JP2018199530A - トイレットロール包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】香り付きトイレットロールの包装体における香料の外部への揮散を防止する。【解決手段】最外層の樹脂層の融点が150℃以下であり、酸素透過度が40cc/m3・day以下でありかつ引張強さが40Mpa以下である樹脂製フィルムにより、香り付きのトイレットロールを包装した、トイレットロール包装体により解決される。【選択図】図1

Description

本発明はトイレットロール包装体に関する。
トイレットペーパーを巻いて筒状にしたトイレットロールは、複数個をまとめて厚み20〜50μm程度の薄厚のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムで包装されて製品とされている。
このポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムは、柔らかく円筒型をなすトイレットロールにフィットする柔軟性、袋を形成したり封止したりする際に行なわれる熱融着処理のしやすさの点において、トイレットロールの包装に非常に適している。
ところで、トイレットロールにおいては、構成部材であるトイレットペーパーや紙管に香料を付与して香り付きとしたものが提案されている。従来、この香り付きのトイレットロールも、薄厚のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムで包装されている。
しかし、トイレットロールは、低密度で円筒型であることから包装内で空気と接する部分が多く、付与した香料が包装体内に非常に揮発しやすい。
一方で上記ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムは、ガスバリア性という点においては、必ずしも高いものではなく、揮散性の高い香料を用いた場合には、製品化後出荷前保管時、出荷後の倉庫保管時、店頭陳列時に香料が外部に漏れ出るおそれがある。
このため、トイレットロールにおいては、使用する香料が揮発性の低いものに限られ、「香り」のバリエーションの増加や、それによる商品差別を難しくしている。
特許4327137号 特開平11−197054号公報 特開2009−280232号公報
そこで、本発明の主たる課題は、従来のトイレットロール包装体と変わらずに製造し、取り扱うことができ、しかも「香り」のバリエーションを増加させることができるトイレットロール包装体を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、 トイレットロールが樹脂フィルムで包装されたトイレットロール包装体であって、
前記トイレットロール包装体は、熱融着処理によって封止されるガセット包装形式で包装されているものであり、かつ、上部に指掛け穴を有する把手部が形成され、
前記トイレットロールが、温度20℃、湿度50%RHの環境下で蒸気圧が50Pa以上である香料を含む、香り付きトイレットロールであり、
前記樹脂フィルムが、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂の中層と、ポリエチレン樹脂の両外層とを含み、
前記両外層の樹脂層の融点が150℃以下であり、
前記中層の厚みが1〜50μm、前記両外層の厚みが5〜70μmで、前記両外層の厚みが前記中層の厚みより厚く、前記樹脂フィルム全体の厚みが15〜100μmであり、
前記樹脂フィルムのMD方向の引張破壊ひずみが50〜800%であり、
各々隣接するトイレットロールが周面で接するように4個並べ、これを端面方向に3段積み重ねた計12個のトイレットロール群が、前記樹脂フィルムで包装され、
前記トイレットロール包装体は、前記樹脂フィルムの筒状体の上部及び下部においてそれぞれ内面同士が熱融着処理によって封止されるとともに、前記筒状体のマチの上部外面同士が熱融着処理によって封止されるガセット包装形式で包装されているものであり、
前記筒状体のマチの上部に、前記指掛け穴を有する把手部が形成されている、
ことを特徴とするトイレットロール包装体である。
本発明に係る樹脂フィルムは最外層の樹脂層の融点が150℃以下であるため、熱融着処理性に優れ、従来のトイレットロール包装体と同様に製造することができる。
しかも樹脂製フィルムを透過して香料の外部へ揮散することがない。なお、本発明にいう外層とは樹脂フィルムの各表面に位置する最外層を意味するものであり、包装体の外側に位置する層という意味ではない。
また、樹脂フィルムが、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂層の中層と、ポリエチレン樹脂層の最外層を有するものであるのが望ましい。
優れたガスバリア性、最外層の融点に設計しやすく、かつ低コストである。
また、トイレットロール包装体は、上部に指掛け穴を有する把手部が設けられたガセット包装形式で包装されているものであるのが望ましい。多数のトイレットロールを簡易に包装でき、しかも持ち運びに便利である。また、従来のトイレットロール包装体と同様に製造できる。さらに、フィルムの柔軟性が十分にあるので、指掛け穴に指に指を掛けて持っても指が痛くなるということもない。
以上の本発明によれば、従来のトイレットロール包装体と変わらずに製造し、また、取り扱うことができ、しかも「香り」のバリエーションを増加させることができるトイレットロール包装体を提供することができる。
本発明の実施形態のトイレットロール包装体の斜視図である。 本発明の実施形態に係る樹脂フィルムの断面図である。
次いで、本発明の実施の形態を図1及び2を参照しながら以下に詳述する。
本実施形態に係るトイレットロール包装体1は、複数のトイレットロールを樹脂フィルム10で包装したものである。図1に示す形態は、各々隣接する二つのトイレットロール20,20…に周面で接するように4個並べ、これを端面方向に3段積み重ねた計12個のトイレットロール群を樹脂フィルム10でガゼット包装形態で包装したものであり、トイレットロールの良く知られる市販形態である。このトイレットロール包装体1は、工場内で製造された後、通常は、工場内倉庫保管、出荷搬送、出荷先倉庫保管、店頭陳列を経て消費者へと流通していくものである。
