JP2018198581A - フラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、核酸分子、酵素電極、バイオ電池、及び、バイオセンサー - Google Patents

フラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、核酸分子、酵素電極、バイオ電池、及び、バイオセンサー Download PDF

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Abstract

【課題】ギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されるように改変されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、変異体をコードする核酸分子、変異体を電極触媒として利用した酵素電極、バイオ電池及びバイオセンサーの提供。【解決手段】野生型のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列において、特定のアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのアラニン又はグリシンへの置換、第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのアラニン又はグリシンへの置換、から選択される少なくとも1つの置換を有するアミノ酸配列を有し、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、変異体をコードする核酸分子、変異体を利用する酵素電極、バイオ電池、及び、バイオセンサー。【選択図】図3

Description

本発明は、フラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、当該変異体をコードする核酸分子、並びに、当該変異体を利用した酵素電極、バイオ電池、及び、バイオセンサーに関する。特には、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されるように改変されたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、当該変異体をコードする核酸分子、並びに、当該変異体を利用した酵素電極、バイオ電池、及び、バイオセンサーに関する。
ギ酸は、分子量が最少のカルボン酸であり、グルコースやメタノール等のバイオエネルギー関連物質を酸化する際に経由する中間物質である。例えば、グルコースの酸化においては、グルコースが段階的に酸化されるとグリセルアルデヒド等を生成し、更に酸化を受けるとギ酸を経由して二酸化炭素にまで分解される。また、メタノールの酸化においては、ホルムアルデヒド、ギ酸を経由して二酸化炭素にまで分解される。このような酸化の際に生じる電子を取り出すことで、バイオエネルギー関連物質の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。このため、バイオエネルギー関連物質は次世代のエネルギー源として期待されている。また、生体試料中のギ酸値は、急性メタノール中毒やホルムアルデヒド曝露の検出指標として、食品試料中のギ酸値は、食品の品質管理等の指標として利用できることが知られている。文化財保存施設においては空気環境のギ酸値監視が必要であること等も知られている。このため、ギ酸のエネルギー利用方法や測定方法は、今後ますます重要となることが予想され、ギ酸の酸化分解及び生成に関わるギ酸デヒドロゲナーゼが着目されている。
例えば、近年、バイオエネルギー関連物質を燃料とするバイオ電池の開発が進められており、ギ酸デヒドロゲナーゼを利用したバイオ電池が報告されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2)。非特許文献1に記載のバイオ電池は、負極側の電極触媒としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、「NAD」と略する)依存性アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、及び、ギ酸デヒドロゲナーゼを利用したメタノール燃料酵素電池である。3種類のNAD依存性デヒドロゲナーゼはメタノールを二酸化炭素にまでNAD+の存在下で酸化する。その際に、NAD+はNADHに還元される。そして、ジアフォラーゼは、電子メディエータとしてベンジルビオロゲンを使用してNADHをNAD+へ酸化する。当該バイオ電池は、かかる酸化還元反応を負極上で行うものであり、反応により生じた電子は電子メディエータを介して電極に取り出されて、外部回路を介して正極側に移行する。一方、反応により生じたプロトンは隔膜を介して正極側に伝えられ、正極上で酸素の水への還元が行われる。これらのプロセスにより、燃料酸化に伴い生じる電子を外部回路に取り出すことで発電するものである。非特許文献2に記載のバイオ電池も、非特許文献1と同様に、3種類のNAD依存性デヒドロゲナーゼを利用したメタノール燃料酵素電池であり、NAD+及び電子メディエータを利用してNAD依存性デヒドロゲナーゼによる燃料酸化に伴い生じる電子を外部回路に取り出すことで発電するものである。
また、ギ酸デヒドロゲナーゼを利用したバイオセンサーが報告されている(例えば、非特許文献3)。非特許文献3に記載のバイオセンサーは、クラーク型電極上のポリビニルアルコール層中にギ酸デヒドロゲナーゼ、サリチル酸ヒドロキシラーゼ、及び、ポリエチレングリコール化NAD+(以下、「PEG-NAD+」と略する)が固定されて構成されている。測定対象試料中にギ酸が存在すると、ギ酸デヒドロゲナーゼはPEG-NAD+を用いてギ酸を二酸化炭素に酸化し、同時に、サリチル酸ヒドロキシラーゼはNAD再生酵素として、PEG-NAD+の還元により生成されたPEG-NADHを基質であるサリチル酸ナトリウムを用いてPEG-NAD+に再変換する。この際に消費される酸素量を、クラーク型電極によりモニタリングすることにより、ギ酸を測定するものである。
しかしながら、電極触媒としてNAD依存性ギ酸デヒドロゲナーゼを用いた従来のバイオ電池やバイオセンサーは、ギ酸デヒドロゲナーゼに加えて、NAD、ジアフォラーゼ等の電子伝達用の酵素、及び、電子メディエータ等を電極構成要素として含ませることが必要となるため、電極構成が複雑になる傾向がある。一方、電極触媒として、フラビンアデニンジヌクレオチド(以下、「FAD」と略する場合がある)依存性酵素を使用すれば、酵素以外に必要な電極構成要素は電子メディエータのみとなり電極構成を単純化できるとの利点がある。
例えば、ギ酸の酸化還元に関与するFAD依存性酵素として、種々の生物体由来のFAD依存性ギ酸オキシダーゼが報告されている(例えば、非特許文献4〜6)。具体的には、非特許文献4には、アスペルギルス・ノミウス(Aspergillus nomius)IRI013由来のFAD依存性ギ酸オキシダーゼの精製及び特徴を確認したことが記載されている。非特許文献5には、デバリオマイセス・バンリジアエ(Debaryomyces vanrijiae)MH201由来のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子をクローニングし大腸菌内で発現させたことが記載されている。非特許文献6には、X線結晶構造解析によりアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)RIB40由来のFAD依存性ギ酸オキシダーゼの立体構造を決定したことが記載されている。しかしながら、従来公知のFAD依存性ギ酸オキシダーゼは、ギ酸から取り出した電子を酸素に伝達し過酸化水素を生成するギ酸オキシダーゼ活性のみを有する。一方で、電子メディエータや電極等の酸素以外の電子受容体に電子を伝達するギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有していない。このため、従来公知のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをバイオ電池の電極触媒とする場合には、反応系中の溶存酸素の影響を受け出力が低下するという問題がある。また、バイオセンサーの電極触媒とする場合にも、同様に溶存酸素の影響を受け測定値が変動する等、安定した測定値を得られないという問題がある。
したがって、バイオ電池やバイオセンサーの電極触媒用酵素としては、デヒドロゲナーゼ活性がオキシダーゼ活性よりも優位であることが所望される。そこで、従来において、部位特異的変異導入により、デヒドロゲナーゼ活性を維持したままオキシダーゼ活性を低減する等の機能改変に関する報告がなされている(例えば、特許文献1〜3)。具体的には、特許文献1には、コレステロールを測定するためのバイオセンサー等に用いられるコレステロールオキシダーゼ変異体を構築したことが記載されている。特許文献2には、ピラノースオキシダーゼ変異体を構築したことが記載されている。特許文献3には、グルコースオキシダーゼ変異体を構築したことが記載されている。特許文献1〜3に記載の何れの変異体も、デヒドロゲナーゼ活性を維持したまま、オキシダーゼ活性が野生型に比べて低減されている。FAD依存性ギ酸オキシダーゼに関しても、デヒドロゲナーゼ化が実現できれば上記の問題を回避することができるが、従来においてはそのような技術は確立されていない。
特表2014-528709号 特開2015-171359号 特開2016-34280号
そこで、本発明は、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されるように改変されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、及び、当該変異体をコードする核酸分子を提供することを目的とする。更に、当該変異体を電極触媒として利用した酵素電極、バイオ電池、及び、バイオセンサーの提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、ギ酸オキシダーゼ活性のみを有しギ酸デヒドロゲナーゼ活性を示さない野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼにおいて、特定のアミノ酸に置換変異を導入することにより、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供できることを見出した。また、ギ酸オキシダーゼ活性が失活し、優位にギ酸デヒドロゲナーゼ活性のみを示すFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の取得にも成功した。更に、当該FAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を利用することにより、より実用面において有利な酵素電極、並びに、当該酵素電極を利用したバイオ電池、及び、バイオセンサーを構築できることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成するため、以下の[1]〜[8]に示す発明を提供する。
[1]下記(a)、又は、(b)のアミノ酸配列を有し、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
(a)野生型のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのアラニン、又は、グリシンへの置換、及び、第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのアラニン、又は、グリシンへの置換から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を有するアミノ酸配列
(b)(a)のアミノ酸配列において、配列番号2に示す第60位、第61位、及び、第99位に対応する位置以外の位置に、1又は複数のアミノ酸残基の置換、欠失、付加、及び、挿入から選択される少なくとも1つの改変を有するアミノ酸配列
[2]配列番号2に示すアミノ酸配列を有する野生型のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼとの比較で、ギ酸オキシダーゼ活性が低減されている上記[1]のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
