JP2018199148A - 鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳型内での焼付きを防止しつつオシレーションマーク深さの低減が可能な、鋳片の連続鋳造方法の提供。【解決手段】鋳型3内に溶融金属6を注入し、溶融金属6を冷却して凝固シェル7を生成させつつ下方に引き抜き、鋳片を連続鋳造する方法であって、下式により表される振動波形を用いて鋳型3を上下方向に振動させ、かつ従来のサイン波形よりも大きな振動数で振動させ鋳片の引き抜きを行う、鋳片の連続鋳造方法。r(t)は変位(mm)、Sは振動ストローク(mm)、ωは角速度(rad/s)、fは振動数(Hz)、tは時間(s)、φは初期位相(°)、bは非サイン係数(0.15≦b≦0.25)。【選択図】図1

Description

本願は、鋳片表面のオシレーションマーク深さを低減することが可能な、鋳片の連続鋳造方法を開示する。
鋳片の連続鋳造は、溶融金属を鋳型に注入し、鋳型内で凝固シェルを形成した後、未凝固領域を含む鋳片を鋳型の下方へ引き抜くことにより実施される。ここで、特に、溶融金属を高速で鋳造する場合、鋳型の内壁に凝固シェルの一部が焼付きによって拘束され、この拘束部の作用により健全な凝固シェルの形成が阻害されることがある。この場合、種々の製品欠陥が発生するだけでなく、ブレークアウトが発生する虞がある。
従来は、鋳型内の溶融金属へと投入するパウダーを選定することで、この問題に対応していた。溶融したパウダーは、溶融金属の表面に浮いて広がり、鋳型と凝固シェルとの間に供給され、これらの間の摩擦力を低減する潤滑剤として機能する。これにより、鋳型の内壁に対する凝固シェルの焼付きを抑制することができる。
しかしながら、近年において、連続鋳造の操業は、多種多様の鋼種を対象とし、様々な鋳造条件で実施される。このため、パウダーの物性を変更して対応することには限界がある。そこで、パウダーの投入とともに、鋳型に上下方向の振動を与えることが試みられている。鋳型を上下方向に適切に振動させることにより、鋳型内での焼付きを抑制することができる。鋳型に与えられる振動波形としては、例えば、正弦波形や偏倚正弦波形が知られている(特許文献1)。
特開2017−1079号公報
鋳型を振動させつつ鋳片の連続鋳造を行った場合、鋳片の表面に鋳型の振動周期と対応するオシレーションマークが付く。鋳片表面のオシレーションマークが深すぎると、鋳片表面の手入れが必要となり、歩留まりが低下する等の問題が生じる。そのため、鋳片表面のオシレーションマークを如何にして浅くするかが重要となる。ここで、本発明者らの知見によれば、従来の振動波形にて鋳型を振動させた場合、鋳型の振動数を増加させるほどオシレーションマークが浅くなる。しかしながら、オシレーションマークを浅くするために鋳型の振動数を増加させた場合、パウダー消費量が減少し、鋳型内での焼付きが発生する。このように、本発明者らの知見によれば、従来の振動波形にて鋳型を振動させた場合、オシレーションマーク深さの低減と鋳型内での焼付き防止とはトレードオフの関係にある。
そこで本願では、鋳型内での焼付きを防止しつつオシレーションマーク深さを低減することが可能な、鋳片の連続鋳造方法を開示する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めたところ、以下の知見を得た。
(I)鋳片の連続鋳造時、所定の式により表される非正弦波形を用いて鋳型を上下方向に振動させた場合、鋳片表面のオシレーションマーク深さを低減できるとともに、パウダー消費量を増加させることができる。
(II)すなわち、所定の非正弦波形にあっては、振動数を増加させたとしても一定以上のパウダー消費量を確保することができることから、振動数を増加させた場合に問題となる鋳型内における焼付きが生じ難い。よって、従来よりも鋳型の振動数を増加させることができ、鋳片表面のオシレーションマーク深さを一層低減できる。
