JP2016196532A - 天然ゴムの製造方法 - Google Patents

天然ゴムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016196532A
JP2016196532A JP2015076039A JP2015076039A JP2016196532A JP 2016196532 A JP2016196532 A JP 2016196532A JP 2015076039 A JP2015076039 A JP 2015076039A JP 2015076039 A JP2015076039 A JP 2015076039A JP 2016196532 A JP2016196532 A JP 2016196532A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
natural rubber
odor
acidic protease
mass
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015076039A
Other languages
English (en)
Inventor
松浦 亜衣
Ai Matsuura
亜衣 松浦
タラチウィン ルクサナポーン
Lucksanaporn Tarachiwin
タラチウィン ルクサナポーン
カンヤワララック カマリン
Kamalin Kanyawararak
カンヤワララック カマリン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2015076039A priority Critical patent/JP2016196532A/ja
Publication of JP2016196532A publication Critical patent/JP2016196532A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】 固形状の天然ゴムの臭気を簡便に低減し、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させない天然ゴムの製造方法を提供する。
【解決手段】 脱蛋白処理されていない固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼによって酵素処理する工程を含む天然ゴムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然ゴムの製造方法に関する。
ゴム業界で使用されている天然ゴム(NR)は、熱帯地方で栽培されるヘベア・ブラジリエンシスと呼ばれるゴムノキから採取された樹液(ラテックス)を固形化したものである。固形化する方法としては、ギ酸等の酸で凝固、シート化、乾燥して製造する方法や、ゴム農園においてラテックス採取用のカップの中で自然に凝固させたり、カップに酸を添加して凝固させたりして得られたカップランプを粉砕、洗浄を繰り返し、乾燥後プレスして製造する方法などがある。
上述のような方法で製造されることから、天然ゴムはポリイソプレン成分以外にタンパク質、脂質、糖等の非ゴム成分を多く含有している。そのため、乾燥の前段階での貯蔵期間中にこれらの成分が腐敗し、悪臭の原因となっている。特にカップランプに関しては非ゴム成分を非常に多く含有し、農園での貯蔵、加工所での貯蔵・輸送期間などから貯蔵期間が長く、臭気の問題が生じ易い。しかしながら、製造のし易さ、コストの面からタイヤ用途では近年カップランプを原材料とした天然ゴムが非常に多く使用されている。天然ゴムの腐敗臭は天然ゴムの加工工場はもちろん、タイヤ等のゴム製品の製造工場においても、工場の作業環境の悪化、工場周辺の環境への影響など問題になっている。
このような天然ゴムの臭気の問題を解決するために、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素、界面活性剤を添加し反応させて、腐敗の原因の1つであるタンパク質を除去することで臭気を低減させる方法や(例えば、特許文献1参照)、天然ゴムラテックスから天然ゴムを濃縮精製する際に生じるしょう液に無機塩と蛋白質分解酵素を添加して微粒子天然ゴムを調製することでゴム臭を低減する方法(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
また、特許文献3には、天然ゴム製造時の乾燥温度を低下させることで臭気を低減させる方法が開示されている。その他、天然ゴムラテックスの凝固物を水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液といったアルカリ溶液に浸漬することで、臭気成分を低減する方法も開示されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特許第3654934号公報 特許第3750100号公報 特許第5312439号公報 特許第3573498号公報 特開2013−249411号公報
上述のように、天然ゴムの臭気を除去すべく種々検討が行われているが、例えば、特許文献1、2のように、蛋白質分解酵素処理により天然ゴムラテックスやしょう液からタンパク質を除去する方法は、ラテックスやしょう液といった液状の原料を用いる場合にしか適用できず、カップランプのような固形状の天然ゴムに関しては臭気低減することができない。また、特許文献3のように、天然ゴム製造時の乾燥温度を低下させる方法では、天然ゴム加工所での生産性が低下し、臭気改善と生産性向上を両立させることができない。他方、特許文献4、5のように、凝固ゴムを水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液といった強アルカリ溶液で処理する方法では、臭気は低減できるが、本発明者らの検討の結果、処理後の乾燥中にゴムの劣化等が起こることが判明し、臭気低減と天然ゴム特性維持を両立させることができないことが分かった。
このように、容易に入手できる固形状の天然ゴムを簡便に臭気低減し、かつ物性も保持できる技術はまだ存在していなかった。