[3]前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのアラニン、又は、グリシンへの置換を有し、前記ギ酸オキシダーゼ活性を有しない上記[2]のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
[4]以下の(c)〜(f)の何れかの置換を有する上記[1]又は[2]のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
(c)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、及び、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのアラニンへの置換
(d)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、及び、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのグリシンへの置換
(e)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、及び、第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのグリシンへの置換
(f)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのグリシンへの置換、及び、第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのグリシンへの置換
上記[1]〜[4]の構成によれば、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼが有していないギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができる。このため、その触媒活性は酸素の影響を受けにくいことから、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるギ酸のデヒドロゲナーゼ反応を要する技術に適用できる。特に、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は酵素電極の電極触媒として利用した場合には、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は電子メディエータに優先的に電子を伝達することができ、酵素と電極間での電子の伝達が効率的に進行する。これにより、酵素電極を構成部材とするバイオ電池の高出力化、並びに、バイオセンサーの安定化及び高感度化に貢献することができる。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、FAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化できる。これにより、酵素電極の作製の簡略化及び低コスト化を図ることができ、ひいては、酵素電極を構成部材とするバイオ電池及びバイセンサー等の作製の簡略化及び低コスト化をも図ることができる。
特に、上記[2]の構成によれば、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼとの比較でギ酸オキシダーゼ活性が低減されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができ、より酸素の影響を受けにくく有用性の高いFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができる。
また、上記[3]の構成によれば、ギ酸オキシダーゼ活性が消失し、完全にギ酸デヒドロゲナーゼ化されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができ、酸素の影響をほとんど受けない有用性の高いFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができる。
更に、上記[4]の構成によれば、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性が高く、かつ、ギ酸オキシダーゼ活性が極めて低いか、消失したFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができる。バイオ電池やバイオセンサーの電極触媒として特に有用なFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができる。
[5]上記[1]〜[4]の何れかのフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子。
上記[5]の構成によれば、有用な理化学的特性を有する本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を提供することができる。かかる核酸分子を利用することにより、遺伝子工学的手法により低コストかつ工業的に本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を大量生産することができる。これにより、更に本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の産業上の利用価値を更に向上させることができる。
[6]上記[1]〜[4]の何れかのフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を電極基材上に固定した酵素電極。
上記[6]の構成によれば、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼが有していないギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されると共に、好ましくは、ギ酸オキシダーゼ活性が低減されているFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を電極触媒とする酵素電極を提供する。その機能の発揮に際して、酸素の影響を受けにくいことから、本発明の酵素電極は、酵素と電極間の電子の伝達を効率的に行うことができる。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、FAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化できる。このため、酵素電極の作製の簡略化及び低コスト化を図ることができる。
[7]上記[6]の酵素電極を負極として備えたバイオ電池。
上記[7]の構成によれば、負極側の電極触媒として本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を利用するバイオ電池を提供する。本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の触媒活性は酸素の影響を受けにくいことから、酵素と電極間の電子の伝達を効率的に行うことができる。これにより、バイオ電池の電池出力の向上が期待でき電池性能の向上に貢献することができる。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体はFAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化でき、本発明のバイオ電池の作製の簡略化及び低コスト化に貢献することができる。したがって、本発明のバイオ電池は、医療や福祉、情報通信、移動型や携帯型電子機器等、種々の産業分野において利用可能である。
[8]上記[6]の酵素電極を作用電極として備えたバイオセンサー。
上記[8]の構成によれば、電極触媒として本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を利用するバイオセンサーを提供する。本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の触媒活性は酸素の影響を受けにくいことから、酵素と電極間の電子の伝達を効率的に行うことができる。これにより、本発明のバイオセンサーは、測定対象物質であるギ酸を安定的かつ高感度に検出及び測定することができる。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体はFAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化でき、本発明のバイオセンサーの作製の簡略化及び低コスト化に貢献することができる。したがって、本発明のバイオセンサーは、ギ酸の検出及び測定を要する全ての分野で利用可能であり、特に、医療、食品、環境分野等、種々の産業分野において利用可能である。
実施例1で検討を行った変異導入個所の選定に際して、6種類の酵素のアミノ酸配列の比較を行った結果を示す図 実施例1で検討を行った変異導入個所の選定に際して、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼの立体構造情報を解析した結果を示す図 単一変異体の酵素活性測定を行った実施例4の結果を示し、目視による反応液の色の変化を確認した色判定による野生型AoFOX及び各AoFOX変異体のギ酸オキシダーゼ活性及びギ酸デヒドロゲナーゼ活性評価の結果を示す 多重変異体の酵素活性測定を行った実施例5の結果を示し、570 nmの吸光度測定による野生型AoFOX及び各AoFOX変異体のギ酸デヒドロゲナーゼ活性評価の結果を示すグラフ。 多重変異体の酵素活性測定を行った実施例5の結果を示し、570 nmの吸光度測定による野生型AoFOX及び各AoFOX変異体のギ酸オキシダーゼ活性評価の結果を示すグラフ。
以下、具体的な本発明の実施形態について説明するが、これはあくまでも本発明を例示するに留まり、本発明を限定するものではない。
(本発明のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体)
本発明のフラビンアデニンジヌクレオチド(以下「FAD」と略する)依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼが有していないギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されている。本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、好ましくは、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼと比較して低減されたギ酸オキシダーゼ活性を有し、特に好ましくは、ギ酸オキシダーゼ活性が消失している。
ここで、ギ酸オキシダーゼ活性とは、以下のように、ギ酸から取り出した電子を酸素に供与し、二酸化炭素と過酸化水素を生成する反応を触媒する活性を意味する。
ギ酸 (HCOOH) + 酸素 (O2) → 二酸化炭素 (CO2) + 過酸化水素 (H2O2)
ここで、ギ酸オキシダーゼ活性によりFADは還元型FAD(FADH2)へ還元され、このとき、ギ酸は酸化されて二酸化炭素を生成する反応を触媒する。還元型FADは電子受容体である酸素分子に電子に伝達し再酸化され酸化形態となり、これによって酸素分子は還元され過酸化水素を生成する。
ギ酸デヒドロゲナーゼ活性とは、以下のように、ギ酸から取り出した電子を酸化型電子メディエータに供与し、二酸化炭素と還元型電子メディエータを生成する反応を可逆的に触媒する活性を意味する。
ギ酸 (HCOOH) + 電子メディエータ(酸化型) → 二酸化炭素 (CO2) + 電子メディエータ(還元型)
ここで、FAD依存性のギ酸デヒドロゲナーゼ活性により、ギ酸から二酸化炭素への酸化反応に伴って生じた還元型FADは、酸素以外の電子メディエータに電子を伝達し再酸化され酸化形態に転換される。
