JP2018515502A - 免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/または代謝状態を調節するためのポリペプチドの使用 - Google Patents

免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/または代謝状態を調節するためのポリペプチドの使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2018515502A
JP2018515502A JP2017557983A JP2017557983A JP2018515502A JP 2018515502 A JP2018515502 A JP 2018515502A JP 2017557983 A JP2017557983 A JP 2017557983A JP 2017557983 A JP2017557983 A JP 2017557983A JP 2018515502 A JP2018515502 A JP 2018515502A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid sequence
amino acid
polypeptide
seq
nucleic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017557983A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018515502A5 (ja
JP6894382B2 (ja
Inventor
ベルザー,クララ
ヴォス,ウィレム マインダート デ
ヴォス,ウィレム マインダート デ
ダニエル カニ,パトリス
ダニエル カニ,パトリス
Original Assignee
ヴァーヘニンゲン ユニバーシテイト
ヴァーヘニンゲン ユニバーシテイト
ウニベルシテ カソリーク デ ルーベン
ウニベルシテ カソリーク デ ルーベン
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ヴァーヘニンゲン ユニバーシテイト, ヴァーヘニンゲン ユニバーシテイト, ウニベルシテ カソリーク デ ルーベン, ウニベルシテ カソリーク デ ルーベン filed Critical ヴァーヘニンゲン ユニバーシテイト
Publication of JP2018515502A publication Critical patent/JP2018515502A/ja
Publication of JP2018515502A5 publication Critical patent/JP2018515502A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6894382B2 publication Critical patent/JP6894382B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/164Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/20Bacteria; Culture media therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/06Antihyperlipidemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