以上の知見に基づき、本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
鋳型内に溶融金属を注入し、前記溶融金属を冷却して凝固シェルを生成させつつ前記鋳型の下方に引き抜いて鋳片を連続鋳造する方法であって、下記式(1)及び(2)により表される振動波形を用いて前記鋳型を上下方向に振動させ、かつ、正弦波形を用いる際の前記鋳型の上下方向振動数よりも大きな振動数で振動させつつ鋳片の引き抜きを行う、鋳片の連続鋳造方法を開示する。
上記式(1)及び(2)において、r(t)は鋳型の変位(mm)であり、Sは鋳型の振動ストローク(mm)であり、ωは角速度(2πf)(rad/s)であり、fは鋳型の振動数(Hz)であり、tは時間(s)であり、φは初期位相(°)であり、bは非サイン係数であって0.15≦b≦0.25である。
本願において、「正弦波形を用いる際の前記鋳型の上下方向振動数」とは、正弦波形によって鋳型を上下方向に振動させつつ連続鋳造を行った場合において、鋳型内の焼き付きが発生せず、連続鋳造を実施可能な振動数をいう。当業者は、「正弦波形を用いる際の鋳型の上下方向振動数」がどの程度のものであるのか、連続鋳造条件に応じて明確に把握している。すなわち、「正弦波形を用いる際の鋳型の上下方向振動数」は、パウダー種、鋳造速度等の連続鋳造条件に応じて決定される特定の振動数であり、その範囲は明確である。本開示の連続鋳造方法においては、このような特定の振動数よりも大きな振動数を採用する。
本開示の連続鋳造方法においては、例えば、鋳型の振動波形の1周期におけるネガティブタイムを0.10秒以上0.24秒以下とすることが好ましい。尚、「ネガティブタイム」とは、鋳型の下降速度が鋳片の引き抜き速度よりも速い期間をいう。
本開示の連続鋳造方法によれば、鋳型を上下に振動させる際、所定の非正弦波形を用いることで、所定以上のパウダー消費量を確保して鋳型内の焼付きを防止しつつ、鋳片のオシレーションマーク深さを低減することができる。
鋳片の連続鋳造方法の流れを説明するための概略図である。 b=0.40、φ=33.66のときの振動波形を示す図である。 b=0.25、φ=24.46のときの振動波形を示す図である。 b=0.20、φ=20.535のときの振動波形を示す図である。 b=0.15、φ=16.08のときの振動波形を示す図である。 従来の正弦波形を用いた連続鋳造方法において可能であった鋳型振動数と、本開示の連続鋳造方法により可能となった鋳型振動数との関係を概略的に示す図である。 振動波形とパウダー消費量との関係を示す図である。 振動波形及び振動周波数とオシレーションマーク深さとの関係を示す図である。
本開示の連続鋳造方法は、鋳型内に溶融金属を注入し、前記溶融金属を冷却して凝固シェルを生成させつつ鋳型の下方に引き抜いて鋳片を連続鋳造する方法であって、上記式(1)及び(2)により表される振動波形を用いて鋳型を上下方向に振動させ、かつ、正弦波形を用いる際の前記鋳型の上下方向振動数よりも大きな振動数で振動させつつ鋳片の引き抜きを行うことを特徴とする。
図1を参照しつつ本開示の連続鋳造方法について説明する。尚、以下の説明においては、所定の連続鋳造機を用いて溶鋼の連続鋳造を行う形態について説明するが、本開示の連続鋳造方法はこの形態に限定されるものではない。図示した連続鋳造機とは異なる形態の連続鋳造機を用いることも可能である。また、本開示の連続鋳造方法は溶鋼以外の溶融金属を用いて鋳片の連続鋳造を行う場合にも適用可能である。ただし、鋳型内焼付き防止とオシレーションマーク深さの低減との両立という課題がより顕著となる観点から、溶融金属として溶鋼を用いることが好ましい。特に、Ca添加鋼又はPb添加鋼からなる鋳片の連続鋳造を対象とすることが好ましい。