他方、本実施形態に係るトイレットロール20は、紙管に帯状のトイレットペーパーを巻きつけた芯有りのトイレットロールであっても、コアレスとも称される芯無しトイレットロールの形態のいずれであってもよい。トイレットロールの大きさは、特に限定されない。高さ(幅)が100〜115mm、巻径(直径)が100〜120mm、芯径が10〜48mm、巻長が20〜100mのものが一般的であり、本包装体もかかるトイレットロールを採用しうる。
トイレットロール20を構成するトイレットペーパーも、本実施形態では特に限定されない。1プライから3プライ、紙厚100〜180μm、1プライ当り米坪が11.0〜25.0g/m2の範囲のものが例示できる。なお、ここでの米坪は、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法によるものであり、紙厚は、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて5回測定した平均値をいう。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、図2に示すように、3層の樹脂層11,12,13を有しており、その中層11と両外層12,13とで樹脂種類が異なっている。両外層12,13は、融点が150℃以下であり、この両外層12,13が低融点であることにより、本実施形態に係る樹脂フィルムは、熱融着処理性が確保される。融点が低いほうが低温で融着処理できるため好ましいが、過度に融点が低い場合には、摩擦などによって包装体の樹脂フィルムに傷が付いたり穴が開くおそれが高まるので、実質的な下限値は80℃である。両外層12,13としては、具体的には、直鎖低密度ポリエチレンフィルム層(LLDPE)、低密度ポリエチレンフィルム層(LDPE) 中密度ポリエチレンフィルム層(MDPE)等のポリエチレンフィルム層、ポリスチレンフィルム層、ポリプロピレンフィルム層が例示できる。なお、両外層12,13は、必ずしも同じ種類の樹脂層である必要はない。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、酸素透過度が40cc/m2・day・atm以下である。ここで、上記融点が低く熱融着性に優れるフィルムは、ガスバリア性が低い傾向にあり、上記例示の比較的低コストで汎用性の高いフィルムもガスバリア性についてはさほど高くない。そこで、本実施形態に係る樹脂フィルムでは、酸素透過度を40cc/m2・day・atm以下とするために、中層11を極めて酸素透過度の低い樹脂層としている。このようにすることで、樹脂フィルム1全体の酸素透過度を40cc/m2・day・atm以下とすることができる。下限値は、特に限定されないが、コストなどトイレットロールに適するフィルムであることを考慮すれば、1.0cc/m2・day・atmが実質的な下限値となる。
中層11の具体例は、ポリ塩化ビニリデンフィルム層、株式会社クラレ社製のエバールなどエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム層(EVOH樹脂フィルム層)、EVOH樹脂にスチレン系エラストマーを配合した樹脂からなるフィルム層、日本合成化学製の二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム層(PVOH樹脂フィルム層)や、東洋紡社製のエコシアールなどのナイロンフィルムにアルミナ・シリカを蒸着したフィルム層等が挙げられる。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、引張強さがTD方向で18〜60Mpa、MD方向で12〜49Mpaである。引張強さがTD方向で60Mpa、MD方向で49Mpaを超えると、破れがたく開封がし難いものとなる。意図せず破れて包装の強度を保持できないことから、下限値は、TD方向で18Mpa、MD方向で12Mpaである。この引張強さとするために、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、樹脂フィルム10の全体の厚さを15〜100μmとするとともに、剛性が高い傾向にある酸素透過度の低い中層11の厚み1〜50μm、両外層12,13の厚みを5〜70μmとするのが望ましい。この時、両外層は必ずしも同じ厚みでなくても良い。このように、剛性の高い傾向にある中層11の厚みを極めて薄く、低融点で柔軟な外層の厚みを厚くすることで、良好な開封性が得られるものとなる。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、製造時の流れ方向MD方向の引張破壊ひずみが50〜800%、これに直交するTD方向の引張破壊ひずみが50〜800%であるのが望ましい。この範囲であると、円筒型のトイレットロールに適度に密着するように包装しやすく、また、特に図2のガゼット包装のように上部に指掛け穴31を有する把手部30が形成されたものとした場合、その指掛け穴31に指をかけて持ち運ぶ際に適度に伸びて指が痛くなることが防止される。この引張破壊ひずみにするには、上記樹脂フィルムの厚さとともに、上記樹脂種を選択することで達成できる。
なお、本発明における引張強さ及び引張破壊ひずみは、JIS K 7127に基づいて、試験片の幅を25mm、チャック間距離50mm、速度300mm/minとして行なった値をいう。
ここで、本実施形態の樹脂フィルム10の好ましい構成をまとめると、両外層12,13を融点150℃以下の低融点のフィルム層とし、中層11を酸素透過度の40cc/m2・day・atm以下のフィルム層とし、かつ、両外層12,13の厚みを5〜70μm、中層11の厚みを1〜50μm、樹脂フィルム1の全体の厚みを15〜100μmとするのがよく、また、各層11,12,13の樹脂を上記の種類の樹脂のなかから選択するのがよい。
