JP2018533569A - 全身性肥満細胞症を処置するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、その全体が参考として本明細書に援用される、2015年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/245,218号に対する優先権を主張する。この出願の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
ASCIIテキストファイルにおける次の提出の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される;配列表のコンピュータ読み取り可能な形態(CRF)(ファイル名:701712000440SEQLIST.txt、記録された日付:2016年10月7日、サイズ:91KB)。
本発明は、ヒトシグレック−8に結合する抗体もしくはアゴニストまたは前記抗体もしくはアゴニストを含む組成物の投与により、進行性全身性肥満細胞症を予防または処置するための方法に関する。
全身性肥満細胞症(SM)は、1種または複数種の皮膚外臓器における新生物肥満細胞の蓄積によって特徴付けられる希少な骨髄増殖性新生物である。2008年の世界保健機関(WHO)分類は、全身性肥満細胞症患者の7種のバリアントおよび1種のサブバリアントを認める。そのようなものとして、皮膚性肥満細胞症(CM)、無痛性全身性肥満細胞症(ISM)、侵襲性全身性肥満細胞症(ASM)、非肥満細胞性血液腫瘍性疾患関連全身性肥満細胞症(systemic mastocytosis with an associated clonal hematologic non-mast cell lineage disease;SM−AHNMD)、肥満細胞白血病(MCL)、肥満細胞肉腫および皮膚外肥満細胞腫、これに加えて、くすぶり型全身性肥満細胞症(SSM)と命名されたISMのサブバリアントが挙げられる。全身性肥満細胞症におけるメジャーな診断基準は、関連する骨髄における形態学的に異常な肥満細胞の多巣性クラスターの存在である。マイナーな診断基準は、上昇した血清トリプターゼレベル、CD25および/またはCD2の異常な肥満細胞発現、ならびにKITD816V変異の存在を含む。進行性全身性肥満細胞症は、肥満細胞の浸潤に起因する臓器損傷によって特徴付けられる。Valentら、Eur. J. Clin Invest.、2007年、37巻:435〜453頁およびValentら、Allergy、2014年、69巻:1267〜1274頁を参照されたい。
特許出願、特許公報および科学文献を含む本明細書に引用されるあらゆる参考文献は、個々の参考文献それぞれが具体的かつ個別に参照によりその全体が本明細書に組み入れられると示されているかのように、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
I.定義
本発明に関して詳細に記載する前に、本発明が、当然ながら変動し得る特定の組成物または生命システムに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用されている用語法が、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、限定を目的としないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されている通り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容がそれ以外を明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「分子(a molecule)」と言及される場合、2個またはそれを超える斯かる分子の組合せその他を任意選択で含む。
100×分数X/Y
(式中、Xは、AおよびBの該プログラムのアライメントにおける配列により同一マッチとしてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さが、アミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、Bに対するAの%アミノ酸配列同一性が、Aに対するBの%アミノ酸配列同一性に等しくならないことが認められよう。
FcドメインのAsn297位における(Fc領域残基のEUナンバリング)、抗体Fc領域に付着したN結合型オリゴ糖の一方または両方における最内側N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基にα(1,6)結合型フコースを含む。Asn297は、免疫グロブリンにおける軽微な配列変種により、297位の上流または下流の約+3アミノ酸に、すなわち、294〜300位の間に位置することもできる。
A.本発明の方法
個体における進行性全身性肥満細胞症(例えば、SM−AHNMD)を処置または予防するための方法であって、個体に、ヒトシグレック−8に結合する本明細書に記載されている抗体(例えば、抗シグレック−8抗体)またはその組成物の有効量を投与するステップを含む方法が本明細書に提供される。個体における進行性全身性肥満細胞症(例えば、SM−AHNMD)を処置または予防するための方法であって、個体に、ヒトシグレック−8に結合する本明細書に記載されているアゴニスト(例えば、6’−スルホ−sLeX含有アゴニストまたはアゴニスト抗体)またはその組成物の有効量を投与するステップを含む方法も本明細書に提供される。一部の実施形態において、個体(例えば、ヒト)は、進行性全身性肥満細胞症(例えば、SM−AHNMD)と診断されている、または進行性全身性肥満細胞症を発症するリスクがある。.用語「進行性全身性肥満細胞症」は、本明細書において使用する場合、シグレック−8発現肥満細胞の増加した増殖(例えば、増加した数)または活性化に関連する疾患、障害または状態を指すことができる。一部の実施形態では、進行性全身性肥満細胞症は、好酸球(例えば、シグレック−8発現好酸球)の増加した増殖(例えば、増加した数)または活性化に関連する。本発明の抗体およびアゴニストならびにその組成物により処置可能な進行性全身性肥満細胞症の非限定例として、好酸球増加症に関連する進行性全身性肥満細胞症、好酸球増加症を伴わない進行性全身性肥満細胞症、侵襲性全身性肥満細胞症(ASM)、肥満細胞白血病(MCL)、ならびにSM−骨髄異形成症候群(SM−MDS)、SM−骨髄増殖性新生物(SM−MPN)、SM−慢性骨髄単球性白血病(SM−CMML)、SM−慢性好酸球性白血病(SM−CEL)およびSM−急性骨髄性白血病(SM−AML)等の非肥満細胞性血液腫瘍性疾患関連全身性肥満細胞症(SM−AHNMD)が挙げられる。
上に記すこのような併用療法は、組み合わせた投与(2種またはそれよりも多い治療剤が、同じまたは別々の製剤中に含まれる場合)および別々の投与を包含し、別々の投与の場合、本発明の抗体の投与は、1種または複数種の追加的な治療剤(単数または複数)の投与に先立ち、それと同時に、および/またはその後に行い得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体の投与および1種または複数種の追加的な治療剤の投与は、互いの約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月または約6ヶ月以内に行う。一部の実施形態では、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体の投与および1種または複数種の追加的な治療剤の投与は、互いの約1週間、約2週間または約3週間以内に行う。一部の実施形態では、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体の投与および1種または複数種の追加的な治療剤の投与は、互いの約1日、約2日、約3日、約4日、約5日または約6日以内に行う。
一態様において、本発明は、本明細書における方法のいずれかにおける使用のためのアゴニストを提供する。一部の実施形態において、アゴニストは、好酸球において発現するシグレック−8に結合し、in vitroまたはin vivoにおける好酸球のアポトーシスを誘導する薬剤である。一部の実施形態では、アゴニストは、肥満細胞において発現したシグレック−8に結合し、in vitroまたはin vivoで肥満細胞の活性化を阻害する作用因子である。一部の実施形態では、アゴニストは、肥満細胞において発現したシグレック−8に結合し、in vitroまたはin vivoで肥満細胞の数を枯渇または低下させる作用因子である。一部の実施形態では、アゴニストは、肥満細胞上に発現されたシグレック−8に結合し、in vitroおよびin vivoにおいて、ADCC活性によってシグレック−8を発現する肥満細胞を死滅させる薬剤である。一部の実施形態では、アゴニストは、アゴニスト抗体である。一部の実施形態において、アゴニストは、アゴニスト抗体である。一部の実施形態において、アゴニスト抗体(例えば、本明細書に提供される抗体2E2)は、好酸球によって発現するシグレック−8に架橋し、好酸球における1種または複数種のカスパーゼ(例えば、カスパーゼ−8、カスパーゼ−3およびカスパーゼ−9)の活性化および/またはミトコンドリア膜電位の喪失を誘導する。Nutkuら、Biochem Biophys Res Commun.、336巻:918〜924頁、2005年を参照されたい。シグレック−8は、グリカン6’−スルホ−シアリルルイスX(本明細書において、6’−スルホ−sLeXとも称される)に結合し、このグリカンへの会合は、シグレック−8発現細胞(例えば、好酸球)のアポトーシスを誘導する。Hudsonら、J Pharmacol Exp Ther.、330巻(2号):608〜12頁、2009年を参照されたい。本明細書における一部の実施形態において、シグレック−8のアゴニストは、分子(例えば、ポリマー、オリゴ糖、ポリペプチド、糖タンパク質等)に付着または連結された6’−スルホ−sLeXを有する分子である。本明細書における一部の実施形態において、アゴニストは、6’−スルホ−sLeX含有アゴニスト分子(例えば、6’−スルホ−sLeX含有リガンド、6’−スルホ−sLeX含有オリゴ糖、6’−スルホ−sLeX含有ポリペプチドおよび6’−スルホ−sLeX含有糖タンパク質)である。
