副反応、例えば、加水分解を受けるので(下記のスキームを参照)、困難である。
Figure 2018538361
したがって、HMF及び水を含む(粗)混合物は、通常、副生成物である程度汚染され、副生成物からのHMFの分離は、正当な努力では不可能である。
解重合又は脱水ステップに関する前述の開示はまた、(i)5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)及び1種以上のHMFエステルを含む混合物を調製する方法、並びに前記混合物をさらに処理するステップを含む、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する対応する方法、並びに(ii)本明細書の下記で詳細に記載する本発明による5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及びHMFエステルを調製する方法又は本明細書の下記で詳細に記載する本発明によるFDCAを調製する方法における、カルボン酸エステルの使用に適用される。特に、解重合及び脱水の連続するステップを、本発明に従って使用される混合物を調製するために使用することができる。
それぞれ、FDCA若しくはHMFの単離又は調製に関する異なる技術が、特許文献で報告されている。
国際公開第2008/054804号A2は、「Hydroxymethyl furfural oxidation methods」(発明の名称)に関する。これは、純水への溶解度と比較して、酢酸/水混合物(容積比40:60)へのFDCAの高溶解度が達成されることを開示している(段落[0058]を参照)。
国際公開第2013/033081号A2は、「process for producing both biobased succinic acid and 2,5-furandicarboxylic acid」(発明の名称)を開示している。
米国特許出願公開第2008/103318号は、「水を含む溶媒中にHMFを含有した出発原料を、反応器に供給する」ステップを含む、「hydroxymethyl furfural oxidation methods」(発明の名称)を開示している。出発原料は、「接触が、約50℃〜約200℃の反応温度で実施される、支持体物質上のPtを含む触媒と」接触させられる。
米国特許第8,877,950号は、「method for the synthesis of 5-hydroxymethylfurfural ethers and their use」(発明の名称)に関する。HMF誘導体は、「フルクトース及び/又はグルコースを含有する出発原料を、触媒量又は準化学量論量の固体(「不均一系」)酸触媒の存在中、アルコールと反応させることによって」作られる(要約書を参照)。
米国特許第8,242,293号は、「Method for the synthesis of organic acid esters of 5-hydroxymethylfurfural and their use」(発明の名称)に関する。対応するエステルが、「ギ酸若しくはその無水物とHMF(ホルミオキシメチルフルフラール)、酢酸若しくはその無水物とHMF(5-アセトキシメチルフルフラール)、又はプロピオン酸若しくはその無水物とHMF(5-プロピオノキシメチルフルフラール)の縮合生成物」(第1欄、20〜24行を参照)、或いは「(イソ)酪酸」(第2欄、第43行を参照)又は「(イソ)酪酸無水物」(第2欄、第47行を参照)の縮合生成物であることが開示されている。異なる触媒が、対応するプロセスにおいて使用されている(第3欄、第1〜31行を参照)。
国際公開第2009/076627号A2は、「conversion of carbohydrates to hydroxy-methylfurfural (HMF) and derivatives」(発明の名称)に関する。「炭水化物源を、固相触媒と接触させることによって、HMFを合成するための」方法が開示されている(請求項1を参照)。さらにまた、「反応混合物を供給するための触媒を添加して、又は添加せずに、炭水化物源、カルボン酸を含む」混合物から出発する、HMFエステルを調製する方法が開示されている(請求項4を参照)。
国際公開第2011/043661号A1は、「Method for the preparation of 2,5-furandicarboxylic acid and for the preparation of the dialkyl ester of 2,5-furandicarboxylic acid」(発明の名称)に関する。「5-ヒドロキシメチルフルフラール(「HMF」)、5-ヒドロキシメチルフルフラールのエステル、5-メチルフルフラール、5-(クロロメチル)フルフラール、5-メチルフロ酸、5-(クロロメチル)フロ酸、2,5-ジメチルフラン、及びこれらの化合物の2種以上の混合物からなる群から選択される化合物を含む供給物を、酸化触媒の存在中、140℃超の温度で、酸化剤と接触させるステップを含む、2,5-フランジカルボン酸を調製するための」方法が開示されている(要約書を参照)。酸化触媒は、コバルト、マンガン及び/又は臭素源を含む(請求項3及び4を参照)。
国際公開第2009/030512号A2は、「hydroxymethylfurfural ethers and esters prepared in ionic liquids」(発明の名称)に関する。「触媒として、金属塩化物を使用して、ヘキソースを含有する出発原料又はHMFを、イオン性液体中に溶解したアルコール又は有機酸と反応させることによって、5-ヒドロキシメチルフルフラールのエーテル又はエステルを製造するための」方法が開示されている(請求項1を参照)。
関連する技術はまた、国際公開第2015/075540号A1、国際公開第2009/155297号A1及び国際公開第2015/056270号A1である。
米国特許第8,242,293号 国際公開第2008/054804号 国際公開第2013/033081号 米国特許出願公開第2008/103318号 米国特許第8,877,950 米国特許第8,242,293号 国際公開第2009/076627号 国際公開第2011/043661号 国際公開第2009/030512号 国際公開第2015/075540号 国際公開第2009/155297号 国際公開第2015/056270号
Lichtenthaler,F.W.、「Carbohydrates as Organic Raw Materials」 in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA、Weinheim、2010
工業界によって行われたかなりの努力にもかかわらず、さらなる改善の必要性が残されている。したがって、第1の態様によれば、本発明の目的は、これまでに公知の(及び上述の)プロセスの欠点を回避又は少なくとも軽減し、かつ経済的に有利な方法で操作することが可能な、フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を調製する、改善された方法を提供することである。さらなる態様に従って特定される好ましい方法は、有利には、
- 脱水触媒の使用がなく、及び/又は酸の最初の添加がなく、実施することが可能でなければならない、
- プロセス中に形成される副生成物が再使用されなければならない、
- 副反応が防止されなければならない、
- 先行技術において公知のプロセスと比較して、全プロセスの収率が増加しなければならない、
- 先行技術において公知のプロセスと比較して、より好都合な副生成物の分離が、可能にならなければならない、
並びに/或いは、
- 先行技術において公知の反応器の配置の複雑さが低減されなければならない。
これは、本発明の方法によって達成される。
本発明の方法は、
(a)5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)及び1種以上の式(I)
Figure 2018538361
(式中、前記式(I)のHMFエステルのそれぞれにおいて、互いに独立して、R1は、
(i)水素、
或いは、
(ii)総数が21個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状の、飽和又は不飽和又は芳香族の炭化水素基である)
のHMFエステルを含む混合物を調製する方法であって、
該方法は、以下のステップ:
(A-1)ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、1種又は2種以上の炭水化物化合物、
並びに、前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒として、一定量の1種以上の式(II)
Figure 2018538361
(式中、前記式(II)のカルボン酸エステルのそれぞれにおいて、
- R1は、式(I)について上記で定義されたものと同じであり、
- R2は、総数が10個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基である)
のカルボン酸エステルを含む出発混合物を調製又は用意するステップ、
(A-2)前記出発混合物を、
前記1種又は2種以上の炭水化物化合物の少なくとも1種が反応し、
及び、
前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の一部分が加水分解される
ような反応条件に付して、
これにより、
- 5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は前記1種以上の式(I)のHMFエステル、
- 1種以上の式(III)
Figure 2018538361
(式中、R1は、式(I)について上記で定義されたものと同じである)
のカルボン酸、
- 1種以上のアルコールR2-OH(式中、R2は、式(II)について上記で定義したものと同じである)、
並びに、
- 前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分
を含む混合物が生じるステップ
を含む方法に基づく。
FDCAを調製するための、特許請求の範囲に定義される本発明の方法は、対応して、
(b)フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法であって、
(A-1)ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、1種又は2種以上の炭水化物化合物、
並びに、前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒として、一定量の1種以上の式(II)
Figure 2018538361
(式中、前記式(II)のカルボン酸エステルのそれぞれにおいて、
- R1は、式(I)について上記で定義されたものと同じであり、
- R2は、総数が10個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基である)
のカルボン酸エステルを含む、出発混合物を調製又は用意するステップ、
(A-2)前記出発混合物を、
前記1種又は2種以上の炭水化物化合物の少なくとも1種が反応し、
及び、
前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の一部分が加水分解される
ような反応条件に付して、
これにより、
- 5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は前記1種以上の式(I)
Figure 2018538361
(式中、前記式(I)のHMFエステルのそれぞれにおいて、互いに独立して、R1は、
(i)水素、
或いは、
(ii)総数が21個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状の、飽和又は不飽和又は芳香族の炭化水素基である)
のHMFエステル、
- 1種以上の式(III)
Figure 2018538361
(式中、R1は、式(I)について上記で定義されたものと同じである)
のカルボン酸、
- 1種以上のアルコールR2-OH(式中、R2は、式(II)について上記で定義されたものと同じである)、
