以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面と示す。
(第1実施形態)
図1〜図4に基づいて、本実施形態に係る車載制御装置10に関して説明する。まず、図1、図3、図4に基づき、本実施形態に係る車載制御装置10の概略構成について説明する。
図1に示すように、車載制御装置10は、車両に搭載可能に構成されており、制御部70、サーミスタ80、送風ファン100などを備えている。そして、車載制御装置10は、車両のエンジンルームER1に設けられたエンジン310やラジエータ340、車室内に設けられたメータ320やアクセルペダル330などと電気的に接続されている。車載制御装置10は、例えば、エンジン310を制御する電子制御装置(ECU)として適用できる。よって、以下においては、車載制御装置10をECUと略称で記載することもある。
なお、後程説明するが、本実施形態では、制御部70の一部が送風ファン100に設けられている例を採用している。また、図1では、エンジン310がエンジンルームER1外に設けられているように図示されている。しかしながら、エンジン310に関しても、エンジンルームER1に設けられている。
また、図3及び図4に示すように、車載制御装置10は、ケース20とカバー30とを含む防水筐体、回路基板60、送風ファン100などを備えている。また、車載制御装置10は、エンジン310とともにエンジンルームER1に設けられている。なお、図4は、車載制御装置10のXZ平面での部分的な断面図である。
防水筐体は、回路基板60を収容する内部空間S1としての防水空間を提供する。防水筐体は、回路基板60の板厚方向であるZ方向において二つの部材に分割されている。二つの部材は、一方がケース20で、他方がカバー30とされている。防水筐体は、図示しないシール部材を介して、ケース20及びカバー30を相互に組み付けて構成される。つまり、防水筐体は、ケース20とカバー30とがシール部材を介して組み付けられて、防水空間を提供している。防水筐体は、壁部21を有する筐体に相当する。なお、本実施形態では、回路基板60が防水筐体に収容される例を採用している。しかしながら、回路基板60は、防水性を有していない筐体に収容されていてもよい。
ケース20は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20がアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されている。つまり、ケース20は、樹脂材料を用いて形成されていても回路基板60を保護することができる。しかしながら、ケース20は、金属材料を用いて形成することで、樹脂材料を用いて形成されたものより放熱性を向上できる。ケース20は、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。
ケース20の壁部21は、例えば平面略矩形状をなしている。ケース20の壁部21は、防水筐体の壁部に相当する。壁部21に連なる4つの側壁の一つには、図示しない切り欠きが設けられている。この切り欠きは、ケース20の一面の開口につながっている。また、切り欠きは、コネクタ40の一部を防水筐体の外部に露出するために設けられている。
壁部21は、壁部21を板厚方向に貫通するファン取付開口部25が形成されている。ファン取付開口部25は、防水筐体のケース20に送風ファン100を取り付けるための開口部である。ファン取付開口部25は、ケース20の外面及び内面にわたって形成されている。つまり、ファン取付開口部25は、内部空間S1と、防水筐体の外部空間とを連通する貫通孔である。また、ファン取付開口部25は、壁部21に形成された貫通孔に相当する。
なお、本実施形態では、一例として、ファン取付開口部25が形成された部位が壁部21の他の部分(コネクタ取付部22など)に対して凹んで設けられたケース20を採用している。つまり、ケース20は、壁部21において、ファン取付開口部25が形成された部位に対して突出した部位を含んでいる。コネクタ取付部22は、コネクタ40を収容すべくX方向における一端側に設けられている。しかしながら、回路基板60と外部機器との電気的な接続構造によっては、ケース20にコネクタ取付部22が形成されていなくてもよい。
また、本実施形態では、壁部21において、ファン取付開口部25が形成された部位に対して突出した部位として、回路基板60を構成するアルミ電解コンデンサなどの高背部品を収容する高背収容部が形成されたケース20を一例として採用している。本実施形態の高背収容部は、コネクタ取付部22からX方向に延設されている。しかしながら、回路基板60が高背部品を含んでいない場合、ケース20に高背収容部が形成されていなくてもよい。
このように、ファン取付開口部25は、壁部21のうち、コネクタ取付部22及び高背収容部を除く部分に形成されている。また、ファン取付開口部25は、壁部21のうち、略平坦な部分に形成されている。
なお、図3に示す符号23は、ねじなどによって車載制御装置10を車両に取り付けるための車体固定部である。符号24は、ケース20とカバー30とを固定するための筐体固定孔である。筐体固定孔24には、図示しないねじが挿入される。これら車体固定部23及び筐体固定孔24は、ケース20と一体に設けられている。
しかしながら、車載制御装置10は、クリップや接着剤によって車両に取り付けられてもよい。この場合、ケース20は、車体固定部23が設けられていなくもてよい。また、ケース20とカバー30は、クリップや接着剤によって固定されてもよい。この場合、ケース20は、筐体固定孔24が設けられていなくもてよい。
カバー30は、ケース20とともに防水筐体の内部空間S1を形成する。ケース20とカバー30を組み付けることで、カバー30によりケース20における一面の開口が閉塞される。また、カバー30によりケース20の一面の開口が閉塞されることで、側壁に形成された切り欠きが区画され、図示しない開口部となる。この開口部により、コネクタ40の一部が外部に露出される。なお、コネクタ40は、少なくとも一部が内部空間S1に配置され、残りの部分が外部空間に配置される。
本実施形態では、放熱性向上のために、ケース20と同様にアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されたカバー30を採用できる。また、カバー30は、ケース20と同様に、例えばアルミダイカストによって成形されたものを採用できる。カバー30は、一面が開口する箱状をなしている。本実施形態では、一例として、外面側に複数の放熱フィン31が形成されたカバー30を採用している。しかしながら、カバー30は、放熱フィン31が形成されていなくてもよい。
防水筐体のシール部材は、ケース20とカバー30との間、ケース20とコネクタ40との間、及びカバー30とコネクタ40との間を介して、内部空間S1が防水筐体の外部空間と連通するのを遮断するように設けられている。このシール部材は、内部空間S1を取り囲むようにケース20及びカバー30の周縁部に配置されている。シール部材により、ケース20及びカバー30の周縁部が水密に封止されている。シール部材として、例えば硬化前において液状の接着材を採用することができる。また、シール部材は、これに限定されず、Oリングや環状のゴムシートなどのように弾性変形によって水密に封止する部材であっても採用できる。
回路基板60は、防水筐体の内部空間S1に収容されており、ケース20又はカバー30に固定されている。つまり、回路基板60は、筐体に取り付けられている。また、回路基板60は、ケース20とカバー30とで挟み込まれて、ケース20とカバー30に固定されていてもよい。ケース20やカバー30に対する回路基板60の固定構造は、特に限定されない。
回路基板60は、プリント基板、及び、プリント基板に実装された回路素子61を有している。プリント基板は、例えば樹脂などの電気絶縁材料を用いて形成された基材に、配線が配置されてなる。そして、回路基板60は、配線と回路素子61とにより、回路が形成されている。なお、プリント基板は、例えば平面略矩形状をなしている。回路素子61は、プリント基板におけるケース20側の面及びカバー30側の面の少なくとも一方に実装されている。
本実施形態では、回路素子61のうち、パワーMOSFETなどの発熱素子が、プリント基板におけるケース20側の面であって、Z方向の平面視において送風ファン100の周囲に配置されている。車載制御装置10は、発熱素子の周辺、すなわち壁部21における発熱素子に対向する領域を積極的に冷却することが好ましい。このため、発熱素子は、送風ファン100の周囲であり、且つ、後程説明する第2通気口212の開口方向に沿う位置に設けられていると好ましい。つまり、送風ファン100は、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成されていると好ましい。車載制御装置10は、壁部21における送風ファン100の位置や、送風ファン100における第2通気口212の位置などによって、壁部21における発熱素子に対向する領域に風を供給できるように構成可能である。