野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼと比較して低減されたギ酸オキシダーゼ活性とは、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼに対して、好ましくは、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、又は、10%以下のギ酸オキシダーゼ活性を有するか、ギ酸オキシダーゼ活性が完全に消失していることを意味する。
野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼとは、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の改変の基礎となるFAD依存性ギ酸オキシダーゼのことを意味する。詳細には、自然界より分離される標準的なFAD依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列において、意図的若しくは非意図的に変異が生じていないものを意味する。したがって、変異部位を有しない限り、天然由来だけでなく、遺伝子組換え体のように人為的手段により生じたものを含めることができる。
野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼとしては、FAD依存性のギ酸オキシダーゼ活性を有する限り何れの生物体由来のものであってもよい。しかしながら、アスペルギルス(Aspergillus)属由来、特には、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のFAD依存性ギ酸オキシダーゼが好ましい。ここで、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体構築の基礎として特に好適な野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼの配列情報として、上記のアスペルギルス・オリゼの一菌株RIB40由来のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ(Uniprot Entry : Q2UD26)のアミノ酸配列及び塩基配列を、それぞれ配列表の配列番号2及び配列番号1に示す。かかる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼは、ギ酸オキシダーゼ活性のみを有し、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を示さない。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体として、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼの一例であるアスペルギルス・オリゼ RIB40由来の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ(Uniprot Entry : Q2UD26)の配列番号2に示すアミノ酸配列において、第60位のアミノ酸残基アルギニン(R)のアラニン(A)への置換、第61位のアミノ酸残基アスパラギン(N)のアラニン(A)又はグリシン(G)への置換、及び、第99位のアミノ酸残基チロシン(Y)のアラニン(A)又はグリシン(G)への置換、から選択される少なくとも1つの置換を有することにより改変されたものを好ましく例示することができる。かかる改変により、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されると共に、ギ酸オキシダーゼ活性が低減したFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を構築することができる。特に、第99位のアミノ酸残基チロシン(Y)をアラニン(A)又はグリシン(G)で置換することにより、ギ酸オキシダーゼ活性が消失した完全にギ酸デヒドロゲナーゼ化されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を構築することができる。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、複数の改変を有するものも好ましく例示される。具体的には、配列番号2における第60位のアミノ酸残基アルギニン(R)のアラニン(A)への置換+第61位のアミノ酸残基アスパラギン(N)のアラニン(A)への置換、第60位のアミノ酸残基アルギニン(R)のアラニン(A)への置換+第61位のアミノ酸残基アスパラギン(N)のグリシン(G)への置換、第60位のアミノ酸残基アルギニン(R)のアラニン(A)への置換+第99位のアミノ酸残基チロシン(Y)のグリシン(G)への置換、及び、第60位のアミノ酸残基アルギニン(R)のアラニン(A)への置換+第61位のアミノ酸残基アスパラギン(N)のグリシン(G)への置換+第99位のアミノ酸残基チロシン(Y)のグリシン(G)への置換が好ましく例示される。しかしながら、これらの組み合わせに限定するものではなく、任意に組み合わせることができる。
更に、上記した配列番号2に示すアミノ酸配列からなる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ(Uniprot Entry : Q2UD26)を産生する菌株以外のアスペルギルス・オリゼの他の菌株、並びに、他種の菌体、及び、生物体由来の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列のうち、配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置でのアミノ酸残基アルギニン(R)のアラニン(A)への置換、第61位に対応する位置でのアミノ酸残基アスパラギン(N)のアラニン(A)又はグリシン(G)への置換、及び、第99位に対応する位置でのアミノ酸残基チロシン(Y)のアラニン(A)又はグリシン(G)への置換、から選択される少なくとも1つの置換を有するものも、上記の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の理化学的特性を有している限り、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体に含まれる。このような置換位置は、対象となる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列と、配列番号2に示すアミノ酸配列をアラインメントさせ、配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位のアルギニン(R)、第61位のアスパラギン(N)、及び、第99位のチロシン(Y)に対応する位置を検索することにより決定することができる。なお、上記した配列番号2に示すアミノ酸配列からなる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ(Uniprot Entry : Q2UD26)を産生する菌株以外のアスペルギルス・オリゼの他の菌株、並びに、他種の菌体、及び、生物体由来の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列は、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列とアミノ酸レベルで、好ましくは60%、70%、80%、又は、85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%、96%、97%、98%、又は、99%以上の相同性を保持するものとできる。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、上記のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の理化学的特性を保持している限り、上記の配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位のアルギニン(R)、第61位のアスパラギン(N)、及び、第99位のチロシン(Y)に対応する位置のアミノ酸残基の置換に加えて、上記アミノ酸残基以外の特定のアミノ酸残基に改変が生じている改変部位を有するものであってもよい。改変とは、改変の基礎となるタンパク質のアミノ酸配列のうち、1又は複数のアミノ酸残基が欠失、置換、付加、及び、挿入の少なくとも1つからなる改変が生じていることを意味する。「1又は複数のアミノ酸残基が欠失、置換、付加、及び、挿入の少なくとも1つからなる改変」とは、改変の基礎となるタンパク質をコードする核酸分子に対する公知のDNA組換え技術、点変異導入方法等によって、欠失、置換、付加、又は、挿入することができる程度の数のアミノ酸が、欠失、置換、付加、又は、挿入されることを意味する。また、これらの組み合わせをも含む。ここで、1又は複数とは、好ましくは50、30、20、又は10以下を意味する。例えば、このような変異体は、改変の基礎としたアミノ酸配列に対して、アミノ酸レベルで、好ましくは60%、70%、80%、又は、85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%、96%、97%、98%、又は、99%以上の相同性を保持するものとできる。
アミノ酸配列の改変に際しては、当業者は、FAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の上記した理化学的特性を保持する改変を容易に予測することができる。具体的には、例えばアミノ酸残基の置換の場合には、タンパク質構造保持の観点から極性、電荷、親水性、若しくは疎水性等の点で置換前のアミノ酸と類似した性質を有するアミノ酸に置換することができる。このような置換は保守的置換として当業者には周知である。具体例を挙げると、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有する。また、非荷電性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸、及び、グルタミン酸が挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられる。これらの各グループ内のアミノ酸残基の置換は、タンパク質の機能が維持されるとして許容される。また、その後の精製、固相への固定等の便宜のため、アミノ酸配列のN、又はC末端にヒスチジンタグ(His-tag)、FLAGタグ(FLAG-tag)等を付加したものも好適に例示される。このようなタグペプチドの導入は常法により行なうことができる。また、酵素活性の消失を引き起こさない範囲内で、C末端側若しくはN末端側のアミノ酸残基を切断した切断型でもよい。更に、グルコシル化等の化学修飾を付加してもよい。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は当該技術分野で公知の方法によって取得することができる。例えば、改変の基礎となる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子に対して改変を施しFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を得る。得られた核酸分子を用いて宿主細胞を形質転換し、かかる形質転換体の培養物から上記の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の理化学的特性を有するタンパク質を採取することによって取得することができる。詳細には、ギ酸に対するデヒドロゲナーゼ活性を有し、好ましくは、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼに比べてギ酸オキシダーゼ活性が低減している、もしくは、ギ酸オキシダーゼ活性が消失しているとの特性を有するタンパク質を採取する。