並びに、
- 前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分
を含む混合物が生じるステップ、
(B-1)
- ステップ(A-2)において生じる前記混合物
又は、
- 追加の処理ステップによって、ステップ(A-2)において生じる前記混合物から得られた、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は1種以上の式(I)のHMFエステルを含む混合物を、
フラン-2,5-ジカルボン酸及び1種以上の式(III)のカルボン酸を含む、生成物混合物が生じるような酸化条件に付すステップ
を含む方法である。
図1は、本発明の例示的な方法において起こる典型的な反応の概略図である。 図2は、本発明の方法において実施される、典型的な(例示的な)方法のステップの概略図である。
上記又は下記に記載する本発明による方法において、ステップ(A-1)における式(II)のカルボン酸エステルは、前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒として、存在し、ステップ(A-2)において、前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の一部分は、加水分解される。したがって、上記又は下記に記載する本発明による方法において、式(II)のカルボン酸エステルは、「反応性溶媒」の機能を有する。反応性溶媒は、(i)反応物質、及び(ii)溶媒の両方として働く。反応物質として、ステップ(A-2)において、式(II)のカルボン酸エステルは、(インサイチュで形成されるか、又はステップ(A-1)の出発混合物中に存在する)水と反応して、次に、HMFとさらに反応して式(I)のHMFエステルを形成することができる式(III)のカルボン酸を形成する。(共)溶媒としては、ステップ(A-1)及び(A-2)において、式(II)のカルボン酸エステルは、出発混合物中の、前記1種又は2種以上の炭水化物化合物が、溶液中にある状態を保つのに寄与する。さらにまた、式(II)のカルボン酸エステルの残りの部分は、典型的には、ステップ(A-2)において生じる混合物中に存在する生成物(HMF及び/又は式(I)のHMFエステル)が、溶液中にある状態を保つのに寄与する。
多くの工業的場合において、容易に入手可能であるので、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましい。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、対応する式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
上記に言及するように、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する上記に記載される方法において、ステップA-2において得られる前記混合物は、以下のステップ(B-1)によってさらに処理される:
(B-1)
- ステップ(A-2)において生じる前記混合物、
或いは、
- 追加の処理ステップによって、ステップ(A-2)において生じる前記混合物から得られた、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は1種以上の式(I)のHMFエステルを含む混合物
を、フラン-2,5-ジカルボン酸及び1種以上の式(III)のカルボン酸を含む生成物の混合物が生じるような酸化条件に付すステップ。
本発明による方法のステップ(A)(サブステップ(A-1)、(A-2)等を有する)に適用される、すなわち、本明細書に記載される(特に、好ましいものとして記載される場合)、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)及び1種以上の式(I)のHMFエステルを含む混合物を調製するステップに適用される、すべての特定の又は一般的な態様、並びに好ましい実施形態又は特徴に関するすべての言及は、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する本発明による方法の全体にも準用され、逆もまた同様である。
特に、本発明のそれぞれの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で同じである。R1の意味は、本発明の、異なる特定の態様について、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての言及について、異なっていてもよい。
同様に、本発明のそれぞれの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての言及において、R2基は、式(II)の化合物及びアルコールR2-OH中で同じである。R2の意味は、本発明の、異なる特定の態様について、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての言及について、異なっていてもよい。
他の指示がなければ、特定の基中の炭素原子の「総数」は、任意の置換基を含む基中の総数である。すなわち、置換されている基中の炭素原子の総数を数える場合、置換基中の炭素原子の数も数える。
ステップ(A-2)において、「反応条件」という用語は、以下をもたらす条件を指す。
(a)前記炭水化物化合物が反応して、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)及び/又は(HMFの反応によって)前記1種以上の式(I)のHMFエステルを発生させる、
並びに、
(b)前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の一部分を加水分解して、前記式(III)のカルボン酸及び前記アルコールR2-OHを形成する。
関与する反応機構を、特に、例示的なプロセスを参照して、より詳細に、下記に記載する。
ステップ(B-1)において、「酸化条件」という用語は、HMF及び式(I)のHMFエステルの両方が反応して、フラン-2,5-ジカルボン酸及び1種以上の式(III)のカルボン酸を含む、前記生成物の混合物を与えるために適した条件を示す。
上記で言及したように、フルクトースの脱水は、しばしば、水性媒体中で実施される。水性媒体中で脱水反応を実施する固有の問題以外に、水は、いくつかの副生成物をもたらし得る(例えば、Tianら、Chem. Commun.、2013年、49号、8668〜8670頁を参照)。最初は、非水性の反応条件下であっても、水は、フルクトースからHMFへの脱水中に生成するので、水の含量は、反応時間とともに増加する。先行技術のプロセスの挑戦及び課題は、例えば、「ヘキソース炭水化物原料からの、実質的に純粋なHMF及びこれらの誘導体の合成及び回収」に関する、欧州特許出願公開第2762470号A1にまとめられている([0002]を参照)。この文献は、「良好な選択性及び高収率でHMFを提供する方法は、いまだに見出されていない」こと、及び「副生成物、例えば、レブリン酸及びギ酸」を生じない方法は、いまだに見出されていないことを明確に言及している([0008]を参照)。これらとは対照的に、本発明による方法は、高選択性で、副生成物の形成が少なく、HMF及び式(I)のHMFエステル又はフラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)を生成する。本発明による方法において、式(II)のカルボン酸エステルは、水と反応する脱水剤として働き、及び意図的に使用されて、1種以上の式(III)のカルボン酸及び1種以上のアルコールR2-OHの形成が生じる(例えば、図1における対応する反応を参照)。
さらに、1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの存在中、HMF及び/又は式(I)のHMFエステルへの炭水化物化合物の反応と同時に、本発明によるステップ(B-1)の酸化反応において溶媒として働く、1種以上の式(III)のカルボン酸(ステップ(A-2)を参照)が生成する。
ステップ(A-2)の反応条件の下、前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルは、水(ステップ(A-1)において調製若しくは用意された出発混合物中に存在し、及び/又はステップ(A-2)における炭水化物化合物の脱水によって生成する)と反応して、1種以上の式(III)のカルボン酸及び1種以上のアルコールR2-OHを与える。したがって、典型的には、水の存在によって引き起こされる副反応の負の効果(先行技術のプロセスの上記の説明を参照)は、回避又は少なくとも軽減される。
前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルと水の反応の反応生成物、すなわち、前記式(III)のカルボン酸及びアルコールR2-OHは、驚くべきことに、水について観察される不利な副反応を引き起こさず、このようにして、先行技術のプロセスとの比較において、HMF、式(I)のHMFエステル、及び、該当する場合、FDCAの全収率の増加に寄与する。アルコールR2-OH及び式(II)のカルボン酸エステルはまた、例えば、水よりも、ステップ(A-2)において生じる混合物からより好都合に分離される。
式(I)のHMFエステルの形成は、これが、HMFのヒドロキシル基を保護し、したがって、HMFの二量化又はさらに重合(フミンをもたらす)を防止するので、有利である。さらにまた、式(I)のHMFエステルは、HMFと同様の方法でFDCAに酸化することができる。
本発明の方法において形成される式(III)のカルボン酸は、ステップ(A-2)における炭水化物化合物のため、並びにステップ(B-1)におけるHMF及び式(I)のHMFエステルのための、(共)溶媒としての機能を果たす。したがって、先行技術とは対照的に、本発明による方法では、典型的には、溶媒として使用される有機酸又は他の腐食性化合物は、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に最初に存在する必要がなく、分離ステップを追加する必要がない。したがって、これらの腐食性化合物の保管設備又は追加の操作は必要ではない。
ステップ(A-2)において生じる混合物において、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び式(I)のHMFエステルの総量が、ステップ(A-2)において生じる混合物の総重量に基づいて、0.5〜50重量%の範囲、好ましくは、1〜40重量%の範囲、より好ましくは、5〜30重量%の範囲である、本明細書の上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び式(I)のHMFエステルの総量についての上限は、式(II)のカルボン酸エステル中のそれらの最大溶解度によって決定される。
ステップ(A-2)において生じる混合物において、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び式(I)のHMFエステルの総量が、示した範囲の下限を下回ると、全プロセスを、効率よく、経済的な方法で実施することが困難になり得る。
ステップ(A-1)において調製又は用意される出発混合物中の、1種又は2種以上の炭水化物化合物の総重量が、出発混合物の総重量に基づいて、1〜70重量%の範囲、好ましくは、5〜60重量%の範囲、より好ましくは、10〜50重量%の範囲である、上記又は下記に記載する(又は好ましいものとして上記に記載した)本発明の方法が好ましい。
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中の、1種又は2種以上の炭水化物化合物の総量が、示した範囲の上限を上回ると、副生成物の形成がますます厄介になる。ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中の、1種又は2種以上の炭水化物化合物の総量が、示した範囲の下限を下回ると、全プロセスを、効率よく、経済的な方法で実施することが困難になり得る。