また、本実施形態では、スルーホール62が形成されたプリント基板を採用している。そして、回路基板60は、例えば回路素子61の端子がスルーホール62に挿入された状態で、回路素子61とプリント基板(配線)が電気的に接続されている。
この配線と回路素子61によって形成された回路は、制御部70の一部である演算部71に相当する。よって、回路基板60には、演算部71が形成されていると言える。
また、演算部71は、少なくとも一つの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくとも一つのメモリ装置(MMR)とを有する。演算部71は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって提供されうる。演算部71は、一つのコンピュータ、又はデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、演算部71によって実行されることによって、演算部71をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように演算部71を機能させる。演算部71は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成的なブロック、又はモジュールと呼ぶことができる。
なお、演算部71が提供する手段及び/又は機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組み合わせによって提供することができる。例えば、演算部71がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。
また、制御部70は、図1に示すように、演算部71と駆動部72とを含んでいる。演算部71は、一例として、エンジン310からのエンジン回転数信号、メータ320からの車速信号、アクセルペダル330からのアクセル状態信号が入力される。さらに、演算部71は、ラジエータ340からラジエータファンの動作状態を示す動作状態信号、水温センサ信号が入力される。制御部70は、これらの信号を用いてエンジン310やラジエータ340を制御する。なお、本実施形態では、動作状態信号や水温センサ信号が入力されない構成であっても採用できる。
なお、アクセル状態信号とは、アクセルペダル330の踏み込み量を示す信号に相当する。ラジエータファンの動作状態信号は、ラジエータファンを回転させているか否かを示す信号に相当する。水温センサ信号は、ラジエータ340で熱交換される冷却水の温度を検出する水温センサから出力される信号であり、冷却水の温度を示す信号に相当する。
車載制御装置10は、エンジン310の回転数が増加すると、制御部70の負荷も大きくなる。また、車載制御装置10は、車速が速くなると、制御部70の負荷も大きくなる。そして、車載制御装置10は、アクセルペダル330の踏み込み量が多くなると、制御部70の負荷も大きくなる。よって、これらの信号は、制御部70の負荷状態に相関する現在の車両の制御情報として採用できる。さらに、車載制御装置10は、制御部70の負荷が大きくなると発熱量も増える。よって、制御部70は、これらの制御情報に基づいて、後程説明する現在のECU温度や一定時間後のECU温度を予測することができる。ECU温度は、車載制御装置10の温度に相当する。また、現在のECU温度は、温度現在値に相当する。さらに、車載制御装置10の温度は、回路基板60の温度や、発熱素子としての回路素子61の温度や、内部空間S1の温度に相当するとも言える。
しかしながら、本開示は、これに限定されず、制御部70の負荷状態に相関する車両の制御情報であれば採用できる。また、本開示は、少なくとも一つの制御情報が制御部70に入力される構成であればよい。例えば、本実施形態では、制御情報として水温センサ信号を含んでいなくてもよい。
駆動部72は、後程説明するファン用回路基板130の一部として設けられており、後程説明する端子140を介して演算部71と電気的に接続されている。駆動部72は、演算部71の演算結果に基づいて送風ファン100を駆動制御する。つまり、駆動部72は、演算部71からの指示に基づいて送風ファン100を駆動制御する。詳述すると、駆動部72は、演算部71からの指示に基づいて羽根部120の回転を制御すると言える。なお、制御部70を主とする車載制御装置10の処理動作に関しては、後程説明する。
回路基板60には、コネクタ40が実装されている。コネクタ40は、回路基板60と、車載制御装置10の外部に設けられた電子機器とを電気的に接続するための電子部品である。コネクタ40は、回路基板60におけるX方向の一端側に実装され、プリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、一部が防水筐体の上記した開口部を介して外部に露出され、残りの部分が内部空間S1に収容されている。
車載制御装置10は、車載制御装置10の現在の温度を検出するサーミスタ80を備えていてもよい。サーミスタ80は、演算部71と電気的に接続されており、車載制御装置10の現在の温度を示す電気信号を演算部71に出力可能に構成されている。よって、演算部71(制御部70)は、車載制御装置10の現在の温度である温度現在値を取得可能と言える。また、サーミスタ80によって測定される車載制御装置10の現在の温度は、温度実測値に相当する。なお、サーミスタ80によって検出された温度現在値は、温度実測値に相当する。
サーミスタ80は、例えば回路基板60や、発熱素子としての回路素子61や、これら以外の内部空間S1に設けられている。また、車載制御装置10は、主に、演算部71が動作することで、回路素子61における発熱素子から発せられた熱によって温度が上昇する。よって、車載制御装置10の現在の温度は、回路基板60の温度や、発熱素子としての回路素子61の温度や、内部空間S1の温度に相当すると言える。
コネクタ40は、樹脂材料を用いて形成されたハウジング、及び、導電性材料を用いて形成され、ハウジングに保持された複数の端子を有している。つまり、コネクタ40は、複数の端子がプリント基板の配線に電気的に接続されている。コネクタ40は、複数の端子が、スルーホール62に挿入された状態で、プリント基板の配線に電気的に接続されていてもよい。
送風ファン100は、冷却装置に相当する。送風ファン100は、ケース20の壁部21に取り付けられている。送風ファン100は、ケース20のファン取付開口部25に取り付けられている。送風ファン100は、回路基板60を冷却するために設けられている。送風ファン100は、羽根部120の回転により、図4の一点鎖線で示すように空気の流れを形成して、ケース20に風を供給する。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転にともないハウジング200に設けられた通気口201、212を介して壁部21の外面に沿った空気の流れを形成する。また、送風ファン100は、第1通気口201と第2通気口212の位置及び開口方向を後程説明する構成とすることで、図4の一点鎖線で示すように空気の流れを形成することができる。さらに、送風ファン100は、制御部70によって駆動制御され、壁部21の外面に沿った空気の流れを形成することで筐体を冷却すると言える。
送風ファン100は、ケース20に風を供給することで回路基板60を冷却する。つまり、送風ファン100は、ケース20を冷却することで、ケース20内の回路基板60を冷却するものと言える。このため、送風ファン100は、冷却ファンとも言える。送風ファン100としては、例えば、周知の軸流ファンを採用することができる。
送風ファン100は、ケース20に風を供給する部位であるファン機構と、ファン機構を保持するハウジング200とを含んでいる。送風ファン100は、シール部材50を介してケース20に固定されるとともに、回路基板60に電気的に接続されている。
ファン機構は、例えば、軸部110、羽根部120、ファン用回路基板130、端子140、ポッティング部150などを備えている。なお、ファン機構は、軸流ファンにおける周知の構造を採用できるため、図4などにおいては、軸部110、羽根部120などを簡略化して図示している。
