JP6911563B2 - 液体塗布装置、および液体塗布方法。 - Google Patents

液体塗布装置、および液体塗布方法。 Download PDF

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Description

本発明は、長尺基材の表面をクリーニングしつつ、同時に液体を塗布するための装置、および、その装置を用いて長尺基材の表面をクリーニングしつつ、同時に液体を塗布する方法に関するものである。さらに詳しくは、ロール状長尺基材を巻き出して液体を塗布する装置においてメンテナンスが容易で装置構成をクリーンに保つことが簡便で有り、結果として高品位のシランカップリング剤処理表面を実現することができる液体塗布装置、および液体塗布方法に関するものである。
シランカップリング剤はガラスなどの無機材料と高分子樹脂などの有機材料との界面において、両者の濡れ性、接着性などを改善するために広く用いられている。シランカップリング剤は無機材料に対する吸着力が強いと同時に、自己縮合反応を生じやすい。そのため、処理液、コート液中にて縮合物の粒子が形成され、それら粒子が塗布面、処理面での異物欠点となる場合が少なくない。
かかる問題を解決するために例えば特許文献1にはシランカップリング剤を気相状態で基板に塗布する技術が開示されている。かかる手法によれば極めて薄いシランカップリング剤層を低欠点で実現することが可能となるとされている。しかしながら、この手法では、装置内部の基材以外のあらゆる個所にシランカップリング剤が付着してしまうために、長時間にわたる連続処理が難しい。
特開2015−178237号公報
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、液体塗布装置において特定の構造を有する液体塗布装置を用いる事により、連続長尺基材に対して処理が可能で、さらに低欠点なシランカップリング剤処理が行えることを見出し、加えて本装置および方法が広く液体塗布方法全般に適用可能であることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[1] 長尺基材表面のクリーニングと液体塗布を同時に行う装置であって、
・長尺基材を搬送する機構、
・長尺基材表面にフレキシブルなクリーニング用部材を押し付ける機構、
・前記クリーニング用部材に液体を供給する機構、
・クリーニング用部材を搬送する機構、
を少なくとも有する液体塗布装置。
[2] 前記フレキシブルなクリーニング用部材を長尺基材の表面に、1kPa以上、200kPa以下の圧力で接触させる事を特徴とする[1]に記載の液体塗布装置。
[3] 前記クリーニング用部材が、目付20g/平方メートル以上、1500g/平方メートル以下の範囲である織布、不織布、多孔質シートから選択される少なくとも1種の長尺布帛である事を特徴とする[1]または[2]に記載の液体塗布装置。
[4] 前記液体が、水、炭素数が1〜4の一価アルコール、炭素数が2〜6の二価アルコール、炭素数が3〜6の三価のアルコールから選択される少なくとも1種以上を含む事を特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の液体塗布装置。
[5] 前記液体が、シランカップリング剤、またはシランカップリング剤を含有する溶液であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の液体塗布装置
[6] 長尺基剤への液体塗布後に長尺基剤を乾燥する機構を有する[1]から[5]のいずれかに記載の液体塗布装置
[7] 長尺基剤への液体塗布前に、長尺基剤表面にUVオゾン処理を行う機構を有することを特徴とする[1]から[6]のいずれかに記載の液体塗布装置。
[8] 前記[1]から[7]のいずれかに記載の液体塗布装置を用いて長尺基剤にシランカップリング剤処理液を塗布する事を特徴とする液体塗布方法。
[9] 前記[1]から[7]のいずれかに記載の液体塗布装置を用いて長尺基剤とクリーニング用部材を相対速度0.05m/分以上10m/分以下となるように駆動することを特徴とする長尺基材への液体塗布方法。
本発明の液体塗布装置は、長尺基材の表面をクリーニングしつつ液体を塗布することができ、またメンテナンスも簡便であるため装置をクリーンに保つことが容易である。そのため、シランカップリング剤のような自己縮合反応性を有し、反応によりゲルや異物が生成しやすい液体塗布においても、頻繁にクリーニングが可能であるため、結果として突起欠点などの少ない高品位な液体塗布が可能となる。なお本発明ではシランカップリング剤処理液を本発明の液体塗布装置にて基剤に塗布し、乾燥するプロセスをシランカップリング剤処理または単に処理という。
