JP2018523994A - 新規な免疫グロブリン結合タンパク質およびアフィニティ精製におけるそれらの使用 - Google Patents

新規な免疫グロブリン結合タンパク質およびアフィニティ精製におけるそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本開示は、1またはそれ以上の非天然免疫グロブリン(Ig)結合ドメインを含む非天然結合タンパク質に関し、少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、アミノ酸配列X1X2X3XiXsX5X7XsQQX11AFYX1sX15LX1sX19PX21LX23X24X2sQRX28X2gfIQSLKDDPSXioSXi2Xi3Xi4LXi5EAXigKLXs2Xs3Xs4QXs5PXを備える。また、本開示は、本発明の非天然Ig結合タンパク質を含む親和性マトリックスなどの組成物にも関する。免疫グロブリンのアフィニティ精製のためのこれらのIg結合タンパク質または組成物の使用およびアフィニティ精製の方法に関する。
【選択図】図8

Description

本発明は、1またはそれ以上の非天然免疫グロブリン(Ig)結合ドメインを含む非天然結合タンパク質に関する。さらに、本発明は、本発明の非天然Ig結合タンパク質を含むアフィニティマトリックスのような組成物に関する。また、本発明は、免疫グロブリンのアフィニティ精製のためのIg結合タンパク質または組成物の使用、並びに、本発明のIg結合タンパク質を用いたアフィニティ精製方法に関する。
多くの生物工学的および薬学的応用は、抗体を含有するサンプルからの混入物質の除去を必要とする。抗体を捕捉および精製するための確立された手順は、免疫グロブリンのための選択的リガンドとして黄色ブドウ球菌由来の細菌細胞表面プロテインAを用いるアフィニティ・クロマトグラフィである(例えば、Huse et al,J.Biochem.Biophys.Methods 51,2002:217−231を参照)。野生型プロテインAは、高い親和性および選択性でIgG分子のFc領域に結合し、高温および広範囲のpH値において安定である。アルカリ安定性のような改善された特性を有するプロテインAの変異体が、抗体を精製するために利用可能であり、プロテインAリガンドを含む様々なクロマトグラフィマトリックスが市販されている。しかしながら、特に、野生型プロテインAに基づくクロマトグラフィマトリックスは、アルカリ性条件に曝露した後の免疫グロブリンに対する結合能力の喪失を示す。
[本発明の根底にある技術的課題]
抗体またはFc含有融合タンパク質の大規模製造プロセスの多くは、アフィニティ精製のためにプロテインAを使用する。
しかしながら、免疫グロブリンのアフィニティ精製を容易にするには、アフィニティ・クロマトグラフィにおけるプロテインAの適用に限界があるため、免疫グロブリンに特異的に結合する改善された特性を有する新規なIg結合タンパク質を提供する必要性が従来より存在する。したがって、1μMの親和性、さらには100nM以下の親和性を有する免疫グロブリンに対するIg結合タンパク質の特異性は、免疫グロブリンの効率的な精製のためにIg結合タンパク質にとって重要な機能的特徴である。
さらに、Ig結合タンパク質を含むクロマトグラフィマトリックスの価値を最大限に利用するためには、アフィニティリガンドマトリックスを複数回使用することが望ましい。クロマトグラフィサイクルの間に、マトリックス上の残留混入物質の浄化および除去のために徹底的な洗浄手順が必要である。この手順では、高濃度のNaOHを含むアルカリ溶液をアフィニティリガンドマトリックスに適用することが一般的な方法である。野生型プロテインAまたは天然に存在するプロテインAドメインは、そのような過酷なアルカリ性条件に長期間耐えられず、免疫グロブリンの結合能力を急速に失う。このため、免疫グロブリンに結合することができる新規なアルカリ性安定タンパク質を得ることが、この分野で必要とされている。
本発明は、免疫グロブリンのアフィニティ精製に特に適しているが、従来技術の欠点を克服する人工免疫グロブリン結合タンパク質を提供する。特に、本発明の非天然Ig結合タンパク質の重要な利点は、天然に存在するプロテインAドメインと比較して、高pHでの安定性の増加である。
以上の概説は、必ずしも本発明により解決されるすべての課題を記載しているわけではない。
第1態様において、本発明は、1またはそれ以上の非天然免疫グロブリン(Ig)結合ドメインを含む非天然Ig結合タンパク質であって、少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが配列番号1のアミノ酸配列を含む、非天然Ig結合タンパク質に関する。
第1態様の一実施形態では、少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、アミノ酸配列:XQQXllAFYX15l6LXl8l9PX2lLX232425QRX2829FIQSLKDDPSX40SX424344LX46EAX49KLX525354QX56PX58(配列番号1)を含み、ここで、
がA,V,Q,NまたはP、好ましくはN,V,PまたはAであり、
がD,AまたはQ、好ましくはDまたはAであり、
がA,SまたはNであり、
がK,QまたはN、好ましくはKまたはQであり、
がHまたはFであり、
がD,N,SまたはA、好ましくはD,SまたはAであり、
がEまたはKであり、
がD,EまたはAであり、
llがSまたはNであり、
15がE,DまたはQ、好ましくはEであり、
l6がVまたはI、好ましくはIであり、
l8がHまたはN、好ましくはHであり、
l9がLまたはM、好ましくはLであり、
2lがN,SまたはDであり、
23がTまたはN、好ましくはTであり、
24がEまたはA、好ましくはEであり、
25がDまたはEであり、
28がN,SまたはAであり、
29がGまたはA、好ましくはAであり、
40がV,QまたはTであり、
42がK,TまたはA、好ましくはKまたはAであり、
43がE,NまたはS、好ましくはEまたはSであり、
44がV,LまたはIであり、
46がGまたはAであり、
49がKまたはQであり、
52がN,SまたはDであり、
53がDまたはEであり、
54がSまたはAであり、
56がAまたはP、好ましくはAであり、
58がKまたはPであり、
前記非天然Ig結合タンパク質のヒトIgGに対する解離定数Kが1μM以下、好ましくは500nM以下、より好ましくは100nM以下である。第1実施形態では、本発明は、1またはそれ以上の非天然Ig結合ドメインを含む結合タンパク質に関し、少なくとも1つの非天然Ig結合ドメインが、アルカリ処理後も免疫グロブリンに結合する能力を有する配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。
第2態様において、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質を含む組成物に関し、好ましくは、組成物がアフィニティ分離マトリックスである。
第3態様において、本発明は、免疫グロブリンのアフィニティ精製のための、第1態様の非天然Ig結合タンパク質または第2態様の組成物の使用に関する。
第4態様において、本発明は、免疫グロブリンのアフィニティ精製方法であって、(a)免疫グロブリンを含有する液体を提供するステップと、(b)第1態様の固定化された非天然Ig結合タンパク質を含むアフィニティ分離マトリックスを提供するステップと、(c)前記液体と前記アフィニティ分離マトリックスとを接触させるステップであって、前記免疫グロブリンが固定化されたIg結合タンパク質に結合する、ステップと、(d)前記免疫グロブリンをマトリックスから溶出し、それによって前記免疫グロブリンを含む溶出液を得るステップとを含み、(e)任意選択的に、ステップ(c)とステップ(d)の間に実行される1またはそれ以上の洗浄ステップをさらに含むことを特徴とする方法に関する。
第5態様において、本発明は、第1態様に係る非天然Ig結合タンパク質の生成方法であって、各Ig結合ドメインが、天然に存在するIg結合タンパク質から、少なくとも2の天然に存在するIg結合ドメインのシャッフリングプロセスと、任意選択的な更なる突然変異の導入とにより得ることができることを特徴とする方法に関する。
第6態様において、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質をコードする核酸分子に関する。
第7態様において、本発明は、第6態様の核酸分子を含むベクターに関する。
第8態様において、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質、第6態様の核酸分子または第7態様のベクターを含む宿主細胞または非ヒト宿主に関する。
第9態様において、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質の産生方法であって、a.前記非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質を得るために、結合タンパク質の発現のための適切な条件下で、第8態様の宿主細胞を培養するステップと、b.任意選択的に、前記非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質を単離するステップとを備えることを特徴とする方法に関する。
この本発明の概要は、必ずしも本発明の全ての特徴を説明するものではない。その他の実施形態は、以下の詳細な説明の検討から明らかになるであろう。
図1Aは、Ig結合タンパク質の生成のためのシャッフリングプロセスを示す図である。図1Bは、本発明のIgG結合タンパク質の一般配列(配列番号1)を示している。数字は、結合タンパク質中の対応するアミノ酸位置を指している。「X」は、以下に示す「X」のアミノ酸から選択されるアミノ酸を指している。例えば、位置2の「X」は、A、DまたはQから選択することができる。 図2は、選択された非天然Ig結合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号9−30)を示している。 図3は、変性SDS−PAGEによりHMS174(DE3)に発現されたIgG結合タンパク質の分析を示している。可溶性画分および不溶性画分を生成し、SDSゲルに適用した。接種7時間後(図3A)および接種24時間後(図3B)の主培養物。レーン1−分子量マーカ、148464(配列番号15)の可溶性(レーン2)および不溶性(レーン3)画分、148463(配列番号14)の可溶性(レーン4)および不溶性(レーン5)画分、148461(配列番号12)の可溶性(レーン6)および不溶性(レーン7)画分。灰色の矢印は、発現したタンパク質のおおよその大きさを指し示している。 図4は、変性SDS−PAGEによる精製IgG結合タンパク質の分析を示している。148461(配列番号12)の発現および精製(図4A)および148471(配列番号22)の発現および精製(図4B)。レーン1 分子量マーカ、レーン2 不溶性画分、レーン3 可溶性画分、レーン4 フロースルーStrepTactinカラム、レーン5−9 HiLoad 16/600 Superdex 75pg溶出画分。 図5は、ELISAによるIgG結合タンパク質の結合アフィニティの分析を示している。アッセイは、オンターゲットとしてセツキシマブ(黒丸)およびアダリムマブ(白丸)で、オフターゲットとしてBSA(黒三角)で行った。Strep−Tactin−HRPを含むStrepTagを介して、IgG結合タンパク質の結合を分析した。図5Aは、Ig結合タンパク質148472(配列番号23)を示しており、配列番号23のKは、5.9nM対セツキシマブおよび5.1nM対アダリムマブである。図5Bは、Ig結合タンパク質148461(配列番号12)を示している。