本明細書及び特許請求の範囲における「備える」とは、明示した構成要素以外の構成要素を備える場合も含まれる。「有する」や「含む」なども同様である。本明細書及び特許請求の範囲における「接続する」とは、明示した構成要素以外の構成要素を介して接続する場合も含まれる。例えば、要素Aに接続するとは、要素Aに直接接続する場合の他に、要素Aに要素B等を介して接続する場合も含まれる。以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。
図1は、本実施形態のパッケージ及び計測センサを示す断面図であり、図2におけるI−I線断面を含む全体断面図である。図2は、図1におけるII−II線断面を含む全体断面図である。図3は、図1において蓋体を取り除いた状態を示す全体平面図である。
図2において一点鎖線で示されるI−I線断面は矩形波状に折れ曲がっており、I−I線両端の矢印の方向に見た場合の全体断面図が図1になっている。各図において、発光素子14及び受光素子15は仮想線(二点鎖線)で示す。図3では、金属薄層42にドットを付す。
本実施形態のパッケージ10は、基体12及び蓋体13を基本的に備え、導通壁面31を更に備えている。基体12は、複数の誘電体層が積層されて成り、表裏関係にある第一面21及び第二面22を有する板状であって、発光素子14を収容する第一収容凹部23、受光素子15を収容する第二収容凹部24、及び、第一収容凹部23と第二収容凹部24とを隔てる遮光壁25が、第一面21に設けられている。蓋体13は、光透過性を有するとともに、第一面21を覆う板状である。導通壁面31は、導電性を有するとともに第一収容凹部23側の遮光壁25表面に配設され、第二面22に設けられた外部接地端子34に電気的に接続されている。
また、パッケージ10は、導通壁面31と外部接地端子34とを電気的に接続する接地ビア導体32b,32cを更に備えてもよい。接地ビア導体32b,32cは、誘電体層の積層方向に直線状に形成され、一端が第一収容凹部23内において導通壁面31に接続され、他端が外部接地端子34に接続されている。
第一収容凹部23は、フリップチップ接続用の電極パッド51a,51bが形成された第一底面26を有してもよい。第二収容凹部24は、フリップチップ接続用の電極パッド51c,51dが形成された第二底面27を有してもよい。
本実施形態の計測センサ11は、パッケージ10と、第一収容凹部23に収容された発光素子14と、第二収容凹部24に収容された受光素子15と、を備えている。
次に、本実施形態のパッケージ10及び計測センサ11の構成について更に詳しく説明する。
パッケージ10の基体12は、矩形板状であって、複数の誘電体層が積層されて形成されている。また、基体12には、少なくとも二つの凹部が設けられている。これら二つの凹部のうち、一方は発光素子14を収容する第一収容凹部23であり、他方は受光素子15を収容する第二収容凹部24である。第一収容凹部23及び第二収容凹部24は、基体12の一方の主面である第一面21に、開口するように設けられている。
パッケージ10は、光のドップラ効果を利用して、血流等の流体の流れを計測する計測センサ11に用いられてもよい。光のドップラ効果を利用するために、計測センサ11は、被計測物に光を照射する発光素子14と、被計測物によって散乱された光を受光する受光素子15とを備える。特に、血流を計測する場合には、例えば手指等の身体の一部に外部から光を照射し、皮膚下の血管を流れる血液に含まれる血球細胞によって散乱された光を受光して、周波数の変化から血流を測定する。そのため、パッケージ10においては、照射光と散乱光の位置関係に基づいて、発光素子14と受光素子15とを所定の間隔で配置する。第一収容凹部23及び第二収容凹部24は、素子の位置関係に応じて設けられる。
第一収容凹部23及び第二収容凹部24の大きさは、収容しようとする発光素子14及び受光素子15の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、発光素子14として垂直共振器面発光レーザ素子(以下「VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)」という。)を用いる場合、第一収容凹部23の開口は、その形状が矩形であっても正方形であってもよく、その大きさが縦方向長さ0.3mm〜2.0mm、横方向長さ0.3mm〜2.0mmであり、その深さが0.3mm〜1.0mmである。また、受光素子15として面入射フォトダイオードを用いる場合、第二収容凹部24の開口は、その形状が矩形であっても正方形であってもよく、その大きさが縦方向長さ0.3mm〜2.0mm、横方向長さ0.3mm〜2.0mmであり、その深さが0.4mm〜1.5mmである。