本発明では基材へのシランカップリング剤吸着を阻害しないためにも基材表面は清浄であることが好ましい。かかる清浄性は大気圧プラズマ洗浄、あるいはUVオゾン洗浄にて実現する事ができる。
本発明ではかかる処理方法を用いる事により、シランカップリング剤を長尺基材に塗布し、無機基板とラミネートして積層体を作成する際に生じるブリスター欠点数を大幅に低減することが可能となる。
さらに、本発明によれば、前記方法によりラミネートされた積層体の無機基板と長尺高分子フィルムの高分子フィルム面に薄膜技術ないしは印刷技術を用いた微細加工を行い、電子デバイスやMEMSデバイスを形成、その後に高分子フィルムごと無機基板から剥離することで、高分子フィルムを基材としたフレキシブルデバイスを形成することができる。
本発明において、長尺きざいとして高耐熱性を有する長尺高分子フィルムを用いれば、耐熱性に劣る接着剤や粘着剤を用いることなく無機基板と長尺高分子フィルムとを貼り合わせが可能であり、例えば180℃以上といった高温が必要な場合であっても長尺高分子フィルム上に機能素子を形成することができる。一般に半導体、誘電体等は、高温で形成した方が膜質の良い薄膜が得られるため、より高性能な電子デバイスの形成が期待できる。従って、本発明の長尺高分子フィルム積層基板を用いれば、誘電体素子、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子、発光素子、光電変換素子、圧電変換素子、熱電変換素子等の電子デバイスが長尺高分子フィルム上に形成したフレキシブル電子デバイスの製造に有用である。
図1は、本発明の液体塗布装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の液体塗布装置を図を用いて説明する。
図1に概略を示す装置において、長尺基材は、長尺基材巻出し部11から供給され、必要に応じて設置される搬送ロール19を経て圧力印加用ロール201と202の間に導かれる。圧力印加用ロールにてクリーニング用部材と接触の後、搬送されて長尺基材巻き取り部にて巻き上げられる。
クリーニング用部材は、クリーニング用部材巻き出し部から必要に応じて設置される搬送用ロールを経て圧力印加用ロール201と202の間に、長尺基材とは進行方向が逆方向となるように導かれ、その後搬送ロールを経て巻き取り部112にて巻き上げられる。
圧力印加用ロール近傍に液体供給機構が設けられており、ここからクリーニング用部材に対して、塗布用の液体が供給される。供給された液体はクリーニング用部材に吸収され、クリーニング用部材を透過して長尺基材表面に塗布される。
長尺基材の搬送速度は0.05m/分以上、10m/分以下の範囲が好ましく、0.2m/分以上、3m/分の範囲が好ましい。搬送速度が必要以上に速くなると、特に長尺基材として高分子フィルムのような比較的軟らかい材料を用いた場合に表面の傷が増える恐れがある。
長尺基材とクリーニング用部材との相対速度は、0.06m/分以上、10.01m/分以下の範囲が好ましく、0.2m/分以上、3m/分の範囲が好ましい。搬送速度が必要以上に速くなると、特に長尺基材として高分子フィルムのような比較的軟らかい材料を用いた場合に表面の傷が増える恐れがある。
本発明におけるクリーニング用部材は、目付20g/平方メートル以上、好ましくは50g/平方m以上、1500g/平方メートル以下の範囲である織布、不織布、多孔質シートから選択される少なくとも1種の布帛を使用することができる。本発明ではマイクロファイバー製の布帛の使用が好ましい。マイクロファイバーからなる布帛としてはメガネ拭きなどとして使用されているポリエステル製の極細繊維を用いる事ができる。
本発明では、長尺基材にクリーニング用部材を接触させる圧力は、1kPa以上、200kPa以下であることが好ましく、3kPa以上120kPa以下であることが好ましく7kPa以上60kPa以下であることがさらに好ましい。
本発明では、高分子フィルムの液体塗布機構部からの導出後に乾燥工程を設け、シランカップリング剤処理長尺基材の製造方法とすることができる。乾燥はクリーンエアによる風乾、あるいは加熱乾燥、赤外線加熱による乾燥などを利用し、さらに複数の乾燥方法を組み合わせて用いる事ができる。
