JP6578861B2 - 溶融紡糸用パック - Google Patents
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Description
ポリマの劣化を最小限に抑え、高品質で製糸性が良好な溶融紡糸用パックに関しては従来から種々の検討がなされてきている。
これは、溶融紡糸用パック内の溶融ポリマを混合するために複数の円筒形ポリマ通路が配置された混合ブロックを用いており、複数のポリマ通路が混合ブロックの中心線より単一円周上に等間隔で配置された構成となっている。
1.濾層、フィルター、多孔板、および口金を順次配置してなる溶融紡糸用パックにおいて、前記多孔板はポリマを通過させる複数の貫通孔を有し、該貫通孔が、ポリマ導入口側では、導入口面の中心からn個(n≧2)の同心円A1、A2、A3、・・・、Anの円周上にそれぞれ複数配設され、かつポリマ排出口側では、排出口面の中心からm個(m≧1)の同心円B1、B2、B3、・・・、Bmの円周上にそれぞれ複数配設され、ポリマ排出口面の一つの円周上に配設された隣接する貫通孔は、ポリマ導入口面の異なる円周上に通じ、該貫通孔を通過したポリマは多孔板直下のポリマ溜めに排した後、口金に移送することを特徴とする溶融紡糸用パック。
2.多孔板の導入口面の同心円数(n)と排出口面の同心円数(m)が、n>m であることを特徴する請求項1に記載の溶融紡糸用パック。
3.多孔板の排出口面の同心円数(m)が1であることを特徴する請求項1または2に記載の溶融紡糸用パック。
図1は本発明の溶融紡糸用パックの一態様例を示す模式図、図2は本発明の多孔板の貫通孔、導入口、排出口を説明するための模式図、図3は導入口面の同心円数(n)と排出口面の同心円数(m)が、n>mの模式図であり、かつm=1の模式図である。
以下、図2を用いてポリマの流れと混合状態を詳細に説明する。
ここで排出口面の一つの円周B1上に配設された隣接する排出口B1−1、B1−2、B1−3は、それぞれ導入口面の円周の異なる導入口A2−1、A1−2、An−3に通じている(この場合のnは1、2ではない)。このように、ポリマは導入口面の相異なる円周上の列から、排出口面の1つの円周上に隣合うように配設された排出口に流れた後、ポリマ溜めで合流し、口金に導かれることにより溶融ポリマは強制的に混合され、熱履歴差によって生じた粘度ムラはこの混合により大きく軽減されることになる。導入口が配設されている円周の数nと排出口が配設されている円周の数mは同数でもよいが、n>mであると排出口面の1つの円周上に、より多くの吐出口が配設されることになり、混合がより効果的となるため好ましい。更には、m=1が好ましい
以上、詳細に説明したとおり、導入口面の中心からそれぞれ離れた位置に配設された円周上のポリマは、それぞれが、微妙に熱履歴差を生じていることになる。本発明では、多孔板の中心から近い位置のポリマと遠い位置のポリマを、排出口面で強制的に合流・混合させ、かつ、導入口が配設されている円周の数を多く、排出口が配設されている円周の数を少なくすることで、ポリマの混合をより促進して理想的な状態に近づけたものである。このように均質化されたポリマを口金に移送ることで粘度ムラが少なく、品質、製糸性の良好な繊維が得られることになるのである。
限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、などに代表されるポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド、ポリフェニレンサルファイドなどを例示することができる。その中でも特に、本発明の溶融紡糸用パックは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル繊維の製造において良好な結果が得られる。前記熱可塑性樹脂には本発明の効果を損なわない限り共重合成分を加えてもよい。ポリエステル系の熱可塑性し樹脂の場合には共重合成分の例として、酸成分にはイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルキシエンタンカルボン酸、オキシエトキシ安息香酸等の二官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸等の二官能性脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。グリコール成分にはプロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。さらに、添加物として酸化防止剤、制電剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を適宜添加してもよい。
また、導入口面および排出口面の中心から複数個の同心円の円周を設けるにあたり、導入口面の異なる熱履歴のポリマを隣接した排出口から排出する観点から、隣合う円周の直径の差は1〜40mmが好ましい。
