JP6578861B2 - 溶融紡糸用パック - Google Patents

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Description

本発明は熱可塑性樹脂を溶融紡糸する繊維の製造工程に用いられる溶融紡糸用パックに関するものである。さらに詳しくは、溶融ポリマが熱履歴差によって生じる粘度ムラを均質化して口金吐出孔に供給し、均一な品質で良好な製糸性を得ることを可能とした溶融紡糸用パックに関するものである。
一般に熱可塑性樹脂を溶融紡糸する繊維の製造に関しては、原料であるチップを押出機で溶融混練し原料ポリマとなし、配管を経由して溶融紡糸用パックに導く。導入されたポリマは異物を除去するための濾材・フィルターから成る濾層を通り、多孔板にて分配されポリマを口金の吐出孔から紡糸して繊維を得る。
熱可塑性ポリマは300℃前後の高温で紡糸されるため、当然ながらその熱履歴により品質にムラが生じる。この熱履歴による品質ムラは、高粘度ポリマであれば高温での紡糸(例えば高強力を得るための高粘度ポリマ)が必須となり、また吐出量が少ないほど溶融から吐出までの滞留時間(例えば細繊度のモノフィラメント)が長くなる。当然ながらこれらの品種は熱履歴差による熱劣化が生じて品質ムラが拡大され、さらにポリマの流れの悪い場合は異常滞留部、等々により品質ムラが助長・増幅される。
ポリマの劣化を最小限に抑え、高品質で製糸性が良好な溶融紡糸用パックに関しては従来から種々の検討がなされてきている。
例えば、特許文献1には、溶融紡糸用パック内のポリマの劣化、滞留部を抑えることで糸切れを減少させ、溶融紡糸用パックの交換周期を長くする技術が開示されている。
これは、溶融紡糸用パック内の溶融ポリマを混合するために複数の円筒形ポリマ通路が配置された混合ブロックを用いており、複数のポリマ通路が混合ブロックの中心線より単一円周上に等間隔で配置された構成となっている。
しかしながら、このように全ての円筒形のポリマ通路は中心線から同一距離となっている構成では、熱履歴差により生じた粘度ムラのあるポリマの混合効果は不十分である。
また、特許文献2には、上部口金、下部口金の2枚構成からなる口金において、ポリマ流入孔の数が吐出孔の数の2以上からのポリマがポリマ移行流路により集められ吐出孔に流入される口金技術が開示されている。これは、口金におけるポリマ滞留部を特定し、これを減少するために多数の孔を穿設したもので、1つの口金から2糸条(例えば口金左側から総繊度25dtex、単糸数3本の繊維を紡糸し、かつ口金右側から同じ総繊度、同じ単糸数の繊維を紡糸)の繊維を紡糸し、生産性を上げるには、それなりの効果は認められるが、微少な熱履歴差による粘度ムラを均一化するには大きな効果は得られない。
熱可塑性樹脂を溶融紡糸する繊維の製造工程において、ポリマの紡糸配管、特に紡糸パック・口金内に熱履歴差による粘度ムラが生じると流動性が均一で無くなる。これらの粘度ムラを有するポリマが糸条に混入すると微少な粘度ムラであっても糸条は極めて細いために、品質ムラを生じ、紡糸時の糸切れを誘発することになる。このようなポリマ粘度ムラを軽減、解消すべく種々の検討がなされてきたが未だ満足の出来る状況に至っていないのが現状である。
近年、とりわけモノフィラメントの細繊度化、高強力化、高品質化の要求が益々高くなってきている。これらの要求を満足する、品質が均一で、良好な製糸性の得られる技術が待ち望まれていた。
特開2008−38278号公報 実開昭60−97778号公報
本発明は、従来技術の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に達したものである。すなわち、本発明の目的は、溶融ポリマが熱履歴差によって生じる粘度ムラを均質化して口金吐出孔に供給し、均一な品質で、良好な製糸性とすることを可能とした溶融紡糸用パックを提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.濾層、フィルター、多孔板、および口金を順次配置してなる溶融紡糸用パックにおいて、前記多孔板はポリマを通過させる複数の貫通孔を有し、該貫通孔が、ポリマ導入口側では、導入口面の中心からn個(n≧2)の同心円A1、A2、A3、・・・、Anの円周上にそれぞれ複数配設され、かつポリマ排出口側では、排出口面の中心からm個(m≧1)の同心円B1、B2、B3、・・・、Bmの円周上にそれぞれ複数配設され、ポリマ排出口面の一つの円周上に配設された隣接する貫通孔は、ポリマ導入口面の異なる円周上に通じ、該貫通孔を通過したポリマは多孔板直下のポリマ溜めに排した後、口金に移送することを特徴とする溶融紡糸用パック。
2.多孔板の導入口面の同心円数(n)と排出口面の同心円数(m)が、n>m であることを特徴する請求項1に記載の溶融紡糸用パック。
