JP2018500174A - ローラを冷却するための装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ローラを冷却するための装置及び方法に関する。ローラは、ロールスタンド内のロール又は測定ローラであり得る。装置は、ローラ200の表面領域をカバーするための円弧の部分の形態の横断面を有する冷却シェルを有し、この冷却シェルの周縁の領域に、円弧状の横断面に対して垂直に延在する回転軸を備える回転ジョイントを有する軸受120が、この回転軸を中心として冷却シェルを旋回させるために形成されている。圧延作業中又は測定ローラの運転中の冷却ギャップの大きさが常に自立的に最適に調整されることを得るために、本発明により、軸受が、冷却シェルの円弧状の横断面に対して半径方向rの自由度を備え、これにより、冷却シェルが、軸受内に半径方向に自由に移動可能に支承されていること、が提案される。

Description

本発明は、ローラを冷却するための装置及び方法に関する。ローラは、典型的に金属の圧延材を圧延するためのロールスタンド内のロール又は測定ローラである。ローラの冷却は、ローラに対して近接配置された冷却シェルの使用下で行なわれる。本発明は、更に、このような装置を有するロールスタンド及び測定装置に関する。
冷却シェルを使用下ローラ特にロールを冷却するための装置は、従来技術から、従って例えば特開昭63−303609号公報、独国特許第3616070号明細書、独国特許出願公開第20 2010 202 340号明細書、独国特許出願公開第10 2012 219 722号明細書及び独国特許出願公開第10 2012 216 570号明細書から、基本的に公知である。第1に挙げた両文献は、ロールを冷却するために強制対流を実現するための冷却シェルを有する冷却装置を開示する。前記の全ての文献で、それぞれ、冷却すべきロールに対して相対的な冷却シェルの固定的な位置決めが、従って、冷却剤を通過させるための冷却シェルと冷却すべきロールの表面の間の冷却ギャップの大きさの固定的な調整が行なわれていることが共通する。しかしながら、最適な冷却の達成のため、冷却ギャップの高さもしくは大きさが、変化した環境条件又はプロセス条件に適合されることが重要である。従って、ロールは、その寿命中に何度も再研磨され、各研磨は、典型的に冷却ギャップの再調整を必要とする。このために必要な、従来技術で公知の冷却装置もしくは冷却シェル用の近接配置装置における調整は、従来技術ではマニュアル又は半自動で調整ネジを介して行なわれる。これら調整は、ロールスタンド外で行なう必要がある。何故なら、これは、場所、時間及び危険の理由からロールスタンド内では可能でないからである。同様に、ロールスタンド内でのギャップ高さの前記のマニュアルでの調整が、一般に必要な精度で行なわれ得るか、疑わしく思える。
更に、従来技術に記載された冷却シェルが、ロールチョックと結合、即ちロールの軸受ブロックに固定されていることが認められる。これは、各ロールがこのような冷却シェル及び相応の近接配置メカニズムを備えている必要があることを意味する。従って、ロールを研磨するために、ロール自身も、チョック及び近接取付けされた冷却シェルも、解体し、次いで再び取り付け、マニュアルで調整する必要がある。実際の圧延作業でできるだけ常に第1のロールセットがロールスタンド内に組み込まれているのに対して、少なくとも第2のロールセットは、ロールワークショップ内に用意されるので、従来技術では典型的に、圧延作業のために仕上げトレイン内に必要である数の2倍の近接配置装置を付属した冷却シェルも用意される。
更に、従来技術から公知の冷却装置、即ち冷却シェル及びその近接配置装置において欠点であるのは、ロールのチョックへのその取付けにより、一方では、ロールスタンド内の圧延材のための入口と出口の間の重量配分が不均等になり、他方では、ロールの回転軸を中心として曲げるためのシステム全体の剛性が更に高まり、これが、両方ともロール曲げに対して不利に作用することである。これは、ロールの摩擦特性及びコントロール特性にとって欠点である。冷媒が、冷却シェルと冷却すべきロールの間の冷却ギャップの終端で自由にもしくは制限なく流出できるわけではない場合は、これは、冷却作用にとって欠点である。シミュレーションにより、その場合に、冷媒が、冷却ギャップの出側の終端で意図しない乱れた横断流を発生させ、これが、不均等な冷却を、従ってロール幅にわたって不均等なロールの摩耗を生じさせることを、示すことができる。これから生じるロールの幅にわたる直径差は、もはや均等になることもしくはもはや完治することはないので、そのばあい、ロールは、所望でないプロフィルを圧延材に刻み付け、これにより、圧延材の品質が低下させられる。