特に、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物がフルクトース及びグルコースを含む、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
フルクトース及びグルコースは、これらが単量体ヘキソースであって、したがって、例えば、ヘキソース単位を含むオリゴ糖又はヘキソース単位を含む多糖のように解重合する必要がないので、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中の好ましい炭水化物化合物である。
また、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物がNH4Clを含まない、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
NH4Clを本発明による方法において使用する場合、副生成物の形成、例えば、5-(クロロメチル)フルフラールの形成が観察される。
特に、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が任意のプロトン性塩化物の塩を含まない、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
プロトン性塩化物の塩は、上記のNH4Clの場合のように、しばしば、副生成物の形成を引き起こす不利益を有する。これは、副生成物の形成を引き起こし得、したがって、FDCAへの反応全体の収率を低下させ得る。
多くの場合において、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が任意のプロトン性の窒素含有カチオンを含まない、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
プロトン性の窒素含有カチオンは、上記のNH4Clの場合のように、しばしば、副生成物の形成を引き起こす不利益を有する。これは、副生成物の形成を引き起こし得、したがって、FDCAへの反応全体の収率を低下させ得る。
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が任意のプロトン性ハロゲン化物の塩を含まない、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
同様に、プロトン性塩化物の塩について説明したように、一般に、プロトン性ハロゲン化物の塩は、しばしば、副生成物の形成を引き起こす不利益を有する。これらの酸は、副生成物の形成を引き起こし、したがって、FDCAへの反応全体の収率を低下させる。
ステップ(A-2)において生じる混合物が、5-(クロロメチル)フルフラールを1重量%以上の量で含まない、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。好ましくは、ステップ(A-2)において生じる混合物は、少しの5-(クロロメチル)フルフラールも含まない。
当業者であれば、任意のプロトン性塩化物の塩の存在を制限又は回避することによって、好ましくは、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中の塩化物の存在を制限又は回避することによって、5-(クロロメチル)フルフラールの形成を制限又は回避する。本発明のステップ(A-2)のような反応条件の下、5-(クロロメチル)フルフラールは、HMFと反応して、HMFの二量体である(5,5'(オキシ-ビス(メチレン))ビス-2-フルフラール)を形成し、したがって、本発明のステップ(A-2)におけるHMF又は式(I)のHMFエステルの収率を減少させる。
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が、
出発混合物の総重量に基づいて、
35重量%未満の水、
好ましくは、20重量%未満の水、
より好ましくは、10重量%未満の水、
さらにより好ましくは、1重量%未満の水、
最も好ましくは、0.1重量%未満の水
を含む、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が少量の水のみを含む場合、前記式(II)のカルボン酸エステルを直接加水分解することによって消費され、したがって、上記で説明した先行技術のプロセスのような任意の不利な副反応を引き起こさず、有利である。
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が、50未満、好ましくは5未満、より好ましくは1未満の酸価を有する、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
本発明の方法において、酸をステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物に添加する必要はなく、したがって、これらの腐食性化合物の保管設備又は追加の操作は必要ではない。
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が、出発混合物の総重量に基づいて、総量で、少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも30重量%、より好ましくは、少なくとも50重量%の式(II)のカルボン酸エステルを含む、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在する水及び炭水化物化合物の量に応じて、少なくとも10重量%の式(II)のカルボン酸エステルが、ステップ(B-1)において(共)溶媒として使用することができる式(III)のカルボン酸を十分に生成するために、前記混合物中に存在しなければならない。
ステップ(A-2)において生じる混合物において、5-(ヒドロキシメチル)フルフラールの量と式(I)のHMFエステルの総量とのモル比率が、100〜0.001の範囲、好ましくは、50〜0.05の範囲、より好ましくは、10〜0.1の範囲である、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
当業者は、対応する反応条件を、例えば、少ない一連の予備実験によって、特定する。例えば、このような一連の予備実験において、当業者は、反応温度(及び/又は反応時間)を変更し、生じた生成物混合物中のHMFと式(I)のHMFエステルの総量との比率を測定する。
上記に記載した5-(ヒドロキシメチル)フルフラールの量と式(I)のHMFエステルの総量とのモル比率を有する、ステップ(A-2)において生じる混合物において、より少ない副生成物が、ステップ(B-1)における酸化反応において形成される。
ステップ(A-2)において、反応温度は、少なくとも10分間にわたって、
70℃〜300℃の範囲、
好ましくは、140℃〜260℃の範囲、
より好ましくは、160℃〜240℃の範囲、
さらにより好ましくは、185℃〜220℃の範囲であり、
及び/又は、
ステップ(A-2)において、反応温度は、
少なくとも10分間にわたって、
好ましくは、少なくとも30分間にわたって、
より好ましくは、少なくとも1時間にわたって、
185℃〜220℃の範囲である、
上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
水性媒体中でのグルコースの分解において、「5-HMFの最高収率は、30分内に32.0%に達する」こと(3.4項を参照)、及び「5-HMFが、ギ酸、レブリン酸及びフミン物質にさらに分解される」こと(「結論」項を参照)が、文献(Jing及びXiuyang、Chin. J. Chem. Eng.、16巻、6号、2008年、893頁)に報告されている。しかしながら、本発明による方法においては、たとえ、反応時間が、10分程度と短くても、水によって引き起こされる副反応は、低減又は防止される。
特に、前記より多くのアルコールR2-OHの、前記1種又は少なくとも1種、好ましくは、すべてが、
(i)25℃で少なくとも0.1kPa、好ましくは、25℃で少なくとも1kPa、より好ましくは、25℃で少なくとも3.2kPa、さらにより好ましくは、25℃で少なくとも4kPa、特により好ましくは、25℃で少なくとも5kPaの蒸気圧を有し、
並びに/又は、
(ii)
- メタノール(R2=CH3)、
- エタノール(R2=CH2CH3)、
- 1-プロパノール(R2=CH2CH2CH3)、
- 2-プロパノール(R2=CH(CH3)2
- 1-ブタノール(R2=CH2CH2CH3)、
- 2-ブタノール(R2=CH(CH3)CH2CH3)、
- 1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン(R2=CH2CH(CH3)2)、
- 2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン(R2=C(CH3)3)、
及び、
- 2-メトキシエタノール(R2=CH2CH2OCH3)
からなる群から選択される、
上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
上記の特定の態様において記載される特定のアルコールR2-OHは、それらの相対的に低い蒸気圧に起因して、ステップ(A-2)において生じる混合物から、特に好都合に分離される。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R2基は、式(II)の化合物及びアルコールR2-OH中で全く同じである。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR2基は、アルコールR2-OH中に存在する。
R1が、
(i)水素、
或いは、
(ii)15個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
より好ましくは、8個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
さらにより好ましくは、6個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の脂肪族基、
特により好ましくは、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、-C(CH3)3、-CH2CH2CH3又は-CH2CH2CH2CH3
最も好ましくは、-CH3である、
上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で全く同じである。
本発明の方法において、対応する式(III)のカルボン酸が、FDCAから、精製ステップ(例えば、蒸留ステップ)で、(例えば、蒸留手段によって)好都合に分離することができるので、この態様に従って定義されるR1の特定の意味が好ましい。我々は、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する本発明の好ましい方法に関する下記の説明を参照する。
多くの工業的な場合において、容易に入手可能であるので、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましい。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、上記の特定の態様において定義される、対応する特定の式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR1基は、式(III)のカルボン酸中に存在し、及び式(I)のHMFエステル中に存在する。
それに応じて、前記より多くの式(III)のカルボン酸
Figure 2018538361
の、前記1種又は少なくとも1種、好ましくはすべてが、
- ギ酸(R1=H);特定の工業的場合において好ましい、
- 酢酸(R1=CH3)、
- プロパン酸(R1=CH2CH3)、
- ブタン酸(R1=CH2CH2CH3)、
- 2-メチルプロパン酸(R1=CH(CH3)2)、
- 2,2-ジメチルプロパン酸(R1=C(CH3)3)、
及び、
- ペンタン酸(R1=CH2CH2CH2CH3)
からなる群から、好ましく選択され、
