JP2000291881A - 減圧断熱体とその製造方法 - Google Patents

減圧断熱体とその製造方法

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JP2000291881A
JP2000291881A JP11096316A JP9631699A JP2000291881A JP 2000291881 A JP2000291881 A JP 2000291881A JP 11096316 A JP11096316 A JP 11096316A JP 9631699 A JP9631699 A JP 9631699A JP 2000291881 A JP2000291881 A JP 2000291881A
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powder
core material
heat insulator
kpa
pressure
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JP11096316A
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Tomonao Amayoshi
智尚 天良
Tsukasa Takushima
司 宅島
Chie Hayashi
千恵 林
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は家電製品、および住宅の断熱材とし
て使用可能な断熱体に関するものであり、製造設備の簡
略化、および生産工数の低減を目的とするものである。 【解決手段】 粉体にて形成された芯材と、前記芯材が
ガスバリヤー性フィルムで外包され、その内部圧力が1
kPa以上90kPa以下であることを特徴とする減圧
断熱体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電製品、または
建築物の断熱材として使用可能な断熱体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題がクローズアップさ
れるなかで、21世紀に向けた資源循環型社会の構築を
目指し、省資源,省エネルギーが重要な課題となってい
る。特に、家電製品については家電リサイクル法や省エ
ネルギー法といった法整備が推進され、家電製品のリサ
イクル、省エネルギーは緊急の課題となっている。
【0003】また、建築物についても、近年の住宅に対
する高気密・高断熱の高まりから、断熱材としてグラス
ウールや、より断熱性能の優れた硬質ウレタンフォーム
が積極的に利用され始めている。
【0004】このように、家電製品、および建築物に対
する重要課題として省エネルギーとリサイクルがあり、
特に、保温保冷における省エネルギー化の基盤材料とし
て、広く断熱材の適用が望まれている。
【0005】この様な課題を解決する手段として様々な
提案がされている。
【0006】例えば、無機粉体を用いた真空断熱材が、
特開昭57−173689号公報や特開昭61−144
492号公報で述べられている。その内容は、フィルム
状プラスチック容器に単粒子径が1μm以下の無機粉体
を充填し内部を減圧後、密閉することにより、真空断熱
材を得るというものである。
【0007】これらは、工業化が比較的容易な13〜1
33Paの真空度で製造することが可能であり、充填す
る粉末が微細であるため、断熱性能の圧力依存性が小さ
く、優れた断熱性能を示すものである。
【0008】また、ポリウレタンフォームチップからな
るリボンデッドフォームの製造方法について、特開平2
−215518号公報で述べられている。これは、ポリ
ウレタンフォームチップにウレタン系接着剤をスプレー
などで均一に分散混合させ、その後、成形型、またはプ
レス成形により、熱、または加熱蒸気加えて接着成型す
るものである。
【0009】また、日本ウレタン工業会発行のテクニカ
ルレポートVo1.1で述べられているように、ポリウ
レタンのマテリアルリサイクルは、一般に、ウレタン破
砕品を熱プレス成形や、ウレタン系接着剤を利用した接
着プレス成形にて再生処理される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
57−173689号公報に示されるような、無機質の