一態様において、本発明は、ヒトシグレック−8に結合する単離された抗体(例えば、ヒトシグレック−8に結合するアゴニスト抗体)を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、次の特徴のうち1種または複数種を有する:(1)ヒトシグレック−8に結合する;(2)ヒトシグレック−8の細胞外ドメインに結合する;(3)マウス抗体2E2および/またはマウス抗体2C4よりも高い親和性でヒトシグレック−8に結合する;(4)マウス抗体2E2および/またはマウス抗体2C4よりも高いアビディティーでヒトシグレック−8に結合する;(5)熱シフトアッセイにおいて約70℃〜72℃またはそれより高いTmを有する;(6)低下した程度のフコシル化を有するまたはフコシル化していない;(7)好酸球において発現したヒトシグレック−8に結合し、好酸球のアポトーシスを誘導する;(8)肥満細胞において発現したヒトシグレック−8に結合し、肥満細胞の数を枯渇または低下させる;(9)肥満細胞において発現したヒトシグレック−8に結合し、肥満細胞のFcεRI依存性活性(例えば、ヒスタミン放出、PGD2放出、Ca2+フラックスおよび/またはβ−ヘキソサミニダーゼ放出等)を阻害する;(10)ADCC活性を改善するように操作されている;ならびに(11)ADCC活性に対し感受性があるB細胞株において発現したヒトシグレック−8に結合し、B細胞数を枯渇または低下させる。
(a)
(1)配列番号26〜29から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR1、
(2)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
(3)配列番号31〜36から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR2、
(4)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、
(5)配列番号38〜43から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR3、
(6)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3および
(7)配列番号45〜46から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR4
を含む重鎖可変ドメイン
および/または
(b)
(1)配列番号48〜49から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR1、
(2)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
(3)配列番号51〜53から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR2、
(4)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、
(5)配列番号55〜58から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR3、
(6)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3および
(7)配列番号60のアミノ酸配列を含むLC−FR4
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む抗体が本明細書において提供される。
一部の態様において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、マウス抗体2E2および/またはマウス抗体2C4と比較した場合に、ほぼ同じもしくはより高い親和性および/またはより高いアビディティーでヒトシグレック−8に結合する。ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗シグレック−8抗体は、≦1μM、≦150nM、≦100nM、≦50nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nM(例えば、10−8Mまたはそれに満たない、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、マウス抗体2E2および/またはマウス抗体2C4よりも約1.5倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍または約10倍高い親和性で、ヒトシグレック−8に結合する。本明細書における一部の実施形態において、抗シグレック−8抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および/または配列番号16もしくは21から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
一実施形態において、抗シグレック−8抗体の結合アビディティーは、表面プラズモン共鳴アッセイにより決定することができる。例えば、KdまたはKd値は、BIAcore T100を使用することにより測定することができる。捕捉抗体(例えば、ヤギ−抗ヒト−Fcおよびヤギ−抗マウス−Fc)は、CM5チップ上に固定化される。フローセルは、抗ヒトまたは抗マウス抗体により固定化することができる。ある温度および流速、例えば、25℃、流速30μl/分でアッセイを行う。二量体シグレック−8は、アッセイバッファーにおいて様々な濃度で、例えば、15nM〜1.88pMに及ぶ濃度で希釈する。抗体を捕捉し、高速注射、続いて解離を行う。バッファー、例えば、50mMグリシンpH1.5でフローセルを再生する。空の参照セルおよび複数のアッセイバッファー注射により結果をブランク作成し、1:1グローバルフィットパラメータにより解析する。
競合アッセイを使用して、2種の抗体が、同一もしくは立体的に重複するエピトープを認識することにより、同じエピトープに結合するか、または一方の抗体が、抗原への別の抗体の結合を競合的に阻害するか決定することができる。このようなアッセイは、本技術分野で公知である。典型的には、抗原または抗原発現細胞が、マルチウェルプレートに固定化され、標識抗体の結合を遮断する非標識抗体の能力が測定される。斯かる競合アッセイに一般的な標識は、放射性標識または酵素標識である。一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、細胞(例えば、好酸球または肥満細胞)の細胞表面に存在するエピトープへの結合に関して、本明細書に記載されている2E2抗体と競合する。一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、細胞(例えば、好酸球または肥満細胞)の細胞表面に存在するエピトープへの結合に関して、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、細胞(例えば、好酸球または肥満細胞)の細胞表面に存在するエピトープへの結合に関して、本明細書に記載されている2C4抗体と競合する。一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、細胞(例えば、好酸球または肥満細胞)の細胞表面に存在するエピトープへの結合に関して、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(米国特許第8,207,305号に見出されるものと同様に)および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(米国特許第8,207,305号に見出されるものと同様に)を含む抗体と競合する。
一部の態様において、本明細書に記載されている抗シグレック−8は、熱シフトアッセイにおいて少なくとも約70℃、少なくとも約71℃または少なくとも約72℃の融解温度(Tm)を有する。例示的な熱シフトアッセイにおいて、ヒト化抗シグレック−8抗体を含む試料を、qPCRサーマルサイクラーにおいて1サイクル毎に1℃増加させつつ71サイクルにわたり蛍光色素(Sypro Orange)と共にインキュベートして、Tmを決定する。本明細書における一部の実施形態において、抗シグレック−8抗体は、マウス2E2抗体および/またはマウス2C4抗体と比較した場合に、同様のまたはより高いTmを有する。本明細書における一部の実施形態において、抗シグレック−8抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号16もしくは21から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗シグレック−8抗体は、キメラ2C4抗体と比較した場合に同じまたはより高いTmを有する。一部の実施形態において、抗シグレック−8抗体は、配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖を有する抗体と比較した場合に同じまたはより高いTmを有する。
一部の態様において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、好酸球のアポトーシスを誘導する。一部の他の態様において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体は、肥満細胞を枯渇させる。細胞のアポトーシスを評価するためのアッセイは、本技術分野において周知であり、例えば、アネキシンVによる染色およびTUNNELアッセイが挙げられる。例示的な細胞アポトーシスアッセイにおいて、血液試料由来の新鮮バフィーコートを培地に再懸濁し、96ウェルU字底プレートで平板培養する。抗シグレック−8抗体の一連の系列5倍希釈を各ウェルに添加し、このプレートを37℃、5%CO2で4時間より長くインキュベートする。PBSに希釈したパラホルムアルデヒドで細胞を固定し、顕微鏡を使用した検出のための好酸球に特異的なコンジュゲートされた抗体で染色する。バフィーコートが抗シグレック−8抗体の存在下でインキュベートされないときと比較した場合に、バフィーコートが抗シグレック−8抗体の存在下でインキュベートされたときの総末梢血白血球における好酸球集団を評価する。別の例示的なアッセイにおいて、血液試料から精製された好酸球(例えば、Miltenyi好酸球単離キット)を培地に再懸濁し、IL−5の存在または非存在下で一晩培養する。培養した好酸球をその後、遠心分離によって収集し、培地に再懸濁し、96ウェルU字底プレートで平板培養する。抗シグレック−8抗体の一連の系列5倍希釈を各ウェルに添加し、このプレートを37℃、5%CO2で4時間より長くインキュベートする。本技術分野において周知の標準技法を使用して細胞を固定し、アネキシン−Vで染色し、顕微鏡を使用して好酸球の数を検出する。精製された細胞が抗シグレック−8抗体の存在下でインキュベートされないときと比較した場合に、精製された細胞が抗シグレック−8抗体の存在下でインキュベートされたときの試料における好酸球集団を評価する。
