JP2020122227A - 溶融紡糸方法 - Google Patents

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翔己 南
進之介 冨田
Shinnosuke Tomita
進之介 冨田
康宜 兼森
Yasunobu Kanemori
康宜 兼森
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Abstract

【課題】 熱可塑性ポリマの溶融紡糸において、溶融紡糸用パック口金の内外層の熱履歴差や異常滞留によって生じる熱劣化ポリマを均一化し、均一な品質のフィラメントを得ることができる溶融紡糸方法を提供する。【解決手段】 熱可塑性ポリマの溶融紡糸において、溶融ポリマが溶融紡糸用パック口金を流れる際に、溶融紡糸用パック口金内外層の熱履歴差や異常滞留によって生じる熱劣化ポリマを単糸断面内に分配し、口金吐出孔に集約合流することで、単糸断面内に熱可塑性ポリマを分散させることができ、単糸間、および単糸断面内で均一な品質のフィラメントが得られることを可能とした溶融紡糸方法。【選択図】図1

Description

本発明は熱可塑性ポリマの製糸工程に用いられる溶融紡糸方法に関するものである。さらに詳しくは、熱履歴差や異常滞留によって発生する熱劣化ポリマを分散して口金吐出孔に供給し、良好な品質を得ることを可能とした溶融紡糸方法に関するものである。
一般に熱可塑性ポリマを溶融紡糸する繊維の製造に関しては、原料であるチップを押出機で溶融混練し溶融ポリマとなし、加熱ボックス内に設置されたポリマ用の配管を通じて溶融紡糸用パック口金にポリマを導く。導入されたポリマは溶融紡糸用パック口金内に積層された濾材・フィルタを通ることでポリマ中にある異物を除去し、多孔板にて分配され、ポリマを口金の吐出孔から紡糸してフィラメントを得る。
熱可塑性ポリマは300℃前後の高温で紡糸されるため、当然ながらその熱履歴により品質にムラが生じる。高粘度ポリマであればより高温での紡糸が必須となり、また吐出量が少ないほど溶融から吐出までの滞留時間が長くなるため、これらの品種は熱劣化がより促進され、品質ムラ、製糸性の悪化が助長、増幅される他、ポリマの流れの悪い箇所は異常滞留部となり、異常滞留部で熱劣化したポリマが製品に混入すると、延伸が阻害されて局部的に糸径が太くなる節糸や繊度斑と呼ばれる重大な品質欠点となる。
ポリマの熱劣化を最小限に抑え、高品質で製糸性が良好な溶融紡糸用パックに関しては従来から種々の検討がなされてきている。
例えば、特許文献1には、溶融ポリマを溶融紡糸用パック口金の中心部で縮流させながら一箇所に合流させる合流流路と、前記合流部の終端の出口部から下流方向に末広がりに等間隔で円周配列された複数の円管状流路と、円周上に等配に穿設された吐出孔群のポリマが流入する始端開口部と前記円管状流路の終端開口部とを円環状に連結するために形成された環状流路を構成することで、溶融紡糸用パック口金中心にポリマを合流させ均一化を図り、単糸間での品質差を低減させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、溶融ポリマを一穴の集合孔に集めたのち静止系混練素子を通過させることよって、溶融ポリマを混練・分散させることで均一化を図り、単糸間もしくは溶融紡糸用パック口金間での品質差を低減させる技術が開示されている。
特開2010−111977号公報 特開2008−81860号公報
しかしながら、特許文献1に記載の溶融紡糸用紡糸パック口金は、熱履歴差や異常滞留によって生じた熱劣化ポリマを口金上流側で一箇所に合流させた後、そのポリマを口金吐出孔へ分配しているため、ポリマ分配以降に発生した熱劣化ポリマは、そのまま口金吐出孔に流入し、節糸や繊度斑といった重大な品質欠点を改善するには至らない。
