JP2018204725A - エアロゲル入り梱包体及びエアロゲル入り梱包体の製造方法 - Google Patents

エアロゲル入り梱包体及びエアロゲル入り梱包体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期保管時の吸湿と、使用時のアウトガスとを抑制することのできる、エアロゲル入り梱包体を提供すること。【解決手段】エアロゲル成分を含有し、かつ水分量が10×1015[個/cm2]以下であるエアロゲルと、該エアロゲルを減圧下にて密封してなる包装体と、を備える、エアロゲル入り梱包体。【選択図】なし

Description

本発明はエアロゲル入り梱包体及びエアロゲル入り梱包体の製造方法に関する。
近年、居住空間の快適性及び省エネルギー化の要求が高まっていることから、断熱性が要求される対象物の形状は複雑となり、断熱材の設置空間も狭小となる傾向にある。そのため、断熱性能を向上するだけでなく、薄型化した断熱材が求められている。
発泡樹脂を用いた断熱材の断熱性能向上の試みとして、例えば、特許文献1では、ポリプロピレン系樹脂発泡体の及び/又は内部に少なくとも1層の金属薄膜を含有する板状発泡体が提案されている。
一方、液体窒素、液体ヘリウム等の極低温物質は、内容器と外容器とからなる二重壁構造を有する容器に保管されており、内容器と外容器との間は真空になっており、断熱材が充填されている。真空空間に充填する断熱材として、例えば、特許文献2には、ポリイミドフィルムの片面又は両面に金属層を形成した反射膜と、プラスチックヤーンからなるネット状のスペーサーとを積層した積層断熱材が開示されている。また、特許文献3には、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの片面もしくは両面または内部に金属層を形成した反射膜と、熱可塑性ポリマー繊維からなるシート状のスペーサーとを積層した積層断熱材が開示されている。
特開2001−179866号公報 特開平9−109323号公報 特開平11−70053号公報
しかしながら、断熱材を真空下で使用する際には、断熱材からのガス放出により、真空度が悪化し、断熱性能を劣化させている。加えて、断熱材を長期間保存することにより、空気中の水分が吸着し、さらなる真空度の悪化が懸念される。また、極低温物質を必要とする極低温技術、超電導技術等の分野において用いられる断熱材には、厚みを薄くした上で、断熱性能の更なる向上が求められている。
なお、厚みの薄い断熱材としてエアロゲルの利用も考えられるが、エアロゲルにおいても、ガス放出や水分吸着といった現象が起こり得る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、長期保管時の吸湿と、使用時のアウトガスとを抑制することのできる、エアロゲル入り梱包体、及び当該梱包体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水分量が10×1015[個/cm]以下であるエアロゲルであれば、真空下で長期使用しても、真空度の悪化が起こらず、また、包装体中にエアロゲルを真空引きして保管すれば、吸湿が少ないことを見出した。
本発明は、エアロゲル成分を含有し、かつ水分量が10×1015[個/cm]以下であるエアロゲルと、該エアロゲルを減圧下にて密封してなる包装体と、を備える、エアロゲル入り梱包体を提供する。これにより、エアロゲルの長期保管時の吸湿と、使用時のアウトガスとを抑制することができる。
本発明において、エアロゲルは支持部材に担持されていてもよい。これにより、エアロゲルの柔軟性をより高めることができる。
本発明において、包装体が、アルミニウム層を有する樹脂フィルムから形成されていてもよい。これにより、包装体からエアロゲルを取り出し易くなり、かつ外部からの水分の浸入をより抑制することができる。
本発明において、エアロゲルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であってもよい。このようにして得られたエアロゲルは、優れた断熱性及び柔軟性を達成することができる。
本発明において、エアロゲルはさらにシリカ粒子を含有していてもよい。これによりエアロゲルの断熱性、柔軟性等をより向上することができる。
本発明において、シリカ粒子の平均一次粒子径は1〜500nmであってもよい。これにより、エアロゲルの断熱性と柔軟性とをさらに向上し易くなる。
本発明は、また、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを乾燥し、水分量が10×1015[個/cm]以下であるエアロゲルを得る工程と、エアロゲルを、包装体を用いて減圧下にて密封する工程と、を備える、エアロゲル入り梱包体の製造方法を提供する。これにより、エアロゲルの長期保管時の吸湿と、使用時のアウトガスとを抑制することができる。
本発明の製造方法において、密封はヒートシールによりなされてもよい。
本発明によれば、長期保管時の吸湿と、使用時のアウトガスとを抑制することのできる、エアロゲル入り梱包体、及び当該梱包体の製造方法を提供することができる。また、エアロゲルがシリカ粒子を含む場合は、断熱材として使用した際の取扱い性により優れ、なおかつ厚みを薄くした場合であってもさらに優れた断熱性能を発現することができる。
本開示の一実施形態に係るエアロゲルの微細構造を模式的に表す図である。 粒子の二軸平均一次粒子径の算出方法を示す図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
<エアロゲル>
狭義には、湿潤ゲルに対して超臨界乾燥法を用いて得られた乾燥ゲルをエアロゲル、大気圧下での乾燥により得られた乾燥ゲルをキセロゲル、凍結乾燥により得られた乾燥ゲルをクライオゲルと称するが、本実施形態においては、湿潤ゲルのこれらの乾燥手法によらず、得られた低密度の乾燥ゲルを「エアロゲル」と称する。すなわち、本実施形態においてエアロゲルとは、広義のエアロゲルである「Gel comprised of a microporous solid in which the dispersed phase is a gas(分散相が気体である微多孔性固体から構成されるゲル)」を意味するものである。一般的にエアロゲルの内部は網目状の微細構造となっており、2〜20nm程度のエアロゲル粒子(エアロゲルを構成する粒子)が結合したクラスター構造を有している。このクラスターにより形成される骨格間には、100nmに満たない細孔がある。これにより、エアロゲルは、三次元的に微細な多孔性の構造をしている。なお、本実施形態におけるエアロゲルは、例えば、シリカを主成分とするシリカエアロゲルである。シリカエアロゲルとしては、例えば、有機基(メチル基等)又は有機鎖を導入した、いわゆる有機−無機ハイブリッド化されたシリカエアロゲルが挙げられる。本実施形態のエアロゲルは、上述のエアロゲル粒子から構成されるエアロゲル成分を含有することができる。
本実施形態のエアロゲルは、エアロゲル成分に加え、さらにシリカ粒子を含有していてもよい。エアロゲル成分及びシリカ粒子を含有するエアロゲルを、エアロゲル複合体と言うこともできる。なお、必ずしもこれと同じ概念を意味するものではないが、エアロゲル複合体は、三次元網目骨格を構成する成分としてシリカ粒子を含有するものである、と表現することも可能である。エアロゲル複合体は、エアロゲル成分とシリカ粒子とが複合化されていながらも、エアロゲルの特徴であるクラスター構造を有しており、三次元的に微細な多孔性の構造を有していると考えられる。エアロゲル複合体は、後述するとおり断熱性と柔軟性とにより優れている。特に、柔軟性が優れていることにより取り扱い性が向上して大型化も可能となるため、生産性を高めることができる。なお、エアロゲル複合体は、エアロゲルの製造環境中にシリカ粒子を存在させることにより得られるものである。そしてシリカ粒子を存在させることによるメリットは、複合体自体の断熱性、柔軟性等を向上できることのみならず、後述する湿潤ゲル生成工程の時間短縮、あるいは洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能であることにもある。なお、この工程の時間短縮及び工程の簡略化は、柔軟性が優れるエアロゲル複合体を作製する上で必ずしも求められることではない。
エアロゲル成分とシリカ粒子との複合化態様は様々である。例えば、エアロゲル成分は膜状等の不定形であってもよく、粒子状(エアロゲル粒子)であってもよい。いずれの態様においても、エアロゲル成分が様々な形態になりシリカ粒子間に存在しているため、エアロゲルの骨格に柔軟性が付与されていると推察される。
エアロゲル成分とシリカ粒子の複合化態様としては、不定形のエアロゲル成分がシリカ粒子間に介在する態様が挙げられる。このような態様としては、具体的には、例えばシリカ粒子が膜状のエアロゲル成分(シリコーン成分)により被覆された態様(エアロゲル成分がシリカ粒子を内包する態様)、エアロゲル成分がバインダーとなりシリカ粒子同士が連結された態様、エアロゲル成分が複数のシリカ粒子間隙を充填している態様、これらの態様の組み合わせの態様(クラスター状に並んだシリカ粒子がエアロゲル成分により被覆された態様等)、など様々な態様が挙げられる。このように、エアロゲル複合体は、三次元網目骨格がシリカ粒子とエアロゲル成分(シリコーン成分)から構成されることができ、その具体的態様(形態)に特に制限はない。
一方、後述するように、エアロゲル成分は、不定形ではなく図1のように明確な粒子状となっていてもよく、その状態でシリカ粒子と複合化していてもよい。
エアロゲル複合体においてこのような様々な態様が生じるメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者は、ゲル化工程におけるエアロゲル成分の生成速度が関与していると推察している。例えば、シリカ粒子のシラノール基数を変動させることによってエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。また、系のpHを変動させることによってもエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。
このことは、シリカ粒子のサイズ、形状、シラノール基数、系のpH等を調整することにより、エアロゲルの態様(三次元網目骨格のサイズ、形状等)を制御できることを示唆する。したがって、エアロゲルの密度、気孔率等の制御が可能となり、エアロゲルの断熱性と柔軟性を制御することができると考えられる。なお、エアロゲルの三次元網目骨格は、上述した様々な態様の一種類のみから構成されていてもよいし、二種以上の態様から構成されていてもよい。
