JP6127496B2 - ジアホラーゼ - Google Patents
ジアホラーゼ Download PDFInfo
- Publication number
- JP6127496B2 JP6127496B2 JP2012276736A JP2012276736A JP6127496B2 JP 6127496 B2 JP6127496 B2 JP 6127496B2 JP 2012276736 A JP2012276736 A JP 2012276736A JP 2012276736 A JP2012276736 A JP 2012276736A JP 6127496 B2 JP6127496 B2 JP 6127496B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diaphorase
- activity
- geobacillus
- seq
- enzyme
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/0004—Oxidoreductases (1.)
- C12N9/0012—Oxidoreductases (1.) acting on nitrogen containing compounds as donors (1.4, 1.5, 1.6, 1.7)
- C12N9/0036—Oxidoreductases (1.) acting on nitrogen containing compounds as donors (1.4, 1.5, 1.6, 1.7) acting on NADH or NADPH (1.6)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Y—ENZYMES
- C12Y106/00—Oxidoreductases acting on NADH or NADPH (1.6)
- C12Y106/99—Oxidoreductases acting on NADH or NADPH (1.6) with other acceptors (1.6.99)
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Zoology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
ジアホラーゼは、様々な技術分野において、その生体外での利用が検討され、一部が実用化されている。そのような技術分野としては、有用物質の生産、エネルギー関連物質の生産、測定又は分析、環境保全、医療などが挙げられる。例えば、臨床診断の分野では、ジアホラーゼは、それが還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を基質とするという特性を利用して、種々の体外診断用試薬に使用されている。また、ジアホラーゼは、燃料電池の一種である酵素電池にも使用されている(特許文献9、特許文献10、特許文献11、非特許文献1)。
その過程で、本発明者らは、ジアホラーゼの反応を、NADHなどの基質濃度が高い状態で行おうとすると、酵素反応が阻害されることを見出した。酵素の反応速度論によれば、通常、基質濃度がKm値より高いと、酵素は基質との複合体を形成しやすく効率的に触媒反応を進めることができると考えられているが、この知見はそれに反する意外なものであった。
この特性により、例えば燃料電池において、基質であるNADHの添加量を上げることが出来ないため、起電力や寿命などの点で満足のいくものが得られないという問題点が発生する。
そこで、本発明者らは、この新たに見出した課題を解決するために、該ジアホラーゼに蛋白質工学的な改変を加え、ある種の変異型ジアホラーゼが、上記の諸特性に加えて、さらに、NADHなどの基質濃度が高いときの反応阻害が低減した特性を有することを見出し、本発明を完成させた。
代表的な本発明は、以下の通りである。
下記の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドからなるジアホラーゼ;
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位したアミノ酸配列からなり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド。
項2
下記の特性(1)〜(5)を有するジアホラーゼ。
(1)サブユニット分子量: SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した酵素のポリペプチド部分の分子量が約23.7kDa
(2)複合体分子量: ゲルろ過で測定した酵素のポリペプチド部分の分子量が約53.3kDa
(3)Km値: NADHに対するKm値が約0.1mM以下
(4)温度安定性:70℃以下で安定
(5)pH安定性: pH5.0〜9.0の範囲で安定
項3
下記の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドからなる変異型ジアホラーゼである、項1または項2に記載のジアホラーゼ。
(a)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4のアミノ酸配列において、122位以外の箇所で、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位したアミノ酸配列からなり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号4のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、配列番号4とのアラインメントにおいて122位のグリシンがアスパラギン酸に改変されていて、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド。
項4
さらに、下記の(d)または(e)のいずれか1つ以上の特性を有する、項3に記載の変異型ジアホラーゼ。
(d)20mM NADH存在下の比活性を100%としたとき、80mM NADH存在下で比活性が50%以上保たれる。
(e)(1)DCPIPをメディエータとして用いた場合、37℃での活性値を100%とした時、25℃の相対活性が70%以上であるか、または、(2)ナフトキノン誘導体をメディエータとして用いた場合、37℃での活性値を100%とした時、25℃の相対活性が50%以上である。
項5
さらに、下記の(f)の特性を有する、項3または項4の変異型ジアホラーゼ。
(f)ナフトキノン誘導体をメディエータとして用いた場合、比活性が野生型ジアホラーゼと比較して1.5倍以上である。
項6
以下の(A)〜(E)のいずれかのDNA:
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(B)配列番号2に示される塩基配列をからなるDNA、
(C)配列番号2に示される塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列からなり、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(D)配列番号2に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、且つジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(E)配列番号2に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列であり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(F)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位したアミノ酸配列からなり、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
項7
以下の(A)〜(F)のいずれかのDNAである、項6に記載のDNA。
(A)配列番号4のアミノ酸配列をコードするDNA、
(B)配列番号5の塩基配列からなるDNA、
(C)配列番号5の塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
(D)配列番号5の塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(E)配列番号5に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列であり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(F)配列番号4のアミノ酸配列において、122位以外の箇所で、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位したアミノ酸配列からなり、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
項8
項6または項7に記載のDNAを組み込んだベクター。
項9
項8に記載のベクターを含む形質転換体。
項10
項9に記載の形質転換体を培養することを含む、項1〜項5のいずれかに記載のジアホラーゼの製造方法。
項11
項1〜項5のいずれかに記載のジアホラーゼを含むプロダクト。
項A.更に下記の特性(6)を備える、項2に記載のジアホラーゼ。
(6)至適活性pH: pH6.7〜8.0
項B.更に下記の特性(7)を備える、項2または項Aに記載のジアホラーゼ。
(7)由来: ゲオバチルス(Geobacillus)属に分類される微生物に由来する
項C.ゲオバチルス属に分類される微生物を培養すること、及び、ジアホラーゼを回収すること、を含む、項2、項Aまたは項Bのいずれかに記載のジアホラーゼの製造方法。
項D.下記の特性(1)〜(4)を備える変異型ジアホラーゼ。
(1)サブユニット分子量: SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した酵素のポリペプチド部分の分子量が約23.7kDa