図1に示すように、連続鋳造機において、タンディッシュ1には、図示しない取鍋から供給された溶鋼6が収容される。タンディッシュ1の下方には、筒形で、上下に開口を有する鋳型3が配置されている。溶鋼6は、タンディッシュ1から浸漬ノズル2を経て、鋳型3の上部の開口から、鋳型3内に注入される。鋳型3には、鋳型3に上下方向の振動を与える振動装置20が接続されている。振動装置20は、波形のパラメータを入力可能な制御部を備えており、制御部に入力されたパラメータに基づいて、様々な波形の振動を生じさせることができる。連続鋳造を行っている間、このようにして生成された波形の振動が、鋳型3に与えられる。
鋳型3内の溶鋼6には、パウダーが投入される。パウダーは、溶鋼6の熱により溶融し、溶融パウダーとなって、鋳型3内の溶鋼6の表面に広がる。溶鋼6において、鋳型3との接触部または対向部近傍の部分は、冷却され、固化して、筒状の凝固シェル7となる。溶融パウダーは、鋳型3と凝固シェル7との間に供給される。これにより、鋳型3と凝固シェル7との潤滑が確保される。
凝固シェル7の内部は溶鋼6で満たされている。溶鋼6は、未凝固の部分を含む未凝固鋳片となって鋳型3から下方へと引き抜かれる。未凝固鋳片は、鋳型3の下方に配置された図示しない二次冷却スプレーノズル群から噴射される冷却水により冷却される。これにより、凝固シェル7の厚みが増加する。
未凝固鋳片は、鋳型3の直下に配置されたフットロール4と、フットロール4に対して未凝固鋳片の移動方向下流側に配置された複数のローラーエプロン5によって支持されながら、ローラーエプロン5の下流側に配置されたピンチロール8によって引き抜かれる。そして、未凝固鋳片は、ピンチロール8の下流側に配置された圧下ロール9によって圧下されて、未凝固の部分を実質的に含まない鋳片となる。
本開示の連続鋳造方法は、連続鋳造を行っている間、上記式(1)により表される振動波形で鋳型を振動させることに特徴を有する。式(1)で表される振動波形は、正弦波と余弦波との合成波形である。このような振動波形を用いることで、後述するように、連続鋳造時のパウダー消費量を増加させることができ、さらにはオシレーションマーク深さを低減することもできる。また、式(1)には、初期位相φが導入されてr(0)=0とされており、振動装置の運転開始時に、鋳型3の変位を0とすることができる。このため、振動装置の運転開始時から、所定の振動波形で鋳型3を振動させることができるため、鋳造初期のトラブルを防止することができる。
式(1)において、φ=0とすると、鋳型の変位r(t)は、ωt=π/2のとき、最大値(S/2)をとり、ωt=−π/2のとき、最小値(−S/2)をとる。また、鋳型の変位r(t)の最大値および最小値は、初期位相φには依存しない。したがって、式(1)により表される振動波形では、中立位置のずれはない。このため、垂直連続鋳造のみならず、湾曲連続鋳造でも、潤滑不良およびパウダーの溶鋼への巻き込みを防止することができる。
また、時間t=0で鋳型の変位が0となるためには、下記式(3)を満たす必要がある。下記式(3)は、式(1)に、t=0を代入し、r(0)=0とすることにより得られる。
0=sinφ+bcos2φ+b …(3)
三角関数の公式、cos2φ=1−2sinφを用いると、式(3)は、下記式(4)に書き換えることができる。
2bsinφ−sinφ−2b=0 (b>0) …(4)
|sinφ|≦1であるので、式(4)を、sinφについて解くと、下記式(5)が得られる。
sinφ={1−(1+16b1/2}/4b …(5)