配列番号12のKは7.8nM対セツキシマブおよび7.5nM対アダリムマブであり、天然に存在するプロテインAドメインと比較した本発明のさらなるIgG結合タンパク質の結果が表2に示されている(実施例5を参照)。 図6は、SPR(Biacore)によるIgG結合タンパク質の結合アフィニティの分析を示している。図6Aは、Ig結合タンパク質148463(配列番号14)の分析を示している。分析した濃度は、0nM、1.56nM、3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nMであった。配列番号14のKは1.3nMである。図6Bは、Ig結合タンパク質154256(配列番号28)の分析を示している。分析した濃度は、0、0.39nM、0.78nM、1.56nM、3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nMであった。配列番号28のKは3.1nMである。さらなる結果は表3に示されている(実施例6を参照)。 図7は、SulfoLink Coupling ResinへのIgG結合タンパク質の固定化を示している。Ig結合タンパク質148470(配列番号21)のプロファイル(図7A)およびIg結合タンパク質148460(配列番号11)のプロファイル(図7B)が示されている。y軸は280nmでの吸収(mAU)を示し、y軸は溶出体積(ml)を示している。 図8は、アルカリ処理後のSulfolink resinに固定化されたIgG結合タンパク質のIg結合活性を示している。この図は、連続的な0.5M NaOH処理の80分後の、天然のプロテインAドメインE、D、A、B、CおよびドメインZと比較した、様々なIgG結合タンパク質148462(配列番号13、「13」)、148463(配列番号14、「14」)、1484672(配列番号23、「23」)の残存活性を示している。 図9は、アルカリ処理後のエポキシ活性化樹脂に固定化されたIgG結合タンパク質のIg結合を示している。Ig結合タンパク質154254(配列番号26)、154255(配列番号27)、154256(配列番号28)および154257(配列番号30)が、IgG結合タンパク質148463(配列番号14)と比較されている。6時間の連続的な0.5M NaOH処理後の残存活性が示されている。 図10は、アルカリ処理後にエポキシ活性化樹脂に固定化された1,2,4または6のIgG結合ドメインからなるIgG結合タンパク質のIg結合活性を示している。連続的な0.5MのNaOH処理の後の単量体148463(配列番号14)、二量体150570(配列番号45)、四量体150663(配列番号46)および六量体150772(配列番号47)のIgG結合活性が、示されている(0時間、薄い灰色のカラム;2時間、中間の灰色のカラム;4時間、濃い中間の灰色のカラム;6時間、濃い灰色のカラム)。
[定義]
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載した特定の方法、プロトコルおよび試薬に限定されるものではなく、それらは変更可能であることを理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
好ましくは、本明細書で使用される用語は、“A multilingual glossary of biotechnological terms:(lUPAC Recommendations)”,Leuenberger,H.G.W,Nagel,B.and Kolbl,H.eds.(1995),Helvetica Chimica Acta,CH−4010 Basel,Switzerland)に記載されているように定義される。
本明細書および添付の特許請求の範囲を通じて、文脈上別途必要な場合を除き、「comprise(備える)」という語および「comprises」および「comprising」などのその変化形は、記載された整数またはステップまたは整数またはステップの群の包含を意味するものであるが、他の整数またはステップまたは整数またはステップの群の排除を意味するものではないことを理解されたい。
本明細書の本文中には、幾つかの文書(例えば、特許、特許出願、科学刊行物、製造者の仕様書、指示書、GenBank Accession Number sequence submissionsなど)が引用されている。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような開示よりも先行する権利がないと認めるものとして解釈されるものではない。本明細書で引用される文書の幾つかは、「引用により援用される」ものとして特徴付けられる。そのように援用された文献の定義または教示と、本明細書に記載した定義または教示との間に矛盾がある場合、本明細書の記載が優先される。
本明細書中で言及されるすべての配列は、その全体的な内容および開示が本明細書の一部である添付の配列表に開示される。
「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって連結された2またはそれ以上のアミノ酸の任意の線状分子鎖を指し、生成物の特定の長さを意味するものではない。したがって、「ペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または2またはそれ以上のアミノ酸の鎖を指すために使用される任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語の代わりに、またはこれらの用語の何れかと同じ意味で使用することができる。「ポリペプチド」という用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾生成物を指すことも意図されており、それには、当技術分野で良く知られている、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、タンパク質分解切断、天然に存在しないアミノ酸による修飾および同様の修飾を含むが、これらに限定されるものではない。したがって、2またはそれ以上のタンパク質ドメインを含むIg結合タンパク質も、用語「タンパク質」または「ポリペプチド」の定義に含まれる。
本発明の文脈において、「免疫グロブリン結合タンパク質」という用語は、免疫グロブリンのFc領域に特異的に結合することができるタンパク質を説明するために使用される。このFc領域への特異的結合のために、本発明の「免疫グロブリン結合タンパク質」は、免疫グロブリン全体、Fc領域を含む免疫グロブリンフラグメント、免疫グロブリンのFc領域を含む融合タンパク質、免疫グロブリンのFc領域を含むコンジュゲートに結合することができる。本発明の「免疫グロブリン結合タンパク質」は、免疫グロブリンのFc領域に対して特異的な結合を示すが、「免疫グロブリン結合タンパク質」が免疫グロブリンのFab領域のような他の領域の低下した親和性でさらに結合することが、除外されるものではない。
本明細書を通して、「免疫グロブリン結合タンパク質」という用語は、しばしば「Ig結合タンパク質」または「Ig−結合タンパク質」と略称される。時には、例えば「免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質」という表現のように、長い形式と短縮形式の両方が同時に使用されることもある。
本発明の好ましい実施形態では、「免疫グロブリン結合タンパク質」は、1またはそれ以上の非天然Ig結合ドメインを含む。本明細書で使用する「免疫グロブリン結合ドメイン」(Ig結合ドメインと略称されることもある)という用語は、免疫グロブリンのFc領域に特異的に結合することができるタンパク質ドメインを指している。しかしながら、「免疫グロブリン結合ドメイン」は、免疫グロブリンのFab領域のような他の領域に、低下した親和性でさらに結合することが除外されるものではない。Fc領域への特異的結合に起因して、本発明の「免疫グロブリン結合ドメイン」は、免疫グロブリン全体、Fc領域を含む免疫グロブリンフラグメント、免疫グロブリンのFc領域を含む融合タンパク質、免疫グロブリンのFc領域を含むコンジュゲートに結合することができる。
本発明の好ましい実施形態では、「免疫グロブリン結合ドメイン」は、天然に存在するIg結合ドメイン、例えば黄色ブドウ球菌プロテインAのドメインC(配列番号7)またはドメインB(配列番号6)またはドメインE(配列番号3)またはドメインD(配列番号4)またはドメインA(配列番号5)に対して最大85%の配列同一性を示す非天然ドメインである。本発明の好ましい非天然Ig結合ドメインは、ドメインE、D、A、B、CおよびドメインZの位置Q9、Q10、A12、F13、Y14、L17、P20、L22、Q26、R27、F30、I31、Q32、S33、L34、K35、D36、D37、P38、S39、S41、L45、E47、A48、K50、L51、Q55、P57に対応する位置に同一のアミノ酸を有する。天然に存在するドメインE、D、A、B、CおよびドメインZに対する本発明のIg結合ドメインの同一性は、少なくとも約50%、最大で85%である。
本明細書では、第1化合物(例えば、本発明のIg結合タンパク質)が第2化合物(例えば、免疫グロブリンのような標的タンパク質などの抗原)に対して、500μM以下、好ましくは100μM以下、好ましくは50μM以下、好ましくは10μM以下、好ましくは1μM以下、好ましくは500nM以下、好ましくは100nM以下、より好ましくは50nM以下、さらにより好ましくは10nM以下の解離定数Kを有する場合に、第1化合物は第2化合物に「結合する」と考えられる。本発明による「結合」という用語は、好ましくは特異的結合に関連する。「特異的結合」は、本発明のIg結合タンパク質が、別の非免疫グロブリン標的への結合と比較して特異的である免疫グロブリンに強く結合することを意味する。例えば、Ig結合タンパク質が特異的に結合する標的(例えば、免疫グロブリン)の解離定数(K)は、結合タンパク質が特異的に結合しない標的の解離定数(K)よりも、10倍以上、好ましくは20倍以上、より好ましくは50倍以上、さらにより好ましくは100倍、200倍、500倍、または1000倍以上低い。
「解離定数」または「K」という用語は、特異的結合アフィニティ(親和性)を規定する。本明細書で使用する用語「K」(通常「モル/L」で測定され、「M」と略称されることもある)は、第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の特定の相互作用の解離平衡定数を指すものとする。本発明の文脈において、Kという用語は、免疫グロブリン結合タンパク質と免疫グロブリンとの間の結合アフィニティを説明するために特に使用される。高いアフィニティは、低いK値に対応する。したがって、「少なくとも10−7MのK」という表現は、10−7Mまたはそれ未満の値(より強く結合すること)を意味する。1×10−7Mは100nMに対応する。10−5Mから10−12Mまでの値は、定量化できる結合アフィニティと考えることができる。本発明によれば、標的結合のためのアフィニティは、500nM以下、より好ましくは100nM以下、さらにより好ましくは10nM以下の範囲とすべきである。
結合アフィニティ、すなわち解離定数Kを測定する方法は、当業者に知られており、例えば、当技術分野で知られている以下の方法:表面プラズモン共鳴(SPR)ベースの技術、バイオレイヤ干渉法(BLI)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、フローサイトメトリ、蛍光分光法、等温滴定熱量測定(ITC)、分析用超遠心法、ラジオイムノアッセイ(RIAまたはIRMA)および増強化学発光法(ECL)から選択することができる。幾つかの方法は、以下の実施例に記載されている。