(2)複合体分子量: ゲルろ過で測定した酵素のポリペプチド部分の分子量が約55.3kDa
(3)Km値: NADHに対するKm値が約0.37mM以下
項E.更に下記の特性(4)および/または(5)を備える、項Dに記載の変異型ジアホラーゼ。
(4)温度安定性: 70℃以下で安定
(5)pH安定性: pH5.0〜9.0の範囲で安定
項F.更に下記の特性(6)を備える、項Dまたは項Eに記載の変異型ジアホラーゼ。
(6)至適活性pH: pH6.5〜8.0
項G.更に下記の特性(7)を備える、項D〜項Fのいずれかに記載の変異型ジアホラーゼ。
(7)由来: ゲオバチルス(Geobacillus)属に分類される微生物に由来する
項H.ゲオバチルス属に分類される微生物を培養すること、及び
ジアホラーゼを回収すること
を含む、項D〜項Gのいずれかに記載の変異型ジアホラーゼの製造方法。
1.ジアホラーゼ
1−1.ジアホラーゼ活性
「ジアホラーゼ(Diaphorase)」は、NADH又はNADPHをフェリシアン化カリウム、メチレンブルー、2,6-ジクロルインドフェノール(DCPIP)、テトラゾリウム塩等の色素で酸化する反応を触媒する活性(即ち、ジアホラーゼ活性)を持つ酵素であり、細菌、酵母等の微生物から哺乳類動物まで広く分布する。このジアホラーゼは、生体内の電子伝達系において重要な役割を果たし、このジアホラーゼによって、NAD又はNADP依存性の脱水素酵素類による基質からの脱水素反応により生成されるNADH又はNADPHは、電子受容体で酸化され、電子受容体は還元型となる。
<試薬>
蒸留水
200mM Tris−HCl緩衝液pH7.5
6.0mM NADH水溶液
1.2mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)溶液
酵素希釈溶液 0.1%牛血清アルブミンを含む200mM Tris−HCl緩衝液pH7.5
<手順1>
ジアホラーゼ溶液を、予め氷冷した上記酵素希釈溶液で0.4〜0.8U/mlに希釈し、氷冷保存したものを酵素溶液とする。
<手順2>
上記蒸留水2.4mL、Tris−HCl緩衝液0.3mL、NADH水溶液0.1mLを混合し、25℃にて5分間予備加温したものを反応混液とする。
反応混液2.8mLに、酵素溶液0.1mL、DCPIP溶液0.1mLの順番で添加しゆるやかに混和後、水を対照に25℃に制御された分光光度計(光路長1.0cm)で、600nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その後直線部分から(即ち、反応速度が一定になってから)1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検は酵素溶液の代わりにジアホラーゼを溶解する酵素希釈溶液とDCPIP溶液を反応混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってジアホラーゼ活性を求める。ここでジアホラーゼ活性における1単位(U)とは、上記の測定条件で1分間に600nmの吸光度を1.0減少させる酵素量である。
活性(U/mL)=
{−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×希釈倍率}/(1.0×0.1)
なお、式中の1.0は活性定義に基いて定められた600nmにおける単位吸光度、0.1は酵素溶液の液量(mL)を示す。本書においては、メディエータをDCPIPにした場合、酵素活性は上記の測定方法に従って、測定される。後述の実施例6〜14において、ジアホラーゼ活性の測定は本測定方法にて行った。
<試薬>
蒸留水
100mM リン酸カリウム緩衝液pH8.0
100mM 2−amino−1,4−naphthoquinone(ANQ)溶液(DMSOに溶解)
400mM NADHを含む100mM リン酸カリウム緩衝液pH8.0
酵素希釈溶液 0.1%TritonX−100を含む200mM リン酸カリウム緩衝液pH7.5
<手順1>
ジアホラーゼ溶液を、予め氷冷した上記酵素希釈溶液で0.01〜0.02mg/mlに希釈し、氷冷保存したものを酵素溶液とする。
<手順2>
上記100mM リン酸ナトリウム緩衝液79.0mL、100mM 2−amino−1,4−naphthoquinone(本明細書ではANQとも表記する。)溶液1.0mL、400mM NADHを含む100mM リン酸ナトリウム緩衝液20mLを混合し、100mL混合液とする。本手順により、終濃度80mM NADHの混合液となる。
NADH濃度の異なる混合液を作成する場合は、100mM リン酸ナトリウム緩衝液と400mM NADHを含む100mM リン酸ナトリウム緩衝液の混合量を変えることにより、混合液を調整する。例えば、100mM リン酸ナトリウム緩衝液89.0mL、100mM 2−amino−1,4−naphthoquinone(ANQ)溶液1.0mL、400mM NADHを含む100mM リン酸ナトリウム緩衝液10mLを混合し、100mL混合液とし、終濃度40mM NADHの混合液となる。あるいは、100mM リン酸ナトリウム緩衝液94.0mL、100mM 2−amino−1,4−naphthoquinone(ANQ)溶液1.0mL、400mM NADHを含む100mM リン酸ナトリウム緩衝液5mLを混合し、100mL混合液とし、終濃度20mM NADHの混合液となる。
<手順3>
手順2で作成した混合液から3.0mlを抜き取り、25℃にて5分間予備加温したものを反応混液とする。
反応混液3.0mLに、酵素溶液0.1mLを添加しゆるやかに混和後、水を対照に25℃に制御された分光光度計(光路長1.0cm)で、520nmの吸光度変化を2〜3分間記録し、その後直線部分から(即ち、反応速度が一定になってから)1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検は酵素溶液の代わりにジアホラーゼを溶解する酵素希釈溶液を反応混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってジアホラーゼ活性を求める。ここでジアホラーゼ活性における1単位(U)とは、上記の測定条件で1分間に520nmの吸光度を1.0減少させる酵素量である。
活性(U/mL)=
{−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.1×希釈倍率}/{0.68×0.1×1.0}
なお、式中の3.1は反応試薬+酵素溶液の液量(mL)、0.68は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm2/マイクロモル)、0.1は酵素溶液の液量(mL)、1.0はセルの光路長(cm)を示す。本書においては、メディエータをANQにした場合、酵素活性は上記の測定方法に従って、測定される。後述の実施例15において、ジアホラーゼ活性の測定は本測定方法にて行った。
本発明のジアホラーゼは、下記(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドで構成されることが好ましい。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加および/または逆位したアミノ酸配列からなり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド;
(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド。
配列番号1で示されるアミノ酸配列とは、実施例5に示される通り、Geobacillus sp. Y4.1MC1に由来するジアホラーゼのアミノ酸配列であり、下記1−3、1−4、1−7〜1−11の特性を全て満たす。
(a)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4のアミノ酸配列において、122位以外の箇所で、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位したアミノ酸配列からなり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド、
(c)配列番号4のアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、配列番号4とのアラインメントにおいて122位のグリシンがアスパラギン酸に改変されていて、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド。
配列番号1で示されるアミノ酸配列とは、実施例6に示される通り、Geobacillus sp. Y4.1MC1に由来するジアホラーゼのアミノ酸配列である。
ここで「数個」とは、ジアホラーゼ活性及び好ましくは後述する1−3〜1−11の特性のうち1つ以上が維持される限り制限されないが、例えば、全アミノ酸の約20%未満に相当する数であり、好ましくは約15%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約6%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。より具体的には、変異されるアミノ酸残基の個数は、例えば、2〜127個、好ましくは2〜96個、より好ましくは2〜64個、更に好ましくは2〜32個であり、より更に好ましくは2〜20個、一層好ましくは2〜15個、より一層好ましくは2〜10個、特に好ましくは2〜5個である。
好ましくは、本発明のジアホラーゼが有するアミノ酸配列と配列番号4のアミノ酸配列との同一性は、85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、より更に好ましくは94%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。このような一定以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、上述するような公知の遺伝子工学的手法に基づいて作成することができる。