アッカーマンシア・ムシニフィラ由来の細胞外ポリペプチドは、哺乳類において腸粘膜免疫系機能を調節および/または促進し、かつ/または代謝状態を維持および/または回復させ、かつ/または腸粘膜バリアの物理的完全性を増大させることができることが分かった。このポリペプチドまたはそのようなポリペプチドを含む宿主細胞を用いて、腸粘膜バリアの物理的完全性の増大および/または腸粘膜免疫系機能および代謝状態の改善による恩恵を受ける様々な病気を予防および/または治療することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、腸粘膜免疫系、腸粘膜バリア、ならびに哺乳類(例えばヒト)の腸粘膜免疫系機能を調節および/または促進し、かつ/または腸粘膜バリアの物理的完全性を維持および/または回復および/または増大させ、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復または改善することができるポリペプチドおよび/または宿主細胞を含む医薬、食品または飼料組成物の分野に関する。より具体的には、本発明は、Amuc−1100ポリペプチドまたはその変異体を含む組成物を提供する。Amuc−1100がトール様受容体2(TLR2)と相互作用し、かつ/またはTLR2および/またはNFk−B依存性シグナル伝達経路を調節し、かつ/または哺乳類(例えばヒト)の腸粘膜バリアの近くに位置する免疫細胞からサイトカイン(例えば、IL−6、IL−8およびIL−10)放出を促進し、かつ/または腸粘膜バリアの物理的完全性を維持、回復または増大させ、かつ/または哺乳類におけるグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復または改善することができ、かつ/または哺乳類の代謝もしくは免疫状態を改善することができることが分かった。Amuc−1100ポリペプチドを使用して本明細書に記載されている様々な疾患または病気を予防または治療することができる。
腸粘膜バリアの透過性の増加すなわち透過性亢進は、腸関連疾患、自己免疫疾患、アレルギー、癌、2型糖尿病、肥満症、鬱病、不安症および多くの他の疾患などのいくつかの疾患および病気において役割を担っていると考えられている。この理由のために、哺乳類において消化管(GI)を標的にする多くの病気の発生における腸粘膜バリア機能不全の役割を理解することに関心が高まっている。
正常な状態では、腸粘膜バリアは、栄養素、電解質および水の吸収を許可し、かつ有害な巨大分子、微生物、食餌性抗原および微生物抗原(例えば、食品アレルゲン)への曝露を防止する選択的バリアとして機能する。腸粘膜バリアは本質的に粘液層と上皮細胞(本明細書では「腸上皮細胞」という)の下層とからなる。腸上皮細胞は、2つの腸上皮細胞膜間の基本的に「物理的結合」である、いわゆる「密着結合」によって互いに密に結合されている。腸粘膜バリアの維持、特に腸上皮細胞層の物理的完全性の維持(すなわち、細胞間の結合を密に維持すること)は、腸から血流への病原微生物、抗原および他の望ましくない物質の遊走から宿主を保護するために極めて重要である。
また腸粘膜バリアには、その大部分がその宿主と共生状態で生きている約1012〜1014個の共生微生物、主に嫌気性もしくは微好気性細菌によって大量のコロニーが形成されている。これらの細菌はその宿主にとって色々な意味で有益である。それらは病原菌からの保護を与え、かつビタミンKおよびビタミンB群の構成要素のいくつかを合成することによりその宿主において栄養的役割を担っている。さらに、腸粘膜バリアは共生細菌(すなわち有益な細菌)と病原菌および他の有害な物質との区別のための複雑な「腸粘膜免疫系」を進化させてきた。腸粘膜免疫系は、腸粘膜バリアの不可欠な部分であり、腸粘膜バリア全体に広く散在しているリンパ組織および特殊化した免疫細胞(すなわちリンパ球および血漿細胞)を含む。健康な対象の粘膜に天然にコロニーを形成する微生物の一種は、腸管バリア機能を高め(Everardら, PNAS 110 (2013) 9066-71; Reunanenら, Appl Environ Microbiol March 20 2015)、それにより腸バリア機能の不全に関連する疾患に影響を与えることが分かっているムチン分解アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)である。
特定の環境では、腸粘膜バリアは、通常は粘膜腸バリアを横切ることができないが、それにも関わらず、(例えば、腸上皮細胞間の緩い密着結合により生じる隙間を通して)それを横切ることに成功する多種多様な感染性生物または物質に対して脆弱になりやすくなることがある。腸粘膜バリアを横切る生物または他の物質は、宿主において疾患または他の望ましくない病気(例えばアレルギー)を引き起こすことがある。そのような疾患の例としては、肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患および癌が挙げられる。
逆に、上述のような疾患ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの他の病気は腸粘膜バリアの物理的完全性を変える(すなわち、腸上皮細胞間の密着結合の弛緩を引き起こす)ことがあり、次いでこれにより、望ましくない微生物または他の物質が宿主腸粘膜バリアを横切るのを可能にしてしまう場合がある。
そのような微生物または物質を標的とするいくつかのワクチンおよび/または抗体が長年にわたって開発されてきた。しかし、いくつかの微生物または物質はワクチンまたは抗体で有効に標的化または根絶することができないため、そのような手法の成功は少ない。
最初の段階で有害な微生物および他の物質が宿主の腸粘膜バリアを横切るのを防止することを目的とし、かつ/または腸粘膜バリアの透過性亢進を予防することを目的とする他の手法も探究されてきた。例えば、腸粘膜バリアの透過性亢進に関連する病気を予防および/または治療するためにグルタミン酸を含む組成物が開発されてきた(国際公開第01/58283号)。スペルミンおよびスペルミジンおよびその前駆体を含む他の物質も同じ目的のために使用されてきた(Dorhoutら(1997). British J. Nutrition, 639-654頁)。腸粘膜バリアの近くに生息するGI細菌に有益な効果を促進するためのアラビノキシランを含む調製物も腸粘膜バリアを調節するという目的のために開発されてきた(米国特許出願公開第2012/0230955号)。
本発明の目的は、腸粘膜バリアの物理的完全性を維持および/または回復および/または増大させ、かつ/または哺乳類(例えばヒト)の腸粘膜バリアの透過性亢進を予防し、かつ/または哺乳類におけるグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持および/または回復および/または改善し、好ましくはそれにより前記哺乳類における腸粘膜バリアの最適以下の透過性および/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性のバランス異常に関連する疾患または病気を予防または治療するのに適した薬剤および/またはそのような薬剤を含む組成物を提供することにある。代わりまたは追加として、本発明の目的は、哺乳類における腸粘膜免疫系機能を調節および/または促進するのに適した薬剤および/またはそのような薬剤を含む組成物を提供することにある。
本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドと、薬学的または食物的に(alimentarily)許容される担体とを含む組成物に関する。
本組成物は栄養組成物または医薬組成物であってもよい。
本発明は、a)その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸分子、およびb)配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子からなる群から選択される核酸分子がそのゲノムの中に導入されている、遺伝子改変された宿主細胞にも関する。
さらに、本発明は、アッカーマンシア・ムシニフィラ種ではなく、a)その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸分子、およびb)配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子からなる群から選択される核酸分子を含む、遺伝子改変された宿主細胞に関する。
本発明は、アッカーマンシア・ムシニフィラ種であり、a)その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸分子、およびb)配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子からなる群から選択される核酸分子がそのゲノムの中に導入されている、遺伝子改変された宿主細胞をさらに提供する。
さらに本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドの産生方法であって、a)前記ポリペプチドの産生を可能にする条件下で請求項3〜5のいずれかに記載の宿主細胞を培養する工程と、b)任意で、工程(a)で産生されたポリペプチドを単離する工程とを含む方法に関する。
本発明は、薬として使用され、特に哺乳類において腸粘膜免疫系機能を促進するため、グルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復および/または改善するため、あるいは腸粘膜バリアの物理的完全性を維持、回復および/または増大させるために使用される、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチド、本明細書に教示されている宿主細胞、あるいは本明細書に教示されている組成物をさらに提供する。
前記ポリペプチド、組成物または宿主細胞は、哺乳類における肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、子癇前症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、癌ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの腸粘膜バリアの物理的完全性を変える病気からなる群から選択される疾患を予防および/または治療するために使用されるものであってもよい。
代わりまたは追加として、前記ポリペプチド、宿主細胞または組成物は、哺乳類の腸における抗炎症活性を促進するために使用され、かつ/または哺乳類における体重減少を促進するために使用されるものであってもよい。
本発明は、哺乳類における肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、子癇前症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、癌ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの腸粘膜バリアの物理的完全性を変える病気からなる群から選択される疾患を治療および/または予防するため、哺乳類における体重減少を促進するため、哺乳類の腸における抗炎症活性を促進するため、哺乳類における腸粘膜免疫系機能を促進するため、哺乳類におけるグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復および/または改善するため、あるいは哺乳類の粘膜腸バリアの物理的完全性を維持、回復および/または増大させるための方法であって、それを必要とする哺乳類に、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチド、本明細書に教示されている宿主細胞または本明細書に教示されている組成物の有効量を投与する工程を含む方法にも関する。
本発明はさらに、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドの産生方法であって、a)好適な培地においてアッカーマンシア・ムシニフィラ種の細菌を培養する工程と、b)任意で、工程(a)で産生されたポリペプチドを単離する工程とを含む方法にも関する。
一般的な定義
本発明の文脈では、「ポリペプチド」という用語は、「タンパク質」という用語と同義である。ポリペプチドは特定のアミノ酸配列を有する。本発明のポリペプチドの「変異体」は、好ましくは本発明のポリペプチドと少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。本発明のポリペプチドがその自然環境にもはや存在しない場合、すなわち、線毛との関連でもはや存在しない場合および/またはアッカーマンシア・ムシニフィラ細胞などの細胞との関連でもはや存在しない場合に単離する。
本明細書で使用される「配列同一性」または「配列類似性」という用語は、アミノ酸または核酸配列が別の参照アミノ酸または核酸配列と配列同一性または配列類似性を有する状況を指す。グローバルもしくはローカルアラインメントアルゴリズムを用いた2つのポリペプチドまたは2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって「配列同一性」または「配列類似性」を決定することができる。その際、配列が(デフォルトパラメータを用いる例えばGAPまたはBESTFITプログラムによって最適にアラインメントされた場合に)少なくとも特定の最小の割合の配列同一性(以下に定義されている)を共有していれば、「実質的に同一である」または「本質的に類似している」ということができる。GAPは、NeedlemanおよびWunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して2つの配列をそれらの長さ全体にわたってアラインメントし、一致数を最大化し、かつギャップ数を最小化する。一般に、ギャップ導入ペナルティ(gap creation penalty)=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)およびギャップ伸長ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)を用いるGAPデフォルトパラメータが使用される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトスコア行列はnwsgapdnaであり、タンパク質の場合、デフォルトスコア行列はBlosum62である(Henikoff & Henikoff, 1992, PNAS 89, 915-919)。Accelrys社(9685 Scranton Road、米国カリフォルニア州サンディエゴ、92121-3752)から入手可能なGCG Wisconsinパッケージのバージョン10.3またはEmbossWinバージョン2.10.0(プログラム「needle」を用いる)などのコンピュータプログラムを用いて配列アラインメントおよび配列同一性の割合のスコアを決定してもよい。あるいは、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを用い、データベースに対して検索を行って類似性または同一性の割合を決定してもよい。好ましくは、配列同一性とは配列の長さ全体にわたる配列同一性を指す。
「経上皮抵抗性」(TERと省略する)はインビトロでの上皮細胞層の透過性の尺度である。上皮透過性の増加は密着結合の弱化およびTERの減少と関連している。
本明細書で使用される「キメラ遺伝子」という用語は、あらゆる天然に生じない遺伝子、すなわち通常は生物種において自然に存在しない遺伝子、特に核酸配列の1つ以上の部分が本来は互いに関連していない遺伝子を指す。例えば、プロモーターは転写領域の一部もしくは全てまたは別の調節領域と本来は関連していない。「キメラ遺伝子」という用語は、異種プロモーターまたは転写制御配列が1つ以上のコード配列および任意に3’−非翻訳領域(3’−UTR)に作動可能に連結されている発現構築物を含むものとして理解される。あるいは、キメラ遺伝子は、プロモーター、コード配列、および任意で同じ生物種由来であるがこの組み合わせにおいて天然に生じない3’−UTRを含んでいてもよい。
本明細書で使用される「遺伝子改変された宿主細胞」という用語は、例えば外来性核酸配列(例えば、本明細書に教示されている配列番号2)の導入または内因性遺伝子配列の特異的変化によって遺伝子改変された細胞を指す。そのような細胞は、例えば、内因性遺伝子における1つ以上の突然変異、挿入および/または欠失の導入および/またはゲノム内への遺伝子構築物(例えば、ベクターまたはキメラ遺伝子)の挿入によって遺伝子改変されていてもよい。遺伝子改変された宿主細胞は、単離または培養された細胞を指してもよい。遺伝子改変された細胞は、細胞が例えば改変されたウイルスに感染した「形質導入細胞」であってもよく、例えばレトロウイルスを使用してもよいが、レンチウイルスなどの他の好適なウイルスも想定され得る。また、形質移入などの非ウイルス法を使用してもよい。従って、遺伝子改変された宿主細胞は「安定的に形質移入された細胞」または「一時的に形質移入された細胞」であってもよい。形質移入は、遺伝子が発現されるようにDNA(またはRNA)を細胞に導入するための非ウイルス法を指す。核酸のリン酸カルシウム形質移入、PEG形質移入およびリポソームもしくはリポフレックス形質移入などの形質移入法が当該技術分野で広く知られている。そのような形質移入は一時的なものであってもよいが、遺伝子構築物をそのゲノムの中に組み込んでいる細胞を選択することができる安定的形質移入であってもよい。
本明細書で使用される「有効量」という用語は、本明細書に教示されている効果を達成するのに必要な量を指す。例えば、本明細書に教示されているポリペプチドまたは遺伝子操作された宿主細胞の有効量は、腸粘膜免疫系機能を調節および/または促進させ、かつ/または腸粘膜バリアの物理的完全性を維持および/または回復および/または増大させ(例えば、腸上皮細胞間のより密な結合の形成を促進させ)、かつ/または免疫細胞においてトール様受容体シグナル伝達経路(すなわちTLR2経路)を調節および/または刺激し、かつ/または免疫細胞においてサイトカイン(例えば、IL−6、IL−8およびIL−10)産生を増大させ、かつ/または肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、癌ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの腸粘膜バリアの物理的完全性を変える病気などの疾患または病気を予防および/または治療するのに有効で有用な量である。
