JP2018199790A - 天然ゴムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このように、容易かつ安価に入手できるカップランプを簡便に臭気低減し、かつ物性も保持できる技術はまだ存在していなかった。
粉砕洗浄工程は、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄することにより、粉砕、洗浄されたカップランプを得る工程である。
カップランプの粉砕は、公知のクラッシャー(破砕機)又は粉砕機を使用して、カップランプを粉砕すればよい。クラッシャーとしては、ハンマークラッシャー(ハンマーミル)、プリブレーカー等、粉砕機としてはプラスチック粉砕機、スラブカッター、ロータリーカッター、シュレッダー等が用いられる。
粉砕したカップランプを洗浄する方法としては、特に限定されず、例えば、粉砕したカップランプを水で希釈した後、遠心分離する方法、粉砕したカップランプを水浴に静置して浮かせ、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出す方法、粉砕したカップランプを水浴で撹拌しながら洗浄し、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出す方法などが挙げられる。
なお、本明細書において、粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は、粉砕、洗浄後のカップランプから20個を任意に選択し、この20個のカップランプについて、等体積球相当径の頻度粒度分布から算出したモード径を意味する。
上記脱水工程は、上記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る工程である。この工程により、臭気の原因となる物質を水分とともに天然ゴムから除去することが可能となる。
上記水分率低減天然ゴムの厚みとしては、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上である。これにより、より生産性よく天然ゴムを製造できる。一方、該厚みは、好ましくは3cm以下、より好ましくは2cm以下である。これにより、脱水工程を行う効果がより好適に得られる。
上記水分率は、後述する実施例において実施されるように、水分率低減天然ゴムを充分乾燥させる前後での重量の差から求めることができる。
なお、上述した水分率低減天然ゴムの水分率は、脱水工程により水分率低減天然ゴムが得られた直後に測定されたものであればよい。
本発明においては、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程を行う。
上記製造方法は、更に、前記乾燥工程の前に、上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程を含むのが好ましい。すなわち、上記脱水工程の後、該脱水工程により得られた水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程を行うことが好ましい。本発明の製造方法は、上記脱水工程を行うことにより、水分率低減天然ゴムを貯蔵した場合であっても、貯蔵中の腐敗を抑制し臭気原因物質である低級脂肪酸の発生を抑えることができ、臭気を低減することができるものであるが、それでも、低級脂肪酸の発生を完全に抑えることはできないところ、貯蔵後の水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させることにより、少量発生してしまった低級脂肪酸を中和、除去することで、更に臭気を低減することが可能である。
なお、上記塩基処理工程において水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる際には、水分率低減天然ゴムをそのまま用いてもよいし、適宜切断して任意の大きさまで小さくしてから処理してもよい。
このように、上記塩基処理工程が、マイクロ波を照射して行われることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記塩基性溶液としては、上記塩基性無機物を含有する水溶液、上記塩基性無機物を含有するアルコール溶液等が挙げられるが、上記塩基性無機物を含有する水溶液が好ましい。
なお、上記塩基性溶液は、上記塩基性無機物を水、アルコール等の溶媒で希釈、溶解することで調製することができる。
上記金属炭酸水素塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。
上記金属リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩等が挙げられる。
これら塩基性無機物としては、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
このように、上記塩基性無機物と共に界面活性剤を含めることにより、水分率低減天然ゴム内部の臭気原因成分を抽出しやすくしたり、水分率低減天然ゴム内部に塩基性無機物を浸透させやすくしたりすることが可能となり、臭気成分の中和、除去がより効率的に行われる。
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂質エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、陰イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
これら界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が特に好ましい。
上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程の後、得られる処理済み天然ゴムの表面上に残存する塩基性溶液を洗浄する洗浄工程を行うのが好ましい。
本発明の製造方法は、上記塩基処理工程により得られる塩基処理天然ゴムのpHを2〜7に調整するpH調整工程を更に含んでもよい。すなわち、本発明においては、上記塩基性溶液による処理の後、必要に応じて上記洗浄工程を行った後で、更に得られた処理済み天然ゴムのpHを2〜7に調整して脱臭処理天然ゴムを得ることもできる。なかでも、調整されるpHの範囲としては、3〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。このような範囲内に塩基処理天然ゴムのpHを調整することで、脱臭効果を長期持続させることができ、耐熱老化性の低下をより防止することができる。
なお、上記pHは、上記塩基処理天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出して、該浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である。
ここで、上記抽出については、超音波洗浄器などで1時間抽出してもゴム内部から完全に水溶性成分を抽出することはできないため、正確に内部のpHを知ることはできないが、上記マイクロ波を用いた抽出方法により抽出することで、処理後の天然ゴムの実体(pH)を知ることができる。
これらのなかでも、作業効率の観点から、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬する方法が特に好ましい。この処理を行うことによって、脱臭効果を長期持続させ、耐熱老化性の低下をより防止することができる。
このように、上記pH調整工程が、マイクロ波を照射して行われることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
なお、上記酸性溶液は、後述する酸性化合物を水、アルコール等の溶媒で希釈、溶解することで調製することができる。
塩基性物質:炭酸ナトリウム(Na2CO3)(シグマ・アルドリッチ社製)
界面活性剤:花王(株)製のエマールE−27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