改変の基礎となる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子は、当該技術分野で公知の遺伝子クローニング技術を用いて取得することができる。例えば、GenBankやEMBL、DDBJ等の当該技術分野で公知のデータベースを検索することによって取得することができる所望の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子の塩基配列情報を基にして作製したDNAをプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により、所望の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子を調製することができる。ハイブリダイゼーションの対象としては、生物体由来のゲノムDNA、全RNAから逆転写反応によって合成したcDNA等を利用することができる。ここで用いられるプローブは、所望の酵素をコードする核酸分子と相補的な塩基配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホロアミダイト法等に基づく化学合成法や、既に標的となる核酸分子が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。このようなプローブとしては、所望の酵素をコードする核酸分子の塩基配列に基づき、この塩基配列の連続する10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。そして、プローブは必要に応じて適当な標識が付されていてよく、このような標識として放射線同位体、蛍光色素等が例示される。
また、所望の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子の塩基配列情報を基にして作製したプライマーを利用するPCRによっても同様に、所望の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子を調製することができる。このとき、生物体由来のゲノムDNA、又は、cDNAを鋳型として用いる。PCRを利用する場合に用いられるプライマーは、所望の酵素と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホロアミダイト法等に基づく化学合成法や、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいてプライマーの設計を行う。プライマーの設計は、所望の領域を増幅するように、例えばプライマー設計支援ソフト等を利用して設計することができる。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。このようなプライマーとしては、所望の増幅領域を挟んで設計され、10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
ここで、相補的とは、プローブ又はプライマーと標的核酸分子とが塩基対合則に従って特異的に結合し安定な二重鎖構造を形成できることを意味する。ここで、完全な相補性のみならず、プローブ又はプライマーと標的核酸分子が互いに安定な二重鎖構造を形成し得るのに十分である限り、いくつかの核酸塩基のみが塩基対合則に沿って適合する部分的な相補性であっても許容される。その塩基数は、標的核酸分子を特異的に認識するために十分に長くなければならないが、長すぎると逆に非特異的反応を誘発するので好ましくない。したがって、適当な長さはGC含量等の標的核酸の配列情報、並びに、反応温度、反応液中の塩濃度等のハイブリダイゼーション反応条件等の多くの因子に依存して決定される。
また公知の塩基配列情報に基づいて、常法のホスホロアミダイト法等の核酸合成法により合成することによっても取得することができる。
野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子に所望の部位に変異を施す方法としては、特に制限はなく、当該技術分野で公知のタンパク質変異体作製のための変異導入技術を利用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法、PCR法等を利用して変異を導入するPCR突然誘発法、あるいは、トランスポゾン挿入突然変異誘発法等の当該技術分野で公知の変異導入技術を利用することができる。また、市販の変異導入用キット(例えば、QuikChange(登録商標) Site-directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製))を利用してもよい。
特には、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子を鋳型として、所望の改変(置換又は欠失)を施した配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行うことによって取得することが、好ましく例示される。ここで、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の調製において、PCRを利用する場合に用いられるプライマーは、野性型FAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子と相補的な配列を含み、かつ所望の変異が挿入できるように設計されたものである。かかるプライマーは、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホロアミダイト法等に基づく化学合成法等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいて設計される。プライマーの設計は、所望の領域を増幅するように、例えばプライマー設計支援ソフト等を利用して設計することができる。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。このようなプライマーとしては、10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
また、目的とするFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体のアミノ酸配列が定めれば、それをコードする適当な塩基配列を決定できる。かかる塩基配列情報に基づき、常法のホスホロアミダイト法等の核酸合成技術を利用して本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を化学的に合成することができる。
得られた本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を用いた適当な宿主細胞の形質転換は、適当なベクターを利用することにより行うことができる。詳細には、適当なベクターに本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を組み込むことによって組み換えベクターを構築し、かかる組み換えベクターを用いて形質転換することによって行う。利用可能なベクターとしては、外来DNAを組み込め、かつ宿主細胞中で自律的に複製可能なものであれば特に制限はない。したがって、ベクターは、FAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素部位の配列を含むものである。例えば、プラスミドベクター(pET系、pEX系、pUC系、及びpBR系等)、ファージベクター(λgt10、λgt11、及びλZAP等)、コスミドベクター、ウイルスベクター(ワクシニアウイルス、及びバキュロウイルス等)等が包含される。
本発明の組み換えベクターは、FAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子がその機能を発現できるように組み込まれている。したがって、核酸分子の機能発現に必要な他の当該技術分野で公知の塩基配列が含まれていてもよい。例えば、プロモータ配列、リーダー配列、シグナル配列、並びにリボソーム結合配列等が挙げられる。プロモータ配列としては、宿主が大腸菌の場合にはlacプロモータ、trpプロモータ等が好適に例示される。しかしながら、これに限定するものではなく当該技術分野で公知のプロモータ配列を利用できる。更に、本発明の組換えベクターには、宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等をも含ませることができる。このようなマーキング配列としては、薬剤耐性、栄養要求性等の遺伝子をコードする配列等が例示される。具体的には、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等が例示される。
ベクターへの本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子等の挿入は、例えば、適当な制限酵素で当該核酸分子を切断し、適当なベクターの制限酵素部位、又はマルチクローニング部位に挿入して連結する方法等を用いることができる。しかしながらこれらに限定されず、当該技術分野で公知の方法を利用することができる。連結に際しては、DNAリガーゼを用いる方法等、公知の方法を利用できる。また、DNA Ligation Kit(Takara-bio社)等の市販のライゲーションキットを利用することもできる。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を含む組換えベクターで適当な細胞を宿主として形質転換することによって形質転換体を構築することができる。ここで、宿主となる細胞としては、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を効率的に発現できる宿主細胞であれば、特に制限はない。原核生物を好適に利用でき、特には大腸菌を利用することができる。その他、枯草菌、バシラス属細菌、シュードモナス属細菌等をも利用できる。大腸菌としては、例えば、E.coli BL21、E.coli DH5α、E.coli JM109等を利用できる。更に、原核生物に限定されず真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、Saccharomyces cerevisiae等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を利用することも可能である。形質転換法としては、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソームトランスフェクション法、マイクロインジェクション法等の当該技術分野で公知の方法を利用することができる。
得られた形質転換体の培養物からの本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の取得は、上記の形質転換体を培養し、得られた培養物から上記の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の理化学的特性を有するタンパク質を採取することにより行なう。
形質転換体の培養は、形質転換体を適当な培地に接種し、常法に準じて培養することにより行なわれる。宿主細胞の栄養生理化学的特性を勘案して、培養条件を選択すればよい。使用される培地としては、宿主細胞が資化し得る栄養素を含み、形質転換体におけるタンパク質の発現を効率的に行えるものであれば特に制限はない。したがって、宿主細胞の生育に必要な炭素源、窒素源その他必須の栄養素を含む培地であることが好ましく、天然培地、合成培地の別を問わない。例えば、炭素源として、グルコース、デキストラン、デンプン等が、また、窒素源としては、アンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、ペプトン、カゼイン等が挙げられる。他の栄養素としては、所望により、無機塩類、ビタミン類、抗生物質等とを含ませることができる。宿主細胞が大腸菌の場合には、LB培地、M9培地等が好適利用できる。また、培養形態についても特に制限はないが、大量培養の観点から液体培地が好適に利用できる。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子が組み込まれた組換えベクターを保持する宿主細胞の選別は、例えば、マーキング配列の発現の有無により行なうことができる。例えば、マーキング配列として薬剤耐性遺伝子を利用する場合には、薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤含有培地で培養することによって行うことができる。
