JP6672941B2 - フラン化合物の製造方法及びフルフラール組成物 - Google Patents

フラン化合物の製造方法及びフルフラール組成物 Download PDF

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Description

本発明はフルフラール化合物から脱カルボニル化反応によりフラン化合物を生成する、フラン化合物の製造方法に関するものである。
バイオマス資源から、例えばエタノールやコハク酸、1,4-ブタンジオールなどの化
成品を、発酵により製造する方法が従来から開発されている。非可食のバイオマス資源を使用した場合、ヘミセルロースなどから生成するフルフラール化合物は発酵阻害成分となる。そのため、従来では、フルフラール化合物は不純物として除去されることが一般的であったが、バイオマス資源を効率的に使用するという観点であれば、ヘミセルロース類から生成するフルフラール類からも化成品を製造する技術が必要とされている。
フルフラール化合物を、バイオマス資源から抽出する技術は古くから研究されている。フルフラール化合物はフラン樹脂等の原料として工業的にも製造されている。その他の化成品としては、例えば、フルフラール化合物からフラン化合物(テトラヒドロフラン)を製造するための原料に使用することが考えられる。ただし、フラン樹脂を製造するための原料として使用するフルフラール化合物に対して、これら化成品の製造においては、より高い純度のフルフラール化合物が要求される。
従来から、フルフラールを触媒の存在下、脱カルボニル化反応によりフランを製造する方法は知られている(例えば、特許文献1)。また、特許文献2には、安定的にフルフラールをフランに転化して、高効率でフランを製造する方法としては、例えば、気相流通反応によってフルフラールからフランを製造する際に、粗フルフラール中の触媒活性の低下を引き起こす不純物、具体的には、硫黄分などを蒸留や吸着分離などで予め除去して、酸価がある一定の値以下の原料フルフラールを得て、それを脱カルボニル反応工程に供する方法が開示されている。
また、フルフラールからフランを製造する際に、予め原料であるフルフラールを精製する方法としては、特許文献3に、予め塩基処理を実施した後に蒸留精製する方法が開示されている。
特開2009−149634号公報 特開2009−132656号公報 特開2014−12663号公報
特許文献3に開示されているフルフラールの精製方法によって、不純物が低減されたフラン化合物の製造に適したフルフラール組成物を得ることは可能であるが、この方法によって、精製された比較的純度の高いフルフラール組成物であっても、脱カルボニル化反応に使用する触媒の触媒活性が低下し、フルフラール組成物中のフルフラール化合物の転化率や、得られるフラン化合物の収率が不十分であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、フルフラール化合物を含むフルフラール組成物から、脱カルボニル化反応により、フラン化合物を得るに際し、高い転化率
でフルフラール化合物の脱カルボニル化反応を進行させることができ、且つ目的とするフラン化合物を高い選択率で効率よく得ることができる、工業的に有利なフラン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特許文献3などに記載されているフルフラールの精製によっては、十分に除去できない、いくつかの物質が存在すること発見した。そして、それらの物質の存在によって、当該フルフラールをフラン化合物の原料として使用した場合に、脱カルボニル反応によるフルフラールの転化率、及び目的とするフラン化合物の選択率との相関があることを見出した。その物質としては、フルフラール組成物中のフルフラールダイマーと、過酸化物であり、そのフルフラールダイマーの濃度と過酸化物価をある値に制御することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[6]に存する。
[1] 原料として2−フランカルボキシアルデヒドを含有するフルフラール組成物を反
応器に供給し、触媒の存在下で脱カルボニル化反応により、生成物としてフランを得る
程を含むフランを製造する方法であって、該フルフラール組成物中のフルフラールダイマ
ー濃度が1000重量ppm以下であり、該フルフラール組成物中の過酸化物価が0.0
1mEq/kg以上0.90mEq/kg以下であり、且つ、該フルフラール組成物は、
下記工程により得られたものであるフランの製造方法。
(a)粗フルフラールに陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物を接触させた後に得ら
れる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物を除
去する工程
(b)上記(a)から得られる、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物が除去され
た粗フルフラールを、蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも低い沸点を有する化合物を除
去し、蒸留塔の側留からフルフラール組成物を抜き出す工程
[2] 前記原料のフルフラール組成物中の窒素含有化合物濃度が0.1重量ppm以上
50重量ppm以下である、前記[1]に記載のフランの製造方法。
[3] 前記原料のフルフラール組成物中の2−フランカルボキシアルデヒドの濃度が9
9.00重量%〜99.97重量%である、前記[1]又は[2]に記載のフランの製造
方法。
[4] 前記原料のフルフラール組成物中の、2−アセチルフラン濃度が120重量pp
m以上1000重量ppm以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフラン
製造方法。
[5] 前記(a)の蒸留における還流比が0.1以上100以下である、[1]〜[4
]のいずれかに記載のフランの製造方法。
[6]フルフラール組成物であって、2−フランカルボキシアルデヒドの濃度が99.0
0重量%以上99.97重量%以下であり、且つフルフラールダイマーの濃度が1000
重量ppm以下であり、且つ過酸化物価が0.01mEq/kg以上0.90mEq/k
g以下であり、且つ2−アセチルフラン濃度が120重量ppm以上1000重量ppm
以下である、フルフラール組成物。
本発明によれば、フルフラール化合物を含むフルフラール組成物から安定的に高収率でフラン化合物を得ることができる。
以下、詳細に本発明の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<フルフラール化合物>
本発明のフラン化合物の製造方法で使用される原料のフルフラール組成物及び本発明のフルフラール組成物中に含まれるフルフラール化合物は、下記一般式(1)で表される化合物をいう。
Figure 0006672941
一般式(1)において、置換基であるR、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。置換基であるR、R及びRの種類としては、水素原子、官能基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、官能基を有していてもよい芳香族炭化水素基、水酸基、アセチル基、アルデヒド基が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、R、R、Rが水素原子、水酸基、メチル基であり、より好ましくは、水素原子、水酸基である。
具体的な、フルフラール化合物としては、フルフラール(2−フランカルボキシアルデヒド)、ヒドロキシメチルフルフラール、2−メチルフルフラール、3−メチルフルフラール、フルフリルジアルデヒド、5−メチルフルフラールが好ましい例として挙げられ、この中でも一般式(1)のR、R及びRが全て水素原子である、フルフラール(2−フランカルボキシアルデヒド)が最も好ましい。
