JP2018202852A - 昇華型インクジェット捺染転写紙 - Google Patents
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Abstract
Description
基紙を構成する原料パルプとしては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ、これらのパルプを組み合わせたもの等を使用することができる。
基紙には、必要により添加剤を内添することができる。
基紙には、必要により水溶性高分子を主成分とする下塗り層を設けてもよい。
基紙としては、表面・サイズ度テスター(EST12、emtec製)で測定した、基紙の初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(以下、ESTサイズ度ともいう)は、0.10〜3.00秒であるものを使用することができる。基紙としては、ESTサイズ度が0.50〜2.00秒であるものがより好ましい。表面・サイズ度テスターで測定したESTサイズ度は、インク受容層塗料の塗工直後における基紙へのインク受容層塗料の浸透性を表すパラメータである。ESTサイズ度が0.10秒未満の場合、インク受容層塗料が基紙へと過度に浸透し、インク受容層に微細な欠陥が生じ、画像再現性を若干低下させる可能性がある。一方、ESTサイズ度が3.00秒を越える場合、インク受容層塗料が基紙へと浸透しにくく、インク受容層と基紙との密着性の悪化を招く結果、画像再現性を若干低下させる可能性がある。画像再現性を高めるために、ESTサイズ度が0.10〜3.00秒の範囲内である基紙を用いることができる。ESTサイズ度は、例えば、基紙のサイズ剤等の添加剤の種類、添加量や下塗り層の塗工量や添加剤の種類、添加量を組み合わせて調整することができる。ESTサイズ度は、添加量を低減できる観点から、基紙にアルケルケテンダイマーを内添して調整することが好ましい。
昇華型インクジェット捺染転写紙において、昇華型捺染インク受容層と基紙との間に、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCともいう)等を含有するアンダー層が形成されていても良い。アンダー層が形成されていることにより、混合塗料の塗工直後における湿潤塗料の馴染みがよくなるため、より少ない塗工量でピンホールのない連続被膜が得られ易くなるという効果が奏される。
昇華型捺染インク受容層(以下、インク受容層ともいう)は、少なくとも1種類以上のバインダーと無機粒子と含有したインク受容層塗料からなる。
本発明の昇華型インクジェット捺染転写紙は、高速印刷に適用するため、より速乾性が求められている。そこで、無機粒子は少なくとも軽質炭酸カルシウムを含む。
バインダーは少なくともエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAともいう)を含む。
水溶性高分子は、通常の塗料では主としてバインダーとして用いられるが、本発明においては、昇華型捺染インクを捕捉、吸収する特性を併せ持っており、顔料同士の接着力が高い、各種ケン化度のポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)をEVAと併用することが好ましい。バインダーとしてPVAを更に含む場合、PVAは、無機粒子の合計100質量部に対して、1.0〜10.0質量部の割合でインク受容層塗料に含有させることが好ましい。PVAの含有量が無機粒子の合計100質量部に対して、10.0質量部を越えると、昇華型インクジェット捺染転写紙への印刷時に滲みによる印字ムラが生じやすく、インクの乾燥性も低下するため好ましくない。
軽質炭酸カルシウムは、シリカ粒子やカオリンに比べ、インク放出性が優れる反面、インク定着性が劣る可能性があるため、インク定着剤を含有させていることが好ましい。インク定着剤としては、高粘度の塗料中でも安定性が高い観点から、ポリアミンエピクロロヒドリン系化合物であることが好ましい。
インク受容層には、例えば、サイズ剤、着色染料、着色顔料、消泡剤、蛍光増白剤、粘度調整剤、潤滑剤等の添加剤を含有させることができる。
インク受容層は、40.0%以上(固形分濃度)の高濃度で塗工するため、ロッドコータ又はブレードコータの塗工液を直接掻き落とす塗工機で形成される。そうすることで、高濃度・高粘度の塗工液を均一な膜厚で形成することが可能である。
(バックコート層)
透気度は、100〜10000秒であることが好ましく、500〜1500秒がより好ましい。透気度は、JIS P 8117(2009)に準拠して測定した測定値である。透気度の値がこの範囲内であることによって、昇華したインキをインク受容層から被転写体へと良好に転写することができると共に、昇華したインキが基紙の裏面側へと抜けることを抑制することができる。透気度が100秒未満の場合、昇華したインキが紙の裏面側に抜け、転写用の熱ロールまたは熱板を汚損してしまうため好ましくない。一方、透気度が10000秒を越える場合、インク受容層内の水分が基紙に浸透せず乾燥性が悪化し、インク受容層内の水分が熱転写時に抜けず、ブリスター等を引き起こす可能性があるため好ましくない。