本明細書で使用される「生理学的に許容される担体」または「食物的に許容される担体」、「栄養的に許容される担体」または「薬学的に許容される担体」という用語は、本発明のポリペプチドまたは宿主細胞の投与形態を提供するのに関わる液体または固体の充填剤、希釈液、賦形剤、溶媒または封入材料などの生理学的に許容されるか食物的に許容される担体または栄養的に許容されるか薬学的に許容される担体材料を指す。各担体は、本組成物の他の成分と適合可能であり、かつ対象に有害でないという意味で「許容される」もの、すなわち飲用に適するか栄養的に許容されるものでなければならない。「飲用に適する」または「栄養的に許容される」という用語は、一般にヒト(ならびに他の哺乳類)の飲用にとって安全なものとみなされる成分または物質を指す。生理学的に許容される担体または栄養的に許容されるか薬学的に許容される担体としての役割を果たすことができる材料の非限定的な例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類、(2)トウモロコシ澱粉およびジャガイモ澱粉などの澱粉、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、(4)粉末状トラガント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオ脂および坐薬ワックスなどの賦形剤、(9)落花生油、綿実油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱性物質除去蒸留水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、(21)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合可能物質などが挙げられる。さらに、本明細書で使用される「栄養的に許容される」および「薬学的に許容される」という用語は、正しい医学的判断の範囲内であり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応あるいは他の問題または合併症を引き起こすことなく人間および動物の組織と接触させて使用するのに適し、かつ妥当なベネフィット/リスク比に釣り合った組成物または薬剤の組み合わせ、材料または組成物および/またはそれらの剤形を指す。
「恒常性」という用語は、内部状態が安定なままであり、かつ比較的一定であるように変数が調節される系の性質を指す。全ての動物が自身の血中グルコース濃度を調節する。体内でのグルコース調節は体を「グルコース恒常性」に維持するプロセスである。哺乳類は、異なるホルモン(例えば、インスリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、カテコールアミンおよび多くのその他のホルモン)ならびに異なる神経経路(例えば、神経リレー、腸→脳→末梢器官軸)により自身の血中グルコースを調節する。ヒトの体は、一日の大半において24時間の絶食後でさえグルコース濃度を一定に維持している。長期間の絶食中でさえ、グルコース濃度は非常に僅かにのみ低下する。膵臓のβ細胞によって分泌されるインスリンは、それらの細胞にそれ自身の使用のためにグルコースの大部分を維持するように命令して、体の細胞にグルコースを有効に輸送する。細胞内部のグルコースが高ければ、細胞はそれを不溶性グリコーゲンに変換して可溶性グルコースが細胞代謝を妨げるのを防止する。最終的に、これが血中グルコース濃度を下げ、インスリンは高血糖症を予防するのを助ける。インスリンが不十分であるか細胞がそれに対して耐性を示すようになった場合に糖尿病が生じる。膵臓のα細胞によって分泌されるグルカゴンは、蓄積されたグリコーゲンを分解するか糖新生により非炭水化物炭素源をグルコースに変換するように細胞を促し、このようにして低血糖症を予防する。数多くの他の因子およびホルモンがグルコース代謝の制御に関与している(例えば、グルカゴン様ペプチド1、カテコールアミンおよび多くのその他のホルモン)。神経経路に関与する異なる機序もこの複雑な調節に寄与している。
「コレステロール恒常性」は、生きている生物の体内でコレステロールのバランスのとれた内部状態を維持するプロセスに寄与する機序である。人体系において不可欠な生物学的分子であるコレステロールは、胆汁酸、ビタミンDおよびステロイドホルモンの生成のための前駆体として機能するなどの各種生理学的機能を行う。これは体内に存在する全ての細胞の細胞膜において重要な構造的要素としても機能する。コレステロールの有益かつ必要な機能にも関わらず、コレステロール恒常性の乱れは心疾患のリスクの増加を引き起こし、かつコレステロール代謝に関連する他の恒常性フィードバックシステムを乱れさせる可能性がある。コレステロール恒常性を制御する最も際立った器官は肝臓であり、肝臓は循環系の中に放出されるコレステロールを生合成するだけでなく、血流からの潜在的に有害な自由に流動するコレステロールを破壊するからである。HDLは潜在的に危険なコレステロールを選択して、直接肝臓に送って戻し、そこでコレステロールを消化器系によって使用される無害な胆汁酸に合成するので、コレステロール恒常性の維持に有益である。LDLはそれらのコレステロールを体細胞の中および動脈壁の上に蓄積させる傾向があるため、あまり有益には働かない。心血管疾患のリスクを高めることが分かっているのは過剰な濃度のLDLである。健康な対象では、コレステロール恒常性は複雑なフィードバックループによって厳重に規制されている。この場合、健康な対象が豊富な量の食事性コレステロールを摂取すれば、肝臓における生合成は大きく減少してバランスを保つ。長年にわたる貧しい食生活または他の遺伝子疾患もしくは医学的状態のいずれかが原因で高いベースラインLDL濃度を有する健康な対象では、フィードバックループおよび全身の対処機構はその同じ豊富な摂取量に勝てず、危険な恒常性のバランス異常を引き起こす場合がある。
「トリグリセリド恒常性」は、生きている生物の体内でトリグリセリドのバランスのとれた内部状態を維持するプロセスに寄与する機序である。トリグリセリド代謝は大きな臨床的関連性を有する。高トリグリセリド血症は、高い(過剰な)血中または血清中トリグリセリド(最も豊富な脂肪分子)濃度(状態)を意味する。トリグリセリド濃度の上昇は、高コレステロール血症(高いコレステロール濃度)の非存在下であってもアテローム性動脈硬化症に関連しており、心血管疾患の素因となる。高いトリグリセリド濃度は急性膵炎のリスクも高める。さらに、長期間のTG濃度の上昇および増加は糖尿病を発症するリスクを高める。インスリン抵抗性は高濃度のトリグリセリド(TG)に関連していることが分かっている。
本明細書で使用される「約」という用語は、当該技術分野における通常の許容差範囲、例えば平均の2標準偏差以内を表す。「約」という用語は、指示されている値の最大で10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%または0.01%で外れる値を包含するものとして理解することができる。
本明細書で使用される「含む(comprising)」または「含む(comprise)」という用語およびそれらの語形変化は、前記用語が、その言葉に後続する項目が含められるが具体的に言及されていない項目が排除されないことを意味するようにそれらの非限定的な意味で使用される状況を指す。それは、より制限的な動詞「本質的に〜からなる(consist essentially of)」および「〜なる(consist of)」も包含する。
不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」による要素の参照は、当該文脈が当該要素の1つおよび1つのみが存在することを明らかに要件としていない限り、当該要素のうちの2つ以上が存在しないという可能性を排除するものではない。従って、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は通常は「少なくとも1つ」を意味する。
本発明者らは、本明細書に教示されているAmuc−1100ポリペプチドまたはその変異体が、哺乳類(例えばヒト)において腸免疫系機能を調節および/または促進させ、かつ/または腸粘膜バリアの物理的完全性を維持および/または回復および/または増大させ、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持および/または回復および/または改善することができることを見出した。本発明者らは、このポリペプチドがシグナル伝達においてその役割を支持するアッカーマンシア・ムシニフィラによってコードされる細胞の外に存在することも見出した。
どんな理論によっても縛られたくはないが、そのような有益な効果は、哺乳類の腸粘膜バリアの近くに位置する免疫細胞の表面に存在するTLR2シグナル伝達経路と相互作用する本発明のポリペプチドの能力によって生じると考えられる。より具体的には、本発明者らは、本明細書に教示されているポリペプチドが、免疫細胞の表面に存在するTLR2と相互作用し、かつ/または腸粘膜バリアの近くに位置する免疫細胞におけるTLR2シグナル伝達経路を調節および/または刺激して前記免疫細胞からのサイトカイン(例えば、IL−6、IL−8およびIL−10)の分泌を刺激することができることを見出した。
さらに、本発明者らは、本明細書に教示されているポリペプチド(その変異体を含む)が、哺乳類の腸粘膜バリアの経上皮抵抗性を調節および/または増大させることができることを見出した。経上皮抵抗性測定値の上昇は腸粘膜バリアの透過性の減少の指標として機能するため、本明細書に教示されているポリペプチド(その変異体を含む)は、特に上皮細胞間の密着結合のレベルにおいて腸粘膜バリアの物理的完全性を調節することができると考えられる。
互いに組み合わせると、これらの効果は、腸粘膜免疫系機能の改善または向上(例えば、腸粘膜バリアにおけるサイトカインのより多くの放出)ならびに特に腸上皮細胞間の接続のレベルにおける(すなわち細胞間のより密な密着結合による)腸粘膜バリアの物理的完全性の改善または向上をもたらすと考えられる。
さらに、Amuc−1100による高脂肪食(HFD)給餌マウスの治療は、食糧摂取量に影響を与えることなく体重および脂肪量増加の顕著な減少を引き起こすことが分かった。Amuc−1100による治療は、血清HDLコレステロールの有意な減少およびLDLコレステロールの同様の傾向により、HFD誘発性高コレステロール血症も治した。さらに、Amuc−1100の投与は、生きたままのアッカーマンシア・ムシニフィラ細菌と同じ効力で耐糖能異常も減少させた。
最後に、メトホルミンがアッカーマンシアの増殖を刺激することが知られており(Lee HおよびKo G,A ppl Environ Microbiol. 2014 Oct;80(19):5935-43)、故に、アッカーマンシアおよびAmuc−1100などのその細胞外ペプチドは、妊娠糖尿病および子癇前症に対してメトホルミンと同様の効果を有し得る可能性が高い(Syngelakiら N Engl J Med. 2016 Feb 4;374(5):434-43)。
ポリペプチド
本開示は、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロール恒常性に影響を与えることができるポリペプチドを教示する。本明細書に教示されているポリペプチドはトール様受容体2(TLR2)に結合することができるものであってもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されているポリペプチドおよびその変異体は、細胞におけるTLR2シグナル伝達経路を刺激し、細胞からのサイトカイン(例えば、IL−6、IL−8、IL−10など)の放出を刺激し、かつ/または哺乳類、例えばヒトの細胞の経上皮抵抗性(TER)を増大させ、かつ/または哺乳類(例えばマウスまたはヒト)の代謝もしくは免疫状態を改善することができる。
本明細書に教示されているポリペプチドを「Amuc−1100タンパク質」または「Amuc−1100ポリペプチド」とも呼ぶことができる。当然のことながら「Amuc−1100タンパク質」または「Amuc−1100ポリペプチド」または「本明細書に教示されているポリペプチド」という用語は、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸配列と50%超、好ましくは55%超、60%超、65%超、70%超、好ましくは75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、好ましくは96%超、好ましくは97%超、好ましくは98%超および好ましくは99%超の配列同一性を有する前記変異体のアミノ酸配列を有するAmuc−1100タンパク質の変異体も含む。配列番号1のアミノ酸配列を有するAmuc−1100ポリペプチドの変異体は、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入による配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチド由来のポリペプチドも含む。好ましくは、そのようなポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較した場合に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上であって、最大約100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15個のアミノ酸の置換、欠失または挿入を含む。
本明細書に教示されているポリペプチドには、細胞からのポリペプチドの分泌を刺激するN末端シグナル配列が前に付けられていてもよい。一実施形態では、N末端シグナル配列は、Amuc−1100ポリペプチドの予測される天然に生じるN末端シグナル配列である配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。但し、Amuc−1100を細胞から分泌させることができる他のN末端シグナル配列を用いてもよい。例えば、そのようなN末端シグナル配列がAmuc−1100を細胞から分泌させることができる限り、Amuc−1100ポリペプチドの予測される天然に生じるN末端シグナル配列の切断型または伸長型を用いてもよい。あるいは、天然に生じないN末端シグナル配列を用いてもよい。当業者は本発明での使用に適したN末端シグナル配列を同定することができる。従って、本発明のポリペプチドは、そのアミノ酸配列からの配列番号3のN末端アミノ酸配列を含んでいてもよい。
アミノ酸配列の同一性は、当該技術分野において利用可能な任意の好適な手段によって決定してもよい。例えば、NeedlemanおよびWunschアルゴリズムならびに上に定義したようなGAPデフォルトパラメータを用いるペアワイズアラインメントによってアミノ酸配列の同一性を決定してもよい。また、ウェスタンブロット、免疫組織化学、ELISA、アミノ酸合成などの多くの方法を使用して本明細書に教示されているポリペプチドの変異体を同定、合成または単離することができるものと理解される。
また、本明細書に教示されているAmuc−1100ポリペプチドのあらゆる変異体は本明細書に教示されているAmuc−1100ポリペプチドと同じ機能を発揮し、かつ/または同じ活性を有するものと理解される。任意のAmuc−1100ポリペプチドまたはその変異体の機能性または活性は、当業者がこれらの目的に適しているとみなす当該技術分野で知られている任意の方法によって決定してもよい。
ポリヌクレオチド
本開示は、
(a)その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列、および
(b)本明細書に教示されているポリペプチドをコードする核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含む、単離、合成もしくは組換え核酸分子などの核酸分子も教示する。
「単離核酸分子」(例えば、cDNA、ゲノムDNAまたはRNA)という用語は、天然に生じる核酸分子または人工もしくは合成の核酸分子を含む。核酸分子は本明細書に教示されているどのポリペプチドをコードしてもよい。前記核酸分子を使用して本明細書に教示されているポリペプチドを産生してもよい。遺伝暗号の縮重により、各種核酸分子は同じポリペプチド(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチド)をコードしてもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されている単離核酸分子としては、配列番号2の核酸配列と50%超、好ましくは55%超、好ましくは60%超、好ましくは65%超、好ましくは70%超、好ましくは75%超、好ましくは80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは96%超、好ましくは97%超、好ましくは98%超および好ましくは99%超の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むあらゆる核酸分子を包含するあらゆる変異核酸分子が挙げられる。変異体は、1つ以上の核酸の置換、欠失または挿入による配列番号2の核酸配列を有する核酸分子由来の核酸分子も含む。好ましくは、そのような核酸分子は、配列番号2と比較した場合に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上であって、最大約100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15個の核酸の置換、欠失または挿入を含む。
配列同一性は当該技術分野において利用可能な任意の好適な手段によって決定してもよい。例えば、生命情報科学を使用して核酸配列間のペアワイズアラインメントを行って配列間の機能的、構造的または共進化関係に起因し得る類似性の領域を同定してもよい。また、核酸ハイブリダイゼーション、PCR法、コンピューター解析および核酸合成などの多くの方法を使用して、本明細書に教示されているポリヌクレオチドの変異体を同定、合成または単離することができるものと理解される。
さらに、本明細書に教示されているあらゆる核酸分子が本明細書に教示されているポリペプチドをコードすることができるものと理解される。
一実施形態では、核酸分子は配列番号2に記載されている核酸配列を有する核酸分子である。
あるいは、単離核酸分子は、ストリンジェントな条件下で本明細書に教示されている核酸分子とハイブリッド形成し、かつ本明細書に教示されているポリペプチドをコードする核酸分子であってもよい。例えば、そのような核酸配列は、細胞または生物における本発明の核酸分子のあらゆる相同体の有無を検出するか、細胞または生物において本明細書に教示されている核酸分子の発現の減少または増加を検出することを目的としたスクリーニングアッセイで有利に使用することができる。
本明細書に教示されている核酸分子は、その宿主細胞からの本明細書に教示されているポリペプチドの分泌を刺激するのに適したN末端シグナル配列をコードする核酸分子を包含してもよい。前記N末端シグナル配列をコードする核酸分子は、配列番号4に記載されている核酸配列を含んでもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されている核酸分子は、前記核酸分子がプロモーターに作動可能に連結されているキメラ遺伝子に含まれていてもよい。従って、本発明は本明細書に教示されている核酸分子を含むキメラ遺伝子にも関する。