例えば、軸部110は、羽根部120の回転軸となる回転シャフト111、回転シャフトをハウジング200やコイルに対して回転可能に構成するための軸受、回転シャフトの周囲に配置されハウジング200に対して固定されたコイルなどを含んでいる。コイルは、ファン用回路基板130と電気的に接続されており、ファン用回路基板130から通電される。なお、コイルは、回転軸の周囲における複数箇所に設けられている。
回転シャフト111は、送風ファン100がケース20や回路基板60に取り付けられた状態で、回路基板60に対して垂直に設けられている。回転シャフト111の軸方向、すなわち羽根部120の回転軸の方向が、Z方向と一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。つまり、送風ファン100は、羽根部120の回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で、すなわちZ方向に沿った状態で壁部21に配置されている。このため、送風ファン100は、XY平面に沿って羽根部120が回転する。
また、羽根部120は、例えば、コイルの周囲に等間隔で複数個設けられており、コイルと対向する位置に磁石が取り付けられている。羽根部120は、回転シャフトに固定されており、回転シャフトの回転に伴って、ハウジング200に対して回転可能に構成されている。
このように、ファン機構は、ハウジング200に対して回転可能に構成された回転子と、ハウジング200に固定された固定子とを含んでいるとも言える。回転子は、例えば回転シャフト111や羽根部120などを含んでいる。一方、固定子は、例えばコイルや軸受などを含んでいる。さらに、ファン機構は、モータと、モータの回転に伴って回転する羽根部120を備えているとも言える。
送風ファン100は、コイルが通電されることによって羽根部120が回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第1通気口201から空気を吸入して、第2通気口212から排出する。この場合、第1通気口201を吸込口、第2通気口212を排出口と称することもできる。
なお、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、第2通気口212から空気を吸入して、第1通気口201から排出するように構成されていてもよい。この場合、第2通気口212を吸込口、第1通気口201を排出口と称することができる。
本実施形態では、ファン用回路基板130を保護するために、ポッティング部150を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、後程説明するハウジング200とともにファン用回路基板130130と端子140がインサート成形されていてもよい。さらに、送風ファン100は、ポッティング部150が設けられていなくてもよい。なお、本実施形態で採用したファン機構は一例である。ファン機構は、例えば、遠心ファンと同様の構成であっても採用できる。
上記のように、制御部70は、演算部71が防水筐体に取り付けられた回路基板60に設けられており、駆動部72が防水筐体に取り付けられた送風ファン100に設けられている。よって、制御部70は、防水筐体に取り付けられていると言える。
ハウジング200は、回転シャフト111や羽根部120などの回転子を回転可能な状態で、ファン機構を収納している。ハウジング200は、第1通気口201、側壁210、側壁端部211、第2通気口212、底部220、フランジ部221などを含んでいる。送風ファン100は、ファン機構がハウジング200の側壁210で囲まれているため、飛び石などの異物がファン機構に当たるのを抑制することができ、ファン機構の羽根部120などを保護することができる。
ハウジング200は、ファン取付開口部25を塞ぐように、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向しつつファン取付開口部25を覆うように配置されている。つまり、ハウジング200は、壁部21の内面と対向する部分を有しつつファン取付開口部25を塞ぐように壁部21に配置されている。ハウジング200には、複数の通気口201、212が形成されている。複数の通気口は、羽根部120の回転にともなって、壁部21の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において異なる位置に形成されている。
本実施形態では、第1通気口201と第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。第1通気口201及び第2通気口212の一方が空気の吸込口として機能し、他方が排出口として機能する。
第1通気口201及び第2通気口212は、いずれも、Z方向において、壁部21におけるファン取付開口部25の開口周囲の外面よりも上方、すなわち回路基板60から離れた位置に形成されている。第1通気口201は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも上方に位置し、第2通気口212は、少なくとも一部分がZ方向において羽根部120よりも下方に位置するように形成されている。さらに、第2通気口212は、送風ファン100がケース20に取り付けられた状態で、防水筐体の外部に配置される位置に設けられている。つまり、第2通気口212は、壁部21の外面を基準として、内部空間S1とは反対側に位置に設けられている。
また、第1通気口201は、Z方向に開口している。一方、第2通気口212は、XY平面に沿う方向(以下、XY平面方向)に開口している。このように、第1通気口201と第2通気口212は、開口方向が異なる。このため、羽根部120が回転した際の第1通気口201を通過する風の流れは、Z方向になると言える。一方、羽根部120が回転した際の第2通気口212を通過する風の流れは、XY平面方向になると言える。送風ファン100は、吸込口を通る風の向きと、排出口を通る風の向きを変えることができるように構成されていると言える。また、送風ファン100は、羽根部120が回転することで、XY平面方向に吸い込んだ空気をZ軸方向へ排出、又はZ軸方向に吸い込んだ空気をXY平面方向へ排出できるように構成されているとも言える。
本実施形態では、ハウジング200が、側壁210、底部220、及びフランジ部221を有している。ハウジング200は例えば樹脂材料を用いて形成されている。側壁210及び底部220は、Z方向において一端側が開口する有底の筒形状をなしている。この筒の開口が、第1通気口201とされている。第1通気口201の全体が、Z方向において羽根部120よりも上方に設けられている。
ハウジング200は、例えば平面略矩形状の底部220と、底部220と連なる四つの側壁210を有している。側壁210の少なくとも一つに、第2通気口212が形成されている。本実施形態では、4つの側壁210のそれぞれに、第2通気口212が形成されている。第2通気口212は、側壁210を貫通する貫通孔である。第2通気口212は、Z方向が短手方向、Z方向に直交する方向が長手方向となるように、形成されている。しかしながら、第2通気口212の開口形状は、これに限定されない。第2通気口212は、開口形状が円形や正方形であってもよく、特に限定されない。
側壁210は、底部220からZ方向に離れた位置に第2通気口212が形成されている。側壁210は、底部220側の端部に側壁端部211が設けられている。側壁端部211は、側壁210のうち、第2通気口212と底部220との間の部位である。なお、側壁端部211は、Z方向における底部220及びフランジ部221から第2通気口212までの間隔が、壁部21の厚みよりも長くなっている。これによって、ハウジング200は、第2通気口212が防水筐体の外部に配置されることになる。しかしながら、ハウジング200は、第2通気口212が内部空間S1に連通しておらず、第2通気口212の少なくとも一部が防水筐体の外部に配置されていればよい。
また、ハウジング200は、ケース20に取り付けられた防水筐体の防水性を維持するために、羽根部120などを収容している収容空間と内部空間S1とを連通する穴が形成されていない。つまり、例えば底部220には、内部空間S1に達する貫通孔などは設けられていない。側壁210及び底部220で構成される有底の筒状部材は、底に開口が設けられていない、と言うことができる。
しかしながら、ハウジング200は、後程説明するように、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続するための端子140が内部空間S1に突出している。このため、端子140は、ハウジング200との間が水密な状態でハウジング200から突出するように構成されている。これは、ハウジング200を形成する際に、端子140をインサート成形することなどによって達成できる。