上記の形質転換体の培養において得られた培養物からの本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を取得、即ち、単離精製する。このとき、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の存在する画分に応じて、一般的なタンパク質の単離精製方法に準じた手法を適用すればよい。具体的には、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体が宿主細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を除去して培養上清を得る。続いて、培養上清に、公知のタンパク質精製方法を適宜選択することにより、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を単離精製することができる。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、透析、SDS-PAGE電気泳動、ゲル濾過、疎水、陰イオン、陽イオン、アフィニティークロマトグラフィ等の各種クロマトグラフィ等の公知の単離精製方法を単独、又は適宜組み合わせて適用することができる。特にアフィニティークロマトグラフィを利用する場合、本発明の酵素をHis Tag等のタグペプチドとの融合タンパク質として発現させて、かかるタグペプチドに対する親和性を利用することが好ましい。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体が宿主細胞内で産生される場合には、培養物を遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を回収する。続いて、リゾチーム処理等の酵素的破砕方法、又は超音波処理、凍結融解、浸透圧ショック等の物理的破砕方法等により、宿主細胞を破砕する。破砕後、遠心分離、濾過等の手段により可溶化画分を収集する。得られた可溶化画分を、上記の細胞外に生産できる場合と同様に処理することにより単離精製することができる。
得られたタンパク質が本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体特有の理化学的特性を有するか否かの確認は、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、及び、必要に応じてギ酸オキシダーゼ活性を測定することにより行うことができる。ギ酸デヒドロゲナーゼ活性及びギ酸オキシダーゼ活性の測定は当該技術分野で公知の何れの方法を用いて測定することができ、酸化還元試薬による呈色反応を利用することができる。具体的には、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性は、下記で詳述する実施例3に記載の方法のようにジクロロインドフェノール(以下、「DCIP」と略する)等を利用することができる。DCIPの還元脱色反応を目視判定するか、又は、吸光度を測定することによりギ酸デヒドロゲナーゼ活性を測定することができる。ギ酸オキシダーゼ活性の測定は、ギ酸オキシダーゼの触媒活性により生成する過酸化水素や酸素消費量の測定によりギ酸オキシダーゼ活性を測定することができ、下記で詳述する実施例3に記載の方法のようにペルオキシダーゼ法等を利用することができる。ペルオキシダーゼ法は、ギ酸オキシダーゼの触媒活性により生成した過酸化水素がペルオキシダーゼの作用によりN-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルフォプロピル)-m-トルイジンナトリウム(以下、「TOOS」と略する)と4-アミノアンチピリンとを定量的に酸化縮合させ、青紫色の色素を生成させることを利用するものである。この青紫色の呈色反応を目視判定するか、又は、吸光度を測定することによりギ酸オキシダーゼ活性を測定することができる。吸光度の測定は、当該技術分野において公知の方法で行うことができ、例えば、マイクロプレートリーダー等を利用することができる。
また、配列分析によっても所望の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を取得できているか否かの確認を行うことができ、例えば、エドマン分解に基づく自動アミノ酸決定法等を利用することができる。
このように、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を取得し、適当な宿主で発現させることによって、低コストに本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を大量生産することが可能となる。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は自然又は人工の突然変異により生じた突然変異体の中から、上記の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の理化学的特性を有するか否かを確認することによっても取得できる。理化学的特性の確認については上記した。更には、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、化学的合成技術によっても製造することができる。例えば、ペプチド合成機を用いて合成し、得られるポリペプチドを適当な条件の下で、再構築することにより調製することができる。
以上の通り、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼが有していないギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されると共に、好ましくは、ギ酸オキシダーゼ活性が低減されている。このため、その触媒活性は酸素の影響を受けにくいことから、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるギ酸のデヒドロゲナーゼ反応を要する技術に適用できる。特に、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は酵素電極の電極触媒として利用した場合には、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は電子メディエータに優先的に電子を伝達することができ、酵素と電極間での電子の伝達が効率的に進行する。これにより、酵素電極を構成部材とするバイオ電池の高出力化及びバイオセンサーの安定化及び高感度化に貢献することができる。特に、ギ酸オキシダーゼ活性の消失により、酸素の影響をほとんど受けない有用性の高いFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を提供することができる。このようなFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、バイオ電池やバイオセンサーの電極触媒として特に有用である。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、FAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化できる。これにより、酵素電極の作製の簡略化及び低コスト化を図ることができ、ひいては、酵素電極を構成部材とするバイオ電池及びバイセンサー等の作製の簡略化及び低コスト化をも図ることができる。
(本発明のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子)
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子は、上記の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の理化学的特性を有するすべてのFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を包含する。好ましくは、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼの一例であるアスペルギルス・オリゼ RIB40由来の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ(Uniprot Entry : Q2UD26)の配列番号2に示すアミノ酸配列において、第60位のアミノ酸残基アルギニン(R)のアラニン(A)への置換、第61位のアミノ酸残基アスパラギン(N)のアラニン(A)又はグリシン(G)への置換、及び、第99位のアミノ酸残基チロシン(Y)のアラニン(A)又はグリシン(G)への置換、から選択される少なくとも1つの置換を有することにより改変されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする全てのポリヌクレオチドが例示できる。
また、上記した配列番号2に示すアミノ酸配列をからなる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ(Uniprot Entry : Q2UD26)を産生する菌株以外のアスペルギルス・オリゼの他の菌株、及び他種の菌体及び生物体由来の野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列のうち、配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位、第61位、及び第99位に対応する位置で、上記したアミノ酸残基の置換の少なくとも1つ置換を有することにより改変されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする全てのポリヌクレオチドをも含むことができる。
例えば、配列番号1の塩基配列、若しくは、配列番号1の塩基配列と一定の相同性を有する塩基配列において、配列番号1の塩基配列の第178〜180位に対応する位置のコドン「cgt」のアラニンをコードするコドンへの改変、第181〜184位に対応する位置のコドン「aac」のアラニン又はグリシンをコードするコドンへの改変、及び、第295〜298位に対応する位置のコドン「tac」のアラニン又はグリシンをコードするコドンへの改変から選択される少なくとも1つの改変を有する塩基配列を有するポリヌクレオチドが例示される。なお、上記一定の相同性は、塩基レベルで、好ましくは60%、70%、80%、又は、85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%、96%、97%、98%、又は、99%以上の同一性を有することを意味する。また、アラニンをコードするコドンは「gcu」、「gcc」、「gca」、又は、「gcg」であり、グリシンを示すコドン「ggu」、「ggc」、「gga」、又は、「ggg」である。ここでポリヌクレオチドにはDNA及びRNAの双方が含まれ、DNAである場合には、一本鎖であると、二本鎖であるとは問わない。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子は、本明細書においてそのアミノ酸配列に基づいて塩基配列が明確になった。したがって、かかる配列情報に基づいて、常法のホスホロアミダイト法等のDNA合成法を利用して化学的に合成することができる。また、改変の基礎となる野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼをコードする核酸分子に対して改変を施すことによっても製造することができる。なお、詳細については上記した。
更に、上記のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の理化学的特性を保持している限り、上記の配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位のアルギニン(R)、第61位のアスパラギン(N)、第99位のチロシン(Y)に対応する位置で、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を有することにより改変されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドも本発明の核酸分子に含まれる。このような核酸分子は、公知の変異導入技術や、常法のホスホロアミダイト法等のDNA合成法を利用することにより作製できる。もしくは、上記の配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位のアルギニン(R)、第61位のアスパラギン(N)、第99位のチロシン(Y)に対応する位置で、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を有することにより改変されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドに対してエキソヌクレアーゼを作用させることによって取得することができる。このようなポリヌクレオチドとしては、上記の配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位のアルギニン(R)、第61位のアスパラギン(N)、第99位のチロシン(Y)に対応する位置で、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を有することにより改変されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドにおいて1又は複数の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたものも含まれる。したがって、塩基配列の3'、又は5'末端にタグペプチドをコードする塩基配列が付加したものも好適に例示される。
ここで、ストリンジェントな条件とは、塩基レベルで、好ましくは60%、70%、80%、又は、85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%、96%、97%、98%、又は、99%以上の同一性を有するDNA同士が優先的にハイブリダイズし得る条件をいう。ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーションの反応や洗浄の際の塩濃度及び温度を適宜変更することによって調製することができる。例えば、Sambrook他著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor、New York等に記載のサザンハイブリダイゼーションのための条件等が挙げられる。
より具体的には、50 %(v/v) ホルムアミド、5×SSC中で、42 ℃にて16時間のハイブリダイゼーションが例示される。ここで、1×SSCは、0.15 M NaCl、0.015 M クエン酸ナトリウム、pH 7.0である。また、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0 %(v/v)、変性非特異的DNAを0〜200 μl含んでいてよい。そして、洗浄条件としては、2×SSC、0.1 % SDS中の5 ℃にて5分間の洗浄、及び0.1×SSC、0.1 % SDS中の65 ℃にて30分間〜4時間の洗浄が例示される。また、これらと同等の条件も当業者は容易に理解できるであろう。
以上の通り、有用な理化学的特性を有する本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子を取得できたことから、遺伝子工学的手法により低コストかつ工業的に本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を大量生産することができる。これにより、更に本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の産業上の利用価値を更に向上させることができる。
(本発明の酵素電極)
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、酵素電極の電極触媒として利用することができ、かかる酵素電極も本発明の一部を構成する。本発明の酵素電極は、電極基材に本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を固定することにより構築することができる。
電極基材としては、外部回路に接続可能で電子を伝達できる導電性の基材であれば特に制限はない。カーボンクロス、カーボンペーパー、グラファイト、及びグラッシーカーボン等のカーボン材、アルミニウム、銅、金、白金、銀、ニッケル、パラジウム等の金属又は合金、SnO2、In2O3、WO3、TiO2等の導電性酸化物等が例示できる。しかしながら、これらに限定するものではなく、当該技術分野で公知の材質の導電性の基材を使用することができる。
また、これを単層又は2種類以上の層の積層構造をもって構成してもよい。また、導電性向上のため、市販のケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭粉末等の導電性カーボン微粒子を基材に塗布してもよい。その際に、PVDF等のバインダーを使用してもよい。電極基材の大きさ及び形状等は特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜調整することができる。したがって、マイクロメートルオーダーに電極面積を小さくした微小電極として構成することができる。
電極基材上への本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の固定は、物理的吸着、イオン結合,共有結合を介して固定する担体結合法等の当該技術分野で公知の方法によって行うことができる。また、グルタルアルデヒド等の二価性官能基をもつ架橋試薬で架橋固定する架橋法をも利用できる。更には、アルギン酸、カラギーナン等の多糖類、導電性ポリマー、酸化還元ポリマー、光架橋性ポリマー等の網目構造をもつポリマー、透析膜等の半透性膜内に封入して固定する包括法等をも利用することができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。例えば、物理的吸着により電極基材に固定する場合には、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を含む溶液に電極基材を接触させ、これを乾燥させることによって簡便に固定できる。
固定に際しては、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体がその触媒活性を発揮し、電極基材と電子の伝達を行うのに必要な物質と共に固定してもよい。本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、補因子FADを含むホロ形態で固定しても、アポ形態で固定してもよいが、ホロ形態で固定することが好ましい。しかしながら、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をアポ形態で固定し、FADを同一又は別の層として固定してもよい。また、その他の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の触媒活性の発現のために必要な物質を、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体と同一又は別の層として固定してもよい。更に、電極基材には、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の触媒反応と電極との間の電子伝達を媒介する電子メディエータを、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体と同一又は別の層として固定してもよい。
電子メディエータは本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体と電極との間の電子伝達を媒介することができる限り、特に制限はない。例えば、2,6-ジクロロインドフェノール(DCIP)、フェリシアニド、2,2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、ベンゾキノン誘導体、オスミウム錯体類、ルテニウム錯体類等が例示される。しかしながら、これらに限定されるものではなく、酵素電極の電極基材の種類や使用目的等に応じて最適な物質を選択すればよい。
電極基材上に固定する本発明のFAD依存性のギ酸オキシダーゼ変異体の固定量は、酵素電極の使用目的に応じて適宜変更することができる。
以上の通り、本発明の酵素電極は、野生型のFAD依存性オキシダーゼが有していないギ酸デヒドロゲナーゼ活性が付与されると共に、好ましくは、ギ酸オキシダーゼ活性が低減されているFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を電極触媒とするものである。その機能の発揮に際して、酸素の影響を受けにくいことから、本発明の酵素電極は、酵素と電極間の電子の伝達を効率的に行うことができる。特に、ギ酸オキシダーゼ活性の消失により、酸素の影響をほとんど受けない有用性の高いFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を利用することにより、バイオ電池やバイオセンサーの電極として特に有用な本発明の酵素電極を提供することができる。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、FAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化できる。このため、酵素電極の作製の簡略化及び低コスト化を図ることができる。本発明の酵素電極は、バイオ電池及びバイオセンサー等の電極として好適に利用することができる。バイオ電池の高出力化及びバイオセンサーの安定化及び高感度化に貢献することができると共に、バイオ電池及びバイオセンサーの作製の簡略化及び低コスト化を図ることができる。
(本発明のバイオ電池)
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、バイオ電池の構築に利用することができ、かかるバイオ電池も本発明の一部を構成する。本発明のバイオ電池は、例えば、酸化反応を行う負極(アノード)と、還元反応を行う正極(カソード)を含んで構成される。正極と負極が隔膜を挟んで対向するように配置され、正極と負極は外部回路によって接続される。負極では、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体が燃料であるギ酸を酸化することによって生じた電子を電極に取り出すと共に、プロトンを発生する。一方、正極側では、負極側で発生したプロトンが酸素と反応することによって水を生成するように構成される。
負極及び正極に使用する電極基材としては、外部回路に接続可能で電子を伝達できる導電性の基材であれば特に制限はなく利用することでき、そのような導電性の基材については上記した。
負極側の電極には、電極触媒として本発明のFAD依存性のギ酸オキシダーゼ変異体が供給される。このとき、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、適当な緩衝液中に溶解させた形態で供給してもよいが、電極基材上に固定することが好ましい。電極基材上への本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の固定は、上記した方法で行うことができ、負極側の電極として、上記の本発明の酵素電極を利用することができる。電極基材上に固定する場合の本発明のFAD依存性のギ酸オキシダーゼ変異体の固定量は、燃料であるギ酸の形態や容量、電極系の種類や容量、発電方式等に応じて適宜変更することができる。正極側の電極には、酸素に電子を伝達することのできる酵素等の触媒を必要に応じて供給される。例えば、ラッカーゼやビリルビンオキシダーゼ等のマルチ銅オキシダーゼ等の酵素触媒や白金等の金属触媒を利用することができる。酵素触媒を利用する場合には、適当な緩衝液中に溶解させた形態で供給してもよいが、電極基材上に固定されることが好ましい。