- 酢酸(R1=CH3)、
- プロパン酸(R1=CH2CH3)、
- ブタン酸(R1=CH2CH2CH3)、
- 2-メチルプロパン酸(R1=CH(CH3)2)、
- 2,2-ジメチルプロパン酸(R1=C(CH3)3)、
及び、
- ペンタン酸(R1=CH2CH2CH2CH3)
からなる群から、より好ましく選択され、
最も好ましくは、前記より多くの式(III)のカルボン酸の、前記1種又は少なくとも1種が、酢酸(R1=CH3)である。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で全く同じである。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR1基は、式(III)のカルボン酸中に存在し、及び式(I)のHMFエステル中に存在する。
多くの場合において、前記1種若しくは少なくとも1種、又は好ましくはすべての、前記より多くの式(II)のカルボン酸エステルにおいて、
- R1が、
(i)水素(特定の工業的場合において好ましい)、
或いは、
(ii)15個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
より好ましくは、8個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
さらにより好ましくは、6個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の脂肪族基であり、
及び、これらと独立して、
- R2が、
総数が10個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状のアルキル基、
好ましくは、総数が6個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状のアルキル基、
より好ましくは、メチル、エチル、プロパ-1-イル、プロパン-2-イル、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、ペンタン-1-イル、ペンタン-2-イル、ペンタン-3-イル、2-メチルプロパン-1-イル、2-メチルプロパン-2-イル、2-メチルブタン-1-イル、3-メチルブタン-1-イル、2-メチルブタン-2-イル、3-メチルブタン-2-イル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択される非置換アルキル基、
さらにより好ましくは、メチルである、
上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
いくつかの工業的な場合において、容易に入手可能であるので、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましい。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、上記の特定の態様において定義される、対応する特定の式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
この特定の態様について上記に定義される式(II)のカルボン酸エステルは、これらが容易に入手可能で、相対的に低い蒸気圧を有するので、好ましい。低い蒸気圧を有するこのような式(II)のカルボン酸エステルは、ステップ(A-2)後、ステップ(A-2)において生じる混合物から、例えば、蒸留手段によって、好都合に分離することができる。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で全く同じである。
同様に、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R2基は、式(II)の化合物及びアルコールR2-OH中で全く同じである。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR1基は、式(III)のカルボン酸中に存在し、及び式(I)のHMFエステル中に存在し、同様に、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR2基は、アルコールR2-OH中に存在する。
さらに、前記1種又は少なくとも1種、好ましくは、すべての、前記より多くの式(II)のカルボン酸エステルが、
ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択され、
好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択され、
より好ましくは、酢酸メチルである、
上記又は下記に記載する本発明の方法が、特に好ましい。
この特定の態様について上記に定義される式(II)のカルボン酸エステルは、これらが容易に入手可能で、相対的に低い蒸気圧を有するので、特に好ましい。低い蒸気圧を有するこのような式(II)のカルボン酸エステルは、ステップ(A-2)後、ステップ(A-2)において生じる混合物から、例えば、蒸留手段によって、好都合に分離することができる。
いくつかの工業的な場合において、容易に入手可能であるので、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましい。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、上記の特定の態様において定義される、対応する特定の式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で全く同じである。
同様に、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R2基は、式(II)の化合物及びアルコールR2-OH中で全く同じである。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR1基は、式(III)のカルボン酸中に存在し、及び式(I)のHMFエステル中に存在し、同様に、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR2基は、アルコールR2-OH中に存在する。
前記より多くの式(I)のHMFエステルの、前記1種又は少なくとも1種、好ましくはすべてが、5-(ホルムオキシメチル)フルフラール(R1は、水素である)又は5-(アセトキシメチル)フルフラール(R1は、メチルである)であり、好ましくは、5-(アセトキシメチル)フルフラール(R1は、メチルである)である、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
いくつかの工業的な場合において、容易に入手可能であるので、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中で、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましく、対応して、5-(ホルムオキシメチル)フルフラール(R1は、水素である)が、ステップ(A-2)において生成する、好ましい式(I)のHMFエステルである。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、上記の特定の態様において定義される、対応する特定の式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
5-(アセトキシメチル)フルフラールは、これが、HMFと同様の方法で、FDCAに好都合に酸化され得るので、好ましい式(I)のHMFエステルである。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で全く同じである。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR1基は、式(III)のカルボン酸中に存在し、及び式(I)のHMFエステル中に存在する。
ステップ(A-2)において、前記出発混合物が、加圧反応器中で前記反応条件に付され、反応器中の圧力が、少なくとも一時的に、1〜100barの範囲、好ましくは、1〜50barの範囲である、上記又は下記に記載する本発明の方法も好ましい。
ステップ(A-2)における前記出発混合物を前記反応条件に付すことにより、加圧反応器中のステップ(A-2)における混合物は、加圧反応器中でより高い反応温度に達することができ、したがって、反応が促進されるので、好ましい。
さらにまた、
ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在する前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と、
(i)ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在し、
並びに
(ii)ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される前記炭水化物化合物の反応によって、ステップ(A-2)において生成する、
水の総量とのモル比率が、1を超え、好ましくは、1.2を超える、
上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と、(i)中に存在し、及び(ii)において生成する水の総量とのモル比率が1を超える、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物は、すべての水が前記式(II)のカルボン酸エステルと反応するので、レブリン酸及びギ酸へのHMFの加水分解を防止又は少なくとも低減する。
ステップ(A-2)において生じる混合物が、非水性であるか、
又は、
ステップ(A-2)において生じる混合物において、前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分の総量と水とのモル比率が1を超える、
上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
好ましくは、ステップ(A-2)において生じる非水性の混合物は、混合物の総重量に基づいて、0.1重量%未満の水を含む。
前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分の総量と、水の総量とのモル比率が1を超える、ステップ(A-2)において生じる混合物は、すべての水((i)中に存在し、及び(ii)において生成する)が、前記式(II)のカルボン酸エステルとさらに反応するので、レブリン酸及びギ酸へのHMFの加水分解を防止又は低減する。また、ステップ(A-2)後の残りの部分は、ステップ(A-1)中のように、出発混合物を調製するために使用することができる。
ステップ(A-1)において調製又は用意された前記出発混合物が水を含み、(前記出発混合物において)前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と水とのモル比率が、3を超え、好ましくは5を超える、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と水とのモル比率が1を超える、ステップ(A-1)において調製又は用意された水性の出発混合物は、すべての存在する水が前記式(II)のカルボン酸エステルとさらに反応するので、レブリン酸及びギ酸へのHMFの加水分解を防止又は低減する。
好ましくは、上記又は下記に記載する本発明の方法は、ステップ(A-1)において調製又は用意された前記出発混合物が水を含み、
前記出発混合物において、
前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と、
(i)水の総量、
並びに、
(ii)ヘキソース及びヘキソース単位の総量の3倍
の合計とのモル比率が、1を超え、好ましくは、1.2を超える、方法である。
脱水ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物において、ヘキソース単位当たり、3個の水分子が生成する。したがって、(i)存在する水及び(ii)インサイチュで生成されるすべての水が、前記式(II)のカルボン酸エステルとさらに反応する場合、HMFのレブリン酸及びギ酸への加水分解のみ、防止することができる。