なお、本実施形態では、隣り合う側壁210の角部、すなわち連結部分がR形状をなしたハウジング200を採用している。第2通気口212は、R形状の部分を除く平坦部分に形成されている。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、R形状をなしていなくてもよく、R形状をなしている部分に第2通気口212が形成されていてもよい。
また、本実施形態では、四箇所に第2通気口212が形成されたハウジング200を採用している。しかしながら、ハウジング200は、これに限定されず、三箇所以下に第2通気口212が形成されていてもよいし、五箇所以上に第2通気口212が形成されていてもよい。さらに、ハウジング200は、Z方向の平面視において丸形状であってもよい。
図4に示すように、ハウジング200は、ファン取付開口部25に挿入されている。ハウジング200は、ファン取付開口部25を通じて、ケース20の内外にわたって配置されている。底部220の少なくとも一部は、内部空間S1に配置されている。側壁210は、一部がファン取付開口部25内に配置されるとともに、他の一部が壁部21の外面よりも上方に突出している。本実施形態では、ハウジング200がファン取付開口部25に挿入された状態で、側壁端部211の一部がファン取付開口部25に配置される。つまり、側壁端部211は、Z方向に直交する方向において、ファン取付開口部25を構成するプリント基板の側壁と対向している。
フランジ部221は、側壁210及び底部220がなす筒の下端から、周囲に広がるようにして、側壁210及び底部220と一体に成形されている。フランジ部221は、ファン取付開口部25周りの全周で、壁部21と対向するように設けられている。本実施形態では、フランジ部221が、側壁210の下端及び底部220の外周端に連なっている。つまり、フランジ部221は、側壁210の下端及び底部220の外周端とから、XY平面に沿って突出した部位と言える。また、フランジ部221が、壁部21の内面におけるファン取付開口部25の周囲部分と対向している。フランジ部221は、壁部21の内面と対向する部分に相当する。
送風ファン100は、少なくともフランジ部221においてケース20に固定されている。車載制御装置10は、ハウジング200とケース20との対向部分の一部により、防水シール部51が構成されている。防水シール部51は、少なくともフランジ部221とケース20との対向部分に、シール部材50が介在してなる。本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211とケース20との対向部分にもシール部材50が介在してなる例を採用している。なお、フランジ部221とケース20との対向部分は、フランジ部221とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。同様に、側壁端部211とケース20との対向部分は、側壁端部211とケース20との間の領域又は対向領域と言い換えることができる。
なお、本実施形態では、冷却装置として送風ファン100を採用している。しかしながら、冷却装置は、これに限定されず、防水性を有していないファンであっても採用できる。
防水シール部51は、ファン取付開口部25を取り囲むように環状に設けられている。ハウジング200及びケース20のうち、Z方向の平面視においてシール部材50と重なる部分が、防水シール部51を構成する部分である。本実施形態では、フランジ部221とケース20との対向部分に加えて、側壁端部211とケース20との対向部分が防水シール部51とされている。このように、車載制御装置10は、壁部21とハウジング200との対向部分にシール部材50が介在してなり、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する防水シール部51を有していると言える。
しかしながら、車載制御装置10は、これに限定されず、例えば、側壁端部211とケース20との対向部分にシール部材50が設けられていなくてもよい。この場合、車載制御装置10は、フランジ部221の先端から所定範囲の部分にシール部材50が設けられ、この部分が防水シール部51となる。
なお、車載制御装置10は、これらに限定されず、ファン取付開口部25の全周であり、且つ、フランジ部221とケース20との対向部分及び側壁210とケース20との対向部分の一部にシール部材50が設けられていればよい。
また、シール部材50としては、硬化前において液状の接着材を採用できる。送風ファン100は、防水シール部51にてケース20に固定されている。
本実施形態では、防水シール部51を備えた車載制御装置10を採用している。しかしながら、車載制御装置10は、これに限定されず、防水性を有していない筐体に回路基板60が収容される場合、防水シール部51を備えていなくてもよい。
端子140は、電気接続端子に相当し、ハウジング200から内部空間S1側に突出しており、回路基板60と電気的に接続されている。送風ファン100は、例えば、三つの端子140を備えている。端子140は、ハウジング200の底部220を貫通している。端子140は、ハウジング200のうち、防水シール部51により囲まれた部分から、内部空間S1に突出している。つまり、端子140は、底部220からZ方向であり、且つ、回路基板60側に突出していると言える。端子140は、一部がハウジング200内に配置されたファン用回路基板130と電気的に接続され、他の一部が回路基板60と電気的に接続されている。
このように、車載制御装置10は、端子140を介して、ファン用回路基板130、すなわち送風ファン100と、回路基板60とが電気的に接続されている。また、送風ファン100は、端子140が防水シール部51で囲まれた位置に設けられており、端子140を介して回路基板60に電気的に接続されている。
なお、金属製の端子140は、樹脂製のハウジング200にインサート成形されて、一体化されている。また、端子140は、例えば、回路基板60に設けられたスルーホール62に一部が配置されて、すなわちスルーホール62に挿入されて、はんだなどの導電性の接続部材63によって回路基板60の配線と電気的に接続されている。
ファン用回路基板130には、羽根部120を回転させるための駆動回路である駆動部72が形成されている。ファン用回路基板130には、軸部110におけるコイルが電気的に接続されている。送風ファン100は、回路基板60、端子140、及びファン用回路基板130を通じてコイルが通電されることにより、上記した回転子が正方向に回転する。そして、送風ファン100は、羽根部120の所定の形状によりハウジング200内に空気の圧力差が発生し、図4に示すように、第1通気口201から吸入した空気が第2通気口212から排出される。なお、送風ファン100は、ロータを正方向とは反対の方向に回転させると、第2通気口212から吸入した空気が第1通気口201から排出される。
ファン用回路基板130は、ハウジング200内において、羽根部120よりも下方、すなわち回路基板60側に配置されている。ファン用回路基板130は、ハウジング200に固定されている。本実施形態では、ファン用回路基板130及び端子140の一部がポッティング部150内に埋設されて、ポッティング部150で封止されている。このため、ファン用回路基板130や端子140の一部は、ポッティング部150によって保護されている。つまり、送風ファン100は、ポッティング部150で覆われたファン用回路基板130や端子140に、水などの液体が付着することを抑制できる。言い換えると、送風ファン100は、ポッティング部150によって防水性が確保されている。
ポッティング部150は、ハウジング200内に、第2通気口212を閉塞せず、且つ、羽根部120などの回転子の動きを阻害しないように設けられている。本実施形態では、一例として、底部220から第2通気口212に達するまでの空間、すなわち、底部220上において側壁端部211で囲まれた空間にポッティング部150が形成された例を採用している。
なお、ファン用回路基板130130は、端子140とは別の支持部によって支持されていてもよい。ファン用回路基板130は、底部220の内面に固定されてもよい。また、ファン用回路基板130の封止は、ポッティング部150に限定されない。例えば、端子140が実装されたファン用回路基板130は、ハウジング200にインサート成形され、底部220によって封止された構成であっても採用することができる。
次に、上記した車載制御装置10の組み付け手順の一例について説明する。
