JP2018199790A - 天然ゴムの製造方法 - Google Patents

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大樹 宮地
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浩典 稲本
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Abstract

【課題】 カップランプを原料とした天然ゴムの臭気を簡便に低減し、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させない天然ゴムの製造方法を提供する。【解決手段】 カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄工程と、前記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水工程と、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする天然ゴムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、天然ゴムの製造方法に関する。
ゴム業界で使用されている天然ゴム(NR)は、熱帯地方で栽培されるヘベア・ブラジリエンシスと呼ばれるゴムノキから採取された樹液(ラテックス)を固形化したものである。固形化する方法としては、ギ酸等の酸で凝固、乾燥して製造する方法や、ゴム農園においてラテックス採取用のカップの中で自然に凝固させて得られたカップランプを粉砕、洗浄を繰り返し、乾燥後プレスして製造する方法などがある。
上述のような方法で製造されることから、天然ゴムはポリイソプレン成分以外にタンパク質、脂質、糖等の非ゴム成分を多く含有している。そのため、乾燥の前段階での貯蔵期間中にこれらの成分が腐敗し、悪臭の原因となっている。特にカップランプに関しては、非ゴム成分を非常に多く含有し、農園での貯蔵、加工所での貯蔵・輸送期間などから貯蔵期間が長く、臭気の問題が生じ易い。しかしながら、製造のし易さ、コストの面からタイヤ用途では近年カップランプを原材料とした天然ゴムが非常に多く使用されている。天然ゴムの腐敗臭は、天然ゴムの加工工場はもちろん、タイヤ等のゴム製品の製造工場においても、工場の作業環境の悪化、工場周辺の環境への影響など問題になっている。
このような天然ゴムの臭気の問題を解決するために、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素、界面活性剤を添加し反応させて、腐敗の原因の1つであるタンパク質を除去することで臭気を低減させる方法(例えば、特許文献1参照)や、天然ゴムラテックスから天然ゴムを濃縮精製する際に生じるしょう液に無機塩と蛋白質分解酵素を添加して微粒子天然ゴムを調製することでゴム臭を低減する方法(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
また、特許文献3には、天然ゴムラテックスに酸化防止剤を添加し、更に乾燥温度を低下させることで臭気を低減させる方法が開示されている。その他、天然ゴムラテックスの凝固物を水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液といったアルカリ溶液に浸漬することで、臭気成分を低減する方法も開示されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特許第3654934号公報 特許第3750100号公報 特許第5312439号公報 特許第3573498号公報 特開2013−249411号公報
上述のように、天然ゴムの臭気を除去すべく種々検討が行われているが、例えば、特許文献1、2のように、蛋白質分解酵素処理により天然ゴムラテックスやしょう液からタンパク質を除去する方法は、ラテックスやしょう液といった液状の原料を用いる場合にしか適用できず、カップランプのような固形状の天然ゴムに関しては臭気低減することができない。また、特許文献3についても同様に、ラテックスを原料とした場合にしか適用できず、カップランプのような固形状の天然ゴムに関しては臭気低減することができない。他方、特許文献4、5のように、凝固ゴムを水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液といった強アルカリ溶液で処理する方法では、臭気は低減できるが、本発明者らの検討の結果、処理後の乾燥中にゴムの劣化等が起こることが判明し、臭気低減と天然ゴム特性維持を両立させることができないことが分かった。
このように、容易かつ安価に入手できるカップランプを簡便に臭気低減し、かつ物性も保持できる技術はまだ存在していなかった。
本発明は、前記課題を解決し、カップランプを原料とした天然ゴムの臭気を簡便に低減し、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させない天然ゴムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄工程と、上記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水工程と、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする天然ゴムの製造方法に関する。
上記水分率低減天然ゴムの水分率が30%以下であることが好ましい。
上記乾燥工程における乾燥温度が140℃以下であることが好ましく、上記乾燥工程における乾燥温度が125℃以下であることがより好ましい。
上記粉砕洗浄工程を複数回行うことが好ましい。
上記製造方法は、更に、上記乾燥工程の前に、上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程を含むことが好ましい。
上記塩基性溶液が、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属リン酸塩、及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも1種の塩基性無機物を含む溶液であることが好ましい。