以下のステップ:
ステップ(A-1)において、
- ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、前記1種又は2種以上の炭水化物化合物を含む、水性供給混合物を、
- 前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルと、
混合することによって、前記出発混合物を調製するステップ
を含む、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
炭水化物化合物を含む混合物は、典型的には、水性である。炭水化物化合物を含む前記混合物中に含有される水が、先行技術のプロセスについて上記で記載したような不利な副反応を引き起こし得るので、前記水は、炭水化物化合物を含む前記混合物から分離しなければならない。したがって、本発明の成果は、どんな不利益も生じることがなく、水性の出発混合物が、ステップ(A-1)において用意又は調製することができること、及びステップ(A-2)における反応条件に付すことができることである。
前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルが、シュウ酸エチル、マレイン酸エチル、レブリン酸エチル、シュウ酸メチル、マレイン酸メチル又はレブリン酸メチルではない、上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
さらにまた、調製又は用意された出発混合物が、ハロゲン化アルカリ、好ましくは、ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化リチウムであり、より好ましくは、
- LiCl、
- LiBr、
- NaCl
及び、
- NaBr
からなる群から選択される、触媒的有効量の1種又は2種以上の触媒を含む、
上記又は下記に記載する本発明の方法が好ましい。
触媒の好ましい触媒的有効量は、ステップ(A-2)の反応混合物中の、前記1種又は2種以上の炭水化物化合物の総重量に基づいて、重量で、前記触媒の総量が20ppm以上である。
上記に記載するハロゲン化アルカリはHMFの形成を触媒し、触媒としてNH4Clを使用する場合に観察されるような副生成物の形成(例えば、5-(クロロメチル)フルフラール又はフルフラール)をもたらさない。
ステップ(A-1)において調製又は用意された前記出発混合物中に存在する
前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステル
Figure 2018538361
が、1種以上の式(III)のカルボン酸
Figure 2018538361
と、1種以上のアルコールR2-OHとのエステル化によって、別の反応器中で調製され、
エステル化において使用される、前記1種以上の式(III)のカルボン酸又はそれらの一部が、ステップ(A-2)において得られ、
及び/或いは、
エステル化において使用される、前記1種以上のアルコールR2-OH又はそれらの一部が、ステップ(A-2)において得られる、
上記又は下記に記載する本発明による方法が特に好ましい。
「エステル化」という用語は、式(III)のカルボン酸とアルコールR2-OHの間の反応を引き起こして、式(II)のカルボン酸エステルを与えるのに適切な反応条件を示す。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で全く同じである。
同様に、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R2基は、式(II)の化合物及びアルコールR2-OH中で全く同じである。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR1基は、式(III)のカルボン酸中に存在し、及び式(I)のHMFエステル中に存在し、同様に、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR2基は、アルコールR2-OH中に存在する。
上記の本発明の特定の態様における「別の反応器中」という用語は、1種以上の式(II)のカルボン酸エステルへの、1種以上の式(III)のカルボン酸と、1種以上のアルコールR2-OHとのエステル化が、ステップ(A-2)の反応が実施される同じ反応器内で実施されずに、別の反応器中で実施されることを示す。
上述のように、本発明は、前記方法がステップ(B-1)を含む、上記に記載するフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法に関する。
ステップ(B-1)において、追加の処理ステップによってステップ(A-2)において生じる前記混合物から得られた、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は1種以上の式(I)のHMFエステルを含む混合物が酸化条件に付される場合、前記追加の処理ステップは、好ましくは、固体粒子、例えば、フミンを、液相から分離するために、ステップ(A-2)において生じる混合物をろ過するステップを含む。
本発明の成果は、ステップ(B-1)における酸化反応のための(共)溶媒が、前のステップ(A-2)において生成することである。したがって、典型的には、ステップ(A-2)及びステップ(B-1)の間に、追加の溶媒は、添加されないか、又はステップ(A-2)後に混合物中に存在する式(III)のカルボン酸の質量よりも少ない質量の溶媒のみが添加される。さらに、ステップ(B-1)における酸化反応のための溶媒のための、より正確には、酸性溶媒のための高価な保管設備は、本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法においては、必要ではない。
特に、前記追加の処理ステップが、
(A-3)ステップ(A-2)において生じる前記混合物から、蒸留によって、
- 1種以上のアルコールR2-OHの少なくとも一部、
及び/又は、
- 前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分の少なくとも一部、
を分離するステップ
を含む、上記又は下記に記載する本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法が好ましい。
前記追加の処理ステップが、
(A-3-a)ステップ(A-2)において生じる前記混合物から、蒸留によって、
- 前記1種以上のアルコールR2-OHの総重量の、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも90重量%、より好ましくは、少なくとも99重量%、
及び/又は、
- 前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分の総重量の、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも90重量%、より好ましくは、少なくとも99重量%、
を分離するステップ
を含む、本明細書の上記又は下記に記載する本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法も好ましい。
ステップ(A-2)において生じる前記混合物から、1種以上のアルコールR2-OHの一部、及び前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分の一部を蒸留する場合、式(III)のカルボン酸が残り、ステップ(B-1)における主たる溶媒として使用することができる。これらは、FDCAへの酸化のための好ましい(共)溶媒であり、ステップ(B-1)におけるFDCAの収率の増加をもたらす。
ステップ(A-1)において調製又は用意された前記出発混合物中に存在する前記1種以上の式(II)
Figure 2018538361
のカルボン酸エステルが、1種以上の式(III)
Figure 2018538361
のカルボン酸と、1種以上のアルコールR2-OHとのエステル化によって、別の反応器中で調製され、
エステル化において使用される前記1種以上の式(III)のカルボン酸又はそれらの一部が、ステップ(B-1)から生じる生成物の混合物から再利用され、
及び/或いは
エステル化において使用される前記1種以上のアルコールR2-OH又はそれらの一部が、ステップ(A-3)又は(A-3-a)の蒸留物から再利用される、
上記又は下記で記載する本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法が好ましい。
上述のように、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R1基は、式(I)、(II)及び(III)の化合物中で全く同じである。
同様に、本発明のこの特定の態様において、及び好ましい実施形態又は特徴に関するすべての対応する言及において、R2基は、式(II)の化合物及びアルコールR2-OH中で全く同じである。
本発明の方法の固有の化学に起因して、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR1基は、式(III)のカルボン酸中に存在し、及び式(I)のHMFエステル中に存在し、同様に、ステップ(A-2)の生じる混合物中の式(II)のカルボン酸エステル中に提供されるR2基は、アルコールR2-OH中に存在する。
「から再利用される」という用語は、例えば、本明細書の上記に記載する混合物からの蒸留による分離、続いて、蒸留物を、上流のプロセスのステップ、例えば、ステップ(A-1)における出発混合物の調製に再供給することを示す。
「蒸留物」という用語は、例えば、ステップ(A-2)において生じる混合物から、蒸留手段によって、混合物から蒸発した物質の量を示す。
上記の本発明の特定の態様における「別の反応器中」という用語は、1種以上の式(II)のカルボン酸エステルへの、1種以上の式(III)のカルボン酸と、1種以上のアルコールR2-OHとのエステル化が、ステップ(A-2)の反応又はステップ(B-1)の酸化反応が実施される同じ反応器内で実施されないが、別の反応器中で実施されることを示す。
ステップ(A-3)又は(A-3-a)の蒸留物から再利用された式(II)のカルボン酸エステル及びアルコールR2-OH、並びにステップ(B-1)から生じる生成物の混合物から再利用された式(III)のカルボン酸を再使用することによって、ステップ(A-1)における出発混合物を調製するために使用することができる、式(II)のカルボン酸エステルを主に含む混合物が調製される。それとともに、廃棄物の量が減少する。
さらにまた、ステップ(A-2)において得られた、前記1種以上の式(III)
Figure 2018538361
のカルボン酸の総量の少なくとも90重量%が、ステップ(B-1)において酸化条件に付される混合物中に存在する、上記又は下記で記載する本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法が好ましい。
ステップ(A-2)において得られた前記1種以上の式(III)のカルボン酸の総量の90重量%をステップ(B-1)において酸化条件に付される混合物中に存在させることによって、式(III)のカルボン酸は、ステップ(B-1)のための関連のある(共)溶媒として使用される。式(II)のカルボン酸は、FDCAへの酸化のための好ましい溶媒であり、ステップ(B-1)におけるFDCAの収率の増加をもたらす。
また、ステップ(A-2)及び(B-1)の間に、
(i)溶媒を変更するステップが存在しないか、
或いは
(ii)式(III)のカルボン酸を除去しないが、追加の量の1種又は2種以上の式(III)のカルボン酸を添加し、好ましくは、前記1種又は2種以上の式(III)のカルボン酸の少なくとも1種が、ギ酸及び酢酸からなる群から選択され、好ましくは、前記1種又は2種以上の式(III)のカルボン酸の1種が、酢酸である、
上記又は下記で記載する本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法が好ましい。