以下、図1を例にとり、エアロゲル(エアロゲル複合体)について説明するが、上述のとおりエアロゲルは必ずしもシリカ粒子を含有していなくてもよく、本開示は図1の態様に限定されるものではない。ただし、上記いずれの態様にも共通する事項(シリカ粒子の種類、サイズ、含有量等)については、以下の記載を適宜参照することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係るエアロゲル(エアロゲル複合体)の微細構造を模式的に表す図である。図1に示されるように、エアロゲル10は、エアロゲル成分を構成するエアロゲル粒子1が部分的にシリカ粒子2を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格と、当該骨格に囲まれた細孔3とを有する。この際、シリカ粒子2はエアロゲル粒子1間に介在し、三次元網目骨格を支持する骨格支持体として機能していると推察される。したがって、このような構造を有することにより、エアロゲルとしての断熱性及び柔軟性を維持しつつ、適度な強度がエアロゲルに付与されることになると考えられる。すなわち、エアロゲルは、シリカ粒子がエアロゲル粒子を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格を有していてもよい。また、シリカ粒子はエアロゲル粒子により被覆されていてもよい。なお、上記エアロゲル粒子(エアロゲル成分)はケイ素化合物から構成されるため、シリカ粒子への親和性が高いと推察される。そのため、本実施形態においてはエアロゲルの三次元網目骨格中にシリカ粒子を導入することに成功したと考えられる。この点においては、シリカ粒子のシラノール基も、両者の親和性に寄与していると考えられる。
エアロゲル粒子1は、複数の一次粒子から構成される二次粒子の態様を取っていると考えられており、概ね球状である。エアロゲル粒子1の平均粒子径(すなわち二次粒子径)は2nm〜50μmとすることができるが、5nm〜2μmであってもよく、又は10nm〜200nmであってもよい。エアロゲル粒子1の平均粒子径が2nm以上であることにより、柔軟性に優れるエアロゲルが得易くなり、一方平均粒子径が50μm以下であることにより、断熱性に優れるエアロゲルが得易くなる。なお、エアロゲル粒子1を構成する一次粒子の平均粒子径は、低密度の多孔質構造の2次粒子を形成し易いという観点から、0.1nm〜5μmとすることができるが、0.5nm〜200nmであってもよく、又は1nm〜20nmであってもよい。
シリカ粒子2としては特に制限なく用いることができ、例えば非晶質シリカ粒子が挙げられる。さらに当該非晶質シリカ粒子としては、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカ粒子は単分散性が高く、ゾル中での凝集を抑制し易い。なお、シリカ粒子2としては、中空構造、多孔質構造等を有するシリカ粒子であってもよい。
シリカ粒子2の形状は特に制限されず、球状、繭型、会合型等が挙げられる。これらのうち、シリカ粒子2として球状の粒子を用いることにより、ゾル中での凝集を抑制し易くなる。シリカ粒子2の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができるが、5〜300nmであってもよく、又は20〜100nmであってもよい。シリカ粒子2の平均一次粒子径が1nm以上であることにより、適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲルが得易くなる。一方、平均一次粒子径が500nm以下であることにより、シリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲルが得易くなる。
エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とシリカ粒子2とは、水素結合及び/又は化学結合の態様を取って結合していると推測される。この際、水素結合及び/又は化学結合は、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)のシラノール基及び/又は反応性基と、シリカ粒子2のシラノール基により形成されると考えられる。そのため、結合の態様が化学結合であると、適度な強度をエアロゲルに付与し易いと考えられる。このことから考えると、エアロゲル成分と複合化させる粒子として、シリカ粒子に限らず、粒子表面にシラノール基を有する無機粒子又は有機粒子も用いることができる。
シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数は、10×1018〜1000×1018個/gとすることができるが、50×1018〜800×1018個/gであってもよく、又は100×1018〜700×1018個/gであってもよい。シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数が10×1018個/g以上であることにより、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とのより良好な反応性を有することができ、耐収縮性に優れるエアロゲルを得易くなる。一方、シラノール基数が1000×1018個/g以下であることにより、ゾル作製時における急なゲル化を抑制し易くなり、均質なエアロゲルが得易くなる。
本実施形態において、粒子の平均粒子径(エアロゲル粒子の平均二次粒子径、シリカ粒子の平均一次粒子径等)は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」と略記する。)を用いてエアロゲルの断面を直接観察することにより得ることができる。例えば、三次元網目骨格からは、その断面の直径に基づきエアロゲル粒子又はシリカ粒子個々の粒子径を得ることができる。ここでいう直径とは、三次元網目骨格を形成する骨格の断面を円とみなした場合の直径を意味する。また、断面を円とみなした場合の直径とは、断面の面積を同じ面積の円に置き換えたときの当該円の直径のことである。なお、平均粒子径の算出に当たっては、100個の粒子について円の直径を求め、その平均を取るものとする。
なお、シリカ粒子については原料から平均粒子径を測定することが可能である。例えば、二軸平均一次粒子径は、任意の粒子20個をSEMにより観察した結果から、次のようにして算出される。すなわち、通常水に分散している固形分濃度が5〜40質量%のコロイダルシリカ粒子を例にすると、コロイダルシリカ粒子の分散液にパターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒浸した後、当該チップを純水にて約30秒間すすぎ、窒素ブロー乾燥する。その後、チップをSEM観察用の試料台に載せ、加速電圧10kVを掛け、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察し、画像を撮影する。得られた画像から20個のシリカ粒子を任意に選択し、それらの粒子の粒子径の平均を平均粒子径とする。この際、選択したシリカ粒子が図2に示すような形状であった場合、シリカ粒子2に外接し、その長辺が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形L)を導く。そして、その外接長方形Lの長辺をX、短辺をYとして、(X+Y)/2として二軸平均一次粒子径を算出し、その粒子の粒子径とする。
エアロゲルにおける細孔3のサイズは、後述の[密度及び気孔率]の項にて説明する。
エアロゲルに含まれるエアロゲル成分の含有量は、エアロゲルの総量100質量部に対し、4〜25質量部とすることができるが、10〜20質量部であってもよい。含有量が4質量部以上であることにより適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、25質量部以下であることにより良好な断熱性を得易くなる。
エアロゲルがシリカ粒子を含む場合、エアロゲルに含まれるシリカ粒子の含有量は、エアロゲルの総量100質量部に対し、1〜25質量部とすることができるが、3〜15質量部であってもよい。含有量が1質量部以上であることにより適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、25質量部以下であることによりシリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなる。
エアロゲルは、これらエアロゲル成分及びシリカ粒子の他に、熱線輻射抑制等を目的として、カーボングラファイト、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、銀化合物、チタン化合物等のその他の成分をさらに含んでいてもよい。その他の成分の含有量は特に制限されないが、エアロゲルの所期の効果を十分に確保する観点から、エアロゲルの総量100質量部に対し、1〜5質量部とすることができる。
[密度及び気孔率]
本実施形態のエアロゲルにおいて、細孔3のサイズ、すなわち平均細孔径は5〜1000nmとすることができるが、25〜500nmであってもよい。平均細孔径が5nm以上であることにより、柔軟性に優れるエアロゲルが得易くなり、また、1000nm以下であることにより、断熱性に優れるエアロゲルが得易くなる。
本実施形態のエアロゲルにおいて、25℃における密度は0.05〜0.25g/cmとすることができるが、0.1〜0.2g/cmであってもよい。密度が0.05g/cm以上であることにより、より優れた強度及び柔軟性を得ることができ、また、0.25g/cm以下であることにより、より優れた断熱性を得ることができる。
本実施形態のエアロゲルにおいて、25℃における気孔率は85〜95%とすることができるが、87〜93%であってもよい。気孔率が85%以上であることにより、より優れた断熱性を得ることができ、また、95%以下であることにより、より優れた強度及び柔軟性を得ることができる。
エアロゲルにおける、3次元網目状に連続した細孔(通孔)の平均細孔径、密度及び気孔率は、DIN66133に準じて水銀圧入法により測定することができる。測定装置としては、例えばオートポアIV9520(株式会社島津製作所製、製品名)を用いることができる。
<エアロゲル成分の具体的態様>
本実施形態のエアロゲルは、シロキサン結合(Si−O−Si)を含む主鎖を有するポリシロキサンを含有することができる。エアロゲルは、構造単位として、下記M単位、D単位、T単位又はQ単位を有することができる。