微細粉体を使用した真空断熱材は、一般に、中真空領域
とされる13〜133Paで製造されるため、その真空
排気装置は多段式に油回転ポンプやブースターポンプを
組み合わせた専用の大型排気装置が必要であり設備投資
額が大きくなる、またランニングコストが高くなる、ま
た製造工程の管理が難しいなどの問題があった。
【0011】更に、有機樹脂組成物からなる粉体をパネ
ル形状に成型する方法としては、熱プレス成形や接着プ
レス成形など大型の設備を使用して処理形成するものが
殆どであった。
【0012】本発明は上記課題を鑑み、製造工程に専用
の大型排気装置や熱成形装置などを必要とすることな
く、簡易的な製造設備で形状自由度の高い断熱性能に優
れた断熱体を容易に提供することを目的とするものであ
る。また、経時断熱性能についてもその変動が小さく、
高信頼性の断熱体を提供することを目的とする。
【0013】更に、その芯材に、有機組成物の廃材が利
用できるため、リサイクル性に優れた断熱体を提供する
ことを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の減圧断熱体は、
粉体にて形成された芯材と、前記芯材がガスバリヤー性
フィルムで外包され、その内部圧力が1kPa以上で9
0kPa以下であることを特徴とするものであり、減圧
工程に専用の大型排気装置や熱成形装置などを必要とす
ることなく、簡易的な製造設備で形状自由度の高い断熱
性能に優れた断熱体を容易に提供することができる。
【0015】本発明の減圧断熱体は、廃棄物処理装置に
て破砕分別された有機系樹脂組成物の破砕品からなる粉
体にて形成された芯材と、前記芯材がガスバリヤー性フ
ィルムで外包され、その内部圧力が1kPa以上で90
kPa以下であることを特徴とするものであり、リサイ
クル性に優れた断熱体が容易に提供することができる。
【0016】本発明の減圧断熱体は、芯材を形成する粉
体が、平均空孔径が100nm以下の微細多孔質構造を
持った粉体であり、前記粉体から形成された芯材がガス
バリヤー性フィルムで外包され、その内部圧力が1kP
a以上で90kPa以下であることを特徴とするもので
ある。従って、粉体の平均空孔径と、減圧断熱体の内部
圧力に応じて芯材中の空気の気体熱伝導率が低下するた
め、より一層、断熱性能の優れた断熱体が提供できる。
【0017】また、本発明の減圧断熱体は、上記のいず
れか粉体にて形成された芯材と、前記芯材がフィルム状
のプラスチック容器で外包され、その内部圧力が1kP
a以上で90kPa以下であることを特徴とするもので
あるため、その容器は、熱融着による封止が可能である
など、容易に製造できる断熱体が提供できる。
【0018】また、上記のいずれかの減圧断熱体の内部
に水分吸着剤を有することを特徴とするものであり、比
表面積の大きい多孔質体を適用した場合にも多孔質体の
吸湿が抑制されるため、経時断熱性能についてもその変
動が小さく、高信頼性の断熱体を提供することができ
る。
【0019】また、通気性を持った内袋に粉体を充填し
て形成する芯材と、前記芯材をガスバリヤー性フィルム
で外包し、その内部圧力を1kPa以上で90kPa以
下に減圧する減圧断熱体の製造方法であるため、排気装
置や熱プレス装置など、専用の大型製造設備を必要とす
ることなく、容易に断熱体が製造できる。
【0020】なお、減圧断熱体とは、ガスバリヤー性フ
ィルムからなる袋状などの容器に粉体を充填し、袋状な
どの容器内部を減圧することにより断熱体として形成さ
れるものを指す。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0022】本発明の減圧断熱体の芯材を形成する粉体
は、有機樹脂組成物、または無機組成物からなる平均粒
径1μmから数mm程度の粉体を適用するものであり、
これをガスバリヤー性フィルムからなる袋状の容器に充
填し、容器内部の圧力が1kPa以上で90kPa以下
になるように減圧密閉したものである。このため、粉体
を充填して形成しているだけであるにも関わらず、大気
圧により断熱体の形状が保持されるため、バインダーの
使用や熱プレス成形などを行う必要はない。
【0023】また、減圧断熱体の内圧が、90kPaを
越えると気圧の変化により断熱体の厚みが増減するため
断熱体の形状保持が難しく、また、長期の使用において
断熱体内部の粉体の偏りが生じた。従って、90kPa
以下の内部圧力とすることが望ましい。一方、減圧断熱