このような樹脂フィルム10を用いることで、香料が樹脂フィルム10を透過して外部に揮散することが効果的に防止されるようになる。
ここで、本実施形態に係る樹脂フィルム10を3層構造にするには、Tダイ法による共押出法、押し出しラミネート法によって積層構造すればよい。
なお、本発明は、図示の3層構造に限らず、それ以上の例えば4層構造、5層構造とすることができる。
他方、本実施形態に係るトイレットロール20は、香料が付与された香り付きのトイレットロールである。香料を付着させる位置は、トイレットペーパーの表裏面、紙管、トイレットロールの端面が例示できる。紙管を有する芯有りのものであるならば、紙管に香料を付着させておけば、トイレットペーパーを使用する際に香料が肌に付着することがなく、また、巻かれているトイレットペーパーが使いきられるまでトイレ内で長期に渡って香気を放つものとなるので望ましい。
香料としては、天然系あるいは合成系の香料を用いることができる。具体例としては、レモン油、グレープフルーツ油、ローズマリー油、ペパーミント油、マンダリン油、ライム油、ユズ油、カモミール油、ラベンダー油、ローズ油、スペアミント油等の天然香料類;リナロール、シトロネロール、メントール、ゲラニオール等のアルコール類等の合成香料などが挙げられる。これらは単独で用いても、複数を組み合わせて調合香料として用いてもよい。香料の選択は、所望の香調によって決定すればよい。なお、香料は、香気の強さや揮散性の調整のために適宜ジプロピレングリコール、パラフィンオイル等の鉱物油、ヒマシ油、大豆油の植物油を用いて希釈することができる。
特に、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、酸素透過度が40cc/m2・day・atm以下と従来のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムと桁違に低く、従来使用が困難であった揮散性の高い香料の使用できるようになる。香水などの香料製品では、トップノートと称される揮発性が高く初期に強く感じされる香りと、ボトムノートと称される揮発性が低く徐々に感じられるようになる香りと、ミドルノートと称されるこれらの中間の香りを適宜混合して、複雑な香りや経時的な香りの変化を構成することが行なわれる。香り付きのトイレットロールでは、その包装体の樹脂フィルムの酸素透過度が高いために、これまで、特にトップノートの香りを付与することが難しかった。本実施形態に係るトイレットロール包装体1は、トップノートに係る香料、数値でいえば、温度20℃、湿度50%RHの環境下で蒸気圧が50Pa以上ある香料の使用が可能となるため、かかる香料を用いたトイレットロール20を包装したものであるのが望ましい。
他方、本実施形態に係るトイレットロール包装体1の包装形式としては、図1に示すように上部に指掛け穴31を有する把手部30を有するガゼット包装のほか、キャラメル包装が例示できる。キャラメル包装は、被包装物をフィルムで巻き込むように包み、その巻き込み方向において重畳する縁部を接着し、さらに被包装物を越えて延び出した部分を、対向する2つの縁から前記被包装物側に折り込み、その際に形成される三角形片又は台形片の少なくとも各先端縁部同士を融着処理等して接着してなる包装態様であり、2〜4個程度のトイレットロールの包装に適する。このキャラメル包装を行う装置等は、既知の装置が利用される。
一方、図示のトイレットロール包装体1に係るガゼット包装は、筒状に形成された樹脂フィルム内にトイレットロール20を内包し両端開口部と熱融着処理等で封止された包装形態である。係るガゼット包装は、樹脂フィルムを筒状に形成したうえ、予め一方開口部を熱融着処理等により封止するとともに把手部の形成しておき、その把手部が形成された袋状の前駆体に被包装物を挿入し、その後に、他方開口部を熱融着処理して封止する包装手順が取られることが多い。ガゼット包装は、両端開口部が熱融着処理等で封止されるため比較的密封性が高く、本実施形態の香り付きのトイレットロール20の包装体1に特に適する包装形態である。
但し、ガセット包装では、袋状の前駆体にトイレットロール群を挿入し、他端開口部を封止する手順をとるために、袋状の前駆体の一部に内外に連通する空気孔が開けられることがある。フィルムのスリップ効果とガゼット包装の高い密封性により、空気孔から香気が漏れ出ることは少ないが、本実施形態のトイレットロール包装体1では、ガゼット包装のために形成される空気孔から香気が漏れにくいように、空気孔32を包装体内部から把手部30側に空気が抜け出る位置P,Pに形成している。この位置であれば、トイレットロール包装体を店頭で積み上げて陳列したり、段ボールケースに梱包した状態で保管する際に、空気孔32が潰されるため、空気孔32を通じて香気が外部に漏れ出ることが防止できる。
本発明の実施例及び比較例を作成して、香りの持続性、熱融着処理性、開封のし易さについて試験を行ない評価を行なった。
なお、実施例1に係る樹脂フィルムは、両外層がポリエチレン樹脂層、中層がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層である厚さ30μmの3層ラミネートフィルムである。各層の厚さは両PE層が14μm、EVOH層が2μmである。なお、EVOHは、クラレ株式会社製のエバールを使用した。
参考例は両外層がポリエチレン樹脂層、中層がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層である厚さ100μmの3層ラミネートフィルムである。各層の厚さは両PE層が10μmと60μm、EVOH層が30μmである。実施例2も、両外層がポリエチレン樹脂層、中層がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層である厚さ17μmの3層ラミネートフィルムである。各層の厚さは両PE層が8μm、EVOH層が1μmである。