本発明において基材に長尺高分子フィルムを用いた場合には、長尺高分子フィルムの含水率が好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、なお好ましくは0.08質量%以下となるまで乾燥させることが好ましい。長尺高分子フィルムに必要以上に水分が残存するとブリスター欠点が発生しやすくなる。含水率の制御は特に長尺高分子フィルムとしてアラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムを用いた場合に重要である。
本発明では、長尺高分子フィルムを大気圧プラズマ処理装置によりドライ洗浄した後に本発明の液体塗布機構に導入することが好ましい。本発明では基材をUVオゾン照射装置によりドライ洗浄した後に液体塗布を行う事が好ましい。ここにUVオゾン処理装置とは大気中にて波長が300nm以下の紫外線を基材に照射すると同時に、UV光源近傍で発生するオゾンに基材を暴露する処理装置である。
本発明では、基材をウェット洗浄した後に、本発明の装置による液体塗布を行う事ができる。ここにウェット洗浄とは液状の洗浄溶媒にて基材を洗浄することを意味し、洗浄溶媒としては一般公知の界面活性剤を含む洗浄溶媒、有機溶剤を主体とする洗浄溶媒、水とアルコールを主成分とする洗浄溶媒、アルカリ性を示す水性洗浄溶媒、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩を含む洗浄溶媒、アンモニアまたは尿素を含む洗浄溶媒、第一級アンモニウム塩を含む洗浄溶媒、第二級アンモニウム塩を含む洗浄溶媒、第三級アンモニウム塩を含む洗浄溶媒、第四級アンモニウム塩を含む洗浄溶媒などを用いる事ができる。洗浄溶媒に含まれるアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンの濃度は、0.02〜8。0質量%が好ましい。
本発明では基材に本発明の液体塗布によりシランカップリング剤溶液の塗布と乾燥を実施した後に、基材の少なくとも一部に大気圧プラズマ処理またはUVオゾン照射処理を行う事ができる。特に基材がシート状、フィルム状、板状、基板上である場合に表裏の処理に差を付けたい場合にかかる後処理が有効である。
本発明ではかかる液体塗布方法を用いたシランカップリング剤処理を、基材として無機基板あるいは長尺高分子フィルム、または無機基板と長尺高分子フィルムの両方に行い、無機基板と長尺高分子フィルムをラミネートすることにより、欠点の少ない長尺高分子フィルムと無機基板の積層体を得ることができる。
本発明の無機基板としては、例えば、ガラス基板、セラミック板、半導体ウエハ、金属板等を例示できる。またガラス基板、セラミック板、半導体ウエハ、金属板から選択される2種以上が積層された複合基板も使用できる。さらにガラス、セラミック、金属から選択される一種以上の材料が、他の無機材料中ないし有機材料中に粉体的に分散している複合体を例示できる。さらにガラス、セラミック、金属から選択される一種以上の繊維状物が他の無機材料中、ないし有機材料中に複合化された繊維強化コンポジット構造を有する基板材料などを例示することができる。
本発明としては長尺基材として長尺の高分子フィルムを用いる事ができる。長尺高分子フィルムとは、PET、PEN、PBT等のポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリイミドベンゾチアゾールフィルム、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム、ポリイミドベンゾイミダゾールフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等を用いることができる。
本発明では0.1平方メートル以上の面積を有するシート状の長尺高分子フィルムを用いる事ができる。また、本発明では幅240mm以上、長さが10m以上の長尺フィルムの形態の長尺高分子フィルムを用いる事ができる。大面積の基材を用いた方が生産性の点で優位である。が一方で大面積であると確率的に欠点が生じやすく、製品の収率が伸びにくい。しかしながら本発明の処理方法では欠点発生頻度が非常に低いために、大面積の基材を有効に利用することができる。
本発明では長尺基材としてフレキシブルガラスを用いる事ができる。ここにフレキシブルガラスとは、厚さが5μm以上200μm以下の薄ガラスで有り、高分子フィルムの如くフレキシブル性を有し、ロール状に巻き取ることができるガラスである。フレキシブルガラスとしては、ハンドリング性および割れた際の飛散防止性など安全性のために片面に高分子フィルムを貼り合わせたフレキシブルガラスを用いても良い。