上記式中、Rは、ケイ素原子に結合している原子(水素原子等)又は原子団(アルキル基等)を示す。M単位は、ケイ素原子が1個の酸素原子と結合した一価の基からなる単位である。D単位は、ケイ素原子が2個の酸素原子と結合した二価の基からなる単位である。T単位は、ケイ素原子が3個の酸素原子と結合した三価の基からなる単位である。Q単位は、ケイ素原子が4個の酸素原子と結合した四価の基からなる単位である。これらの単位の含有量に関する情報は、Si−NMRにより得ることができる。
本実施形態のエアロゲルにおけるエアロゲル成分としては、以下の態様が挙げられる。これらの態様を採用することにより、エアロゲルの断熱性及び柔軟性を所望の水準に制御することが容易となる。ただし、これらの態様の各々を採用することは、必ずしも本実施形態にて規定するエアロゲルを得ることが目的ではない。各々の態様を採用することで、各々の態様に応じた熱伝導率及び圧縮弾性率を有するエアロゲルを得ることができる。したがって、用途に応じた断熱性及び柔軟性を有するエアロゲルを提供することができる。
(第一の態様)
本実施形態のエアロゲルは、下記一般式(1)で表される構造を有することができる。本実施形態のエアロゲルは、式(1)で表される構造を含む構造として、下記一般式(1a)で表される構造を有することができる。

式(1)及び式(1a)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。なお、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。pは1〜50の整数を示す。式(1a)中、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。式(1a)中、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)又は式(1a)で表される構造をエアロゲル成分としてエアロゲルの骨格中に導入することにより、低熱伝導率かつ柔軟なエアロゲルとなる。このような観点から、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。式(1a)中、pは2〜30とすることができ、5〜20であってもよい。
(第二の態様)
本実施形態のエアロゲルは、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、かつ橋かけ部が下記一般式(2)で表される構造を有することができる。このようなラダー型構造をエアロゲル成分としてエアロゲルの骨格中に導入することにより、耐熱性と機械的強度を向上させることができる。なお、本実施形態において「ラダー型構造」とは、2本の支柱部(struts)と支柱部同士を連結する橋かけ部(bridges)とを有するもの(いわゆる「梯子」の形態を有するもの)である。本態様において、エアロゲルの骨格がラダー型構造からなっていてもよいが、エアロゲルが部分的にラダー型構造を有していてもよい。
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(2)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記の構造をエアロゲル成分としてエアロゲルの骨格中に導入することにより、例えば、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有する(すなわち、下記一般式(X)で表される構造を有する)エアロゲルよりも優れた柔軟性を有するエアロゲルとなる。シルセスキオキサンは、組成式:(RSiO1.5を有するポリシロキサンであり、カゴ型、ラダー型、ランダム型等の種々の骨格構造を有することができる。なお、下記一般式(X)にて示すように、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有するエアロゲルでは、橋かけ部の構造が−O−(構造単位として上記T単位を有する)であるが、本実施形態のエアロゲルでは、橋かけ部の構造が上記一般式(2)で表される構造(ポリシロキサン構造)である。ただし、本態様のエアロゲルは、一般式(2)で表される構造に加え、さらにシルセスキオキサンに由来する構造を有していてもよい。
式(X)中、Rはヒドロキシ基、アルキル基又はアリール基を示す。
支柱部となる構造及びその鎖長、並びに橋かけ部となる構造の間隔は特に限定されないが、耐熱性と機械的強度とをより向上させるという観点から、ラダー型構造としては、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有していてもよい。
式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(3)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(3)中、aが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様にcが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
なお、より優れた柔軟性を得る観点から、式(2)及び(3)中、R、R、R及びR(ただし、R及びRは式(3)中のみ)としてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(3)中、a及びcは、それぞれ独立に6〜2000とすることができるが、10〜1000であってもよい。また、式(2)及び(3)中、bは、2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
(第三の態様)
本実施形態のエアロゲルは、(分子内に)加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、場合によりシリカ粒子と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物(ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥して得られるもの:ゾル由来の湿潤ゲルの乾燥物)であってもよい。なお、これまで述べてきたエアロゲルも、このように、ケイ素化合物等を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥することで得られるものであってもよい。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、後述のポリシロキサン化合物以外のケイ素化合物(シリコン化合物)を用いることができる。すなわち、上記ゾルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物(以下、場合により「ケイ素化合物群」という)を含有することができる。ケイ素化合物における分子内のケイ素数は1又は2とすることができる。
分子内に加水分解性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキルケイ素アルコキシドが挙げられる。アルキルケイ素アルコキシドは、耐水性を向上する観点から、加水分解性の官能基の数を3個以下とすることができる。このようなアルキルケイ素アルコキシドとしては、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアルキルジアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルモノアルコキシシラン、ジアルキルモノアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン等が挙げられ、具体的には、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びエチルトリメトキシシランが挙げられる。ここで、加水分解性の官能基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、シランテトラオール、メチルシラントリオール、ジメチルシランジオール、フェニルシラントリオール、フェニルメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、n−プロピルシラントリオール、ヘキシルシラントリオール、オクチルシラントリオール、デシルシラントリオール、トリフルオロプロピルシラントリオール等が挙げられる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる反応性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)を更に有していてもよい。反応性基としては、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基等が挙げられる。エポキシ基は、グリシドキシ基等のエポキシ基含有基に含まれていてもよい。
また、加水分解性の官能基の数が3個以下であり、反応性基を有するケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等も用いることができる。
また、縮合性の官能基を有し、反応性基を有するケイ素化合物として、ビニルシラントリオール、3−グリシドキシプロピルシラントリオール、3−グリシドキシプロピルメチルシランジオール、3−メタクリロキシプロピルシラントリオール、3−メタクリロキシプロピルメチルシランジオール、3−アクリロキシプロピルシラントリオール、3−メルカプトプロピルシラントリオール、3−メルカプトプロピルメチルシランジオール、N−フェニル−3−アミノプロピルシラントリオール、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシランジオール等も用いることができる。
さらに、分子末端の加水分解性の官能基が3個以下のケイ素化合物であるビストリメトキシシリルメタン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリメトキシシリルヘキサン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等も用いることができる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のエアロゲルを作製するにあたり、ケイ素化合物は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物を含むことができる。すなわち、上記のケイ素化合物を含有するゾルは、(分子内に)加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、場合により「ポリシロキサン化合物群」という)をさらに含有することができる。