比較例1に係る樹脂フィルムは、厚さ50μmの無軸延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)である。
比較例2に係る樹脂フィルムは、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)である。
比較例3に係る樹脂フィルムは、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)である。
比較例4に係る樹脂フィルムは、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)である。
比較例5に係る樹脂フィルムは、厚さ10μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)である。
比較例6に係る樹脂フィルムは、厚さ110μmの無軸延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)である。
(香りの持続性)
香りの持続性の試験は、紙管に香料(商品名フルーティフローラル、蒸気圧67Pa)を300μl塗布したトイレットロールを12個、各種フィルムで密封包装し、これらヒートショック試験器内に入れ、温度50℃、湿度50%の環境下に置いた。その1日後、2日後、3日後、4日後に試料を取り出して、試料を開封し香気が残っているか否かを確認した。なお、ヒートショック試験器における1日は、実使用2ヶ月に相当する。
香気の確認は10人の被験者が、それぞれ「香りが残っている」、「香りが残っていない」、「どちらとも言えない」の三段階評価を行った。
表中の○は、被験者10人のうち、5人以上が「香りが残っている」と評価したものであり、×は、それ以外である。
(ヒートシール性)
実施例及び比較例に係るフィルムで、温度90℃でガゼット包装による熱融着処理を行い、熱融着が十分に行なわれているか否かを目視にて確認した。
表中の○は、袋形成が可能な程度に十分に熱融着がされていた、△は、熱融着箇所にムラがあって袋形成は困難、×は熱融着されていない、をそれぞれ意味する。
(開封のし易さ)
開封のし易さは、10人の被験者が、各フィルムを破り、それぞれ「容易に開封できる」、「開封できるがやや力がいる」、「開封し難い」の三段階評価を行った。
表中の○は、被験者10人のうち、5人以上が「容易に開封できる」と評価したものであり、×は、それ以外である。
試験の結果と、実施例及び比較例に係る各種フィルムのより具体的な物性・組成を下記表1に示す。
なお、表中の引張強さ、引張破壊ひずみは、JIS K 7127に基づいて、試験片の幅を25mmとして行なった。
Figure 2018199530
表1の各試験の結果をみてみると、本発明の実施例1〜3に係る包装では、香り持続性試験で4日後でも香りが十分に感じられる。これは、通常使用の8ヶ月間に相当し、揮発性の高い香料を含むトイレットロールでも十分に香りが保持できることが確認できた。
また、熱融着性も良好で従来のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムと同様に取り扱うことができ、従来の熱融着を利用したガゼット包装設備やピロー包装設備を問題なく利用できることが確認できた。また、適度な伸びと強度を有し、開封性も問題ないことが確認できた。
一方、比較例1及び比較例2は、従来のトイレットロールの包装体に用いられている無軸延伸ポリプロピレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルムを用いて、高揮散性のトイレットロールを包装した例となるが、熱融着処理性や開封性については問題ないものの、酸素透過度が1300cc/m2・day・atmを超えており、香りの持続性についてはわずか2ヶ月もたてばトイレットロールの香りが低下してしまうことが確認できた。また、ポリプロピレンでも比較例3の軸延伸ポリプロピレンフィルムは、熱融着処理性及び開封性に劣ることが確認できた。
比較例4のポリエチレンテレフタレートフィルムで包装したものは、酸素透過度が43cc/m2・day・atmと低いが、6ヶ月程度で香りが低下することが確認された。また、厚みが比較例1及び比較例2の50μmと比較して、25μmと薄いものであるが引張強さが強すぎて、開封性に問題があることが確認された。さらに、熱融着処理性については従来設備の熱融着温度では、熱融着が不能であることが確認できた。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムを他の素材のフィルムと3層構造にした場合でも、酸素透過度と引張り強さの両立は難しいと予測される。
他方、比較例5は、10μmの非常に薄い低密度ポリエチレンフィルムで包装したものであり、樹脂フィルムの引張り強さがMD方向、TD方向ともに4Mpaと非常に低い例である。この例では、酸素透過度は、わずか2ヶ月程度で香りが低下することが確認され、さらに、熱融着性も悪化することが確認された。
また、比較例6は、110μmの無軸延伸ポリプロピレンフィルムで包装したものであり、樹脂フィルムの引張強さがMD方向で130Mpa、TD方向で100Mpaと高い低い例である。この例では、開封性に問題があり、また、酸素透過度も高い。また、厚みの増加によると思われる熱融着性の悪化が確認された。
以上のとおり、本発明に係るトイレットロール包装体の構成を採ることで、従来のトイレットロール包装体と変わらずに製造し、また、取り扱うことができ、しかも「香り」のバリエーションを増加させることができる。
1…トイレットロール包装体、10…樹脂フィルム、11…中層、12,13…外層、20…トイレットロール、30…把手部、31…指掛け孔、32…空気孔。
本発明はトイレットロール包装体に関する。
トイレットペーパーを巻いて筒状にしたトイレットロールは、複数個をまとめて厚み20〜50μm程度の薄厚のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムで包装されて製品とされている。
このポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムは、柔らかく円筒型をなすトイレットロールにフィットする柔軟性、袋を形成したり封止したりする際に行なわれる熱融着処理のしやすさの点において、トイレットロールの包装に非常に適している。
ところで、トイレットロールにおいては、構成部材であるトイレットペーパーや紙管に香料を付与して香り付きとしたものが提案されている。従来、この香り付きのトイレットロールも、薄厚のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムで包装されている。
しかし、トイレットロールは、低密度で円筒型であることから包装内で空気と接する部分が多く、付与した香料が包装体内に非常に揮発しやすい。
一方で上記ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムは、ガスバリア性という点においては、必ずしも高いものではなく、揮散性の高い香料を用いた場合には、製品化後出荷前保管時、出荷後の倉庫保管時、店頭陳列時に香料が外部に漏れ出るおそれがある。
このため、トイレットロールにおいては、使用する香料が揮発性の低いものに限られ、「香り」のバリエーションの増加や、それによる商品差別を難しくしている。
特許4327137号 特開平11−197054号公報 特開2009−280232号公報
そこで、本発明の主たる課題は、従来のトイレットロール包装体と変わらずに製造し、取り扱うことができ、しかも「香り」のバリエーションを増加させることができるトイレットロール包装体を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、
トイレットロールが樹脂フィルムで包装されたトイレットロール包装体であって、
前記トイレットロール包装体は、上部に指掛け穴を有する把手部が形成され
前記トイレットロールが香料をトイレットペーパーではなく紙管に付着させてなる香り付きトイレットロールであり、
前記樹脂フィルムが、2種以上の樹脂層を有する3層以上の厚さ15〜100μmの積層フィルムであり、MD方向の引張強さが12〜49Mpa、MD方向と直交するTD方向の引張強さが18〜60Mpaであり、
前記積層フィルムの両外層の樹脂層の融点が80℃以上であり、
各々隣接するトイレットロールが周面で接するように4個並べ、これを端面方向に3段積み重ねた計12個のトイレットロール群が、前記樹脂フィルムで包装され、
前記トイレットロール包装体は、前記樹脂フィルムの筒状体の上部及び下部においてそれぞれ内面同士が熱融着処理によって封止されるガセット包装形式で包装されているものである、
ことを特徴とするトイレットロール包装体。
本発明に係る樹脂フィルムは従来のトイレットロール包装体と同様に製造することができる。
しかも樹脂製フィルムを透過して香料の外部へ揮散することがない。なお、本発明にいう外層とは樹脂フィルムの各表面に位置する最外層を意味するものであり、包装体の外側に位置する層という意味ではない。
また、樹脂フィルムが、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂層の中層と、ポリエチレン樹脂層の最外層を有するものであるのが望ましい。
優れたガスバリア性、最外層の融点に設計しやすく、かつ低コストである。
また、トイレットロール包装体は、上部に指掛け穴を有する把手部が設けられたガセット包装形式で包装されているものであるのが望ましい。多数のトイレットロールを簡易に包装でき、しかも持ち運びに便利である。また、従来のトイレットロール包装体と同様に製造できる。さらに、フィルムの柔軟性が十分にあるので、指掛け穴に指に指を掛けて持っても指が痛くなるということもない。
以上の本発明によれば、従来のトイレットロール包装体と変わらずに製造し、また、取り扱うことができ、しかも「香り」のバリエーションを増加させることができるトイレットロール包装体を提供することができる。
本発明の実施形態のトイレットロール包装体の斜視図である。 本発明の実施形態に係る樹脂フィルムの断面図である。
次いで、本発明の実施の形態を図1及び2を参照しながら以下に詳述する。
本実施形態に係るトイレットロール包装体1は、複数のトイレットロールを樹脂フィルム10で包装したものである。図1に示す形態は、各々隣接する二つのトイレットロール20,20…に周面で接するように4個並べ、これを端面方向に3段積み重ねた計12個のトイレットロール群を樹脂フィルム10でガゼット包装形態で包装したものであり、トイレットロールの良く知られる市販形態である。このトイレットロール包装体1は、工場内で製造された後、通常は、工場内倉庫保管、出荷搬送、出荷先倉庫保管、店頭陳列を経て消費者へと流通していくものである。
他方、本実施形態に係るトイレットロール20は、紙管に帯状のトイレットペーパーを巻きつけた芯有りのトイレットロールであっても、コアレスとも称される芯無しトイレットロールの形態のいずれであってもよい。トイレットロールの大きさは、特に限定されない。高さ(幅)が100〜115mm、巻径(直径)が100〜120mm、芯径が10〜48mm、巻長が20〜100mのものが一般的であり、本包装体もかかるトイレットロールを採用しうる。
