図1は、本発明の第1実施形態に係る計測センサ用パッケージ1を示す平面図であり、図2は、図1の切断面線A−Aで切断した断面図であり、図3は、図1の切断面線B−Bで切断した断面図である。なお、図1の平面図では、蓋体3を省略して図示している。
計測センサ用パッケージ1は、基体2および蓋体3を含み、さらに表層接地導体層4、金属薄層5および導電性接合材6を含む。基体2は、発光素子および複数の受光素子を収容するものであり、基体本体20に、信号配線導体23と、外部接地端子24と、接地ビア導体26とが配設されている。
本実施形態の基体本体20は、矩形板状であって、複数の誘電体層が積層されて形成されている。また、この基体本体20には、少なくとも3つの凹部が、基体本体20の1つの面(基体2の第1面)21に開口するように設けられている。3つの凹部のうちの1つは、発光素子を収容する発光素子収容凹部20aであり、3つの凹部のうちの1つは、第1受光素子を収容する第1受光素子収容凹部20bであり、3つの凹部のうちの1つは、第2受光素子を収容する第2受光素子収容凹部20cである。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cが基体2の第1面21に設けられている。また、本実施形態の計測センサ用パッケージ1では、発光素子収容凹部20aからの距離が、第2受光素子収容凹部20cの方が、第1受光素子収容凹部20bよりも大きくされている。
さらに、本実施形態の計測センサ用パッケージ1では、基体2の第1面21からの深さが、第2受光素子収容凹部20cの方が、第1受光素子収容凹部20bよりも浅くされている。すなわち、図3に示すように、第1受光素子収容凹部20bの第1底面203と基体2の第2面(基体2の、第1面21とは反対側の主面)22との距離が、第2受光素子収容凹部20cの第2底面206と基体2の第2面22との距離よりも小さくされている。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、光のドップラー効果を利用して、血流等の流体の流れを計測する計測センサに好適に用いられる。特に、血流を計測する場合には、例えば手指等の身体の一部に外部から光を照射し、皮膚下の血管を流れる血液に含まれる血球細胞によって散乱された光を受光して、周波数の変化から血流を測定する。
また、本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、血管の中でも特に動脈の血流測定に好適に用いられる。動脈は、皮膚表面からの距離がより深い位置にあり、皮膚と動脈との間には他の生体組織、例えば動脈よりも皮膚に近い、浅い位置にある静脈が存在する。動脈の血流を測定しようとした場合、動脈の血流による散乱光が受光素子に向かう光路上に静脈が存在していると、受光素子によって受光されるべき散乱光が静脈によって吸収され、受光素子によって受光されるべき、動脈の血流による散乱光が減少してしまい、動脈の血流を測定することが難しくなる恐れがある。
本実施形態では、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cは、発光素子収容凹部20aと第2受光素子収容凹部20cとの距離が、発光素子収容凹部20aと第1受光素子収容凹部20bとの距離よりも大きくされている。計測センサ用パッケージ1を備える計測センサは、動脈の血流による散乱光を広い範囲で受光することが可能になるので、静脈の影響、例えば静脈による散乱光の吸収を受けにくくなる。すなわち、計測センサ用パッケージ1を備える計測センサは、複数の受光素子を発光素子からの距離が異なる位置にそれぞれ配置することにより受光範囲を拡げ、それによって、複数の受光素子のいずれか1つは、動脈の血流による散乱光を受光できるように構成されている。
また、本実施形態では、第2受光素子収容凹部20cの深さが、第1受光素子収容凹部20bの深さよりも浅くされている。第2受光素子収容凹部20cは、発光素子収容凹部20aからの距離が比較的遠いので、動脈の血流による散乱光は、第2受光素子収容凹部20cの内部に比較的大きな入射角度で入射してもよい。ここで、入射角度は、基体2の第1面21の法線方向と散乱光の進行方向との間の角度である。本実施形態では、第2受光素子収容凹部20cに収容される第2受光素子の受光部が、基体2の第1面21に近接して位置することになり、それによって、第2受光素子は、第2受光素子収容凹部20cの内部に大きな入射角度で入射する、動脈の血流による散乱光を効率的に受光することができる。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1によれば、第1受光素子収容凹部20bに収容される第1受光素子、および第2受光素子収容凹部20cに収容される第2受光素子のいずれか一方は、動脈の血流による散乱光を効率良く受光することができる。本実施形態によれば、動脈の血流を精度良く計測できる計測センサを提供することができる。