ステップ(A-2)において、溶媒として式(II)のカルボン酸エステルを使用することによって、式(III)のカルボン酸が形成され、これは、酸化ステップ(B-1)における非常に良好な溶媒としての役割を果たす。したがって、さらなる種類の溶媒を添加する必要がなく、先行技術において公知のプロセスと比較して、反応器の配置の複雑さが低減される。したがって、好ましくは、本発明の方法において(特に、好ましいものとして上記に記載した方法において)、1種以上の特定の式(III)のカルボン酸がステップ(A-2)において形成され、ステップ(A-2)及び(B-1)の間に、前記特定の式(III)のカルボン酸は除去されないが、いくつかの好ましい場合において、前記特定の式(III)のカルボン酸の追加の量が、ステップ(A-2)及び(B-1)の間で添加され、好ましくは、他の有機酸、より好ましくは、他の有機化合物は添加されず、好ましくは、水は添加されない。したがって、ステップ(B-1)において使用される溶媒又は溶媒混合物の化学組成は、加水分解されて、前記1種以上の式(III)のカルボン酸をそれぞれ与える、前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルによって、意義深く決定される。
溶媒の変更ステップが、ステップ(A-2)及び(B-1)の間で全く実施されない場合、先行技術において公知のプロセスと比較して、反応器の配置の複雑さが低減される。
ステップ(B-1)において酸化条件に付された前記混合物が、
- コバルト、
- マンガン、
- セリウム、
- ジルコニウム、
及び、
- 臭化物
からなる群から選択される、1種、2種又はすべての物質を含む、上記又は下記に記載する本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法も好ましい。
上記に記載した物質は、HMF及び/又は式(I)のHMFエステルのFDCAへの変換を加速する。さらに適切な触媒は、文献に開示されており、例えば、「Methodology and scope of metal/bromide autoxidation of hydrocarbons」、Catalysis Today、23巻(1995年)、69〜158頁を参照のこと。
ステップ(B-1)において生じる生成物の混合物中の前記1種以上の式(III)のカルボン酸の総量と、ステップ(B-1)において酸化条件に付される混合物中の前記1種以上の式(III)のカルボン酸の総量の質量比が、>0.85、好ましくは、>0.9、より好ましくは、>0.99である、上記又は下記に記載する本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法が好ましい。実際には、前記質量比は、ステップ(B-1)において選択された酸化条件に従属する。好ましくは、条件は、酸化条件に付される混合物中の溶媒として存在する前記式(III)のカルボン酸が酸化されないように選択される。実際には、当業者は、日常の実験によって、前記式(III)のカルボン酸が同時に酸化することがなく、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は1種以上の式(I)のHMFエステルの酸化を可能にする、温和な条件を特定するだろう。
ステップ(B-1)において生じる生成物の混合物中に残留するより多くの式(III)のカルボン酸は、再利用することができ、本発明による方法をより効果的及び環境に優しいものにする。
好ましくは、ステップ(A-2)において生じる混合物中に存在する前記1種以上の式(III)のカルボン酸が、総量で、少なくとも90重量%で、及び、好ましくは、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する本発明の方法のステップ(B-1)において酸化条件に付される混合物中に存在する前記1種以上の式(III)のカルボン酸が、総量で、少なくとも90重量%で、フラン-2,5-ジカルボン酸及び1種以上の式(III)のカルボン酸を含む、ステップ(B-1)から生じる生成物の混合物中に存在する。当業者は、前記1種以上の式(III)のカルボン酸よりもむしろ、HMF及び式(I)のHMFエステルを選択的に酸化するために、ステップ(B-1)における酸化条件、特に、ステップ(B-1)において、典型的に使用される酸化触媒(上記を参照)を選択する。
本発明は、式(II)
Figure 2018538361
(式中、前記式(II)のカルボン酸エステルのそれぞれにおいて、
- R1は、
(i)水素、
或いは、
(ii)総数が21個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状の、飽和又は不飽和又は芳香族の炭化水素基であり、
及び、
- R2は、総数が10個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基である)
のカルボン酸エステルの、上記に記載する炭化水素化合物からフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法における、
- 前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒として、
及び、
- 脱水剤としての、
使用にも関する。
式(II)のカルボン酸エステルの、上記に記載する炭水化物化合物から5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び式(I)
Figure 2018538361
(式中、R1は、
(i)水素、
或いは、
(ii)総数が21個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状の、飽和又は不飽和又は芳香族の炭化水素基である)
のHMFエステルを調製する方法における、
- 前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒として、
及び、
- 脱水剤としての、
対応する使用も本明細書に開示する。
通常、本発明による、HMF又は1種以上の式(I)のHMFエステルを含む混合物を調製する方法及びフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法の文脈において、本明細書の上記で説明したすべての態様及び定義は、式(II)のカルボン酸エステルの使用に準用される。同様に、本明細書の上記又は下記で説明する式(II)のカルボン酸エステルの本発明の使用のすべての態様は、本発明によるHMF及び1種以上の式(I)のHMFエステルを含む混合物を調製する方法及びフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法に準用される。
上述のように、多くの工業的な場合において、容易に入手可能であるので、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましい。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、対応する式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
HMFは、全体の反応スキームにおいて、式(I)のHMFエステルにエステル化されるので、式(II)のカルボン酸エステルはエステル化剤としても働く。したがって、本発明によれば、式(II)のカルボン酸エステルは、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び式(I)のHMFエステルを調製する方法において、及びフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する本発明の方法において、HMFのためのエステル化剤として使用することもできる。
R1が、
(i)水素(特定の工業的場合において好ましい)、
或いは、
(ii)15個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
より好ましくは、8個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
さらにより好ましくは、6個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の脂肪族基、
特により好ましくは、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)CH3、-C(CH3)3、-CH2CH2CH3又は-CH2CH2CH2CH3
最も好ましくは、-CH3であり、
並びに/又は、
- R2が、
総数が10個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状のアルキル基、
好ましくは、総数が6個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状のアルキル基、
より好ましくは、メチル、エチル、プロパ-1-イル、プロパン-2-イル、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、ペンタン-1-イル、ペンタン-2-イル、ペンタン-3-イル、2-メチルプロパン-1-イル、2-メチルプロパン-2-イル、2-メチルブタン-1-イル、3-メチルブタン-1-イル、2-メチルブタン-2-イル、3-メチルブタン-2-イル、シクロペンチル及びシクロヘキシルからなる群から選択される非置換アルキル基、
さらにより好ましくは、メチルである、
式(II)のカルボン酸エステルの使用が好ましい。
上述のように、いくつかの工業的な場合において、容易に入手可能であるので、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましい。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、上記の特定の態様において記載される、対応する特定の式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
前記1種又は少なくとも1種、好ましくはすべての、前記より多くの式(II)のカルボン酸エステルが、
ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択され、
好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択され、
より好ましくは、酢酸メチルである、
式(II)のカルボン酸エステルの使用が特に好ましい。
上述のように、いくつかの工業的な場合において、容易に入手可能であるので、式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキル(選択肢(i)に関して、R1=Hを意味する)を使用することが好ましい。しかしながら、他の場合において、R1が、本明細書の上記又は下記に定義される炭化水素基である場合(選択肢(ii)に関して)、上記の特定の態様において定義される、対応する特定の式(II)のカルボン酸エステルが、前記の式R2-O-C(=O)Hのギ酸アルキルより好ましい。
本明細書の以下で、本発明を、添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
図1: 図1は、本発明の例示的な方法において起こる典型的な反応の概略図である。
図1において、「フルクトース/グルコース」という用語は、方法のステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在する、前記「ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、1種又は2種以上の炭水化物化合物」の例を指すために使用される。
「MeOAc」は、酢酸メチルを示し、それに応じて、ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在する、前記「1種以上の式(II)のカルボン酸エステル」の例を示す。