本発明は、前記課題を解決し、固形状の天然ゴムの臭気を簡便に低減し、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させない天然ゴムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、脱蛋白処理されていない固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼによって酵素処理する工程を含む天然ゴムの製造方法に関する。
上記酵素処理工程は、酸性プロテアーゼと共に、界面活性剤を併用して処理する工程であることが好ましい。
本発明によれば、脱蛋白処理されていない固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼによって酵素処理する工程を含む天然ゴムの製造方法であるので、固形状の天然ゴムの臭気を簡便に低減でき、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させずに維持することができる。
本発明の天然ゴムの製造方法は、脱蛋白処理されていない固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼによって酵素処理する工程を含む。
ここで、天然ゴムの臭気は、天然ゴムの非ゴム成分であるタンパク質、脂質、糖などが貯蔵中に腐敗することで、臭気の原因物質である低級脂肪酸が発生することが原因と考えられる。従来、蛋白質分解酵素処理により天然ゴムラテックスやしょう液からタンパク質を除去する方法は、ラテックスやしょう液といった液状の原料を用いる場合にしか適用できず、カップランプのような固形状の天然ゴムに関しては臭気低減することができないと考えられてきた。ところが、本発明者らは、タンパク分解酵素として酸性プロテアーゼを用いることで、カップランプのような固形状の天然ゴムを処理した場合であっても臭気低減効果が認められることを初めて見出した。すなわち、上記酸性プロテアーゼによる酵素処理工程を行うことにより、臭気成分発生の元となる固形状の天然ゴム中のタンパク質を分解、除去することができ、これにより固形状の天然ゴムの臭気を低減することが可能となることを見出した。そして更に、このような処理を行った場合には、処理後の固形状の天然ゴムにおいて、耐熱老化性等の物性を低下させずに維持することも可能となることを見出した。
なお、本発明の製造方法は、上記酵素処理工程を含む限り後述する洗浄工程等その他の工程を含んでいてもよく、また、各工程は1回行われてもよいし、複数回繰り返し行われてもよい。
本発明における酵素処理工程に供される固形状の天然ゴムは、脱蛋白処理されていないものである。すなわち、上記酵素処理工程に供される固形状の天然ゴムとしては、脱蛋白処理されていない天然ゴムラテックスを凝固させた凝固物であれば特に制限されない。当該脱蛋白処理とは、例えば、水酸化ナトリウム等の強アルカリや蛋白質分解酵素を用いた蛋白質の分解処理を表し、よって、本発明において用いられる固形状の天然ゴムとは、このような蛋白質の分解処理を施されていない天然ゴムラテックスを凝固させた凝固物である。そのような固形状の天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムラテックスをギ酸等の酸で凝固させたラテックス凝固ゴム、カップランプ、トリーレース、未燻製シート(アンスモークトシート:USS)、カップランプをフィールドラテックスで固めたもの(スラブ)、TSRとして加工後のもの、又はこれらの混合品等が挙げられる。これらの中でも、上記固形状の天然ゴムが、カップランプ、及び、未燻製シート(アンスモークトシート:USS)からなる群より選択される少なくとも1種であること、更には、タンパク質を含む非ゴム成分を多く含有する傾向にあることから、上記固形状の天然ゴムがカップランプであること、もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記固形状の天然ゴムにおいて、窒素含有量は0.20質量%以上が好ましく、0.25質量%以上がより好ましく、0.30質量%以上が更に好ましい。上記酵素処理工程に供される固形状の天然ゴムは、脱蛋白処理されていないものであるため、少なくとも窒素分を0.20質量%以上含むものである。窒素含有量は、例えば、ケルダール法など、従来の方法で測定できる。窒素は、蛋白質に由来するものである。
天然ゴムラテックスは、ヘベア樹などのゴムノキの樹液として採取され、ゴム分の他、水、タンパク質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。天然ゴムラテックスとして、ヘベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックスなど)などを使用できる。
上記カップランプとしては、天然ゴムを採取するカップに天然ゴムラテックスが溜まり、それが微生物による非ゴム成分の分解で生じる脂肪酸によって自然に凝固した天然ゴム、又は、予め天然ゴムラテックスを凝固させる機能を有する薬品をカップに入れておき、強制的に素早く凝固させた天然ゴムなどが挙げられる。上記天然ゴムラテックスを凝固させる機能を有する薬品としては、そのような機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、硫酸、ギ酸、塩酸、酢酸などの酸、カルシウムイオンなどの陽イオンやそれらの塩類、メタノール、エタノールなどの有機溶剤などが挙げられる。
また、上記酵素処理工程に供される固形状の天然ゴムの形状としては、特に限定されず、シート状、ブロック状、顆粒状といったように、ゴムの製法や用途に応じて選択することができる。脱臭効果、及び最終的な乾燥効率の観点からは、厚みが3cm以下のシート状が好ましく、その厚みは2cm以下であることがより好ましく、1cm以下であることが更に好ましく、5mm以下が最も好ましい。シート状以外の形態では、最も長い一辺が30cm以下のブロック状であることが好ましく、20cm以下がより好ましく、10cm以下が更に好ましく、1cm以下が特に好ましい。上記適度な大きさの固形状天然ゴムは、大きな形状の固形状天然ゴムを粉砕及び/又は切断することによって得られる。