先ず、ケース20、カバー30、回路基板60、及び送風ファン100をそれぞれ準備する。そして、送風ファン100を回路基板60に実装する。本実施形態では、挿入実装型の端子140を採用しており、回路基板60のスルーホール62に端子140を挿入し、回路基板60と端子140とを接続部材63で電気的に接続する。このようにして、回路基板60と送風ファン100を一体化させる。
なお、コネクタ40については、送風ファン100と同じタイミングで回路基板60に実装してもよいし、送風ファン100とは別のタイミングで実装してもよい。本実施形態では、挿入実装される回路素子61、コネクタ40、及び送風ファン100を、同じタイミングではんだ付けする。
次いで、回路基板60をケース20に取り付ける。例えば、ケース20は、壁部21の内面側に図示しない台座を有しており、回路基板60を台座に配置してねじ固定する。
回路基板60を取り付ける際、送風ファン100もケース20に取り付ける。回路基板60をケース20の台座に配置する前に、フランジ部221や側壁端部211にシール部材50を塗布する。また、ケース20の周縁部のうち、コネクタ40のハウジングが対向する部分にも、図示しないシール部材を塗布する。なお、シール部材50は、ケース20におけるフランジ部221や側壁端部211と対向する部位に塗布してもよい。
そして、ファン取付開口部25に対して送風ファン100を位置決めした状態で、回路基板60を台座に配置する。これにより、ケース20とフランジ部221や側壁端部211との間にシール部材50が形成される。シール部材50は、ケース20、フランジ部221、側壁端部211に接触する。そして、ケース20への回路基板60の固定により、防水シール部51が形成される。
次いで、ケース20の周縁部及びコネクタ40におけるカバー30との対向部分にシール部材を塗布した後、ケース20にカバー30を組み付ける。以上により、上記した車載制御装置10を得ることができる。
ここで、図2に基づいて、車載制御装置10の処理動作に関して説明する。
ステップS10では、イグニッションスイッチ(以下IGSW)がオン、すなわちIGSWオンになる。IGSWは、ドライバなどの乗員の操作に応じて、IGSWオフからIGSWオンとなる。車載制御装置10は、IGSWがIGSWオフからIGSWオンになると、ステップS11以降の処理を行う。
なお、車載制御装置10は、例えば、IGSWがIGSWオフからIGSWオンに切り替わると、ステップS11以降の処理を行うようにしてもよい。または、車載制御装置10は、動作を開始すると、図ステップS11以降の処理を行うものであってもよい。さらに、車載制御装置10は、電源が供給されている間、所定時間毎にステップS11以降の処理を行うものであってもよい。
ステップS11では、エンジン回転数、車速、アクセル状態を取得する(状態取得部)。つまり、演算部71は、エンジン回転数信号、車速信号、アクセル状態信号が入力されることで、エンジン回転数、車速、アクセル状態を取得する。このように、演算部71は、制御部70の負荷状態に相関する現在の車両の制御情報を取得する。なお、演算部71には、エンジン回転数信号、車速信号、アクセル状態信号が定時間毎に入力されるように構成されている。
ステップS12では、現在のECU温度を予測する(推定部)。演算部71は、送風ファン100を始動させるか否かを判定するために、ステップS11で取得した制御情報に基づいて、現在の車載制御装置10の温度、すなわち温度現在値を予測(推定)する。よって、演算部71は、車載制御装置10の温度現在値を取得すると言える。
演算部71は、例えば、複数の制御情報のそれぞれと車載制御装置10の温度とが関連付けられた温度マップや温度演算式などを用いて、現在の車載制御装置10の温度を予測することができる。なお、温度マップや温度演算式は、実機を用いた演算や、シミュレーションなどによって生成することができる。また、温度マップや温度演算式は、メモリ装置に記憶しておくことができる。
ステップS13では、一定時間後のECU温度上昇を予測する(推定部)。ECU温度上昇は、所定時間の車載制御装置10の上昇温度に相当する。演算部71は、ステップS11で取得した制御情報に基づいて、一定時間後のECU温度上昇を予測する。つまり、演算部71は、現在から一定時間後までにECU温度がどの程度上昇するかを予測する。言い換えると、演算部71は、制御情報を用いて所定時間の車載制御装置10の上昇温度を予測すると言える。一定時間は、特許請求の範囲における所定時間に相当する。
演算部71は、例えば、複数の制御情報のそれぞれと車載制御装置10の温度上昇とが関連付けられた温度上昇マップや温度上昇演算式などを用いて、一定時間後の車載制御装置10の温度上昇を予測することができる。なお、温度上昇マップや温度上昇演算式は、実機を用いた演算や、シミュレーションなどによって生成することができる。また、温度上昇マップや温度上昇演算式は、メモリ装置に記憶しておくことができる。
演算部71は、現在のECU温度と、一定時間後のECU温度上昇を予測することで、一定時間後のECU温度を予測することができる。演算部71は、例えば、現在のECU温度が40度で、一定時間後のECU温度上昇が60度であると予測した場合、一定時間後のECU温度が100度であると予測することができる。一定時間後のECU温度は、温度予測値と言うことができる。このように、本実施形態では、現在のECU温度の予測値と、一定時間後のECU温度上昇の予測値を用いて、温度予測値を予測すると言える。
ステップS14では、温度予測値が規定値以上であるか否かを判定する(推定部)。演算部71は、温度予測値が規定値以上であると判定した場合、車載制御装置10の冷却が必要であるとみなしてステップS15へ進む。一方、演算部71は、温度予測値が規定値に達していないと判定した場合、車載制御装置10の冷却が必要ないとみなしてステップS11へ戻る。このように、演算部71は、上記の制御情報を用いて、一定時間後における車載制御装置10の温度が、冷却が必要な異常温度に達するか否かを推定する。
ここでの規定値は、一定時間後における車載制御装置10の温度が、冷却が必要な程度の異常温度になっているか否かを予測するための温度閾値であり、冷却予測閾値と言うこともできる。また、規定値は、特許請求の範囲における所定値に相当する。この規定値は、メモリ装置に記憶しておくことができる。
ステップS15では、送風ファンを始動する(冷却指示部)。演算部71は、駆動部72を介して送風ファン100を始動する。つまり、演算部71は、駆動部72に対して、送風ファン100の始動を命令する。これによって、駆動部72は、送風ファン100を始動させる。このように、制御部70は、一定時間後のECU温度が異常温度に達すると推定された場合、送風ファン100に対して始動を指示する。
送風ファン100は、制御部70によって始動が指示されると、羽根部120を回転させて、ケース20に風を供給する。このようにして、車載制御装置10は、ケース20に風を供給することで回路基板60を冷却する。
なお、演算部71は、ステップS13で予測した一定時間後のECU温度に応じて、羽根部120の回転数を変えてもよい。演算部71は、予測した一定時間後のECU温度が高いほど、羽根部120の回転数が多くなるように駆動部72に命令する。これによって、車載制御装置10は、ECU温度に適した冷却動作を行うことができる。
また、演算部71は、送風ファン100の始動を命令したあとも、一定時間後のECU温度の予測を継続してもよい。そして、演算部71は、送風ファン100が動作を開始した後に予測した一定時間後のECU温度に追従して、羽根部120の回転数を変えてもよい。この場合も同様に、演算部71は、予測した一定時間後のECU温度が高いほど、羽根部120の回転数が多くなるように駆動部72に命令する。
さらに、車載制御装置10は、エンジンルームER1の温度が高温の場合、送風ファン100を駆動させたとしても、高温の空気をケース20に供給することになり、ケース20を冷却することができない。そこで、演算部71は、エンジンルームER1の温度を取得可能に構成されていてもよい。そして、演算部71は、エンジンルームER1の温度が閾値を超える高温の場合、送風ファン100の始動を命令しないようにしてもよい。これによって、車載制御装置10は、不要な送風ファン100の動作を避けることができる。なお、ここでの閾値は、ケース20の冷却に寄与しない程度の温度を示す値である。
ステップS16では、ステップS12と同様に、現在のECU温度を予測する(推定部)。しかしながら、演算部71は、送風ファン100の動作を停止させるか否かを判定するために、入力されたエンジン回転数信号、車速信号、アクセル状態信号に基づいて、現在の車載制御装置10の温度を予測(推定)する。