ポリシロキサン化合物等における官能基は、特に限定されないが、同じ官能基同士で反応するか、あるいは他の官能基と反応する基とすることができる。加水分解性の官能基としては、例えば、アルコキシ基が挙げられる。縮合性の官能基としては、水酸基、シラノール基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。水酸基は、ヒドロキシアルキル基等の水酸基含有基に含まれていてもよい。なお、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる前述の反応性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)を更に有していてもよい。これらの官能基及び反応性基を有するポリシロキサン化合物は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。これらの官能基及び反応性基のうち、例えば、エアロゲルの柔軟性を向上する基としては、アルコキシ基、シラノール基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられ、これらのうち、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基は、ゾルの相溶性をより向上することができる。また、ポリシロキサン化合物の反応性の向上とエアロゲルの熱伝導率の低減の観点から、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜6とすることができるが、エアロゲルの柔軟性をより向上する観点から2〜4であってもよい。
分子内にヒドロキシアルキル基を有するポリシロキサン化合物としては、下記一般式(A)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、前記一般式(1)及び式(1a)で表される構造をエアロゲルの骨格中に導入することができる。
式(A)中、R1aはヒドロキシアルキル基を示し、R2aはアルキレン基を示し、R3a及びR4aはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、nは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(A)中、2個のR1aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR2aは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(A)中、2個以上のR3aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR4aは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物を含有するゾルの縮合物である(ゾルから生成された)湿潤ゲルを用いることにより、低熱伝導率かつ柔軟なエアロゲルをさらに得やすくなる。このような観点から、式(A)中、R1aとしては炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、当該ヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、式(A)中、R2aとしては炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、式(A)中、R3a及びR4aとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(A)中、nは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としては、市販品を用いることができ、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003等の化合物(いずれも、信越化学工業株式会社製)、XF42−B0970、Fluid OFOH 702−4%等の化合物(いずれも、モメンティブ社製)などが挙げられる。
分子内にアルコキシ基を有するポリシロキサン化合物としては、下記一般式(B)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、前記一般式(2)で表される橋かけ部を有するラダー型構造をエアロゲルの骨格中に導入することができる。
式(B)中、R1bはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、R2b及びR3bはそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R4b及びR5bはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としてはフェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。なお、式(B)中、2個のR1bは各々同一であっても異なっていてもよく、2個のR2bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR3bは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(B)中、mが2以上の整数の場合、2個以上のR4bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR5bも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物又はその加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である(ゾルから生成された)湿潤ゲルを用いることにより、低熱伝導率かつ柔軟なエアロゲルをさらに得やすくなる。このような観点から、式(B)中、R1bとしては炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルキル基又はアルコキシ基としてはメチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R2b及びR3bとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R4b及びR5bとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(B)中、mは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物は、例えば、特開2000−26609号公報、特開2012−233110号公報等にて報告される製造方法を適宜参照して得ることができる。
なお、アルコキシ基は加水分解するため、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物はゾル中にて加水分解生成物として存在する可能性があり、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物とその加水分解生成物は混在していてもよい。また、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物において、分子中のアルコキシ基の全てが加水分解されていてもよいし、部分的に加水分解されていてもよい。
これら、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ゾルに含まれるケイ素化合物群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物の含有量、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物の含有量の総和)は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。5質量部以上にすることにより良好な反応性を得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性を得易くなる。
また、上記ゾルが、ポリシロキサン化合物をさらに含有する場合、ケイ素化合物群の含有量及びポリシロキサン化合物群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物の含有量、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物の含有量の総和)の総和は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。含有量の総和を5質量部以上にすることにより良好な反応性をさらに得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性をさらに得易くなる。この際、ケイ素化合物群の含有量とポリシロキサン化合物群の含有量との比は、0.5:1〜4:1とすることができるが、1:1〜2:1であってもよい。これらの化合物の含有量の比を0.5:1以上とすることにより良好な相溶性をさらに得易くなり、また、4:1以下とすることによりゲルの収縮をさらに抑制し易くなる。
上記ゾルにシリカ粒子が含まれる場合、シリカ粒子の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、1〜20質量部とすることができるが、4〜15質量部であってもよい。含有量を1質量部以上にすることにより適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲルが得易くなる。また、含有量を20質量部以下にすることによりシリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲルが得易くなる。
(その他の態様)
本実施形態のエアロゲルは、下記一般式(4)で表される構造を有することができる。
式(4)中、Rはアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。
本実施形態のエアロゲルは、下記一般式(5)で表される構造を有することができる。