上記塩基性溶液が、更に界面活性剤を含む溶液であることが好ましい。
本発明によれば、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄工程と、上記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水工程と、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする天然ゴムの製造方法であるので、カップランプを原料とした天然ゴムの臭気を簡便に低減でき、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させずに維持することができる。
本発明の天然ゴムの製造方法は、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄工程と、上記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水工程と、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程とを含む。本発明の製造方法は、上記工程を含む限り、後述する塩基処理工程やpH調整工程、洗浄工程等その他の工程を含んでいてもよく、また、各工程は1回行われてもよいし、複数回繰り返し行われてもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、粉砕洗浄工程を複数回行った後に、脱水工程を行うことが好ましい。また、「粉砕洗浄工程と、脱水工程と」を行った後、再度「粉砕洗浄工程と、脱水工程と」を行うことも好ましく、「粉砕洗浄工程と、脱水工程と」の一連の工程を複数回行うことがより好ましい。
天然ゴムの臭気は、天然ゴムの非ゴム成分であるタンパク質、脂質、糖などが貯蔵中に腐敗したり、乾燥中に分解したりすることで、臭気の原因物質である低級脂肪酸が発生することが原因と考えられる。そこで、粉砕、洗浄されたカップランプの水分含量を少なくすることで、その後貯蔵した場合であっても、貯蔵中の腐敗を抑制し臭気原因物質である低級脂肪酸の発生を抑えることができ、臭気を低減することが可能となる。なお、粉砕することにより貯蔵中の風通りが良くなり、腐敗の進行を抑制できると考えられる。そして更には、粉砕、洗浄、脱水及び乾燥を行うのみであるので、耐熱老化性等の物性も低下させずに維持することができる。
(粉砕洗浄工程)
粉砕洗浄工程は、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄することにより、粉砕、洗浄されたカップランプを得る工程である。
本発明における粉砕洗浄工程にはカップランプが供される。カップランプは、ゴム農園等においてラテックス採取用のカップの中で天然ゴムラテックスを自然に凝固させて得られるものであり、天然ゴムラテックスをギ酸等の酸で凝固、乾燥して固形化することで製造されるラテックス凝固ゴムなど他の固形状の天然ゴムに比べて、ポリイソプレン成分以外のタンパク質、脂質、糖等といった非ゴム成分を多く含有しており、また、農園での貯蔵、加工所での貯蔵・輸送期間などから貯蔵期間が長いことから、臭気の問題の生じ易い材料である。本発明においては、このような臭気の問題の生じやすいカップランプをゴム原料とした場合であっても、臭気を簡便に低減でき、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させずに維持して、天然ゴムを製造することができる。
粉砕洗浄工程では、カップランプが粉砕される。
カップランプの粉砕は、公知のクラッシャー(破砕機)又は粉砕機を使用して、カップランプを粉砕すればよい。クラッシャーとしては、ハンマークラッシャー(ハンマーミル)、プリブレーカー等、粉砕機としてはプラスチック粉砕機、スラブカッター、ロータリーカッター、シュレッダー等が用いられる。
粉砕洗浄工程では、カップランプが粉砕された後、粉砕したカップランプを洗浄する。
粉砕したカップランプを洗浄する方法としては、特に限定されず、例えば、粉砕したカップランプを水で希釈した後、遠心分離する方法、粉砕したカップランプを水浴に静置して浮かせ、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出す方法、粉砕したカップランプを水浴で撹拌しながら洗浄し、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出す方法などが挙げられる。
粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は、好ましくは5cm以下、より好ましくは3cm以下、更に好ましくは1cm以下である。該平均径の下限は特に限定されないが、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上である。粉砕、洗浄後のカップランプの平均径が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は、粉砕、洗浄後のカップランプから20個を任意に選択し、この20個のカップランプについて、等体積球相当径の頻度粒度分布から算出したモード径を意味する。
上記粉砕洗浄工程に供するカップランプとしては、天然ゴムラテックスが凝固してから2週間以内のものを用いることが好ましく、1週間以内がより好ましく、3日以内が特に好ましい。これにより、貯蔵時の腐敗による臭気発生を効果的に防止することができる。
(脱水工程)
上記脱水工程は、上記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る工程である。この工程により、臭気の原因となる物質を水分とともに天然ゴムから除去することが可能となる。
上記脱水工程において、カップランプの水分率を低減する方法としては、水分率が低減した水分率低減天然ゴムが得られれば特に制限されず、例えば、カップランプを搾る方法等により、カップランプの水分率を低減し、水分率が低減した水分率低減天然ゴムが得られる。なかでも、カップランプ内部に含まれる水分も除去でき、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、カップランプを搾る方法が好ましく、カップランプを圧搾する方法がより好ましい。カップランプを搾る方法としては、例えば、カップランプをロールに通して圧搾する等の方法が挙げられる。カップランプをロールに通して圧搾する装置としては、クリーパーを使用すればよい。