本明細書で使用する「天然に存在する」という用語は、対象物を自然界で見出すことができるという事実を指している。例えば、自然界の供給源から単離することができ、実験室で人間によって意図的に改変されていない生物に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在するものである。例えば、天然に存在するIg結合ドメインは、細菌黄色ブドウ球菌、例えばプロテインAドメインC(配列番号7)またはプロテインAドメインB(配列番号6)またはプロテインAドメインE(配列番号3)またはプロテインAドメインD(配列番号4)またはプロテインAドメインA(配列番号5)から単離することができる。
これとは対照的に、本明細書で使用する「非天然」という用語は、天然に存在しない物、すなわち人間によって生成または改変された物を指している。例えば、実験室で人間により(例えば、遺伝子工学、シャッフリングプロセス、または化学反応などにより)生成された、または意図的に改変されたポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、「非天然」である。「非天然」および「人工的」という用語は、本明細書では同じ意味で使用される。例えば、少なくとも1つのIg結合ドメインを含む本発明のIg結合タンパク質は、非天然タンパク質である。
本発明において同じ意味で使用される「抗体」または「Ig」または「免疫グロブリン」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を持つ、2つの重鎖および2つの軽鎖(免疫グロブリンまたはIgG抗体)からなる4つのポリペプチド鎖構造を有するタンパク質を含む。「抗体軽鎖」という用語は、2つのタンデム免疫グロブリンドメインと、1つの定常ドメインと、抗原結合に重要な1つの可変ドメインとからなる抗体鎖の小さなポリペプチドサブユニットを示している。「抗体重鎖」という用語は、抗体のクラスまたはアイソタイプを決定する抗体の大きなポリペプチドサブユニットを示している。さらに、結合特異性を依然として保持しているそのフラグメントまたは誘導体も、「抗体」という用語に含まれる。本明細書において、抗体フラグメントは、完全またはインタクトな抗体または抗体鎖よりも少ないアミノ酸残基を含んでいると理解される。また、「抗体」という用語は、キメラ(ヒト定常ドメイン、非ヒト可変ドメイン)、一本鎖およびヒト化(非ヒトCDRを除くヒト抗体)抗体などの実施形態も含む。2つの重鎖および2つの軽鎖からなる全長IgG抗体が、本発明において最も好ましい。重鎖および軽鎖は、非共有相互作用およびジスルフィド結合を介して連結される。
本明細書中で使用される場合、用語「リンカー」という用語は、その最も広い意味において、少なくとも2つの他の分子と共有結合する分子を指している。本発明の典型的な実施形態では、「リンカー」は、第1ポリペプチドを少なくとも1つのさらなるポリペプチドと連結する部分として理解されるべきである。第2ポリペプチドは、第1ポリペプチドと同じであっても、あるいは異なっていてもよい。これらの典型的な実施形態では、ペプチドリンカーが好ましい。これは、ペプチドリンカーが、第1ポリペプチドと第2ポリペプチド、例えば第1のIg結合ドメインと第2のIg結合ドメインとを連結するアミノ酸配列であることを意味する。ペプチドリンカーは、ペプチド結合によって第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドに連結され、それによって単一の線状ポリペプチド鎖を生成する。リンカーの長さおよび組成は、少なくとも1のアミノ酸と30のアミノ酸との間で変化し得る。より具体的には、ペプチドリンカーは1−30のアミノ酸長、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29または30のアミノ酸長を有する。ペプチドリンカーのアミノ酸配列はプロテアーゼに対して安定であり、かつ/または二次構造を形成しないことが好ましい。よく知られているのは、グリシンおよびセリンのような小さなアミノ酸からなるリンカーである。リンカーは、グリシンを豊富に含むものであってもよい(例えば、リンカー中の残基の50%超がグリシン残基であってもよい)。好ましくは、グリシンおよびセリン残基のみからなる可変長のグリシン−セリン−リンカーである。一般的に、構造(SGGG)のリンカーまたはSGGGの並べ替え、例えば、(GGGS)のリンカーを用いることができ、ここで、nは1乃至6のいずれかの数字であり、好ましくは1,2または3である。また、アミノ酸をさらに含むリンカーも好ましい。本発明の好ましい実施形態は、アラニン、プロリンおよびセリンからなるリンカーを含む。ペプチドリンカーは、約40%−60%のアラニン、約20%−35%のプロリン、および約10%−30%のセリンからなることが好ましい。好ましくは、アミノ酸アラニン、プロリンおよびセリンはリンカーアミノ酸配列全体に亘って均一に分布し、最大で2,3,4または5個の同一のアミノ酸残基、好ましくは最大で3個アミノ酸が隣接していることが好ましい。タンパク質の融合のための他のリンカーは、当技術分野で公知であり、使用することができる。
本発明において使用可能な例示的リンカーは、少なくともアミノ酸配列SGを有するリンカーまたはその他のリンカーであり、例えば、SGGGG[配列番号31]、SGGGGSGGGG[配列番号32]、GGGSGGGSGGGS[配列番号33]、GGGGSGGGGSGGGGS[配列番号34]、GGGGS[配列番号35]、GGGS[配列番号36]、SGGG[配列番号37]、または(GGGS)(すなわち、配列番号36のn回繰り返しであり、ここで、nは1と5の間である(例えば、nは1,2,3,4または5とすることができる)。)、(SGGG)(すなわち、配列番号37のn回繰り返しであり、ここで、nは1と5の間である(例えば、nは1,2,3,4または5とすることができる)。)、またはSAAPAPSAPASAAPAPAPAPAPSPAAPAAS[配列番号41]、ASPSPAAPAPAPSAASPAPAAPAPAASPAA[配列番号42]、またはASPAPSAPSA[配列番号43]である。2つのIgG結合ドメインまたは2つのIgG結合タンパク質の融合のためのその他のリンカーも当技術分野で公知であり、使用することができる。
「融合された」という用語は、成分が直接的にまたはペプチドリンカーを介してペプチド結合によって連結されていることを意味する。「融合タンパク質」という用語は、少なくとも第2タンパク質と遺伝的に結合した少なくとも第1タンパク質を含むタンパク質に関する。融合タンパク質は、もともとは別々のタンパク質をコードする2またはそれ以上の遺伝子を連結することによって作り出される。このため、融合タンパク質は、単一の線状ポリペプチドとして発現される、同一または異なる結合タンパク質の多量体を含み得る。これは、2,3,4またはそれ以上の結合ドメインまたは結合タンパク質を含むことができる。一般に、融合タンパク質は、当業者に良く知られている組み換えDNA技術によって人工的に生成される。本発明のIg結合タンパク質は、単純な有機合成戦略、固相支援合成技術のような多くの従来のよく知られた技術のいずれか、または市販の自動合成器によって準備することができる。
好ましくは、本明細書で使用する「多量体」という用語は、少なくとも2つのIgG結合ドメイン、好ましくは2(二量体)、3(三量体)、4(四量体)、5(五量体)、6(六量体)、7(七量体)または8(八量体)IgG結合ドメイン、より好ましくは4,5または6IgG結合ドメインを含む融合タンパク質に関する。好ましい実施形態では、多量体中のIg結合ドメインは同一である。その他の実施形態では、多量体のIg結合ドメインは異なっていてもよい。1またはそれ以上のリンカー配列が多量体のドメイン間に挿入される。
「アミノ酸配列同一性」という用語は、2またはそれ以上のタンパク質のアミノ酸配列の同一性(または差異)の定量的比較を指す。参照ポリペプチド配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、最大パーセント配列同一性を達成するために、必要に応じて配列を整列させてギャップを導入した後の参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。
配列同一性を判定するために、クエリタンパク質の配列を参照タンパク質の配列に整列させる。整列の方法は、当技術分野において良く知られている。例えば、参照アミノ酸配列に対する任意のポリペプチドのアミノ酸配列同一性の程度を判定するためには、無料で入手できるSIM局所類似性プログラム(Xiaoquin Huang and Webb Miller(1991),Advances in Applied Mathematics,vol.12:337−357)が好ましくは使用される(http://www.expasy.org/tools/sim−prot.htmlも参照)。複数のアライメント分析のために、好ましくはClustalWが使用される(Thompson et al.(1994)Nucleic Acids Res.,22(22):4673−4680)。好ましくは、配列同一性パーセンテージを計算するときに、SIM局所類似性プログラムまたはClustalWのデフォルトパラメータが使用される。
本発明の文脈において、改変された配列とそれが由来する配列との間の配列同一性の程度は、特に断りのない限り、改変されていない配列の全長に対して計算される。
所与の位置における参照アミノ酸配列と異なるクエリ配列の各アミノ酸は、1つの差として数えられる。クエリ配列における挿入または削除も1つの差として数えられる。例えば、2つの結合ドメイン間のリンカーの挿入は、参照配列と比較して1つの差として数えられる。その後、差の合計は、非同一性のパーセンテージを得るために参照配列の長さに関連付けられる。同一性の定量的パーセンテージは、100から非同一性のパーセンテージを差し引いたものとして計算される。
本明細書で使用する「約」という用語は、明示的に記載された量と、そこからの±10%の偏差を包含する。より好ましくは、偏差5%が「約」という用語によって包含される。
本明細書中で使用する「シャッフルされた」という用語は、既知の配列のセットから出発して新規な非天然配列をもたらすアセンブリプロセスを指しており、このプロセスは、(a)シャッフルされる少なくとも2つの配列のセットを提供するステップと、(b)前記配列のアライメントを行うステップと、(c)アライメントした配列から新しい配列の組み立てを行うステップとを含み、新しい配列の各位置のアミノ酸は、アライメントした配列のいずれかの同じ位置から生じるものとすることができる。好ましくは、2またはそれ以上の連続するアミノ酸は、アライメントした配列の1つから生じる。
「クロマトグラフィ」という用語は、あるタイプの分子(例えば、免疫グロブリン)を試料中の他の分子(例えば、混入物質)から分離するために移動相および固定相を使用する分離技術を指す。液体移動相は、分子の混合物を含み、それらを固定相(固体マトリックスなど)を横切ってまたは通って移送する。移動相中の異なる分子の固定相との異なる相互作用に起因して、移動相中の分子を分離することができる。
「アフィニティ・クロマトグラフィ」という用語は、クロマトグラフィの特定のモードを指しており、このモードでは、固定相に結合したリガンドが移動相(試料)中の分子(すなわち免疫グロブリン)と相互作用する、すなわちリガンドが、精製される分子に対して特異的親和性を有する。本発明の文脈で理解されるように、アフィニティ・クロマトグラフィは、本発明のIg結合タンパク質のようなクロマトグラフィリガンドを含む固定相に、免疫グロブリンを含有する試料を添加することを含む。「固体支持体」または「固体マトリックス」という用語は、固定相に関して同じ意味で使用される。