電極には、酵素がその触媒活性を発揮するのに必要な物質を供給することができ、電極触媒である酵素と共に固定してもよい。例えば、補因子や補酵素等の酵素がその触媒活性を発揮するのに必要な物質を電極基材上に酵素と共に固定することができる。特に、酵素の触媒活性の発揮に補因子を要求する酵素については、補因子を含んだホロ形態で固定してもアポ形態で固定してもよいが、電極反応に際しては活性を発揮できるように構成する必要がある。したがって、補因子を固定せずアポ形態として酵素のみを電極基材上に保持した場合には、電極基材上に固定された酵素に補因子を供給するための部材を別途設ける等、アポ形態の酵素を活性型のホロ形態に変換するための手段を設けることが必要となる。また、酵素と電極基材間の電子の伝達に必要な物質を電極に供給することができる。例えば、電子メディエータ等の酵素と電極基材間の電子の伝達に必要な物質を電極基材上に酵素と共に固定することができ、また、電極基材上にこれらの物質を供給するための部材を別途設けることができる。
電子メディエータは、変異体と電極との間の電子伝達を媒介することができる限り、特に制限はない。例えば、キノン類、シトクロム類、ビオロゲン類、フェナジン類、フェノキサジン類、フェノチアジン類、フェリシアン化物、フェレドキシン類、フェロセン、及び、その誘導体等が例示される。負極側の電子メディエータの好適例については上記した。
隔膜は、プロトン等を透過できるイオン伝導性を有すると共に、プロトン等のイオン以外の負極側の構成成分及び正極側の構成成分を透過させないという性質を有する限り、その素材及び形状等に制限はない。例えば、セルロース膜等を利用することができ、また、固体電解質膜を利用することができる。固体電解質膜としては、スルホン基、リン酸基、ホスホン基、及びホスフィン基等の強酸基、カルボキシル基等の弱酸基、及び極性基を有する有機高分子等のイオン交換機能を有する固体膜等が例示されるが、これらに限定するものではない。具体的にはセルロース膜、及びテトラフルオロエチレンとパーフルオロ〔2−(フルオロスルフォニルエトキシ)プロピルビニルエーテル〕:tetrafluoroethyleneとperfluoro[2-(fluorosulfonylethoxy)propylvinyl ether]の共重合体であるナフィオン(登録商標)等のパーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)系の樹脂膜を利用することができる。
燃料であるギ酸は、好ましくは、適当な溶媒に溶解させた燃料溶液として供給されるが、ゲル等の形態で供給してもよい。溶媒は、水性媒体であり、蒸留水の他、適当な緩衝液であってもよい。緩衝液に含まれる緩衝液成分としては、例えば、リン酸カリウム等のリン酸塩、イミダゾール、炭酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、4-(2-ヒドロキシエチル)−ピペラジン-1-エタン スルホン酸(HEPES)、3-モルフォリノプロパン スルホン酸(MOPS)等を例示することができる。これらは単独で用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて使用することができる。燃料溶液中のギ酸量については、燃料の形態、電極系の種類や容量、発電方式等に応じて適宜変更することができる。
燃料溶液には、上記の補因子等の酵素がその触媒活性を発揮するのに必要な物質、及び電子メディエータ等の酵素の触媒反応と電極反応と共役させるために必要な物質を含めてもよい。
燃料溶液は、バイオ電池内部に配置された負極上の本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体に供給される。その限りにおいては、燃料溶液の供給形態に制限はない。
以上のように構成することにより、負極側でFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体が燃料であるギ酸を酸化し、その際に生じた電子は酵素反応と電極間の電子伝達を仲介するための電子メディエータを通して負極に受け渡される。そして、負極に渡された電子は、外部回路を経て正極に到達することで電流が発生する。一方、負極側で発生したプロトンが隔膜を経て正極側に移動し、外部回路を通して負極側から移動してきた電子と反応し水を生成する。
また、本発明のバイオ電池は、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を利用した多段階酸化系のバイオ電池として構成することができる。好ましくは、ギ酸を経由して最終的に二酸化炭素にまで酸化することができる物質を燃料として、ギ酸酸化の前段階の酸化反応系を触媒する酵素と本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を組み合わせ負極側の電極触媒とすることができる。燃料としては、グルコースやメタノール等を例示できる。例えば、メタノールを燃料とする場合には、メタノールを酸化してホルムアルデヒドを生成する反応を触媒する酵素、ホルムアルデヒドを酸化してギ酸を生成する反応を触媒する酵素、及び、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を負極側の電極触媒とすることができる。このような多段階酸化系の構築により、各酸化段階において電子を取り出すことで、グルコースやメタノール等の燃料から取り出せる電子数が増しバイオ電池の出力を向上させることができる。
本発明のバイオ電池は、負極側の電極触媒として本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を利用するものである。本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の触媒活性は酸素の影響を受けにくいことから、酵素と電極間の電子の伝達を効率的に行うことができる。これにより、バイオ電池の電池出力の向上が期待でき電池性能の向上に貢献することができる。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体はFAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化でき、本発明のバイオ電池の作製の簡略化及び低コスト化に貢献することができる。したがって、本発明のバイオ電池は、医療や福祉、情報通信、移動型や携帯型電子機器等、種々の産業分野において利用可能である。
(バイオセンサー)
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、ギ酸を検出するためのギ酸センサー等のバイオセンサーの構築に利用することができ、かかるバイオセンサーも本発明の一部を構成する。本発明のバイオセンサーは、電極基材にFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を固定した酵素電極として構成される作用電極、及びその対極を設けて構成される。必要に応じて、測定精度の信頼性を高める観点から、参照極を設けた三電極方式として構成してもよい。ここで、作用電極としては、上記の本発明の酵素電極を利用することができる。
本発明のバイオセンサーによる測定は、測定試料を当該バイオセンサーと接触させることにより行われる。接触により、電極上に固定された本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体とその基質である測定対象物質(ギ酸)との間で酸化還元反応が生じ、これにより発生した電流を検知することで行われる。かかる応答電流値をもって、試料中の基質の存在の有無若しくは濃度を測定することができる。具体的には、例えば、測定対象となる試料を接触させると、試料中に含まれるギ酸が作用電極上に固定された本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体と反応し、続いて電子メディエータが還元される。そして、電極系に電圧を印加して電子受容体の還元型を酸化し、得られる酸化電流値の変化により試料中のギ酸を検出することができる。このとき、あらかじめ目的濃度範囲内における標準濃度のギ酸溶液により標準曲線を作成することにより、得られた酸化電流値に基づいてギ酸濃度を求めることができる。
ここで、試料としては、ギ酸の存在が予想されるすべての試料を対象とすることができる。例えば、汗、血液(血漿や血清、全血等)、尿、唾液、涙液等の生物体由来の生体試料、食品試料、環境試料等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じてこれらの試料に適当な処理を行った試料をも含み得る。
本発明のバイオセンサーを用いた測定法としては、酸化電流もしくは還元電流を測定するクロノアンペロメトリー、又は、クーロメトリー、サイクリックボルタンメトリー法等、当該技術分野で公知の方法を利用することができる。
本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体は、バイオセンサーの形態ではなく、検出試薬としてギ酸の検出のために利用することもできる。ギ酸の検出は、FAD依存的にギ酸のデヒドロゲナーゼ反応を触媒する酵素の活性測定法として知られる方法を何れも利用して行うことができる。詳細については上記した。このとき、あらかじめ目的濃度範囲内における標準濃度のギ酸溶液を用いて作成した標準曲線に基づいて、測定により得られた酵素活性値に基づいてギ酸濃度を求めることができる。
本発明のバイオセンサーは、電極触媒として本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を利用するものである。本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体の触媒活性は酸素の影響を受けにくいことから、酵素と電極間の電子の伝達を効率的に行うことができる。このため、本発明のバイオセンサーは、測定対象物質であるギ酸を安定的かつ高感度に検出及び測定することができる。また、本発明のFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体はFAD依存性であることから、酵素と電極間の電子の伝達に必要とされる電極構成要素が少なく電極構成を単純化でき、本発明のバイオセンサーの作製の簡略化及び低コスト化に貢献することができる。したがって、本発明のバイオセンサーは、ギ酸の検出及び測定を要する全ての分野で利用可能であり、特に、医療、食品、環境分野等、種々の産業分野において利用可能である。
以下、実施例において、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1.変異導入箇所の選定
本実施例では、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を構築するため、野生型のFAD依存性ギ酸オキシダーゼへの変異導入個所の選定の検討を行った。
(方法)
ギ酸オキシダーゼへの変異導入箇所の選定に向け、既存のFAD依存性の酸化還元酵素の配列比較を行った。配列比較には、表1に示すオキシダーゼ活性のみを有しデヒドロゲナーゼ活性を有しない3種類の酵素(アスペルギルス・オリゼ由来のギ酸オキシダーゼ(AoFOX)、プレオロータス・エリンジ(Pleurotus eryngii)由来のアリールアルコールオキシダーゼ(PeAAOX)、及び、アルスロバクター・グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)由来のコリンオキシダーゼ(AgCOX))と、表2に示すデヒドロゲナーゼ活性を有する3種類の酵素(Leucoagaricus meleagris由来のピラノースデヒドロゲナーゼ(LmPDH)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のグルコースオキシダーゼ(AnGOX)、ペニシリウム・アマガサキエンス(Penicillium amagasakiense)由来のグルコースオキシダーゼ(PaGOX))を使用した。ここで、各酵素の名称において、オキシダーゼ活性を有する酵素はデヒドロゲナーゼ活性の有無に拘らずオキシダーゼと称し、デヒドロゲナーゼ活性のみを有する酵素はデヒドロゲナーゼと称する。
(結果)
6種類の酵素のアミノ酸配列の比較を図1に示すと共に、AoFOXの立体構造情報(PDB ID:3Q9T)を図2に示す。図1及び図2の結果より、AoFOXのアミノ酸配列(配列番号2)における第60位、第61位、及び、第99位の3アミノ酸残基を変異導入箇所に選定した。第60位、及び、第61位は、FADのイソアロキサジン環7位メチル基の近傍にあり、第99位はイソアロキサジン環5位窒素原子のごく近傍に存在している。これらのアミノ酸を、デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素(LmPDH、AnGOX、PaGOX)のようにアラニンやグリシンに変換すると、各アミノ酸の側鎖が短くなり、FADの溶媒露出面積が大きくなると予想される。溶媒露出面積が向上すれば、電子メディエータがFADに接近しやすくなり、その結果、デヒドロゲナーゼ活性が発現する可能性があると予想した。