発光素子収容凹部20aの大きさ、第1受光素子収容凹部20bの大きさ、第2受光素子収容凹部20cの大きさは、収容しようとする発光素子および受光素子の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、発光素子として、垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL)を用いる場合、発光素子収容凹部20aの開口は、その形状が、例えば矩形であっても正方形であってもよく、その大きさは、例えば、縦方向長さが0.3mm〜2.0mm、横方向長さが0.3mm〜2.0mmであり、深さは、0.3mm〜1.0mmである。また、第1受光素子および第2受光素子として、面入射フォトダイオードを用いる場合、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cの開口は、その形状が、例えば矩形であっても正方形であってもよく、その大きさは、例えば、縦方向長さが0.3mm〜2.0mm、横方向長さが0.3mm〜2.0mmである。第1受光素子収容凹部20bの深さは、例えば0.6mm〜1.5mmであり、第2受光素子収容凹部20cの深さは、例えば0.4mm〜1.3mmである。また、平面視において、発光素子収容凹部20aの中心と第1受光素子収容凹部20bとの距離は、例えば1mm〜3mmであり、発光素子収容凹部20aの中心と第2受光素子収容凹部20cとの距離は、例えば2mm〜6mmである。
第1受光素子収容凹部20bと第2受光素子収容凹部20cとは、発光素子収容凹部20aと第2受光素子収容凹部20cとの距離が、発光素子収容凹部20aと第1受光素子収容凹部20bとの距離よりも大きくされていれば、平面視したときの配置位置は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cは、平面視において、発光素子収容凹部20aの中心c0、第1受光素子収容凹部20bの中心c1および第2受光素子収容凹部20cの中心c2が、1つの直線上に並ぶように設けられていてもよい。このような配置とすることで、該1つの直線と交差する方向における計測センサ用パッケージ1の寸法を低減することが可能になり、これにより、計測センサ用パッケージ1を小型化することができる。
発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cは、基体本体20の第1面21に平行な断面の断面形状が深さ方向に一様な形状であってもよいが、図3の断面図に示すように、所定の深さまでは、断面形状が開口形状と同じで一様であり、所定の深さ以降は、断面形状が小さくなって底部まで一様であるような、段差付きの凹部であってもよい。
発光素子収容凹部20aは、発光素子が載置される底面200を有し、発光素子収容凹部20aの内側面には、発光素子と電気的に接続される電極パッド23aが配設される段差面202を有する段差部201が設けられている。第1受光素子収容凹部20bは、第1受光素子が載置される第1底面203を有し、第1受光素子収容凹部20bの内側面には、第1受光素子と電気的に接続される電極パッド23aが配設される第1段差面205を有する第1段差部204が設けられている。また、第2受光素子収容凹部20cは、第2受光素子が載置される第2底面206を有し、第2受光素子収容凹部20cの内側面には、第2受光素子と電気的に接続される電極パッド23aが配設される第2段差面208を有する第2段差部207が設けられている。
発光素子収容凹部20aと第1受光素子収容凹部20bとは、基体2の第1面21からの深さが、同一であってもよく、異なっていてもよい。本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、図3に示すように、発光素子収容凹部20aの底面200と第1受光素子収容凹部20bの第1底面203とは、基体2の第2面22から等距離にある。すなわち、発光素子収容凹部20aおよび第1受光素子収容凹部20bの深さが同じである。さらに、本実施形態では、段差面202および第1段差面205が、基体2の第2面22から等距離にある。すなわち、段差部201および第1段差部204の基体2の第1面21からの深さが同じである。ここで、2つの距離が等しいとは、2つの距離が一致するだけではなく、2つの距離の差が±10%以内であることも含む。