また、特許文献2に記載の溶融紡糸用パック口金は、内外層の熱履歴差や異常滞留によって生じる熱劣化ポリマを分散できるように、十分なポリマ混練性を担保するには、静止系混練素子を長くすることや、静止系混錬素子の形状を選定する必要がある。そのため、溶融紡糸用パック口金部材の長尺化によるポリマ流路長の増加によって滞留時間が長くなり、ポリマの熱劣化を引き起こしやすく、また静止系混錬素子の形状によっても、混錬性が変化することから、目的とする均一な品質のフィラメントを得ることができない。さらには、静止系混錬素子部は流路形態が複雑な螺旋形状であるが故に、部分的にポリマの流速が著しく低くなる箇所が生じるため、異常滞留を引き起こしやすく、節糸や繊度斑といった重大な品質欠点を改善するには至らない。
本発明は、従来技術の課題を解消し、熱可塑性ポリマの溶融紡糸において、溶融ポリマが溶融紡糸用パック口金を流れる際に、分配板を設けず溶融紡糸して得られた合成繊維の単糸の平均体積を超過している部分の体積増分ΔVおよび許容可能な体積増分から定める目標体積増分V0を指標とし、分配板で溶融紡糸用パック口金内外層の熱履歴差や異常滞留によって生じる熱劣化ポリマを分配し、口金吐出孔に集約合流することで、単糸断面内に熱劣化ポリマを分散させることができ、単糸間、および単糸断面内で均一な品質のフィラメントを得られることを可能とする溶融紡糸方法を提供することにある。
すなわち、本発明は以下を特徴とする。
分配板、口金の順に配し、分配板上流側から分配板で複数箇所に熱可塑性ポリマを分配し、前記分配された熱可塑性ポリマを口金部で合流させ、単糸断面内に前記分配・合流された熱可塑性ポリマを吐出する合成繊維の溶融紡糸パック口金を用いて熱可塑性溶融ポリマを溶融紡糸するに際して、分配板を設けず溶融紡糸して得られた合成繊維の単糸の理論平均体積を超過した部分の断面積および断面積増加部の長さから導かれる体積増分ΔVおよび許容可能な体積増分から定める目標体積増分V0を指標とし、前記単糸断面内に含まれる、前記分配・合流する熱可塑性ポリマの数Nが次式1を満たすことを特徴とする溶融紡糸方法。
式1:(ΔV×(1/2) )/V0 ≦1
ΔV:分配板を設けず溶融紡糸して得られた合成繊維の単糸の理論平均体積を超過している部分の断面積および断面積増加部の長さから導かれる体積増分
V0:目標体積増分
N:単糸断面内に含まれる複数箇所から分配され合流する熱可塑性ポリマの数
熱可塑性ポリマの溶融紡糸において、溶融ポリマが溶融紡糸用パック口金を流れる際に、溶融紡糸用パック口金内外層の熱履歴差や異常滞留によって生じる熱劣化ポリマを単糸断面内に分配し、分配板を設けず溶融紡糸して得られた合成繊維の単糸の理論平均体積を超過した部分の断面積および断面積増加部の長さから導かれる体積増分ΔVおよび許容可能な体積増分から定める目標体積増分V0を指標とし、分配板で溶融紡糸用パック口金内外層の熱履歴差や異常滞留によって生じる熱劣化ポリマを分配し、口金吐出孔に集約合流することで、単糸断面内に熱劣化ポリマを分散させることができ、単糸間、および単糸断面内で均一な品質のフィラメントが得られることを可能とする溶融紡糸方法を提供することができる。
本発明で好適な溶融紡糸パック口金を模式的に例示した概略正面断面図。 本発明で好適な分配板と口金を模式的に例示した概略斜視断面図。 本発明における分配板の代わりに、多孔板を設けた溶融紡糸パック口金を模式的に例示した概略正面断面図。 本発明の溶融紡糸方法で得られた単糸の概略斜視断面図。 本発明における分配板の代わりに、多孔板を設けた溶融紡糸パック口金を用いた溶融紡糸方法で得られた単糸の概略斜視断面図。
本発明の実施形態の一例を、図を用いて詳細に説明する。