本発明では塗布液としてシランカップリング処理液を用いる事ができる。本発明におけるシランカップリング剤処理液とは、液状のシランカップリング剤ないしはシランカップリング剤を0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上含有する溶液である。
本発明ではシランカップリング剤処理液の温度を−18℃以上、40℃以下に調整して基材と接触させることが好ましい。シランカップリング剤処理液の温度は−15℃以上が好ましく、−10℃以上がさらに好ましく、−5℃以上がなお好ましい。またシランカップリング剤処理液の温度の上限は33℃以下が好ましく。24℃以下がなお好ましく、18℃以下がなおさらに好ましい。
温度が所定の範囲を超えるとシランカップリング剤の活性度が上がり、処理液中にてシランカップリング剤の縮合反応が進み、凝集物が生じやすくなり、また縮合が進むとシラノール基の濃度が下がりカップリング効果が低下する。しょりおんどが化学活性の観点からは低い方が好ましいが、零度を下回ると溶媒として純水を使うことが困難になる。この場合、アルコール系の溶媒を用いるか、水を含んだ混合溶媒として溶媒の凝固点を下げて使用することができる。もちろん複数の水以外の溶媒を単独または混合して用いても良い。
本発明において用いる事ができるシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
本発明で用いることのできるシランカップリング剤としては、上記のほかにn−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、などを使用することもできる。
また、シランカップリング剤の中に他のアルコキシラン類、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどを適宜加えても良い。また、シランカップリング剤の中に他のアルコキシラン類、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどを適宜加えた場合、あるいは、加えない場合も含めて、混合、加熱操作を加えて、反応を若干進めてから、使用しても良い。
かかるシランカップリング剤の中で、本発明にて好ましく用いられるシランカップリング剤はカップリング剤の、一分子あたりに一個の珪素原子を有する化学構造のシランカップリング剤が好ましい。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
本発明におけるシランカップリング剤溶液の溶媒は、水、炭素数が8以下の一価のアルコール、炭素数が4以下の二価のアルコールから選択される少なくとも一種以上の液体であることがこのましい。より好ましくは、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、水から選択される一種以上の溶媒である事が好ましい。本発明では2種以上の溶媒からなる混合溶媒を用いる事ができる。本発明では水とアルコールの混合溶媒、水とエチレングリコールまたはプロピレングリコールとの混合溶媒、さらに水、炭素数が3以下のアルコール、炭素数が3以下のジオールの混合溶媒の使用が好ましい。
本発明のシランカップリング剤処理を行って得られた長尺高分子フィルムと基材を用いた積層体は、ブリスター欠点数が極めて少なく、微細な構造を有する電子デバイスの基板として有用に用いる事ができる。本発明では積層体の基材の一方にポリイミドフィルムを用い、ポリイミドフィルムと無機基板の少なくともどちらか一方にシランカップリング剤処理を行って積層体とし、ポリイミドフィルム上に電子デバイスなどを形成した後にポリイミドフィルムと無機基板を剥離することにより、ポリイミドフィルムを基板としたフレキシブルな電子デバイスを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における物性の評価方法は下記の通りである。
<接着強度>
積層体の無機基板と高分子フィルム(ポリイミドフィルム)との接着強度(180度剥離強度)は、JIS C6471に記載の180度剥離法に従い、下記条件で測定した。
装置名 : 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 : 室温
剥離速度 : 50mm/分
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