本明細書に記載されている抗体(例えば、ヒトシグレック−8に結合する抗体)は、抗体を作製するための本技術分野において利用できる技法を使用して調製されるが、そのうち例示的な方法について次のセクションでより詳細に記載する。
本発明は、抗体断片を包含する。抗体断片は、酵素消化等の伝統的な手段または組換え技法によって作製することができる。ある特定の状況下で、全抗体ではなく抗体断片を使用する利点がある。ある特定の抗体断片の概説に関しては、Hudsonら(2003年)Nat. Med.9巻:129〜134頁を参照されたい。
本発明は、ヒト化抗体を包含する。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が、本技術分野で公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された1個または複数のアミノ酸残基を有することができる。このような非ヒトアミノ酸残基は多くの場合、「移入」残基と称され、これは典型的には、「移入」可変ドメインから得られる。ヒト化は基本的に、高頻度可変領域配列をヒト抗体の相当する配列の代わりに置換することにより、Winterの方法に従って行うことができる(Jonesら(1986年)Nature 321巻:522〜525頁;Riechmannら(1988年)Nature 332巻:323〜327頁;Verhoeyenら(1988年)Science 239巻:1534〜1536頁)。したがって、斯かる「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、インタクトなヒト可変ドメインに実質的に満たないものが、非ヒト種由来の相当する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は典型的には、いくつかの高頻度可変領域残基およびおそらくいくつかのFR残基が、齧歯類抗体における類似性部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。
本発明のヒト抗シグレック−8抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列(複数可)と公知ヒト定常ドメイン配列(複数可)を組み合わせることにより構築することができる。あるいは、本発明のヒトモノクローナル抗シグレック−8抗体は、ハイブリドーマ方法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒトミエローマおよびマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株は、例えば、Kozbor、J. Immunol.、133巻:3001頁(1984年);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁(Marcel Dekker, Inc.、New York、1987年);およびBoernerら、J. Immunol.、147巻:86頁(1991年)によって記載されている。
二重特異性抗体は、少なくとも2種の異なる抗原に対し結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態において、二重特異性抗体は、ヒトまたはヒト化抗体である。ある特定の実施形態において、結合特異性のうち一方は、シグレック−8に対するものであり、他方は、他のいずれかの抗原に向けられている。ある特定の実施形態において、二重特異性抗体は、シグレック−8の2種の異なるエピトープに結合することができる。二重特異性抗体を使用して、シグレック−8を発現する細胞に細胞傷害性薬剤を局在化させることもできる。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製することができる。
一部の実施形態において、本発明の抗体は、シングルドメイン抗体である。シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全体もしくは部分または軽鎖可変ドメインの全体もしくは部分を含む単一のポリペプチド鎖である。ある特定の実施形態において、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(Domantis,Inc.、Waltham、Mass.;例えば、米国特許第6,248,516(B1)号を参照)。一実施形態において、シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全体または部分からなる。
一部の実施形態において、本明細書に記載されている抗体のアミノ酸配列修飾(複数可)が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましくなり得る。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な変化を導入することにより、あるいはペプチド合成により調製することができる。斯かる修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失および/またはそれへの挿入および/またはその置換を含む。欠失、挿入および置換のいずれかの組合せを為して、最終構築物に到達することができるが、この最終構築物が、所望の特徴を保有することを条件とする。アミノ酸変更は、配列が作製されるときに対象抗体アミノ酸配列に導入することができる。
York(1975年)):
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)無電荷極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向性に影響を与える残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
本発明の抗体の組換え産生のため、これをコードする核酸を単離し、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために複製可能なベクターに挿入する。抗体をコードするDNAは、従来手順を使用して(例えば、抗体の重および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離および配列決定される。多くのベクターを利用できる。ベクターの選択は、一部には、使用するべき宿主細胞に依存する。一般に、宿主細胞は、原核生物または真核生物(一般には哺乳動物)起源のいずれかである。IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE定常領域を含むいかなるアイソタイプの定常領域をこの目的のために使用してもよく、いかなるヒトまたは動物種から斯かる定常領域を得てもよいことが認められよう。
a)ベクター構築
本発明の抗体のポリペプチド構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、標準組換え技法を使用して得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列は、ハイブリドーマ細胞等、抗体産生細胞から単離および配列決定することができる。あるいは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成機またはPCR技法を使用して合成することができる。得られた後に、ポリペプチドをコードする配列は、原核生物宿主において異種ポリヌクレオチドを複製および発現することができる組換えベクターに挿入する。利用できる本技術分野で公知の多くのベクターを本発明の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、主に、ベクターに挿入されるべき核酸のサイズおよびベクターで形質転換されるべき特定の宿主細胞に依存するであろう。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現またはその両方)およびこれが存在する特定の宿主細胞との適合性に応じて様々な構成成分を含有する。ベクター構成成分として、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物および転写終結配列が一般に挙げられるがこれらに限定されない。
宿主細胞は、上述の発現ベクターで形質転換され、プロモーターを誘導するため、形質転換体を選択するため、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するための、必要に応じて修飾された従来の栄養培地において培養される。
一実施形態において、本明細書における産生された抗体タンパク質は、さらに精製されて、さらなるアッセイおよび使用のために実質的に均一な調製物を得る。本技術分野で公知の標準タンパク質精製方法を用いることができる。次の手順は、適した精製手順に例示的である:免疫親和性またはイオン交換カラムにおける分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、DEAE等、シリカまたはカチオン交換樹脂におけるクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿および例えば、Sephadex G−75を使用したゲル濾過。
真核生物宿主細胞における使用のためのベクターは一般に、次の非限定的構成成分のうち1種または複数を含む:シグナル配列、複製起点、1種または複数種のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列。
真核生物宿主細胞における使用のためのベクターは、目的の成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的な切断部位を有する、シグナル配列または他のポリペプチドを含有することもできる。選択された異種シグナル配列は、宿主細胞により認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)配列となり得る。哺乳動物細胞発現において、哺乳動物シグナル配列およびウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。斯かる前駆体領域のためのDNAは、抗体をコードするDNAに読み取り枠でライゲーションされる。