トイレットロール20を構成するトイレットペーパーも、本実施形態では特に限定されない。1プライから3プライ、紙厚100〜180μm、1プライ当り米坪が11.0〜25.0g/m2の範囲のものが例示できる。なお、ここでの米坪は、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法によるものであり、紙厚は、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて5回測定した平均値をいう。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、図2に示すように、3層の樹脂層11,12,13を有しており、その中層11と両外層12,13とで樹脂種類が異なっている。両外層12,13は、融点が150℃以下であり、この両外層12,13が低融点であることにより、本実施形態に係る樹脂フィルムは、熱融着処理性が確保される。融点が低いほうが低温で融着処理できるため好ましいが、過度に融点が低い場合には、摩擦などによって包装体の樹脂フィルムに傷が付いたり穴が開くおそれが高まるので、実質的な下限値は80℃である。両外層12,13としては、具体的には、直鎖低密度ポリエチレンフィルム層(LLDPE)、低密度ポリエチレンフィルム層(LDPE) 中密度ポリエチレンフィルム層(MDPE)等のポリエチレンフィルム層、ポリスチレンフィルム層、ポリプロピレンフィルム層が例示できる。なお、両外層12,13は、必ずしも同じ種類の樹脂層である必要はない。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、酸素透過度が40cc/m2・day・atm以下である。ここで、上記融点が低く熱融着性に優れるフィルムは、ガスバリア性が低い傾向にあり、上記例示の比較的低コストで汎用性の高いフィルムもガスバリア性についてはさほど高くない。そこで、本実施形態に係る樹脂フィルムでは、酸素透過度を40cc/m2・day・atm以下とするために、中層11を極めて酸素透過度の低い樹脂層としている。このようにすることで、樹脂フィルム1全体の酸素透過度を40cc/m2・day・atm以下とすることができる。下限値は、特に限定されないが、コストなどトイレットロールに適するフィルムであることを考慮すれば、1.0cc/m2・day・atmが実質的な下限値となる。
中層11の具体例は、ポリ塩化ビニリデンフィルム層、株式会社クラレ社製のエバールなどエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム層(EVOH樹脂フィルム層)、EVOH樹脂にスチレン系エラストマーを配合した樹脂からなるフィルム層、日本合成化学製の二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム層(PVOH樹脂フィルム層)や、東洋紡社製のエコシアールなどのナイロンフィルムにアルミナ・シリカを蒸着したフィルム層等が挙げられる。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、引張強さがTD方向で18〜60Mpa、MD方向で12〜49Mpaである。引張強さがTD方向で60Mpa、MD方向で49Mpaを超えると、破れがたく開封がし難いものとなる。意図せず破れて包装の強度を保持できないことから、下限値は、TD方向で18Mpa、MD方向で12Mpaである。この引張強さとするために、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、樹脂フィルム10の全体の厚さを15〜100μmとするとともに、剛性が高い傾向にある酸素透過度の低い中層11の厚み1〜50μm、両外層12,13の厚みを5〜70μmとするのが望ましい。この時、両外層は必ずしも同じ厚みでなくても良い。このように、剛性の高い傾向にある中層11の厚みを極めて薄く、低融点で柔軟な外層の厚みを厚くすることで、良好な開封性が得られるものとなる。
他方、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、製造時の流れ方向MD方向の引張破壊ひずみが50〜800%、これに直交するTD方向の引張破壊ひずみが50〜800%であるのが望ましい。この範囲であると、円筒型のトイレットロールに適度に密着するように包装しやすく、また、特に図2のガゼット包装のように上部に指掛け穴31を有する把手部30が形成されたものとした場合、その指掛け穴31に指をかけて持ち運ぶ際に適度に伸びて指が痛くなることが防止される。この引張破壊ひずみにするには、上記樹脂フィルムの厚さとともに、上記樹脂種を選択することで達成できる。
なお、本発明における引張強さ及び引張破壊ひずみは、JIS K 7127に基づいて、試験片の幅を25mm、チャック間距離50mm、速度300mm/minとして行なった値をいう。
ここで、本実施形態の樹脂フィルム10の好ましい構成をまとめると、両外層12,13を融点150℃以下の低融点のフィルム層とし、中層11を酸素透過度の40cc/m2・day・atm以下のフィルム層とし、かつ、両外層12,13の厚みを5〜70μm、中層11の厚みを1〜50μm、樹脂フィルム1の全体の厚みを15〜100μmとするのがよく、また、各層11,12,13の樹脂を上記の種類の樹脂のなかから選択するのがよい。
このような樹脂フィルム10を用いることで、香料が樹脂フィルム10を透過して外部に揮散することが効果的に防止されるようになる。
ここで、本実施形態に係る樹脂フィルム10を3層構造にするには、Tダイ法による共押出法、押し出しラミネート法によって積層構造すればよい。
なお、本発明は、図示の3層構造に限らず、それ以上の例えば4層構造、5層構造とすることができる。
他方、本実施形態に係るトイレットロール20は、香料が付与された香り付きのトイレットロールである。香料を付着させる位置は、トイレットペーパーの表裏面、紙管、トイレットロールの端面が例示できる。紙管を有する芯有りのものであるならば、紙管に香料を付着させておけば、トイレットペーパーを使用する際に香料が肌に付着することがなく、また、巻かれているトイレットペーパーが使いきられるまでトイレ内で長期に渡って香気を放つものとなるので望ましい。
香料としては、天然系あるいは合成系の香料を用いることができる。具体例としては、レモン油、グレープフルーツ油、ローズマリー油、ペパーミント油、マンダリン油、ライム油、ユズ油、カモミール油、ラベンダー油、ローズ油、スペアミント油等の天然香料類;リナロール、シトロネロール、メントール、ゲラニオール等のアルコール類等の合成香料などが挙げられる。これらは単独で用いても、複数を組み合わせて調合香料として用いてもよい。香料の選択は、所望の香調によって決定すればよい。なお、香料は、香気の強さや揮散性の調整のために適宜ジプロピレングリコール、パラフィンオイル等の鉱物油、ヒマシ油、大豆油の植物油を用いて希釈することができる。