ステップS17では、現在のECU温度が規定値より低いか否かを判定する(推定部)。また、ここでの規定値は、ステップS14での規定値と異なり、現在のECU温度の予測値が高温であるか否かを判定するための温度閾値である。詳述すると、ここでの規定値は、現在のECU温度の予測値が、予測されるECU温度上昇を加えた場合に、一定時間後におけるECU温度が冷却予測閾値に達する程度の高温であるか否かを判定するための温度閾値である。よって、ここでの規定値は、高温判定閾値と言うことができる。この規定値は、メモリ装置に記憶しておくことができる。
演算部71は、現在のECU温度が高温判定閾値より低いと判定した場合、車載制御装置10の冷却が必要なくなったとみなしてステップS18へ進む。一方、演算部71は、現在のECU温度が高温判定閾値より低いと判定しなかった場合、車載制御装置10の冷却が必要とみなしてステップS16へ戻る。このように、演算部71は、上記の制御情報を用いて、現在の車載制御装置10の温度が、一定時間後におけるECU温度が冷却予測閾値に達する程度の高温であるか否かを推定する。言い換えると、演算部71は、送風ファン100を動作させたことで、車載制御装置10の温度が、一定時間後におけるECU温度が冷却予測閾値に達しない程度に下回ったか否かを判定する。
ステップS18では、送風ファンを停止する。演算部71は、駆動部72を介して送風ファン100の動作を停止する。つまり、演算部71は、駆動部72に対して、送風ファン100の停止を命令する。これによって、駆動部72は、送風ファン100を停止させる。このように、制御部70は、車載制御装置10の冷却が必要なくなったとみなした場合、送風ファン100に対して停止を指示する。
送風ファン100は、制御部70によって停止が指示されると、羽根部120の回転を停止させて、ケース20への風の供給を止める。つまり、車載制御装置10は、送風ファン100を動作させている際に、現在のECU温度が高温判定閾値より低いと判定した場合、車載制御装置10の冷却が必要なくなったとみなして、送風ファン100の動作を停止させる。このように、車載制御装置10は、冷却が必要ない場合、ケース20への風の供給を停止させて消費電力を低減することができる。言い換えると、車載制御装置10は、電力の無駄な消費を避けるために、車載制御装置10の駆動時、常に送風ファン100を動作させ続けるのではなく、一定時間後におけるECU温度が冷却予測閾値に達すると予測したときのみ送風ファン100を動作させる。
ステップS19では、IGSWがオフであるか否かを判定する。演算部71は、IGSWオフであるか否か、すなわち、IGSWがIGSWオンからIGSWオフに切り替わったか否かを判定する。そして、演算部71は、IGSWがIGSWオフであると判定した場合、図2の処理を終了する。一方、演算部71は、IGSWがIGSWオフであると判定しなかった場合、ステップS11へ戻る。
このように、車載制御装置10は、制御部70の負荷状態に相関する車両の制御情報を用いることで、一定時間後における車載制御装置10の温度が、冷却が必要な異常温度に達するか否かを推定することができる。そして、車載制御装置10は、異常温度に達すると推定された場合、送風ファン100に対して始動を指示するので、車載制御装置10の温度が異常温度に達する前に、送風ファン100によって空気の流れを形成して防水筐体を冷却することができる。よって、車載制御装置10は、温度が過度に上昇することを抑制できる。
車載制御装置10は、車両の制御情報を用いて予測した、現在のECU温度と、一定時間後のECU温度上昇とを用いて、送風ファン100を動作させるか否かを判定している。このため、車載制御装置10は、車載制御装置10の温度を測定するサーミスタ80を備えていなくても、冷却が必要なときだけ送風ファン100を駆動させることができる。
また、車載制御装置10では、防水シール部51で囲まれた位置から内部空間S1に突出した端子140を介して送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続している。このため、車載制御装置10は、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを電気的に接続する必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。また、車載制御装置10は、防水筐体の外部に設けられたワイヤハーネスなどを介して回路基板60と送風ファン100とを接続したり、回路基板60とは異なる車両に設けられた電子機器などと送風ファン100とを直接電気的に接続したりする必要がない。よって、車載制御装置10は、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。これによって、車載制御装置10は、構成を簡素化でき、体格を小型化できる。さらに、車載制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に電気的に接続する際の工数を低減できる。
また、送風ファン100は、強制的に空気の流れを作ってケース20を冷却している。このため、送風ファン100を取り付けた車載制御装置10は、放熱フィンのみを取り付けた車載制御装置よりも放熱性能が優れていると言える。つまり、防水筐体の占める面積が同じ場合、送風ファン100を取り付けた車載制御装置10は、放熱フィンのみを取り付けた電子制御装置よりも放熱性能が優れている。逆に、放熱性能が同じ車載制御装置を比較した場合、送風ファン100を取り付けた車載制御装置10の防水筐体が必要とする面積は,放熱フィンのみを取り付けた車載制御装置の防水筐体が占める面積よりも小さい。よって、車載制御装置10は、送風ファン100と同様の冷却性能を確保するために放熱フィンを設ける場合よりも、体格を小型化できる。
また、防水筐体や回路基板を冷却するには、エンジン冷却水などを防水筐体の周囲に配置して、エンジン冷却水で冷却することも考えられる。さらに、防水筐体や回路基板を冷却するには、ラジエータファンからの風があたる位置に車載制御装置を配置して、ラジエータファンからの風によって冷却することも考えられる。
しかしながら、車載制御装置10は、上記のようにケース20に送風ファン100を取り付けて、送風ファン100で冷却を行う。このため、車載制御装置10は、エンジン冷却水を防水筐体の周囲に配置したり、ラジエータファンからの風があたる位置に車載制御装置10を配置したりする必要がなく、車両側に搭載制約を強いることを抑制できる。
また、送風ファン100は、羽根部120の回転軸がZ方向に直交する状態で壁部21に配置することも考えられる。しかしながら、車載制御装置10では、回転軸が回路基板60の板厚方向と一致した状態で壁部21に配置している。このため、車載制御装置10は、回転軸がZ方向に直交する状態で壁部21に配置する場合よりも、Z方向の体格を小さくすることができる。
特に本実施形態では、送風ファン100の一部をファン取付開口部25内に配置している。このため、車載制御装置10は、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。さらには、車載制御装置10は、送風ファン100の一部を内部空間S1内に配置しているため、Z方向において、体格をより一層小型化することができる。
また、車載制御装置10は、壁部21の内面にハウジング200のフランジ部221が対向するように、送風ファン100とケース20とが組み付けられている。このため、車載制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装してから、ケース20を送風ファン100に組み付けることができる。これによって、車載制御装置10は、送風ファン100から露出している端子140を回路基板60のスルーホール62に容易に挿入することができる。また、車載制御装置10は、送風ファン100を回路基板60に実装される電子部品の一つとして取り扱うことができ、組み付けを簡素化できる。
車載制御装置10は、ケース20に設けられた放熱フィンによって冷却を行う構成に対して、カバー30の外形、回路基板60の外形、製造工程を変更することなく送風ファン100をケース20に取り付けることができる。
車載制御装置10は、回路基板60が防水筐体に収容されているため、回路基板60から発せられた熱が防水筐体に放熱される。そして、車載制御装置10は、送風ファン100によって外面に沿った空気の流れが形成されるため、防水筐体の放熱を促進することができる。車載制御装置10は、送風ファン100によって作り出された風によって回路基板60を冷却するため、放熱フィンによって防水筐体や回路基板60を冷却する構成よりも、防水筐体や回路基板60を急冷することができる。