一般に、複製起点構成成分は、哺乳動物発現ベクターには必要とされない。例えば、SV40起点は、典型的には、初期プロモーターを含有するという理由でのみ使用することができる。
発現およびクローニングベクターは、選択可能マーカーとも命名される選択遺伝子を含有することができる。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートもしくはテトラサイクリンに対する抵抗性を付与する、(b)関連する場合、栄養要求性欠乏を補完する、または(c)複合培地から得ることができない重大な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
発現およびクローニングベクターは通常、宿主生物によって認識され、目的のポリペプチド(例えば、抗体)をコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含有する。プロモーター配列は、真核生物で公知である。例えば、実際ではあらゆる真核生物遺伝子は、転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始から70〜80塩基上流に見出された別の配列は、CNCAAT領域であり、Nは、いかなるヌクレオチドでもよい。大部分の真核生物遺伝子の3’端には、コード配列の3’端へのポリAテイルの付加のためのシグナルとなり得るAATAAA配列がある。ある特定の実施形態において、これらの配列のいずれかまたは全てを、真核生物発現ベクターに適切に挿入することができる。
高等真核生物による本発明の抗体をコードするDNAの転写は、多くの場合、ベクターにエンハンサー配列を挿入することにより増加する。多くのエンハンサー配列が、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインスリン)から現在公知である。しかし典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用されるであろう。例として、複製起点の後方(late side)(bp100〜270)のSV40エンハンサー、ヒトサイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、マウスサイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後方のポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサーエレメントについて記載するYaniv、Nature 297巻:17〜18頁(1982年)も参照されたい。エンハンサーは、抗体ポリペプチドコード配列に対し5’位または3’位においてベクターにスプライスすることができるが、一般に、プロモーターから5’の部位に位置する。
真核生物宿主細胞において使用される発現ベクターは、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含有することもできる。斯かる配列は、真核生物またはウイルスDNAまたはcDNAの5’および場合により3’非翻訳領域から一般的に利用できる。このような領域は、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。有用な転写終結構成成分の1種は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026およびそこに開示されている発現ベクターを参照されたい。
本明細書におけるベクターにおけるDNAのクローニングまたは発現に適した宿主細胞は、脊椎動物宿主細胞を含む、本明細書に記載されている高等真核生物細胞を含む。培養(組織培養)における脊椎動物細胞の繁殖は、ルーチン手順となった。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1系列(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓系列(懸濁培養における育成のためにサブクローニングされた293または293細胞、Grahamら、J. Gen Virol.36巻:59頁(1977年));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaubら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77巻:4216頁(1980年));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol. Reprod.23巻:243〜251頁(1980年));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット(buffalo rat)肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y. Acad. Sci.383巻:44〜68頁(1982年));MRC5細胞;FS4細胞;CHOK1細胞、CHOK1SV細胞または派生体およびヒトヘパトーマ系列(Hep G2)である。
本発明の抗体の産生に使用される宿主細胞は、種々の培地において培養することができる。HamのF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、Sigma)、RPMI−1640(Sigma)およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma)等、市販の培地は、宿主細胞の培養に適する。加えて、Hamら、Meth. Enz.58巻:44頁(1979年)、Barnesら、Anal. Biochem.102巻:255頁(1980年)、米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;同第4,560,655号;もしくは同第5,122,469号;WO90/03430;WO87/00195;または米国再発行特許(U.S. Pat. Re.)30,985に記載されている培地のいずれかを宿主細胞のための培養培地として使用することができる。これらの培地のいずれも、ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリンまたは上皮増殖因子等)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩等)、バッファー(HEPES等)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジン等)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬物等)、微量元素(マイクロモル濃度範囲内の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義)ならびにグルコースまたは等価なエネルギー源を必要に応じて補充することができる。他のいずれかの補充物質が、当業者に公知の適切な濃度で含まれていてもよい。温度、pHその他等、培養条件は、発現のために選択された宿主細胞により以前に使用された条件であり、当業者には明らかとなろう。
組換え技法を使用する場合、抗体は、細胞内に産生することができる、あるいは培地に直接的に分泌することができる。抗体が、細胞内に産生される場合、第1のステップとして、宿主細胞または溶解された断片のあらゆる粒子状デブリは、例えば、遠心分離または限外濾過により除去することができる。抗体が、培地に分泌される場合、斯かる発現系から得た上清は、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して先ず濃縮することができる。PMSF等、プロテアーゼ阻害剤が、タンパク質分解を阻害するために前述ステップのいずれかに含まれていてよく、抗生物質が、偶発的な夾雑物の成長を予防するために含まれていてよい。
フコシル化の程度が低下した抗体を調製するための方法が本明細書に提供されている。例えば、本明細書において企図される方法として、タンパク質フコシル化が欠損した細胞株の使用(例えば、Lec13 CHO細胞、アルファ−1,6−フコシル基転移酵素遺伝子ノックアウトCHO細胞、β1,4−N−アセチルグルコサミン転移酵素IIIを過剰発現する細胞およびゴルジμ−マンノシダーゼIIをさらに過剰発現する細胞等)および抗体の産生に使用される細胞培養培地におけるフコースアナログ(複数可)の添加が挙げられるがこれらに限定されない。Ripkaら、Arch. Biochem. Biophys.249巻:533〜545頁(1986年);米国特許出願公開第2003/0157108(A1)号、Presta, L;WO2004/056312(A1);Yamane−Ohnukiら、Biotech. Bioeng.87巻:614頁(2004年);および米国特許第8,574,907号を参照されたい。抗体のフコース含量を低下させるための追加的な技法は、米国特許出願公開第2012/0214975号に記載されているGlymaxx技術を含む。抗体のフコース含量を低下させるための追加的な技法は、抗体の産生に使用される細胞培養培地における1種または複数種のグリコシダーゼ阻害剤の添加も含む。グリコシダーゼ阻害剤は、α−グルコシダーゼI、α−グルコシダーゼIIおよびα−マンノシダーゼIを含む。一部の実施形態において、グリコシダーゼ阻害剤は、α−マンノシダーゼIの阻害剤である(例えば、キフネンシン)。
一部の態様において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体(例えば、シグレック−8に結合する抗体)または本明細書に記載されているアゴニストのいずれかを含む組成物(例えば、医薬組成物)も本明細書に提供される。一部の態様において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体を含む組成物であって、抗体が、Fc領域と、Fc領域に連結されたN−グリコシド結合型炭水化物鎖とを含み、N−グリコシド結合型炭水化物鎖の約50%未満が、フコース残基を含有する組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、抗体は、Fc領域と、Fc領域に連結されたN−グリコシド結合型炭水化物鎖とを含み、N−グリコシド結合型炭水化物鎖の約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%または約15%未満が、フコース残基を含有する。一部の態様において、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体を含む組成物であって、抗体が、Fc領域と、Fc領域に連結されたN−グリコシド結合型炭水化物鎖とを含み、N−グリコシド結合型炭水化物鎖の実質的に全てが、フコース残基を含有しない組成物が本明細書において提供される。