本明細書に教示されている核酸分子との連結に適した当該技術分野で知られている任意のプロモーターを使用してもよい。好適なプロモーターの非限定的な例としては、構成的もしくは調節的発現、弱および強発現などを可能にするプロモーターが挙げられる。当該技術分野で知られている任意の方法を使用して本明細書に教示されている核酸分子をキメラ遺伝子に含めてもよい。
本明細書に教示されている核酸分子をいわゆる「構成的プロモーター」に作動可能に連結することが有利であり得る。
あるいは、本明細書に教示されているポリヌクレオチドおよびその変異体をいわゆる「誘導プロモーター」に作動可能に連結することが有利であり得る。誘導プロモーターは、生理学的に(例えば特定の化合物の外用によって)調節されるプロモーターであってもよい。
本明細書に教示されているキメラ遺伝子は、「ベクター」または「核酸構築物」に含まれていてもよい。従って、本発明は本明細書に教示されているキメラ遺伝子または本明細書に教示されている核酸分子を含むベクターにも関する。
一態様では、本発明は、例えばそのゲノムの中に、本明細書に教示されている核酸分子、本明細書に教示されているキメラ遺伝子または本明細書に教示されているベクターを含むように遺伝子改変された宿主細胞に関する。
本明細書に教示されている遺伝子改変された宿主細胞を使用してインビボ、エキソビボおよび/またはインビトロにおいて本明細書に教示されているポリペプチドおよびその変異体を宿主細胞の細胞質内で産生するか、任意の手段によって細胞から放出させてもよい。本明細書に教示されているポリペプチドを、特に可溶性分子または分泌分子として発現させてもよい。本明細書に教示されている遺伝子改変された宿主細胞は、形質転換手順または遺伝子工学手順に適した任意の宿主細胞であってもよい。好適な宿主細胞の非限定的な例としては、任意の原核細胞または真核細胞などの培養可能な細胞が挙げられる。一実施形態では、AMUC−1100ポリペプチドは大腸菌などの細菌で発現される。
一実施形態では、本明細書に教示されている宿主細胞は、本明細書に教示されているポリペプチドまたはその変異体を天然に発現する任意の細胞であってもよい。そのような場合、宿主細胞は本明細書に教示されているポリペプチドまたはその変異体を過剰発現してもよい。
さらなる一実施形態では、本明細書に教示されている宿主細胞は、本明細書に教示されているポリペプチドまたはその変異体を天然に発現しない任意の細胞であってもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されている宿主細胞はアッカーマンシア・ムシニフィラ種に属していない。
別の実施形態では、宿主細胞はアッカーマンシア・ムシニフィラ種に属していてもよく、本明細書に教示されている核酸分子のさらなるコピーを含むか本明細書に教示されているキメラ遺伝子またはベクターを含むように遺伝子改変されている。そのようなアッカーマンシア・ムシニフィラ細胞は、本明細書に教示されているAmuc−1100ポリペプチドまたはその変異体を過剰発現してもよい。
本明細書に教示されている宿主細胞は、当該技術分野で知られている任意の方法を用いて遺伝子改変されていてもよい。例えば、本明細書に教示されている宿主細胞または生物は、
a)宿主細胞を、その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列、および本明細書に教示されているポリペプチドおよびその変異体をコードすることができる核酸配列からなる群から選択される核酸配列を含む単離、合成もしくは組換え核酸分子などの本明細書に教示されている核酸分子で形質転換する工程と、
b)前記宿主細胞を本明細書に教示されている核酸分子の発現および/または本明細書に教示されているポリペプチドまたはその変異体の産生を可能にするのに適した条件下で培養する工程と、
c)任意で、本明細書に教示されている核酸分子を発現し、かつ/または本明細書に教示されているポリペプチドまたはその変異体を産生することができる宿主細胞をスクリーニングする工程と
を含む方法によって遺伝子改変されていてもよい。
好ましい実施形態では、本明細書に教示されている宿主細胞または生物は、本明細書に教示されている配列番号2のヌクレオチド配列またはその変異体を有する核酸分子で形質転換されていてもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されている遺伝子改変された宿主細胞は天然に生じるか哺乳類の腸粘膜バリアの近くまたは中で生息する細菌種に属していてもよい。前記細菌種は「腸粘膜関連細菌種」と呼ばれることが多い。「腸粘膜関連細菌種」の非限定的な例としては、アッカーマンシア・ムシニフィラ(ATTC BAA-835)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(A2−165)、ラクトバチルス・ラムノサス(ATCC 53103)およびビフィドバクテリウム・ブレーベ(DSM−20213)が挙げられる。
特定の実施形態では、腸粘膜関連細菌を本明細書に教示されているポリヌクレオチドおよびその変異体のいずれかで遺伝子改変して、例えば哺乳類(例えばヒト)の腸粘膜バリアの近くまたは中で直接、本明細書に教示されているポリヌクレオチドを発現または過剰発現させるか、本明細書に教示されているポリペプチドを産生または過剰産生させることが有利であり得る。好ましい実施形態では、腸粘膜関連細菌は、アッカーマンシア・ムシニフィラ種由来の任意の細菌であってもよい。そのような過剰産生は、組換えDNA技術、CRISPR/casのようなシステムに基づくツールを用いるようなゲノム編集を含む遺伝子改変ツールまたは古典的な突然変異選択システムによって実現してもよい。
一実施形態では、遺伝子改変された宿主細胞は任意の細菌であってもよく、特に哺乳類の腸粘膜バリアの近くまたは中で天然に生じるか生息する細菌種に由来しない細菌であってもよい。そのような細菌の非限定的な例としては任意の有益な単離された腸内細菌菌株が挙げられ、例えばプロバイオティクス細菌、特にラクトコッカス属、ラクトバチルス属またはビフィドバクテリウム属から選択される菌株を使用してもよい。また、ヒトの腸管で発生することが知られている属に属するような偏性嫌気性(strict anaerobic)腸内細菌を使用してもよい(Rajilic-Stojanovic & de Vos, The first 1000 cultured species of the human gastrointestinal microbiota. FEMS Microbiol Rev. 38: 996-1047)。
ポリペプチドの産生方法
さらなる態様では、本発明は、
(a)本明細書に教示されているポリペプチドまたはその変異体の産生を可能にする条件下で本明細書に教示されている宿主細胞を培養する工程と、
(b)任意で、工程(a)で産生されたポリペプチドを単離する工程と
を含む、本明細書に教示されているポリペプチド(変異体を含む)の産生方法に関する。
工程(a)では、本明細書に教示されている宿主細胞を任意の公知の培養方法に従い、かつ任意の公知の培地で培養してもよい。当業者であれば、好適な宿主細胞を選択することができ、かつポリペプチドの産生を可能にする好適な条件を確立することができるであろう。
あるいは、本ポリペプチドは、
(a)好適な培地においてアッカーマンシア・ムシニフィラ種の細菌を培養する工程と、
(b)任意で、工程(a)で産生されたポリペプチドを単離する工程と
を含む方法によって産生してもよい。
上記方法の工程(a)で産生されたポリペプチドは、当該技術分野で知られている任意の方法によって単離してもよい。当業者であれば、そのような培地から産生されたポリペプチドを単離することができるであろう。
好適な培地は、例えばDerrienらによって教示されている(2004, Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 54: 1469-76)。Derrienらは、アッカーマンシア・ムシニフィラ(A.muciniphila)菌株のMucTを単離して唯一の炭素および窒素源としてブタ胃ムチンを含有する基本嫌気性培地で増殖させたことを教示している。この著者らは、アッカーマンシア・ムシニフィラをコロンビアブロス(CB)およびブレインハートインフュージョン(BHI)ブロスなどの富栄養培地またはグルコースと高濃度のカジトンおよび酵母抽出物とを含む基本培地で増殖させることができることも教示している。同様に、Lukovacら(mBio)は、グルコースおよびフコースならびに豊富な量のカジトンを含有する基本培地におけるアッカーマンシア・ムシニフィラの増殖を教示している(2014, mBio 01438-14)。
細菌のスクリーニング方法
さらなる態様では、本発明は、
(a)ストリンジェントな条件下で配列番号2の核酸配列を有するかその長さ全体にわたって配列番号2の核酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列を有する核酸分子とハイブリッド形成することができる核酸分子を用意する工程と、
(b)(a)の核酸分子を検出して、配列番号2の核酸配列またはその長さ全体にわたって配列番号2の核酸配列と少なくとも50%の核酸配列同一性を有する核酸配列を有する核酸配列を含む細菌を同定する工程と
を含む、細菌における本明細書に教示されているポリヌクレオチドの有無の検出方法に関する。
本開示は、
(a)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合することができる抗体を用意する工程と、
(b)工程(a)の抗体を検出して、配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む細菌を同定する工程と
を含む、細菌における本明細書に教示されているポリペプチドまたはその変異体の有無の検出方法にも関する。
一実施形態では、工程(a)の核酸および/または工程(c)の抗体を標識して(例えば、蛍光、放射性ラベルなど)検出を容易にする。
組成物
さらなる態様では、本発明は、本明細書に教示されているポリペプチドのいずれかを含む組成物に関する。好ましい実施形態では、本ポリペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を有する。
なおさらなる態様では、本発明は本明細書に教示されている宿主細胞を含む組成物に関する。宿主細胞は約104〜約1015コロニー形成単位(CFU)の範囲の量で存在してもよい。例えば、宿主細胞の有効量は、約105CFU〜約1014CFU、好ましくは約106CFU〜約1013CFU、好ましくは約107CFU〜約1012CFU、より好ましくは約108CFU〜約1012CFUの量であってもよい。宿主細胞は生存可能であっても死んでいてもよい。宿主細胞の有効性は本明細書に教示されているポリペプチドの存在と相関している。
一実施形態では、本明細書に教示されている組成物は、担体、例えば生理学的に許容される担体、薬学的に許容される担体、食物的に許容される担体または栄養的に許容される担体をさらに含む。担体は任意の不活性な担体であってもよい。例えば、好適な生理学的または薬学的に許容される担体の非限定的な例としては、周知の生理学的もしくは医薬的担体、緩衝液、希釈液および賦形剤のいずれかが挙げられる。当然のことながら、好適な生理学的担体、医薬的担体、食物的担体または栄養的担体の選択は、本明細書に教示されている組成物の意図される投与様式(例えば経口)および本組成物の意図される形態(例えば、飲料、ヨーグルト、粉末、カプセルなど)によって決まる。当業者は、好適な担体、例えば、本明細書に教示されている組成物に適しているかそれらと適合可能な生理学的に許容される担体または栄養的に許容される担体または薬学的に許容される担体を選択する方法を知っている。
一実施形態では、本明細書に教示されている組成物は栄養もしくは食物組成物であってもよい。例えば、本明細書に教示されている組成物は、乳製品、例えばヨーグルトまたはヨーグルト飲料などの発酵性乳製品などの食品、食品添加物、飼料または飼料添加物であってもよい。この場合、本組成物は栄養的に許容されるか食物的に許容される担体を含んでいてもよく、これは好適な食品の主成分であってもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されている組成物は医薬組成物であってもよい。また、医薬組成物は添加物(例えば食品添加物)として使用するためのものであってもよい。本明細書に教示されている医薬組成物は、本明細書に教示されているポリペプチドおよび/または本明細書に教示されている宿主細胞に加えて、薬学的、栄養的または食物的または生理学的に許容される担体を含んでいてもよい。好ましい形態は意図される投与様式および(治療)用途によって決まる。担体は、本明細書に教示されているポリペプチドおよび/または本明細書に教示されている宿主細胞を哺乳類(例えばヒト)の消化管、好ましくは哺乳類における腸粘膜バリアの近くまたは中(より好ましくは結腸粘膜バリア)に送達するのに適した任意の適合可能な生理学的に許容される非毒性物質であってもよい。例えば、通常は薬学的に許容されるアジュバント、緩衝剤、分散剤などで補完された滅菌水または不活性固体を担体として使用してもよい。
本明細書に教示されている組成物は、液体形態、例えば本明細書に教示されているポリペプチドまたは本明細書に教示されている宿主細胞の安定化された懸濁液あるいは固体形態、例えば凍結乾燥した本明細書に教示されている宿主細胞の粉末であってもよい。本明細書に教示されている宿主細胞が凍結乾燥されている場合、ラクトース、トレハロースまたはグリコーゲンなどの凍結保護物質を用いてもよい。経口投与では、本明細書に教示されているポリペプチドまたは本明細書に教示されている凍結乾燥した宿主細胞を、カプセル、錠剤および粉末などの固体剤形またはエリキシル剤、シロップおよび懸濁液などの液体剤形で投与してもよい。本明細書に教示されているポリペプチドまたは本明細書に教示されている宿主細胞は、例えばグルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、澱粉、セルロースもしくはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ナトリウムサッカリン、滑石、炭酸マグネシウムなどの不活性成分および粉末担体と共に、ゼラチンカプセルなどのカプセルにカプセル化されていてもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されている組成物は、貯蔵中および/または胆汁への曝露中および/または哺乳類(例えばヒト)の消化管を通過中に、本明細書に教示されているポリペプチドおよび/または本明細書に教示されている宿主細胞の生存および/または生存能力を促進し、かつ/またはそれらの完全性を維持するのに適した1種以上の成分を含んでいてもよい。そのような成分の非限定的な例としては、胃の通過を可能にする腸溶コーティングおよび制御放出製剤が挙げられる。当業者は、有効成分(ポリペプチドであっても宿主細胞であってもよい)がその作用を発揮するその意図される目的地を確実に受け入れるのに適した成分の選択方法を知っている。
一実施形態では、本明細書に教示されている組成物は、粘膜結合剤または粘膜結合ポリペプチドをさらに含んでいてもよい。本明細書で使用される「粘膜結合剤」または「粘膜結合ポリペプチド」という用語は、それ自体を哺乳類(例えばヒト)の腸粘膜バリアの腸粘膜面に付着させることができる薬剤またはポリペプチドを指す。
あるいは、Amuc−1100ポリペプチドを、生きたままか死んでいるAmuc−1100産生細胞またはさらには非Amuc−1100産生細胞に付着させるための特異的ドッキングシステムを使用することができる。その結合は、最も効率的であるように見えるものであればC末端またはN末端のどちらにおけるものであってもよく、スペーサーペプチドの使用についても記載されている。例としては、LysMを用いるペプチドグリカン結合システムの使用が挙げられる(Visweswaran GRら 2014, Appl Microbiol Biotechnol. 98:4331-45)。さらに、当該技術分野では様々な粘膜結合ポリペプチドが開示されている。粘膜結合ポリペプチドの非限定的な例としては、コレラ毒素のBサブユニット、大腸菌熱不安定性エンテロトキシンのBサブユニット、百日咳菌毒素サブユニットS2、S3、S4および/またはS5、ジフテリア毒素のB断片ならびに志賀毒素または志賀様毒素の膜結合サブユニットなどの細菌性毒素膜結合サブユニットが挙げられる。他の好適な粘膜結合ポリペプチドとしては、大腸菌線毛(K88、K99、987P、F41、FAIL、CFAIII ICES1、CS2および/またはCS3、CFAIIV ICS4、CS5および/またはCS6)、P線毛などの細菌性線毛タンパク質が挙げられる。線毛の他の非限定的な例としては、百日咳菌線維状赤血球凝集素、コレラ菌毒素同時制御線毛(toxin-coregulate pilus)(TCP)、マンノース感受性赤血球凝集素(MSHA)、フコース感受性赤血球凝集素(PSHA)などが挙げられる。さらに他の粘膜結合剤としては、インフルエンザおよびセンダイウイルス赤血球凝集素および免疫グロブリン分子またはその断片を含む動物レクチンまたはレクチン様分子、カルシウム依存性(C型)レクチン、セレクチン、コレクチンまたはリンゴマイマイ赤血球凝集素などのウイルス付着タンパク質が挙げられ、粘膜結合サブユニットを有する植物レクチンとしては、コンカナバリンA、小麦胚芽凝集素、フィトヘマグルチニン、アブリン、リシンなどが挙げられる。この送達の利点は生きている組換え型生物の使用を不要にすることである。
不可欠ではないが、本明細書に教示されているポリペプチドまたは本明細書に教示されている宿主細胞を腸粘膜バリアに向けるために、1種以上の粘膜結合剤または粘膜結合ポリペプチドを本明細書に教示されている組成物に添加することが有利であり得る。
本明細書に教示されている組成物は、プレバイオティクス、プロバイオティクス、炭水化物、ポリペプチド、脂質、ビタミン、ミネラル、薬剤、防腐剤、抗生物質またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される成分をさらに含んでいてもよい。
一実施形態では、本明細書に教示されている組成物は、本明細書に教示されている組成物の栄養的価値および/または治療的価値をさらに高める1種以上の成分をさらに含んでいてもよい。例えば、タンパク質、アミノ酸、酵素、無機塩類、ビタミン(例えば、チアミンHCl、リボフラビン、ピリドキシンHCl、ナイアシン、イノシトール、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、葉酸、アスコルビン酸、ビタミンB12、p−アミノ安息香酸、ビタミンAアセテート、ビタミンK、ビタミンD、ビタミンEなど)、糖および複合糖質(例えば、水溶性および水不溶性単糖、二糖および多糖)、医薬化合物(例えば、抗生物質)、抗酸化剤、微量元素成分(例えば、コバルト、銅、マンガン、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、クロム、モリブデン、ヨウ素、塩素、シリコン、バナジウム、セレン、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムおよびカリウムなどの化合物)から選択される1種以上の成分(例えば、栄養的成分、獣医学的薬剤または医学的薬剤など)を添加することが有利であり得る。当業者は、本明細書に教示されている組成物の栄養的および/または治療的/医療的価値を高めるのに適した方法および成分に精通している。