第一収容凹部23及び第二収容凹部24の開口形状は、矩形状や正方形状以外にも、例えば円形状、その他の形状であってもよい。また、第一収容凹部23及び第二収容凹部24の第一面21に平行な断面の形状は、本実施形態では深さ方向に一様であるが、所定の深さ以降は小さくなって底部まで一様であるような、段差付きの凹部としてもよい。
第一収容凹部23は発光素子14が載置される第一底面26を有し、第二収容凹部24は受光素子15が載置される第二底面27を有している。第一底面26には発光素子14と電気的に接続される電極パッド51a,51bが配設され、第二底面27には受光素子15と電気的に接続される電極パッド51c,51dが配設されている。例えば、電極パッド51a,51cは+電極であり、電極パッド51b,51dは−電極である。
また、第一底面26と第二底面27とが、第一面21から等距離にあるように構成されている。第一面21は、第一収容凹部23及び第二収容凹部24の開口によらない、基体12の一方側の平坦面である。第一面21から同じく平坦面である第一底面26までの距離と、第一面21から同じく平坦面である第二底面27までの距離とは等しい。ここで、両者の距離が等しいとは、両者の距離が一致するだけではなく、両者の距離の差が±10%以内であることも含む。換言すると、第一収容凹部23の深さと第二収容凹部24の深さとは同じである。
基体12は、発光素子14及び受光素子15を収容可能であり、かつ配線用の導体を備えるものであれば、誘電体層がセラミック絶縁材料からなるセラミック配線基板であってもよく、誘電体層が樹脂絶縁材料からなる有機配線基板であってもよい。
基体12がセラミック配線基板の場合、セラミック材料から成る誘電体層に各導体が形成される。セラミック配線基板は、複数のセラミック誘電体層から形成される。セラミック配線基板で用いられるセラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミックス焼結体等が挙げられる。
基体12が有機配線基板の場合、有機材料から成る絶縁層に配線導体が形成される。有機配線基板は、複数の有機誘電体層から形成される。有機配線基板は、例えば、プリント配線基板、ビルドアップ配線基板又はフレキシブル配線基板等の誘電体層が有機材料から成るものであればよい。有機配線基板で用いられる有機材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂又はフッ素系樹脂等が挙げられる。
蓋体13は、基体12の第一面21を覆っている。発光素子14及び受光素子15が収容された第一収容凹部23及び第二収容凹部24は、蓋体13によって塞がれて封止される。蓋体13は、絶縁材料からなる板状部材であり、第一収容凹部23に収容される発光素子14から出射する光が透過し、第二収容凹部24に収容される受光素子15に入射する光が透過するような、光透過性を有する材料で構成されていればよい。
パッケージ10を備える計測センサ11では、蓋体13の表面に例えば被計測物である手指を当てた状態で、発光素子14から出射した光をその手指に照射する。蓋体13が導電性を有する材料で構成されていると、蓋体13に手指を接触させたときに、手指に溜まった不要な電荷が手指から放出され、蓋体13を通して基体12に電荷が流れ込むことにより、ノイズが発生する。そこで、蓋体13を絶縁材料で構成することにより、蓋体13を通して不要な電荷が流れ込むことを抑制している。
また、蓋体13は、被計測物への照射光及び被計測物からの散乱光が透過する必要がある。照射光及び散乱光の特性は発光素子14によって決まるので、少なくとも発光素子14が出射する光が透過するように蓋体13が構成されていればよい。蓋体13は、発光素子14が出射する光の波長に対して好ましくは70%以上(より好ましくは90%以上)の透過率を有する絶縁材料で構成されてもよい。
蓋体13を構成する絶縁材料としては、例えばサファイア等の透明セラミック材料、ガラス材料又は樹脂材料等を用いることができる。ガラス材料としては、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等を用いることができる。樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