別の態様では、本明細書に記載されている抗シグレック−8抗体(例えば、ヒトシグレック−8に結合する抗体)または本明細書に記載されているアゴニストを含む製造品またはキットが提供される。製造品またはキットは、本発明の方法における抗体またはアゴニストの使用のための指示をさらに含むことができる。よって、ある特定の実施形態では、製造品またはキットは、個体における進行性全身性肥満細胞症を処置または予防するための方法であって、個体に、抗シグレック−8抗体またはヒトシグレック−8に結合するアゴニストの有効量を投与するステップを含む方法における、抗シグレック−8抗体またはヒトシグレック−8に結合するアゴニストの使用のための指示を含む。ある特定の実施形態では、製造品は、ヒトシグレック−8に結合する抗体またはアゴニストを含む医薬と、進行性全身性肥満細胞症を処置または予防するための、該医薬の投与を必要とする個体における該医薬の投与のための指示を含む添付文書とを含む。一部の実施形態では、進行性全身性肥満細胞症は、侵襲性全身性肥満細胞症(ASM)、肥満細胞白血病(MCL)および非肥満細胞性血液腫瘍性疾患関連全身性肥満細胞症(SM−AHNMD)からなる群から選択される。一部の実施形態では、SM−AHNMDは、SM−骨髄異形成症候群(SM−MDS)、SM−骨髄増殖性新生物(SM−MPN)、SM−慢性骨髄単球性白血病(SM−CMML)、SM−慢性好酸球性白血病(SM−CEL)およびSM−急性骨髄性白血病(SM−AML)からなる群から選択される。一部の実施形態では、進行性全身性肥満細胞症は、好酸球増加症に関連する。一部の実施形態では、進行性全身性肥満細胞症は、クラドリビン、インターフェロン−α、副腎皮質ステロイド、チロシンキナーゼ阻害剤またはこれらの組合せによって適切に制御されない。一部の実施形態では、個体は、KITに変異を有する。一部の実施形態では、個体は、KIT D816V変異を有する。一部の実施形態では、添付文書は、処置が、抗体またはアゴニストを含む医薬の投与前のベースラインレベルと比較して、個体から得られる試料におけるシグレック−8を発現する肥満細胞の少なくとも約20%の枯渇において有効であることをさらに示す。一部の実施形態では、試料は、組織試料または生体液である。一部の実施形態では、生体液試料は、血液または尿である。一部の実施形態では、組織試料は、皮膚または骨髄である。一部の実施形態では、添付文書は、処置が、医薬の投与前のベースラインレベルと比較して、進行性全身性肥満細胞症を有する個体における1つまたは複数の症状の低下において有効であることをさらに示す。一部の実施形態では、個体は、抗体またはアゴニストを含む医薬の投与前に、進行性全身性肥満細胞症と診断される。ある特定の実施形態では、個体は、ヒトである。
全身性肥満細胞症患者由来の細胞における抗シグレック−8抗体のIn vitro活性
全身性肥満細胞症(SM)を有する個体由来の血液および骨髄試料における抗シグレック−8抗体の活性を調査した。
抗体
本研究において使用された抗シグレック−8抗体は、IgG4アイソタイプを有するヒト化抗体(本明細書において「抗体1」と称される)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を増強する目的のため非フコシル化IgG1κ定常領域を有するように操作されたヒト化抗体(本明細書において「抗体2」と称される)、およびAlexa Fluor(登録商標)647にコンジュゲートされた、IgG1κアイソタイプを有するマウス抗体(本明細書において「マウス1H10抗体」と称される)を含んだ(表6)。ヒト細胞のin vitro特徴付けに使用された抗体は、表7に見出すことができる。
全身性肥満細胞症患者から、新鮮なヒト血液(ヘパリンナトリウムで抗凝固処理)を得た。製造業者の指示に従って、1×RBC溶解バッファー(eBioscience、00−4300−54)における2ラウンドの赤血球(RBC)溶解により血液を処理した。末梢血白血球(PBL)細胞ペレットを、50mLリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、遠心分離し、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI−1640、10mLに懸濁し、40μmナイロンフィルターに通した。白血球を計数した。ナチュラルキラー(NK)細胞単離キット(Miltenyi Biotech、#130−092−657)を使用して、全身性肥満細胞症患者の末梢血細胞からNK細胞をさらに単離した。富化された集団を計数し、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI−1640に懸濁した。
全身性肥満細胞症患者から、新鮮なヒト骨髄吸引物(ヘパリンナトリウムで抗凝固処理)を得た。製造業者の指示に従って、1×RBC溶解バッファー(eBioscience、00−4300−54)における1ラウンドの赤血球(RBC)溶解により、骨髄吸引物を処理した。細胞ペレットを、50mLリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄し、遠心分離し、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含有するRPMI−1640、10mLに懸濁し、40μmナイロンフィルターに通した。細胞を計数した。肥満細胞富化が行われる試料では、精製された細胞は、代わりに100ng/ml rhSCF(R&D Systems、255−SC)を含有するPBS、5mLに懸濁した。細胞を計数し、製造業者の指示に従ったCD117マイクロビーズキット(Miltenyi Biotech、#130−091−332)による正の選択によって、CD117+高肥満細胞を富化した。富化された集団を計数し、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含有し、100ng/ml rhSCFを含有するRPMI−1640に懸濁した。
ADCCおよび補体依存性細胞傷害(CDC)活性に対し感受性があるヒトB細胞の細胞株であるRamosに全長シグレック−8をトランスフェクトして、シグレック−8を発現する安定にトランスフェクトされた細胞株を生成した。シグレック−8の均一で安定した発現を有するクローン(2C10)を同定した(本明細書において「Ramos 2C10標的細胞」と称される)。Ramos 2C10標的細胞は、細胞当たりおよそ51,000個のシグレック−8分子を発現した。
患者血液から単離されたPBLを、10%FCSを含有する100μL培地中ウェル当たり5×105個の細胞で96ウェルプレート(Falcon、353077)に播種した。肥満細胞と同様のレベルでシグレック−8を発現するシグレック−8トランスフェクトRamos細胞(Ramos 2C10標的細胞)を、ウェル当たり5×104個の細胞で添加した(エフェクター:標的細胞比10:1)。非フコシル化(fuscosylated)ヒト化抗シグレック−8抗体(抗体2)またはヒトIgG1アイソタイプ対照抗体を培地に希釈し、10μg/mLから1pg/mLの10倍希釈系列で細胞に添加した。細胞を48時間、37℃、5%CO2中でインキュベートした。プレートを300gで2分間遠心分離し、上清を除去した。フローサイトメトリー解析のために細胞を、蛍光活性化細胞選別(FACS)バッファーにおいて、Ramos細胞のマーカーであるCD20に結合する抗体と、生存判別色素7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)で4℃にて20分間染色した(表7を参照)。次に、プレートを300gで2分間遠心分離し、上清を除去した。細胞をPBS中の1%パラホルムアルデヒドに懸濁し、FACS Calibur機器(Becton、Dickinson and Company)においてフローサイトメトリーによって解析した。ヒトIgG1アイソタイプ対照と比較した、非フコシル化(fuscosylated)ヒト化抗シグレック−8抗体(抗体2)の存在下におけるCD20+、SSC/FSChiRamos 2C10標的細胞の喪失によって、Ramos 2C10標的細胞枯渇を測定した。
7名の全身性肥満細胞症患者由来の骨髄または血液試料が解析に含まれた(SSM、n=1;ASM、n=1;およびSM−AHNMD、n=5(サブタイプはSM−CMML、n=3;SM−MDS、n=1;SM−CEL、n=1))。各全身性肥満細胞症患者の人口統計学的および臨床的特色は、骨髄および血液試料を得たときに取得した(表8)。全身性肥満細胞症研究集団における全患者が白人であった。6名の患者がKIT D816V陽性であった。試料収集のときに、処置は、ミドスタウリン(n=2);クラドリビン(n=1);副腎皮質ステロイド(n=1)を含んでおり;3名の患者は、いかなる生物学的または細胞減少性療法も受けていなかった。
Claims (93)
- 個体における進行性全身性肥満細胞症を処置または予防するための方法であって、該個体に、ヒトシグレック−8に結合する抗体の有効量を投与するステップを含む、方法。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、侵襲性全身性肥満細胞症(ASM)、肥満細胞白血病(MCL)および非肥満細胞性血液腫瘍性疾患関連全身性肥満細胞症(SM−AHNMD)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記SM−AHNMDが、SM−骨髄異形成症候群(SM−MDS)、SM−骨髄増殖性新生物(SM−MPN)、SM−慢性骨髄単球性白血病(SM−CMML)、SM−慢性好酸球性白血病(SM−CEL)およびSM−急性骨髄性白血病(SM−AML)からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、好酸球増加症に関連する、請求項1に記載の方法。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、クラドリビン、インターフェロン−α、副腎皮質ステロイド、チロシンキナーゼ阻害剤またはこれらの組合せによって適切に制御されない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記個体が、KIT D816V変異を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、該抗体の投与前のベースラインレベルと比較して、前記個体から得られる試料におけるシグレック−8を発現する肥満細胞の少なくとも約20%を枯渇させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料が、組織試料または生体液試料である、請求項7に記載の方法。