特開昭63−303609号公報 独国特許第3616070号明細書 独国特許出願公開第20 2010 202 340号明細書 独国特許出願公開第10 2012 219 722号明細書 独国特許出願公開第10 2012 216 570号明細書
本発明の根底にある課題は、ローラを冷却するための公知の装置及び公知の方法並びにこのような装置を有する公知のロールスタンド及び公知の測定装置を、冷却ギャップの大きさ、即ち冷却シェルと冷却すべきローラの表面との間の半径方向の間隔が、装置の運転中に常に自発的に最適に調整されるように発展させることである。
この課題は、装置に関しては、請求項1の対象によって解決される。これは、唯一の軸受が、冷却シェルの円弧状の横断面に対して半径方向の自由度を備え、これにより、冷却シェルが、軸受内に半径方向に自由に移動可能に支承されていること、を特徴とする。
“ローラ”との概念は、本発明の範囲内で、例えば圧延材を圧延するためのロールスタンド内のロール又は圧延材用の加工設備内の測定ローラを意味する。測定ローラは、典型的に、圧延材が測定ローラに部分的に巻き付いた時に、圧延材の幅にわたって圧力分布又は平面度分布を検出するために使用される。
唯一の軸受は、全てが同じ回転軸を備える複数の部分軸受、特に2つの半体から成ることができる。
軸受は、ローラの傾斜時でも冷却シェルの旋回軸とローラ軸の平行度を保証し、これにより、装置の機能性をこの場合でも保証するために、球面軸受として形成することができる。
請求した半径方向の冷却シェルの自由な移動可能性は、有利には、圧延作業中の冷却シェルの内側とローラの表面の間の冷却ギャップの大きさもしくは高さが、冷媒を冷却ギャップ内へ導入する容積流又は圧力に依存して自動的もしくは自発的に、力の自由な遊びにより自動的に正しく調整されることを生じさせる。これは、一方で、達成すべき冷却作用に関して最適である。何故なら、冷却ギャップ高さの自由な調整により、特に不所望の乱流が、冷却ギャップ内の冷媒の流れに生じないからである。更に、半径方向の自由な移動可能性は、冷却シェルのマニュアル又は自動的な半径方向の近接配置をするための高価な近接配置装置を設けることを不要にする。この近接配置装置の廃止により、従来技術でこれと結びついた、必要な空間要求量、調整もしくは近接配置のために必要な時間及び従業員による調整と結びついた危険に関する問題もなくなる。加えて、冷却ギャップの大きさの調整の精度は、もはや疑問視される必要がない。何故なら、力の自由な遊びに基づいて、冷却ギャップの大きさもしくは高さは、圧延作業中のいつでも自動的もしくは自発的に最適に調整されるからである。
本発明の第1の実施例によれば、冷却シェルは、唯一の回転ジョイントに、自由に揺動するように懸架されている。冷却シェルのこの自由揺動式の懸架も、正確には半径方向の自由な移動可能性と同様であるが、冷却ギャップ内の冷媒が、周方向だけに強制案内されるが、半径方向には強制案内されないことのために使用される。半径方向の自由度は、特に、前記のように、冷却ギャップの入口及び出口における不所望の乱れた横断流の発生を防止し、それ故、常に均等で同じ向きの流れを保証し、これにより、均等な最適な冷却も得られる。この均等な冷却には、ロールスタンド内のロールとしてローラを使用する場合は、ロールの有利な均等な摩耗並びに圧延材の均等に高い品質が付随する。
別の実施例によれば、冷却シェルの凸に湾曲した外側に、−オプションで更にレバーアームを介して冷却シェルの外側に対して間隔を置いて−、バラストウエイトが取り付けられている。周方向の冷却シェルの外側のウエイトの適切な寸法設定及び分配により、並びに、回転ジョイントの回転軸に対するバランスウエイトのレバーアームの適切な長さ適合及び整向を介して、振り子静止位置に対して回転ジョイントの回転軸を中心とする冷却シェルの偏位時に生じる所望のトルクを設定し得る。“振り子静止位置”との概念は、冷却シェルが自由に揺動するように懸架されて単独で重力にさらされている時に、バラストウエイトを有する冷却シェルが安定する位置もしくは状況を意味する。トルクは、冷却ギャップ内の冷却剤に作用する所定の面積当たりの負荷を意味する。所望の冷却能力は、所定の面積当たりの負荷の提供を介して、冷却ギャップ内の冷媒の与えられた圧力又は容積流に依存して所望のように設定し得る。