一実施形態では、宿主細胞は、凍結乾燥形態またはマイクロカプセル化形態(例えば、Solankiら BioMed Res. Int. 2013, Article ID 620719によって概説されている)、または宿主細胞(例えば、細菌の菌株)の活性および/または生存能力を保つ任意の他の形態で組み込まれていてもよい。
治療方法
別の態様では、本発明は、哺乳類における肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、子癇前症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、癌ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの腸粘膜バリアの物理的完全性を変える病気からなる群から選択される疾患または病気を治療および/または予防する方法、哺乳類における体重減少を促進する方法、哺乳類の腸における抗炎症活性を促進する方法、哺乳類における腸粘膜免疫系機能を促進する方法、グルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復および/または改善する方法ならびに哺乳類における粘膜腸バリアの物理的完全性を維持、回復および/または増大させる方法に関する。上記方法は、それを必要とする哺乳類に本明細書に教示されているポリペプチド、本明細書に教示されている宿主細胞または本明細書に教示されている組成物の有効量を投与する工程を含む。
一実施形態では、本明細書に教示されているポリペプチド、本明細書に教示されている宿主細胞または本明細書に教示されている組成物を任意の公知の投与方法によって投与してもよい。例えば、本明細書に教示されている組成物を、経口、静脈内、局所、経腸または非経口投与してもよい。投与の様式または経路は、入手している情報(例えば、対象の年齢、所望の作用位置、病状など)ならびに本組成物の意図される形態(例えば、丸剤、液体、粉末など)によって決まるものと理解される。
好ましい実施形態では、本明細書に教示されているポリペプチド、本明細書に教示されている宿主細胞または本明細書に教示されている組成物を経口投与する。
使用
さらなる態様では、本発明は、本明細書に教示されているポリペプチドを産生するため、および/または本明細書に教示されている宿主細胞を作製するための本明細書に教示されている核酸分子、本明細書に教示されているキメラ遺伝子および/または本明細書に教示されているベクターの使用に関する。本明細書に教示されているポリペプチドおよび/または本明細書に教示されている宿主細胞は、本明細書に教示されているポリヌクレオチド、キメラ遺伝子またはベクターで遺伝子改変されていない宿主細胞(例えば細菌)と比較した場合に、細胞上のTLR2受容体と相互作用する高い能力を有していてもよく、かつ/または細胞におけるTLR2シグナル伝達経路を刺激する高い能力を有していてもよく、かつ/または細胞からのサイトカイン、特にIL−1β、IL−6、IL−8、IL−10およびTNF−αの産生を刺激する高い能力を有していてもよく、かつ/または哺乳類、例えばヒトの細胞のTERを増加させる高い能力を有していてもよい。
さらなる態様では、本発明は、薬として使用され、特に腸粘膜免疫系機能を促進するため、哺乳類における腸粘膜バリアの物理的完全性を維持、回復および/または増大させるため、哺乳類におけるグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復および/または改善するために使用されるか、哺乳類における食餌誘発性肥満症などの肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、子癇前症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、癌ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの腸粘膜バリアの物理的完全性を変える病気からなる群から選択される疾患または病気を予防および/または治療するために使用されるか、哺乳類の腸における抗炎症活性を促進するために使用されるか、あるいは哺乳類における体重減少を促進するために使用される、本明細書に教示されているポリペプチド、本明細書に教示されている宿主細胞または本明細書に教示されている組成物に関する。
一実施形態では、哺乳類、例えばヒトは、任意の年齢群(例えば、乳幼児、成人、高齢者)および任意の性別(男性および女性)であってもよい。一実施形態では、哺乳類は乳幼児(例えば、新生児、乳児、幼児など)、特に未熟児で産まれた乳幼児であってもよい。
哺乳類は任意の哺乳類、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマなどであってもよい。好ましい実施形態では、哺乳類はヒトである。
本発明を以下の実施例によってさらに例示するが、それらに限定されない。上記考察および以下の実施例から、当業者は本発明の不可欠な特性を確認することができ、その教示および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な使用および条件に対応させるためにその様々な変更および修正を行うことができる。従って、本明細書に図示さおよび記載されているものだけでなく、本発明の様々な修正が上記説明から当業者には明らかであろう。そのような修正も添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
A)総体重増加(g)(n=8〜10)。B)タイムドメイン核磁気共鳴で測定した総脂肪量増加(g)(n=8〜10)。C)毎日の食糧摂取量。D)血漿VLDL、LDLおよびHDLコレステロール濃度(n=8〜10)。E)血漿グルコース(mg.dl−1)プロファイル、およびF)グルコース負荷後−30〜120分間に測定した平均曲線下面積(AUC)(mg.dl−1/分、n=8〜10)。G)デンシトメトリーによって測定した場合のローディングコントロール上の対照とインスリン刺激したp−IRβとの比(n=3〜5)。HおよびI)デンシトメトリーによって測定した場合のローディングコントロール上の対照とインスリン刺激したp−Aktthr308およびp−Aktser473との比(n=3〜5)を示す。
配列表
配列番号1:Amuc−1100ポリペプチドのアミノ酸配列
配列番号2:Amuc−1100ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
配列番号3:Amuc−1100ポリペプチドの予測されるN末端シグナル配列のアミノ酸配列
配列番号4:Amuc−1100ポリペプチドの予測されるN末端シグナル配列のヌクレオチド配列
実施例1:Amuc−1100タンパク質を産生するように遺伝子改変された細菌の作製
方法:
成熟したAmuc−1100をコードするポリヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド配列)を、pET28誘導体の誘導T7プロモーターの制御下でC末端Hisタグと共に大腸菌TOP10にクローニングし、過剰産生のために大腸菌BL23(DE3)の中に導入した。この目的のために、得られるポリペプチドがアミノ酸配列MIVNSで開始するように、ATG開始コドンを配列番号2のヌクレオチド配列に追加した。全ての構築物をSanger配列分析によって確認した。過剰発現されたAmuc−1100を保有する構築物により、Niカラム親和性クロマトグラフィーによって見た目が均質になるまで精製した可溶性Amuc−1100タンパク質の過剰産生が得られ、100〜300ug/mlの濃度で使用した。精製したAmuc−1100を使用して、先に記載したように本質的にウサギにおいて抗体を産生した(Reunanen Jら 2012, Appl Environ Microbiol 78:2337-44)。
結果:
その結果から、本発明のポリヌクレオチド(配列番号2)で形質転換された大腸菌が、記載されているように(Tailford LEら 2015, Nat Commun. 6:7624)、Niカラムクロマトグラフィーを用いて容易に単離することができる可溶型のAmuc−1100タンパク質を産生することができたことが分かる。
実施例2:TLR2シグナル伝達経路の相互作用および刺激
方法:
Amuc−1100がTLR2および他のTLR受容体に結合し、かつその後にTLR2および他のTLRシグナル伝達経路を刺激する能力を試験するために、TLR2およびTLR4受容体を発現するレポーター細胞株を調製した。Amuc−1100がTLR2またはTLR4を発現する細胞株に結合し、かつその後に前記細胞においてTLR2および/またはTLR4シグナル伝達経路を刺激する能力を、レポーター細胞からのNK−kBの産生を測定することによりインビトロで試験した。
簡単に言うと、hTLR2およびhTLR4細胞株(Invivogen社、米国カリフォルニア州)を使用した。上記受容体を対応するリガンドで刺激するとNF−κBおよびAP−1が活性化され、これが分泌型胚アルカリホスファターゼ(SEAP)の産生を誘導し、そのレベルを分光光度計(Spectramax)で測定することができる。維持培地として4.5g/lのD−グルコース、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、100μg/mlのNormocin、2mMのL−グルタミンおよび10%(v/v)の熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)が添加されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いて全ての細胞株を増殖させ、かつ70〜80%の集密度まで継代した。各細胞株のために、20μlのAmuc−1100懸濁液を添加して免疫応答実験を行った。レポーター細胞をAmuc−1100と共に5%のCO2インキュベーターにおいて37℃で20〜24時間インキュベートした。受容体リガンドPam3CSK4(hTLR2のために10ng/ml)およびLPS−EB(hTLR4のために50ng/ml)を陽性対照として使用し、どんな選択的抗生物質も含まない維持培地を陰性対照として使用した。180μLのQUANTI−Blue(Invivogen社、米国カリフォルニア州)を20μLの誘導されたhTLR2およびhTLR4の上澄みに添加してから15分、1時間、2時間および3時間後にOD600を測定してSEAP分泌を検出した。実験を3回行った。
結果:
その結果から、Amuc−1100はTLR2と相互作用することができたことが分かる。さらに、その結果から、Amuc−1100はTLR2を発現するレポーター細胞に免疫刺激効果を与えたこと、すなわちAmuc−1100はレポーター細胞からのNF−κBの放出を刺激することができたことが分かる。
実施例3:末梢血単核細胞からのサイトカイン放出の刺激
方法:
末梢血単核細胞(PBMC)からのサイトカインの産生または放出を刺激するAmuc−1100の能力をインビトロで試験した。簡単に言うと、Sanquin血液銀行(オランダのナイメーヘン)から3人の健康なドナーの末梢血を受け取った。製造業者のプロトコル(Amersham biosciences社、スウェーデンのウプサラ)に従い、Ficoll-Paque Plus勾配遠心分離を用いて、末梢血単核細胞(PBMC)を健康なドナーの血液から分離した。遠心分離後、単核細胞を回収し、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)+Glutamax(Invitrogen社、オランダのブレダ)で洗浄し、ペニシリン(100U/ml)(Invitrogen社)、ストレプトマイシン(100μg/ml)(Invitrogen社)および10%熱不活性化FBS(Lonza社、スイスのバーゼル)が添加されたIMDM+Glutamaxにおいて0.5×106細胞/mlになるまで調整した。PBMC(0.5×106細胞/ウェル)を48ウェル組織培養プレートに播種した。各ドナーのために、陰性対照(培地のみ)を使用した。
PBMCを生きたままか99℃で10分間加熱したアッカーマンシア・ムシニフィラ細胞(PBMCに対して1:10の比)またはAmuc−1100で1日刺激し、その後、FACS CantoII(Becton Dickinson社)上で製造業者のプロトコルに従い、複合分析(ヒト炎症CBAキット、Becton and Dickinson社)を用いて、培養物上澄みにおけるサイトカインIL−6、IL−8、IL−10、TNF−α、IL−1βおよびIL−12p70の産生を測定し、BD FCAPソフトウェア(Becton Dickinson社)を用いて解析した。製造業者による検出限界は、3.6pg/mlのIL−8、7.2pg/mlのIL−1β、2.5pg/mlのIL−6、3.3pg/mlのIL−10、3.7pg/mlのTNF−α、1.9pg/mlのIL−12p70であった。
結果
その結果から、対照条件(培地のみ)と比較して、Amuc−1100はサイトカインの産生を刺激することができ、すなわちIL−1β、IL−6、IL−8、IL−10およびTNF−αのレベルの上昇が観察されたことが分かる。4.5μg/mlのAmuc−1100によって誘導されたサイトカインのレベルは、生きたままの形態または熱で死滅された形態のいずれかの5×106細胞のアッカーマンシア・ムシニフィラと同様のレベルであった(以下の表1を参照)。
Figure 2018515502
実施例4:経上皮抵抗性(TER)の調節
方法:
生体外でCaco−2細胞のTERを刺激または上昇させるAmuc−1100の能力を測定することにより、腸上皮細胞層の完全性を促進するAmuc−1100の能力を評価した。簡単に言うと、Caco−2細胞(5×104細胞/インサート)をMillicell細胞培養インサート(3μmの細孔径、Millipore社)に播種し、8日間増殖させた。細菌細胞をRPMI 1640で1回洗浄し、RPMI 1640中に0.25(約108細胞)のOD600nmでインサート上に塗布した。精製したAmuc−1100を0.05、0.5および5μg/mlの濃度でインサート上に塗布した。Amuc−1100の添加から0時間および24時間後の時点でMillicell ERS-2 TER測定器(Millipore社)を用いて細胞培養物から経上皮抵抗性を決定した。
結果:
その結果から、0.05μg/mLのAmuc−1100は、Caco−2細胞との24時間の共培養後に既に約108アッカーマンシア・ムシニフィラ細胞と同様のレベルでTERを有意に増加させることができたことが分かった。
実施例5:食餌誘発性代謝機能不全の調節
10〜11週齢のC57BL/6Jマウスのコホート(1サブセットにつきn=10)に、Everardらによって以前に記載されたように(2013. PNAS. Vol. 110(22):9066-9071)、対照飼料(ND)またはHF飼料(HFD、60%の脂肪および20%の炭水化物(kcal/100g)からなるD12492i、Research Diet社、米国ニュージャージー州ニューブランズウィック)を与えた。Lucovacらによって記載されているように(2014, mBio 01438-14)、アッカーマンシア・ムシニフィラMucTを合成培地(1リットルの脱イオン水当たり、0.4gのKH2PO4、0.669gのNa2HPO4.2H2O、0.3gのNH4Cl、0.3gのNaCl、0.1gのMgCl2.6H2O、10gのカジトン、1mMのL−トレオニン、1mlの微量のミネラル液、5mMのL−フコースおよび5mMのD−グルコースを含有)上で増殖させ、濃縮し、25%のグリセリンを含有するPBSで製剤化し、Everardらによって記載されているように(上記を参照)−80℃で貯蔵した。HFDを摂取しているマウスのサブセットは、毎日の強制経口投与によって無菌の嫌気性PBSに懸濁させた2×108cfu/0.15mlのアッカーマンシア・ムシニフィラ(HFD Akk)(これは10倍希釈のアッカーマンシア・ムシニフィラを含み、2.5%のグリセリン最終濃度が得られた)をさらに摂取した。NDおよびHFD群を、Everardらによって以前に記載されているように(上記を参照)2.5%のグリセリンを含有する当量体積の無菌嫌気性PBSの強制経口投与によって毎日治療した。HFDを摂取しているマウスのさらなるサブセットは、2.5%のグリセリンを含有する当量体積の無菌PBS中に3.1μgのタンパク質Amuc−1100の毎日の強制経口投与によって送達されるAmuc−1100ペプチドをさらに摂取した。HFD給餌マウスのAmuc−1100による治療は、生きたままのアッカーマンシア・ムシニフィラ細菌(図1Aおよび図1B)と比較した場合、食糧摂取量に影響を与えずに(図1C)、体重および脂肪量増加における同様またはさらにそれ以上の顕著な減少を引き起こした。アッカーマンシア・ムシニフィラまたはAmuc−1100による治療は、血清HDLコレステロールにおける有意な減少およびLDLコレステロールの同様の傾向を有するHFD誘発性高コレステロール血症も治した(図1D)。
注目すべきことに、Amuc−1100による治療によって未治療のHFD給餌マウスと比較した場合に血清トリグリセリドの有意な減少が生じた。さらに、Amuc−1100治療は脂肪細胞の平均直径もHFD給餌マウスにおいて38マイクロメートルから29マイクロメートルに減少させ、これは未治療のマウスで認められる同様の直径(27マイクロメートル)であった。
興味深いことに、Amuc−1100の投与は生細菌と同じ効力で耐糖能異常を減少させた(図1E〜図1F)。
グルコース代謝をさらに調査するために、本発明者らは、門脈にインスリンを注射してインスリン過敏症を調査した。本発明者らは、トレオニン(Aktthr)およびセリン(Aktser)部位で、肝臓におけるインスリン受容体(IR)およびその下流メディエーターAktのインスリンで誘導されるリン酸化を解析した(図1G)。HFDの投与は、対照固形飼料が与えられたマウスと比較した場合に全てのタンパク質のリン酸化の減少を引き起こし、Aktthrの場合に有意性に到達した(図1H)。生きたままのアッカーマンシア・ムシニフィラまたはAmuc−1100での治療はこれらの効果を中和し、未治療のHFD給餌マウスと比較した場合に、Amuc−1100で治療したマウスにおいて有意により高いレベルのp−IRおよびp−Aktthr(図1G〜図1H)ならびに生細菌で治療したマウスにおいて有意により高いレベルのp−Aktser(図1I)が得られた。