式(5)中、R10及びR11はそれぞれ独立にアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。
本実施形態のエアロゲルは、下記一般式(6)で表される構造を有することができる。
式(6)中、R12はアルキレン基を示す。ここで、アルキレン基としては炭素数が1〜10のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としてはエチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
<エアロゲルの製造方法>
次に、エアロゲルの製造方法について説明する。エアロゲルの製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。
すなわち、本実施形態のエアロゲルは、ゾル生成工程と、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換する工程と、洗浄及び溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程とを主に備える製造方法により製造することができる。なお、「ゾル」とは、ゲル化反応が生じる前の状態であって、本実施形態においては上記ケイ素化合物群と、場合によりポリシロキサン化合物群と、さらに場合によりシリカ粒子とが溶媒中に溶解若しくは分散している状態を意味する。また、湿潤ゲルとは、液体媒体を含んでいながらも、流動性を有しない湿潤状態のゲル固形物を意味する。
以下、本実施形態のエアロゲルの製造方法の各工程について説明する。
(ゾル生成工程)
ゾル生成工程は、上述のケイ素化合物と、場合によりポリシロキサン化合物と、さらに場合によりシリカ粒子及び/又はシリカ粒子を含む溶媒とを混合し、加水分解させてゾルを生成する工程である。本工程においては、加水分解反応を促進させるため、溶媒中に更に酸触媒を添加してもよい。また、特許第5250900号公報に示されるように、溶媒中に界面活性剤、熱加水分解性化合物等を添加することもできる。さらに、熱線輻射抑制等を目的として、溶媒中にカーボングラファイト、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、銀化合物、チタン化合物等の成分を添加してもよい。
溶媒としては、例えば、水、又は、水及びアルコール類の混合液を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、ゲル壁との界面張力を低減させる点で、表面張力が低くかつ沸点の低いアルコールとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
例えば、溶媒としてアルコール類を用いる場合、アルコール類の量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量1モルに対し、4〜8モルとすることができるが、4〜6.5であってもよく、又は4.5〜6モルであってもよい。アルコール類の量を4モル以上にすることにより良好な相溶性を更に得易くなり、また、8モル以下にすることによりゲルの収縮を更に抑制し易くなる。
酸触媒としては、フッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、臭素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸類;酸性リン酸アルミニウム、酸性リン酸マグネシウム、酸性リン酸亜鉛等の酸性リン酸塩類;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸等の有機カルボン酸類などが挙げられる。これらの中でも、得られるエアロゲルの耐水性をより向上する酸触媒としては有機カルボン酸類が挙げられる。当該有機カルボン酸類としては酢酸が挙げられるが、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸等であってもよい。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
酸触媒を用いることで、ケイ素化合物及びポリシロキサン化合物の加水分解反応を促進させて、より短時間でゾルを得ることができる。
酸触媒の添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、0.001〜0.1質量部とすることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含むもの、ポリオキシプロピレン等の親水部を含むものなどを使用できる。ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含むものとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシプロピレン等の親水部を含むものとしては、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、アミンオキシド系界面活性剤等が挙げられる。アミノ酸系界面活性剤としては、例えば、アシルグルタミン酸等が挙げられる。ベタイン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。アミンオキシド系界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
これらの界面活性剤は、後述する湿潤ゲル生成工程において、反応系中の溶媒と、成長していくシロキサン重合体との間の化学的親和性の差異を小さくし、相分離を抑制する作用をすると考えられている。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、あるいはケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の種類並びに量にも左右されるが、例えばケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、1〜100質量部とすることができる。なお、同添加量は5〜60質量部であってもよい。
熱加水分解性化合物は、熱加水分解により塩基触媒を発生して、反応溶液を塩基性とし、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を促進すると考えられている。よって、この熱加水分解性化合物としては、加水分解後に反応溶液を塩基性にできる化合物であれば、特に限定されず、尿素;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド;ヘキサメチレンテトラミン等の環状窒素化合物などを挙げることができる。これらの中でも、特に尿素は上記促進効果を得られ易い。
熱加水分解性化合物の添加量は、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を十分に促進することができる量であれば、特に限定されない。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合、その添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対して、1〜200質量部とすることができる。なお、同添加量は2〜150質量部であってもよい。添加量を1質量部以上とすることにより、良好な反応性を更に得易くなり、また、200質量部以下とすることにより、結晶の析出及びゲル密度の低下を更に抑制し易くなる。
ゾル生成工程の加水分解は、混合液中のケイ素化合物、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子、酸触媒、界面活性剤等の種類及び量にも左右されるが、例えば20〜60℃の温度環境下で10分〜24時間行ってもよく、50〜60℃の温度環境下で5分〜8時間行ってもよい。これにより、ケイ素化合物及びポリシロキサン化合物中の加水分解性官能基が十分に加水分解され、ケイ素化合物の加水分解生成物及びポリシロキサン化合物の加水分解生成物をより確実に得ることができる。
ただし、溶媒中に熱加水分解性化合物を添加する場合は、ゾル生成工程の温度環境を、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制してゾルのゲル化を抑制する温度に調節してもよい。この時の温度は、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制できる温度であれば、いずれの温度であってもよい。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合は、ゾル生成工程の温度環境は0〜40℃とすることができるが、10〜30℃であってもよい。
(湿潤ゲル生成工程)
湿潤ゲル生成工程は、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る工程である。本工程では、ゲル化を促進させるため塩基触媒を用いることができる。
塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物;メタ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム等の塩基性燐酸ナトリウム塩;アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン類;モルホリン、N−メチルモルホリン、2−メチルモルホリン、ピペラジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体等の含窒素複素環状化合物類などが挙げられる。これらの中でも、水酸化アンモニウム(アンモニア水)は、揮発性が高く、乾燥後のエアロゲル中に残存し難いため耐水性を損ない難いという点、更には経済性の点で優れている。上記の塩基触媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
塩基触媒を用いることで、ゾル中のケイ素化合物、ポリシロキサン化合物、及びシリカ粒子の脱水縮合反応及び/又は脱アルコール縮合反応を促進することができ、ゾルのゲル化をより短時間で行うことができる。また、これにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。特に、アンモニアは揮発性が高く、エアロゲル中に残留し難いので、塩基触媒としてアンモニアを用いることで、より耐水性の優れたエアロゲルを得ることができる。