三角関数の公式、tanφ=sinφ/cosφ、およびcosφ=±(1−sinφ)1/2を用いて、式(5)をφについて解くと、上記式(2)が得られる。すなわち、式(2)を満たすことにより、時間t=0での鋳型の変位r(0)が0となる。このため、鋳型を振動させる振動装置の運転開始時から、所定の振動波形で鋳型を振動させることが可能となり、鋳型の開口を、ダミーバーで良好にシールすることが可能となる。
式(2)から、φについて、2つの値が得られる。振動開始時の鋳型の移動方向が上方向であれば、dr(0)/dt>0であるので、cosφ>0となるφを採用すればよい。
本開示の連続鋳造方法においては、上記式(1)及び(2)における非サイン係数bを0.15≦b≦0.25とすることが重要である。
式(1)においては、bによって、sin(ωt+φ)の項に対するbcos2(ωt+φ)の項の大きさが決定される。bが大きくなればなるほど、ネガティブタイムが小さくなり、パウダー消費量が増加するとともに、オシレーションマーク深さも小さくなる。しかしながら、0.25<bの場合、sin(ωt+φ)の項に対してbcos2(ωt+φ)の項が大きくなりすぎ、鋳型が最も上昇すべきωt+φ=π(1/2+2n)(nは、0または正の整数)のときに、鋳型が下降してしまうという問題が生じる。参考までに、b=0.40、および、初期位相φ=33.66°の場合の波形を図2に示す。図2に示すように、b=0.40の場合、鋳型が最も上昇すべきωt+φ=π(1/2+2n)(nは、0または正の整数)のときに、鋳型が下降してしまう。以上の観点から、上記式(1)及び(2)においては、b≦0.25とすることが重要である。
一方、bが0の場合、鋳型の振動波形は単なる正弦波形となり、パウダー消費量を増加させることができない。また、bが0超であったとしても、その値が小さ過ぎる場合、鋳型の振動数を増加させた場合に一定以上のパウダー消費量を確保できず、鋳型内の焼付きを生じる虞がある。本発明者らの知見では、0.15≦bとすれば、パウダー消費量が十分に増加し、鋳型の振動数を従来にない高い領域とした場合でも一定以上のパウダー消費量を確保できる。連続鋳造時、鋳型の振動数を増加させることで、鋳片表面のオシレーションマーク深さを一層顕著に低減することができる。bの下限値は好ましくは0.20以上である。
下記表1に、非サイン係数bが、0.15、0.20、0.25である場合に、式(2)から求められる初期位相φの値を示す。非サイン係数bの値に応じて、式(2)を満たす初期位相φの値を採用することにより、r(0)=0とすることができる。
図3〜5に、非サイン係数b及び初期位相φの値として、表1に示す非サイン係数及び初期位相(φ)を採用したときの式(1)に基づく波形(時間tと、鋳型の変位r(t)との関係)を示す。図3〜5の各々において、式(1)において、sin(ωt+φ)の部分を一次波形とし、bcos2(ωt+φ)の部分を二次波形とし、r(t)を合成波形として示している。ここで、S=4mm、ω=2πrad/sとした。図3〜5に示す合成波形では、振動波形が正弦波形である場合に比して、最大変位(最高点)近傍における移動速度の変化が小さく、最小変位(最低点)近傍における移動速度の変化が大きくなっている。非サイン係数bを大きくするほど、最大変位近傍において、移動速度の変化が小さい期間が長くなる。また、振動波形が正弦波である場合に比して、最小変位近傍と最大変位近傍との間の期間では、鋳型の移動速度(上昇速度、および下降速度)が大きくなっている。
鋳型の下降速度が大きいことにより、鋳型と凝固シェルとの間に押し込まれる(ポンピングされる)溶融パウダーの量が多くなる。鋳型の上昇速度が大きいことにより、パウダーが、鋳型の内壁面に、より近い領域にまで至るようにする(パウダーの流路を広げる)ことができる。最大変位近傍で、鋳型の移動速度が小さい期間が長いことにより、パウダーの流路が広がった状態が長く続くようにすることができる。したがって、図3〜5に示す合成波形で鋳型を上下に振動させることにより、パウダー消費量を増加させることができるとともに、鋳型と凝固シェルとの間の潤滑性を高くすることができる。