<フルフラール組成物>
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物は、粗フルフラールから得ることができる。粗フルフラールは、通常、とうもろこしの穂軸、バガス、木材のおがくず等のヘミセルロース分を含む植物(非可食のバイオマス資源)などを、希硫酸等の酸存在下で加熱する事でフルフラールと水を発生させ、その発生したフルフラールと水を含む混合物を脱水処理して得ることができるが、必ずしもこの方法によって得られるものに限定されない。例えば、国際公開第2013/102027号に記載されているようにフルフラール製造反応器を反応蒸留形式としてフルフラールと水の混合物を連続的に抜き出す方法や国際公開第2012/115706号に記載されているように有機溶媒を用いてフルフラールを水相から連続抽出する方法などを用いることも出来る。粗フルフラール中のフルフラール化合物の濃度は、特に限定されないが、通常、90重量%以上98.7重量%以下であり、好ましくは95重量%以上98.5重量%以下、より好ましくは97重量%以上98.3重量%以下であり、最も好ましくは97.5重量%以上98.0重量%以下である。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物は、上述の粗フルフラールから得ることができる。また、例えば、フルフラール化合物がフルフラールの場合、その粗フルフラールからフルフラール組成物を得る際には、粗フルフラールを陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と接触させた後、蒸留によりフルフラールよりも沸点が高い化合物やフルフラールよりも沸点が低い化合物を分離して除去することが好ましい。
上述の陰イオン交換樹脂としては、特に制限はないが、好ましくは弱塩基性陰イオン交換樹脂である。具体的には、アクリル型、スチレン系ポリアミン型などの弱塩基性陰イオン交換樹脂や、トリメチルアンモニウム基やジメチルエタノールアンモニウム基等を持つ強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。
上述の塩基性化合物は、特に限定されないが、塩基性無機化合物および塩基性有機化合物などが挙げられる。
塩基性無機化合物の具体的な例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリム等の炭酸塩が挙げられる。
塩基性有機化合物の具体的な例としては、メチルアミン、エーテルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロオクタン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、カテコールアミン、フェネチルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(プロトンスポンジ)等が挙げられる。
粗フルフラールと接触させる陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物の量としては、特に限定されないが、粗フルフラールの量に対して、好ましくは0.005〜1wt%であり、より好ましくは0.01〜0.5wt%であり、更に好ましくは0.03〜0.3wt%である。
陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と原料である粗フルフラールとの接触の態様は、特に限定されず、固定床流通型または回分型等のどちらの手段を取ってもよい。固定床流通型における接触温度は、特に限定されないが、好ましくは10℃〜90℃の範囲であり、15℃〜70℃の範囲がより好ましく、20℃〜60℃の範囲が特に好ましい。滞留時間は、特に限定されないが、好ましくは0.05時間〜10時間で、0.1時間〜5時間がより好ましく、更に好ましくは0.5時間〜2時間である。回分型における接触温度は、特に限定されないが、好ましくは、10℃〜90℃の範囲であり、15℃〜70℃の範囲がより好ましく、20℃〜50℃の範囲が特に好ましい。接触時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5時間〜20時間で、0.5時間〜10時間がより好ましく、更に好ましくは1時間〜5時間である。
上述のように、粗フルフラールを陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と接触させたあとに、蒸留塔を用いて蒸留して、フルフラールよりも沸点が高い化合物やフルフラールよりも沸点が低い化合物を分離することが好ましいが、蒸留の形態としては、特に限定されず、回分式、連続蒸留のどちらでもよい。蒸留塔の構造としては、シーブトレイやバブルキャップトレイなどを用いた棚段塔と規則充填物や不規則充填物による充填塔のどちらでもよい。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物は、上述の粗フルフラールを陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と接触させた後、蒸留によりフルフラールよりも沸点が高い化合物やフルフラールよりも沸点が低い化合物を除去して得ることが好ましい。その理由としては、粗フルフラールと陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物との接触により、粗フルフラールを後段の精製工程で蒸留するときの加熱によるカチオン重合が緩和され、蒸留工程での固形物等の発生が低減できると推測されるからである。
この粗フルフラールの蒸留を行うための工程としては、以下の(a)及び(b)の工程を有する蒸留方法が好ましい。
(a)粗フルフラールに陰イオン交換樹脂及び/又は前記塩基性化合物を接触させた後に得られる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物を除去する工程
(b)上記(a)から得られる、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物が除去さ
れた粗フルフラールを、蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも低い沸点を有する化合物を除去する工程
工程(a)の蒸留塔内の塔頂圧は、特に限定されないが、0.12〜28.2kPaであることが好ましく、より好ましくは0.5〜20.5kPa、更に好ましくは0.8〜15.5kPaである。工程(a)の蒸留塔の塔底温度としては、60〜125℃であることが好ましく、工程(a)で取り除かれるフルフラールよりも沸点が高い化合物の割合は、特に限定されないが、粗フルフラールに含まれる沸点の高い化合物の合計の重量を基準(100重量%)として、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。還流比は任意であるが、0.01以上、100以下が好ましく、更に好ましくは0.1以上、50以下である。特に0.2以上、20以下の還流比が好ましい。
工程(b)の蒸留塔内の塔頂圧は0.12〜300kPaであることが好ましく、より好ましくは0.5〜200kPa、更に好ましくは0.8〜100kPaである。工程(b)において、粗フルフラールから取り除かれるフルフラールよりも沸点が低い化合物の割合は、粗フルフラールに含まれる沸点が低い化合物の合計の重量を基準(100重量%)として、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。還流比は任意であるが、0.1以上、200以下が好ましく、更に好ましくは0.5以上、100以下である。特に1以上、70以下の還流比が好ましい。