塩基触媒の添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、0.5〜5質量部とすることができるが、1〜4質量部であってもよい。0.5質量部以上とすることにより、ゲル化をより短時間で行うことができ、5質量部以下とすることにより、耐水性の低下をより抑制することができる。
湿潤ゲル生成工程におけるゾルのゲル化は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。ゲル化温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。ゲル化温度を30℃以上とすることにより、ゲル化をより短時間に行うことができ、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。また、ゲル化温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
湿潤ゲル生成工程における熟成は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。熟成により、湿潤ゲルを構成する成分の結合が強くなり、その結果、乾燥時の収縮を抑制するのに十分な強度(剛性)の高い湿潤ゲルを得ることができる。熟成温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。熟成温度を30℃以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、熟成温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
なお、ゾルのゲル化終了時点を判別することは困難な場合が多いため、ゾルのゲル化とその後の熟成とは、連続して一連の操作で行ってもよい。
ゲル化時間と熟成時間は、ゲル化温度及び熟成温度に応じて適宜設定することができる。ゾル中にシリカ粒子が含まれている場合は、含まれていない場合と比較して特にゲル化時間を短縮することができる。この理由は、ゾル中のケイ素化合物、ポリシロキサン化合物等が有するシラノール基及び/又は反応性基が、シリカ粒子のシラノール基と水素結合及び/又は化学結合を形成するためであると推察する。なお、ゲル化時間は10〜120分間とすることができるが、20〜90分間であってもよい。ゲル化時間を10分間以上とすることにより均質な湿潤ゲルを得易くなり、120分間以下とすることにより後述する洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能となる。なお、ゲル化及び熟成の工程全体として、ゲル化時間と熟成時間との合計時間は、4〜480時間とすることができるが、6〜120時間であってもよい。ゲル化時間と熟成時間の合計を4時間以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、480時間以下にすることにより熟成の効果をより維持し易くなる。
得られるエアロゲルの密度を下げたり、平均細孔径を大きくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で高めたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で長くしてもよい。また、得られるエアロゲルの密度を上げたり、平均細孔径を小さくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で低くしたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で短くしてもよい。
(洗浄及び溶媒置換工程)
洗浄及び溶媒置換工程は、上記湿潤ゲル生成工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する工程(洗浄工程)と、湿潤ゲル中の洗浄液を乾燥条件(後述の乾燥工程)に適した溶媒に置換する工程(溶媒置換工程)を有する工程である。洗浄及び溶媒置換工程は、湿潤ゲルを洗浄する工程を行わず、溶媒置換工程のみを行う形態でも実施可能であるが、湿潤ゲル中の未反応物、副生成物等の不純物を低減し、より純度の高いエアロゲルの製造を可能にする観点からは、湿潤ゲルを洗浄してもよい。なお、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合は、後述するように洗浄工程後の溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。
洗浄工程では、上記湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを洗浄する。当該洗浄は、例えば水又は有機溶媒を用いて繰り返し行うことができる。この際、加温することにより洗浄効率を向上させることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。上記の有機溶媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
後述する溶媒置換工程では、乾燥によるゲルの収縮を抑制するため、低表面張力の溶媒を用いることができる。しかし、低表面張力の溶媒は、一般的に水との相互溶解度が極めて低い。そのため、溶媒置換工程において低表面張力の溶媒を用いる場合、洗浄工程で用いる有機溶媒としては、水及び低表面張力の溶媒の双方に対して高い相互溶解性を有する親水性有機溶媒が挙げられる。なお、洗浄工程において用いられる親水性有機溶媒は、溶媒置換工程のための予備置換の役割を果たすことができる。上記の有機溶媒の中で、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。なお、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等は経済性の点で優れている。
洗浄工程に使用される水又は有機溶媒の量としては、湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換し、洗浄できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。洗浄は、洗浄後の湿潤ゲル中の含水率が、シリカ質量に対し、10質量%以下となるまで繰り返すことができる。
洗浄工程における温度環境は、洗浄に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、メタノールを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
溶媒置換工程では、後述する乾燥工程における収縮を抑制するため、洗浄した湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒に置き換える。この際、加温することにより置換効率を向上させることができる。置換用溶媒としては、具体的には、乾燥工程において、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥する場合は、後述の低表面張力の溶媒が挙げられる。一方、超臨界乾燥をする場合は、置換用溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ジクロロジフルオロメタン、二酸化炭素等、又はこれらを2種以上混合した溶媒が挙げられる。
低表面張力の溶媒としては、20℃における表面張力が30mN/m以下のものが挙げられる。なお、当該表面張力は25mN/m以下であっても、又は20mN/m以下であってもよい。低表面張力の溶媒としては、例えば、ペンタン(15.5)、ヘキサン(18.4)、ヘプタン(20.2)、オクタン(21.7)、2−メチルペンタン(17.4)、3−メチルペンタン(18.1)、2−メチルヘキサン(19.3)、シクロペンタン(22.6)、シクロヘキサン(25.2)、1−ペンテン(16.0)等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン(28.9)、トルエン(28.5)、m−キシレン(28.7)、p−キシレン(28.3)等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン(27.9)、クロロホルム(27.2)、四塩化炭素(26.9)、1−クロロプロパン(21.8)、2−クロロプロパン(18.1)等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル(17.1)、プロピルエーテル(20.5)、イソプロピルエーテル(17.7)、ブチルエチルエーテル(20.8)、1,2−ジメトキシエタン(24.6)等のエーテル類;アセトン(23.3)、メチルエチルケトン(24.6)、メチルプロピルケトン(25.1)、ジエチルケトン(25.3)等のケトン類;酢酸メチル(24.8)、酢酸エチル(23.8)、酢酸プロピル(24.3)、酢酸イソプロピル(21.2)、酢酸イソブチル(23.7)、エチルブチレート(24.6)等のエステル類などが挙げられる(かっこ内は20℃での表面張力を示し、単位は[mN/m]である)。これらの中で、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)は低表面張力でありかつ作業環境性に優れている。また、これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン等の親水性有機溶媒を用いることで、上記洗浄工程の有機溶媒と兼用することができる。なお、これらの中でも、更に後述する乾燥工程における乾燥が容易な点で、常圧での沸点が100℃以下のものを用いてもよい。上記の溶媒は単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
溶媒置換工程に使用される溶媒の量としては、洗浄後の湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。
溶媒置換工程における温度環境は、置換に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、ヘプタンを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