Claims (13)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドと、薬学的または食物的に許容される担体とを含む組成物。
  2. 栄養組成物または医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。
  3. a)その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸分子、および
    b)配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子
    からなる群から選択される核酸分子がそのゲノムの中に導入されている、遺伝子改変された宿主細胞。
  4. アッカーマンシア・ムシニフィラ種ではなく、かつ
    (a)その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸分子、および
    (b)配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子
    からなる群から選択される核酸分子を含む、遺伝子改変された宿主細胞。
  5. アッカーマンシア・ムシニフィラ種であり、かつ
    a)その長さ全体にわたって配列番号2と少なくとも50%の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸分子、および
    b)配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子
    からなる群から選択される核酸分子がそのゲノムの中に導入されている、遺伝子改変された宿主細胞。
  6. 配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドの産生方法であって、
    (a)前記ポリペプチドの産生を可能にする条件下で請求項3〜5のいずれかに記載の宿主細胞を培養する工程と、
    (b)任意で、工程(a)で産生された前記ポリペプチドを単離する工程
    とを含む方法。
  7. 薬として使用される、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチド、請求項3〜5のいずれか1項に記載の宿主細胞あるいは請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 腸粘膜免疫系機能を促進するため、グルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復または改善するため、あるいは哺乳類における腸粘膜バリアの物理的完全性を維持、回復および/または増大させるために使用される、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチド、請求項3〜5のいずれか1項に記載の宿主細胞あるいは請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 哺乳類における肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、子癇前症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、癌ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの腸粘膜バリアの物理的完全性を変える病気からなる群から選択される疾患を予防および/または治療するために使用される、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチド、請求項3〜5のいずれか1項に記載の宿主細胞あるいは請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 哺乳類の腸における抗炎症活性を促進するために使用される、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチド、請求項3〜5のいずれか1項に記載の宿主細胞あるいは請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 哺乳類における体重減少を促進するために使用される、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチド、請求項3〜5のいずれか1項に記載の宿主細胞あるいは請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 哺乳類における肥満症、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏もしくはインスリン抵抗性関連疾患、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、子癇前症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、耐糖能異常、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心臓病、脳卒中、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、高血糖症、脂肪肝、脂質異常症、肥満症(体重増加)に関連する免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、鬱病、バリア機能障害に関連する他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、高トリグリセリド、アテローム性動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、癌ならびに食物アレルギー、例えば未熟児、放射線への曝露、化学療法および/または毒素による腸の未成熟、自己免疫不全、栄養不良、敗血症などの腸粘膜バリアの物理的完全性を変える病気からなる群から選択される疾患を治療および/または予防するため、哺乳類における体重減少を促進するため、哺乳類の腸における抗炎症活性を促進するため、哺乳類における腸粘膜免疫系機能を促進するため、グルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性を維持、回復または改善するため、あるいは哺乳類の粘膜腸バリアの物理的完全性を維持、回復および/または増大させるため方法であって、それを必要とする哺乳類に、配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与えることができるポリペプチド、請求項3〜5のいずれか1項に記載の宿主細胞あるいは請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物の有効量を投与する工程を含む方法。
  13. 配列番号1のアミノ酸配列またはその長さ全体にわたって前記配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/またはグルコースおよび/またはコレステロールおよび/またはトリグリセリド恒常性に影響を与えることができるポリペプチドを含むポリペプチドの産生方法であって、
    (a)好適な培地においてアッカーマンシア・ムシニフィラ種の細菌を培養する工程と、
    (b)任意で、工程(a)で産生された前記ポリペプチドを単離する工程と
    を含む方法。