この場では、バラストウエイトが単にオプションで設けられており、決して強制的には設けられていないことを認めることが重要である。冷却シェル自身は、冷却シェルの製造時に既に確定される固有の質量配分を備えている。付加的なバラストウエイトの提供に対して選択的に、冷却シェル自身の質量配分は、また、製造時に既に、後からの適用冷で所望されるトルクを顧慮して適切に形成することができる。
本発明による装置は、軸受に作用する位置決め装置を、冷却シェルを支承する軸受を所定の位置、典型的に冷却すべきローラの周囲の所定の角度位置α、に位置決めするために備える。冷却すべきローラの周囲の角度位置は、基本的に0°<α<360°の間で任意に選択することができる。角度位置αは、振り子静止位置からの冷却シェルの偏位の大きさに対する、これにより、トルクの大きさ及び圧延作業中に冷媒に作用する面積当たりの負荷の大きさに対する影響も有する。偏位が大きくなる程、トルク及び面積当たりの負荷が大きくなり、その逆もある。
本発明の前記の課題は、更に請求項8によるロールスタンド及び請求項13による測定装置によって解決される。ロールスタンドは、圧延材を圧延するためのロールの形態の少なくとも1つのローラと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の本発明による装置とを備える。測定装置は、測定ローラの形態のローラと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置とを備える。両場合で、冷却シェルは、ロール又はローラの周囲に位置決めされ、そこで軸受内に半径方向に自由に移動可能に支承されている。これら解決策の利点は、請求した装置に関して前で述べた利点に一致する。
ロールスタンドの1つの実施例によれば、請求項1〜7のいずれか1項に記載の本発明による装置が自由に揺動するように懸架された回転ジョイントは、特に一部材での形成時には、例えばロールスタンドのトラバースの位置決め装置を介して、ロール幅に対して中心に取り付けられ、例えば冷却すべきロールのチョックには取り付けられていない。これは、一方で、摩耗時に交換すべきロール装置、即ちチョックを有するロールの重量が、近接取付けされた冷却装置によって更に高められてはいないとの利点を提供する。更に、請求した取付け場所は、ロールギャップの入側と出側の間の不均等な負荷が生じず、従ってここで与えられたこのような均等な負荷により、ロール曲げに対するマイナスの作用も生じないとの利点を提供する。
選択的に、軸受は、直前の段落で説明した欠点を有してローラのチョックに固定された2つの半体を備えることができる。
ロールスタンド及び/又は測定装置において、請求項1〜7のいずれか1項に記載の本発明による装置が自由に揺動するように懸架された回転ジョイントは、球面ジョイントとして形成することができる。球面形成は、回転ジョイントによって駆動側及び操作側に構成される冷却シェルの旋回軸が、ロールスタンド内のロール又は測定ローラが傾斜した場合でも、常にロール軸又は測定ローラ軸に対して平行なままとなるとの利点を提供する。それ故、その場合、冷却シェルは、ロール又は測定ローラに従うことができ、冷却シェルの機能は、ロール又は測定ローラが傾斜した場合でも、常に保証されている。
前記課題は、更に請求項17で請求した方法によって解決される。この方法の利点も、請求した装置及び請求したロールスタンドに関して前で述べた利点に一致する。
本発明による装置、本発明によるロールスタンド、測定装置又は本発明による方法の別の有利な構成は、従属請求項の対象である。
この明細書には5つの図が添付されている。
本発明による装置及び本発明によるロールスタンドの横断面図 図1に対する補足 ロールの周囲に本発明による冷却シェルを配置するための別の実施例 冷却シェル用の唯一の軸受の第1の実施形態 冷却シェル用の唯一の軸受の第2の実施形態
本発明を、以下で前記の図に関係づけた実施例の形態で詳細に説明する。全ての図で、同じ技術的要素は、同じ符号で示されている。