本明細書において、特定の温度条件の下、適当な緩衝液中(例えばリン酸カリウムバッファー(pH7.5))で50U/mLの精製酵素を60分間処理した後の残存酵素活性が、処理前の酵素活性と比較して実質的な低下が認められない(つまり約80%以上を維持する)とき、当該酵素は当該温度条件において安定であると判断する。本発明のジアホラーゼは、少なくとも0℃〜70℃の温度範囲において安定であることが好ましい。
上記条件における処理後の酵素活性が約90%以上を維持するとき、当該酵素が当該温度条件において安定である、と判断する場合では、本発明のジアホラーゼは、少なくとも0℃〜60℃の温度範囲において安定であることが好ましい。
あるいは、上記条件において処理時間が15分間であり、処理後の酵素活性が約90%以上を維持するとき、当該酵素が当該温度条件において安定である、と判断する場合では、本発明のジアホラーゼは、少なくとも0℃〜70℃の温度範囲において安定であることが好ましい。
本発明のジアホラーゼは、NADHに対する親和性が高いことが好ましい。親和性が高いことにより、試料中のNADHの濃度が低い場合であっても、上述する触媒反応を進めることができ、より正確なNADH濃度の測定、より短時間での測定、及びより少ない酵素量での測定に資するからである。ジアホラーゼのNADHに対する親和性は、Km値によって示される。Km値は、いわゆるミカエリス・メンテン式から求められる値であり、具体的には、上記1−1.に示す活性測定方法においてNADHの濃度を変化させて各濃度における活性を測定し、ラインウィーバー・バーク・プロットを作成することによって求めることができる。
本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて、高濃度NADH存在下でのジアホラーゼ酵素反応阻害が低減されている。本発明の変異型ジアホラーゼは、20mMのNADH存在下の比活性を100%としたとき、40mMのNADH存在下で比活性が90%以上保たれることが好ましく、および/または、80mMのNADH存在下で比活性が50%以上保たれることが好ましい。
理論上は、基質に対する親和性が低かったり、また、温度安定性が多少良くなかったりしても、酵素添加量を上げれば所望のジアホラーゼの性能を確保できる可能性はある。しかし、例えば酵素センサのようにチップ上に酵素を乾燥状態で塗布する場合には、添加量を上げるにともなって固形分が増え、少量の血液試料のセンサ上への均一な拡散に支障が出て測定の精密性に悪影響を与える等の問題点が考えられる。あるいは、少量の添加では問題にならなかった不純物が、添加量の上昇と共に測定や反応に悪影響を与える可能性もある。しかし、本発明のジアホラーゼを用いることによってそのような問題点を回避することができる。
さらに、本発明のジアホラーゼを用いることによって、例えば燃料電池において、基質であるNADHの添加量を上げることが出来ないため、起電力や寿命などの点で満足のいくものが得られないという問題点を回避することができる。
本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて温度依存性が改善(低減)している。本願において、温度依存性とは、温度変化に伴って酵素活性が変化することを意味する。温度依存性の改善とは酵素活性の変化が少なく、広い範囲で一定の酵素活性を示すことを意味する。
本願請求項において「温度依存性が改善されているか」を判断する方法は以下のとおりである。
(1)37℃、24時間処理後における活性値(U/ml)を測定し、これをAとする。
(2)25℃、24時間処理後における活性値(U/ml)を測定し、これをBとする。
(3)Aを100%としたときのBの相対値(%)を計算し、「温度依存性」とする。
(4)相対値(%)が大きければ、温度依存性は良いと判断する。よって、相対値(%)が野生型酵素(WT)<改変型酵素であれば温度依存性は改善されていると判断する。
なお、上記の計算方法は、Bの値がAを超えない場合間での比較を行う方法である。Bの値がAを越える場合間の比較においては、Aを100%としたときのBの相対値(%)は小さいほど温度依存性がよいと判断し、相対値(%)が野生型酵素(WT)>改変型酵素であれば温度依存性は改善されていると判断する。また、「Bの値がAを超えない場合」と「Bの値がAを越える場合」との比較であれば、AとBとの差の絶対値が小さい方が温度依存性がよいと判断し、AとBとの差の絶対値が野生型酵素(WT)>改変型酵素であれば温度依存性は改善されていると判断する。
さらに、本発明の変異型ジアホラーゼは、30℃での活性値を100%とした時、25℃の相対活性が90%以上であることが好ましい。または、本発明の変異型ジアホラーゼは、ナフトキノン誘導体をメディエータとして用いた場合、30℃での活性値を100%とした時、25℃の相対活性が90%以上であることが好ましい。すなわち本発明のジアホラーゼは、室温に近い温度範囲である25〜30℃において、特に温度依存性が低減されている。
項1、項2、項Aまたは項Bに記載の、本発明のジアホラーゼは、実施例に示す通り、pH7.3(リン酸カリウム緩衝液)において最も高い活性を示すことが好ましい。また、pH6.5〜8.0(リン酸カリウム緩衝液)、pH7.5〜8.0(Tris HCl緩衝液)において、本発明のジアホラーゼは、pH7.3(リン酸カリウム緩衝液)における活性を100%として、80%以上の相対活性を示すことが好ましい。即ち、本発明のジアホラーゼの至適活性pHは6.7〜8.0であり、好ましくはpH7.3である。
本明細書において、特定のpH条件の下、25U/mLの酵素を25℃で16時間処理した後の残存酵素活性が、処理前の酵素活性と比較して95%以上である場合に、当該酵素は、当該pH条件において安定であると判断する。本発明のジアホラーゼは、少なくともpH5.0〜9.0の範囲で安定であることが好ましい。
なお、本発明のジアホラーゼのpH安定性や至適活性pH等その他の特性は、許容可能な変動の幅を有する場合がありうる。
本発明のジアホラーゼを構成するポリペプチド部分の分子量は、SDS−PAGEで測定した場合に約23.7kDaであることが好ましい。「約23.7kDa」とは、SDS−PAGEで分子量を測定した際に、当業者が、通常23.7kDaの位置にバンドがあると判断する範囲を含むことを意味する。「ポリペプチド部分」とは、実質的に糖鎖が結合していない状態のジアホラーゼを意味する。
項1、項2、項Aまたは項Bに記載の、本発明のジアホラーゼを構成するポリペプチド部分の分子量は、ゲルろ過で測定した場合に約53.3kDaであることが好ましい。「約53.3kDa」とは、ゲルろ過で分子量を測定した際に、当業者が、通常53.3kDaの位置に保持時間(Retention time)があると判断する範囲を含むことを意味する。「ポリペプチド部分」とは、実質的に糖鎖が結合していない状態のジアホラーゼを意味する。
本発明のジアホラーゼは、上述する特性を備える限り、その由来は特に制限されない。本発明のジアホラーゼは、例えば、ゲオバチルス(Geobacillus)属に帰属する微生物であるに由来し得る。ゲオバチルス属に属する微生物としては、特に制限されないが、例えば、Geobacillus stearothermophilus、 Geobacillus kaustophilus HTA426、 Geobacillus thermoleovorans、 Geobacillus thermoglucosidasius、 Geobacillus caldoxylosilyticus、 Geobacillus tepidamans、 Geobacillus toebii subsp. decanicus、 Geobacillus galactosidasius、Geobacillus sp. Y412MC61、Geobacillus sp. Y412MC52、Geobacillus sp. G11MC16、Geobacillus sp. Y4.1MC1、Geobacillus zalihae、Geobacillus thermodenitrificansを例示することができる。より具体的には、Geobacillus sp. Y4.1MC1を例示することができる。Geobacillus sp. Y4.1MC1はATCC(American Type Culture Collection)に保管された菌株であり、所定の手続を経ることによってその分譲を受けることができる。
本発明のDNAは、上記1のジアホラーゼをコードするDNAであり、具体的には以下の(A)〜(F)のいずれかである。
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNA;
(B)配列番号2に示される塩基配列をからなるDNA;
(C)配列番号2に示される塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列をからなり、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(D)配列番号2に示される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含み、且つジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(E)配列番号2に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列であり、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(F)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位したアミノ酸配列からなり、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
(A)配列番号4のアミノ酸配列をコードするDNA、
(B)配列番号5の塩基配列からなるDNA、
(C)配列番号5の塩基配列との同一性が80%以上である塩基配列からなり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