JP2017557983A 2015-05-06 2016-05-04 免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/または代謝状態を調節するためのポリペプチドの使用 Active JP6894382B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP15166598 2015-05-06
EP15166598.1 2015-05-06
PCT/EP2016/060033 WO2016177797A1 (en) 2015-05-06 2016-05-04 Use of a polypeptide for effecting immune signalling and/or affecting intestinal barrier function and/or modulating metabolic status

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018515502A true JP2018515502A (ja) 2018-06-14
JP2018515502A5 JP2018515502A5 (ja) 2019-04-04
JP6894382B2 JP6894382B2 (ja) 2021-06-30

Family

ID=74184294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017557983A Active JP6894382B2 (ja) 2015-05-06 2016-05-04 免疫シグナル伝達をもたらし、かつ/または腸管バリア機能に影響を与え、かつ/または代謝状態を調節するためのポリペプチドの使用

Country Status (16)

Country Link
US (2) US10738089B2 (ja)
EP (1) EP3292135B1 (ja)
JP (1) JP6894382B2 (ja)
KR (1) KR20180011130A (ja)
CN (1) CN107980043B (ja)
AU (2) AU2016257315A1 (ja)
BR (1) BR112017023751A2 (ja)
CA (1) CA2984985A1 (ja)
DK (1) DK3292135T3 (ja)
EA (1) EA201700507A1 (ja)
ES (1) ES2934138T3 (ja)
HK (1) HK1252412A1 (ja)
IL (1) IL255405B (ja)
MX (1) MX2017014111A (ja)
PL (1) PL3292135T3 (ja)
WO (1) WO2016177797A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021052753A (ja) * 2019-10-01 2021-04-08 ヘルスバイオミーHealthbiome 健康な妊産婦の母乳由来嫌気性ヒト菌株及びそれを用いた代謝性疾患の予防又は治療方法