図1は、本発明によるロールスタンドの横断面を示す。ロールスタンドのうち、圧延材300を圧延するためのロール200の形態の1つのローラだけが示されている。ロールは、回転方向Dに回転する。ロールには、その右側に、本発明による装置100が付設されている。具体的に、装置100は、ロール200の表面領域をカバーするための円弧の一部の形態の横断面を有する冷却シェルを有する。冷却シェル110の上縁の領域に、回転ジョイントを有する軸受120が配置されている。軸受は、その回転軸122が、冷却シェル110の円形の横断面に対して垂直で、ロール200の回転軸Aに対して平行に延在するように整向されている。この唯一の回転ジョイント120に、冷却シェル110は、自由に揺動するように懸架されている。内部に冷却シェルが回転可能に支承された回転ジョイントを有する唯一の軸受は、冷却シェルの円形の横断面又はロール200の回転軸Aに対して半径方向rの自由度を備えるので、冷却シェルは、軸受120内に半径方向rに自由に移動可能に支承されている。それ故、軸受は、回転ジョイントとしてだけでなく、スライド軸受としても形成されている。
図4は、冷却シェルの唯一の軸受120用の第1の実施形態を示し、この軸受は、2つの軸受半体120−1,120−2から成り、これら軸受半体は、それぞれチョックの一方に、即ちローラ200の軸受ハウジング210−1,210−2の一方に固定されている。その場合、これは、確かに、重量配分が完全なローラ200の中心軸Aに関してバランスしていないとの欠点を有する。しかしながら、ローラ200は、本発明によりそれにもかかわらず排除されない。何故なら、軸受半体は、曲げモーメントを伝達する必要があるのではなく、自由に調整され得るからである。
図5は、唯一の軸受120用の第2の実施形態を示し、この軸受は、冷却シェルの中心に取り付けられている。軸受は、例えばジョイントアーム又は旋回アーム141の形態の位置決め装置140によって、例えばロールスタンドのトラバースに、ローラ200に対して中心に取り付けられてもしくは懸架されている。
軸受120もしくは軸受半体の球面形成時には、両実施形態において、軸受もしくは冷却シェル110の回転軸は、ローラの傾斜に従い得るので、この場合も、冷却シェルの回転軸は、ローラの回転軸に対して平行のままである。軸受のこのために必要な旋回運動もしくは偏位は、図4及び5には、弧状の二重矢印によって象徴化されている。
軸受もしくは回転ジョイントは、両実施形態において、ロールの周囲Uの任意の角度位置αに位置決め可能である。
図1に示したような冷却シェルの上縁と冷却シェル110の下縁のいずれかに、冷却シェル110の内側とロール200の周面の間の冷却ギャップ内へ冷媒400を噴射するためのノズル装置が設けられている。冷却シェル110のどちらの側もしくはどちらの周縁で、ノズル装置130が、冷媒400を冷却ギャップ内へ噴射するかは、ロールの回転方向Dと、向流冷却又は並流冷却が所望されているかの問題とに依存し;最後に述べた場合では、冷媒400は、ロール200の周方向及び回転方向Dに流れる。
冷却シェルの冷媒の供給部とは反対の周縁に、冷却シェルは、いかなる制限部、特に冷媒用の収集容器も備えないので、冷媒の妨げなしで無力の流出が、そこでは保証されている。これは、次の段落で述べる力の自由な遊びにとって有利である。
冷媒400は、ノズル装置130から所定の容積流
Figure 2018500174
と所定の圧力Pのどちらかで冷却ギャップ内へ押し込まれる。半径方向に自由に可動で自由に支承された回転ジョイント120に基づいて、力の自由な遊びから冷却ギャップ160の高さhが、自動的もしくは自発的に最適に調整される。回転ジョイント120内での冷却シェルの自由揺動式の懸架に基づいて、冷却ギャップの高さhは、回転ジョイントの高さに適合されるだけでなく、どこでも冷却シェルの角度領域β内で自動的もしくは自立的に正しく調整される。これにより、高さhのマニュアル又は自動での固定的な調整は、不要になる。
調整される冷却ギャップの高さhは、前記のように、力の自由な遊びに依存している。具体的には、ギャップ高さは、以下の物理的な大きさによって影響を受ける:即ち、冷却ギャップ内の冷媒400の容積流又は圧力と、冷却シェルが、場合によってはそれに固定されたバラストウエイトが、圧延作業中に回転ジョイント120の回転軸122を中心とする偏位時に冷媒に加えるトルクもしくはこれから生じる面積当たりの負荷とである。数学的に表現すれば、以下の関係が当て嵌まる:
Figure 2018500174
ここで、
h: ギャップ高さ