図1に表される第1の反応によれば、フルクトース/グルコースは、HMFが形成するような反応条件に付される。MeOAcは、図1の第1の反応によれば、フルクトース/グルコースのための溶媒である。フルクトース/グルコースがHMFに変換されると、3当量の水が生成する。
図1に表される第2の反応によれば、MeOAcは、水(例えば、HMFへのフルクトース/グルコースの反応によって生成する水)と反応し、その結果、酢酸及びメタノール(MeOH)が形成される。
図1に表される第3の反応によれば、HMFは、酢酸(AcOH)と反応して、対応するHMFエステル(アセチル化HMF;すなわち、R1=CH3である、式(I)のHMFエステル)を与える。
まとめると、フルクトース/グルコース及びMeOAc(溶媒として、及び反応パートナーとしての両方の役割を果たす)が反応して、アセチル化HMF(式(I)のHMFエステルの例として)、並びにメタノール(アルコールR2-OHの例として)及び酢酸(AcOH;式(III)のカルボン酸の例として)を与える。さらにまた、3当量の水が生成する。典型的には、フルクトース/グルコースの脱水によって生成するHMFは、典型的な状況では酢酸と定量的に反応しないので、反応生成物の混合物は、HMFも含む。
フルクトース/グルコース及びMeOAcは、本発明のステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物の化合物であると考えられる。
HMF、HMFエステル(アセチル化HMF)、酢酸及びメタノール、並びにMeOAcの残りの部分は、方法のステップ(A-2)において生じる混合物の成分として考えられる。概略図である図1において、多くの量のMeOAcが反応するので、MeOAcは、示されたいずれの反応の右側にも表されていない。
図2:図2は、本発明の方法において実施される、典型的な(例示的な)方法のステップの概略図である。
図2において、「糖」という用語は、方法のステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在する、前記「ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、1種又は2種以上の炭水化物化合物」の例を示すために使用される。
糖は、MeOAc(酢酸メチル(式(II)のカルボン酸エステルの例として))と共に用意される脱水反応器中で、最初に脱水される。脱水反応器中で、HMF及び/又は5-(アセトキシメチル)フルフラール(AMF、式(I)のHMFエステルの例として)、メタノール(アルコールR2-OHの例として)、酢酸(式(III)のカルボン酸の例として)、並びに酢酸メチルの残りの部分を含む混合物が生じる。
生じる混合物(本発明によるステップ(A-2)において生じる混合物に対応する)は、続いて、酢酸メチル及びメタノールを除去するために、蒸留される。
混合物からのメタノール及び酢酸メチルの分離後、残留化合物は、
(i)酢酸、
並びに、
(ii)HMF及び/又はAMF
を含み、
前記混合物に、
(iii)追加の酢酸
を、必要に応じて、添加してもよい(図2には示さない)。
その後、(i)酢酸、並びに(ii)HMF及び/又はAMF、並びに(iii)場合により、追加の酢酸を含む前記混合物は、FDCA及び酢酸を含む生成物の混合物を得るために、(ステップ(B-1)による)酸化条件に付される。
最後の精製ステップにおいて、FDCAは、ステップ(B-1)における酸化反応後に残留した酢酸から分離される。
分離された酢酸は、続いて、酸化の前の蒸留ステップにおいて酢酸メチルと一緒に分離されたメタノールとの反応によって酢酸メチルにエステル化される。前記エステル化ステップにおいて、水が共生成物として形成され、廃棄される。生じる混合物は、酢酸エチルを主に含み、脱水反応器に再利用される。
したがって、図2における全体のプロセスのスキームにおいて、全体のプロセスにおいてかなりの量で生成する水を唯一の関連する副生成物として、糖は精製FDCAに変換される。
本明細書の下記で、本発明を、実施例によって、より詳細に記載する。
定量方法:
GCによる定量:
生成物の定量を、7693オートサンプラー及び5973 MSD(カラム:60m×0.25mm×1.4μmの寸法を有するVF624ms)を有する、Agilent Technologies 6890N GCを用いるGC分析によって行った。
異なるGCの設定パラメーターは、以下の通りである。注入量:1μL、注入口:200℃、スプリット:60:1、流速:0.8ml/分の定速、オーブン:開始温度50℃;3℃/分で、300℃まで、7分間維持。
実験1〜24:反応パラメーターのスクリーニング
スクリーニング実験1〜24の実験手順
スクリーニングを、「実験1」〜「実験24」で表す、一連の1つの実験で行った。
それぞれ1つの実験「1」〜「24」において、本発明による1種以上の炭水化物化合物は、少なくとも部分的に、酢酸メチル(MeOAc、本発明による式(II)のカルボン酸エステルの例として使用された溶媒)中で、HMF及び5-(アセトキシメチル)フルフラール(本発明による式(I)のカルボン酸エステルの例として)に変換された。
それぞれのスクリーニング実験「1」〜「24」についての、一般的な実験手順は、以下の通りであった。
第1のステップにおいて(本発明による方法のステップ(A-1)の例として)、出発混合物を、
スチールのオートクレーブ反応器(内部容積300mL)内に、
- 60gの酢酸メチル、
- 特定の量のフルクトース(下記の、表1中の実験1〜12、及び表3中の実験21〜24を参照)、又は少なくとも66.5重量%のフルクトースといくらかのグルコースを有する水性フルクトースシロップ(下記の、表2中の実験13〜20を参照)、
及び、
- 触媒(「添加物」としても表され、実験9〜13及び15〜20についてのみ)
を満たすことによって調製した。
フルクトース又はフルクトースシロップの量は、
フルクトース:3.0〜12.0g(下記の表1を参照);
フルクトースシロップ:6.0〜38.0g(下記の表2を参照);
の範囲であった。
第2のステップにおいて(本発明による方法のステップ(A-2)の例として)、満たされたスチールのオートクレーブ反応器をきつく密閉し、窒素で加圧し(全圧50bar)、スチールのオートクレーブ反応器内の反応混合物を、1000rpmで撹拌しながら、100〜240℃の温度(下記の表1、表2及び表3を参照)に加熱した。相当する反応温度に達した後、加熱及び加圧されたスチールのオートクレーブ反応器内部の反応混合物の撹拌を継続しながら、反応温度を1〜40時間(下記の表1、表2及び表3を参照)維持した。
続いて、スチールのオートクレーブ反応器を、
(i)室温(約22℃)まで放冷し、
(ii)圧力を解放し、
及び、
(iii)スチールのオートクレーブ反応器を開けた。
さらなる分析のために、HMF、5-(アセトキシメチル)フルフラール、酢酸、メタノール及び最初に添加した60gのMeOAcの残りの部分を含む生じた混合物の1mLを、前記反応生成物を定量するためのGC分析に付した。
収率:
HMF収率[%]=nHMF/nフルクトース
AMF収率[%]=nAMF/nフルクトース
Di-HMF収率[%]=(nDi-HMF×2)/nフルクトース
フルフラール収率[%]=nフルフラール/nフルクトース
全収率[%]=HMF収率[%]+AMF収率[%]+Di-HMF収率[%]
他に指示がない限り、モル量及び対応する収率は、GCデータに基づいて計算される。
本発明による上記に記載したスクリーニング実験(1〜23)の実験結果:
表1及び表2において、上記に記載したスクリーニング実験1〜23のそれぞれ1つの実験の、反応時間、反応温度、使用した触媒の種類及び量、フルクトースの初期量(表1)又はフルクトースシロップの初期量(表2)のそれぞれ、HMF収率、AMF収率、di-HMF収率、フルフラール収率並びに全収率を示す。
Figure 2018538361
実験1〜8と、実験9〜12の全収率を比較すると、触媒としてLiCl又はNaClを用いる反応は、全収率が増加したことが分かる。したがって、触媒としてLiCl又はNaClを使用することが好ましい。
実験1及び2の間の比較は、反応の時間を増加させると、より多くのAMFが生成することを示す。したがって、より長い反応の時間は、より多くのAMFを得るために好ましい。
一定の反応時間及び一定の反応温度で、フルクトースの初期量を3gから12gに変化させると、全収率が増加する(実験2〜4を参照)。したがって、20重量%までの出発混合物中のフルクトースの量が、全収率を増加させるために好ましい。
実験6〜8において、残りのパラメーターを一定に保ったまま、反応温度を180℃から140℃に低下させる。結果として、AMF収率が(180℃で)19.9%まで増加する。結果として、反応温度の上昇とともに、HMFとAMFの比率は減少する。したがって、高い反応温度が好ましい。
実験9〜12において、3種の異なる触媒を出発混合物に添加した。LiCl及びNaCl(実験10及び11)を、触媒として使用する場合、全収率は増加したが、代わりにFeCl3(実験10対13)を使用すると、全収率は減少した。したがって、ハロゲン化アルカリは、他の金属ハロゲン化物よりも好ましい。
Figure 2018538361
実験13(触媒としてNaClを用いる)の全収率と、実験14(触媒なし)の全収率を比較すると、全収率及び選択性の顕著な増加が観察された。
実験15〜17において、7.9gの一定のフルクトースの初期濃度、及び200℃の一定の反応温度で、反応時間を1時間から4時間に変化させる。反応時間の増加とともに、50.2%から59.3%までの全収率の増加が測定された。したがって、触媒を使用する場合、より長い反応の時間が好ましい。
実験17〜20において、4時間の一定の反応温度及び200℃の一定の反応温度で、フルクトースの初期濃度を3.7gから32.3gに変化させる。3.7gに代えて7.9gを使用する場合、全収率が59.3%に増加する。しかしながら、フルクトースの初期濃度を32.3gまでさらに増加させると、全収率は31.0%に減少する。したがって、ステップ(A-1)における出発混合物中のフルクトースの量は10〜20重量%が好ましい。
実験21〜24:反応時間及び反応温度の具体的な効果
生じる混合物中のHMF/AMFのモル比率に対する、炭水化物化合物の脱水ステップ(本発明のステップ(A-2)として)における反応時間及び反応温度の効果を調べるために、実験21〜24を異なる温度及び/又は異なる反応時間で実施した(表3を参照)。
Figure 2018538361
実験21〜24の結果は、HMF/AMFのモル比率は、他は同一の反応条件を使用する場合、反応時間及び反応温度を選択することによって、調整することができることを示す。それぞれ、200℃及び240℃の温度を使用する場合、HMF/AMFのモル比率は、160℃の反応温度よりも顕著に低下する(実験1、3、4対実験2を参照)。実験1及び3の比較は、同じ200℃の温度で、反応の時間が増加すると、HMF/AMFのモル比率が、減少することを示す。したがって、低いHMF/AMFのモル比率に達するためには、160℃〜240℃の範囲の反応温度を使用することが好ましい。

Claims (15)

  1. フラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法であって、
    該方法は、以下のステップ:
    (A-1)ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、1種又は2種以上の炭水化物化合物、
    並びに、前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒として、一定量の1種以上の式(II)
    Figure 2018538361
    (式中、前記式(II)のカルボン酸エステルのそれぞれにおいて、
    - R1は、式(I)について上記で定義されたものと同じであり、
    - R2は、総数が10個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基である)
    のカルボン酸エステルを含む、出発混合物を調製又は用意するステップ、
    (A-2)前記出発混合物を、
    少なくとも1種の、前記1種又は2種以上の炭水化物化合物が反応し、