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3881680A1 (en) 2014-10-31 2021-09-22 Pendulum Therapeutics, Inc. Methods and compositions relating to microbial treatment
DK3292135T3 (da) 2015-05-06 2022-10-31 Univ Wageningen Anvendelse af et polypeptid til at fremkalde immunsignalering og/eller påvirke tarmbarrierefunktion og/eller modulere metabolsk status
CN108289918B (zh) * 2015-09-10 2022-01-18 卢万天主教大学 经巴氏灭菌的艾克曼菌用于治疗代谢病症的用途
WO2018165338A2 (en) * 2017-03-07 2018-09-13 uBiome, Inc. Therapeutic & diagnostics compositions targeting toll-like receptors and methods thereof
US20200246488A1 (en) * 2017-07-17 2020-08-06 The Broad Institute, Inc. Compositions and methods for treating inflammatory bowel diseases
EP3675882A4 (en) 2017-08-30 2021-07-28 Pendulum Therapeutics, Inc. METHODS AND COMPOSITIONS FOR THE TREATMENT OF MICROBIOMA ASSOCIATED DISORDERS
KR102340392B1 (ko) * 2018-10-08 2021-12-17 한국생명공학연구원 우울증의 예방 또는 치료 효과를 가지는 장내 미생물 및 이의 용도
KR102197180B1 (ko) * 2018-10-11 2020-12-31 주식회사 고바이오랩 아커만시아 뮤시니필라 균주 및 이를 포함하는 식욕 억제 및 대사성 질환 예방, 개선, 완화 및 치료용 조성물
CN110079474B (zh) * 2019-04-12 2022-11-25 沈阳药科大学 一种高密度培养艾克曼嗜黏蛋白菌的方法
KR102263030B1 (ko) * 2019-05-07 2021-06-10 한국생명공학연구원 염증성 장질환의 예방 또는 치료용 펩타이드
CN110227085A (zh) * 2019-07-16 2019-09-13 江苏省中医院 Akkermansia Muciniphila在制备抗抑郁药物或者保健品中的应用
CN110950937B (zh) * 2019-11-25 2021-05-04 安徽大学 一种改造的艾克曼菌Amuc_1100蛋白及其制备方法和应用
WO2021139766A1 (en) * 2020-01-10 2021-07-15 Huang Chih Hung Peptide interacting with toll-like receptor 2 and the composition comprising the same
KR20210119915A (ko) * 2020-03-25 2021-10-06 한국생명공학연구원 아커만시아 뮤시니필라 유래의 tars 또는 이의 단편 및 이의 용도
US20210322492A1 (en) * 2020-04-16 2021-10-21 Amucin Oy Ltd Probiotic strains and uses thereof
CN111690044B (zh) * 2020-05-06 2022-03-01 中南大学湘雅二医院 Amuc1100蛋白的用途
EP4175975A1 (en) 2020-07-01 2023-05-10 Wageningen Universiteit Amuc-1100 polypeptide variants for effecting immune signalling and/or affecting intestinal barrier function and/or modulating metabolic status
KR20220061018A (ko) * 2020-11-05 2022-05-12 한국생명공학연구원 항염 및 조직 재생작용을 갖는 신규 펩타이드
CN113413466B (zh) * 2020-12-15 2022-08-19 和度生物医药(上海)有限公司 用于治疗癌症的amuc_1100和免疫检查点调节剂的组合疗法
CN117304264B (zh) * 2023-11-27 2024-02-06 中国科学院烟台海岸带研究所 一种具有肠屏障保护功能的五肽rp5及其应用

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014076246A1 (en) * 2012-11-19 2014-05-22 Université Catholique de Louvain Use of akkermansia for treating metabolic disorders

Family Cites Families (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5102872A (en) * 1985-09-20 1992-04-07 Cetus Corporation Controlled-release formulations of interleukin-2
NL1014380C2 (nl) 2000-02-14 2001-08-15 Friesland Brands Bv Darmwandversterkend voedingsmiddel.
WO2002067670A1 (fr) * 2001-02-28 2002-09-06 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Souche de drosophile dans laquelle on a transfere un ou plusieurs genes de bradeion
US20060094649A1 (en) * 2002-12-10 2006-05-04 Keogh Elissa A Hla-a1,-a2,-a3,-a24,-b7, and-b44 tumor associated antigen peptides and compositions
AU2003303894A1 (en) 2003-01-30 2004-08-30 The Regents Of The University Of California Inactivated probiotic bacteria and methods of use thereof
US20050163764A1 (en) 2003-09-22 2005-07-28 Yale University Treatment with agonists of toll-like receptors
US20060281818A1 (en) 2005-03-21 2006-12-14 Sucampo Ag, North Carolina State University Method for treating mucosal disorders
EP2076604A4 (en) 2006-08-31 2009-09-02 Centocor Ortho Biotech Inc GLP-2 MIMIC BODIES, POLYPEPTIDES, COMPOSITIONS, PROCESSES AND USES
EP2102350A4 (en) 2006-12-18 2012-08-08 Univ St Louis INTESTINAL MICROBIOMA AS A BIOMARKER AND THERAPEUTIC TARGET FOR TREATING OBESITY OR OBESITY-RELATED DISORDER
EP2030623A1 (en) 2007-08-17 2009-03-04 Nestec S.A. Preventing and/or treating metabolic disorders by modulating the amount of enterobacteria
FR2944524B1 (fr) 2009-04-17 2012-11-30 Ipsen Pharma Sas Derives d'imidazolidine-2,4-dione et leur utilisation comme medicament
MX338680B (es) 2009-05-11 2016-04-27 Nestec Sa Bifidobacterium longum ncc2705 (cncm i-2618) y padecimientos inmunes.
WO2011137369A1 (en) * 2010-04-29 2011-11-03 The Regents Of The University Of California Production of gamma-aminobutyric acid by recombinant microorganisms
US9104670B2 (en) 2010-07-21 2015-08-11 Apple Inc. Customized search or acquisition of digital media assets
WO2012052868A2 (en) 2010-10-20 2012-04-26 Koninklijke Philips Electronics N.V. Disaggregation apparatus
EP2449891A1 (en) 2010-11-05 2012-05-09 Nestec S.A. Drinking yoghurt preparations containing non-replicating probiotic micro-organisms
EP2449887B1 (en) 2010-11-05 2016-01-06 Nestec S.A. Method for preparing pet food containing probiotic micro-organisms
CN108771687A (zh) 2012-02-29 2018-11-09 伊西康内外科公司 微生物区系的组合物及与其相关的方法
KR101740893B1 (ko) * 2014-05-20 2017-06-13 주식회사 엠디헬스케어 Akkermansia muciniphila 균에서 유래하는 세포밖 소포를 유효성분으로 함유하는 대사질환의 치료 또는 예방용 조성물
DK3292135T3 (da) 2015-05-06 2022-10-31 Univ Wageningen Anvendelse af et polypeptid til at fremkalde immunsignalering og/eller påvirke tarmbarrierefunktion og/eller modulere metabolsk status
CN108289918B (zh) 2015-09-10 2022-01-18 卢万天主教大学 经巴氏灭菌的艾克曼菌用于治疗代谢病症的用途
US11071626B2 (en) 2018-03-16 2021-07-27 W. L. Gore & Associates, Inc. Diametric expansion features for prosthetic valves

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014076246A1 (en) * 2012-11-19 2014-05-22 Université Catholique de Louvain Use of akkermansia for treating metabolic disorders

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"B2UR41_AKKM8", UNIPROT, JPN6019049275, 29 April 2015 (2015-04-29), ISSN: 0004351094 *
EVERARD, AMANDINE ET AL., PROC. NATL. ACAD. SCI. USA, vol. 110, no. 22, JPN6019049276, 28 May 2013 (2013-05-28), pages 9066 - 9071, ISSN: 0004351093 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021052753A (ja) * 2019-10-01 2021-04-08 ヘルスバイオミーHealthbiome 健康な妊産婦の母乳由来嫌気性ヒト菌株及びそれを用いた代謝性疾患の予防又は治療方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3292135B1 (en) 2022-09-21
US20180265554A1 (en) 2018-09-20
EP3292135A1 (en) 2018-03-14
HK1252412A1 (zh) 2019-05-24
DK3292135T3 (da) 2022-10-31
IL255405A0 (en) 2017-12-31
US20210147489A1 (en) 2021-05-20
KR20180011130A (ko) 2018-01-31
CN107980043A (zh) 2018-05-01
CA2984985A1 (en) 2016-11-10
ES2934138T3 (es) 2023-02-17
AU2020267210A1 (en) 2020-12-17
EA201700507A1 (ru) 2018-05-31
US10738089B2 (en) 2020-08-11
AU2020267210B2 (en) 2023-10-12
AU2016257315A1 (en) 2017-11-23
US11466057B2 (en) 2022-10-11
CN107980043B (zh) 2021-09-24
WO2016177797A1 (en) 2016-11-10
BR112017023751A2 (pt) 2018-07-31
IL255405B (en) 2022-01-01
JP6894382B2 (ja) 2021-06-30
PL3292135T3 (pl) 2023-01-02
MX2017014111A (es) 2018-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11466057B2 (en) Use of a polypeptide for effecting immune signalling and/or affecting intestinal barrier function and/or modulating metabolic status
JP2018515502A5 (ja)
CN109415683B (zh) 新细菌物种
US20130259834A1 (en) Compositions and methods for the delivery of therapeutic peptides
TW201305333A (zh) 雙歧桿菌cect7765及彼於預防及/或治療過重、肥胖症及相關病徵之用途
KR20130086155A (ko) 박테로이데스로부터의 세포 성분, 그의 조성물, 및 박테로이데스 또는 그의 세포 성분을 이용하는 치료 방법
Kasarello et al. Oral administration of Lactococcus lactis expressing synthetic genes of myelin antigens in decreasing experimental autoimmune encephalomyelitis in rats
PT1835021E (pt) Nova estirpe que confere a um hospedeiro propriedades anti-doença e composição de células bacterianas
Levit et al. Use of genetically modified lactic acid bacteria and bifidobacteria as live delivery vectors for human and animal health
US20230265131A1 (en) Amuc-1100 polypeptide variants for effecting immune signalling and/or affecting intestinal barrier function and/or modulating metabolic status
CN102181437B (zh) 猪脂联素球状结构域蛋白gAd基因及其编码的蛋白和应用
BR112021002917A2 (pt) composições compreendendo cepas bacterianas
JP6629955B2 (ja) 減量脂質低下のための形質転換体およびその構築方法、並びにその応用
CN111132684A (zh) 作为生物治疗药物的血孪生球菌
WO2011069860A1 (en) Novel use for the treatment of metabolic endotoxemia
EP3662087B1 (en) Streptococcus australis as a biotherapeutics
EA040421B1 (ru) Композиция, клетки, способы получения полипептида, применение полипептида и клеток, способ лечения
US20210008125A1 (en) Hafnia alvei impact on regulation of appetite and metabolic syndrome aspects
Vivekanandan et al. Overview of cloning in lactic acid bacteria: Expression and its application of probiotic potential in inflammatory bowel diseases
TW201336989A (zh) 雙歧桿菌cect7765及彼於預防及/或治療過重、肥胖症及相關病徵之用途
Fuhrer Regulatory functions of sialylated milk oligosaccharides in mucosal immunity
NZ764713A (en) A bacteroides thetaiotaomicron strain and its use in reducing inflammation

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180111

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191217

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200313

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200924

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210518

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6894382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150