上記酵素処理工程において、固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼによって酵素処理する方法としては、固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼにより酵素処理することができれば、その処理方法は特に制限されず、例えば、固形状の天然ゴムに酸性プロテアーゼ(酸性タンパク分解酵素)を含む溶液を塗布したり、スプレー、シャワーなどにより噴霧したり、酸性プロテアーゼを含む溶液に固形状の天然ゴムを浸漬したりすることによって行うことができるが、脱臭効果、効率の観点から、酸性プロテアーゼを含む溶液に固形状の天然ゴムを、必要に応じて撹拌しながら、浸漬する方法が好ましい。
上記酵素処理工程における酸性プロテアーゼの添加量としては、上記固形状の天然ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましい。0.05質量部未満では、固形状の天然ゴム中のタンパク質を充分に分解、除去することができないおそれがある。他方、該含有量は、上記固形状の天然ゴム100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。10質量部を超えると、酵素活性が低下し、かつ多量の酸性プロテアーゼが必要なわりに臭気成分の減少量が増えず、コストに見合った効率が得られない傾向にある。
上記酵素処理工程における、固形状の天然ゴムと酸性プロテアーゼを含む溶液との接触時間(処理時間)としては、特に限定されないが、通常30分以上であり、好ましくは1時間以上である。30分未満であると、本発明の効果が良好に得られないおそれがある。固形状の天然ゴムと酸性プロテアーゼを含む溶液との接触時間の上限は、特に制限されないが、生産性の観点から、12時間以下が好ましく、8時間以下がより好ましく、4時間以下が更に好ましい。また、臭気低減の観点からは、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、12時間以下が更に好ましく、8時間以下がより更に好ましく、4時間以下が特に好ましい。
上記酵素処理工程における、固形状の天然ゴムと酸性プロテアーゼを含む溶液との接触温度(処理温度)としては、特に限定されないが、例えば、10〜50℃とすることが好ましく、15〜35℃がより好ましい。なかでも、室温(20〜30℃)が特に好ましい。
上記酸性プロテアーゼは、至適pHが酸性(pH2〜6)であれば、通常タンパク分解酵素として使用される種々のものを使用することができ、特に制限されないが、例えば、ペプシン、キモシン等が挙げられる。また、上記酸性プロテアーゼの由来としては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれも使用可能であるが、特に、糸状菌由来のもの、酵母由来のものが好ましく、糸状菌由来の酸性プロテアーゼを用いるのがより好ましい。このような酸性プロテアーゼは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記酸性プロテアーゼを含む溶液としては、上記酸性プロテアーゼを含有する水溶液、上記酸性プロテアーゼを含有するアルコール溶液等が挙げられるが、上記酸性プロテアーゼを含有する水溶液が好ましい。
なお、上記酸性プロテアーゼを含む溶液は、上記酸性プロテアーゼを水、アルコール等の溶媒で希釈、溶解することで調製することができる。
上記酸性プロテアーゼを含む溶液における上記酸性プロテアーゼの含有量としては、上記酸性プロテアーゼを含む溶液100質量%中、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。0.01質量%未満では、固形状の天然ゴム中のタンパク質を充分に分解、除去することができないおそれがある。他方、該含有量は、上記酸性プロテアーゼを含む溶液100質量%中、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。5質量%を超えると、酵素活性が低下し、かつ多量の酸性プロテアーゼが必要なわりに臭気成分の減少量が増えず、コストに見合った効率が得られない傾向にある。
上記酸性プロテアーゼによる酵素処理においては、酸性プロテアーゼと共に、界面活性剤を併用して処理することが好ましい。すなわち、本発明における酵素処理工程は、酸性プロテアーゼと共に、界面活性剤を併用して処理する工程であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。このように、上記酸性プロテアーゼと共に界面活性剤を併用することにより、固形状の天然ゴム内部のタンパク質を抽出しやすくしたり、分解されたタンパク質を洗浄、除去しやすくしたりすることができ、結果、固形状の天然ゴムの臭気をより低減することが可能となる。
上記酵素処理工程において、酸性プロテアーゼと共に、界面活性剤を併用して処理する場合の、具体的な処理の方法としては、例えば、固形状の天然ゴムに酸性プロテアーゼを含む溶液を塗布したり、スプレー、シャワーなどにより噴霧したり、酸性プロテアーゼを含む溶液に固形状の天然ゴムを浸漬したりする際に、該溶液に界面活性剤を添加して行うことができる。中でも、脱臭効果、効率の観点から、酸性プロテアーゼ及び界面活性剤を含む溶液に固形状の天然ゴムを、必要に応じて撹拌しながら、浸漬する方法が好ましい。
上記界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、ポリオキシアルキレンポリグルコシド系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸系、ベタイン系、イミダゾリン系、アミンオキサイド系等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
