JP2018538344A - アリピプラゾール及びシロスタゾールを用いた医薬 - Google Patents

アリピプラゾール及びシロスタゾールを用いた医薬 Download PDF

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Abstract

【課題】アリピプラゾールとシロスタゾールを併用した組み合わせ医薬等により、認知症、認知障害、及び血管性うつ病の治療及び/又は予防を提供する。【解決手段】アリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせ医薬であって、認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる組み合わせ医薬等である。【選択図】なし

Description

本発明は、アリピプラゾール及びシロスタゾールを用いた薬剤に関し、特に、認知症、認知障害、及び/若しくは血管性うつ病の予防並びに/又は治療に用いられるアリピプラゾールとシロスタゾールとの組み合わせ医薬等に関する。
高齢化社会に伴い、認知症や、認知障害に関する関心が高まっている。また、高齢者を中心に、血管の老化に伴い、脳卒中等の血管の障害によって発症される疾患がより深刻となっている。血管障害による疾患を患っている患者に対して適切に治療がなされ、血管障害について治療、改善がされたとしても、その予後において、精神的異変を引き起こす、あるいはそのリスクを有することが知られている。例えば、血管障害の治療後に発症するうつ病として知られている血管性うつ病は、より深刻となっている(例えば、特許文献1、及び2参照)。
また、高い血小板凝集抑制作用を有する薬剤は、脳梗塞等の血栓の抑制効果が期待できるため、血管障害の治療、予防に用いられることが知られている(例えば、特許文献2)。
また、アリピプラゾールは、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンとも表記される、カルボスチリル誘導体であり、精神疾患の治療に用いられる抗精神病薬として知られている。さらに、アリピプラゾールによる血管障害に伴ううつ病への適用についての検討もなされている(例えば非特許文献1)。
特許第4659693号 特開2007−523121号公報
Y. R. Kim et al., Behavioural Brain Research, Vol.287, (2015) p.294-303.
上述の通り、血管障害による疾患に対して、血栓抑制剤等の投与が行われているが、このような血栓抑制剤が精神疾患に対して、どのような作用をもたらし、治療改善に寄与するのか、十分な検討がなされていない。
本発明は、抗精神病薬として知られているアリピプラゾールに対して、シロスタゾールを併用した組み合わせ医薬等により、認知症、認知障害、及び血管性うつ病の治療及び/又は予防を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、有効成分としてアリピプラゾールとシロスタゾールを組み合わせることにより、認知症、認知障害、及び血管性うつ病に対して、治療及び/予防効果を有することを見出し、さらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
項1.アリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせ医薬であって、
認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる組み合わせ医薬。
項2.アリピプラゾール及びシロスタゾールを含有する合剤である、項1に記載の組み合わせ医薬。
項3.アリピプラゾールを含む薬剤A、及びシロスタゾールを含む薬剤Bを別々に有する、項1に記載の組み合わせ医薬。
項4.認知症、認知障害、及び血管性うつ病は脳卒中により誘発される、項1〜項3のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項5.認知症が、血管性認知症、及び老人性認知症よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜項4のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項6.血管性認知症が、脳血管性認知症である項5に記載の組み合わせ医薬。
項7.血管性認知症が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知症である、項5又は項6に記載の組み合わせ医薬。
項8.認知障害が、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜項4のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項9.血管性認知障害が、脳血管性認知障害である項8に記載の組み合わせ医薬。
項10.血管性認知障害が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害である、項8又は項9に記載の組み合わせ医薬。
項11.血管性うつ病が、脳血管性うつ病である、項1〜項4のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項12.血管性うつ病が、加齢による血管障害によって誘発されるうつ病である、項1〜項4、及び項11のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項13.血管性うつ病が、脳卒中による脳虚血後に誘発されるうつ病である、項1〜項4、項11、及び項12のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項14.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日で投与されるように用いられる項1〜項13のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項15.シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項1〜項14のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項16.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日、シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項1〜項15のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項17.組み合わせ医薬(合剤、又は薬剤A)中のアリピプラゾール1質量部に対して、シロスタゾールを0.1〜100質量部含む項1〜項16のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項18.認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防する方法であって、
アリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせを、前記治療及び/又は予防を必要とする患者に投与する、方法。