体の内圧を1kPa以下まで減圧するには、専用の大型
排気装置が必要であることや、粉体の乾燥などの前処理
工程や、排気工程での工程管理が難しくなることがわか
った。
【0024】この時、有機樹脂組成物の粉体としては、
硬質、または軟質ウレタンフォームの粉体,発泡スチロ
ールの粉体,ポリプロピレン樹脂の粉体,ポリエチレン
樹脂の粉体,ABS樹脂の粉体,ポリエチレンテレフタ
レート樹脂の粉体,およびフェノール樹脂の粉体などい
かなる有機樹脂組成物でも適用できる。また、使用する
断熱温度が高い場合は、フェノール樹脂の粉体や、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂の粉体など耐熱温度の高い
樹脂の適用が望ましい。
【0025】更に、有機樹脂組成物は、使用済み冷蔵庫
の処理システム装置など、廃棄物処理装置から破砕分別
され排出される廃材であってもなんら問題なく使用でき
る。
【0026】特に、望ましくは、硬質ウレタンフォーム
の破砕粉体が断熱性能面でより優れている。
【0027】また、無機組成物からなる粉体の場合も特
に制限するものではないが、望ましくは、非晶質シリ
カ,パーライト,珪藻土,珪酸カルシウム,炭酸カルシ
ウム,硫酸バリウム,フライアッシュ,クレー,タル
ク,珪藻土,ゼオライト,酸化亜鉛,酸化チタン,アル
ミナ,エアロゲル,シラスバルーン等が適用でき、特
に、見掛け比重の小さい嵩の高い粉体が、低い固体熱伝
導率を有しており適している。
【0028】更に、有機樹脂組成物,無機組成物のいず
れの粉体についても、その形状は特に定めるものではな
く、いかなる形状の粉体でも問題なく使用することがで
きるが、微細多孔質構造を有する嵩の高い粉体が望まし
い。
【0029】一方、平均空孔径が約100nm以下の微
細多孔質構造を持った粉体としては、エアロゲルと称さ
れる多孔質体が適している。更に、微細多孔質体の構成
材料は、気孔率が高く、固体熱伝導率が小さい材料がよ
り優れている。なお、汎用的なエアロゲルとしては、平
均空孔径と気孔率のバランスにおいてシリカエアロゲル
がより優れている。
【0030】一般に、熱伝導率は、気体熱伝導,固体熱
伝導,輻射熱伝導、そして対流の熱伝導の和として表さ
れる。このうち、気体熱伝導率は、その気体の存在する
空孔内圧力の減圧により、気体の平均自由行程を空孔サ
イズに近づけることにより減少を始める。この時、気体
の平均自由行程と空孔サイズがほぼ同等になると、気体
熱伝導率は、常圧時の約半分まで低下する。一方、空気
で満たされた空孔の内部圧力が90kPaの場合、空気
の主成分である窒素の平均自由行程は約70nmであ
る。従って、芯材を形成する微細多孔質構造体の平均空
孔径が100nm以下の場合、空気の気体熱伝導率は、
常圧のほぼ半分となるため、減圧断熱体は優れた断熱性
能を示すようになる。
【0031】また、この時、粉体の見掛けの平均粒度
は、望ましくは微細であるものが良好である。これは、
見掛けの平均粒度が小さいものでないと、微細多孔質構
造を持った粉体と粉体が形成する空隙のサイズが増加
し、減圧断熱体内部の気体熱伝導率が改善できないため
である。
【0032】また、芯材を外包するガスバリヤー性フィ
ルムとしては、表面保護層としてポリエチレンテレフタ
レート(12μm)、中間層にはエチレンービニルアル
コール共重合体樹脂組成物(15μm)、熱融着層はポ
リプロピレン(50μm)からなるラミネートフィルム
を用いている。
【0033】しかし、更にバリヤー性を必要とする場合
は、表面保護層としてポリエチレンテレフタレート(1
2μm)、中間層にはアルミ箔(6μm)、熱融着層が
高密度ポリエチレン(50μm)からなるラミネートフ
ィルムや、表面保護層がポリエチレンテレフタレート
(12μm)、中間層がエチレンービニルアルコール共
重合体樹脂組成物(15μm)の内側にアルミニウム蒸
着を施したフィルム層、熱融着層が高密度ポリエチレン
(50μm)からなるラミネートフィルムなどを用いて
いることができる。
【0034】なお、表面保護層には、突き刺し強度,曲
げ強度などに優れた二軸延伸ナイロンなども適用可能で
ある。また、熱融着層には、シール性に優れたポリアク
リルニトリル、低密度ポリエチレンなども適用可能であ
る。
【0035】また水分吸着剤についても制限するものは
ないが、望ましくは化学吸着作用を有する吸着剤が優れ
ている。特に、望ましいのは酸化カルシウム,酸化バリ