3.多孔板の排出口面の同心円数(m)が1であることを特徴する請求項1または2に記載の溶融紡糸用パック。
本発明の溶融紡糸用パックは、多孔板のポリマ排出口面において、異なる熱履歴のポリマを隣接した排出口から排出させることで、排出されたポリマをポリマ溜めから口金導入口に至る間にポリマを均一に混合させることができる。本発明はこのような構成とすることでポリマの流体挙動に依存せず、確実に均一な混合が可能となる。
本発明のこのような多孔板を組み込んだ溶融紡糸用パックを用いることで、溶融ポリマの熱履歴差によって生じる粘度ムラを解消し、溶融ポリマを均質化して口金吐出孔に供給でき、均質性に優れた製糸性良好な糸条を安定して得ることが可能となる。
図1は、本発明の溶融紡糸用パックの一態様例を示す模式図である。 図2は、本発明の多孔板の貫通孔、導入口、排出口を説明するための模式図である。 図3は、導入口面の同心円数(n)と排出口面の同心円数(m)が、n>mの模式図であり、かつm=1の模式図である。
次に、本発明の実施形態を、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の溶融紡糸用パックの一態様例を示す模式図、図2は本発明の多孔板の貫通孔、導入口、排出口を説明するための模式図、図3は導入口面の同心円数(n)と排出口面の同心円数(m)が、n>mの模式図であり、かつm=1の模式図である。
図1において、1は溶融紡糸用パックの概略構成図であり、2は溶融ポリマ供給口、3は濾層部、4はフィルター、5は多孔板、6は貫通孔、7はポリマ溜め、8は口金、9は導入口、10は排出口である。
ポリマの流れを簡単に説明する。パック部に供給されたポリマは、供給口2から不純物を濾過するため微細なサンドで構成された濾層部3を通過する。さらに、サンド層では捕獲できずに通過した不純物をフィルター4で最終的に捕捉する。クリーンになったポリマは多孔板5に送られる。ここでポリマは多孔板5に複数穿設された貫通孔6の導入口9から排出口10へ通過する。多孔板5を通過したポリマは、ポリマ溜め7に一旦集められた後、口金8へと導かれる。
図2は多孔板5に配設された貫通孔6の導入口9と排出口10を判りやすくするために示した模式図である。図の上方が導入口面、下方が排出口面を示す。A1,A2・・・Anは導入口が配設されている円周を示す。B1,B2・・・Bmは排出口が配設されている円周を示す。9の導入口が穿設されている円周の配列数nと、10の排出口が穿設されている円周の配列数mとの関係は、同数でもよいが、n>m とすることで、以下詳述するようにその効果をより発揮するものである。
以下、図2を用いてポリマの流れと混合状態を詳細に説明する。
濾過部およびフィルターを通過したポリマは、多孔板の中心からn個(n≧2)のA1、A2・・・、Anなる円周上に配設されている貫通孔の導入口(A1−1、A1−2、・・・An−3、・・・)に導かれる。そして、ポリマは、中心からm個(m≧1)のB1、・・・、Bmなる円周上に配設されている貫通孔の排出口(B1−1、B1−2、B1−3・・・)へと流れる。
ここで排出口面の一つの円周B1上に配設された隣接する排出口B1−1、B1−2、B1−3は、それぞれ導入口面の円周の異なる導入口A2−1、A1−2、An−3に通じている(この場合のnは1、2ではない)。このように、ポリマは導入口面の相異なる円周上の列から、排出口面の1つの円周上に隣合うように配設された排出口に流れた後、ポリマ溜めで合流し、口金に導かれることにより溶融ポリマは強制的に混合され、熱履歴差によって生じた粘度ムラはこの混合により大きく軽減されることになる。導入口が配設されている円周の数nと排出口が配設されている円周の数mは同数でもよいが、n>mであると排出口面の1つの円周上に、より多くの吐出口が配設されることになり、混合がより効果的となるため好ましい。更には、m=1が好ましい
以上、詳細に説明したとおり、導入口面の中心からそれぞれ離れた位置に配設された円周上のポリマは、それぞれが、微妙に熱履歴差を生じていることになる。本発明では、多孔板の中心から近い位置のポリマと遠い位置のポリマを、排出口面で強制的に合流・混合させ、かつ、導入口が配設されている円周の数を多く、排出口が配設されている円周の数を少なくすることで、ポリマの混合をより促進して理想的な状態に近づけたものである。このように均質化されたポリマを口金に移送ることで粘度ムラが少なく、品質、製糸性の良好な繊維が得られることになるのである。
図3は、多孔板の排出口が配設されている円周の数を1とした模式図である。これは、ポリマの吐出量が少なく、かつ、高粘度で高強力・高品質が要求される繊維用途に特に好ましく用いられる。