カップランプをロールに通して圧搾した場合、水分率低減天然ゴムは比較的平たい形状となる。
上記水分率低減天然ゴムの厚みとしては、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上である。これにより、より生産性よく天然ゴムを製造できる。一方、該厚みは、好ましくは3cm以下、より好ましくは2cm以下である。これにより、脱水工程を行う効果がより好適に得られる。
上記水分率低減天然ゴムの水分率は好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは15%以下である。脱水工程により得られる水分率低減天然ゴムの水分率がこのような範囲であることにより、貯蔵中の腐敗の進行を抑制することができる。他方、該水分率の下限は特に制限されず、低ければ低いほどよいが、水分率の調整の効率性の観点から、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上が更に好ましい。
上記水分率は、後述する実施例において実施されるように、水分率低減天然ゴムを充分乾燥させる前後での重量の差から求めることができる。
上記水分率低減天然ゴムの水分率は、上記脱水工程に供されるカップランプの状態によっては1度脱水工程を行っただけでは上記範囲内とはならない場合もあるが、例えば、脱水工程を複数回繰り返し行うことにより上記範囲内とすることができる。
なお、上述した水分率低減天然ゴムの水分率は、脱水工程により水分率低減天然ゴムが得られた直後に測定されたものであればよい。
本発明の製造方法においては、脱水工程を行うため、脱水工程後、長期間貯蔵しても、腐敗の進行は抑制され、臭気を低減することができるものであることから、脱水工程後、長期間水分率低減天然ゴムを貯蔵した場合に、本発明の効果がより顕著に発揮されることとなる。
(乾燥工程)
本発明においては、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程を行う。
上記乾燥する方法としては、特に制限されず、通常天然ゴムを乾燥する際に用いられる方法により行うことができる。
上記乾燥工程における乾燥温度は好ましくは140℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは130℃以下、特に好ましくは125℃以下、最も好ましくは120℃以下、より最も好ましくは115℃以下である。乾燥温度をこのような範囲とすることで、非ゴム成分の分解による低級脂肪酸の発生を抑えることができ、臭気を低減することが可能となる。他方、該乾燥温度の下限は特に制限されないが、温度を低くすればするほど同程度の乾燥状態を得るのにより時間がかかってしまうことから、効率性、生産性の観点から、75℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上が更に好ましい。
本発明では、驚くべきことに、水分含量の少ない水分率低減天然ゴムを作製すること、水分率低減天然ゴムを一定温度以下(125℃以下)で乾燥すること、を両方行うことにより、すなわち、脱水工程と、乾燥温度が一定温度以下の乾燥工程とを行うことにより、臭気の低減に関し、それぞれを単独で行った場合の効果を足し合わせた以上の効果(いわゆる、相乗効果)が得られる、ということを本発明者らは初めて見出した。すなわち、脱水工程を行った上で、乾燥工程における乾燥温度を125℃以下(好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下)とすることにより、相乗的に臭気成分率を大幅に低減できる。
上記乾燥工程における乾燥時間は、上記乾燥温度に応じて適宜設定することができ、水分が充分に(完全に)除去出来れば出来るだけ短い方が好ましい。
(塩基処理工程)
上記製造方法は、更に、前記乾燥工程の前に、上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程を含むのが好ましい。すなわち、上記脱水工程の後、該脱水工程により得られた水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程を行うことが好ましい。本発明の製造方法は、上記脱水工程を行うことにより、水分率低減天然ゴムを貯蔵した場合であっても、貯蔵中の腐敗を抑制し臭気原因物質である低級脂肪酸の発生を抑えることができ、臭気を低減することができるものであるが、それでも、低級脂肪酸の発生を完全に抑えることはできないところ、貯蔵後の水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させることにより、少量発生してしまった低級脂肪酸を中和、除去することで、更に臭気を低減することが可能である。
なお、上記塩基処理工程において水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる際には、水分率低減天然ゴムをそのまま用いてもよいし、適宜切断して任意の大きさまで小さくしてから処理してもよい。
上記塩基処理工程において、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる方法としては、例えば、水分率低減天然ゴムに塩基性溶液を塗布したり、スプレー、シャワーなどにより噴霧したり、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に浸漬したりすることによって行うことができるが、脱臭効果、効率の観点から、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に浸漬する方法が好ましい。
上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる方法として、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に浸漬する方法を採用する場合には、塩基性溶液中に水分率低減天然ゴムを放置しておくことによっても実施できるが、更に、浸漬時に、撹拌及び/又はマイクロ波照射を行うと、脱臭効果がより促進され好ましい。