つまり、本実施形態では、羽根部120の回転軸が、回路基板60の板厚方向であるZ方向と略一致するように、送風ファン100がケース20に取り付けられている。そして、ハウジング200には、羽根部120の回転にともなって、ケース20の外面に沿った空気の流れが形成されるように、Z方向において互いに異なる位置に第1通気口201及び第2通気口212が形成されている。このため、送風ファン100により、ケース20、ひいては回路基板60を効率よく冷却することができる。
特に本実施形態では、第1通気口201が吸込口、第2通気口212が排出口とされる。これによれば、第2通気口212が吸込口、第1通気口201が排出口とされる構成に較べて、同じ回転数でも、ケース20の外面上の流速を高めることができる。すなわち、ケース20、ひいては回路基板60の温度を低くすることができる。この点については、シミュレーションにより確認されている。
上記したように、ケースの底壁に貫通孔を設けない構成では、冷却装置にコネクタを設け、防水筐体の外で電気的な接続を行うこととなる。このため、ケースの外面上に、コネクタに接続されたハーネスが配置されることとなり、冷却の妨げとなる。すなわち、電子部品である発熱素子の配置も制限される。これに対し、本実施形態では、送風ファン100の端子140が回路基板60に接続されている。したがって、上記したコネクタやハーネスの妨げが無いため、回路素子61の配置自由度を向上することができる。
このように、コネクタやハーネスの妨げが無いため、本実施形態では、ハウジング200の4つの側壁210のすべてに、第2通気口212が形成されている。これにより、第1通気口201から吸入した空気が、ケース20の外面上を四方に広がる。したがって、ケース20を効果的に冷却することができる。また、車載制御装置10は、防水シール部51を有しているため、送風ファン100と回路基板60とを電気的に接続しつつ、防水筐体の防水性を確保することができる。
なお、本実施形態では、シール部材50として、硬化前において液状の接着材を採用している。しかしながら、シール部材50は、これに限定されず、弾性変形によってファン取付開口部25の周りを水密に封止する部材であっても採用できる。このシール部材50は、Oリングや環状のゴムシートなどであり、ファン取付開口部25を囲う位置に設けられ、ハウジング200とケース20とで挟み込まれて弾性変形することで、ファン取付開口部25の周りを水密に封止する。この場合、車載制御装置10は、ケース20に対して送風ファン100を固定する固定機構を備えることが好ましい。また、この点は、他の実施形態でも同様である。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2〜第5実施形態に関して説明する。上記実施形態及び第2〜第5実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
(第2実施形態)
図5に基づき、第2実施形態に係る車載制御装置の概略構成について説明する。ここでは、第2実施形態の車載制御装置10において、車載制御装置10と異なる点を中心に説明する。第2実施形態の車載制御装置10は、車載制御装置10と同様の構成を有しており、処理動作が車載制御装置10と異なる。本実施形態では、便宜的に、上記実施形態と同じ符号を用いる。また、図5においては、図2と同じ処理内容のステップに関して、図2と同じステップ番号を付与する。このステップ番号の処理に関しては、上記実施形態を参照して適用できる。第2実施形態の車載制御装置10は、主に、現在のECU温度を測定する点が上記実施形態と異なる。
車載制御装置10は、IGSWがオフからオンに切り替わると、図5のフローチャートに示す処理を開始する。また、車載制御装置10は、動作を開始すると、図5のフローチャートに示す処理を開始する。
ステップS20では、ECU温度が規定値以上であるか否かを判定する。演算部71は、サーミスタ80からECU温度を取得する。そして、演算部71は、ECU温度が規定値以上であるか否かを判定し、ECU温度が規定値以上であると判定した場合はステップS11へ進み、ECU温度が規定値に達していないと判定した場合はステップS20を繰り返し実行する。ここでのECU温度は、車載制御装置10の現在の温度である温度現在値であり、温度実測値に相当する。
また、ここでの規定値は、冷却予測閾値ではなく高温判定閾値である。この規定値は、メモリ装置に記憶しておくことができる。
ステップS14では、第1実施形態と同様に、温度予測値が規定以上であるか否かを判定する。しかしながら、本実施形態では、温度実測値と、予測値であるECU温度上昇とに基づいて温度予測値を予測する。
ステップS21では、ECU温度が規定値(高温判定閾値)より低いか否かを判定する(推定部)。演算部71は、ステップS20と同様に、サーミスタ80からECU温度を取得する。そして、演算部71は、ECU温度が規定値より低いか否かを判定する。演算部71は、ECU温度が規定値より低いと判定した場合、車載制御装置10の冷却が必要なくなったとみなしてステップS18へ進む。一方、演算部71は、ECU温度が規定値より低いと判定しなかった場合、車載制御装置10の冷却が必要とみなしてステップS21を繰り返し実行する。
本実施形態の車載制御装置10は、第1実施形態の車載制御装置10と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の車載制御装置10は、温度実測値を用いて、一定時間後の温度予測値を予測しているため、第1実施形態の車載制御装置10よりも正確な温度予測値を得ることができる。このため、本実施形態の車載制御装置10は、第1実施形態の車載制御装置10よりも、送風ファン100の動作タイミングを適切に制御でき、消費電力を低減できる。
(第3実施形態)
図6、図7に基づき、第3実施形態に係る車載制御装置10の概略構成について説明する。ここでは、第3実施形態の車載制御装置10において、第1実施形態の車載制御装置10と異なる点を中心に説明する。第3実施形態の車載制御装置10は、第1実施形態の車載制御装置10と同様の構成を有しており、処理動作が車載制御装置10と異なる。本実施形態では、便宜的に、第1実施形態と同じ符号を用いる。また、図6においては、図2と同じ処理内容のステップに関して、図2と同じステップ番号を付与する。このステップ番号の処理に関しては、上記実施形態を参照して適用できる。第3実施形態の車載制御装置10は、主に、制御マップを用いる点が第1実施形態と異なる。
制御部70は、制御情報と、送風ファン100の駆動を示す駆動情報と非駆動を示す非駆動情報のいずれかが関連付けられた制御マップを有している。詳述すると、図7に示すように、制御マップは、制御情報から得られる車載制御装置10の一定時間後の負荷(予測値)と、制御情報から得られる現在のECU温度とに、駆動情報と非駆動情報のいずれかが関連付けられている。制御マップは、送風ファンオン領域と送風ファンオフ領域とに分かれている。送風ファンオン領域は、制御情報と駆動情報とが関連付けられた領域と言える。一方、送風ファンオフ領域は、制御情報と非駆動情報とが関連付けられた領域と言える。
なお、将来予想されるECU負荷は、車載制御装置10の一定時間後の負荷に相当する。また、現在のECU温度は、予測値と実測値のいずれであっても採用できる。
制御マップは、実機を用いた演算や、シミュレーションなどによって生成することができる。制御マップは、メモリ装置に記憶されている。また、制御マップは、特許請求の範囲におけるマップに相当する。
ステップS30では、エンジン回転数、車速、アクセル状態、ECU素子温度を取得する(状態取得部)。つまり、演算部71は、エンジン回転数信号、車速信号、アクセル状態信号が入力されることで、エンジン回転数、車速、アクセル状態を取得する。また、本実施形態では、車載制御装置10の回路素子61に設けられたサーミスタ80から、回路素子61の現在の温度を示す電気信号、すなわちECU素子温度を示す素子温度信号を入力される例を採用する。ECU素子温度は、ECU温度と同等とみなすことができる。このように、演算部71は、制御部70の負荷状態に相関する現在の車両の制御情報を取得する。なお、演算部71には、エンジン回転数信号、車速信号、アクセル状態信号、素子温度信号が定時間毎に入力されるように構成されている。
ステップS31では、制御マップと比較する(推定部)。演算部71は、送風ファン100を駆動させるか否かを判定するために、ステップS30で取得した制御情報と制御マップとを比較する。
ステップS32では、送風ファンオン領域であるか否かを判定する(推定部)。演算部71は、送風ファンオン領域であると判定した場合はステップS15へ進み、送風ファンオン領域であると判定しなかった場合、すなわち送風ファンオフ領域であると判定した場合はステップS30へ戻る。