フルフラールよりも沸点が高い化合物としては、一般的には、大気圧下でのフルフラールの沸点より沸点が5℃以上高い化合物が挙げられる。例えば、大気圧下での沸点162℃のフルフラールに対して、沸点が170℃のフルフリルアルコール、沸点が173℃の2−アセチルフラン、沸点が173−174℃の2−フランカルボニルクロライド、沸点が187℃の5−メチルフルフラール、フリルメチルケトン、などの化合物が挙げられ、沸点が250℃を超えるフルフラールダイマーも蒸留によって量を低減することができる。
フルフラールの沸点よりも低い化合物としては、一般的には、大気圧下でのフルフラールの沸点より沸点が5℃以上低い化合物が挙げられる。例えば、大気圧下での沸点162℃のフルフラールに対して、沸点が54−55℃である2,3−ジヒドロフラン、沸点が63−66℃である2−メチルフラン、沸点が100−102℃であるギ酸、沸点が118−120℃である酢酸、沸点が121−124℃の3−ペンテン−2−オン、などが挙げられる。
工程(a)、(b)共に理論段数は1〜50段の範囲であり、好ましくは3〜40段であり、より好ましくは5〜30段である。
工程(a)、(b)共に粗フルフラールの蒸留塔への供給温度は、特に限定されないが、−20〜150℃であることが好ましく、より好ましくは0〜130℃、更に好ましくは10〜120℃である。
工程(a)でフルフラールよりも高い沸点の化合物を除去した粗フルフラールは、当該蒸留塔の塔頂から抜き出すことが好ましい。この塔頂から抜き出した粗フルフラールは、そのまま工程(b)の蒸留塔に供給しても構わないし、工程(a)の塔頂から抜き出した粗フルフラールの一部又は全てを、工程(b)に供給する前に、別の蒸留又は抽出等の一般的な精製処理に供した後、工程(b)の蒸留塔に供給しても構わない。経済性の観点から工程(a)の塔頂から抜き出した粗フルフラールを、何も処理せず、そのまま工程(b
)の蒸留塔に供給することが好ましい。
工程(b)において、最終精製品、つまり本発明のフラン化合物の製造方法における原料のフルフラール組成物及び本発明のフルフラール組成物を蒸留塔から抜き出して得る場合は、工程(b)の蒸留塔の側留部分から抜き出すことが好ましい。この側留はガス抜きでも液抜きでも構わないが、エネルギーコストの観点から液抜きがより好ましい。側留抜出位置は、工程(b)の蒸留塔へ供給される工程(a)の粗フルフラールの供給段よりも上部に位置することが好ましく、更に蒸留塔の高さ方向において、蒸留塔の高さの50%よりも上方の位置、例えば、蒸留塔の理論段に対して、蒸留塔の塔底から理論段の50%〜90%の位置から側留を抜き出すことが好ましい。特に粗フルフラールの供給段と側留抜出位置の間隔は理論段として1段以上、好ましくは2段以上、例えば1〜10段であることが望ましい。尚、塔頂部分から側留抜出位置までの理論段数は1段以上、50段以下が好ましく、更に好ましくは2段以上、20段以下であり、特に好ましくは3段以上、10段以下である。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物は、上述の粗フルフラールを陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物と接触させた後、まず、工程(a)において、蒸留によりフルフラールよりも沸点が高い化合物を除去し、その次に、工程(a)から得られる粗フルフラールを工程(b)でフルフラールよりも沸点が低い化合物を除去して得ることができる。このような手順で蒸留を行うことで、フルフラールダイマーの濃度が1000重量ppm以下であり、且つ、過酸化物価が0.01mEq/kg以上0.90mEq/kg以下であるフルフラール組成物を得ることができる。このフルフラール組成物は、脱カルボニル化反応において、脱カルボニル化反応の触媒の劣化を抑制し、高い転化率でフルフラール化合物の脱カルボニル化反応を進行させることが出来る。この蒸留手段によって、上述のフルフラール組成物が得られるのは、粗フルフラール中のフルフラールダイマーや過酸化物に着目した際、工程(a)の塔頂抜出液に含まれる過酸化物の一部又は全部は工程(b)で加熱されるとフルフラールより沸点の高い過酸化物に変化し、塔底に濃縮される。そして、工程(a)でフルフラールより沸点の高い過酸化物とフルフラールを分離し、更に工程(b)において高沸点化した過酸化物は塔底から抜き出し、フルフラールよりも低い沸点を有する化合物は塔頂から抜き出し、フルフラールは側流から抜き出す事で過酸化物価が0.01mEq/kg以上0.90mEq/kg以下に調整されたフルフラール組成物を得ることができるからである。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、原料のフルフラール組成物中に含まれるフルフラールダイマー、具体的には、5−(2−フラニルカルボニル)−2−フランカルボキシアルデヒド及び/又はビス−2−フリルエタンジオンの濃度が1000重量ppm以下であることを特徴とする。
このフルフラールダイマー濃度が高すぎると、フルフラール組成物を原料として脱カルボニル化反応によりフラン化合物を製造する際の目的とするフラン化合物の収率が低下し、得られるフラン化合物の純度も低下する。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、フルフラール組成物中に含まれるフルフラールダイマーの濃度としては、0.1重量ppm以上が好ましく、より好ましくは0.2重量pm以上であり、更により好ましくは0.3重量ppm以上であり、特に好ましくは0.5重量ppm以上である。一方、この濃度としては、1000重量ppm以下であり、好ましくは500重量ppm以下であり、より好ましくは350重量ppm以下であり、更により好ましくは100重量ppm以下である。
フルラール組成物中のフルフラールダイマー濃度が、フルフラール化合物の脱カルボニ
ル化反応により得られるフラン化合物の収率に影響する理由としては、必ずしも明確ではないが、次のような理由が推測される。つまり、フルフラール化合物の脱カルボニル化反応において、原料のフルフラール組成物中のフルフラールダイマーは脱カルボニル化反応触媒の触媒金属種等と容易に結合しやすく、活性点を覆うことでフルフラール化合物の脱カルボニル化反応を阻害することが考えられ、この濃度を高くすればするほど、反応阻害も増大すると推測される。またフルフラール化合物は反応性が高く、触媒上でフルフラール化合物同士が重合し、その重合物質が触媒をコーキングして、脱カルボニル化反応を阻害していると考えられる。フルフラールダイマーのような重合前駆体量が増加することにより、触媒のコーキングが促進され、反応収率の低下が起こると推測される。
また、本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、フルフラール組成物中に含まれる過酸化物価が0.01mEq/kg以上0.90mEq/kg以下であることを特徴とする。この過酸化物価が高すぎると、フルフラール組成物を原料として脱カルボニル化反応によりフラン化合物を製造する際の目的とするフラン化合物の収率が低下し、得られるフラン化合物の純度も低下する。過酸化物価が低すぎると、精製コストが増大する。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、過酸化物は官能基としてペルオキシド構造または過カルボン酸構造を有する化合物であり、具体的には、過酸化水素などの無機化合物、過酢酸、過プロピオン酸、過フランカルボン酸等の過カルボン酸、1,2−ジオキシン、ジメチルジオキシラン、過酸化アセトン等の環状過酸化物などが挙げられる。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、フルフラール組成物中に含まれる過酸化物価としては、0.01mEq/kg以上であり、好ましくは0.05mEq/kg以上であり、より好ましくは0.1mEq/kg以上であり、更により好ましくは0.2mEq/kg以上である。一方、この過酸化物価としては、0.90mEq/kg以下であり、好ましくは0.7mEq/kg以下であり、より好ましくは0.35mEq/kg以下である。
フルラール組成物中の過酸化物価が、フルフラール化合物の脱カルボニル化反応により得られるフラン化合物の収率に影響する理由としては、必ずしも明確ではないが、次のような理由が推測される。つまり、フルフラール化合物の脱カルボニル化反応において、原料のフルフラール組成物中の過酸化物は脱カルボニル化反応触媒の触媒金属種を酸化し、不活性化することでフルフラール化合物の脱カルボニル化反応を阻害することが考えられ、この濃度を高くすればするほど、触媒劣化の度合も増大すると推測される。またフルフラール化合物は反応性が高く、触媒上でフルフラール化合物同士が重合し、その重合物質が触媒をコーキングして、脱カルボニル化反応を阻害していると考えられる。過酸化物のような重合開始物質が存在することにより、触媒のコーキングが促進され、反応収率の低下が起こると推測される。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、フルフラール組成物中に窒素含有化合物を含むことが好ましい。この窒素含有化合物が高すぎると、フルフラール組成物を原料として脱カルボニル化反応によりフラン化合物を製造する際に触媒劣化を引き起こし、目的とするフラン化合物の収率が低下する。窒素化合物濃度が低すぎると、フルフラール組成物中の微量酸成分による重合が抑制できなくなり、触媒のコーキングやプロセスの汚れを引き起こす。
フルフラール組成物中に含まれる含窒素化合物の濃度としては、窒素原子換算で好ましくは0.1重量ppm以上であり、より好ましくは0.3重量pm以上であり、更により
好ましくは0.5重量ppm以上であり、特に好ましくは0.8重量ppm以上である。一方、この濃度としては、50重量ppm以下が好ましく、より好ましくは10重量ppm以下であり、更により好ましくは5重量ppm以下であり、特に好ましくは3重量ppm以下である。
また、上述の工程(a)と工程(b)に加え、下記の工程(c)を有することが更に好ましい。
(c)工程(a)で分離されたフルフラールよりも高い沸点を有する化合物を蒸留塔で蒸留し、フルフラールを分離し回収する工程
上記の工程(c)では、工程(a)で分離した高沸点の成分を含有する液中に含有する微量のフルフラールを分離して回収するが、使用する蒸留塔の処理は回分式、連続蒸留のどちらでもよく、形式はシーブトレイやバブルキャップトレイなどを用いた棚段塔と規則充填物や不規則充填物による充填塔のどちらでもよい。蒸留条件は、特に限定されないが、理論段数が1〜50段の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜30段、更に好ましくは5〜20段である。蒸留塔内の塔頂圧は0.12〜28.2kPaであることが好ましく、より好ましくは0.5〜20.5kPa、更に好ましくは0.8〜15.5kPaである。
本発明のフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物及びフルフラール組成物は、主成分として上述のフルフラール化合物を含む。その主成分として含むフルフラール化合物のフルフラール組成物中の濃度は、好ましくは、99.00重量%以上であり、より好ましくは99.20重量%以上である。また一方で、この濃度は、好ましくは、99.97重量%以下であり、より好ましくは99.95重量%以下であり、更に好ましくは99.93重量%以下である。この濃度が低くなると脱カルボニル化反応収率が低下し、フラン化合物の純度も低下する傾向にあり、純度が高すぎるとバイオマス資源からフルフラール組成物得る際の精製コストが高くなる恐れがある。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物中のフルフラールダイマー濃度を制御する方法は、フルフラール組成物を脱カルボニル化反応の反応器に供給する前に、上述のように予め蒸留塔を用いて、粗フルフラール又はフルフラール組成物からフルフラールダイマーを分離し、フルフラール組成物のフルフラールダイマーの濃度を低減する方法以外にも次の方法によっても制御することが可能である。例えば、フルフラール組成物中のフルフラールダイマーを、本発明のフラン化合物の製造に使用する脱カルボニル化反応の触媒とは異なる触媒により、別の物質に変換してフルフラールダイマー濃度を低減する方法、フルフラール組成物を抽出分離してフルフラールダイマーの濃度を低減する方法、フルフラールダイマー濃度の低いフルフラール組成物で希釈する方法なども好ましい方法として挙げられる。これらの方法は、単独で行ってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、この中でもフルフラール組成物を脱カルボニル化反応の反応器に供給する前に、上述のように予め蒸留塔を用いて、粗フルフラール又はフルフラール組成物を蒸留しフルフラールダイマーを分離する方法がより好ましい。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物中の過酸化物価を制御する方法は、フルフラール組成物を脱カルボニル化反応の反応器に供給する前に、上述のように予め蒸留塔を用いて、粗フルフラールを蒸留する際に、粗フルフラール又はフルフラール組成物から過酸化物を分離し、過酸化物価を低減する方法以外にも次の方法によっても制御することが可能である。例えば、本発明のフラン化合物の製造に使用する脱カルボニル化反応の触媒とは異なる触媒で、過酸化物を別の物質に変換して過酸化物価を低減する方法、フルフラール組成物を抽出分離して過酸化物価を低減
する方法、過酸化物価の低いフルフラール組成物で希釈する方法なども好ましい方法として挙げられる。これらの方法は、単独で行ってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、これらの中でも、フルフラール組成物を脱カルボニル化反応の反応器に供給する前に、予め蒸留塔を用いて、蒸留して過酸化物を蒸留分離する方法やアルミナ等の固体触媒に流通させて過酸化物価を低減する方法がより好ましい。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、フルフラール組成物中に含まれる2−アセチルフランの濃度が120重量ppm以上1000重量ppm以下であることが好ましい。この2−アセチルフラン濃度が高すぎると、フルフラール組成物を原料として脱カルボニル化反応によりフラン化合物を製造する際の目的とするフラン化合物の収率が低下し、得られるフラン化合物の純度も低下する恐れがある。また、一方で、この2−アセチルフラン濃度が低すぎても、フルフラール組成物を原料として脱カルボニル化反応によりフラン化合物を製造する際の目的とするフラン化合物の収率が低下する恐れがある。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法においては、フルフラール組成物中に含まれる2−アセチルフランの濃度としては、好ましくは120重量ppm以上であり、より好ましくは150重量pm以上であり、更により好ましくは200重量ppm以上であり、特に好ましくは250重量ppm以上である。一方、この濃度としては、1000重量ppm以下が好ましく、より好ましくは600重量ppm以下であり、更により好ましくは350重量ppm以下である。
フルラール組成物中の2−アセチルフラン濃度が、フルフラール化合物の脱カルボニル化反応により得られるフラン化合物の収率に影響する理由としては、必ずしも明確ではないが、次のような理由が推測される。つまり、フルフラール化合物の脱カルボニル化反応において、原料のフルフラール組成物中の2−アセチルフランは脱カルボニル化反応触媒の触媒金属種等と容易に結合しやすく、触媒担体上でアセチル金属種などを生成し、このアセチル金属種がフルフラール化合物の脱カルボニル化反応を阻害することが考えられ、この濃度を高くすればするほど、反応阻害も増大すると推測される。またフルフラール化合物は反応性が高く、触媒上でフルフラール化合物同士が重合し、その重合物質が触媒をコーキングして、脱カルボニル化反応を阻害していると考えられる。その重合メカニズムは、例えばフルフラールの場合、主にフラン環の5位とホルミル基で起こる可能性が高いと考えられるため、2−アセチルフランが適度に存在することにより、重合鎖の延長を防止することができ、その結果、2−アセチルフランの濃度が低すぎると、触媒のコーキングが抑制できなくなり、反応収率の低下が起こると推測される。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法での原料のフルフラール組成物中の2−アセチルフラン濃度を制御する方法は、特に限定されないが、2−アセチルフランを添加する方法、2−アセチルフランを触媒により脱カルボニル化体、水素化体、又は重合体に転化して2−アセチルフランの濃度を低減する方法、2−アセチルフランの水素化体を触媒により脱水素して2−アセチルフランを増加させる方法、2−アセチルフラン骨格を有する重合体を触媒により解重合して2−アセチルフランを増加させる方法、フルフラール組成物中の2−アセチルフランの加熱分解により2−アセチルフランの濃度を低減する方法、フルフラール組成物を蒸留して、2−アセチルフランを分離して、2−アセチルフランの濃度を低減する方法、フルフラール組成物を抽出分離して2−アセチルフランの濃度を低減する方法、などが挙げられ、この中でも蒸留分離する方法が好ましい。
フルフラール組成物中の窒素含有化合物濃度を制御する方法は、フルフラール組成物を蒸留して窒素含有化合物を分離し、窒素含有化合物濃度を低減する方法以外にも次のような方法によっても制御することが可能である。例えば、窒素含有化合物を吸着剤により吸
着して含窒素化合物濃度を低減する方法、含窒素化合物を固体酸で処理して含窒素化合物濃度を低減する方法、フルフラール組成物を抽出分離して含窒素化合物の濃度を低減する方法、含窒素化合物濃度の低いフルフラール組成物で希釈する方法、含窒素化合物を添加して含窒素化合物濃度を増加させる方法、含窒素化合物濃度の高いフルフラール組成物を添加する方法、なども好適に使用される。
本発明のフルフラール組成物及びフラン化合物の製造方法における原料フルフラール組成物は、ドラム若しくはタンク内に保管されるが、その保管の条件としては、保管する容器の内部の気相部の酸素濃度が3%以下の雰囲気下で保管されることが好ましく、より好ましくは、酸素濃度が1%以下であり、更により好ましくは0.1%以下である。この濃度が高くなるにつれて、本発明のフルフラール組成物を保管している間に、フルフラール組成物中の過酸化物価が上昇する恐れがある。酸素濃度を上記範囲で管理するには、フルフラール組成物を保管する容器(ドラムやタンク)内の気相部を不活性ガスで置換すればよく、不活性ガスとしては、二酸化炭素、アルゴン、窒素、ヘリウムなどが好適に使用されるが、中でも窒素で置換することがより好ましい。
また、保管時の温度としては、好ましくは50℃以下になるように管理して保管することが好ましく、より好ましくは、40℃以下であることが好ましく、更に好ましくは外気温以下で保管することである。この温度が高くなるにつれ、本発明のフルフラール組成物を保管している間に、フルフラール組成物中のフルフラールダイマーの濃度が上昇する恐れがある。
<フラン化合物>
本発明のフラン化合物の製造方法で得られるフラン化合物は下記一般式(2)〜(6)で表される化合物をいう。
Figure 0006672941
式(2)〜(6)のR、R、Rは、上述の式(1)のR〜Rと同義である。
本発明のフラン化合物の具体例としては、2−メチルフラン、3−メチルフラン、フラン、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、フルフリルアルコール、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、2,5−ジヒドロキシメチルテトラヒドロフランなどが挙げられ、特にフランが好適である。
本発明のフラン化合物の製造方法において、得られるフラン化合物は、後述のフルフラール組成物の脱カルボニル化反応で得られるが、その反応で副生する一酸化炭素や副生成物、未反応フルフラール化合物、窒素、水素などを分離された後、蒸留等の操作によって精製される。分離された一酸化炭素は後述の脱カルボニル化反応のキャリアーガスとしてリサイクルしたり、他の用途に有効利用したり、燃焼させて熱回収したりすることも可能である。
本発明のフランの製造方法において、得られるフラン化合物は極めて不純物の含有量が少ないため、各種の樹脂原料や添加剤として有用である。また、同様の理由により、誘導品合成の中間体として有用である。例えば、フラン化合物が一般式(2)のフラン化合物であれば、触媒を用いた水素化反応により一般式(6)のフラン化合物に変換することができる。
具体的に・BR>ヘ、フランからテトラヒドロフランの製造に有用である。テトラヒドロ
フランの製造方法は従来から公知の方法であれば、特に限定されないが、活性炭などの担体に長周期型周期表(以下、単に「周期表」という)の第8〜10族に担持した触媒を使って水素化反応を行い、フランからテトラヒドロフランを製造することが好ましい。
本発明のフルフラール組成物から得られるフランはテトラヒドロフラン以外にも、水和等を組み合わせて1,4−ブタンジオール等のジオール類、ガンマブチロラクトンやガンマバレロラクトン等のラクトン類に変換することもできる。
本発明のフルフラール組成物をフラン化合物の製造の原料として用いることにより、フランからテトラヒドロフランを製造する際に、2−アセチルフランから生成する2−メチルテトラヒドロフラン濃度を低減し、テトラヒドロフランの純度を高めることができる。また、水和等を組み合わせて1,4−ブタンジオール等のジオール類、ガンマブチロラクトンやガンマバレロラクトン等のラクトン類に変換することもできる。
<脱カルボニル化反応>
本発明のフラン化合物の製造方法における脱カルボニル化反応は、液相および気相反応のどちらでもよいが、気相反応が好ましい。脱カルボニル反応の反応形式は特に規定されるものではなく、回分反応、連続流通反応のいずれでも実施することができるが、工業的には連続流通反応形式を用いるのが好ましい。気相流通反応の場合、通常、触媒を充填した管型反応器に原料として上述のフルフラール化合物を主成分とするフルフラール組成物のガスを連続的に供給し、反応器内の触媒に通ずることによって反応を進行させフラン化合物を得る。フルフラール化合物を主成分とするフルフラール組成物を予め設けた気化器においてガスとすることが好ましい。気化の方法は特に限定されないが、液状態のフルフラール化合物を主成分とするフルフラール組成物に水素や不活性ガス等をガスバブリングする方法やスプレー気化による方法等が挙げられる。
脱カルボニル反応に供する原料としてのフルフラール組成物中の水分濃度は、10重量ppm以上1重量%以下が好ましく、より好ましくは15重量ppm以上1000重量ppm以下、更により好ましくは、20重量ppm以上500重量ppm以下である。水分濃度が高すぎると収率が低下し、低すぎると原料精製負荷が大きくなってしまう。フルフラール化合物の脱カルボニル化反応においては、反応開始剤として水素を共存させることが好適に行われる。フルフラール化合物を主成分として含むフルフラール組成物の供給量は、特に限定されないが、触媒活性を担う貴金属1モルに対し、通常0.0001モル/h以上50000モル/h以下であり、好ましくは0.001モル/h以上10000モル/h以下、更に好ましくは0.01モル/h以上5000モル/h以下である。
気相流通反応の場合の滞留時間は、特に限定されないが、通常0.001秒以上10秒以下、好ましくは0.01秒以上5秒以下、更に好ましくは0.05秒以上2秒以下、特に好ましくは0.1秒以上1秒以下である。
反応温度は、特に限定されないが、通常170℃以上450℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以上380℃以下、更により好ましくは200℃以上340℃以下、特に好ましくは230℃以上300℃以下である。反応温度が低いとフルフラール化合物が十分に転化しにくく、反応温度が高すぎると、生成したフラン化合物が逐次反応を引き起こし、結果としてフラン化合物の収率が低下する傾向にある。
反応圧力は特に限定されないが、絶対圧で、通常0.01MPa以上3MPa以下、好ましくは、0.05MPa以上2MPa以下、更に好ましくは、0.1MPa以上1MPa以下である。
脱カルボニル化反応に使用する触媒は、特に限定されないが、固体触媒が好ましく使用される。固体触媒の触媒金属としては、周期表の第8〜10族に属する遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属が好適に用いられる。周期表の第8〜10族に属する遷移金属元素として好ましくは、Ni、Ru、Ir、Pd、Pt、より好ましくはRu,Ir、Pd、Pt、さらに好ましくはPd、Ptである。中でも、特に好ましくはフルフラールのフランへの転化に対して極めて選択性が高いPdである。
担体の種類は、特に限定されないが、Al、SiO、TiO、ZrO、MgO等の単独金属酸化物やこれらの複合金属酸化物、ゼオライト等の多孔性酸化物、あるいは活性炭といった担体を用いることができる。これらの担持金属触媒は、触媒の性能を向上させるために、修飾助剤を含有することができる。修飾助剤としては、周期表の第1族金属やそれらのイオン、第2族金属やそれらのイオン、第4族金属やそれらのイオン、第6族金属やそれらのイオンが挙げられ、好ましくは第1族金属やそれらのイオンである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、水分の分析はカールフィッシャー法(三菱化学製CA−21で測定)を用いて行った。フルフラールとフルフラールダイマーの分析はガスクロマトグラフィーにより行い、面積百分率により算出した。尚、100重量%から水分濃度を差し引いた値を算出し、残る重量%分をガスクロマトグラフィーの各成分の面積百分率により計算した。尚、フルフラールダイマー濃度は、5−(2−フラニルカルボニル)−2−フランカルボキシアルデヒド及びビス−2−フリルエタンジオンの合算値とした。2−アセチルフランの分析はガスクロマトグラフィーにより行い、面積百分率により算出した。過酸化物価は、窒素雰囲気下ヨウ化カリウム添加酸化還元滴定法(Iodometry)により求め、電位差滴定装置(Metrhom Ltd.Titrand808)、複合白金電極(Metrhom、#6.0401.100、3規定KCl内部参照電極電解液)、滴定剤(0.005規定、NaSO水溶液)を用いた。
<製造例1>
[フルフラール組成物の製造]
温水を流通させて加熱できるジャケット付きの容積100ccのガラス製クラマトグラフ管に、陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社 ダイヤイオン(登録商標)、型式名:WA20)を70cc充填し、このガラス製クロマトグラフ管に、兼松ケミカル(株)製のフルフラール(純度98.7wt%)を140cc/hで流通させた。この際、陰イオン
交換樹脂とフルフラールとの接触温度は40℃、圧力は常圧であった。
本製造例では、陰イオン交換樹脂処理を施したフルフラールから高沸成分を除去する操作を続いて実施する。該液の蒸留を行う蒸留塔として30段のオルダーショウ蒸留塔(理論段20段)を使用した。塔頂圧力は6.7kPa、塔底温度を98℃、還流比を1.0とし、90cc/hrの流量で塔底から15段の位置に原料フルフラールを連続導入し、塔頂部から81cc/hrで連続留出を行い、塔底から9cc/hrで連続抜き出しを行なった。本連続蒸留により、塔頂からフルフラール液(塔頂留出液)をフルフラール純度99.95%、軽沸成分の合計として0.03%の組成で得た。尚、蒸留の熱源としてオイルバスを使用し、オイルバスの温度は131℃とした。
得られた塔頂留出液中の軽沸成分を除去する操作を行うため、25段のオルダーショウ蒸留塔を使用した(理論段15段)。塔頂圧力は33.3kPa、塔底温度を130℃、還流比を50とし、100cc/hrの流量で塔底から10段の位置に塔頂留出液を連続導入し、塔頂部から1cc/hrで連続留出を行い、塔底から2cc/hrで連続抜き出しを行い、塔底から13段の位置から97cc/hrで側留抜出を行なった。本連続蒸留により、得られた側留抜出液をフルフラール純度99.97%、フルフラールダイマー検出限界以下、過酸化物価0.32mEq/kg、窒素化合物濃度を窒素原子として2.0重量ppmの組成で得た。アセチルフラン濃度は293重量ppmであった。尚、蒸留の熱源としてオイルバスを使用し、オイルバスの温度は175℃とした。
<製造例2>
[フルフラール組成物の製造]
製造例1において、軽沸成分を分離する蒸留を塔頂部から1cc/hrで連続留出を行い、塔底から99cc/hrで連続抜き出しを行った以外は全て同様にして実施した。尚、蒸留の熱源としてオイルバスを使用し、オイルバスの温度は145℃とした。本連続蒸留により、得られた缶出抜出液をフルフラール純度99.78%、フルフラールダイマー0.03重量%、過酸化物価1.03mEq/kg、窒素化合物濃度を窒素原子として1.3重量ppmの組成で得た。
<製造例3>
[フルフラール組成物の製造]
製造例2で得たフルフラール組成物を10段のオルダーショウ蒸留塔を用い(理論段5段)、塔頂圧力は6.7kPa、塔底温度を98℃、還流比を1.0とし、90cc/hrの流量で塔底から5段の位置に原料フルフラールを連続導入し、塔頂部から89cc/hrで連続留出を行い、塔底から1cc/hrで連続抜き出しを行なった。本連続蒸留により、塔頂からフルフラール液(塔頂留出液)をフルフラール純度99.94%、フルフラールダイマー検出限界以下、過酸化物価0.57mEq/kg、窒素化合物濃度を窒素原子として1.3重量ppmの組成で得た。
<製造例4>
[フルフラール組成物の製造]
製造例1において、蒸留塔の漏れ込み空気が1.3kPa/hr未満になるようにして蒸留を実施した。本連続蒸留により、塔頂からフルフラール液(塔頂留出液)をフルフラール純度99.97%、フルフラールダイマー0.05重量ppm、過酸化物価0.19mEq/kg、窒素化合物濃度を窒素原子として2.0重量ppmの組成で得た。
<製造例5>
[フルフラール組成物の製造]
500LのSUS304製釜に陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社 ダイヤイオン(
登録商標)、型式名:WA20)を35kg充填し、この釜に兼松ケミカル(株)製のフルフラール(純度98.7wt%)を100kg充填した。その後40℃で30分間撹拌し、ろ過器で液と樹脂を分離した。圧力は常圧であった。その後、液を再度釜に充填し、洗浄後の陰イオン交換樹脂を35kg充填し、40℃で30分間撹拌した。液の水分が200重量ppm以下になるまでこれらの操作を繰り返した。
本製造例では、陰イオン交換樹脂処理を施したフルフラールから高沸成分を除去する操作を続いて実施する。該液の蒸留を行う蒸留塔として理論段20段の充填塔を使用した。塔頂圧力は6.7kPa、塔底温度を98℃、還流比を1.0とし、30L/hrの流量で塔底から15段の位置に原料フルフラールを連続導入し、塔頂部から27L/hrで連続留出を行い、塔底から3L/hrで連続抜き出しを行なった。本連続蒸留により、塔頂からフルフラール液(塔頂留出液)をフルフラール純度99.95%、軽沸成分の合計として0.03%の組成で得た。尚、蒸留の熱源として蒸気を使用し、蒸気温度は130℃とした。
得られた塔頂留出液中の軽沸成分を除去する操作を行うため、理論段23段の充填塔を使用した。塔頂圧力は33.3kPa、塔底温度を120℃、還流比を100とし、50L/hrの流量で塔底から5段の位置に塔頂留出液を連続導入し、塔頂部から0.5L/hrで連続留出を行い、塔底から1L/hrで連続抜き出しを行い、塔底から13段の位置から48.5L/hrで側留抜出を行なった。本連続蒸留により、得られた側留抜出液をフルフラール純度99.97%、フルフラールダイマー検出限界以下、過酸化物価0.12mEq/kg、アセチルフラン濃度200重量ppm、窒素化合物濃度を窒素原子として2.0重量ppmの組成で得た。
<実施例1>
[フルフラール組成物の脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造]
0.6mm以下に破砕した担持Pd触媒(1重量%Pd−1重量%K/ZrO)12.0gを内径13.4mmのSUS反応管に充填し、水素22.5mmol/h、窒素292.5mmol/h流通下で触媒の温度を231℃まで昇温した。製造例1で精製したフルフラール組成物を245℃に加熱した気化器を通して気化させ、362.2mmol/hの流速で供給して脱カルボニル化反応を開始した。このとき、水素/フルフラールの比は0.05であった。反応圧は絶対圧で0.4MPaであった。
反応管出口から得られた反応ガスの一部をガスクロマトグラフィー(GC)に導入し、フラン化合物、一酸化炭素、窒素及びその他の生成物の定量を行った。
一酸化炭素、窒素等の無機ガスのガスクロマトグラフィー分析には、検出器に熱伝導度検出器、カラムにモレキュラーシーブ13X(商品名、ジーエルサイエンス(株)製、メ
ッシュ60/80)を充填した、カラム長3mのパックドカラムを用いた。尚、試料導入
部及び検出部の温度を90℃、カラム温度を70℃、検出部に流す電流値を70mAに設定し分析を実施した。
フルフラール及びフラン等の有機ガスのガスクロマトグラフィー分析には、検出器に熱伝導度検出器、カラムにThermon−1000(商品名、ジーエルサイエンス(株)製、中極性)を充填した、カラム長3mのパックドカラムを用いた。尚、試料導入部の温度を200℃、検出部の温度を220℃、カラム温度を80℃から3℃/分で110℃まで昇温し、110℃に到達後5℃/分で225℃まで昇温し、225℃に到達後、17分温度を保持、検出部に流す電流値を80mAに設定し分析を実施した。
なお、フルフラール化合物の転化率(フルフラール転化率)(%)とフラン化合物の選択率(フラン選択率)(%)は下記の式により算出した。
・フルフラール転化率(%)=[1−{反応後フルフラール化合物の残量(mol)/
フルフラール化合物の供給量(mol)}]×100
・フラン選択率(%)={フラン化合物の収率(%)/フルフラール化合物の転化率(%)}×100
=[{フラン化合物の生成量(mol)/フルフラール化合物の
供給量(mol)}×100/フルフラール転化率(%)]×100
上記条件で脱カルボニル化反応を行った結果、反応開始から60時間後のフルフラール転化率は99.64%、フラン選択率は99.64%であった。結果を表−1に示す。
<実施例2>
実施例1において、原料のフルフラール組成物を製造例1のフルフラール組成物から製造例3のフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から60時間後のフルフラール転化率は99.35%、フラン選択率は99.51%であった。結果を表−1に示す。
<実施例3>
実施例1において、原料のフルフラール組成物を製造例1のフルフラール組成物から製造例4のフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から60時間後のフルフラール転化率は99.38%、フラン選択率は98.61%であった。結果を表−1に示す。
<比較例1>
実施例1において、原料のフルフラール組成物を製造例1のフルフラール組成物から製造例2のフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から60時間後のフルフラール転化率は97.35%、フラン選択率は97.73%であった。結果を表−1に示す。
<実施例4>
製造例5のフルフラール組成物5.0gと0.6mm以下に破砕した担持Pd触媒(1重量%Pd−1重量%K/ZrO)1.0gを混合し、200mLオートクレーブに充填した。オートクレーブを3回窒素で置換後、真空とし、水素を58cc注入した。オートクレーブに窒素を入れて0.4MPaとし、オートクレーブの内温200℃で5時間、液相脱カルボニル化反応を実施した。反応液を冷却後、取出し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、フルフラール転化率は79.96%、フラン選択率は99.86%であった。結果を表−1に示す。
<実施例5>
実施例4において、原料のフルフラール組成物を製造例5のフルフラール組成物から製造例1のフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から5時間後のフルフラール転化率は77.55%、フラン選択率は99.85%であった。結果を表−1に示す。
<実施例6>
実施例5において、原料のフルフラール組成物を製造例1のフルフラール組成物から製造例4のフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から5時間後のフルフラール転化率は74.61%、フラン選択率は99.75%であった。結果を表−1に示す。
<比較例2>
実施例5において、原料のフルフラール組成物を製造例1のフルフラール組成物から製造例2のフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から5時間後のフルフラール転化率は70.71%、フラン選択率は99.59%であった。結果を表−1に示す。
<比較例3>
実施例5において、原料のフルフラール組成物を製造例1のフルフラール組成物から製造例1のフルフラール組成物と製造例1の軽沸分離蒸留で得た缶出液を97:2の重量比率で混合したフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から5時間後のフルフラール転化率は67.47%、フラン選択率は99.64%であった。結果を表−1に示す。
<比較例4>
実施例5において、原料のフルフラール組成物を製造例1のフルフラール組成物から製造例2のフルフラール組成物とビス−2−フリルエタンジオン(アルドリッチ試薬、純度98%)をフルフラールダイマー濃度が0.11重量%になるように混合したフルフラール組成物に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から5時間後のフルフラール転化率は66.72%、フラン選択率は99.75%であった。結果を表−1に示す。
Figure 0006672941
表−1から、以下のことが言える。すなわち、実施例1〜6と比較例1〜4の脱カルボニル化反応のフルフラール化合物の転化率やフラン化合物の選択率の結果を対比すると、気相反応と液相反応のいずれにおいても、フラン化合物の製造の原料として、フルフラールダイマー濃度及び過酸化物価がある特定の範囲であるフルフラール組成物を用いることで、それらの転化率や選択率が共に高く、工業的にフラン化合物を製造する際の原料として有用であることがわかる。
<製造例6>
[フルフラール組成物の製造]
温水を流通させて加熱できるジャケット付きの容積100ccのガラス製クラマトグラフ管に、陰イオン交換樹脂(三菱化学株式会社 ダイヤイオン(登録商標)、型式名:WA20)を70cc充填し、このガラス製クロマトグラフ管に、兼松ケミカル(株)製のフルフラール(純度98.7wt%)を140cc/hで流通させた。この際、陰イオン交換樹脂とフルフラールとの接触温度は40℃、圧力は常圧であった。
得られたフルフラール1000.0gを塔径35mm、理論段が5段のオルダーショウの蒸留塔を使用して、塔頂の圧力13.3kPa、塔底温度を102℃で蒸留を実施した。
蒸留の熱源としてオイルバスを使用し、オイルバスの温度は120℃とした。留出液は軽沸成分を多く含む初留から順に抜き出し、フルフラール組成物であるFr−1〜Fr−6をそれぞれ取得した。なお、Fr−1〜Fr−6は留出開始から、それぞれ1時間後、2時間後、3時間後、4.2時間後、5.5時間後、7.2時間後に抜き出した留出液である。
そして、蒸留塔の塔底液中のフルフラールに対して90重量%留出させたとことで蒸留を停止した。Fr−1〜Fr−6のフルフラール及び2−アセチルフランの濃度は以下の表−2の通りであった。
Figure 0006672941
<製造例7>
[フルフラール組成物の製造]
製造例6において、理論段が20段のオルダーショウの蒸留塔を使用した以外は全て同様の条件で、フルフラール組成物Fr−1〜Fr−6を製造した。Fr−1〜Fr−6は留出開始から、それぞれ1時間後、2時間後、3時間後、4.2時間後、5.5時間後、7.2時間後に抜き出した留出液である。
Fr−1〜fr−6のフルフラール及び2−アセチルフランの濃度は以下の表−3の通りであった。
Figure 0006672941
<実施例7>
[フルフラール組成物の脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造]
0.6mm以下に破砕した担持Pd触媒(1重量%Pd−1重量%K/ZrO)0.75gを内径6mmのガラス型反応管に充填し、水素2.25mmol/h、窒素85.71mmol/h流通下で触媒の温度を231℃まで昇温した。製造例6で精製したフルフラール組成物(Fr−2)を182℃に加熱した気化器を通して気化させ、36.22mmol/hの流速で供給して脱カルボニル化反応を開始した。このとき、水素/フルフラール化合物の比は0.062であった。反応圧は絶対圧で0.1MPaであった。
反応管出口から得られた反応ガスの一部をガスクロマトグラフィーに導入し、フラン化合物、一酸化炭素、窒素及びその他の生成物の定量を行った。
上記条件で脱カルボニル化反応を行った結果、反応開始から12時間後のフルフラール転化率は99.5%、フラン選択率は93.5%であった。結果を表−4に示す。
<実施例8>
実施例7において、原料のフルフラール組成物を製造例6のFr−2から製造例6のFr−3に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から12時間後のフルフラール転化率は97.7%、フラン選択率は94.1%であった。結果を表−4に示す。
<実施例9>
実施例7において、原料フルフラール組成物を製造例6のFr−2から製造例7のFr−3に変更した以外は全て同様に脱カルボニル化反応を実施した。反応開始から12時間後のフルフラール転化率は99.5%、フラン選択率は99.5%であった。結果を表−4に示す。
<比較例5>
実施例7において、原料のフルフラール組成物を製造例6のFr−2から製造例6のFr−6に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から12時間後のフルフラール転化率は90.9%、フラン選択率は93.5%であった。結果を表−4に示す。
<比較例6>
実施例9において、原料フルフラール組成物を製造例7のFr−3から製造例7のFr−2に変更した以外は実施例9と同様に脱カルボニル化反応を実施した。反応開始から12時間後のフルフラール転化率は88.3%、フラン選択率は99.3%であった。結果を表−4に示す。
<比較例7>
実施例7において、原料のフルフラール組成物を製造例6のFr−2から製造例6のFr−4に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から12時間後のフルフラール転化率は98.6%、フラン選択率は92.8%であった。結果を表−4に示す。
<比較例8>
実施例7において、原料のフルフラール組成物を製造例6のFr−2から市況のフルフラール(兼松ケミカル(株)製)に変更した以外は全て同様の条件で脱カルボニル化反応によるフラン化合物の製造を行った。反応開始から12時間後のフルフラール転化率は85.6%、フラン選択率は92.5%であった。結果を表−4に示す。
Figure 0006672941
実施例7〜9と比較例5,7,9の脱カルボニル化反応成績から、2−アセチルフラン濃度が低いほどフラン収率が高いことがわかる。
一方、実施例7〜9と比較例6の結果から、2−アセチルフラン濃度が低すぎるとフラン収率が低下することがわかる。

Claims (6)

  1. 原料として2−フランカルボキシアルデヒドを含有するフルフラール組成物を反応器に
    供給し、触媒の存在下で脱カルボニル化反応により、生成物としてフランを得る工程を含
    むフランを製造する方法であって、
    該フルフラール組成物中のフルフラールダイマー濃度が1000重量ppm以下であり
    、該フルフラール組成物中の過酸化物価が0.01mEq/kg以上0.90mEq/k
    g以下であり、且つ、該フルフラール組成物は、下記工程により得られたものであるフラ
    の製造方法。
    (a)粗フルフラールに陰イオン交換樹脂及び/又は塩基性化合物を接触させた後に得ら
    れる粗フルフラールを蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物を除
    去する工程
    (b)上記(a)から得られる、フルフラールよりも高い沸点を有する化合物が除去され
    た粗フルフラールを、蒸留塔で蒸留し、フルフラールよりも低い沸点を有する化合物を除
    去し、蒸留塔の側留からフルフラール組成物を抜き出す工程
  2. 前記原料のフルフラール組成物中の窒素含有化合物濃度が0.1重量ppm以上50重
    量ppm以下である、請求項1に記載のフランの製造方法。
  3. 前記原料のフルフラール組成物中の2−フランカルボキシアルデヒドの濃度が99.0
    0重量%〜99.97重量%である、請求項1又は2に記載のフランの製造方法。
  4. 前記原料のフルフラール組成物中の、2−アセチルフラン濃度が120重量ppm以上
    1000重量ppm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフランの製造方法
  5. 前記(a)の蒸留における還流比が0.1以上100以下である、請求項1〜4のいず
    れか1項に記載のフランの製造方法。
  6. フルフラール組成物であって、
    2−フランカルボキシアルデヒドの濃度が99.00重量%以上99.97重量%以下
    であり、且つ
    フルフラールダイマーの濃度が1000重量ppm以下であり、且つ
    過酸化物価が0.01mEq/kg以上0.90mEq/kg以下であり、且つ
    2−アセチルフラン濃度が120重量ppm以上1000重量ppm以下である、フル
    フラール組成物。
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