項19.アリピプラゾールとシロスタゾールを、順次又は同時に投与する、項18に記載の方法。
項20.前記認知症、認知障害、及び血管性うつ病は脳卒中により誘発される、項18又は19に記載の方法。
項21.認知症が、血管性認知症、及び老人性認知症よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項18〜項20のいずれか一項に記載の方法。
項22.血管性認知症が、脳血管性認知症である項21に記載の方法。
項23.血管性認知症が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知症である、項21又は22に記載の方法。
項24.認知障害が、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
項25.血管性認知障害が、脳血管性認知障害である項24に記載の方法。
項26.脳血管性認知障害が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害である、項25に記載の方法。
項27.血管性うつ病が、脳血管性うつ病である、項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
項28.血管性うつ病が、加齢による血管障害によって誘発されるうつ病である、項18、項19、項20、又は項27に記載の方法。
項29.血管性うつ病が、脳卒中による脳虚血後に誘発されるうつ病である、項18、項19、項20、項27、又は項28に記載の方法。
項30.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日で投与される項18〜項29のいずれか一項に記載の方法。
項31.シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与される項18〜項30のいずれか一項に記載の方法。
項32.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日、シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与される項18〜項31のいずれか一項に記載の方法。
項33.アリピプラゾールを投与されている状態の患者に、シロスタゾールを投与することを特徴とする、認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる、シロスタゾールを含有する薬剤。
項34.アリピプラゾールを投与すべき患者に、アリピプラゾールと共にシロスタゾールを投与することを特徴とする、認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる、シロスタゾールを含有する薬剤。
項35.シロスタゾールを投与されている状態の患者に、アリピプラゾールを投与することを特徴とする、認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる、アリピプラゾールを含有する薬剤。
項36.シロスタゾールを投与すべき患者に、シロスタゾールと共にアリピプラゾールを投与することを特徴とする、認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる、アリピプラゾールを含有する薬剤。
項37.前記認知症、認知障害、及び血管性うつ病は脳卒中により誘発される、項33〜項36のいずれか一項に記載の薬剤。
項38.認知症が、血管性認知症、及び老人性認知症よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項33〜項36のいずれか一項に記載の薬剤。
項39.血管性認知症が、脳血管性認知症である項38に記載の薬剤。
項40.血管性認知症が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知症である、項38又は項39に記載の薬剤。
項41.認知障害が、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項33〜項37のいずれか一項に記載の薬剤。
項42.血管性認知障害が、脳血管性認知障害である項41に記載の薬剤。
項43.血管性認知障害が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害である、項41又は項42に記載の薬剤。
項44.血管性うつ病が、脳血管性うつ病である、項33〜項37のいずれか一項に記載の薬剤。
項45.血管性うつ病が、加齢による血管障害によって誘発されるうつ病である、項33〜項37、及び項44のいずれか一項に記載の薬剤。
項46.血管性うつ病が、脳卒中による脳虚血後に誘発されるうつ病である、項33〜項37、項44、及び項45のいずれか一項に記載の薬剤。
項47.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日で投与された患者に対して用いられる項33、及び項37〜項46のいずれか一項に記載のシロスタゾールを含有する薬剤。
項48.アリピプラゾールの一日用量を0.01〜300mg/日で投与すべき患者に対して用いられる項34、及び項37〜項46のいずれか一項に記載のシロスタゾールを含有する薬剤。
項49.シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項33〜項46のいずれか一項に記載のシロスタゾールを含有する薬剤。
項50.シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与された患者に対して用いられる項35、及び項38〜項46のいずれか一項に記載のアリピプラゾールを含有する薬剤。
項51.シロスタゾールの一日用量を1〜300mg/日で投与すべき患者に対して用いられる項36〜項46のいずれか一項に記載のアリピプラゾールを含有する薬剤。
項52.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日で投与されるように用いられる項35〜項46、項50、及び項51のいずれか一項に記載のアリピプラゾールを含有する薬剤。
項53.アリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせ医薬の使用であって、
認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる組み合わせ医薬の使用。
項54.組み合わせ医薬が、アリピプラゾール及びシロスタゾールを含有する合剤である、項53に記載の使用。
項55.前記認知症、認知障害、及び血管性うつ病は脳卒中により誘発される、項53又は項54に記載の使用。
項56.組み合わせ医薬がアリピプラゾールを含む薬剤A、及びシロスタゾールを含む薬剤Bを別々に有する、項53に記載の使用。
項57.認知症が、血管性認知症、及び老人性認知症よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項53〜項56のいずれか一項に記載の使用。
項58.血管性認知症が、脳血管性認知症である項57に記載の使用。
項59.血管性認知症が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知症である、項57又は項58に記載の使用。