本明細書において同じ意味で使用される「アフィニティマトリックス」または「アフィニティ分離マトリックス」または「アフィニティ・クロマトグラフィマトリックス」は、アフィニティリガンド(例えば、本発明のIg結合タンパク質)が付着されたマトリックス、例えばクロマトグラフィマトリックスを指している。リガンド(例えば、Ig結合タンパク質)は、親和性相互作用を介して、混合物から精製または除去される目的の分子(例えば、免疫グロブリンまたはFc含有タンパク質)に結合することができる。
本明細書で使用する「アフィニティ精製」という用語は、マトリックスに固定化されたIg結合タンパク質に免疫グロブリンまたはFc含有タンパク質を結合させることによって、液体から免疫グロブリンまたはFc含有タンパク質を精製する方法を指している。それにより、免疫グロブリンまたはFc含有タンパク質を除く混合物の他の全ての成分が除去される。さらなるステップでは、結合した免疫グロブリンまたはFc含有タンパク質は、精製された形態で溶出させることができる。
「アルカリ安定」または「アルカリ安定性」または「苛性安定」または「苛性安定性」という用語は、免疫グロブリンに結合する能力を著しく失うことなく、アルカリ性条件に耐える本発明のIg結合タンパク質の能力を意味する。この分野の当業者は、例えば実施例に記載のように、Ig結合タンパク質を水酸化ナトリウムとともにインキュベートして、当業者に知られている通常の実験、例えばクロマトグラフィ法により、免疫グロブリンへの結合活性の試験を行うことによって、アルカリ安定性を容易に試験することができる。
幾つかの実施形態では、本発明のIg結合タンパク質ならびに本発明のIg結合タンパク質を含むマトリックスは、「増加した」または「改善された」アルカリ安定性を示し、これは、天然に存在するプロテインAドメインと比較して、前記Ig結合タンパク質を組み込んだ分子およびマトリックスが長期間にわたりアルカリ性条件下で安定であること、すなわち、免疫グロブリンに結合する能力を失うことはなく、天然に存在するプロテインAドメインよりも免疫グロブリンに結合する能力を失う程度が少ないこと意味している。
本明細書において同じ意味で使用される「結合活性」または「結合能力」または「静的結合能力」という用語は、本発明のIg結合タンパク質が免疫グロブリンに結合する能力を指している。例えば、結合活性は、アルカリ処理の前および/または後に判定することができる。結合活性は、Ig結合タンパク質またはマトリックスに結合したIg結合タンパク質、すなわち固定化された結合タンパク質について判定することができる。
分子生物学、細胞生物学、タンパク質化学および抗体技術の分野において一般的に知られており、実施されている方法は、継続的に更新された刊行物“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”(Sambrook et al.,Cold Spring Harbor)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.Eds.,Wiley & Sons)、Current Protocols in Protein Science(J.E.Colligan et al.eds.,Wiley & Sons)、Current Protocols in Cell Biology(J.S.Bonifacino et al.,Wiley & Sons)およびCurrent Protocols in Immunology(J.E.Colligan et al.,Eds.,Wiley & Sons)に十分に記載されている。細胞培養および培地に関する既知の技術は、“Large Scale Mammalian Cell Culture(D.Hu et al.,Curr.Opin.Biotechnol.8:148−153,1997)、“Serum free Media”(K.Kitano,Biotechnol.17:73−106,1991)、および“Suspension Culture of Mammalian Cells”(J.R.Birch et al.Bioprocess Technol.10:251−270,1990)に記載されている。
[本発明の実施形態]
以下、本発明をさらに説明する。以下の節では、本発明の様々な態様をより詳細に定義する。以下に定義される各態様は、明確に反対の表示がない限り、1または複数の他の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示される任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示される1または複数の他の任意の特徴と組み合わせることができる。
第1態様では、本発明は、1またはそれ以上の非天然Ig結合ドメインを含む非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質を対象とするものであり、少なくとも1のIg結合ドメインが、アミノ酸配列:XQQXllAFYX15l6LXl8l9PX2lLX232425QRX2829FIQSLKDDPSX40SX424344LX46EAX49KLX525354QX56PX58(配列番号1)を含み、または本質的にこのアミノ酸配列からなり又は構成され、ここで、XがA,V,Q,NまたはP、好ましくはN,V,PまたはAであり、XがD,AまたはQ、好ましくはDまたはAであり、XがA,SまたはNであり、XがK,QまたはN、好ましくはKまたはQであり、XがHまたはFであり、XがD,N,SまたはA、好ましくはD,SまたはAであり、XがEまたはKであり、XがD,EまたはAであり、XllがSまたはNであり、X15がE,DまたはQ、好ましくはEであり、Xl6がVまたはI、好ましくはIであり、Xl8がHまたはN、好ましくはHであり、Xl9がLまたはM、好ましくはLであり、X2lがN,SまたはDであり、X23がTまたはN、好ましくはTであり、X24がEまたはA、好ましくはEであり、X25がDまたはEであり、X28がN,SまたはAであり、X29がGまたはA、好ましくはAであり、X40がV,QまたはTであり、X42がK,TまたはA、好ましくはKまたはAであり、X43がE,NまたはS、好ましくはEまたはSであり、X44がV,LまたはIであり、X46がGまたはAであり、X49がKまたはQであり、X52がN,SまたはDであり、X53がDまたはEであり、X54がSまたはAであり、X56がAまたはP、好ましくはAであり、X58がKまたはPであり、前記非天然Ig結合タンパク質のヒトIgG1に対する解離定数Kが1μM以下、好ましくは500nM以下、より好ましくは100nM以下である。より詳細には、配列番号1、および配列番号38に示される好ましい実施形態は、配列番号9−30のアライメントから生じる一般配列である。このため、本発明のIg結合タンパク質の各非天然Ig結合ドメインは、表1に示すように、天然に存在するIg結合ドメインに対して約50%〜約85%の配列同一性を示す(実施例1を参照)。本発明のIg結合タンパク質の各非天然Ig結合ドメインは、天然に存在するIg結合ドメインの位置Q9、A12、F13、L17、Q26、R27、F30、I31、L34、P38、S41、L45、A48、L51、Q55に対応する位置に同一のアミノ酸を有し、より好ましくは、天然に存在するIg結合ドメイン、例えば、ドメインC、ドメインB、ドメインA、ドメインEおよびドメインDの位置Q9、Q10、A12、F13、Y14、L17、P20、L22、Q26、R27、F30、I31、Q32、S33、L34、K35、D36、D37、P38、S39、S41、L45、E47、A48、K50、L51、Q55、P57に対応する位置に同一のアミノ酸を有する。
第1態様の好ましい実施形態では、少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、アミノ酸配列:XQQX11AFYEILHLPX21LTEX25QRX28AFIQSLKDDPSX40SX424344LX46EAX49KLX525354QAPX58(配列番号38)を含み、または本質的にこのアミノ酸配列からなり、ここで、
がN,V,PまたはAであり、
がDまたはAであり、
がA,SまたはNであり、
がKまたはQであり、
がHまたはFであり、
がD,SまたはAであり、
がEまたはKであり、
がD,EまたはAであり、
llがSまたはNであり、
2lがN,SまたはDであり、
25がDまたはEであり、
28がN,SまたはAであり、
40がV,TまたはQであり、
42がKまたはAであり、
43がEまたはSであり、
44がV,LまたはIであり、
46がGまたはAであり、
49がKまたはQであり、
52がN,SまたはDであり、
53がDまたはEであり、
54がSまたはAであり、
58がKまたはPである。
配列番号38は、配列番号9−30のアライメントから生じる一般アミノ酸配列であり、配列番号1の好ましい選択である。
第1態様の好ましい一実施形態では、少なくとも1つの非天然Ig結合ドメインが、アミノ酸配列:
QQXllAFYX15l6LXl8l9PX2lLX232425QRX2829FIQSLKDDPSX40SX424344LX46EAX49KLX525354QX56PX58(配列番号2)を含み、または本質的にこのアミノ酸配列からなり、ここで、
がA,V,Q,NまたはPであり、XがD,AまたはQであり、XがAまたはNであり、XがK,QまたはNであり、XがHまたはFであり、XがD,NまたはAであり、XがEまたはKであり、XがD,EまたはAであり、XllがSまたはNであり、X15がEまたはDであり、Xl6がVまたはIであり、Xl8がHまたはNであり、Xl9がLまたはMであり、X2lがN,SまたはDであり、X23がTまたはNであり、X24がEまたはAであり、X25がDまたはEであり、X28がN,SまたはAであり、X29がGまたはAであり、X40がVまたはQであり、X42がK,TまたはAであり、X43がEまたはNであり、X44がV,LまたはIであり、X46がGまたはAであり、X49がKまたはQであり、X52がNまたはDであり、X53がDまたはEであり、X54がSまたはAであり、X56がAまたはPであり、X58がKまたはPである。
第1態様の好ましい一実施形態では、本発明に係るIg結合タンパク質が1またはそれ以上の非天然Ig結合ドメインを含み、少なくとも1つのIg結合ドメインが、アミノ酸配列:
AXDXQQX11AFYEILHLPNLTEX25QRNAFIQSLKDDPSX40SX424344LX46EAX49KLNX5354QAPK(配列番号48)を含み、または本質的にこのアミノ酸配列からなり、ここで、
がNまたはVであり、
がDまたはAであり、
がKまたはQであり、
がHまたはFであり、
がEまたはKであり、
がD,EまたはAであり、
llがSまたはNであり、
25がDまたはEであり、
40がVまたはQであり、
42がKまたはAであり、
43がEまたはSであり、
44がVまたはIであり、
46がGまたはAであり、
49がKまたはQであり、
53がDまたはEであり、
54がSまたはAである。
配列番号48は、配列番号24,26,27,28および30のアラインメントから生じる一般アミノ酸配列であり、配列番号38の好ましい選択である。Ig結合タンパク質は、長時間のアルカリ処理後(例えば、少なくとも最大6時間、0.5MのNaOH)でも安定であり、例えば、本発明のIg結合タンパク質は、天然に存在するプロテインAドメインより高いアルカリ安定性を有する。
第1態様の別の実施形態では、本発明に係るIg結合タンパク質が1またはそれ以上の非天然Ig結合ドメインを含み、少なくとも1つのIg結合ドメインが、アミノ酸配列:
QQX11AFYEILHLPX21LTEDQRX28AFIQSLKDDPSX40SKX4344LGEAKKLX52DAQAPP(配列番号49)を含み、または本質的にこのアミノ酸配列からなり、ここで、
がP,NまたはAであり、
がAまたはDであり、
がA,SまたはNであり、
がKまたはQであり、
がHまたはFであり、
がD,SまたはAであり、