このように、上記塩基処理工程が、マイクロ波を照射して行われることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記塩基処理工程における、水分率低減天然ゴムと塩基性溶液との接触時間(処理時間)としては、特に限定されないが、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上が更に好ましく、3時間以上が特に好ましい。5分以上接触させることで、本発明の効果がより良好に得られる。水分率低減天然ゴムと塩基性溶液との接触時間の上限は、塩基性溶液のpH、濃度にも依存するため、特に規定されないが、生産性の観点から、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、16時間以下が更に好ましい。
上記塩基処理工程における、水分率低減天然ゴムと塩基性溶液との接触温度(処理温度)としては、特に限定されないが、例えば、10〜50℃とすることが好ましく、15〜35℃がより好ましい。なかでも、室温(20〜30℃)が特に好ましい。
上記塩基性溶液は、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属リン酸塩、及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも1種の塩基性無機物を含む溶液であることが好ましい。水分率低減天然ゴムと接触させる塩基性溶液としてこのような塩基性溶液を用いることで、臭気成分をより中和、除去することができ、これにより水分率低減天然ゴムの臭気をより低減することが可能となり、かつ、耐熱老化性等の物性を低下させずに維持することも可能となる。
上記塩基性溶液としては、上記塩基性無機物を含有する水溶液、上記塩基性無機物を含有するアルコール溶液等が挙げられるが、上記塩基性無機物を含有する水溶液が好ましい。
なお、上記塩基性溶液は、上記塩基性無機物を水、アルコール等の溶媒で希釈、溶解することで調製することができる。
上記金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;等が挙げられる。
上記金属炭酸水素塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。
上記金属リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩等が挙げられる。
これら塩基性無機物としては、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記塩基性無機物としては、なかでも、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、アンモニアが好ましく、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アンモニアがより好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが更に好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
上記塩基性溶液における上記塩基性無機物の濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。0.1質量%以上であると、臭気成分をより充分に中和、除去できる。また、該濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が特に好ましい。20質量%以下であると、塩基性無機物の使用量に応じて臭気成分の減少量が増え、コストに見合った効率が得られる。また、処理後のゴム物性(耐熱老化性等)も維持できる。
上記塩基性溶液は、更に界面活性剤を含むことが好ましい。すなわち、上記塩基性溶液が、上記塩基性無機物及び界面活性剤を含む溶液であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
このように、上記塩基性無機物と共に界面活性剤を含めることにより、水分率低減天然ゴム内部の臭気原因成分を抽出しやすくしたり、水分率低減天然ゴム内部に塩基性無機物を浸透させやすくしたりすることが可能となり、臭気成分の中和、除去がより効率的に行われる。
上記界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂質エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、陰イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
これら界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩を好適に使用できる。なお、これらの塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩)などが挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が特に好ましい。
上記アルキル硫酸エステル塩としては、高級アルキル硫酸エステル塩(高級アルコール硫酸エステル塩)が好適であり、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい。また、アルキル硫酸エステル塩におけるアルキル基の炭素数は10〜20が好ましく、10〜16がより好ましい。上記アルキル硫酸エステル塩の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸カリウムなどが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、アミン塩、ナトリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。上記炭素数は10〜14が好ましい。また、オキシエチレン基の平均重合度は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
