JP2018202308A - シランカップリング剤処理方法、シランカップリング剤処理基材の製造方法および積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 基材を、−18℃以上、40℃以下のシランカップリング剤処理液に、1秒間以上、10分間以下の時間接触させた後に、シランカップリング剤を実質的に含有しない洗浄溶媒に3秒間以上、10分間以下接触させる事を特徴とするシランカップリング剤処理方法。
[2] 前記シランカップリング剤処理液が、液状シランカップリング剤、またはシランカップリング剤を少なくとも0.1質量%以上含有する溶液である事を特徴とする[1]に記載のシランカップリング剤処理方法。
[3] 前記洗浄溶媒が、水、炭素数が8以下の一価のアルコール、炭素数が4以下の二価のアルコールから選択される少なくとも一種以上の液体であることを特徴とする[1]または[2]に記載のシランカップリング剤処理方法。
[4] 前記基材が、厚さ1μm以上、500μm以下の高分子フィルムであることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載のシランカップリング剤処理方法。
[5] 基材に対し、[1]から[4]のいずれかに記載のシランカップリング剤処理を行った後に、基材の乾燥工程を有することを特徴とするシランカップリング剤処理基材の製造方法。
[6] 基材に対し、[1]から[4]のいずれかに記載のシランカップリング剤処理を行った後に、基材の乾燥工程を有することを特徴とするシランカップリング剤処理基材の製造方法。
[7] 請求項7の製造方法により得られたシランカップリング剤処理基材と、他の基材を積層することによる積層体の製造方法。
[8] 基材を大気圧プラズマ処理装置によりドライ洗浄した後に、[1]から[4]のいずれかに記載の処理を行う事を特徴とするシランカップリング剤処理方法、および[6]に記載のシランカップリング剤処理基材の製造方法、および[7]に記載の積層体の製造方法。
[9] 基材をUVオゾン照射装置によりドライ洗浄した後に、[1]から[4]のいずれかに記載の処理を行う事を特徴とするシランカップリング剤処理方法、および[6]に記載のシランカップリング剤処理基材の製造方法、および[7]に記載の積層体の製造方法。
[10] 基材に[1]から[4]のいずれかに記載の処理を行う事を特徴とするシランカップリング剤処理を実施した後に、基材の少なくとも一部に大気圧プラズマ処理またはUVオゾン照射処理を行う事を特徴とするシランカップリング剤処理方法。
[11] 前記高分子フィルムが、0.1平方メートル以上の面積を有するシート状であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載のシランカップリング剤処理方法、および[6]に記載のシランカップリング剤処理基材の製造方法、および[7]に記載の積層体の製造方法。
[12] 前記高分子フィルムが幅240mm以上、長さが10m以上の長尺フィルムである事を特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載のシランカップリング剤処理方法、および[6]に記載のシランカップリング剤処理基材の製造方法、および[7]に記載の積層体の製造方法。
[13] 前記高分子フィルムとしてポリイミドフィルムを用い、[1]から[4]のいずれかに記載のシランカップリング剤処理方法を用いたシランカップリング剤処理の後に、含水率が0.3質量%に達す須磨で乾燥する工程を有する事を特徴とする[6]に記載のシランカップリング剤処理基材の製造方法、および[7]に記載の積層体の製造方法。
[14] 前記高分子フィルムとしてポリイミドフィルムをシランカップリング剤処理前に、水酸化カリウムを含む洗浄剤でクリーニング処理を行う事を特徴とする[13]に記載のシランカップリング剤処理基材の製造方法、および[7]に記載の積層体の製造方法。
[15] 前記[1]から[4]のいずれかに記載の処理方法にて処理されたシランカップリング剤処理フィルムと、水酸化カリウムを含む洗浄剤でクリーニング処理された無機基板とをラミネートすることを特徴とする、ブリスター欠点数が15個/平方メートルの積層体の製造方法。
本発明では、基材をシランカップリング処理液ないし洗浄溶媒とを接触させる手段としてシャワーコート、ブラシコート、スポンジコート、ディップコート、スピンコートから選択される少なくとも1種の手段を好ましく用いる事ができる。これらの処理は比較的簡単であり、既存の装置などの流用も十分可能である。
本発明では基材へのシランカップリング剤吸着を阻害しないためにも基材表面は清浄であることが好ましい。かかる清浄性は大気圧プラズマ洗浄、あるいはUVオゾン洗浄にて実現する事ができる。
本発明において処理液と基材を接触させる手段は特に限定されないが、シャワーコート、ブラシコート、スポンジコート、ディップコート、スピンコートから選択される少なくとも1種の手段を好ましく用いる事ができる。
シャワーコートはスプレーコートとも呼ばれ、基材に処理液をシャワー状ないしスプレー状に吹き付ける処理方法である。