(D)配列番号5の塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(E)配列番号5に示される塩基配列において、一若しくは数個の塩基が置換、欠失、挿入、付加及び/又は逆位されている塩基配列であり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(F)配列番号4のアミノ酸配列において、122位以外の箇所で、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位したアミノ酸配列からなり、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
本発明のベクターは、上記2.で説明する本発明のジアホラーゼをコードするDNAが組み込まれたベクターである。ここで「ベクター」とは、それに挿入された核酸分子を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子(キャリアー)であり、適当な宿主細胞内で本発明のDNAを複製可能であり、且つ、その発現が可能である限り、その種類や構造は特に限定されない。即ち、本発明のベクターは発現ベクターである。ベクターの種類は、宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。ベクターの具体例としては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)等を挙げることができる。また、糸状菌を宿主とする場合に適したベクターや、セルフクローニングに適したベクターを使用することも可能である。
本発明は、宿主細胞に本発明のDNAが導入された形質転換体に関する。本発明のDNAの宿主への導入手段は特に制限されないが、例えば、上記3.で説明するベクターに組み込まれた状態で宿主に導入される。宿主細胞は、本発明のDNAを発現してジアホラーゼを生産することが可能である限り、特に制限されない。
具体的には、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、カビ、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができる。
宿主が大腸菌の特にK−12由来株が好ましく、BL21(DE3),BB4,BM25.5,BMH71−18mutS,BW313,C−la,C600,CJ236,DH1,DH5,DH5α,DH10B,DP50supF,ED8654,ED8767,ER1647,HB101,HMS174,HST02,HST04dam−/dcm−,HST08Premium,JM83,JM101,JM105,JM106,JM107,JM108,JM109,JM110,K802,K803,LE392,MC1061,MV1184,MV1193,NovaBlue,RR1,TAP90,TG1,TG2,TH2,XL1−Blue,Χ−1776,γ−1088,γ−1089,γ−1090などが用いられ、ベクターとしてはpBR322、pUC19、pUC57、pBluescript、pET22b,pUC18,pHSG398,pHSG399,pRIT2T,pUEX1〜3,pKK223−3,pINIII 1,pTTQ18,pGEMEX−1,pGH−L9,pKK233−2などが例として挙げられる。
宿主が枯草菌の場合は、バチルス・スブチルス、ブレビバチルス・ブレビス、ブレビバチルス・チョウシネンシスなどが例として挙げられ、ベクターとしてはpTB53又はその改変体、pHY300PLK又はその改変体、pAL10,pAL12、pHT01、pHT08、pHT09、pHT10、pHT43、pNY326、pNCMO2などが挙げられる。
宿主が酵母の場合は、サッカロミセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、キャンデイダ・ウチリス、ピキア・パストリスなどが例として挙げられ、ベクターとしてはpAUR101、pAUR224、pYE32などが挙げられる。
宿主が糸状菌細胞である場合は、例えば、Aspergillus oryzae等を例示することができる。
また、本発明のジアホラーゼが単離されたゲオバチルス属に帰属する微生物を宿主とすることも好ましい。即ち、形質転換体では、通常、外来性のDNAが宿主細胞中に存在するが、DNAが由来する微生物を宿主とするいわゆるセルフクローニングによって得られる形質転換体も好適な実施形態である。
トランスフェクション、トランスフォーメーションはリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter, H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161−7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413−7417(1984))、マイクロインジェクション(Graessmann, M. & Graessmann,A., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 73,366−370(1976))、Hanahanの方法(Hanahan, D., J. Mol. Biol. 166, 557−580(1983))、酢酸リチウム法(Schiestl, R.H. et al., Curr. Genet. 16, 339−346(1989))、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法(Yelton, M.M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81, 1470−1474(1984))等を利用して実施することができる。
本発明のジアホラーゼは、本発明のジアホラーゼの生産能を有する微生物を培養することで製造される。培養に供される微生物は、本発明のジアホラーゼを産生する能力を有する限り特に制限されず、例えば、上記1.に示すゲオバチルス属に帰属する野生型の微生物及び上記4.に示す形質転換体を好適に利用することができる。
市販のLB培地(Luria−Bertai Medium)、M9培地(M9 Minimal Medium)、NZCYM培地(NZCYM Medium)、NZYM培地(NZYM Medium)、NZM培地(NZM Medium)、SOB培地(SOB Medium)、TB培地(Terrific Broth)、2XYT培地(2XYT Medium)を用いてもよい。
本発明の変異型ジアホラーゼを精製標品とする場合は、例えば比活性の下限が1000(U/mg)の状態に精製することが好ましい。さらに好ましい比活性の下限は1200(U/mg)である。また、比活性の上限は3000(U/mg)の状態に精製することが好ましい。さらに好ましい比活性の上限は2000(U/mg)であり、さらに好ましい比活性の上限は1400(U/mg)である。また、最終的な形態は液体状であっても固体状(粉体状を含む)であってもよい。
なお、本書において「比活性」という用語を特に断りなく用いる場合は、1−1−1の測定条件にてDCPIPをメディエータとした時の比活性を指すものとする。また、「比活性」は、タンパク質当たりの活性を意味するが、溶液においてはA280の値をタンパク質濃度とみなして相対比較を行ってもよい。
本発明のジアホラーゼは、種々のプロダクトに適用できる。
本明細書において「プロダクト」とは、使用者が或る用途を実行する目的で用いる1セットのうち一部または全部を構成する製品であって、本発明のジアホラーゼを含むものを意味する。
(a)ジアホラーゼによりNADHなどの基質を測定すること。
(b)ジアホラーゼによる酵素反応により電流を発生させること。
本発明のジアホラーゼを用いて生体成分の濃度又は量を測定する限り、その態様は特に制限されないが、例えば、グルコース、ラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチンキナーゼ(CK)、中性脂肪(TG)、胆汁酸および総分岐鎖アミノ酸(BCAA)などの生体成分等を測定するための試薬、キット、センサなど種々の形態が例示できる。
胆汁酸を測定する場合においても、3−α−ヒドロキシステロイド脱水素酵素が胆汁酸を基質として反応が進みNADHが発生するので、これを上記と同様の方法により比色定量することで胆汁酸の濃度を求めることができる。
BCAAを測定する場合においても、ロイシンデヒドロゲナーゼがBCAAを基質として反応が進みNADHが発生するので、これを上記と同様の方法により比色定量することでBCAAの濃度を求めることができる。
TGを測定する場合は、TGを基質とするリポプロテインリパーゼ、および、共役酵素としてグリセロールデヒドロゲナーゼを用いてNADHを生じさせることにより、ジアホラーゼによるTG濃度の定量が可能になる。
このような共役反応を適宜設計することにより、上記以外の生体成分の濃度又は量を測定することも可能である。
グルコースを含有する試料は、特に制限されないが、例えば、血液、飲料、食品等を挙げることができる。
本発明のプロダクトにおけるキットの形態を、グルコースアッセイキットを事例に説明する。本発明のグルコースアッセイキットは、本発明のジアホラーゼを少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、キットは、本発明のジアホラーゼに加えて、NAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、アッセイに必要な緩衝液、メディエータ、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明のジアホラーゼは種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。