このように、演算部71は、取得した制御情報と制御マップとを比較して、制御情報に駆動情報が関連付けられていた場合に、一定時間後にECU温度が異常温度に達すると推定する。一方、演算部71は、制御情報に非駆動情報が関連付けられていた場合に、一定時間後にECU温度が異常温度に達すると推定しない。
本実施形態の車載制御装置10は、第1実施形態の車載制御装置10と同様の効果を奏することができる。本実施形態の車載制御装置は、制御マップを用いるため、第1、第2実施形態の車載制御装置10のように逐次計算する場合よりも、処理負荷を低減することができる。
(第3実施形態の変形例)
制御マップは、図7に示したものに限定されない。本変形例では、図8に示す制御マップを採用する。制御部70は、送風ファン100のオンオフ、すなわち駆動と停止だけでなく、状況に応じて送風ファン100をデューティ制御してもよい。よって、制御マップは、図8に示すように、送風ファンオン領域、送風ファンオフ領域、及びこれらの領域間に設定された送風ファンデューティ制御領域を含んでいる。
演算部71は、ステップS30で取得した制御情報と、図8に示す制御マップを比較する。そして、演算部71は、送風ファンデューティ制御領域であると判定した場合、駆動部72を介して、送風ファン100をデューティ制御する。演算部71は、送風ファン100をデューティ制御することで、羽根部120の回転速度を変更することができる。
本変形例の車載制御装置10は、第3実施形態の車載制御装置10と同様の効果を奏することができる。
(第4実施形態)
図9に基づき、第4実施形態に係る車載制御装置10の概略構成について説明する。ここでは、第4実施形態の車載制御装置10において、第1、第3実施形態の車載制御装置10と異なる点を中心に説明する。第4実施形態の車載制御装置10は、第1、第3実施形態の車載制御装置10と同様の構成を有しており、処理動作が第1、第3実施形態の車載制御装置10と異なる。本実施形態では、便宜的に、第1実施形態と同じ符号を用いる。第3実施形態の車載制御装置10は、主に、送風ファン100の駆動制御が第3実施形態と異なる。
車載制御装置10は、ラジエータ340で冷却される車載機器としてのエンジン310の周辺に搭載されている。つまり、車載制御装置10は、上記実施形態と同様にエンジンルームER1に設けられている。よって、車載制御装置10は、ラジエータファンからの送風も、車載制御装置10の温度に影響する。
本実施形態では、図9に示す制御マップを採用する。この制御マップは、制御情報から得られる車載制御装置10の一定時間後の負荷と、制御情報から得られる現在のECU温度と、ラジエータ冷却水の温度とに、駆動情報と非駆動情報のいずれかが関連付けられている。制御マップは、送風ファンオン領域と送風ファンオフ領域とに分かれている。送風ファンオン領域は、制御情報と駆動情報とが関連付けられた領域である。一方、送風ファンオフ領域は、制御情報と非駆動情報とが関連付けられた領域である。制御マップは、一点鎖線で囲まれた領域が送風ファンオフ領域で、その周辺が送風ファンオン領域である。また、制御マップは、冷却水の温度が高い場合よりも低い場合の方が、送風ファンオフ領域が広くなっている。よって、車載制御装置10は、冷却水の温度が高い場合よりも低い場合の方が、送風ファン100が始動されにくいように構成されている。
この制御マップに示すように、送風ファンオン領域は、冷却水の温度がある値よりも高い領域である。よって、演算部71は、ラジエータ340における冷却水温度を取得し、一定時間後のECU温度が異常温度に達すると推定されたことに加えて、冷却水温度が水温閾値よりも高い場合に、送風ファン100に対して始動を指示する(冷却指示部)。
なお、制御マップは、実機を用いた演算や、シミュレーションなどによって生成することができる。制御マップは、メモリ装置に記憶されている。また、制御マップは、特許請求の範囲におけるマップに相当する。
さらに、演算部71は、送風ファン100に対して始動を指示した場合、冷却水温度に応じて、駆動部72を介して送風ファン100の駆動態様をかえてもよい。冷却水温度が低い場合は、車載制御装置10の周辺温度は、エンジン310によって温められていない。このとき、送風ファン100を回転させることで、比較的冷たい風をケース20に供給できる。一方、冷却水温度が高い場合、車載制御装置の周辺温度は、エンジン310によって温められている。このとき、送風ファン100を回転させたとしても、比較的暖かい風をケース20に供給するだけで、ケース20を冷却できない可能性がある。
そこで、演算部71は、送風ファン100に対して始動を指示した場合、冷却水温度が低い場合よりも冷却水温度が高い場合の方が、送風ファン100の出力を高めるように駆動部72を介して送風ファン100の駆動態様をかえる。つまり、演算部71は、冷却水温度が高い場合、冷却水温度が低い場合よりも送風ファン100の回転速度を上げるように駆動部72に指示する。なお、送風ファン100の回転速度は、羽根部120の回転速度と同意であり、上記のようにデューティ制御によって達成できる。
(第4実施形態の変形例)
制御マップは、図9に示したものに限定されない。本変形例では、図10に示す制御マップを採用する。制御部70は、第1マップと第2マップの二つの制御マップを切り換えながら送風ファン100を駆動制御する。第1マップは、ラジエータファンがオフの時、すなわち回転していない場合の制御マップである。一方、第2マップは、ラジエータファンがオンの時、すなわち回転している場合の制御マップである。第2マップは、第1マップよりも送風ファンオフ領域が広く設定されている。
演算部71は、ラジエータファンが回転していない場合は第1マップを用い、ラジエータファンが回転している場合は第2マップを用いて、送風ファン100に対して始動を指示するか否かを判定する。このため、演算部71は、ラジエータファンが回転していない場合よりもラジエータファンが回転している場合の方が、送風ファン100が始動されにくいように構成されている。
また、演算部71は、ラジエータファンの動作状態信号を取得し、一定時間後のECU温度が異常温度に達すると推定され、且つ、ラジエータファンが動作中の場合、送風ファン100の出力低下を駆動部72に指示するようにしてもよい。つまり、演算部71は、一定時間後のECU温度が異常温度に達すると推定され、且つ、ラジエータファンが動作中の場合、送風ファン100の回転速度を下げるように駆動部72に指示する。このとき、演算部71は、送風ファン100の回転数を停止するように駆動部72に指示してもよい。
変形例の車載制御装置10は、第4実施形態の車載制御装置10と同様の効果を奏することができる。
(第5実施形態)
図11に基づき、第5実施形態に係る車載制御装置10の概略構成について説明する。ここでは、本実施形態の車載制御装置10において、車載制御装置10と異なる点を中心に説明する。本実施形態の車載制御装置10は、主に、モータ350を駆動源とする車両に搭載されている点が第1実施形態の車載制御装置10と異なる。本実施形態の車載制御装置10では、第1実施形態の車載制御装置10と同様の構成要素に同じ符号を付与する。よって、同じ符号の構成要素に関しては、第1実施形態を参照して適用できる。
車載制御装置10は、車両のモータ350が配置された空間であるモータ配置部MR1に設けられている。車載制御装置10は、モータ350を駆動制御するECUである。車載制御装置10は、エンジン310ではなくモータ350と電気的に接続されている。なお、図11では、モータ350がモータ配置部MR1外に設けられているように図示されている。しかしながら、モータ350に関しても、モータ配置部MR1に設けられている。
演算部71は、制御部70の負荷状態に相関する現在の車両の制御情報の一つとして、モータ350からモータ回転数信号を取得可能に構成されている。車載制御装置10は、モータ350を駆動するものである。よって、車載制御装置10は、モータ350の回転数が高くなると、制御部70の負荷も大きくなる。よって、モータ回転数信号は、制御部70の負荷状態に相関する現在の車両の制御情報として採用できる。
演算部71は、ステップS11でモータ回転数信号を取得する。そして、演算部71は、モータ回転数信号を用いて、ステップS12以降の処理を行う。また、演算部71は、ステップS30やステップS33でモータ回転数信号を取得する。そして、演算部71は、モータ回転数信号を用いて、ステップS31やステップS34などの処理を行う。
本実施形態の車載制御装置10は、第1実施形態の車載制御装置10と同様の効果を奏することができる。