実施例2.野生型AoFOX及びAoFOX変異体の作製
本実施例では、野生型AoFOXをコードする核酸分子を取得する共に、かかる野生型の野生型AoFOXをコードする核酸分子に基づいて部位特異的変異導入によりAoFOX変異体を作製した。
(作製方法)
AoFOXをコードする核酸分子(配列番号1)を人工合成により作製(Genscript社)し、酵素のC末端側にHis-tagが付加するようにpET-22b(+)(Novagen社製)ベクターに挿入した。所望の改変を有するAoFOX変異体をコードする核酸分子は、部位特異的変異導入(Genscript社)により作製した。発現宿主にはBL21(DE3)株を用い、上記で得られた核酸分子で形質転換した。形質転換したBL21(DE3)株をLB培地にて37 ℃で振とう培養し、培養液のO.D.600がおよそ0.6となった時に、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(isopropyl-s-D-thiogalactopyranoside:IPTG)を終濃度0.1 mMで添加し発現誘導を行った。発現誘導後、20 ℃で一晩培養し菌体を回収した。回収した菌体をPBSに懸濁後、超音波によって菌体を破砕した。続いて、遠心分離を行い、上清を水溶性画分として回収した。回収した水溶性画分から、TALON樹脂(CLONTECH社製)を用いたメタルイオンアフィニティークロマトグラフィーにて野生型AoFOX及びAoFOX変異体を精製し、最後に脱塩処理を行って酵素サンプルとした。これを以下の実施例で用いた。
実施例3.酵素活性測定方法
本実施例では、以下の実施例で用いたギ酸オキシダーゼ活性及びギ酸デヒドロゲナーゼ活性の測定方法を説明する。
(測定方法)
1.ギ酸オキシダーゼ活性の測定
ギ酸オキシダーゼ活性測定は、ペルオキシダーゼ法により行った。具体的には、200 mM 酢酸緩衝液 (pH 4.0) 中、100 mMギ酸ナトリウム(和光純薬:190-01995)、2 U/mL ペルオキシダーゼ(和光純薬:303-50991)、1.5 mM 4-アミノアンチピリン(和光純薬:017-02272)、1.5 mM TOOS(同仁化学:OC13)、各種濃度の野生型AoFOX又はAoFOX変異体の酵素サンプルを加え、室温で反応を行った。一定時間反応後、目視判定、又は、570 nmの吸光度を測定することによりギ酸オキシダーゼ活性を測定した。
2.ギ酸デヒドロゲナーゼ活性の測定
ギ酸デヒドロゲナーゼ活性測定は、DCIPを電子受容体として用いて行った。具体的には、200 mM 酢酸緩衝液 (pH 4.0) 中、100 mMギ酸ナトリウム、200 μM DCIP(sigma:33125)、各種濃度の野生型AoFOX又はAoFOX変異体の酵素サンプルを加え、室温で反応を行った。一定時間反応後、目視判定、又は、570 nmの吸光度を測定することによりギ酸デヒドロゲナーゼ活性を測定した。
実施例4.単一変異体の酵素活性測定
本実施例では、単一箇所に変異を有する変異体のギ酸オキシダーゼ活性及びギ酸デヒドロゲナーゼ活性を測定した。
(方法)
実施例2に記載の方法に基づいて、AoFOXの配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位、第61位、第99位の3アミノ酸を、それぞれアラニン、又は、グリシンに変換した変異体を作製した。ここで、野生型を「WT」と称する。第60位のアミノ酸残基アルギニンをアラニンに置換した変異体を「R60A」、第60位のアミノ酸残基アルギニンをグリシンに置換した変異体を「R60G」と称する。第61位のアミノ酸残基アスパラギンをアラニンに置換した変異体を「N61A」、第61位のアミノ酸残基アスパラギンをグリシンに置換した変異体を「N60G」と称する。第99位のアミノ酸残基チロシンをアラニンに置換した変異体を「Y99A」、第99位のアミノ酸残基チロシンをグリシンに置換した変異体を「Y99G」と称する。酵素活性の評価は、実施例3に記載の方法に基づき、酵素濃度10 μMの酵素サンプルで評価した。
(結果)
結果を図3に示す。図3は、目視による反応液の色の変化を確認した色判定による野生型AoFOX及び各AoFOX変異体のギ酸オキシダーゼ活性及びギ酸デヒドロゲナーゼ活性評価の結果を示す。その結果、R60A、N61A、N61G、Y99A、Y99Gにギ酸デヒドロゲナーゼ活性が認められたが、R60GはWTと同様にギ酸デヒドロゲナーゼ活性が認められず、実施例1の予想に反するものであった。認められたギ酸デヒドロゲナーゼ活性は、R60Aが最も強くY99Aが最も弱かった。一方、ギ酸オキシダーゼ活性は、WT、R60A、R60G、N61A、及び、N61Gに活性が認められたが、Y99A、及び、Y99Gは活性を失っていた点も予想外であった。
実施例5.多重変異体の活性測定
本実施例は、複数箇所に変異を有する変異体のギ酸オキシダーゼ活性及びギ酸デヒドロゲナーゼ活性を測定した。
(方法)
実施例2に記載の方法に基づいて、複数箇所に変異を有する変異体を作製した。実施例4にてR60Aに最も強い活性が認められたため、R60Aとその他の変異を組み合わせた二重変異体と三重変異体を作製した。ここで、AoFOXの配列番号2に示すアミノ酸配列において、第60位のアミノ酸残基アルギニンをアラニンに置換すると共に第61位のアミノ酸残基アスパラギンをアラニンに置換した変異体を「R60A-N61A」と称する。第60位のアミノ酸残基アルギニンをアラニンに置換すると共に第61位のアミノ酸残基アスパラギンをグリシンに置換した変異体を「R60A-N61G」と称する。第60位のアミノ酸残基アルギニンをアラニンに置換すると共に第99位のアミノ酸残基チロシンをグリシンに置換した変異体を「R60A-Y99G」と称する。第60位のアミノ酸残基アルギニンをアラニンに置換し、第61位のアミノ酸残基アスパラギンをグリシンに置換すると共に第99位のアミノ酸残基チロシンをグリシンに置換した変異体を「R60A-N61G-Y99G」と称する。酵素活性の評価は、実施例3に記載の方法に基づき、酵素サンプルで評価した。同様に、WT及びR60Aについても酵素活性を測定した。なお、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性測定は酵素濃度1 μMで行い、ギ酸オキシダーゼ活性は酵素濃度10 nMで評価した。ただし、R60A-Y99GとR60A-N61G-Y99Gはギ酸オキシダーゼ活性を1 μMで評価した。
(結果)
結果を図4及び図5に示す。図4は、570 nmの吸光度測定による野生型AoFOX及び各AoFOX変異体のギ酸デヒドロゲナーゼ活性評価の結果を示し、図5は、570 nmの吸光度測定による野生型AoFOX及び各AoFOX変異体のギ酸オキシダーゼ活性評価の結果を示す。その結果、全ての二重変異体がギ酸デヒドロゲナーゼ活性を示し、単位時間当たりの吸光度変化は、R60Aが0.0007 min-1であったのに対し、R60A-N61Aが0.0008 min-1、R60A-N61Gが0.0012 min-1、R60A-Y99Gが0.005 min-1と、さらなる活性向上が認められた。なかでも、R60A-N61GとR60A-Y99Gが高い活性を示したことから作製した三重変異体R60A-N61G-Y99Gのギ酸デヒドロゲナーゼ活性は更に向上し、単位時間当たりの吸光度変化が0.027 min-1となった(図4)。
一方、ギ酸オキシダーゼ活性は、Y99Gを変異個所として含むR60A-Y99GとR60A-N61G-Y99Gでは検出されなかった(図5)。
以上の結果より、今回導入したアミノ酸変異によって、FAD依存性ギ酸オキシダーゼのデヒドロゲナーゼ化に成功し、バイオ電池やバイオセンサーへの応用が可能なFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を構築することができた。
本発明は、デヒドロゲナーゼ化されたFAD依存性ギ酸オキシダーゼ変異体、当該変異体をコードする核酸分子、及び、その利用に関し、ギ酸のデヒドロゲナーゼ反応の利用が要求される全ての分野で利用可能である。特に、医療、食品、環境分野等、種々の産業分野において利用可能である。

Claims (8)

  1. 下記(a)、又は、(b)のアミノ酸配列を有し、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有するフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
    (a)野生型のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼのアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのアラニン、又は、グリシンへの置換、及び、第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのアラニン、又は、グリシンへの置換から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を有するアミノ酸配列
    (b)(a)のアミノ酸配列において、配列番号2に示す第60位、第61位、及び、第99位に対応する位置以外の位置に、1又は複数のアミノ酸残基の置換、欠失、付加、及び、挿入から選択される少なくとも1つの改変を有するアミノ酸配列
  2. 配列番号2に示すアミノ酸配列を有する野生型のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼとの比較で、ギ酸オキシダーゼ活性が低減されている請求項1に記載のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
  3. 前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのアラニン、又は、グリシンへの置換を有し、前記ギ酸オキシダーゼ活性を有しない請求項2に記載のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
  4. 以下の(c)〜(f)の何れかの置換を有する請求項1又は2に記載のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体。
    (c)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、及び、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのアラニンへの置換
    (d)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、及び、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのグリシンへの置換
    (e)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、及び、第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのグリシンへの置換
    (f)前記配列番号2に示すアミノ酸配列の第60位に対応する位置のアミノ酸残基アルギニンのアラニンへの置換、第61位に対応する位置のアミノ酸残基アスパラギンのグリシンへの置換、及び、第99位に対応する位置のアミノ酸残基チロシンのグリシンへの置換
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体をコードする核酸分子。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性ギ酸オキシダーゼ変異体を電極基材上に固定した酵素電極。
  7. 請求項6に記載の酵素電極を負極として備えたバイオ電池。
  8. 請求項6に記載の酵素電極を作用電極として備えたバイオセンサー。
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