本発明のプロダクトにおけるセンサの形態を、グルコースセンサを事例に説明する。本発明のグルコースセンサにおいて、電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエータとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。本発明のジアホラーゼは、熱安定性に優れるため、比較的高温度条件下で固定化を実施することができる。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のジアホラーゼをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
グルコースデヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼを用いた、グルコースの酸化反応により電子を取り出す燃料電池は既に当該技術分野において確立されている。よって、公知の方法に従い、本発明のジアホラーゼを用いて、燃料電池を作製し稼動させることができる。
本発明のジアホラーゼを用いて燃料電池を作製し稼動させる限り、その態様は特に制限されないが、例えば、以下のような手段により電池として稼動させることができる。まず、本発明のジアホラーゼをバイオ燃料電池の負極において、グルコースデヒドロゲナーゼ、オスミウム錯体などの電子メディエータなどとともに固定化し、一方、正極において、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)、ラッカーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼなどから選択される酸化還元酵素と、ヘキサシアノ鉄酸イオンなどのメディエータを固定化する。さらに、負極と正極とを電子伝導性を持たずプロトンのみ伝導する電解質層を介して対向した構造を構築し、負極では、燃料として供給されたグルコースを酵素により分解し電子を取り出すとともにプロトン(H+)を発生させ、正極では、負極から電解質層を通って輸送されたプロトンと負極から外部回路を通って送られた電子と例えば空気中の酸素とにより水を生成させる。
グルコースを含有する試料は、特に制限されないが、例えば、血液、飲料、食品等を挙げることができる。
本発明のジアホラーゼを用いた燃料電池は電力が必要なものであれば何にでも用いることができ、また、大きさも問わない。具体的には、この燃料電池は、例えば、電子機器、移動体(自動車、二輪車、航空機、ロケット、宇宙船など)、動力装置、建設機械、工作機械、発電システム、コージェネレーションシステムなどに用いることができる。
電子機器は、どのようなものであってもよく、例えば、携帯型のものであっても、据え置き型のものであっても良い。例えば、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ(デスクトップ型、ノート型の双方を含む)、ゲーム機器、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ)、車載機器、家庭電気製品、工業製品などが挙げられる。モバイル機器は、携帯情報端末機(PDA)などが例示できる。
燃料電池の出力、大きさ、形状、燃料の種類などは、共役反応を含めた電池の設計性能や、用途などによって適宜決めることができる。
上記の燃料電池の例において、例えば、ポリ−L−リシン(PLL)とグルタルアルデヒド(GA)とからなる組成からなる固定化剤を用いて、本発明のジアホラーゼ等を正極および負極に固定化することができる。このようにして得られる酵素電極(酵素固定化電極)もまた、既に当該技術分野において確立されている。よって、公知の方法に従い、本発明のジアホラーゼを用いて、酵素電極(酵素固定化電極)を作製し稼動させることができる。
上記で得られた酵素電極(酵素固定化電極)を用いて、グルコースを測定するための酵素センサ(グルコースセンサ)を作製することもまた、既に当該技術分野において確立されている。よって、公知の方法に従い、本発明のジアホラーゼを用いて、酵素センサ(グルコースセンサ)を作製し稼動させることができる。
Geobacillus stearothermophilusのジアホラーゼのアミノ酸配列(ACCESSION AAD24436)(配列番号3)を全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のデータベースより取得した。取得した211アミノ酸残基を全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のprotein blastのアルゴリズムblastpにより検索した。その結果、Geobacillus stearothermophilusのジアホラーゼのアミノ酸配列(ACCESSION AAD24436)とアミノ酸配列相同性をもつタンパク質を同定した。
次に、blastp の検索結果においてIdentities = 128/211 (61%)以上の相同性を持つアミノ酸配列は除外した。次に、Identities = 126/211 (60%)以下の相同性であり、好熱菌由来のアミノ酸配列を同定した。その結果、Identities = 126/211 (60%)であるGeobacillus sp. Y4.1MC1のNAD(P)H dehydrogenase (ACCESSION YP_003989131)(配列番号1)を見出した。アライメント比較をEuropean Bioinformatics Instituteのホームページにて利用できるClustalW2(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/)にて行い、アミノ酸配列の相違点を明らかにした(図1)。
実施例1において同定したGeobacillus sp. Y4.1MC1のNAD(P)H dehydrogenase (ACCESSION YP_003989131)がジアホラーゼ活性を持つポリペプチドであることを確認する必要がある。よって、211アミノ残基を元に、211アミノ酸残基をコードする636塩基の合成遺伝子を設計した(配列番号2)。また、大腸菌にて酵素タンパク質を生産させやすくするため、あらかじめリボゾーム結合配列であるシャイン−ダルガルノ配列(Shine‐Dalgarno sequence)を開始メチオニンの上流に付加した合成遺伝子を設計した。合成遺伝子は、GenScript社により合成した。GenScript社により受領した合成遺伝子はクローニングベクター用プラスミドであるpUC57に挿入されていた。
実施例2において取得した合成遺伝子はプラスミドであるpUC57のLacZプロモーター下流に挿入されていた。そこで、合成遺伝子が挿入されていたプラスミドをそのまま発現ベクターとして用いることとし、これを組換え発現プラスミドpUC−DI−1と命名した。pUC−DI−1を用いて、エシェリヒア・コリー(Escherichia coli)DH5α株コンピテントセル(東洋紡製)を形質転換し、SOC培地中で1hr、37℃で前培養後、LB−amp寒天培地に展開し、コロニーである該形質転換体を取得した。得られた形質転換体を、エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1)と命名した。
(1)変異の導入
実施例1と実施例2において同定したGeobacillus sp. Y4.1MC1の211アミノ酸残基のNAD(P)H dehydrogenaseに変異を導入した。変異部位は公知情報(非特許文献1)をもとに決定した。具体的には、122番目のアミノ酸であるグリシンをアスパラギン酸に置換した(配列番号4)(図2)。このようにして設計した変異型ポリペプチドである、211アミノ酸残基のNAD(P)H dehydrogenaseがジアホラーゼ活性を持つポリペプチドであることを確認するために、122番目のアミノ酸であるグリシンをアスパラギン酸に置換した211アミノ酸残基をコードする636塩基の合成遺伝子を設計した(配列番号5)。合成遺伝子の開始メチオニンの上流には、大腸菌にて酵素タンパク質を生産させやすくするため、あらかじめリボゾーム結合配列であるシャイン−ダルガルノ配列(Shine‐Dalgarno sequence)を付加した。合成遺伝子の作製は、GenScript社に委託した。GenScript社より受領した合成遺伝子はクローニングベクター用プラスミドであるpUC57に挿入されていた。
取得した変異型ポリペプチドの合成遺伝子はプラスミドであるpUC57のLacZプロモーター下流に挿入されていた。そこで、合成遺伝子が挿入されていたプラスミドをそのまま発現ベクターとして用いることとし、これを組換え発現プラスミドpUC−DI−1G122Dと命名した。pUC−DI−1G122Dを用いて、エシェリヒア・コリー(Escherichia coli)DH5α株コンピテントセル(東洋紡製)を形質転換し、SOC培地中で1hr、37℃で前培養後、LB−amp寒天培地に展開し、コロニーである該形質転換体を取得した。得られた形質転換体を、エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1G122D)と命名した。
実施例3にて取得した形質転換体エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1)のコロニーを一白金耳試験管5mlのLB−amp液体培地に植菌し、30℃で16時間培養した。培養終了より菌体を遠心分離により集菌し、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁した後、ソニケーターにて超音波破砕し、更に遠心分離を行い、上清液を粗酵素液として得た。
実施例4にて取得した形質転換体エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1G122D)についても同様の操作を行い、粗酵素液を得た。
実施例5で得た粗酵素液中のジアホラーゼ活性を、上記1−1.に示したジアホラーゼ活性測定方法を用いて測定した。
その結果、形質転換体エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1)由来の粗酵素液にジアホラーゼ活性が存在することが確認された。よって、本合成遺伝子はGeobacillus sp. Y4.1MC1のNAD(P)H dehydrogenaseをコードしている遺伝子であることがわかった。