- 前記生体液試料が、血液試料である、請求項8に記載の方法。
- 前記組織試料が、骨髄試料、皮膚試料、脾臓試料、リンパ節試料、肝臓試料または胃腸管試料である、請求項8に記載の方法。
- 進行性全身性肥満細胞症を有する前記個体における1つまたは複数の症状が、前記抗体の投与前のベースラインレベルと比較して低下する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記個体が、前記抗体の投与前に進行性全身性肥満細胞症と診断される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、(i)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、(i)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号16もしくは21から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトIgG Fc領域が、ヒトIgG1を含む、請求項15に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号75のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号76もしくは77から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、(i)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号67〜70から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、(i)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号11〜14から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号23〜24から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号2〜14から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号16〜24から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号2〜10から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号16〜22から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、以下:
(a)以下:
(1)配列番号26〜29から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR1、
(2)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
(3)配列番号31〜36から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR2、
(4)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、
(5)配列番号38〜43から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR3、
(6)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3および
(7)配列番号45〜46から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR4
を含む重鎖可変領域、ならびに/または
(b)以下:
(1)配列番号48〜49から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR1、
(2)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
(3)配列番号51〜53から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR2、
(4)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、
(5)配列番号55〜58から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR3、
(6)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3および
(7)配列番号60のアミノ酸配列を含むLC−FR4
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、以下:
(a)以下:
(1)配列番号26のアミノ酸配列を含むHC−FR1、
(2)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
(3)配列番号34のアミノ酸配列を含むHC−FR2、
(4)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、
(5)配列番号38のアミノ酸配列を含むHC−FR3、
(6)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3および
(7)配列番号45のアミノ酸配列を含むHC−FR4
を含む重鎖可変領域、ならびに/または
(b)以下:
(1)配列番号48のアミノ酸配列を含むLC−FR1、
(2)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
(3)配列番号51のアミノ酸配列を含むLC−FR2、
(4)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、
(5)配列番号55のアミノ酸配列を含むLC−FR3、
(6)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3および
(7)配列番号60のアミノ酸配列を含むLC−FR4
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、以下:
(a)以下:
(1)配列番号26のアミノ酸配列を含むHC−FR1、
(2)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
(3)配列番号34のアミノ酸配列を含むHC−FR2、
(4)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、
(5)配列番号38のアミノ酸配列を含むHC−FR3、
(6)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3および
(7)配列番号45のアミノ酸配列を含むHC−FR4
を含む重鎖可変領域、ならびに/または
(b)以下:
(1)配列番号48のアミノ酸配列を含むLC−FR1、
(2)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
(3)配列番号51のアミノ酸配列を含むLC−FR2、
(4)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、
(5)配列番号58のアミノ酸配列を含むLC−FR3、
(6)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3および
(7)配列番号60のアミノ酸配列を含むLC−FR4
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、以下:
(a)(i)配列番号88のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号91のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む重鎖可変領域、ならびに/または(i)配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号100のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む軽鎖可変領域、
(b)(i)配列番号89のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む重鎖可変領域、ならびに/または(i)配列番号98のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号101のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む軽鎖可変領域、
(c)(i)配列番号90のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む重鎖可変領域、ならびに/または(i)配列番号99のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、
a.配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
b.配列番号107のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または配列番号110のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
c.配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項25に記載の方法。 - 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、IgG1抗体である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を改善するように操作されている、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、ADCC活性を改善する、Fc領域における少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、請求項29に記載の方法。
- 前記抗体の重鎖のうち少なくとも1または2つが、フコシル化していない、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1〜25および27〜31のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、Fab、Fab’−SH、Fv、scFvおよび(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片を含む、請求項1〜32に記載の方法。
- 前記抗体が、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、成長阻害性薬剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、副腎皮質ステロイド、抗体または抗がん剤からなる群から選択される1種または複数種の追加的な治療剤と組み合わせて投与される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
- 進行性全身性肥満細胞症を有する個体におけるシグレック−8を発現する肥満細胞を枯渇させる方法であって、該個体に、ヒトシグレック−8に結合する抗体の有効量を投与するステップを含み、該抗体が、ADCC活性によってシグレック−8を発現する肥満細胞を死滅させる、方法。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、侵襲性全身性肥満細胞症(ASM)、肥満細胞白血病(MCL)および非肥満細胞性血液腫瘍性疾患関連全身性肥満細胞症(SM−AHNMD)からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
- 前記SM−AHNMDが、SM−骨髄異形成症候群(SM−MDS)、SM−骨髄増殖性新生物(SM−MPN)、SM−慢性骨髄単球性白血病(SM−CMML)、SM−慢性好酸球性白血病(SM−CEL)およびSM−急性骨髄性白血病(SM−AML)からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、好酸球増加症に関連する、請求項35に記載の方法。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、クラドリビン、インターフェロン−α、副腎皮質ステロイド、チロシンキナーゼ阻害剤またはこれらの組合せによって適切に制御されない、請求項35〜38のいずれか一項に記載の方法。
- 前記個体が、KIT D816V変異を有する、請求項35〜39のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、該抗体の投与前のベースラインレベルと比較して、前記個体から得られる試料におけるシグレック−8を発現する前記肥満細胞の少なくとも約20%を枯渇させる、請求項35〜40のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料が、組織試料または生体液試料である、請求項41に記載の方法。
- 前記生体液試料が、血液試料である、請求項42に記載の方法。
- 前記組織試料が、骨髄試料、皮膚試料、脾臓試料、リンパ節試料、肝臓試料または胃腸管試料である、請求項42に記載の方法。
- 進行性全身性肥満細胞症を有する前記個体における1つまたは複数の症状が、前記抗体の投与前のベースラインレベルと比較して低下する、請求項35〜44のいずれか一項に記載の方法。
- 前記個体が、前記抗体の投与前に進行性全身性肥満細胞症と診断される、請求項35〜45のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、(i)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、(i)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号16もしくは21から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含む、請求項35〜48のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトIgG Fc領域が、ヒトIgG1を含む、請求項49に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号75のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号76もしくは77から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、(i)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号67〜70から選択されるアミノ酸配列を含むHVR−H3を含み、および/または該軽鎖可変領域が、(i)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号71のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号11〜14から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号23〜24から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号2〜14から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号16〜24から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、配列番号2〜10から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号16〜22から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、以下:
(a)以下:
(1)配列番号26〜29から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR1、
(2)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
(3)配列番号31〜36から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR2、
(4)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、
(5)配列番号38〜43から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR3、
(6)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3および
(7)配列番号45〜46から選択されるアミノ酸配列を含むHC−FR4
を含む重鎖可変領域、ならびに/または
(b)以下:
(1)配列番号48〜49から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR1、
(2)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
(3)配列番号51〜53から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR2、
(4)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、
(5)配列番号55〜58から選択されるアミノ酸配列を含むLC−FR3、
(6)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3および
(7)配列番号60のアミノ酸配列を含むLC−FR4
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、以下:
(a)以下:
(1)配列番号26のアミノ酸配列を含むHC−FR1、
(2)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
(3)配列番号34のアミノ酸配列を含むHC−FR2、
(4)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、
(5)配列番号38のアミノ酸配列を含むHC−FR3、
(6)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3および
(7)配列番号45のアミノ酸配列を含むHC−FR4
を含む重鎖可変領域、ならびに/または
(b)以下:
(1)配列番号48のアミノ酸配列を含むLC−FR1、
(2)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
(3)配列番号51のアミノ酸配列を含むLC−FR2、
(4)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、
(5)配列番号55のアミノ酸配列を含むLC−FR3、
(6)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3および
(7)配列番号60のアミノ酸配列を含むLC−FR4
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、以下:
(a)以下:
(1)配列番号26のアミノ酸配列を含むHC−FR1、
(2)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR−H1、
(3)配列番号34のアミノ酸配列を含むHC−FR2、
(4)配列番号62のアミノ酸配列を含むHVR−H2、
(5)配列番号38のアミノ酸配列を含むHC−FR3、
(6)配列番号63のアミノ酸配列を含むHVR−H3および
(7)配列番号45のアミノ酸配列を含むHC−FR4
を含む重鎖可変領域、ならびに/または
(b)以下:
(1)配列番号48のアミノ酸配列を含むLC−FR1、