昇華型インクジェット捺染転写紙に印刷したインクを布帛等に捺染転写する場合、布帛の種類や昇華インクの種類等に応じて、温度及び加熱時間が調整される。例えば、のぼりに用いられるポンジと呼ばれる素材に昇華転写を行う場合は、生地の裏側までインキを浸透させる必要があるため、200〜215℃の高温で転写が行われる。また、法被等に用いられる厚手の生地(スウェード等)に昇華転写を行う場合、印刷部のエッジの再現性(輪郭のシャープさ)が得られるように、190℃程度のインクの昇華温度に近い温度で転写が行われる。
(基紙1)
LBKP 80質量%とNBKP 20質量%とを配合したものに、填料として、重質炭酸カルシウム及びタルクを灰分が8.0%となるように添加し、添加剤として、クラフトパルプ全量100質量%に対して、カチオン化デンプンを0.8質量%、アルキルケテンダイマー(内添サイズ剤)を0.3質量%、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3質量%添加して紙料を調製した。この紙料を抄紙機で抄紙し、表面・サイズ度テスター(EST12、emtec製)で測定した初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(ESTサイズ度)が2.00秒である基紙を得た(以下、基紙1という)。
LBKP 80質量%とNBKP 20質量%とを配合したものに、填料として、重質炭酸カルシウム及びタルクを灰分が0.5%となるように添加し、助剤として、クラフトパルプ全量100質量%に対して、カチオン化デンプンを0.8質量%、酸性ロジンエマルジョンサイズ剤(内添サイズ剤)を1.1質量%、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3質量%添加して紙料を調製した。この紙料を抄紙機で抄紙し、ESTサイズ度が0.10秒であるクラフト紙を得た(以下、基紙2という)。
LBKP 100質量%に、填料として、重質炭酸カルシウム及びタルクを灰分が0.5%となるように添加し、助剤として、クラフトパルプ全量100質量%に対して、カチオン化デンプンを0.8質量%、酸性ロジンエマルジョンサイズ剤(内添サイズ剤)を1.1質量%、アニオン変性ポリアクリルアマイドを0.3質量%添加して紙料を調製した。この紙料を抄紙機で抄紙し、ESTサイズ度が0.50秒となるクラフト紙を得た(以下、基紙3という)。
内添サイズ剤の量を1.5質量%としたことを除いて基紙1と同じ材料及び方法により、ESTサイズ度が3.50秒であるクラフト紙を得た(以下、基紙4という)。
内添サイズ剤の量を0.1質量%としたことを除いて基紙2と同じ材料及び方法により、ESTサイズ度が0.05秒であるクラフト紙を得た(以下、基紙5という)。
インク受容層塗料の成分として、以下の材料を使用した。
・粒子A1:軽質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.08μmの凝集体、アスペクト比:8、BET比表面積:15m2/g
・粒子A2:軽質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.15μm、アスペクト比:9
・粒子A3:軽質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.30μm、アスペクト比:8
・粒子B:重質炭酸カルシウム
1次粒子メジアン径d50:0.50μm、アスペクト比:8
・粒子C:クレー
1次粒子メジアン径d0.40μm、アスペクト比:15
・粒子D:シリカ粒子
平均粒子径:20.0μm
(バインダー)
・EVA:リカボンドBE814(ジャパンコーティングレジン(株)製)
・PVA:クラレポバール105((株)クラレ製)
(インク定着剤)
ポリアミンエピクロロヒドリン系インク定着剤:ジェットフィックスN700(里田化工(株)製)
無機粒子、バインダー及びインク定着材を表2に示す割合で水(溶媒)に混合し、インク受理層塗料1〜27を調製した。より詳細には、適量の水に無機粒子を分散させた後、水溶性樹脂を添加し、水を適宜加えて最終的な固形分濃度が45.0%となるように調節した。
クレー100質量部に対して、SBラテックス15.0質量部、タピオカ澱粉7.0質量部を水(溶媒)に混合し、バックコート層塗料を調製した。より詳細には、適量の水に無機粒子を分散させた後、水溶性樹脂を添加し、水を適宜加えて最終的な固形分濃度が50.0%となるように調節し、表3に示す塗工量で塗工した。
基材の一方面にロッドコータを用いてインク受容層塗料を塗工し、他方面にロッドコータを用いてバックコート層塗料を塗工し、約130℃で乾燥させ昇華型捺染インク受容層を形成し、昇華型インクジェット捺染転写紙を得た。各実施例及び各比較例で用いた基紙とインク受容層塗料との組み合わせ、インク受容層塗料及びバックコート層塗料の塗工量(乾燥後)を表3に示す。