また、形質転換体エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1G122D)由来の粗酵素液についても同様の操作を行い、もジアホラーゼ活性が存在することを確認した。よって、変異型ポリペプチドをコートするpUC−DI−1G122D合成遺伝子はジアホラーゼ活性を持っていることがわかった。
5mLのLB液体培地(トリプトン1.0%、イーストイクストラクト0.5%、NaCl1.0%、pH7.0)を試験管に入れ、オートクレーブで滅菌し、前培養用の培地とした。予めLBプレート培地で培養した形質転換体であるエシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1)を前培養培地に一白金耳植菌し、30℃、180rpmで16時間振とう培養し、種培養液を得た。
形質転換体エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1G122D)についても同様の操作を行い、種培養液を得た。
500mLのTB液体培地(トリプトン1.2%、イーストイクストラクト2.4%、グリセロール0.4%、KH2PO4 0.23%、K2HPO4 1.25%、pH7.0)を2L坂口フラスコに入れ、オートクレーブで滅菌し、本培養培地の培地とした。5mLの種培養液を本培養培地に植菌し、培養温度30℃、180rpmで24時間振とう培養した。その後、培養液を遠心分離して集菌し、菌体を回収した。得られた菌体を20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁した。
懸濁液をフレンチプレス(Niro Soavi製)に流速160mL/分で送液し、700〜1000barで破砕した。続いて、エチレンイミン(ポリマー)(ナカライテスク株式会社)をポリエチレンイミン含有量5%になるように調整した5%ポリエチレンイミン溶液(pH7.5)を準備し、破砕液へ破砕液量に対し5%になるように徐々に添加して、室温で30分間攪拌した後、ろ過助剤を用いて余分な沈殿を除去した。次に0.5飽和になるように硫酸アンモニウム(住友化学(株)製)を徐々に添加し、硫安分画を行い、ジアホラーゼ活性を持つタンパク質を沈殿させ回収し、回収したタンパク質の沈殿を20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁した。次に、懸濁液をSephadex G−25のゲルを用いて脱塩した。その後、予め20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)で平衡化した400mLのDEAEセファロースFastFlow(GEヘルスケア製)カラムにかけ、0.5M NaClを含む20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)のリニアグラジエントで溶出させた。そして、溶出されたジアホラーゼ画分を分画分子量10,000の中空糸膜(スペクトラムラボラトリーズ製)で濃縮した。濃縮液をSephadex G−25のゲルを用いて脱塩し、精製酵素を得た。
本実施例では、形質転換体エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1)から得られたジアホラーゼを「野生型ジアホラーゼ」と表記する。また、形質転換体エシェリヒア・コリーDH5α(pUC−DI−1G122D)から得られたジアホラーゼ「変異型ジアホラーゼ」と表記する。
得られた精製酵素をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PhastSystemおよびPhastGelTM Gradient 10−15 、GEヘルスケアバイオサイエンス製)に供した。この際、タンパク質分子量マーカーとしてフォスフォリラーゼb(97,000ダルトン)、アルブミン(66,000ダルトン)、オバルブミン(45,000ダルトン)、カルボニックアンヒドラーゼ(30,000ダルトン)、トリプシンインヒビター(20,100ダルトン)、α・ラクトアルブミン(14,400ダルトン)を用いた。
サブユニット分子量の測定は、定法のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PhastSystemおよびPhastGelTM Gradient 10−15 、GEヘルスケアバイオサイエンス製)で測定を行った。タンパク質分子量マーカー(Low Molicular Weight Calibration Kit、GEヘルスケアバイオサイエンス製)フォスフォリラーゼb(Phosphorylase b):97,000ダルトン、アルブミン(Albumin):66,000ダルトン、オバルブミン(Ovalbumin):45,000ダルトン、カルボニックアンヒドラーゼ(Carbonic anhydrase):30,000ダルトン、トリプシンインヒビター(Trypsin inhibitor):20,100ダルトン、α・ラクトアルブミン(α−Lactalbumin):14,400ダルトンの移動度より求めた分子量は少なくとも野生型ジアホラーゼが分子量約23,700ダルトンのサブユニット、変異型ジアホラーゼが分子量約23,700ダルトンのサブユニットであった。野生型ジアホラーゼの結果を図3(A)、変異型ジアホラーゼの結果を図4(A)に示す。
本酵素の分子量測定はTSK−gel G3000SW (7.5mm I.D. X60センチ, TOSOH)を使用した。緩衝液は0.15 M NaClを含む20 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7)を使用し、流速0.5ml/minで測定した。分子量を測定するタンパク質マーカーとして、MW−Marker Proteins (HPLC) (オリエンタル酵母)を使用し、本精製酵素の分子量を決定した。タンパク質マーカーの分子量は以下のとおりである。グルタミン酸脱水素酵素(Glutamate dehydrogenase):290kDa、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase):142kDa、エノラーゼ(Enolase):67kDa、ミオキナーゼ(Myokinase):32kDa、シトクローム C(Ctyochrome C):12.4kDa。本測定条件において、タンパク質マーカーと本酵素の保持時間は、グルタミン酸脱水素酵素(Glutamate dehydrogenase):26.47 min、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase):30.44 min、エノラーゼ(Enolase):35.63 min、ミオキナーゼ(Myokinase):38.79 min、シトクローム C(Ctyochrome C):44.84 min、野生型ジアホラーゼ:36.31min、変異型ジアホラーゼ:36.06minであった。以上の結果から、野生型ジアホラーゼの分子量は約53,300Da、変異型ジアホラーゼの分子量は約55,300Daであることが確認された。野生型ジアホラーゼの結果を図3(B)、変異型ジアホラーゼの結果を図4(B)に示す。
実施例5で得られたジアホラーゼ酵素液(2U/mL)を用いて、至適pHを調べた。100mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0−8.0、図中◆印でプロット)、100mMTris−HCl緩衝液(pH7.5−9.0、図中■印でプロット)、100mM グリシン−NaOH緩衝液(pH9.0−10.0、図中▲でプロット)、を用い、それぞれのpHにおいて、温度25℃にて酵素反応を行い、相対活性を比較した。結果を図5に示す。図5(A)はGeobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼ、図5(B)は本発明のGeobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼをそれぞれ用いて至適活性pHを検討した結果である。
実施例5で得られたジアホラーゼ酵素液(25U/mL)を用いて、pH安定性を調べた。100mM 酢酸カリウム緩衝液(pH5.0−pH6.0:図中◆印でプロット)、100mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0−pH8.0:図中■印でプロット)、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5−pH9.0:図中▲印でプロット)、を用い、25℃、16時間処理した後の活性の残存率を測定した。結果を図6に示す。図6(A)はGeobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼ、図6(B)は本発明のGeobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼをそれぞれ用いてpH安定性を検討した結果である。
実施例5で得られたジアホラーゼ酵素液(50U/mL)を用いて、温度安定性を調べた。100mM酢酸カリウム緩衝液(pH7.5)を用いて、ジアホラーゼ酵素液を各温度(50℃、60℃、70℃)で15〜60分間処理した後、見かけの活性の残存率を測定した。結果を図7に示す。図7(A)はGeobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼの温度安定性、図7(B)は本発明のGeobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼの温度安定性をそれぞれ示す。さらに、同様の方法にてGeobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)の温度安定性を調べた(図8)。