また、図3〜5に示す合成波形では、いずれも、t=0のときの鋳型の変位は、最大変位(2mm)と最小変位(−2mm)との中間位置、すなわち、中立位置にある。これにより、シール漏れ等の鋳造初期のトラブルを防止することができる。また、中立位置のずれがないことにより、鋳型内潤滑不良、およびパウダーの溶鋼への巻き込みを抑制するという効果を、安定して奏することができる。
さらに、図3〜5に示す合成波形では、いずれも、正弦波形と比較してネガティブタイムが小さい。本発明者らの知見によれば、ネガティブタイムを小さくするほど、オシレーションマーク深さを低減することができる。
上述したように、非サイン係数bが大きいほど、パウダー消費量が増加し、鋳型と凝固シェルとの間の潤滑性を高くすることができる一方、パウダーの物性によっては、溶融パウダーが溶鋼中に巻き込まれやすくなる。これらを考慮して、パウダーの物性に合わせて、非サイン係数bの値として0.15〜0.25の中から適当なものを採用するか、非サイン係数bの値に合わせて、適当な物性を有するパウダーを採用することが好ましい。たとえば、非サイン係数bの値が大きい場合、凝固点温度が高く、溶融パウダーの粘度が高いパウダーを採用すると、溶融パウダーの溶鋼中への巻き込みを効率的に抑えることができる。
図6に、従来の正弦波形を用いた連続鋳造方法において操業可能(鋳型内の焼付きを防止しつつ連続鋳造可能)であった鋳型振動数と、本開示の連続鋳造方法により操業可能となった鋳型振動数との関係を概略的に示す。図6に示すように、従来においては、パウダー消費量が減少して鋳型内の焼付きが発生してしまうことから、領域Aで示されるような鋳型振動数が低い領域でのみ操業が可能であった。一方で、本開示の連続鋳造方法においては、鋳型振動数を増加させても所定以上のパウダー消費量を確保できることから、従来においては困難であった鋳型振動数が高い領域Bでの操業が可能となった。
また、図6の領域Aで示されるような鋳型振動数が低い従来の操業領域においても、本開示の連続鋳造方法のような特定の非正弦波形を採用することで、従来の正弦波形を用いた連続鋳造方法において操業していた鋳型振動数よりも10〜25%増加した鋳型振動数の採用が可能となり、消費量を確保しつつネガティブタイムを減少させることができる。すなわち、図6の領域Aのうち振動数が小さな領域であったとしても、連続鋳造条件によっては、正弦波形を用いると鋳型内焼き付きが発生する可能性がある。この点、本開示の連続鋳造方法においては、波形及び振動数以外は同じ連続鋳造条件とし、上記した特定の非正弦波形を用いつつ振動数を10〜25%増加させたとしても、鋳型内焼付きを防止できる。
このように、本開示の連続鋳造方法は、正弦波形を用いる際の鋳型の上下方向振動数よりも大きな振動数で鋳型を振動させて、鋳型内焼付きを防止しつつ、鋳片のオシレーションマーク深さを低減するものである。本開示の連続鋳造方法における具体的な振動数は、連続鋳造条件に応じて決定することができるが、例えば、0.6Hz以上6.0Hz以下(すなわち、上記式(1)の角速度ωにおける振動数f(Hz)が0.6≦f≦6.0)の範囲内とする。本発明者らが確認した限りでは、本開示の連続鋳造方法においては、上記式(1)で表される非正弦波形を用いることで、振動数2.5Hz以上といった従来の正弦波形では考えられない極めて高い振動数とした場合でも問題なく操業を行うことができ、鋳片のオシレーションマーク深さを一層低減することができる。この点、振動数の好ましい下限は2.5Hz以上と言うこともできる。一方、好ましい上限は特に限定されないが、例えば、3.5Hz以下とすると操業安定性に一層優れる。