f: 機能的な関係
m: バラストウエイトを有する冷却シェルの全質量もしくは相応の質量配分
g: 重力定数
C: 振り子静止位置からの偏位時の冷却シェルのレバーアーム
Figure 2018500174
P: 冷媒の圧力
である。
バラストウエイト112を有する冷却シェル110のトルクは、冷却シェル110の凸の外周におけるバラストウエイト112の配分と、冷却シェル110の凹の外側からのその間隔とに依存する。バラストウエイトが大きくなる程及び冷却シェル110の外側からのその間隔が大きくなる程、トルクは、これにより、冷却シェルがロールもしくは冷却ギャップ内の冷媒400を押す力もしくは面当たりの負荷も大きくなる:この関係は、図2に明快に図示されている。破線は、更に内側にバラストウエイトが位置する(破線でない)時と比べて、更に外側にバラストウエイト112が取り付けられた時の大きい力もしくはモーメント作用を象徴化する。
理想的に、軸受120は、冷却シェルを自由揺動式に懸架するために内部に半径方向に自由に移動可能な回転ジョイントを有するスライド軸受として形成去れている。この理想的な支承において、軸受の位置決めは、ロールの周囲における所定の角度位置αに固定的である。
実際に、通常は、周方向Uのロールの位置決めが単にほぼ一定である場合、即ち、角度位置における小さい変動が、通常は許容可能である場合で十分である。この前提のもとに、軸受120は、回転ジョイントが、ロール200の回転軸に対して横の平面内で旋回可能な位置決め装置140に固定されていることによって実現することができる。位置決め装置のうち、図1には、その一端に回転ジョイント120が配置され、その他端が例えば不動の回転点に支承されたレバー141だけが示されている。その場合、このように形成された位置決め装置140は、回転ジョイント120に、ロール200の半径方向の少なくとも1つの成分を有する円軌道を取ることを強制する。この半径方向に、回転ジョイントは、少なくとも圧延作業中は、必要なら角度位置αで若干の変動を許容してでも、自由に可動でなければならない。それ故、説明した実施形態における旋回可能な位置決め装置140は、半径方向の軸受120の自由度を保証する。位置決め装置140は、冷却作業の開始前及び開始時に初期位置へ回転ジョイントを位置決めするために、図1に図示してない駆動装置を備えることができる。この駆動は、機械的、電気機械的、空圧的、又は油圧的に行なうことができる。駆動装置は、ロールスタンドの内と外のどちらかに配置することができる。しかしながら、初期位置で、圧延作業及び冷却作業の開始と共に、半径方向の自由な移動可能性が保証されている必要があるか、許容される必要がある。
冷却シェル110の湾曲は、好ましくはロール200の湾曲に一致するので、湾曲した冷却シェル110の中心点軸は、好ましくは、図1で点線及び角度βによって示されているように、ロール200の回転軸と一致する。
更に、図1で、冷却シェル110の下端と圧延材300の間に、ワイパー150が配置されている。このワイパー150は、その上の部品、即ち特に本発明による冷却装置100を、圧延材300の影響から保護する。更に、ワイパーは、圧延材300がロール200から導出され、圧延方向WRに移送されることに尽力する。
ロールスタンド内のロールとしてのローラの形成に対して選択的に、ローラは、測定ローラとして形成することもでき、その場合、その表面には、センサ、典型的には圧力センサが配置されている。このような測定ローラは、例えば圧延トレインの後のローラテーブル内に取り付けることができる。運転中に、測定ローラは、部分的に高温の圧延材によって巻き付かれることができ、これにより、センサは、場合によっては強く加熱される。その場合、本発明による装置は、センサを冷却するために測定ローラの周囲に位置決めすることができる。このようにして、センサにおいて、センサを侵害しない温度領域が調整され得る。
ロールスタンド内のロールを冷却するため又は測定ローラの冷却をするための本発明による冷却装置は、以下のように機能する:
圧延作業又は測定ローラの運転の間に、冷媒400は、ノズル装置130によって、図1に示したような所定の圧力P又は所定の容積流
Figure 2018500174