なお、本発明の野生型ジアホラーゼは4℃、30℃、40℃においても60分間での処理後90%以上の残存率を有しており、広い温度範囲において安定であることが示された。
また、50℃、60℃、70℃のそれぞれにおいて15分間処理後の酵素活性はいずれも90%以上であった。
実施例5で得られたジアホラーゼ酵素液を用いて、上述したジアホラーゼの活性測定法において、基質であるNADHの濃度を変化させて活性測定を行い、基質濃度と反応速度のグラフ(図9(A)(B))からLineweaver−burk plotを作成し、Km値を算出した。その結果、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼのNADHに対するKm値は、0.073mMであることが判明した(図9(A))。同様の方法にて、本発明のGeobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼの活性測定を行った。その結果、本発明の変異型ジアホラーゼのNADHに対するKm値は、0.363mMであることが判明した(図9(B))。さらに、同様の方法にてGeobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)の活性測定を行った(図10)。その結果、Geobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)のNADHに対するKm値は、0.115mMであることが判明した。
実施例5で得られたジアホラーゼ酵素液(0.01〜0.02mg/mL)を用いて、ANQへの反応性を調べた(図11(A)(B))。ANQは非特許文献5に記載の方法によって合成し、利用することができる。Geobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼ、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼ、Geobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)の酵素活性を測定し、NADH濃度と比活性(U/mg)の関係を一覧表にした(表1)。
NADH濃度が20mM以上では、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼはGeobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)に比べ、比活性が高いことが判明した。
この結果から、本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて、NADHの濃度が高いときの活性阻害が抑制されていることがわかる。
実施例5で得られたジアホラーゼ酵素液を用いて、1−1−1記載のジアホラーゼの活性測定法において、25℃、30℃、37℃で測定し温度依存性を調べた。1−6で定義された温度依存性を図12(A)に示す。反応温度と比活性との関係を図12(B)に示す。
図12(A)が示すとおり、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼは25℃の相対値が37℃に対して79.6%であったのに対し、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼは25℃の相対値が37℃に対して61.3%であった。Geobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)は25℃の相対値が37℃に対して69.6%であった。この結果から、本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて、温度依存性が改良されていることがわかる。
また、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼは25℃の相対値が30℃に対して93.0%であったのに対し、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼは25℃の相対値が30℃に対して84.1%であった。Geobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)は25℃の相対値が30℃に対して83.7%であった。この結果から、本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて、室温に近い温度範囲である25〜30℃において、特に温度依存性が改善されていることがわかる。
実施例4および実施例5で得られたジアホラーゼ酵素液を用いて、1−1−2記載のジアホラーゼの活性測定法において、20mM NADH時の25℃、30℃、37℃で測定し温度依存性を調べた。1−6で定義された温度依存性を図13(A)に示す。反応温度と比活性との関係を図13(B)に示す。
図13(A)が示すとおり、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼは25℃の相対値が37℃に対して52.9%であった。Geobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼは25℃の相対値が37℃に対して36.0%であった。Geobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)は25℃の相対値が37℃に対して46.3%であった。この結果から、本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて、温度依存性が改良されていることがわかる。
また、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来変異型ジアホラーゼは25℃の相対値が30℃に対して98.0%であったのに対し、Geobacillus sp. Y4.1MC1由来野生型ジアホラーゼは25℃の相対値が30℃に対して59.0%であった。Geobacillus stearothermophilus由来ジアホラーゼ(ユニチカ製)は25℃の相対値が30℃に対して83.0%であった。この結果から、本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて、室温に近い温度範囲である25〜30℃において、特に温度依存性が改善されていることがわかる。
これらの結果から、本発明の変異型ジアホラーゼは、野生型に比べて、温度依存性が改良されていることがわかる。特に、室温に近い温度範囲である25〜30℃で温度依存性が改良されていることがわかる。
これらの結果から、本発明の変異型ジアホラーゼは、ナフトキノン誘導体をメディエータとして用いた場合、野生型に比べて温度依存性が改良されており、かつ、さらに比活性が野生型に比べて向上していることがわかる。特に25〜37℃の範囲において、その効果が顕著である。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
Claims (8)
- 下記の(a)または(c)のポリペプチドからなる変異型ジアホラーゼ。
(a)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(c)配列番号4のアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなり、配列番号4とのアラインメントにおいて122位のグリシンがアスパラギン酸に改変されていて、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチド。 - さらに、下記の(d)または(e)のいずれか1つ以上の特性を有する、請求項1に記載の変異型ジアホラーゼ。
(d)20mM NADH存在下の比活性を100%としたとき、80mM NADH存在下で比活性が50%以上保たれる。
(e)(1)DCPIPをメディエータとして用いた場合、37℃での活性値を100%とした時、25℃の相対活性が70%以上であるか、または、(2)ナフトキノン誘導体をメディエータとして用いた場合、37℃での活性値を100%とした時、25℃の相対活性が50%以上である。 - さらに、下記の(f)の特性を有する、請求項1または2の変異型ジアホラーゼ。
(f)ナフトキノン誘導体をメディエータとして用いた場合、比活性が野生型ジアホラーゼと比較して1.5倍以上である。 - 以下の(A)〜(D)のいずれかのDNA。
(A)配列番号4のアミノ酸配列をコードするDNA。
(B)配列番号5の塩基配列からなるDNA。
(C)配列番号5の塩基配列との同一性が90%以上である塩基配列からなり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
(D)配列番号5の塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、配列番号5とのアラインメントにおいて364位〜366位のトリプレットがアスパラギン酸をコードし、且つ、ジアホラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。 - 請求項4に記載のDNAを組み込んだベクター。
- 請求項5に記載のベクターを含む形質転換体。
- 請求項6に記載の形質転換体を培養することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のジアホラーゼの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のジアホラーゼを含む体外診断用試薬、体外診断用キット、酵素電極、酵素センサまたは燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012276736A JP6127496B2 (ja) | 2011-12-21 | 2012-12-19 | ジアホラーゼ |
Applications Claiming Priority (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011279180 | 2011-12-21 | ||