上記アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好適である。上記アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、カルシウム塩などが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
上記アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、例えば、モノ、ジ又はトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、モノ、ジ又はトリイソプロピルナフタレンスルホン酸カリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸カリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸カリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
上記脂肪酸塩としては、炭素数10〜20の高級脂肪酸塩が好適であり、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。上記脂肪酸塩の具体例としては、オレイン酸、ステアリン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸などのナトリウム塩、カリウム塩;やし油、パーム油、ヒマシ油、パーム核油、牛脂などから誘導される混合脂肪酸などのナトリウム塩、カリウム塩(ヒマシ油カリウム石けんなど)などが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、オレイン酸カリウム石けんが好ましい。
上記塩基性溶液における上記界面活性剤の濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。0.01質量%以上であると、臭気成分をより充分に中和、除去できる。また、該濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。5.0質量%以下であると、界面活性剤の使用量に応じて臭気成分の減少量が増え、コストに見合った効率が得られる。
(洗浄工程)
上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程の後、得られる処理済み天然ゴムの表面上に残存する塩基性溶液を洗浄する洗浄工程を行うのが好ましい。
上記洗浄工程は、塩基処理工程を行った結果得られる処理済み天然ゴム(「塩基処理天然ゴム」ともいう。)の表面上に残存する塩基性溶液を洗浄、除去することができれば、その方法は特に制限されないが、例えば、処理済み天然ゴムを水で希釈した後、遠心分離する方法、処理済み天然ゴムを水浴に静置して浮かせ、水相のみを排出して天然ゴムを取り出す方法などが挙げられる。
(pH調整工程)
本発明の製造方法は、上記塩基処理工程により得られる塩基処理天然ゴムのpHを2〜7に調整するpH調整工程を更に含んでもよい。すなわち、本発明においては、上記塩基性溶液による処理の後、必要に応じて上記洗浄工程を行った後で、更に得られた処理済み天然ゴムのpHを2〜7に調整して脱臭処理天然ゴムを得ることもできる。なかでも、調整されるpHの範囲としては、3〜6が好ましく、4〜6がより好ましい。このような範囲内に塩基処理天然ゴムのpHを調整することで、脱臭効果を長期持続させることができ、耐熱老化性の低下をより防止することができる。
なお、上記pHは、上記塩基処理天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出して、該浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である。
ここで、上記抽出については、超音波洗浄器などで1時間抽出してもゴム内部から完全に水溶性成分を抽出することはできないため、正確に内部のpHを知ることはできないが、上記マイクロ波を用いた抽出方法により抽出することで、処理後の天然ゴムの実体(pH)を知ることができる。
上記pH調整工程において、塩基処理天然ゴムのpHを2〜7に調整する方法としては、特に制限されないが、例えば、塩基処理天然ゴムを酸性雰囲気下に曝したり、塩基処理天然ゴムに酸性化合物及び/又は酸性溶液を塗布したり、塩基処理天然ゴムに酸性化合物及び/又は酸性溶液をスプレー、シャワーなどにより噴霧したり、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬したりすることによって行うことができるが、塩基処理天然ゴムに酸性溶液を塗布したり、塩基処理天然ゴムに酸性溶液を噴霧したり、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬したりといった、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に接触させる方法が好ましい。すなわち、上記pH調整工程は、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に接触させることによって、pHを2〜7になるように調整する工程であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
これらのなかでも、作業効率の観点から、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬する方法が特に好ましい。この処理を行うことによって、脱臭効果を長期持続させ、耐熱老化性の低下をより防止することができる。
上記酸性溶液としては、pHが6以下に調整されたものを用いることが好ましい。このような酸性溶液に塩基処理天然ゴムを接触させることによって、脱臭効果の長期持続性、優れた耐熱老化性が得られる。該酸性溶液のpHの上限としては、5以下がより好ましく、4.5以下が更に好ましい。また、下限は特に限定されず、接触時間にもよるが、酸性が強すぎるとゴムが劣化したり、廃水処理により手間がかかったりするため、好ましくは1以上、より好ましくは2以上である。
上記塩基処理天然ゴムのpHを2〜7に調整する方法として、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬する方法を採用する場合には、酸性溶液中に塩基処理天然ゴムを放置しておくことによっても実施できるが、更に、浸漬時に、撹拌及び/又はマイクロ波照射を行うと、処理効率がより向上し好ましい。