第1受光素子収容凹部20bと第2受光素子収容凹部20cとは、発光素子収容凹部20aからの距離が異なっていれば、段差部の配置位置は、特に限定されないが、本実施形態のように、平面視において、第1段差部204は、第1受光素子収容凹部20bの中心c1を基準として第2受光素子収容凹部20cの側に設けられており、第2段差部207は、第2受光素子収容凹部20cの中心c2を基準として第1受光素子収容凹部20bの側に設けられていてもよい。すなわち、平面視において、第1段差部204が、第1受光素子収容凹部20bの発光素子収容凹部20aから遠い側に設けられており、第2段差部207が、第2受光素子収容凹部20cの発光素子収容凹部20aに近い側に設けられていてもよい。
平面視において、第1段差部204が、発光素子収容凹部20aから遠い側に設けられていると、第1受光素子は、発光素子収容凹部20aに近い側に配置されることになり、第2段差部207が、発光素子収容凹部20aに近い側に設けられていると、第2受光素子は、発光素子収容凹部20aから遠い側に配置されることになる。これにより、第1受光素子は、より発光素子に近く、第2受光素子は、より発光素子から遠くに配置されることになるので、第1受光素子および第2受光素子による受光範囲を拡げることができる。これにより、動脈の血流による散乱光が静脈によって吸収されることを抑制することができ、動脈の血流を高精度に計測することが可能になる。
信号配線導体23は、発光素子、第1受光素子または第2受光素子と電気的に接続され、発光素子に入力される電気信号が伝送され、受光素子から出力される電気信号が伝送される。本実施形態における信号配線導体23は、発光素子、第1受光素子または第2受光素子と接続する接続部材であるボンディングワイヤと、ボンディングワイヤが接続される電極パッド23aと、電極パッド23aに電気的に接続して電極パッド23aの直下から基体本体20を貫通し、基体2の第2面22にまで延びる信号ビア導体23bと、第2面22に配設され、信号ビア導体23bに電気的に接続する外部接続端子23cとから成る。外部接続端子23cは、基体2の第2面22に設けられており、計測センサ用パッケージ1を備える計測センサが実装される外部実装基板の信号用接続端子とはんだ等の端子接続材料によって電気的に接続される。
外部接続端子23cおよび外部接地端子24は、はんだ等の接合材との濡れ性を向上させ、耐食性を向上させるために、例えば、厚さが0.5μm〜10μmのニッケル層と厚さが0.5μm〜5μmの金層とをめっき法によって順次被着させてもよい。
基体2は、発光素子および受光素子を収容可能であり、信号配線導体23等の導体を備えるものであれば、基体本体20の誘電体層がセラミック絶縁材料からなり、信号配線導体23等が導体材料からなるセラミック配線基板であってもよく、誘電体層が樹脂絶縁材料からなる有機配線基板であってもよい。
基体2が、セラミック配線基板の場合、セラミック材料から成る誘電体層に各導体が形成される。セラミック配線基板は、複数のセラミック誘電体層から構成される。
セラミック配線基板で用いられるセラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミックス焼結体等が挙げられる。
また、基体2が、有機配線基板の場合、有機材料から成る絶縁層に配線導体が形成される。有機配線基板は、複数の有機誘電体層から形成される。
有機配線基板は、例えば、プリント配線基板、ビルドアップ配線基板またはフレキシブル配線基板等の誘電体層が有機材料から成るものであればよい。有機配線基板で用いられる有機材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。
蓋体3は、基体本体20の1つの面(基体2の第1面)21を覆い、導電性接合材6によって基体2の第1面21に接合される。蓋体3によって、発光素子、第1受光素子および第2受光素子が収容された発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cが塞がれて封止される。蓋体3は、絶縁材料からなる板状部材であり、発光素子収容凹部20aに収容される発光素子から出射される光が透過し、第1受光素子収容凹部20bに収容される第1受光素子および第2受光素子収容凹部20cに収容される第2受光素子が受光する光が透過するような光透過性を有する材料で構成されていればよい。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、蓋体3の表面に、例えば被計測物である手指を当てた状態で発光素子から出射した光を手指に照射する。蓋体3が導電性を有する材料で構成されていると、蓋体3に手指を接触させたときに、手指に溜まった不要な電荷が手指から放出され、蓋体3を通して基体2に電荷が流れ込み、ノイズが発生する。蓋体3を絶縁材料で構成することにより、蓋体3を通して不要な電荷が流れ込むことを抑制することができる。
また、蓋体3は、被計測物への照射光および散乱光を透過する必要がある。照射光および散乱光の特性は、搭載する発光素子によって決まるので、少なくとも搭載する発光素子が出射する光が透過するように構成されていればよい。発光素子から出射される光の波長に対して、当該波長の光の透過率が70%以上であればよく、90%以上の透過率を有する絶縁材料で蓋体3を構成してもよい。
蓋体3を構成する絶縁材料としては、例えばサファイア等の透明セラミック材料、ガラス材料または樹脂材料等を用いることができる。ガラス材料としては、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等を用いることができる。樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
蓋体3は、手指等の被計測物が直接接触するため、所定の強度を要する。蓋体3の強度は、構成する材料の強度、板厚みによる。上記のように透明セラミック材料やガラス材料であれば、所定の厚み以上とすることで十分な強度が得られる。蓋体3の構成材料としてガラス材料を用いる場合は、例えば厚みを0.05mm〜5mmとすればよい。
表層接地導体層4は、基体本体20の1つの面21に配設されるメタライズ層であって、第1受光素子および第2受光素子が収容される第1受光素子収容凹部20bの開口および第2受光素子収容凹部20cの開口を取り囲むように設けられる。表層接地導体層4は、例えば、外形が、基体本体20の1つの面21の外形に沿うように矩形状であってもよく、それ以外の円形状、多角形状などであってもよい。本実施形態では、表層接地導体層4の外形状を矩形状としている。また、表層接地導体層4は、第1受光素子収容凹部20bの開口および第2受光素子収容凹部20cの開口を取り囲んでいるから、少なくとも2つの開口に外接するか、または2つの開口よりも大きな1つの貫通孔が設けられたメタライズ層である。
表層接地導体層4は、例えば、基体2に設けられた、接地ビア導体26または後述の導電性接合材6などと接続することで、接地電位が付与される。基体本体20の1つの面21に、表層接地導体層4を設けることで、基体2の表面に設置した表層接地導体層4は、下記の金属薄層5と導電性接合材6により電気的に接続される。その結果、金属薄層5にも接地電位を付与することができ、金属薄層5が外部帯電体(特に手指等の測定物)からの電気的シールドとして作用し、第1受光素子および第2受光素子へのノイズ混入を抑制できる。
金属薄層5は、蓋体3の、基体本体20の1つの面21に対向する主面である対向面3a、すなわち手指が接触する側の主面とは反対側の主面に配設される金属材料からなる薄層である。金属薄層5には、第1受光素子が受光する光が通過する開口であって、光の通過を規制する開口である第1絞り孔5aおよび第2受光素子が受光する光が通過する開口であって、光の通過を規制する開口である第2絞り孔5bが設けられている。金属薄層5は、第1絞り孔5aおよび第2絞り孔5bの大きさ、形状、第1絞り孔5aおよび第2絞り孔5bを設ける位置を適宜調整することによって、計測に必要な受光量を確保しつつ、外部から第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cへの不要な光の進入を低減することができる。外光など外部から進入する不要な光を第1受光素子および第2受光素子が受光してしまうと、第1受光素子および第2受光素子から出力される電気信号には、被計測物からの反射光による受光量に、不要光の受光量が加わることになり、光学的なノイズが発生してしまう。第1絞り孔5aおよび第2絞り孔5bによって、このような光学的ノイズを低減することができる。
第1絞り孔5aは、平面視で、第1受光素子収容凹部20bの第1底面203の中心に対応する位置、すなわち収容される第1受光素子の中心に対応する位置に設けられてもよく、第2絞り孔5bは、平面視で、第2受光素子収容凹部20cの第2底面206の中心に対応する位置、すなわち収容される第2受光素子の中心に対応する位置に設けられてもよい。
本実施形態では、平面視において、第1絞り孔5aは、第1受光素子収容凹部20bの中心c2を基準として第2受光素子収容凹部20cとは反対側に設けられており、第2絞り孔5bは、第2受光素子収容凹部20cの中心c2を基準として第1受光素子収容凹部20bとは反対の側に設けられている。すなわち、図1に示すように、平面視において、第1絞り孔5aは、第1受光素子収容凹部20bの発光素子収容凹部20aに近い側に設けられており、第2絞り孔5bは、第2受光素子収容凹部20cの発光素子収容凹部20aから遠い側に設けられている。このような第1絞り孔5aおよび第2絞り孔5bを設けることにより、第1受光素子は、発光素子にさらに近い側の散乱光を受光し、第2受光素子は、発光素子からさらに遠い側の散乱光を受光することができるので、第1受光素子および第2受光素子による受光範囲をさらに拡げることができる。本実施形態の第1絞り孔5aおよび第2絞り孔5bによれば、動脈の血流による散乱光を効率よく受光することができ、動脈の血流を高精度に計測することが可能になる。
金属薄層5は、外部から到来する電磁波が第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cに進入することを抑制するための電磁シールドとしても機能する。電磁波が第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cに進入すると、信号配線導体23、特にボンディングワイヤがアンテナとなって、進入した電磁波を受信してしまい電磁的ノイズの発生原因となる。蓋体3の対向面3aに、第1絞り孔5aおよび第2絞り孔5bを除いて金属材料からなる薄層を設けることで、外部からの電磁波の進入を抑制し、電磁的ノイズの発生を低減することができる。
このように、金属薄層5を設けることで、光学的および電気的ノイズによる影響を抑制し、計測精度を向上させることができる。なお、金属薄層5は、表層接地導体層4と電気的に接続され、接地電位が付与されてもよい。また、本実施形態では、金属薄層5の外形と表層接地導体層4との外形は同じ大きさであるが、異なっていてもよい。
金属薄層5は、透明セラミック材料またはガラス材料からなる蓋体3の表面に、例えば、Cr、Ti、Al、Cu、Co、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、Sn、Ta、Fe、In、Ni、Wなどの金属及びこれらの合金等の金属材料を蒸着、スパッタ、焼付け等によって形成することができる。金属薄層5の層厚みは、例えば、500Å〜4000Åである。
導電性接合材6は、基体2と蓋体3とを接合する。より詳細には、基体本体20の1つの面(基体2の第1面)21と蓋体3の対向面3aとを、外周部分で接合する。導電性接合材6は、矩形状の基体2の第1面21の四辺に沿って環状に設けられており、基体2の発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20c内の気密性および水密性を確保するためのシール材である。
発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cに収容される発光素子、第1受光素子および第2受光素子は、いずれも水分等に弱く、外部からの水分の浸入を防止するために、導電性接合材6は、途切れの無い環状に設けられる。
さらに、導電性接合材6は遮光性を有していてもよい。導電性接合材6が遮光性を有することで、外部からの光が、基体2と蓋体3との間を通って、発光素子収容凹部20a、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20c内に進入することを防止できる。
導電性接合材6が有する遮光性は、光の吸収による遮光性であってもよい。外部からの光の進入を防ぐ観点からは、反射による遮光性であってもよいが、計測センサの内部で発生した迷光が、導電性接合材6で反射してさらに第1受光素子、第2受光素子に受光されてしまうおそれがある。導電性接合材6が光を吸収するものであれば、外部からの光を吸収して進入を防ぐとともに、内部で発生した迷光も吸収することができる。
導電性接合材6は、このような光の吸収による遮光性を有する材料を含んで構成される。導電性接合材6は、例えば、基体2と蓋体3との接合性を有するエポキシ樹脂、導電性シリコン樹脂等の樹脂系接着剤に、光吸収性材料を分散させて得られる。光吸収材料としては、例えば、無機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラックなどの炭素系顔料、チタンブラックなどの窒化物系顔料、Cr−Fe−Co系、Cu−Co−Mn系、Fe−Co−Mn系、Fe−Co−Ni−Cr系などの金属酸化物系顔料等を用いることができる。
本実施形態では、表層接地導体層4と金属薄層5とは、平面透視において、環状に設けられた導電性接合材6の外縁よりも内側の領域にそれぞれ配設される。すなわち、基体本体20の1つの面21と蓋体3の対向面3aとの間には、表層接地導体層4および金属薄層5の一部が介在されている。そして、導電性接合材6によって、蓋体3と基体2とが全周にわたり直接接合されている。なお、導電性接合材6は、表層接地導体層4や金属薄層5と一部が重なるように配設されていてもよい。
基体2と蓋体3との接合において、表層接地導体層4および金属薄層5が介在しない箇所では、基体2と蓋体3との接合強度を高くすることができ、蓋体3の剥離等を防止することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る計測センサ用パッケージ1Aを示す平面図である。
第2実施形態の計測センサ用パッケージ1Aは、第1実施形態の計測センサ用パッケージ1に対して、第1受光素子収容凹部20bおよび第2受光素子収容凹部20cの配置位置の点で相違し、その他については、同様の構成であるので、同様の構成には計測センサ用パッケージ1と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。なお、図4では、蓋体3を省略して図示している。
第2実施形態の計測センサ用パッケージ1Aでは、平面視において、第1受光素子収容凹部20bが、発光素子収容凹部20aと第2受光素子収容凹部20cとの間に設けられ、第1受光素子収容凹部20bの中心c1が、発光素子収容凹部20aの中心c0と第2受光素子収容凹部20cの中心c2とを結ぶ直線から離れるように設けられている。
第2実施形態の計測センサ用パッケージ1Aによれば、第1受光素子および第2受光素子による受光範囲を、互いに交差する2つの方向、すなわち発光素子収容凹部20aの中心c0と第1受光素子収容凹部20bの中心c1とを結ぶ方向、および発光素子収容凹部20aの中心c0と第2受光素子収容凹部20cの中心c2とを結ぶ方向の両方向において拡げることができる。これにより、第1受光素子および第2受光素子は、動脈の血流による散乱光をより受光しやすくなるので、計測センサ用パッケージ1Aによれば、動脈の血流を高精度に計測することが可能になる。
なお、図4においては、計測センサ用パッケージ1Aを基体本体20の長さ方向(図4における左右方向)に側面透視した場合に、第1受光素子収容凹部20bと第2受光素子収容凹部20cが重なっている例を示しているが、第1受光素子収容凹部20bと第2受光素子収容凹部20cとは、計測センサ用パッケージを基体本体20の長さ方向に側面透視した場合に、重なっていなくてもよい。
図5は、本発明の第3実施形態に係る計測センサ用パッケージ1Bを示す概略平面図である。なお、図5においては、蓋体3および金属薄層5を省略して図示している。
第3実施形態の計測センサ用パッケージ1Bは、第1実施形態の計測センサ用パッケージ1に対して、第3受光素子収容凹部20dと第4受光素子収容凹部20eとをさらに含み、発光素子収容凹部20a内における底面200および段差部201の配置位置が異なる点で相違し、その他については、同様の構成であるので、同様の構成には計測センサ用パッケージ1と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
計測センサ用パッケージ1Bは、発光素子を収容する発光素子収容凹部20a、第1受光素子を収容する第1受光素子収容凹部20b、第2受光素子を収容する第2受光素子収容凹部20c、第3受光素子を収容する第3受光素子収容凹部20dおよび第4受光素子を収容する第4受光素子収容凹部20eが、基体2の第1面21に設けられている。
第3受光素子収容凹部20dの形状および寸法、ならびに第4受光素子収容凹部20eの形状および寸法は、特に限定されないが、例えば、第3受光素子収容凹部20dの形状および寸法は、第1受光素子収容凹部20bと同様に構成されてもよく、第4受光素子収容凹部20eの形状および寸法は、第2受光素子収容凹部20cと同様に構成されてもよい。
計測センサ用パッケージ1Bは、平面視において、第4受光素子収容凹部20eの中心c4、第3受光素子収容凹部20dの中心c3、発光素子収容凹部20aの中心c0、第1受光素子収容凹部20bの中心c1および第2受光素子収容凹部20cの中心c2が一直線上に並ぶように構成されている。計測センサ用パッケージ1Bによれば、基体本体20の長さ方向(図5における左右方向)において、基体2の第1面21のうちの一方側に受光範囲を拡げるだけでなく、他方側にも受光範囲を拡げることができ、これにより、動脈の血流による散乱光を効率的に受光し、動脈の血流を高精度に計測することが可能になる。
図6は、本発明の第4実施形態に係る計測センサ用パッケージ1Cを示す概略平面図である。なお、図6においては、蓋体3および金属薄層5を省略して図示している。
第4実施形態の計測センサ用パッケージ1Cは、第3実施形態の計測センサ用パッケージ1Bに対して、第1受光素子収容凹部20b、第2受光素子収容凹部20c、第3受光素子収容凹部20dおよび第4受光素子収容凹部20eの配置が異なっており、その他については、同様の構成であるので、同様の構成には計測センサ用パッケージ1Bと同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
計測センサ用パッケージ1Cは、第1受光素子収容凹部20bが、発光素子収容凹部20aと第2受光素子収容凹部20cとの間に位置し、第1受光素子収容凹部20bの中心c1が、発光素子収容凹部20aの中心c0と第2受光素子収容凹部20cの中心c2とを結ぶ直線から離れるように構成されている。さらに、計測センサ用パッケージ1Cは、平面視して、第3受光素子収容凹部20dが、発光素子収容凹部20aと第4受光素子収容凹部20eとの間に位置し、第3受光素子収容凹部20dの中心c3が、発光素子収容凹部20aの中心c0と第4受光素子収容凹部20eの中心c4とを結ぶ直線から離れるように構成されている。
計測センサ用パッケージ1Cによれば、基体本体20の長さ方向(図6における左右方向)において、基体2の第1面21のうちの一方側および他方側に受光範囲を拡げることができるとともに、第1〜第4受光素子による受光範囲を、互いに交差する少なくとも2つの方向において拡げることができ、これにより、動脈の血流による散乱光を効率的に受光し、動脈の血流を高精度に計測することが可能になる。
次に、計測センサ用パッケージ1,1A,1B,1Cの製造方法について説明する。まず、基体2を公知の多層配線基板の製造方法と同様にして作製する。基体2が、セラミック配線基板であり、セラミック材料がアルミナである場合は、まずアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状に成形してセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。その後、グリーンシートを所定の外形状および凹部の形成のために打ち抜き加工するとともに、タングステン(W)とガラス材料等の原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して金属ペーストとし、電極パッド23a等の導体層は、金属ペーストをグリーンシート表面にスクリーン印刷等の印刷法でパターン印刷する。また、信号ビア導体23bおよび接地ビア導体26等の貫通導体は、グリーンシートに貫通孔を設け、スクリーン印刷等によって金属ペーストを貫通孔に充填させる。また、表層接地導体層4となるメタライズ層は、金属ペーストによって最表面に形成される。こうして得られたグリーンシートを複数枚積層し、これを約1600℃の温度で同時焼成することによって基体2が作製される。
一方、ガラス材料を、切削、切断等により所定の形状に切り出した蓋体3を準備し、対向面3a上に、蒸着、スパッタ、焼付け等によって金属薄層5を形成する。このとき、フォトリソ(ウェットエッチング)法、ドライエッチング法等によって金属薄層にパターン加工することにより、第1絞り孔5a、第2絞り孔5b等を形成することができる。
次に、本発明の第5実施形態である計測センサ100について説明する。図7は、計測センサ100の構成を示す断面図である。なお、図7においては、第1実施形態の計測センサ用パッケージ1に発光素子、第1受光素子、および第2受光素子を搭載した例を図示しているが、計測センサ100は、計測センサ用パッケージ1A、計測センサ用パッケージ1B、または計測センサ用パッケージ1Cに発光素子、および複数の受光素子を搭載したものであってもよい。
計測センサ100は、計測センサ用パッケージ1と、発光素子収容凹部20aに収容される発光素子30と、第1受光素子収容凹部20bに収容される第1受光素子31と、第2受光素子収容凹部20cに収容される第2受光素子32と、を含む。
計測センサ100は、計測センサ用パッケージ1の発光素子30と、第1受光素子31と、第2受光素子32とを実装し、ボンディングワイヤ33で各素子と電極パッド23aと接続した後、蓋体3を導電性接合材6によって基体本体20に接合して得られる。
発光素子30は、VCSEL等の半導体レーザ素子を用いることができ、第1受光素子31および第2受光素子32は、シリコンフォトダイオード、GaAsフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、ゲルマニウムフォトダイオード等の各種フォトダイオードを用いることができる。発光素子30および第1受光素子31および第2受光素子32は、被計測物の種類、計測するパラメータの種類等により適宜選択すればよく、第1受光素子31および第2受光素子32は、同一種類のフォトダイオードを用いてもよく、異なる種類のフォトダイオードを用いてもよい。
血流を測定する場合は、例えば、光のドップラー効果を利用して測定するために、発光素子30であるVCSELとして波長が850nmのレーザ光を出射可能なものであればよい。その他の測定を行う場合は、測定目的に応じた波長のレーザ光を出射する発光素子30を選択すればよい。第1受光素子31および第2受光素子32は、受光する光が発光素子30から出射されるレーザ光から波長の変化が無い場合、発光素子30の出射光を受光できるものであればよく、波長の変化が有る場合、変化後の波長の光を受光できるものであればよい。
発光素子30、第1受光素子31および第2受光素子32と電極パッド23aとは、本実施形態では、例えば、ボンディングワイヤ33によって電気的に接続されるが、フリップチップ接続、バンプ接続、異方性導電フィルムを用いた接続等他の接続方法であってもよい。
計測センサ100は、外部実装基板に実装されて使用される。外部実装基板には、例えば、発光素子30の発光を制御する制御素子、第1受光素子31および第2受光素子32の出力信号から血流速度等を算出する演算素子等も実装される。
測定する場合には、使用者の手首を蓋体3の表面に接触させた状態で、外部実装基板から外部接続端子23cを介して発光素子制御電流が計測センサ100に入力され、信号ビア導体23b、電極パッド23aを通って発光素子30に入力されて発光素子30から計測用の光が出射される。出射された光が、蓋体3を透過して手首に照射されると、橈骨動脈を流れる血液中の血球細胞で光が散乱される。蓋体3を透過し、第1絞り孔5aを通過した散乱光が、第1受光素子31で受光され、第2絞り孔5bを通過した散乱光が、第2受光素子で受光されると、受光量に応じた電気信号が第1受光素子31および第2受光素子32から出力される。出力された信号は、電極パッド23a、信号ビア導体23bを通り、外部接続端子23cを介して計測センサ100から外部実装基板へと出力される。
外部実装基板では、計測センサ100から出力された信号が、演算素子に入力され、例えば、発光素子30から出射された光である照射光の周波数と、第2受光素子32が受光した光である散乱光の周波数とに基づき、さらに第1受光素子31が受光した散乱光の周波数によって補正を行い、橈骨動脈の血流速度を算出することができる。
計測センサ100は、計測センサ用パッケージ1を備えることにより、動脈の血流を高精度に測定することができる。計測センサ100が、計測センサ用パッケージ1A、計測センサ用パッケージ1B、または計測センサ用パッケージ1Cを備える場合であっても、動脈の血流を高精度に測定することが可能である。
なお、上記の各実施形態では、信号ビア導体23bは、基体本体20内で厚み方向に一直線状に配設される構成としているが、電極パッド23aの直下から基体2の第2面22の外部接続端子23cまで電気的に接続されていれば、一直線状でなく、基体本体20内で、内層配線や内部接地導体層等によってずれて形成されていてもよい。