図1は本発明で好適な溶融紡糸用パック口金を模式的に例示した概略正面断面図を示す。この図1において、1は紡糸パック口金、2はポリマ導入孔、3は濾層部、4は濾材、5はフィルタ、6は分配板、7は口金、8は吐出孔、9は分配板上流側のポリマ流入孔である。
図2は本発明で好適な分配板を模式的に例示した概略斜視断面図を示す。この図2において、6は分配板、7は口金、8は吐出孔、9aは分配板上流側のポリマ流入孔群である。
図3は、本発明における分配板6を設けず、代わりに多孔板10を設けた溶融紡糸パック口金を模式的に例示した概略正面断面図である。
図4は、本発明の溶融紡糸方法で得られた単糸の概略斜視断面図である。この図4において、11は単糸平均体積部であり、12aは分配板6にて分散された、単糸断面内に含まれる架橋した複数の熱可塑性ポリマである。
図5は、本発明における分配板の代わりに多孔板を設けた溶融紡糸パック口金を用いた溶融紡糸方法で得られた単糸の概略斜視断面図である。図5において、11は単糸平均体積部であり、12bは分配板の代わりに多孔板を設けて溶融紡糸し得られた単糸断面内に含まれる架橋した1つの熱可塑性ポリマである。
本発明の熱可塑性溶融ポリマの流れについて説明する。図1の紡糸パック口金1はポリマの溶融状態を維持するために高温の加熱ボックス(例示せず)内に設置されており、溶融したポリマはポリマ導入孔2を通じて紡糸パック口金1に供給される。供給されたポリマは濾層部3内にある微細なサンドなどで構成された濾材4と、金網や焼結多孔質金属などで構成されたフィルタ5を通過することで、ポリマ中にある異物の除去をする。その後異物を除去したポリマは、分配板6で複数に分配され、口金7の吐出孔8で合流し、フィラメントとして紡出される。
本発明の溶融紡糸方法は、濾層部3と口金7の間に分配板6を設け、その分配板6には、ポリマ紡出経路方向の上流部に複数の流路孔を有し、該流路孔がポリマ紡出経路方向の下流にポリマを複数分配し、最終的に口金7の吐出孔8で一つの流路孔に集約合流させることで、熱履歴差や異常滞留によって生じる熱劣化ポリマを単糸断面内に分散する。なお、本発明において、分配板流路孔は、図1に例示した直線型流路に限らず、所望の単糸断面内に含まれる複数の熱可塑性ポリマの数Nが満足できれば特に限定されるものではない。溶融紡糸用パック口金の内層部と外層部とで異なる熱履歴差をもつポリマを効率よく分配させ、より単糸断面内に均一な熱劣化ポリマを分散させるためには、図1および図2に例示するように、内層部のポリマと外層部のポリマとをポリマ流入孔群9aで分配し、口金7の吐出孔8で一つの流路孔に集約合流させることで単糸間の品質バラツキを低減できるため特に好ましい。
本発明において、単糸断面内に熱劣化ポリマを分散し、所望の品質のフィラメンントを得るためには、式1:(ΔV×(1/2) )/V0 ≦1を満たすことが特に肝要である。
ここで所望のポリマ流量に計量する計量ポンプ(図示せず)の吐出量と計量ポンプ当たりの吐出孔数と巻取機(図示せず)での巻取速度から求めた単糸の体積を理論平均体積と定義すると、体積増分ΔVは、図3に例示した分配板6の代わりに多孔板10を設けた溶融紡糸パック口金にて、溶融紡糸し得られた合成繊維の理論平均体積を超過した部分の断面積および断面積増加部の長さから導かれる体積増分であり、V0は目標とする体積増分である。例えば、単糸繊度が10dtexの細繊度モノフィラメントにおいて、スクリーン紗などの製品としたときの欠点は繊維径約32μmであるとしたのに対して、繊維径32+5μm以上かつ長さが2000μm以上のものが欠点となる。すなわち繊維径32+5μm未満かつ2000μm未満を目標の体積とするなどの、実際の欠点部から目標体積増分V0を決定することが肝要である。Nは、分配板上流側から分配板内で複数箇所に熱可塑性ポリマを分配し、分配板6の分配数で分散された単糸断面内に含まれる複数の熱可塑性ポリマの数を示している。