このように、上記pH調整工程が、マイクロ波を照射して行われることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記pH調整工程における、塩基処理天然ゴムと酸性溶液との接触時間としては、特に限定されないが、3秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、30秒以上が更に好ましく、5分以上がより更に好ましく、10分以上が特に好ましく、30分以上が最も好ましい。3秒以上であると、充分に中和され、本発明の効果がより良好に得られる。塩基処理天然ゴムと酸性溶液との接触時間の上限は、酸性溶液のpH、濃度にも依存するため、特に規定されないが、生産性、作業効率上、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、10時間以下が更に好ましく、5時間以下が特に好ましい。
上記pH調整工程における、塩基処理天然ゴムと酸性溶液との接触温度(処理温度)としては、特に限定されないが、例えば、10〜50℃とすることができる。好ましくは15〜35℃である。なかでも、室温(20〜30℃)が特に好ましい。
上記酸性溶液は、酸性化合物溶液であることが好ましい。該酸性化合物溶液としては、酸性化合物の水溶液、酸性化合物のアルコール溶液等が挙げられるが、酸性化合物の水溶液が好ましい。
なお、上記酸性溶液は、後述する酸性化合物を水、アルコール等の溶媒で希釈、溶解することで調製することができる。
上記酸性化合物としては、特に制限されず、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ほう酸、ボロン酸、スルファニル酸、スルファミン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸などの有機酸等が挙げられる。上記酸性化合物としては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、上記酸性化合物としては、硫酸、ギ酸、酢酸が好ましい。
上記酸性溶液における上記酸性化合物の濃度としては、上記酸性溶液100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、1.0質量%以上が特に好ましい。また、該濃度としては、上記酸性溶液100質量%中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が特に好ましい。上記酸性溶液における上記酸性化合物の濃度が上記範囲内であると、より良好な耐熱老化性が得られる。
上記塩基処理天然ゴムのpHを2〜7に調整するpH調整工程の後、得られた脱臭処理天然ゴムの表面上に残存する酸性溶液を洗浄する工程を行ってもよい。当該洗浄工程を行う方法としては、上述したとおりである。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例、比較例において用いた各種薬品を下記に示す。
塩基性物質:炭酸ナトリウム(NaCO)(シグマ・アルドリッチ社製)
界面活性剤:花王(株)製のエマールE−27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
<天然ゴムサンプルの入手>
通常のゴム農園で作製されたカップランプを入手した。そして、入手したカップランプをナチュラルラバーマシーンアンドイクイップメント社製のハンマーミルで処理した後、ラバーグラヌュエイターで微細化(粉砕)した後、粉砕したカップランプを、水浴で撹拌しながら洗浄し、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出すことにより洗浄した(粉砕洗浄工程)。粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は5mmであった。
(比較例1)
粉砕、洗浄後のカップランプを室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前のカップランプの水分率を下記する方法にて測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵したカップランプを、水で5回程度洗浄した後、135℃で2時間乾燥し、天然ゴムサンプルを得た。
(水分率の測定)
カップランプ1gを正確に量り取り(乾燥前の重量)、細かく切断してから70℃、14時間乾燥させた後、乾燥後の重量を測定した。そして、下記式により、水分率を求めた。
水分率(%)={(乾燥前の重量(g)−乾燥後の重量(g))/乾燥前の重量(g)}×100
(比較例2)
1ヶ月間貯蔵したカップランプを、水で5回程度洗浄した後、115℃で2時間乾燥した以外、比較例1と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
(実施例1)
粉砕、洗浄後のカップランプをクリーパー(ロールを用いて圧搾する装置)に通して8mmの厚みになるように圧搾し、水分率低減天然ゴムを調製した(脱水工程)。得られた水分率低減天然ゴムは室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前の水分率低減天然ゴムの水分率を下記する方法にて測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、115℃で2時間乾燥し(乾燥工程)、天然ゴムサンプルを得た。
(水分率の測定)
水分率低減天然ゴム1gを正確に量り取り(乾燥前の重量)、細かく切断してから70℃、14時間乾燥させた後、乾燥後の重量を測定した。そして、下記式により、水分率を求めた。
水分率(%)={(乾燥前の重量(g)−乾燥後の重量(g))/乾燥前の重量(g)}×100
(実施例2)
1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、135℃で2時間乾燥した以外、実施例1と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
(実施例3)