図3からも明らかなように、導入口面の複数の円周A1、A2・・・Anから貫通孔を通過したポリマは、排出口面の1つの円周B1上に排出される。当然ながら導入口面の円周の異なる導入口からのポリマのみが、排出口では隣同士になることが許される貫通孔配置となっている。このような構成とすることで、吐出量が少なく、高粘度で高い強力・高品質の要求を満たす繊維とすることが可能となるのである。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂であれば特に
限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、などに代表されるポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド、ポリフェニレンサルファイドなどを例示することができる。その中でも特に、本発明の溶融紡糸用パックは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル繊維の製造において良好な結果が得られる。前記熱可塑性樹脂には本発明の効果を損なわない限り共重合成分を加えてもよい。ポリエステル系の熱可塑性し樹脂の場合には共重合成分の例として、酸成分にはイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルキシエンタンカルボン酸、オキシエトキシ安息香酸等の二官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸等の二官能性脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。グリコール成分にはプロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。さらに、添加物として酸化防止剤、制電剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を適宜添加してもよい。
本発明の溶融紡糸用パックを用いて、ポリエステル樹脂を紡糸する際の固有粘度(以下IVと表記)は、高強度、高弾性の繊維を得ることが出来るので0.4以上が好ましく、更に好ましくは0.6以上である。一方、溶融紡糸における溶融ポリマの流動性という観点から1.4以下が好ましく、更に好ましくは1.2以下である。
多孔板の材質は特に限定されるものではないが、溶融温度および紡糸終了後にポリマが付着した多孔板を加水分解装置等で洗浄する際の温度(約400℃)および紡糸中の濾過層にかかる圧力(約30MPa)に耐えることができ、かつ錆の発生を抑制する観点で、ステンレスとすることが好ましい。
多孔板に穿設する貫通孔の寸法は特に限定されるものではないが、貫通孔は導入口面および排出口面の中心から複数個の同心円の円周上にそれぞれ複数配設されること、また貫通孔にポリマが通過する際に過剰な圧力損失を回避する観点から孔直径は1〜5mmが好ましい。
また、導入口面および排出口面の中心から複数個の同心円の円周を設けるにあたり、導入口面の異なる熱履歴のポリマを隣接した排出口から排出する観点から、隣合う円周の直径の差は1〜40mmが好ましい。
また、導入口面および排出口面の中心から複数個の同心円の円周上にそれぞれ複数配設される貫通孔の数は、導入口面および排出口面のポリマの滞留部を少なくする観点で、多ければ多いほど好ましいのはいうまでもない。
次に一例として本発明を用いたポリエチレンテレフタレートモノフィラメントの製造方法について説明する。ポリエチレンテレフタレートモノフィラメントの製造工程は、主にポリエチレンテレフタレートを溶融させ、口金より吐出、冷却させた上、一定速度のローラで引き取る紡糸工程、引き取った未延伸糸を延伸・熱処理する延伸工程、延伸した糸条を巻き取る巻取工程、の3つに分かれる。
紡糸工程は公知の溶融紡糸方法を採用すればよく、押出機によって溶融させたポリエチレンテレフタレートを所望の繊度となるように計量ポンプを用いて本発明の溶融紡糸用パックに供給し糸条を吐出させる。溶融紡糸温度としてはポリエチレンテレフタレートを十分に溶融させ、かつ過度の熱付与による熱分解を抑制するという観点から280〜310℃とすることが好ましい。糸条の配向抑制、配向均一化を目的とし、吐出された糸条が冷却されるまでの部位に加熱筒を用いてもよい。加熱筒を使用する場合、加熱筒内雰囲気温度は250℃以上とすることが好ましい。加熱筒内雰囲気温度が250℃以上であれば加熱筒の効果が十分得られ、配向の抑制および均一化が可能となる。冷却方式はチムニーエアーによる冷却を採用することが好ましい。チムニーエアーによる冷却は、例えば糸条の走行方向に対して略直角方向かつ一方向から吹き付ける方式や糸条の走行と略直角方向かつ全周方向から吹き付ける方式を用いることができる。