ブラシコートは好ましくは回転する円柱ブラシを用いて、処理液を振りかけながらブラシで基材表面に万遍無く処理液が付着するように操作する装置である。なおその際にブラシが直接基材に接触すると基材に傷が生じる場合があるため、ブラシは基材に触れない距離に留めることが好ましい。ブラシと基材の距離は1mm以上50mmが好ましい。スポンジコートはブラシの代わりにスポンジロールなどを用いた方法である。
ディップコートは文字通り基材を処理液に浸漬する処理装置である。
本発明における洗浄溶媒は、水、炭素数が8以下の一価のアルコール、炭素数が4以下の二価のアルコールから選択される少なくとも一種以上の液体であることがこのましい。より好ましくは、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、水から選択される一種以上の溶媒である事が好ましい。本発明では2種以上の溶媒からなる混合溶媒を用いる事ができる。本発明では水とアルコールの混合溶媒、水とエチレングリコールまたはプロピレングリコールとの混合溶媒、さらに水、炭素数が3以下のアルコール、炭素数が3以下のジオールの混合溶媒の使用が好ましい。
本発明において基材に高分子フィルムを用いた場合には、高分子フィルムの含水率が好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、なお好ましくは0.08質量%以下となるまで乾燥させることが好ましい。高分子フィルムに必要以上に水分が残存するとブリスター欠点が発生しやすくなる。含水率の制御は特に高分子フィルムとしてアラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムを用いた場合に重要である。
本発明では厚さが1μm以上500μm以下のフィルムないしシートを用いる事ができる。本発明で好ましいフィルム厚さは4μm以上、260μm以下であり、好ましくは、7μm以上、130μm以下であり、なお好ましくは12μm以上80μm以下の範囲である。
本発明では0.1平方メートル以上の面積を有するシート状の高分子フィルムを用いる事ができる。また、本発明では幅240mm以上、長さが10m以上の長尺フィルムの形態の高分子フィルムを用いる事ができる。大面積の基材を用いた方が生産性の点で優位である。が一方で大面積であると確率的に欠点が生じやすく、製品の収率が伸びにくい。しかしながら本発明の処理方法では欠点発生頻度が非常に低いために、大面積の基材を有効に利用することができる。
本発明ではシランカップリング剤処理液の温度を−18℃以上、40℃以下に調整して基材と接触させることが好ましい。シランカップリング剤処理液の温度は−15℃以上が好ましく、−10℃以上がさらに好ましく、−5℃以上がなお好ましい。またシランカップリング剤処理液の温度の上限は33℃以下が好ましく。24℃以下がなお好ましく、18℃以下がなおさらに好ましい。
温度が所定の範囲を超えるとシランカップリング剤の活性度が上がり、処理液中にてシランカップリング剤の縮合反応が進み、凝集物が生じやすくなり、また縮合が進むとシラノール基の濃度が下がりカップリング効果が低下する。しょりおんどが化学活性の観点からは低い方が好ましいが、零度を下回ると溶媒として純水を使うことが困難になる。この場合、アルコール系の溶媒を用いるか、水を含んだ混合溶媒として溶媒の凝固点を下げて使用することができる。もちろん複数の水以外の溶媒を単独または混合して用いても良い。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
積層体の無機基板と高分子フィルム(ポリイミドフィルム)との接着強度(180度剥離強度)は、JIS C6471に記載の180度剥離法に従い、下記条件で測定した。
装置名 : 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 : 室温
剥離速度 : 50mm/分
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
なお、測定は、積層体作製直後と、イナートオーブン中にて500℃10分間の熱処理後について行った。測定数N=5とし、平均値を求めた。
シランカップリング剤処理面の顕微鏡観察により、30μm以上の異物の個数を計数し、平方メートル当たりの個数に換算した。
<ブリスター数>
積層体において直径0.2mm以上のブリスターの個数を計数し,平方メートルあたりの個数に換算した。なおブリスターとは高分子フィルムと無機基板の間に空隙が生じるタイプの欠点であり、ウキ、気泡、バブル等と呼ばれることがある。
<高分子フィルムの含水率>
乾燥処理後の高分子フィルムを100mm×100mmに切断し、初期の質量W0を測定し、次いで200℃にて10分間加熱処理した後の質量Whを測定し、
含水率(質量%)=100×(W0−Wh)/W0
にて含水率を求めた。
シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBE−603」)をイソプロパノール(IPA)よって1.0質量%に希釈したシランカップリング剤希釈液を処理液として調製した。