なお、測定は、積層体作製直後と、イナートオーブン中にて500℃10分間の熱処理後について行った。測定数N=5とし、平均値を求めた。
<異物数>
シランカップリング剤処理面の顕微鏡観察により、30μm以上の異物の個数を計数し、平方メートル当たりの個数に換算した。
<ブリスター数>
積層体において直径0.2mm以上のブリスターの個数を計数し,平方メートルあたりの個数に換算した。なおブリスターとは長尺高分子フィルムと無機基板の間に空隙が生じるタイプの欠点であり、ウキ、気泡、バブル等と呼ばれることがある。
<長尺高分子フィルムの含水率>
乾燥処理後の長尺高分子フィルムを100mm×100mmに切断し、初期の質量W0を測定し、次いで200℃にて10分間加熱処理した後の質量Whを測定し、
含水率(質量%)=100×(W0−Wh)/W0
にて含水率を求めた。
<実施例/比較例>
シランカップリング剤として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBE−603」)をイソプロパノール(IPA)よって1.0質量%に希釈したシランカップリング剤希釈液を処理液として調製した。
基材として長尺高分子フィルムであるポリイミドフィルム、および厚さ50μmのフレキシブルガラス(片面保護フィルム付き)(日本電気硝子株式会社製)を用い、表1に示す装置、処理液(塗布液体)を用い、条件により本発明の液体塗布装置を用いたシランカップリング剤処理フィルムを得た。得られたシランカップリング剤処理フィルムの含水率を測定し結果を表1に示した。
得られたシランカップリング剤処理フィルムから、360mm×460mmの長方形をカットし、UVオゾン処理を行ったガラス基板(370mm×470mm)に、周囲から5mm離すように配置してラミネーター(クライムプロダクツ社製SE650nH)を用いて仮ラミネートし、仮ラミネート積層体を得た。ラミネート条件は、処理基板側温度100℃、ラミネート時のロール圧力5kg/cm2、ロール速度5mm/秒とした。仮ラミネート後のポリイミドフィルムはフィルムの自重では剥がれないが、フィルム端部を引っ掻くと簡単に剥がれる程度の接着性であった。その後、得られた仮ラミネート積層体をクリーンオーブンに入れ、200℃にて30分間加熱した後、室温まで放冷して、長尺高分子フィルム(ポリイミドフィルム)とガラス基板の積層体を得た。同一の操作を行い、積層体5枚を得て、全ての積層体についてブリスター個数を計数し、平方メートルあたりに換算し、ブリスター密度とし、結果を表1に示した。
以下、表1に示す基材、処理装置、条件により順次実験を行い、得られた基材の特性について評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中の略語などの意味するところは以下のとおりである。
クリーニング用部材C1:
目付210g/平方メートルのトレシーMK(登録商標)東レ株式会社製
クリーニング用部材C2:目付1200g/平方メートルのフェルト地
クリーニング用部材C3:目付560g/平方メートルの発泡ウレタンシート
ポリイミドフィルム1:東洋紡株式会社製 XENOMAX−F38LR
ポリイミドフィルム2:宇部興産株式会社製 UPILEX 25S
フレキシブルガラス(片面保護フィルム付き):日本電気硝子株式会社製
SCA:シランカップリング剤
KBM−603:3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−603」)
KBE−903:3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBE−903」)
IPA:イソプロパノール
ETOH:エタノール
MEOH:メタノール
水/MEOH:水対メタノール=50/50(質量比)の混合溶媒
ラミネート基材:処理基材に対してラミネートする相手側の基材
ガラス板:コーニング社製液晶ディスプレイ用基板ガラス
PIフィルム:ポリイミドフィルム1
Figure 0006911563
<応用例>
実施例および比較例にて得られた積層体を用い、以下の工程により、ポリイミドフィルム上に真空蒸着法を用いてタングステン膜(膜厚75nm)を形成し、さらに大気にふれることなく、絶縁膜として酸化シリコン膜(膜厚150nm)を積層形成した。次いで、プラズマCVD法で下地絶縁膜となる酸化窒化シリコン膜(膜厚100nm)を形成し、さらに大気にふれることなく、アモルファスシリコン膜(膜厚54nm)を積層形成した。