前記ΔVで得られる体積増分は、図5に例示するように、単糸断面内に含まれる熱履歴差や異常滞留によって架橋したひとつの熱可塑性ポリマ12bによって生じた体積増加部を示している。この架橋した一つの熱可塑性ポリマ12bは、経験的に、一つにまとまった形で発見されることが多く、その単糸断面内に含まれる架橋した一つの熱可塑性ポリマ12bが延伸工程(図示せず)にて、一定の速度で引き伸ばされた際に、架橋した一つの熱可塑性ポリマ12bが流動せず、延伸が阻害されるため、単糸平均体積部11の超過分として現れる。目標体積増分V0を得るためには、前記ΔVで得られた架橋した一つの熱可塑性ポリマ12bを、ポリマ流入孔群9aで複数分配して口金7の吐出孔8で一つの流路孔に集約合流させることで達成できる。すなわち、単糸断面内に含まれる架橋した一つの熱可塑性ポリマを、目標の体積増分V0が得られるまでN回分配し、分配された複数の架橋した熱可塑性ポリマが口金7の吐出孔8で集約合流することで、単糸断面内に含まれる架橋した熱可塑性ポリマの数はNまで分散される。得られた単糸断面内は図4に例示するように、架橋した一つの熱可塑性ポリマが単糸断面内に複数に分散され、架橋した複数の熱可塑性ポリマ12aとなる。これが、延伸にて引き伸ばされた際は、架橋した複数の熱可塑性ポリマ12aが単糸断面内の長手方向、および断面方向内で流動するため、延伸が阻害されることなく均一な品質のフィラメントを得ることができる。また、本発明は、図4に例示した単糸断面内に架橋した複数の熱可塑性ポリマ12aの形態であったとしても、目標体積増分V0が得られていない場合は前記手法を用いることで、目標とする品質のフィラメントを得ることができる。
本発明は、単糸繊度が4〜30dtexの細繊度モノフィラメントや、総繊度が小さくかつフィラメント数が少ないマルチフィラメントでより顕著な効果を得られる。それは、細繊度品種やフィラメント数が少ない品種では、単孔当たりのポリマ吐出量が少なくなるため、パック内層部と外層部とで異なる熱履歴を持つポリマの温度ムラが大きくなりやすく、熱履歴差の影響により熱劣化ポリマが出やすい。また、吐出孔あたりのポリマ流入量が小さく、滞留時間が増加しやすく、その分熱劣化が促進されるためである。
本発明に用いられる熱可塑性ポリマとしては、溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、などに代表されるポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミドなどを例示することができる。
また、本発明の溶融紡糸方法は、単一成分ポリマの均質化だけに限定されるものではない。たとえば、2種類以上のポリマを用いた複合ポリマに適用した場合、各成分のポリマを分配し、口金吐出孔8でポリマを合流させることでポリマ同士の混練が可能となり、ポリマの複合化を促進させることもできる。
本発明は、一般的な溶融紡糸法に限らず、溶液紡糸法にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
(1)固有粘度(IV)
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により求めた。この相対粘度ηrを用いて、次式により固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマ溶液の粘度、η0:o−クロロフェノールの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm)、t0:o−クロロフェノールの落下時間(秒)、d0:o−クロロフェノールの密度(g/cm)。
(2)繊度(dtex)
糸条を500mかせ取り、かせの質量(g)に20を乗じた値を繊度とした。
(3)繊度差