基材として周囲をステンレススチール製の枠で固定した、有効サイズ360mm×460mmの長方形であるポリイミドフィルムを用いた。
まず第1の工程としてディップコーターを用い、25℃に温度調整した処理液に基材を60秒間浸漬した。第2工程の洗浄溶媒に接触させる処理は省略し、そのまま120℃にて15分間乾燥し、シランカップリング剤処理フィルムを得た。得られたシランカップリング剤処理フィルムの含水率を測定し結果を表1に示した。
なお、表1、表2中の略語などの意味するところは以下のとおりである。
ポリイミドフィルム:東洋紡株式会社製XENOMAX−F38LR
ディップコーター: 容量120リットル浸漬層を2槽+水洗槽を有する浸漬コーター
スピンコーター:ジャパンクリエイト社製スピンコーター
シャワーコーター:第一工程1m、第二工程2mの連続式
SCA:シランカップリング剤
KBM−603:3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−603」)
KBE−903:3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBE−903」)
IPA:イソプロパノール
ETOH:エタノール
MEOH:メタノール
水/MEOH:水対メタノール=50/50(質量比)の混合溶媒
ラミネート基材:処理基材に対してラミネートする相手側の基材
実施例および比較例にて得られた積層体を用い、以下の工程により、ポリイミドフィルム上に真空蒸着法を用いてタングステン膜(膜厚75nm)を形成し、さらに大気にふれることなく、絶縁膜として酸化シリコン膜(膜厚150nm)を積層形成した。次いで、プラズマCVD法で下地絶縁膜となる酸化窒化シリコン膜(膜厚100nm)を形成し、さらに大気にふれることなく、アモルファスシリコン膜(膜厚54nm)を積層形成した。
得られたポリシリコン膜の易剥離部にある部分を用いてTFT素子を作製した。まず、ポリシリコン薄膜をパターニングを行って所定の形状のシリコン領域を形成し、適宜、ゲート絶縁膜の形成、ゲート電極の形成、活性領域へのドーピングによるソース領域またはドレイン領域の形成、層間絶縁膜の形成、ソース電極およびドレイン電極の形成、活性化処理を行い、ポリシリコンを用いたPチャンネルTFTのアレイを作製した。
TFTアレイ外周の0.5mm程度内側に沿ってUV−YAGレーザーにて高分子フィルム部を焼き切り、切れ目の端部から薄いカミソリ上の刃を用いてすくい上げるように剥離を行い、フレキシブルなTFTアレイを得た。剥離は極微力で可能であり、TFTにダメージを与えること無く剥離することが可能であった。得られたフレキシブルTFTアレイは3mmφの丸棒に巻き付けても性能劣化は見られず、良好なON/OFF特性を維持した。
さらに本発明では基材として長尺の高分子フィルムを用いる事ができる。本発明はシート状高分子フィルム、あるいは長尺のロール状高分子フィルムのいずれにも適用可能である。基材として高分子フィルムを用いた場合には未処理の無機基板、あるいは同様の処理を行った無機基板との貼り合わせが可能となり、ブリスターなどの欠点が極めて少ない高分子フィルム積層体を得ることができる。
従って、本発明の高分子フィルム積層体を用いれば、誘電体素子、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子、発光素子、光電変換素子、圧電変換素子、熱電変換素子等の電子デバイスが高分子フィルム上に形成したフレキシブル電子デバイスの製造に有用である。
Claims (7)
- 基材を、−18℃以上、40℃以下のシランカップリング剤処理液に、1秒間以上、10分間以下の時間接触させた後に、シランカップリング剤を実質的に含有しない洗浄溶媒に3秒間以上、10分間以下接触させる事を特徴とするシランカップリング剤処理方法。
- 前記シランカップリング剤処理液が、液状シランカップリング剤、またはシランカップリング剤を少なくとも0.1%以上含有する溶液である事を特徴とする請求項1に記載のシランカップリング剤処理方法。
- 前記洗浄溶媒が、水、炭素数が8以下の一価のアルコール、炭素数が4以下の二価のアルコールから選択される少なくとも一種以上の液体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシランカップリング剤処理方法。
- 前記基材が、厚さ1μm以上、500μm以下の高分子フィルムであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシランカップリング剤処理方法。
- 基材に対し、請求項1から請求項4のいずれかに記載のシランカップリング剤処理を行った後に、基材の乾燥工程を有することを特徴とするシランカップリング剤処理基材の製造方法。
- 基材に対し、請求項1から請求項4のいずれかに記載のシランカップリング剤処理を行った後に、基材の乾燥工程を有することを特徴とするシランカップリング剤処理基材の製造方法。
- 請求項7の製造方法により得られたシランカップリング剤処理基材と、他の基材を積層することによる積層体の製造方法。
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