これら界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩を好適に使用できる。なお、これらの塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩)などが挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が特に好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、アミン塩、ナトリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。上記炭素数は10〜14が好ましい。また、オキシエチレン基の平均重合度は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、ポリオキシアルキレンポリグルコシド系の非イオン性界面活性剤や、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシアルキレンエーテル系の非イオン性界面活性剤が好ましい。
上記ポリオキシアルキレンエーテル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノ、ジ、又はトリスチリルフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルが好適に使用される。なお、前記ポリオールとしては、炭素数2〜12の多価アルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、スクロース、ペンタエリトリトール、ソルビタン等が挙げられる。
上記ポリオキシアルキレンエステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルロジン酸エステル等が挙げられる。
上記多価アルコール脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステル又はポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。より具体的には、例えば、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。
上記糖脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ショ糖、グルコース、マルトース、フルクトース、多糖類の脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
上記アルキルポリグリコシド系の非イオン性界面活性剤としては、グリコシドとしてグルコース、マルトース、フルクトース、ショ糖などが挙げられ、例えば、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシドなどが挙げられ、これらの脂肪酸エステル類も挙げられる。また、これらすべてのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
これら非イオン性界面活性剤におけるアルキル基としては、例えば、炭素数4〜30の直鎖又は分岐した飽和若しくは不飽和のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば、酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが挙げられる。また、前記脂肪酸としては、例えば、炭素数4〜30の直鎖又は分岐した飽和若しくは不飽和の脂肪酸が挙げられる。
上記酸性プロテアーゼ及び界面活性剤を含む溶液における界面活性剤の含有量としては、上記酸性プロテアーゼ及び界面活性剤を含む溶液100質量%中、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。0.01質量%未満では、固形状の天然ゴム中のタンパク質を分解、除去する効率を改善できないおそれがある。他方、該含有量は、上記酸性プロテアーゼ及び界面活性剤を含む溶液100質量%中、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。3質量%を超えると、多量の界面活性剤が必要なわりに臭気成分の減少量が増えず、コストに見合った効率が得られない傾向にある。
上記固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼによって酵素処理する工程の後、得られる処理済み天然ゴムの表面上に残存する酸性プロテアーゼを洗浄する工程を行うのが好ましい。
上記洗浄工程は、酵素処理工程を行った結果得られる処理済み天然ゴム(「酵素処理天然ゴム」ともいう。)の表面上に残存する酸性プロテアーゼを洗浄、除去することができれば、その方法は特に制限されないが、例えば、処理済み天然ゴムを水で希釈した後、遠心分離する方法、処理済み天然ゴムを水浴に静置して浮かせ、水相のみを排出して天然ゴムを取り出す方法などが挙げられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例において用いた各種薬品を下記に示す。
酸性プロテアーゼ:シグマ・アルドリッチ社製のクモノスカビ属菌由来のプロテアーゼ(Protease from Rhizopus sp.)〔至適pH:3〜5〕
界面活性剤:シグマ・アルドリッチ社製のTriton X−100(ポリエチレングリコール tert−オクチルフェニルエーテル)
<天然ゴムサンプルの調製>
通常のゴム農園で作製されたカップランプ(窒素含有量:0.37質量%)を入手し、5〜10mm角の大きさに切断した。
(比較例1)
上述のようにして調製した天然ゴムサンプルをそのまま乾燥(70℃、14時間)して、サンプルを調製した。
(実施例1〜6)
表1に示す濃度で作製した水溶液60gに、上述のようにして調製した天然ゴムサンプル6gを、表1に示す処理時間、室温(20〜30℃)で撹拌しながら浸漬した。天然ゴムサンプルを取り出し、水で洗浄した後、70℃で14時間乾燥し、処理後天然ゴムを得た。
得られた比較例1のサンプル、及び、実施例1〜6の処理後天然ゴムについて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(臭気成分の分析方法)
天然ゴムの臭気の主な原因物質としては、酢酸、吉草酸、イソ吉草酸、イソ吉草酸アルデヒド、酪酸のような低級脂肪酸及びそれらのアルデヒドが挙げられる。