特に、本実施形態に係る樹脂フィルム10は、酸素透過度が40cc/m2・day・atm以下と従来のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムと桁違に低く、従来使用が困難であった揮散性の高い香料の使用できるようになる。香水などの香料製品では、トップノートと称される揮発性が高く初期に強く感じされる香りと、ボトムノートと称される揮発性が低く徐々に感じられるようになる香りと、ミドルノートと称されるこれらの中間の香りを適宜混合して、複雑な香りや経時的な香りの変化を構成することが行なわれる。香り付きのトイレットロールでは、その包装体の樹脂フィルムの酸素透過度が高いために、これまで、特にトップノートの香りを付与することが難しかった。本実施形態に係るトイレットロール包装体1は、トップノートに係る香料、数値でいえば、温度20℃、湿度50%RHの環境下で蒸気圧が50Pa以上ある香料の使用が可能となるため、かかる香料を用いたトイレットロール20を包装したものであるのが望ましい。
他方、本実施形態に係るトイレットロール包装体1の包装形式としては、図1に示すように上部に指掛け穴31を有する把手部30を有するガゼット包装のほか、キャラメル包装が例示できる。キャラメル包装は、被包装物をフィルムで巻き込むように包み、その巻き込み方向において重畳する縁部を接着し、さらに被包装物を越えて延び出した部分を、対向する2つの縁から前記被包装物側に折り込み、その際に形成される三角形片又は台形片の少なくとも各先端縁部同士を融着処理等して接着してなる包装態様であり、2〜4個程度のトイレットロールの包装に適する。このキャラメル包装を行う装置等は、既知の装置が利用される。
一方、図示のトイレットロール包装体1に係るガゼット包装は、筒状に形成された樹脂フィルム内にトイレットロール20を内包し両端開口部と熱融着処理等で封止された包装形態である。係るガゼット包装は、樹脂フィルムを筒状に形成したうえ、予め一方開口部を熱融着処理等により封止するとともに把手部の形成しておき、その把手部が形成された袋状の前駆体に被包装物を挿入し、その後に、他方開口部を熱融着処理して封止する包装手順が取られることが多い。ガゼット包装は、両端開口部が熱融着処理等で封止されるため比較的密封性が高く、本実施形態の香り付きのトイレットロール20の包装体1に特に適する包装形態である。
但し、ガセット包装では、袋状の前駆体にトイレットロール群を挿入し、他端開口部を封止する手順をとるために、袋状の前駆体の一部に内外に連通する空気孔が開けられることがある。フィルムのスリップ効果とガゼット包装の高い密封性により、空気孔から香気が漏れ出ることは少ないが、本実施形態のトイレットロール包装体1では、ガゼット包装のために形成される空気孔から香気が漏れにくいように、空気孔32を包装体内部から把手部30側に空気が抜け出る位置P,Pに形成している。この位置であれば、トイレットロール包装体を店頭で積み上げて陳列したり、段ボールケースに梱包した状態で保管する際に、空気孔32が潰されるため、空気孔32を通じて香気が外部に漏れ出ることが防止できる。
本発明の実施例及び比較例を作成して、香りの持続性、熱融着処理性、開封のし易さについて試験を行ない評価を行なった。
なお、実施例1に係る樹脂フィルムは、両外層がポリエチレン樹脂層、中層がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層である厚さ30μmの3層ラミネートフィルムである。各層の厚さは両PE層が14μm、EVOH層が2μmである。なお、EVOHは、クラレ株式会社製のエバールを使用した。
参考例は両外層がポリエチレン樹脂層、中層がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層である厚さ100μmの3層ラミネートフィルムである。各層の厚さは両PE層が10μmと60μm、EVOH層が30μmである。実施例2も、両外層がポリエチレン樹脂層、中層がエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層である厚さ17μmの3層ラミネートフィルムである。各層の厚さは両PE層が8μm、EVOH層が1μmである。
比較例1に係る樹脂フィルムは、厚さ50μmの無軸延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)である。
比較例2に係る樹脂フィルムは、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)である。
比較例3に係る樹脂フィルムは、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)である。
比較例4に係る樹脂フィルムは、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)である。
比較例5に係る樹脂フィルムは、厚さ10μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)である。
比較例6に係る樹脂フィルムは、厚さ110μmの無軸延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)である。
(香りの持続性)
香りの持続性の試験は、紙管に香料(商品名フルーティフローラル、蒸気圧67Pa)を300μl塗布したトイレットロールを12個、各種フィルムで密封包装し、これらヒートショック試験器内に入れ、温度50℃、湿度50%の環境下に置いた。その1日後、2日後、3日後、4日後に試料を取り出して、試料を開封し香気が残っているか否かを確認した。なお、ヒートショック試験器における1日は、実使用2ヶ月に相当する。