蓋体13は、手指等の被計測物が直接接触するため、所定の強度を要する。蓋体13の強度は、構成する材料の強度や板厚みによる。上記のように透明セラミック材料やガラス材料であれば、所定の厚み以上とすることで十分な強度が得られる。蓋体13の構成材料としてガラス材料を用いる場合は、例えば厚みを0.05mm〜5mmとすればよい。
第一収容凹部23と第二収容凹部24との間に遮光壁25があり、遮光壁25の第一収容凹部23側の壁面に導通壁面31が配設される。遮光壁25は遮光性を必要とするが、基体12がセラミック配線基板や有機配線基板であれば、その条件を満たすことになる。導通壁面31は、導電性を有する材料からなり、基体12の内部において接地ビア導体32b,32cと電気的に接続されることにより接地電位が付与され、電磁シールドとして機能する。換言すると、導通壁面31は、第一収容凹部23側の遮光壁25表面に配設され、第一面21に設けられた蓋側接地導体層33と第二面22に設けられた外部接地端子34とを電気的に接続する。接地ビア導体32b,32cは、一端が凹部接地導体層35の一部を介して導通壁面31に電気的に接続され、他端が外部接地端子34に電気的に接続されている。導通壁面31の形状は、特に限定されるものではく、例えば矩形状、ストライプ状などとしてもよい。一端が導通壁面31に接続された接地ビア導体32b,32cは、これらの二本に限定されるものではなく、一本としてもよいし三本以上としてもよい。
基体12には、接地ビア導体32b,32cの他にも、接地ビア導体32a,32dが設けられている。接地ビア導体32a,32dは、一端が蓋側接地導体層33に電気的に接続され、中央が凹部接地導体層35に電気的に接続され、他端が内部接地導体層36に電気的に接続されている。内部接地導体層36は、接地ビア導体32b,32cを介して外部接地端子34に電気的に接続されている。つまり、蓋側接地導体層33、接地ビア導体32a,32d、凹部接地導体層35及び内部接地導体層36は、外部接地端子34に電気的に接続されることにより、接地電位が付与され、電磁シールドとして機能する。なお、凹部接地導体層35は、図2に示すように、平面透視して電極パッド51a,51b,51c,51dを取り囲むように例えば日の字状に形成されている。また、接地ビア導体32a〜32dは、本実施形態では四本としているが、特に制限はなく、何本でもよい。
一般に、自発光型の計測センサ11では、発光素子14から被計測物を経て受光素子15に至る光路長が短いほど、受光素子15で受光される被計測物からの散乱光が増加するので、感度が向上する。しかし、単に発光素子14と受光素子15とを近接して配置した場合、発光素子14側で発生した電磁波ノイズが受光素子15側に進入し易くなり、計測センサ11の計測精度が低下してしまう。特に、血流の計測等に用いられる計測センサ11では、受光素子15による受光量が比較的小さいことにより、受光素子15から出力される電気信号が弱くなるので、電磁波ノイズによる影響が大きい。
パッケージ10は、発光素子14が載置される第一底面26と受光素子15が載置される第二底面27とが近接する構成となっている。そのため、第一収容凹部23と第二収容凹部24との間に導通壁面31を配設することにより、発光素子14側で発生して受光素子15側へ向かって進行する電磁波ノイズを、導通壁面31によって遮蔽している。よって、パッケージ10によれば、発光素子14側と受光素子15側との電気クロストークを低減し、高精度の計測が可能になる。
換言すると、パッケージ10では、第一収容凹部23と第二収容凹部24との間の遮光壁25に導通壁面31が配設されている。すなわち、導通壁面31は、発光素子14側で発生した電磁波ノイズが受光素子15側に向かって伝播する経路上に配設されている。したがって、パッケージ10によれば、発光素子14側から遮光壁25を通過して受光素子15側に進入する電磁波ノイズを導通壁面31によって効果的に抑制できるので、発光素子14側と受光素子15側との電気クロストークを効果的に低減できる。
パッケージ10は、電極パッド51a,51b,51c,51d、信号ビア導体52a,52b,52c,52d、外部信号端子53a,53b,53c,53d等の信号配線導体を更に含む。これらの信号配線導体は、発光素子14及び受光素子15と電気的に接続され、発光素子14に入力される電気信号が伝送され、受光素子15から出力される電気信号が伝送される。換言すると、本実施形態における信号配線導体は、発光素子14及び受光素子15の接続部材であるバンプ(図示せず)が接続される電極パッド51a〜51dと、電極パッド51a〜51dに電気的に接続して電極パッド51a〜51dの直下から基体12の第二面22にまで延びる信号ビア導体52a〜52dと、信号ビア導体52a〜52dに電気的に接続する外部信号端子53a〜53dとから成る。外部信号端子53a〜53dは、基体12の第二面22に設けられており、パッケージ10を備える計測センサ11が実装される外部実装基板の接続端子に対し、はんだ等の端子接続材料によって電気的に接続される。なお、外部信号端子53a〜53dは、図1では四個が一列に並べられているが、これ限らず、例えば平面透視して矩形状の第二面22の四隅に一個ずつ配設してもよい。