本開示の連続鋳造方法において、鋳型の振動波形の1周期におけるネガティブタイムについては、上記した振動波形及び振動数によって適宜決定することができる。好ましくはネガティブタイムを0.10秒以上0.24秒以下とする。これにより、パウダー消費量を一層増大させることができるとともに、オシレーションマーク深さを一層低減できる。
尚、本開示の連続鋳造方法において、振動ストロークは特に限定されるものではないが、オシレーションマーク深さをより一層低減できる観点から、ショートストロークとすることが好ましい。具体的には、連続鋳造機の操業形態にもよるが、上記式(1)における振動ストロークS(mm)を4.0≦S≦7.0とすることが好ましい。
以上の通り、鋳型を上下方向に振動させつつ鋳片の連続鋳造を行う場合に、振動波形として式(1)及び(2)で示される非正弦波形を用いることで、パウダー消費量が増加するとともに、オシレーションマーク深さを低減することができる。さらに、振動数を増加させたとしても一定以上のパウダー消費量を確保することができることから、振動数を増加させた場合に問題となる鋳型内における焼付きが生じ難い。よって、正弦波形を用いる際の振動数よりも鋳型の振動数を増加させることができ、オシレーションマーク深さを一層低減できる。
以下、実施例を示しつつ、本開示の連続鋳造方法による効果ついて説明する。
<鋼種>
評価対象とした鋼種の成分を下記表2に示す。
上記表2において、オシレーションの「SIN」とは正弦波形を意味し、「ASW」とは上記式(1)及び(2)により表される非正弦波形を意味する。以下、同様である。
<連続鋳造機設備条件>
上記の各鋼種について、図1に示すような連続鋳造機を用いて連続鋳造を行い、鋳片を得た。具体的な設備条件は下記表3に示す通りとした。
<鋳造試験条件>
鋳造試験条件(鋳造速度及びパウダー種)については下記表4に示す通りとし、鋼種に合わせて適宜変更した。
<評価1:パウダー消費量>
上記条件にて連続鋳造を開始し、開始から40分まではSIN波形を用いて鋳型を振動させ、その後、鋳型の振動をASW波形に切り替えることで、パウダー消費量の変化を確認した。結果を図7に示す。図7に示すように、普通鋼、Ca添加鋼及びPb添加鋼のいずれについても、ASW波形に切り替えることでパウダー消費量(kg/溶鋼ton)が増加することが確認された。
<評価2:オシレーションマーク深さ>
鋳造速度を0.6m/minとし、ストロークを±3.5mmとし、振動数を1Hz(60cpm)又は2.5Hz(150cpm)とし、SIN波形又はASW波形(非サイン係数b=0.20)にて鋳型を振動させながらPb添加鋼の連続鋳造を行い、得られた鋳片のオシレーションマーク深さを測定した。具体的には、鋳片表面に発生するスケール(酸化膜)を酸洗除去後、レーザー変位計を用いて鋳片表面オシレーションマーク深さ(表面凹凸)を測定した。結果を図8に示す。
図8のうち、左の棒グラフがSIN波形を用いて振動数を1Hzとして連続鋳造を行った場合の結果、真ん中の棒グラフがASW波形を用いて振動数を1Hzとして連続鋳造を行った場合の結果、右の棒グラフがASW波形を用いて振動数を2.5Hzにとして連続鋳造を行った場合の結果である。いずれの場合においても鋳型内の焼付きは生じなかった。尚、SIN波形を用いて振動数を2.5Hzとした場合については、鋳型内の焼付きが生じ、連続鋳造は不可能であった。