    及び、
    前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の一部分が加水分解される
    ような反応条件に付して、これにより、
    - 5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は前記1種以上の式(I)
    Figure 2018538361
    (式中、前記式(I)のHMFエステルのそれぞれにおいて、互いに独立して、R1は、
    (i)水素、
    或いは、
    (ii)総数が21個以下の炭素原子を有する、置換されている又は非置換の、分枝状又は直鎖状の、飽和又は不飽和又は芳香族の炭化水素基である)
    のHMFエステル、
    - 1種以上の式(III)
    Figure 2018538361
    (式中、R1は、式(I)について上記で定義されたものと同じである)
    のカルボン酸、
    - 1種以上のアルコールR2-OH(式中、R2は、式(II)について上記で定義されたものと同じである)、
    並びに、
    - 前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分
    を含む混合物が生じるステップ、
    (B-1)
    - ステップ(A-2)において生じる前記混合物、
    或いは、
    - 追加の処理ステップによって、ステップ(A-2)において生じる前記混合物から得られた、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び/又は1種以上の式(I)のHMFエステルを含む混合物
    を、フラン-2,5-ジカルボン酸及び1種以上の式(III)のカルボン酸を含む生成物の混合物が生じるような酸化条件に付すステップ
    を含む方法。
  2. ステップ(A-2)において生じる混合物において、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール及び式(I)のHMFエステルの総量が、ステップ(A-2)において生じる混合物の総重量に基づいて、0.5〜50重量%の範囲、好ましくは、1〜40重量%の範囲、より好ましくは、5〜30重量%の範囲であり、並びに/或いは、
    ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中の、1種又は2種以上の炭水化物化合物の総重量が、出発混合物の総重量に基づいて、1〜70重量%の範囲、好ましくは、5〜60重量%の範囲、より好ましくは、10〜50重量%の範囲である、
    請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物が、フルクトース及びグルコースを含み、並びに/又は、
    出発混合物の総重量に基づいて、35重量%未満の水、好ましくは、20重量%未満の水、より好ましくは、10重量%未満の水、さらにより好ましくは、1重量%未満の水、最も好ましくは、0.1重量%未満の水を含み、並びに/又は、
    50未満、好ましくは、5未満、より好ましくは、1未満の酸価を有し、並びに/或いは、
    出発混合物の総重量に基づいて、総量で、少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも30重量%、より好ましくは、少なくとも50重量%の式(II)のカルボン酸エステルを含む、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップ(A-2)において生じる混合物において、5-(ヒドロキシメチル)フルフラールの量と、式(I)のHMFエステルの総量とのモル比率が、100〜0.001の範囲、好ましくは、50〜0.05の範囲、より好ましくは、10〜0.1の範囲であり、及び/又は、
    ステップ(A-2)において、反応温度が、少なくとも10分間にわたって、70℃〜300℃の範囲、好ましくは、140℃〜260℃の範囲、より好ましくは、160℃〜240℃の範囲、さらにより好ましくは、185℃〜220℃の範囲であり、及び/又は、
    ステップ(A-2)において、反応温度が、少なくとも10分間にわたって、好ましくは、少なくとも30分間にわたって、より好ましくは、少なくとも1時間にわたって、185℃〜220℃の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記1種又は少なくとも1種の、前記より多くのアルコールR2-OHが、
    (i)25℃で少なくとも0.1kPa、好ましくは、25℃で少なくとも1kPa、より好ましくは、25℃で少なくとも3.2kPa、さらにより好ましくは、25℃で少なくとも4kPa、特により好ましくは、25℃で少なくとも5kPaの蒸気圧を有し、並びに/又は、
    (ii)
    - メタノール、
    - エタノール、
    - 1-プロパノール、
    - 2-プロパノール、
    - 1-ブタノール、
    - 2-ブタノール、
    - 1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン、
    - 2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン、
    及び、
    - 2-メトキシエタノール
    からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. R1が、
    (i)水素、
    或いは、
    (ii)15個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
    より好ましくは、8個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の炭化水素基、
    さらにより好ましくは、6個以下の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状の脂肪族基、
    特により好ましくは、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、-C(CH3)3、-CH2CH2CH3又は-CH2CH2CH2CH3
    最も好ましくは、-CH3である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記1種又は少なくとも1種の、前記より多くの式(II)のカルボン酸エステルが、
    ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択され、
    好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルからなる群から選択され、
    より好ましくは、酢酸メチルである、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在する前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と、
    (i)ステップ(A-1)において調製又は用意された出発混合物中に存在し、
    並びに、
    (ii)ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される、前記炭水化物化合物の反応によって、ステップ(A-2)において生成する、
    水の総量とのモル比率が、1を超え、好ましくは、1.2を超える、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ステップ(A-1)において調製又は用意された前記出発混合物が水を含み、
    前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と、水とのモル比率が、3を超え、好ましくは、5を超え、並びに/或いは、
    ステップ(A-1)において調製又は用意された前記出発混合物が水を含み、
    前記出発混合物において、
    前記式(II)のカルボン酸エステルの総量と、
    (i)水の総量、
    並びに、
    (ii)ヘキソース及びヘキソース単位の総量の3倍
    の合計とのモル比率が、1を超え、好ましくは、1.2を超える、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 調製又は用意された出発混合物が、ハロゲン化アルカリ、好ましくは、ハロゲン化ナトリウム又はハロゲン化リチウムであり、より好ましくは、
    - LiCl、
    - LiBr、
    - NaCl、
    及び、
    - NaBr
    からなる群から選択される、触媒的有効量の1種又は2種以上の触媒を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. ステップ(A-1)において調製又は用意された前記出発混合物中に存在する、前記1種以上の式(II)
    Figure 2018538361
    のカルボン酸エステルが、1種以上の式(III)
    Figure 2018538361
    のカルボン酸と、1種以上のアルコールR2-OHとのエステル化によって、別の反応器中で調製され、
    エステル化において使用される前記1種以上の式(III)のカルボン酸又はそれらの一部が、ステップ(A-2)において得られ、及び/或いは、
    エステル化において使用される、前記1種以上のアルコールR2-OH又はそれらの一部が、ステップ(A-2)において得られる、
    請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記追加の処理ステップが
    (A-3)ステップ(A-2)において生じる前記混合物から、蒸留によって、
    - 1種以上のアルコールR2-OHの少なくとも一部、
    及び/又は、
    - 前記1種以上の式(II)のカルボン酸エステルの量の残りの部分の少なくとも一部、
    を分離するステップを含む、
    請求項1から11のいずれか一項に記載のフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法。
  13. ステップ(A-2)において得られた、前記1種以上の式(III)
    Figure 2018538361
    のカルボン酸の総量の少なくとも90重量%が、ステップ(B-1)において酸化条件に付される混合物中に存在し、並びに/或いは、
    ステップ(A-2)及び(B-1)の間で、
    (i)溶媒を変更するステップが存在しないか、
    或いは、
    (ii)式(III)のカルボン酸を除去しないが、追加の量の1種又は2種以上の式(III)のカルボン酸を添加し、好ましくは、前記1種又は2種以上の式(III)のカルボン酸の少なくとも1種が、ギ酸及び酢酸からなる群から選択され、好ましくは、前記1種又は2種以上の式(III)のカルボン酸の1種が、酢酸である、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 式(II)
    Figure 2018538361
    (式中、R1及びR2は、請求項1において定義されたものと同じである)
    のカルボン酸エステルの、請求項1において定義された炭水化物化合物からフラン-2,5-ジカルボン酸
    Figure 2018538361
    (式中、R1は、式(II)のカルボン酸エステルと同じ意味を有する)
    を調製する方法における、
    - 前記炭水化物化合物のための溶媒として又は共溶媒としての、
    及び、
    - 脱水剤としての、
    使用。
  15. R1が、請求項6において定義された通りであり、
    好ましくは、式(II)のカルボン酸エステルが、請求項7において定義された通りである、
    請求項14に記載の使用。
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