ウム,酸化マグネシウム,酸化リチウムなどである。
【0036】このような構成により、本発明の減圧断熱
体を製造する。
【0037】このような形態により、必要とする減圧断
熱体の内部圧力は、1kPa以上で90kPa以下の低
真空レベルであり、減圧工程は、排気装置に専用の大型
排気装置を必要とすることなく、汎用的な、油回転ポン
プからなる排気装置により容易に断熱体の提供が可能と
なる。また、粉体による芯材形成時はバインダーの使用
や熱成形処理を行っていないが、その内圧を1kPa以
上90kPa以下に減圧しているため、大気圧により、
その形状が容易に保持される。また、この時、芯材とし
て、粉体を適用しているため提供できる断熱体形状の自
由度が高く、芯材を外包するガスバリヤー性フィルムか
らなる製袋形状に応じて任意形状の断熱体が得られる。
【0038】更に、芯材を形成する微細多孔質構造の粉
体の平均空孔径が、約100nm以下の場合は、減圧断
熱体の内部圧力に応じて芯材中の空気の熱伝導率が低下
するため、より一層、断熱性能に優れた断熱体が提供で
きる。
【0039】本発明の実施例について、図面を参照しな
がら説明する。
【0040】(実施の形態1)図1は本発明の一実施例
における減圧断熱体の断面図であり、1は減圧断熱体、
2は硬質ウレタンフォームの粉体であり、3は通気性を
有する内袋であり、4は硬質ウレタンフォームの粉体を
内袋に充填して形成された芯材、5はガスバリヤー性フ
ィルムからなる容器である。
【0041】硬質ウレタンフォームの粉体2は、住宅用
断熱材として使用される硬質ウレタンフォームの断熱パ
ネルを摩砕式のミルにより粉砕し、平均粒径300μm
に調整したものである。
【0042】また、ガスバリヤー性フィルム5は表面保
護層としてポリエチレンテレフタレート(12μm)、
熱融着層はポリプロピレン(50μm)を使用したラミ
ネートフィルムを袋状に成形した容器を用いたものであ
る。
【0043】次に、この減圧断熱体の製造方法を説明す
る。
【0044】所定量の硬質ウレタンフォームの粉体を通
気性の有る内袋に充填し芯材を形成する。前記芯材をガ
スバリヤー性フィルムからなる袋状の容器に挿入し、熱
シール装置を備えた減圧装置で排気し、袋状の容器の端
部を熱融着にて密閉封止して減圧断熱体を作製した。な
お、この時、減圧断熱体の初期内圧が10kPaになる
ように減圧排気した。
【0045】この時、減圧装置は、汎用的な油回転ポン
プ1段からなるものであり、減圧排気は、袋状の容器の
端部から直接排気した。このようにして得られた減圧断
熱体の熱伝導率は、英弘精機(株)製のAUTO−Λに
て測定した結果、従来のグラスウールよりも優れた断熱
性能を有することを確認した。
【0046】また、減圧断熱体の内圧が、90kPaを
越えると気圧の変化により断熱体の厚みが増減するため
断熱体の形状保持が難しく、また、長期の使用において
断熱体内部の粉体の偏りが生じた。従って、90kPa
以下の内部圧力とすることが望ましい。一方、減圧断熱
体の内圧を1kPa以下まで減圧するには、専用の大型
排気装置が必要であることや、粉体の乾燥などの前処理
工程や、排気工程での工程管理が難しくなることがわか
った。
【0047】なお、実施例では、粉体を通気性の有る内
袋に充填して芯材を形成する例を示したが、ガスバリヤ
ー性フィルムを袋状に成形した容器に直接粉体を充填し
て作製してもなんら問題ない。
【0048】(実施の形態2)図2は本発明の一実施例
における減圧断熱体の断面図であり、1は減圧断熱体、
6は使用済み冷蔵庫から分離回収された硬質ウレタンフ
ォーム廃材からなる粉体であり、3は通気性を有する内
袋であり、4は硬質ウレタンフォーム廃材からなる粉体
を内袋に充填して形成された芯材、5はガスバリヤー性
フィルムからなる容器である。
【0049】硬質ウレタンフォームの粉体6は、使用済
み冷蔵庫の処理システムにて破砕分別され、排出された
硬質ウレタンフォームの破砕品を摩砕式のミルにより粉
砕し、平均粒径300μmに調整したものである。
【0050】また、ガスバリヤー性フィルム5は、表面
保護層としてポリエチレンテレフタレート(12μ
m)、熱融着層にポリプロピレン(50μm)を使用し
たラミネートフィルムを袋状に成形した容器を用いたも
のである。
【0051】次に、この減圧断熱体の製造方法を説明す
る。
【0052】所定量の硬質ウレタンフォームの粉体を通