なお、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合は、上述のとおり溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。推察されるメカニズムとしては次のとおりである。すなわち、一般的には乾燥工程における収縮を抑制するため、湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒(低表面張力の溶媒)に置き換えるが、シリカ粒子を含む場合は、シリカ粒子が三次元網目状の骨格の支持体として機能することにより、当該骨格が支持され、乾燥工程におけるゲルの収縮が抑制される。そのため、洗浄に用いた溶媒を置換せずに、ゲルをそのまま乾燥工程に付すことができると考えられる。このように、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合は、洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能である。ただし、本実施形態は溶媒置換工程を行うことを何ら排除するものではない。
(乾燥工程)
乾燥工程では、上記のとおり洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥(ベーキング)させる。これにより、最終的にエアロゲルを得ることができる。すなわち、上記ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥してなるエアロゲルを得ることができる。
乾燥の手法としては特に制限されず、公知の常圧乾燥、超臨界乾燥又は凍結乾燥を用いることができる。これらの中で、低密度のエアロゲルを製造し易いという観点からは、常圧乾燥又は超臨界乾燥を用いることができる。また、低コストで生産可能という観点からは、常圧乾燥を用いることができる。なお、本実施形態において、常圧とは0.1MPa(大気圧)を意味する。
本実施形態のエアロゲルは、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥することにより得ることができる。乾燥温度は、置換された溶媒(溶媒置換を行わない場合は洗浄に用いられた溶媒)の種類により異なるが、特に高温での乾燥が溶媒の蒸発速度を速め、ゲルに大きな亀裂を生じさせる場合があるという点に鑑み、20〜150℃とすることができる。なお、当該乾燥温度は60〜120℃であってもよい。また、乾燥時間は、湿潤ゲルの容量及び乾燥温度により異なるが、4〜120時間とすることができる。なお、本実施形態において、生産性を阻害しない範囲内において臨界点未満の圧力をかけて乾燥を早めることも、常圧乾燥に包含されるものとする。
本実施形態のエアロゲルは、また、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、超臨界乾燥することによっても得ることができる。超臨界乾燥は、公知の手法にて行うことができる。超臨界乾燥する方法としては、例えば、湿潤ゲルに含まれる溶媒の臨界点以上の温度及び圧力にて溶媒を除去する方法が挙げられる。あるいは、超臨界乾燥する方法としては、湿潤ゲルを、液化二酸化炭素中に、例えば、20〜25℃、5〜20MPa程度の条件で浸漬することで、湿潤ゲルに含まれる溶媒の全部又は一部を当該溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換した後、二酸化炭素を単独で、又は二酸化炭素及び溶媒の混合物を除去する方法が挙げられる。
このような常圧乾燥又は超臨界乾燥により得られたエアロゲルは、更に常圧下にて、105〜200℃で0.5〜2時間程度追加乾燥してもよい。これにより、密度が低く、小さな細孔を有するエアロゲルを更に得易くなる。追加乾燥は、常圧下にて、150〜200℃で行ってもよい。
<断熱材>
本実施形態のエアロゲルを備える断熱材は、高断熱性と優れた屈曲性とを有することができる。なお、上記エアロゲルの製造方法により得られるエアロゲルをそのまま(必要に応じ所定の形状に加工し)断熱材とすることができる。
このような利点から、本実施形態のエアロゲル及び支持部材付きエアロゲルは、建築分野、自動車分野、家電製品、半導体分野、産業用設備等における断熱材としての用途等に適用できる。また、本実施形態のエアロゲルは、断熱材としての用途の他に、塗料用添加剤、化粧品、アンチブロッキング剤、触媒担持体等として利用することができる。
<支持部材付きエアロゲル>
本実施形態のエアロゲルは、支持部材に担持されてなるもの(支持部材付きエアロゲル)であってもよい。支持部材付きエアロゲルは、これまで説明したエアロゲルと、当該エアロゲルを担持する支持部材と、を備えるものである。このような支持部材付きエアロゲルであれば、高断熱性と優れた屈曲性とを発現することができる。
支持部材としては、例えば、フィルム状支持部材、箔状支持部材等が挙げられる。
フィルム状支持部材は、高分子原料を薄い膜状に成形したものであり、PET、ポリイミド等の有機フィルム、ガラスフィルムなどが挙げられる(金属蒸着フィルムも含む)。
箔状支持部材は、金属原料を薄い膜状に成形したものであり、アルミ箔、銅箔等が挙げられる。
支持部材付きエアロゲルは、例えば次のようにして作製することができる。まず、上述のゾル生成工程に従ってゾルを準備する。これを支持部材上にフィルムアプリケーター等を用いて塗布した後、又はこれに支持部材を含浸させた後、上述の湿潤ゲル生成工程に従って、フィルム状支持部材に担持された湿潤ゲルを得る。そして、支持部材に担持された湿潤ゲルを、上述の洗浄及び溶媒置換工程に従って洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換を行い、更に上述の乾燥工程に従って乾燥することにより、支持部材付きエアロゲルを得ることができる。
フィルム状支持部材又は箔状支持部材上に形成したエアロゲルの厚みは1〜200μmとすることができるが、10〜100μmであっても、又は30〜80μmであってもよい。1μm以上とすることで良好な断熱性を得易くなり、また、200μm以下とすることにより柔軟性を得易くなる。
<梱包体>
本実施形態のエアロゲル入り梱包体は、エアロゲルと、当該エアロゲルを減圧下にて密封してなる包装体と、を備える。すなわち、本実施形態のエアロゲル入り梱包体は、エアロゲルが減圧状態で包装体内に密封されてなる梱包体であるということもできる。
エアロゲルに含まれる水分量は、真空下でのアウトガス量を減らすという点から、10×1015[個/cm]以下であるが、7×1015[個/cm]以下であることが好ましく、4×1015[個/cm]以下であることがより好ましい。水分量[個/cm]は、昇温脱離ガス分析法を用いて下記の条件にて測定された、エアロゲルからのガス脱離強度[A・sec]から算出することができる。
エアロゲルサイズ:9mm×8mm×40μm(厚み)
測定初期圧力:3.0×10−7Pa
測定時間:45分間
測定温度:0〜8分は45℃とし、45℃から昇温速度:5℃/分にて80℃とし、45分まで80℃を維持。
包装体としては、エアロゲルによる吸湿を十分に抑制する観点から、水蒸気の透過率が十分に抑制された防湿性を有するものであることが好ましい。包装体の水蒸気の透過率は、好ましくは15g/m/24時間以下であり、より好ましくは10g/m/24時間以下であり、更に好ましくは2g/m/24時間以下である。水蒸気の透過率が15g/m/24時間を超えると、エアロゲルへ水分が吸着し、真空下で当該エアロゲルを使用した際の断熱性能が悪化してしまう場合がある。
包装体は、アルミニウム層を有する樹脂フィルムから形成されるものであることが好ましい。包装体の具体例としては、アルミニウムコーティングされたプラスチック製の袋などが挙げられる。包装体が、アルミニウムコーティングを有することにより、包装体の水蒸気の透過率を低くすることができる。なお、包装体を後述するヒートシールで封止する場合、包装体の外装の素材は、熱により溶着できるものが好ましい。このような素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックが挙げられる。これらの条件を満たす包装体の構造としては、例えば、ポリエステル層/AL(アルミニウム)層/PE(ポリエチレン)層が順次積層された、3層からなるフィルム状のものが好ましく、PET(ポリエチレンテレフタレート)層/SPE(サンドポリエチレン)層/AL(アルミニウム)層/SPE層/PE(ポリエチレン)層が順次積層された、5層からなるフィルム状のものがより好ましい。
エアロゲルを包装体内に収容して密封する際に、包装体内の気体を吸引し、包装体内の気体を極力少なくするために、包装体は、柔軟性のある材質で、かつ袋状であることが好ましい。包装体内の気体を少なくすることにより、エアロゲルの吸湿を更に抑制することができる。また、包装体は、優れた柔軟性を有する程度の厚さを有することが好ましい。ここでいう柔軟性とは、エアロゲルの構造に応じて、柔軟に変形できる程度の軟らかさをいう。このような柔軟性を有することによって、複雑な構造を有するエアロゲルに柔軟に対応することが可能になり、包装体内に残留する空気量を十分に少なくすることが可能になる。また、包装体が袋状であると、エアロゲルを容易に取り出すことができる。包装体の大きさはエアロゲル全体を包むことができる大きさを有するものであれば制限されない。
ただし、包装体は必ずしも袋状である必要はない。すなわち、エアロゲルを二枚の包装体で挟み込み、包装体端部をヒートシールしてエアロゲルを収容してもよく、あるいは、エアロゲルを挟み込むように一枚の包装体を半分に折り、包装体端部をヒートシールしてエアロゲルを収容してもよい。
梱包体内の気体体積は、水や水蒸気などの水分による影響を低減する観点から、少ないほうが好ましい。梱包体内における気体体積は、梱包体の全容積の30体積%以下であることが好ましく、20体積%以下であることがより好ましく、10体積%以下であることがさらに好ましく、5体積%以下であることがもっとも好ましい。
本実施形態の梱包体の好ましい一態様としては、支持部材に担持されてなりかつ水分量が10×1015[個/cm]以下であるエアロゲルが、アルミニウムコーティング層を有する袋状の包装体内に、真空引きをした後に開口をヒートシールして封止されてなる態様が挙げられる。これにより、断熱性及び取り扱い性に優れ、アウトガスが発生し難い支持部材付きエアロゲルを、長期間吸湿を抑制して保管することができる。
<梱包体の製造方法>