そこでHead−Space GCMS(株式会社島津製作所製、製品名「GCMS−QP2010 Ultra」、ヘッドスペースサンプラ―として株式会社島津製作所製「HS−20」を使用)を用いて検出される上記成分のピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正し、全てを足したものを臭気成分指数とした。そして、下記式により、臭気成分率を評価した。
臭気成分率(%)=(処理後天然ゴム〔比較例1の場合にはサンプル〕における臭気成分指数/比較例1のサンプルにおける臭気成分指数)×100
(天然ゴムの劣化特性評価)
処理後天然ゴム(比較例1の場合にはサンプル)の劣化特性は、下記式により、80℃で72時間老化させた後のムーニー粘度の保持率を評価した。ムーニー粘度保持率の値が大きいほど、処理後天然ゴムが劣化特性(耐熱老化性)に優れていることを示す。具体的には、ムーニー粘度保持率が60%以上であれば充分劣化特性に優れているといえ、65%以上であればより劣化特性に優れているといえ、70%以上であれば更に劣化特性に優れているといえ、80%以上であればより更に劣化特性に優れているといえ、85%以上であれば特に劣化特性に優れているといえ、95%以上であれば中でも特に劣化特性に優れているといえる。
ムーニー粘度保持率(Mw保持率、%)=(老化後のムーニー粘度/老化前のムーニー粘度)×100
Figure 2016196532
表1の結果から、本発明の処理を行った凝固後の固形状天然ゴムは、臭気が低減し、かつ、耐熱老化性に優れることが分かる。
具体的には、酸性プロテアーゼで処理した場合(実施例1〜6)、酸性プロテアーゼで処理しなかった場合(比較例1)に比べて臭気成分率が大幅に低減していることが確認できた。更に、実施例1、2と実施例3との比較から、酸性プロテアーゼと共に界面活性剤を併用することで更に臭気成分率を低減できることが分かった。

Claims (2)

  1. 脱蛋白処理されていない固形状の天然ゴムを酸性プロテアーゼによって酵素処理する工程を含む天然ゴムの製造方法。
  2. 前記酵素処理工程が、酸性プロテアーゼと共に、界面活性剤を併用して処理する工程である請求項1記載の天然ゴムの製造方法。
JP2015076039A 2015-04-02 2015-04-02 天然ゴムの製造方法 Pending JP2016196532A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015076039A JP2016196532A (ja) 2015-04-02 2015-04-02 天然ゴムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015076039A JP2016196532A (ja) 2015-04-02 2015-04-02 天然ゴムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016196532A true JP2016196532A (ja) 2016-11-24

Family

ID=57358014

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015076039A Pending JP2016196532A (ja) 2015-04-02 2015-04-02 天然ゴムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016196532A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5908893A (en) Process for producing deproteinized natural rubber latex
JP4662848B2 (ja) タンパク質を除去した天然ゴム、タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ
JP4708046B2 (ja) 脱蛋白質化天然ゴムラテックスの製造方法
US10479843B2 (en) Method for producing natural rubber
JP3581866B2 (ja) 脱蛋白質化天然ゴムラテックスの製造方法
JP3560294B2 (ja) 脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法
CN104560426A (zh) 一种环保可降解清洗剂及其制备工艺
JP2017101120A (ja) 天然ゴムの製造方法
JP5658672B2 (ja) 蛋白質フリー天然ゴム及びそのラテックスとそれらの製造方法
JP2016196532A (ja) 天然ゴムの製造方法
JP2016084384A (ja) 天然ゴムの処理方法
KR101541007B1 (ko) 단백질 분해용 발효액의 제조방법
JP2018199790A (ja) 天然ゴムの製造方法
JP3604445B2 (ja) 脱蛋白質天然ゴムラテックス成形体の製造方法
JP6598447B2 (ja) 天然ゴムの処理方法
JP2016108369A (ja) 天然ゴムの処理方法
JP2018058975A (ja) 天然ゴムの製造方法
JPH0656906A (ja) 天然ゴム用脱蛋白処理剤及びそれを用いた脱蛋白天然ゴムの製造方法
JP5133479B2 (ja) 低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法
CN110760080B (zh) 一种利用鱼鳞制备保鲜膜的方法
JP3562728B2 (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法
JP2005036046A (ja) ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスとその製造方法およびそれを用いた脱蛋白天然ゴム
JPH0967408A (ja) 天然ゴム成形加硫品からの脱タンパク方法およびその方法によって製造された天然ゴム製品
JP4140715B2 (ja) 脱アレルゲン化天然ゴムラテックス及びその製造方法
JP3286635B2 (ja) 脱蛋白天然ゴムの製造方法