気性の有る内袋に充填し芯材を形成する。前記芯材をガ
スバリヤー性フィルムからなる袋状の容器に挿入し、熱
シール装置を備えた汎用的な油回転ポンプ1段からなる
減圧装置で排気し、袋状の容器の端部を熱融着にて密閉
封止して減圧断熱体を作製した。この時、減圧断熱体の
内圧が10kPaになるように減圧排気した。
【0053】このようにして得られた減圧断熱体の熱伝
導率は、英弘精機(株)製のAUTO−Λにて測定した
結果、新材である住宅用ウレタンパネルを粉砕した粉体
を適用した減圧断熱体とほぼ同等の性能を有し、従来の
グラスウールよりも優れた断熱性能を有することを確認
した。また、硬質ウレタンフォーム以外に、軟質ウレタ
ンフォームの破砕品、発泡スチロールの破砕品、ABS
樹脂の破砕品、その他熱可塑性樹脂の破砕品の混合体に
て同様に減圧断熱体を作製したがいずれもグラスウール
と同等以上の断熱性能を有する減圧断熱体が形成でき
た。
【0054】従って、廃材であってもなんら問題なく使
用することが可能であり、マテリアルリサイクルを通じ
て地球環境保護に大きく貢献できる。
【0055】(実施の形態3)図3は本発明の一実施例
における減圧断熱体の断面図であり、1は減圧断熱体、
7は平均空孔径50nmの微細多孔質構造を有し、その
平均粒度が1mmであるシリカエアロゲルの粉体であ
り、3は通気性を有する内袋であり、4はシリカエアロ
ゲルの粉体を内袋に充填して形成された芯材、5はガス
バリヤー性フィルムからなる容器である。
【0056】また、ガスバリヤー性フィルム5は、表面
保護層としてポリエチレンテレフタレート(12μ
m)、中間層としてエチレンービニルアルコール共重合
体樹脂組成物(15μm)、熱融着層にポリプロピレン
(50μm)を使用したラミネートフィルムを袋状に成
形した容器を用いたものである。
【0057】次に、この減圧断熱体の製造方法を説明す
る。
【0058】所定量のシリカエアロゲルの粉体を通気性
の有る内袋に充填し芯材を形成する。前記芯材をガスバ
リヤー性フィルムからなる袋状の容器に挿入し、熱シー
ル装置を備えた汎用的な油回転ポンプ1段からなる減圧
装置で排気し、袋状の容器の端部を熱融着にて密閉封止
して減圧断熱体を作製した。この時、減圧断熱体の内圧
が10kPaになるように減圧排気した。
【0059】このようにして得られた減圧断熱体の熱伝
導率は、英弘精機(株)製のAUTO−Λにて測定した
結果、真空断熱材と同等の性能を有していることがわか
った。
【0060】これは、10kPaにおける空気の主成分
である窒素の平均自由工程が、660nmであるのに対
して、シリカエアロゲルの平均空孔径が50nmである
ため、シリカエアロゲル中の空気の気体熱伝導が無視で
きるようになるためである。また、同時に、粉体形状を
したシリカエアロゲルの平均粒度が1mmであるため、
シリカエアロゲルの粉体間で形成される空隙の気体熱伝
導率の影響も小さくなっている。
【0061】この時、芯材を形成する粉体が、平均空孔
径が100nm以上であれば、減圧断熱体の内部圧力が
90kPaの場合に、減圧断熱体内の空気の気体熱伝導
率が低減しなくなり、優れた断熱性能が得られなくな
る。
【0062】なお、多孔質体の平均空孔径は、窒素吸着
によるBET法により測定した。
【0063】(実施の形態4)図4は本発明の一実施例
における減圧断熱体の断面図であり、1は減圧断熱体、
7は平均空孔径が50nmの微細多孔質構造を有し、そ
の平均粒度が1mmであるシリカエアロゲルの粉体であ
り、3は通気性を有する内袋であり、4はシリカエアロ
ゲルの粉体を内袋に充填して形成された芯材、5はガス
バリヤー性フィルムからなる容器であり、8は酸化カル
シウムである。
【0064】また、ガスバリヤー性フィルム5は、表面
保護層としてポリエチレンテレフタレート(12μ
m)、中間層としてエチレンービニルアルコール共重合
体樹脂組成物(15μm)、熱融着層にポリプロピレン
(50μm)を使用したラミネートフィルムを袋状に成
形した容器を用いたものである。
【0065】次に、この減圧断熱体の製造方法を説明す
る。
【0066】所定量のシリカエアロゲルの粉体を通気性
の有る内袋に充填し芯材を形成する。前記芯材と酸化カ
ルシウムをガスバリヤー性フィルムからなる袋状の容器
に挿入し、熱シール装置を備えた汎用的な油回転ポンプ
1段からなる減圧装置で排気し、袋状の容器の端部を熱
融着にて密閉封止して減圧断熱体を作製した。この時、