図8に示す結果から明らかなように、振動数を1Hzとした場合、SIN波形におけるネガティブタイム(Tn)が0.35秒であるのに対し、ASW波形におけるネガティブタイムが0.29秒と短くなり、その結果としてオシレーションマーク深さが0.66mmから0.59mmへと低減された。さらに、振動数を1HzからASW波形への変更で可能となった高振動数の2.5Hzへと増加させた場合、ASW波形におけるネガティブタイムが0.29秒から0.18秒へとさらに短くなり51%に半減し、その結果としてオシレーションマーク深さが0.59mmから0.45mmへと一層顕著に低減された。ASW波形を用いた場合、パウダー物性を変更しないでパウダー消費量を増加させることができ、鋳型内の潤滑改善が図られる。すなわち、同一パウダーでさらなる高振動化が可能となり、ネガティブタイムを短くできて、鋳型内焼付きを防止しつつオシレーションマーク深さを低減することができたものと考えられる。以上の通り、連続鋳造時に鋳型の振動波形としてサイン波形の代わりにASW波形を用い、且つ、サイン波形を用いる際の前記鋳型の上下方向振動数よりも振動数を増大させることによってオシレーションマーク深さ低減効果が示された。
尚、上記実施例においては、上記式(1)及び(2)における非サイン係数bを0.20として評価を行ったが、非サイン係数bはこれに限定されるものではない。例えば、非サイン係数bを0.25とすると、ネガティブタイムを約0.14秒とすることができ、非サイン係数bが0.20の場合と比較してパウダー消費量が約25%増加する。この点、非サイン係数bはできるだけ大きな値であるほうがよい。一方で、パウダー消費量の増加の程度からすると、非サイン係数bが0.15以上であれば、振動数を0.6Hz〜6.0Hzと従来よりも高くしても焼付きを防止でき、オシレーションマーク深さを一層低減することができるものと考えられる。以上のことから、非サイン係数bは0.15以上0.25以下とすればよく、0.20以上0.25以下とすることが好ましい。
尚、SIN波形を用いて振動数を2.5Hzとした場合においても、パウダーの物性を変更して潤滑不良を回避することで、連続鋳造を実施できる可能性がある。ただし、パウダーの物性を変更して潤滑を優先した場合、鋳片表面の品質悪化(パウダー巻き込み、縦割れ等)が懸念される。一方、上述したように、所定のASW波形を用いた場合は、パウダー物性を変更せずともパウダー消費量を増加させることができ、鋳型内の潤滑改善が図られる。すなわち、同一パウダーでさらなる高振動化が可能となり、鋳型内焼付きを防止しつつオシレーションマーク深さを低減できる。
本開示の連続鋳造方法により鋳造される鋳片は、各種鋼製品の素材として利用可能である。
3 鋳型
20 振動装置

Claims (2)

  1. 鋳型内に溶融金属を注入し、前記溶融金属を冷却して凝固シェルを生成させつつ前記鋳型の下方に引き抜いて鋳片を連続鋳造する方法であって、
    下記式(1)及び(2)により表される振動波形を用いて前記鋳型を上下方向に振動させ、かつ、正弦波形を用いる際の前記鋳型の上下方向振動数よりも大きな振動数で振動させつつ鋳片の引き抜きを行う、鋳片の連続鋳造方法。
    上記式(1)及び(2)において、
    r(t)は鋳型の変位(mm)であり、
    Sは鋳型の振動ストローク(mm)であり、
    ωは角速度(2πf)(rad/s)であり、
    fは鋳型の振動数(Hz)であり、
    tは時間(s)であり、
    φは初期位相(°)であり、
    bは非サイン係数であって0.15≦b≦0.25である。
  2. 前記鋳型の振動波形の1周期におけるネガティブタイムを0.10秒以上0.24秒以下とする、請求項1に記載の連続鋳造方法。
JP2017104561A 2017-05-26 2017-05-26 鋳片の連続鋳造方法 Active JP6874528B2 (ja)

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