電極パッド51a〜51d、外部信号端子53a〜53d及び外部接地端子34は、はんだ等の接合材との濡れ性を向上させ、耐食性を向上させるために、例えば、厚さが0.5〜10μmのニッケル層と厚さが0.5〜5μmの金層とをめっき法によって順次被着させてもよい。
パッケージ10は、蓋側接地導体層33、導電性接合材41及び金属薄層42を更に含んでもよい。蓋側接地導体層33、導電性接合材41及び金属薄層42は、基体12に設けられた導通壁面31及び接地ビア導体32a,32b,32c,32dなどに電気的に接続されることにより、接地電位が付与され、電磁シールドとして機能する。
蓋側接地導体層33は、基体12の第一面21に配設されるメタライズ層であって第一収容凹部23及び第二収容凹部24の各開口を取り囲むように設けられる。蓋側接地導体層33の外形は、基体12の第一面21の外形に沿うように矩形状であってもよく、それ以外の円形状、多角形状などであってもよい。本実施形態では、蓋側接地導体層33の外形を矩形状としている。また、蓋側接地導体層33は、第一収容凹部23及び第二収容凹部24の各開口を取り囲んでいるから、少なくともそれらの開口と同形状又はそれらの開口よりも大きな貫通孔が設けられたメタライズ層である。
金属薄層42は、基体12の第一面21に対向する蓋体13の対向面13a(すなわち手指が接触する側の主面とは反対側の主面)に配設される金属材料からなる薄膜層である。金属薄層42には、発光側開口43及び受光側開口44が設けられている。発光側開口43は、発光素子14から出射された光が通過する。受光側開口44は、受光素子15に入射する光の通過を規制する絞り孔として機能する。
また、金属薄層42は、発光側開口43及び受光側開口44の大きさや位置を適宜調整することによって、計測に必要な受光量を確保しつつ、外部から第二収容凹部24へ進入する不要な光を抑制できる。不要な光が受光素子15に入射されると、受光素子15から出力される電気信号は、被計測物からの反射光に不要な光を含んだものになる。つまり、光学的なノイズが発生してしまう。そのため、受光側開口44(絞り孔)によって、このような光学的ノイズを低減している。
更に、金属薄層42は、外部から到来する電磁波が第二収容凹部24に進入することを抑制するための、電磁シールドとしても機能する。電磁波が第二収容凹部24に進入すると、信号配線導体がアンテナとなって進入した電磁波を受信してしまうので、電磁的ノイズの発生原因となる。蓋体13の対向面13aに、受光側開口44を除いて金属薄層42を設けることにより、外部からの電磁波の進入を抑制できるので、電磁的ノイズの発生を低減できる。
このように、金属薄層42を設けることにより、光学的及び電気的ノイズによる影響を抑制できるので、計測精度が向上する。なお、金属薄層42は、導電性接合材41を介して蓋側接地導体層33と電気的に接続され、接地電位が付与されてもよい。本実施形態では、導電性接合材41と蓋側接地導体層33との外形は同じ大きさである。
金属薄層42は、透明セラミック材料又はガラス材料からなる蓋体13の表面に、例えば、Cr、Ti、Al、Cu、Co、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、Sn、Ta、Fe、In、Ni若しくはWなどの金属又はこれらの合金等の金属材料を蒸着、スパッタ、焼付け等によって形成する。金属薄層42の厚みは、例えば、50nm〜400nmである。
導電性接合材41は、蓋側接地導体層33と金属薄層42とを接合することにより、基体12の第一面21と蓋体13の対向面13aとを接合する。また、導電性接合材41は、基体12の第一収容凹部23及び第二収容凹部24内の気密性及び水密性を確保するためのシール材でもある。第一収容凹部23及び第二収容凹部24に収容される発光素子14及び受光素子15はいずれも水分等に弱いので、外部からの水分の浸入を防止するために、導電性接合材41は途切れの無い環状に設けられる。