減圧断熱体の内圧が10kPaになるように減圧排気し
た。このようにして得られた減圧断熱体の熱伝導率は、
英弘精機(株)製のAUTO−Λにて測定した結果、真
空断熱材と同等の性能を有していることがわかった。
【0067】また、減圧断熱体を40度90%RHの多
湿条件下にて3ヶ月間の耐久試験を行った場合にもその
断熱性能は劣化することはなかった。これは、比較面積
の大きい多孔質体であるシリカエアロゲルを適用した場
合にも、シリカエアロゲルの吸湿が抑制されるためであ
る。
【0068】
【発明の効果】以上のように本発明は、必要とする減圧
断熱体の内部圧力は、1kPa以上90kPa以下の低
真空レベルであり、減圧工程は、排気装置に専用の大型
排気装置を必要とすることなく、汎用的な、油回転ポン
プからなる排気装置により容易に断熱体の提供が可能と
なる。また、粉体による芯材形成時はバインダーの使用
や熱成形処理を行っていないが、1kPa以上で90k
Pa以下の減圧としているため、大気圧により、その形
状が容易に保持される。また、この時、芯材として、粉
体を適用しているため提供できる断熱体形状の自由度が
高く、芯材を外包するガスバリヤー性フィルムからなる
製袋形状に応じて任意の断熱体形状が得られる。
【0069】更に、芯材を形成する粉体が、平均空孔径
が100nm以下の微細多孔質構造を有する場合は、減
圧断熱体の内部圧力に応じて芯材中の空気の熱伝導率が
低下するため、より一層、断熱性能に優れた減圧断熱体
が提供できる。
【0070】また、通気性を持った内袋に粉体を充填し
て形成する芯材と、前記芯材をガスバリヤー性フィルム
で外包し、その内部圧力を1kPa以上90kPa以下
に減圧する減圧断熱体の製造方法であるため、専用の大
型製造設備を必要とすることなく、また、粉体による芯
材成形時にはバインダーの使用や熱プレス成形を行なう
ことなく、極めて容易に断熱体が形成可能な製造方法が
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による減圧断熱体断面の模
式図
【図2】本発明の一実施形態による減圧断熱体断面の模
式図
【図3】本発明の一実施形態による減圧断熱体断面の模
式図
【図4】本発明の一実施形態による減圧断熱体断面の模
式図
【符号の説明】
1 減圧断熱体 2 硬質ウレタンフォームの粉体 3 内袋 4 芯材 5 ガスバリヤー性フィルム 6 硬質ウレタンフォーム廃材を再生した粉体 7 シリカエアロゲル 8 酸化カルシウム
フロントページの続き (72)発明者 林 千恵 大阪府東大阪市高井田本通4丁目2番5号 松下冷機株式会社内 Fターム(参考) 3H036 AA09 AB18 AB23 AB29 AC03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉体にて形成された芯材と、前記芯材が
    ガスバリヤー性フィルムで外包され、その内部圧力が1
    kPa以上で90kPa以下であることを特徴とする減
    圧断熱体。
  2. 【請求項2】 芯材を形成する粉体が、廃棄物処理装置
    にて破砕分別された有機系樹脂組成物の破砕品であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の減圧断熱体。
  3. 【請求項3】 芯材を形成する粉体が、平均空孔径が1
    00nm以下の微細多孔質構造を持った粉体であること
    を特徴とする請求項1記載の減圧断熱体。
  4. 【請求項4】 減圧断熱体を構成するガスバリヤー性フ
    ィルムが、フィルム状プラスチック容器であることを特
    徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の減圧断熱
    体。
  5. 【請求項5】 減圧断熱体の内部に水分吸着剤を有する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の
    減圧断熱体。
  6. 【請求項6】 通気性を持った内袋に粉体を充填して形
    成する芯材と、前記芯材をガスバリヤー性フィルムで外
    包し、その内部圧力を1kPa以上で90kPa以下に
    減圧することを特徴とする減圧断熱体の製造方法。
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