香気の確認は10人の被験者が、それぞれ「香りが残っている」、「香りが残っていない」、「どちらとも言えない」の三段階評価を行った。
表中の○は、被験者10人のうち、5人以上が「香りが残っている」と評価したものであり、×は、それ以外である。
(ヒートシール性)
実施例及び比較例に係るフィルムで、温度90℃でガゼット包装による熱融着処理を行い、熱融着が十分に行なわれているか否かを目視にて確認した。
表中の○は、袋形成が可能な程度に十分に熱融着がされていた、△は、熱融着箇所にムラがあって袋形成は困難、×は熱融着されていない、をそれぞれ意味する。
(開封のし易さ)
開封のし易さは、10人の被験者が、各フィルムを破り、それぞれ「容易に開封できる」、「開封できるがやや力がいる」、「開封し難い」の三段階評価を行った。
表中の○は、被験者10人のうち、5人以上が「容易に開封できる」と評価したものであり、×は、それ以外である。
試験の結果と、実施例及び比較例に係る各種フィルムのより具体的な物性・組成を下記表1に示す。
なお、表中の引張強さ、引張破壊ひずみは、JIS K 7127に基づいて、試験片の幅を25mmとして行なった。
Figure 2018199530
表1の各試験の結果をみてみると、本発明の実施例1〜3に係る包装では、香り持続性試験で4日後でも香りが十分に感じられる。これは、通常使用の8ヶ月間に相当し、揮発性の高い香料を含むトイレットロールでも十分に香りが保持できることが確認できた。
また、熱融着性も良好で従来のポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムと同様に取り扱うことができ、従来の熱融着を利用したガゼット包装設備やピロー包装設備を問題なく利用できることが確認できた。また、適度な伸びと強度を有し、開封性も問題ないことが確認できた。
一方、比較例1及び比較例2は、従来のトイレットロールの包装体に用いられている無軸延伸ポリプロピレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルムを用いて、高揮散性のトイレットロールを包装した例となるが、熱融着処理性や開封性については問題ないものの、酸素透過度が1300cc/m2・day・atmを超えており、香りの持続性についてはわずか2ヶ月もたてばトイレットロールの香りが低下してしまうことが確認できた。また、ポリプロピレンでも比較例3の軸延伸ポリプロピレンフィルムは、熱融着処理性及び開封性に劣ることが確認できた。
比較例4のポリエチレンテレフタレートフィルムで包装したものは、酸素透過度が43cc/m2・day・atmと低いが、6ヶ月程度で香りが低下することが確認された。また、厚みが比較例1及び比較例2の50μmと比較して、25μmと薄いものであるが引張強さが強すぎて、開封性に問題があることが確認された。さらに、熱融着処理性については従来設備の熱融着温度では、熱融着が不能であることが確認できた。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムを他の素材のフィルムと3層構造にした場合でも、酸素透過度と引張り強さの両立は難しいと予測される。
他方、比較例5は、10μmの非常に薄い低密度ポリエチレンフィルムで包装したものであり、樹脂フィルムの引張り強さがMD方向、TD方向ともに4Mpaと非常に低い例である。この例では、酸素透過度は、わずか2ヶ月程度で香りが低下することが確認され、さらに、熱融着性も悪化することが確認された。
また、比較例6は、110μmの無軸延伸ポリプロピレンフィルムで包装したものであり、樹脂フィルムの引張強さがMD方向で130Mpa、TD方向で100Mpaと高い低い例である。この例では、開封性に問題があり、また、酸素透過度も高い。また、厚みの増加によると思われる熱融着性の悪化が確認された。
以上のとおり、本発明に係るトイレットロール包装体の構成を採ることで、従来のトイレットロール包装体と変わらずに製造し、また、取り扱うことができ、しかも「香り」のバリエーションを増加させることができる。
1…トイレットロール包装体、10…樹脂フィルム、11…中層、12,13…外層、20…トイレットロール、30…把手部、31…指掛け孔、32…空気孔。

Claims (1)

  1. トイレットロールが樹脂フィルムで包装されたトイレットロール包装体であって、
    前記トイレットロール包装体は、熱融着処理によって封止されるガセット包装形式で包装されているものであり、かつ、上部に指掛け穴を有する把手部が形成され、
    前記トイレットロールが、温度20℃、湿度50%RHの環境下で蒸気圧が50Pa以上である香料を含む、香り付きトイレットロールであり、
    前記樹脂フィルムが、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂の中層と、ポリエチレン樹脂の両外層とを含み、
    前記両外層の樹脂層の融点が150℃以下であり、
    前記中層の厚みが1〜50μm、前記両外層の厚みが5〜70μmで、前記両外層の厚みが前記中層の厚みより厚く、前記樹脂フィルム全体の厚みが15〜100μmであり、
    前記樹脂フィルムのMD方向の引張破壊ひずみが50〜800%であり、
    各々隣接するトイレットロールが周面で接するように4個並べ、これを端面方向に3段積み重ねた計12個のトイレットロール群が、前記樹脂フィルムで包装され、
    前記トイレットロール包装体は、前記樹脂フィルムの筒状体の上部及び下部においてそれぞれ内面同士が熱融着処理によって封止されるとともに、前記筒状体のマチの上部外面同士が熱融着処理によって封止されるガセット包装形式で包装されているものであり、
    前記筒状体のマチの上部に、前記指掛け穴を有する把手部が形成されている、
    ことを特徴とするトイレットロール包装体。
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