脱水工程を5回行った以外、実施例2と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
(比較例3)
粉砕、洗浄後のカップランプを室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前のカップランプの水分率を比較例1と同様に測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵したカップランプを、水で5回程度洗浄した後、表1に示す濃度で作製した水溶液1Lに、当該カップランプ100gを、6時間、室温(20〜30℃)で浸漬した。浸漬中はカップランプが水溶液の液面に浮いてこないように適宜重し等を載せ、全体が水溶液に沈むよう配置した。カップランプを取り出し、水で洗浄した後、135℃で2時間乾燥し、天然ゴムサンプルを得た。
(実施例4)
粉砕、洗浄後のカップランプを実施例1と同様に圧搾し、水分率低減天然ゴムを調製した(脱水工程)。得られた水分率低減天然ゴムは室温(20〜30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前の水分率低減天然ゴムの水分率を実施例1と同様に測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、表1に示す濃度で作製した水溶液1Lに、当該水分率低減天然ゴム100gを、6時間、室温(20〜30℃)で浸漬した。浸漬中は水分率低減天然ゴムが水溶液の液面に浮いてこないように適宜重し等を載せ、全体が水溶液に沈むよう配置した。水分率低減天然ゴムを取り出し、水で洗浄した後、135℃で2時間乾燥し(乾燥工程)、天然ゴムサンプルを得た。
(実施例5)
脱水工程を3回行った以外、実施例5と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
(実施例6)
脱水工程を5回行った以外、実施例5と同様にして、天然ゴムサンプルを得た。
比較例、実施例で得られた天然ゴムサンプルについて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(臭気成分の分析方法)
天然ゴムの臭気の主な原因物質としては、酢酸、吉草酸、イソ吉草酸、イソ吉草酸アルデヒド、酪酸のような低級脂肪酸及びそれらのアルデヒドが挙げられる。
そこでHead−Space GCMS(株式会社島津製作所製、製品名「GCMS−QP2010 Ultra」、ヘッドスペースサンプラ―として株式会社島津製作所製「HS−20」を使用)を用いて検出される上記成分のピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正し、全てを足したものを臭気成分指数とした。そして、下記式により、臭気成分率を評価した。
臭気成分率(%)=(各例の天然ゴムサンプルにおける臭気成分指数/比較例1の天然ゴムサンプルにおける臭気成分指数)×100
(天然ゴムの劣化特性評価)
天然ゴムサンプルの劣化特性は、下記式により、80℃で72時間老化させた後のムーニー粘度の保持率を評価した。ムーニー粘度保持率の値が大きいほど、天然ゴムサンプルが劣化特性(耐熱老化性)に優れていることを示す。具体的には、ムーニー粘度保持率が60%以上であれば充分劣化特性に優れているといえ、65%以上であればより劣化特性に優れているといえ、70%以上であれば更に劣化特性に優れているといえ、80%以上であればより更に劣化特性に優れているといえ、85%以上であれば特に劣化特性に優れているといえ、95%以上であれば中でも特に劣化特性に優れているといえる。
ムーニー粘度保持率(Mw保持率、%)=(老化後のムーニー粘度/老化前のムーニー粘度)×100
Figure 2018199790
表1の結果から、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄工程と、前記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水工程と、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程とを含む製法により得られた天然ゴムは、臭気が低減し、かつ、耐熱老化性に優れることが分かる。
特に、比較例1,2、実施例1,2の対比により、脱水工程と、乾燥温度が一定温度以下(125℃以下)の乾燥工程とを行うことにより、相乗的に臭気成分率を大幅に低減できることが分かった。
更に、実施例2,5の対比、実施例4,7の対比により、塩基性溶液で水分率低減天然ゴムを処理することにより、臭気成分が大幅に低減できることが分かった。

Claims (8)

  1. カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄工程と、
    前記粉砕洗浄工程により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水工程と、
    水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする天然ゴムの製造方法。
  2. 水分率低減天然ゴムの水分率が30%以下である請求項1記載の天然ゴムの製造方法。
  3. 前記乾燥工程における乾燥温度が140℃以下である請求項1又は2記載の天然ゴムの製造方法。
  4. 前記乾燥工程における乾燥温度が125℃以下である請求項1又は2記載の天然ゴムの製造方法。
  5. 前記粉砕洗浄工程を複数回行う請求項1〜4のいずれかに記載の天然ゴムの製造方法。
  6. 更に、前記乾燥工程の前に、前記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の天然ゴムの製造方法。
  7. 前記塩基性溶液が、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属リン酸塩、及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも1種の塩基性無機物を含む溶液である請求項6記載の天然ゴムの製造方法。
  8. 前記塩基性溶液が、更に界面活性剤を含む溶液である請求項6又は7記載の天然ゴムの製造方法。
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