次いでアモルファスシリコン膜の水素元素を除去し結晶化を促進し、ポリシリコン膜を形成する為に510℃の熱処理を10分間行った。
得られたポリシリコン膜の易剥離部にある部分を用いてTFT素子を作製した。まず、ポリシリコン薄膜をパターニングを行って所定の形状のシリコン領域を形成し、適宜、ゲート絶縁膜の形成、ゲート電極の形成、活性領域へのドーピングによるソース領域またはドレイン領域の形成、層間絶縁膜の形成、ソース電極およびドレイン電極の形成、活性化処理を行い、ポリシリコンを用いたPチャンネルTFTのアレイを作製した。
TFTアレイ外周の0.5mm程度内側に沿ってUV−YAGレーザーにて長尺高分子フィルム部を焼き切り、切れ目の端部から薄いカミソリ上の刃を用いてすくい上げるように剥離を行い、フレキシブルなTFTアレイを得た。剥離は極微力で可能であり、TFTにダメージを与えること無く剥離することが可能であった。得られたフレキシブルTFTアレイは10mmφの丸棒に巻き付けても性能劣化は見られず、良好なON/OFF特性を維持した。
本発明の液体塗布装置は、特にシランカップリング剤処理におけるシランカップリング剤塗布に好適であり、異物の少ない高品位の処理が可能である。本液体塗布装置をフレキシブル電子デバイスの製造に適用した場合には高収率で電子デバイスの生産が可能となり産業界への寄与は大きい。
さらに本発明では基材として長尺の高分子フィルム、長尺のフレキシブルガラスを用いる事ができる。本発明の液体塗布装置は、誘電体素子、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子、発光素子、光電変換素子、圧電変換素子、熱電変換素子等の電子デバイスを長尺高分子フィルム上、またはフレキシブルガラス上に形成する過程にて有用に利用できる。
11 長尺基材巻き出し部
12 長尺基剤巻き取り部
19 搬送用ロール
111 クリーニング用部材巻き出し部
112 クリーニング用部材巻き取り部
201 圧力印加用ロール
202 圧力印加用ロール
203 液体供給機構
A 長尺基材
C クリーニング用部材

Claims (7)

  1. 長尺基材表面のクリーニングと液体塗布を同時に行う装置を用いる長尺基材への液体塗布方法であって、
    ・長尺基材を搬送する機構、
    ・長尺基材表面にフレキシブルなクリーニング用部材を押し付ける機構、
    ・前記クリーニング用部材に液体を供給する機構、
    ・クリーニング用部材を搬送する機構、
    を少なくとも有する液体塗布装置を用いて長尺基剤とクリーニング用部材を相対速度0.05m/分以上10m/分以下となるように駆動することを特徴とする長尺基材への液体塗布方法。
  2. 前記フレキシブルなクリーニング用部材を長尺基材の表面に、1kPa以上、200kPa以下の圧力で接触させる事を特徴とする請求項1に記載の液体塗布装置を用いる長尺基材への液体方法
  3. 前記クリーニング用部材が、目付20g/平方メートル以上、1500g/平方メートル以下の範囲である織布、不織布、多孔質シートから選択される少なくとも1種の長尺布帛である事を特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体塗布装置を用いる長尺基材への液体方法
  4. 前記液体が、水、炭素数が1〜4の一価アルコール、炭素数が2〜6の二価アルコール、炭素数が3〜6の三価のアルコールから選択される少なくとも1種以上を含む事を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体塗布装置を用いる長尺基材への液体方法
  5. 前記液体が、シランカップリング剤、またはシランカップリング剤を含有する溶液であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の液体塗布装置を用いる長尺基材への液体方法。
  6. 長尺基剤への液体塗布後に長尺基剤を乾燥する機構を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の液体塗布装置を用いる長尺基材への液体方法。
  7. 長尺基剤への液体塗布前に、長尺基剤表面にUVオゾン処理を行う機構を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の液体塗布装置を用いる長尺基材への液体方法
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