で冷却ギャップ160内へ供給される。その場合、半径方向rの自由な移動可能性を有する回転ジョイント120における冷却シェル110の支承に基づいて、冷却ギャップの高さhは、回転ジョイント120の領域内だけでなく、冷却シェル110の角度領域β全体にわたってどこでも最適に調整される。最適は、力及びモーメントの自由な遊び応じることを意味する。力のこの自由な遊びに関与しているのは、特に、図2に示したような、冷却シェル110から冷却ギャップ内の冷媒に作用する角度領域β内の力分布である。この力分布の大きさは、前記のように、冷却シェル自身の質量配分に依存しており、存在する場合は、バラストウエイト112の大きさと、冷却シェル110の外周でのバランスウエイトの配分と、冷却シェルの外側からのバランスウエイトの間隔とに依存している。これから生じるトルクの大きさは、ロールの周囲の回転ジョイント120の回転軸の角度位置αにも依存する。何故なら、それに、レバーアームCの大きさが従うからであり、このレバーアームは、冷却シェルが回転ジョイント120に自由揺動式に懸架されている(図1及び2内の左側の一点鎖線)時で、ロール200に基づいて負荷を受けた冷却シェルが偏位した時の、冷却シェル110の重心線と、冷却ギャップ内の冷媒400(図1及び2内の右側の一点鎖線参照)の間の間隔である。レバーアームCの大きさは、実質的に、ロール200の周囲における回転ジョイント120の位置によって影響を受ける。
冷却シェル110のトルクに基づく前記半径方向の力は、ローラもしくはロール200の中心点もしくは回転軸に向かって作用する。均等に、冷却シェル110は、冷却ギャップ160内を流れる冷媒によっても、ローラもしくはロールの回転軸に向かって引き寄せられる。何故なら、冷却ギャップ内は、流れる媒体400に基づいて負圧が支配するからである。ローラもしくはロールの回転軸に向かう前記両力分布は、その全体で、冷却ギャップ内の冷媒によって加えられる反作用力分布によって補償される。何故なら、冷却ギャップ内の冷媒は、基本的に圧縮できず、ノズル装置130によって設定される冷媒の容積流又は圧力が考慮されるからである。それ故、半径方向の反作用力分布は、冷却ギャップの高さが“ゼロ”になることを防止する。
冷却シェル110は、オプションで及び可変に位置決め可能なバラストウエイトに基づいて、その質量配分に関する、これによりこの質量配分によって加えられるトルクの調整可能な特性を備える。具体的には、バラストウエイト112は、その大きさが可変で、冷却シェルの凸の外側におけるその配分が自由に位置決め可能である。弧度βも、適切に選択することができる。ノズル装置130による冷媒400の所定の容積流もしくは圧力と冷却シェル質量配分特性の組合せから、冷却ギャップ160の所定の高さhが自動的に得られる。前記パラメータの組合せは、冷却シェル110が、冷媒が貫流する冷却ギャップ160内に生じる圧力特性によって、冷媒400もしくはロール200に対する冷却シェルの付着を生じさせることになる。方程式1から、冷却ギャップの高さhが、バラストウエイト112の質量配分と角度位置αの変化によって影響可能であることが明らかになる。具体的には、より大きいバラストウエイトもしくはより大きいトルクは、より高い面荷重を生じさせ、この面荷重は、最終的に、冷却ギャップ160内の冷媒400の流れによって支持されなければならない。プロセス変数内のノズル装置130の冷媒400の容積流
Figure 2018500174
又は圧力Pは、圧延プロセスの上位の制御の所定の限度のために使用され、これら限度は、冷却プロセスに提供される。
具体的に、それぞれ所望される熱出力は、冷却ギャップ160の高さhと、冷却ギャップ160内の冷媒400の容積流に依存した熱伝達率aによって示されている。
所定の所望の冷却能力もしくは所定の熱伝達率aの場合で、更にノズル装置130によって設定される冷媒の圧力又は容積流の場合、そのために必要な回転軸122を中心とする冷却シェル110のトルクが計算できる。その場合、具体的に、必要なトルクは、懸架点に対する、即ち軸受120の回転軸122に対する間隔にわたって積分した冷却シェル110の面積を掛けた、冷却ギャップ160内の冷媒400の圧力分布の積分として得られる。
本発明により提案される冷却装置は、半径方向の冷却シェルの高さhが、自立的に最適に調整され、冷却シェルが、ローラもしくはロール上で浮動するもしくは冷却ギャップ内の冷媒400の流れ特性及び圧力特性によってロールに付着するとの利点を提供する。このように運転される冷却装置は、ロールの周方向に、及びロールの幅にわたって均等な冷却を生じさせる。