がKまたはEであり、
がD,EまたはAであり、
llがSまたはNであり、
2lがN,SまたはDであり、
28がSまたはAであり、
40がVまたはTであり、
43がEまたはSであり、
44がIまたはLであり、
52がN,SまたはDである。
配列番号49は、配列番号9−23のアラインメントから生じる一般アミノ酸配列であり、配列番号38の好ましい選択である。
第1態様の一実施形態では、非天然Ig結合タンパク質が1またはそれ以上のIg結合ドメインを含み、少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、以下のアミノ酸配列の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、当該アミノ酸配列からなる。
Figure 2018523994
特に好ましいのは、1またはそれ以上のIg結合ドメインを含む非天然Ig結合タンパク質であって、少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、配列番号13,14,23,26,27,28および30からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的に当該アミノ酸配列からなるものである。
以下の実施例に示すように、本発明のタンパク質はIgGに結合することが見出された。より詳細には、配列番号1の一般配列、より具体的には配列番号38または配列番号2の一般配列、さらにより具体的には配列番号9−30を含むIg結合ポリペプチドが、天然に存在するIg結合ドメインの結合特性に匹敵する高い親和性でIgGに結合することができることが見出された(表2の実施例5および表3の実施例6を参照)。配列番号1の一般配列、より具体的には配列番号38または配列番号2の一般配列、さらにより具体的には配列番号9−30を含むIg結合ポリペプチドが、数時間のアルカリ処理後、例えば0.5MのNaOHによる最大6時間の処理後でさえも、IgGに結合することができることは、より驚くべき予期しないことであった。これは、天然に存在するプロテインAドメインまたはドメインZと比較して有利な特性である(例えば、実施例7および実施例8および図8および図9の比較データを参照)。
本発明の一実施形態では、非天然Ig結合タンパク質が、互いに連結された、1,2,3,4,5,6,7または8個、好ましくは4,5または6個の天然に存在しないIg結合ドメインを含み、すなわち非天然Ig結合タンパク質が、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体等とすることができる。例えば、実施例1に記載の多量体融合構築物を作製するために、配列番号14が用いられた。2以上のIg結合ドメインを含む得られたIg結合タンパク質は安定であり、アルカリ処理後でさえもIg結合特性を示す(例えば、図10を参照)。選択される多量体Ig結合タンパク質の非限定的な例は、配列番号45(二量体)、配列番号46(四量体)または配列番号47(六量体)に提供される。
第1態様の幾つかの実施形態では、非天然Ig結合ドメインが互いに直接結合している。第1態様の他の実施形態では、非天然Ig結合ドメインが、ペプチドリンカーを介して互いに結合されている。第1態様の幾つかの実施形態では、Ig結合タンパク質のすべての非天然Ig結合ドメインのアミノ酸配列が同一である(例えば、配列番号45−47)。第1態様の他の実施形態では、少なくとも1つの非天然Ig結合ドメインが、非天然免疫グロブリン結合タンパク質内の他のIg結合ドメインとは異なるアミノ酸配列を有する。
Ig結合タンパク質またはドメインの解離定数Kは、上述したように、実施例のように判定することができる(例えば、実施例5および実施例6を参照)。典型的には、解離定数Kは20℃、25℃または30℃で測定される。特に断りのない限り、本明細書で列挙するK値は、表面プラズモン共鳴によって25℃±3℃で測定される。第1態様の実施形態では、非天然Ig結合タンパク質が、0.1nM〜1000nM、好ましくは0.1nM〜500nM、より好ましくは0.1nM〜100nM、より好ましくは0.5nM〜100nM、より好ましくは1nM〜10nMの範囲のヒトIgGに対する解離定数Kを有する。
第1態様の一実施形態では、非天然Ig結合タンパク質が、0.1nM〜1000nM、好ましくは0.1nM〜500nM、より好ましくは0.1nM〜100nM、より好ましくは0.5nM〜100nM、より好ましくは1nM〜10nMの範囲のヒトIgGに対する解離定数Kを有する。
第1態様の一実施形態では、非天然Ig結合タンパク質が、0.1nM〜1000nM、好ましくは0.1nM〜500nM、より好ましくは0.1nM〜100nM、より好ましくは0.5nM〜100nM、より好ましくは1nM〜10nMの範囲のヒトIgGに対する解離定数Kを有する。
第2態様において、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質を含む組成物に関する。
第2態様の好ましい実施形態において、組成物は、固体支持体に結合された上記実施形態の何れかに係る非天然Ig結合タンパク質を含むアフィニティ分離マトリックスである。アフィニティ分離マトリックスは、固体支持体に結合した本発明の複数のIg結合タンパク質を含む。
本発明の非天然Ig結合タンパク質を含むこのマトリックスは、Fc領域を含む免疫グロブリン誘導体、免疫グロブリンのFc領域を含む融合タンパク質、および免疫グロブリンのFc領域を含むコンジュゲートのような免疫グロブリンおよび他のFc含有タンパク質の分離、例えばクロマトグラフィ分離に有用である。アフィニティ・クロマトグラフィのための固体支持マトリックスは、従来より知られており、例えば、アガロースおよびアガロースの安定化誘導体(例えば、rPROTEIN A Sepaharose Fast FlowまたはMabselect(登録商標))、制御された細孔ガラス(例えば、ProSep(登録商標)vA樹脂)、モノリス(例えば、CIM(登録商標)モノリス)、シリカ、酸化ジルコニウム(例えば、CMジルコニアまたはCPG(登録商標))、酸化チタン、または合成ポリマー(例えば、Poros 50AまたはPoros MabCapture(登録商標)A樹脂などのポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなど)および種々の組成物のヒドロゲルを含むが、それらに限定されるものではない。特定の実施形態では、支持体が、多糖類のようなポリヒドロキシポリマーを含む。
支持体に適した多糖類の例には、デキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロースなど、およびそれらの安定化された変異体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
固体支持体のフォーマットは、任意の適切な周知の種類のものとすることができる。本発明のIg結合タンパク質を結合するためのそのような固体支持体は、例えば、カラム、キャピラリ、粒子、膜、フィルタ、モノリス、ファイバ、パッド、ゲル、スライド、プレート、カセット、またはクロマトグラフィにおいて一般的に使用されて当業者に周知の任意の他のフォーマットのうちの一つを含むが、それらに限定されるものではない。マトリックスの一実施形態において、担体は、ビーズとしても知られている実質的に球形の粒子、例えばセファロースまたはアガロースビーズからなる。適切な粒子サイズは、5−500μmの直径範囲、例えば10−100μm、さらに例えば20−80μmの直径範囲とすることができる。代替的な実施形態では、担体は膜、例えばヒドロゲル膜である。幾つかの実施形態では、アフィニティ精製は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質が共有結合しているマトリックスとしての膜を含む。
固体支持体は、カートリッジ内の膜の形態であってもよい。一実施形態では、固体マトリックスは、多孔質または非多孔質のビーズまたは粒子の形態である。ビーズまたは粒子の形態のマトリックスは、充填床として、または膨張床を含む懸濁された状態で使用することができる。モノリス、充填床および膨張床の場合、分離手順は、一般に、移動相における濃度勾配または濃縮段階を伴う従来のクロマトグラフィに従う。純粋な懸濁液の場合、バッチ式モードが使用される。
幾つかの実施形態では、アフィニティ精製は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質が共有結合している固体支持体を含有するクロマトグラフィカラムを含む。
本発明のIg結合性タンパク質は、例えば、本発明のIg結合タンパク質に存在するアミノ基、スルフヒドリル基および/またはカルボキシ基を使用して、従来のカップリング技術により、適切な固体支持体に結合させることができる。カップリングは、Ig結合タンパク質の窒素、酸素または硫黄原子を介して行われるものであってもよい。
好ましくは、NまたはC末端ペプチドリンカーに含まれるアミノ酸は、前記窒素、酸素または硫黄原子を含む。Ig結合タンパク質は、担体表面と本発明のIg結合タンパク質との間に適切な距離を提供するために、スペーサ要素を介して担体に直接的または間接的に結合され、それにより、Ig結合タンパク質の利用可能性を改善するとともに、支持体に対する本発明のIg結合タンパク質の化学的結合を促進する。固体支持体へのタンパク質リガンドの固定化の方法は、この分野で周知であり、標準的な技術および装置を用いてこの分野の当業者によって容易に実施される。
一実施形態では、非天然Ig結合タンパク質は、固相(マトリックス)への共有結合のための付着部位を含む。好ましくは、付着部位は、固相への部位特異的付着を提供するために特異的である。特定の付着部位は、システインまたはリジンなどの天然アミノ酸、または例えばスルフヒドリル基、マレイミド基、エポキシ基またはアルケン基から選択される固相の反応性基との特異的化学反応を可能にする非天然アミノ酸、固相とタンパク質との間のリンカーを含む。N末端は、アミノ反応性試薬を用いて酸性pHで優先的に標識化される。本発明の好ましい実施形態は、末端システインを有する5−20アミノ酸、好ましくは10アミノ酸の短いN−またはC−末端ペプチド配列を含む。C末端ペプチド配列のアミノ酸は、好ましくはプロリン、アラニン、セリン、例えばASPAPSAPAC(配列番号39)から選択される。
第3態様において、本発明は、免疫グロブリンのアフィニティ精製のための、第1態様の非天然Ig結合タンパク質または第2態様の組成物の使用を対象としており、すなわち本発明のIg結合タンパク質がアフィニティ・クロマトグラフィのため使用される。幾つかの実施形態において、本発明のIg結合タンパク質は、本発明の第2態様に記載されるように、固体支持体上に固定化される。第3態様の一実施形態では、精製される免疫グロブリンが、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG4、ヒトIgM、ヒトIgA、マウスIgG1、マウスIgG2A、マウスIgG2B、マウスIgG3、ラットIgG1、ラットIgG2C、ヤギIgG1、ヤギIgG2、ウシIgG2、モルモットIgG、ウサギIgG、Fc領域を含む免疫グロブリンフラグメント、免疫グロブリンのFc領域を含む融合タンパク質、および免疫グロブリンのFc領域を含むコンジュゲートからなる群から選択される。
第4態様において、本発明は、免疫グロブリンのアフィニティ精製方法を対象とし、この方法は、(a)免疫グロブリンを含有する液体を提供するステップと、(b)第1態様の固定化された非天然Ig結合タンパク質を含むアフィニティ分離マトリックスを提供するステップと、(c)前記液体と前記アフィニティ分離マトリックスとを接触させるステップであって、前記免疫グロブリンが固定化されたIg結合タンパク質に結合する、ステップと、(d)前記免疫グロブリンをマトリックスから溶出し、それによって前記免疫グロブリンを含む溶出液を得るステップとを含み、(e)任意選択的に、ステップ(c)とステップ(d)の間に実行される1またはそれ以上の洗浄ステップをさらに含む。アフィニティ分離マトリックスは、上述した実施形態に従うものであり、当業者に知られている通りである。