項60.認知障害が、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項53〜項55のいずれか一項に記載の使用。
項61.血管性認知障害が、脳血管性認知障害である項60に記載の使用。
項62.血管性認知障害が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害である、項60又は項61に記載の使用。
項63.血管性うつ病が、脳血管性うつ病である、項53〜項55のいずれか一項に記載の使用。
項64.血管性うつ病が、加齢による血管障害によって誘発されるうつ病である、項53〜項55、及び項63のいずれか一項に記載の使用。
項65.血管性うつ病が、脳卒中による脳虚血後に誘発されるうつ病である、項53〜項55、項63、及び項64のいずれか一項に記載の使用。
項66.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日で投与されるように用いられる項53〜項65のいずれか一項に記載の使用。
項67.シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項53〜項66のいずれか一項に記載の使用。
項68.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日、シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項53〜項67のいずれか一項に記載の使用。
項69.認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種の治療及び/又は予防のために用いられるアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項70.アリピプラゾールとシロスタゾールを、順次又は同時に投与して使用する、項69に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項71.前記認知症、認知障害、及び血管性うつ病は脳卒中により誘発される、項69又は70に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項72.認知症が、血管性認知症、及び老人性認知症よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項69〜71のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項73.血管性認知症が、脳血管性認知症である項72に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項74.血管性認知症が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知症である、項72又は項73に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項75.認知障害が、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項69〜項71のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項76.血管性認知障害が、脳血管性認知障害である項75に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項77.血管性認知障害が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害である、項75又は項76に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項78.血管性うつ病が、脳血管性うつ病である、項69〜項71のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項79.血管性うつ病が、加齢による血管障害によって誘発されるうつ病である、項69〜項71、及び項78のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項80.血管性うつ病が、脳卒中による脳虚血後に誘発されるうつ病である、項69〜項71、項78及び項79のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項81.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日で投与されるように用いられる項69〜項80のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項82.シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項69〜項81のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項83.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日、シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項69〜項82のいずれか一項に記載のアリピプラゾール及びシロスタゾール。
項84.認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種の治療剤及び/又は予防剤を製造するために用いられる、
アリピプラゾール及びシロスタゾールの使用。
項85.治療剤及び/又は予防剤が、アリピプラゾール及びシロスタゾールを含有する合剤である、項84に記載の使用。
項86.治療剤及び/又は予防剤が、アリピプラゾールを含む薬剤A、及びシロスタゾールを含む薬剤Bを別々に有する、項84又は項85に記載の使用。
項87.前記認知症、認知障害、及び血管性うつ病は脳卒中により誘発される、項84〜項86のいずれか一項に記載の使用。
項88.認知症が、血管性認知症、及び老人性認知症よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項84〜項87のいずれか一項に記載の使用。
項89.血管性認知症が、脳血管性認知症である項88に記載の使用。
項90.血管性認知症が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知症である、項88又は項89に記載の使用。
項91.認知障害が、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項84〜項87のいずれか一項に記載の使用。
項92.血管性認知障害が、脳血管性認知障害である項91に記載の使用。
項93.血管性認知障害が、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害である、項91又は項92に記載の使用。
項94.血管性うつ病が、脳血管性うつ病である、項84〜項87のいずれか一項に記載の使用。
項95.血管性うつ病が、加齢による血管障害によって誘発されるうつ病である、項84〜項87、及び項94のいずれか一項に記載の使用。
項96.血管性うつ病が、脳卒中による脳虚血後に誘発されるうつ病である、項84〜項87、項94、及び項95のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