1つの口金から得られる単糸それぞれの繊度を(2)に従い測定し、最大繊度値と最小繊度値の差を繊度差とし、最大繊度値と最小繊度値の差が2%以下を○、2%を超えると×として評価した。
(4)糸径斑
巻き取られたパッケージの表層15000m分の糸を、糸速度500m/分で引き取りながらキーエンス製レーザー外径測定機LS−9006で連続的に糸径を測定した基準径に対し下記の糸径斑の大きさと個数で優劣判定した。
〇 全長に渡り基準径(μm)+5μm未満。
△ 基準径(μm)+5μm以上の糸径斑が2箇所未満。
× 基準径(μm)+5μm以上の糸径斑が2箇所以上。
(実施例1)
常法によって重合およびペレット化した固有粘度(IV)=0.78のポリエチレンテレフタレート(PET)をエクストルーダーによって溶融させた。その後、溶融したポリマを、295℃に保温されたスピンブロック内に設けた配管および所望のポリマ流量に計量する計量ポンプを通過させ、溶融紡糸用パック口金に導いた。
溶融紡糸は、口金面から加熱筒下端までの距離191mm、加熱筒軸心方向の長さ100mm、加熱筒内径89mm、加熱筒内雰囲気温度273℃の加熱筒を配設し、口金から紡出された糸条を通過させた。その後、糸条に対し冷却機を用いて略直角かつ1方向から25℃のエアーを20m/分の風速で糸条に吹き付け、冷却固化させた。冷却固化された糸条に、オイリングロールにより紡糸油剤を延伸糸に対して0.3%となるように給油した。
油剤の成分は、公知の脂肪酸エステル系平滑剤50%、水溶性ポリエーテル変性シリコーンを1%、その他公知の金属磨耗剤、制電剤、界面活性剤からなる混合油剤を蒸留水に対して10%の濃度でエマルション化したものである。
給油後の糸条を一旦巻き取ることなく、表面速度852m/分、表面温度90℃の第1ホットロール、表面速度3238m/分、表面温度90℃の第2ホットロール、表面速度4048m/分、表面温度130℃の第3ホットロール、表面速度3996m/分のゴデットロールを介した後、巻取張力0.2cN/dtexで制御された糸条巻取装置にて巻き取った。得られたポリエステルモノフィラメントは、理論単糸径32μmの繊度10.0dtexであった。
溶融紡糸用パック口金は、図1および図3に例示した構成であり、濾層部3の内蔵物として金網や焼結多孔質金属などで構成されたフィルタ5を挿入した上に、ステンレス製の濾材4を充填した。
まず、濾層部3を通過した溶融ポリマが図3に例示した分配板を設けず溶融紡糸するために配設した多孔板10を通過させ、多孔板下面に設けた口金7に円周上かつ等配に4箇所配設した吐出孔8から吐出させた。なお多孔板10の孔数は口金7の吐出孔8に対応するように4箇所配設した。
巻き取られたパッケージの表層15000m分の糸を、糸速度500m/分で引き取りながらキーエンス製レーザー外径測定機LS−9006で連続的に測定される糸径と長さから単糸の平均体積を超過している部分の断面積および断面積増加部の長さから導かれる体積増分ΔVを計測した。結果は、ΔVは1.20×10−11[m]であり、目標体積増分V0は、糸径斑が全長に渡り基準径+5μm未満となるように、5.12×10−13[m]とした。
この閾値より、式1を満足する分配数Nは32回であり、図1に例示した分配板6の分配数Nを32回として、分配板下面に設けられた口金7の吐出孔8に集約合流し、単糸断面内に含まれる分配・合流した熱可塑性ポリマの数Nを32個まで分散して吐出させた。得られたポリエステルモノフィラメント、4糸条の繊度を測定した結果、繊度差2%以下であった(〇判定)。また、糸径斑を測定した結果、基準系+5μm以上の糸径斑が0個であった(〇判定)。これは、単糸断面内に含まれる架橋した熱可塑性ポリマの数が32個まで分散され、糸径斑である体積の増加が顕在化しなくなったためである。
(実施例2)