巻き取り工程では、延伸されたモノフィラメントを巻き取るが、所望のパッケージが得られれば、特に巻き取り方法については限定されるものではない。
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により求めた。この相対粘度ηrを用いて、次式により固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
ここで、
・η:ポリマー溶液の粘度
・η0:o−クロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm3)
t0:o−クロロフェノールの落下時間(秒)
d0:o−クロロフェノールの密度(g/cm3)
(2)繊度変動率U%(H)
ツエルベガーウースター社製ウースターテスターUT−4CXを用い、下記の測定条件にてhalf inert(U hi %)を測定した。
測定糸長 :200m
Twister :なし
Mears.slot :0.18mm
次に本発明の溶融紡糸用パックを適用した結果を示す。
常法によって重合およびペレット化した固有粘度(IV)=0.8で酸化チタンを0.3wt%含有するポリエチレンテレフタレートをプレッシャメルタによって溶融させた。
給油後の糸条はそのまま表面速度800m/分の引取ロールで引き取った後、一旦未延伸糸を巻き取った。
その後、給糸ロール、第1、第2、第3ホットロール、冷ロール、ドローツイスター型巻取り機からなる延伸機にて延伸、巻き取り、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメントパッケージを得た。その際の詳細条件は以下の通りである。
第1ホットロール :温度90℃、表面速度138m/分
第2ホットロール :温度90℃、表面速度484m/分
第3ホットロール :温度140℃、表面速度600m/分
冷ロール :室温、表面速度600m/分
ドローツイスター :スピンドル回転数8000rpm、
本発明の溶融紡糸用パックは、濾過部の直径が53.5mm、不織布フィルターを設け、多孔板の導入口が配設されている円周の数が3であり、その最も中心に近い第1列の円周直径14mm上に導入口が8個、第2列の円周直径27mm上に導入口が8個、第3列の円周直径47mm上に導入口が16個を配し、排出口が配設されている円周の数が1であり、円周直径37mm上に、導入口の第1列に通じる排出口、第3列に通じる排出口、第2列に通じる排出口、第3列に通じる排出口、第1列に通じる排出口、・・・の順に合計32個の排出口を配した。つまり円周上の異なる導入口からのポリマが、排出口では隣同士になることが許される貫通孔配置となっている。また貫通孔の直径は2.0mm、多孔板の材質はSUS420J2とした。ポリマ溜めの直径は39mm、厚さ1.5mmとし、口金は直径0.15mmの吐出孔を2個設けた。
多孔板の導入口が配設されている円周の数が3であり、その最も中心に近い第1列の円周直径14mm上に導入口が6個、第2列の円周直径27mm上に導入口が8個、第3列の円周直径47mm上に導入口が16個を配し、排出口が配設されている円周の数が3であり、その最も中心に近い第1列の円周直径14mmに排出口が6個、第2列の円周直径27mm上に排出口が8個、第3列の円周直径37mm上に排出口が16個を配し、第1列の導入口は第1列の排出口に、第2列の導入口は第2列の排出口に、第3列の導入口は第3列の排出口に通じた貫通孔配置とした。それ以外は実施例と同様条件でポリエチレンテレフタレートモノフィラメント紡糸を行った。
口金吐出孔直後の糸条の曲がりを目視と長焦点顕微鏡で確認した結果、粘度ムラによって生じる大きな曲がりが認められた。
2:溶融ポリマ供給口
3:濾層部
4:フィルター
5:多孔板
6:貫通孔
7:ポリマ溜め
8:口金
9:多孔板導入口
9−A1:円周上の導入溝列番号と貫通孔番号
9−B1:同上
9−C1:同上
10:多孔板排出口
10−A1:円周上の排出列番号と排出口番号
10−B2:同上
10−B3:同上
Claims (3)
- 濾層、フィルター、多孔板、および口金を順次配置してなる溶融紡糸用パックにおいて、前記多孔板はポリマを通過させる複数の貫通孔を有し、該貫通孔が、ポリマ導入口側では、導入口面の中心からn個(n≧2)の同心円A1、A2、A3、・・・、Anの円周上にそれぞれ複数配設され、かつポリマ排出口側では、排出口面の中心からm個(m≧1)の同心円B1、B2、B3、・・・、Bmの円周上にそれぞれ複数配設され、ポリマ排出口面の一つの円周上に配設された隣接する貫通孔は、ポリマ導入口面の異なる円周上に通じ、該貫通孔を通過したポリマは多孔板直下のポリマ溜めに排した後、口金に移送することを特徴とする溶融紡糸用パック。
- 多孔板の導入口面の同心円数(n)と排出口面の同心円数(m)が、n>m であることを特徴する請求項1に記載の溶融紡糸用パック。
- 多孔板の排出口面の同心円数(m)が1であることを特徴する請求項1または2に記載の溶融紡糸用パック。
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