項97.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日で投与されるように用いられる項84〜項96のいずれか一項に記載の使用。
項98.シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項84〜項97のいずれか一項に記載の使用。
項99.アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日、シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与されるように用いられる項84〜項98のいずれか一項に記載の使用。
項100.認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防に使用することができる、または使用すべきであることを記載した、前記請求項に記載した組み合わせ医薬、又は薬剤に関する記載物を含む、商業用パッケージ。
項101.認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種の疾患を有する患者に、アリピプラゾールとシロスタゾールを投与することを含み、一つの製剤または別々の製剤として、同時にまたは時間差をおいて別々に投与する方法。
本発明によると、抗精神病薬として知られているアリピプラゾールに対して、精神疾患への適用に対して十分に知られていなかった血栓の抑制作用を有するシロスタゾールとを組み合わせることで、認知症、認知障害、及び血管性うつ病の治療及び/又は予防に対し、極めて優れた効果を発揮させることができる。
中大脳塞栓モデルを用いた試験結果を示す図面である。 マウス脳組織のCREBリン酸化の定量評価結果を示す図面である。 Heme Oxygenase-1発現量の測定結果を示す図面である。 総頸動脈狭窄モデルを用いた試験結果を示す図面である。
本発明で使用されるアリピプラゾールは、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンとも表記される、カルボスチリル誘導体である。アリピプラゾールは、また、7−[4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリル、Abilify、OPC−14597、OPC−31及びBMS−337039としても公知である。アリピプラゾールは、セロトニン受容体及びドパミン受容体に対するアゴニストとしての活性を有し、セロトニン5HT1A受容体でアゴニスト又はパーシャルアゴニストとして、及び、ドパミンD受容体でアゴニスト又はパーシャルアゴニストとして作用する。アリピプラゾールは、ドパミン−セロトニンシステムスタビライザーである。アリピプラゾールの代謝産物は、本発明の範囲内に含まれる。アリピプラゾールの1つのこのような代謝産物は、デヒドロアリピプラゾールとも呼ばれる。
また、シロスタゾールは、6−[4−(1−シクロヘキシル−1H−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリルとも表記される。
本発明によって、治療及び/又は予防される疾患としては、認知症、認知障害、及び血管性うつ病である。
認知症、認知障害、及び血管性うつ病としては、脳卒中により引き起こされる障害が挙げられる。
認知症としては、血管性認知症、老人性認知症等が挙げられる。血管性認知症とは、特に脳血管の障害に伴い誘発される認知症である。そのため、血管性認知症には、前頭側頭型認知症や、アルコール性認知症、まだら認知症等も含まれる。より具体的には、脳血管の障害により誘発される認知症が挙げられ、脳血管の障害としては、脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血等)が挙げられる。さらに具体的な血管性認知症としては、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知症(例えば、脳梗塞による脳虚血後に誘発される認知症)が挙げられる。
認知障害としては、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害などが挙げられる。また、血管性認知障害としては、脳血管性認知障害が挙げられ、さらに、脳血管性認知障害としては、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害(例えば、脳梗塞による脳虚血後に誘発される認知障害)が挙げられる。
血管性認知障害とは、血管障害に伴い誘発される認知症である。より具体的には、脳血管の障害により誘発される認知障害が挙げられ、脳血管の障害としては、脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血等)が挙げられる。さらに具体的な血管性認知障害としては、脳卒中による脳虚血後に誘発される認知障害(例えば、脳梗塞による脳虚血後に誘発される認知障害)が挙げられる。
血管性うつ病とは、血管障害後に誘発されるうつ病である。具体的には、脳血管の障害により誘発されるうつ病が挙げられ、脳血管の障害としては、脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血等)が挙げられる。さらに、加齢によって生じる血管障害によって誘発されるうつ病に関しても、血管性うつ病として挙げられる。
血管性うつ病としては、例えば、脳卒中後うつ病や脳梗塞後うつ病、老人性うつ病等が挙げられる。脳卒中後うつ病や血管性うつ病に関する診断や症状としては、例えば、DSM−5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)やBiol Psychiatry 1998;43:705−712などが参照される。
本発明の組み合わせ医薬は、CREB(cAMP response element binding protein)リン酸化促進剤、pCREB(phosphated CREB)産生促進剤、またはHO−1(ヘムオキシゲナーゼ1)産生促進剤としても有効である。また、本発明の組み合わせ医薬は、BDNF(brain-derived neurotrophic factor)産生促進剤、GSK3/β(Glycogen synthase kinase 3 beta)リン酸化促進剤またはpGSK3/β(phosphatedGSK3/β)産生促進剤としても期待される。
CREBがリン酸化されてリン酸化CREB(pCREB)となることに起因する効果は、特に限定されない。例えばpCREBは、Bcl-2(B-cell lymphoma 2)、COX-2(Cyclooxygenase-2)、チロシン水酸化酵素、神経栄養因子であるBDNF、同じく神経栄養因子であるNGF(nerve growth factor)などの合成を促進させることから、学習能力の向上、記憶力の向上、抗アポトーシス作用、神経伝達物質産生の亢進、ニューロン新生の亢進などが期待される。また、pCREBの産生による効果としては、文献CARLOS A. SAURA(Rev. Neurosci., Vol. 22(2): 153-169, 2011)に記載の効果も包含される。HO−1は、細胞を酸化ストレスによる傷害から守る細胞保護タンパクとして知られていることから、例えば文献STEFAN W. RYTER(Physiol Rev 86: 583-650, 2006)に記載の効果も期待できる。さらには、BDNFの産生やGSK3/βのリン酸化を促進するという観点からは、アルツハイマー型認知症、うつ病、不安障害、双極性障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害(発達障害)、パーキンソン病、タウオパチー(タウ蛋白質異常症)等への利用が期待される。