冷却した糸条をローラで引き取る前に、紡糸油剤を付与することが好ましい。紡糸油剤の組成は特に限定するものではないが、平滑性を向上し、製織時のスレ毛羽を抑制する観点から脂肪酸エステル系平滑剤を30%以上含有する油剤を用いることが好ましい。また、油剤中にポリエーテル変性シリコーンを0.1〜5%程度添加すると、さらに平滑性が向上するため好ましい。油剤は水と混合・エマルション化し、給油ガイドやオイリングローラによって糸条に付与すればよい。その際の給油量は、延伸糸に対し油剤付着量が0.1〜1.0wt%とすれば平滑性が良好かつ、パッケージ形成の際の糸落ち、崩れが抑制されるため好ましい。給油した糸条は、好ましくは表面速度300〜3000m/分の引取りローラで引取る。その後、一旦未延伸糸として巻き取ってから延伸する二工程法、そのまま延伸工程に給糸する直接紡糸延伸法のどちらを用いてもよい。
延伸工程では、均一延伸を目的に、糸条をガラス転移点以上に加熱するホットローラと、このホットローラよりも表面速度が速く、結晶化温度以上に加熱するホットローラに順次引き回し延伸を施す方法が好ましい。ホットローラの温度や延伸倍率は目標とする物性によって選択すればよい。例えば高強度、ハイモジュラスを求める場合、最終ローラの表面温度を好ましくは120℃以上、延伸倍率を3〜6倍とするのが好ましい。また、そのホットローラ間に、さらにホットローラを設置し、いわゆる多段延伸とすれば延伸均一性が向上するためより好ましい。多段延伸の場合、1段目の延伸倍率は総延伸倍率の0.6〜0.9倍とする。また、最終ホットローラから巻き取り部の間に冷ローラを設けてもよい。最終ホットローラよりも冷ローラの速度が速い場合、得られるモノフィラメントのモジュラスは高くなる。最終ホットローラよりも冷ローラの速度が遅い場合、得られるモノフィラメントのモジュラスは低下するが、湿熱収縮時の応力差が低減し、また製織時のスレ毛羽が発生しにくくなる。最終ホットローラと冷ローラとの速度差は、所望の特性に応じて調整すればよい。最終ホットローラの速度に対し、冷ロールの速度は−7〜2%であることが好ましい。
巻き取り工程では、延伸されたモノフィラメントを巻き取るが、所望のパッケージが得られれば、特に巻き取り方法については限定されるものではない。
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
(1)固有粘度(IV)
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により求めた。この相対粘度ηrを用いて、次式により固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
ここで、
・η:ポリマー溶液の粘度
・η0:o−クロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
t0:o−クロロフェノールの落下時間(秒)
d0:o−クロロフェノールの密度(g/cm
(2)繊度変動率U%(H)
ツエルベガーウースター社製ウースターテスターUT−4CXを用い、下記の測定条件にてhalf inert(U hi %)を測定した。
給糸速度 :200m/分
測定糸長 :200m
Twister :なし
Mears.slot :0.18mm
次に本発明の溶融紡糸用パックを適用した結果を示す。
実施例1
常法によって重合およびペレット化した固有粘度(IV)=0.8で酸化チタンを0.3wt%含有するポリエチレンテレフタレートをプレッシャメルタによって溶融させた。
その後、溶融したポリマを、293℃に保温されたスピンブロック内に設けた配管および所望のポリマ流量に計量する計量ポンプを通過させ、本発明の溶融紡糸用パックに導き糸条を紡出させた。
その後、糸条に対し冷却機を用いて略直角かつ1方向から25℃のエアーを20m/分の風速で糸条に吹き付け、冷却固化させた。冷却固化された糸条に、オイリングロールにより紡糸油剤を延伸糸に対して0.3wt%となるように給油した。
油剤の成分は、公知の脂肪酸エステル系平滑剤50wt%、水溶性ポリエーテル変性シリコーンをwt1%、その他公知の金属磨耗剤、制電剤、界面活性剤からなる混合油剤を蒸留水に対して10wt%の濃度でエマルション化したものである。
給油後の糸条はそのまま表面速度800m/分の引取ロールで引き取った後、一旦未延伸糸を巻き取った。
その後、給糸ロール、第1、第2、第3ホットロール、冷ロール、ドローツイスター型巻取り機からなる延伸機にて延伸、巻き取り、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメントパッケージを得た。その際の詳細条件は以下の通りである。
第1ホットロール :温度90℃、表面速度138m/分
第2ホットロール :温度90℃、表面速度484m/分
第3ホットロール :温度140℃、表面速度600m/分
冷ロール :室温、表面速度600m/分
ドローツイスター :スピンドル回転数8000rpm、
本発明の溶融紡糸用パックは、濾過部の直径が53.5mm、不織布フィルターを設け、多孔板の導入口が配設されている円周の数が3であり、その最も中心に近い第1列の円周直径14mm上に導入口が8個、第2列の円周直径27mm上に導入口が8個、第3列の円周直径47mm上に導入口が16個を配し、排出口が配設されている円周の数が1であり、円周直径37mm上に、導入口の第1列に通じる排出口、第3列に通じる排出口、第2列に通じる排出口、第3列に通じる排出口、第1列に通じる排出口、・・・の順に合計32個の排出口を配した。つまり円周上の異なる導入口からのポリマが、排出口では隣同士になることが許される貫通孔配置となっている。また貫通孔の直径は2.0mm、多孔板の材質はSUS420J2とした。ポリマ溜めの直径は39mm、厚さ1.5mmとし、口金は直径0.15mmの吐出孔を2個設けた。
粘度ムラによって生じる口金吐出孔直後での糸条の曲がりを目視と長焦点顕微鏡で確認した結果、曲がりは全く見られず、安定した吐出状態であった。6dtexのモノフィラメントを72時間連続紡糸した結果、糸切れはなく良好な紡糸結果を得た。また、得られたモノフィラメントのU%(H)を測定した結果、0.8%以下であり良好なポリエステルモノフィラメントであった。
比較例1
多孔板の導入口が配設されている円周の数が3であり、その最も中心に近い第1列の円周直径14mm上に導入口が6個、第2列の円周直径27mm上に導入口が8個、第3列の円周直径47mm上に導入口が16個を配し、排出口が配設されている円周の数が3であり、その最も中心に近い第1列の円周直径14mmに排出口が6個、第2列の円周直径27mm上に排出口が8個、第3列の円周直径37mm上に排出口が16個を配し、第1列の導入口は第1列の排出口に、第2列の導入口は第2列の排出口に、第3列の導入口は第3列の排出口に通じた貫通孔配置とした。それ以外は実施例と同様条件でポリエチレンテレフタレートモノフィラメント紡糸を行った。
口金吐出孔直後の糸条の曲がりを目視と長焦点顕微鏡で確認した結果、粘度ムラによって生じる大きな曲がりが認められた。
すなわち、熱履歴を多く受けたポリマは粘度低下を起こし、そのために流速が速くなり、熱履歴の少ない高粘度で流速の遅いポリマを、圧力の解放された吐出孔後で流速差により押し曲げたものである。長手方向でも、断面方向でもポリマが不均質となっていることが窺える。その結果、6dtexのモノフィラメントを72時間連続紡糸した結果、当然ながら糸切れが多発し、紡糸性は不良であった。また、得られたモノフィラメントU%(H)を測定した結果、1.3%以上と不良であり、精密フィルター用途に耐えられるポリエステルモノフィラメントではなかった。
本発明の多孔板を組み込んだ溶融紡糸用パックを用いることで、溶融ポリマの熱履歴差によって生じる粘度ムラを均質化して口金吐出孔に供給でき、品質の優れた製糸性良好な糸条を安定して得ることが可能となる。
1:溶融紡糸用パックの構成図
2:溶融ポリマ供給口
3:濾層部
4:フィルター
5:多孔板
6:貫通孔
7:ポリマ溜め
8:口金
9:多孔板導入口
9−A1:円周上の導入溝列番号と貫通孔番号
9−B1:同上
9−C1:同上
10:多孔板排出口
10−A1:円周上の排出列番号と排出口番号
10−B2:同上
10−B3:同上

Claims (3)

  1. 濾層、フィルター、多孔板、および口金を順次配置してなる溶融紡糸用パックにおいて、前記多孔板はポリマを通過させる複数の貫通孔を有し、該貫通孔が、ポリマ導入口側では、導入口面の中心からn個(n≧2)の同心円A1、A2、A3、・・・、Anの円周上にそれぞれ複数配設され、かつポリマ排出口側では、排出口面の中心からm個(m≧1)の同心円B1、B2、B3、・・・、Bmの円周上にそれぞれ複数配設され、ポリマ排出口面の一つの円周上に配設された隣接する貫通孔は、ポリマ導入口面の異なる円周上に通じ、該貫通孔を通過したポリマは多孔板直下のポリマ溜めに排した後、口金に移送することを特徴とする溶融紡糸用パック。
  2. 多孔板の導入口面の同心円数(n)と排出口面の同心円数(m)が、n>m であることを特徴する請求項1に記載の溶融紡糸用パック。
  3. 多孔板の排出口面の同心円数(m)が1であることを特徴する請求項1または2に記載の溶融紡糸用パック。
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