図3は、ロール200の周囲に本発明による冷却装置100を位置決めするための別の実施例を示す。
具体的に、図3は、冷却シェルが、四分円の領域III及びIV内のロールを冷却するために、ロール200の下側に配置された、本発明による装置100の実施例を示す。ここでも、回転軸受120が位置決め装置140に固定され、この位置決め装置は、実質的にレバーアーム141を備え、このレバーアームは、旋回点143を中心として旋回可能に支承されている。位置決め装置140は、少なくとも角度領域γ内の旋回アーム114の旋回を許容するように形成され、これにより、半径方向rの回転ジョイント120の自由な移動可能性が可能にされる。
この実施例の場合でも、冷却シェル110は、自由揺動式に回転軸受120に懸架されている;ただし、バラストウエイト112は、この例では、レバーアーム114を介して、冷却シェル110が全体的に面荷重FもしくはトルクMでロール200の下側に押し付けられ、重力の方向の重心線内へ、即ち振り子静止位置へ落ち込むことは全くないように、回転ジョイント120の回転軸122に対して配置されている。
100 装置
110 冷却シェル
112 バラストウエイト
114 レバーアーム
120 軸受、特に回転ジョイント
120−1 軸受半体
120−2 軸受半体
122 回転軸
130 ノズル装置
140 位置決め装置
141 旋回アーム
143 旋回点
150 ワイパー
160 冷却ギャップ
200 ローラ、特にロール
210−1 チョック
210−2 チョック
300 圧延材、ストリップ
400 冷媒
h 冷却ギャップの大きさ/高さ
r 半径方向
D 回転方向
F 面荷重
M トルク
U 周方向
A ローラの回転軸
C レバーアーム
Figure 2018500174
P 冷媒の圧力
a 熱伝達率
α 角度位置
β 冷却シェルの角度範囲
WR 圧延方向
I,II,III,IV ローラ横断面の四分円

Claims (18)

  1. ローラ(200)の表面領域をカバーするための円弧の部分の形態の横断面を有する冷却シェル(110)を備え、この冷却シェルの周縁の領域に、円弧状の横断面に対して垂直に延在する回転軸(122)を備える回転ジョイントを有する軸受(120)が、この回転軸を中心として冷却シェル(110)を旋回させるために形成されている、ローラ(200)を冷却するための装置(100)において、
    唯一の軸受(120)が、冷却シェル(110)の円弧状の横断面に対して半径方向(r)の自由度を備え、これにより、冷却シェルが、軸受(120)内に半径方向(r)に自由に移動可能に支承されていること、を特徴とする装置(100)。
  2. 冷却シェル(110)は、唯一の軸受(120)の回転ジョイントに、自由に揺動するように懸架されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
  3. 冷却シェル(110)の凸に湾曲した外側に、−オプションで更にレバーアーム(114)を介して外側に対して間隔を置いて−、バラストウエイト(112)が取り付けられていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の装置(100)。
  4. レバーアーム(114)及びバラストウエイト(112)は、振り子静止位置からの冷却シェル−バラストウエイト−コンビネーションの所定の偏位時に冷却シェル(110)の質量配分と協働して、所望のトルクが、回転ジョイントの回転軸(122)を中心として生じるように、設計及び配置されていること、を特徴とする請求項3に記載の装置(100)。
  5. 冷却シェル(110)の凹に湾曲した内側に実質的に接するように所定の圧力又は容積流で冷媒(400)を噴射するためのノズル装置(130)が設けられていること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(100)。
  6. 軸受(120)に作用する位置決め装置(140)が、冷却シェル(110)を半径方向に移動可能に支承する軸受を所定の位置(α)に位置決めするために設けられていること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(100)。
  7. 軸受(120)が、球面軸受として形成されていること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(100)。