また、導電性接合材41は遮光性を有する。導電性接合材41が遮光性を有することで、基体12と蓋体13との間を通って第一収容凹部23内及び第二収容凹部24内に進入する外部からの光を抑制できる。導電性接合材41が有する遮光性は、光の吸収による遮光性であってもよい。外部からの光の進入を防ぐ観点からは、反射による遮光性であってもよい。しかし、その場合は、計測センサ11の内部で発生した迷光が、導電性接合材41で反射して更に受光素子15に受光されてしまうおそれがある。一方、導電性接合材41が光を吸収するものであれば、外部からの光を吸収して進入を防ぐとともに、内部で発生した迷光も吸収できる。
導電性接合材41は、このような光の吸収による遮光性を有する材料を含んで構成される。導電性接合材41は、例えば、基体12と蓋体13との接合性を有するエポキシ樹脂、導電性シリコン樹脂等の樹脂系接着剤に、光吸収性材料を分散させて得られる。光吸収材料としては、例えば、無機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラックなどの炭素系顔料、チタンブラックなどの窒化物系顔料、Cr−Fe−Co系、Cu−Co−Mn系、Fe−Co−Mn系、Fe−Co−Ni−Cr系などの金属酸化物系顔料等を用いることができる。
次に、本実施形態のパッケージ10の製造方法について説明する。
まず、公知の多層配線基板の製造方法と同様にして、基体12を作製する。基体12が、セラミック配線基板であり、セラミック材料がアルミナである場合は、まずアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤又は溶媒を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状に成形してセラミックグリーンシート(以下「グリーンシート」という。)を得る。その後、グリーンシートを所定形状に打ち抜き加工するとともに、タングステン(W)とガラス材料等の原料粉末に有機溶剤又は溶媒を添加混合して金属ペーストとし、これをグリーンシート表面にスクリーン印刷等の印刷法でパターン印刷する。
これにより、導通壁面31、蓋側接地導体層33、外部接地端子34、凹部接地導体層35、内部接地導体層36、電極パッド51a〜51d、外部信号端子53a〜53dなどになる導体パターンを得る。また、信号ビア導体52a〜52d、接地ビア導体32a〜32dなどは、グリーンシートに貫通孔を設け、スクリーン印刷等によって金属ペーストを貫通孔に充填する。こうして得られたグリーンシートを複数枚積層し、これを約1600℃の温度で同時焼成することによって基体12が作製される。
一方、ガラス材料を切削、切断等により所定の形状に切り出して蓋体13を準備し、その対向面13a上に蒸着、スパッタ、焼付け等によって金属薄層42を形成する。このとき、フォトリソ(ウェットエッチング)法、ドライエッチング法等によって金属薄膜にパターン加工することにより、発光側開口43及び受光側開口44を形成できる。
ここで、図4に基づき、導通壁面31を形成する工程の一例を説明する。
まず、図4[A]に示すように、導体パターン33x,34x及びビア導体32xを形成したグリーンシート12xを用意し、グリーンシート12xをキャリア62上に保持する。モールド61は、第一収容凹部23の形状に対応した金型である。続いて、図4[B]に示すように、グリーンシート12xとモールド61との位置を合わせてプレス機63にセットし、グリーンシート12xの上からモールド61を押し付け、かつグリーンシート12xを加熱する。最後に、グリーンシート12xからモールド61を外し、グリーンシート12xを焼成する。
図4[C]に示すように、グリーンシート12xを焼成することにより、グリーンシート12xから第一収容凹部23を含む基体12、導体パターン33xから蓋側接地導体層33、導通壁面31、凹部接地導体層35、導体パターン34xから外部接地端子34、ビア導体32xから接地ビア導体32cがそれぞれ得られる。なお、図示しないが、第二収容凹部24、内部接地導体層36なども同時に形成される。第一収容凹部23及び第二収容凹部24をこの方法で形成する場合は、打ち抜き加工は省略してもよい。
次に、本実施形態の計測センサ11について詳しく説明する。
計測センサ11は、パッケージ10と、第一収容凹部23に収容される発光素子14と、第二収容凹部24に収容される受光素子15と、を含む。計測センサ11は、パッケージ10内において発光素子14及び受光素子15をプリップチップ実装によって電極パッド51a〜51dに接続した後、蓋体13を導電性接合材41を介して基体12に接合して得られる。
発光素子14としてはVCSEL等の半導体レーザ素子を用いることができ、受光素子15としてはシリコンフォトダイオード、GaAsフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、ゲルマニウムフォトダイオード等の各種フォトダイオードを用いることができる。発光素子14及び受光素子15は、被計測物の種類、計測するパラメータの種類等により適宜選択すればよい。
発光素子14及び受光素子15をフリップチップとした場合は、半導体チップの一方の主面に素子(発光面又は受光面)が形成され、他方の主面に接続用のバンプ(突起)が形成される。フリップチップボンディングは、半導体チップの電極と基体12上の電極パッド51a〜51dを向かい合わせてバンプを介して接続する技術である。このため、ワイヤボンディングやTAB(Tape Automated Bonding)の接続に比べて、最も接続長が短くなる。フリップチップボンディングには、はんだバンプや金バンプなどを用いた金属接合方式の他、導電性樹脂接合や異方性導電部材接合などの有機材料を用いた接着接合方式もある。フリップチップ接続用の電極パッド51a〜51dは、バンプによる接続に適した材料からなり、バンプに合わせて大きさや位置などが定められたものである。
血流を測定する場合は、例えば、光のドップラ効果を利用して測定するために、発光素子14としてのVCSELは波長が850nmのレーザ光を出射可能なものであればよい。その他の測定を行う場合は、測定目的に応じた波長のレーザ光を出射する発光素子14を選択すればよい。受光素子15で受光される光の波長が発光素子14から出射されるレーザ光の波長から変化しない場合、受光素子15は発光素子14の出射光を受光できるものであればよい。一方、受光素子15で受光される光の波長が発光素子14から出射されるレーザ光の波長から変化する場合、受光素子15は変化後の波長の光を受光できるものであればよい。
発光素子14及び受光素子15と電極パッド51a〜51dとの接続は、本実施形態ではフリップチップ接続を採用しているが、ボンディングワイヤによる接続、異方性導電フィルムによる接続等他の接続方法を採用してもよい。
計測センサ11は、外部実装基板に実装されて使用される。外部実装基板には、例えば、発光素子14の発光を制御する制御素子、受光素子15の出力信号から血流速度等を算出する演算素子等も実装される。
計測センサ11による測定では、被計測物として手指の指先を蓋体13の表面に接触させた状態で、外部実装基板から発光素子制御電流が外部信号端子53a,53b、信号ビア導体52a,52b、電極パッド51a,51bを通って発光素子14に入力される。これにより、発光素子14から計測用の光が発光側開口43を通って出射される。出射された光は、蓋体13を透過して指先に照射されると、血液中の血球細胞で散乱される。蓋体13を透過し、受光側開口44(絞り孔)を通過した散乱光が、受光素子15で受光されると、受光量に応じた電気信号が受光素子15から出力される。出力された信号は、電極パッド51c,51d、信号ビア導体52c,52d、外部信号端子53c,53dを介して計測センサ11から外部実装基板へと出力される。
外部実装基板では、計測センサ11から出力された信号が、演算素子に入力され、例えば、発光素子14から出射された光である照射光の周波数と、受光素子15が受光した光である散乱光の周波数とに基づいて血流速度を算出できる。
なお、信号ビア導体52a〜52dは、基体12内で上下方向に一直線状に形成される構成としているが、第二面22の外部信号端子53a〜53dまで電気的に接続されていれば、一直線状でなく、内層配線等によってずれて形成されていてもよい。
また、基体12には、基体12の厚み方向に延びる接地ビア導体32a,32dを設けてもよい。接地ビア導体32a,32dは、例えば、蓋側接地導体層33及び外部接地端子34と電気的に接続され、基体12の第一収容凹部23及び第二収容凹部24の周囲に配設される。接地ビア導体32a,32dは、被計測物の一つである人の手指が計測センサ11に接触したときに放出される電荷を、基体12の第一面21から基体12の第二面22に誘導し、外部へと放出する。
本実施形態の計測センサ11は、発光素子14側で発生した電磁波ノイズが受光素子15側に進入することを抑制する導通壁面31をパッケージ10内に形成することで、発光素子14側と受光素子15側との電気クロストークを低減し、高精度の計測を可能にしている。
次に、本実施形態のパッケージ10及び計測センサ11の作用及び効果について、図1乃至図5に基づき総括する。
(1)まず、比較例のパッケージについて説明する。本実施形態における導通壁面31及び接地ビア導体32c(図1)が、比較例では接地ビア導体72cに置き換わっている(図5)。この点を除き、本実施形態と比較例とは同じ構成である。従来技術の課題である発光素子14(第一収容凹部23)側と受光素子15(第二収容凹部24)側との電気クロストークを低減するには、第一収容凹部23と第二収容凹部24とを隔てる遮光壁25内に、蓋側接地導体層33から外部接地端子34に至る接地ビア導体72cを設けることが考えられる。これにより、発光素子14側で発生した電磁波ノイズが接地ビア導体72cで遮蔽されるので、受光素子15側での電磁波ノイズが低減する。しかしながら、遮光壁25内に接地ビア導体72cを設けると、パッケージが大型化してしまう。その理由は、接地ビア導体72cを埋め込むには、十分な遮光壁25の厚みt2が必要になるからである。
これに対し、本実施形態のパッケージ10では、第一収容凹部23側の遮光壁25表面に配設され、蓋側接地導体層33と外部接地端子34とを電気的に接続する導通壁面31を備えたことにより、発光素子14側で発生した電磁波ノイズを導通壁面31で遮蔽できるので、受光素子15側での電磁波ノイズを低減できる。しかも、遮光壁25表面に導通壁面31を形成するだけでよいので、比較例に比べて、遮光壁25の厚みt1を薄くでき、パッケージ10を小型化できる。したがって、本実施形態のパッケージ10によれば、発光素子14を駆動する電流から発生した電磁波ノイズが受光素子15側に進入することを導通壁面31によって抑制できるので、発光素子14側と受光素子15側との電気クロストークを低減できるとともに、小型化を達成できる。換言すると、パッケージ10の大型化を招くことなく、発光素子14側と受光素子15側との電気クロストークを低減できる。
(2)前述したように、図5に示す比較例では、発光素子14(第一収容凹部23)側で発生した電磁波ノイズが接地ビア導体72cで遮蔽されるので、受光素子15(第二収容凹部24)側での電磁波ノイズが低減する。しかし、接地ビア導体72cには僅かながらも抵抗値が存在することにより、接地ビア導体72cが新たなノイズ発生源になり得る。比較例では、遮光壁25直下に接地ビア導体72cが位置しているので、受光素子15側の信号ビア導体52cと接地ビア導体72cとの距離d2が短くなっており、受光素子15側での電磁波ノイズの低減が十分とは言えない。なお、受光素子15側において信号ビア導体52cと信号ビア導体52dとの距離d0(図2参照)はできるだけ長くして、信号ビア導体52c,52d間での電磁波ノイズを低減している。つまり、信号ビア導体52cを接地ビア導体72cから、これ以上離すことは難しい。
これに対し、本実施形態では、一端が第一収容凹部23内において導通壁面31に接続され、他端が外部接地端子34に接続された接地ビア導体32b,32cを更に備えたことにより、接地ビア導体32cを遮光壁25直下ではなく第一収容凹部23内に位置付けることができる。したがって、受光素子15側の信号ビア導体52cと接地ビア導体32cとの距離d1を十分に長くできるので、受光素子15側での電磁波ノイズをより低減できる。
(3)従来の計測センサでは更なる小型化が求められているものの、その実現は困難であった。つまり、発光素子や受光素子をワイヤボンディングによってパッケージに実装していたことにより(特許文献1参照)、ワイヤの一端を接続するための電極パッドや、ワイヤを弓なりに保持するための空間がパッケージに必要になるので、小型化が阻まれていた。
これに対し、本実施形態では、フリップチップ接続用の電極パッド51a,51bが形成された第一底面26を第一収容凹部23に備え、フリップチップ接続用の電極パッド51c,51dが形成された第二底面27を第二収容凹部24に備えたことにより、フリップチップから成る発光素子14及び受光素子15をパッケージ10内に実装できる。したがって、本実施形態によれば、ワイヤボンディング接続に比べて、ワイヤの一端を接続するための電極パッドや、ワイヤを弓なりに保持するための空間が不要となるので、パッケージ10を小型化できる。
(4)本実施形態の計測センサ11によれば、本実施形態のパッケージ10と、第一収容凹部23に収容された発光素子14と、第二収容凹部24に収容された受光素子15とを備えたことにより、計測の高精度化及び全体の小型化を達成できる。
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。そのような変更を加えた構成も、本発明の技術的範囲に含まれる。