(2)配列番号64のアミノ酸配列を含むHVR−L1、
(3)配列番号51のアミノ酸配列を含むLC−FR2、
(4)配列番号65のアミノ酸配列を含むHVR−L2、
(5)配列番号58のアミノ酸配列を含むLC−FR3、
(6)配列番号66のアミノ酸配列を含むHVR−L3および
(7)配列番号60のアミノ酸配列を含むLC−FR4
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、以下:
(a)(i)配列番号88のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号91のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号94のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む重鎖可変領域、ならびに/または(i)配列番号97のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号100のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号103のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む軽鎖可変領域、
(b)(i)配列番号89のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号92のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号95のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む重鎖可変領域、ならびに/または(i)配列番号98のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号101のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む軽鎖可変領域、
(c)(i)配列番号90のアミノ酸配列を含むHVR−H1、(ii)配列番号93のアミノ酸配列を含むHVR−H2および(iii)配列番号96のアミノ酸配列を含むHVR−H3を含む重鎖可変領域、ならびに/または(i)配列番号99のアミノ酸配列を含むHVR−L1、(ii)配列番号102のアミノ酸配列を含むHVR−L2および(iii)配列番号105のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項35〜46のいずれか一項に記載の方法。 - 前記抗体が、
(a)配列番号106のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号107のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または配列番号110のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号108のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または配列番号111のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項59に記載の方法。 - 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項35〜60のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、IgG1抗体である、請求項35〜61のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を改善するように操作されている、請求項35〜62のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、ADCC活性を改善する、Fc領域における少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、請求項63に記載の方法。
- 前記抗体の重鎖のうち少なくとも1または2つが、フコシル化していない、請求項35〜64のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項35〜59および61〜65のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、Fab、Fab’−SH、Fv、scFvおよび(Fab’)2断片からなる群から選択される抗体断片を含む、請求項35〜66に記載の方法。
- 前記抗体が、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、成長阻害性薬剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、副腎皮質ステロイド、抗体または抗がん剤からなる群から選択される1種または複数種の追加的な治療剤と組み合わせて投与される、請求項35〜67のいずれか一項に記載の方法。
- 前記個体が、ヒトである、請求項1〜68のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗体が、該抗体および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物中に存在する、請求項1〜69のいずれか一項に記載の方法。
- 個体における進行性全身性肥満細胞症の処置または予防における使用のための、ヒトシグレック−8に結合する抗体を含む組成物。
- 前記抗体が、Fc領域と、該Fc領域に連結されたN−グリコシド結合型炭水化物鎖とを含み、該N−グリコシド結合型炭水化物鎖の50%未満が、フコース残基を含有する、請求項71に記載の組成物。
- 前記N−グリコシド結合型炭水化物鎖の実質的に全てが、フコース残基を含有しない、請求項72に記載の組成物。
- 前記抗体が、該抗体の投与前のベースラインレベルと比較して、前記個体から得られる試料におけるシグレック−8を発現する肥満細胞の少なくとも約20%を枯渇させる、請求項71〜73のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記試料が、組織試料または生体液試料である、請求項74に記載の組成物。
- 前記生体液試料が、血液試料である、請求項75に記載の組成物。
- 前記組織試料が、骨髄試料、皮膚試料、脾臓試料、リンパ節試料、肝臓試料または胃腸管試料である、請求項75に記載の組成物。
- 進行性全身性肥満細胞症を有する前記個体における1つまたは複数の症状が、前記抗体の投与前のベースラインレベルと比較して低下する、請求項71〜77のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記抗体が、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、成長阻害性薬剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、副腎皮質ステロイド、抗体または抗がん剤からなる群から選択される1種または複数種の追加的な治療剤と組み合わせて投与される、請求項71〜78のいずれか一項に記載の組成物。
- ヒトシグレック−8に結合する抗体を含む医薬と、進行性全身性肥満細胞症を処置または予防するための、該医薬の投与を必要とする個体における該医薬の投与のための指示を含む添付文書とを含む、製造品。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、侵襲性全身性肥満細胞症(ASM)、肥満細胞白血病(MCL)および非肥満細胞性血液腫瘍性疾患関連全身性肥満細胞症(SM−AHNMD)からなる群から選択される、請求項80に記載の製造品。
- 前記SM−AHNMDが、SM−骨髄異形成症候群(SM−MDS)、SM−骨髄増殖性新生物(SM−MPN)、SM−慢性骨髄単球性白血病(SM−CMML)、SM−慢性好酸球性白血病(SM−CEL)およびSM−急性骨髄性白血病(SM−AML)からなる群から選択される、請求項81に記載の製造品。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、好酸球増加症に関連する、請求項80に記載の製造品。
- 前記進行性全身性肥満細胞症が、クラドリビン、インターフェロン−α、副腎皮質ステロイド、チロシンキナーゼ阻害剤またはこれらの組合せによって適切に制御されない、請求項80〜83のいずれか一項に記載の製造品。
- 前記個体が、KIT D816V変異を有する、請求項80〜84のいずれか一項に記載の製造品。
- 前記添付文書が、前記処置が、前記抗体を含む前記医薬の投与前のベースラインレベルと比較して、前記個体から得られる試料におけるシグレック−8を発現する肥満細胞の少なくとも約20%の枯渇において有効であることをさらに示す、請求項80〜85のいずれか一項に記載の製造品。
- 前記試料が、組織試料または生体液試料である、請求項86に記載の製造品。
- 前記生体液試料が、血液試料である、請求項87に記載の製造品。
- 前記組織試料が、骨髄試料、皮膚試料、脾臓試料、リンパ節試料、肝臓試料または胃腸管試料である、請求項87に記載の製造品。
- 前記添付文書が、前記処置が、前記抗体を含む前記医薬の投与前のベースラインレベルと比較して、進行性全身性肥満細胞症を有する前記個体における1つまたは複数の症状の低下において有効であることをさらに示す、請求項80〜89のいずれか一項に記載の製造品。
- 1種または複数種の追加的な医薬をさらに含む製造品であって、前記添付文書が、シグレック−8に結合する前記抗体を含む前記医薬と組み合わせた、該1種または複数種の追加的な医薬の同時または逐次投与のための指示をさらに含む、請求項80〜90のいずれか一項に記載の製造品。
- 前記1種または複数種の追加的な医薬が、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、成長阻害性薬剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、副腎皮質ステロイド、抗体または抗がん剤からなる群から選択される治療剤を含む、請求項91に記載の製造品。
- 前記個体が、ヒトである、請求項80〜92のいずれか一項に記載の製造品。
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