  8. 圧延材(300)を圧延するためのロール(200)の形態の少なくとも1つのローラと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(100)とを備え、冷却シェル(110)が、ロール(200)の周囲において、軸受(120)内に半径方向(r)に自由に移動可能に支承されていること、を特徴とするロールスタンド。
  9. 装置(100)は、唯一の軸受(120)の回転ジョイント内に、ロール(200)の周囲において自由に揺動するように支承されていること、を特徴とする請求項8に記載のロールスタンド。
  10. 装置(100)は、位置決め装置(140)によって、回転ジョイント(120)の回転軸(122)の周方向(U)の角度位置αに支承されていること、を特徴とする請求項8又は9に記載のロールスタンド。
  11. 請求項1〜7による装置が自由に揺動するように懸架された軸受(120)が、ロールスタンドに取り付けられていること、を特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のロールスタンド。
  12. 請求項1〜7による装置が自由に揺動するように懸架された軸受(120)が、ローラのチョックに取り付けられた2つの半体の形態で形成されていること、を特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のロールスタンド。
  13. その表面に、測定ローラに部分的に巻き付く圧延材の幅方向の圧力分布又は平面度分布を検出するためのセンサ、例えば圧力センサが配置された測定ローラの形態のローラと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置とを有し、冷却シェル(110)が、ローラ(200)の周囲において、軸受(120)内に半径方向(r)に自由に移動可能に支承されていること、を特徴とする測定装置。
  14. 装置(100)は、唯一の軸受(120)の回転ジョイント内に、測定ローラ(200)の周囲において自由に揺動するように支承されていること、を特徴とする請求項13に記載の測定装置。
  15. 装置(100)は、位置決め装置(140)によって、回転ジョイント(120)の回転軸(122)の周方向(U)の角度位置αに支承されていること、を特徴とする請求項13又は14に記載の測定装置。
  16. 請求項1〜7による装置が自由に揺動するように懸架された軸受(120)は、ローラのチョックに取り付けられた2つの半体の形態で形成されていること、を特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の測定装置。
  17. ・ローラの周囲の角度位置αにローラに対して所定の半径方向の間隔を置いて請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置を事前位置決めするステップと、
    ・ローラの外側と冷却シェルの凹に湾曲した内側の間の冷却ギャップ内へ所定の圧力又は容積流で冷媒を噴射するステップと、
    ・圧延作業中に圧延材を圧延するため又は測定ローラの運転中に圧延材を搬送するためにローラを回転させるステップと
    を備える、圧延作業中に請求項8〜12のいずれか1項に記載のロールスタンドを運転するため又は請求項13〜16のいずれか1項に記載の測定装置を運転するための方法において、
    冷媒の噴射中に半径方向(r)に装置を解放し、これにより、回転ジョイント(120)の領域の冷却ギャップの大きさ(h)が、半径方向の冷却シェル(110)のそこの自由な移動可能性に基づいて、冷却ギャップ内へ噴射される冷媒の圧力又は容積流の大きさに依存して自立的に適切に調整されること、を特徴とする方法。
  18. 冷却シェル全体にわたる冷却ギャップの大きさ(h)は、半径方向内側に向かって作用する冷却シェルの揺動力の分布と、同様に半径方向内側に向かって作用する冷却ギャップ内の冷却材流の吸引力の分布と、冷媒の反作用抵抗力の分布との間の力のバランスの意味で適切に調整されること、を特徴とする請求項17に記載の方法。
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