得られた昇華型インクジェット捺染転写紙を以下の方法により評価した。
透気度は、JIS P 8117:2009に準拠して、ガーレー標準型デンソメーター(ガーレー高圧型透気度試験機、熊谷理機工業(株)製)を用いて測定した。
各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで赤100%+黄100%のベタ印字を行い、190℃で90秒間保持してポリエステル布素材への熱転写を行った。その後、布素材への転写濃度を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
なお、評価3以上が実用レベルである。
[評価基準]
5:布素材への転写濃度が高い。
4:布素材への転写濃度が「評価5」と比較すると低下しているが、十分に高い。
3:布素材への転写濃度は「評価4」と比較すると低下しているが、実用上問題ない程度の濃度である。
2:布素材への転写濃度が低く、実用上問題がある程度の濃度である。
1:布素材への転写濃度は明らかに低い。
各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで赤100%+黄100%のベタ印字を行い、190℃で90秒間保持してポリエステル布素材への熱転写を行った。その後、転写後の各昇華型インクジェット捺染転写紙の印字面を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価3以上が実用レベルである。
[評価基準]
5:紙面にインクが僅かに残っている程度である。
4:紙面にインクが残っているが、濃度は低い。
3:紙面にやや濃くインクが残っているが、実用上問題ない程度の濃度である。
2:紙面に濃くインクが残っており、実用上問題がある程度の濃度である。
1:紙面にかなり濃くインクが残っている。
各昇華型インクジェット捺染転写紙にインクジェットプリンタで黒100%のベタ印字をした直後、印字面をテッシュペーパーで擦り、拭取った際に、紙面上のインクの伸びの有無を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
5:乾燥が非常に早く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが全くない。
4:乾燥が早く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが殆どない。
3:乾燥が若干遅く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが僅かに認められるが、実用上問題はない。
2:乾燥が遅く、拭取り後の紙面上でインクの伸びが認められる。
1:乾燥が非常に遅く、装置汚れや印字部の汚れが認められ、拭取り後の紙面上でインクの伸びが長く、使用不可である。
基紙としては、表面・サイズ度テスター(EST12、emtec製)で測定した、基紙の初期吸水特性の超音波透過強度が100%に達するまでの時間(以下、ESTサイズ度ともいう)は、0.01〜3.00秒であるものを使用することができる。基紙としては、ESTサイズ度が0.50〜2.00秒であるものがより好ましい。表面・サイズ度テスターで測定したESTサイズ度は、インク受容層塗料の塗工直後における基紙へのインク受容層塗料の浸透性を表すパラメータである。ESTサイズ度が0.01秒未満の場合、インク受容層塗料が基紙へと過度に浸透し、インク受容層に微細な欠陥が生じ、画像再現性を若干低下させる可能性がある。一方、ESTサイズ度が3.00秒を越える場合、インク受容層塗料が基紙へと浸透しにくく、インク受容層と基紙との密着性の悪化を招く結果、画像再現性を若干低下させる可能性がある。画像再現性を高めるために、ESTサイズ度が0.01〜3.00秒の範囲内である基紙を用いることができる。ESTサイズ度は、例えば、基紙のサイズ剤等の添加剤の種類、添加量や下塗り層の塗工量や添加剤の種類、添加量を組み合わせて調整することができる。ESTサイズ度は、添加量を低減できる観点から、基紙にアルケルケテンダイマーを内添して調整することが好ましい。
Claims (2)
- 基紙の一方面に昇華型捺染インク受容層が形成されており、
前記昇華型捺染インク受容層は、少なくとも1種類以上のバインダーと無機粒子と含有したインク受容層塗料からなり、
前記無機粒子が軽質炭酸カルシウムであり、
前記バインダーは少なくともエチレン酢酸ビニル共重合体を含み、
前記エチレン酢酸ビニル共重合体は無機粒子の合計100質量部に対して5.0〜15.0質量部の割合で含有されていることを特徴とする、昇華型インクジェット捺染転写紙。 - 前記基紙は、原料としてパルプが主成分であり、内添サイズ剤が含有されており、表面・サイズ度テスターで測定した、初期吸水特性の超音波が100%に達するまでの時間が、0.01〜3.00秒である、請求項1記載の昇華型インクジェット捺染転写紙。
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