第4態様の幾つかの実施形態では、ステップ(d)におけるマトリックスからの免疫グロブリンの単離は、pHの変化または塩濃度の変化によって行われる。第4態様の幾つかの実施形態では、上記方法は、(f)前記溶出液を回収するステップをさらに含む。
第4態様の一実施形態では、免疫グロブリンが、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG4、ヒトIgM、ヒトIgA、マウスIgG1、マウスIgG2A、マウスIgG2B、マウスIgG3、ラットIgG1、ラットIgG2C、ヤギIgG1、ヤギIgG2、ウシIgG2、モルモットIgG、ウサギIgG、Fc領域を含む免疫グロブリンフラグメント、免疫グロブリンのFc領域を含む融合タンパク質、および免疫グロブリンのFc領域を含むコンジュゲートからなる群から選択される。
第5態様において、本発明は、第1態様に係る少なくとも1のIg結合ドメインを含む非天然Ig結合タンパク質の生成方法を対象とするものであり、Ig結合ドメインのアミノ酸配列が、天然に存在するプロテインAからの少なくとも2の天然に存在するプロテインAドメインのアミノ酸配列のシャッフリングプロセスによって得られる。より詳細には、本明細書から理解されるように、シャッフリングプロセスは、同一ではない既知のアミノ酸配列のセットから開始される新規かつ人工のアミノ酸配列をもたらすアセンブリプロセスであり、このプロセスは、(a)シャッフルされる少なくとも2の配列のセット、例えば5つの天然に存在するプロテインAドメインE、D、A、B、およびCおよびプロテインA誘導体(例えば任意の天然に存在するドメインと少なくとも90%の同一性を有するZドメインまたは他のドメイン)の配列を提供するステップと、(b)配列のアライメントを行うステップと、(c)インシリコで統計的フラグメンテーションを行うステップと、その後の(d)様々なフラグメントから新しい配列のインシリコ組み立てを行い、相対的な順序を維持したモザイク生成物を生成するステップとを備える。ステップc)において生成されたフラグメントは、任意の長さであってもよく、フラグメント化された親配列が長さnを有する場合、フラグメントは長さ1乃至n−1を有することができる。このため、再構築されたタンパク質は、1またはそれ以上のアミノ酸の部分配列を含む一連のフラグメントから構成され、それら部分配列が、ステップ(b)でアライメントしたプロテインAからの個々のIgG結合ドメインの1またはそれ以上における対応する位置に存在する。すなわち、組み立てられたモザイク配列のあらゆるアミノ酸の位置には、プロテインAからのアライメントしたIgG結合ドメインの中に、対応する位置に同じアミノ酸を含む少なくとも1のタンパク質が存在する。しかしながら、再構築されたタンパク質の全体のアミノ酸配列は、プロテインA由来のIgG結合ドメインのいずれかの全体のアミノ酸配列と同一ではないという点で人工的である。新しい配列の各位置のアミノ酸は、アライメントした配列のいずれかの同じ位置に対応する。モザイク生成物中のアミノ酸の相対位置は出発配列に対して維持される。新規な人工IgG結合タンパク質の生成のための一般的なシャッフリングプロセスが図1Aに示されている。
この最初のシャッフルされたタンパク質が生成された後、必要に応じてシャッフルされたタンパク質の結合特性をさらに改変するために、任意選択的に、アミノ酸配列の部位特異的ランダム化によってタンパク質をさらに改変することができる。例えば、さらなる改変は、個々のアミノ酸残基の部位飽和突然変異誘発により導入して、複数の改変シャッフルポリペプチドを生成することができる。その後、これらのIgG結合タンパク質をスクリーニングして、関心のあるあらゆる結合特性を有する改変シャッフルポリペプチドを同定することができる。
このため、本発明のIgG結合タンパク質の生成には、1または2の基本的なステップ、すなわち関連配列をアライメントおよびシャッフルして、シャッフルしたポリペプチドを生成する第1ステップと、必要に応じて、シャッフルしたタンパク質の結合活性をさらに改変する第2ステップとを伴う。
本発明のIg結合タンパク質は、1またはそれ以上の非天然Ig結合ドメインを含み、各非天然Ig結合ドメインが、Q9、A12、F13、L17、Q26、R27、F30,I31、L34、P38、S41、L45、A48、L51、Q55に対応する位置に、天然に存在するプロテインAドメインA、B、C、DまたはEまたはドメインZと同一のアミノ酸を有し、より好ましくは自然に存在するIg結合ドメインの位置Q9、Q10、A12、F13、Y14、L17、P20、L22、Q26、R27、F30、I31、Q32、S33、L34、K35、D36、D37、P38、S39、S41、L45、E47、A48、K50、L51、Q55、P57に対応する同じアミノ酸を有する。
天然に存在するプロテインAドメインA、B、C、DまたはEまたはドメインZに対する本発明のIg結合タンパク質の配列同一性は多くとも約85%である(詳細については表1を参照)。
第6態様では、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質をコードする核酸分子、好ましくは単離された核酸分子に関する。
また、本発明は、本発明の第6態様の核酸分子によってコードされるポリペプチドも包含する。
第7態様において、本発明は、第6態様の核酸分子を含むベクターに関する。
ベクターは、タンパク質コード情報を宿主細胞に移入するために使用することができる任意の分子またはエンティティ(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージまたはウイルス)を意味する。
第7態様の一実施形態では、ベクターは発現ベクターである。
第8態様において、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質、第6態様の核酸分子、または第7態様のベクターを含む、宿主細胞、好ましくは単離された宿主細胞、または非ヒト宿主に関する。
例えば、本発明のIg結合タンパク質をコードする1またはそれ以上の核酸分子を適切な宿主中で発現させ、産生された結合タンパク質を単離することができる。
宿主細胞は、核酸配列で形質転換された細胞、または形質転換が可能な細胞であり、それによって目的の遺伝子を発現する。
適切な宿主細胞には、原核生物または真核生物が含まれる。種々の哺乳類細胞または昆虫細胞の培養系を用いて、組換えタンパク質を発現させることもできる。本発明によれば、宿主は、本発明のタンパク質でトランスフェクトされかつ/または本発明のタンパク質を発現するトランスジェニック非ヒト動物であってもよい。好ましい実施形態では、トランスジェニック動物が非ヒト哺乳動物である。
第9態様において、本発明は、第1態様の非天然Ig結合タンパク質の産生方法であって、(a)前記非天然Ig結合タンパク質を得るために、結合タンパク質の発現のための適切な条件下で、第7態様の宿主細胞を培養するステップと、(b)任意選択的に、前記非天然Ig結合タンパク質を単離するステップとを備えることを特徴とする方法に関する。
また、本発明は、第9態様の方法によって産生される非天然Ig結合タンパク質も包含する。原核生物または真核生物の宿主を培養するための適切な条件は、当業者に良く知られている。本発明のIg結合分子は、単純な有機合成戦略、固相支援合成技術のような多くの従来の良く知られた技術のいずれかによって、または市販の自動合成器によって準備することができる。一方、それらは、従来の組換え技術単独で、または従来の合成技術と組み合わせて調製することもできる。本発明によるコンジュゲートは、化学的方法、例えばリジンまたはシステイン・ベースの化学反応により、または従来の組換え技術により、当業者に知られているように、化合物を組み合わせることによって得ることができる。本明細書で使用される「コンジュゲート」という用語は、第2タンパク質または非タンパク質性部分などの他の物質に化学的に結合した少なくとも第1タンパク質を含む分子、またはそのようなタンパク質から本質的になる分子に関する。
本発明の一実施形態は、上述した本発明に係るIg結合タンパク質の調製方法に関するもので、この方法は、(a)上述した結合タンパク質をコードする核酸を準備するステップと、(b)前記核酸を発現ベクターに導入するステップと、(c)前記発現ベクターを宿主細胞に導入するステップと、(d)宿主細胞を培養するステップと、(e)Ig結合タンパク質が発現される培養条件に宿主細胞を供し、それにより(e)上記のような結合タンパク質を生成するステップと、任意選択的に(f)ステップ(e)で産生されたタンパク質を単離するステップと、(g)任意選択的に、タンパク質を上記のように固体マトリックスに結合させるステップとを備える。
本発明のさらなる実施形態では、非天然Ig結合タンパク質の生成は、無細胞インビトロ転写/翻訳によって行われる。
[実施例]
以下の実施例は、本発明のさらなる説明のために提供されるものである。しかしながら、本発明はそれらに限定されるものではなく、以下の実施例は上記記載に基づく本発明の実行可能性を示すに過ぎない。本発明の完全な開示のために、本出願に引用される文献も参照される。それら文献は、引用により本出願に完全に組み込まれるものである。
実施例1.シャッフリングプロセスによる本発明のIgG結合タンパク質の生成
本発明のIgG結合タンパク質を、天然に存在するプロテインAドメインおよびプロテインA誘導体(例えば、Zドメインまたは任意の天然に存在するドメインと少なくとも90%の同一性を有する他のドメイン)のシャッフリングプロセスによって最初に生成した。シャッフリングプロセスは、a)5つの天然に存在するプロテインAドメインE、B、D、AおよびCおよびプロテインA誘導体ドメインZの配列を提供するステップと、b)前記配列のアライメントを行うステップと、c)インシリコで統計的フラグメンテーションを行って、天然に存在するIg結合ドメインの位置Q9、Q10、A12、F13、Y14、L17、P20、L22、Q26、R27、F30、I31、Q32、S33、L34、K35、D36、D37、P38、S39、S41、L45、E47、A48、K50、L51、Q55、P57が維持されるという条件で組み換えが可能な配列を特定するステップと、d)様々なフラグメントの新しい人工的な配列を構築して、モザイク生成物、すなわち新規なアミノ酸配列を生成するステップとを備えるものであった。
モザイク生成物中のアミノ酸の相対位置を出発配列に対して維持した。少なくとも位置Q9、Q10、A12、F13、Y14、L17、P20、L22、Q26、R27、F30、I31、Q32、S33、L34、K35、D36、D37、P38、S39、S41、L45、E47、A48、K50、L51、Q55、P57は、「シャッフルされた」配列と全ての天然に存在するプロテインAドメインとで同一である。再構築された「シャッフルされた」タンパク質の全体のアミノ酸配列は、天然に存在するプロテインAドメインまたはドメインZのいずれかの全体のアミノ酸配列と85%以上同一ではないという点で人工的である。例えば、天然に存在するプロテインAドメインまたはドメインZと比較したIg結合タンパク質の同一性を表1に示す。
表1.天然に存在するプロテインAドメインに対するIgG結合タンパク質の同一性
「E、D、A、B、C、Z」は、天然に存在するプロテインAドメインおよびドメインZ(配列番号3−8)を指している。数字「9−30」は、本発明のIg結合タンパク質の例を示している。例えば、数字「9−24」は対応する配列番号9−24を示し、「25」は配列番号26を示し、「26」は配列番号27を示し、「27」は配列番号28を示し、「28」は配列番号30を示している。