JP2011279180 | 2011-12-21 | ||
JP2012011755 | 2012-01-24 | ||
JP2012011755 | 2012-01-24 | ||
JP2012030161 | 2012-02-15 | ||
JP2012030161 | 2012-02-15 | ||
JP2012229545 | 2012-10-17 | ||
JP2012229545 | 2012-10-17 | ||
JP2012276736A JP6127496B2 (ja) | 2011-12-21 | 2012-12-19 | ジアホラーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014097049A JP2014097049A (ja) | 2014-05-29 |
JP6127496B2 true JP6127496B2 (ja) | 2017-05-17 |
Family
ID=48668514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012276736A Active JP6127496B2 (ja) | 2011-12-21 | 2012-12-19 | ジアホラーゼ |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US9506043B2 (ja) |
EP (1) | EP2796551A4 (ja) |
JP (1) | JP6127496B2 (ja) |
WO (1) | WO2013094630A1 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6521238B2 (ja) * | 2015-04-23 | 2019-05-29 | 東洋紡株式会社 | 改変型ジアホラーゼ |
JP6765191B2 (ja) * | 2016-01-07 | 2020-10-07 | 花王株式会社 | 洗浄剤組成物 |
Family Cites Families (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60156381A (ja) | 1984-01-27 | 1985-08-16 | Unitika Ltd | Uk563菌株 |
JP3953578B2 (ja) | 1997-05-09 | 2007-08-08 | ユニチカ株式会社 | 耐熱性ジアホラーゼ遺伝子 |
DE10037101A1 (de) * | 2000-07-27 | 2002-02-07 | Degussa | Rekombinant hergestellte Enzyme mit verbesserter NAD(H)-Akzeptanz |
JP4839569B2 (ja) | 2003-06-05 | 2011-12-21 | ソニー株式会社 | 酵素固定化電極およびその製造方法ならびに電極反応利用装置およびその製造方法 |
JP4769412B2 (ja) | 2003-09-02 | 2011-09-07 | 積水メディカル株式会社 | 電子メディエーター、電子メディエーター固定化電極およびこれを用いた生物燃料電池 |
JP2007012281A (ja) | 2005-06-28 | 2007-01-18 | Sony Corp | 燃料電池、電子機器、移動体、発電システムおよび酵素反応利用装置 |
US20070196899A1 (en) | 2005-11-29 | 2007-08-23 | Sony Corporation | Mutant protein having diaphorase activity |
JP4946019B2 (ja) | 2005-11-29 | 2012-06-06 | ソニー株式会社 | ジアホラーゼ活性を有する変異型タンパク質 |
US7785851B2 (en) | 2005-11-29 | 2010-08-31 | Sony Corporation | Mutant protein having diaphorase activity |
JP4929925B2 (ja) | 2006-08-28 | 2012-05-09 | ソニー株式会社 | ジアホラーゼ活性を有する変異型タンパク質 |
JP4228121B2 (ja) * | 2006-09-08 | 2009-02-25 | 富山県 | 機能改変フェニルアラニン脱水素酵素、およびこの酵素を用いた生体試料中のアミノ酸の分析方法 |
JP2008289398A (ja) | 2007-05-23 | 2008-12-04 | Sony Corp | ジアホラーゼ活性を有する変異型タンパク質 |
JP2008289419A (ja) | 2007-05-25 | 2008-12-04 | Sony Corp | ジアホラーゼ活性を有する変異型タンパク質 |
JP2009140760A (ja) | 2007-12-06 | 2009-06-25 | Sony Corp | 燃料電池およびその動作方法ならびに電子機器ならびに酵素反応利用装置およびその動作方法 |
WO2011148938A1 (ja) | 2010-05-24 | 2011-12-01 | ユニチカ株式会社 | ジアホラーゼ活性を有するタンパク質 |
JP5161925B2 (ja) | 2010-07-05 | 2013-03-13 | 三星ダイヤモンド工業株式会社 | 分断装置 |
-
2012
- 2012-12-19 WO PCT/JP2012/082886 patent/WO2013094630A1/ja active Application Filing
- 2012-12-19 JP JP2012276736A patent/JP6127496B2/ja active Active
- 2012-12-19 US US14/367,822 patent/US9506043B2/en active Active
- 2012-12-19 EP EP12860985.6A patent/EP2796551A4/en not_active Withdrawn
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US9506043B2 (en) | 2016-11-29 |
US20150344852A1 (en) | 2015-12-03 |
EP2796551A1 (en) | 2014-10-29 |
EP2796551A4 (en) | 2015-06-17 |
WO2013094630A1 (ja) | 2013-06-27 |
JP2014097049A (ja) | 2014-05-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6460152B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
JP6212852B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
JP5169991B2 (ja) | 改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ | |
US9506042B2 (en) | Glucose dehydrogenase | |
JP6079038B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
JPWO2010140431A1 (ja) | フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6465156B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
US9796963B2 (en) | Glucose dehydrogenase | |
JP6127496B2 (ja) | ジアホラーゼ | |
JP2014097050A (ja) | ジアホラーゼ | |
JP6036826B2 (ja) | Nad依存型グルコースデヒドロゲナーゼおよびその製造方法 | |
WO2017002896A1 (ja) | フラビン結合型グルコース脱水素酵素 | |
JP6160094B2 (ja) | ジアホラーゼ組成物 | |
WO2020116330A1 (ja) | グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP2014180223A (ja) | アルドヘキソースデヒドロゲナーゼ及びその製造方法 | |
JP2017221147A (ja) | 新規グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP2017112858A (ja) | 新規グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP2017112860A (ja) | 新規グルコースデヒドロゲナーゼ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20151208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161018 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20161116 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170314 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170327 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6127496 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |