JP2018204127A - 溶融紡糸用パック、該パックを用いた溶融紡糸方法 - Google Patents

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進之介 冨田
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Abstract

【課題】熱可塑性ポリマの溶融紡糸において、熱履歴差により生じる粘度ムラを均質化し、更に異常滞留部によるポリマの熱劣化を抑制して口金吐出孔に供給し、良好な品質かつ製糸性を得られ得る溶融紡糸用パックの提供。【解決手段】濾層7、フィルター8、多孔板6、分配板9、口金10を順次配置し、分配板9には多孔板6から排出されたポリマを1箇所に集める絞り部12、及び下面に溝が設けられ、分配板9下面の溝と、口金10上面とで構成されるスリット流路13が形成され、スリット流路13は、分配板9下面の中心点から、外周方向へと等配の放射線状に伸び、かつ終端点において口金10の吐出孔11に通じる溶融紡糸用パック1において、分配板9下面のスリット流路13の放射線中心部にポリマ溜まりを有する溶融紡糸用パック。前記溶融紡糸用パックを用いて単繊維3〜15dtexの合成繊維を製造する溶融紡糸方法。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性ポリマからなる合成繊維の製造工程に用いられる溶融紡糸用パックに関するものである。さらに詳しくは、熱履歴差によって生じる溶融ポリマの粘度ムラを均質化し、さらに異常滞留を解消してポリマの熱劣化を抑制して口金吐出孔に供給し、良好な品質かつ製糸性を得ることを可能とした溶融紡糸用パックに関するものである。
一般的に熱可塑性樹脂を溶融紡糸する合成繊維の製造に関しては、原料であるチップを押出機で溶融混練し溶融ポリマとなし、紡糸配管を経由して溶融紡糸用パックに導く。導入されたポリマは異物を除去するための濾材・フィルターからなる濾層を通り、多孔板、分配板を通った後、口金の吐出孔から紡糸して繊維を得る。
熱可塑性ポリマは300℃前後の高温で紡糸されるため、当然ながらその熱履歴により品質にムラが生じる。高粘度ポリマであればより高温での紡糸(例えば高強力を得るための高粘度ポリマ)が必須となり、また吐出量が少ないほど溶融から吐出までの滞留時間(例えば細繊度のモノフィラメント)が長くなるため、これらの品種は熱履歴差による熱劣化が拡大され品質ムラ、製糸性の悪化が助長、増幅される他、ポリマの流れの悪い箇所は異常滞留部となり、異常滞留部で熱劣化したポリマが製品に混入すると、延伸が阻害されて局部的に糸径が太くなる節糸と呼ばれる重大な品質欠点となる。
ポリマの熱劣化を最小限に抑え、高品質で製糸性が良好な溶融紡糸用パックに関しては従来から種々の検討がなされてきている。
例えば、特許文献1には、溶融紡糸用パック内に供給された熱可塑性の溶融ポリマを拡流し、拡流した状態で該ポリマを濾過してポリマ中の異物を濾過し、濾過したポリマをパック中心部に形成した合流部において縮流させながら一箇所に合流させ、該合流部から出たポリマの出口を頂点として下流方向に末広がりとなるラッパ状の膜状流にし、ラッパ状膜状流としたポリマの終端部が形成する円環中心上に等配された吐出孔群へ分配し、該吐出孔群からマルチフィラメントを紡出することを特徴とする溶融紡糸方法が開示されている(請求項1)。
この合流部から出たポリマを頂点として下流方向に末広がりとなるラッパ状の膜状流は、一つの口金あたり多数の吐出孔が配設されたマルチフィラメントでは、確かにラッパ状膜状流の外周側と内周側とをそれぞれ流れるポリマの流通経路差が少なくなるため、マルチフィラメントを構成する一本々々のフィラメント(単糸)を取り出しても、これらのフィラメント間に品質差が小さいフィラメントを得ることができる(段落0019)。
また、特許文献2には、溶融紡糸用パック内に供給されたポリマ中の異物を濾過するための濾材に拡流されたポリマ流を供給する拡流流路と、前記濾材を通過したポリマをパックの中心部で縮流させながら一箇所に合流させる合流流路と、前記合流部の終端の出口部から下流方向に末広がりに等間隔で円周配列された複数の円管状流路と、円周上に等配に穿設された吐出孔群のポリマが流入する始端開口部と前記円管状流路の終端開口部とを円環状に連結するために形成された環状流路とを少なくとも備えたことを特徴とする溶融紡糸用パックが開示されている(請求項1)。さらに前記円管状流路群と吐出孔群を連結する環状流路の内外径部と吐出孔群導入孔の最内外周部との間の距離が0.5mm以下であることを特徴とすることが開示されている(請求項3)。
この前記合流部の終端の出口部から下流方向に末広がりに等間隔で円周配列された複数の円管状流路は、確かに円管状流路に分割してポリマを流すために、円管状流路の直径差分だけしかポリマの滞留時間差と加熱温度差が生じないので、パック内でポリマの熱劣化や加熱斑によるポリマの粘度差などが生じ難くなる(段落0017)。
特開2006−132057号公報 特開2010−111977号公報
特許文献1の合流部から出たポリマを頂点として下流方向に末広がりとなるラッパ状の膜状流は、口金あたりの吐出孔が少なく、かつ単糸繊度が細いモノフィラメントでは、ラッパ状の膜状流としたポリマの終端部が形成する円環中心上に配設された吐出孔同士の間隔が広くなるため、ポリマが滞留し易くなるのに加え、ポリマの流量が少ないため、該滞留部での熱劣化が顕著となり、欠点が製品に混入するため不十分である。
特許文献2は、図2に記載されるように前記円管状流路の下面形状は楕円となるため、円管状流路群と吐出孔群を連結する環状流路の内径部と前記円管状流路の終端開口部の内径には、その形状差による距離が必然的かつ少なからず生じるためポリマの異常滞留部となるので、単糸繊度が4dtexのポリエステモノフィラメントでは、単糸直径がおおよそ0.02mmとなるため、前記形状差による距離が0.5mmとしても、その異常滞留部で熱劣化したポリマが製品に混入し品質や製糸性が劣ることになる。また、モノフィラメントは一つの口金あたり吐出孔が少ないため、環状流路に配設された吐出孔同士の間隔が広くなるため、ポリマが滞留し易くなるのは特許文献1と同様である。
また、本願の従来技術の一例として図1に溶融紡糸用パックを、図2に分配板を、図3に分配板と口金間のシール力の強弱についての説明図を示す。図1において、1は溶融紡糸パック、2はボディ、3はロッキングリング、4はリッド、5は供給口、6は多孔板、7は濾層、8はフィルター、9は分配板、10は口金、11は吐出孔、12は絞り部、13はスリット流路である。なお、口金10には、吐出孔11が4箇所等配に穿設されている。図2は分配板9を下面側(吐出孔11側)から見た模式図である。
ポリマの流れを簡単に説明する。ポリマは、リッド4に穿設された供給口5から供給され、多孔板6に設けた不純物を濾過するため微細なサンドで構成された濾層7を通過する。さらに、サンド層では捕獲できずに通過した不純物をフィルター8で最終的に捕捉する。不純物が除去されたポリマは分配板9に送られる。ポリマは分配板9に設けられた絞り部12に合流され、分配板9の下面に設けられた溝と口金上面とで構成され、かつ外周方向へ等配の放射線状に伸びるスリット流路13を通過する。その後、ポリマは、スリット流路13の終端点から口金10に穿設された吐出孔11から吐出される。
一般的に溶融紡糸用パックは、一定期間の紡糸後に解体・洗浄・組み立てられ再使用される。溶融紡糸用パックは、ボディ2の中に、各部材を順番に入れた後、ボディ2の内周面とロッキングリング3の外周面に刻設されたネジを嵌合させて組み立てられる。その際、紡糸中にかかるポリマの圧力によって、各部材間のシール面からポリマが漏れ出さないよう、十分な力で嵌合される。
しかしながら、ロッキングリング3を嵌合させて得る各部材間をシールする力は、多孔板6の形状より、図1の矢印に示す多孔板6の外周側から伝達されるため、分配板9と口金10間において、図3に示す外周シール面Fはポリマの漏れなくシールされるものの、中央シール面Sについては十分にシールする力が得られず、ポリマが浸み出し、該部分が異常滞留部となり、熱劣化ポリマが製品へ混入する原因となっていた。このように熱可塑性樹脂を溶融紡糸する繊維の製造工程において、パック内の熱履歴差や異常滞留部で生じる熱劣化ポリマを抑制するべく種々の検討がなされてきたが未だ満足のできる状況に至っていないのが現状であった。
本発明は、熱履歴差によって生じる溶融ポリマの粘度ムラを均質化し、さらに異常滞留を解消してポリマの熱劣化を抑制して口金吐出孔に供給し、良好な品質かつ製糸性を得ることを可能とした溶融紡糸用パックを提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.濾層、フィルター、多孔板、分配板、口金を順次配置し、分配板は、多孔板から排出されたポリマを1箇所に集める絞り部、および下面に溝を有し、前記分配板下面の溝と口金上面とで形成されるスリット流路が設けられ、該スリット流路は、分配板下面の中心点から、外周方向へ放射線状に等配に配して、かつ外周部で口金の吐出孔に通じている溶融紡糸用パックにおいて、スリット流路の分配板下面の中心部にポリマ溜まりを有することを特徴とする溶融紡糸用パック。
2.スリット流路が、口金の吐出孔と同一の流路幅である同一幅区間と、分配板下面の中心点に向かって、逆テーパーとなる流路幅であるテーパー幅区間とを有し、かつ全てのスリット流路が同一形状である前記1記載の溶融紡糸用パック。
3.前記1または2記載の溶融紡糸用パックを用いて、単糸繊度が3〜15dtexの合成繊維を製造する溶融紡糸方法。
本発明の溶融紡糸用パックは、分配板の下面に設けたスリット流路の中心部にポリマ溜まりを有することで、分配板と口金間のシール性を向上させ、ポリマの熱劣化の原因となる異常滞留部をなくし、良好な品質かつ製糸性を得ることができ、更にスリット流路に、口金分配板下面の中心点に向かって逆テーパーとなるテーパー幅区間と同一の流路幅である同一幅区間を連続的に設けることで、ポリマの流動性を一層向上させ、熱履歴の差によるポリマ粘度差を均質化させることが可能となる。
図1は、従来の溶融紡糸パックの一態様例を示す模式図である。 図2は、従来の分配板の一態様例を示す模式図である。 図3は、分配板と口金間のシール力の強弱を示す説明図である。 図4は、本発明の分配板の一態様例を示す模式図である。 図5は、本発明の分配板の別の態様例を示す模式図である。
次に、本発明の実施形態を、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は従来の溶融紡糸パックの一態様例を示す模式図、図2は従来の分配板の一態様例を示す模式図、図4は本発明の分配板の一態様例を示す模式図、図5は本発明の分配板の別の態様例を示す模式図である。なお、図2、図4および図5は、分配板9を下面(吐出孔11側)から見た模式図である。
本発明を実施する形態においても、溶融紡糸用パックの構成は図1と変わらず、分配板9が図4もしくは図5に示す分配板に置き換わるのみである。その上で、図4、図5について説明する。
図4は、本発明の分配板の一態様を示す図であり、分配板下面の中心部にポリマ溜まり14を有している。このポリマ溜まり14は、図3に示す分配板の中央シール部Sの領域と合致している。即ち、従来技術の分配板でポリマが浸み出していた中央シール部Sをなくし、代わりにポリマ溜まり14を設けることで、異常滞留部そのものを無くし、ポリマの熱劣化を抑制することができる。図4のポリマ溜まり14は円形状としているが、必ずしも円形状である必要はなく、分配板9と口金10間のポリマの浸み出し状態に応じて任意に形状を変更することができる。またポリマ溜まり14が広すぎるとポリマ溜まり内のポリマが滞留しやすくなるため、ポリマの浸み出し状態に応じた大きさとすることが好ましい。
図5は本発明の分配板の別の態様例であり、スリット流路13の流路幅が、分配板下面の中心点に向かって、逆テーパーとなる流路幅であるテーパー幅区間15と、口金の吐出孔と同一の流路幅である同一幅区間16とを連続的に有し、かつ全てのスリット流路が同一形状である。テーパー幅区間15は、図4のポリマ溜まり14と同様に図3の中央シール部Sをなくし異常滞留部自体を無くし、かつ流路幅が絞り部12から各吐出孔に向かうポリマの流れに沿ってスリット流路がテーパーとなるため、ポリマが異常滞留することなく流れ、ポリマの熱劣化を抑制することが可能となる。
なお、本発明の溶融紡糸用パックを用いて単糸繊度3〜15dtexの合成繊維を製造すると品質が良好で製糸性が優れるので好ましく、更には3〜10dtexであることが好ましい。単糸繊度が3〜15dtexであると吐出孔あたりの吐出量が著しく少ないため、熱履歴を受ける時間が長く、熱履歴差による熱劣化が拡大されやすい。更には、得られる合成繊維の単糸直径が小さいため、異常滞留部の熱劣化ポリマが製品に混入した場合の品質と製糸性に与える影響は著しくなるため、本発明の溶融紡糸用パックを適用することが好ましいのである。
本発明においては、溶融紡糸可能な熱可塑性ポリマであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、などに代表されるポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド、ポリフェニレンサルファイドなどを例示することができる。その中でも特に、本発明の溶融紡糸用パックは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル繊維の製造において良好な結果が得られる。前記熱可塑性ポリマには本発明の効果を損なわない限り共重合成分を加えてもよい。ポリエステル系の熱可塑性ポリマの場合には共重合成分の例として、酸成分にはイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルキシエンタンカルボン酸、オキシエトキシ安息香酸等の二官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸等の二官能性脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。グリコール成分にはプロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。さらに、添加物として酸化防止剤、制電剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を適宜添加してもよい。
本発明の溶融紡糸用パックを用いて、ポリエステルを紡糸する際の固有粘度(以下IVと表記)は、高強度、高弾性の繊維を得ることができるので0.4以上が好ましく、更に好ましくは0.6以上である。一方、溶融紡糸における溶融ポリマの流動性という観点から1.4以下が好ましく、更に好ましくは1.2以下である。
分配板の材質は特に限定されるものではないが、溶融温度および紡糸終了後にポリマが付着した多孔板を加水分解装置等で洗浄する際の温度(約400℃)および紡糸中の濾過層にかかる圧力(約30MPa)に耐えることができ、かつ錆の発生を抑制する観点で、ステンレスとすることが好ましい。
また、本発明の溶融紡糸用パックは、単成分用パックだけでなく芯鞘構造、サイドバイサイド構造などの複合成分用パックにも適用できる。複合成分用パックの場合は、両成分に本発明の分配板を適用しても良いし、品質および製糸性に影響を与える成分のみに適用するなど任意に選択することができる。
次に一例として本発明の溶融紡糸用パックを用いたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法について説明する。ポリエステルモノフィラメントの製造工程は、主にポリエチレンテレフタレート(PET)を溶融させ、口金より吐出、冷却させた上、一定速度のローラで引き取る紡糸工程、引き取った未延伸糸を延伸・熱処理する延伸工程、延伸した糸条を巻き取りパッケージ形成する巻取工程、の3つに分かれる。
紡糸工程は公知の溶融紡糸方法を採用すればよく、押出機によって溶融させたPETを所望の繊度となるように計量ポンプを用いて本発明の溶融紡糸用パックに供給し糸条を吐出させる。溶融紡糸温度としてはPETを十分に溶融させ、かつ過度の熱付与による熱分解を抑制するという観点から280〜310℃とすることが好ましい。糸条の配向抑制、配向均一化を目的とし、吐出された糸条が冷却されるまでの部位に加熱筒を用いてもよい。加熱筒を使用する場合、加熱筒内雰囲気温度は200〜330℃とすることが好ましい。加熱筒内雰囲気温度が200℃以上であれば加熱筒の効果が十分得られる。加熱筒内雰囲気温度が330℃以下であれば糸長手方向の繊径ムラが抑制される。
冷却方式はチムニーエアーによる冷却を採用することが好ましい。チムニーエアーによる冷却は、例えば糸条の走行方向に対して略直角方向かつ一方向から吹き付ける方式や糸条の走行と略直角方向かつ全周方向から吹き付ける方式を用いることができる。冷却した糸条をローラで引き取る前に、紡糸油剤を付与することが好ましい。紡糸油剤の組成は特に限定するものではないが、平滑性を向上し、製織時のスレ毛羽を抑制する観点から脂肪酸エステル系平滑剤を30%以上含有する油剤を用いることが好ましい。また、油剤中にポリエーテル変性シリコーンを0.1〜5%程度添加すると、さらに平滑性が向上するため好ましい。油剤は水と混合・エマルション化し、給油ガイドやオイリングローラによって糸条に付与すればよい。その際の給油量は、延伸糸に対し油剤付着量が0.1〜2.0%とすれば平滑性が良好かつ、パッケージ形成の際の糸落ち、崩れが抑制されるため好ましい。給油した糸条は、好ましくは表面速度300〜3000m/分の引取りローラで引取る。その後、一旦未延伸糸として巻き取ってから延伸する二工程法、そのまま延伸工程に給糸する直接紡糸延伸法のどちらを用いてもよい。生産効率や得られるモノフィラメントの配向均一性の観点から直接紡糸延伸法の方が好ましい。
延伸工程では、均一延伸を目的に、糸条をガラス転移点以上に加熱するホットローラと、このホットローラよりも表面速度が速く、結晶化温度以上に加熱するホットローラに順次引き回し延伸を施す方法が好ましい。ホットローラの温度や延伸倍率は目標とする物性によって選択すればよい。例えば高強度、ハイモジュラスを求める場合、最終ローラの表面温度を好ましくは120℃以上、さらに好ましくは200℃以上とし、延伸倍率を4〜6倍とするのが好ましい。また、そのホットローラ間に、さらにホットローラを設置し、いわゆる多段延伸とすれば延伸均一性が向上するためより好ましい。多段延伸の場合、1段目の延伸倍率は総延伸倍率の0.5〜0.9倍とする。また、最終ホットローラから巻き取り部の間に冷ローラを設けてもよい。最終ホットローラと冷ローラの速度差は、所望のモジュラス特性に応じて調整すればよい。
巻き取り工程では、延伸されたモノフィラメントを巻き取るが、所望のパッケージが得られれば、特に巻き取り方法については限定されるものではない。
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
(1)固有粘度(IV)
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により求めた。この相対粘度ηrを用いて、次式により固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
ここで、
・η:ポリマ溶液の粘度
・η0:o−クロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
t0:o−クロロフェノールの落下時間(秒)
d0:o−クロロフェノールの密度(g/cm) 。
(2)節糸
巻き取られたモノフィラメントパッケージの表層15000m分の糸を糸速度500m/分で引き取りながら、キーエンス製レーザー外径測定機LS−9006で連続的に糸径を測定し、基準経に対し下記の節糸の大きさと個数で優劣判定した。
・優 全長に渡り基準径(μm)+7μm未満
・良 基準径(μm)+7μm以上の節糸が6個未満
・劣 基準径(μm)+7μm以上の節糸が6個以上 。
(実施例1)
常法によって重合およびペレット化した固有粘度(IV)=0.78のPETをエクストルーダーによって溶融させた。
その後、溶融したポリマを、295℃に保温されたスピンブロック内に設けた配管および所望のポリマ流量に計量する計量ポンプを通過させ、本発明の溶融紡糸用パックに導いた。
このとき、口金面から加熱筒下端までの距離191mm、加熱筒軸心方向の長さ100mm、加熱筒内径89mm、加熱筒内雰囲気温度273℃の加熱筒を配設し、口金から紡出された糸条を通過させた。その後、糸条に対し冷却機を用いて略直角かつ1方向から25℃のエアーを20m/分の風速で糸条に吹き付け、冷却固化させた。冷却固化された糸条に、オイリングロールにより紡糸油剤を延伸糸に対して0.3%となるように給油した。
油剤の成分は、公知の脂肪酸エステル系平滑剤50%、水溶性ポリエーテル変性シリコーンを1%、その他公知の金属磨耗剤、制電剤、界面活性剤からなる混合油剤を蒸留水に対して10%の濃度でエマルション化したものである。
給油後の糸条を一旦巻き取ることなく、表面速度1212m/分、表面温度90℃の第1ホットロール、表面速度3930m/分、表面温度90℃の第2ホットロール、表面速度4910m/分、表面温度140℃の第3ホットロール、表面速度4860m/分のゴデットロールを介した後、巻取張力0.2cN/dtexで制御された糸条巻取装置にて巻き取った。得られたポリエステルモノフィラメントは、基準径27μmの繊度8.0dtexであった。
溶融紡糸用パックは、図1に示す構成であり、多孔板6の外径は85mm、濾層7は径60mm、深さ15mmであり、不織布製フィルター8を挿入した上に、ステンレスサンドを充填した。多孔板6を通過した高粘度ポリマは図4の外径85mmの分配板9に設けられた流路径3mm、流路長さ10mmの絞り部12に合流され、分配板9の下面に設けられた直径15mm、深さ2mmのポリマ溜まり14と外周方向へ放射線状に等配する分配板下面と平行方向の流路径(以下スリット幅と表記)1mm、分配板下面と垂直方向の流路径(以下スリット深さと表記)2mmのスリット流路13を通過させ、吐出孔11から吐出させた。吐出孔11は、口金10と同心で直径35mmの円周上かつ等配に4箇所配設した。
溶融紡糸開始直後のパック内圧力は8MPaであり、72時間の紡糸後、紡糸を終了した。紡糸を終了した時点のパック内圧力が20MPaであり、上記節糸の測定は、紡糸を中止する直前に巻き取られたパッケージを用いた。
72時間連続紡糸した結果、糸切れは3回であり良好な製糸性を得た。また、紡糸終了後のパックを解体し、分配板9と口金10間を観察した結果、ポリマの浸み出しは見られなかった。得られたモノフィラメントの節糸を測定した結果、基準径+7μm以上の節糸が4個であり、合否判定は良であった。
(実施例2)
多孔板6を通過した高粘度ポリマは図5の分配板9の下面に設けられた長さ7.5mm、テーパー角40°、深さ2mmのテーパー幅区間15と、長さ10mm、スリット幅1mm、深さ2mmの同一幅区間16のスリット流路13を有する分配板9を用いたこと以外、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。
72時間連続紡糸した結果、糸切れは1回であり実施例1と比べ良好な製糸性を得た。また、紡糸終了後のパックを解体し、分配板9と口金10間を観察した結果、ポリマの浸み出しは見られなかった。得られたモノフィラメントの節糸を測定した結果、測定長15000mに渡り、糸径は、基準径+7μm未満であり、合否判定は優であった。
(比較例)
多孔板6を通過した高粘度ポリマはスリット幅1mm、深さ2mmのスリット流路13を有する図2の従来技術のポリマ溜まり14のない分配板9を用いたこと以外、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。
72時間連続紡糸した結果、糸切れは7回であり、実施例と比較して劣位であった。また、紡糸終了後のパックを解体し、分配板9と口金10間を観察した結果、図3の中央シール面Sにポリマの浸み出しが見られ、浸み出したポリマは熱劣化していた。得られたモノフィラメントの節糸を測定した結果、基準径+7μm以上の節糸が12個であり、合否判定は劣であった。
本発明の溶融紡糸用パックを用いることで、溶融ポリマが熱履歴差によって生じる粘度ムラを均質化し、さらに異常滞留部自体を無くしてポリマの熱劣化を抑制して口金吐出孔に供給し、良好な品質かつ製糸性を得ることが可能となる。
1:溶融紡糸パックの概略構成図
2:ボディ
3:ロッキングリング
4:リッド
5:供給口
6:多孔板
7:濾層
8:フィルター
9:分配板
10:口金
11:吐出孔
12:絞り部
13:スリット流路
14:ポリマ溜まり
15:テーパー幅区間
16:同一幅区間
17:流路ブロック
S:中央シール面
F:外周シール面
θ:テーパー角

Claims (3)

  1. 濾層、フィルター、多孔板、分配板、口金を順次配置し、
    分配板は、多孔板から排出されたポリマを1箇所に集める絞り部および下面に溝を有し、前記分配板下面の溝と口金上面とで形成されるスリット流路が設けられ、
    該スリット流路は、分配板下面の中心点から外周方向へ放射線状に等配に配して、かつ外周部で口金の吐出孔に通じている溶融紡糸用パックにおいて、
    スリット流路の分配板下面の中心部にポリマ溜まりを有することを特徴とする溶融紡糸用パック。
  2. スリット流路が、口金の吐出孔と同一の流路幅である同一幅区間と、分配板下面の中心点に向かって逆テーパーとなる流路幅であるテーパー幅区間とを有し、かつ全てのスリット流路が同一形状である請求項1記載の溶融紡糸用パック。
  3. 請求項1または2記載の溶融紡糸用パックを用いて、単糸繊度3〜15dtexの合成繊維を製造する溶融紡糸方法。
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