Figure 2018523994
「シャッフルされた」IgG結合タンパク質ならびに天然に存在するプロテインAドメインおよび誘導体(例えば、ドメインC、ドメインB、ドメインA、ドメインD、ドメインE、ドメインZ)の遺伝子を当業者に知られている標準的な方法で合成し、E.coli発現ベクターにクローニングした。DNAシークエンシングを用いて、挿入断片の正しい配列を確認した。
2以上の結合ドメインを含むIg結合タンパク質を生成するために、2,4または6の同一のIgG結合ドメイン(配列番号14)を、アミノ酸リンカー(配列番号41および配列番号42)を介して遺伝的に融合させた。融合タンパク質のアミノ酸配列を配列番号45−47に示す。
特定の膜付着および精製のために、C末端Cys(ASPAPSAPSAC;配列番号39)およびstrep−tag(WSHPQFEK;配列番号44)を有する短いペプチドリンカーを、Ig結合タンパク質のC末端(例えば、配列番号50および配列番号51を参照)に付加した。
実施例2.IgG結合タンパク質の発現
HMS174(DE3)コンピテント細胞を、IgG結合タンパク質をコードする発現プラスミドで形質転換した。細胞を選択的寒天プレート(カナマイシン)上に分散させ、37℃で一晩インキュベートした。前培養物を単一コロニーから100mlのスーパーリッチ培地(改変H15培地2%グルコース、5%酵母エキス、1%カザミノ酸、0.76%グリセロール、1%トルラ酵母RNA、250mMのMOPS、202mMのTRIS、10mg/LのRNase A、pH7.4、消泡剤SE15)に接種し、ラクトースおよび消泡剤を含まない150μg/mlのカナマイシンを添加したバッフル付き1リットル三角フラスコ中で、従来のオービタルシェーカーを用いて160rpm、37℃で16時間培養した。OD600リードアウトは6−12の範囲内とする必要がある。主培養物を、グリセロール、グルコース、ラクトース、消泡剤および150μg/mlのカナマイシンを補充した1Lの厚壁三角フラスコ中の400mlのスーパーリッチ培地中で、0.5の調整された開始OD600で前の一晩培養物から接種した。培養物を共鳴音響ミキサ(RAMbio)に移し、37℃で20×gでインキュベートした。Oxy−Pumpストッパによってエアレーションを促進した。グルコースを代謝させ、続いてラクトースを細胞に入れることにより、組み換えタンパク質発現を誘導した。予め設定された時点で、OD600を測定し、5/OD600に調整した試料を取り出し、ペレット化し、−20℃で凍結させた。細胞を約24時間一晩増殖させて、約45−60の最終的なOD600に達した。バイオマスを回収するために、細胞を16000×gで10分間、20℃で遠心分離した。ペレットを秤量し(湿重量)、上清中のpHを測定した。処理前に細胞を−20℃で保存した。
実施例3.IgG結合タンパク質の発現および可溶性のSDS−PAGE分析
発酵中に採取した試料を300μl抽出緩衝液(0.2mg/mlのリゾチーム、0.5×のBugBuster、7.5mMのMgSC、40UのBenzonaseを添加したPBS)に再懸濁し、サーモミキサで700rpm、室温で15分間攪拌して可溶化した。可溶性タンパク質を、遠心分離(16000×g、2分、室温)によって不溶性タンパク質から分離した。上清を回収し(可溶性画分)、ペレット(不溶性画分)を等量の尿素緩衝液(8M尿素、0.2Mトリス、2mMのEDTA、pH8.5)に再懸濁した。可溶性画分および不溶性画分の両方から50μlを採取し、12μl、5×の試料緩衝液および5μlの0.5MのDTTを添加した。試料を95℃で5分間沸騰させた。最後に、これらの試料8μlを、製造者の推奨に従って作動させたNuPage Novex 4−12% Bis−Tris SDSゲルに加え、クマシーで染色した。すべてのIgG結合タンパク質の高レベル発現は、選択された期間内に最適化された条件下で見出された(図3)。全ての発現されたIg結合性タンパク質は、SDS−PAGEによれば95%以上まで可溶性であった。
実施例4.IgG結合タンパク質の精製
すべてのIgG結合タンパク質を、C末端StrepTagII(WSHPQFEK;配列番号44)を有するE.coliの可溶性画分中で発現させた。細胞を超音波処理によって溶解させ、最初の精製工程をStrep−Tactin−カラムで製造者の指示に従って行った。ジスルフィド形成を回避するために、緩衝液に1mMのDTTを補充した。溶出画分を、20mMのクエン酸pH6.0および150mMのNaClで平衡化したHiLoad 16/600 Superdex 75pg(GE Healthcare)に注入した。ピーク画分をプールし、SDS−PAGEにより分析した。
実施例5.IgG結合タンパク質が(ELISAによって測定される)高い親和性でIgGに結合する
IgGまたはIgGまたはIgGに対するIgG結合タンパク質の親和性を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて測定した。IgGまたはIgGまたはIgG含有抗体(例えば、IgGのためにセツキシマブ、IgGのためにパニツムマブ、またはIgGのためにナタリズマブ)を96ウェルNunc MaxiSorb ELISAプレート(2μg/ml)に固定化した。4℃で16時間インキュベートした後、ウェルをPBST(PBS +0.1% Tween20)で3回洗浄し、ウェルをPBS中の3%BSAでブロックした(室温で2時間)。ネガティブコントロールは、BSAのみでブロックされたウェルであった。ブロッキング後、ウェルをPBSTで3回洗浄し、室温でIgG結合タンパク質(PBST中)とともに1時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルをPBSTで3回洗浄し、続いてIBAのStrep−Tactin−HRP(1:10000)とともに室温で1時間インキュベートした。その後、ウェルをPBSTで3回、PBSで3回洗浄した。ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼの活性を、TMB−Plus基質を添加することによって視覚化した。30分後、0.2MのHSOを添加することによって反応を停止させ、吸光度を450nmで測定した。結果を表2に示す。
表2.IgG結合タンパク質の結合分析(セツキシマブによる結合分析;CID=クローン識別番号)
Figure 2018523994
実施例6.IgG結合タンパク質が(表面ピアスモン共鳴実験で測定される)高い親和性でIgGに結合する
CM5センサチップ(GE Healthcare)をSPRランニング緩衝液で平衡化した。EDCおよびNHSの混合物を通過させることによって表面露出したカルボキシル基を活性化して、反応性エステル基を得た。700−1500RUのオンリガンドをフローセルに固定し、オフリガンドを別のフローセルに固定した。リガンド固定化後のエタノールアミンの注入は、非共有結合したIg結合タンパク質を除去する。リガンド結合の際に、タンパク質分析物が表面に蓄積され、屈折率が増加した。この屈折率の変化をリアルタイムで測定し、時間に対する応答または共鳴単位(RU)としてプロットした。適切な流速(μl/分)による連続希釈法で分析物をチップに加えた。各実験の後、チップ表面を再生緩衝液で再生し、ランニング緩衝液で平衡化した。対照サンプルをマトリックスに適用した。前述したように、再生および再平衡化を行った。結合の調査は、Biacore(登録商標)3000(GE Healthcare)の使用により実施し、データ評価は、Langmuir 1:1モデル(RI=0)を使用して、製造業者によって提供されたBIAevaluation 3.0ソフトウェアによって行った。評価した解離定数(K)をオフターゲットに対して標準化した。結果を表3に示す。
表3.IgG結合タンパク質の結合分析(hIgG1−Fcとの結合分析;CID=クローン識別番号)
Figure 2018523994
実施例7.SulfoLinkカップリング樹脂へのIgG結合タンパク質の結合および固定化されたIgG結合タンパク質のアルカリ安定性
IgG結合タンパク質を、製造元の説明書に従って、SulfoLink(登録商標)カップリング樹脂(Thermo;カタログ番号20402)にカップリングさせた。カラムの樹脂床容量は300μlであった。カラムをカップリング緩衝液(50mMのトリス、5mMのEDTA−Na、pH8.5)の4つの樹脂床容量で平衡化した。IgG結合タンパク質をカラムに添加した(1−2ml/mlのSulfoLinkカップリング樹脂)。IgG結合タンパク質を、C末端(ASPAPSAPSAC;配列番号39)でシステインを介してマトリックスに結合させた。カラムを15分間混合し、混合せずにさらに30分間インキュベートし、カップリング緩衝液で洗浄した。系の流量は0.5ml/分であった。300μlの50mMシステイン溶液をカラムに添加し、15分間混合し、混合せずにさらに30分間インキュベートし、1MのNaClで洗浄し、続いてPBSで洗浄した。
全ての画分について280nmでの吸光度を測定した。すべてのIgG結合タンパク質は、マトリックスに共有結合され得るものであり、図6は、IgG結合タンパク質148470(図6A)および148460(図6B)のSulfoLinkカップリング樹脂マトリックスへのカップリングを例示的に示している。
セツキシマブを、共有結合したIgG結合タンパク質を有するSulfoLink樹脂カラムに飽和量(5mg;1mg/ml樹脂)で適用した。マトリックスを100mMのグリシン緩衝液、pH2.5で洗浄して、固定化したIgG結合タンパク質に結合したセツキシマブを溶出させた。Ig結合タンパク質の結合活性(静的結合能)を判定するために、溶出したIgGの濃度を分光学的に測定した。溶出画分を280nmの吸光度で分析した。固定化したタンパク質のIgG結合活性を、室温で20、40または80分間、0.5MのNaOHでインキュベートする前後で分析した。NaOH処理前の固定化タンパク質のIgG結合活性を100%と定義した。タンパク質のIgG結合活性を、天然に存在するドメインC、B、A、D、EまたはドメインZの活性と比較した。
図8は、IgG結合タンパク質148462(図中では「13」と称する)、148463(図中では「14」と称する)、148472(図中では「23」と称する)および天然に存在するプロテインAドメインE、D、A、B、CおよびドメインZのIgG結合活性を示している。IgG結合活性は、0.5MのNaOHで80分間インキュベートした後に示される。本発明のIgG結合タンパク質は、アルカリ処理後にセツキシマブに対して高い結合活性を示している。
実施例8.エポキシ活性化マトリックスに結合したIgG結合タンパク質の苛性安定性
精製IgG結合タンパク質を、製造者の指示(カップリング条件:pH9.0で一晩、エタノールアミンで5時間ブロッキング)に従って、エポキシ活性化マトリックス(Sepharose 6B、GE;カタログ番号17−0480−01)にカップリングさせた。セツキシマブをIgGサンプル(5mg;1mg/mlマトリックス)として使用した。セツキシマブを、固定化IgG結合タンパク質を含むマトリックスに飽和量で適用した。マトリックスを100mMグリシン緩衝液(pH2.5)で洗浄して、固定化IgG結合タンパク質に結合したセツキシマブを溶出させた。Ig結合タンパク質の結合活性(静的結合能)を測定するために、溶出したIgGの濃度を280nmで分光学的に測定した。カラムを、室温(22℃±3℃)で0.5MのNaOHで6時間インキュベートした。固定化したタンパク質のIgG結合活性を、0.5MのNaOHで6時間インキュベートする前後で分析した。NaOH処理前の固定化タンパク質のIgG結合活性を100%と定義した。