分配数Nを64回とし、分配・合流する熱可塑性ポリマの数Nを64個とした以外、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。4糸条の繊度を測定した結果、繊度差1%以下と実施例1に比べ優位であった(〇判定)。これは、分配数が増加したことで内外層の熱履歴差がより均一となったためである。また、糸径斑を測定した結果、基準系+5μm以上の糸径斑が0個であった(〇判定)。これは、単糸断面内に含まれる架橋した熱可塑性ポリマの数Nが64個まで分散され、糸径斑である体積の増加が顕在化しなくなったためである。
(比較例1)
分配数Nを8回とし、分配・合流する熱可塑性ポリマの数Nを8個とした以外、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。4糸条の繊度を測定した結果、繊度差2%以下であった(〇判定)。また、糸径斑を測定した結果、基準系+5μm以上の糸径斑が3個であった(×判定)。これは、単糸断面内に含まれる架橋した熱可塑性ポリマの数Nが8個と分散性に乏しく、体積増加分が糸径斑として顕在化したためである。
(比較例2)
分配数Nを16回とし、分配・合流する熱可塑性ポリマの数Nを16個とした以外、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。4糸条の繊度を測定した結果、繊度差2%以下であった(〇判定)。また、糸径斑を測定した結果、基準系+5μm以上の糸径斑が1個であった(△判定)。これは、単糸断面内に含まれる架橋した熱可塑性ポリマの数Nが16個と分散性に乏しく、体積増加分が糸径斑として顕在化したためである。
(比較例3)
分配板を設けず、溶融紡糸するために配設した多孔板10を用いて分配数Nを1個とした以外、実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。4糸条の繊度を測定した結果、繊度差5%を超えた(×判定)。これは、内外層の熱履歴差や異常滞留によって生じた熱劣化ポリマが分配されていない状態で吐出孔8に流入したためである。また、糸径斑を測定した結果、基準系+5μm以上の糸径斑が6個であった(×判定)。これは、単糸断面内に含まれる架橋した熱可塑性ポリマの数Nが1個と分散されていないためである。
1:紡糸パック口金
2:ポリマ導入孔
3:濾層部
4:濾材
5:フィルタ
6:分配板
7:口金
8:吐出孔
9:分配板上流側のポリマ流入孔
9a:分配板上流側のポリマ流入孔群
10:多孔板
11:単糸平均体積部
12a:架橋した複数の熱可塑性ポリマ
12b:架橋した一つの熱可塑性ポリマ

Claims (1)

  1. 分配板、口金の順に配し、分配板上流側から分配板内で複数箇所に熱可塑性ポリマを分配し、前記分配された熱可塑性ポリマを口金部で合流させ、単糸断面内に前記分配・合流された熱可塑性ポリマを吐出する合成繊維の溶融紡糸パック口金を用いて熱可塑性溶融ポリマを溶融紡糸するに際して、
    分配板を設けず溶融紡糸して得られた合成繊維の単糸の平均体積を超過している部分の断面積および断面積増加部の長さから導かれる体積増分ΔVおよび許容可能な体積増分から定める目標体積増分V0を指標とし、前記単糸断面内に含まれる、前記分配・合流する熱可塑性ポリマの数Nが次式1を満たすことを特徴とする溶融紡糸方法。
    式1:(ΔV×(1/2))/V0 ≦1
    ΔV:分配板を設けず溶融紡糸して得られた合成繊維の単糸の平均体積を超過している部分の断面積および断面積増加部の長さから導かれる体積増分
    V0:目標体積増分
    N:単糸断面内に含まれる複数箇所から分配され合流する熱可塑性ポリマの数
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