通常のゴム農園で作製されたカップランプを入手した。そして、入手したカップランプをナチュラルラバーマシーンアンドイクイップメント社製のハンマーミルで処理した後、ラバーグラヌュエイターで微細化(粉砕)した後、粉砕したカップランプを、水浴で撹拌しながら洗浄し、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出すことにより洗浄した(粉砕洗浄工程)。粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は5mmであった。
粉砕、洗浄後のカップランプを室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前のカップランプの水分率を下記する方法にて測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵したカップランプを、水で5回程度洗浄した後、135℃で2時間乾燥し、天然ゴムサンプルを得た。
カップランプ1gを正確に量り取り(乾燥前の重量)、細かく切断してから70℃、14時間乾燥させた後、乾燥後の重量を測定した。そして、下記式により、水分率を求めた。
水分率(%)={(乾燥前の重量(g)−乾燥後の重量(g))/乾燥前の重量(g)}×100
1ヶ月間貯蔵したカップランプを、水で5回程度洗浄した後、115℃で2時間乾燥した以外、比較例1と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
粉砕、洗浄後のカップランプをクリーパー(ロールを用いて圧搾する装置)に通して8mmの厚みになるように圧搾し、水分率低減天然ゴムを調製した(脱水工程)。得られた水分率低減天然ゴムは室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前の水分率低減天然ゴムの水分率を下記する方法にて測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、115℃で2時間乾燥し(乾燥工程)、天然ゴムサンプルを得た。
水分率低減天然ゴム1gを正確に量り取り(乾燥前の重量)、細かく切断してから70℃、14時間乾燥させた後、乾燥後の重量を測定した。そして、下記式により、水分率を求めた。
水分率(%)={(乾燥前の重量(g)−乾燥後の重量(g))/乾燥前の重量(g)}×100
1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、135℃で2時間乾燥した以外、実施例1と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
脱水工程を5回行った以外、実施例2と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
粉砕、洗浄後のカップランプを室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前のカップランプの水分率を比較例1と同様に測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵したカップランプを、水で5回程度洗浄した後、表1に示す濃度で作製した水溶液1Lに、当該カップランプ100gを、6時間、室温(20〜30℃)で浸漬した。浸漬中はカップランプが水溶液の液面に浮いてこないように適宜重し等を載せ、全体が水溶液に沈むよう配置した。カップランプを取り出し、水で洗浄した後、135℃で2時間乾燥し、天然ゴムサンプルを得た。
粉砕、洗浄後のカップランプを実施例1と同様に圧搾し、水分率低減天然ゴムを調製した(脱水工程)。得られた水分率低減天然ゴムは室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前の水分率低減天然ゴムの水分率を実施例1と同様に測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、表1に示す濃度で作製した水溶液1Lに、当該水分率低減天然ゴム100gを、6時間、室温(20〜30℃)で浸漬した。浸漬中は水分率低減天然ゴムが水溶液の液面に浮いてこないように適宜重し等を載せ、全体が水溶液に沈むよう配置した。水分率低減天然ゴムを取り出し、水で洗浄した後、135℃で2時間乾燥し(乾燥工程)、天然ゴムサンプルを得た。
脱水工程を3回行った以外、実施例5と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
脱水工程を5回行った以外、実施例5と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
天然ゴムの臭気の主な原因物質としては、酢酸、吉草酸、イソ吉草酸、イソ吉草酸アルデヒド、酪酸のような低級脂肪酸及びそれらのアルデヒドが挙げられる。
そこでHead−Space GCMS(株式会社島津製作所製、製品名「GCMS−QP2010 Ultra」、ヘッドスペースサンプラ―として株式会社島津製作所製「HS−20」を使用)を用いて検出される上記成分のピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正し、全てを足したものを臭気成分指数とした。そして、下記式により、臭気成分率を評価した。
臭気成分率(%)=(各例の天然ゴムサンプルにおける臭気成分指数/比較例1の天然ゴムサンプルにおける臭気成分指数)×100
天然ゴムサンプルの劣化特性は、下記式により、80℃で72時間老化させた後のムーニー粘度の保持率を評価した。ムーニー粘度保持率の値が大きいほど、天然ゴムサンプルが劣化特性(耐熱老化性)に優れていることを示す。具体的には、ムーニー粘度保持率が60%以上であれば充分劣化特性に優れているといえ、65%以上であればより劣化特性に優れているといえ、70%以上であれば更に劣化特性に優れているといえ、80%以上であればより更に劣化特性に優れているといえ、85%以上であれば特に劣化特性に優れているといえ、95%以上であれば中でも特に劣化特性に優れているといえる。
ムーニー粘度保持率(Mw保持率、%)=(老化後のムーニー粘度/老化前のムーニー粘度)×100
Claims (8)
- カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄工程と、
前記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水工程と、
水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする天然ゴムの製造方法。 - 水分率低減天然ゴムの水分率が30%以下である請求項1記載の天然ゴムの製造方法。
- 前記乾燥工程における乾燥温度が140℃以下である請求項1又は2記載の天然ゴムの製造方法。
- 前記乾燥工程における乾燥温度が125℃以下である請求項1又は2記載の天然ゴムの製造方法。
- 前記粉砕洗浄工程を複数回行う請求項1〜4のいずれかに記載の天然ゴムの製造方法。
- 更に、前記乾燥工程の前に、前記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の天然ゴムの製造方法。
- 前記塩基性溶液が、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属リン酸塩、及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも1種の塩基性無機物を含む溶液である請求項6記載の天然ゴムの製造方法。
- 前記塩基性溶液が、更に界面活性剤を含む溶液である請求項6又は7記載の天然ゴムの製造方法。
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(株)加藤事務所: ""天然ゴム製造方法"", [ONLINE], JPN6020050728, 24 February 2007 (2007-02-24), ISSN: 0004418829 * |
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