以下、本発明の形態について、詳細に説明する。
本発明の組み合わせ医薬は、有効成分としてアリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせからなる。組み合わせ医薬の形態としては、単一の薬剤中に、アリピプラゾール及びシロスタゾールを含有する合剤とする形態、アリピプラゾールを含む薬剤A、及びシロスタゾールを含む薬剤Bを別々に有する形態が挙げられる。
組み合わせ医薬は、一般的な医薬製剤の形態で用いられる。製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いて調製される。この医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁化剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁化剤等)等が挙げられる。
なお、組み合わせ医薬が、薬剤Aと薬剤Bからなる場合は、薬剤Aと薬剤Bの形態は、上記の医薬製剤の形態であれば、特に限定されるものではなく、同一であってもよく、また異なった形態であってもよい。
錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来よりよく知られている各種のものを広く使用することができる。その例としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用できる。その例としては、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
カプセル剤は常法に従い通常有効成分化合物を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填して調製される。
注射剤として調製される場合、液剤、乳剤及び懸濁化剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ましく、これらの形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものをすべて使用でき、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール等のアルコール;マクロゴール;プロピレングリコール;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;アセトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド等を使用できる。
なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有させることもできる。
組み合わせ医薬が合剤である場合、アリピプラゾールの含有割合としては、特に限定されず広範囲から適宜選択されるが、合剤中に約0.1〜35質量%、とするのがよい。また、シロスタゾールの含有割合としては、特に限定されず広範囲から適宜選択されるが、合剤中に約0.1〜35質量%とするのがよい。
組み合わせ医薬として薬剤A及び薬剤Bを別々に有する場合、アリピプラゾールの含有割合としては、特に限定されず広範囲から適宜選択されるが、通常薬剤A中に約0.1〜70質量%とするのがよい。また、シロスタゾールの含有割合としては、特に限定されず広範囲から適宜選択されるが、通常製剤B中に約0.1〜70質量%とするのがよい。
組み合わせ医薬(合剤、又は薬剤B)中に含まれるシロスタゾールの含有量としては、組み合わせ医薬(合剤、又は薬剤A)中に含まれるアリピプラゾール1質量部に対して、約0.1〜100質量部含むことが好ましい。
組み合わせ医薬の投与方法については特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じた方法で投与される。例えば、組み合わせ医薬が、錠剤、丸剤、液剤、懸濁化剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。
組み合わせ医薬が薬剤A及び薬剤Bからなる場合、薬剤Aと薬剤Bは、順次投与してもよく、また、薬剤Aと薬剤Bを同時に投与してもよい。
薬剤Aと薬剤Bを順次投与する場合は、薬剤A及び薬剤Bの順であっても、薬剤B及び薬剤Aの順に投与してもよい。具体的には、薬剤Aによって、既にアリピプラゾールが投与されている状態の患者に対して、薬剤Bを用いて、シロスタゾールを投与する方法、又は薬剤Bによって、既にシロスタゾールが投与されている状態の患者に、薬剤Aを用いてアリピプラゾールを投与する方法が挙げられる。ここでの患者としては、上記の疾患、及び/又は障害を患っている患者が挙げられる。
ここで、アリピプラゾール又はシロスタゾールが投与されている状態とは、アリピプラゾール又はシロスタゾールが実質的に血中に残存しなくなる前の状態を表す。
薬剤Aと薬剤Bを同時に投与する場合の具体例としては、薬剤Aによりアリピプラゾールを投与すべき患者、又は薬剤Bによりシロスタゾールを投与すべき患者に対して、アリピプラゾールを含む薬剤Aとシロスタゾールを含む薬剤Bを共に投与する方法が挙げられる。ここでのアリピプラゾール、又はシロスタゾールを投与すべき患者としては、疾患、及び/又は障害を患っている患者が挙げられる。
組み合わせ医薬の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、アリピプラゾールの一日用量としては、通常、約0.01〜300mg/日、好ましくは0.1〜100mg/日、より好ましくは1〜30mg/日の範囲で投与されるように用いられる。シロスタゾールの一日用量としては、通常、約1〜300mg/日、好ましくは10〜250mg/日、より好ましくは50〜200mg/日の範囲で投与されるように用いられる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施例1)
(1.1)In vivo試験(中大脳動脈塞栓モデル)
実験には、雄性10週齢C57BL/6Jマウス30匹を使用し、以下のように群分けを行った。各群には、それぞれマウス6匹を用いた。
群構成
1)コントロール群
2)Vehicle投与群
3)シロスタゾール単剤投与群
4)アリピプラゾール単剤投与群
5)シロスタゾール−アリピプラゾール併用群
尚、vehicleとしては20% DMSO水溶液を使用した。シロスタゾール、アリピプラゾールの投与量は、共に3 mg/kgとした。シロスタゾール−アリピプラゾール併用群に関しても、投与量は両薬剤共に3 mg/kgとした。各薬剤は20% DMSO水溶液に溶解して投与した。
試験スケジュール
全ての実験動物に対し、馴化期間として14日間を設けた。馴化期間最終日の翌日に、コントロール群以外の4群に後述する中大脳動脈塞栓手術を施した。手術2日後から16日間にわたって連日、上記群構成に基づき、経口投与により一日一回投与を行うとともに、後述する軽度慢性ストレスを与えた。その後、中大動脈塞栓手術から4週間後及び5週間後に、全ての実験動物に対して、後述するオープンフィールド試験、スクロース嗜好試験、強制水泳試験を行った。また、中大動脈塞栓手術から6週間後に、全ての実験動物に対してモリス水迷路試験を行った。そしてモリス水迷路試験が終了後、全ての実験動物の脳を回収して脳組織の免疫染色標本を作製し、脳組織の状態を評価した。
(1.2)中大動脈塞栓手術
1.5%イソフルラン(80%N2O, 20%O2中)麻酔下で、雄性C57BL/6Jマウスに対し、中大動脈塞栓(Middle Cerebral Artery Occlusion, 以下、MCAOという。)手術を行った。麻酔深度は、テールピンチに対する心応答の有無により確認した。術中は、サーモスタットで制御されるヒートマット(Panlab, Harvard Apparatus)により、直腸温度を36.5-37.5℃に維持した。内頸動脈にシリコーン・コートされたモノフィラメントを挿入し、内頸動脈を塞栓した。塞栓から1時間経過後、前記モノフィラメントを内頸動脈より除去した。外科手術を行った全てのマウスの、脳血流を測定し、全ての被験動物における確実かつ同等レベルの虚血の誘導を確認した。脳血流の測定には、柔軟なプローブを有するレーザー・ドップラー計(PeriFlux Laser Doppler System 5000;Perimed, Stockholm, Sweden)を使用し、取得した測定データは、データ取得分析システム(PowerLab, AD Instruments, Medford, MA)を用いて連続的に記録し、コンピューターに保存した。
(1.3)慢性軽度ストレス(CMS)
慢性軽度ストレスは、下記の7種の異なるストレスを、ランダムに16日間連続で与えることにより、慢性軽度ストレスを惹起した。
1)絶水、絶食20時間
2)絶水18時間
3)ケージを45°傾斜、17時間
4)照明下オーバーナイト(合計36時間連続で照明下に設置)
5)汚染ケージ(100gおがくずに200mLの水を加えたものをケージに敷き詰め、被験動物を該ケージに21時間投入)
6)4℃水での強制水泳(5分)
7)2匹を1ケージ(底面28cm×42cm、高さ20cm)に投入(2時間)
(1.4)オープンフィールド試験
30cm四方、高さ40cmの白色ポリエチレン製のケージの中心部分に被験動物を入れ、所定時間中に、該被験動物が移動する距離を、Smart software(Panlab, Barcelona, Spain)を用いたビデオトラッキングシステムによりモニターした。
(1.5)スクロース嗜好試験
20時間の絶水、絶食の後、スクロース嗜好試験を実施した。ケージには、1%スクロース水溶液を入れたボトルと、水を入れたボトルの2つを設置し、マウスを1時間ケージに入れ、両ボトルの飲水量を測定した。1時間の試験開始から30分後に2つのボトルの重量を測定し、両ボトルの位置を入れ替え、残り30分の試験を続行した。スクロース嗜好試験の基準値としては、慢性軽度ストレスの付与を開始する前の値を測定し、これを基準値とした。尚、スクロースの嗜好性は、下記計算式に基づき、算出した:
スクロース水溶液摂取量(g)+水摂取量(g)
(1.6)強制水泳試験
強制水泳試験を実施することにより、抗うつ様活性について評価した。強制水泳試験の実施前日に、マウスを円筒形ガラス容器(直径10cm、高さ15cm)中に25℃の水を入れ、マウスを15分間強制水泳させた。そして試験実施日には、同様に円筒形ガラス容器内の水にマウスを5分間強制水泳させ、デジタルカメラ(E8400、株式会社ニコン、日本)によりその行動を記録するとともに、不動時間を計測した。
(1.7)モリス水迷路試験
モリス水迷路試験を実施することにより、空間学習能力及び記憶力の低下について、評価した。モリス水迷路試験は、Takeda Sらによる方法[Takeda S., Brain Res., (2009), Vol.1280, 137-147]に準拠して実施した。迷路は、直径1.15mの真っ白の円形プールで構成され、前記円形プールの中心と縁との間に、直径10cmの円形のプラットフォームを設けた。プラットフォームは、水深1cmとなるようにした。円形プール中の水温は、19-21℃に維持した。円形プールは、迷路を進む上での外観上の手掛かりを有する試験室に設置した。水迷路試験実施中は、前記外観上の手掛かりの位置に変更は加えなかった。一方、各試験トライアル間において、マウスを円形プールの壁に面した、東西南北4方向のスタート地点にランダムに配置し、試験を開始した。マウスが水中のプラットフォームに到達するまでに、180秒の制限時間を設けた。仮に180秒以内にマウスがプラットフォームに辿り着けなかった場合、マウスをプラットフォームに誘導し、プラットフォーム上に10秒間置いた。水泳の様子はビデオで撮影し、マウスがプラットフォームに到達するまでの時間を、Smart software(Panlab, Barcelona, Spain)を用いて解析した。当該時間の平均値を算出した。
(1.8)蛍光免疫染色
抱水クロラール麻酔下、PBS及び4%パラホルムアルデヒドを用いてマウスを灌流固定した。その後、マウスから脳を摘出し、4%パラホルムアルデヒドに24時間、浸漬して固定した。固定後の脳を、4℃条件下で48時間、30%スクロース溶液に浸漬した。得られた脳を凍結し、クライオスタットを使用して、厚さ30μmの切片を得た。得られた切片を、phospho-CREB(pCREB Ser133, SantaCruz,CA, USA)、neuronal nuclei(NeuN,Millipore Corporation)、tyrosine hydroxylase(TH,Millipore Corporation)の各一次抗体希釈液(希釈溶媒としては、PBSにBSAを1%、triton X-100を0.3%溶解したものを使用)で4℃条件下、オーバーナイトでインキュベートした。その後PBSにより洗浄し、暗室で蛍光標識二次抗体(Vector Laboratories, Inc., Burlingame, CA, USA)及びDAPI(Invitrogen Corporation, Carlspad, CA, USA)で2時間30分インキュベートした。その後、蛍光顕微鏡(Carl Zeiss, Inc., Gottingen, Germany)により撮影した。
(1.9)統計解析
全てのデータは、平均値±標準誤差で表示した。統計解析はANOVAにて行った。統計的有意差の確認に際しては、各群間の差を検出するために事後分析を実施した。P値が0.05未満の場合に、統計的有意差ありと判断した。
(1.10)試験結果
(1.10.1)
オープンフィールド試験、スクロース嗜好試験、強制水泳試験及びモリス水迷路試験の試験結果を図1に示す。図中、A:オープンフィールド試験、B:スクロース嗜好試験、C:強制水泳試験、D:モリス水迷路試験を表示する。また、コントロール群との関係において、#P<0.05、 ##P<0.01 、 ###P<0.001である。Vehicle投与群との関係において、*P<0.05、 **P<0.01 、 ***P<0.001である。シロスタゾール単剤投与群との関係において、$P<0.05、 $$P<0.01 、 $$$P<0.001である。アリピプラゾール単剤投与群との関係において、&P<0.05、 &&P<0.01 、 &&&P<0.001である。
オープンフィールド試験において、vehicle投与群のマウスの移動距離は、コントロール群のマウスの移動距離に比べ、有意に短かった。一方、シロスタゾール−アリピプラゾール併用群のマウスは、vehicle投与群のマウスと比較して、移動距離が有意に長いことが確認された。
スクロース嗜好試験において、シロスタゾール−アリピプラゾール併用群のマウスは、vehicle投与群、シロスタゾール単剤投与群、及びアリピプラゾール単剤投与群のマウスと比較して、有意にスクロース水溶液の摂取量が増加した。
強制水泳試験において、vehicle投与群のマウスはコントロール群のマウスに比較して、有意に不動時間が短縮した。一方で、シロスタゾール−アリピプラゾール投与群のマウスは、vehicle投与群のマウスと比較して有意に不動時間が延長された。
モリス水迷路試験において、vehicle投与群のマウスは、コントロール群のマウスと比較して、プラットフォームに辿り着くまでの時間が有意に長かった。一方で、シロスタゾール−アリピプラゾール併用群のマウスは、vehicle投与群、シロスタゾール単剤投与群、及びアリピプラゾール単剤投与群のマウスと比較して、プラットフォームに辿り着くまでの時間が有意に短かった。
(1.10.2)
免疫染色の定量結果を図2に示す。縦軸は、pCREB及びNeuNの双方の陽性細胞数と、pCREB及びTHの双方の陽性細胞数の合算値を示す。図中、コントロール群との関係において、##P<0.01、###P<0.001である。Vehicle投与群との関係において、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001である。シロスタゾール単剤投与群との関係において、$$P<0.01、$$$P<0.001である。アリピプラゾール単剤投与群との関係において、&P<0.05、&&P<0.01、&&&P<0.001である。
Vehicle投与群マウスにおける線条体、海馬及び中脳の何れの脳組織においても、pCREB及びNeuNの双方に陽性を示す細胞数と、pCREB及びTHの双方に陽性を示す細胞数の合算値は、コントロール群マウスにおけるそれよりも、有意に少なかった。一方、シロスタゾール−アリピプラゾール併用群マウスの脳組織においてpCREB及びNeuNの双方に陽性を示す細胞数と、pCREB及びTHの双方に陽性を示す細胞数の合算値は、vehicle投与群マウス、シロスタゾール単剤投与群、及びアリピプラゾール単剤投与群におけるそれらよりも有意に多かった。
(実施例2)
(2.1)In vitro試験
神経細胞に対してアリピプラゾール及び/又はシロスタゾールが与える影響を評価した。具体的には、ヘムオキシゲナーゼ−1(Heme Oxygenase-1, 以下、HO-1という。)の発現量をウエスタンブロッティング法で測定した。HO-1は、細胞を酸化ストレスによる傷害から守る神経保護タンパク質である。
HT22神経細胞(マウス海馬由来神経細胞株)を、10%ウシ胎児血清、ペニシリン100units/mL及びストレプトマイシン100μg/mLを含むDMEM培地中で培養した。その後、[1]無処置、[2]アリピプラゾール(1μM)処置、[3]シロスタゾール(1μM)処置、[4]アリピプラゾール(1μM)+シロスタゾール(1μM)処置の4つに分けて処置を施した。各処置は、各薬剤をそれぞれ6時間暴露することにより実施した。その後、上記処置を施したそれぞれの細胞を回収し、細胞溶解バッファーに溶解させて電気泳動用サンプルを調製し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離したタンパク質をPVDFメンブレンに転写し、該PVDFメンブレンにブロッキング処置を施した後、HO-1の一次抗体(Assay Design)、二次抗体、化学発光試薬Supersignal West Dura Extended Duration Substrate Kit(Pierce Chemical)の順に処置した。その後、PVDFメンブレン上のバンドからのシグナルを、検出器を用いて測定した。HO-1タンパク質の発現量の評価は、β−アクチン量で補正して行った。
(2.2)統計解析
結果は平均値±標準誤差で表示した。統計解析はANOVAにて行った。統計的有意差の確認に際しては、各群間の差を検出するために事後分析として、Bonferroniの多重比較試験を実施した。
(2.3)試験結果
HO-1タンパク質の発現量の測定結果を、図3に示す。図中、無処置サンプルとの関係において、** P<0.01である。アリピプラゾールARP(1μM)処置サンプルとの関係において、 P<0.05である。シロスタゾールCSZ(1μM)処置サンプルとの関係において、$P<0.05である。
アリピプラゾール及びシロスタゾールの双方を処置したHT22神経細胞は、無処置のHT22神経細胞、アリピプラゾールのみを処置したHT22神経細胞、そしてシロスタゾールのみを処置したHT22神経細胞と比較して、HO-1の発現量が有意に多かった。
(実施例3)
(3.1)In vivo試験(総頸動脈狭窄モデル)
マウス総頸動脈狭窄モデルを作製し、モリス水迷路試験を実施することにより、空間学習能力及び記憶力について評価を行った。雄性10週齢C57BL/6Jマウス40匹(購入先:Koatech, Seoul, Korea)を使用し、以下のように群分けを行った。各群には、それぞれマウス8匹を用いた。
群構成
1)コントロール群
2)Vehicle投与群
3)アリピプラゾール単剤投与群
4)シロスタゾール単剤投与群
5)シロスタゾール−アリピプラゾール併用群
尚、vehicleとしては25% DMSO水溶液を使用した。シロスタゾール−アリピプラゾール併用群について、アリピプラゾールの投与量は0.5 mg/kg、シロスタゾールの投与量は20 mg/kgに設定した。各薬剤は25% DMSO水溶液に溶解して経口投与した。
試験スケジュール
全ての実験動物に対し、馴化期間として5日間を設けた。馴化期間最終日の翌日に、左右の総頸動脈の狭窄手術を施した。手術2〜29日後にわたって連日、上記群構成に基づき、経口投与により投薬を行った。尚、モリス水迷路試験は、上記狭窄手術から3週間後に実施した。
(3.2)総頸動脈狭窄手術
Shibata Mらによる方法[Shibata M et al., Stroke, (2004), Vol.35, 2598-2603]に準拠し、総頸動脈狭窄手術(Bilateral Common Carotid Artery Stenosis, 以下、BCCASという。)を実施した。マウス頸部正中を切開して左右の総頸動脈を露出させた後、総頸動脈を周辺組織から剥離した。剥離した左右の総頸動脈の外側に内径0.18mmのマイクロコイルを装着した。コントロール群に対しては、マイクロコイルを装着しなかった点以外は、上記BCCASと同様の操作を行った。
(3.3)空間記憶力試験
上記評価を目的として、[Park SH et al., Biochem. Biophys. Res. Com., (2011), Vol.408, 602-608]に開示されている方法に準拠して、モリス水迷路試験を実施した。迷路は、直径1.15m真っ白の円形プールで構成され、十分量の水を円形プールに満たした。円形プールを構成する4つの四分円のうちの1つに、直径10cmの円形のプラットフォームを設置した。プラットフォームは、その上面が円形プールの水深1cmとなるように配置した。水面下のプラットフォームを見えないようにするために、円形プールを満たす水には、粉ミルクを溶かした。水温は、19-21℃に維持した。
初期訓練において、マウスがプラットフォームを発見してその上に四肢全てが登るまでの時間を、逃避潜時とした。プラットフォームを同一地点に置いたまま、訓練を5日連続で実施した。マウスが水中のプラットフォームに到達するまでの制限時間は90秒とした。仮に90秒以内にマウスがプラットフォームに辿り着けなかった場合、マウスをプラットフォームに誘導し、プラットフォーム上に10秒間置き、その後マウスをケージに戻した。この場合、逃避潜時は90秒として記録した。
BCCAS手術前の各マウスに対する訓練としては、次の通りに実施した。
1日目:プラットフォームなしの円形プール内で自由に90秒間水泳
2日目:円形プールにプラットフォームを設置し、プラットフォームを1
回見つけさせた
3日目:プラットフォームを2回見つけさせた
4日目:プラットフォームを3回見つけさせた
空間記憶力試験は、BCCAS手術から3週間後に実施した。円形プールの中にプラットフォームを設置せずに、マウスを自由に泳がせた。水泳の様子はビデオで撮影し、Smart software(Panlab, Barcelona, Spain)を用いて解析した。また、マウスが円形プール内にいた時間に対する、マウスが訓練期間中にプラットフォームが設置されていた四分円のエリア内にいた時間の割合(%)を算出した。
(3.4)統計解析
全てのデータは、平均値±標準誤差で表示した。統計的有意差の確認に際しては、Studentのt検定を実施した。モリス水迷路試験でアリピプラゾール単独、シロスタゾール単独およびそれらの組み合わせが逃避潜時、及び、目的の四分円に辿り着く時間に及ぼす影響を、反復ANOVAを行い、さらに事後Bonferroniの多重比較試験を行って分析した。P<0.05の場合に、統計的有意差が存在すると判断した。
(3.5)試験結果
空間記憶力試験の試験結果を図4に示す。図中、コントロール群との関係において***P<0.01、vehicle投与群との関係において##P<0.01、vehicle投与群との関係において###P<0.001である。アリピプラゾール単剤投与群とシロスタゾール−アリピプラゾール併用群との関係において$P<0.05であり、シロスタゾール単剤投与群とシロスタゾール−アリピプラゾール併用群との関係においてP<0.05である。
Vehicle投与群のマウスは、コントロール群のマウスに比べて訓練期間中にプラットフォームが設置されていたエリアにいた時間が少なく、空間学習能力及び記憶力の低下が確認された。これに対してシロスタゾール−アリピプラゾール併用群のマウスが四分円にいた時間は、vehicle投与群のマウスのそれと比べて有意差に長かった。さらに、シロスタゾール−アリピプラゾール併用群のマウスは、アリピプラゾール単剤投与群又はシロスタゾール単剤投与群のマウスと比較して、四分円内で有意に多くの時間を費やした。この結果は、実施例1で示した併用効果が、異なる試験モデルでも同様に示されることを実証するものである。

Claims (18)

  1. アリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせ医薬であって、
    認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる組み合わせ医薬。
  2. アリピプラゾール及びシロスタゾールを含有する合剤である、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
  3. アリピプラゾールを含む薬剤A、及びシロスタゾールを含む薬剤Bを別々に有する、請求項1に記載の組み合わせ医薬。
  4. 前記認知症、認知障害、及び血管性うつ病は脳卒中により誘発される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
  5. 前記認知症、認知障害、及び血管性うつ病は加齢に伴うものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
  6. 認知症が、血管性認知症、及び老人性認知症よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
  7. 認知障害が、認知障害が、アルツハイマー病、学習に関連する退行性疾患、学習能力低下、軽度認知障害のような記憶又は認知機能障害、老人性認知障害、加齢に伴う認識衰退、脳老衰、血管性認知障害、AIDS関連認知症、感電により引き起こされる記憶消失、うつ病又は不安症に関連する記憶障害、パーキンソン病における認知障害、ダウン症候群、脳卒中、外傷性脳損傷、ハンチントン病、及び注意力欠如障害よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
  8. アリピプラゾールの一日用量が0.01〜300mg/日、シロスタゾールの一日用量が1〜300mg/日で投与するように用いられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の組み合わせ医薬。
  9. アリピプラゾールを投与されている、又はすべき状態の患者に、シロスタゾールを投与することを特徴とする、認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる、シロスタゾールを含有する薬剤。
  10. シロスタゾールを投与されている、又はすべき状態の患者に、アリピプラゾールを投与することを特徴とする、認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる、アリピプラゾールを含有する薬剤。
  11. 認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防に使用することができる、または使用すべきであることを記載した、前記請求項に記載した組み合わせ医薬、又は薬剤に関する記載物を含む、商業用パッケージ。
  12. 認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防する方法であって、
    アリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせを、前記治療及び/又は予防を必要とする患者に投与する、方法。
  13. アリピプラゾールとシロスタゾールを、順次又は同時に投与する、請求項12に記載の方法。
  14. 認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種の疾患を有する患者に、アリピプラゾールとシロスタゾールを投与することを含み、一つの製剤または別々の製剤として、同時にまたは時間差をおいて別々に投与する方法。
  15. アリピプラゾール及びシロスタゾールの組み合わせ医薬の使用であって、
    認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種を治療及び/又は予防するために用いられる組み合わせ医薬の使用。
  16. 組み合わせ医薬が、アリピプラゾール及びシロスタゾールを含有する合剤である、請求項15に記載の使用。
  17. 組み合わせ医薬がアリピプラゾールを含む薬剤A、及びシロスタゾールを含む薬剤Bを別々に有する、請求項15に記載の使用。
  18. 認知症、認知障害、及び血管性うつ病よりなる群から選ばれる少なくとも1種の治療剤及び/又は予防剤を製造するために用いられる、
    アリピプラゾール及びシロスタゾールの使用。
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