本実施形態のエアロゲル入り梱包体は、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、本実施形態のエアロゲル入り梱包体の製造方法は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、場合によりシリカ粒子と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを乾燥し、水分量が10×1015[個/cm]以下であるエアロゲルを得る乾燥工程と、エアロゲルを、包装体を用いて減圧下にて密封する密封工程と、を備えることができる。
(乾燥工程)
本工程により、水分量が十分に低減されたエアロゲルを得る。温度や時間は制限されないが、より高い温度でより長い時間処理することで、水分量をより低減することができる。乾燥工程の詳細は、エアロゲルの製造方法の項に記載のとおりである。
(密封工程)
本工程により、乾燥工程により得られたエアロゲルに水分等が再吸着しないよう、エアロゲルを包装体内に密封する。本工程は、より具体的には、エアロゲルを包装体内部に収容する工程と、エアロゲルを収容した包装体の開口を減圧下にて封止して、エアロゲル入り梱包体を得る封止工程と、を有することができる。
包装体(梱包体)内を減圧する方法としては、例えば真空ポンプなどを用いて真空引きをし、包装体内の水分を含む気体を除去する方法が挙げられる。この際、真空引きの条件は特に限定されるものではなく、梱包体内の気体体積が上記の所望の範囲内になるように設定すればよい。
包装体の開口は、例えばヒートシールによって封止することができる。なお、ヒートシールとは、包装体の一部に、熱と圧力を印加することによって包装体の開口を封止することを言う。
次に、下記の実施例により本開示を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本開示を制限するものではない。
(合成例)
撹拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン「XC96−723」(モメンティブ社製、製品名)を100.0質量部、メチルトリメトキシシランを181.3質量部及びt−ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、上記一般式(B)で表される両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物A)を得た。
[エアロゲルの作製]
シリカ粒子含有原料としてPL−2L(扶桑化学工業株式会社製、製品名、平均一次粒子径:20nm、固形分:20質量%)を100.0質量部、水を100.0質量部、酸触媒として酢酸を0.10質量部、イオン性界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業株式会社製、以下「CTAB」と略記)を20.0質量部及び熱加水分解性化合物として尿素を120.0質量部混合し、これにシリコン化合物としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、以下「MTMS」と略記)を60.0質量部及びジメトキシジメチルシラン(東京化成工業株式会社製、以下「DMDMS」と略記)を20.0質量部、並びにポリシロキサン化合物としてポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で1時間反応させた。その後、80℃で15分間ゾルゲル反応させてゾル塗液を得た。
(実施例1)
上記ゾル塗液を、基材である(縦)1500mm×(横)1000mm×(厚)12μmの両面アルミニウム蒸着PETフィルム(日立エーアイシー株式会社製、製品名:VM−PET)に、ゲル化後の厚みが40μmとなるようにフィルムアプリケーター(テスター産業株式会社製、製品名:PI−1210)を用いて塗布し、90℃で1.5分乾燥して、支持部材上でゾル塗液をゲル化した。その後、ゾル塗液のゲル化物が形成された支持部材を密閉容器に移し、60℃で3時間熟成し、支持部材上に湿潤ゲルを得た。
熟成後、湿潤ゲルが形成された支持部材を水100mLに浸漬し、1分間かけて湿潤ゲルの洗浄を行った。次に、メタノール100mLに浸漬し、1分間かけて溶媒置換を行った。この溶媒置換操作を、新しいメタノールに交換しながら2回行った。支持部材上で洗浄及び溶媒置換された湿潤ゲルを、常圧下にて、120℃で1分間乾燥させた後、120℃に加熱した乾燥機(エスペック株式会社製、製品名:パーフェクトオーブンSPHH−301型)で24時間ベーキングさせ、上記一般式(3)、(4)及び(5)で表される構造を有する、支持部材付きのエアロゲルを得た。
次に、得られた支持部材付きのエアロゲルを、外層側からPET(ポリエチレンテレフタレート)層、SPE(サンドポリエチレン)層、AL(アルミニウム)層、SPE層、及びPE(ポリエチレン)層が順次積層された複合フィルム(厚さ:0.14mm、透湿度:0.1〜0.29g/30日間=0.01〜0.03g/m/24時間(計算値))から形成された袋状の包装体の中に収容した。そして、減圧シーラー(富士インパルス株式会社製)を用いて包装体の内部を真空引きした後に、包装体の開口をヒートシールにより封止した。これにより、エアロゲル入り梱包体(支持部材付きエアロゲル入り梱包体)を得た。
(実施例2)
湿潤ゲルを、常圧下にて、120℃で1分間乾燥させた後、120℃に加熱した乾燥機で48時間ベーキングさせたこと以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル入り梱包体を得た。
(実施例3)
湿潤ゲルを、常圧下にて、120℃で1分間乾燥させた後、120℃に加熱した乾燥機で96時間ベーキングさせたこと以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル入り梱包体を得た。
(比較例1)
湿潤ゲルを、常圧下にて、120℃で1分間乾燥させた後、ベーキングを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル入り梱包体を得た。
(比較例2)
実施例1と同様にして支持部材付きのエアロゲルを得た。ただし、得られたエアロゲルを包装体を用いて梱包せず、大気雰囲気下に置いた。
各実施例及び比較例における、乾燥方法及び保管方法を表1にまとめて示す。
[評価]
(1)放出水分量測定の準備
各実施例及び比較例で得られた梱包体、並びに支持部材付きエアロゲルを所定期間保管した。保管環境は室温とした。なお、保管日数が0日間とは、梱包体作製後ただちに評価を行ったことを意味する。所定期間保管後の梱包体内から、支持部材付きエアロゲルを取り出し、これを、(縦)9mm×(横)8mmのサイズに加工した。次に、加工した支持部材付きエアロゲルを、(縦)10mm×(横)10mm×(厚さ)0.24mmのシリコンチップ上に、カプトンテープを用いて固定し、測定サンプルを得た。なお、大気雰囲気下で保管した支持部材付きエアロゲルについても同様の作業を行い、測定サンプルを得た。
(2)放出水分量の測定
保管日数が0日間及び/又は4日間における測定サンプルの放出水分量を、昇温脱離ガス分析装置(電子科学株式会社製、EMD−WA1000S)を用いて測定した。測定方法は、測定室に測定サンプルを投入してから、測定室内の圧力が3.0×10−7Paになるまで真空排気を行い、圧力が3.0×10−7Pa時点を0分として、そこから45分間の放出水分の脱離強度[A・sec]を測定した。その際の温度条件は、0〜8分間は45℃とし、そこから1分間に5℃ずつ昇温させ80℃とし、45分まで80℃を維持した。そして、得られた各時間での脱離強度[A・sec]を0分から45分まで足し合わせたものを、測定サンプルの放出水分量[個/cm]とした。
すなわち、放出水分量[個/cm]は、昇温脱離ガス分析法を用いて下記の条件にて測定された、サンプルからのガス脱離強度[A・sec]から算出した。
サンプルサイズ:9mm×8mm×40μm(厚み)
測定初期圧力:3.0×10−7Pa
測定時間:45分間
測定温度:0〜8分は45℃とし、45℃から昇温速度:5℃/分にて80℃とし、45分まで80℃を維持。
表2から、実施例の支持部材付きエアロゲルの放出水分量は10×1015[個/cm]以下であることがわかる。さらに、4日間保管した後も放出水分量の増加がほとんどないことがわかる。このことから、湿潤ゲルに対する十分なベーキングを行いエアロゲルを得、さらに得られたエアロゲルを包装体内に減圧下にて密封して保管することで、真空下での使用にも耐えうるエアロゲルが得られることを確認した。
一方、比較例1では、放出水分量が非常に多かった。このことから、湿潤ゲルに対し十分にベーキングすることで、水分が除去されることが確認できる。
比較例2では、実施例2と比較して放出水分量が増えていた。このことから、ベーキングして得られたエアロゲルを包装体内に減圧下にて密封することで、保管中の吸湿を防ぐことが確認できる。
1…エアロゲル粒子、2…シリカ粒子、3…細孔、10…エアロゲル、L…外接長方形。

Claims (8)

  1. エアロゲル成分を含有し、かつ水分量が10×1015[個/cm]以下であるエアロゲルと、
    該エアロゲルを減圧下にて密封してなる包装体と、
    を備える、エアロゲル入り梱包体。
  2. 前記エアロゲルが支持部材に担持されてなる、請求項1に記載の梱包体。
  3. 前記包装体が、アルミニウム層を有する樹脂フィルムから形成される、請求項1又は2に記載の梱包体。
  4. 前記エアロゲルが、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の梱包体。
  5. 前記エアロゲルがさらにシリカ粒子を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の梱包体。
  6. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が1〜500nmである、請求項5に記載の梱包体。
  7. 加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、該加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを乾燥し、水分量が10×1015[個/cm]以下であるエアロゲルを得る工程と、
    該エアロゲルを、包装体を用いて減圧下にて密封する工程と、
    を備える、エアロゲル入り梱包体の製造方法。
  8. 前記密封がヒートシールによりなされる、請求項7に記載の製造方法。
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