図9は、例えばIgG結合タンパク質154254(図中では「配列番号26」と称する)、154255(図中では「配列番号27」と称する)、154256(図中では「配列番号28」と称する)および154257(図中では「配列番号30」と称する)の活性は、IgG結合タンパク質148463(「配列番号14」)の活性と比較して高く、よって任意の天然に存在するプロテインAドメインよりも高かったことを示している。すべての固定したIgG結合タンパク質は、0.5MのNaOHで6時間インキュベートした後、元のIgG結合活性の少なくとも35%、最大50%を示した。図10は、0、2、4、6時間のアルカリ処理後にエポキシ活性化樹脂に固定化された2、4または6つのIgG結合ドメインからなる多量体IgG結合タンパク質のIg結合活性(能力)が、1つのIgG結合ドメインからなる単量体IgG結合タンパク質の活性(能力)に匹敵することを示している。
[配列表フリーテキスト情報]
配列番号1 非天然Ig結合ドメインの一般配列
配列番号2 非天然Ig結合ドメインの一般配列
配列番号3 黄色ブドウ球菌ドメインE(CID 148473)
配列番号4 黄色ブドウ球菌ドメインD(CID 148474)
配列番号5 黄色ブドウ球菌ドメインA(CID 148475)
配列番号6 黄色ブドウ球菌ドメインB(CID 148476)
配列番号7 黄色ブドウ球菌ドメインC(CID 148477)
配列番号8 プロテインAのドメインZ(CID 148478)
配列番号9 シャッフル配列IB9,CID 148458
配列番号10 シャッフル配列IB10,CID 148459
配列番号11 シャッフル配列IB11,CID 148460
配列番号12 シャッフル配列IB12,CID 148461
配列番号13 シャッフル配列IB13,CID 148462
配列番号14 シャッフル配列IB14,CID 148463
配列番号15 シャッフル配列IB15,CID 148464
配列番号16 シャッフル配列IB16,CID 148465
配列番号17 シャッフル配列IB17,CID 148466
配列番号18 シャッフル配列IB18,CID 148467
配列番号19 シャッフル配列IB19,CID 148468
配列番号20 シャッフル配列IB20,CID 148469
配列番号21 シャッフル配列IB21,CID 148470
配列番号22 シャッフル配列IB22,CID 148471
配列番号23 シャッフル配列IB23,CID 148472
配列番号24 シャッフル配列IB24,CID 154253
配列番号25 シャッフル配列IB15b
配列番号26 シャッフル配列IB25,CID 154254
配列番号27 シャッフル配列IB26,CID 154255
配列番号28 シャッフル配列IB27,CID 154256
配列番号29 シャッフル配列IB29
配列番号30 シャッフル配列IB28,CID 154257
配列番号31 リンカー
配列番号32 リンカー
配列番号33 リンカー
配列番号34 リンカー
配列番号35 リンカー
配列番号36 リンカー
配列番号37 リンカー
配列番号38 例えばIB9−IB28についての非天然Ig結合ドメインの一般配列
配列番号39 C末端結合配列(APS10/C)
配列番号40 C末端結合配列(APS30/C)
配列番号41 APS30リンカー
配列番号42 APS30リンカー
配列番号43 APS10リンカー
配列番号44 Streptag
配列番号45 IB14二量体,CID 150570
配列番号46 IB14四量体,CID 150663
配列番号47 IB14六量体,CID 150772
配列番号48 例えばIB24−IB28についての一般配列
配列番号49 例えばIB9−IB23についての一般配列
配列番号50 C末端結合配列およびStrep−tagを有する配列番号14
配列番号51 C末端結合配列およびStrep−tagを有する配列番号28

Claims (15)

  1. 1またはそれ以上の非天然Ig結合ドメインを含む非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質であって、少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、アミノ酸配列:XQQXllAFYX15l6LXl8l9PX2lLX232425QRX2829FIQSLKDDPSX40SX424344LX46EAX49KLX525354QX56PX58(配列番号1)を含み、
    ここで、
    がA,V,Q,NまたはPであり、
    がD,AまたはQであり、
    がA,SまたはNであり、
    がK,QまたはNであり、
    がHまたはFであり、
    がD,N,SまたはAであり、
    がEまたはKであり、
    がD,EまたはAであり、
    llがSまたはNであり、
    15がE,DまたはQであり、
    l6がVまたはIであり、
    l8がHまたはNであり、
    l9がLまたはMであり、
    2lがN,SまたはDであり、
    23がTまたはNであり、
    24がEまたはAであり、
    25がDまたはEであり、
    28がN,SまたはAであり、
    29がGまたはAであり、
    40がV,QまたはTであり、
    42がK,TまたはAであり、
    43がE,NまたはSであり、
    44がV,LまたはIであり、
    46がGまたはAであり、
    49がKまたはQであり、
    52がN,SまたはDであり、
    53がDまたはEであり、
    54がSまたはAであり、
    56がAまたはPであり、
    58がKまたはPであり、
    前記非天然Ig結合タンパク質のヒトIgG1に対する解離定数Kが1μM以下、好ましくは100nM以下であることを特徴とする非天然Ig結合タンパク質。
  2. 請求項1に記載の非天然Ig結合タンパク質において、
    少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、アミノ酸配列:XQQX11AFYEILHLPX21LTEX25QRX28AFIQSLKDDPSX40SX424344LX46EAX49KLX525354QAPX58(配列番号38)を含み、ここで、
    がN,V,PまたはAであり、
    がDまたはAであり、
    がA,SまたはNであり、
    がKまたはQであり、
    がHまたはFであり、
    がD,SまたはAであり、
    がEまたはKであり、
    がD,EまたはAであり、
    llがSまたはNであり、
    2lがN,SまたはDであり、
    25がDまたはEであり、
    28がN,SまたはAであり、
    40がV,TまたはQであり、
    42がKまたはAであり、
    43がEまたはSであり、
    44がV,LまたはIであり、
    46がGまたはAであり、
    49がKまたはQであり、
    52がN,SまたはDであり、
    53がDまたはEであり、
    54がSまたはAであり、
    58がKまたはPであることを特徴とする非天然Ig結合タンパク質。
  3. 請求項1または2に記載の非天然Ig結合タンパク質において、
    少なくとも1の非天然Ig結合ドメインが、
    Figure 2018523994
    以上のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする非天然Ig結合タンパク質。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の非天然Ig結合タンパク質において、
    前記非天然Ig結合タンパク質がアルカリ性条件下で安定であることを特徴とする非天然Ig結合タンパク質。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の非天然Ig結合タンパク質において、
    2,3,4,5,6,7または8の非天然Ig結合ドメインが互いに連結されていることを特徴とする非天然Ig結合タンパク質。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の非天然Ig結合タンパク質において、
    前記非天然Ig結合タンパク質が、固相への部位特異的共有結合のための特異的付着部位を含むことを特徴とする非天然Ig結合タンパク質。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質を含む組成物であって、好ましくは当該組成物がアフィニティ分離マトリックスであることを特徴とする組成物。
  8. 免疫グロブリンのアフィニティ精製のための、請求項1乃至6の何れか一項に記載の非天然Ig結合タンパク質または請求項7に記載の組成物の使用。
  9. 免疫グロブリンのアフィニティ精製方法であって、
    a.免疫グロブリンを含有する液体を提供するステップと、
    b.請求項1乃至6の何れか一項に記載の固定化された非天然Ig結合タンパク質を含むアフィニティ分離マトリックスを提供するステップと、
    c.前記液体と前記アフィニティ分離マトリックスとを接触させるステップであって、前記免疫グロブリンが固定化されたタンパク質に結合する、ステップと、
    d.好ましくはpHの変化または塩濃度の変化により、前記免疫グロブリンをマトリックスから溶出し、それによって前記免疫グロブリンを含む溶出液を得るステップとを含み、
    e.任意選択的に、ステップ(c)とステップ(d)の間に実行される1またはそれ以上の洗浄ステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  10. 請求項8に記載の方法において、
    免疫グロブリンが、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG4、ヒトIgM、ヒトIgA、マウスIgG1、マウスIgG2A、マウスIgG2B、マウスIgG3、ラットIgG1、ラットIgG2C、ヤギIgG1、ヤギIgG2、ウシIgG2、モルモットIgG、ウサギIgG、Fc領域を含む免疫グロブリンフラグメント、免疫グロブリンのFc領域を含む融合タンパク質、および免疫グロブリンのFc領域を含むコンジュゲートからなる群から選択されることを特徴とする方法。
  11. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質の生成方法であって、少なくとも1のIg結合ドメインが、天然に存在するIg結合タンパク質からの少なくとも2の天然に存在するIg結合ドメインのシャッフリングプロセスによって得ることができることを特徴とする方法。
  12. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質をコードする核酸分子。
  13. 請求項12に記載の核酸分子を含むベクター。
  14. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質、請求項12に記載の核酸、または請求項13に記載のベクターを含む宿主細胞または非ヒト宿主。
  15. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質の産生方法であって、
    a.前記非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質を得るために、結合タンパク質の発現のための適切な条件下で、請求項14に記載の宿主細胞を培養するステップと、
    b.任意選択的に、前記非天然免疫グロブリン(Ig)結合タンパク質を単離するステップとを備えることを特徴とする方法。
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